JP2022131901A - フレキシブルサージ吸収体、積層フレキシブルサージ吸収体 - Google Patents

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Abstract

【課題】接触抵抗の発生を抑え、動作電圧を安定して制御することが可能な、フレキシブルサージ吸収体を提供する。【解決手段】本発明のフレキシブルサージ吸収体100は、フレキシブルサージ吸収シート101と、フレキシブルサージ吸収シート101の表面の少なくとも一部を覆う導電性部材102と、を備え、フレキシブルサージ吸収シート101が、複数の繊維103で隙間103aを構成する布帛、および隙間103aに充填された複数の半導体粒子104を有し、隙間103aに対する半導体粒子104の充填率が、100%未満である。【選択図】図1

Description

本発明は、フレキシブルサージ吸収体と、それを複数積層してなる積層フレキシブルサージ吸収体に関する。
落雷等によるサージ電圧から電子機器を保護する素子として、サージ吸収素子が知られている。サージ吸収素子には、一定値以上の高電圧が印加されたときのみに抵抗値が低くなるような、非線形の電圧電流特性を有することが求められる。サージ吸収素子の材料としては、優れた非線形電圧電流特性を有する酸化亜鉛が、一般的に用いられている。
従来のサージ吸収素子としては、樹脂、セラミック等の基材に、酸化亜鉛等のパウダーを埋め込んだ構造のものが知られている。例えば特許文献1では、酸化亜鉛を主成分とするセラミック焼結体からなり、一定の厚みを有する複数のバリスタ小片を、絶縁性樹脂を介して接合した非線形抵抗素子が開示されている。
特許第5640249号公報
サージ吸収素子の動作は、サージ吸収素子に対して直接、または導電性部材を介して接触した電極を通じて制御される。しかしながら、従来のサージ吸収素子では、特許文献1で開示されている非線形抵抗素子のように、焼結されて硬化しており、表面に分布する酸化亜鉛粒子によって凹凸が形成された状態になる。そのため、サージ吸収素子と導電性部材または電極との間に接触抵抗が発生し、サージ吸収素子の動作電圧が不規則に変化することにより、その制御が難しくなる。特に、複数のサージ吸収素子を積層して用いる場合には、サージ吸収素子同士の接触部分が多くなる分、接触抵抗の発生の影響がより顕著にあらわれる。
本発明は上記事情に鑑みてなされたものであり、接触抵抗の発生を抑え、動作電圧を安定して制御することが可能な、フレキシブルサージ吸収体、積層フレキシブルサージ吸収体を提供することを目的とする。
上記課題を解決するため、本発明は以下の手段を採用している。
(1)本発明の一態様に係るフレキシブルサージ吸収体は、フレキシブルサージ吸収シートと、前記フレキシブルサージ吸収シートの表面の少なくとも一部を覆う導電性部材と、を備え、前記フレキシブルサージ吸収シートが、複数の繊維で隙間を構成する布帛、および該隙間に充填された複数の半導体粒子を有し、前記隙間に対する前記半導体粒子の充填率が、100%未満である。
(2)上記(1)に記載のフレキシブルサージ吸収体において、前記導電性部材を構成する導電性粒子同士の距離が、前記フレキシブルサージ吸収シートの表面に分布する前記半導体粒子の粒径以上であることが好ましい。
(3)上記(1)または(2)のいずれかに記載のフレキシブルサージ吸収体において、前記導電性粒子の粒径が、前記前記隙間の平均サイズより大きいことが好ましい。
(4)上記(1)~(3)のいずれか一つに記載のフレキシブルサージ吸収体において、前記導電性部材が、前記導電性粒子同士を互いに固定する固定分子を含むことが好ましい。
(5)上記(1)~(4)のいずれか一つに記載のフレキシブルサージ吸収体において、前記導電性部材が、可撓性ポリマーを含んでもよい。
(6)本発明の一態様に係る積層フレキシブルサージ吸収体は、上記(1)~(5)のいずれか一つに記載のフレキシブルサージ吸収体を、複数積層した積層フレキシブルサージ吸収体であって、複数の前記フレキシブルサージ吸収シートと前記導電性部材とが、交互に並ぶように積層されてなる。
本発明のフレキシブルサージ吸収体は、フレキシブルサージ吸収シートの表面が凹凸構造を有しているが、その少なくとも一部が導電性部材で覆われている。導電性部材で覆われる部分は、凹凸構造が導電性部材に吸収され、平滑化される。そのため、この導電性部材の上に電極を接続する場合、電極との接触抵抗が、フレキシブルサージ吸収シートの表面に直接接続する場合に比べて、大きく低減する。
また、フレキシブルサージ吸収シートが形状変化可能な布帛を備えているため、本発明にかかるフレキシブルサージ吸収シートもまた形状変化し易い。そのため、フレキシブルサージ吸収シートに対して圧力を加えた際に、フレキシブルサージ吸収シートが形状変形し易いことによって、フレキシブルサージ吸収シートに含まれる半導体粒子(半導体粉体)同士の距離を縮め、電流を流れやすくすることができる。したがって、加える圧力の大きさを変えることにより、フレキシブルサージ吸収シートの電気特性を調整することができる。
また、本発明の積層フレキシブルサージ吸収体では、複数のフレキシブルサージ吸収シート101が、導電性部材を間に挟んで接合されている。そのため、接合部分におけるフレキシブルサージ吸収シートの表面の凹凸構造も、導電性部材に吸収され、表面が平坦なシート同士を接合する場合と同様の状態を実現することができる。したがって、積層するフレキシブルサージ吸収シート間の接触抵抗を大きく低減させることができ、電極に印加された電圧が、凹凸構造の影響を受けることなく、ほぼそのままフレキシブルサージ吸収シートに印加されることになる。
フレキシブルサージ吸収体の動作開始電圧は、フレキシブルサージ吸収シートの厚みに比例する。そのため、積層する数を変えて、各層の厚みの合計を調整することにより、動作電圧を安定して制御することが可能となり、所定の電気特性を有するフレキシブルサージ吸収体を、容易に得ることができる。
本発明の一実施形態に係る、フレキシブルサージ吸収体の断面図である。 図1のフレキシブルサージ吸収体を複数積層してなる、積層フレキシブルサージ吸収体の断面図である。 図1のフレキシブルサージ吸収体、あるいは図2の積層フレキシブルサージ吸収体について、電気特性を測定する回路を説明する図である。 比較例のフレキシブルサージ吸収体、積層フレキシブルサージ吸収体について、電気特性の測定結果を示すグラフである。 実施例のフレキシブルサージ吸収体を構成する、フレキシブルサージ吸収シートの平面図である。 実施例のフレキシブルサージ吸収体、積層フレキシブルサージ吸収体について、電気特性の測定結果を示すグラフである。 実施例のフレキシブルサージ吸収体のうち、フレキシブルサージ吸収シートと導電性部材との接触面近傍を拡大した断面図である。
以下、本発明を適用した実施形態に係るフレキシブルサージ吸収体と、積層フレキシブルサージ吸収体について、図面を用いて詳細に説明する。なお、以下の説明で用いる図面は、特徴をわかりやすくするために、便宜上特徴となる部分を拡大して示している場合があり、各構成要素の寸法比率などが実際と同じであるとは限らない。また、以下の説明において例示される材料、寸法等は一例であって、本発明はそれらに限定されるものではなく、その要旨を変更しない範囲で適宜変更して実施することが可能である。
図1は、本発明の一実施形態に係る、フレキシブルサージ吸収体100の断面図である。フレキシブルサージ吸収体100は、主に、フレキシブルサージ吸収シート101と、導電性粒子105を含む導電性部材102と、を備えている。
フレキシブルサージ吸収シート101は、複数の繊維103で隙間を構成する布帛(不織布、織物、編物等の主に繊維で構成されるシート状の繊維構造体)と、この隙間103aに充填された複数の半導体粒子104と、を有している。本実施形態では、布帛として不織布を用いた場合について、例示している。複数の半導体粒子104の中には、集合して粉体(半導体粉体)を形成しているものがあってもよい。
繊維同士の隙間103aに対する半導体粒子104の充填率(占有率)は、100%未満である。つまり、半導体粒子104(半導体粉体)と繊維103の間、粉体を形成していない半導体粒子104同士の間のうち、少なくとも一部には空隙が存在しており、形状変化させることが容易(フレキシブル)な構造を有している。
そのため、フレキシブルサージ吸収シート101に対して圧力を加えることにより、フレキシブルサージ吸収シート101に含まれる半導体粒子104(半導体粉体)同士の距離を縮め、電流を流れやすくすることができる。したがって、加える圧力の大きさを変えることにより、フレキシブルサージ吸収シート101の電気特性を調整することができる。
本明細書で言う充填率とは、作製したフレキシブルサージ吸収シートの厚さを測定し、使用した不織布の繊維が占める体積を除いた、半導体粒子を充填できる最大体積を計算で求め、これに対し実際に半導体粒子が充填された実際の体積との割合を計算で求めたものである。すなわち、充填率は下記(1)式で表される。
充填率=(実際に充填した半導体粒子体積)/(半導体粒子を充填できる最大体積)
=(M/ρr)/(t×1000-m/ρn) (1)
ただし、上記(1)式に含まれる各変数は、次のように定義される。
M:充填した半導体粒子の質量[g/m
ρr:半導体粒子の真密度[g/cm3
t:フレキシブルサージ吸収シートの厚さ[mm]
m:不織布の質量[g/m
ρn:不織布の材料密度[g/cm3
なお、不織布の表面繊維より外側に形成された半導体粒子層も、表面繊維によりフレキシブル性を有することから、本発明のフレキシブルサージ吸収シートの一部として利用できる。ここで言う「厚さ」とは、市販のマイクロメーターで500g/cmの圧縮荷重下で測定した値を用いる。
不織布を構成する繊維103の材料としては、特に限定されることはないが、例えば、ポリオレフィン系樹脂(例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリメチルペンテン、スチレン系樹脂、ポリビニルアルコール系樹脂、ポリエーテル系樹脂(例えば、ポリエーテルエーテルケトン、ポリアセタール、変性ポリフェニレンエーテル、芳香族ポリエーテルケトンなど)、ポリエステル系樹脂(例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリトリメチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリブチレンナフタレート、ポリカーボネート、ポリアリレート、全芳香族ポリエステル樹脂など)、ポリアミド系樹脂(例えば、芳香族ポリアミド樹脂、芳香族ポリエーテルアミド樹脂、ナイロン樹脂など)、二トリル基を有する樹脂(例えば、ポリアクリロニトリルなど)、ウレタン系樹脂、エポキシ系樹脂、ポリスルホン系樹脂(例えば、ポリスルホン、ポリエーテルスルホンなど)、フッ素系樹脂(例えば、ポリテトラフルオロエチレン、ポリフッ化ビニリデンなど)、セルロース系樹脂、アクリル系樹脂(例えば、アクリル酸エステルあるいはメタクリル酸エステルなどを共重合したポリアクリロニトリル系樹脂、アクリロニトリルと塩化ビニルまたは塩化ビニリデンを共重合したモダアクリル系樹脂など)、ポリフェニレンサルファイド系樹脂、ガラス等を用いることができる。また、不織布を形成する手法としては、繊維同士を機械的に絡合する方法、繊維を熱等で部分的に融解させて接着させる方法、エポキシ樹脂、アクリル酸エステル樹脂、メラミン樹脂、ポリビニルアルコール等のバインダーを用いる方法、繊維をコレクターに集積する方法等を用いることができる。不織布の厚さは、フレキシブルサージ吸収シートの厚さに合わせて設計すればよく、0.02mm以上5mm以下であることが好ましい。不織布の目付(単位面積あたりの質量)は、5g/m以上1000g/m以下であることが好ましい。不織布の空隙率は半導体粒子を効率よく充填でき、半導体粒子間の接点が多くなるように50%以上であることが好ましく、70%以上であることがより好ましい。
半導体粒子104としては、非線形の電圧電流特性を有するものであればよく、例えば、酸化亜鉛を主成分として含む金属酸化物、SiC、GaN、酸化スズを主成分として含む金属酸化物等を用いることができる。
繊維101と半導体粒子104あるいは半導体粒子104同士の間には、半導体粒子104の脱落を防ぐために、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエステル、共重合ポリエステル、共重合ポリアミド、ポリアクリル酸エステル等の粒子や、カルボキシメチルセルロース、ポリビニルピロリドン、ポリビニルアルコール、ポリアクリル酸、ポリエチレンオキサイド等の水溶性高分子が、バインダーとして含まれていることが好ましい。この場合、繊維同士の隙間103aに対するバインダーの使用量は、体積比で半導体粒子に対して1~20%程度であることが好ましい。
導電性部材102は、フレキシブルサージ吸収シート101の表面のうち、少なくとも一部を覆うように配置され、フレキシブルサージ吸収シート101の表面に対してプレス接合されている。図1では、導電部材102が、フレキシブルサージ吸収シート101の一方の主面101aのみに配置されている場合について例示しているが、この場合に限定されることはなく、他方の主面101b、側面101cに配置されていてもよい。また、一方の主面101a、他方の主面101b、または側面101cのそれぞれにおいて、一つの導電性部材102が全面にわたって配置されていてもよいし、複数の導電性部材102が互いに離間または接触して配置されていてもよい。
導電性部材102は、アルミニウム、ニッケル、鉄、銅、銀、金、炭素、錫、ケイ素(シリコーン)等の導電性粒子を主成分として含み、フレキシブルサージ吸収シート101とともに弾性変形できることが好ましい。例えば、アルミニウム、ニッケル、鉄、銅、金、銀、錫等の金属箔であってもよい。
導電性部材102を構成する導電性粒子105は、フレキシブルサージ吸収シート101内に入り込むおそれがあるため、その粒径が、繊維103同士の隙間103aの平均サイズより大きいことが好ましい。ただし、導電性部材102が、導電性粒子105同士を互いに固定する固定分子を含み、少なくともフレキシブルサージ吸収シート101側に導電性粒子105が動かないように固定されていれば、導電性粒子105の粒径は小さくてもよい。
導電性部材102を構成する導電性粒子105同士の距離Dは、少なくともフレキシブルサージ吸収シート101との接触面において、フレキシブルサージ吸収シート101の表面に分布する半導体粒子104の粒径104a以上である。これにより、導電性部材102をプレス接合した際に、フレキシブルサージ吸収シート101の表面に分布する半導体粒子104のうち、外側に突出する部分104bが導電部材102内に収まる(吸収される)。
導電性部材102は、導電性粒子105の他に、ポリアセチレン、ポリチオフェン、ポリピロール、ポリアニリン、ポリパラフェニレンビニレン、ポリフェニレンスルファイド、ゴム、ポリオレフィン、ポリエステル、アクリル、シリコン、フッ素樹脂、ポリイミド、塩化ビニル、各種エラストマー樹脂等の可撓性ポリマーを含んでもよい。この場合、導電性部材102は、フレキシブルサージ吸収シート101の変形に追従し、弾性変形することができるため、例えば曲面や凹凸面に貼り付けたフレキシブルサージ吸収シート101に対しても、高い密着性を維持することができる。
フレキシブルサージ吸収体100は、フレキシブルサージ吸収シート101の表面に配置された導電性部材102の上に、電極を載置し、サージ電圧から保護する電子機器と接続することにより、サージ吸収素子として動作できる状態となる。
プレス接合後の導電性部材102は、少なくとも、フレキシブルサージ吸収シート101の表面の凹凸を吸収し、電極と接続される反対側の表面の平滑性を維持できる程度の厚みを有する。実用上、導電性部材102の厚みは、0.02mm以上5mm以下であることが好ましい。0.02mmより薄いと、強度が低下し、取り扱いが困難になる。また、半導体粒子の粒子径よりも厚いことが好ましい。粒子径よりもシートの厚みが薄いと、粒子の構造が壊れていることになり、狙った性能が得られない可能性がある。5mmより厚いと、シートのフレキシブル性が失われてしまい、シートを曲げた際にシートが割れてしまうことがある。
図2は、フレキシブルサージ吸収体100を複数積層してなる、積層フレキシブルサージ吸収体110の断面図である。積層フレキシブルサージ吸収体110は、複数のフレキシブルサージ吸収シート101と導電性部材102とが、交互に並ぶように積層されてなる。各層を構成するフレキシブルサージ吸収シート101は、導電性部材102を介してプレス接合されている。ここでは、フレキシブルサージ吸収シート101中の半導体粒子104、導電性部材102中の導電性粒子105の図示を省略している。各層を構成するフレキシブルサージ吸収シート101の厚みは、揃っていなくてもよい。
フレキシブルサージ吸収シート101は、シート状の不織布に対し、印刷法や含浸法、ドクターブレード法など、公知の技術を用いて半導体粒子あるいは半導体粉体を充填した上で、必要に応じてローラーやプレス装置等を用いて押し固めることによって得られる。ローラーやプレス装置で押し固める際の圧力により、半導体粒子同士の接触度合いを調整することができる。なお、半導体粒子あるいは半導体粉体は、溶媒中に分散させたスラリーとして不織布に加工しても良い。
フレキシブルサージ吸収シート101表面の所定の位置に、導電性部材102を載置し、ローラーやプレス装置等を用いて、フレキシブルサージ吸収シート101と導電性部材102とをプレス接合することにより、フレキシブルサージ吸収体100が得られる。
所定の数のフレキシブルサージ吸収体100同士を厚み方向に並べ、それぞれの間の所定の位置に絶縁性部材102を挟んだ状態で、ローラーやプレス装置等を用いてプレス接合することにより、積層フレキシブルサージ吸収体110が得られる。
以上のように、本実施形態のフレキシブルサージ吸収体100では、フレキシブルサージ吸収シート101の表面が凹凸構造を有しているが、その少なくとも一部が導電性部材102で覆われている。導電性部材102で覆われる部分は、凹凸構造が導電性部材102に吸収され、平滑化される。そのため、この導電性部材102の上に電極を接続する場合、電極との接触抵抗が、フレキシブルサージ吸収シート101の表面に直接接続する場合に比べて、大きく低減する。
また、本実施形態の積層フレキシブルサージ吸収体100では、複数のフレキシブルサージ吸収シート101が、導電性部材102を間に挟んで接合されている。そのため、接合部分におけるフレキシブルサージ吸収シート101の表面の凹凸構造も、導電性部材102に吸収され、表面が平坦なシート同士を接合する場合と同様の状態を実現することができる。したがって、積層するフレキシブルサージ吸収シート101間の接触抵抗を大きく低減させることができ、電極に印加された電圧が、凹凸構造の影響を受けることなく、ほぼそのままフレキシブルサージ吸収シートに印加されることになる。
フレキシブルサージ吸収体100の動作電圧は、フレキシブルサージ吸収シート101の厚みに比例する。そのため、積層する数を変えて、各層の厚みの合計を調整することにより、所定の電気特性を有するフレキシブルサージ吸収体100を、容易に得ることができる。
フレキシブルサージ吸収体100や積層フレキシブルサージ吸収体110は、空気中で用いることもできるが、湿気の影響を受けて電気特性が下がってしまうことがあるため、油等の絶縁性を有する液体中で用いることが好ましい。これを可能とするフレキシブルサージ吸収体100や積層フレキシブルサージ吸収体110の構造として、例えば、絶縁性を有する液体を内部に含み、表面が樹脂等で覆われている構造が挙げられる。
絶縁性を有する液体としては、例えば、炭化水素を主成分として含む変圧器油、エルテル油(パーム油、ヤシ油、菜種油、胡麻油、大豆油、米油等の植物油)、シリコーン油、またはパーフロロカーボン、パーフルオロヘキサン、パーフルオロポリエステルを含む液体のうちいずれか、あるいはこれらの混合物であることが好ましい。表面を覆う樹脂としては、例えば、エポキシ樹脂、変性ポリウレタン、ポリエステルイミド、ポリアミドイミド、ポリイミド、ポリ塩化ビニル、フッ素樹脂、シリコーン樹脂等を用いることができる。
フレキシブルサージ吸収体100や積層フレキシブルサージ吸収体110は、動作後に発熱するが、形状変化させることが容易であるため、例えば曲げたり凹ませたりすることによって、内部の液体を循環させて冷却することができる。フレキシブルでない従来のサージ吸収シートは、形状変化させることが難しいため、同様の冷却を行うことはできない。
以下、実施例により本発明の効果をより明らかなものとする。なお、本発明は、以下の実施例に限定されるものではなく、その要旨を変更しない範囲で適宜変更して実施することができる。
図3は、フレキシブルサージ吸収体100、あるいは積層フレキシブルサージ吸収体110を測定試料として、それらの電気特性を測定する回路10の構成を示す図である。回路10は、主に、直流電源(高電圧直流安定化電源)11、デジタルマルチメーター12、電流計13、電圧計14、抵抗体15で構成されている。測定試料は、アルミニウム製の柱状電極で挟まれ、測定試料に対して厚み方向に電圧が印加されるように構成されている。
フレキシブルサージ吸収シートとしては、ポリエステル繊維からなる不織布(目付14g/m、厚み0.07mm)に対し、平均粒径50μmの酸化亜鉛バリスタパウダーを含む水系スラリーを塗工し、約150℃で乾燥させたものを用いた。酸化亜鉛粒子の充填率は37%となった。フレキシブルサージ吸収シートについては、主面のサイズを40mm×40mmとし、厚みを0.3mmとした。
(比較例)
同じ条件で作製した三つのフレキシブルサージ吸収シート1~3を準備した。測定は、次の測定試料A~Gについて行った。測定試料D~Gの積層体は、複数のフレキシブルサージ吸収シート同士を、互いに接合せずに直接重ねたものとした。
・測定試料A:フレキシブルサージ吸収シート1(単体)
・測定試料B:フレキシブルサージ吸収シート2(単体)
・測定試料C:フレキシブルサージ吸収シート3(単体)
・測定試料D:フレキシブルサージ吸収シート1、2の積層体
・測定試料E:フレキシブルサージ吸収シート2、3の積層体
・測定試料F:フレキシブルサージ吸収シート3、1の積層体
・測定試料G:フレキシブルサージ吸収シート1~3の積層体
回路10において、測定試料A~Gのそれぞれに対し、直流電源11を用いて電圧を印加し、その際に流れる電流をデジタルマルチメーター12で測定した。測定試料の特性の劣化および破壊を防ぐため、電圧電流特性において変曲点が確認できたところで、電圧印加を停止した。抵抗体15は、フレキシブルサージ吸収シートが絶縁破壊を起こし、短絡して回路内に大電流が流れたときに、機器が故障しないように保護するものである。
図4は、測定試料A~Gに対する測定の結果を示すグラフである。グラフの横軸は、測定試料A~Gのそれぞれにおいて、厚み方向(積層方向)に流れる電流の電流密度(A/cm)を示している。グラフの縦軸は、測定試料A~Gのそれぞれにおいて、厚み方向(積層方向)に印加される電圧(V/mm)を示している。一枚のフレキシブルサージ吸収シートで構成される測定試料A~Cでは、単位厚み当たりの動作電圧が450V/mm程度となっている。これに対し、同動作電圧は、二枚のフレキシブルサージ吸収シートで構成される測定試料D~Fでは500V/mm程度となり、三枚のフレキシブルサージ吸収シートで構成される測定試料Gでは650V/mm程度となっている。
これらの結果から、フレキシブルサージ吸収シートの積層数の増加に伴い、単位厚み当たりの動作電圧が高くなる傾向が見られる。つまり、積層した場合の動作電圧は、積層数倍よりも大きい電圧になる。これは、積層されているフレキシブルサージ吸収シート以外の部分にも、余計な印加電圧が発生していることを示している。
図5は、測定試料A~Cと同じ条件で作製した、フレキシブルサージ吸収シートの表面の一部を拡大したSEM画像である。図5に示すように、フレキシブルサージ吸収シートの表面には、ランダムな大きさ、間隔で分布する凹凸構造が形成されている。このことから、積層による余計な印加電圧の発生は、フレキシブルサージ吸収シートの表面が凹凸構造を有しており、積層されるフレキシブルサージ吸収シート同士の間で、接触抵抗が発生していることに起因するものと考えられる。
(実施例)
同じ条件で作製した三つのフレキシブルサージ吸収シート1~3を準備した。導電性部材としては、導電性アクリル系粘着剤を用い、調製したフレキシブルサージ吸収シート1~3ごとに、その一方の主面へ当該導電性アクリル系粘着剤を各々塗布した。このようにして、フレキシブルサージ吸収シートの一方の主面上に、厚みが0.085mmの導電性部材を備えているフレキシブルサージ吸収体1~3を調製した。
フレキシブルサージ吸収体1~3を用い、次の測定試料H~Nを準備し、それぞれについて比較例と同様の測定を行った。測定試料K~Nの積層体は、複数のフレキシブルサージ吸収シート同士を、導電性部材を挟んで重ね、プレス接合したものとした。
・測定試料H:フレキシブルサージ吸収体1(単体)
・測定試料I:フレキシブルサージ吸収体2(単体)
・測定試料J:フレキシブルサージ吸収体3(単体)
・測定試料K:フレキシブルサージ吸収体1、2の積層体
・測定試料L:フレキシブルサージ吸収体2、3の積層体
・測定試料M:フレキシブルサージ吸収体3、1の積層体
・測定試料N:フレキシブルサージ吸収体1~3の積層体
図6は、測定試料H~Nに対する測定の結果を示すグラフである。グラフの横軸は、測定試料H~Nのそれぞれにおいて、厚み方向(積層方向)に流れる電流の電流密度(A/cm)を示している。グラフの縦軸は、測定試料H~Nのそれぞれにおいて、厚み方向(積層方向)に印加される電圧(V/mm)を示している。単位厚み当たりの動作電圧は、フレキシブルサージ吸収体の積層数(フレキシブルサージ吸収シートの積層数)によらず、全ての測定試料H~Nにおいて450V/mm程度となり、比較例のように、積層数とともに単位厚み当たりの動作電圧が増加する傾向は見られない。
これらの結果から、フレキシブルサージ吸収体の積層数(フレキシブルサージ吸収シートの積層数)を増加させても、単位厚み当たりの動作電圧が高くなる傾向が見られない。つまり、積層した場合の動作電圧は、ほぼ積層数倍した電圧になる。これは、積層されているフレキシブルサージ吸収シート以外の部分に、比較例でみられたような余計な印加電圧が発生していないことを示している。
図7は、実施例のフレキシブルサージ吸収体のうち、フレキシブルサージ吸収シート101と導電性部材102との接触面近傍を拡大したSEM画像である。ここでは、導電性部材102を挟んでフレキシブルサージ吸収シート101と反対側に、アルミニウム箔107が積層されているが、これは必須の構成要素ではない。半導体粒子104のうち、フレキシブルサージ吸収シート101の表面から突出する部分104bは、導電性部材102に覆われる。その結果として、表面の凹凸構造は吸収され、平滑化された最表面が得られていることが分かる。
実施例の構成で余計な印加電圧が発生しないのは、フレキシブルサージ吸収シートを覆う導電性部材が、フレキシブルサージ吸収シートの表面の凹凸構造を吸収し、平滑化することによって、フレキシブルサージ吸収シート同士の接触面、電極との接触面における接触抵抗が、低く抑えられるためであると考えられる。したがって、動作電圧は、主に、フレキシブルサージ吸収シートの厚み、積層数に依存することになるため、これらを調整することにより、動作電圧を安定して制御することができる。
100・・・フレキシブルサージ吸収体
101・・・フレキシブルサージ吸収シート
101a・・・フレキシブルサージ吸収シートの一方の主面
102・・・導電性部材
103・・・繊維
103a・・・隙間
104・・・半導体粒子
104a・・・半導体粒子の粒径
104b・・・半導体粒子の突出部分
105・・・導電性粒子
106・・・アルミニウム箔
110・・・積層フレキシブルサージ吸収体
10・・・回路
11・・・直流電源
12・・・デジタルマルチメーター
13・・・電流計
14・・・電圧計
15・・・抵抗体
D・・・導電性粒子同士の距離

Claims (6)

  1. フレキシブルサージ吸収シートと、
    前記フレキシブルサージ吸収シートの表面の少なくとも一部を覆う導電性部材と、を備え、
    前記フレキシブルサージ吸収シートが、複数の繊維で隙間を構成する布帛、および該隙間に充填された複数の半導体粒子を有し、
    前記隙間に対する前記半導体粒子の充填率が、100%未満であることを特徴とするフレキシブルサージ吸収体。
  2. 前記導電性部材を構成する導電性粒子同士の距離が、前記フレキシブルサージ吸収シートの表面に分布する前記半導体粒子の粒径以上であることを特徴とする請求項1に記載のフレキシブルサージ吸収体。
  3. 前記導電性粒子の粒径が、前記隙間の平均サイズより大きいことを特徴とする請求項1または2のいずれかに記載のフレキシブルサージ吸収体。
  4. 前記導電性部材が、前記導電性粒子同士を互いに固定する固定分子を含むことを特徴とする請求項1~3のいずれか一項に記載のフレキシブルサージ吸収体。
  5. 前記導電性部材が、可撓性ポリマーを含むことを特徴とする請求項1~4のいずれか一項に記載のフレキシブルサージ吸収体。
  6. 請求項1~5のいずれか一項に記載のフレキシブルサージ吸収体を複数積層した積層フレキシブルサージ吸収体であって、
    複数の前記フレキシブルサージ吸収シートと前記導電性部材とが、交互に並ぶように積層されてなることを特徴とする積層フレキシブルサージ吸収体。
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