JP2022136910A - パンツタイプ使い捨て着用物品及びその製造方法 - Google Patents

パンツタイプ使い捨て着用物品及びその製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】サイドシール部を剥離しやすくする。【解決手段】外装体の幅方向WD中間部に取り付けられた、股間部の前後両側にわたる内装体と、前身頃における外装体の両側部と後身頃における外装体の両側部とがそれぞれ溶着されたサイドシール部と、ウエスト開口及び左右一対の脚開口とを備え、外装体は前身頃の幅方向両側及び後身頃の幅方向両側に位置する第1領域81と第1領域よりも幅方向中央側に位置し、幅方向に伸縮する第2領域82とを有しサイドシール部は第1領域に含まれており、外装体は第1シート層及び第2シート層と第1シート層及び第2シート層の間に介在された弾性シートとを有し、第1シート層及び第2シート層は間隔を空けて配列された多数の第1接合部40で弾性シートを貫通する接合孔31を通じて接合されており、第1領域の第1接合部31Aの大きさが第2領域の第1接合部31Bの大きさよりも大きい。【選択図】図27

Description

本発明は、弾性フィルム等の弾性シートが第1シート層及び第2シート層で挟まれた伸縮構造を有するパンツタイプ使い捨て着用物品及びその製造方法に関する。
パンツタイプ使い捨ておむつは、少なくとも前身頃の胴周り部及び後身頃の胴周り部を構成する外装体と、前身頃から後身頃にわたるように外装体の内面に取り付けられた、吸収体を含む内装体とを備え、前身頃の外装体の両側縁部と後身頃の外装体の両側縁部とが溶着されてサイドシール部が形成されることにより、ウエスト開口及び左右一対の脚開口が形成されているものが一般的である。
パンツタイプ使い捨ておむつの外装体には、サイドシール部を有する前後方向範囲(ウエスト開口から脚開口の上端に至る前後方向範囲)として定まる胴周り領域等に、弾性部材を設けて伸縮性を付加することが一般的となっている。弾性部材としては、従来、糸ゴム等の細長状弾性伸縮部材を長手方向に伸長した状態で多数並べて固定する手法が広く採用されているが、面としてのフィット性に優れるものとして、弾性フィルムを伸縮性の付与方向に伸長した状態で取り付ける手法も提案されている。(例えば特許文献1~8参照)。
この弾性シートを含む伸縮構造は、第1シート層と第2シート層との間に弾性フィルムが積層されるとともに、弾性フィルムが伸縮方向に伸長された状態で、第1シート層及び第2シート層が、伸縮方向及びこれと直交する方向にそれぞれ間隔を空けて配列された多数の点状の第1接合部で、弾性フィルムに形成された接合孔を通じて接合されてなるものである。この伸縮構造は、自然長状態では、第1接合部間において弾性シートが収縮するのに伴い、第1接合部の間隔が狭くなり、第1シート層及び第2シート層における第1接合部間に伸縮方向と交差する方向に延びる襞が形成される。反対に伸長時には、第1接合部間において弾性シートが伸長するのに伴い、第1接合部の間隔及び第1シート層及び第2シート層における襞が広がり、第1シート層及び第2シート層の完全展開状態まで弾性伸長が可能となる。この弾性シートによる伸縮構造は、面的なフィット性に優れるのはもちろん、第1シート層及び第2シート層と弾性シートとの接合が無く、かつ第1シート層及び第2シート層の接合も極めて少ないため非常に柔軟であり、また、弾性シートの接合孔が通気性向上にも寄与するという利点がある。
他方、パンツタイプ使い捨て着用物品は、排泄後などにおいて身体から取り外す際、前身頃のウエスト部及び後身頃のウエスト部を手でつかみ、サイドシール部を左右に開くようにしてウエスト開口から脚開口に向かって順に前身頃と後身頃とを引き剥がし(界面剥離の他、溶着部の周囲に沿う基材破壊も含まれる)、取り外しを容易にすることが行われている。それ以外にも、前身頃の脚開口部及び後身頃の脚開口部を手でつかみ、サイドシール部を左右に開くようにして脚開口からウエスト開口に向かって順に前身頃と後身頃とを引き剥がし(界面剥離の他、溶着部の周囲に沿う基材破壊も含まれる)、取り外しを容易にすることも行われている。このため、サイドシール部には、装着中に破れないような剥離強度だけでなく、使用後の剥がし易さも求められている。
しかし、パンツタイプ使い捨て着用物品の外装体に、弾性シートによる伸縮構造を採用すると、第1シート層と第2シート層の間に弾性フィルムを挟んだ状態でサイドシールする際に、弾性フィルムが溶融・固化して第1シート層と第2シート層を強く接着するため、サイドシール部が破けにくくなるという問題点があった。また、サイドシール部が剥離しにくくなると、サイドシール部を引き剥がす際に前身頃及び後身頃のいずれか一方が幅方向中央側に向かって横に裂けやすくなる(以下、横裂けという)という問題点もあった。
サイドシール部の剥離を容易にする発明として、下記特許文献9~11に開示された発明がある。下記特許文献9に係るパンツタイプ使い捨て着用物品では、外装体が、サイドシール部に隣接する端部に位置するサイド非伸縮領域と、このサイド非伸縮領域のサイドシール部と反対側に隣接する伸縮領域とを有しており、伸縮領域からサイドシール部にわたる第1シート層及び第2シート層を有するものでありながら、サイド非伸縮領域では弾性シートが第1シート層及び第2シート層を伴わずに伸縮領域側に収縮し、サイドシール部における少なくとも側縁部以外の部分に弾性シート及びその溶融物を含まないものとなっている。この結果、サイドシール部において弾性シートが溶融固化することにより接着力が増強することがないため、サイドシール部が剥離しやすいものとなる、とされている。
下記特許文献10に係るパンツタイプ使い捨て着用物品では、サイドシール部と20mm以内の離間距離をもった位置において、前後方向に沿って、第1シート層及び第2シート層が融着接合している、切り裂き限界部が形成されている。この切り裂き限界部の形成によって、廃棄時にサイドシール部を引き裂き、前身頃と後身頃とに分離する際に、横方向の引き裂きに転換されることを防止し、サイドシール部に沿って前後方向に引き裂くことができるようになる、とされている。
下記特許文献11に係るパンツ型着用物品は、腹側部の両側部と背側部の両側部とが接合されていることによって一対のサイドシール部が形成されている。サイドシー ル部は、腹側部と背側部とが融着した融着部を有し、且つ該サイドシール部におけるシート間に接合強度低減剤が配されている。接合強度低減剤は、サイドシール部の幅方向において、該サイドシール部の外側部分に内側部分より多く配されている。このような構成にすることで、着用時におけるサイドシール部の剥がれを防止し、且つ脱衣時におけるサイドシール部の引き裂きを容易に行うことができる、とされている。
特開2016-189932号公報 特開2015-204982号公報 特開2016-140477号公報 特開2016-189931号公報 特開2016-189933号公報 特開2017-064224号公報 特開2017-148169号公報 特開2017-225508号公報 特開2020-157001号公報 特開2019-170831号公報 特開2018-88945号公報
前述のとおり、特許文献9のパンツタイプ使い捨て着用物品は、サイド非伸縮領域において、弾性シートが第1シート層及び第2シート層を伴わずに伸縮領域側に収縮し、サイドシール部における少なくとも側縁部以外の部分に弾性シート及びその溶融物を含まないものである。
一般的に、例えば超音波接着によってサイドシールする場合、アンビルとホーンの間に資材(パンツタイプ使い捨て着用物品のサイドシール部分の材料)を挿入し、ホーンで資材をアンビルに押し付けることによって超音波接着する。このとき、特許文献9のパンツタイプ使い捨て着用物品のように資材が弾性シートを含まない場合は、弾性シートを含む場合と比べて資材の厚みが薄くなるため、ホーンがアンビルに間接的に強く当たることになり、ホーンに負荷がかかりやすく、超音波接着装置の故障につながりやすいという問題がある。
また、サイドシール後の検品工程において、通常はサイドシール部分に弾性シートを含んでいない物を不良品と判断して除外している。しかし、特許文献9のパンツタイプ使い捨て着用物品はサイドシール部分に弾性シートを含んでいないことを前提にしているため、すべてが不良品になってしまうという問題がある。サイドシール部分に弾性シートを含んでいない物を不良品ではなく合格品と認定するように設定変更することも考えられるが、製造設備においてこのような設定変更をすることは容易でない。
特許文献9のパンツタイプ使い捨て着用物品は、サイド非伸縮領域において、弾性シートが第1シート層及び第2シート層を伴わずに伸縮領域側に収縮しているが、この収縮した弾性シートの存在によって、弾性シートの収縮部分に隣接する第1シート層や第2シート層に皺が生じて肌触りが悪くなるという問題がある。また、当該部分では外側からゴワゴワしているように見えるため、見た目が悪いとともに、肌触りが悪そうであるとの先入観を着用者に抱かせてしまうおそれもある。
また、特許文献9のパンツタイプ使い捨て着用物品に設けたサイド非伸縮領域は伸縮しないため、サイド非伸縮領域を設けていないパンツタイプ使い捨て着用物品に比べて胴回りの伸縮量が少なくなるため、例えば肥満体型の人が装着できなかったり、装着後の締め付けをきつく感じたりしやすい。
また、特許文献10のパンツタイプ使い捨て着用物品は横裂けを防止する効果を有するが、サイドシール部を容易に剥離するための構成は開示していない。さらに、特許文献11のパンツ型着用物品は接合強度低減剤を塗布しなければならず、イニシャルコストが高くなるという問題がある。
そこで、本発明の主たる課題は、サイドシール部に弾性シートを配置しつつも、サイドシール部を剥離しやすくすることにある。
<第1の態様>
前身頃から後身頃にわたる一体的な外装体、又は前身頃及び後身頃に別々に設けられた外装体と、この外装体の幅方向中間部に取り付けられた、股間部の前後両側にわたる内装体と、前身頃における外装体の両側部と後身頃における外装体の両側部とがそれぞれ溶着されたサイドシール部と、ウエスト開口及び左右一対の脚開口とを備え、
前記外装体は、前身頃の幅方向両側及び後身頃の幅方向両側に位置する第1領域と、前記第1領域よりも幅方向中央側に位置し、幅方向に伸縮する第2領域とを有し、
前記サイドシール部は前記第1領域に含まれており、
前記外装体は、第1シート層及び第2シート層と、前記第1シート層及び前記第2シート層の間に介在された弾性シートとを有し、
前記第1シート層及び第2シート層は、間隔を空けて配列された多数の第1接合部で、前記弾性シートを貫通する接合孔を通じて接合されており、
前記第1領域の前記第1接合部の大きさが前記第2領域の前記第1接合部の大きさよりも大きい、
ことを特徴とするパンツタイプ使い捨て着用物品。
(作用効果)
本態様の外装体は第1領域と第2領域を有している。第1領域は前身頃の幅方向両側及び後身頃の幅方向両側に位置しており、第2領域はその第1領域よりも幅方向中央側に位置している。この第1領域にはサイドシール部が含まれている。また、第2領域は製品状態で幅方向に伸縮する領域であって、製品状態で幅方向に伸縮しない領域ではない。一般に、外装体と内装体が重なる部分では、外装体が幅方向に伸縮しないように加工されているが、第2領域はこのような伸縮防止加工が施された領域(後述する中間非伸縮領域)ではなく、外装体と内装体が重なっておらず、幅方向に伸縮する領域をいう。
外装体は第1シート層、第2シート層、及びこれらの層の間に挟まれた弾性シートを有している。そして、第1シート層及び第2シート層は、間隔を空けて配列された多数の第1接合部で、弾性シートを貫通する接合孔を通じて接合されている。
本態様では、第1領域の第1接合部の大きさが第2領域の第1接合部の大きさよりも大きくなっている。第1領域の第1接合部の大きさが第2領域の第1接合部の大きさよりも大きいと、第1領域の第1接合部に形成された接合孔の大きさが第2領域の第1接合部に形成された接合孔の大きさよりも大きくなる。その結果、サイドシールするために形成する第2接合部が、第1領域に形成された接合孔の内部に入りやすくなる。第1領域に形成された接合孔の内部には弾性シートが存在しないため、第2接合部を形成する際に弾性シートを溶融させてサイドシール部の接合力を高めてしまうということを防ぐことができ、結果としてサイドシール部を剥離しやすくすることができる。
<第2の態様>
前記第1領域に設けられた前記第1接合部の平均面積が、前記第2領域に設けられた前記第1接合部の平均面積の2.0倍以上である、前記第1の態様のパンツタイプ使い捨て着用物品。
(作用効果)
第1領域に設けられた第1接合部の平均面積を、第2領域に設けられた第1接合部の平均面積の2.0倍以上にした場合、より高い確率で第1の態様の作用効果を奏することができる。すなわち、第1領域に設けられた第1接合部の平均面積が大きくなるほど、サイドシールするために形成する第2接合部が、第1領域に形成された接合孔の内部に入りやすくなるため、結果としてサイドシール部を剥離しやすくすることができる。
なお、第1領域に設けられた第1接合部の平均面積を、第2領域に設けられた第1接合部の平均面積の2.3倍以上にすることがより好ましく、第1領域に設けられた第1接合部の平均面積を、第2領域に設けられた第1接合部の平均面積の2.5倍以上にすることがさらに好ましい。
<第3の態様>
前記パンツタイプ使い捨て着用物品を幅方向に伸長した状態において、
前記第1領域の前記接合孔の大きさが前記第2領域の前記接合孔の大きさよりも大きい、前記第1の態様のパンツタイプ使い捨て着用物品。
(作用効果)
本態様では、第1領域の接合孔の大きさが第2領域の接合孔の大きさよりも大きくなっている。このような構成にすることで、第1領域の接合孔の大きさが第2領域の接合孔と同じ大きさにした場合、または第1領域の接合孔の大きさが第2領域の接合孔の大きさよりも小さい場合と比べて、サイドシールするために形成する第2接合部が、第1領域に形成された接合孔の内部に入りやすくなる。そうすると、第1領域に形成された接合孔の内部には弾性シートが存在しないため、第2接合部を形成する際に弾性シートを溶融させてサイドシール部の接合力を高めてしまうということを防ぐことができ、結果としてサイドシール部を剥離しやすくすることができる。
<第4の態様>
前記第1領域に設けられた前記接合孔の平均面積が、前記第2領域に設けられた前記接合孔の平均面積の1.1倍以上である、前記第3の態様のパンツタイプ使い捨て着用物品。
(作用効果)
第1領域に設けられた前記接合孔の平均面積を第2領域に設けられた前記接合孔の平均面積の1.1倍以上にした場合、より高い確率で第1の態様の作用効果を奏することができる。すなわち、第1領域に設けられた接合孔の平均面積が大きくなるほど、サイドシールするために形成する第2接合部が、第1領域に形成された接合孔の内部に入りやすくなるため、結果としてサイドシール部を剥離しやすくすることができる。
前述の平均面積は、所定の範囲内に位置する複数の接合孔の面積の平均値によって定めることができる。前述の所定の範囲は任意に定めることできるが、例えば前後方向に10mm、幅方向に10mmの正方形の範囲を所定の範囲と定めることができるが、前後方向に5mm、幅方向に5mmの正方形とするなど、任意に変更してもよい。なお、所定の範囲は第1領域と第2領域で同じにすることが好ましい。例えば、第1領域の所定の範囲を前後方向に10mm、幅方向に10mmの正方形の範囲とした場合は、第2領域の所定の範囲も前後方向に10mm、幅方向に10mmの正方形の範囲とすることが好ましい。
なお、第1領域に設けられた接合孔の平均面積を、第2領域に設けられた接合孔の平均面積の1.5倍以上にすることがより好ましく、第1領域に設けられた接合孔の平均面積を、第2領域に設けられた接合孔の平均面積の2倍以上にすることがさらに好ましい。
<第5の態様>
前記サイドシール部において、
前身頃の前記第1シート層及び第2シート層並びに後身頃の前記第1シート層及び第2シート層は、前後方向に間隔を空けて設けた複数の第2接合部で接合されており、
第2接合部の総面積の50%以上が前記第1領域に形成された前記接合孔の内部に位置している、前記第1~第4のいずれか1つの態様のパンツタイプ使い捨て着用物品。
(作用効果)
第1領域の接合孔の外部に第2接合部が形成されると、その第2接合部を形成する際に弾性シートが溶融して第1シート層と第2シート層を強固に接合するため、サイドシール部の接合力が高くなり、剥離しにくくなるという不都合がある。そこで、本態様の構成のように、第2接合部の総面積の50%以上を第1領域に形成したいずれかの接合孔の内部に位置させることで、第1シート層と第2シート層の接合が強固になることを防ぐことができ、結果としてサイドシール部を剥離しやすくなる。
なお、所定の範囲内に存在する複数個の第2接合部の総面積に対して、接合孔の内部に存在する第2接合部の面積の割合が増えるほど、第1シート層と第2シート層の接合が強固になることを防ぐことができ、結果としてサイドシール部を剥離しやすくなる。具体的には、第2接合部の総面積の60%以上を第1領域に形成したいずれかの接合孔の内部に位置させることがより好ましく、第2接合部の総面積の80%以上を第1領域に形成したいずれかの接合孔の内部に位置させることがさらに好ましい。ちなみに、所定の範囲内については、前記第4の態様と同様であるため、ここでは記載を省略する。
<第6の態様>
前記サイドシール部の複数の前記接合孔のうちの少なくとも一部の接合孔の内部において、
前記第1接合部の形成された位置と前記第2接合部の形成された位置が重なっていない前記第1~第5のいずれか1つの態様のパンツタイプ使い捨て着用物品。
(作用効果)
接合孔の内部に第2接合部を設ける場合、第1接合部と第2接合部の設置位置が重なると、重なった部分の接合力が強くなり、結果としてサイドシール部を剥がしにくくなる。本態様では、接合孔の内部において、第1接合部と第2接合部の設置箇所を重ならないようにすることによって、サイドシール部の剥離を容易にしている。
<第7の態様>
前記弾性シートは幅方向に伸縮可能なものであり、
前記第1領域の前記第1接合孔の形状が、前後方向に延在する直線状、または幅方向両側から内側へ向かって窪んだ凹形状である前記第6の態様のパンツタイプ使い捨て着用物品。
(作用効果)
弾性シートが幅方向に伸縮可能なものである場合、第1接合部を設けたときに生じる接合孔の形状が幅方向に広がったものになる。このとき、第1接合部の形状も幅方向に広がったものにすると、第1接合部の外縁と接合孔の縁の間に間隙が生じづらくなるため、接合孔の内部に第2接合部を設ける際に、第1接合部と第2接合部の設置箇所が重なりやすく、その結果サイドシール部の剥離しにくくなる。
そこで、第1領域の前記第1接合部の形状を、前後方向に延在する直線状、または幅方向両側から内側へ向かって窪んだ凹形状とすることで、第1接合部の外縁と接合孔の間に間隙を生じやすくして、第1接合部と第2接合部の設置箇所が重なりにくくしている。その結果、サイドシール部の剥離を容易にすることができる。
<第8の態様>
前記サイドシール部の積層枚数が前後方向に沿って異なっており、
前記サイドシール部の積層枚数の多い部分の前記接合孔の面積が前記サイドシール部の積層枚数の少ない部分の前記接合孔の面積よりも小さい、前記第1~第7のいずれか1つの態様のパンツタイプ使い捨て着用物品。
(作用効果)
一般的に、サイドシール部の積層枚数が多い部分では、サイドシール部の接合力が強くなる傾向があり、サイドシール部の積層枚数が少ない部分では、サイドシール部の接合力が弱くなる傾向がある。そのため、サイドシール部の剥離を容易にするためには、サイドシール部の積層枚数の多い部分を剥離しやすくすることが重要になる。
そこで本態様では、サイドシール部の積層枚数が多い部分の接合孔の面積を、サイドシール部の積層枚数の少ない部分の接合孔の面積よりも小さくする構成とした。サイドシール部の積層枚数の少ない部分の接合孔の面積と比べて、サイドシール部の積層枚数が多い部分の接合孔の面積が大きいため、サイドシール部の積層枚数が多い部分に第2接合部を設ける際に、第2接合部を接合孔の中に設けられやすい。その結果、第2接合部を設ける際に弾性シートが溶融して第1シート層と第2シート層の接合を強固にしてしまうことを防ぐことができ、サイドシール部を剥離しやすくすることができる。
本発明によれば、サイドシール部に弾性シートを配置しつつも、サイドシール部を剥離しやすくすることができる、等の利点がもたらされる。
展開状態のパンツタイプ使い捨ておむつの平面図(内面側)である。 展開状態のパンツタイプ使い捨ておむつの平面図(外面側)である。 展開状態のパンツタイプ使い捨ておむつの要部のみ示す平面図である。 (a)は図1のC-C断面図、(b)は図1のE-E断面図である。 図1のA-A断面図である。 図1のB-B断面図である。 展開状態のパンツタイプ使い捨ておむつの平面図(外面側)である。 (a)は図7のC-C断面図、(b)は図7のE-E断面図である。 (a)は伸縮領域の要部平面図、(b)は(a)のD-D断面図、(c)は装着状態における断面図、(d)は自然長状態における断面図である。 第1接合部の各種形状を示す平面図である。 展開状態の伸縮領域の平面図である。 展開状態の伸縮領域の要部を拡大して示す平面図である。 自然長状態の伸縮領域の要部を拡大して示す平面図である。 (a)は図12のD-D断面図、(b)は自然長状態における断面図である。 展開状態の伸縮領域の平面図である。 展開状態の伸縮領域の要部を拡大して示す平面図である。 自然長状態の伸縮領域の要部を拡大して示す平面図である。 ある程度伸長した外装体の要部断面を概略的に示す断面図である。 ある程度伸長した外装体の要部断面を概略的に示す断面図である。 (a)第1溶着形態で形成されたシート接合部の平面写真のトレース図、(b)第3溶着形態で形成されたシート接合部の平面写真のトレース図である。 (a)は非伸縮領域の要部平面図、(b)は(a)のD-D断面図、(c)は装着状態における断面図、(d)は自然長状態における断面図である。 非伸縮領域の要部平面図である。 超音波シール装置の概略図である。 パンツタイプ使い捨ておむつの製造フローを示す概略図である。 展開状態のパンツタイプ使い捨ておむつの要部を示す拡大平面図である。 第1接合部と第2接合部の設置位置のバリエーションを示す平面図である。 第1領域と第2領域の境界付近の拡大平面図である。
以下、使い捨て着用物品の例について、添付図面に示されるパンツタイプ使い捨ておむつに基づいて詳説する。なお、図中の点模様部分はその表側及び裏側に位置する各構成部材を接合する接合手段としての接着剤を示しており、ホットメルト接着剤のベタ、ビード、カーテン、サミット若しくはスパイラル塗布、又はパターンコート(凸版方式でのホットメルト接着剤の転写)などにより、あるいは弾性部材の固定部分はこれに代えて又はこれとともにコームガンやシュアラップ塗布などの弾性部材の外周面への塗布により形成されるものである。ホットメルト接着剤としては、例えばEVA系、粘着ゴム系(エラストマー系)、オレフィン系、ポリエステル・ポリアミド系などの種類のものが存在するが、特に限定無く使用できる。各構成部材を接合する接合手段としてはヒートシールや超音波シール等の素材溶着による手段を用いることもできる。
また、以下の説明における不織布としては、部位や目的に応じて公知の不織布を適宜使用することができる。不織布の構成繊維としては、例えばポリエチレン又はポリプロピレン等のオレフィン系、ポリエステル系、ポリアミド系等の合成繊維(単成分繊維の他、芯鞘等の複合繊維も含む)の他、レーヨンやキュプラ等の再生繊維、綿等の天然繊維等、特に限定なく選択することができ、これらを混合して用いることもできる。不織布の柔軟性を高めるために、構成繊維を捲縮繊維とするのは好ましい。また、不織布の構成繊維は、親水性繊維(親水化剤により親水性となった疎水性繊維を含む)であっても、疎水性繊維若しくは撥水性繊維(撥水剤により撥水性となった撥水性繊維を含む)であってもよい。また、不織布は一般に繊維の長さや、シート形成方法、繊維結合方法、積層構造により、短繊維不織布、長繊維不織布、スパンボンド不織布、メルトブローン不織布、スパンレース不織布、サーマルボンド(エアスルー)不織布、ニードルパンチ不織布、ポイントボンド不織布、積層不織布(同一又は類似の不織布層が積層されたSSS不織布等の他、異なる不織布層が積層された、スパンボンド層間にメルトブローン層を挟んだSMS不織布、SMMS不織布等)等に分類されるが、これらのどの不織布も用いることができる。積層不織布は、すべての層を含む一体の不織布として製造され、すべての層にわたる繊維結合加工がなされたものを意味し、別々に製造された複数の不織布をホットメルト接着剤等の接合手段により貼り合わせたものは含まない。
図1~図6は、パンツタイプ使い捨ておむつを示している。符号LD(縦方向)は前後方向を、WDは幅方向を示している。このパンツタイプ使い捨ておむつ(以下、単におむつともいう。)は、前身頃F及び後身頃Bをなす外装体20と、この外装体20の内面に固定され一体化された内装体10とを有しており、内装体10は液透過性のトップシート11と液不透過性シート12との間に吸収体13が介在されてなるものである。製造に際しては、外装体20の内面(上面)に対して内装体10の裏面がホットメルト接着剤などの接合手段によって接合された後に、内装体10及び外装体20が前身頃F及び後身頃Bの境界である前後方向LD(縦方向)の中央で折り畳まれ、その両側部が相互に溶着によって接合されてサイドシール部21が形成される。このサイドシール部21の形成によって、ウエスト開口及び左右一対の脚開口が形成される。
(内装体の構造例)
内装体10は、図4~図6に示すように、トップシート11と、ポリエチレン等からなる液不透過性シート12との間に、吸収体13を介在させた構造を有しており、トップシート11を透過した排泄液を吸収保持するものである。内装体10の平面形状は特に限定されないが、図1に示されるようにほぼ長方形とすることが一般的である。
吸収体13の表側(肌側)を覆うトップシート11としては、有孔又は無孔の不織布や多孔性プラスチックシートなどが好適に用いられる。
吸収体13の裏側(非肌当接側)を覆う液不透過性シート12としては、ポリエチレン又はポリプロピレンなどの液不透過性プラスチックシートを用いることができ、特にムレ防止の点から透湿性を有するもの、例えばポリエチレンやポリプロピレン等のオレフィン樹脂中に無機充填材を溶融混練してシートを形成した後、一軸又は二軸方向に延伸することにより得られる微多孔性シートを好適に用いることができる。
吸収体13としては、公知のもの、例えばパルプ繊維の積繊体、セルロースアセテート等のフィラメントの集合体、あるいは不織布を基本とし、必要に応じて高吸収性ポリマーを混合又は固着等してなるものを用いることができる。この吸収体13は、形状及びポリマー保持等のため、必要に応じてクレープ紙等の、液透過性及び液保持性を有する包装シート14によって包装することができる。
吸収体13の形状は、股間部に前後両側よりも幅の狭い括れ部分13Nを有するほぼ砂時計状に形成されている。括れ部分13Nの寸法は適宜定めることができるが、括れ部分13Nの前後方向長さはおむつ全長の20~50%程度とすることができ、その最も狭い部分の幅は吸収体13の全幅の40~60%程度とすることができる。このような括れ部分13Nを有する場合において、内装体10の平面形状がほぼ長方形とされていると、内装体10における吸収体13の括れ部分13Nと対応する部分に、吸収体13を有しない無吸収体側部17が形成される。
液不透過性シート12は、トップシート11とともに吸収体13の幅方向両側で裏側に折り返されている。この液不透過性シート12としては、排便や尿などの褐色が出ないように不透明のものを用いるのが望ましい。不透明化としては、プラスチック中に、炭酸カルシウム、酸化チタン、酸化亜鉛、ホワイトカーボン、クレイ、タルク、硫酸バリウムなどの顔料や充填材を内添してフィルム化したものが好適に使用される。
内装体10の両側部には脚周りにフィットする立体ギャザー90が形成されている。この立体ギャザー90は、図5及び図6に示されるように、内装体10の裏面の側部に固定された固定部91と、この固定部91から内装体10の側方を経て内装体10の表面の側部上まで延在する本体部92と、本体部92の前後端部が倒伏状態で内装体10の表面(図示例ではトップシート11)の側部にホットメルト接着剤95b等により固定されて形成された倒伏部分93と、この倒伏部分93間が非固定とされて形成された自由部分94とを有している。これらの各部は、不織布などのシートを折り返して二重シートとしたギャザーシート95により形成されている。ギャザーシート95は、内装体10の前後方向全体にわたり取り付けられており、倒伏部分93は無吸収体側部17よりも前側及び後側に設けられ、自由部分94は無吸収体側部17の前後両側に延在されている。また、二重のギャザーシート95間には、自由部分の先端部等にギャザー弾性部材96が配設されている。ギャザー弾性部材96は、製品状態において図5に示すように、弾性収縮力により自由部分94を立ち上げるためのものである。
ギャザー弾性部材96及びギャザーシート95の固定構造は特に限定されず、例えば図5及び図6に示す例のように、倒伏部分93以外ではギャザー弾性部材96の位置のホットメルト接着剤を介して、ギャザー弾性部材96がギャザーシート95に接着固定されるとともに、ギャザーシート95の対向面が接合されているものの、倒伏部分93では、ギャザー弾性部材96の位置にホットメルト接着剤が無く、したがってギャザー弾性部材96とギャザーシート95とが接着されておらず、ギャザー弾性部材96を有する位置でギャザーシート95の対向面が接合されていない構造を採用することができる。
ギャザー弾性部材96としては、通常使用されるスチレン系ゴム、オレフィン系ゴム、ウレタン系ゴム、エステル系ゴム、ポリウレタン、ポリエチレン、ポリスチレン、スチレンブタジエン、シリコーン、ポリエステル等の素材を用いることができる。また、外側から見え難くするため、太さは925dtex以下、テンションは150~350%、間隔は7.0mm以下として配設するのがよい。なお、ギャザー弾性部材96としては、図示例のような細長状の他、ある程度の幅を有するテープ状のものを用いることもできる。
ギャザーシート95としては各種不織布を用いることができるが、特にはムレを防止するために坪量を抑えて通気性に優れた不織布を用いるのがよい。さらにギャザーシート95については、尿などの透過を防止するとともに、カブレを防止しかつ肌への感触性(ドライ感)を高めるために、シリコーン系、パラフィン金属系、アルキルクロミッククロライド系撥水剤などをコーティングした撥水処理不織布を用いるのが望ましい。
図3~図6に示すように、内装体10はその裏面が、内外固定領域10B(斜線領域)において、外装体20の内面に対してホットメルト接着剤等により接合される。この内外固定領域10Bは、適宜定めることができ、内装体10の幅方向WDのほぼ全体とすることもできるが、幅方向両端部は外装体20に固定しないことが好ましい。
(外装体の構造例)
外装体20は少なくとも前身頃Fの胴周り部T及び後身頃Bの胴周り部Tを有するものであり、図示例では前身頃Fの胴周り部T及び後身頃Bの胴周り部Tの間の前後方向範囲である中間部Lをさらに有するものとなっている。外装体20は図示例のように股間部において外装体20の側縁が内装体10の側縁より幅方向中央側に位置していても、また幅方向外側に位置していても良い。
そして、図示例の外装体20では、その中間部Lの前後方向中間を除いて、図2及び図4~図6に示されるように、第1シート層20A及び第2シート層20Bの間に、弾性シート30が介在されるとともに、図9に示されるように、第1シート層20A及び第2シート層20Bが、間隔を空けて配列された多数の第1接合部40で弾性シート30を貫通する接合孔31を通じて接合された弾性シート伸縮構造20Xを有している。図示しないが、第1シート層20A及び第2シート層20Bの一部分は、間隔を空けて配列された多数の第1接合部40で弾性シート30を介して接合されていてもよい。そして、この弾性シート伸縮構造を有する領域は、弾性シート30の収縮により幅方向に収縮しているとともに幅方向に伸長可能である(つまり伸縮方向EDがおむつの幅方向WDとなる)伸縮領域を有している。
外装体20の平面形状は、中間部Lの幅方向両側縁がそれぞれ脚開口を形成するように凹状の脚周りライン29により形成されており、全体として砂時計に似た形状をなしている。外装体20は、前身頃F及び後身頃Bで個別に形成し、両者が股間部でおむつの前後方向LDに離間するように配置しても良い。
図1及び図2に示す形態は、弾性シート伸縮構造20Xがウエスト端部23まで延在されている形態であるが、ウエスト端部23に弾性シート伸縮構造20Xを用いると、ウエスト端部23の締め付けが不十分になる等の不都合が生じる可能性があるため、必要に応じて、図7及び図8に示すようにウエスト端部23には弾性シート伸縮構造20Xを設けずに、従来の細長状のウエスト部弾性部材24による伸縮構造を設けることもできる。ウエスト部弾性部材24は、前後方向LDに間隔をおいて配置された複数の糸ゴム等の細長状弾性部材であり、身体の胴周りを締め付けるように伸縮力を与えるものである。ウエスト部弾性部材24は、間隔を密にして実質的に一束として配置されるのではなく、所定の伸縮ゾーンを形成するように前後方向に3~8mm程度の間隔を空けて、3本以上、好ましくは5本以上配置される。ウエスト部弾性部材24の固定時の伸長率は適宜定めることができるが、通常の成人用の場合230~320%程度とすることができる。ウエスト部弾性部材24は、図示例では糸ゴムを用いたが、例えば平ゴム等、他の細長状の伸縮部材を用いても良い。図示しないが、ウエスト端部23に弾性シート30を設けるとともに、弾性シート30と重なる位置に細長状のウエスト部弾性部材24を設け、両方の弾性部材による伸縮構造とすることもできる。また、図示形態では、外装体20における脚開口の縁部分には、脚開口に沿って延びる細長状弾性部材は設けられていないが、当該縁部分における弾性シート30と重なる位置に、又は当該縁部分の弾性シート30に代えて、細長状弾性部材を設けることもできる。
他の形態としては、図示しないが、前身頃Fの胴周り部Tと後身頃Bの胴周り部Tとの間の中間部Lには弾性シート伸縮構造20Xを設けない形態としたり、前身頃Fの胴周り部T内から中間部Lを経て後身頃Bの胴周り部T内まで前後方向LDに連続的に弾性シート伸縮構造20Xを設けたり、前身頃F及び後身頃Bのいずれか一方にのみ弾性シート伸縮構造20Xを設けたりすること等、適宜の変形も可能である。
また、外装体20は、前身頃Fの幅方向WD両側及び後身頃Bの幅方向WD両側に位置する第1領域81と、この第1領域81よりも幅方向WD中央側に位置する第2領域82を有している。
サイドシール部21は第1領域81に含まれている。この第1領域81は、サイドシール部21の幅方向WD内側に隣接し、かつパンツタイプ使い捨て着用物品の幅方向WD両端部に位置する部分(以下「隣接端部83」という)を含む場合がある。第1領域81が隣接端部83を含むか否かの判断手法は特に限定されないが、例えばサイドシール部21の第1接合部40の大きさと隣接端部83の第1接合部40の大きさを比較し、両者がほぼ同じ大きさであれば、第1領域81に隣接端部83が含まれ、両者が異なる大きさであれば、第1領域81に隣接端部83が含まれないと判断することができる。
パンツタイプ使い捨て着用物品をできる限り幅方向に伸長させた状態において、この隣接端部83の幅W3(サイドシール部21の幅方向WD内側の端縁を起点とし、そこから幅方向WD内側へ延びた長さ)は、5~20mmとすることが好ましく、10~15mmとすることがより好ましい。パンツタイプ使い捨て着用物品をできる限り幅方向に伸長させた状態において、パンツタイプ使い捨て着用物品の全幅W1を100%としたときに、前記隣接端部83の幅W3を0.5~5%程度とすることが好ましく、1~3%程度とすることがより好ましい。
通常、パンツタイプ使い捨て着用物品の製造ラインでは、第1シート層20Aおよび第2シート層20Bを構成する資材や弾性シート30が高速で移動しているため、サイドシール部21に位置する第1接合部40の面積だけを大きくすることは難しく、そのサイドシール部21に隣接する部分(サイドシール部21に隣接する近傍部分)の第1接合部40の大きさも大きくなってしまう可能性が高い。そのため、前述のように第1領域81の幅方向WDの長さについてはある程度の幅を持たせ、場合によっては隣接端部83も第1領域81に含まれることとしている。他方、第2領域82の典型的な位置は、パンツタイプ使い捨て着用物品の幅方向WD中央部分である。
(伸縮領域)
外装体20における弾性シート伸縮構造20Xを有する領域は、幅方向WDに伸縮可能な伸縮領域を有している。伸縮領域80では、弾性シート30の収縮力により幅方向WDに収縮しているとともに、幅方向WDに伸長可能となっている。より具体的には、弾性シート30を幅方向WDに伸長した状態で、幅方向WD及びこれと直交する前後方向LD(伸縮方向と直交する方向LD)にそれぞれ間隔を空けて、弾性シート30の接合孔31を介して第1シート層20A及び第2シート層20Bを接合し、多数の第1接合部40を形成することにより、弾性シート伸縮構造20Xを形成するとともに、伸縮領域80では弾性シート30が幅方向WDに途切れずに残り、かつこの弾性シート30の収縮力により第1シート層20A及び第2シート層20Bが収縮して収縮襞25が形成されるように第1接合部40を配置することによって、このような伸縮性を付与することができる。
伸縮領域80では、図9に示す例のように弾性シート30が幅方向WDに沿って直線的に連続する部分32を有していてもよいし、図11に示す例及び図15に示す例のように当該部分32を有していなくてもよい。
伸縮領域80は、自然長状態では、図9及び図14(b)に示すように、第1接合部40間の第1シート層20A及び第2シート層20Bが互いに離間する方向に膨らんで、前後方向LDに延びる収縮襞25が形成され、幅方向WDにある程度伸長した装着状態でも、収縮襞25は伸ばされるものの、残るようになっている。また、図示形態のように、第1シート層20A及び第2シート層20Bは、少なくとも第1接合部40における第1シート層20A及び第2シート層20B間以外では弾性シート30と接合されていないと、装着状態を想定した図9(c)、及び、第1シート層20A及び第2シート層20Bの展開状態を想定した図9(a)からも分かるように、これらの状態では、弾性シート30における接合孔31の縁が、第1接合部40の外周縁から伸縮方向に離れて通気孔33(隙間)が開口し、弾性シート30の素材が無孔のフィルムやシートであっても、この通気孔33により通気性が付加される。特に、弾性シート30が幅方向WDに沿って直線的に連続する部分32を有している場合には、自然長状態では、弾性シート30のさらなる収縮により接合孔31がすぼまり、接合孔31と第1接合部40との間に隙間がほとんど形成されない形態となり、弾性シート30が幅方向WDに沿って直線的に連続する部分を有していない場合には通気孔33が残る。
伸縮領域80の幅方向WDの最大伸びは190%以上(好ましくは200~220%)とすることが望ましい。伸縮領域80の最大伸びは、製造時の弾性シート30の伸長率によってほぼ決まるがこれを基本として、幅方向WDの収縮を阻害する要因により低下する。このような阻害要因の主なものは、幅方向WDにおいて単位長さ当たりに占める第1接合部40の長さLの割合であり、この割合が大きくなるほど最大伸びが低下する。通常の場合、第1接合部40の長さLは第1接合部40の面積率と相関があるため、伸縮領域80の最大伸びは第1接合部40の面積率により調整できる。
伸縮領域80の伸長応力は、図9に示す例のように、弾性シート30が幅方向WDに沿って直線的に連続する部分32を有している場合には、主に弾性シート30が幅方向WDに沿って直線的に連続する部分32(図9(a)参照)の直交方向寸法32wの総和(接合孔の間隔31dに等しい)により調整することができる。一方、図11に示す例及び図15に示す例のように、弾性シート30が幅方向WDに沿って直線的に連続する部分を有していない場合には、伸縮領域80の伸長応力は、第1接合部を有しない部分が連続する無接合帯51,52の連続方向と伸縮方向EDとがなす交差角度により調整でき、通常の場合、展開状態で無接合帯51,52の連続方向と伸縮方向EDとがなす鋭角側交差角θ1,θ2がそれぞれ0度より大きく45度以下、特に10~30度の範囲とすることが好ましい。
第1領域81の第1接合部40(40A)の面積率及び個々の第1接合部40の面積は適宜定めることができるが、通常の場合、次の範囲内とするのが好ましい。
第1領域81の第1接合部40Aの面積:0.3~4.0mm2(より好ましくは0.3~2.0mm2
第1領域81の第1接合部40Aの面積率:4.0~19.1%(より好ましくは3.0~14.0%)
また、第2領域82の第1接合部40(40B)の面積率及び個々の第1接合部40の面積は適宜定めることができるが、通常の場合、次の範囲内とするのが好ましい。
第2領域82の第1接合部40Bの面積:0.14~2.0mm2(より好ましくは0.14~1.0mm2
第2領域82の第1接合部40Bの面積率:1.8~10.6%(より好ましくは1.8~7.0%)
第1領域81の第1接合部40Aの大きさは、第2領域82の第1接合部40Bの大きさよりも大きくすることが好ましい。具体的には、第1領域81に設けられた複数の第1接合部40Aの面積の平均値が、第2領域82に設けられた複数の第1接合部40Aの面積の平均値の2.0倍以上にすることが好ましく、2.3倍以上にすることがより好ましく、2.5倍以上にすることがさらに好ましい。
このような構成にすることで、第1領域81の接合孔31Aの大きさを第2領域82の接合孔31Bと同じ大きさにした場合、または第1領域81の接合孔31Aの大きさを第2領域82の接合孔31Bの大きさよりも小さくした場合と比べて、サイドシールするために形成する第2接合部41を、第1領域81の接合孔31Aの内部に設けやすくなる。第1領域81に形成された接合孔31Aの内部には弾性シート30が存在しないため、第2接合部41を形成する際に弾性シート30を溶融させてサイドシール部21の接合力を高めてしまうということを防ぐことができ、結果としてサイドシール部21を剥離しやすくすることができる。
また、第1領域81に設けられた複数の接合孔31Aの面積の平均値が大きくなるほど、第2接合部41を第1領域81の接合孔31Aの内部に設けやすくなるため、結果としてサイドシール部21をより剥離しやすくすることができる。
また、以上のように、伸縮領域80の最大伸び及び伸長応力は第1接合部40の面積により調整できるため、図7に示すように、伸縮領域80内に第1接合部40の面積率が異なる複数の領域を設け、部位に応じてフィット性を変化させることができる。図7に示す形態では、脚開口の縁部領域82は、それ以外の領域と比べて第1接合部40の面積率が高く、したがって伸長応力が弱く、柔軟に伸縮する領域となっている。
個々の第1接合部40及び接合孔31の自然長状態での形状は、適宜定めることができるが、真円形、楕円形、三角形、長方形(図9、図11、図15参照)、ひし形(図10(b)参照)等の多角形、あるいは凸レンズ形(図10(a)参照)、凹レンズ形(図10(c)参照)、星形、雲形等、任意の形状とすることができる。個々の第1接合部40の寸法は特に限定されないが、最大長さ40y(接合孔31の直交方向の寸法31yにほぼ等しい)は0.5~3.0mm、特に0.7~1.1mmとするのが好ましく、最大幅40xは0.1~3.0mm、特に伸縮方向と直交する方向XDに長い形状の場合には0.1~1.1mmとするのが好ましい。
ただし、第1領域81の第1接合部40Aの形状は、幅方向WDに広がった形状にしないことが好ましい。第1領域81の第1接合部40Aの形状を幅方向WDに広がった形状にすると(例えば、図26(c)や(e)の形態)、弾性シート30が幅方向WDに伸縮することから、第1接合部40Aの外縁と接合孔33の縁の間に間隙が生じづらくなるため、接合孔33の内部に第2接合部41を設ける際に、第1接合部40Aと第2接合部41の設置箇所が重なりやすくなってしまい、その結果サイドシール部21の剥離しにくくなるおそれがあるからである。
そのため、第1領域81の第1接合部40Aの形状を、例えば前後方向LDに延在する直線状(図26(a)や(b)の形態)、または幅方向両側から内側へ向かって窪んだ凹形状(図26(d)の形態)とすることで、第1接合部40Aの外縁と接合孔33の間に間隙を生じやすくして、第1接合部40Aと第2接合部41の設置箇所を重なりにくくすることが好ましい。
ちなみに、第1接合部40Aと第2接合部41の重なりを防ぐために、第1領域81の接合孔31Aの幅方向WDの最も外側の端縁から接合孔33の幅方向WDの最も外側の端縁までの長さW4を2~10mm程度設けることが好ましく、3~5mm程度設けることがより好ましい。第1領域81の接合孔31Aの幅方向WDの最も内側の端縁から接合孔33の幅方向WDの最も内側の端縁までの長さについても同様に、前述と同じ長さを設けることが好ましい。
伸縮領域80の第1接合部40の配列パターンは、特に限定されず、あらゆるパターン(例えば特許文献1~8参照)を採用することができるが、特に、図9に示す例、図11に示す例及び図15に示す例のように、第1接合部を有しない部分が連続する無接合帯が斜め格子状に存在するものであると好ましい。図示例は、中でも特に好ましい例を示しており、伸縮領域80には、展開状態で、第1接合部40を有しない部分が連続する無接合帯51,52として、伸縮方向EDに対して鋭角(鋭角側交差角θ1)に交わる第1方向51dに沿って直線的に連続する第1無接合帯51が、第1方向51dと直交する方向に間隔を空けて繰り返し存在する。また、伸縮領域80における隣り合う第1無接合帯51の間には、第1接合部40及び接合孔31が間隔を空けて多数設けられる。そして特徴的には、第1方向51dと直交する方向の幅として定まる第1幅51wが異なる複数本の第1無接合帯51を含む単位構造が、伸縮領域80における第1方向51dと直交する方向に繰り返し存在する。
このように、第1幅51wが異なる複数本の第1無接合帯51を含む単位構造が、伸縮領域80における第1方向51dと直交する方向に繰り返し存在すると、第1無接合帯51の内部の弾性シート30の連続部にも、同様の大小関係の幅変化が形成される。つまり、第1無接合帯51の幅51wが狭ければ、内部の弾性シート30の連続部の幅も狭くなり、第1無接合帯51の幅51wが広ければ、内部の弾性シート30の連続部の幅も広くなる。そして、第1無接合帯51内の弾性シート30の連続部に、第1幅51wの変化があると、幅の広い第1無接合帯51内の弾性シート30の連続部及び幅の狭い第1無接合帯51内の弾性シート30の連続部の双方が視覚的に強調される結果、伸縮領域80が自然長状態(図13及び図17参照)であっても、ある程度伸長した装着状態であっても、斜め縞模様の美しい外観を呈することとなる。すなわち、ある程度収縮した状態では、第1無接合帯51における収縮襞25の大きさが、第1無接合帯51の第1幅51wに応じて変化するため、この収縮襞25の影響により斜め縞模様がよりはっきりと現出するようになる。
上述の単位構造は、第1幅51wが異なる複数本の第1無接合帯51を含む限り、その幅51wの大小の程度により限定されるものではないが、第1無接合帯51における第1幅51wは、最も近い幅51wの第1無接合帯51に対して、大きい場合には1.2~60倍、小さい場合には0.01~0.8倍であることが好ましい。
また、上述の単位構造は、第1幅51wが異なる複数本の第1無接合帯51を含む限り、すべての第1無接合帯51における第1幅51wが異なっていてもよいし、図示するように一部の複数本の第1無接合帯51における第1幅51wと、他の単数又は複数本の第1無接合帯51の第1幅51wとが異なっていてもよい。
伸縮領域80に、第1無接合帯51の収縮襞25及びその内部の弾性シート30の連続部による第1方向51dに沿う斜め縞模様が現出するとしても、同一の伸縮領域80に他の斜め方向に沿う斜め縞模様がより強く視認されると、第1無接合帯51の収縮襞25及びその内部の弾性シート30の連続部による斜め縞模様が目立たなくなるおそれがある。これに対して、第1無接合帯51における第1幅51wの最大値が、傾斜方向が異なる及び共通するすべての無接合帯51,52における連続方向と直交する方向の幅の最大値となっていると、伸縮領域80内では第1無接合帯51の収縮襞25及びその内部の弾性シート30の連続部による斜め縞模様が、より強く視認されるようになるため好ましい。この場合における、第1無接合帯51における第1幅51wの最大値は適宜定めることができるが、最も近い幅51wの第1無接合帯51に対して1.2~60倍であることが好ましい。なお、第1無接合帯51を含むすべての無接合帯51,52は、連続方向と直交する方向の幅が限定されるものではないが、通常の場合0.02~5mmの範囲内であることが好ましい。いうまでもないが、無接合帯51,52の連続方向と直交する方向の幅は、第1無接合帯51にあっては第1幅51wのことであり、直線的に連続する部分であるため等幅である。
隣り合う第1無接合帯51における第1方向51dと直交する方向の間隔として定まる第1間隔51sは適宜定めることができる。よって、この第1間隔51sは、隣り合う第1無接合帯51における第1幅51wと同じにしても、より広くしても、より狭くしてもよい。一つの好ましい例としては、単位構造における、第1無接合帯51における第1幅51wの最大値が第1間隔51sの最大値よりも小さい形態を挙げることができる。このように、単位構造に広い間隔部分を形成することにより、第1無接合帯51の収縮襞25及びその内部の弾性シート30の連続部による斜め縞模様が、より強く視認されるようになる。この場合における、第1無接合帯51における第1幅51wの最大値は適宜定めることができるが、第1間隔51sの最大値の0.01~9倍であると好ましい。なお、第1無接合帯51を含むすべての無接合帯51,52における連続方向と直交する方向の間隔は特に限定されるものではないが、通常の場合0.3~50mmの範囲内であることが好ましい。いうまでもないが、無接合帯51,52における連続方向と直交する方向の間隔は、第1無接合帯51にあっては第1間隔51sのことであり、連続方向に等しくなるものである。
伸縮領域80には、無接合帯51,52として、第1方向51d以外の、伸縮方向EDに対して鋭角(鋭角側交差角θ2)に交わる第2方向52dに沿って直線的に連続する第2無接合帯52が、第2方向52dと直交する方向に間隔を空けて繰り返し存在してもよいし、第2無接合帯52が存在しなくてもよい。第2無接合帯52を有する一つの好ましい形態は、伸縮領域80には、無接合帯51,52が斜め格子状に形成されており、第1無接合帯51は、斜め格子状の無接合帯51,52における一方の方向に連続する部分であり、第2無接合帯52は、斜め格子状の無接合帯51,52における他方の方向に連続する部分であるとものである。この場合、第1方向51d及び第2方向52dは、伸縮方向EDに対する傾きの正負が互いに逆となる。なお、図11に示す例及び図15に示す例のように、幅方向WD(伸縮方向ED)に連続する無接合帯51,52を有しない形態であっても、伸縮領域80の展開状態で、第1方向51d及び第2方向52dの伸縮方向EDに対する鋭角側交差角θ1,θ2がそれぞれ5~45度、特に10~30であることにより、伸縮領域80における伸縮性を十分に確保することができる。
図15に示す例のように第2無接合帯52を有する場合、第2無接合帯52における第2方向と直交する方向の幅として定まる第2幅52wがすべて同一であるか、又は、第2無接合帯52を有しないように第1接合部40を配置すると好ましい。これにより、伸縮領域80内では第1無接合帯51の収縮襞25及びその内部の弾性シート30の連続部による斜め縞模様が、より強く視認されるようになる。
他方、隣り合う第1無接合帯51の間には、第1接合部40を第1方向51dに整列させることとなるが、この場合例えば図16に示すように、第1接合部40はすべて、伸縮方向EDと直交する方向に対する長手方向の鋭角側交差角θ3が10度以内、かつ伸縮方向EDの最大寸法40eが0.1~0.4mmの細長状をなしていると、第1無接合帯51の伸縮方向EDの寸法をより大きく確保することができ、伸縮性の低下を抑制することができるため好ましい。
また、図11に示す例のように、単位構造に、第1幅51wが最大となる広幅第1無接合帯51、及びこれよりも第1幅51wが狭い狭幅第1無接合帯51を、それぞれ第1方向51dと直交する方向に隣接して複数本含む場合、隣り合う広幅第1無接合帯51の間には、第2方向52dに対する長手方向の鋭角側交差角が5度以内、かつその長手方向と直交する方向の最大寸法40fが0.1~0.4mmの細長状をなす第1接合部40が、第1方向51dに間隔を空けて整列されていると好ましい。また、隣り合う狭幅第1無接合帯51の間には、第1方向51dに対する長手方向の鋭角側交差角θ3が45度以上、かつその長手方向と直交する方向の最大寸法40gが0.1~0.4mmの細長状をなす第1接合部40が、第1方向51dに間隔を空けて整列されていると好ましい。このような第1接合部40の形状及び配置により、より少ない第1接合部40の面積で、第1無接合帯51の収縮襞25及びその内部の弾性シート30の連続部が特に視覚的に強調されるようになる。
隣り合う無接合帯51,52の間に位置する第1接合部40の列(無接合帯51,52の連続方向の列)は、一列であっても複数列であってもよい。また、列の方向における第1接合部40の間隔は規則的であることが好ましいが、すべての間隔が一定である必要はなく、一部の間隔が異なっていてもよい。
(中間非伸縮領域)
図7に示すように、外装体20における弾性シート伸縮構造20Xを有する領域のうち、吸収体13と重なる部分の一部又は全部(内外固定領域10Bのほぼ全体を含むことが望ましい)に中間非伸縮領域70を設けることができる。伸縮領域80及び中間非伸縮領域70の配置は適宜定めることができる。例えば、吸収体13と重なる領域からその幅方向WD又は前後方向LDに位置する吸収体13と重ならない領域にかけて中間非伸縮領域70を設けることもできる。中間非伸縮領域70は、伸縮方向の最大伸びが120%以下を意味する。中間非伸縮領域70の最大伸びは110%以下であると好ましく、100%であるとより好ましい。
中間非伸縮領域70における個々の第1接合部40の形状は、特に限定されず、伸縮領域80の項で述べたものと同様の形状から適宜選択することができる。
また、中間非伸縮領域における第1接合部40の面積率及び個々の第1接合部40の面積は適宜定めることができるが、通常の場合、次の範囲内とすると、各第1接合部40の面積が小さくかつ第1接合部40の面積率が低いことにより中間非伸縮領域70が硬くならいためが好ましい。
第1接合部40の面積:0.10~0.75mm2(特に0.10~0.35mm2
第1接合部40の面積率:4~13%(特に5~10%)
中間非伸縮領域70は、弾性シート30の収縮力により第1シート層20A及び第2シート層20Bが収縮して襞が形成されないように第1接合部40を密に配置すること等によって形成することができる。中間非伸縮領域70の形成手法の具体例としては、例えば特許文献3~6記載のものを挙げることができる。図21及び図22は、特許文献6記載の中間非伸縮領域70の例を示している。この中間非伸縮領域70では、接合孔31がある程度以上密な配置で千鳥状に配列され、弾性シート30が伸縮方向EDに連続するものの、接合孔31の存在により伸縮方向EDに沿って直線的に連続する部分を有しないものである。この場合、図21及び図22に示すように、自然長の状態及び展開状態のいずれでもほぼ変わりない大きさで通気孔33(隙間)が開口する。
(第1接合部の接合構造)
第1接合部40における第1シート層20A及び第2シート層20Bの接合は、弾性シート30に形成された接合孔31を通じて接合される場合、少なくとも第1接合部40における第1シート層20A及び第2シート層20B間以外では、第1シート層20A及び第2シート層20Bは弾性シート30と接合されていないことが望ましい。
第1接合部40における第1シート層20A及び第2シート層20Bの接合手段は特に限定されない。例えば、第1接合部40における第1シート層20A及び第2シート層20Bの接合はホットメルト接着剤によりなされていても、ヒートシールや超音波シール等の素材溶着による接合手段によりなされていても良い。
第1接合部40において第1シート層20A及び第2シート層20Bが弾性シート30の接合孔31を通じて接合される場合、第1接合部40が素材溶着により形成される形態は、第1接合部40における第1シート層20A及び第2シート層20Bの少なくとも一方の大部分又は一部の溶融固化物20mのみにより第1シート層20A及び第2シート層20Bが接合される第1溶着形態(図18(a)参照)、第1接合部40における弾性シート30の全部若しくは大部分又は一部の溶融固化物30mのみにより第1シート層20A及び第2シート層20Bが接合される第2溶着形態(図18(b)参照)、及びこれらの両者が組み合わさった第3溶着形態(図18(c)参照)のいずれでも良いが、第2、第3溶着形態が好ましい。
特に好ましいのは、第1シート層20A及び第2シート層20Bの一部の溶融固化物20mと、第1接合部40における弾性シート30の全部若しくは大部分の溶融固化物30mとにより第1シート層20A及び第2シート層20Bが接合される形態である。なお、図20(b)に示される第3溶着形態では、黒色に写っている第1シート層20A又は第2シート層20Bの繊維の溶融固化物20m間に、白色に写っている弾性シート30の溶融固化物30mが見られるのに対して、図20(a)に示される第1溶着形態では、第1シート層20A又は第2シート層20Bの繊維の溶融固化物20m間に弾性シート30の溶融固化物は見られない。
第1接着形態や第3接着形態のように、第1シート層20A及び第2シート層20Bの少なくとも一方の大部分又は一部の溶融固化物20mを接着剤として第1シート層20A及び第2シート層20Bを接合する場合、第1シート層20A及び第2シート層20Bの一部は溶融しない方が第1接合部40が硬質化しないため好ましい。
なお、第1シート層20A及び第2シート層20Bが不織布であるときには、第1シート層20A及び第2シート層20Bの一部が溶融しないことには、第1接合部40の全繊維について芯(複合繊維における芯だけでなく単成分繊維の中心部分を含む)は残るがその周囲部分(複合繊維における鞘だけでなく単成分繊維の表層側の部分を含む)は溶融する形態や、一部の繊維は全く溶融しないが、残りの繊維は全部が溶融する又は芯は残るがその周囲部分は溶融する形態を含む。
第2溶着形態及び第3溶着形態のように、弾性シート30の溶融固化物30mを接着剤として第1シート層20A及び第2シート層20Bを接合すると、剥離強度が高いものとなる。第2溶着形態では、第1シート層20A及び第2シート層20Bの少なくとも一方の融点が弾性シート30の融点及び第1接合部40形成時の加熱温度よりも高い条件下で、第1シート層20A及び第2シート層20B間に弾性シート30を挟み、第1接合部40となる部位を加圧・加熱し、弾性シート30のみを溶融することにより製造することができる。
一方、第3溶着形態では、第1シート層20A及び第2シート層20Bの少なくとも一方の融点が弾性シート30の融点よりも高い条件下で、第1シート層20A及び第2シート層20B間に弾性シート30を挟み、第1接合部40となる部位を加圧・加熱し、第1シート層20A及び第2シート層20Bの少なくとも一方と弾性シート30とを溶融することにより製造することができる。
このような観点から、弾性シート30の融点は80~145℃程度のものが好ましく、第1シート層20A及び第2シート層20Bの融点は85~190℃程度、特に150~190℃程度のものが好ましく、第1シート層20A及び第2シート層20Bの融点と弾性シート30の融点との差は60~90℃程度であるのが好ましい。また、加熱温度は100~150℃程度とするのが好ましい。
第2溶着形態及び第3溶着形態では、第1シート層20A及び第2シート層20Bが不織布であるときには、弾性シート30の溶融固化物30mは、図19(c)に示すように第1接合部40における第1シート層20A及び第2シート層20Bの厚み方向全体にわたり繊維間に浸透していても良いが、図19(a)に示すように厚み方向中間まで繊維間に浸透する形態、又は図19(b)に示すように第1シート層20A及び第2シート層20Bの繊維間にほとんど浸透しない形態の方が、第1接合部40の柔軟性が高いものとなる。
図23は、第2溶着形態及び第3溶着形態を形成するのに好適な超音波シール装置の例を示している。この超音波シール装置では、第1接合部40の形成に際して、外面に第1接合部40のパターンで形成した突起部60aを有するアンビルロール60と超音波ホーン61との間に、第1シート層20A、弾性シート30及び第2シート層20Bを送り込む。この際、例えば上流側の弾性シート30の送り込み駆動ロール63及びニップロール62による送り込み移送速度を、アンビルロール60及び超音波ホーン61以降の移送速度よりも遅くすることにより、送り込み駆動ロール63及びニップロール62によるニップ位置からアンビルロール60及び超音波ホーン61によるシール位置までの経路で、弾性シート30をMD方向(マシン方向、流れ方向)に所定の伸長率まで伸長する。この弾性シート30の伸長率は、アンビルロール60及び送り込み駆動ロール63の速度差を選択することにより設定することができ、例えば300%~500%程度とすることができる。62はニップロールである。
アンビルロール60と超音波ホーン61との間に送り込まれた、第1シート層20A、弾性シート30及び第2シート層20Bは、この順に積層した状態で、突起部60aと超音波ホーン61との間で加圧しつつ、超音波ホーン61の超音波振動エネルギーにより加熱し、弾性シート30のみを溶融するか、又は第1シート層20A及び第2シート層20Bの少なくとも一方と弾性シート30とを溶融することによって、弾性シート30に接合孔31を形成するのと同時に、その接合孔31を通じて第1シート層20A及び第2シート層20Bを接合する。したがって、この場合にはアンビルロール60の突起部60aの大きさ、形状、離間間隔、ロール長方向及びロール周方向の配置パターンなどを選定することにより、第1接合部40の面積率を選択することができる。
接合孔31が形成される理由は必ずしも明確ではないが、弾性シート30におけるアンビルロール60の突起部60aと対応する部分が溶融して周囲から離脱することにより開孔するものと考えられる。この際、弾性シート30における、伸縮方向EDに並ぶ隣接する接合孔31の間の部分は、図9(a)、図12及び図13に示すように、接合孔31により伸縮方向両側の部分から切断され、収縮方向両側の支えを失うことになるため、収縮方向と直交する方向の連続性を保ちうる範囲で、伸縮方向EDと直交する方向LDの中央側ほど伸縮方向中央側に釣り合うまで収縮し、接合孔31が伸縮方向EDに拡大する。
第1シート層20A及び第2シート層20Bの構成材は、特に限定無く使用できるが、通気性を有することが好ましい。よって、これらの観点及び柔軟性の観点から不織布を用いることが好ましい。不織布を用いる場合、その目付けは10~25g/m2程度とするのが好ましい。また、第1シート層20A及び第2シート層20Bの一部又は全部は、一枚の資材を折り返して対向させた一対の層であっても良い。例えば、図示形態のように、ウエスト端部23では、外側に位置する構成材を第2シート層20Bとし、かつそのウエスト開口縁で内面側に折り返してなる折り返し部分20Cを第1シート層20Aとして、その間に弾性シート30を介在させるとともに、それ以外の部分では内側に位置する構成材を第1シート層20Aとし、外側に位置する構成材を第2シート層20Bとして、その間に弾性シート30を介在させることができる。もちろん、前後方向LDの全体にわたり第1シート層20Aの構成材及び第2シート層20Bの構成材を個別に設け、構成材を折り返しすることなく、第1シート層20Aの構成材及び第2シート層20Bの構成材間に弾性シート30を介在させることもできる。
弾性シート30は特に限定されるものではなく、それ自体弾性を有する熱可塑性樹脂製のシートであれば、弾性(エラスティック)フィルムの他、伸縮不織布であってもよい。また、弾性シート30としては、無孔のものの他、通気のために多数の孔やスリットが形成されたものも用いることができる。特に、幅方向WD(伸縮方向ED、MD方向)における引張強度が8~25N/35mm、前後方向LD(伸縮方向と直交する方向XD、CD方向)における引張強度が5~20N/35mm、幅方向WDにおける引張伸度が450~1050%、及び前後方向LDにおける引張伸度が450~1400%の弾性シート30であると好ましい。弾性シート30の厚みは特に限定されないが、20~40μm程度であるのが好ましい。
図24は、パンツタイプ使い捨ておむつの製造方法の一例を示したものである。この製造ラインは、おむつ幅方向WDがMD方向(マシンディレクション、ライン流れ方向)となる横流れ形態となっており、ここで外装帯状体200(外装体20となる部分)が形成され、別のラインで製造された内装体10が外装帯状体200に取り付けられた後、CD方向中央で折り畳み、前身頃Fにおける外装体20の両側部となる部位と後身頃Bにおける外装体20の両側部となる部位とをそれぞれ溶着するとともに、個々のおむつDPに分割される。なお、説明を分かりやすくするために、製造過程で連続している部材についても、その一部については製造後の部材と同じ名称及び符号を用いている。
より詳細に説明すると、この製造ラインは、外装体組立工程301、内装体取付工程302、脚開口打ち抜き工程303、折り畳み工程304、サイドシール部形成工程・切り離し工程305を有している。すなわち、外装体組立工程301では、図23に拡大して示すように、所定の幅で帯状に連続する第1シート層20A及び第2シート層20Bがその連続方向に沿って貼り合わされるように超音波シール装置60,61に供給されるとともに、所定の幅で帯状に連続する弾性シート30が超音波シール装置60,61よりも遅い送り速度の駆動ロール63及びニップロール62を経て、その速度差によりMD方向に伸長された状態で第1シート層20A及び第2シート層20B間に挟むようにして超音波シール装置60,61に供給される。図示形態では、第1シート層20Aを前後別々に供給するために一枚のシート材をスリッター62により二分割しているが、前後別々のシート材を供給しても良く、また第1シート層20Aを前後別々とせず、第2シート層20Bと同様に前後一体的なシート材を供給しても良い。同様に、図示形態では、弾性シート30を前後別々に供給するために一枚の弾性シート30をスリッター62により二分割しているが、前後別々の弾性シート30を供給しても良く、また弾性シート30を前後別々とせず、前後一体的な弾性シート30を供給しても良い。
超音波シール装置60,61では、前述の伸縮領域80及び非伸縮領域70における接合部40のパターンに配列された多数の突起部60aを外周面に備えたアンビルロール60と、これに対向配置された超音波ホーン61とにより、第1シート層20A、MD方向に伸長した弾性シート30、及び第2シート層20Bを挟み、超音波ホーン61の超音波振動エネルギーにより加熱し、突起部60aと超音波ホーン61の外周面との間で厚み方向に加圧される部位のみ、弾性シート30を溶融して貫通孔31を形成するとともに、その貫通孔31の位置で第1シート層20A及び第2シート層20Bを溶着により接合し、第1接合部40を形成する。これにより、外装帯状体200が形成される。第1接合部40を形成した後の断面構造は、図26(a)にも概略的に示されている。図示例は、超音波シール装置60,61を使用しているが、ヒートシール等の他の装置を用いることもできる。
超音波シール装置60,61以降は、基本的に公知の製造工程を採用してパンツタイプ使い捨ておむつを形成することができる。図示形態では、超音波シール装置60,61を経て形成された外装体20に対して、内装体取付工程302で、別ラインで製造される内装体10がMD方向に所定の間隔を空けて供給され、ホットメルト接着剤やヒートシール等の適宜手段により外装体20に対して接合されることにより、内装組み付け体10,20が形成され、次いで脚開口打ち抜き工程303ではカッター装置67により脚開口が順に形成された後、折り畳み工程304において内装組み付け体10,20がCD方向(MD方向と直交する横方向)中央で折り畳まれた後、サイドシール部形成工程・切り離し工程305において、個々のおむつDPの両側部となる部分で前身頃Fの外装体20及び後身頃Bの外装体20が接合されてサイドシール部21が形成されるとともに、個々のおむつの境界Qで外装体20が切断されて、個々のおむつDPが得られる。
(サイドシール部)
特徴的には図1、図2、図7のほか、図25に拡大して示すように、外装体20は、幅方向WD両端部にサイドシール部21を有している。このサイドシール部21は、第1シート層20A及び第2シート層20Bと、第1シート層20A及び第2シート層20Bの間に介在された弾性シート30とを有している。
このサイドシール部21には、前身頃Fの前記第1シート層20A及び第2シート層20B並びに後身頃Bの前記第1シート層20A及び第2シート層20Bを接合する第2接合部41が、前後方向LDに所定の間隔を空けながら複数個設けられており、この第2接合部41が弾性シート30に形成された接合孔31の内部に位置している。
例えば、接合孔31の外側、すなわち弾性シート32が存在する部分に第2接合部41が設けられると、第2接合部41を設ける際に弾性シート32が溶融して第1シート層20Aと第2シート層20Bを強固に接合するため、サイドシール部21全体の接合力が高くなり、剥離にくくなる。そこで、弾性シート30の接合孔31の内側に第2接合部20Bを設けることによって、第1シート層20Aと第2シート層20Bの接合が強くなりすぎることを防ぎ、結果としてサイドシール部21の剥離を容易にしている。
なお、サイドシール部21の剥離の容易化という観点からは、すべての第2接合部41を接合孔31の内部に配置することが理想的ではあるが、接合孔31や第2接合部41の数、大きさおよび形状等、そして製造時に資材が高速で移動することによる第2接合部41の位置決めの困難性も考慮すると、必ずしもすべての第2接合部41を接合孔31の内部に配置する必要はない。
具体的には、すべての第2接合部41の合計面積の50%以上を接合孔31内に位置させることが好ましく、すべての第2接合部41の合計面積の80%以上を接合孔31内に位置させることがより好ましく、すべての第2接合部41の合計面積の100%を接合孔31内に位置させることが最も好ましい。
また、個々の第2接合部41の自然長状態での形状は、適宜定めることができるが、長方形(特に横長の長方形)、真円形、楕円形、三角形、ひし形等の多角形、あるいは凸レンズ形、凹レンズ形、星形、雲形等、任意の形状とすることができる。
また、弾性シート30に形成された接合孔31の内部において、第1接合部40を形成する位置と第2接合部41を形成する位置を重ねないようにすることが好ましい。
前述のとおり、接合孔31の内部には第1接合部40が設けられている。そして、この接合孔31の内部に第2接合部41を設ける場合、第1接合部40と第2接合部41を重ねて設けてしまうと、第1接合部40の存在によって強く接合されていた第1シート層20Aと第2シート層20Bの接合力をさらに強くしてしまうことになり、サイドシール部21の剥離が困難になる。そこで、接合孔31の内部において、できる限り第1接合部40と重ならない位置に第2接合部41を設けることが好ましい。
なお、サイドシール部21の剥離の容易化という観点からは、すべての第2接合部41を第1接合部40と重ならない位置に配置することが理想的ではあるが、第1接合部40や第2接合部41の数、大きさおよび形状等、そして製造時に資材が高速で移動することによる第2接合部41の位置決めの困難性も考慮すると、必ずしもすべての第2接合部41を第1接合部40と重ならない位置に配置する必要はない。
具体的には、すべての第2接合部41の合計面積の50%以上を第1接合部40と重ならない位置に配置させることが好ましく、すべての第2接合部41の合計面積の80%以上を第1接合部40と重ならない位置に配置させることがより好ましく、すべての第2接合部41の合計面積の100%を第1接合部40と重ならない位置に配置させることが最も好ましい。
一般的に、第1接合部40は接合孔31の中央部分に設けられることが多いため、この第1接合部40の左側若しくは右側又は左右両側に第2接合部41を設けることが好ましい。
また、サイドシール部21の積層枚数は、前後方向LDに沿って異なっていることが多い。具体的には、ウエスト端部23で、第1シート層20Aや第2シート層20B等が折り返されていることが多いため、ウエスト端部23の積層枚数が多く、ウエスト端部23以外の部分で積層枚数が少なくなる傾向がある。このように前後方向LDで積層枚数が異なる状態でサイドシールすると、積層枚数がサイドシール部21の積層枚数が多い部分では、サイドシール部21の接合力が強くなる傾向があり、サイドシール部21の積層枚数が少ない部分では、サイドシール部21の接合力が弱くなる傾向がある。そのため、サイドシール部21の剥離を容易にするためには、サイドシール部21の積層枚数の多い部分を剥離しやすくすることが重要になる。
そこで、サイドシール部21の積層枚数が多い部分では弾性シート30の接合孔31の大きさを大きくし、サイドシール部21の積層枚数が少ない部分では弾性シート30の接合孔31の大きさを小さくすることが好ましい。このようにサイドシール部21の積層枚数が多い部分で、弾性シート30の接合孔31の大きさを大きくすることによって、サイドシール部21全体の引き裂きやすさを高めることができる。
<本発明のその他の効果>
本発明に係るパンツタイプ使い捨て着用物品は、サイドシール部21に弾性シート30を多少含む場合がある。すなわち、すべての第2接合部41を接合孔31の内部に設けることが理想的であるが、実際には多少の第2接合部41が接合孔31の外部に設けられることも想定される。このような場合、ホーンがアンビルに間接的に強く当たることとを防ぐことができ、ホーンに負荷がかかって超音波接着装置の故障につながる可能性を低減できる。
また、サイドシール後の検品工程においても、はサイドシール部21に弾性シート30を含んでいるため、前記特許文献9のようにすべての製品が不良品として検出されてしまうということもない。
また、前記特許文献9のように、弾性シートの収縮部分に隣接する第1シート層や第2シート層に皺が生じて肌触りが悪くなる可能性や、見た目が悪くなるとともに、肌触りが悪そうであるとの先入観を着用者に抱かせてしまうおそれも少ない。
さらに、前記特許文献9のようにサイド非伸縮領域を設けていないため、パンツタイプ使い捨て着用物品に比べて胴回りの伸縮量が少なくなるということもなく、例えば肥満体型の人でも装着が容易になり、かつ、装着後の締め付け感を低減することもできる。
<明細書中の用語の説明>
明細書中の以下の用語は、明細書中に特に記載が無い限り、以下の意味を有するものである。
・「前身頃」「後身頃」は、パンツタイプ使い捨ておむつの前後方向中央を境としてそれぞれ前側及び後側の部分を意味する。また、股間部は、パンツタイプ使い捨ておむつの前後方向中央を含む前後方向範囲を意味し、吸収体が括れ部を有する場合には当該括れ部を有する部分の前後方向範囲を意味する。
・「前後方向」とは図中に符号LDで示す方向(縦方向)を意味し、「幅方向」とは図中にWDで示す方向(左右方向)を意味し、前後方向と幅方向とは直交するものである。
・「MD方向」及び「CD方向」とは、製造設備における流れ方向(MD方向)及びこれと直交する横方向(CD方向)を意味し、製品の部分によっていずれか一方が前後方向となるものであり、他方が幅方向となるものである。不織布のMD方向は、不織布の繊維配向の方向である。繊維配向とは、不織布の繊維が沿う方向であり、例えば、TAPPI標準法T481の零距離引張強さによる繊維配向性試験法に準じた測定方法や、前後方向及び幅方向の引張強度比から繊維配向方向を決定する簡易的測定方法により判別することができる。
・「表側」とは着用した際に着用者の肌に近い方を意味し、「裏側」とは着用した際に着用者の肌から遠い方を意味する。
・「表面」とは部材の、着用した際に着用者の肌に近い方の面を意味し、「裏面」とは着用した際に着用者の肌から遠い方の面を意味する。
・「最大伸び」とは、伸縮方向EDの伸びの最大値(換言すれば第1シート層及び第2シート層が収縮や弛み無く平坦に展開した展開状態の伸び)を意味し、展開状態の長さを自然長を100%としたときの百分率で表すものである。
・「面積率」とは単位面積に占める対象部分の割合を意味し、対象領域(例えば伸縮領域80)における対象部分(例えば第1接合部40)の総和面積を当該対象領域の面積で除して百分率で表すものであり、特に伸縮構造を有する領域における「面積率」とは、展開状態の面積率を意味するものである。対象部分が間隔を空けて多数設けられる形態では、対象部分が10個以上含まれるような大きさに対象領域を設定して、面積率を求めることが望ましい。
・「伸長率」は、自然長を100%としたときの値を意味する。例えば、伸長率が200%とは、伸長倍率が2倍であることと同義である。
・「目付け」は次のようにして測定されるものである。試料又は試験片を予備乾燥した後、標準状態(試験場所は、温度23±1℃、相対湿度50±2%)の試験室又は装置内に放置し、恒量になった状態にする。予備乾燥は、試料又は試験片を温度100℃の環境で恒量にすることをいう。なお、公定水分率が0.0%の繊維については、予備乾燥を行わなくてもよい。恒量になった状態の試験片から、試料採取用の型板(100mm×100mm)を使用し、100mm×100mmの寸法の試料を切り取る。試料の重量を測定し、100倍して1平米あたりの重さを算出し、目付けとする。
・吸収体の「厚み」は、株式会社尾崎製作所の厚み測定器(ピーコック、ダイヤルシックネスゲージ大型タイプ、型式J-B(測定範囲0~35mm)又は型式K-4(測定範囲0~50mm))を用い、試料と厚み測定器を水平にして、測定する。
・上記以外の「厚み」は、自動厚み測定器(KES-G5 ハンディ圧縮計測プログラム)を用い、荷重:0.098N/cm2、及び加圧面積:2cm2の条件下で自動測定する。
・「引張強度」及び「引張伸度(破断伸び)」は、試験片を幅35mm×長さ80mmの長方形状とする以外は、JIS K7127:1999「プラスチック-引張特性の試験方法-」に準じて、初期チャック間隔(標線間距離)を50mmとし、引張速度を300mm/minとして測定される値を意味する。引張試験機としては、例えばSHIMADZU社製のAUTOGRAPH AGS-G100Nを用いることができる。
・「伸長応力」とは、JIS K7127:1999「プラスチック-引張特性の試験方法-」に準じて、初期チャック間隔(標線間距離)を50mmとし、引張速度を300mm/minとする引張試験により、弾性領域内で伸長するときに測定される引張応力(N/35mm)を意味し、伸長の程度は試験対象により適宜決定することができる。試験片は幅35mm、長さ80mm以上の長方形状とすることが好ましいが、幅35mmの試験片を切り出すことができない場合には、切り出し可能な幅で試験片を作成し、測定値を幅35mmに換算した値とする。また、対象領域が小さく、十分な試験片を採取できない場合であっても、伸長応力の大小を比較するのであれば、適宜小さい試験片でも同寸法の試験片を用いる限り少なくとも比較は可能である。引張試験機としては、例えばSHIMADZU社製のAUTOGRAPH AGS-G100Nを用いることができる。
・「展開状態」とは、収縮や弛み無く平坦に展開した状態を意味する。
・各部の寸法は、特に記載が無い限り、自然長状態ではなく展開状態における寸法を意味する。
・試験や測定における環境条件についての記載が無い場合、その試験や測定は、標準状態(試験場所は、温度23±1℃、相対湿度50±2%)の試験室又は装置内で行うものとする。
本発明は、パンツタイプ使い捨て着用物品であれば、使い捨ておむつ、生理用ナプキン、スイミングや水遊び用の使い捨て着用物品等に利用できるものである。
10…内装体、10B…内外固定領域、11…トップシート、12…液不透過性シート、13…吸収体、13N…括れ部分、14…包装シート、17…無吸収体側部、20…外装体、20A…第1シート層、20B…第2シート層、20C…折り返し部分、20X…弾性シート伸縮構造、21…サイドシール部、23…ウエスト端部、24…ウエスト部弾性部材、25…収縮襞、29…脚周りライン、30…弾性シート、31…接合孔、31A…第1領域に形成された接合孔(第1接合孔)、31B…第2領域に形成された接合孔(第2接合孔)、33…通気孔、40…第1接合部、40A…第1領域に設けられた第1接合部(第1の1接合部)、40B…第2領域に設けられた第1接合部(第2の1接合部)、41…第2接合部、51,52…無接合帯、51…第1無接合帯、51d…第1方向、51s…第1間隔、51w…第1幅、52…第2無接合帯、52d…第2方向、70…中間非伸縮領域、71…サイド非伸縮領域、80…伸縮領域、90…立体ギャザー、93…倒伏部分、94…自由部分、95…ギャザーシート、96…ギャザー弾性部材、200…外装帯状体、B…後身頃、BR…第1領域と第2領域の仮想境界線、ED…伸縮方向、F…前身頃、L…中間部、LD…前後方向、T…胴周り部、WD…幅方向、W1…パンツタイプ使い捨て着用物品の全幅、W2…サイドシール部の幅、W3…隣接端部の幅、W4…第1領域の接合孔の幅方向最端縁から接合孔の幅方向最端縁までの長さ

Claims (8)

  1. 前身頃から後身頃にわたる一体的な外装体、又は前身頃及び後身頃に別々に設けられた外装体と、この外装体の幅方向中間部に取り付けられた、股間部の前後両側にわたる内装体と、前身頃における外装体の両側部と後身頃における外装体の両側部とがそれぞれ溶着されたサイドシール部と、ウエスト開口及び左右一対の脚開口とを備え、
    前記外装体は、前身頃の幅方向両側及び後身頃の幅方向両側に位置する第1領域と、前記第1領域よりも幅方向中央側に位置し、幅方向に伸縮する第2領域とを有し、
    前記サイドシール部は前記第1領域に含まれており、
    前記外装体は、第1シート層及び第2シート層と、前記第1シート層及び前記第2シート層の間に介在された弾性シートとを有し、
    前記第1シート層及び第2シート層は、間隔を空けて配列された多数の第1接合部で、前記弾性シートを貫通する接合孔を通じて接合されており、
    前記第1領域の前記第1接合部の大きさが前記第2領域の前記第1接合部の大きさよりも大きい、
    ことを特徴とするパンツタイプ使い捨て着用物品。
  2. 前記第1領域に設けられた前記第1接合部の平均面積が、前記第2領域に設けられた前記第1接合部の平均面積の2.0倍以上である、請求項1記載のパンツタイプ使い捨て着用物品。
  3. 前記パンツタイプ使い捨て着用物品を幅方向に伸長した状態において、
    前記第1領域の前記接合孔の大きさが前記第2領域の前記接合孔の大きさよりも大きい、請求項1記載のパンツタイプ使い捨て着用物品。
  4. 前記第1領域に設けられた前記接合孔の平均面積が、前記第2領域に設けられた前記接合孔の平均面積の1.1倍以上である、請求項3記載のパンツタイプ使い捨て着用物品。
  5. 前記サイドシール部において、
    前身頃の前記第1シート層及び第2シート層並びに後身頃の前記第1シート層及び第2シート層は、前後方向に間隔を空けて設けた複数の第2接合部で接合されており、
    第2接合部の総面積の50%以上が前記第1領域に形成された前記接合孔の内部に位置している、請求項1~4のいずれか1項に記載のパンツタイプ使い捨て着用物品。
  6. 前記サイドシール部の複数の前記接合孔のうちの少なくとも一部の接合孔の内部において、
    前記第1接合部の形成された位置と前記第2接合部の形成された位置が重なっていない請求項1~5のいずれか1項に記載のパンツタイプ使い捨て着用物品。
  7. 前記弾性シートは幅方向に伸縮可能なものであり、
    前記第1領域の前記第1接合孔の形状が、前後方向に延在する直線状、または幅方向両側から内側へ向かって窪んだ凹形状である請求項6記載のパンツタイプ使い捨て着用物品。
  8. 前記サイドシール部の積層枚数が前後方向に沿って異なっており、
    前記サイドシール部の積層枚数の多い部分の前記第1接合孔の面積が前記サイドシール部の積層枚数の少ない部分の前記第1接合孔の面積よりも小さい、請求項1~7のいずれか1項に記載のパンツタイプ使い捨て着用物品。
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