JP2022139453A - 炭化珪素半導体装置の製造方法 - Google Patents

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Naoyuki Ose
司 田嶋
Tsukasa Tajima
隆 島田
Takashi Shimada
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Abstract

【課題】破砕層除去工程を追加することなく、コンタクト抵抗が低い裏面オーミックコンタクトが形成でき、高い抗折強度を得ることができる炭化珪素半導体装置の製造方法を提供する。【解決手段】炭化珪素半導体基板1のおもて面上に半導体素子を形成する第1工程と、炭化珪素半導体基板1を裏面から荒研削する第2工程と、荒研削した炭化珪素半導体基板1の裏面を仕上げ研削する第3工程と、仕上げ研削した炭化珪素半導体基板1の裏面に金属膜を成膜する第4工程と、レーザーアニールにより、炭化珪素半導体基板1と金属膜とを反応させてオーミックコンタクトを形成する第5工程と、を含み、第3工程では、平均粒径が1μm以下の粒子を用いて仕上げ研削を行い、第5工程では、第3工程後に炭化珪素半導体基板1の裏面に残る破砕層のすべてが金属膜と反応するようにレーザーアニールを行う。【選択図】図2

Description

この発明は、炭化珪素半導体装置の製造方法に関する。
炭化珪素(SiC)は、シリコン(Si)に代わる次世代の半導体材料として期待されている。炭化珪素を半導体材料に用いた半導体素子(以下、炭化珪素半導体装置とする)は、シリコンを半導体材料に用いた従来の半導体素子と比較して、オン状態における素子の抵抗を数百分の1に低減可能であることや、より高温(200℃以上)の環境下で使用可能なこと等、様々な利点がある。これは、炭化珪素のバンドギャップがシリコンに対して3倍程度大きく、シリコンよりも絶縁破壊電界強度が1桁近く大きいという材料自体の特長による。
炭化珪素半導体装置としては、現在までに、ショットキーバリアダイオード(SBD:Schottky Barrier Diode)、プレーナゲート構造やトレンチゲート構造の縦型MOSFET(Metal Oxide Semiconductor Field Effect Transistor:絶縁ゲート型電界効果トランジスタ)が製品化されている。
縦型SBDや縦型MOSFETのように表裏方向で電流を流すものにおいて、動作抵抗を低減させるためにSiC基板を研削して薄膜化させることが行われている。SiC基板の薄化加工の際に、研削のダメージにより、SiCの結晶性が崩れた破砕層が発生する。この破砕層が残っていると、コンタクト抵抗が増大し、特性不良が発生する場合がある。さらには、抗折強度が下がることにより、ダイシング時にチッピングなどが発生したり、半導体装置を組み立てるときのワイヤーボンディング時にチップが割れたりする場合がある。
このような破砕層を除去するため、ドライポリッシュやCMP(Chemical Mechanical Polishing)等による研磨工程を入れることが行われている(例えば、特許文献1参照)。なお、研削は、ダイヤモンド粒子等を用いて、狙いの厚さまで削ることを目的として、SiC基板に破砕層が発生してしまう。一方、研磨は、シリカ、アルミナ、ジルコニア等を用いて、表面仕上げを目的として、SiC基板に破砕層はあまり発生しない。
また、破砕層を残したまま、シリサイド化反応をさせて、低温プロセスで良好なオーミック電極を形成する技術も提案されている。例えば、アモルファス層が形成された裏面上に金属薄膜を形成した後、n+型基板の裏面側に光子エネルギーとレーザー出力の積が1000eV・mJ/cm2以上かつ8000eV・mJ/cm2以下となるような条件でレーザー光を照射することでシリサイド層を含むドレイン電極を形成することも行われている(例えば、特許文献2参照)。
特許第5550738号公報 特開2012-4185号公報
しかしながら、破砕層を除去するため、ドライポリッシュやCMP等による加工工程を入れると、工程が増加し、工数や設備投資額が増えるという課題がある。また、破砕層ごとシリサイド化する場合、SiC基板の抗折強度がレーザー強度により変動し、ダイシング時にチッピングなどが発生するという課題がある。
この発明は、上述した従来技術による問題点を解消するため、破砕層除去工程を追加することなく、コンタクト抵抗が低い裏面オーミックコンタクトが形成でき、高い抗折強度を得ることができる炭化珪素半導体装置の製造方法を提供することを目的とする。
上述した課題を解決し、本発明の目的を達成するため、この発明にかかる炭化珪素半導体装置の製造方法は、次の特徴を有する。まず、炭化珪素半導体基板のおもて面上に半導体素子を形成する第1工程を行う。次に、前記炭化珪素半導体基板を裏面から荒研削する第2工程を行う。次に、前記荒研削した前記炭化珪素半導体基板の裏面を仕上げ研削する第3工程を行う。次に、前記仕上げ研削した前記炭化珪素半導体基板の裏面に金属膜を成膜する第4工程を行う。次に、レーザーアニールにより、前記炭化珪素半導体基板と前記金属膜とを反応させてオーミックコンタクトを形成する第5工程を行う。前記第3工程では、平均粒径が1μm以下の粒子を用いて前記仕上げ研削を行う。前記第5工程では、前記第3工程後に前記炭化珪素半導体基板の裏面に残る破砕層のすべてが前記金属膜と反応するように前記レーザーアニールを行う。
また、この発明にかかる炭化珪素半導体装置の製造方法は、上述した発明において、前記第3工程では、前記破砕層の膜厚を10nm以上150nm以下に調整することを特徴とする。
また、この発明にかかる炭化珪素半導体装置の製造方法は、上述した発明において、前記第3工程では、前記炭化珪素半導体基板の裏面の表面粗さ(Ra)を3nm以下とするように、前記仕上げ研削を行うことを特徴とする。
また、この発明にかかる炭化珪素半導体装置の製造方法は、上述した発明において、前記第2工程では、#1000以上#3000以下の研削工具を用いることを特徴とする。
また、この発明にかかる炭化珪素半導体装置の製造方法は、上述した発明において、前記第5工程では、2.4J/cm2以上2.9J/cm2以下のレーザー強度で前記レーザーアニールを行うことを特徴とする。
また、この発明にかかる炭化珪素半導体装置の製造方法は、上述した発明において、前記第5工程では、ラップ率が50%以上80%以下で前記レーザーアニールを行うことを特徴とする。
上述した発明によれば、炭化珪素半導体基板の薄化工程で、荒研削後、平均粒径が1μm以下の粒子を用いて仕上げ研削することで、破砕層の膜厚が10nm以上150nm以下である裏面電極を形成している。裏面電極を形成後、レーザーアニールにおいてレーザー強度を2.4J/cm2以上、2.9J/cm2以下としている。これにより、破砕層を消滅させることができ、シリサイドのラフネスを小さくできる。このため、破砕層除去工程を追加することなく、コンタクト抵抗が低い裏面オーミックコンタクトを形成でき、高い抗折強度を得ることができる。また、破砕層除去工程で必要なドライポリッシュ装置等が不要となり、設備投資、ランニングコストを低減することができる。
本発明にかかる炭化珪素半導体装置の製造方法によれば、破砕層除去工程を追加することなく、コンタクト抵抗が低い裏面オーミックコンタクトが形成でき、高い抗折強度を得ることができるという効果を奏する。
実施の形態にかかる炭化珪素半導体装置の構造を示す断面図である。 実施の形態にかかる炭化珪素半導体装置の製造方法の概要を示すフローチャートである。 実施の形態にかかる炭化珪素半導体装置の製造途中の状態を示す断面図である。 実施の形態にかかる炭化珪素半導体装置の製造途中の状態を示す断面図である。 実施の形態にかかる炭化珪素半導体装置の製造方法における破砕層の膜厚とレーザー強度の範囲を示す図である。 実施の形態にかかる炭化珪素半導体装置において破砕層の膜厚が100nmでのレーザー強度とVfの関係を示すグラフである。 実施の形態にかかる炭化珪素半導体装置においてレーザー照射前での裏面構造を示す断面図である。 実施の形態にかかる炭化珪素半導体装置においてレーザー照射前での裏面構造を示す断面図である。 実施の形態にかかる炭化珪素半導体装置においてレーザー照射前での裏面構造を示す断面図である。 実施の形態にかかる炭化珪素半導体装置においてレーザー照射後での裏面構造を示す断面図である。 実施の形態にかかる炭化珪素半導体装置においてレーザー照射後での裏面構造を示す断面図である。 実施の形態にかかる炭化珪素半導体装置においてレーザー照射後での裏面構造を示す断面図である。 実施の形態にかかる炭化珪素半導体装置においてレーザー強度と抗折強度との関係を示すグラフである。
以下に添付図面を参照して、この発明にかかる炭化珪素半導体装置の製造方法の好適な実施の形態を詳細に説明する。本明細書および添付図面においては、nまたはpを冠記した層や領域では、それぞれ電子または正孔が多数キャリアであることを意味する。また、nやpに付す+および-は、それぞれそれが付されていない層や領域よりも高不純物濃度および低不純物濃度であることを意味する。なお、以下の実施の形態の説明および添付図面において、同様の構成には同一の符号を付し、重複する説明を省略する。また、本明細書では、ミラー指数の表記において、“-”はその直後の指数につくバーを意味しており、指数の前に“-”を付けることで負の指数をあらわしている。そして、同じまたは同等との記載は製造におけるばらつきを考慮して5%以内まで含むとするのがよい。
(実施の形態)
本発明にかかる半導体装置は、ワイドバンドギャップ半導体を用いて構成される。実施の形態においては、ワイドバンドギャップ半導体として例えば炭化珪素(SiC)を用いて作製(製造)された炭化珪素半導体装置について、SBD構造の炭化珪素ダイオード70を例に説明する。図1は、実施の形態にかかる炭化珪素半導体装置の構造を示す断面図である。図1では、炭化珪素ダイオード70がオン状態のときに電流が流れる領域である活性領域のみを記載し、半導体基板10のおもて面側の電界を緩和し耐圧を保持する領域であるエッジ終端領域の記載を省略してある。
炭化珪素ダイオード70は、半導体基板10のおもて面の全面に、半導体基板10のおもて面に沿ってショットキー接合が形成されたSBD構造の縦型の炭化珪素ダイオードである。半導体基板10は、n+型出発基板1上にn-型ドリフト領域2をエピタキシャル成長させた炭化珪素からなる半導体基板であり、n-型ドリフト領域2表面には選択的にp型領域3が設けられている。また、半導体基板10のおもて面におもて面電極4を備え、裏面に裏面電極5を備えている。
通常、SBD構造では、半導体基板10とおもて面電極4との接合面での電界強度が高く、逆方向電圧印加時にショットキー障壁を電子がトンネリングすることに起因する逆方向リーク電流増大、または炭化珪素固有の表面欠陥に起因する逆方向リーク電流増大という問題がある。このため、炭化珪素ダイオード70は、半導体基板10のおもて面側に、n-型ドリフト領域2とおもて面電極4とのショットキー接合によるSBD構造と、p型領域3とn-型ドリフト領域2とのpn接合によるJunction Barrier Schottky(JBS)構造と、を混在させている。
p型領域3は、半導体基板10のおもて面の表面領域に選択的に設けられている。隣り合うp型領域3間において半導体基板10のおもて面には、n-型ドリフト領域2が露出されている。p型領域3とn-型ドリフト領域2とで半導体基板10のおもて面にpn接合が形成されている。隣り合うp型領域3間のn-型ドリフト領域2は、半導体基板10のおもて面上に設けられたおもて面電極4とのショットキー接合を形成する。
このように半導体基板10とおもて面電極4との接合面にショットキー接合とpn接合とを混在させたJBS構造とすることで、半導体基板10とおもて面電極4との接合面での電界強度を低くすることができるため、シリコン半導体を用いたFWD(Free Wheeling Diode:還流ダイオード)並みの逆方向リーク電流に抑制可能となる。
(実施の形態にかかる炭化珪素半導体装置の製造方法)
次に、実施の形態にかかる炭化珪素半導体装置の製造方法について説明する。図2は、実施の形態にかかる炭化珪素半導体装置の製造方法の概要を示すフローチャートである。図3、図4は、実施の形態にかかる炭化珪素半導体装置の製造途中の状態を示す断面図である。最初に、第1工程S1として半導体基板のおもて面上に半導体素子を形成する工程を行う。まず、n+型出発基板(半導体ウエハ)1として、例えば5×1018/cm3程度の窒素(N)がドーピングされた炭化珪素の四層周期六方晶(4H-SiC)基板を用意する。n+型出発基板1の第1主面(おもて面)は、例えば(0001)面に対して4°程度のオフ角を有していてもよい。次に、n+型出発基板1のおもて面上に、n-型ドリフト領域2となる例えば1.8×1016/cm3程度の窒素がドーピングされたn-型エピタキシャル層を成長させる。
+型カソード領域となるn+型出発基板1の厚さは、例えば350μm程度であってもよい。n-型ドリフト領域2となるn-型エピタキシャル層の厚さは、例えば6μm程度であってもよい。ここまでの工程により、n+型出発基板1のおもて面上にn-型ドリフト領域2となるn-型エピタキシャル層を積層した半導体基板(半導体ウエハ)10が作製される。上述したように、半導体基板10は、n-型ドリフト領域2側の主面をおもて面とし、n+型出発基板1側の主面を裏面とする。
次に、フォトリソグラフィおよびアルミニウム等のp型不純物のイオン注入により、半導体基板10のおもて面の表面領域に、JBS構造を構成する1つ以上のp型領域3を選択的に形成する。複数のp型領域3は、例えば2μm程度の間隔で、半導体基板10のおもて面に平行な方向に等間隔にストライプ状に配置される。
次に、半導体基板10のおもて面の全面を例えばカーボン(C)保護膜(不図示)で覆って保護した後、熱処理によりイオン注入した不純物を活性化させる。イオン注入した不純物の活性化は、例えば、熱処理装置の処理炉内に半導体基板10を挿入し、処理炉内の雰囲気を1×10-2Pa以下程度の圧力になるまで吸引(真空引き)した後、処理炉内にアルゴン(Ar)ガスを導入し、1×105Pa程度の圧力の雰囲気において1700℃程度の温度の熱処理を5分間程度行う。
次に、p型領域3上にオーミックコンタクトをとるためのシリサイド膜6を形成する。具体的には、半導体基板10のおもて面の全面に酸化膜51を形成し、フォトリソグラフィおよびエッチングにより酸化膜51を選択的に除去してp型領域3に対応する部分に開口部51aを形成する。次に、例えばスパッタ法等の物理気相成長法(PVD:Physical Vapor Deposition)により、酸化膜51の表面から酸化膜51の開口部51a内に露出するp型領域3にわたって、ニッケル(Ni)膜52を形成する。次に、例えば950℃程度の温度で10分間程度の熱処理によりp型領域3の表面のSiCとニッケル膜52とを反応させて、p型領域3とオーミックコンタクトを形成するシリサイド膜6を形成する。これまでの状態が図3である。その後、未反応のニッケル膜52と酸化膜51とを除去する。
次に、例えばスパッタリング等の物理気相成長法(PVD:Physical Vapor Deposition)により、半導体基板10のおもて面までの全面にチタン膜(不図示)を形成する。チタン膜の厚さは、例えば100nm程度であってもよい。
次に、例えば500℃程度の温度で10分間程度の熱処理によりチタン膜をシンタリングする。この熱処理により、チタン膜とn-型ドリフト領域2とのショットキー接合が形成される。次に、例えばスパッタリング等の物理気相成長法により、チタン膜の表面に、例えば5μm程度の厚さのアルミニウム合金膜を形成する。次に、フォトリソグラフィおよびエッチングにより当該アルミニウム合金膜を選択的に除去して、おもて面電極4となるアルミニウム合金膜としてチタン膜の表面に残す。ここまでが第1工程S1である。
次に、半導体基板10(半導体ウエハ)のおもて面を保護膜(不図示)で覆って保護した後、低抵抗化のため、n+型出発基板1を薄化する。n+型出発基板1の薄化は、例えば、n+型出発基板1の第2主面(裏面)側からグラインダ等で機械的に研削する。薄化は、裏面から荒研削する第2工程S2と、裏面を仕上げ研削する第3工程S3とからなる。第2工程S2はn+型出発基板1を薄化する工程であり、これに伴い10μm程度の厚い破砕層7が形成される。第3工程は、後述するオーミックコンタクトを形成する第5工程S5において破砕層7が消滅する程度にまで、破砕層7の膜厚を減じる工程である。第2工程では、例えば#1000以上#3000以下の研削工具を用いて研削を行い、所望の厚さまでn+型出発基板1を薄化する。第3工程では平均粒径が1μm以下の研削工具を用い、破砕層7の膜厚を10nm以上150nm以下に調整する。このとき、破砕層7の表面粗さ(Ra)は3nm以下となっている。これにより、薄化されたn+型出発基板1の裏面に膜厚が調整された破砕層7が形成される(図4)。
次に、裏面に金属膜を形成する第4工程S4として、半導体基板10の第2主面(裏面)上に、裏面電極5となる金属膜、例えばモリブデン(Mo)膜とニッケル(Ni)膜を、例えばスパッタ法により続けて成膜する。金属膜は、シリサイドとなる金属、例えばNiを含めばよく、MoとNiの膜以外も用いることができる。例えば、チタン(Ti)膜とNi膜をこの順に半導体基板10の裏面に成膜してもよい。
その後、オーミックコンタクトを形成する第5工程S5を行う。具体的にはレーザーアニールによる熱処理を行って、半導体基板10の破砕層7の部分と金属膜を反応させることで、半導体基板10とオーミック接合する裏面電極5を形成する。このとき、裏面電極5となる金属膜の膜厚やレーザーアニールの条件を調整して、n+型出発基板1の裏面に残る破砕層7のすべてを金属膜と反応させる。ここで、裏面に残る破砕層7のすべてを金属膜と反応させるとは、断面TEMにおいて破砕層7が観察されなくなることを意味しており、破砕層7に含まれる元素のすべてが金属膜と反応していなくともよい。この後、例えばチタン(Ti)、ニッケル(Ni)、および金(Au)からなる積層膜をさらに形成してもよい。その後、半導体基板10のおもて面の保護膜を除去した後、半導体基板10をダイシング(切断)して個々のチップ状に個片化することで、図1に示す炭化珪素ダイオード70が完成する。
実施の形態では、レーザーアニールにより、破砕層7を含むSiCと金属膜(Ni、Mo、Ti等)とを反応させて、破砕層7を消滅させるために、抗折強度が向上する。ただし、高い抗折強度を得るためには、レーザーアニールに用いるレーザー強度に上下限があり、破砕層7の膜厚に上限値がある。レーザー強度の上下限および破砕層7の膜厚の上限値は、以下に詳述する。
図5は、実施の形態にかかる炭化珪素半導体装置の製造方法における破砕層の膜厚とレーザー強度の範囲を示す図である。図5において、横軸はレーザーアニール前の破砕層の膜厚を示し、単位はnmである。縦軸は、レーザーアニールに用いるレーザー強度を示し、単位はJ/cm2である。一連の実験において、レーザー光の波長は355nmを用いている。
図5は、以下の図6~図9の試験結果から高い抗折強度および低抵抗の裏面コンタクト抵抗が得られた破砕層の膜厚とレーザー強度の範囲を示す。図5において、この範囲は斜め線でハッチングされている領域Aであり、破砕層の膜厚が10nm以上、150nm以下、かつ、レーザー強度が2.4J/cm2以上、2.9J/cm2以上である場合、高い抗折強度および低抵抗の裏面コンタクト抵抗が得られる。
また、図6~図9において、破砕層の膜厚は、炭化珪素基板の断面をTEM(Transmission Electron Microscope)で観察することで測定した。また、抗折強度は、炭化珪素基板をダイシング(切断)して個々のチップ状にした後、半導体チップに力を加え、半導体チップが割れたときの力の強度(MPa)を測定した。ここで、高い抗折強度とは、半導体装置を組み立てるときのワイヤーボンディング時やパッケージング後のさまざまな環境下でチップが割れることがない強度である。
このように、破砕層の膜厚は10nm以上、150nm以下が必要であり、破砕層の膜厚をこの範囲にするため、実施の形態の薄化工程は、まず、#1000以上#3000以下の研削工具でn+型出発基板1の裏面を機械的に削る荒研削(第2工程S2)を行う。次に、平均粒径が1μm以下(#8000以上)の研削工具でn+型出発基板1の裏面を機械的に削る仕上げ研削(第3工程S3)を行っている。仕上げ研削では、10μm程度削り、研削後の表面粗さ(Ra)をRa≦3nm以下としている。この仕上げ研削により、破砕層の膜厚を10nm以上150nm以下とすることができる。ここで、#1000等は、研削工具の粒度(砥粒の大きさ)を数字で表し、数字が大きいほど細かい粒であることを示している。
このため、実施の形態では、n+型出発基板1を薄化工程で発生した膜厚を10nm以上、150nm以下にして、裏面電極(ドレイン電極5)を形成する際のレーザーアニールのレーザー強度を2.4J/cm2以上、2.9J/cm2以下にして、アニールを行う。これにより、破砕層除去工程を追加することなく、低抵抗の裏面オーミックコンタクトが形成でき、高い抗折強度を得ることができる。
図6は、実施の形態にかかる炭化珪素半導体装置において破砕層の膜厚が100nmでのレーザー強度とVfの関係を示すグラフである。図6において、横軸は、レーザーアニールに用いるレーザー強度を示し、単位はJ/cm2である。縦軸は、半導体装置のVfを示し、レーザー強度が2.2J/cm2の時のVfを1としたときの相対値で示している。
図6は、膜厚100nm程度の破砕層を含む炭化珪素基板に裏面電極をMo、Niの順で積層して、2.2J/cm2、2.4J/cm2、2.6J/cm2、2.8J/cm2のレーザー強度でレーザーアニールを行って、耐圧1700VクラスのSBDを作製して、Vfを測定した結果である。図6は、図5の領域Aと領域Bの部分の試験結果である。
図6に示すように、2.2J/cm2の場合、裏面コンタクト抵抗が高く、Vfが高くなっている。また、2.4J/cm2以上の場合、裏面コンタクト抵抗が低く、Vfが低くなっている。レーザー強度が小さいと、シリサイド化が不十分になり、裏面コンタクト抵抗が高く、Vfが高くなった。図6より、レーザー強度の条件は、2.4J/cm2以上が好ましいことが判明した。
図7A~図7Cは、実施の形態にかかる炭化珪素半導体装置においてレーザー照射前での裏面構造を示す断面図である。図8A~図8Cは、実施の形態にかかる炭化珪素半導体装置においてレーザー照射後での裏面構造を示す断面図である。図7A~図7Cおよび図8A~図8Cは、図5の領域Aと領域Cの部分の試験結果である。
図7Aは、破砕層を含まない炭化珪素基板の裏面構造の断面TEM像である。また、図8Aは、図7Aの炭化珪素基板に裏面電極をMo、Niの順で積層して、2.6J/cm2のレーザー強度でレーザーアニールを行った後の半導体基板の裏面構造の断面TEM像である。
図7Bは、膜厚100nm程度の破砕層を含む炭化珪素基板の裏面構造の断面TEM像である。また、図8Bは、図7Bの炭化珪素基板に裏面電極をMo、Niの順で積層して、2.6J/cm2のレーザー強度でレーザーアニールを行った後の半導体基板の裏面構造の断面TEM像である。
図7Cは、膜厚500nm程度の破砕層を含む炭化珪素基板の裏面構造の断面TEM像である。また、図8Cは、図7Cの炭化珪素基板に裏面電極をMo、Niの順で積層して、2.6J/cm2のレーザー強度でレーザーアニールを行った後の半導体基板の裏面構造の断面TEM像である。
図7Aでは、n+型出発基板1の裏面に破砕層20は確認されず、図7Bおよび図7Cでは、n+型出発基板1の裏面に破砕層20が確認されている。ここで、破砕層20の膜厚は、破砕層20の最も厚い部分の厚さである。
図8A~図8Cでは、n+型出発基板1上に、シリサイド層21、Ti膜22、Ni膜23、Au膜24がこの順で堆積している。図8Aおよび図8Bでは、n+型出発基板1とシリサイド層21との間に破砕層20が確認できていない。一方、図8Cでは、n+型出発基板1とシリサイド層21との間に150nm程度の膜厚の破砕層20が確認できる。これにより、膜厚150nm程度の破砕層20は、レーザーアニールにより消滅させることができることが判明した。ここで、図8A~図8Cと破砕層の膜厚が増えるにしたがって、シリサイド層21の膜厚は厚くなり、n+型出発基板1とシリサイド層21との界面は荒くなる傾向がみられた。
このため、実施の形態の薄化工程では、破砕層の膜厚を10nm以上150nm以下、好ましくは20nm以上100nm以下としている。10nmより薄いと、シリサイド化が十分に行えないためである。シリサイド化が不十分なのは、レーザー光の吸収が少ないためである。
図9は、実施の形態にかかる炭化珪素半導体装置においてレーザー強度と抗折強度との関係を示すグラフである。図9において、横軸は、レーザーアニールに用いるレーザー強度を示し、単位はJ/cm2である。縦軸は、半導体基板の抗折強度を示し、単位はMPaである。
図9は、膜厚100nm程度の破砕層を含む炭化珪素基板に裏面電極をMo、Niの順で積層して、2.6J/cm2~3.1J/cm2のレーザー強度でレーザーアニールを行った炭化珪素基板の抗折強度を測定した結果である。図9は、図5の領域Aおよび領域Dの部分の試験結果を示す。
図9に示すように、レーザー強度を増やすことで、シリサイドの面粗さ(ラフネス)が増大して、抗折強度が下がる。半導体装置を組み立てるときのワイヤーボンディング時にチップが割れることがないようにするためには、図9の直線Aよりも抗折強度が高いことが必要である。このため、レーザー強度の条件は、2.9J/cm2以下であることが判明した。
また、レーザーアニール時のレーザーのラップ率が大きくなると、シリサイドのラフネスが増大して、抗折強度が下がる。一方、レーザーのラップ率が小さいと、照射エリアに隙間ができて、破砕層が残り、抗折強度が低くなってしまう。このため、レーザーのラップ率は50%以上80%以下であることが好ましい。ここで、レーザーのラップ率とは、炭化珪素基板をアニールする際のレーザー進行方向および段切り替え時でのレーザー照射領域の重なった部分の割合を示す。
また、レーザーアニール時のレーザーの波長は、炭化珪素と金属膜とにシリサイド反応を起こすため、266nm以上1064nm以下であることが好ましい。イオン注入で注入されたイオンを活性化するアニールでも使用することができるため、266nm以上388nm以下であることがより好ましい。
以上、説明したように、実施の形態によれば、n+型炭化珪素基板の薄化工程で、荒研削後、平均粒径が1μm以下の粒子を用いて仕上げ研削することで、破砕層の膜厚が10nm以上150nm以下である裏面電極を形成している。裏面電極を形成後、レーザーアニールにおいてレーザー強度を2.4J/cm2以上、2.9J/cm2以下としている。これにより、破砕層を消滅させることができ、シリサイドのラフネスを小さくできる。このため、破砕層除去工程を追加することなく、コンタクト抵抗が低い裏面オーミックコンタクトを形成でき、高い抗折強度を得ることができる。また、破砕層除去工程で必要なドライポリッシュ装置等が不要となり、設備投資、ランニングコストを低減することができる。
以上において本発明は本発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々変更可能であり、上述した各実施の形態において、例えば各部の寸法や不純物濃度等は要求される仕様等に応じて種々設定される。また、上述した各実施の形態では、SBDを例に説明したが、各実施の形態はMOSFETにも適用可能である。また、各実施の形態では第1導電型をn型とし、第2導電型をp型としたが、本発明は第1導電型をp型とし、第2導電型をn型としても同様に成り立つ。
以上のように、本発明にかかる炭化珪素半導体装置の製造方法は、インバータなどの電力変換装置や種々の産業用機械などの電源装置や自動車のイグナイタなどに使用されるパワー半導体装置に有用である。
1 n+型出発基板
2 n-型ドリフト領域
3 p型領域
4 おもて面電極
5 裏面電極
6 シリサイド膜
10 半導体基板
20 破砕層
21 シリサイド層
22 Ti膜
23 Ni膜
24 Au膜
51 酸化膜
51a 開口部
52 ニッケル膜
70 炭化珪素ダイオード

Claims (6)

  1. 炭化珪素半導体基板のおもて面上に半導体素子を形成する第1工程と、
    前記炭化珪素半導体基板を裏面から荒研削する第2工程と、
    前記荒研削した前記炭化珪素半導体基板の裏面を仕上げ研削する第3工程と、
    前記仕上げ研削した前記炭化珪素半導体基板の裏面に金属膜を成膜する第4工程と、
    レーザーアニールにより、前記炭化珪素半導体基板と前記金属膜とを反応させてオーミックコンタクトを形成する第5工程と、
    を含み、
    前記第3工程では、平均粒径が1μm以下の粒子を用いて前記仕上げ研削を行い、
    前記第5工程では、前記第3工程後に前記炭化珪素半導体基板の裏面に残る破砕層のすべてが前記金属膜と反応するように前記レーザーアニールを行うことを特徴とする炭化珪素半導体装置の製造方法。
  2. 前記第3工程では、前記破砕層の膜厚を10nm以上150nm以下に調整することを特徴とする請求項1に記載の炭化珪素半導体装置の製造方法。
  3. 前記第3工程では、前記炭化珪素半導体基板の裏面の表面粗さ(Ra)を3nm以下とするように、前記仕上げ研削を行うことを特徴とする請求項1または2に記載の炭化珪素半導体装置の製造方法。
  4. 前記第2工程では、#1000以上#3000以下の研削工具を用いることを特徴とする請求項1に記載の炭化珪素半導体装置の製造方法。
  5. 前記第5工程では、2.4J/cm2以上2.9J/cm2以下のレーザー強度で前記レーザーアニールを行うことを特徴とする請求項1に記載の炭化珪素半導体装置の製造方法。
  6. 前記第5工程では、ラップ率が50%以上80%以下で前記レーザーアニールを行うことを特徴とする請求項1に記載の炭化珪素半導体装置の製造方法。
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