JP2022133199A - 新規複素環式化合物及びその塩、並びに、発光基質組成物 - Google Patents

新規複素環式化合物及びその塩、並びに、発光基質組成物 Download PDF

Info

Publication number
JP2022133199A
JP2022133199A JP2021032167A JP2021032167A JP2022133199A JP 2022133199 A JP2022133199 A JP 2022133199A JP 2021032167 A JP2021032167 A JP 2021032167A JP 2021032167 A JP2021032167 A JP 2021032167A JP 2022133199 A JP2022133199 A JP 2022133199A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
mmol
heterocyclic compound
salt
acid
compound represented
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP2021032167A
Other languages
English (en)
Inventor
昌次郎 牧
Shojiro Maki
昇雄 北田
Nobuo Kitada
亮平 森屋
Ryohei Moriya
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
University of Electro Communications NUC
Original Assignee
University of Electro Communications NUC
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by University of Electro Communications NUC filed Critical University of Electro Communications NUC
Priority to JP2021032167A priority Critical patent/JP2022133199A/ja
Publication of JP2022133199A publication Critical patent/JP2022133199A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Images

Landscapes

  • Plural Heterocyclic Compounds (AREA)

Abstract

【課題】短波長の光を発することが可能で、ホタル生物発光系における発光基質として利用可能な新規化合物を提供する。【解決手段】下記一般式(I):TIFF2022133199000014.tif51147式中、R1は、水素又は炭素数1~4のアルキル基、R2は、結合するベンゼン環と共に5員環又は6員環を形成し、環の構成元素として、O及び/又はSを1つ又は2つ含む2価の置換炭化水素基、Xは、N又はCR3であり、ここで、R3は、水素又は炭素数1~4のアルキル基、Yは、S又はO、nは、0~2の整数である。【選択図】なし

Description

本発明は、新規複素環式化合物及びその塩、並びに、発光基質組成物に関するものである。
生体内深部の可視化は、生命科学分野において、大きな課題となっており、生体内深部の可視化に、生物発光系を利用する研究が行われている。かかる生物発光系の中でも、ホタルの発光系は、発光効率に優れた系として知られている。該ホタルの発光系においては、発光基質であるホタルルシフェリン(LH)が、発光酵素のホタルルシフェラーゼ(Luc)と、アデノシン三リン酸(ATP)及びマグネシウムイオン(Mg2+)の存在下、励起状態のオキシルシフェリンに変換され、該オキシルシフェリンが基底状態へと失活する際に波長が約560nmの黄緑色の光が発せられる。
また、昨今、かかるホタルの発光系の発光基質の類似体として、多彩な発光波長を実現する化合物が合成されている。例えば、下記特許文献1には、下記構造式(a)で表される化合物が、また、下記特許文献2には、下記構造式(b)で表される化合物が、また、下記特許文献3には、下記構造式(c)で表される化合物が、いずれも極大波長670nm程度の発光スペクトルを示すことが開示されており、これらの材料により、これまで光イメージングができなかった生体内深部の微小細胞の可視化が可能となっている。
Figure 2022133199000001
また、下記非特許文献1には、上記構造式(a)又は(b)で表される化合物に特化した発光酵素として、ホタルの天然発光酵素であるホタルルシフェラーゼ(Luc)から遺伝子組み換えにより創製した発光酵素(AkaLuc)が開示されており、該特化酵素を使用することで、高輝度化が可能となっている。
一方、下記非特許文献2には、下記構造式(d)で表される化合物が、極大波長560nm程度の発光スペクトルを示すことが開示されており、更に、下記構造式(e)で表される化合物が、極大波長640nm程度の発光スペクトルを示し、下記構造式(f)で表される化合物が、極大波長530nm程度の発光スペクトルを示することが開示されている。
Figure 2022133199000002
特開2009-184932号公報 特開2014-218456号公報 特開2015-193584号公報
Science,359,935-939(2018). Tetrahedron,69,3847-3856(2013).
昨今、複数の生体内現象の可視化ができるデュアル、トリプル、クアトロ計測技術のニーズが高まっており、短波長の光を発する発光基質、特には、青色発光基質を求める声が高まっている。
生体内イメージング技術は、新型コロナウィルスの研究に引きずられるように、ウィルスの標識への応用が広がっている。これは、複数事象の同時計測のニーズとなり、これが発光波長域の拡大へつながり、近赤外発光基質から波長域を拡大するために、短波長の光を発する発光基質、特には、青色発光基質が必要とされている。
これに対して、上記非特許文献2に開示のように、上記構造式(a)又は(d)で表される化合物のジメチルアミノ基をヒドロキシル基で置換することで(即ち、上記構造式(e)又は(f)で表される化合物とすることで)、発光スペクトルを短波長化できるが、その程度は十分とは言えない。
そこで、本発明は、上記従来技術の問題を解決し、短波長の光を発することが可能で、ホタル生物発光系における発光基質として利用可能な新規化合物を提供することを課題とする。
本発明者らは、上記課題を解決するために鋭意検討した結果、特定構造の化合物又はその塩が、ホタル生物発光系における発光基質として機能する上、短波長の光を発することを見出し、本発明を完成させるに至った。
即ち、本発明によれば、下記一般式(I):
Figure 2022133199000003
[式中、Rは、水素又は炭素数1~4のアルキル基であり、
は、結合するベンゼン環と共に5員環又は6員環を形成しており、該環の構成元素として、O及び/又はSを1つ又は2つ含む2価の置換炭化水素基であり、
Xは、N又はCRであり、ここで、Rは、水素又は炭素数1~4のアルキル基であり、
Yは、S又はOであり、
nは、0~2の整数である]で表されることを特徴とする、複素環式化合物が提供される。
かかる本発明の複素環式化合物は、ホタル生物発光系における発光基質として機能する上、短波長の光を発することができる。
本発明の複素環式化合物の好適例においては、上記一般式(I)中のRが、-CH-CH-O-、-O-CH-O-、-CH-CH-CH-O-、-O-CH-CH-O-のいずれかで表される。この場合、発光効率(輝度)が向上する。
本発明の複素環式化合物の他の好適例においては、上記一般式(I)中のXが、Nである。この場合、発光効率(輝度)が向上する。
本発明の複素環式化合物の他の好適例においては、上記一般式(I)中のYが、Sである。この場合、発光効率(輝度)が向上する。
本発明の複素環式化合物の他の好適例においては、上記一般式(I)中のnが、1又は2である。この場合、発光効率(輝度)が向上する。
本発明の複素環式化合物の中でも、下記構造式(I-1)~(I-5):
Figure 2022133199000004
のいずれかで表される化合物が特に好ましい。上記構造式(I-1)~(I-5)のいずれかで表される化合物は、ホタル生物発光系における発光基質として機能し、短波長の光を発することが可能である上、発光効率(輝度)にも優れる。
また、本発明によれば、前記複素環式化合物の塩が提供され、該塩も、ホタル生物発光系における発光基質として機能する上、短波長の光を発することができる。
更に、本発明によれば、前記複素環式化合物又はその塩を含む発光基質組成物が提供され、該発光基質組成物は、発光酵素と共にホタル生物発光系を構成でき、また、短波長の光を発することができる。
本発明によれば、短波長の光を発することが可能で、ホタル生物発光系における発光基質として利用可能な複素環式化合物及びその塩を提供することができる。
構造式(I-1)で表される化合物を使用した発光系において、発光強度の最大値が1となるように正規化した発光スペクトルである。 構造式(I-2)で表される化合物を使用した発光系において、発光強度の最大値が1となるように正規化した発光スペクトルである。 構造式(I-3)で表される化合物を使用した発光系において、発光強度の最大値が1となるように正規化した発光スペクトルである。 構造式(I-4)で表される化合物を使用した発光系において、発光強度の最大値が1となるように正規化した発光スペクトルである。 構造式(I-5)で表される化合物を使用した発光系において、発光強度の最大値が1となるように正規化した発光スペクトルである。
以下に、本発明の複素環式化合物及びその塩、並びに、発光基質組成物を、その実施形態に基づき、詳細に例示説明する。
<複素環式化合物及びその塩>
本発明の複素環式化合物は、下記一般式(1):
Figure 2022133199000005
で表されることを特徴とする。
本発明の複素環式化合物は、X及びYを含む5員の複素環を有し、分子構造がホタルルシフェリンと類似しているため、ホタル生物発光系における発光基質として機能する。
また、本発明の複素環式化合物は、Rとベンゼン環とが形成する5員環又は6員環が、環の構成元素として、O及び/又はSを1つ又は2つ含む特徴的な構造を有し、該構造に起因して、短波長の光を発することができる。なお、一般式(I)中のベンゼン環に対して、Rにより5員環又は6員環を形成し、更に、該5員環又は6員環の構成元素として、O及び/又はSを1つ又は2つ含ませることで、上記非特許文献2に記載のように、ジメチルアミノ基をヒドロキシル基で置換するよりも、発光波長を短波長化できる。
上記一般式(1)で表される複素環式化合物は、塩とすることもでき、該塩も、ホタル生物発光系における発光基質として機能する上、短波長の光を発することができる。
上記一般式(1)中、Rは、水素又は炭素数1~4のアルキル基である。ここで、炭素数1~4のアルキル基としては、メチル基、エチル基、n-プロピル基、イソプロピル基、n-ブチル基、イソブチル基、sec-ブチル基、tert-ブチル基等が挙げられる。発光効率(輝度)の観点から、Rとしては、水素が好ましい。
上記一般式(1)中、Rは、結合するベンゼン環と共に5員環又は6員環を形成しており、該環の構成元素(環の骨格の構成元素)として、O及び/又はSを1つ又は2つ含む2価の置換炭化水素基である。ここで、5員環又は6員環の骨格を形成する元素は、O、S、Cであり、好ましくはO、Cである。環の骨格を形成するCには、水素の他、置換基が結合していてもよい。該置換基としては、炭素数1~4のアルキル基等が挙げられる。Rとしては、例えば、-CH-CH-O-、-O-CH-O-、-CH-CH-CH-O-、-O-CH-CH-O-、-CH-CH-S-、-S-CH-S-、-CH-CH-CH-S-、-S-CH-CH-S-、-O-CH-S-、-O-CH-CH-S-等や、これの基中の水素がアルキル基等で置換された基等が挙げられる。これら2価の基は、左端がベンゼン環のメタ位(ベンゼン環に結合し得るビニレン単位に対してメタ位)に結合し、右端がベンゼン環のパラ位(ベンゼン環に結合し得るビニレン単位に対してパラ位)に結合してもよいし、左端がベンゼン環のパラ位に結合し、右端がベンゼン環のメタ位に結合してもよい。合成上の観点、及び発光効率(輝度)の観点から、Rとしては、-CH-CH-O-、-O-CH-O-、-CH-CH-CH-O-、-O-CH-CH-O-のいずれかで表される2価の基が好ましい。
上記一般式(1)中、Xは、N又はCRであり、ここで、Rは、水素又は炭素数1~4のアルキル基である。ここで、炭素数1~4のアルキル基としては、メチル基、エチル基、n-プロピル基、イソプロピル基、n-ブチル基、イソブチル基、sec-ブチル基、tert-ブチル基等が挙げられる。発光効率の観点から、Xとしては、Nが好ましい。XがNの場合、分子構造がホタルルシフェリンに更に類似する。
上記一般式(1)中、Yは、S又はOであり、Sが好ましい。YがSである場合、分子構造がホタルルシフェリンに更に類似するため、発光効率(輝度)が向上する。
上記一般式(1)中、nはビニレン単位(-CH=CH-)の繰り返し数を示し、0~2の整数である。ここで、nの数が小さい程、発光波長が短くなる。発光効率(輝度)の観点から、nは、1又は2であることが好ましい。
上記一般式(1)で表される複素環式化合物としては、下記構造式(1-1)~(1-5):
Figure 2022133199000006
のいずれかで表される化合物が特に好ましい。上記構造式(1-1)~(1-5)のいずれかで表される化合物及びその塩は、ホタル生物発光系における発光基質として機能し、短波長の光を発することが可能である上、発光効率(輝度)にも優れる。
上記一般式(1)で表される複素環式化合物は、特に限定されるものではないが、以下のようにして合成することができる。
例えば、出発物質として、2,3-ジヒドロベンゾフラン-5-カルボキシアルデヒド、3,4-エチレンジオキシベンズアルデヒド、ピペロナール等の複素環を有するアルデヒドを使用し、該複素環を有するアルデヒドに対して、(カルベトキシメチレン)トリフェニルホスホラン、4-ホスホノクロトン酸等を反応させて、所望により、オレフィン数を増やしつつ、エステル体を得る。次に、該エステル体を加水分解して、カルボキシル体を得る。次に、該カルボキシル体を、S-トリチル-D-システインメチルエステル(D-cys(Trt)-OMe)と、1-(3-ジメチルアミノプロピル)-3-エチルカルボイミド塩酸塩(EDC)と、N,N-ジメチルアミノピリジン(DMAP)によりアミド化させて、アミド体を得る。次に、該アミド体を、トリフェニルホスフィンオキシド(PhPO)、トリフルオロメタンスルホン酸無水物(TfO)により、チアゾリン環化させてチアゾリンメチルエステル体を得る。次いで、所望により、チアゾリンメチルエステル体のメチルエステル部分を加水分解して、チアゾリン環を有するカルボキシル体を得る。また、出発物質を適宜変更したり、種々の置換基を導入したりする等して、或いは、他の合成経路を利用して、所望の複素環式化合物を得ることができる。
上記一般式(1)で表される複素環式化合物は、塩とすることもでき、即ち、本発明の複素環式化合物の塩は、上記一般式(1)で表される複素環式化合物の塩である。かかる本発明の複素環式化合物の塩も、ホタル生物発光系における発光基質として機能する上、短波長の光を発することができる。
ここで、本発明の複素環式化合物の塩は、酸との付加塩でも、塩基との付加塩でもよい。例えば、本発明の複素環式化合物と酸との付加塩における酸としては、塩酸、臭化水素酸、ヨウ化水素酸、硫酸、スルファミン酸、リン酸、硝酸、亜リン酸、亜硝酸、クエン酸、ギ酸、酢酸、シュウ酸、マレイン酸、乳酸、酒石酸、フマル酸、安息香酸、マンデル酸、ケイ皮酸、パモ酸、ステアリン酸、グルタミン酸、アスパラギン酸、メタンスルホン酸、エタンジスルホン酸、p-トルエンスルホン酸、サリチル酸、コハク酸、トリフルオロ酢酸等が挙げられ、また、酸付加塩としては、塩酸塩、臭化水素酸塩、ヨウ化水素酸塩、硫酸塩、スルファミン酸塩、リン酸塩、硝酸塩、亜リン酸塩、亜硝酸塩、クエン酸塩、ギ酸塩、酢酸塩、シュウ酸塩、マレイン酸塩、乳酸塩、酒石酸塩、フマル酸塩、安息香酸塩、マンデル酸塩、ケイ皮酸塩、パモ酸塩、ステアリン酸塩、グルタミン酸塩、アスパラギン酸塩、メタンスルホン酸塩、エタンジスルホン酸塩、p-トルエンスルホン酸塩、サリチル酸塩、コハク酸塩、トリフルオロ酢酸塩等が挙げられる。一方、本発明の複素環式化合物と塩基との付加塩における塩基としては、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化カルシウム等が挙げられ、また、塩基付加塩としては、ナトリウム塩、カリウム塩、カルシウム塩等が挙げられる。
上記一般式(1)で表される複素環式化合物の塩は、水やpHが中性付近の緩衝液への溶解性に優れる。そのため、上記一般式(1)で表される複素環式化合物の塩は、水やpHが中性付近の緩衝液に高濃度で溶解させることができ、発光輝度を向上させることができる。
<発光基質組成物>
本発明の発光基質組成物は、上述した一般式(1)で表される複素環式化合物又はその塩を含み、上述した一般式(1)で表される複素環式化合物又はその塩のみからなってもよい。本発明の発光基質組成物は、天然のホタルルシフェラーゼ(Luc)やその変異酵素等の発光酵素と共にホタル生物発光系を構成でき、また、短波長の光を発することができる。
上述した本発明の複素環式化合物及びその塩は、発光甲虫ルシフェラーゼ、アデノシン三リン酸(ATP)及びマグネシウムイオン(Mg2+)の存在する系に添加することによって、発光甲虫ルシフェラーゼにより酸化して発光する。なお、本発明の複素環式化合物及びその塩は、ATP及びMg2+と共に発光検出キット(発光基質組成物)として提供することもでき、また、該発光検出キットには、他の発光基質や適切なpHに調整した溶液を含めてもよい。
本発明の複素環式化合物及びその塩を発光系に応用する場合、好適な発光強度を得るためには、本発明の複素環式化合物及びその塩を1μM以上の濃度で使用することが好ましく、5μM以上の濃度で使用することが更に好ましい。即ち、本発明の発光基質組成物は、上述した一般式(1)で表される複素環式化合物又はその塩を1μM以上の濃度で含むことが好ましく、5μM以上の濃度で含むことが更に好ましい。また、本発明の発光基質組成物のpH、並びに、発光系のpHは、好ましくは4~10、より好ましくは6~8であり、必要に応じて、pHを安定化するために、リン酸カリウム、トリス塩酸、グリシン、HEPES等の緩衝剤を含んでもよい。また、発光基質組成物(発光検出キット)が、ATPを含む場合、該ATPの濃度は、4μM以上が好ましく、20μM以上が更に好ましい。
また、本発明の複素環式化合物及びその塩は、ホタル発光甲虫ルシフェラーゼ発光系において、種々の発光酵素(酸化酵素)によって発光させることができる。ルシフェラーゼは、北アメリカ産ホタル(Photinus pyralis)、鉄道虫(Railroad worm)等から単離されており、いずれも使用できる。また、使用可能な酸化酵素としては、ヒカリコメツキムシルシフェラーゼ、イリオモテボタルルシフェラーゼ、フラビン含有モノオキシゲナーゼ等も挙げられる。また、天然のホタルルシフェラーゼの変異酵素を、発光酵素として使用することもできる。
本発明の複素環式化合物及びその塩を発光基質とする生物発光は、発光系にコエンザイムA(CoA)、ピロリン酸又はマグネシウムイオン(Mg2+)が存在すると、その発光が増強される。これらの化合物の発光増強効果は、発光系におけるCoA、ピロリン酸又はMg2+の濃度がそれぞれ5μM以上において顕著であり、濃度の増加に従って発光が増強される。
ホタル生物発光系を測定/検出に使用するためには、酵素の失活を防止してプラトーな発光挙動を示すように、発光を安定化させることが好ましく、例えば、発光系にマグネシウムイオンを存在させることが好ましく、マグネシウムイオンとピロリン酸を共存させることが更に好ましい。なお、マグネシウムイオン単独の場合、発光安定化の観点から、発光系のマグネシウムイオン濃度は、0.5mM以上が好ましく、濃度の増加に従って発光の安定性が向上する。また、ピロリン酸マグネシウムを使用する場合、発光安定化の観点から、発光系のピロリン酸マグネシウム濃度は、10μM以上が好ましく、100μM以上が更に好ましい。なお、ピロリン酸とマグネシウムイオンとの割合は、当量比でなくてもよい。また、好適なマグネシウム塩としては、硫酸マグネシウム、塩化マグネシウム等の無機酸塩、酢酸マグネシウム等の有機酸塩が挙げられる。また、好適なピロリン酸塩として、ナトリウム、カリウム等のアルカリ金属のピロリン酸塩、マグネシウム、カルシウム等のアルカリ土類金属のピロリン酸塩、鉄のピロリン酸塩が挙げられる。
本発明の複素環式化合物及びその塩は、生物学的測定/検出における発光標識として利用でき、例えば、アミノ酸、ポリペプチド、タンパク質、核酸等を標識するために使用できる。なお、本発明の複素環式化合物又はその塩をこれらの物質に結合させる方法は、当業者に周知であり、例えば、当業者に周知の方法を使用して、目的の物質のカルボキシル基やアミノ基に対して本発明の複素環式化合物又はその塩を結合させることができる。
また、本発明の複素環式化合物及びその塩は、発光基質の発光によって発光甲虫ルシフェラーゼ活性を検出することを利用した測定/検出に利用することができる。例えば、ルシフェラーゼ遺伝子を導入した細胞又は動物に対して本発明の複素環式化合物又はその塩を投与することにより、インビボにおける標的遺伝子又はタンパク質の発現などを測定/検出することができる。
以下に、実施例を挙げて本発明を更に詳しく説明するが、本発明は下記の実施例に何ら限定されるものではない。
<構造式(I-1)で表される化合物の合成>
構造式(I-1)の化合物の合成経路は、以下の通りである。
Figure 2022133199000007
2,3-ジヒドロベンゾフラン-5-カルボキシアルデヒド(1)(0.500 mL, 4.05 mmol)のトルエン溶液(10 mL)にwittig試薬((カルベトキシメチレン)トリフェニルホスホラン:Ph3P=CHCO2Et)(2.82 g, 8.10 mmol)を加えた。120℃下で1.5時間撹拌した後、室温に戻し、減圧濃縮した。残滓をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(シリカゲル:16.8 g, ヘキサン:酢酸エチル=4:1)で精製しエステル体(2)(429 mg, 1.97 mmol, 49%)を白色固体として得た。エステル体(2)の同定結果は、以下の通りである。
1H-NMR (500 MHz, CDCl3) δ = 7.59 (d, J = 16.0 Hz, 1H), 7.33 (s, 1H), 7.24 (d, J = 8.0, Hz, 1H), 6.73 (d, J = 8.0 Hz, 1H), 6.24 (d, J = 16.0 Hz, 1H), 4.54 (t, J = 8.9 Hz, 2H), 4.22 (q, J = 7.1 Hz, 2H), 3.14 (t, J = 8.9 Hz, 2H), 1.31 (t, J = 7.2 Hz, 3H)
ESI-MS [M + H]+ : m/z 219.10
エステル体(2)(429 mg, 1.97 mmol)をイソプロパノール(25 mL)と5M水酸化ナトリウム水溶液(12 mL)に溶解した。室温で15時間撹拌した後、クロロホルムを100 mL加えた。この溶液を蒸留水(100 mL×3)で抽出し、水層を6M塩酸で酸性条件にした後、酢酸エチル(50 mL×3)で抽出した。有機層を硫酸ナトリウムで乾燥、減圧濃縮しカルボキシル体(3)(205 mg, 1.08 mmol, 55%)を白色固体として得た。カルボキシル体(3)の同定結果は、以下の通りである。
1H-NMR (500 MHz, CDCl3) δ = 7.73 (d, J = 16.0 Hz, 1H), 7.44 (s, 1H), 7.33 (d, J = 8.0 Hz, 1H), 6.80 (d, J = 7.7 Hz, 1H), 6.29 (d, J = 16.0 Hz, 1H), 4.64 (t, J = 8.6 Hz, 2H), 3.25 (t, J = 8.6 Hz, 2H)
HR-ESI-MS : m/z : [M + H]+ C11H11O3の計算値 191.07082 ; 実測値 191.07253
カルボキシル体(3)(180 mg, 0.947 mmol)をN,N-ジメチルホルムアルデヒド溶液(6 mL)に溶かし、この溶液にS-トリチル-D-システインメチルエステル(D-cys(Trt)-OMe)(450 mg, 1.09 mmol)、1-(3-ジメチルアミノプロピル)-3-エチルカルボジイミド塩酸塩(EDC)(259 mg, 1.35 mmol)、N,N-ジメチルアミノピリジン(DMAP)(220 mg, 1.80 mmol)をアルゴン雰囲気下で加えた。室温で24時間撹拌した後、飽和重曹水(10 mL)でクエンチし、酢酸エチル(50 mL×3)で抽出した。有機層を硫酸ナトリウムで乾燥、減圧濃縮した。残滓をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(シリカゲル:62.8 g, ヘキサン:酢酸エチル=2:1)で精製し、アミド体(4)(390 mg, 0.709 mmol, 75%)を白色固体として得た。アミド体(4)の同定結果は、以下の通りである。
1H-NMR (500 MHz, CDCl3) δ = 7.54 (d, J = 15.5 Hz, 1H), 7.30-7.26 (comp, 17H), 6.79 (d, J = 8.6 Hz, 1H), 6.20 (d, J = 15.5 Hz, 1H), 4.77 (m, 1H), 4.63 (t, J = 8.9 Hz, 2H), 4.12 (m, 1H), 3.24 (t, J = 8.9 Hz, 2H), 2.75-2.69 (m, 1H)
ESI-MS [M + Na]+ : m/z 572.21
アミド体(4)(108 mg, 0.197 mmol)とトリフェニルホスフィンオキシド(Ph3PO)(60.8 mg, 0.219 mmol)の脱水塩化メチレン溶液(2 mL)に、トリフルオロメタンスルホン酸無水物(Tf2O)(0.105 mL, 0.637 mmol)を脱水塩化メチレン溶液(2 mL)に溶かした溶液をアルゴン雰囲気下、0℃で加えた後、室温で45分間撹拌した。反応混合液に飽和重曹水(20 mL)を加えクエンチし、クロロホルム(20 mL×3)で抽出し、有機層を硫酸ナトリウムで乾燥、減圧濃縮した。残滓をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(シリカゲル:20.0 g, ヘキサン:酢酸エチル=2:1)で精製し、チアゾリンメチルエステル体(5)(43.3 mg, 0.150 mmol, 76%)を白色固体として得た。チアゾリンメチルエステル体(5)の同定結果は、以下の通りである。
1H-NMR (500 MHz, CDCl3) δ = 7.36 (m, 1H), 7.27-7.24 (comp, 1H), 7.08 (d, J = 16.0 Hz, 1H), 6.94 (d, J = 16.0 Hz, 1H), 6.77 (d, J = 8.0 Hz, 1H), 5.19 (t, J = 8.9 Hz, 1H), 4.62 (t, J = 8.6 Hz, 2H), 3.59 (m, 2H), 3.22 (t, J = 8.6 Hz, 2H)
13C-NMR (126 MHz, CDCl3) δ = 171.5, 170.4, 161.9, 142.6, 129.0, 128.2, 128.0, 124.0, 119.4, 109.8, 77.9, 71.9, 52.9, 34.6, 29.4
HR-ESI-MS : m/z : [M + H]+ C15H16NO3Sの計算値 291.08448 ; 実測値 291.07584
チアゾリンメチルエステル体(5)(21.8 mg, 0.0753 mmol)のテトラヒドロフラン溶液(0.5 mL)にアルゴン雰囲気下で6M塩酸(0.5 mL)を加えた。室温で18時間撹拌した後、炭酸水素ナトリウムでクエンチした。この反応混合液を自動分取中圧カラムクロマトグラフィー(smart flash EPCLC Al-580S ULTRAPACK COLUMNS C18 H2O/メタノール=95/5)で精製し、構造式(I-1)で表される化合物(6.60 mg, 0.0240 mmol, 32%)を白色固体で得た。構造式(I-1)で表される化合物の同定結果は、以下の通りである。
1H-NMR (500 MHz, CD3OD) δ = 7.48 (s, 1H), 7.30 (d, J = 8.3 Hz, 1H), 7.09 (d, J = 16.0 Hz, 1H), 6.96 (d, J = 16.0 Hz, 1H), 6.74 (d, J = 8.5 Hz, 1H), 4.97 (t, J = 9.5 Hz, 1H), 4.59 (t, J = 8.9 Hz, 2H), 3.61-3.47 (m, 2H), 3.24-3.20 (m, 2H)
ESI-MS [M + H] : m/z 274.07
<構造式(I-2)で表される化合物の合成>
構造式(I-2)の化合物の合成経路は、以下の通りである。
Figure 2022133199000008
4-ホスホノクロトン酸(2.99mL, 13.50mmol)のテトラヒドロフラン溶液に水素化ナトリウムを加え0℃で1時間撹拌したのち、2,3-ジヒドロベンゾフラン-5-カルボキシアルデヒド(1)(0.83 ml , 6.75 mmol)を加え、室温で30分撹拌したのち、エタノールでクエンチした。クロロホルム(100 ml×3)で抽出したのち、有機層を硫酸ナトリウムで乾燥、減圧濃縮した。残滓をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン:酢酸エチル=4:1)で精製し、エステル体(6)(1.86 mg, 7.61 mmol, 56%)を黄色固体として得た。エステル体(6)の同定結果は、以下の通りである。
1H-NMR (500 MHz, CDCl3) δ = 7.44 (dd, J = 10.9, 15.45 Hz, 1H), 7.35 (s, 1H), 7.22 (d, J = 13.3Hz, 1H), 6.77-6.70 (m, 2H), 5.92 (d, J = 14.9 Hz, 1H), 4.62 (t, J = 17.2, 8.6 Hz, 2H), 4.22 (q, J = 6.85, 14.3 Hz, 2H), 3.23 (t, J =8.3, 17.15 Hz, 2H),1.31 (t, J = 14.3, 7.45 Hz, 3H)
エステル体(6)(1 g, 4.09 mmol)をイソプロパノール(30 mL)と5M水酸化ナトリウム水溶液(15 mL)に溶解した。110℃で時間撹拌した後、クロロホルムを100 mL加えた。この溶液を蒸留水(100 mL)で抽出し、水層を6M塩酸で酸性条件にした後、クロロホルム(100 mL×3)で抽出した。有機層を硫酸ナトリウムで乾燥、減圧濃縮しカルボキシル体(7)(813 mg, 3.76 mmol, 92%)を白色固体として得た。カルボキシル体(7)の同定結果は、以下の通りである。
1H-NMR (500 MHz, CD3OD) δ = 7.44 (s, 1H), 7.41 (dd, J = 10.3, 14.9 Hz, 1H), 7.26 (d, J = 8.0 Hz, 1H), 6.92-6.82 (m, 2H), 6.71 (d, J = 8.6 Hz, 1H), 5.91 (d, J = 8.6 Hz, 1H), 4.56 (t, J = 8.6, 17.75 Hz, 2H), 3.21 (t, J = 8.6, 17.2 Hz, 2H)
カルボキシル体(7)(350 mg, 1.62 mmol)をN,N-ジメチルホルムアルデヒド溶液(5 mL)に溶かし、この溶液にS-トリチル-D-システインメチルエステル(D-cys(Trt)-OMe)(801 mg, 1.93 mmol)、1-(3-ジメチルアミノプロピル)-3-エチルカルボジイミド塩酸塩(EDC)(460 mg, 2.39 mmol)、N,N-ジメチルアミノピリジン(DMAP)(390 mg, 3.19 mmol)を加えた。アルゴン雰囲気下、室温で3時間撹拌した後、蒸留水(5 mL)でクエンチし、クロロホルム(50 mL×3)で抽出した。有機層を硫酸ナトリウムで乾燥、減圧濃縮した。残滓をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(シリカゲル:60g, ヘキサン:酢酸エチル=2:1)で精製し、アミド体(8)(521 mg, 0.907 mmol, 56%)を黄色固体として得た。アミド体(8)の同定結果は、以下の通りである。
1H-NMR (500 MHz, CDCl3) δ = 7.39-7.20 (m, 17H), 6.81-6.20 (m, 3H), 5.96 (d, J = 8.05 Hz, 1H), 5.86 (d, J = 14.85 Hz, 1H), 4.74-4.72 (m, 1H), 4.61 (t, J = 8.6, 17.2 Hz, 2H), 3.22 (t, J = 8.6, 17.2 Hz, 2H), 2.74-2.67 (m, 2H)
アミド体(8)(150 mg, 0.261 mmol)とトリフェニルホスフィンオキシド(Ph3PO)(87.1 mg, 0.312 mmol)の脱水塩化メチレン溶液(2 mL)を、トリフルオロメタンスルホン酸無水物(Tf2O)(0.05 mL, 0.313 mmol)を脱水塩化メチレン溶液(2 mL)に溶かした溶液に、アルゴン雰囲気下、0℃で加えた後、室温で15分間撹拌した。反応混合液に飽和重曹水(20 mL)を加えクエンチし、クロロホルム(20 mL×3)で抽出し、有機層を硫酸ナトリウムで乾燥、減圧濃縮した。残滓をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(シリカゲル:40.0 g, ヘキサン:酢酸エチル=2:1)で精製し、チアゾリンメチルエステル体(9)(46 mg, 0.145 mmol, 55%)を黄色固体として得た。チアゾリンメチルエステル体(9)の同定結果は、以下の通りである。
1H-NMR (500 MHz, CDCl3) δ = 7.34 (s, 1H), 7.19 (d, J = 8.0 Hz, 1H), 6.92 (dd, J = 9.2, 15.5 Hz, 1H), 6.76-6.72 (m, 2H), 6.56 (d, J = 15.5 Hz, 1H), 5.17 (t, J = 9.15, 18.3 Hz, 1H), 4.59 (t, J = 8.6, 17.7 Hz, 2H), 3.62-3.51 (m, 2H), 3.21 (t, J = 8.6, 17.2 Hz, 2H)
チアゾリンメチルエステル体(9)(40 mg, 0.126 mmol)のテトラヒドロフラン溶液(1mL)にアルゴン雰囲気下で6M塩酸(0.5 mL)を加えた。室温で20時間撹拌した後、炭酸水素ナトリウムでクエンチした。この反応混合液を自動分取中圧カラムクロマトグラフィー(smart flash EPCLC Al-580S ULTRAPACK COLUMNS C18 H2O/メタノール=95/5)で精製し、構造式(I-2)で表される化合物(24 mg, 0.079 mmol, 62%)を黄色固体で得た。構造式(I-2)で表される化合物の同定結果は、以下の通りである。
1H-NMR (500 MHz, CD3OD) δ 7.43 (s, 1H), 7.31-7.22 (m, 2H), 6.97 (dd, J = 15.2, 8.9 Hz, 1H), 6.85 (d, J = 9.2 Hz, 1H), 6.76-6.69 (m, 2H), 4.99 (t, J = 10.6 Hz, 1H), 4.56 (t, J = 8.3 Hz, 2H), 3.61-3.49 (m, 2H), 3.21 (t, J = 8.9 Hz, 2H)
<構造式(I-3)で表される化合物の合成>
構造式(I-3)の化合物の合成経路は、以下の通りである。
Figure 2022133199000009
3,4-エチレンジオキシベンズアルデヒド(10)(601 mg, 3.66 mmol)のトルエン溶液(10 mL)にwittig試薬((カルベトキシメチレン)トリフェニルホスホラン:Ph3P=CHCO2Et)(2.82 g, 8.10 mmol)を加えた。120℃下で1.5時間撹拌した後、室温に戻し、減圧濃縮した。残滓をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(シリカゲル:16.7 g, ヘキサン:酢酸エチル=4:1)で精製しエステル体(11)(429 mg, 1.83 mmol, 50%)を白色固体として得た。エステル体(11)の同定結果は、以下の通りである。
1H-NMR (500 MHz, CDCl3) δ = 7.56 (d, J = 16.0 Hz, 1H), 7.05 (s, 1H), 7.02 (d, J = 8.0 Hz, 1H), 6.85 (d, J = 8.0 Hz, 1H), 6.27 (d, J = 16.0 Hz, 1H), 4.27-4.22 (comp, 6H), 1.32 (t, J = 7.2 Hz, 3H)
HR-ESI-MS : m/z : [M + H]+ C13H14O4の計算値 234.08921 ; 実測値 234.08281
エステル体(11)(429 mg, 1.83 mmol)をイソプロパノール(40 mL)と5M水酸化ナトリウム水溶液(16 mL)に溶解した。室温で14.5時間撹拌した後、クロロホルム(100 mL)を加えた。この溶液を蒸留水(100 mL×3)で抽出し、水層を6M 塩酸で酸性条件にした後、酢酸エチル(50 mL×3)で抽出した。有機層を硫酸ナトリウムで乾燥、減圧濃縮しカルボキシル体(12)(330 mg, 1.60 mmol, 87%)を白色固体として得た。カルボキシル体(12)の同定結果は、以下の通りである。
1H-NMR (500 MHz, CDCl3) δ = 7.67 (d, J = 16.0 Hz, 1H), 7.09 (s, 1H), 7.07 (d, J = 8.0 Hz, 1H), 6.88 (d, J = 8.0 Hz, 1H), 6.29 (d, J = 16.0 Hz, 1H), 4.29 (q, J = 5.5 Hz, 4H)
HR-ESI-MS : m/z : [M + Na]+ C11H10NaO4の計算値 229.04768 ; 実測値 229.05374
カルボキシル体(12)(300 mg, 1.58 mmol)をN,N-ジメチルホルムアルデヒド溶液(8 mL)に溶かし、この溶液にS-トリチル-D-システインメチルエステル(D-cys(Trt)-OMe)(791 mg, 1.91 mmol)、1-(3-ジメチルアミノプロピル)-3-エチルカルボジイミド塩酸塩(EDC)(462 mg, 2.41 mmol)、N,N-ジメチルアミノピリジン(DMAP)(384 mg, 3.16 mmol)をアルゴン雰囲気下で加えた。室温で24時間撹拌した後、飽和重曹水(10 mL)でクエンチし、酢酸エチル(50 mL×3)で抽出した。有機層を硫酸ナトリウムで乾燥、減圧濃縮した。残滓をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(シリカゲル:16.2 g, ヘキサン:酢酸エチル=2:1)で精製し、アミド体(13)(823 mg, 1.46mmol, 92%)を白色固体として得た。アミド体(13)の同定結果は、以下の通りである。
1H-NMR (500 MHz, CDCl3) δ = 7.48 (d, J = 16.0 Hz, 1H), 7.43-7.15 (comp, 16H), 7.01 (m, 2H), 6.85 (d, J = 8.0 Hz, 1H), 6.19 (d, J = 16.0 Hz, 1H), 4.76 (m, 1H), 4.26 (m, 4H), 2.78-2.57 (m, 2H)
ESI-MS [M + Na]+ : m/z 588.19
アミド体(13)(780 mg, 1.38 mmol)とトリフェニルホスフィンオキシド(Ph3PO)(461 mg, 1.66 mmol)の脱水塩化メチレン溶液(3 mL)に、トリフルオロメタンスルホン酸無水物(Tf2O)(0.792 mL, 4.83 mmol)を脱水塩化メチレン溶液(3 mL)に溶かした溶液をアルゴン雰囲気下、0℃で加えた後、室温で4時間撹拌した。反応混合液に飽和重曹水(20 mL)を加えクエンチし、クロロホルム(20 mL×3)で抽出し、有機層を硫酸ナトリウムで乾燥、減圧濃縮した。残滓をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(シリカゲル:20.1 g, ヘキサン:酢酸エチル=2:1)で精製し、チアゾリンメチルエステル体(14)(138 mg, 0.452 mmol, 33%)を白色固体として得た。チアゾリンメチルエステル体(14)の同定結果は、以下の通りである。
1H-NMR (500 MHz, CDCl3) δ = 7.04-7.00 (m, 2H), 6.98 (d, J = 8.4 Hz, 1H), 6.93 (d, J = 16.0 Hz, 1H), 6.84 (d, J = 8.6 Hz, 1H), 5.18 (t, J = 9.2 Hz, 1H), 4.27-4.23 (m, 4H), 3.65-3.52 (m, 2H)
ESI-MS [M + H]+ : m/z 306.06
チアゾリンメチルエステル体(14)(60.0 mg, 0.196 mmol)のテトラヒドロフラン溶液(1 mL)にアルゴン雰囲気下で6M塩酸(1 mL)を加えた。室温で16.5時間撹拌した後、粉末の炭酸水素ナトリウムでクエンチした。この反応混合液を自動分取中厚カラムクロマトグラフィー(smart flash EPCLC Al-580S ULTRAPACK COLUMNS C18 H2O/メタノール=95/5)で精製し、構造式(I-3)で表される化合物(10.6 mg, 0.0360 mmol, 19%)を白色固体で得た。構造式(I-3)で表される化合物の同定結果は、以下の通りである。
1H-NMR (500 MHz, CD3OD) δ = 7.07-7.02 (m, 3H), 6.96 (d, J = 16.5 Hz, 1H), 6.83 (d, J = 8.6 Hz, 1H), 4.98 (t, J = 9.5 Hz, 1H), 4.25 (q, J = 4.6 Hz, 4H), 3.61-3.46 (m, 2H)
HR-ESI-MS : m/z : [M + H]+ C14H13NO4Sの計算値 292.05592 ; 実測値 292.05883
<構造式(I-4)で表される化合物の合成>
構造式(I-4)の化合物の合成経路は、以下の通りである。
Figure 2022133199000010
4-ホスホノクロトン酸(2.70 mL, 12.18 mmol)のテトラヒドロフラン溶液に水素化ナトリウムを加え0℃で1時間撹拌したのち、3,4-エチレンジオキシベンズアルデヒド(10)(1g ,6.091 mmol)を加え、室温で30分撹拌したのち、エタノールでクエンチした。クロロホルム(50ml×3)で抽出したのち、有機層を硫酸ナトリウムで乾燥、減圧濃縮した。残滓をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン:酢酸エチル=4:1)で精製し、エステル体(15)(1.42 g, 5.45 mmol, 89%)を黄色固体として得た。エステル体(15)の同定結果は、以下の通りである。
1H-NMR (500 MHz, CDCl3) δ = 7.41 (dd, J = 10.3, 15.45 Hz, 1H), 6.98 (d, J = 1.75 Hz, 1H), 6.96 (dd, J = 2.3, 8.6 Hz, 1H), 6.84 (d, J = 8.0 Hz, 1H), 6.80-6.68 (m, 2H), 5.93 (d, J = 14.9 Hz, 1H), 4.28-4.25 (m, 4H), 4.22 (q, J = 6.85, 14.3 Hz, 2H), 1.31 (t, J = 7.4 Hz, 3H)
エステル体(15)(1 g, 4.31 mmol)をイソプロパノール(30 mL)と5M水酸化ナトリウム水溶液(2 mL)に溶解した。80℃で3時間撹拌した後、クロロホルムを100 mL加えた。この溶液を蒸留水(100 mL)で抽出し、水層を6M塩酸で酸性条件にした後、クロロホルム(100 mL×3)で抽出した。有機層を硫酸ナトリウムで乾燥、減圧濃縮しカルボキシル体(16)(832 mg, 3.58 mmol, 83%)を白色固体として得た。カルボキシル体(16)の同定結果は、以下の通りである。
1H-NMR (500 MHz, CDCl3) δ = 7.42-7.37 (m 1H), 7.02 (d, J = 2.3 Hz 1H), 7.01 (dd, J = 2.3, 8.6 Hz, 1H), 6.84-6.79 (m, 3H), 5.93 (d, J = 14.9 Hz, 1H), 4.26-4.22 (m, 4H)
カルボキシル体(16)(360 mg, 1.55 mmol)をN,N-ジメチルホルムアルデヒド溶液(5 mL)に溶かし、この溶液にS-トリチル-D-システインメチルエステル(D-cys(Trt)-OMe)(770 mg, 1.86 mmol)、1-(3-ジメチルアミノプロピル)-3-エチルカルボジイミド塩酸塩(EDC)(450 mg, 2.34 mmol)、N,N-ジメチルアミノピリジン(DMAP)(380 mg, 3.11 mmol)を加えた。アルゴン雰囲気下、室温で3時間撹拌した後、蒸留水(10 mL)でクエンチし、クロロホルム(50 mL×3)で抽出した。有機層を硫酸ナトリウムで乾燥、減圧濃縮した。残滓をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(シリカゲル:70.0 g, ヘキサン:酢酸エチル=2:1)で精製し、アミド体(17)(696 mg, 1.17 mmol, 76%)を黄色固体として得た。アミド体(17)の同定結果は、以下の通りである。
1H-NMR (500 MHz, CDCl3) δ = 7.39-7.20 (m, 15H), 6.99 (d, J = 1.7 Hz, 1H), 6.96 (dd, J = 2.3, 8.6 Hz, 1H), 6.84 (d, J = 15.45 Hz, 1H), 6.78-6.67 (m, 2H), 5.95 (d, J = 7.45 Hz, 2H), 4.75-4.71 (m, 1H), 4.28-4.26 (m, 1H), 3.72 (s, 1H), 2.73-2.66 (m, 2H)
アミド体(17)(150 mg, 0.253 mmol)とトリフェニルホスフィンオキシド(Ph3PO)(84.5 mg, 0.303 mmol)の脱水塩化メチレン溶液(2 mL)を、トリフルオロメタンスルホン酸無水物(Tf2O)(0.051 mL, 0.303 mmol)を脱水塩化メチレン溶液(2 mL)に溶かした溶液に、アルゴン雰囲気下、0℃で加えた後、室温で30分間撹拌した。反応混合液に飽和重曹水(10 mL)を加えクエンチし、クロロホルム(20 mL×3)で抽出し、有機層を硫酸ナトリウムで乾燥、減圧濃縮した。残滓をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(シリカゲル:60.0 g, ヘキサン:酢酸エチル=2:1)で精製し、チアゾリンメチルエステル体(18)(63 mg, 0.191 mmol, 75%)を黄色固体として得た。チアゾリンメチルエステル体(18)の同定結果は、以下の通りである。
1H-NMR (500 MHz, CDCl3) δ = 6.97 (d, J = 2.25 Hz, 1H), 6.95 (dd, J = 2.3, 8.6 Hz, 1H), 6.91 (dd, J = 7.45, 17.75 Hz, 1H), 6.83 (d, J = 8 Hz, 1H), 6.76-6.68 (m, 2H), 6.57 (d, J = 14.9 Hz, 1H), 5.17 (t, J = 8.6, 17.75 Hz, 2H), 4.27-4.34 (m, 4H), 3.62-3.51 (m, 2H)
チアゾリンメチルエステル体(18)(46 g, 0.138 mmol)のテトラヒドロフラン溶液(1 mL)にアルゴン雰囲気下で6M塩酸(1 mL)を加えた。室温で18時間撹拌した後、炭酸水素ナトリウムでクエンチした。この反応混合液を自動分取中圧カラムクロマトグラフィー(smart flash EPCLC Al-580S ULTRAPACK COLUMNS C18 H2O/メタノール=95/5)で精製し、構造式(I-4)で表される化合物(28 mg, 0.088 mmol, 63%)を黄色固体で得た。構造式(I-4)で表される化合物の同定結果は、以下の通りである。
1H-NMR (500 MHz, CD3OD) δ = 6.99-6.90 (m, 3H), 6.85-6.72 (m, 3H), 6.58 (d, J = 14.85 Hz, 1H), 4.95 (t, J = 9.15, 18.35 Hz, 1H), 4.25-4.22 (m, 4H), 3.59-3.46 (m, 2H)
<構造式(I-5)で表される化合物の合成>
構造式(I-5)の化合物の合成経路は、以下の通りである。
Figure 2022133199000011
4-ホスホノクロトン酸(2.85 mL, 12.8 mmol)のテトラヒドロフラン溶液に水素化ナトリウム(60%)(1.62 g, 40.6 mmol)を加え0℃で1時間撹拌したのち、ピペロナール(19)(1.51 g, 10.0 mmol)を加え、室温で1.5時間撹拌したのち、蒸留水を滴下しクエンチした。酢酸エチル(75 ml×3)で抽出したのち、有機層を硫酸ナトリウムで乾燥、減圧濃縮した。残滓をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン:酢酸エチル=4:1)で精製し、エステル体(20)の粗生成物(2.51 g)を淡黄色固体として得た。エステル体(20)の粗生成物の同定結果は、以下の通りである。
1H-NMR (500 MHz, CHLOROFORM-D) δ 7.41 (dd, J = 15.5, 10.9 Hz, 1H), 6.99 (d, J = 1.7 Hz, 1H), 6.91 (dd, J = 8.0, 1.7 Hz, 1H), 6.82-6.78 (m, 2H), 6.70 (dd, J = 15.5, 10.9 Hz, 1H), 5.98 (s, 2H), 5.94 (d, J = 14.9 Hz, 1H), 4.22 (q, J = 7.3 Hz, 2H), 1.31 (t, J = 7.2 Hz, 3H)
13C-NMR (126 MHz, CHLOROFORM-D) δ 167.3, 148.6, 148.4, 144.8, 140.2, 130.7, 124.6, 123.0, 120.5, 108.6, 105.9, 101.5, 60.4, 14.4
エステル体(20)の粗生成物(2.34 g)をイソプロパノール(20 mL)と5M水酸化ナトリウム水溶液(5 mL)に溶解し蒸留水(15 mL)を加えた。80℃で9時間撹拌した後、6M塩酸で酸性にし、クロロホルム(100 mL×3)で抽出した。有機層を硫酸ナトリウムで乾燥、減圧濃縮しカルボキシル体(21)(1.60 g, 7.33 mmol, 68%(2段階))を淡黄色固体として得た。カルボキシル体(21)の同定結果は、以下の通りである。
1H-NMR (500 MHz, ACETONE-D6) δ 7.44-7.39 (m, 1H), 7.18 (d, J = 1.7 Hz, 1H), 7.05 (dd, J = 8.0, 1.1 Hz, 1H), 6.99-6.98 (m, 2H), 6.87 (d, J = 8.0 Hz, 1H), 6.05 (s, 2H), 5.99 (d, J = 15.5 Hz, 1H)
13C-NMR (126 MHz, ACETONE-D6) δ 167.0, 148.7, 148.5, 145.2, 140.1, 131.0, 124.8, 123.1, 120.5, 108.4, 105.7, 101.6
カルボキシル体(21)(270 mg, 12.4 mmol)をN,N-ジメチルホルムアルデヒド溶液(10 mL)に溶かし、この溶液にS-トリチル-D-システインメチルエステル(D-cys(Trt)-OMe)(562 mg, 1.36 mmol)、1-(3-ジメチルアミノプロピル)-3-エチルカルボジイミド塩酸塩(EDC)(607 mg, 3.17 mmol)、N,N-ジメチルアミノピリジン(DMAP)(609 mg, 4.99 mmol)を加えた。アルゴン雰囲気下、室温で7時間撹拌した後、蒸留水(30 mL)でクエンチし、クロロホルム(75 mL×3)で抽出した。有機層を硫酸ナトリウムで乾燥、減圧濃縮した。残滓をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン:酢酸エチル=2:1)で精製し、アミド体(22)(588 mg, 1.02 mmol, 82%)を淡黄色固体として得た。アミド体(22)の同定結果は、以下の通りである。
1H-NMR (500 MHz, CHLOROFORM-D) δ 7.38 (d, J = 8.0 Hz, 6H), 7.34 (dd, J = 14.9, 10.9 Hz, 1H), 7.30-7.26 (m, 6H), 7.24-7.20 (m, 3H), 6.99 (d, J = 1.1 Hz, 1H), 6.90 (dd, J = 8.0, 1.7 Hz, 1H), 6.80-6.77 (m, 2H), 6.68 (dd, J = 15.5, 10.9 Hz, 1H), 6.07 (d, J = 7.4 Hz, 1H), 5.98 (s, 2H), 5.90 (d, J = 14.9 Hz, 1H), 4.75-4.71 (m, 1H), 3.72 (s, 3H), 2.74-2.66 (m, 2H)
13C-NMR (126 MHz, CHLOROFORM-D) δ 171.1, 165.6, 148.5, 148.3, 144.4, 142.0, 139.6, 130.9, 129.6, 128.1, 127.0, 124.6, 122.9, 122.4, 108.6, 105.9, 101.5, 67.0, 52.8, 51.2, 34.1
アミド体(22)(373 mg, 0.646 mmol)の脱水塩化メチレン溶液(5 mL)を、トリフェニルホスフィンオキシド(Ph3PO)(222 mg, 0.799 mmol)とトリフルオロメタンスルホン酸無水物(Tf2O)(0.250 mL, 1.52 mmol)の脱水塩化メチレン溶液(5 mL)に、アルゴン雰囲気下、0℃で加えた後、室温で25分間撹拌した。反応混合液に飽和重曹水(50 mL)を加えクエンチし、クロロホルム(50 mL×3)で抽出し、有機層を硫酸ナトリウムで乾燥、減圧濃縮した。残滓をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン:酢酸エチル=1:1)で精製し、チアゾリンメチルエステル体(23)(123 mg, 0.388 mmol, 60%)を淡黄色固体として得た。チアゾリンメチルエステル体(23)の同定結果は、以下の通りである。
1H-NMR (500 MHz, CHLOROFORM-D) δ 6.99 (d, J = 1.1 Hz, 1H), 6.93-6.89 (m, 2H), 6.78 (d, J = 8.0 Hz, 1H), 6.73-6.71 (m, 2H), 6.58 (d, J = 15.5 Hz, 1H), 5.98 (s, 2H), 5.17 (t, J = 9.2 Hz, 1H), 3.82 (d, J = 6.3 Hz, 3H), 3.60 (dd, J = 10.9, 9.2 Hz, 1H), 3.54 (dd, J = 10.9, 9.2 Hz, 1H)
13C-NMR (126 MHz, CHLOROFORM-D) δ 171.4, 170.0, 148.5, 148.3, 142.7, 138.5, 130.8, 125.4, 124.7, 122.8, 108.6, 105.9, 101.4, 78.0, 52.9, 34.7
チアゾリンメチルエステル体(23)(53.1 mg, 0.167 mmol)のテトラヒドロフラン溶液(1 mL)にアルゴン雰囲気下で4M塩酸(1 mL)を加えた。室温で13時間撹拌した後、炭酸水素ナトリウムでクエンチした。この反応混合液を自動分取中圧カラムクロマトグラフィー(smart flash EPCLC Al-580S ULTRAPACK COLUMNS C18 H2O/メタノール=95/5)で精製し、構造式(I-5)で表される化合物(37.7 mg, 0.124 mmol, 74%)を淡黄色固体で得た。構造式(I-5)で表される化合物の同定結果は、以下の通りである。
1H-NMR (500 MHz, METHANOL-D4) δ 7.08 (d, J = 1.7 Hz, 1H), 6.96 (dd, J = 8.0, 1.7 Hz, 1H), 6.94-6.91 (m, 1H), 6.86 (dd, J = 15.2, 10.0 Hz, 1H), 6.80-6.77 (m, 2H), 6.59 (d, J = 14.9 Hz, 1H), 5.96 (s, 2H), 4.96 (t, J = 9.2 Hz, 1H), 3.58 (dd, J = 10.9, 9.2 Hz, 1H), 3.49 (dd, J = 10.6, 9.5 Hz, 1H)
13C-NMR (126 MHz, METHANOL-D4) δ 176.8, 169.3, 148.4, 142.1, 138.1, 131.1, 125.3, 124.3, 122.5, 108.0, 105.4, 101.4, 80.8, 35.5
<発光スペクトル測定>
上記のようにして合成した構造式(1-1)~(1-5)で表される化合物(発光基質)を用いて、発光スペクトルの測定を行った。
<<測定装置>>
・発光スペクトル測定
ATTO株式会社製微弱発光蛍光スペクトル装置AB-1850を用いて、発光スペクトルを測定した。測定したスペクトルは、全て検出器の特性を補正したスペクトルである(データ間隔0.25nm、測定範囲400-750nm)。
・pH測定
堀場製作所製F-23型ガラス電極式水素イオン濃度指示計を用いて、pH測定を行なった。
<<試薬>>
・超純水
MILLIPORE製Milli-RX12αから採水したものを使用した。
・Ppyルシフェラーゼ(北米産ホタルPhotinus pyralis由来)溶液
Promega社製の組み換え型(QuantiLum(登録商標)、カタログ番号E1701)を用いた。
・ATP-Mg溶液
Sigma社製(カタログ番号00386-41)を用いた。
・リン酸カリウム緩衝液(KPB溶液)
和光純薬工業株式会社製のリン酸水素二カリウム・12水和物(特級)とリン酸二水素カリウム・2水和物(特級)を超純水に溶かし、pHを調整して用いた。
<<測定方法>>
室温下にて、KPB溶液(pH8.0、500mM)を5μL、発光基質溶液(100μM)を5μL、1mg/mLのPpyルシフェラーゼ溶液を5μL、200μMのATP-Mg溶液を10μL、混合し、発光スペクトルの測定装置(AB-1850)で180秒間発光スペクトルを測定した。結果を図1~図5に示す。
図1~図5は、発光強度の最大値が1となるように正規化した発光スペクトルである。
<<結果>>
図1~図5から、一般式(I)中のベンゼン環に対して、Rにより5員環又は6員環を形成し、更に、環の構成元素として、Oを1つ又は2つ含ませることで、上記非特許文献2に記載のように、ジメチルアミノ基をヒドロキシル基で置換するよりも、発光波長が短波長化することが分かる。
本発明の複素環式化合物及びその塩は、ホタル生物発光系における発光基質として利用できる。

Claims (8)

  1. 下記一般式(I):
    Figure 2022133199000012
    [式中、Rは、水素又は炭素数1~4のアルキル基であり、
    は、結合するベンゼン環と共に5員環又は6員環を形成しており、該環の構成元素として、O及び/又はSを1つ又は2つ含む2価の置換炭化水素基であり、
    Xは、N又はCRであり、ここで、Rは、水素又は炭素数1~4のアルキル基であり、
    Yは、S又はOであり、
    nは、0~2の整数である]で表されることを特徴とする、複素環式化合物。
  2. 上記一般式(I)中のRが、-CH-CH-O-、-O-CH-O-、-CH-CH-CH-O-、-O-CH-CH-O-のいずれかで表される、請求項1に記載の複素環式化合物。
  3. 上記一般式(I)中のXが、Nである、請求項1又は2に記載の複素環式化合物。
  4. 上記一般式(I)中のYが、Sである、請求項1~3のいずれか一項に記載の複素環式化合物。
  5. 上記一般式(I)中のnが、1又は2である、請求項1~4のいずれか一項に記載の複素環式化合物。
  6. 下記構造式(I-1)~(I-5):
    Figure 2022133199000013
    のいずれかで表される、請求項1~5のいずれか一項に記載の複素環式化合物。
  7. 請求項1~6のいずれか一項に記載の複素環式化合物の塩。
  8. 請求項1~6のいずれか一項に記載の複素環式化合物又は請求項7に記載の塩を含むことを特徴とする、発光基質組成物。
JP2021032167A 2021-03-01 2021-03-01 新規複素環式化合物及びその塩、並びに、発光基質組成物 Pending JP2022133199A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2021032167A JP2022133199A (ja) 2021-03-01 2021-03-01 新規複素環式化合物及びその塩、並びに、発光基質組成物

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2021032167A JP2022133199A (ja) 2021-03-01 2021-03-01 新規複素環式化合物及びその塩、並びに、発光基質組成物

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2022133199A true JP2022133199A (ja) 2022-09-13

Family

ID=83229534

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2021032167A Pending JP2022133199A (ja) 2021-03-01 2021-03-01 新規複素環式化合物及びその塩、並びに、発光基質組成物

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2022133199A (ja)

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP4899046B2 (ja) 新規ルシフェリン誘導体
JP5228190B2 (ja) パーオキシナイトライト蛍光プローブ
JP5464311B2 (ja) ルシフェラーゼの発光基質
EP2754657B1 (en) Luminescent substrate for luciferase
US11591359B2 (en) Enzyme-specific intracellularly-retained red fluorescent probe
JP5550035B2 (ja) 波長が制御されたルシフェラーゼの発光基質および製造方法
WO1999051586A1 (fr) Reactif de determination d'oxygene singulet
JP2006219381A (ja) 複素環化合物及び発光甲虫ルシフェラーゼ発光系用発光基質
JP2010215795A5 (ja)
JP6353751B2 (ja) 新規複素環式化合物及びその塩、並びに、発光基質組成物
JP2010180191A (ja) ルシフェラーゼの発光基質
JP6011974B2 (ja) 新規ハロゲン化水素塩
EP1314730A1 (en) Reagent for determining singlet oxygen
JPWO2007116687A1 (ja) 複素環化合物及び発光方法
JP2022133199A (ja) 新規複素環式化合物及びその塩、並びに、発光基質組成物
WO2021193069A1 (ja) 新規複素環式化合物及びその塩、並びに発光基質組成物
JP2013184909A (ja) ルシフェラーゼの発光基質
JP7255828B2 (ja) 新規複素環式化合物及びその塩、並びに、発光基質組成物
JP5360609B2 (ja) 低酸素環境測定用試薬
WO2023238683A1 (ja) 新規複素環式化合物及びその塩、並びに発光基質組成物
JP6116842B2 (ja) 標的細胞特異的な光増感用化合物。
WO2023162995A1 (ja) 新規セレンテラジン誘導体
JP2003183640A (ja) 新規な蛍光材料

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20240125