JP2022139045A - 免震化工法、及び、免震化構造 - Google Patents
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Abstract
【課題】施工中に建物に作用する水平外力に対する耐力を維持して安全に施工しつつ、免震化工事の施工を容易にすること。【解決手段】上部構造と下部構造の間に免震装置を設ける免震化工法であって、上部構造が有する上部水平部から下方に突出する上部突出部と、下部構造が有する下部水平部から上方に突出する下部突出部と間の隙間を、鉛直方向に跨ぎ、かつ、水平方向における上部突出部の一方側の面、及び、下部突出部の一方側の面に沿って、第1面材を設置し、隙間を鉛直方向に跨ぎ、かつ、水平方向における上部突出部の他方側の面、及び、下部突出部の他方側の面に沿って、第2面材を設置し、第1面材が備える貫通孔、隙間、及び、第2面材が備える貫通孔に、水平方向に沿って挿通された第1締結部材とそれに螺合する第2締結部材とによって、上部突出部、及び、下部突出部に、第1面材、及び、前記第2面材を圧着接合する。【選択図】図5
Description
本発明は、免震化工法、及び、免震化構造に関する。
既存建物の柱を切断した後に、その切断箇所に免震装置を設置して免震化する免震化工法が実施されている。既存建物は免震装置を挟んで上部構造と下部構造に分離されるが、壁も上部構造に接続する側と下部構造に接続する側とに分離される。特許文献1では、免震装置の設置が完了するまでに建物に作用する水平外力(地震等)に対する抵抗力を確保するために、分離された上部壁と下部壁が耐震プレートで連結されている。
特許文献1でも開示されているように、耐震プレート91(図14A及び図14B参照)は、一般的に、上下に分離された壁51,52にそれぞれ設けられた貫通孔93に挿通された締結部材92(例えばアンカーボルトやナット等)にて壁51,52に取り付けられる。この場合、締結部材92のせん断耐力と、締結部材92により発生する壁面と耐震プレート91の摩擦力とによって、壁面に沿う方向の水平外力に対する抵抗力を確保できる。
特許文献1でも開示されているように、耐震プレート91(図14A及び図14B参照)は、一般的に、上下に分離された壁51,52にそれぞれ設けられた貫通孔93に挿通された締結部材92(例えばアンカーボルトやナット等)にて壁51,52に取り付けられる。この場合、締結部材92のせん断耐力と、締結部材92により発生する壁面と耐震プレート91の摩擦力とによって、壁面に沿う方向の水平外力に対する抵抗力を確保できる。
しかし、上記の方法で耐震プレート91を取り付ける場合、上部壁51と下部壁52のそれぞれに貫通孔93を形成しなければならず、また、耐震プレート91の撤去後には貫通孔93の埋め戻し処理を行わなければならない。また、壁51,52に埋め込まれている鉄筋等を貫通孔93の形成時に傷つけないように、貫通孔93の形成前に壁51,52の鉄筋探査を行うことが望ましい。このように上記の耐震プレート91の設置方法には手間がかかる。
本発明は、かかる課題に鑑みてなされたものであって、その目的とするところは、施工中に建物に作用する水平外力に対する耐力を維持して安全に施工しつつ、免震化工事の施工を容易にすることにある。
かかる目的を達成するため、本発明の免震化工法は、上部構造と下部構造の間に免震装置を設ける免震化工法であって、前記上部構造は、上部水平部と、前記上部水平部から下方に突出する上部突出部とを有し、前記下部構造は、下部水平部と、前記下部水平部から上方に突出する下部突出部とを有し、前記上部突出部と前記下部突出部の間の隙間を鉛直方向に跨ぎ、かつ、水平方向における前記上部突出部の一方側の面、及び、前記下部突出部の前記一方側の面に沿って、第1面材を設置し、前記隙間を前記鉛直方向に跨ぎ、かつ、前記水平方向における前記上部突出部の他方側の面、及び、前記下部突出部の前記他方側の面に沿って、第2面材を設置する面材設置工程と、前記第1面材が備える貫通孔、前記隙間、及び、前記第2面材が備える貫通孔に、前記水平方向に沿って挿通された第1締結部材と、前記第1締結部材に螺合する第2締結部材とによって、前記上部突出部、及び、前記下部突出部に、前記第1面材、及び、前記第2面材を圧着接合する圧着接合工程と、前記圧着接合工程の後に、前記上部構造と前記下部構造の間に前記免震装置を設置する免震装置設置工程と、を有することを特徴とする。
このような免震化工法によれば、面材と上部突出部及び下部突出部の間に発生する摩擦力によって、建物に作用する水平外力に対抗できる。よって、施工中に柱等が切断されていても、下部構造に対する上部構造の位置ずれを抑制でき、安全に施工できる。また、免震装置を機能させるために上部突出部と下部突出部に分離したことにより形成される隙間に第1締結部材を挿通するため、第1締結部材を挿通するためだけの孔を上部突出部及び下部突出部に形成したり、面材の撤去後に孔の埋め戻し処理を行ったりする必要がなく、施工を容易にできる。
かかる免震化工法であって、前記圧着接合工程において、前記水平方向における前記第1面材の前記一方側の面に第1添接板を添接させ、かつ、前記水平方向における前記第2
面材の前記他方側の面に第2添接板を添接させた状態で、前記上部突出部、及び、前記下部突出部に、前記第1面材、及び、前記第2面材を圧着接合することを特徴とする。
面材の前記他方側の面に第2添接板を添接させた状態で、前記上部突出部、及び、前記下部突出部に、前記第1面材、及び、前記第2面材を圧着接合することを特徴とする。
このような免震化工法によれば、第1締結部材の緊張力が面材の広い範囲に均等に作用する。そのため、面材を上部突出部及び下部突出部にしっかりと圧着接合でき、その間に発生する摩擦力が高まり、建物に作用する水平外力に対する耐力を高めることができる。
かかる免震化工法であって、前記第1添接板、及び、前記第2添接板は、複数の添接板
を前記水平方向に重ねて構成されていることを特徴とする。
を前記水平方向に重ねて構成されていることを特徴とする。
このような免震化工法によれば、第2締結部材による締め付け位置から面材までの水平方向の距離を長くすることができるため、第1締結部材の緊張力が面材のより広い範囲に均等に作用する。そのため、面材を上部突出部及び下部突出部にしっかりと圧着接合でき、その間に発生する摩擦力が高まり、建物に作用する水平外力に対する耐力を高めることができる。
かかる免震化工法であって、前記圧着接合工程は、前記第1面材と前記上部突出部及び前記下部突出部との間、及び、前記第2面材と前記上部突出部及び前記下部突出部との間に、充填材を充填する充填工程を有することを特徴とする。
このような免震化工法によれば、面材が充填材を介して上部突出部及び下部突出部に隙間なく密着できる。そのため、面材を上部突出部及び下部突出部にしっかりと圧着接合でき、その間に発生する摩擦力が高まり、建物に作用する水平外力に対する耐力を高めることができる。
かかる免震化工法であって、前記上部突出部、及び、前記下部突出部は、前記上部水平部と前記下部水平部の間を前記鉛直方向に延びる壁であり、前記面材設置工程の前に、前記壁を切断して前記上部突出部と前記下部突出部に分離するとともに、前記隙間を形成する隙間形成工程を有することを特徴とする。
このような免震化工法によれば、免震装置を機能させるために壁を上下に分離したことにより形成される隙間に、第1締結部材を挿通できる。また、免震装置を設置するために柱等を切断する前に壁を切断できるため、免震工事を効率的に実施できる。
かかる免震化工法であって、前記上部構造は、前記上部水平部から下方に突出する他の上部突出部を有し、前記下部構造は、前記下部水平部から上方に突出する他の下部突出部を有し、前記免震装置設置工程において、前記他の上部突出部と前記他の下部突出部の間に前記免震装置を設置し、前記鉛直方向における前記隙間の長さは、前記鉛直方向における前記免震装置の長さよりも短いことを特徴とする免震化工法。
このような免震化工法によれば、隙間を狭くすることによって、第1締結部材の緊張力を、隙間の空間よりも、上部突出部及び下部突出部で受けることができる。よって、面材と上部突出部及び下部突出部の間の摩擦力を効率的に発生させることができ、また、面材の曲がり等を抑制できる。
また、上部水平部と、前記上部水平部から下方に突出する上部突出部とを有する上部構造と、下部水平部と、前記下部水平部から上方に突出する下部突出部とを有する下部構造と、前記上部構造と前記下部構造の間に設置される免震装置と、を有する免震化構造であって、前記上部突出部と前記下部突出部の間の隙間を鉛直方向に跨ぎ、かつ、水平方向における前記上部突出部の一方側の面、及び、前記下部突出部の前記一方側の面に沿って設置される第1面材と、前記隙間を前記鉛直方向に跨ぎ、かつ、前記水平方向における前記上部突出部の他方側の面、及び、前記下部突出部の前記他方側の面に沿って設置される第2面材と、前記上部突出部、及び、前記下部突出部に、前記第1面材、及び、前記第2面材を圧着接合する第1締結部材と、前記第1締結部材に螺合する第2締結部材と、
を有し、前記第1面材が備える貫通孔、前記隙間、及び、前記第2面材が備える貫通孔に、前記第1締結部材が前記水平方向に沿って挿通されていることを特徴とする免震化構造である。
を有し、前記第1面材が備える貫通孔、前記隙間、及び、前記第2面材が備える貫通孔に、前記第1締結部材が前記水平方向に沿って挿通されていることを特徴とする免震化構造である。
このような免震化構造によれば、面材と上部突出部及び下部突出部の間に発生する摩擦力によって、建物に作用する水平外力に対抗できる。よって、施工中に柱等が切断されていても、下部構造に対する上部構造の位置ずれを抑制できる。また、免震装置を機能させるために上部突出部と下部突出部に分離したことにより形成される隙間に第1締結部材を挿通するため、第1締結部材を挿通するためだけの孔を上部突出部及び下部突出部に形成したり、面材の撤去後に孔の埋め戻し処理を行ったりする必要がなく、施工を容易にできる。なお、このような免震化構造(免震化した構造物)は、免震化工法における途中過程の構造を含む。
本発明によれば、施工中に建物に作用する水平外力に対する耐力を維持して安全に施工しつつ、免震化工事の施工を容易にすることができる。
以下、本発明の一実施形態について図面を参照しつつ説明する。
===実施形態===
<<S01:補強部形成工程>>
図1は本実施形態の免震化工法の手順を示すフロー図である。図2は補強部形成工程の説明図であり、図2は補強された既存建物1の正面図である。
===実施形態===
<<S01:補強部形成工程>>
図1は本実施形態の免震化工法の手順を示すフロー図である。図2は補強部形成工程の説明図であり、図2は補強された既存建物1の正面図である。
本実施形態の免震化工法では、既存建物1を上部構造10と下部構造20に分離して、その間に免震装置30(例えば、積層ゴムタイプ、転がり支承タイプ、滑り支承タイプ等)を設置する。具体的には、既存建物1の中間階の柱2の一部を切断し(ここでは地上1階の床面FL1から地上2階の床面FL2に向かって鉛直方向に延びる柱2の一部を切断し)、その切断箇所に免震装置30を設置する。
以下、X方向に間隔を空けて配置された2本の柱2A,2Bを、免震装置30を設置する施工対象の柱として説明する。また、既存建物1は、2本の柱2A,2Bの間に、X方向に壁面が沿う耐力壁50を有する。また、既存建物1のうち免震装置30の設置位置や耐力壁50の切断位置よりも上方の部位を上部構造10とし、免震装置30の設置位置や耐力壁50の切断位置よりも下方の部位を下部構造20とする。
まず、既存建物1を上下に分離することによる既存建物1の耐力や剛性の低下を補うために、補強部を形成して既存建物1の補強を行う。例えば、コンクリートを打設して、免震装置30の設置階の床面を高くしたり、柱2を太くしたり、梁3を厚くしたりする。ただし、既存建物1を補強する必要が無い場合には補強部形成工程は不要である。
本実施形態では(図2)、施工対象の柱2A,2Bの上部の外側にコンクリートが打設されて補強された柱上部補強部41と、施工対象の柱2A,2Bの下部の外側にコンクリートが打設されて補強された柱下部補強部42が形成された場合を例示する。なお、既存建物1において耐力壁50が柱2A,2Bと一体になって接合されている場合、耐力壁50の一部を切断して柱2A,2Bから分離して、柱2A,2Bと耐力壁50の間に空間を形成するとよい。そうすることで、柱2A,2Bに対して柱上部補強部41及び柱下部補強部42を形成できる。
<<S02:隙間形成工程>>
図3A及び図3Bは隙間形成工程の説明図である。図3Aは既存建物1の正面図であり、図3Bは隙間53が形成された耐力壁50の断面図である。
図3A及び図3Bは隙間形成工程の説明図である。図3Aは既存建物1の正面図であり、図3Bは隙間53が形成された耐力壁50の断面図である。
次に、免震装置30の設置後に免震装置30が機能するように、耐力壁50をX方向に沿って切断して上下に分離し、その間に隙間53を形成する隙間形成工程を実施する。これにより、上部構造10は、上部水平部11(梁3の下面よりも上側の部位)と、切断された耐力壁50の上部であり、上部水平部11から下方に突出する上部壁51(上部突出部)とを有することになる。また、下部構造20は、下部水平部21(施工階の床面FL1よりも下側の部位)と、切断された耐力壁50の下部であり、下部水平部21から上方に突出する下部壁52(下部突出部)とを有することになる。
また、耐力壁50をX方向に沿って切断することで、その切断箇所、すなわち上部壁51と下部壁52の間に、X方向に長い隙間53(横スリット)が形成される。図3Bに示すように隙間53は耐力壁50の壁面に直交するY方向に耐力壁50を貫通する空間である。
なお、免震装置30の設置後に、免震装置30が設置された柱2に耐力壁50(上部壁51及び下部壁52)を接合して一体化する場合、鉛直方向における免震装置30の設置位置と耐力壁50の切断位置(隙間53の形成位置)とを揃えるようにする。
<<S03:目荒らし工程>>
次に、耐力壁50に対して目荒らし工程を実施する。本実施形態では、後述の図8に示すように耐力壁50の壁面に沿って面材ユニット60を設置する。そのため、耐力壁50の壁面のうち面材ユニット60が設置される領域に目荒らしを行っておくとよい。例えばグラインダー等の工具を用いて、耐力壁50の壁面に凹凸を形成する。
次に、耐力壁50に対して目荒らし工程を実施する。本実施形態では、後述の図8に示すように耐力壁50の壁面に沿って面材ユニット60を設置する。そのため、耐力壁50の壁面のうち面材ユニット60が設置される領域に目荒らしを行っておくとよい。例えばグラインダー等の工具を用いて、耐力壁50の壁面に凹凸を形成する。
<<S04:面材設置工程>>
図4A及び図4Bは面材設置工程を説明する断面図である。図5A及び図5Bは面材61,62が設置された状態を示す図である。図5Aは面材61,62が設置された耐力壁50の断面図であり、図5Bは面材61が設置された耐力壁50の正面図である。図6は、面材61と耐力壁50の間の空間Sの説明図である。
図4A及び図4Bは面材設置工程を説明する断面図である。図5A及び図5Bは面材61,62が設置された状態を示す図である。図5Aは面材61,62が設置された耐力壁50の断面図であり、図5Bは面材61が設置された耐力壁50の正面図である。図6は、面材61と耐力壁50の間の空間Sの説明図である。
次に、面材ユニット60を耐力壁50に設置する面材設置工程を実施する。面材ユニット60は、第1面材61と、第2面材62と、第1締結部材63と、第2締結部材64と、第1添接板65と、第2添接板66と、位置調整ボルト67を有する。以下の説明では、第1面材61と第2面材62を合わせて単に面材61,62とも称す。
第1面材61及び第2面材62としては矩形の鋼板等を例示できる。本実施形態では、厚さが25mm、サイズが400mm×470mm(X方向×鉛直方向)である鋼板とする。図5Bに示すように、第1面材61及び第2面材62には、第1締結部材63が横方向(X方向)に間隔を空けて2本挿通される。そのため、第1面材61及び第2面材62の縦方向(鉛直方向)の中央部には、それぞれ横方向に間隔を空けて2つの貫通孔611,621(例えば直径39mmの孔)が形成されている。また、第1面材61及び第2面材62では、鋼板の4隅にナット612,622が溶接により接合一体化されている。また、ナット612,622は、面材61,62の厚さ方向において壁面に当接しない側に偏って接合されている。
第1締結部材63としてはPC鋼棒やボルト等を例示できる。本実施形態ではC種1号、直径36mmのPC鋼棒(丸鋼棒)とする。第2締結部材64は第1締結部材63に螺合する部材であり、ナット等を例示できる。本実施形態では六角ナット641と丸座金642とする。第1添接板65及び第2添接板66としては角座金等を例示できる。本実施形態では厚さが38mm、サイズが190mm×190mmである角座金とする。
面材61,62を耐力壁50に設置する前に、第1面材61の4隅のナット612、及び、第2面材62の4隅のナット622に、それぞれ位置調整ボルト67(ボルト671)を螺合する。位置調整ボルト67では、ボルト671に緩み止めナット672が螺合されている。図6に示すように、面材61,62と耐力壁50の間に設ける空間Sの所望の幅W(例えば5~10mm)に合わせて、Y方向における面材61,62の耐力壁50側の面61b,62aからボルト671の端部を突出させた状態とする。また、緩み止めナット672は、Y方向における耐力壁50側とは反対側から、面材61,62のナット612,622に当接した状態とする。
面材61,62を設置するために、まず、図4Aに示すように、上部壁51と下部壁52の間の隙間53に、第1締結部材63をY方向に挿通しつつ、耐力壁50よりもY方向の一方側から、第1面材61の貫通孔611に第1締結部材63を挿通する。そうして、Y方向における耐力壁50の一方側の面50aに第1面材61を接近させる。さらに、第1面材61よりもY方向の一方側から、第1添接板65(2枚の添接板65)と、第2締結部材64(丸座金642、六角ナット641)を順に、第1締結部材63に通す。また、本実施形態の第1面材61には、図4Aの紙面に直交する方向(X方向)に並ぶ2本の
第1締結部材63を挿通する。そのため、各第1締結部材63のY方向一方側の端部に、2枚の添接板65と、第2締結部材64(642,641)を設ける。そして、第1締結部材63のねじ部に六角ナット641を螺合して仮締結する。
第1締結部材63を挿通する。そのため、各第1締結部材63のY方向一方側の端部に、2枚の添接板65と、第2締結部材64(642,641)を設ける。そして、第1締結部材63のねじ部に六角ナット641を螺合して仮締結する。
これにより、上部壁51と下部壁52の間の隙間53を鉛直方向に跨ぎ、かつ、Y方向(水平方向)における上部壁51の一方側の面51a、及び、下部壁52の一方側の面52aに沿って、第1面材61が設置される。ただし、図6に示すように、第1面材61に取り付けられた位置調整ボルト67が耐力壁50の壁面50aに当接し、第1面材61の面61bと耐力壁50の壁面50aの間に空間S(Y方向の幅Wが例えば5~10mm程度の空間S)が形成される。
同様に、上部壁51と下部壁52の間の隙間53からY方向の他方側に突出した第1締結部材63を、第2面材62の貫通孔621に挿通する。そうして、Y方向における耐力壁50の他方側の面50bに第2面材62を接近させる。さらに、第2面材62よりもY方向の他方側から、第2添接板66(2枚の添接板66)と、第2締結部材64(丸座金642、六角ナット641)を順に、第1締結部材63に通す。また、本実施形態の第2面材62には、X方向に並ぶ2本の第1締結部材63を挿通するため、各第1締結部材63のY方向の他方側の端部に、2枚の添接板66と、第2締結部材64(642,641)を設ける。そして、第1締結部材63のねじ部に六角ナット641を螺合して仮締結する。
これにより、上部壁51と下部壁52の間の隙間53を鉛直方向に跨ぎ、かつ、Y方向(水平方向)における上部壁51の他方側の面51b、及び、下部壁52の他方側の面52bに沿って、第2面材62が設置される。ただし、第2面材62に取り付けられた位置調整ボルト67が耐力壁50の壁面50bに当接し、第2面材62の面62aと耐力壁50の壁面50bの間に空間S(Y方向の幅Wが例えば5~10mm程度の空間S)が形成される。
面材設置工程では、耐力壁50に対して面材ユニット60が位置ずれしない程度に、第1締結部材63に第2締結部材64(六角ナット641)を軽く締めておく。
<<S05:圧着接合工程>>
図7A及び図7Bは充填材70の充填工程の説明図であり、図7Aは耐力壁50及び面材ユニット60の正面図であり、図7Bは耐力壁50及び面材ユニット60の断面図である。図8は圧着接合工程が完了した耐力壁50の正面図である。圧着接合工程は、位置調整工程と、充填材70の充填工程と、緊張工程と、を有する。
図7A及び図7Bは充填材70の充填工程の説明図であり、図7Aは耐力壁50及び面材ユニット60の正面図であり、図7Bは耐力壁50及び面材ユニット60の断面図である。図8は圧着接合工程が完了した耐力壁50の正面図である。圧着接合工程は、位置調整工程と、充填材70の充填工程と、緊張工程と、を有する。
まず、位置調整ボルト67を用いて、面材61,62と耐力壁50の間の空間Sの幅Wを調整する位置調整工程を実施する。空間Sは充填材70を充填するための空間であり、所望量の充填材70を充填するために、空間Sの幅Wを(例えば5~10mm程度に)調整する。
具体的には、図6に示すように、位置調整ボルト67のボルト671は、その先端が面材61,62から5mm程度突出した状態で耐力壁51の壁面に当接しており、かつ、ボルト671には、面材61,62が備えるナット612,622が螺合している。また、第1締結部材63と第2締結部材64の締結によって、面材61,62には耐力壁50に接近する力が作用している。耐力壁51の壁面の凹凸によって、空間Sの幅Wが所望の幅(5mm~10mm程度)にならない場合には、第2締結部材64を緩め、さらにボルト671を回転することにより、それに螺合するナット612,622(すなわち面材61,62)のY方向の位置を調整する。例えば、ボルト671を締め付ける方向に回転する
ことで、面材61,62は耐力壁50から離れる側に変位する。これにより、面材61,62と耐力壁50の間の空間Sの幅Wを所望の幅に調整できる。また、緩み止めナット672によって、ボルト671に対するナット612,622(面材61,62)の位置ずれを抑制し、空間Sの幅が所望の幅に維持される。
ことで、面材61,62は耐力壁50から離れる側に変位する。これにより、面材61,62と耐力壁50の間の空間Sの幅Wを所望の幅に調整できる。また、緩み止めナット672によって、ボルト671に対するナット612,622(面材61,62)の位置ずれを抑制し、空間Sの幅が所望の幅に維持される。
次に、図7Bに示すように、第1面材61と耐力壁50(上部壁51及び下部壁52)との間の空間S、及び、第2面材62と耐力壁50(上部壁51及び下部壁52)との間の空間Sに、充填材70を充填する充填工程を実施する。充填材70としてはグラウト等のセメント系材料を例示できる。
なお、充填材70を充填する際には、面材61,62と上部壁51の間の空間Sの周縁部、及び、面材61,62と下部壁52の間の空間Sの周縁部に、型枠71(例えばバックアップ材等)を設けるとよい。そうすることで、面材61,62と耐力壁50(51,52)の空間Sに隙間なく充填材70を充填でき、また、上部壁51と下部壁52の間の隙間53に充填材70が流れてしまうことを防止できる。
充填材70が硬化した後に、面材61,62に挿通された2本の第1締結部材63の両端部に嵌め合わされている第2締結部材64(六角ナット641)を締め込んで、第1締結部材64に緊張力を付与する緊張工程を実施する。これにより、第1面材61と第2面材62は、耐力壁50を挟んで耐力壁50の面外方向(Y方向)に互いに接近し、圧着接合される。
以上の工程により耐力壁50に対する面材ユニット60の圧着接合が完了する。つまり、Y方向における耐力壁50(上部壁51及び下部壁52)の一方側の面50aに、充填材70を介して第1面材61が圧着接合する。また、Y方向における耐力壁50(上部壁51及び下部壁52)の他方側の面50bに、充填材70を介して第2面材62が圧着接合する。
なお、図8では、1つの耐力壁50に対して3つの面材ユニット60をY方向に間隔を空けて設置している。ただし、1つの耐力壁50に設置する面材ユニット60の数は3つに限定されない。また、面材61,62に挿通される第1締結部材63の数は、第1締結部材63を軸とした面材61,62の傾き(ねじれ)を抑制するために、本実施形態のように2本、或いは3本以上にするとよい。また、面材61,62に挿通される複数の第1締結部材63の全てが上部壁51と下部壁52の隙間53を通るように、耐力壁50の壁面に沿う方向(ここではX方向)に並んだ貫通孔611,621を面材61,62に形成するとよい。
<<S06:仮受け支持部材設置工程>>
図9は、仮受け支持部材設置工程の説明図であり、既存建物1の正面図である。次に、施工対象の柱2A,2Bの周囲であり、上部構造10と下部構造20の間に仮受け支持部材80を設置する。本実施形態では、各柱2A,2Bの周囲に形成した柱上部補強部41と柱下部補強部42の間に仮受け支持部材80を設置する。仮受け支持部材80は柱2の切断後に上部構造10の荷重を仮受けするためのものであり、鉛直方向に伸縮可能な部材(例えば油圧ジャッキ等)である。
図9は、仮受け支持部材設置工程の説明図であり、既存建物1の正面図である。次に、施工対象の柱2A,2Bの周囲であり、上部構造10と下部構造20の間に仮受け支持部材80を設置する。本実施形態では、各柱2A,2Bの周囲に形成した柱上部補強部41と柱下部補強部42の間に仮受け支持部材80を設置する。仮受け支持部材80は柱2の切断後に上部構造10の荷重を仮受けするためのものであり、鉛直方向に伸縮可能な部材(例えば油圧ジャッキ等)である。
<S07:柱の切断工程>
図10は、柱2の切断工程の説明図であり、既存建物1の正面図である。次に、施工対象の柱2A,2Bの一部を切断して除去し、免震装置30の設置空間を形成する。本実施形態では、柱上部補強部41と柱下部補強部42の間の柱2A,2Bの部位を切断している。これにより、上部構造10は、上部水平部11から下方に突出する柱の上部12(他
の上部突出部)を有し、下部構造20は、下部水平部21から上方に突出する柱の下部22(他の下部突出部)を有することになる。また、柱2A,2Bが支持していた上部構造10の荷重が仮受け支持部材80に移行する。
図10は、柱2の切断工程の説明図であり、既存建物1の正面図である。次に、施工対象の柱2A,2Bの一部を切断して除去し、免震装置30の設置空間を形成する。本実施形態では、柱上部補強部41と柱下部補強部42の間の柱2A,2Bの部位を切断している。これにより、上部構造10は、上部水平部11から下方に突出する柱の上部12(他
の上部突出部)を有し、下部構造20は、下部水平部21から上方に突出する柱の下部22(他の下部突出部)を有することになる。また、柱2A,2Bが支持していた上部構造10の荷重が仮受け支持部材80に移行する。
<S08:免震装置設置工程>
図11は、免震装置30の設置工程の説明図であり、既存建物1の正面図である。免震装置設置工程において、まず、施工対象の各柱2A,2Bの柱下部補強部42の上に下部基礎31を形成する。例えば、下部基礎31の形状に合わせて鉄筋及び型枠(不図示)を組み、コンクリートを打設して下部基礎31を形成する。この時に免震装置30を設置するためのベースプレート(不図示)を配置した状態でコンクリートを打設するとよい。
図11は、免震装置30の設置工程の説明図であり、既存建物1の正面図である。免震装置設置工程において、まず、施工対象の各柱2A,2Bの柱下部補強部42の上に下部基礎31を形成する。例えば、下部基礎31の形状に合わせて鉄筋及び型枠(不図示)を組み、コンクリートを打設して下部基礎31を形成する。この時に免震装置30を設置するためのベースプレート(不図示)を配置した状態でコンクリートを打設するとよい。
次に、下部基礎31の上に免震装置30を設置する。例えば、下部基礎31と一体となったベースプレートにボルト等で免震装置30の下部を固定する。その後、免震装置30の上部にベースプレートを設置してボルト等で固定し、免震装置30と柱上部補強部41の間に、ベースプレートを包含した上部基礎32を形成する。下部基礎31と同様に、上部基礎32の形状に合わせて鉄筋及び型枠を組み、ベースプレートを底部型枠とした状態でコンクリートを打設して、上部基礎32を形成するとよい。
こうして柱2A,2Bの上部12と柱2A,2Bの下部22の間に免震装置30を設置することで、免震装置30は柱2の動きに追従可能となる。また、免震装置30は、上部構造10の荷重を支持しつつ下部構造20に伝達可能となる。
<S09:撤去工程>
図12は、撤去工程後の既存建物1の正面図である。免震装置30の設置後に、仮受け支持部材80を収縮させて撤去する。そうして、上部構造10の荷重を仮受け支持部材80から免震装置30に移行する。上部構造10の荷重を建物の全ての免震装置30に移行し、建物全体の免震構造が適切に機能することを確認した後、耐力壁50から面材ユニット60も撤去する。なお、撤去工程の後に、上部壁51と下部壁52の間の隙間53に耐火性の目地材54等を設けて、下部構造20に対する上部構造10の変位を許容可能に、隙間53を埋めてもよい。さらに、柱上部補強部41及び柱下部補強部42と耐力壁50の間に壁55を構築し、免震装置30の周りに耐火被覆56を設置して、耐火区画としてもよい。
図12は、撤去工程後の既存建物1の正面図である。免震装置30の設置後に、仮受け支持部材80を収縮させて撤去する。そうして、上部構造10の荷重を仮受け支持部材80から免震装置30に移行する。上部構造10の荷重を建物の全ての免震装置30に移行し、建物全体の免震構造が適切に機能することを確認した後、耐力壁50から面材ユニット60も撤去する。なお、撤去工程の後に、上部壁51と下部壁52の間の隙間53に耐火性の目地材54等を設けて、下部構造20に対する上部構造10の変位を許容可能に、隙間53を埋めてもよい。さらに、柱上部補強部41及び柱下部補強部42と耐力壁50の間に壁55を構築し、免震装置30の周りに耐火被覆56を設置して、耐火区画としてもよい。
<<免震化工法の有効性について>>
図13は、既存建物1の概略平面図である。図14A及び図14Bは本実施形態とは異なる比較例の免震化工法の説明図である。
上記のように、本実施形態の免震化工法では、図5Aに示すように、上部壁51と下部壁52の間の隙間53を鉛直方向に跨ぎ、かつ、Y方向(水平方向)における上部壁51の一方側の面51a、及び、下部壁52の一方側の面52aに沿って、第1面材61を設置する。また、上部壁51と下部壁52の間の隙間53を鉛直方向に跨ぎ、かつ、Y方向(水平方向)における上部壁51の他方側の面51b、及び、下部壁52の他方側の面52bに沿って、第2面材62を設置する。
図13は、既存建物1の概略平面図である。図14A及び図14Bは本実施形態とは異なる比較例の免震化工法の説明図である。
上記のように、本実施形態の免震化工法では、図5Aに示すように、上部壁51と下部壁52の間の隙間53を鉛直方向に跨ぎ、かつ、Y方向(水平方向)における上部壁51の一方側の面51a、及び、下部壁52の一方側の面52aに沿って、第1面材61を設置する。また、上部壁51と下部壁52の間の隙間53を鉛直方向に跨ぎ、かつ、Y方向(水平方向)における上部壁51の他方側の面51b、及び、下部壁52の他方側の面52bに沿って、第2面材62を設置する。
そして、第1面材61が備える貫通孔611、上部壁51と下部壁52の間の隙間53、及び、第2面材62が備える貫通孔621に、Y方向(水平方向)に沿って挿通された第1締結部材63と、それに螺合する第2締結部材64とによって、上部壁51及び下部壁52に、第1面材61及び第2面材62を圧着接合する。そのため、本実施形態の免震化工法の施工中には、図11に示す免震化構造(免震化された構造物)が形成されるので、安全に施工できる。
つまり、第1締結部材63の緊張力により発生した、面材61,62と耐力壁50(上部壁51及び下部壁51)の間の摩擦力によって、上部壁51と下部壁52が互いに拘束され、固定される。その状態で、柱2の一部が切断されて、その切断箇所に免震装置30が設置される。よって、柱2等が切断されている施工中に地震や暴風が発生しても、面材61,62と耐力壁50の間の摩擦力によって、建物に作用するX方向(壁面に沿う方向、前記水平方向であるY方向に直交する方向)の水平外力に対する耐力が維持されて、安全に施工できる。
具体的には、上部壁51にX方向の水平外力が作用した場合に、その水平外力は、面材61,62と耐力壁50の間の摩擦力によって下部壁52に伝達される。よって、下部壁52(下部構造20)に対する上部壁51(上部構造10)のX方向の動き(位置ずれ)が規制されて、安全に施工できる。
また、本実施形態の免震化工法では、免震装置30が機能するように、耐力壁50を上部構造10に接続する側と下部構造20に接続する側に切断し、その際に形成される隙間53に第1締結部材63を挿通する。そのため、図14A及び図14Bに示す比較例のように、耐震プレート91(本実施形態における面材)を設置する場合に比べて、施工が容易となる。
例えば、本実施形態では、比較例のように締結部材92を挿通するためだけの貫通孔93を上部壁51と下部壁52に形成する必要がない。また、本実施形態では、比較例のように耐震プレート92(面材)の撤去後に貫通孔93の埋め戻し処理を行う必要がない。また、本実施形態では、比較例のように上部壁51と下部壁52に貫通孔93を形成しないので、貫通孔93を形成する際に、上部壁51と下部壁52に埋め込まれている鉄筋等を傷つけてしまうおそれがない。逆に言えば、本実施形態では、貫通孔93の形成前に上部壁51と下部壁52の鉄筋探査を行う必要がないため、施工手間が省ける。
このように、本実施形態の免震化工法によれば、上下に分離した耐力壁50に面材ユニット60を設置するため、施工中に建物に作用する水平外力に対する耐力を維持して安全に施工できる。また、比較例に比べて面材ユニット60の設置の手間がかからず、免震化工事の施工を容易にできる。その結果、工期を短縮でき、施工コストを削減できる。また、面材ユニット60を設置するための貫通孔を耐力壁50に形成しないため、耐力壁50及び耐力壁50に埋め込まれた鉄筋等の損傷を低減できる。
ここまでX方向に沿う壁面を有する耐力壁50に面材ユニット60を設置する場合を例に挙げて説明した。しかし、本実施形態の面材ユニット60は、X方向と交差する水平方向に沿う壁面を有する耐力壁50等(上部突出部及び下部突出部)にも設置できる。
例えば図13に示すようにX方向に直交するY方向沿う壁面を有する耐力壁50(50Y)に面材ユニット60(60Y)を設置できる。この面材ユニット60(60Y)によって、柱2等が切断された施工中においても、下部構造20に対する上部構造10のY方向の位置ずれを抑制できる。図13に示すように、X方向及びY方向に沿う耐力壁50にそれぞれ面材ユニット60を設置することで、上部構造10のX方向及びY方向の位置ずれを抑制できる。
なお、切断された全ての耐力壁50に面材ユニット60を設置するに限らず、安全に施工できる範囲において、一部の切断された耐力壁50に面材ユニット60を設置しなくてもよい。一般に、X方向に対する対抗部材(例えば面材ユニット60Xが設置された耐力壁50X)とY方向に対する対抗部材(例えば面材ユニット60Yが設置された耐力壁50Y)の耐力が同程度である場合、X方向とY方向にそれぞれ同数の対抗部材を設置する
とよい。また、図示しないが、柱間にブレース材を配して、面材ユニット60とブレース材を併用して施工中の水平耐力を高めてもよい。
とよい。また、図示しないが、柱間にブレース材を配して、面材ユニット60とブレース材を併用して施工中の水平耐力を高めてもよい。
また、本実施形態の免震化工法では、施工階の複数の柱2に免震装置30が設置され、柱2に免震装置30を設置する免震装置設置工程を複数回有する。そのため、複数回の免震装置設置工程のうちの少なくとも1つよりも前に、面材設置工程と圧着接合工程を実施するとよい。そうすることで、その免震装置設置工程(及び柱の切断工程)を、面材ユニット60が設置された耐力壁50によって安全に実施できる。
また、本実施形態では、面材設置工程の前に、既存建物1における上部水平部11と下部水平部21の間を鉛直方向に延びる耐力壁50(壁)を切断して上部壁51と下部壁52に分離するとともに、第1締結部材63を挿通する隙間53を形成する隙間形成工程を実施する。
そのため、既存の耐力壁50を切断した際に形成される隙間53を利用して面材ユニット60を設置でき、効率的に免震化工事を実施できる。また、免震装置30を設置するために柱2等を切断する前に、既存建物1が元々備えていた既存の耐力壁50(壁)を切断できる。よって、効率的に免震化工事を実施できる。例えば、壁が切断されている状態であれば、建物全体の免震装置30の設置が完了し、免震構造が適切に機能することを確認した後、短期間にて建物の免震機能を発揮させることができる。
なお、本実施形態では既存建物1が元々備えていた既存の耐力壁50(壁)に面材ユニット60を設置するが、これに限らない。免震化工事の際に新設する壁(元々分離した状態で新設された上部壁と下部壁)に面材ユニット60を設置してもよい。また、面材ユニット60を設置する壁は、耐力壁(例えばRC造の壁等)に限定されず、切断後に面材ユニット60を設置したことにより水平対抗部材として機能する壁であればよい。
また、本実施形態では、圧着接合工程において、図4Aに示すように、Y方向における第1面材61の一方側の面61aに第1添接板65を添接させ、かつ、Y方向における第2面材62の他方側の面62bに第2添接板66を添接させた状態で、上部壁51及び下部壁52に、第1面材61及び第2面材62を圧着接合する。
そのため、第2締結部材64(六角ナット641)の締め付けによる第1締結部材63の緊張力を、第1添接板65及び第2添接板66を介して、面材61,62の広範囲に分散して作用させることができる。つまり、第1締結部材63の緊張力が面材61,62の一部に局所的に作用して、面材61,62が変形等してしまうことを防止できる。よって、面材61,62が広範囲に亘り耐力壁50の壁面に圧着接合でき、耐力壁50との間に摩擦力が高まる。よって、面材ユニット60が設置された耐力壁50の水平外力に対する耐力が高まる。
また、第1締結部材63の緊張力は、第2締結部材64の締め付け位置(第2締結部材64と第1添接板65又は第2添接板66の接触面)から、水平方向に対して斜め方向に広がる範囲に作用する。そのため、本実施形態のように厚みのある角座金を第1添接板65及び第2添接板66とし、第2締結部材64の締め付け位置から面材61,62までの水平方向(ここではY方向)の距離を長くするとよい。そうすることで、第1締結部材63の緊張力が面材61,62のより広範囲に作用する。よって、面材61,62を耐力壁50の壁面にしっかりと圧着接合でき、面材61,62と耐力壁50の間の摩擦力が高まり、面材ユニット60が設置された耐力壁50の水平外力に対する耐力が高まる。
さらに、本実施形態では、第1面材61に添接される第1添接板65と、第2面材62
に添接される第2添接板66を、複数の添接板65,66(ここでは2枚の角座金)を水平方向に重ねて構成する。
に添接される第2添接板66を、複数の添接板65,66(ここでは2枚の角座金)を水平方向に重ねて構成する。
そうすることで、第2締結部材64の締め付け位置から面材61,62までの水平方向の距離が長くなり、第1締結部材63の緊張力が面材61,62のより広範囲に作用する。よって、面材61,62を耐力壁50の壁面にしっかりと圧着接合でき、面材61,62と耐力壁50の間の摩擦力が高まり、面材ユニット60が設置された耐力壁50の水平外力に対する耐力が高まる。
ただし上記に限定されず、例えば、第1添接板65及び第2添接板66は、厚みの薄い部材(座金)であってもよいし、1つの部材(座金)であってもよいし、3つ以上の部材(座金)を重ねて構成されたものであってもよい。
また、本実施形態の圧着接合工程は、第1面材61と上部壁51及び下部壁52との間、及び、第2面材62と上部壁51及び下部壁52との間に、充填材70を充填する充填工程を有する。
そのため、面材61,62は充填材70を介して耐力壁50に隙間なく密着でき、しっかりと耐力壁50の壁面に圧着接合できる。よって、面材61,62と耐力壁50の間の摩擦力が高まり、面材ユニット60が設置された耐力壁50の水平外力に対する耐力が高まる。
また、本実施形態の免震化工法では、面材設置工程の前に、耐力壁50の目荒らし工程を有する。目荒らし工程によって、耐力壁50の表面を凹凸の状態にすることで、耐力壁50への充填材70の固着強度が高まる。よって、面材61,62が充填材70を介して耐力壁50にしっかりと圧着接合できる。
また、目荒らし工程の後に、面材61,62が設置され、充填材70が塗布される耐力壁50の領域に、吸水調整材(例えば住友大阪セメント株式会社製のリフレトリート)を塗布してもよい。そうすることで、耐力壁50への充填材70の固着強度をより高めることができる。
ただし上記に限定されず、面材61,62と耐力壁50の間に充填材70を充填せず、面材61,62を耐力壁50に直接に圧着接合してもよい。また、目荒らし工程を設けなくてもよい。
また、本実施形態の免震装置30は、面材ユニット60が設置された耐力壁50とは異なる場所(柱2の切断箇所)に設置される。このとき、上部壁51と下部壁52の間の隙間53の鉛直方向の長さH1(図3B)は、鉛直方向における免震装置30の長さH2(図11)よりも短いとよい。好ましくは隙間53の鉛直方向の長さH1は70mm以下であるとよい。
そうすることで、隙間53に挿通される第1締結部材63の緊張力を、隙間53の空間よりも、耐力壁50で受けることができる。よって、面材61,62と耐力壁50の間に効率的に摩擦力を発生させることができ、また、面材61,62の曲がりを抑制できる。また、面材61,62のサイズや厚みを小さくできるため、施工コストを軽減できる。
以上、上記実施形態は、本発明の理解を容易にするためのものであり、本発明を限定して解釈するためのものではない。本発明は、その趣旨を逸脱することなく、変更、改良され得ると共に、本発明にはその等価物が含まれることはいうまでもない。
1 既存建物、2 柱、3 梁、
10 上部構造、11 上部水平部、12 柱の上部(他の上部突出部)、
20 下部構造、21 下部水平部、22 柱の下部(他の下部突出部)、
30 免震装置、31 下部基礎、32 上部基礎、
41 柱上部補強部、42 柱下部補強部、
50 耐力壁、51 上部壁(上部突出部)、52 下部壁(下部突出部)、
53 隙間、54 目地材、55 壁、56 耐火被覆、
60 面材ユニット、61 第1面材、62 第2面材、
63 第1締結部材、64 第2締結部材、
65 第1添接板、66 第2添接板、67 位置調整ボルト、
70 充填材、71 型枠、
80 仮受け支持部材、
91 耐震プレート、92 締結部材、93 貫通孔、
10 上部構造、11 上部水平部、12 柱の上部(他の上部突出部)、
20 下部構造、21 下部水平部、22 柱の下部(他の下部突出部)、
30 免震装置、31 下部基礎、32 上部基礎、
41 柱上部補強部、42 柱下部補強部、
50 耐力壁、51 上部壁(上部突出部)、52 下部壁(下部突出部)、
53 隙間、54 目地材、55 壁、56 耐火被覆、
60 面材ユニット、61 第1面材、62 第2面材、
63 第1締結部材、64 第2締結部材、
65 第1添接板、66 第2添接板、67 位置調整ボルト、
70 充填材、71 型枠、
80 仮受け支持部材、
91 耐震プレート、92 締結部材、93 貫通孔、
Claims (7)
- 上部構造と下部構造の間に免震装置を設ける免震化工法であって、
前記上部構造は、上部水平部と、前記上部水平部から下方に突出する上部突出部とを有し、
前記下部構造は、下部水平部と、前記下部水平部から上方に突出する下部突出部とを有し、
前記上部突出部と前記下部突出部の間の隙間を鉛直方向に跨ぎ、かつ、水平方向における前記上部突出部の一方側の面、及び、前記下部突出部の前記一方側の面に沿って、第1面材を設置し、前記隙間を前記鉛直方向に跨ぎ、かつ、前記水平方向における前記上部突出部の他方側の面、及び、前記下部突出部の前記他方側の面に沿って、第2面材を設置する面材設置工程と、
前記第1面材が備える貫通孔、前記隙間、及び、前記第2面材が備える貫通孔に、前記水平方向に沿って挿通された第1締結部材と、前記第1締結部材に螺合する第2締結部材とによって、前記上部突出部、及び、前記下部突出部に、前記第1面材、及び、前記第2面材を圧着接合する圧着接合工程と、
前記圧着接合工程の後に、前記上部構造と前記下部構造の間に前記免震装置を設置する免震装置設置工程と、
を有することを特徴とする免震化工法。 - 請求項1に記載の免震化工法であって、
前記圧着接合工程において、前記水平方向における前記第1面材の前記一方側の面に第1添接板を添接させ、かつ、前記水平方向における前記第2面材の前記他方側の面に第2
添接板を添接させた状態で、前記上部突出部、及び、前記下部突出部に、前記第1面材、及び、前記第2面材を圧着接合することを特徴とする免震化工法。 - 請求項2に記載の免震化工法であって、
前記第1添接板、及び、前記第2添接板は、複数の添接板を前記水平方向に重ねて構成
されていることを特徴とする免震化工法。 - 請求項1から3の何れか1項に記載の免震化工法であって、
前記圧着接合工程は、前記第1面材と前記上部突出部及び前記下部突出部との間、及び、前記第2面材と前記上部突出部及び前記下部突出部との間に、充填材を充填する充填工程を有することを特徴とする免震化工法。 - 請求項1から4の何れか1項に記載の免震化工法であって、
前記上部突出部、及び、前記下部突出部は、前記上部水平部と前記下部水平部の間を前記鉛直方向に延びる壁であり、
前記面材設置工程の前に、前記壁を切断して前記上部突出部と前記下部突出部に分離するとともに、前記隙間を形成する隙間形成工程を有することを特徴とする免震化工法。 - 請求項1から5の何れか1項に記載の免震化工法であって、
前記上部構造は、前記上部水平部から下方に突出する他の上部突出部を有し、
前記下部構造は、前記下部水平部から上方に突出する他の下部突出部を有し、
前記免震装置設置工程において、前記他の上部突出部と前記他の下部突出部の間に前記免震装置を設置し、
前記鉛直方向における前記隙間の長さは、前記鉛直方向における前記免震装置の長さよりも短いことを特徴とする免震化工法。 - 上部水平部と、前記上部水平部から下方に突出する上部突出部とを有する上部構造と、
下部水平部と、前記下部水平部から上方に突出する下部突出部とを有する下部構造と、
前記上部構造と前記下部構造の間に設置される免震装置と、
を有する免震化構造であって、
前記上部突出部と前記下部突出部の間の隙間を鉛直方向に跨ぎ、かつ、水平方向における前記上部突出部の一方側の面、及び、前記下部突出部の前記一方側の面に沿って設置される第1面材と、
前記隙間を前記鉛直方向に跨ぎ、かつ、前記水平方向における前記上部突出部の他方側の面、及び、前記下部突出部の前記他方側の面に沿って設置される第2面材と、
前記上部突出部、及び、前記下部突出部に、前記第1面材、及び、前記第2面材を圧着接合する第1締結部材と、
前記第1締結部材に螺合する第2締結部材と、
を有し、
前記第1面材が備える貫通孔、前記隙間、及び、前記第2面材が備える貫通孔に、前記第1締結部材が前記水平方向に沿って挿通されていることを特徴とする免震化構造。
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