JP2022134495A - 結晶シリコン系太陽電池セル、太陽電池デバイスおよび太陽電池モジュール - Google Patents

結晶シリコン系太陽電池セル、太陽電池デバイスおよび太陽電池モジュール Download PDF

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Abstract

【課題】貫通孔の形成に起因するシングリング構造の強度の低下を抑制できる結晶シリコン系太陽電池セルを提供する。【解決手段】結晶シリコン系太陽電池セル2は、結晶シリコン基板11と、結晶シリコン基板11の主面に形成された導電型シリコン系薄膜とを備える結晶シリコン系太陽電池セルであって、入射光を受光する受光面と、受光面と反対側の裏面とを有し、受光面から裏面まで貫通し、光を透過する複数の貫通孔40を有する。複数の貫通孔40は、受光面および裏面において、2次元状に配列されており、複数の貫通孔40のうちの1列は、結晶シリコン系太陽電池セル2の一端に沿って並んでおり、この1列の貫通孔40の各々は、一部を切り欠いた形状をなしている。【選択図】図3

Description

本発明は、結晶シリコン系太陽電池セル、太陽電池デバイスおよび太陽電池モジュールに関する。
昨今、太陽電池セルをモジュール化する場合、太陽電池セルの一部同士を重ね合わせることで、直接、電気的かつ物理的に接続を行う方式が存在する。このような接続方式はシングリング方式と称され、シングリング方式で電気的に接続された複数の太陽電池セルは太陽電池ストリング(太陽電池デバイス)と称される(例えば、特許文献1参照)。
太陽電池ストリング(太陽電池デバイス)では、太陽電池モジュールにおける限られた太陽電池セル実装面積に、より多くの太陽電池セルが実装可能になり、光電変換のための受光面積が増え、太陽電池モジュールの出力が向上する。
ところで、多少発電出力を犠牲にしても、光の一部を透過させる光透過型(以下、シースルー型ともいう。)の太陽電池セルの要望がある。この点に関し、特許文献1には、多数の貫通孔を備えたシースルー型の太陽電池セルが開示されている。
特開2011-171542号公報
シースルー型の太陽電池セルの一部同士をシングリング方式を用いて重ね合わせる場合(シングリング構造)、貫通孔が塞がらないように太陽電池セルの端部を重ねる必要がある。そのため、太陽電池セルの縁から貫通孔までの幅によっては、太陽電池セルの端部の重なり幅(太陽電池セルの縁から貫通孔までの幅に相当)を十分に取ることができず、シングリング構造の強度が低下することが予想される。
本発明は、貫通孔の形成に起因するシングリング構造の強度の低下を抑制できる結晶シリコン系太陽電池セル、太陽電池デバイスおよび太陽電池モジュールを提供することを目的とする。
本発明に係る結晶シリコン系太陽電池セルは、結晶シリコン基板と、前記結晶シリコン基板の主面に形成された導電型シリコン系薄膜とを備える結晶シリコン系太陽電池セルであって、入射光を受光する受光面と、前記受光面と反対側の裏面とを有し、前記受光面から前記裏面まで貫通し、光を透過する複数の貫通孔を有する。前記複数の貫通孔は、前記受光面および前記裏面において、2次元状に配列されており、前記複数の貫通孔のうちの少なくとも1列は、前記結晶シリコン系太陽電池セルの少なくとも一端に沿って並んでおり、前記1列の貫通孔の各々は、一部を切り欠いた形状をなしている。
本発明に係る太陽電池デバイスは、上記の複数の結晶シリコン系太陽電池セルを備える太陽電池デバイスであって、前記複数の結晶シリコン系太陽電池セルのうちの隣り合う2つの結晶シリコン系太陽電池セルにおいて、一方の結晶シリコン系太陽電池セルの前記一端は、他方の結晶シリコン系太陽電池セルの他端に重なるシングリング構造をなしており、前記一方の結晶シリコン系太陽電池セルの前記一端における前記1列の貫通孔は、前記他方の結晶シリコン系太陽電池セルの貫通孔と重なっている。
本発明に係る太陽電池モジュールは、上記の1または複数の太陽電池デバイスと、前記太陽電池デバイスの受光面側を保護する受光側保護部材と、前記太陽電池デバイスの前記受光面側と反対の裏面側を保護する裏側保護部材と、前記太陽電池デバイスと前記受光側保護部材との間、および、前記太陽電池デバイスと前記裏側保護部材との間に配置され、複数の前記太陽電池デバイスを封止する封止材とを備える。前記太陽電池デバイスにおける複数の前記結晶シリコン系太陽電池セルの貫通孔には、前記封止材の一部が充填されている。
本発明によれば、貫通孔の形成に起因する結晶シリコン系太陽電池セルのシングリング構造の強度の低下を抑制することができる。
本実施形態に係る太陽電池デバイスを備える太陽電池モジュールを裏面側からみた図である。 図1に示す太陽電池モジュールのII-II線断面図である。 本実施形態に係る太陽電池セルを裏面側からみた図である。 図3に示す太陽電池セルのIV-IV線端面図である。 本実施形態の結晶シリコン基板の分割の一例を示す図である。 比較例の結晶シリコン基板の分割の一例を示す図である。
以下、添付の図面を参照して本発明の実施形態の一例について説明する。なお、各図面において同一または相当の部分に対しては同一の符号を附すこととする。また、便宜上、ハッチングや部材符号等を省略する場合もあるが、かかる場合、他の図面を参照するものとする。
(太陽電池モジュール)
図1は、本実施形態に係る太陽電池デバイスを備える太陽電池モジュールを裏面側からみた図であり、図2は、図1に示す太陽電池モジュールのII-II線断面図である。図1では、後述する受光側保護部材3、裏側保護部材4、封止材5および接続部材6が省略されている。また、図1および図2、並びに後述する図面には、XY直交座標系が示されている。XY平面は太陽電池モジュールの受光面および裏面に沿う面である。
図1および図2に示すように、太陽電池モジュール100は、複数の太陽電池セル2をシングリング方式を用いて電気的に接続する太陽電池デバイス(太陽電池ストリングとも称される)1を含む。
太陽電池デバイス1は、受光側保護部材3と裏側保護部材4とによって挟み込まれている。受光側保護部材3と裏側保護部材4との間には、液体状または固体状の封止材5が充填されており、これにより、太陽電池デバイス1は封止される。
封止材5は、太陽電池デバイス1、すなわち太陽電池セル2を封止して保護するもので、太陽電池デバイス1および太陽電池セル2の受光側の面と受光側保護部材3との間、および、太陽電池デバイス1および太陽電池セル2の裏側の面と裏側保護部材4との間に介在する。封止材5の形状としては、特に限定されるものではなく、例えばシート状が挙げられる。シート状であれば、面状の太陽電池セル2の表面および裏面を被覆しやすいためである。
封止材5の材料としては、特に限定されるものではないが、光を透過する特性(透光性)を有すると好ましい。また、封止材5の材料は、太陽電池セル2と受光側保護部材3と裏側保護部材4とを接着させる接着性を有すると好ましい。このような材料としては、例えば、エチレン/酢酸ビニル共重合体(EVA)、エチレン/α-オレフィン共重合体、エチレン/酢酸ビニル/トリアリルイソシアヌレート(EVAT)、ポリビニルブチラート(PVB)、アクリル樹脂、ウレタン樹脂、または、シリコーン樹脂等の透光性樹脂が挙げられる。
受光側保護部材3は、封止材5を介して、太陽電池デバイス1、すなわち太陽電池セル2の表面(受光面)を覆って、太陽電池デバイス1および太陽電池セル2を保護する。受光側保護部材3の形状としては、特に限定されるものではないが、面状の受光面を間接的に覆う点から、板状またはシート状が好ましい。
受光側保護部材3の材料としては、特に限定されるものではないが、封止材5同様に、透光性を有しつつも紫外光に耐性の有る材料が好ましく、例えば、ガラス、または、アクリル樹脂若しくはポリカーボネート樹脂等の透明樹脂が挙げられる。また、受光側保護部材3の表面は、凹凸状に加工されていても構わないし、反射防止コーティング層で被覆されていても構わない。これらのようになっていると、受光側保護部材3は、受けた光を反射させ難くして、より多くの光を太陽電池デバイス1に導けるためである。
裏側保護部材4は、封止材5を介して、太陽電池デバイス1、すなわち太陽電池セル2の裏面を覆って、太陽電池デバイス1および太陽電池セル2を保護する。裏側保護部材4の形状としては、特に限定されるものではないが、受光側保護部材3同様に、面状の裏面を間接的に覆う点から、板状またはシート状が好ましい。
裏側保護部材4の材料としては、特に限定されるものではないが、水等の浸入を防止する(遮水性の高い)材料が好ましい。例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレン(PE)、オレフィン系樹脂、含フッ素樹脂、若しくは含シリコーン樹脂等の樹脂フィルム、またはガラス、ポリカーボネート、アクリル等の透光性を有する板状の樹脂部材と、アルミニウム箔等の金属箔との積層体が挙げられる。
(太陽電池デバイス)
太陽電池デバイス1では、太陽電池セル2の端部の一部が重なり合うことにより、太陽電池セル2が直列に接続される。具体的には、隣り合う太陽電池セル2,2のうちの一方の太陽電池セル2のY方向における一方端側(例えば図2において右端側)の受光面側の一部は、他方の太陽電池セル2のY方向における他方端側(例えば図2において左端側)の裏面側の一部の下に重なる。
このように、瓦を屋根に葺いたように、複数の太陽電池セル2が一様にある方向にそろって傾く堆積構造となることから、このようにして太陽電池セル2を電気的に接続する方式を、シングリング方式と称する。また、ひも状につながった複数の太陽電池セル2を、太陽電池ストリング(太陽電池デバイス)と称する。以下では、隣り合う太陽電池セル2,2が重なり合う領域を、重ね合わせ領域Roという。
隣り合う太陽電池セル2,2は、重ね合わせ領域Roにおいて、接続部材6を介して接着される。接続部材6としては、タブ等の公知のインターコネクタおよび/または導電性接着部材が用いられる。導電性接着部材としては、低融点金属粒子または金属微粒子を内包した熱硬化性樹脂フィルムで形成された導電性フィルム、低融点金属微粒子若しくは金属微粒子とバインダーとで形成された導電性接着剤、または、はんだ粒子を含有するはんだペースト等が用いられる。
以下、太陽電池デバイス1における太陽電池セル2について説明する。
(太陽電池セル)
図3は、図1および図2に示す太陽電池デバイス1における太陽電池セル2を裏面側からみた図であり、図4は、図3に示す太陽電池セル2のIV-IV線端面図である。図3および図4に示す太陽電池セル2は、2つの主面を有する結晶シリコン基板11を備える結晶シリコン系の太陽電池である。以下では、結晶シリコン基板11の主面のうちの受光する側の主面を受光面とし、結晶シリコン基板11の主面のうちの受光面の反対側の主面を裏面とする。
太陽電池セル2は、結晶シリコン基板11の受光面側に順に積層された真性シリコン系薄膜23、第1導電型シリコン系薄膜25および第1電極層27を備える。また、太陽電池セル2は、結晶シリコン基板11の裏面側に順に積層された真性シリコン系薄膜33、第2導電型シリコン系薄膜35および第2電極層37を備える。
結晶シリコン基板11は、単結晶シリコンまたは多結晶シリコン等の結晶シリコン材料で形成される。結晶シリコン基板11は、例えば結晶シリコン材料にn型ドーパントがドープされたn型の結晶シリコン基板である。n型ドーパントとしては、例えばリン(P)が挙げられる。結晶シリコン基板11は、受光面側からの入射光を吸収して光キャリア(電子および正孔)を生成する光電変換基板として機能する。
結晶シリコン基板11の材料として結晶シリコンが用いられることにより、暗電流が比較的に小さく、入射光の強度が低い場合であっても比較的高出力(照度によらず安定した出力)が得られる。
真性シリコン系薄膜23は、結晶シリコン基板11の受光面側に形成されている。真性シリコン系薄膜33は、結晶シリコン基板11の裏面側に形成されている。真性シリコン系薄膜23,33は、例えば真性(i型)アモルファスシリコンを主成分とする材料で形成される。真性シリコン系薄膜23,33は、パッシベーション層として機能し、結晶シリコン基板11で生成されたキャリアの再結合を抑制し、キャリアの回収効率を高める。
第1導電型シリコン系薄膜25は、真性シリコン系薄膜23上に、すなわち結晶シリコン基板11の受光面側に形成されている。第1導電型シリコン系薄膜25は、例えばアモルファスシリコン材料で形成される。第1導電型シリコン系薄膜25は、例えばアモルファスシリコン材料にp型ドーパントがドープされたp型のシリコン系薄膜である。p型ドーパントとしては、例えばホウ素(B)が挙げられる。
第2導電型シリコン系薄膜35は、真性シリコン系薄膜33上に、すなわち結晶シリコン基板11の裏面側に形成されている。第2導電型シリコン系薄膜35は、例えばアモルファスシリコン材料で形成される。第2導電型シリコン系薄膜35は、例えばアモルファスシリコン材料にn型ドーパント(例えば、上述したリン(P))がドープされたn型のシリコン系薄膜である。
なお、第1導電型シリコン系薄膜25がn型のシリコン系薄膜であり、第2導電型シリコン系薄膜35がp型のシリコン系薄膜であってもよい。また、結晶シリコン基板11は、結晶シリコン材料にp型ドーパント(例えば、上述したホウ素(B))がドープされたp型の結晶シリコン基板であってもよい。
第1電極層27は、第1導電型シリコン系薄膜25上に、すなわち結晶シリコン基板11の受光面側に形成されている。第2電極層37は、第2導電型シリコン系薄膜35上に、すなわち結晶シリコン基板11の裏面側に形成されている。第1電極層27および第2電極層37は、透明電極層と金属電極層とを含んでもよいし、金属電極層のみを含んでもよい。本実施形態では、第1電極層27は、透明電極層28と金属電極層29とを含み、第2電極層37は、透明電極層38と金属電極層39とを含む。
透明電極層28,38は、透明な導電性材料で形成される。透明導電性材料としては、ITO(Indium Tin Oxide:酸化インジウムおよび酸化スズの複合酸化物)、ZnO(Zinc Oxide:酸化亜鉛)が挙げられる。金属電極層29,39は、金属材料で形成される。金属材料としては、例えば、Cu、Ag、Alおよびこれらの合金が用いられる。金属電極層は、例えば、銀等の金属粉末を含有する導電性ペースト材料で形成されてもよい。
第1電極層27は、結晶シリコン基板11の受光面側において、後述する貫通孔40の間の領域に形成されている。例えば、第1電極層27は、結晶シリコン基板11の受光面側において、格子状に形成される。同様に、第2電極層37は、結晶シリコン基板11の裏面側において、後述する貫通孔40の間の領域に形成されている。例えば、第2電極層37は、結晶シリコン基板11の裏面側において、格子状に形成される。
(太陽電池セルの詳細)
図3および図4に示すように、太陽電池セル2は、受光面から裏面まで貫通する複数の貫通孔40を有する。複数の貫通孔40は、受光面および裏面において2次元状に配列されている。これにより、太陽電池セル2は、貫通孔40を介して、受光面側から裏面側へ光を透過することができる。
受光面において、実質的に発電可能な発電領域に対する、複数の貫通孔40が占める割合(すなわち開口率)は、3%以上50%以下である。これにより、太陽電池セル2の発電出力を大きく低減することなく、受光面側から裏面側へ光を透過することができる。
貫通孔40の形状は、円形状に限定されず、多角形状であってもよい。貫通孔40は、周縁の内部に中心または重心を有する形状である。貫通孔40は、受光面と裏面との電気的接続機能を有さない。すなわち、貫通孔40は、受光面と裏面との電気的接続を行うための公知のスルーホールとは異なり、内壁に導電膜が形成されていない。
複数の貫通孔40のうちのX方向に配列された1列は、太陽電池セル2の一方端部(右端部:一端)に沿って並んでいる。この1列の貫通孔40の各々は、一部を切り欠いた形状をなしている。なお、複数の貫通孔40のうちのX方向に配列された別の1列が、太陽電池セル2の他方端部(左端部:他端)に沿って並んでおり、この別の1列の貫通孔40の各々が、一部を切り欠いた形状をなしていてもよい。
(太陽電池デバイスの詳細)
図1および図2に示すように、隣り合う太陽電池セル2,2のうちの一方の太陽電池セル2のY方向における一方端部(右端部:一端)は、他方の太陽電池セル2のY方向における他方端部(左端部:他端)の下に重なっている(シングリング構造)。重なり領域Roでは、一方の太陽電池セル2の一方端部(一端)における1列の貫通孔40は、他方の太陽電池セル2の他方端部(他端)から1列目の貫通孔40と重なっている。
以上説明したように、本実施形態の太陽電池デバイス1および太陽電池モジュール100によれば、隣り合う太陽電池セル2,2のうちの一方の太陽電池セル2の一方端部(例えば、図2において右端部)が、他方の太陽電池セル2の他方端部(例えば、図2において左端部)の下に重なるように、シングリング方式を用いて複数の太陽電池セル2が電気的に接続される。これにより、太陽電池デバイス1および太陽電池モジュール100における限られた太陽電池セル実装面積に、より多くの太陽電池セル2が実装可能になり、光電変換のための受光面積が増え、太陽電池デバイス1および太陽電池モジュール100の出力が向上する。
ここで、複数の貫通孔40を有する太陽電池セル2をシングリング構造とする場合、貫通孔40が塞がらないように太陽電池セル2の端部を重ねる必要がある。そのため、太陽電池セル2の縁から貫通孔40までの幅によっては、太陽電池セル2の端部の重なり幅(太陽電池セル2の縁から貫通孔40までの幅に相当)を十分に取ることができず、シングリング構造の強度が低下することが予想される。
図5は、本実施形態の結晶シリコン基板の分割の一例を示す図であり、図6は、比較例の結晶シリコン基板の分割の一例を示す図である。このように、シングリング構造では、結晶シリコン基板11として、所定の大きさの大判半導体基板を分割したうちの1つを使用する。所定の大きさとは、結晶シリコンウェハの所定の大きさ(例えば6インチ)で定まる大きさである。例えば、6インチの大判結晶シリコン基板の場合、この大判結晶シリコン基板を所定の一方向に2個以上10個以下に分割する。
図6に示すように、貫通孔40の間の切断ラインL2において切断すると、上述したように、太陽電池セル2の縁から貫通孔40までの幅によっては、太陽電池セル2の端部の重なり幅Ro(太陽電池セル2の縁から貫通孔40までの幅に相当)を十分に取ることができず、シングリング構造の強度が低下することが予想される。
この点に関し、本実施形態では、図5に示すように、貫通孔40を切り欠く切断ラインL1において切断する。これにより、図6と比較して、太陽電池セル2の端部の重なり幅Ro(太陽電池セル2の縁から貫通孔40までの幅に相当)を増大させることができる。
このように、本実施形態の太陽電池セル2によれば、図3に示すように、太陽電池セル2の縁にまで貫通孔40を配列し、その貫通孔40の一部を切り欠いた形状とするので、図1および図2に示すように、この縁の貫通孔40が隣りの太陽電池セル2の貫通孔40と重なるまで重ねることができる。換言すれば、太陽電池セル2の縁から、この縁の貫通孔40の次の列の貫通孔40までの幅を広くすることができる。そのため、太陽電池セル2の端部の重なり幅Ro(太陽電池セル2の縁から、この縁の貫通孔40の次の列の貫通孔40までの幅に相当)を広くすることができ、太陽電池デバイス1のシングリング構造の強度の低下を抑制することができる。
また、本実施形態の太陽電池セル2によれば、結晶シリコン系太陽電池セルに貫通孔を形成したシースルー型の太陽電池セルであるので、薄膜系太陽電池セルに貫通孔を形成したシースルー型の太陽電池セルと比較して、出力が高いシースルー型の太陽電池セルを提供することができる。
ここで、太陽電池モジュールの製造において、受光側保護部材および裏側保護部材と、太陽電池デバイスと、封止材とをラミネート(加熱および加圧)する際、太陽電池デバイスにおける太陽電池セル同士がずれることを抑制するために、レイアップ時に太陽電池デバイスに固定用テープが貼り付けられることがある。この固定用テープにより、太陽電池モジュールの意匠性が低下してしまう。また、この固定用テープの貼り付けプロセスにより、太陽電池モジュールの製造プロセスが増え、太陽電池モジュールのコストが高くなってしまう。
なお、本実施形態の太陽電池モジュール100では、図2に示すように、太陽電池セル2の貫通孔40には、封止材5の一部が充填されている。
この点に関し、本実施形態の太陽電池モジュール100によれば、太陽電池セル2に複数の貫通孔40が形成されているので、受光側保護部材3および裏側保護部材4と、太陽電池デバイス1と、封止材5とをラミネート(加熱および加圧)する際、太陽電池セル2の貫通孔40に封止材5の一部が入り込む。これにより、太陽電池セル2が固定され、太陽電池デバイス1における太陽電池セル2同士のずれが抑制される。そのため、レイアップ時の固定用テープが不要となり、太陽電池モジュールの意匠性の低下を防止できる。また、太陽電池モジュールの製造プロセスの増加を防止でき、太陽電池モジュールの高コスト化を防止できる。
また、本実施形態の太陽電池モジュール100では、太陽電池セル2の貫通孔10の内壁の表面には、凹凸が形成されていてもよい。例えばレーザを用いて貫通孔10を形成することにより、貫通孔10の内壁の表面粗さは1.0μm以上10.0μm以下となる。これにより、貫通孔10の内壁の表面積が大きくなり、貫通孔10の内壁と封止材5との密着性が向上する。そのため、太陽電池デバイス1における太陽電池セル2同士のずれがより抑制される。また、太陽電池デバイス1のシングリング構造の、温度変化に対する耐久性が向上し、太陽電池モジュール100の信頼性が向上する。
また、本実施形態の太陽電池モジュール100では、太陽電池セル2の貫通孔40に封止材5の一部が充填され、太陽電池セル2と封止材5との密着性が向上するので、封止材を薄くすることができる。これにより、太陽電池モジュール100の軽量化が可能となる。例えば、一般に、受光側保護部材と太陽電池セルとの間の封止材の厚さ、および、裏側保護部材と太陽電池セルとの間の封止材の厚さは、300μm~600μmである。これに対して、本実施形態によれば、同様の性能を得るために、受光側保護部材3と太陽電池セル2との間の封止材5の厚さ、および、裏側保護部材4と太陽電池セル2との間の封止材5の厚さは、50μm以上200μm以下に薄くできる。
また、本実施形態の太陽電池モジュール100では、太陽電池セル2の厚さは薄いことが好ましい。これにより、太陽電池セル2の貫通孔40に封止材5を確実に充填できる。例えば、一般に、太陽電池セルの厚さは、120μm~200μmである。これに対して、本実施形態によれば、太陽電池セル2の厚さは、50μm以上150μm以下であると好ましい。
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は上述した実施形態に限定されることなく、種々の変更および変形が可能である。例えば、上述した実施形態では、両面電極型の太陽電池セルに複数の貫通孔を形成したシースルー型の太陽電池セルを例示した。しかし、本発明はこれに限定されず、裏面電極型(裏面接合型、バックコンタクト型とも称される)の太陽電池セルに複数の貫通孔を形成したシースルー型の太陽電池セルにも適用可能である。裏面電極型の太陽電池は、結晶シリコン基板と、結晶シリコン基板の裏面に形成された第1導電型シリコン系薄膜および第2導電型シリコン系薄膜と、結晶シリコン基板の受光面に形成されたシリコン系化合物薄膜(光学調整層、反射防止層)とを備える。このような裏面電極型の太陽電池セルでも、受光面から裏面まで貫通した上述の貫通孔を形成してもよい。
また、上述した実施形態では、太陽電池モジュール100は、単数の太陽電池デバイス1を備える形態を例示したが、太陽電池モジュール100は、例えばX方向に配列された複数の太陽電池デバイス1を備えてもよい。
また、上述した実施形態では、図4に示すようにヘテロ接合型の太陽電池セル2を含む太陽電池デバイス1を例示した。しかし、本発明はこれに限定されず、ホモ接合型の太陽電池セル等の種々の太陽電池セルを含む太陽電池デバイスにも適用可能である。
1 太陽電池デバイス(太陽電池ストリング)
2 太陽電池セル
3 受光側保護部材
4 裏側保護部材
5 封止材
6 接続部材
11 結晶シリコン基板
23,33 真性シリコン系薄膜
25 第1導電型シリコン系薄膜
27 第1電極層
28,38 透明電極層
29,39 金属電極層
35 第2導電型シリコン系薄膜
37 第2電極層
40 貫通孔
100 太陽電池モジュール

Claims (5)

  1. 結晶シリコン基板と、前記結晶シリコン基板の主面に形成された導電型シリコン系薄膜とを備える結晶シリコン系太陽電池セルであって、
    前記結晶シリコン系太陽電池セルは、
    入射光を受光する受光面と、前記受光面と反対側の裏面とを有し、
    前記受光面から前記裏面まで貫通し、光を透過する複数の貫通孔を有し、
    前記複数の貫通孔は、前記受光面および前記裏面において、2次元状に配列されており、
    前記複数の貫通孔のうちの少なくとも1列は、前記結晶シリコン系太陽電池セルの少なくとも一端に沿って並んでおり、
    前記1列の貫通孔の各々は、一部を切り欠いた形状をなしている、
    結晶シリコン系太陽電池セル。
  2. 前記受光面において、実質的に発電可能な発電領域に対する、前記複数の貫通孔が占める割合は、3%以上50%以下である、請求項1に記載の結晶シリコン系太陽電池セル。
  3. 前記複数の貫通孔は、前記受光面と前記裏面との電気的接続機能を有さない、請求項1に記載の結晶シリコン系太陽電池セル。
  4. 請求項1~3のいずれか1項に記載の複数の結晶シリコン系太陽電池セルを備える太陽電池デバイスであって、
    前記複数の結晶シリコン系太陽電池セルのうちの隣り合う2つの結晶シリコン系太陽電池セルにおいて、一方の結晶シリコン系太陽電池セルの前記一端は、他方の結晶シリコン系太陽電池セルの他端に重なるシングリング構造をなしており、
    前記一方の結晶シリコン系太陽電池セルの前記一端における前記1列の貫通孔は、前記他方の結晶シリコン系太陽電池セルの貫通孔と重なっている、
    太陽電池デバイス。
  5. 請求項4に記載の1または複数の太陽電池デバイスと、
    前記太陽電池デバイスの受光面側を保護する受光側保護部材と、
    前記太陽電池デバイスの前記受光面側と反対の裏面側を保護する裏側保護部材と、
    前記太陽電池デバイスと前記受光側保護部材との間、および、前記太陽電池デバイスと前記裏側保護部材との間に配置され、複数の前記太陽電池デバイスを封止する封止材と、
    を備え、
    前記太陽電池デバイスにおける複数の前記結晶シリコン系太陽電池セルの貫通孔には、前記封止材の一部が充填されている、
    太陽電池モジュール。
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