JP2022131942A - 自動車用防眩性合わせガラス - Google Patents

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Abstract

【課題】可視光線の透過量を確保しつつも防眩性に優れ、フロントガラスなどの用途に有用な、自動車用防眩性合わせガラスを提供する。【解決手段】基材シートとその少なくとも片面に形成された屈折率が異なる2層以上の誘電体層からなる積層部を有する自動車用防眩性シートと、前記自動車用防眩性シートを挟む2枚の透明板とを有する自動車用防眩性合わせガラスであって、0°入射の可視光透過率が70%以上であり、前記自動車用防眩性シートは波長580~700nmの範囲に分光反射率の最大値を有し、当該最大値は20%以上であり、前記自動車用防眩性合わせガラスに光線を0°入射(θ0)させて測定される透過率(Tvθ0)と、α°入射(θα)させて測定される透過率(Tvθα)が、下記(1)式を満たすことを特徴とする、自動車用防眩性合わせガラス。Tvθα/Tvθ0<1.00(1)【選択図】図3

Description

本発明は、フロントガラスなどの用途に有用な、自動車用防眩性合わせガラスに関する。
自動車の運転時などにおいて、太陽光線、ヘッドライト、夜間のLED街路灯などの眩しさを防止する防眩手段としては、サングラスやサンバイザーの他、フロントガラスに設置されるサンシェードがある。これらの防眩手段において、防眩効果を高めるために可視光透過率を小さくすると、交通標識や信号の色が見え難くなるおそれがあった。
そこで、太陽光線などの個々の波長に応じて光線透過率を制御して、可視光の透過量をある程度維持しつつ、眩しさに関わる特定の波長領域の光線のみを抑制する試みが検討されてきている。
眩しさに関わる特定の波長領域の光線のみを抑制する方法として、特許文献1には、波長580nm付近の光を吸収する3価のネオジムイオンを含有する合わせガラス用中間膜が開示されている。また、特定の波長領域の光線を選択的に吸収する色素を使用する方法として、特許文献2には、波長550~700nmに最大吸収波長を有する染料を含有する塗工層を有する自動車用防眩性シートと、かかる防眩性シートを有する合わせガラスが開示されている。
特開2007-55839号公報 特開2020-160148号公報
人間の目は、波長ごとに光を感じ取る強さ(視感度)が異なり、一般に波長555nmを中心とした光に敏感で、高い比視感度を有している。してみると、550nm付近の波長の光の強度を低減すれば、強い光線の光から感じる眩しさを効果的に抑制できると考えられる。一方、自動車のフロントガラスや前列のサイドガラスにおいては、可視光透過率が70%以上であることが定められ、可視光線の透過量を確保した上で、眩しさを効果的に低減できる手段が求められており、特許文献1や特許文献2に開示された技術にはなお改良の余地がある。
本発明は、以上の状況に鑑み、可視光線の透過量を確保しつつも、防眩性に優れた自動車用合わせガラスを提供することを課題とする。
本発明者らは、鋭意検討した結果、屈折率が異なる層が複数積層された積層体における多積層光干渉の利用に着目した。すなわち、光線の入射角が大きくなるに伴い、多積層体における反射率が最大となる波長を短波長側へシフト(ブルーシフト)できることを利用して防眩性を発現できることを見出し、本発明を完成した。
本発明は以下の構成を有する。
<1> 基材シートとその少なくとも片面に形成された屈折率が異なる2層以上の誘電体層からなる積層部を有する自動車用防眩性シートと、前記自動車用防眩性シートを挟む2枚の透明板とを有する自動車用防眩性合わせガラスであって、
0°入射の可視光透過率が70%以上であり、
前記自動車用防眩性シートは波長580~700nmの範囲に分光反射率の最大値を有し、当該最大値は20%以上であり、
前記自動車用防眩性合わせガラスに光線を0°入射(θ)させて測定される透過率(Tvθ0)と、α°入射(θα)させて測定される透過率(Tvθα)が、下記式(1)を満たすことを特徴とする、自動車用防眩性合わせガラス。
Tvθα/Tvθ0 < 1.00 (1)
<2> 光線を0°入射(θ)させて測定される透過率(Tvθ0)と、30°以上で入射(θα’)させて測定される透過率(Tvθα’)が、下記式(1’)を満たすことを特徴とする、<1>の自動車用防眩性合わせガラス。
Tvθα’/Tvθ0 ≦ 0.95 (1’)
<3> 光源にLEDを用いて、前記自動車用防眩性合わせガラスに0°入射(θ)させて測定される輝度(Lθ0)と、30°入射(θ30)させて測定される輝度(Lθ30)が、下記式(2)を満たすことを特徴とする、<1>又は<2>の自動車用防眩性合わせガラス。
θ30/Lθ0 ≦ 0.95 (2)
<4> 前記自動車用防眩性シートは、屈折率が異なる誘電体層が交互に4~50層積層された積層部を有する、<1>~<3>のいずれかの自動車用防眩性合わせガラス。
<5> 前記自動車用防眩性シートの積層部の総膜厚は5000nm以下であることを特徴とする、<1>~<4>のいずれかの自動車用防眩性合わせガラス。
本発明によれば、可視光線の透過量を確保しつつも防眩性に優れ、フロントガラスなどの用途に有用な、自動車用防眩性合わせガラスを提供できる。
本実施形態の防眩性合わせガラスの製造方法を示す模式図である。 実施例で使用したLED光源の波長に対する光強度を示すグラフである。 実施例1~4、比較例1~3の分光反射光スペクトルである。
本発明の自動車用防眩性合わせガラス(以下、単に「防眩性合わせガラス」とも称する。)は、基材シートとその少なくとも片面に形成された屈折率が異なる2層以上の誘電体層からなる積層部を有する自動車用防眩性シート(以下、単に「防眩性シート」とも称する。)と、前記防眩性シートを挟む2枚の透明板とを有しており、0°入射の可視光透過率が70%以上であり、前記防眩性シートは波長580~700nmの範囲に分光反射率の最大値を有し、当該最大値は20%以上であり、前記防眩性合わせガラスに光線を0°入射(θ)させて測定される透過率(Tvθ0)と、α°入射(θα)させて測定される透過率(Tvθα)が、下記式(1)を満たすことを特徴とする。
Tvθα/Tvθ0 < 1.00 (1)
本発明の防眩性合わせガラスの0°入射の可視光透過率は70%以上であり、72%以上であるのがより好ましい。
本発明の防眩性合わせガラスが前記式(1)を満たすとは、光線の入射角が大きくなると可視光透過率が低下すること、具体的には、α°入射での透過率が0°入射での透過率の100%未満であることを意味する。自動車のフロントガラスは、後方への傾斜角を有して設置されることが多く、本発明の防眩性合わせガラスは特にフロントガラス用途においてその効果を有効に発現できる。
本発明の防眩性合わせガラスにおいて、特に、光線を0°入射(θ)させて測定される透過率(Tvθ0)と、30°以上で入射(θα’)させて測定される透過率(Tvθα’)が、下記式(1’)を満たすと、具体的には、30°以上で入射させた際の透過率が0°入射での透過率の95%以下であると、本発明の効果をより発現できる観点から好ましい。
Tvθα’/Tvθ0 ≦ 0.95 (1’)
また、本発明の防眩性合わせガラスは、好適には、光源にLEDを用いて、前記防眩性合わせガラスに0°入射(θ)させて測定される輝度(Lθ0)と、30°入射(θ30)させて測定される輝度(Lθ30)が、下記式(2)を満たすことを特徴とする。
θ30/Lθ0 ≦ 0.95 (2)
本発明の防眩性合わせガラスが前記式(2)を満たすとは、LED光源の光線の入射角が大きくなると輝度が低下すること、具体的には、30°入射での輝度が0°入射での輝度の95%以下であることを意味する。ヘッドライトに近年用いられている白色LEDは、波長550~600nm付近を頂点とする高い輝度を有する光源である。
本発明の防眩性合わせガラスは、上記した式(1)又は式(1’)、好適にはさらに式(2)を満たすものである限り、どのような構造を有するものであってもよい。
上記した本発明の防眩性ガラスの要件(すなわち、光線の入射角を大きくすると可視光透過率が低下すること、および光源にLEDを用いた際に光線の入射角を大きくすると輝度が低下すること)を実現するための方法としては、例えば、合わせガラスの構成において、基材シートとその少なくとも片面に形成された屈折率が異なる2層以上の誘電体層からなる積層部を有する防眩性シートを備えることが挙げられる。
この場合、多積層体における光干渉を利用して、光線の入射角が大きくなるに伴い、反射率が最大となる波長を短波長側へシフト(ブルーシフト)できることを活かしている。すなわち、人間の目が高い比視感度を有する555nm付近よりも長波長側(580~700nm付近)に反射率が最大となる波長を有するよう、多積層膜の構成を制御して、光線の入射角が大きくなるに伴って反射ピークを比視感度のピークに重なるようにシフトさせ、555nm付近での透過率を相対的に減少すると、防眩性を発現させることができる。
かかる防眩性シートの分光反射率の最大値は波長580~700nmの範囲にあり、600~700nmの範囲にあるのが好ましい。また、当該最大値は20%以上であり、30%以上であるのが好ましく、35%以上であるのがより好ましい。反射率が最大となる波長、および反射率の最大値は、実施例にて記載する可視光透過率と同様にして測定される。
本発明における防眩性シートとしては、例えば、屈折率が異なる2種の誘電体層が交互に積層された積層部を有するシートが挙げられる。
交互に積層される誘電体層の数に特に限定はないが、通常、4~50であるのが好ましく、6~30であるのがより好ましい。
防眩性シートの積層部の総膜厚は、膜応力や密着性の観点から5000nm以下であるのが好ましく、100~3000nmの範囲がより好ましく、200~2000nmの範囲がさらに好ましい。
ここで、交互に積層される誘電体層の各層の厚さは、例えば5~1000nmの範囲であることができ、10~900nmであるのがより好ましい。
屈折率が異なる2種の誘電体層において、各々の誘電体層の屈折率の差は、好ましくは0.02以上、より好ましくは0.4以上である。かかる屈折率の差が大きい場合、積層する層の数が少ない場合でも本発明の効果を得ることができる。一方、屈折率の差が小さい場合であっても、積層する層の数を多くすれば本発明の効果を得ることができる。
このような防眩性シートとしては、例えば、(i)屈折率が異なる熱可塑性樹脂からなる層を2層以上積層したシート、(ii)屈折率が異なる金属酸化物の層を2層以上積層したシート、(iii)金属化合物粒子が分散された樹脂からなる、屈折率が異なる層を2層以上積層したシート、などが挙げられる。
以下、屈折率が異なる2層以上の層のうち、相対的に屈折率が高い層を「高屈折率層」と称し、相対的に屈折率が低い層を「低屈折率層」と称する。
上記(i)のシートとしては、例えば熱可塑性樹脂Aと、熱可塑性樹脂Aとは異なる、すなわち屈折率が異なる熱可塑性樹脂Bが交互に積層されたシートが挙げられる。
かかる熱可塑性樹脂としてはポリエステルが好ましく、芳香族ジカルボン酸もしくは脂肪族ジカルボン酸またはそれらの誘導体と、ジオールまたはその誘導体との重合により得られるポリエステルが好ましい。かかるポリエステルは、ヒドロキシ安息香酸などのオキシ酸などをさらに共重合していてもよい。
芳香族ジカルボン酸もしくは脂肪族ジカルボン酸またはそれらの誘導体としては、例えばテレフタル酸、イソフタル酸、フタル酸、1,4-ナフタレンジカルボン酸、1,5-ナフタレンジカルボン酸、2,6-ナフタレンジカルボン酸、4,4’-ジフェニルジカルボン酸、4,4’-ジフェニルエーテルジカルボン酸、4,4’-ジフェニルスルホンジカルボン酸などの芳香族ジカルボン酸;アジピン酸、スベリン酸、セバシン酸、ダイマー酸、ドデカンジオン酸、シクロヘキサンジカルボン酸などの脂肪族ジカルボン酸;またはこれらのエステル、などが挙げられる。中でも、テレフタル酸、2,6-ナフタレンジカルボン酸またはそのエステルが好ましい。これらは1種類を単独で用いても、2種類以上を併用してもよい。
ジオールまたはその誘導体としては、例えばエチレングリコール、1,2-プロパンジオール、1,3-プロパンジオール、ネオペンチルグリコール、1,3-ブタンジオール、1,4-ブタンジオール、1,5-ペンタンジオール、1,6-ヘキサンジオール、1,2-シクロヘキサンジメタノール、1,3-シクロヘキサンジメタノール、1,4-シクロヘキサンジメタノール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ポリアルキレングリコール、2,2-ビス(4-ヒドロキシエトキシフェニル)プロパン、イソソルベート、スピログリコール;またはその誘導体などが挙げられる。中でもエチレングリコールが好ましい。これらは1種類を単独で用いても、2種類以上を併用してもよい。
上記(i)のシートにおける熱可塑性樹脂Aとしては、上記のポリエステルのうち、ポリエチレンテレフタレートおよびその共重合体、ポリエチレンナフタレートおよびその共重合体、ポリブチレンテレフタレートおよびその共重合体、ポリブチレンナフタレートおよびその共重合体、ポリヘキサメチレンテレフタレートおよびその共重合体、並びにポリヘキサメチレンナフタレートおよびその共重合体の中から選択されるポリエステルを用いることが好ましく、得られるシートに強度や反射率を付与する観点から、ポリエチレンテレフタレートまたはポリエチレンナフタレートを主たる成分とすることが好ましい。
また、熱可塑性樹脂Bとしては、上記のポリエステルのうち、スピログリコール成分を好適には5~49モル%の範囲で共重合した共重合ポリエチレンテレフタレート、スピログリコール成分を好適には5~30モル%の範囲、およびシクロヘキサンジカルボン酸成分を好適には5~30モル%の範囲で共重合した共重合ポリエチレンテレフタレート、シクロヘキサンジメタノール成分を好適には5~49モル%の範囲で共重合した共重合ポリエチレンテレフタレート、のいずれかを主たる成分とすることが好ましく、これらの成分のいずれかとポリエチレンテレフタレートの混合物からなることも好ましい。ポリエチレンテレフタレートを混合すると、屈折率の調整を行えるほか、層間の密着性などが向上する。
このように熱可塑性樹脂の種類を選択する場合、熱可塑性樹脂Aからなる層と、熱可塑性樹脂Bからなる層とは、上記した屈折率の差を有する。
上記(i)のシートは、例えば、熱可塑性樹脂Aからなる層に対応する押出機Aと熱可塑性樹脂Bからなる層に対応する押出機Bの2台から各樹脂が供給され、各々の流路からの樹脂を、公知の積層装置であるマルチマニホールドタイプのフィードブロックとスクエアミキサーを用いて積層する方法などで製造できる。
上記(ii)のシートとしては、例えば、基材フィルムの少なくとも一方の表面または両方の表面に、屈折率が異なる金属酸化物層が交互に積層されたシートが挙げられる。
このような金属酸化物層が積層された積層部は、基材フィルムの車内側となる面または車外側となる面のいずれに設けてもよい。金属酸化物が積層された積層部は、基材フィルムの一方の面上に直接形成してもよいし、他の基材層上に形成して、その後基材フィルムと接着層などによって貼合せて形成してもよい。
上記(ii)のシートにおける基材フィルムは、可視光線を透過させる観点から、透明樹脂から構成される。透明樹脂としては、アクリル系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、スチレン系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリオレフィン系樹脂、水添環状樹脂、フッ素系樹脂、シリコーン系樹脂、ウレタン系樹脂、トリアセチルセルロース(TAC)系樹脂などの種々の樹脂が挙げられ、用途や目的に応じて使い分けることができる。
これらの中でも、加工性の観点から、ポリエチレンテレフタレートなどのポリエステル系樹脂を用いて製膜し、1軸または2軸延伸したフィルムを基材フィルムとして用いるのが好ましい。延伸により位相差を7000nm以上にすることで、太陽光を反射させた際の虹(干渉)ムラを解消できる。
基材フィルムの厚さは、透明樹脂の機械的物性などにもよって変化し得るが、通常、8~800μmの範囲が好ましく、12~400μmの範囲がより好ましい。
上記(ii)のシートにおいて、高屈折率層を構成する金属酸化物としては、チタン酸ランタン(LaTiO)、酸化ジルコニウム(ZrO)、酸化チタン(TiO)、酸化タンタル(Ta)、酸化ニオブ(Nb)、酸化ハフニウム(HfO)、酸化セリウム(CeO)、酸化イットリウム(Y)、およびこれらの混合物などが挙げられる。
また、低屈折率層を構成する金属酸化物としては、例えば二酸化ケイ素(SiO)などが挙げられる。
基材フィルムに金属酸化物層を形成する方法は、一般に、気相法が用いられる。気相法としては、真空蒸着法、スパッタリング法、CVD法など公知の方法を適宜選択でき、高屈折率層を構成する金属酸化物と低屈折率層を構成する金属酸化物とを交互に気相法で層形成して積層する。
上記(iii)のシートとしては、例えば金属酸化物aが分散された樹脂と、金属酸化物aとは異なる、すなわち屈折率が異なる金属酸化物bが分散された樹脂とが、交互に積層されたシートが挙げられる。
(iii)のシートにおける、このような屈折率が異なる、金属酸化物粒子が分散された水溶性樹脂が交互に積層された積層部は、前記した(ii)のシートにおける基材フィルムと同様の基材フィルムの少なくとも一方の表面に設けることができる。
金属酸化物粒子としては、例えば、酸化チタン、酸化ジルコニウム、酸化亜鉛、合成非晶質シリカ、コロイダルシリカなどの二酸化ケイ素、アルミナ、コロイダルアルミナ、チタン酸鉛、鉛丹、黄鉛、亜鉛黄、酸化クロム、酸化第二鉄、鉄黒、酸化銅、酸化マグネシウム、水酸化マグネシウム、チタン酸ストロンチウム、酸化イットリウム、酸化ニオブ、酸化ユーロピウム、酸化ランタン、ジルコン、酸化スズ、チタン酸ランタン、酸化タンタル、酸化ハフニウム、酸化セリウム、およびこれらの混合物などが挙げられる。
上記した金属酸化物のうち、(iii)のシートにおいて、高屈折率層で用いる金属酸化物粒子としては酸化チタン、酸化亜鉛、酸化ジルコニウムが好ましい。低屈折率層で用いる金属酸化物粒子としては二酸化ケイ素が好ましく、コロイダルシリカゾルを用いることがより好ましい。
金属酸化物を分散させる樹脂としては水溶性樹脂が好ましい。水溶性樹脂としては、例えば、ポリビニルアルコールなどの反応性官能基を有するポリマー、無機ポリマー、増粘多糖類、ゼラチンなどが挙げられる。
(iii)のシートは、金属酸化物粒子が分散された水溶性樹脂をそのまま、または適切な分散媒に分散させた分散液を、塗布法、浸漬法などによって基材シートの表面に付与し、加熱することで乾燥し、層を形成させることで製造できる。乾燥の方法としては、オーブンや通風乾燥炉を用いる方法、赤外線などの熱線を照射する方法が挙げられ、一定温度にて1段階で行っても異なる温度にて2段階以上で行ってもよい。乾燥は、常圧下および減圧下のいずれでもよく、乾燥雰囲気は大気中でも、ヘリウムガス、ネオンガス、アルゴンガス、窒素ガスなどの不活性ガス雰囲気のいずれでもよい。
防眩性合わせガラスは、防眩性シートと前記防眩性シートを挟む2枚の透明板とを有している。防眩性シートの両側に接着層を設けて、2枚の透明板で挟んで積層することによって、防眩性合わせガラスが形成される。用いる透明板は特に限定されず、フロート板ガラス、磨き板ガラス、型板ガラス、網入り板ガラス、熱線吸収板ガラスなどの無機ガラス;ポリカーボネート、ポリメタクリル酸メチルなどの従来公知の有機ガラス;が挙げられる。これらは1種を単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。また、本発明の効果を損なわない範囲で着色されていてもよい。
透明板の厚みは特に限定されないが、100mm以下であることが好ましく、例えば0.1~10mmの範囲がより好ましく、1~5mmの範囲がさらに好ましい。また、上記透明板の形状については特に制限はなく、単純な平面状の板ガラスであっても、自動車フロントガラスなどの曲率を有するガラスであっても良い。
なお、熱線の遮蔽性能の向上を図るために、近赤外線の波長領域(800~2500nm)の透過率を低下させるガラスとして、鉄イオンを含有するガラス(グリーンガラス)を用いてもよい。鉄イオンを含有するガラスとしては、二酸化ケイ素、酸化ナトリウム、酸化カルシウムを主成分とするソーダ石灰ガラスであって、鉄分をFeとして0.3~0.9質量%含有し、鉄分を高い還元率で還元したガラスが好ましい。鉄分の高い還元率の目安としては、Fe2+/Fe3+で50~250%であるものをいう。鉄分を還元して2価の鉄イオンの含有量を増大させることによって、赤外線領域の吸収率を高めることができる。鉄分を還元する方法としては、ソーダ石灰ガラス原料としての珪砂、長石、ソーダ灰、ベンガラなどの粉末と、還元剤としてカーボンを用いて、電気溶融窯などで溶融させることによって調製できる。また鉄分の還元率は、レドックス測定装置によって測定できる。
防眩性合わせガラスの接着層としては、防眩性シートと透明板との接着層として使用できる樹脂で構成されていれば特に制限されない。接着層に使用される樹脂としては、例えばポリビニルブチラール系樹脂などのポリビニルアセタール樹脂、エチレン-酢酸ビニル共重合体系樹脂、アクリル系樹脂、シリコーン系樹脂などが挙げられる。
接着層の厚さは、通常、100~1000μmの範囲であるのが好ましい。
また、接着層に使用される樹脂には、紫外線吸収剤、抗酸化剤、帯電防止剤、熱安定剤、滑剤、充填剤、着色剤、接着調整剤、熱線吸収剤、熱線反射剤などを適宜添加配合してもよい。
防眩性合わせガラスは従来公知の方法で製造が可能であり、例えば真空ラミネーター装置を用いる方法、真空バッグを用いる方法、真空リングを用いる方法、ニップロールを用いる方法などが挙げられる。またこれらの方法を用いて仮圧着させた後に、得られた積層体をオートクレーブに投入する方法も挙げられる。真空ラミネーター装置を用いる場合、その作製条件の一例を示すと、1×10-6~3×10-2MPaの減圧下、100~200℃の温度で透明板と防眩性シートが接着層を介してラミネートされる。真空バッグまたは真空リングを用いる方法は、例えば、欧州特許第1235683号明細書に記載されており、例えば約2×10-2MPaの圧力下、130~145℃でラミネートされる。
ニップロールを用いた製造方法としては、最外層を構成する接着層の流動開始温度以下の温度でロールにより脱気した後、さらに流動開始温度に近い温度で圧着を行う方法が挙げられる。具体的には、例えば、赤外線ヒーターなどで30~70℃に加熱した後、ロールで脱気し、さらに50~120℃に加熱した後ロールで圧着させる方法が挙げられる。
上述の方法を用いて圧着させた後にオートクレーブに投入してさらに圧着を行う場合、オートクレーブ工程の運転条件は、防眩性合わせガラスの厚さや構成により適宜選択されるが、例えば1.0~1.5MPaの圧力下、80~140℃の温度で0.5~3時間処理することが好ましい。
図1により、本実施形態の防眩性合わせガラスの製造例を具体的に説明する。
まず、図1(a)に示すように、2枚のガラス板5の間に、両面に接着層を形成した防眩性フィルム4を積層する。積層されたガラス板5、防眩性フィルム4およびガラス板5は、ローラー21上を移動して、次の工程に移る。
次に、図1(b)に示すように、密閉されたチャンバ22内で、積層されたガラス板5、防眩性フィルム4およびガラス板5は、ヒーター23によって80~140℃の温度範囲、例えば90℃程度に加熱される。続いて、1対の圧着ロール24を通過させることによって、積層されたガラス板5および防眩性フィルム4は仮圧着される。
次に、図1(c)に示すように、仮圧着された防眩性合わせガラス10は、オートクレーブ25中に収納される。オートクレーブ25中で、約1MPaに加圧され、80~140℃の温度範囲、例えば130℃程度に加熱されることによって、仮圧着後に残った気泡は取り除かれ、防眩性フィルム4の接着層がガラス板5と十分に貼り合わされて、防眩性合わせガラス10が製造される。
防眩性合わせガラス形成工程における加熱は、仮圧着前の加熱とオートクレーブ25中での加熱の2回行われる。いずれの場合も加熱温度は80~140℃であることが好ましい。また、通常は、仮圧着前の加熱時よりもオートクレーブでの加熱時の方が加熱温度を高く設定する。
本発明の防眩性合わせガラスは、その特性を活かして、特に自動車のフロントガラス用途に好適に使用できる。
以上、本発明の防眩性合わせガラスについて説明したが、本発明は、前述した実施形態の構成に限定されない。例えば、本発明の防眩性合わせガラスは、前述した実施形態の構成において、他の任意の構成を追加してもよいし、同様の機能を発揮する任意の構成と置換されていてよい。
以下、実施例により本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されない。
[参考例1~6 多積層部を有するフィルムの作製]
基材フィルムとして、ポリエチレンテレフタレートフィルム(東洋紡株式会社製、商品名:コスモシャインA4360、易接着性二軸延伸フィルム、R面内位相差3200nm、フィルム厚み100μm)を用い、その片側の表面に、真空蒸着器で、ZrOとSiOを交互に成膜して多積層部を作製(条件:成膜開始真空度0.9mPa、電子ビーム蒸発、成膜時の基材フィルム温度60±30℃)し、フィルム1~6を得た。
[実施例1]
(1)合わせガラスの作製
クリアーガラスとしてのフロートガラス板(厚さ2mm、以下「ガラス板」と称する。)上に、接着層としての380μm厚のポリビニルブチラールフィルム(積水化学工業社製、S-LEC PVB 0.38mm;以下「PVBシート」と称する。)を置いた。その上に、参考例1の方法で得たフィルム1を、多積層部を下側にして置き、さらに接着層としてのPVBシートを置き、最後にガラス板を置いて、防眩フィルムを接着層で挟み込んだ積層板を得た。この積層板を図1に記載した製造ラインに通した。
すなわち、密閉されたチャンバ22内で、ヒーター23を用い、得られた積層板を約90℃に加熱した。その後、1対の圧着ロール24を通過させることによって、ガラス板とフィルム1とを仮圧着させた。次に、仮圧着された合わせガラスをオートクレーブ25中に収納した。オートクレーブ25中で、約1MPaに加圧し、約130℃で30分間加熱することによって、仮圧着後に残った気泡を取り除き、フィルム1が接着層によってガラス板と十分に貼り合わされた合わせガラス1を作製した。
(2)合わせガラスの評価
得られた合わせガラス1の光学特性について、以下の評価を行った。
分光光度計(日本分光株式会社製、V-770)を用いて、合わせガラス1のスペクトルを300~800nmの波長範囲で測定し、下記数値を算出した。なお、光源にはD65光源を使用した。さらに、入射角を0°~60°で変化させ、各入射角度の可視光透過率を算出した。
・最大反射波長、最大反射率
・可視光透過率:JIS R3106:1998準拠
・可視光反射率:JIS R3106:1998準拠
・透過色度:JIS Z8722:2009準拠
・反射色度:JIS Z8722:2009準拠
また、輝度は、光源と輝度計(コニカミノルタ製、分光放射輝度計CS-2000)の高さを125cmとし、光源からの距離が200cmとなるように合わせガラス1を傾斜台に取り付け、0°、20°、30°、45°に変化させた光源入射方法により測定した。光源にはLED光源およびD65光源を使用した。
なお、用いたLED光源の波長に対する光強度を図2に示す。
[実施例2~4、比較例1~2]
実施例1において、フィルム1の代わりにフィルム2~フィルム6を各々用いた以外は実施例1と同様の手順で、合わせガラス2~合わせガラス6を作製し、実施例1と同様にして光学特性についての評価を行った。
[比較例3]
鉄イオンを含有するグリーンガラス板(厚さ2mm)上に、接着層としての760μm厚のポリビニルブチラールフィルム(積水化学工業社製、S-LEC PVB)を置き、グリーンガラス板(厚さ2mm)で挟み込んだ積層板を得た。この積層板から、実施例1と同様の手順で、合わせガラス7を作製し、実施例1と同様にして光学特性についての評価を行った。
実施例1~4、比較例1~3の光学特性評価結果を表1~表3に示す。
表1は、作製した合わせガラスの基本的な光学特性を示している。
表2は、作製した合わせガラスの可視光透過率の入射角依存性を、各入射角の透過率を0°入射の透過率で除した維持率として示している。
表3は、用いた光源ごとに、作製した合わせガラスの輝度の入射角依存性を、各入射角の輝度を0°入射の輝度で除した維持率として示している。
図3には実施例1~4、比較例1~3の分光反射光のスペクトルを示す。
Figure 2022131942000002
Figure 2022131942000003
Figure 2022131942000004
分光反射率が最大値となる波長が500nmの比較例1や550nmの比較例2は、入射角を大きくすると可視光透過率の維持率が増加した。比較例3(グリーンガラスのみ)では、光線の入射角を大きくすると可視光透過率の維持率は減少したが、変化率は小さい値を示した。D65光源やLED光源の輝度の維持率は増加もしくは変化率が小さい値を示した。
これに対し、実施例1~4では、光線の入射角を大きくすると、可視光透過率の維持率は減少し、防眩性を示した。D65光源やLED光源の輝度の維持率も同様に減少した。特に、LED光源に対する維持率の減少は大きく、ヘッドライトに対して有用な防眩性を示した。
本発明の自動車用防眩性合わせガラスは、可視光線の透過量を確保しつつも防眩性に優れ、フロントガラスなどの用途に有用である。

Claims (5)

  1. 基材シートとその少なくとも片面に形成された屈折率が異なる2層以上の誘電体層からなる積層部を有する自動車用防眩性シートと、前記自動車用防眩性シートを挟む2枚の透明板とを有する自動車用防眩性合わせガラスであって、
    0°入射の可視光透過率が70%以上であり、
    前記自動車用防眩性シートは波長580~700nmの範囲に分光反射率の最大値を有し、当該最大値は20%以上であり、
    前記自動車用防眩性合わせガラスに光線を0°入射(θ)させて測定される透過率(Tvθ0)と、α°入射(θα)させて測定される透過率(Tvθα)が、下記式(1)を満たすことを特徴とする、自動車用防眩性合わせガラス。

    Tvθα/Tvθ0 < 1.00 (1)
  2. 光線を0°入射(θ)させて測定される透過率(Tvθ0)と、30°以上で入射(θα’)させて測定される透過率(Tvθα’)が、下記式(1’)を満たすことを特徴とする、請求項1に記載の自動車用防眩性合わせガラス。

    Tvθα’/Tvθ0 ≦ 0.95 (1’)
  3. 光源にLEDを用いて、前記自動車用防眩性合わせガラスに0°入射(θ)させて測定される輝度(Lθ0)と、30°入射(θ30)させて測定される輝度(Lθ30)が、下記式(2)を満たすことを特徴とする、請求項1又は2に記載の自動車用防眩性合わせガラス。

    θ30/Lθ0 ≦ 0.95 (2)
  4. 前記自動車用防眩性シートは、屈折率が異なる誘電体層が交互に4~50層積層された積層部を有する、請求項1~3のいずれか1項に記載の自動車用防眩性合わせガラス。
  5. 前記自動車用防眩性シートの積層部の総膜厚は5000nm以下であることを特徴とする、請求項1~4のいずれか1項に記載の自動車用防眩性合わせガラス。

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