JP2022136498A - 剥離層形成用組成物及び剥離層 - Google Patents

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Abstract

【課題】剥離層上に樹脂基板等から構成されるデバイスを形成でき、剥離層と樹脂基板等から構成されるデバイスとの界面で容易に剥離する剥離層を与える剥離層形成用組成物を提供する。【解決手段】(A)ヒドロキシ基、カルボキシ基、アミド基、アルコキシシリル基及び下記式(a1)で表される基からなる群から選ばれる少なくとも1つの基を有するモノマー(a)と、モノマー(a)に包含されないモノマー(b)とを用いて得られる重合体であり、モノマー(a)の含有量が、全モノマー100モル%に対して1~30モル%である重合体、並びに(B)メチロール基又はアルコキシメチル基を有する架橋剤を含有する剥離層形成用組成物。TIFF2022136498000011.tif2227(式中、Rは、アルキル基、アルコキシ基又はフェニル基を表し、破線は結合手を表す。)【選択図】なし

Description

本発明は、剥離層形成用組成物及び剥離層に関する。
近年、電子デバイスには薄型化及び軽量化という特性に加え、曲げることができるという機能を付与することが求められている。このことから、従来の重く脆弱で曲げることができないガラス基板にかわって、軽量なフレキシブルプラスチック基板を用いることが求められる。
特に、新世代ディスプレイでは、軽量なフレキシブルプラスチック基板(以下、樹脂基板ともいう。)を用いたアクティブマトリクス型フルカラーTFTディスプレイパネルの開発が求められている。また、タッチパネル式ディスプレイは、ディスプレイパネルに組み合わせて使用されるタッチパネルの透明電極や樹脂基板等、フレキシブル化に対応する材料が開発されている。透明電極としては、従来使用されていたITOから、PEDOT等の曲げ加工が可能な透明導電性ポリマー、金属ナノワイヤ、及びその混合系等、別の透明電極材料が提案されている(特許文献1~4)。
一方、タッチパネルフィルムの基材も、ガラスからポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリイミド、シクロオレフィン、アクリル等のプラスチックからなるシート等になり、フレキシブル性を持たせた透明フレキシブルタッチスクリーンパネルが開発されている(特許文献5~7)。
一般的に、フレキシブルタッチスクリーンパネルは、安定して生産を行うため、ガラス基板等の支持基板上に剥離(粘着)層を作製し、その上に樹脂基板等から構成されるデバイスを作製した後、該デバイスを前記粘着層から剥離することで生産される(特許文献8)。
剥離層としては、例えば、所定のポリマー及び架橋剤を含む硬化性樹脂化合物が記載されている(特許文献9~10)。これらの剥離層は支持基板上から容易に剥離できる一方、支持基板と剥離層との界面で剥離するため、剥離層がデバイス側に残存し、デバイス作製工程や透過性に悪影響を及ぼす場合がある。
国際公開第2012/147235号 特開2009-283410号公報 特表2010-507199号公報 特開2009-205924号公報 国際公開第2017/002664号 国際公開第2016/160338号 特開2015-166145号公報 特開2016-531358号公報 国際公開第2018/033995号 国際公開第2019/159248号
本発明は、前記事情に鑑みてなされたものであり、剥離層上に樹脂基板等から構成されるデバイスを形成でき、剥離層と樹脂基板等から構成されるデバイスとの界面で容易に剥離する剥離層を与える剥離層形成用組成物を提供することを目的とする。
本発明者は、前記目的を達成するために鋭意検討を重ねた結果、(A)ヒドロキシ基、カルボキシ基、アミド基、アルコキシシリル基及び下記式(a1)で表される基からなる群から選ばれる少なくとも1つの基を有するモノマー(a)と、モノマー(a)に包含されないモノマー(b)とを用いて得られる重合体であり、モノマー(a)の含有量が、全モノマー100モル%に対して1~30モル%である重合体、並びに(B)メチロール基又はアルコキシメチル基を有する架橋剤を含有する剥離層形成用組成物が、剥離層上に樹脂基板等から構成されるデバイスを形成でき、剥離層と樹脂基板等から構成されるデバイスとの界面で容易に剥離する剥離層を再現性よく与え得ることを見出し、本発明を完成した。
すなわち、本発明は、下記の剥離層形成用組成物及び剥離層を提供する。
1. (A)ヒドロキシ基、カルボキシ基、アミド基、アルコキシシリル基及び下記式(a1)で表される基からなる群から選ばれる少なくとも1つの基を有するモノマー(a)と、モノマー(a)に包含されないモノマー(b)とを用いて得られる重合体であり、モノマー(a)の含有量が、全モノマー100モル%に対して1~30モル%である重合体、並びに
(B)メチロール基又はアルコキシメチル基を有する架橋剤
を含有する剥離層形成用組成物。
Figure 2022136498000001
(式中、Rは、アルキル基、アルコキシ基又はフェニル基を表し、破線は結合手を表す。)
2. (A)モノマー(a)が、ヒドロキシ基を有する(メタ)アクリル酸エステル化合物、ヒドロキシ基を有するスチレン化合物、ヒドロキシ基を有する(メタ)アクリルアミド化合物、ヒドロキシ基を有するマレイミド化合物、カルボン酸、カルボキシ基を有する(メタ)アクリル酸エステル化合物、カルボキシ基を有するマレイミド化合物、カルボキシ基を有する(メタ)アクリルアミド化合物、(メタ)アクリルアミド化合物、有機シラン化合物及び式(a1)で表される基を有する化合物からなる群から選ばれるモノマーであり、モノマー(b)が、アクリル酸エステル化合物、メタクリル酸エステル化合物、ビニル化合物、スチレン化合物、マレイミド化合物、アクリロニトリル及びマレイン酸無水物からなる群から選ばれるモノマーである1の剥離層形成用樹脂組成物。
3. (A)重合体のガラス転移温度(Tg)が、25℃以上である1又は2の剥離層形成用樹脂組成物。
4. (B)架橋剤が、下記式(B-1)~(B-5)のいずれかで表される化合物である1~3のいずれかの剥離層形成用樹脂組成物。
Figure 2022136498000002
(式中、R11~R26は、それぞれ独立に、水素原子又は炭素数1~6のアルキル基であり、R27は、水素原子又はメチル基である。)
5. (C)架橋触媒をさらに含有する1~4のいずれかの剥離層形成用樹脂組成物。
6. (C)架橋触媒が、スルホン酸化合物又はその塩である1~5のいずれかの剥離層形成用樹脂組成物。
7. (B)架橋剤の含有量が、(A)重合体100質量部に対し、1~100質量部である1~6のいずれかの剥離層形成用樹脂組成物。
8. (C)架橋触媒の含有量が、(A)重合体100質量部に対し、0.01~20質量部である1~7のいずれかの剥離層形成用樹脂組成物。
9. 1~8のいずれかの剥離層形成用樹脂組成物から得られる剥離層。
10. 9の剥離層に、波長400nmの光透過率が80%以上である樹脂基板が積層された積層体。
11. 前記樹脂基板が、エポキシ化合物を含有する熱硬化膜である10の積層体。
12. 1~8のいずれかの剥離層形成用組成物を基体に塗布し、剥離層を形成する工程、
前記剥離層上に、波長400nmの光透過率が80%以上である樹脂基板を形成する工程、及び
前記樹脂基板を、0.3N/25mm以下の剥離力で剥離する工程
を含む樹脂基板の製造方法。
本発明の剥離層形成用組成物を用いることで、剥離層上に樹脂基板等から構成されるデバイスを形成でき、剥離層と樹脂基板等から構成されるデバイスとの界面で容易に剥離する剥離層を再現性よく得ることできる。また、フレキシブル電子デバイスの製造プロセスにおいて、基体上に形成された樹脂基板や、更にその上に設けられる回路等に損傷を与えることなく、当該回路等とともに当該樹脂基板を当該基体から分離することが可能となる。したがって、本発明の剥離層形成用組成物は、樹脂基板を備えるフレキシブル電子デバイスの製造プロセスの高速化やその歩留り向上等に寄与し得る。
以下、本発明についてさらに詳しく説明する。
[剥離層形成用組成物]
本発明の剥離層形成用組成物は、(A)所定の繰り返し単位を含む重合体、(B)メチロール基又はアルコキシメチル基を有する架橋剤を含むことを特徴とする。
[1](A)成分
本発明の剥離層形成用組成物における(A)成分は、ヒドロキシ基、カルボキシ基、アミド基、アルコキシシリル基及び下記式(a1)で表される基からなる群から選ばれる少なくとも1つの基を有するモノマー(a)と、モノマー(a)に包含されないモノマー(b)とを用いて得られる重合体であり、モノマー(a)の含有量が、全モノマー100モル%に対して1~30モル%である重合体である。
Figure 2022136498000003
(式中、Rは、アルキル基、アルコキシ基又はフェニル基を表し、破線は結合手を表す。)
アルキル基としては、例えば、炭素数1~20のアルキル基が挙げられ、炭素数1~5のアルキル基が好ましい。
アルキル基の具体例としては、メチル基、エチル基、n-プロピル基、i-プロピル基等が挙げられる。その中でも、メチル基、エチル基、n-プロピル基が好ましい。
アルコキシ基としては、例えば、炭素数1~20のアルコキシ基が挙げられ、炭素数1~5のアルコキシ基が好ましい。
アルコキシ基の具体例としては、メトキシ基、エトキシ基、n-プロポキシ基、i-プロポキシ基、n-ブトキシ基、i-ブトキシ基、s-ブトキシ基、t-ブトキシ基等が挙げられる。その中でも、メトキシ基、エトキシ基、n-プロポキシ基が好ましい。
モノマー(a)としては、ヒドロキシ基を有する(メタ)アクリル酸エステル化合物、ヒドロキシ基を有するスチレン化合物、ヒドロキシ基を有する(メタ)アクリルアミド化合物、ヒドロキシ基を有するマレイミド化合物、カルボン酸、カルボキシ基を有する(メタ)アクリル酸エステル化合物、カルボキシ基を有するマレイミド化合物、カルボキシ基を有する(メタ)アクリルアミド化合物、(メタ)アクリルアミド化合物、有機シラン化合物、式(a1)で表される基を有する化合物等が挙げられる。
ヒドロキシ基を有する(メタ)アクリル酸エステル化合物の具体例としては、2-ヒドロキシエチルアクリレート、2-ヒドロキシエチルメタクリレート、2-ヒドロキシプロピルアクリレート、2-ヒドロキシプロピルメタクリレート、4-ヒドロキシブチルアクリレート、4-ヒドロキシブチルメタクリレート、2,3-ジヒドロキシプロピルアクリレート、2,3-ジヒドロキシプロピルメタクリレート、ジエチレングリコールモノアクリレート、ジエチレングリコールモノメタクリレート、カプロラクトン2-(アクリロイルオキシ)エチルエステル、カプロラクトン2-(メタクリロイルオキシ)エチルエステル、ポリ(エチレングリコール)エチルエーテルアクリレート、ポリ(エチレングリコール)エチルエーテルメタクリレート、5-アクリロイルオキシ-6-ヒドロキシノルボルネン-2-カルボキシリック-6-ラクトン、5-メタクリロイルオキシ-6-ヒドロキシノルボルネン-2-カルボキシリック-6-ラクトン等が挙げられる。
ヒドロキシ基を有するスチレン化合物の具体例としては、ヒドロキシスチレン等が挙げられる。
ヒドロキシ基を有する(メタ)アクリルアミド化合物の具体例としては、N-(ヒドロキシフェニル)メタクリルアミド、N-(ヒドロキシフェニル)アクリルアミド等が挙げられる。
ヒドロキシ基を有するマレイミド化合物の具体例としては、N-(ヒドロキシフェニル)マレイミド、N-(ヒドロキシフェニル)マレイミド等が挙げられる。
カルボン酸の具体例としては、アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸等が挙げられる。
カルボキシ基を有する(メタ)アクリル酸エステル化合物の具体例としては、モノ-(2-(アクリロイルオキシ)エチル)フタレート、モノ-(2-(メタクリロイルオキシ)エチル)フタレート等が挙げられる。
カルボキシ基を有するマレイミド化合物の具体例としては、N-(カルボキシフェニル)マレイミド等が挙げられる。
カルボキシ基を有する(メタ)アクリルアミド化合物の具体例としては、N-(カルボキシフェニル)メタクリルアミド、N-(カルボキシフェニル)アクリルアミド等が挙げられる。
(メタ)アクリルアミド化合物の具体例としては、アクリルアミド、メタクリルアミド等が挙げられる。
有機シラン化合物の具体例としては、メタクリロイルオキシプロピルトリメトキシシラン、メタクリロイルオキシプロピルトリエトキシシラン、アクリロイルオキシプロピルトリメトキシシラン、アクリロイルオキシプロピルトリエトキシシラン等が挙げられる。
式(a1)で表される基を有する化合物の具体例としては、2-アセトアセトキシエチルアクリレート、2-アセトアセトキシエチルメタクリレート等が挙げられる。
なお、モノマー(a)は、同種のものを1種単独で用いても、2種以上組み合わせて用いてもよい。
モノマー(b)としては、前記モノマー(a)と共重合可能なものであれば特に制限はなく、例えば、アクリル酸エステル化合物、メタクリル酸エステル化合物、ビニル化合物、スチレン化合物、マレイミド化合物、アクリロニトリル、マレイン酸無水物等が挙げられる。
アクリル酸エステル化合物の具体例としては、メチルアクリレート、エチルアクリレート、イソプロピルアクリレート、ベンジルアクリレート、ナフチルアクリレート、アントリルアクリレート、アントリルメチルアクリレート、フェニルアクリレート、2,2,2-トリフルオロエチルアクリレート、t-ブチルアクリレート、シクロヘキシルアクリレート、イソボルニルアクリレート、2-メトキシエチルアクリレート、メトキシトリエチレングリコールアクリレート、2-エトキシエチルアクリレート、テトラヒドロフルフリルアクリレート、3-メトキシブチルアクリレート、ステアリルアクリレート、アダマンチルアクリレート、2-メチル-2-アダマンチルアクリレート、2-プロピル-2-アダマンチルアクリレート、8-メチル-8-トリシクロデシルアクリレート、8-エチル-8-トリシクロデシルアクリレート等が挙げられる。
メタクリル酸エステル化合物の具体例としては、メチルメタクリレート、エチルメタクリレート、イソプロピルメタクリレート、ベンジルメタクリレート、ナフチルメタクリレート、アントリルメタクリレート、アントリルメチルメタクリレート、フェニルメタクリレート、2,2,2-トリフルオロエチルメタクリレート、t-ブチルメタクリレート、シクロヘキシルメタクリレート、イソボルニルメタクリレート、2-メトキシエチルメタクリレート、メトキシトリエチレングリコールメタクリレート、2-エトキシエチルメタクリレート、テトラヒドロフルフリルメタクリレート、3-メトキシブチルメタクリレート、ステアリルメタクリレート、アダマンチルメタクリレート、2-メチル-2-アダマンチルメタクリレート、γ-ブチロラクトンメタクリレート、2-プロピル-2-アダマンチルメタクリレート、8-メチル-8-トリシクロデシルメタクリレート、8-エチル-8-トリシクロデシルメタクリレート等が挙げられる。
ビニル化合物の具体例としては、メチルビニルエーテル、ベンジルビニルエーテル、ビニルナフタレン、ビニルカルバゾール、アリルグリシジルエーテル、3-エテニル-7-オキサビシクロ[4.1.0]ヘプタン、1,2-エポキシ-5-ヘキセン、1,7-オクタジエンモノエポキサイド等が挙げられる。
スチレン化合物の具体例としては、スチレン、メチルスチレン、クロロスチレン、ブロモスチレン等が挙げられる。
マレイミド化合物の具体例としては、マレイミド、N-メチルマレイミド、N-フェニルマレイミド、N-シクロヘキシルマレイミド等が挙げられる。
なお、モノマー(b)は、同種のものを1種単独で用いても、2種以上組み合わせて用いてもよい。
得られる重合体のガラス転移温度(Tg)は、25℃以上であることが好ましく、50℃以上であることがより好ましく、100℃以上であることがより一層好ましい。重合体のガラス転移温度を25℃以上とすることで、剥離層の耐熱性が良好に向上する。
なお、重合体のガラス転移温度は、下記Foxの式により算出される計算値を意味する(Bull.Am.Phys.Soc.,1(3)123(1956)参照)。下記Foxの式は、重合体がモノマーi(モノマー1、モノマー2、・・・・、及びモノマーn)の共重合体である場合の式を示す。
1/Tg=W1/Tg1+W2/Tg2+・・・・+Wn/Tgn
Tg:重合体のガラス転移温度(単位:K)
n:重合体を構成するモノマー全量に対するモノマーnの質量分率
Tgn:モノマーnの単独重合体のガラス転移温度(単位:K)
単独重合体のガラス転移温度(Tgn)は、各種文献に記載の値を採用することができ、例えば、「POLYMER HANDBOOK 第3版」(John Wiley &Sons,Inc.発行)に記載の値を採用できる。なお、文献に記載のないものについては、モノマーを常法により重合して得られる単独重合体の、DSC法により測定されるガラス転移温度の値を採用することができる
(A)所定の繰り返し単位を含む重合体において、モノマー(a)の含有率は、全繰り返し単位中、1~30モル%であり、2~25モル%が好ましい。架橋剤のモノマー(a)の含有率が過小である場合には、剥離層の溶剤耐性及び耐熱性が低下し、剥離性が低下する。他方、含有率が過大である場合には、剥離層上の樹脂基板等と反応が進行し、剥離性が低下することがある。モノマー(a)及びモノマー(b)は、1種単独で使用してもよく、2種以上を組み合わせて使用してもよい。
本発明の剥離層形成用組成物に用いる重合体を得る方法は特に限定されないが、例えば、モノマー(a)、モノマー(b)及び重合開始剤等を共存させた溶剤中において、50~110℃の温度下で重合反応させて得られる。その際、用いられる溶剤は、モノマー(a)、モノマー(b)及び重合開始剤等を溶解するものであれば特に限定されない。具体例としては、後述する溶剤に記載する溶剤が挙げられる。
このようにして得られる重合体は、通常、溶剤に溶解した溶液の状態であり、本発明において(A)成分の溶液としてそのまま使用することができる。
また、前記のようにして得られた重合体の溶液を、ヘキサンやジエチルエーテル、水等の撹拌下に投入して再沈殿させ、生成した沈殿物を濾過・洗浄した後、常圧又は減圧下で、常温あるいは加熱乾燥することで、重合体の粉体とすることができる。このような操作により、重合体と共存する重合開始剤や未反応モノマーを除去することができ、その結果、精製した重合体の粉体が得られる。一度の操作で充分に精製できない場合は、得られた粉体を溶剤に再溶解して、前記の操作を繰り返し行えばよい。
本発明の剥離層形成用組成物においては、(A)成分として前記重合体の粉体をそのまま用いてもよく、あるいはその粉体を、例えば後述する溶剤に再溶解して溶液の状態として用いてもよい。
なお、本発明の剥離層形成用組成物では、(A)成分の重合体として、単一種類の重合体を用いても、複数種の重合体の混合物を用いてもよい。
[2](B)成分
本発明の剥離層形成用組成物は、(B)成分としてメチロール基又はアルコキシメチル基を有する架橋剤を含む。前記架橋剤としては、メチロール基又はアルコキシメチル基を有する化合物であって、(A)成分の重合体と反応して架橋構造を形成できる化合物、又はそれ自身が反応して架橋構造を形成できる化合物等の架橋構造の形成に寄与し得る化合物であれば特に制限はないが、下記式(B-1)~(B-5)のいずれかで表される化合物や、所定の(メタ)アクリルアミド化合物を使用して製造されるポリマー等が挙げられる。
Figure 2022136498000004
式中、R11~R26は、それぞれ独立に、水素原子又は炭素数1~6のアルキル基であるが、炭素数1~6のアルキル基が好ましい。R27は、水素原子又はメチル基である。
炭素数1~6のアルキル基のアルキル基としては、前記で例示した炭素数1~20のアルキル基の具体例における炭素数1~6のアルキル基と同様の基を挙げることができる。
前記架橋剤の具体例としては、ヘキサメチロールメラミン、テトラメチロールベンゾグアナミン、1,3,4,6-テトラメチロールグリコールウリル、ヘキサメトキシメチルメラミン、テトラメトキシメチルベンゾグアナミン、1,3,4,6-テトラキス(メトキシメチル)グリコールウリル、1,3,4,6-テトラキス(ブトキシメチル)グリコールウリル、1,3,4,6-テトラキス(ヒドロキシメチル)グリコールウリル等の含窒素化合物が挙げられる。
前記含窒素化合物としては、市販品を用いることもでき、具体例としては、オルネクス社製メトキシメチルタイプメラミン化合物(商品名サイメル(登録商標)300、サイメル301、サイメル303、サイメル350)、ブトキシメチルタイプメラミン化合物(商品名マイコート(登録商標)506、マイコート508)、グリコールウリル化合物(商品名サイメル1170、POWDERLINK 1174)、メチル化尿素樹脂(商品名UFR65)、ブチル化尿素樹脂(商品名UFR300、U-VAN10S60、U-VAN10R、U-VAN11HV)、DIC(株)製尿素/ホルムアルデヒド系樹脂(商品名ベッカミン(登録商標)J-300S、ベッカミンP-955、ベッカミンN)等が挙げられる。
また、(メタ)アクリルアミド化合物を使用して製造されるポリマーとしては、N-ヒドロキシメチル(メタ)アクリルアミド、N-メトキシメチル(メタ)アクリルアミド、N-エトキシメチル(メタ)アクリルアミド、N-ブトキシメチル(メタ)アクリルアミド等のヒドロキシメチル基又はアルコキシメチル基で置換された(メタ)アクリルアミド化合物を使用して製造されるポリマー等が挙げられる。
前記ポリマーの具体例としては、ポリ(N-ブトキシメチル(メタ)アクリルアミド)、N-ブトキシメチル(メタ)アクリルアミドとスチレンとの共重合体、N-ヒドロキシメチル(メタ)アクリルアミドとメチル(メタ)アクリレートとの共重合体、N-エトキシメチルメタクリルアミドとベンジルメタクリレートの共重合体、N-ブトキシメチル(メタ)アクリルアミドとベンジル(メタ)アクリレートと2-ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレートとの共重合体等が挙げられる。
前記で例示した架橋剤の中でも、ヘキサメトキシメチルメラミン、テトラメトキシメチルベンゾグアナミン、1,3,4,6-テトラキス(メトキシメチル)グリコールウリル、1,3,4,6-テトラキス(ブトキシメチル)グリコールウリル、1,3,4,6-テトラキス(ヒドロキシメチル)グリコールウリルが好ましい。
前記の架橋剤は、自己縮合による架橋反応を起こすことができる。また、(A)成分の重合体中のヒドロキシ基、カルボキシ基、アミド基、アルコキシシリル基及び式(a1)で表される基と架橋反応を起こすことができる。そして、このような架橋反応によって、形成される剥離層は強固になり、有機溶剤に対する耐性が高い剥離層となる。
(B)成分の含有量は、(A)成分の重合体100質量部に対し、1~100質量部が好ましく、1~50質量部がより好ましく、2~30質量部がより一層好ましい。(B)成分の含有量が前記範囲であれば、高耐熱性と適度な剥離性を有する剥離層を与える剥離層樹脂組成物が得られる。架橋剤の含有量が過小である場合には、得られる剥離層の溶剤耐性及び耐熱性が低下し、剥離性が低下する。他方、含有量が過大である場合には、当該剥離層上の樹脂基板等との架橋反応が進行し、剥離性が低下することがある。(B)架橋剤は、1種単独で使用してもよく、2種以上を組み合わせて使用してもよい。
[3](C)成分
本発明の剥離層形成用組成物は、(C)成分として架橋触媒を含んでもよい。前記架橋触媒としては、スルホン酸化合物、カルボン酸化合物及びこれらの塩が挙げられる。
スルホン酸化合物の具体例としては、p-トルエンスルホン酸、トリフルオロメタンスルホン酸、ピリジニウム-p-トルエンスルホネート、サリチル酸、カンファースルホン酸、スルホサリチル酸、4-クロロベンゼンスルホン酸、4-ヒドロキシベンゼンスルホン酸、ベンゼンジスルホン酸、1-ナフタレンスルホン酸及びピリジニウム-1-ナフタレンスルホン酸等が挙げられる。
カルボン酸化合物の具体例としては、サリチル酸、スルホサリチル酸、クエン酸、安息香酸、ヒドロキシ安息香酸等が挙げられる。
前記酸化合物の塩としては、前記酸のピリジニウム塩、イソプロパノールアミン塩、N-メチルモルホリン塩等が挙げられる。
スルホン酸化合物の塩の具体例としては、p-トルエンスルホン酸ピリジニウム、1-ナフタレンスルホン酸ピリジニウム、イソプロパノールアミンp-トルエンスルホン酸塩、N-メチルモルホリンp-トルエンスルホン酸塩等が挙げられる。
カルボン酸化合物の塩の具体例としては、イソプロパノールアミンサリチル酸塩、イソプロパノールアミンスルホサリチル酸が挙げられる。
(C)成分を用いる場合、その含有量は、(A)成分の重合体100質量部に対し、0.01~20質量部が好ましく、0.01~15質量部がより好ましく、0.1~10質量部がより一層好ましい。(C)成分の含有量が前記範囲であれば、高耐熱性と適度な剥離性とを有する剥離層を与える剥離層樹脂組成物が得られる。(C)架橋触媒は1種単独で使用してもよく、2種以上を組み合わせて使用してもよい。
[4]その他の添加剤
本発明の剥離層形成用組成物は、必要に応じて界面活性剤を含んでもよい。界面活性剤を添加することで、基板に対する前記剥離層形成用組成物の塗布性を向上させることができる。前記界面活性剤としては、ノニオン系界面活性剤、フッ素系界面活性剤、シリコーン系界面活性剤等の公知の界面活性剤を用いることができる。
ノニオン系界面活性剤の具体例としては、例えば、ポリオキシエチレンラウリルエーテル、ポリオキシエチレンステアリルエーテル、ポリオキシエチレンセチルエーテル、ポリオキシエチレンオレイルエーテル等のポリオキシエチレンアルキルエーテル類;ポリオキシエチレンオクチルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル等のポリオキシエチレンアルキルアリールエーテル類;ポリオキシエチレン・ポリオキシプロピレンブロックコポリマー類;ソルビタンモノラウレート、ソルビタンモノパルミテート、ソルビタンモノステアレート、ソルビタンモノオレエート、ソルビタントリオレエート、ソルビタントリステアレート等のソルビタン脂肪酸エステル類;ポリオキシエチレンソルビタンモノラウレート、ポリオキシエチレンソルビタンモノパルミテート、ポリオキシエチレンソルビタンモノステアレート、ポリオキシエチレンソルビタントリオレエート、ポリオキシエチレンソルビタントリステアレート等のポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル類等が挙げられる。
フッ素系界面活性剤の具体例としては、エフトップ(登録商標)EF301、EF303、EF352(三菱マテリアル電子化成(株)製)、メガファック(登録商標)F171、F173、F554、F559、F563、R-30、R-40、R-40-LM、DS-21(DIC(株)製)、フロラードFC430、FC431(スリーエム社製)、アサヒガード(登録商標)AG710、サーフロン(登録商標)S-382、SC101、SC102、SC103、SC104、SC105、SC106(AGC(株)製)等が挙げられる。
また、シリコーン系界面活性剤の具体例としては、オルガノシロキサンポリマーKP341(信越化学工業(株)製)等が挙げられる。
これらの界面活性剤は、1種単独で使用してもよく、2種以上を組み合わせて使用してもよい。界面活性剤を用いる場合、その使用量は、(A)重合体100質量部に対し、0.0001~1質量部が好ましく、0.001~0.5質量部がより好ましい。
また、本発明の実施形態の剥離層形成用組成物は、本発明の効果を損なわない限りにおいて、その他の添加剤として、シランカップリング剤、レオロジー調整剤、顔料、染料、保存安定剤、消泡剤、酸化防止剤等を含有することができる。
[5]溶剤
本発明の剥離層形成用組成物は、溶剤を含んでいてもよい。
溶剤としては、(A)成分及び(B)成分、必要に応じて用いられる(C)成分及び/又はその他の添加剤の溶解能を有するものであれば、その種類及び構造等は特に限定されるものでないが、本発明では、炭素数3~20のグリコールエーテル系溶剤、炭素数3~20のエステル系溶剤、炭素数3~20のケトン系溶剤、アミド系溶剤が好ましい。
グリコールエーテル系溶剤の具体例としては、プロピレングリコールモノメチルエーテル(PGME)、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PGMEA)、プロピレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノプロピルエーテル等が挙げられる。
エステル系溶剤の具体例としては、乳酸エチル、γ-ブチロラクトン、2-ヒドロシキイソ酪酸メチル、2-ヒドロシキイソ酪酸エチル等が挙げられる。
ケトン系溶剤の具体例としては、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン、シクロペンタノン、ベンゾフェノン等が挙げられる。
アミド系溶剤の具体例としては、N-メチルピロリドン、N,N-ジメチルアセトアミド、3-メトキシ-N,N-ジメチルプロパンアミド等が挙げられる。
なお、溶剤は、1種単独で用いてもよく、2種以上を混合して用いてもよい。
溶剤の含有量は、本発明の剥離層形成用組成物中の固形分濃度が、0.1~40質量%となる量が好ましく、0.5~20質量%となる量がより好ましく、0.5~10質量%となる量がより一層好ましい。なお、固形分とは、剥離層形成用組成物の全成分のうち、溶剤以外のものの総称である。
本発明の剥離層形成用組成物の調製方法は、特に限定されるものではなく、例えば、溶剤に溶解した(A)成分の溶液に(B)成分、所望により(C)成分及び/又はその他の添加剤等を所定の割合で混合し、均一な溶液とする方法や、前記調製方法の適当な段階において、必要に応じてその他添加剤を更に添加して混合する方法が挙げられる。
なお、調製された剥離層形成用組成物の溶液は、孔径が0.2μm程度のフィルター等を用いて濾過した後、使用することが好ましい。
本発明の剥離層形成用組成物の粘度は、作製する剥離層の厚み等を勘案して適宜設定するものではあるが、特に0.01~5μm程度の厚さの膜を再現性よく得ることを目的とする場合、通常、25℃で1~5,000mPa・s程度が好ましく、1~2,000mPa・s程度がより好ましい。
ここで、粘度は、市販の液体の粘度測定用粘度計を使用して、例えば、JIS K7117-2に記載の手順を参照して、組成物の温度25℃の条件にて測定することができる。好ましくは、粘度計としては、円錐平板型(コーンプレート型)回転粘度計を使用し、好ましくは同型の粘度計で標準コーンロータとして1°34’×R24を使用して、組成物の温度25℃の条件にて測定することができる。このような回転粘度計としては、例えば、東機産業(株)製TVE-25Lが挙げられる。
[剥離層]
本発明の剥離層形成用組成物を、基体上に塗布した後、100~250℃で焼成する工程を含む焼成法にて、剥離層を得ることができる。
この場合、焼成時間は、温度によって異なるため一概に規定できないが、通常1分間~5時間である。また、焼成工程は、最高温度が前記範囲となる限り、それ以下の温度で焼成する工程を含んでもよい。
本発明における加熱態様の好ましい一例としては、50~150℃で1分間~1時間加熱した後に、そのまま加熱温度を上昇させて100~250℃で5分間~4時間加熱する態様が挙げられる。特に、加熱態様のより好ましい一例としては、50~150℃で1分間~1時間加熱し、150~250℃で5分間~2時間加熱する態様が挙げられる。更に、加熱態様のより好ましい他の一例としては、50~150℃で1分間~30分間加熱した後に、200~250℃で5分間~1時間加熱する態様が挙げられる。
本発明の剥離層を基体上に形成する場合、剥離層は基体の一部表面に形成されていてもよいし、全面に形成されていてもよい。基体の一部表面に剥離層を形成する態様としては、基体表面のうち所定の範囲にのみ剥離層を形成する態様、基体表面全面にドットパターン、ラインアンドスペースパターン等のパターン状に剥離層を形成する態様等がある。
なお、本発明において、基体とは、その表面に本発明の剥離層形成用組成物が塗られるものであって、フレキシブル電子デバイス等の製造に用いられるものを意味する。
基体(基材)としては、例えば、ガラス、金属(シリコンウエハ等)、スレート等が挙げられるが、特に、本発明に係る剥離層形成用組成物から得られる剥離層がそれに対する十分な密着性を有することから、ガラスが好ましい。なお、基体表面は、単一の材料で構成されていてもよく、2以上の材料で構成されていてもよい。2以上の材料で基体表面が構成される態様としては、基体表面のうち、ある範囲はある材料で構成され、その余の表面はその他の材料で構成されている態様、基体表面全体にドットパターン、ラインアンドスペースパターン等のパターン状にある材料がその他の材料中に存在する態様等がある。
塗布方法は、特に限定されないが、例えば、キャストコート法、スピンコート法、ブレードコート法、ディップコート法、ロールコート法、バーコート法、ダイコート法、インクジェット法、印刷法(凸版、凹版、平版、スクリーン印刷等)等が挙げられる。
加熱に用いる器具としては、例えば、ホットプレート、オーブン等が挙げられる。加熱雰囲気は、空気下であっても不活性ガス下であってもよく、また、常圧下であっても減圧下であってもよい。
剥離層の厚さは、通常0.01~50μm程度、生産性の観点から、好ましくは0.01~20μm程度、より好ましくは0.01~5μm程度であり、加熱前の塗膜の厚さを調整して所望の厚さを実現する。
本発明の剥離層は、その上に設けられた樹脂基板と良好な剥離性を有する。このため、本発明の剥離層は、フレキシブル電子デバイスの製造プロセスにおいて、当該デバイスの樹脂基板に損傷を与えることなく、当該樹脂基板を、その樹脂基板上に形成された回路等とともに、基体から剥離させるために好適に用いることができる。
本発明の剥離層を用いたフレキシブル電子デバイスの製造方法の一例について説明する。まず、本発明の剥離層形成用組成物を用いて、前述の方法によって、ガラス基体上に剥離層を形成する。この剥離層の上に、樹脂基板を形成するための樹脂基板形成用溶液を塗布し、得られた塗膜を焼成することで、本発明の剥離層を介して、ガラス基体に固定された樹脂基板を形成する。
塗膜の焼成温度は、樹脂の種類等に応じて適宜設定されるものであるが、本発明では、この焼成時の最高温度を200~250℃とすることが好ましく、210~250℃とすることがより好ましく、220~240℃とすることがより一層好ましい。樹脂基板作製の際の焼成時の最高温度をこの範囲とすることで、剥離層と樹脂基板との剥離性をより向上させることができる。この場合も、最高温度が前記範囲となる限り、それ以下の温度で焼成する工程を含んでもよい。
樹脂基板は剥離層を全て覆うようにして、剥離層の面積と比較して大きい面積で、樹脂基板を形成することが好ましい。樹脂基板としては、エポキシ化合物を含有する熱硬化膜からなる樹脂基板、アクリルポリマーからなる樹脂基板、シクロオレフィンポリマーからなる樹脂基板等が挙げられる。当該樹脂基板の形成方法は、常法に従えばよい。また、樹脂基板としては、波長400nmの光透過率が80%以上であるものが好ましい。
次に、本発明の剥離層を介して基体に固定された当該樹脂基板の上に、必要に応じて所望の回路を形成し、その後、例えば剥離層に沿って樹脂基板をカットし、この回路とともに樹脂基板を剥離層から剥離して、樹脂基板と基体とを分離する。この際、基体の一部を剥離層とともにカットしてもよい。
本発明の剥離層を用いれば、樹脂基板を剥離層から0.3N/25mm以下の剥離力で剥離することができる。
以下、合成例、調製例、実施例及び比較例を挙げて本発明を更に詳しく説明するが、本発明は、下記実施例に限定されない。
以下の実施例で用いる略記号の意味は、次のとおりである。
〔ポリマー原料〕
ADMA:メタクリル酸2-アダマンチル
DCPMA:メタクリル酸ジシクロペンタニル
HEMA:メタクリル酸2-ヒドロキシエチル
EGAMA:メタクリル酸2-(アセトアセチルオキシ)エチル
HBuA:アクリル酸4-ヒドロキシブチル
HPMA:メタクリル酸2-ヒドロキシプロピル
SMA:メタクリル酸ステアリル
PhMI:N-フェニルマレイミド
HPhMI:4-ヒドロキシフェニルマレイミド
St:スチレン
AIBN:アゾビスイソブチロニトリル
CHA:アクリル酸シクロヘキシル
〔溶媒〕
CHN:シクロヘキサノン
〔(B)成分〕
PL-LI:1,3,4,6-テトラキス(メトキシエチル)グリコールウリル(オルネクス社製、商品名:POWDERLINK 1174)
HMM:下記の構造式で表されるメラミン架橋剤[サイメル(CYMEL)(登録商標)303(三井サイテック(株)製)]
Figure 2022136498000005
〔(C)成分〕
PPTS:p-トルエンスルホン酸ピリジニウム
〔重合体の分子量の測定〕
重合例におけるアクリル共重合体の分子量は、(株)Shodex社製常温ゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)装置(GPC-101)、Shodex社製カラム(KD-803、KD-805)を用い以下のようにして測定した。
なお、下記の数平均分子量(以下、Mnと称す。)及び重量平均分子量(以下、Mwと称す。)は、ポリスチレン換算値にて表した。
カラム温度:40℃
溶離液:テトラヒドロフラン
流速:1.0mL/分
検量線作成用標準サンプル:昭和電工(株)製 標準ポリスチレン(分子量約197,000、55,100、12,800、3,950、1,260、580)
(1)(A)成分の合成
[合成例1]
非架橋性モノマーとしてADMA6.00g(27.23mmol)、架橋モノマーとしてHEMA0.39g(3.03mmol)、重合触媒としてAIBN0.15g(0.91mmol)をCHN70.0gに溶解し、加熱還流下にて20時間反応させることによりアクリル共重合体溶液を得た。アクリル共重合体溶液をヘキサン500.0gに徐々に滴下して固体を析出させ、ろ過及び減圧乾燥することでアクリル重合体(PA-1)を得た。得られたアクリル共重合体のMwは16,000であった。
[合成例2~14]
原料化合物の種類、配合量を下記表1のとおりとした以外は、合成例1と同様に操作し、重合体(PA-2)~(PA-14)を得た。得られた重合体のMw及びTgを表1に示す。
Figure 2022136498000006
(2)樹脂基板形成用組成物の調製
[調製例1]
溶媒として四塩化炭素100gを入れたナスフラスコに、ゼオノア(登録商標)1020R(日本ゼオン(株)製シクロオレフィンポリマー)10g及びエポリード(登録商標)GT401((株)ダイセル製)3gを添加した。この溶液を、窒素雰囲気下、24時間攪拌して溶解し、樹脂基板形成用組成物F1を調製した。
(3)剥離層形成用組成物の調製
[実施例1-1]
(A)成分として前記合成例1で得た重合体(PA-1)を100質量部、(B)成分としてPL-LIを5質量部、(C)成分としてPPTSを1質量部混合し、これにCHNを加え、固形分濃度が5.0質量%の剥離層形成組成物A-1を調製した。
[実施例1-2~1-16、比較例1-1~1-4]
各成分の種類と量を、それぞれ表2に記載のとおりとした以外は、実施例1-1と同様に操作し、剥離層形成組成物(A-2)~(A-20)を調製した。
Figure 2022136498000007
(4)剥離層及び樹脂基板の作製
[実施例2-1]
スピンコータ(条件:回転数2,000rpmで約30秒)を用いて、剥離層形成用組成物(A-1)を、基体としてのガラス基板(コーニング社製イーグルXG、100mm×100mm×0.7mm、以下同様)の上に塗布した。得られた塗膜を、ホットプレートを用いて100℃で2分間加熱し、次いでホットプレートを用いて230℃で10分間加熱し、ガラス基板上に厚さ約0.1μmの剥離層を形成し、剥離層付きガラス基板を得た。
その後、すぐにスピンコータ(条件:回転数200rpmで約15秒)を用いて、前記ガラス基板上の剥離層(樹脂薄膜)の上に樹脂基板形成用組成物F1を塗布した。得られた塗膜を、ホットプレートを用いて80℃で2分間加熱し、その後、ホットプレートを用いて230℃で30分間加熱し、剥離層上に厚さ約3μmの樹脂基板を形成し、樹脂基板・剥離層付きガラス基板を得た。
[実施例2-2~16、比較例2-1~2-4]
剥離層形成組成物として(A-2)~(A-20)を用いた以外は、実施例2-1と同様に操作し、実施例2-2~2-16、比較例2-1~2-4の樹脂基板・剥離層付きガラス基板を得た。
〔剥離力の評価〕
前記で得られた樹脂基板・剥離層付きガラス基板を、カッターを用いて25mm×50mmの短冊状に切り込みを入れた。更に、セロテープ(登録商標)(ニチバン(株)製CT-24)を貼った後、オートグラフAGS-X500N((株)島津製作所製)を用いて、剥離角度90°、剥離速度300mm/minで剥離し、剥離力を測定した。なお、剥離できないものは、剥離不可とした。評価結果は「剥離力」とし、結果を表3にまとめて示す。
〔剥離界面の評価〕
剥離力の評価後のガラス基板上に残存する剥離層を、触針式膜厚計で膜厚を測定した。剥離層形成時の膜厚と比較を行い、剥離界面を判別した。評価結果は「剥離界面」とし、残膜率(残膜率(%)=剥離後の剥離層膜厚/剥離層形成時の剥離層膜厚×100)が90%以上の場合は剥離層/樹脂界面、10%以上90%未満の場合は剥離層の凝集破壊、10%未満の場合はガラス基板/剥離層界面とした。評価結果を表3にまとめて示す。
Figure 2022136498000008
表3に示した結果より、実施例の剥離層は、低い剥離力を示し、剥離性に優れていることが確認された。また、実施例の剥離層は、剥離層と樹脂基板の界面で剥離することが確認された。一方、比較例2-1、2-2及び2-4の膜は、剥離層として機能しないことがわかる。また、比較例2-3の剥離層は、高い剥離力を示し、剥離性が不十分であった。

Claims (12)

  1. (A)ヒドロキシ基、カルボキシ基、アミド基、アルコキシシリル基及び下記式(a1)で表される基からなる群から選ばれる少なくとも1つの基を有するモノマー(a)と、モノマー(a)に包含されないモノマー(b)とを用いて得られる重合体であり、モノマー(a)の含有量が、全モノマー100モル%に対して1~30モル%である重合体、並びに
    (B)メチロール基又はアルコキシメチル基を有する架橋剤
    を含有する剥離層形成用組成物。
    Figure 2022136498000009
    (式中、Rは、アルキル基、アルコキシ基又はフェニル基を表し、破線は結合手を表す。)
  2. (A)モノマー(a)が、ヒドロキシ基を有する(メタ)アクリル酸エステル化合物、ヒドロキシ基を有するスチレン化合物、ヒドロキシ基を有する(メタ)アクリルアミド化合物、ヒドロキシ基を有するマレイミド化合物、カルボン酸、カルボキシ基を有する(メタ)アクリル酸エステル化合物、カルボキシ基を有するマレイミド化合物、カルボキシ基を有する(メタ)アクリルアミド化合物、(メタ)アクリルアミド化合物、有機シラン化合物及び式(a1)で表される基を有する化合物からなる群から選ばれるモノマーであり、モノマー(b)が、アクリル酸エステル化合物、メタクリル酸エステル化合物、ビニル化合物、スチレン化合物、マレイミド化合物、アクリロニトリル及びマレイン酸無水物からなる群から選ばれるモノマーである請求項1記載の剥離層形成用樹脂組成物。
  3. (A)重合体のガラス転移温度(Tg)が、25℃以上である請求項1又は2記載の剥離層形成用樹脂組成物。
  4. (B)架橋剤が、下記式(B-1)~(B-5)のいずれかで表される化合物である請求項1~3のいずれか1項記載の剥離層形成用樹脂組成物。
    Figure 2022136498000010
    (式中、R11~R26は、それぞれ独立に、水素原子又は炭素数1~6のアルキル基であり、R27は、水素原子又はメチル基である。)
  5. (C)架橋触媒をさらに含有する請求項1~4のいずれか1項記載の剥離層形成用樹脂組成物。
  6. (C)架橋触媒が、スルホン酸化合物又はその塩である請求項1~5のいずれか1項記載の剥離層形成用樹脂組成物。
  7. (B)架橋剤の含有量が、(A)重合体100質量部に対し、1~100質量部である請求項1~6のいずれか1項記載の剥離層形成用樹脂組成物。
  8. (C)架橋触媒の含有量が、(A)重合体100質量部に対し、0.01~20質量部である請求項1~7のいずれか1項記載の剥離層形成用樹脂組成物。
  9. 請求項1~8のいずれか1項記載の剥離層形成用樹脂組成物から得られる剥離層。
  10. 請求項9記載の剥離層に、波長400nmの光透過率が80%以上である樹脂基板が積層された積層体。
  11. 前記樹脂基板が、エポキシ化合物を含有する熱硬化膜である請求項10記載の積層体。
  12. 請求項1~8のいずれか1項記載の剥離層形成用組成物を基体に塗布し、剥離層を形成する工程、
    前記剥離層上に、波長400nmの光透過率が80%以上である樹脂基板を形成する工程、及び
    前記樹脂基板を、0.3N/25mm以下の剥離力で剥離する工程
    を含む樹脂基板の製造方法。
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