JP2022138263A - 粘着シート - Google Patents

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Abstract

【課題】低極性被着体への高い粘着性能を担保しつつ、粘着剤層全体での粘着付与剤の使用量を低減できる手段を提供する。【解決手段】基材、第1の粘着剤層、および第2の粘着剤層をこの順に有する粘着シートであって、前記第1の粘着剤層は、第1のアクリル系重合体を含む第1の粘着剤組成物から形成され、前記第2の粘着剤層は、第2のアクリル系重合体および粘着付与剤を含む第2の粘着剤組成物から形成され、前記第1の粘着剤組成物に含まれる、前記第1のアクリル系重合体に対する粘着付与剤の含有濃度(質量%)は、前記第2の粘着剤組成物に含まれる、第2のアクリル系重合体に対する粘着付与剤の含有濃度(質量%)よりも少なく、前記第1のアクリル系重合体中の(メタ)アクリル酸2-エチルヘキシル由来の構成単位の含有質量が、前記第2のアクリル系重合体中の(メタ)アクリル酸2-エチルヘキシル由来の構成単位の含有質量よりも少ない、粘着シート。【選択図】なし

Description

本発明は、粘着シートに関する。
アクリル系粘着剤は、耐熱性、耐候性等に優れるため、広範な用途で用いられている粘着剤である。しかしながら、アクリル系粘着剤は、ポリオレフィンなどの低極性被着体に対する粘着性が低いことが知られている。そこで、低極性被着体に対するアクリル系粘着剤の粘着性を向上させるために、粘着付与剤を組み合わせる技術が検討されてきている。例えば、特許文献1では、粘着付与剤として、スチレン系重合体と、水添石油樹脂/水添テルペン樹脂とを組み合わせて用いることが開示されている。また、特許文献2では、粘着付与剤として、ロジンと水添石油樹脂とを組み合わせて用いることが開示されている。さらに、特許文献3では、アクリル系ポリマーと、粘着付与剤とを含む系において、アクリル系ポリマーが溶解度パラメーター(SP値)の差が0.2(MPa)1/2以上となる2種類のモノマー単位をそれぞれ15重量%以上含有するアクリル系ポリマーであることが開示されている。
特開平1-60677号公報 特開平6-207151号公報 特開2009-256607号公報
粘着付与剤は高価であるために、その使用量は少ないほうが好ましい。しかしながら、低極性被着体に対する十分な粘着性を確保するためには、粘着付与剤を粘着剤層中に多く配合する必要がある。
そこで本発明は、低極性被着体への高い粘着性能を担保しつつ、粘着剤層全体での粘着付与剤の使用量を低減できる手段を提供することを目的とする。
本発明は、基材、第1の粘着剤層、および第2の粘着剤層をこの順に有する粘着シートであって、前記第1の粘着剤層は、第1のアクリル系重合体を含む第1の粘着剤組成物から形成され、前記第2の粘着剤層は、第2のアクリル系重合体および粘着付与剤を含む第2の粘着剤組成物から形成され、前記第1の粘着剤組成物に含まれる、前記第1のアクリル系重合体に対する粘着付与剤の含有濃度(質量%)は、前記第2の粘着剤組成物に含まれる、第2のアクリル系重合体に対する粘着付与剤の含有濃度(質量%)よりも少なく、前記第1のアクリル系重合体中の(メタ)アクリル酸2-エチルヘキシル由来の構成単位の含有質量が、前記第2のアクリル系重合体中の(メタ)アクリル酸2-エチルヘキシル由来の構成単位の含有質量よりも少ない、粘着シートである。
本発明の粘着シートによれば、低極性被着体への強い粘着性能を有しつつ、粘着シート全体での粘着付与剤の添加量を低減できる。
本発明の粘着シートの一態様を示す断面模式図である。
本発明の第一実施形態は、基材、第1の粘着剤層、および第2の粘着剤層をこの順に有する粘着シートであって、前記第1の粘着剤層は、第1のアクリル系重合体を含む第1の粘着剤組成物から形成され、前記第2の粘着剤層は、第2のアクリル系重合体および粘着付与剤を含む第2の粘着剤組成物から形成され、前記第1の粘着剤組成物に含まれる、前記第1のアクリル系重合体に対する粘着付与剤の含有濃度(質量%)は、前記第2の粘着剤組成物に含まれる、第2のアクリル系重合体に対する粘着付与剤の含有濃度(質量%)よりも少なく、前記第1のアクリル系重合体中の(メタ)アクリル酸2-エチルヘキシル由来の構成単位の含有質量が、前記第2のアクリル系重合体中の(メタ)アクリル酸2-エチルヘキシル由来の構成単位の含有質量よりも少ない、粘着シートである。
本発明の第二実施形態は、基材、第1の粘着剤層、および第2の粘着剤層をこの順に有する粘着シートであって、前記第1の粘着剤層は、第1のアクリル系重合体を含む第1の粘着剤組成物から形成され、前記第2の粘着剤層は、第2のアクリル系重合体および粘着付与剤を含む第2の粘着剤組成物から形成され、前記第1の粘着剤層に含まれる粘着付与剤の含有濃度(質量%)は、前記第2の粘着剤層に含まれる粘着付与剤の含有濃度(質量%)よりも少なく、前記第1のアクリル系重合体中の(メタ)アクリル酸2-エチルヘキシル由来の構成単位の含有質量が、前記第2のアクリル系重合体中の(メタ)アクリル酸2-エチルヘキシル由来の構成単位の含有質量よりも少ない、粘着シートである。
本実施形態では、被着体側に接する(貼付面である)第2の粘着剤層に粘着付与剤が相対的に多く存在する。粘着付与剤は低極性被着体への粘着性向上のために配合されるため、被着体側の粘着剤層面に粘着付与剤が存在すればよいという技術思想による。これにより、低極性被着体に対する粘着シートの高い粘着性が担保される。一方、本発明者は、粘着付与剤を単に被着体側に相対的に多く含有するだけでは、低極性被着体への粘着性が予測よりも低いことを知見した。この理由として、製造時には、被着体側の粘着剤層に粘着付与剤を多く配合しても、粘着付与剤が粘着剤層内で濃度勾配により拡散し、被着体側の粘着剤層面に存在する粘着付与剤の含有濃度(質量%)が製造時の配合量よりも少なくなるためであると推測した。そして、当該推測の元、基材側の粘着剤層に粘着付与剤が移行しないように、粘着剤を構成するアクリル系重合体の組成を厚さ方向で変化させたものである。なお、上記推測は本発明の技術的範囲を制限するものではない。
以下、本実施形態の詳細を説明する。
本明細書において、範囲を示す「X~Y」は「X以上Y以下」を意味する。また、特記しない限り、操作および物性の測定等は、室温(20~25℃)/相対湿度45~55%RHの条件で行う。また、本明細書において、「(メタ)アクリル酸」は、「アクリル酸またはメタクリル酸」を指し、「(メタ)アクリレート」は「アクリレートまたはメタクリレート」を指す。
なお、シートの概念には、テープ、ラベル、フィルム等と称されるものが包含される。
図1は、本発明の粘着シートの一態様を示す断面模式図である。なお、図面は説明の便宜上誇張されて表現されており、図面における各構成要素の寸法比率が実際とは異なる場合がある。図1において、粘着シート10は、基材20、第1の粘着剤層30、第2の粘着剤層40、および剥離ライナー50から構成される。第1の粘着剤層30は、第1のアクリル系重合体を含む第1の粘着剤組成物から形成される。第2の粘着剤層40は、第2のアクリル系重合体を含む第2の粘着剤組成物から形成される。剥離ライナー50は、粘着シート10が被着体に貼付されるまで、第2の粘着剤層にごみなどの付着物が付着することを防止するために形成される。ゆえに、剥離ライナー50は、被着体にシートを貼付する際には剥離される。
第1の粘着剤層と、第2の粘着剤層とは隣接して配置される。また、第2の粘着剤層は、被着体に貼付する際に被着体に対して粘着性を発現する粘着剤層である。よって、第2の粘着剤層は、貼付する際には最表層となる(貼付前は、上記の通り、通常剥離ライナーによって、保護されている)。
また、第1の粘着剤層は、図1の形態においては基材に直接貼付される粘着剤層であるが、基材に隣接して配置される形態に限定されず、基材と第1の粘着剤層との間に易接着層等の他の機能層や他の粘着剤層が配置されていてもよい。
以下、粘着シートを構成する各層の構成について説明する。
(第1の粘着剤層および第2の粘着剤層)
第1の粘着剤層および第2の粘着剤層は、粘着剤としてアクリル系重合体を主体とするものである。
第1のアクリル系重合体中の(メタ)アクリル酸2-エチルヘキシル由来の構成単位の含有質量は、第2のアクリル系重合体中の(メタ)アクリル酸2-エチルヘキシル由来の構成単位の含有質量よりも少ない。(メタ)アクリル酸2-エチルヘキシルは、アクリル酸n-ブチルと比較して、側鎖のアルキル基が長いため、疎水性が高く、粘着付与剤との相溶性が高い。このため、上記構成とすることで、基材側の粘着剤層(第1の粘着剤層)への粘着付与剤の移行が抑制され、被着体(特に低極性被着体)側の粘着剤層(第2の粘着剤層)による被着体(特に低極性被着体)への粘着性を確保できる。
ここで、(メタ)アクリル酸2-エチルヘキシルは、アクリル酸2-エチルヘキシルおよび/またはメタクリル酸2-エチルヘキシルを指すが、アクリル酸2-エチルヘキシルを用いることが好ましい。
第1のアクリル系重合体における(メタ)アクリル酸2-エチルヘキシル由来の構成単位の含有質量は、粘着付与剤の移行を考慮すると、50質量%未満(下限0質量%)であることが好ましく、40質量%以下(下限0質量%)であることがより好ましく、30質量%以下であることがさらにより好ましい。
また、第1のアクリル系重合体は、(メタ)アクリル酸n-ブチル由来の構成単位を50質量%以上含むことが好ましく、50質量%超含むことがより好ましく、60質量%以上(上限100質量%)含むことがさらにより好ましく、70質量%以上(上限100質量%)含むことが特に好ましく、80質量%以上(上限100質量%)含むことが最も好ましい。このような構成とすることで、基材との粘着性が確保されやすい。
ここで、(メタ)アクリル酸n-ブチルは、アクリル酸n-ブチルおよび/またはメタクリル酸n-ブチルを指すが、アクリル酸n-ブチルを用いることが好ましい。
また、第2のアクリル系重合体における(メタ)アクリル酸2-エチルヘキシル由来の構成単位の含有質量は、被着体との粘着性および粘着付与剤との相溶性を考慮すると、50質量%以上(上限100質量%)であることが好ましい。
なお、(メタ)アクリル酸2-エチルヘキシル由来の構成単位および(メタ)アクリル酸n-ブチル由来の構成単位のアクリル系重合体中の含有質量は、通常製造時の単量体混合物における各単量体の含有質量となる。
アクリル系重合体は、(メタ)アクリル酸アルキルエステルを単量体主成分とし、必要に応じて(メタ)アクリル酸アルキルエステルに共重合可能な単量体(共重合性単量体)を用いることにより形成される。ここで、主成分とは、単量体中50質量%以上(上限100質量%)であることを指し、(メタ)アクリル酸アルキルエステルの単量体全体に対する含有割合は、好ましい順に、65質量%以上、85質量%以上、90質量%以上、95質量%以上、98質量%以上、99質量%以上、99.5質量%以上である。
(メタ)アクリル酸アルキルエステルの例としては、上記(メタ)アクリル酸2-エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸n-ブチルの他、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸n-プロピル、(メタ)アクリル酸イソプロピル、(メタ)アクリル酸イソブチル、(メタ)アクリル酸n-ペンチル、(メタ)アクリル酸n-ヘキシル、(メタ)アクリル酸シクロヘキシル、(メタ)アクリル酸イソオクチル、(メタ)アクリル酸デシル、(メタ)アクリル酸ドデシル、(メタ)アクリル酸ミリスチル、(メタ)アクリル酸パルミチル、(メタ)アクリル酸ステアリルなどが挙げられる。これらは単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
また、(メタ)アクリル酸アルキルエステルに共重合可能な共重合性単量体の例としては、(メタ)アクリル酸、イタコン酸、マレイン酸、フマル酸、クロトン酸、イソクロトン酸などのカルボキシル基含有単量体またはその無水物;(メタ)アクリル酸2-ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸2-ヒドロキシプロピル、(メタ)アクリル酸4-ヒドロキシブチルなどの(メタ)アクリル酸ヒドロキシアルキル、グリセリンジメタクリレートなどの水酸基含有単量体;アクリルアミド、メタアクリルアミド、N-ビニルピロリドン、N,N-ジメチルアクリルアミドなどのアミド基含有単量体;(メタ)アクリル酸アミノエチル、(メタ)アクリロイルモルホリンなどのアミノ基含有単量体;スチレン、置換スチレンなどの芳香族ビニル化合物;アクリロニトリルなどのシアノ基含有単量体;酢酸ビニルなどのビニルエステル類などが挙げられる。これらは単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。なお、これらの(メタ)アクリル酸アルキルエステルに共重合可能な共重合性単量体としては、単量体全量に対して、5質量%以下であることが好ましい。
(メタ)アクリル酸アルキルエステルに共重合可能な共重合性単量体として、カルボキシル基含有単量体を含む形態は、粘着性向上の観点から、好適である。カルボキシル基含有単量体としては、(メタ)アクリル酸、マレイン酸、無水マレイン酸、フマル酸、無水フマル酸、クロトン酸、イタコン酸、無水イタコン酸、ミリストレイン酸、パルミトレイン酸、およびオレイン酸などが挙げられる。カルボキシル基含有単量体の含有量は、アクリル系重合体を製造する際に用いられる単量体混合物中、0.1~5質量%であることが好ましく、0.3~3質量%であることがより好ましい。さらには、第1のアクリル系重合体および/または、第2のアクリル系重合体中、カルボキシル基含有単量体由来の構成単位を0.1~5質量%含むことが好ましく、0.3~3質量%含むことがより好ましい。
アクリル系重合体の重量平均分子量は特に限定されるものではなく、例えば、10万~1000万である。
第1の粘着剤層における第1のアクリル系重合体の含有量は、特に制限されるものではないが、70質量%以上(上限100質量%)であることが好ましく、75質量%以上、80質量%以上、85質量%以上、90質量%以上であってもよい。
第2の粘着剤層における第2のアクリル系重合体の含有量は、特に制限されるものではないが、60~99.9質量%であることが好ましく、70~99質量%であることがより好ましく、75~98質量%であることがさらにより好ましく、80~95質量%であることが特に好ましい。
アクリル系重合体の製造方法は、特に制限されず、重合開始剤を使用する溶液重合法、乳化重合法、懸濁重合法、逆相懸濁重合法、薄膜重合法、噴霧重合法など従来公知の方法を用いることができる。また、重合開始剤により重合を開始させる方法の他に、放射線、電子線、紫外線等を照射して重合を開始させる方法を採用することもできる。中でも本発明の効果が一層奏されることから、乳化重合法を用いることが好ましい。すなわち、本発明の好適な実施形態は、第1および第2のアクリル系重合体がエマルジョン系重合体である。
乳化重合法としては、例えば、上述の単量体を含む単量体混合物に、乳化剤および重合開始剤を添加し、乳化重合する方法が挙げられる。
なお、乳化重合において、重合安定性の観点から、単量体混合物は、乳化剤(または乳化剤の一部)を、単量体混合物に溶解しておくか、または、予めO/W型の乳化液の状態としておくことが好ましい。
乳化重合を行う際の手順としては、例えば、以下の(1)~(3)の方法が挙げられる。
(1)単量体混合物、乳化剤、水等の全量を仕込み、昇温し、水に溶かした重合開始剤を全量滴下または分割添加して、重合する。
(2)反応容器内に水、乳化剤、単量体混合物の一部を仕込み、昇温した後、水に溶かした重合開始剤を滴下または分割添加して重合反応を進行させた後、残りの単量体混合物を全量滴下または分割添加して重合を継続する。
(3)反応容器内に水に溶かした重合開始剤を仕込んでおき昇温した後、単量体混合物、乳化剤、および水からなる乳化液を全量滴下または分割添加して重合する。
乳化剤としては、特に制限は無いが、エマルジョン系重合体の分散安定性を向上させる観点から、アニオン系乳化剤またはノニオン系乳化剤が好ましく、アニオン系乳化剤がより好ましい。
アニオン系乳化剤としては、例えば、ラウリル硫酸ナトリウム、ラウリル硫酸アンモニウム、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム、ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸ナトリウム、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル硫酸ナトリウム、ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸エステルナトリウム塩、アリルアルキルスルホコハク酸エステル塩等が挙げられる。また、ノニオン系乳化剤としては、例えば、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル等が挙げられる。これらの乳化剤は、単独でまたは2種以上を組み合わせて用いてもよい。
乳化剤の添加量としては、乳化重合反応の安定性の観点、および、未反応の乳化剤が残存することによる物性低下を防ぐ観点から、単量体混合物100質量部に対して、好ましくは0.5~12質量部、より好ましくは0.8~8質量部、更に好ましくは1~6質量部である。
なお、乳化剤は、単量体混合物に水を加えた溶液に直接添加してもよく、予め重合容器に添加しておいてもよく、またはそれらを併用してもよい。
重合開始剤としては、水溶性、油溶性のいずれであってもよく、例えば、2,2’-アゾビス(2-メチルプロピオンアミジン)二塩酸塩、2,2’-アゾビス(2-アミジノプロパン)ジヒドロクロライド等のアゾ系化合物、過硫酸カリウム、過硫酸ナトリウム、過硫酸アンモニウム等の過硫酸塩、ベンゾイルパーオキサイド、t-ブチルハイドロパーオキサイド、過酸化水素等の過酸化物等が挙げられ、過硫酸塩と亜硫酸水素ナトリウムとの組み合わせや、過酸物とアスコルビン酸ナトリウムとの組み合わせ等からなるレドックス開始剤を用いてもよい。重合開始剤は、単独でまたは2種以上を組み合わせて用いてもよい。これらの中でも、重合安定性に優れているという観点から、過硫酸塩またはレドックス開始剤が好ましい。
重合開始剤の添加量としては、重合速度を速める観点から、単量体混合物100質量部に対して、好ましくは0.01~6質量部、より好ましくは0.03~4質量部、さらに好ましくは0.05~2質量部である。
なお、重合開始剤は、予め反応容器内に加えておいてもよく、重合開始直前に加えてもよく、重合開始後に複数回に分けて加えてもよく、単量体混合物中に予め加えておいてもよく、該単量体混合物からなる乳化液を調製後、当該乳化液に加えてもよい。
また、乳化重合時に、公知の連鎖移動剤やpH緩衝剤をさらに添加してもよい。
乳化重合に際し、用いる水としては、イオン交換水が好ましい。水の使用量は、単量体混合物100質量部に対して、好ましくは30~400質量部、より好ましくは35~200質量部、更に好ましくは40~150質量部である。
乳化重合により得られたエマルジョン系重合体分散液に対して、さらに、アンモニア水、各種水溶性アミン、水酸化ナトリウム水溶液、水酸化カリウム水溶液等のアルカリ水溶液を添加して、pH5~9(好ましくはpH6~8.5)に調整することが好ましい。
エマルジョン系重合体分散液の固形分濃度は、好ましくは10~80質量%、より好ましくは25~70質量%、更に好ましくは45~65質量%である。
エマルジョン系重合体分散液の25℃における粘度は、好ましくは50~12000mPa・s、より好ましくは100~10000mPa・s、更に好ましくは200~9000mPa・sである。本明細書において、粘度は、B型回転粘度計を用いて測定される値である。
エマルジョン系重合体は、エマルジョン系重合体が分散しているエマルション形状(粒子形状)を有する。この際、エマルジョン系重合体の平均粒子径は、好ましくは50~500nmであり、より好ましくは100~300nmである。ここで、エマルジョン系重合体の平均粒子径は、レーザー回折分散法により測定される体積基準のメジアン径である。
第一実施形態においては、第1の粘着剤組成物に含まれる粘着付与剤の含有濃度(質量%)は、第2の粘着剤組成物に含まれる粘着付与剤の含有濃度(質量%)よりも少ない。また、第二実施形態においては、第1の粘着剤層に含まれる粘着付与剤の含有濃度(質量%)は、第2の粘着剤層に含まれる粘着付与剤の含有濃度(質量%)よりも少ない。
粘着剤層中の粘着付与剤の添加量を低減できることから、第1の粘着剤組成物に含まれる粘着付与剤の含有濃度(質量%)は、第1のアクリル系重合体に対して、5質量%以下(下限0質量%)であることが好ましく、3質量%以下(下限0質量%)であることがより好ましく、1質量%以下であることがさらにより好ましく、実質的に含有しないことが特に好ましい。ここで、「実質的に粘着付与剤を含有しない」とは、不純物程度に粘着付与剤が含まれることは許容するものであり、具体的には、「実質的に粘着付与剤を含有しない」とは、第1のアクリル系重合体に対して、0.01質量%以下、好ましくは0.005質量%以下含むことを指す(下限は0質量%)。
また、粘着剤層中の粘着付与剤の添加量を低減できることから、第1の粘着剤層に含まれる粘着付与剤の含有濃度(質量%)は、第1のアクリル系重合体に対して、10質量%以下(下限0質量%)であることが好ましく、8質量%以下(下限0質量%)であることがより好ましく、5質量%以下(下限0質量%)であることがさらにより好ましい。なお、第1の粘着剤組成物に粘着付与剤を添加しない場合であっても、ごくわずかには第2の粘着剤層からの粘着付与剤の移行を避けることは難しく、ゆえに、第1の粘着剤組成物への粘着付与剤の添加量に比して、第1の粘着剤層における粘着付与剤の含有量は多くなる傾向にある。
低極性被着体への接着性能を考慮すると、第2の粘着剤組成物に含まれる粘着付与剤の含有濃度(質量%)は、第2のアクリル系重合体に対して、1質量%以上であることが好ましく、5質量%以上であることがより好ましい。また、粘着剤への相溶性を考慮すると、第2の粘着剤組成物に含まれる粘着付与剤の含有濃度(質量%)は、第2のアクリル系重合体に対して、40質量%以下であることが好ましく、30質量%以下であることがより好ましく、20質量%以下であることがさらにより好ましい。
また、低極性被着体への接着性能を考慮すると、第2の粘着剤層に含まれる粘着付与剤の含有濃度(質量%)は、第2のアクリル系重合体に対して、1質量%以上であることが好ましく、5質量%以上であることがより好ましい。また、粘着剤への相溶性を考慮すると、第2の粘着剤層に含まれる粘着付与剤の含有濃度(質量%)は、粘着剤層中、40質量%以下であることが好ましく、30質量%以下であることがより好ましい。
なお、粘着剤層中の粘着付与剤の含有濃度(質量%)は、フーリエ変換赤外分光法(FT-IR)によって測定することができる。
粘着付与剤としては、特に制限されず、脂環族系石油樹脂、テルペン系樹脂、ロジン系樹脂、スチレン系樹脂などが挙げられる。好適な一実施形態としては、粘着付与剤としては、脂環族系石油樹脂、テルペン系樹脂およびロジン系樹脂からなる群から選択される少なくとも1種である。また、好適な一実施形態としては、粘着性の観点から、粘着付与剤としては、脂環族系石油樹脂、およびテルペン系樹脂からなる群から選択される少なくとも1種である。
石油樹脂とは、石油類のスチームクラッキングによるエチレン類の製造の際に副生する分解油の、留分中のジオレフィン及びモノオレフィン類を、公知の方法で重合して得られるものである。留分がイソプレン、1,3-ペンタジエン、シクロペンテン、シクロペンタジエンなどのC5留分を原料とするものがC5系石油樹脂であり、スチレン、ビニルトルエン、α-メチルスチレン、インデン、アルキルインデン、ジシクロペンタジエンなどのC9留分を原料とするものがC9系石油樹脂である。
脂環族系石油樹脂としては、例えば、C5系石油樹脂を環化二量体化した後重合させた脂環式炭化水素系樹脂、環状ジエン化合物(シクロペンタジエン、ジシクロペンタジエン、エチリデンノルボルネン、ジペンテン、エチリデンビシクロヘプテン、ビニルシクロヘプテン、テトラヒドロインデン、ビニルシクロヘキセン、リモネンなど)の重合体又はその水素添加物、C9系石油樹脂またはC5/C9系樹脂の芳香環を水素添加した脂環式炭化水素系樹脂などが挙げられる。
中でも、脂環族系石油樹脂としては、C5系石油樹脂/C9系石油樹脂に水素添加して得られた脂環族系石油樹脂が好ましい。
脂環族系石油樹脂は、市販品を用いてもよく、市販品としては、例えば、アルコン(登録商標)シリーズ(アルコン(登録商標)P-90、P-100、P-115、P-125、P-140、M-90、M-100、M-115、M-135(以上、荒川化学工業社製))、Quintone(登録商標)シリーズ(Quintone(登録商標)1105、1325、1340、TD-401、1500、1525L、1920、2940など)(以上、日本ゼオン社製)などが挙げられる。
脂環族系石油樹脂は、単独で用いても、2種以上組み合わせて用いてもよい。
テルペン系樹脂としては、テルペン樹脂、テルペンフェノール樹脂、芳香族変性テルペン樹脂、これらを水素化した水添テルペンフェノール樹脂などが挙げられ、中でも芳香族変性テルペン樹脂が好ましい。
テルペン系樹脂は、市販品を用いてもよい。テルペン樹脂としては、YSレジン(登録商標)PX1250、PX1150、PX1000、PX800、PX1150N、PX300N(以上、ヤスハラケミカル社製)等が挙げられる。テルペンフェノール樹脂としては、YSポリスター(登録商標)U130、U115、T160、T145、T130、T115、T100、T80、T30、S145、G150、G125、N125、K125、TH130(以上、ヤスハラケミカル社製)等が挙げられる。芳香族変性テルペン樹脂としては、YSレジン(登録商標)TO125、TO115、TO105、TO85(以上、ヤスハラケミカル社製)等が挙げられる。水添テルペンフェノール樹脂としては、YSポリスター(登録商標)UH115(以上、ヤスハラケミカル社製)等が挙げられる。
テルペン系樹脂は、単独で用いても、2種以上組み合わせて用いてもよい。
ロジン系樹脂としては、天然ロジン、ロジンエステル、水添ロジン、水添ロジンエステル、重合ロジン、重合ロジンエステル、および不均化ロジンエステルなどが挙げられる。これらは市販品を用いてもよい。また、ロジン系樹脂は、単独で用いても、2種以上組み合わせて用いてもよい。
スチレン系樹脂としては、α-メチルスチレンの単一重合体、スチレン系単量体の単一重合体、α-メチルスチレンとスチレン系単量体の共重合体、α-メチルスチレンとスチレン系単量体と他の単量体の共重合体等が挙げられる。
粘着付与剤の添加方法は、特に制限されない。例えば、好適な形態である、アクリル系重合体を乳化重合法によって得る形態においては、例えば、(1)重合開始前の単量体混合物、乳化剤、水等に粘着付与剤を添加した後、単量体を重合する方法;(2)粘着付与剤、乳化剤および水等を用いて、粘着付与剤の乳化液を作製し、当該乳化液を用いて粘着剤組成物に配合する方法;などが挙げられる。上記で用いられる乳化剤は、アクリル系重合体の乳化重合の欄に記載した乳化剤等を適宜用いることができる。
粘着剤組成物は、架橋剤を含んでいてもよい。架橋剤としては、公知の架橋剤が使用できる。例えば、以下に制限されないが、イソシアネート系架橋剤、エポキシ系架橋剤、金属キレート系架橋剤、アジリジン系架橋剤、オキサゾリン系架橋剤、カルボジイミド系架橋剤などが挙げられる。中でも、反応性の観点から、イソシアネート系架橋剤が好ましい。なお、粘着剤組成物が架橋剤を含まない形態も好適である。
イソシアネート系架橋剤としては、トリメチレンジイソシアネート、1,2-プロピレンジイソシアネート、テトラメチレンジイソシアネート、1,2-ブチレンジイソシアネート、2,3-ブチレンジイソシアネート、1,3-ブチレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)、ペンタメチレンジイソシアネート、2,2,4-トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、2,4,4-トリメチルヘキサメチレンジイソシネート、2,6-ジイソシアネートメチルカプエート、リジンジイソシアネート、リジンエステルトリイソシアネート、1,6,11-ウンデカントリイソシアネート、1,3,6-ヘキサメチレントリイソシアネート、デカメチレンジイソシアネートなどの脂肪族ジイソシアネート;トリレンジイソシアネート、キシレンジイソシアネートなどの芳香族ジイソシアネート;イソホロンジイソシアネートなどの脂環式ジイソシアネート;ならびに上記ジイソシアネート化合物とトリメチロールプロパン等のポリオール化合物とのアダクト体、上記ジイソシアネート化合物のビウレット体やイソシアヌレート体などのイソシアネート誘導体が挙げられる。
また、エポキシ系架橋剤としてはポリグリシジルアミン型エポキシ樹脂、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ノボラック型エポキシ樹脂、脂環型エポキシ樹脂、脂肪族エポキシ樹脂、臭素化エポキシ樹脂、アルコール型エポキシ樹脂等が挙げられる。
金属キレート系架橋剤としては、アルミニウム、チタン、ニッケル、クロム、鉄、亜鉛、コバルト、マンガン、ジルコニウム等の金属のアセチルアセトネート錯体等が挙げられる。
架橋剤は、単独で使用されてもあるいは2種以上の混合物の形態で使用されてもよい。
架橋剤を添加する場合、架橋剤の添加量は、各アクリル系重合体100質量部に対して、0.1~10質量部であることが好ましく、0.5~5質量部であることがより好ましい。
粘着剤組成物は、従来公知のその他の添加剤をさらに含みうる。かような添加剤としては、例えば、充填剤、顔料、紫外線吸収剤、濡れ剤、防腐剤などが挙げられる。充填剤としては、例えば、亜鉛華、シリカ、炭酸カルシウムなどが挙げられる。
粘着剤層の形成方法は、特に限定されるものではないが、基材上に粘着剤組成物を直接塗工して粘着剤層を形成してもよく、また、剥離ライナー上に粘着剤層を形成した後、これを基材と貼合してもよい。具体的には、剥離ライナー上に粘着剤組成物を塗布し、粘着剤組成物からなる粘着剤層を基材に転写する方法が挙げられる。
粘着剤組成物の基材または剥離ライナーへの塗布方法は特に限定されず、例えばロールコーター、ナイフコーター、エアーナイフコーター、バーコーター、ブレードコーター、スロットダイコーター、リップコーター、グラビアコーターなどの公知の塗布装置を用いて塗布することができる。
各粘着剤層の厚み(乾燥後膜厚)は、通常5~100μm、好ましくは5~50μmである。また、各粘着剤層の厚みは異なるものであってもよいし、同じであってもよい。例えば、第2の粘着剤層を第1の粘着剤層よりも薄くすることで、粘着付与剤の使用量を減らすことができる。
(基材)
基材としては、特に制限はなく、粘着シートの支持基材として用いられている各種の基材を使用することができる。基材としては、樹脂基材;樹脂から構成されるいわゆる合成紙;銅、アルミニウム、ステンレス等の金属箔、金属箔とプラスチックフィルムとを積層した複合シート基材、アルミニウムやシリカ等を蒸着した蒸着箔基材、不織布基材、または、上質紙、クラフト紙、グラシン紙、アート紙、コート紙、感熱発色紙、防湿加工紙等の紙基材等が挙げられる。中でも、基材は、樹脂基材、合成紙、または紙基材であることが好ましい。好適な形態である樹脂基材を構成する樹脂としては、例えばポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、またはポリエチレンナフタレートなどのポリエステル、ポリエチレン、ポリプロピレンなどのポリオレフィン、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリビニルアルコール、エチレン-酢酸ビニル共重合体、ポリスチレン、ポリカーボネート、ポリメチルペンテン、ポリスルホン、ポリエーテルエーテルケトン、ポリエーテルスルホン、ポリフェニレンスルフィド、ポリエーテルイミド、ポリイミド、フッ素樹脂、ポリアミド、アクリル樹脂、ノルボルネン系樹脂、シクロオレフィン樹脂等を挙げることができる。
本実施形態では、基材側の粘着剤層の粘着付与剤の量が相対的に低いため、基材は低極性の基材以外のものが好ましい。具体的には、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、またはポリエチレンナフタレートなどのポリエステルなどが挙げられる。中でも、機械的強度が高く、耐熱性等にも優れることから、基材はポリエチレンテレフタレートであることが好ましい。
基材の厚みについては、特に制限はないが、機械的特性の観点からは、10μm以上であることが好ましく、20μm以上であることがより好ましく、40μm以上であることがさらにより好ましい。また、薄膜化の観点からは、200μm以下であることが好ましく、150μm以下であることがより好ましく、100μm以下であることがさらにより好ましい。
(剥離ライナー)
剥離ライナーは、粘着剤層を保護し、粘着性の低下を防止する機能を有する部材である。そして、剥離ライナーは、被着体に貼付する際に粘着シートから剥離される。このため、本発明における粘着シートは、剥離ライナーを有していないものも包含される。
剥離ライナーとしては、特に限定されるものではないが、上質紙、グラシン紙、クレーコート紙、ポリエチレンラミネート紙などの紙;ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート等のポリエステルフィルム、ポリプロピレンやポリエチレン等のポリオレフィンフィルムなどのプラスチックフィルム;などが挙げられる。
剥離ライナーの厚みは、通常10~400μm程度である。また、剥離ライナーの表面には、粘着剤層の剥離性を向上させるためのシリコーンなどから構成される剥離剤からなる層が設けられてもよい。かような層が設けられる場合の当該層の厚みは、通常0.01~5μm程度である。
<粘着シートの低極性被着体への貼付方法>
本実施形態の粘着シートは、低極性被着体に好適に用いられる。
したがって、本発明の他の一実施形態は、第一実施形態または第二実施形態の粘着シートを低極性被着体に貼付する、貼付方法である。
ここで、低極性被着体としては、ポリプロピレンやポリエチレン等のポリオレフィンフィルムなどが挙げられる。
低極性被着体に対する粘着性能は、7,000mN/25mm以上であることが好ましい。ここで、粘着性能は、各被着体に対して、実施例に記載の方法により測定された値を採用する。
本発明の効果を、以下の実施例および比較例を用いて説明する。実施例において「部」あるいは「%」の表示を用いる場合があるが、特に断りがない限り、「質量部」あるいは「質量%」を表す。また、特記しない限り、各操作は、室温(25℃)で行われる。
(実施例1)
<粘着剤組成物の調製>
攪拌機、温度計、還流冷却器、滴下ロートを有する反応容器に、原料モノマーとしてアクリル酸n-ブチル100質量部、アクリル酸1質量部と、乳化剤としてポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸ナトリウム(花王社製「ラテムルE-118B」)2質量部、アリルアルキルスルホコハク酸ナトリウム(三洋化成工業社製「エレミノールJS-2」)2質量部、脱気済みのイオン交換水58質量部を投入し、室温下撹拌して乳化物を調製した。
別途、撹拌機、温度計、還流冷却器、滴下ロートを有する反応容器に、脱気済みのイオン交換水28質量部を投入し、温度を60℃まで昇温させた。次に、上記乳化物を滴下ロートに移し、4時間かけて滴下した。これと併行して重合開始剤溶液として濃度5質量%の過硫酸カリウム水溶液2質量部を滴下して反応温度60℃で乳化重合を行った。滴下終了後、60℃のままで2時間熟成して乳化重合組成物を得た。その後、室温まで冷却し、25質量%のアンモニア水でpHが8.0になるように調整し、第1の粘着剤組成物を得た。
上記第1の粘着剤を得た手法において、原料モノマーのアクリル酸2-エチルヘキシルとアクリル酸n-ブチルとの混合質量比を表1に記載のように変更し、粘着付与剤として荒川化学工業社製「タマノルE-100」(テルペンフェノール系)を添加することで、第2の粘着剤組成物を得た。
<粘着シートの作製>
基材としてポリエチレンテレフタレートフィルム(厚さ:50μm)、剥離ライナーとしてシリコーンで剥離処理したグラシン紙(厚さ:70μm)を準備した。
第1の粘着剤組成物と第2の粘着剤組成物を、ダイコーターを用い、第1の粘着剤組成物と第2の粘着剤組成物を、剥離ライナー上に同時塗工し、90℃で1分乾燥させて水を除去し、第1の粘着剤層(厚さ:10μm)および第2の粘着剤層(厚さ:10μm)を形成した。次に、基材を第1の粘着剤層上に貼り合わせ、基材、第1の粘着剤層、第2の粘着剤層、剥離ライナーがこの順で積層されてなる粘着シートを作製した。
(実施例2~3、比較例1~2)
実施例1において、第1のアクリル系重合体のアクリル酸2-エチルヘキシルとアクリル酸n-ブチルとの混合質量比を表1に記載のように変更したこと以外は、実施例1と同様にして粘着シートを得た。
(実施例4)
実施例1において、第2のアクリル系重合体のアクリル酸2-エチルヘキシルとアクリル酸n-ブチルとの混合質量比を表1に記載のように変更したこと以外は、実施例1と同様にして粘着シートを得た。
(実施例5)
実施例1において、粘着付与剤を荒川化学工業社製「スーパーエステルE-720」(ロジンエステル系)に変更したこと以外は、実施例1と同様にして粘着シートを得た。
(実施例6)
実施例1において、粘着付与剤を荒川化学工業社製「アルコンP-140」(水素化石油樹脂系)を乳化したものに変更したこと以外は、実施例1と同様にして粘着シートを得た。
(比較例3)
実施例1において、第1の粘着剤層を形成せず、第2の粘着剤層の厚さを2倍にしたこと以外は、実施例1と同様にして粘着シートを得た。比較例3においては、第2の粘着剤層の厚さが実施例1と比較して2倍であるので、粘着シート全体における粘着付与剤の使用量は、実施例1の2倍となっている。
(測定方法1:粘着力)
実施例および比較例で得た粘着シートを1日標準環境下(23℃50%RH)に静置し、剥離ライナーを剥がしてポリプロピレン板に粘着剤層面を貼付し30分間標準環境下に静置した後、粘着力を測定した。具体的には、引張試験機により、180°方向に試験速度300mm/分でシートを引き剥がし、粘着力を測定した。数値は、シート幅25mm当たりの引き剥がし力に換算したもの(mN/25mm)である。結果を表1に示す。
Figure 2022138263000001
上記結果から、実施例の粘着シートは、低極性被着体であるポリプロピレンに対する粘着性が高いものだった。また、比較例3は、粘着剤層が一層であるために、実施例と同様の粘着力を発現させるために粘着付与剤の使用量が多いものとなった。
10 粘着シート、
20 基材、
30 第1の粘着剤層、
40 第2の粘着剤層、
50 剥離ライナー。

Claims (6)

  1. 基材、第1の粘着剤層、および第2の粘着剤層をこの順に有する粘着シートであって、
    前記第1の粘着剤層は、第1のアクリル系重合体を含む第1の粘着剤組成物から形成され、前記第2の粘着剤層は、第2のアクリル系重合体および粘着付与剤を含む第2の粘着剤組成物から形成され、
    前記第1の粘着剤組成物に含まれる、前記第1のアクリル系重合体に対する粘着付与剤の含有濃度(質量%)は、前記第2の粘着剤組成物に含まれる、前記第2のアクリル系重合体に対する粘着付与剤の含有濃度(質量%)よりも少なく、
    前記第1のアクリル系重合体中の(メタ)アクリル酸2-エチルヘキシル由来の構成単位の含有質量が、前記第2のアクリル系重合体中の(メタ)アクリル酸2-エチルヘキシル由来の構成単位の含有質量よりも少ない、粘着シート。
  2. 前記第1の粘着剤組成物は、実質的に粘着付与剤を含まない、請求項1に記載の粘着シート。
  3. 基材、第1の粘着剤層、および第2の粘着剤層をこの順に有する粘着シートであって、 前記第1の粘着剤層は、第1のアクリル系重合体を含む第1の粘着剤組成物から形成され、前記第2の粘着剤層は、第2のアクリル系重合体および粘着付与剤を含む第2の粘着剤組成物から形成され、
    前記第1の粘着剤層に含まれる粘着付与剤の含有濃度(質量%)は、前記第2の粘着剤層に含まれる粘着付与剤の含有濃度(質量%)よりも少なく、
    前記第1のアクリル系重合体中の(メタ)アクリル酸2-エチルヘキシル由来の構成単位の含有質量が、前記第2のアクリル系重合体中の(メタ)アクリル酸2-エチルヘキシル由来の構成単位の含有質量よりも少ない、粘着シート。
  4. 前記第2のアクリル系重合体は、(メタ)アクリル酸2-エチルヘキシル由来の構成単位を45質量%以上含む、請求項1~3のいずれか1項に記載の粘着シート。
  5. 前記第1のアクリル系重合体は、(メタ)アクリル酸n-ブチル由来の構成単位を50質量%以上含む、請求項1~4のいずれか1項に記載の粘着シート。
  6. 前記第1のアクリル系重合体および前記第2のアクリル系重合体がエマルジョン系重合体である、請求項1~5のいずれか1項に記載の粘着シート。
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