JP2022134073A - 脂環式ポリカーボネート - Google Patents

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修 羽場
Osamu Haba
佑介 田沢
Yusuke Tazawa
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Abstract

【課題】より環境負荷の低い、再生可能資源からなる脂環式ポリカーボネートの提供。【解決手段】式(1)で表される繰り返し単位を含む脂環式ポリカーボネート。JPEG2022134073000031.jpg59144(式(1)中、R1~R4は、各々独立に水素原子、炭素数1~30のアルキル基、シクロアルキル基、アリール基、もしくは炭素数2~20のアルケニル基であり、R1~R4の少なくとも1つが炭素数8以上のアルキル基であり、OR1~OR4のいずれか2つ以上が相互に結合して環構造を形成していてもよく、nは、繰り返し単位数である。)【選択図】なし

Description

本発明は、脂環式ポリカーボネートに関する。
近年、芳香族ポリカーボネートに代わる樹脂として、脂肪族、特に脂環式構造を有するポリカーボネート(以下「脂環式ポリカーボネート」とも記す)の開発も行われている。脂環式ポリカーボネートは、ビスフェノールAなどの芳香環を有するポリカーボネートと比べて透明性、成形性、耐衝撃性に優れ、応力由来の複屈折が生じにくい傾向(低光弾性係数)など、光学樹脂としての特徴が期待されている。例えば、特許文献1では透明性、耐熱性、色調に優れる多環脂環式ポリカーボネートが開示されている。
中でも、石油原料のみならず、再生可能資源であるバイオマス由来の原料を用いて合成されるポリカーボネートは、環境負荷低減の観点から活発に開発が行われている。例えば、特許文献2において、でんぷんから誘導可能なイソソルバイドを原料として用いて合成されたポリカーボネートが開示されている。また、糖を原料とした環状カーボネートの開環重合によるポリカーボネートの合成例やリモネンを原料としたポリカーボネートの合成例も報告されている(例えば、非特許文献1、非特許文献2参照)。
このような中、myo-イノシトールを原料としたポリカーボネートも提示されている(例えば、特許文献3参照)。
特許第4774610号公報 特許第6507495号公報 国際公開第2016-098898号
Macromolecules 2005, 38, 3562―3563 Hauenstein, O., Agarwal, S. & Greiner, A. Bio-based polycarbonate as synthetic toolbox. Nat Commun 7, 11862 (2016)
myo-イノシトールを初めとするイノシトール類は、6つの水酸基を有する脂環式骨格を持つ化合物である。myo-イノシトールを例に挙げると、6つの水酸基のうち4つを修飾・保護することにより脂環式ポリカーボネートのジオールモノマーとして活用しうる。しかしながら、イノシトール類と炭酸ジエステルとのエステル交換法によりポリカーボネートを得る重合手法では、イノシトール骨格の隣接する(ビシナルな)水酸基を高分子の主鎖として組み込んだ、1,2-ポリカーボネートを作るのは困難である。特許文献3に記載の実施例においても、myo-イノシトールの1,3-ジオール体又は1,4-ジオール体と、炭酸エステルとのエステル交換法によりポリカーボネートの重合体を得る実施例が示されているものの、イノシトール類の1,2-ジオール体を利用する実施例は開示されていない。この理由として、イノシトール類の1,2-ジオール誘導体を原料として用いるエステル交換法では、重合体ではなく、安定な5員環の環状カーボネートモノマーが優先的に得られやすいことが理由に挙げられる。
このように、イノシトール類をモノマーとして用いて合成される1,2-ポリカーボネート、特にそのホモポリマーはこれまで開示されていない。
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、より環境負荷の低い、再生可能資源を利用する脂環式ポリカーボネートを提供することを目的とする。
本発明者らは、上記課題を解決すべく鋭意研究を重ねた結果、脂環式ポリカーボネートにおいて、置換基の少なくとも1つを炭素数8以上のアルキル基とすることで、結晶化・凝集を抑制し、再生可能資源からなるイノシトール骨格を有する新規な脂環式ポリカーボネートを合成することが可能となり、本発明の完成に至った。
すなわち本発明は以下に関する。
[1]
下記式(1)で表される構造からなる繰り返し単位を含む脂環式ポリカーボネート。
Figure 2022134073000001
(式(1)中、R1~R4は、各々独立に水素原子、炭素数1~30のアルキル基、炭素数2~20のアルケニル基、炭素数3~30のシクロアルキル基、又は炭素数6~30のアリール基であり、R1~R4の少なくとも1つが炭素数8以上のアルキル基であり、OR1~OR4のいずれか2つ以上が相互に結合して環構造を形成していてもよく、nは、繰り返し単位数である。)
[2]
前記式(1)で表される構造が下記式(2)で表されるtrans型の構造である、[1]に記載の脂環式ポリカーボネート。
Figure 2022134073000002
(式(2)中、R1~R4は、各々独立に水素原子、炭素数1~30のアルキル基、炭素数2~20のアルケニル基、炭素数3~30のシクロアルキル基、又は炭素数6~30のアリール基であり、R1~R4の少なくとも1つが炭素数8以上のアルキル基であり、OR1~OR4のいずれか2つ以上が相互に結合して環構造を形成していてもよく、nは、繰り返し単位数である。)
[3]
前記式(1)で表される構造が下記式(3)で表される構造である、[1]又は[2]に記載の脂環式ポリカーボネート。
Figure 2022134073000003
(式(3)中、R1及びR4は、各々独立に水素原子、炭素数1~30のアルキル基、炭素数2~20のアルケニル基、炭素数3~30のシクロアルキル基、又は炭素数6~30のアリール基であり、R1及びR4の少なくとも1つが炭素数8以上のアルキル基であり、OR1及びOR4が相互に結合して環構造を形成していてもよく、nは、繰り返し単位数である。)
[4]
1及びR4の少なくとも1つが炭素数8以上のアルキル基である、[1]から[3]のいずれかに記載の脂環式ポリカーボネート。
[5]
下記式(A)で表される化合物を開環重合する工程を有する、[1]から[4]のいずれかに記載の脂環式ポリカーボネートの製造方法。
Figure 2022134073000004
(式(A)中、R1~R4は、各々独立に水素原子、炭素数1~30のアルキル基、炭素数2~20のアルケニル基、炭素数3~30のシクロアルキル基、又は炭素数6~30のアリール基であり、R1~R4の少なくとも1つが炭素数8以上のアルキル基であり、OR1~OR4のいずれか2つ以上が相互に結合して環構造を形成していてもよい。)
[6]
下記式(1)で表される構造を含む脂環式ポリカーボネートを塩基性物質で分解することにより、下記式(2)’で表されるイノシトール化合物を製造する工程を含む、
イノシトール化合物の製造方法。
Figure 2022134073000005
(式(1)中、R1~R4は、各々独立に水素原子、炭素数1~30のアルキル基、炭素数2~20のアルケニル基、炭素数3~30のシクロアルキル基、又は炭素数6~30のアリール基であり、R1~R4の少なくとも1つが炭素数8以上のアルキル基であり、OR1~OR4のいずれか2つ以上が相互に結合して環構造を形成していてもよく、nは、繰り返し単位数である。)
Figure 2022134073000006
(式(2)’中、R1~R4は、各々独立に水素原子、炭素数1~30のアルキル基、炭素数2~20のアルケニル基、炭素数3~30のシクロアルキル基、又は炭素数6~30のアリール基であり、R1~R4の少なくとも1つが炭素数8以上のアルキル基であり、OR1~OR4のいずれか2つ以上が相互に結合して環構造を形成していてもよい。)
[7]
前記脂環式ポリカーボネートが、前記式(1)で表される構造からなる繰り返し単位を含む、[6]に記載のイノシトール化合物の製造方法。
[8]
前記イノシトール化合物を製造する工程が、アルコール溶媒中で行われる、[6]又は[7]に記載のイノシトール化合物の製造方法。
[9]
前記イノシトール化合物を製造する工程後、酸性ガスを反応液中に吹き込み中和する工程を更に有する、[6]から[8]のいずれかに記載のイノシトール化合物の製造方法。
本発明によれば、より環境負荷の低い、再生可能資源を利用する脂環式ポリカーボネートを提供することができる。
図1は、合成例1のステップ1-1で合成した2,3:5,6-ジ-O-シクロヘキシリデン-myo-イノシトールの1H-NMRチャートである。 図2は、合成例1のステップ1-2で合成した1,4-ビス-O-(2-エチルへキシル)-2,3:5,6-ジ-O-シクロヘキシリデン-myo-イノシトール誘導体の1H-NMRチャートである。 図3は、合成例1のステップ1-3で合成した1,4-ビス-O-(2-エチルへキシル)-myo-イノシトール(EI)の1H-NMRチャートである。 図4は、合成例1のステップ1-4で合成した1,4-ビス-O-(2-エチルへキシル)-2,3:5,6-ジカーボネート‐myo-イノシトール(ECI)の1H-NMRチャートである。 図5は、合成例2で合成した1,4-ジ-O-ベンジル―2,3:5,6-ジカーボネート-myo-イノシトール(BCI)の1H-NMRチャートである。 図6は、上から順に、実施例2、9で得られた脂環式ポリカーボネート及び、ECIの1H-NMRチャートである。 図7は、上から順に、実施例3で得られた脂環式ポリカーボネート及び、ECIの13C-NMRチャートである。 図8は、図7の13C-NMRチャートの152ppmから154ppm付近の拡大図である。 図9は、製造例1で製造した1,4-ビス-O-(2-エチルへキシル)-myo-イノシトール(EI)の1H-NMRチャートである。 図10は、製造例1で製造した1,4-ビス-O-(2-エチルへキシル)-myo-イノシトール(EI)のGPCチャートである。
以下、本発明を実施するための形態(以下、「本実施形態」と略記する。)について詳細に説明する。なお、本発明は、以下の実施形態に限定されるものではなく、その要旨の範囲内で種々変形して実施することができる。
[脂環式ポリカーボネート]
本実施形態の脂環式ポリカーボネートは、下記式(1)で表される構造からなる繰り返し単位を含む。
Figure 2022134073000007
(式(1)中、R1~R4は、各々独立に水素原子、炭素数1~30のアルキル基、炭素数2~20のアルケニル基、炭素数3~30のシクロアルキル基、又は炭素数6~30のアリール基であり、R1~R4の少なくとも1つが炭素数8以上のアルキル基であり、OR1~OR4のいずれか2つ以上が相互に結合して環構造を形成していてもよく、nは、繰り返し単位数である。)
本実施形態の脂環式ポリカーボネートは、上記式(1)のとおり、イノシトール骨格を有するホモポリマーである。このように本実施形態の脂環式ポリカーボネートは、再生可能資源の含有率が高く、環境負荷を低くすることができ、また、剛直な脂環式骨格を有し高い熱安定性が期待でき、さらには1,2-ポリカーボネートであることにより、より加水分解を受けにくくなり、通常の使用時における十分な耐久性が得られるものと考えられる。
本実施形態の脂環式ポリカーボネートは、穏和な温度条件(例えば室温25℃)かつ、短時間(例えば3時間)でアルカリ分解できるため、脂環式ポリカーボネートの使用後、原料となるイノシトール化合物を容易にかつ収率良く回収できる。本実施形態の脂環式ポリカーボネートは、ホモポリマーなので、回収物が単一の化合物であり、分離精製が不要といった利点を有する。
また、本実施形態の脂環式ポリカーボネートは、上記式(1)中、R1~R4の少なくとも1つが炭素数8以上のアルキル基であることにより、溶媒に対する溶解性が向上し、耐熱性(熱分解開始温度の高温化)に優れる。同様の観点から、上記式(1)中、R1及びR4の少なくとも1つが炭素数8以上のアルキル基であることが好ましい。
本実施形態の脂環式ポリカーボネートの熱分解開始温度は、100~300℃であることが好ましく、150~250℃であることがより好ましく、200~250℃であることがさらに好ましい。
なお、本実施形態において、脂環式ポリカーボネートの熱分解開始温度は後述の実施例に記載の方法により測定することができる。
本実施形態の脂環式ポリカーボネートは、上記式(1)のとおり、イノシトールの隣接する水酸基(ビシナルな水酸基)が高分子の主鎖として組み込まれている。このような脂環式ポリカーボネートを、本実施形態では1,2-ポリカーボネートともいう。
本実施形態において、脂環式ポリカーボネートを構成する繰り返し単位の全量に対して、式(1)で表される構造からなる繰り返し単位の含有量は、90質量%以上であることが好ましい。また、本実施形態において、脂環式ポリカーボネートを構成する繰り返し単位の全量に対して、式(1)で表される構造からなる繰り返し単位の含有量は、95質量%以上がより好ましく、98質量%以上がさらに好ましい。なお、本実施形態において、脂環式ポリカーボネートを構成する繰り返し単位の全量に対して、式(1)で表される構造からなる繰り返し単位の含有量の上限は、特に限定されないが、例えば、100質量%である。
本実施形態の脂環式ポリカーボネートにおいて、上記式(1)中、nは、2~2500であることが好ましく、5~1500であることがより好ましく、10~1000であることがさらに好ましい。
本実施形態において、イノシトール骨格とは、1,2,3,4,5,6-ヘキサヒドロキシシクロヘキサンに由来する下記式(i)で表される骨格をいい、当該骨格を含む化合物をイノシトール類という。
Figure 2022134073000008
イノシトール骨格は、myo-イノシトールをはじめとするバイオマス由来のイノシトール類から誘導される。イノシトール類は、バイオマス由来にも関わらず脂環式骨格に酸素や窒素などのヘテロ原子を含まないため、透明性、耐熱性、色調に優れた特性を有しつつ、低吸水性や高い熱安定性など、光学樹脂としてバランスに優れた特性が得られる。
本実施形態に用いるイノシトール類としては、上記式(i)の構造を形成可能であれば特に限定されないが、例えば、allo-イノシトール、chiro-イノシトール、cis-イノシトール、epi-イノシトール、myo-イノシトール、muco-イノシトール、neo-イノシトール、scyllo-イノシトールが挙げられ、入手容易性の観点からmyo-イノシトールが好ましい。
Figure 2022134073000009
本実施形態のイノシトール骨格を有する脂環式ポリカーボネートの合成には、前記イノシトールを原料として用いてもよいし、イノシトールのメチルエステル若しくはフィチン酸等のリン酸エステル等、イノシトール誘導体を原料に用いてもよい。このようなイノシトール誘導体としては、上記式(i)の構造を形成可能であれば特に限定されないが、例えば、ボルネシトール、ピニトール、オノニトール、ピンポリトール、クエブランチトール(ケブラキトール)が挙げられる。
Figure 2022134073000010
次に、本実施形態の脂環式ポリカーボネートにおける前記式(1)中の置換基R1~R4について説明する。
前記式(1)中、R1~R4は各々独立に水素原子、炭素数1~30のアルキル基、炭素数2~20のアルケニル基、炭素数3~30のシクロアルキル基、又は炭素数6~30のアリール基であり、R1~R4の少なくとも1つが炭素数8以上のアルキル基であり、OR1~OR4のいずれか2つ以上が相互に結合して環構造を形成していてもよい。
1~R4の炭素数1~30のアルキル基(以下順に「C1アルキル~C30アルキル」とも記す)は、Cn2n+1(n=1~30)で表される直鎖状、分岐状の炭化水素基を表す。また、R1~R4の少なくとも一つが炭素数8以上(C8以上)のアルキル基であり、好ましくはR1及びR4の少なくとも一つが炭素数8以上(C8以上)のアルキル基である。なお、炭素数8以上(C8以上)のアルキル基は、好ましくは炭素数8以上(C8以上)の分岐アルキル基である。
C1アルキル~C30アルキルの具体例としては、例えば、C1アルキルとしてはメチル基、C2アルキルとしてはエチル基、C3アルキルとしてはn-プロピル基、2-プロピル基、C4アルキルとしてはn-ブチル基、イソブチル基、t-ブチル基、C5アルキルとしてはn-ペンチル基、1-エチルプロピル基、1-メチルブチル基、2-メチルブチル基、3-メチルブチル基、2,2-ジメチルプロピル基、1,1-ジメチルプロピル基、C6アルキルとしては、n-へキシル基、1-エチルブチル基、2-エチルブチル基、3-エチルブチル基、1-メチルペンチル基、2-メチルペンチル基、3-メチルペンチル基、4-メチルペンチル基、1,1-ジメチルブチル基、2,2-ジメチルブチル基、3,3-ジメチルブチル基、1,2-ジメチルブチル基、1,3-ジメチルブチル基、2,3-ジメチルブチル基、C7アルキルとしては、n-ヘプチル基、1-メチルへキシル基、2-メチルへキシル基、3-メチルへキシル基、4-メチルへキシル基、5-メチルへキシル基、1-エチルペンチル基、2-エチルペンチル基、3-エチルペンチル基、1,1-ジメチルペンチル基、2,2-ジメチルペンチル基、3,3-ジメチルペンチル基、4,4-ジメチルペンチル基、1,2-ジメチルペンチル基、1,3-ジメチルペンチル基、1,4-ジメチルペンチル基、2,3-ジメチルペンチル基、2,4-ジメチルペンチル基、3,4-ジメチルペンチル基、2-メチル-3,3-ジメチルブチル基、1-メチル―3,3-ジメチルブチル基、1,2,3-トリメチルブチル基、1,3-ジメチル-2-ペンチル基、2-イソプロピルブチル基、C8アルキルとしては、n-オクチル基、2-オクチル基、3-オクチル基、4-オクチル基、2-メチルヘプチル基、3-メチルヘプチル基、4-メチルヘプチル基、5-メチルヘプチル基、6-メチルヘプチル基、2-エチルへキシル基、3-エチルへキシル基、4-エチルへキシル基、5-エチルへキシル基、1,1-ジメチルへキシル基、2,2-ジメチルへキシル基、3,3-ジメチルへキシル基、4,4-ジメチルへキシル基、5,5-ジメチルへキシル基、1,2-ジメチルへキシル基、1,3-ジメチルへキシル基、1,4-ジメチルへキシル基、1,5-ジメチルへキシル基、2,3-ジメチルへキシル基、2,4-ジメチルへキシル基、2,5-ジメチルへキシル基、1,1-エチルメチルペンチル基、2,2-エチルメチルペンチル基、3,3-エチルメチルペンチル基、4,4-エチルメチルペンチル基、1-エチル-2-メチルペンチル基、1-エチル-3-メチルペンチル基、1-エチル-4-メチルペンチル基、2-エチル-1-メチルペンチル基、3-エチル―1-メチルペンチル基、4-エチル-1-メチルペンチル基、2-エチル-3-メチルペンチル基、2-エチル-4-メチルペンチル基、3-エチル-2-メチルペンチル基、4-エチル-3-メチルペンチル基、3-エチル-4-メチルペンチル基、4-エチル-3-メチルペンチル基、1-(2-メチルプロピル)ブチル基、1-(2-メチルプロピル)-2-メチルブチル基、1,1-(2-メチルプロピル)エチル基、1,1-(2-メチルプロピル)エチルプロピル基、1,1-ジエチルプロピル基、2,2-ジエチルプロピル基、1,1-エチルメチル-2,2-ジメチルプロピル基、2,2-エチルメチル-1,1-ジメチルプロピル基、2-エチル-1,1-ジメチルブチル基、C9アルキルとしてはノニル基、イソノニル基、C10アルキルとしてはデシル基、イソデシル基、C11アルキルとしてはウンデシル基、C12アルキルとしてはドデシル基、C13アルキルとしてはトリデシル基、C14アルキルとしてはテトラデシル基、C15アルキルとしてはペンタデシル基、C16アルキルとしてはヘキサデシル基、C17アルキルとしてはヘプタデシル基、C18アルキルとしてはオクタデシル基、C19アルキルとしてはノナデシル基、C20アルキルとしてはイコシル基等が挙げられるが、これに限定されない。
また、本実施形態の脂環式ポリカーボネートにおける前記式(1)中の置換基R1~R4のアルキル基は、無置換アルキル基であってもよいし、置換アルキル基であってもよい。
置換アルキル基の具体例としては、例えば、シクロペンチルメチル基、シクロヘキシルメチル基、1-シクロペンチルエチル基、2-シクロペンチルエチル基、1-シクロヘキシルエチル基、2-シクロヘキシルエチル基等のシクロアルキル置換アルキル基;ベンジル基、フェネチル基、ジベンジルメチル基、メチルフェニルメチル基、ナフチルブチル基等のアリール置換アルキル基;トリフルオロメチル、クロロメチル、ブロモメチル等のハロアルキル基が挙げられるが、これに限定されない。
また、本実施形態の脂環式ポリカーボネートにおける前記式(1)中の置換基R1~R4は、炭素数2~30のアルケニル基(以下順に「C2アルケニル~C30アルケニル」とも記す)であってもよい。C2アルケニル~C30アルケニルは、前記アルキル基の一部が不飽和結合で表される直鎖状、分岐状の炭化水素基を表す。C2アルケニル~C30アルケニルの具体例としては、例えば、C2アルケニルとしてはビニル基、C3アルケニルとしては1-プロペニル基、アリル基、C4アルケニルとしては2-ブテニル基、3-ブテニル基、C5アルケニルとしては4-ペンテニル基、C6アルケニルとしては、5-へキセニル基、C7アルケニルとしては、6-ヘプテニル基、C8アルケニルとしては、7-オクテニル基、C9アルケニルとしては8-ノネニル基、C10アルケニルとしては9-デセニル基、C11アルケニルとしては10-ウンデセニル、C12アルケニルとしては11-ドデセニル基、C13アルケニルとしては12-トリデセニル基、C14アルケニルとしては14-テトラデセニル基、C15アルケニルとしては14-ペンタデセニル基、C16アルケニルとしては15-ヘキサデセニル基、C17アルケニルとしては16-ヘプタデセニル基、C18アルケニルとしては17-オクタデセニル基、C19アルケニルとしては18-ノナデセニル基、C20アルケニルとしては19-イコセニル基等が挙げられるが、これに限定されない。
また、本実施形態の脂環式ポリカーボネートにおける前記式(1)中の置換基R1~R4は、炭素数3~30のシクロアルキル基であってもよい。炭素数3~30のシクロアルキル基の具体例としては、例えば、シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロへプチル基、シクロオクチル基等の非置換のシクロアルキル基;2-エチルシクロペンチル基、3-エチルシクロペンチル基、2,3-ジメチルシクロペンチル基、2,4-ジメチルシクロペンチル基等の置換シクロペンチル基;及び1-メチルシクロへキシル基、2-メチルシクロヘキシル基、3-メチルシクロヘキシル基、4-メチルシクロヘキシル基、2,3-ジメチルシクロヘキシル基、2,3-ジメチルシクロヘキシル基、2,5-ジメチルシクロヘキシル基、2,6-ジメチルシクロヘキシル基、3,5-ジメチルシクロヘキシル基、2-エチルシクロヘキシル基、3-エチルシクロヘキシル基、4-エチルシクロヘキシル基等の置換シクロへキシル基が挙げられるが、これに限定されない。
本実施形態の脂環式ポリカーボネートにおける前記式(1)中の置換基R1~R4は、炭素数6~30のアリール基であってもよい。炭素数6~30のアリール基の具体例としては、例えば、フェニル基、トリル基、キシリル基、トリメチルフェニル基、クメニル基、ビフェニル基、ナフチル基が挙げられるが、これに限定されない。
本実施形態の脂環式ポリカーボネートにおける前記式(1)中の置換基OR1~OR4は、いずれか2つ以上が相互に結合して環構造を形成していてもよい。この結合形態としては、特に限定されないが、例えば、カーボネート、アセタール、エステル、アミド、イミド、エーテル(オキシド)、酸無水物が挙げられるが、好ましくは本実施形態の脂環式ポリカーボネートは、前記式(1)中のOR1~OR4のいずれか2つがカーボネート結合で連結した脂環式ポリカーボネートであり、より好ましくは、前記式(1)中のOR2とOR3とがカーボネート結合で連結した分子内カーボネート結合をもつ脂環式ポリカーボネートである。
本実施形態の脂環式ポリカーボネートにおいて、式(1)で表される構造は、cis型、trans型いずれでもよいが、好ましくは下記式(2)で表されるtrans型の構造である。
Figure 2022134073000011
(式(2)中、R1~R4は、各々独立に水素原子、炭素数1~30のアルキル基、炭素数2~20のアルケニル基、炭素数3~30のシクロアルキル基、又は炭素数6~30のアリール基であり、R1~R4の少なくとも1つが炭素数8以上のアルキル基であり、OR1~OR4のいずれか2つ以上が相互に結合して環構造を形成していてもよく、nは、繰り返し単位数である。)
なお、本実施形態において、式(2)中、シクロヘキサン部分とカーボネート基との2つの結合部分のうち一方が点線で他方が太い実線の場合はtrans型を表し、また、本実施形態において、構造式中のシクロヘキサン部分とカーボネート基との2つの結合部分の両方が普通の実線の場合は、cis型及びtrans型のいずれもとり得ることを表す。また、式(2)中のカーボネート基は、特に指定のない限り、当該化合物は(1S,2S)-trans体及び(1R,2R)-trans体を任意の比率で含む化合物を表す。
本実施形態の脂環式ポリカーボネートの好ましい一形態としては、主鎖のカーボネート基と異なる少なくとも1つの側鎖カーボネート基を有し、好ましくは下記(3)、(4)、(5)に表される構造からなる繰り返し単位を含む脂環式ポリカーボネートであり、より好ましくは下記式(3)で表される構造からなる繰り返し単位を含む脂環式ポリカーボネートである。このような構造からなる繰り返し単位を含む脂環式ポリカーボネートは、側鎖のカーボネート基を架橋基として用いることができるので好ましい。
Figure 2022134073000012
(式(3)中、R1及びR4は、各々独立に水素原子、炭素数1~30のアルキル基、炭素数2~20のアルケニル基、炭素数3~30のシクロアルキル基、又は炭素数6~30のアリール基であり、R1及びR4の少なくとも1つが炭素数8以上のアルキル基であり、OR1及びOR4が相互に結合して環構造を形成していてもよく、nは、繰り返し単位数である。)
Figure 2022134073000013
(式(4)中、R1及びR2は、各々独立に水素原子、炭素数1~30のアルキル基、炭素数2~20のアルケニル基、炭素数3~30のシクロアルキル基、又は炭素数6~30のアリール基であり、R1及びR2の少なくとも1つが炭素数8以上のアルキル基であり、OR1及びOR2が相互に結合して環構造を形成していてもよく、nは、繰り返し単位数である。)
Figure 2022134073000014
(式(5)中、R3及びR4は、各々独立に水素原子、炭素数1~30のアルキル基、炭素数2~20のアルケニル基、炭素数3~30のシクロアルキル基、又は炭素数6~30のアリール基であり、R3及びR4の少なくとも1つが炭素数8以上のアルキル基であり、OR3及びOR4が相互に結合して環構造を形成していてもよく、nは、繰り返し単位数である。)
本実施形態の脂環式ポリカーボネートの重量平均分子量(以下「Mw」とも記す)は、好ましくは1,000以上500,000以下であり、より好ましくは1,500以上300,000以下であり、さらに好ましくは10,000以上100,000以下である。本実施形態の脂環式ポリカーボネートは、Mwが上記の範囲内にあることで、フィルムや成形片などへの成形加工性が良くなる傾向にある。
本実施形態の脂環式ポリカーボネートの数平均分子量(以下「Mn」とも記す)は、好ましくは1,000以上500,000以下であり、より好ましくは1,500以上300,000以下であり、さらに好ましくは10,000以上100,000以下である。本実施形態の脂環式ポリカーボネートは、Mnが上記の範囲内にあることで、成形加工時の低分子量成分の溶出や凝集による汚染や透明性の低下が抑制される傾向にある。
本実施形態の脂環式ポリカーボネートの分子量分布Mw/Mn(以下、「PDI」ともいう)は、好ましくは2.0以下であり、より好ましくは1.5以下であり、さらに好ましくは1.3以下である。本実施形態の脂環式ポリカーボネートは、分子量分布Mw/Mnが上記の範囲内にあることで、成形加工性が良く、引張強度や曲げ強度に優れる傾向にある。本実施形態の脂環式ポリカーボネートの分子量分布Mw/Mnの下限値は、特に限定されないが、例えば、1.0である。
なお、本実施形態において、Mw及びMnは、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)によりポリスチレンを標準試料として用いて、THFを移動相として測定することができる。具体的には、当該Mw及びMnの測定方法は、実施例に記載の方法による。
次に本実施形態の脂環式ポリカーボネートの製造方法、例えば、環状カーボネートを開環重合するための好ましい条件について述べる。
[脂環式ポリカーボネートの製造方法]
本実施形態の脂環式ポリカーボネートの製造方法としては、特に限定されないが、例えば、下記式(A)で表される化合物(脂環式カーボネート)の開環重合により脂環式ポリカーボネートを得る方法、又は、下記(B)で表される化合物(イノシトール骨格を有するオキシド)とCO2とを触媒下で反応させる交互共重合により脂環式ポリカーボネートを得る方法が挙げられる。
本実施形態の脂環式ポリカーボネートの製造方法は、下記式(A)で表される化合物を開環重合する工程を有することが好ましい。
Figure 2022134073000015
Figure 2022134073000016
(式(A)及び式(B)中、R1~R4は、各々独立に水素原子、炭素数1~30のアルキル基、炭素数2~20のアルケニル基、炭素数3~30のシクロアルキル基、又は炭素数6~30のアリール基であり、R1~R4の少なくとも1つが炭素数8以上のアルキル基であり、OR1~OR4のいずれか2つ以上が相互に結合して環構造を形成していてもよい。)
従来、myo-イノシトールをモノマーとして用いて1,2-ポリカーボネート、特にそのホモポリマーを合成することは困難であったが、本実施形態では、上記式(A)及び式(B)中、R1~R4の少なくとも1つを炭素数8以上のアルキル基とすることで、開環重合により生成するポリカーボネートの溶媒に対する溶解性を高め、結晶化・凝集を抑制することができ、その結果、上述の脂環式ポリカーボネートが得られる。
(重合開始剤)
本実施形態の製造方法において、脂環式カーボネート(式(A)で表される化合物)を開環重合するための重合開始剤としては、特に限定されないが、例えば、酸触媒、塩基触媒、及び酵素触媒が挙げられる。塩基触媒としては、特に限定されないが、例えば、アルキル金属、金属アルコキシド、金属有機酸塩、環状モノアミン及び環状ジアミン(特に、アミジン骨格を有する環状ジアミン化合物)のような環状アミン、グアニジン骨格を有するトリアミン化合物、並びに窒素原子を含有する複素環式化合物が挙げられる。アルキル金属としては、特に限定されないが、例えば、メチルリチウム、n-ブチルリチウム、sec-ブチルリチウム、tert-ブチルリチウム、及びフェニルリチウムのような有機リチウム、メチルマグネシウムハライド、エチルマグネシウムハライド、プロピルマグネシウムハライド、フェニルマグネシウムハライド、トリメチルアルミニウム、及びトリエチルアルミニウムが挙げられる。その中でも、好ましくはメチルリチウム、n-ブチルリチウム、又はsec-ブチルリチウムが用いられる。金属アルコキシド中の金属イオンとしては、特に限定されないが、例えば、アルカリ金属、アルカリ土類金属イオンが挙げられ、好ましくはアルカリ金属である。アルコキシドイオンとしては、特に限定されないが、例えば、メトキシド、エトキシド、プロポキシド、ブトキシド、フェノキシド、及びベンジルオキシドが挙げられる。なお、フェノキシド、ベンジルオキシドについては、芳香環上に置換基を有していてもよい。金属有機酸塩中の有機酸イオンとしては、特に限定されないが、例えば、炭素数1~10のカルボン酸イオンが挙げられる。金属有機酸塩中の金属としては、特に限定されないが、例えば、リチウム、ナトリウム、カリウム、ルビジウム、セシウム、マグネシウム、カルシウム、及びスズが挙げられる。また、塩基触媒としては、特に限定されないが、例えば、有機塩基が挙げられる。有機塩基としては、特に限定されないが、例えば、1,4-ジアザビシクロ-[2.2.2]オクタン(DABCO)、1,8-ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデカ-7-エン(DBU)、1,5-ジアザビシクロ[4.3.0]ノナ-5-エン(DBN)、1,5,7-トリアザビシクロ[4.4.0]デカ-5-エン(TBD)、ジフェニルグアニジン(DPG)、N,N-ジメチル-4-アミノピリジン(DMAP)、イミダゾール、ピリミジン、及びプリンが挙げられる。
本実施形態の脂環式ポリカーボネートの製造方法の開環重合する工程における、重合開始剤の使用量は、脂環式ポリカーボネートの目標とする分子量に応じて適宜調整すればよい。
(重合停止剤)
本実施形態の脂環式ポリカーボネートの製造方法において、得られる脂環式ポリカーボネートの平均分子量を制御する観点から、上記重合開始剤に加えて、重合停止剤を用いてもよい。重合停止剤としては、特に限定されないが、例えば、塩酸、硫酸、硝酸、メタンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、p-トルエンスルホン酸、トリフルオロメタンスルホン酸、リン酸、メタリン酸、ギ酸、酢酸、プロピオン酸、酪酸、乳酸、クエン酸、アスコルビン酸、グルコン酸、シュウ酸、酒石酸、メルドラム酸、及び安息香酸に挙げられる無機酸及び有機酸が挙げられる。
(添加剤)
本実施形態の脂環式ポリカーボネートの製造方法において、得られるポリマーの分子量を制御する観点、及び末端構造を制御することで種々の特性を発現させる観点から、上記重合開始剤に加えて、添加剤を用いてもよい。添加剤としては、特に限定されないが、例えば、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール、ペンタノール、ヘキサノール、ヘプタノール、ノナノール、デカノール、ドデカノール、ラウリルアルコール、ミリスチルアルコール、セチルアルコール、ステアリルアルコール、5-ノルボルネン-2-メタノール、1-アダマンタノール、2-アダマンタノール、トリメチルシリルメタノール、フェノール、ベンジルアルコール、及びp-メチルベンジルアルコールのようなモノアルコール、エチレングリコール、1,2-プロパンジオール、1,3-プロパンジオール、1,3-ブタンジオール、1,4-ブタンジオール、ヘキサンジオール、ノナンジオール、テトラメチレングリコール、及びポリエチレングリコールのようなジアルコール、グリセロール、ソルビトール、キシリトール、リビトール、エリスリトール、及びトリエタノールアミンのような多価アルコール、並びに、乳酸メチル、及び乳酸エチルが挙げられる。また、上記の添加剤は一種類を単独で用いてもよく、二種以上を組み合わせて用いてもよい。
(撹拌)
本実施形態の脂環式ポリカーボネートの製造方法は、その重合工程において、反応物及び/又は生成物を撹拌することが好ましい。重合工程において撹拌がなされることにより、系内の均一性が向上し、かつ、成長鎖とモノマーとの接触頻度が向上するため、一層高分子量の脂環式ポリカーボネートを製造することができる。撹拌方法としては、特に限定されないが、例えば、メカニカルスターラーと撹拌翼とを用いた撹拌、及びマグネチックスターラーと回転子とを用いた撹拌が挙げられる。
(反応温度)
本実施形態の脂環式ポリカーボネートの製造方法において、重合工程における反応温度は、上述の脂環式ポリカーボネートを製造することができる範囲内であれば特に限定されないが、好ましくは0℃以上150℃以下であり、より好ましくは0℃以上100℃以下であり、さらに好ましくは10℃以上80℃以下であり、特に好ましくは30℃以上60℃以下である。
(反応時間)
本実施形態の脂環式ポリカーボネートの製造方法において、重合工程における反応時間は、上述の脂環式ポリカーボネートを製造することができる範囲内であれば特に限定されないが、好ましくは1分~72時間であり、より好ましくは3分~48時間であり、さらに好ましくは5分~18時間である。
本実施形態の脂環式ポリカーボネートの製造方法において、重合工程における反応温度、反応時間、モノマーの量及び後述の溶媒の量等を適宜調整することにより、上述の脂環式ポリカーボネートを収率良く得ることができる。
(溶媒)
本実施形態の脂環式ポリカーボネートの製造方法では、溶媒を用いてもよい。溶媒としては、特に限定されないが、例えば、ジエチルエーテル、ジイソプロピルエーテル、ジブチルエーテル、ジフェニルエーテル、テトラヒドロフラン(THF)、2-メチルテトラヒドロフラン、1,4-ジオキサン、シクロペンチルメチルエーテル、tert-ブチルメチルエーテル、及びプロピレングリコールノモノメチルエーテルアセテートのようなエーテル系溶媒、塩化メチレン、クロロホルム、ジクロロメタン、ジクロロエタン、及びトリクロロエタンのようなハロゲン系溶媒、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、ノナン、シクロヘキサン、及びメチルシクロヘキサンのような飽和炭化水素系溶媒、トルエン、キシレン、o-キシレン、m-キシレン、p-キシレン、及びクレゾールのような芳香族炭化水素系溶媒、並びに、アセトン、2-ブタノン、2-ペンタノン、3-ペンタノン、シクロペンタノン、シクロヘキサノン、及びメチルイソブチルケトンのようなケトン系溶媒、N-メチルピロリドン、ジメチルアセトアミド、ジエチルホルムアミド、N,N-ジメチルホルムアミド(DMF)に挙げられるアミド系溶媒、が挙げられる。
[イノシトール化合物の製造方法]
本実施形態に係るイノシトール化合物の製造方法は、下記式(1)で表される構造を含む脂環式ポリカーボネートを塩基性物質で分解することにより、下記式(2)’で表されるイノシトール化合物を製造する工程を含む。
Figure 2022134073000017
(式(1)中、R1~R4は、各々独立に水素原子、炭素数1~30のアルキル基、炭素数2~20のアルケニル基、炭素数3~30のシクロアルキル基、又は炭素数6~30のアリール基であり、R1~R4の少なくとも1つが炭素数8以上のアルキル基であり、OR1~OR4のいずれか2つ以上が相互に結合して環構造を形成していてもよく、nは、繰り返し単位数である。)
Figure 2022134073000018
(式(2)’中、R1~R4は、各々独立に水素原子、炭素数1~30のアルキル基、炭素数2~20のアルケニル基、炭素数3~30のシクロアルキル基、又は炭素数6~30のアリール基であり、R1~R4の少なくとも1つが炭素数8以上のアルキル基であり、OR1~OR4のいずれか2つ以上が相互に結合して環構造を形成していてもよい。)
本実施形態に係るイノシトール化合物の製造方法では、脂環式ポリカーボネートを分解し、脂環式ポリカーボネートの原料となる上述の式(2)’で表されるイノシトール化合物を回収することができる。本実施形態に係るイノシトール化合物の製造方法によれば、穏和な温度条件(例えば室温25℃)かつ、短時間(例えば3時間)で分解できる傾向にあるため、脂環式ポリカーボネートから原料となるイノシトール化合物を容易に回収できる。また、本実施形態に係るイノシトール化合物の製造方法によれば、カーボネート由来の副生成物・残渣が残らない傾向にある。
前記イノシトール化合物を製造する工程で用いられる脂環式ポリカーボネートとしては、好ましくは、前記式(1)で表される構造からなる繰り返し単位を含む。つまり上述の実施形態に係る脂環式ポリカーボネートが好ましい。
前記イノシトール化合物を製造する工程で用いられる塩基性物質としては、特に限定されないが、例えば、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、アンモニア、アミン等が挙げられる。これらの中でも水酸化ナトリウム、又は水酸化カリウムが好ましい。
前記イノシトール化合物を製造する工程は、アルコール溶媒中で行われることが好ましい。このことにより、中和塩除去後、濃縮するだけでイノシトール化合物が回収できる。アルコール溶媒としては、特に限定されないが、例えば、炭素数1~6のアルコールが用いられる。炭素数1~6のアルコールとしては、特に限定されないが、例えば、メタノール、エタノール、n-プロパノール、イソプロパノール、ブタノール、ヘキサノールなどが挙げられる。これらのアルコールのうち、1種単独で用いてもよいし、2種以上を用いてもよい。
本実施形態に係るイノシトール化合物の製造方法は、前記イノシトール化合物を製造する工程後、酸性ガスを反応液中に吹き込み中和する工程を更に有することが好ましい。
酸性ガスとしては、特に限定されないが、例えば、塩化水素ガスなどが挙げられる。酸性ガスを反応液中に吹き込むことで、イノシトール化合物の回収が容易になり、回収のロスを低減することができる傾向にある。
なお、本実施形態において、脂環式カーボネート、脂環式ポリカーボネート及びイノシトール化合物は当業者に周知の技術によって定量及び定性できる。例えば、1H-NMR、13C-NMR、高速液体クロマトグラフィー、ガスクロマトグラフィー等による方法が挙げられる。
以下、本発明を実施例によりさらに具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
本実施例に記載した試薬は特に記載がない限り、富士フイルム和光純薬製を用いた。
また、本実施例で使用した分析手法は下記の通りとした。
[化合物の同定]
化合物の同定は、主に1H-NMR及び13C-NMRを用いて行った。
当該測定において、機器は日本電子株式会社(ECX-400)を用い、プローブは
5mmチューナブルプローブを用いた。なお、1H-NMR測定において、重溶媒の基準ピークはテトラメチルシランを0.0ppmとし、積算回数は8回とした。13C-NMR測定において、重溶媒の基準ピークは、クロロホルム-d(以下「CDCl3」とも記す)を用いた場合は77.0ppm、ジメチルスルホキシド-d6(以下「DMSO-d6」とも記す)を用いた場合は39.5ppmとし、積算回数は256回とした。
[融点]
融点の測定は示差走査熱量計(DSC)を用いて以下の手順で行った。示差走査熱量計(DSC)としてはTAInstruments社製Q200を用いた。測定条件は昇温降温速度3℃/分とした。融点は当該測定における20℃からの昇温過程での融解温度とした。
[熱分解開始温度]
島津社製TG-DTA装置(製品名:DTG-60A)、及びアルミクリプトンセルを用いて、窒素気流中50℃/分の速度で脂環式ポリカーボネートを加熱した。脂環式ポリカーボネートの熱分解(TGA)を測定し、TGA曲線の接線交点より脂環式ポリカーボネートの熱分解開始温度を得た。
[ポリマー分子量]
脂環式ポリカーボネートの分子量(ポリマー分子量)の測定はゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)を用いて以下の手順で行った。
脂環式ポリカーボネート2mgに対して、1.5mlの割合でテトラヒドロフラン(以下「THF」とも記す)に溶解した溶液を測定試料とし、高速液体クロマトグラフシステムとしては東ソー株式会社製HLC-8120GPCを用いてポリマー分子量を測定した。カラムはTOSOH社製のTSKgelG2500Hを使用し、カラム温度は25℃とし、THFを移動相として0.200mL/分の速度で分析した。検出器は、示差屈折率検出器(RID)を使用した。Showdex製のポリスチレン標準試料を用いて、検量線を作成した。この検量線を基に、脂環式ポリカーボネートの数平均分子量(Mn)及び重量平均分子量(Mw)を求めた。さらに、当該結果から、脂環式ポリカーボネートの分子量分布Mw/Mn(PDI)を算出した。
(合成例1)
1,4-ビス-O-(2-エチルへキシル)-2,3:5,6-ジカーボネート-myo-イノシトール(以下「ECI」とも記す)の合成
(ステップ1-1)2,3:5,6-ジ-O-シクロヘキシリデン-myo-イノシトールの合成
Figure 2022134073000019
脱気及びアルゴン(Ar)置換した500mLの4つ口フラスコにおいて、myo-イノシトール(125g、0.690mol)を脱水ジメチルホルムアミド(以下「DMF」とも記す;860mL)に分散させ、1,1-ジメトキシシクロヘキサン(400g、2.77mol)、p-トルエンスルホン酸一水和物(13.2g、69.
0mmol、キシダ化学)を順に加え、得られた反応液を100℃に加熱した。45分後、反応液に、トリメチルアミン(30mL)を加え、反応液を減圧濃縮した。得られた濃縮物を、酢酸エチル(3.0L)に溶解し、5質量%炭酸水素ナトリウム水溶液(400mL)で洗浄した。酢酸エチル相を、適量の硫酸ナトリウムで乾燥させ、濾過した後、減圧下で濃縮して固体を得た。
得られた濃縮固体をジイソプロピルエーテル(1.0L)で再結晶することにより、2,3:5,6-ジ-O-シクロヘキシリデン-myo-イノシトールの無色の結晶を50.5g(148mmol)、21%の収率で得た。なお、図1に得られた結晶の1H-NMRチャート(CDCl3)を示す。1H-NMRの結果から、得られた結晶は、上記式(1-1)の構造を有するジオール体(2,3:5,6-ジ-O-シクロヘキシリデン-myo-イノシトール)であることがわかった。
(ステップ1-2)1,4-ビス-O-(2-エチルへキシル)-2,3:5,6-ジ-O-シクロヘキシリデン-myo-イノシトール誘導体(以下「ECyI」とも記す)の合成
Figure 2022134073000020
500mLの2つ口フラスコへ、55%水素化ナトリウム(15.2g、0.314mol)を加え、ヘキサンで洗浄した。フラスコを脱気、N2置換した後、DMF(287mL)に前記(ステップ1-1)で得られたジオール体(2,3:5,6-ジ-O-シクロヘキシリデン-myo-イノシトール)(24.0g、70.2mmol)を溶解させた溶液を加え、50℃で1時間撹拌した。その後、加熱を止め、1-ブロモ-2-エチルヘキサン(79.3g、413mmol、東京化成)を加えて、120時間反応を行った。その後、得られた反応液を水200mLで洗浄し、ヘキサンで抽出し、ヘキサン相を減圧濃縮した。減圧濃縮した後、得られた濃縮物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶離液:酢酸エチル/ヘキサン=11/30)で精製した。なお、図2に得られた液体の1H-NMRチャート(CDCl3)を示す。1H-NMRの結果から、得られた液体は、上記式(1-2)の構造を有する、1,4-ビス-O-(2-エチルへキシル)-2,3:5,6-ジ-O-シクロヘキシリデン-myo-イノシトール誘導体(ECyI)を分離し、真空乾燥することにより淡黄色の液体(15.1g、26.8mmol、収率:38%)を得た。
(ステップ1-3)1,4-ビス-O-(2-エチルへキシル)-myo-イノシトール(以下「EI」とも記す)の合成
Figure 2022134073000021
200mLのナスフラスコへ、メタノール(170mL)を加え、前記(ステップ1-2)で得られた1,4-ビス-O-(2-エチルヘキシル)-2,3:5,6-ジ-O-シクロヘキシリデン-myo-イノシトール誘導体(ECyI;0.960g、1.70mmol)を加え攪拌して溶液を得た。得られた溶液に濃塩酸(7mL)を徐々に加え、室温で18時間攪拌し、薄層クロマトグラフィー(TLC)で原料の消失を確認した。得られた反応液を減圧濃縮し、残存物を酢酸エチルとヘキサンとの混合溶媒で再結晶することにより、1,4-ビス-O-(2-エチルヘキシル)-myo-イノシトール(EI;0.230g、0.569mmol、収率:34%)を白色の結晶として得た。図3に得られた結晶の1H-NMRチャート(CDCl3)を示す。1H-NMRの結果から、得られた結晶は、上記式(1-3)の構造を有するEIであることがわかった。
(ステップ1-4)1,4-ビス-O-(2-エチルへキシル)-2,3:5,6-ジカーボネート-myo-イノシトール(以下「ECI」とも記す)の合成
Figure 2022134073000022
200mLのナスフラスコへ、前記(ステップ1-3)で得られた1,4-ビス-O-(2-エチルへキシル)-myo-イノシトール(EI;4.0g、9.98mmol)、脱水THF(14.0mL)を加え、得られた溶液を氷浴で冷却した。冷却後の溶液に、クロロギ酸エチル(28mL、294mmol)を加えたのち、THF(76.0mL)で希釈したトリエチルアミン(15.0mL、108mmol)を少しずつ滴下し、30分間室温で攪拌して反応を行った。その後、反応液に、再びクロロギ酸エチル(14.0mL、147mmol)を加え、1時間撹拌して反応を行った。反応液中に生成した塩を濾過して除去した。得られたろ液が酸性になるまで1質量%塩酸で中和した後、THFを留去した。得られた残渣を酢酸エチル(300mL)に溶解し、水で洗浄した。有機相を硫酸マグネシウムで乾燥した後、100℃に加熱し、減圧濃縮した。得られた残渣を氷浴したヘキサンで洗浄することにより、1,4-ビス-O-(2-エチルへキシル)-2,3:5,6-ジカーボネート-myo-イノシトール(ECI;3.25g、7.10mmol、71%)の白色の結晶を得た。得られたECIの融点は100℃であった。図4に得られた結晶の1H-NMRチャート(CDCl3)を示す。1H-NMRの結果から、得られた結晶は、上記式(1-4)の構造を有するECIであることがわかった。
(合成例2)
1,4-ジ-O-ベンジル―2,3:5,6-ジカーボネート-myo-イノシトール(以下「BCI」とも記す)の合成
Figure 2022134073000023
前記合成例1、(ステップ1-2)の1-ブロモ-2-エチルヘキサンの代わりに、ベンジルブロミドを用いた以外は合成例1と同様の手順で合成を行い、無色の透明結晶である1,4-ジ-O-ベンジル―2,3:5,6-ジカーボネート-myo-イノシトール(BCI)を得た。なお、図5に得られた結晶の1H-NMRチャート(CDCl3)を示す。1H-NMRの結果から、得られた結晶は、上記式(2-1)の構造を有するBCIであることがわかった。また、得られたBCIの融点は195℃であった。
[実施例1~14]1,4-ビス-O-(2-エチルへキシル)―2,3:5,6-ジカーボネート-myo-イノシトール(ECI)ホモポリマーの合成
表1に示すとおり、すり付き試験管に、上記合成例1で合成した所定量のECIと撹拌子を入れ、フラスコ内を窒素で置換した。表1に示すとおり、シリンジよりDMFを所定量加え、所定の温度に加熱撹拌してECIを溶解させた。その後、1,8-ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデカ-7-エン(以下「DBU」とも記す)を4.00μl(0.0264mmol)加えて、表1に示すとおり、所定の温度・時間撹拌してポリマーを得た。試験管を室温まで放冷した後、酢酸を2.00μl(0.0396mmol)加えた後にクロロホルム5.0mLを加えてポリマーを溶解させて溶液を得た。続いて得られた溶液をメタノール50mL中に加えてポリマーを析出させた(再沈殿)。析出させたポリマーをデカンテーションによって回収し、メタノールで洗浄した。得られたポリマーを真空乾燥させ目的物(脂環式ポリカーボネート:1,4-ビス-O-(2-エチルへキシル)―2,3:5,6-ジカーボネート-myo-イノシトール(ECI)ホモポリマー)を得た。得られた脂環式ポリカーボネートの数平均分子量(Mn)、重量平均分子量(Mw)、分子量分布(PDI)を上記方法により求めた。結果を表1に示す。収率はポリマー重量(g)/仕込みモノマー重量(g)×100で計算した。結果を表1に示す。なお、実施例2及び実施例9のポリマー及びECIモノマーの1H-NMRチャート(CDCl3)を図6に示す。また、実施例3のポリマーおよびECIモノマーの13C-NMRチャート(CDCl3)を図7、それらの152ppmから154ppm付近の拡大図を図8に示す。図8に示した通り、得られたポリマーはtrans体のカーボネートに起因するピークが消失する一方、cis体のカーボネートに起因するピークは残存し、trans体カーボネートのみが重合していることが確認された。
Figure 2022134073000024
また、実施例3で得られた脂環式ポリカーボネートの熱分解開始温度は229℃であった。このことから、分子量が向上することで耐熱性の高いバイオマス由来の脂環式ポリカーボネートが得られることがわかった。また実施例1から実施例11で得られた脂環式ポリカーボネートはいずれもTHF、DMF等の溶媒への高い溶解性を示した。
実施例14で得られた脂環式ポリカーボネート50mgに1mLの各種溶媒を加え、目視で溶解性を確認したところ、酢酸エチル、アセトン、THF、クロロホルム、トルエン、DMF、1,4-ジオキサンに溶解した。
[製造例1][ポリマーのアルカリ分解]
実施例14と同条件の開環重合にて得られた脂環式ポリカーボネート200mg(ECIモノマー換算で0.438mmol)をTHF0.15mlに溶解し、0.6Nの水酸化カリウムのエタノール溶液(2.5mL)を加えて、室温で3時間攪拌して反応(アルカリ分解)を行った。その後、塩化ナトリウム及び濃硫酸から発生した塩化水素ガスを、反応溶液に吹き込んで中和した。溶媒を減圧下に留去した後、残渣にクロロホルム(20ml)を加え、不溶物をろ別した。減圧下にろ液を濃縮し、真空乾燥して168mgの白色固体を得た。得られた白色固体の1H-NMRチャート(CDCl3)を図9に、GPCチャートを図10に示す。これらはいずれも(ステップ1-3)で合成した1,4-ビス-O-(2-エチルへキシル)-myo-イノシトール(EI)と一致し、白色固体の収率は95%となった。ポリマーがEI骨格から構成されるポリカーボネート体であることが確認され、また、アルカリ分解によりモノマー成分をリサイクル(再生)できることが確認できた。
[比較例1]1,4-ビス-O-ベンジル―2,3:5,6-ジカーボネート-myo-イノシトール(BCI)ホモポリマーの合成
すり付き試験管に、上記合成例2で合成した1,4-ビス-O-ベンジル―2,3:5,6-ジカーボネート-myo-イノシトール(BCI)0.73mmolと撹拌子を入れ、フラスコ内を窒素で置換した。シリンジよりDMFを340μl加え、60℃に加熱撹拌したのち、DBU(0.0292mmol)を加えて、12時間撹拌した。試験管を室温まで放冷した後、酢酸(2.00μl、0.0396mmol)を加え、続いてクロロホルム5.0mLに溶解させたのち、続いて溶液をメタノール50mL中に加えてデカンテーションを行ったが、ポリマーは得られなかった。触媒をt-ブトキシカリウムに変更して反応を行ったが、同様にポリマーは得られなかった。
本発明の脂環式ポリカーボネートは、カーボネート部位のみならず骨格にも再生可能資源を利用しており、環境負荷の低い材料を提供できる。

Claims (9)

  1. 下記式(1)で表される構造からなる繰り返し単位を含む脂環式ポリカーボネート。
    Figure 2022134073000025
    (式(1)中、R1~R4は、各々独立に水素原子、炭素数1~30のアルキル基、炭素数2~20のアルケニル基、炭素数3~30のシクロアルキル基、又は炭素数6~30のアリール基であり、R1~R4の少なくとも1つが炭素数8以上のアルキル基であり、OR1~OR4のいずれか2つ以上が相互に結合して環構造を形成していてもよく、nは、繰り返し単位数である。)
  2. 前記式(1)で表される構造が下記式(2)で表されるtrans型の構造である、請求項1に記載の脂環式ポリカーボネート。
    Figure 2022134073000026
    (式(2)中、R1~R4は、各々独立に水素原子、炭素数1~30のアルキル基、炭素数2~20のアルケニル基、炭素数3~30のシクロアルキル基、又は炭素数6~30のアリール基であり、R1~R4の少なくとも1つが炭素数8以上のアルキル基であり、OR1~OR4のいずれか2つ以上が相互に結合して環構造を形成していてもよく、nは、繰り返し単位数である。)
  3. 前記式(1)で表される構造が下記式(3)で表される構造である、請求項1又は2に記載の脂環式ポリカーボネート。
    Figure 2022134073000027
    (式(3)中、R1及びR4は、各々独立に水素原子、炭素数1~30のアルキル基、炭素数2~20のアルケニル基、炭素数3~30のシクロアルキル基、又は炭素数6~30のアリール基であり、R1及びR4の少なくとも1つが炭素数8以上のアルキル基であり、OR1及びOR4が相互に結合して環構造を形成していてもよく、nは、繰り返し単位数である。)
  4. 1及びR4の少なくとも1つが炭素数8以上のアルキル基である、請求項1から3のいずれか1項に記載の脂環式ポリカーボネート。
  5. 下記式(A)で表される化合物を開環重合する工程を有する、請求項1から4のいずれか1項に記載の脂環式ポリカーボネートの製造方法。
    Figure 2022134073000028
    (式(A)中、R1~R4は、各々独立に水素原子、炭素数1~30のアルキル基、炭素数2~20のアルケニル基、炭素数3~30のシクロアルキル基、又は炭素数6~30のアリール基であり、R1~R4の少なくとも1つが炭素数8以上のアルキル基であり、OR1~OR4のいずれか2つ以上が相互に結合して環構造を形成していてもよい。)
  6. 下記式(1)で表される構造を含む脂環式ポリカーボネートを塩基性物質で分解することにより、下記式(2)’で表されるイノシトール化合物を製造する工程を含む、
    イノシトール化合物の製造方法。
    Figure 2022134073000029
    (式(1)中、R1~R4は、各々独立に水素原子、炭素数1~30のアルキル基、炭素数2~20のアルケニル基、炭素数3~30のシクロアルキル基、又は炭素数6~30のアリール基であり、R1~R4の少なくとも1つが炭素数8以上のアルキル基であり、OR1~OR4のいずれか2つ以上が相互に結合して環構造を形成していてもよく、nは、繰り返し単位数である。)
    Figure 2022134073000030
    (式(2)’中、R1~R4は、各々独立に水素原子、炭素数1~30のアルキル基、炭素数2~20のアルケニル基、炭素数3~30のシクロアルキル基、又は炭素数6~30のアリール基であり、R1~R4の少なくとも1つが炭素数8以上のアルキル基であり、OR1~OR4のいずれか2つ以上が相互に結合して環構造を形成していてもよい。)
  7. 前記脂環式ポリカーボネートが、前記式(1)で表される構造からなる繰り返し単位を含む、請求項6に記載のイノシトール化合物の製造方法。
  8. 前記イノシトール化合物を製造する工程が、アルコール溶媒中で行われる、請求項6又は7に記載のイノシトール化合物の製造方法。
  9. 前記イノシトール化合物を製造する工程後、酸性ガスを反応液中に吹き込み中和する工程を更に有する、請求項6から8のいずれか一項に記載のイノシトール化合物の製造方法。
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