JP2022129312A - 熱伝導シート及び熱伝導シートの製造方法 - Google Patents

熱伝導シート及び熱伝導シートの製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】実装時にエアーを内包しにくく、荷重による熱抵抗差を低減できる熱伝導シートを提供する。【解決手段】熱伝導シート1は、表面の算術平均粗さ(Sa)が5.0μm以上であり、厚さ0.3mmにおける1kgf/cm2の熱抵抗と、厚さ0.3mmにおける5kgf/cm2の熱抵抗との熱抵抗差が0.10℃・cm2/W未満である。【選択図】図1

Description

本技術は、熱伝導シート及び熱伝導シートの製造方法に関する。
従来、パーソナルコンピュータ等の各種電気機器やその他の機器に搭載されている半導体素子は、駆動により熱が発生し、発生した熱が蓄積すると半導体素子の駆動や周辺機器へ悪影響が生じるおそれがあるため、各種の冷却方法が用いられている。
半導体素子を有する機器の冷却方法としては、当該機器にファンを取り付けて機器筐体内の空気を冷却する方法、半導体素子に放熱フィンや放熱板等のヒートシンクを取り付ける方法、フッ素系不活性液体に浸漬する方式等が知られている。半導体素子にヒートシンクを取り付けて冷却を行う場合、半導体素子の熱を効率よく放出させるために、半導体素子とヒートシンクとの間に熱伝導シートが設けられる。
熱伝導シートの一例として、バインダ樹脂に充填剤(例えば、炭素繊維などの熱伝導性フィラー)を分散含有させたものが広く用いられている(例えば、特許文献1を参照)。
ところで、パーソナルコンピュータのCPU(Central Processing Unit)などの電子部品は、その高速化、高性能化に伴って、放熱量が年々増大する傾向にある。しかし、プロセッサ等のチップサイズは、微細シリコン回路技術の進歩によって、従来と同等以下に小さいサイズとなり、単位面積あたりの熱流速が高くなっている。このような電子部品の温度上昇による不具合などを回避するために、電子部品を、より効率的に放熱、冷却することが求められている。
熱伝導シートの放熱特性を向上するためには、例えば、熱の伝わりにくさを示す指標である熱抵抗を下げることが求められる。熱伝導シートの熱抵抗を下げるためには、例えば、発熱体(例えば電子部品)や放熱体(例えばヒートシンク)に対する熱伝導シートの密着性を向上させることが有効となる。
例えば、特許文献2,3に記載された技術では、熱伝導シートをプレスすることで、熱伝導シート表面の平滑性を上げ、接触性を良好にして、熱抵抗の低下を図っている。
近年、被着体(例えばICチップ)などが大きくなることに伴い、使用する熱伝導シートのサイズも大きくなっている。例えば、サイズが大きく全面にタックがある薄い熱伝導シートをICチップ上に実装する場合、熱伝導シートの表面が平滑であると、熱伝導シートとICチップとの間にエアー(気泡)を内包しやすくなり、そのまま加圧すると、熱伝導シート内部に折れが発生してしまうおそれがある。これにより、熱伝導シートの面内厚みが不均一となり、接触熱抵抗が増加し、熱伝導シートの熱抵抗を下げるのが困難な場合がある。また、表面が平滑な熱伝導シートは、荷重による熱抵抗差が大きい傾向にあり、被着体による荷重の大きさに偏りがある場合、十分に熱抵抗を下げることができないおそれがある。
同様に、サイズが大きい熱伝導シートを自動機でピックアップしてICチップ上に実装する場合も、熱伝導シートの表面が平滑であると、熱伝導シートが複数の端部から実装されたり、熱伝導シートがICチップと平行に実装されやすくなり、熱伝導シートとICチップとの間の中央部にエアーが内包されやすい傾向にある。
以上のように、従来は、熱伝導シートの表面(接着面)をより平滑にすることで、発熱体や放熱体との接触性を改善し、熱抵抗を小さくすることが検討されていた。しかし、熱伝導シートの表面の平滑性を良好にすると、熱伝導シートの実装時にエアーが混入しやすく、荷重による熱抵抗差を低減するのが難しい傾向にあった。
特開2012-23335号公報 特許第6178389号公報 特許第5752299号公報
本技術は、このような従来の実情に鑑みて提案されたものであり、実装時にエアーを内包しにくく、荷重による熱抵抗差を低減できる熱伝導シートを提供する。
本技術に係る熱伝導シートは、表面の算術平均粗さ(Sa)が5.0μm以上であり、厚さ0.3mmにおける1kgf/cmの熱抵抗と、厚さ0.3mmにおける5kgf/cmの熱抵抗との熱抵抗差が0.10℃・cm/W未満である。
本技術に係る熱伝導シートの製造方法は、バインダ樹脂と繊維状フィラーとを含む熱伝導組成物を調製する工程Aと、熱伝導組成物から成形体ブロックを形成する工程Bと、成形体ブロックをシート状にスライスして熱伝導シート前駆体を得る工程Cと、熱伝導シート前駆体をプレスして、熱伝導シートを得る工程Dとを有し、熱伝導シートは、表面の算術平均粗さ(Sa)が5.0μm以上であり、熱伝導シートは、厚さ0.3mmにおける1kgf/cmの熱抵抗と、厚さ0.3mmにおける5kgf/cmの熱抵抗との熱抵抗差が0.10℃・cm/W未満である。
本技術によれば、実装時にエアーを内包しにくく、荷重による熱抵抗差を低減できる熱伝導シートを提供できる。
図1は、熱伝導シートの一例を示す断面図である。 図2は、熱伝導シート前駆体をプレスして、熱伝導シートを得る工程Dの一例を説明するための断面図である。 図3は、熱伝導シートを適用した半導体装置の一例を示す断面図である。 図4は、比較例2において、表面に規則性のある形状を有するフィルム又はクッションを貼付せずにプレス熱伝導シート前駆体をプレスする方法を説明するための断面図である。 図5は、銅板からの熱伝導シートの高さを測定する方法の一例を説明するための斜視図である。
<熱伝導シート>
本技術に係る熱伝導シートは、表面の算術平均粗さ(Sa)が5.0μm以上であり、厚さ0.3mmにおける1kgf/cmの熱抵抗と、厚さ0.3mmにおける5kgf/cmの熱抵抗との熱抵抗差が0.10℃・cm/W未満である。このような熱伝導シートによれば、実装時にエアーを内包しにくく、かつ、エアーが抜けやすいとともに、荷重による熱抵抗差を低減できる。
熱伝導シートは、表面の算術平均粗さ(Sa)が5.000μm以上であってもよく、5.100μm以上であってもよく、5.200μm以上であってもよく、5.300μm以上であってもよく、5.400μm以上であってもよく、5.500μm以上であってもよく、5.600μm以上であってもよく、5.700μm以上であってもよく、5.800μm以上であってもよく、5.900μm以上であってもよい。熱伝導シートの表面の算術平均粗さ(Sa)の上限値は、特に限定されないが、荷重による熱抵抗差をより効果的に低減する観点では、例えば、6.500μm以下とすることができ、6.400μm以下であってもよく、6.300μm以下であってもよく、6.200μm以下であってもよく、6.100μm以下であってもよく、6.000μm以下であってもよい。熱伝導シートの表面の算術平均粗さ(Sa)は、5.400~5.950μmの範囲とすることもできる。熱伝導シートの表面の算術平均粗さ(Sa)は、後述する実施例の方法で測定することができる。
熱伝導シート1は、厚さ0.3mmにおける1kgf/cmの熱抵抗と、厚さ0.3mmにおける5kgf/cmの熱抵抗との熱抵抗差が、小さいほど好ましく、0.09℃・cm/W以下であってもよく、0.08℃・cm/W以下であってもよく、0.07℃・cm/W以下であってもよく、0.06℃・cm/W以下であってもよく、0.05℃・cm/W以下であってもよい。熱伝導シート1の熱抵抗は、後述する実施例に記載の方法で測定することができる。荷重による熱抵抗差として、熱伝導シート1に低荷重(1kgf/cm)をかけたときと、高荷重(5kgf/cm)をかけたときの熱抵抗差を規定したのは、熱伝導シート1の接触熱抵抗の比較をしやすくするためである。
熱伝導シート1は、厚さ0.3mmにおける1kgf/cmの熱抵抗と、厚さ0.3mmにおける5kgf/cmの熱抵抗との熱抵抗差が上述した範囲を満たす限り、各荷重をかけたときの熱抵抗値の大きさは特に限定されない。例えば、熱伝導シート1は、0.3mmにおける1kgf/cmの熱抵抗が0.25℃・cm/W以下であってもよく、0.23℃・cm/W以下であってもよく、0.21℃・cm/W以下であってもよい。熱伝導シート1は、厚さ0.3mmにおける5kgf/cmの熱抵抗が、0.20℃・cm/W以下であってもよく、0.18℃・cm/W以下であってもよく、0.15℃・cm/W以下であってもよい。
熱伝導シート1は、表面に規則性のある形状を有することが好ましい。熱伝導シート1が表面に規則性のある形状を有することにより、熱伝導シート1の表面の算術平均粗さ(Sa)を5.000μm以上にするとともに、熱伝導シート1の荷重による熱抵抗差をより効果的に低減できる。熱伝導シート1における規則性のある形状とは、例えば、規則性のある凹凸であり、平面視における凹部または凸部の模様(形状)が、互いに直交しない辺を有する多角形状等の幾何学模様や、複数の円形、楕円形が連続する模様、あるいはこれら幾何学模様と円形、楕円形の模様が混在する模様などが挙げられる。また、規則性のある形状は、平面視における凹部または凸部の模様が、ライン状や波状であってもよい。
図1は、熱伝導シートの一例を示す断面図である。熱伝導シート1は、バインダ樹脂2と、繊維状フィラー3とを含み、繊維状フィラー3が、断面視で厚さ方向Bに配向している。例えば、熱伝導シート1において、繊維状フィラー3の長軸が、熱伝導シート1の厚さ方向に配向している。また、熱伝導シート1は、繊維状フィラー3以外の他の熱伝導材料4をさらに含んでもよい。
熱伝導シート1は、例えば、ショアタイプOOにおける硬度が30超であることが好ましく、35~80の範囲であってもよく、40~75の範囲であってもよく、45~70の範囲であってもよく、50~70の範囲であってもよい。熱伝導シート1の硬度がこのような範囲であることにより、例えば後述するように、熱伝導シート1の表面に規則性のある形状を転写する場合、形成した規則性のある形状(凹凸)を消えにくくすることができる。熱伝導シート1の硬度は、後述する実施例の方法で測定することができる。
熱伝導シート1の厚みは、特に限定されず、目的に応じて適宜選択することができる。例えば、熱伝導シート1の厚みは、0.05mm以上とすることができ、0.1mm以上とすることもできる。また、熱伝導シート1の厚みの上限値は、5mm以下とすることができ、4mm以下であってもよく、3mm以下であってもよい。熱伝導シート1は、取扱性の観点では、厚みが0.1~4mmであることが好ましい。熱伝導シート1の厚みは、例えば、熱伝導シート1の厚みを任意の5箇所で測定し、その算術平均値から求めることができる。
以下、熱伝導シート1の構成要素の具体例について説明する。
<バインダ樹脂>
バインダ樹脂2は、繊維状フィラー3や他の熱伝導材料4を熱伝導シート1内に保持するためのものである。バインダ樹脂2は、熱伝導シート1に要求される機械的強度、耐熱性、電気的性質等の特性に応じて選択される。バインダ樹脂2としては、熱可塑性樹脂、熱可塑性エラストマー、熱硬化性樹脂の中から選択することができる。
熱可塑性樹脂としては、ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン-プロピレン共重合体等のエチレン-αオレフィン共重合体、ポリメチルペンテン、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリ酢酸ビニル、エチレン-酢酸ビニル共重合体、ポリビニルアルコール、ポリビニルアセタール、ポリフッ化ビニリデン及びポリテトラフルオロエチレン等のフッ素系重合体、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリスチレン、ポリアクリロニトリル、スチレン-アクリロニトリル共重合体、アクリロニトリル-ブタジエン-スチレン共重合体(ABS)樹脂、ポリフェニレン-エーテル共重合体(PPE)樹脂、変性PPE樹脂、脂肪族ポリアミド類、芳香族ポリアミド類、ポリイミド、ポリアミドイミド、ポリメタクリル酸、ポリメタクリル酸メチルエステル等のポリメタクリル酸エステル類、ポリアクリル酸類、ポリカーボネート、ポリフェニレンスルフィド、ポリサルホン、ポリエーテルサルホン、ポリエーテルニトリル、ポリエーテルケトン、ポリケトン、液晶ポリマー、シリコーン樹脂、アイオノマー等が挙げられる。
熱可塑性エラストマーとしては、スチレン- ブタジエンブロック共重合体又はその水添化物、スチレン-イソプレンブロック共重合体又はその水添化物、スチレン系熱可塑性エラストマー、オレフィン系熱可塑性エラストマー、塩化ビニル系熱可塑性エラストマー、ポリエステル系熱可塑性エラストマー、ポリウレタン系熱可塑性エラストマー、ポリアミド系熱可塑性エラストマー等が挙げられる。
熱硬化性樹脂としては、架橋ゴム、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、ポリイミド樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、ジアリルフタレート樹脂等が挙げられる。架橋ゴムの具体例としては、天然ゴム、アクリルゴム、ブタジエンゴム、イソプレンゴム、スチレン-ブタジエン共重合ゴム、ニトリルゴム、水添ニトリルゴム、クロロプレンゴム、エチレン-プロピレン共重合ゴム、塩素化ポリエチレンゴム、クロロスルホン化ポリエチレンゴム、ブチルゴム、ハロゲン化ブチルゴム、フッ素ゴム、ウレタンゴム、及びシリコーンゴムが挙げられる。
バインダ樹脂2としては、例えば、電子部品の発熱面とヒートシンク面との密着性を考慮するとシリコーン樹脂が好ましい。シリコーン樹脂としては、例えば、アルケニル基を有するシリコーンを主成分とし、硬化触媒を含有する主剤と、ヒドロシリル基(Si-H基)を有する硬化剤とからなる、2液型の付加反応型シリコーン樹脂を用いることができる。アルケニル基を有するシリコーンとしては、例えば、ビニル基を有するポリオルガノシロキサンを用いることができる。硬化触媒は、アルケニル基を有するシリコーン中のアルケニル基と、ヒドロシリル基を有する硬化剤中のヒドロシリル基との付加反応を促進するための触媒である。硬化触媒としては、ヒドロシリル化反応に用いられる触媒として周知の触媒が挙げられ、例えば、白金族系硬化触媒、例えば白金、ロジウム、パラジウムなどの白金族金属単体や塩化白金などを用いることができる。ヒドロシリル基を有する硬化剤としては、例えば、ヒドロシリル基を有するポリオルガノシロキサンを用いることができる。バインダ樹脂2は、1種単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
熱伝導シート1中のバインダ樹脂2の含有量は、特に限定されず、目的に応じて適宜選択することができる。例えば、熱伝導シート1中のバインダ樹脂2の含有量は、熱伝導シート1の柔軟性の観点では、20体積%以上とすることができ、23体積%以上であってもよく、25体積%以上であってもよく、28体積%以上であってもよい。また、熱伝導シート1中のバインダ樹脂2の含有量は、熱伝導シート1の熱伝導率や、シート表面の算術平均粗さ(Sa)の観点では、42体積%未満とすることが好ましく、40体積%以下であってもよく、36体積%以下であってもよく、34体積%以下であってもよく、32体積%以下であってもよく、30体積%以下であってもよい。
<繊維状フィラー>
熱伝導シート1は、繊維状フィラー3を含むことが好ましい。繊維状フィラー3とは、長軸と短軸とを有し、長軸と短軸の長さが異なりアスペクト比(平均長軸長さ/平均短軸長さ)が1を超える形状であるものを含む。繊維状フィラー3は、1種単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。繊維状フィラー3は、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、金属繊維、炭素繊維などを用いることができ、炭素繊維が好ましい。
炭素繊維は、例えば、ピッチ系炭素繊維、PAN系炭素繊維、PBO繊維を黒鉛化した炭素繊維、アーク放電法、レーザー蒸発法、CVD法(化学気相成長法)、CCVD法(触媒化学気相成長法)等で合成された炭素繊維を用いることができる。これらの中でも、熱伝導性の観点では、ピッチ系炭素繊維が好ましい。
繊維状フィラー3の平均繊維長(平均長軸長さ)は、例えば、50~250μmとすることができ、75~220μmであってもよい。また、繊維状フィラー3の平均繊維径(平均短軸長さ)は、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、4~20μmとすることができ、5~14μmであってもよい。繊維状フィラー3のアスペクト比は、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、熱伝導性の観点では、例えば、8以上とすることができ、9~30であってもよい。繊維状フィラー3の平均長軸長さ及び平均短軸長さは、例えば、マイクロスコープや走査型電子顕微鏡(SEM)で測定することができる。
炭素繊維は、目的に応じて、表面が絶縁被膜によって被覆されていてもよい。このように、炭素繊維として、絶縁被覆炭素繊維を用いることができる。絶縁被覆炭素繊維は、炭素繊維と、炭素繊維の表面の少なくとも一部に絶縁皮膜とを有し、必要に応じて、その他の成分を含有してもよい。
絶縁皮膜は、電気絶縁性を有する材料からなり、例えば、酸化ケイ素や、重合性材料の硬化物で形成されている。重合性材料は、例えばラジカル重合性材料であり、重合性を有する有機化合物、重合性を有する樹脂などが挙げられる。ラジカル重合性材料は、エネルギーを利用してラジカル重合する材料であれば、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、ラジカル重合性2重結合を有する化合物が挙げられる。ラジカル重合性2重結合としては、例えば、ビニル基、アクリロイル基、メタクリロイル基などが挙げられる。ラジカル重合性2重結合を有する化合物におけるラジカル重合性2重結合の個数は、耐熱性や、耐溶剤性を含む強度の観点では、2つ以上が好ましい。ラジカル重合性2重結合を2つ以上有する化合物は、例えば、ジビニルベンゼン(Divinylbenzene:DVB)、(メタ)アクリロイル基を2つ以上有する化合物が挙げられる。ラジカル重合性材料は、1種単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。ラジカル重合性材料の分子量は、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、50~500の範囲とすることができる。絶縁皮膜が重合性材料の硬化物で形成されている場合、絶縁被膜における重合性材料に由来する構成単位の含有量は、例えば、50質量%以上とすることができ、90質量%以上とすることもできる。
絶縁皮膜の平均厚みは、目的に応じて適宜選択することができ、高い絶縁性を実現する観点では、50nm以上とすることができ、100nm以上であってもよく、200nm以上であってもよい。絶縁被膜の平均厚みの上限値は、例えば、1000nm以下とすることができ、500nm以下であってもよい。絶縁被膜の平均厚みは、例えば、透過型電子顕微鏡(TEM)観察により求めることができる。
絶縁皮膜により炭素繊維を被覆する方法としては、例えば、ゾルゲル法、液相堆積法、ポリシロキサン法、特開2018-98515号公報に記載された炭素繊維の表面の少なくとも一部に重合性材料の硬化物からなる絶縁皮膜を形成する方法等が挙げられる。
熱伝導シート1中の繊維状フィラー3の含有量は、熱伝導シート1の熱伝導性の観点では、例えば、5体積%以上とすることができ、10体積%以上とすることもでき、14積%以上とすることもでき、20体積%以上とすることもでき、22体積%以上とすることもでき、24体積%以上とすることもできる。また、熱伝導シート1中の繊維状フィラー3の含有量は、熱伝導シート1の成形性の観点では、例えば、30体積%以下とすることができ、28体積%以下とすることもでき、26体積%以下とすることもでき、24体積%以下とすることもできる。熱伝導シート1中の繊維状フィラー3の含有量は、例えば、5~50体積%とすることができ、14~25体積%とすることが好ましい。2種以上の繊維状フィラー3を併用する場合、その合計量が上述した含有量を満たすことが好ましい。
<他の熱伝導材料>
他の熱伝導材料4は、上述した繊維状フィラー3以外の熱伝導材料であり、例えば、無機フィラーが挙げられる。他の熱伝導材料4の形状は、例えば、球状、破砕状、楕円球状、塊状、粒状、扁平状、針状などが挙げられる。他の熱伝導材料4の形状は、充填性の観点では、球状、楕円球状などが好ましい。他の熱伝導材料4は、1種単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
他の熱伝導材料4の材質は、無機フィラーが挙げられ、例えば、酸化アルミニウム(アルミナ、サファイア)、窒化アルミニウム、水酸化アルミニウム、アルミニウム、酸化亜鉛などを用いることができる。特に、熱伝導シート1の熱伝導率を向上させるとともに、熱伝導シート1の荷重による熱抵抗差を小さくする観点では、アルミナ及び窒化アルミニウムの少なくとも1種を用いることが好ましく、アルミナと窒化アルミニウムを併用することがより好ましい。
アルミナ粒子の平均粒径(D50)は、例えば、0.1~10μmとすることができ、0.1~8μmであってもよく、0.1~7μmであってもよく、0.1~5μmであってもよい。窒化アルミニウム粒子の平均粒径(D50)は、例えば、0.1~10μmとすることができ、0.1~8μmであってもよく、0.1~7μmであってもよく、0.1~2μmであってもよい。他の熱伝導材料4の平均粒径は、他の熱伝導材料4の粒子径分布全体を100%とした場合に、粒子径分布の小粒子径側から粒子径の値の累積カーブを求めたとき、その累積値が50%となるときの粒子径をいう。粒度分布(粒子径分布)は、体積基準によって求められたものである。粒度分布の測定方法としては、例えば、レーザー回折型粒度分布測定機を用いる方法が挙げられる。
他の熱伝導材料4は、表面処理が施されていてもよい。表面処理としては、例えば、アルコキシシラン化合物などのカップリング剤により他の熱伝導材料4を処理することが挙げられる。カップリング剤の処理量は、例えば、他の熱伝導材料4の総量に対して0.1~1.5体積%の範囲とすることができる。
アルコキシシラン化合物は、ケイ素原子(Si)が持つ4個の結合のうち、1~3個がアルコキシ基と結合し、残りの結合が有機置換基と結合した構造を有する化合物である。アルコキシシラン化合物が有するアルコキシ基としては、例えば、メトキシ基、エトキシ基、ブトキシ基などが挙げられる。アルコキシシラン化合物の具体例としては、トリメトキシシラン化合物、トリエトキシシラン化合物などが挙げられる。
熱伝導シート1中の他の熱伝導材料4の含有量は、特に限定されず、目的に応じて適宜選択できる。熱伝導シート1が他の熱伝導材料4を含む場合、熱伝導材料4の含有量は、熱伝導シート1の熱伝導率や、荷重による熱抵抗差を低減する観点では、21体積%超とすることができ、36体積%以上であってもよく、40体積%以上であってもよく、42体積%以上であってもよい。また、熱伝導シート1中の他の熱伝導材料4の含有量は、熱伝導シーシート1の表面の算術平均粗さ(Sa)の観点では、50体積%以下とすることができ、48体積%以下であってもよく、46体積%以下であってもよい。2種以上の他の熱伝導材料4を併用する場合、その合計量が上述した含有量を満たすことが好ましい。
熱伝導シート1が繊維状フィラー3と他の熱伝導材料4を含む場合、熱伝導シート1中の繊維状フィラー3と他の熱伝導材料4の含有量の合計は、熱伝導シート1の熱伝導率や、熱伝導シート1表面の算術平均粗さ(Sa)を5.0μm以上とし、熱抵抗差を小さくする観点では、57体積%以上とすることができ、60体積%以上であってもよく、63体積%以上であってもよく、65体積%以上であってもよく、68体積%以上であってもよい。また、熱伝導シート1中の繊維状フィラー3と他の熱伝導材料4の含有量の合計は、熱伝導シート1の成形性の観点では、75体積以下とすることができ、70体積%以下であってもよい。
熱伝導シート1は、本技術の効果を損なわない範囲で、上述した成分以外の他の成分をさらに含有してもよい。他の成分としては、例えば、分散剤、硬化促進剤、遅延剤、粘着付与剤、可塑剤、難燃剤、酸化防止剤、安定剤、着色剤などが挙げられる。
<熱伝導シートの製造方法>
本技術に係る熱伝導シートの製造方法は、バインダ樹脂2と繊維状フィラー3とを含む熱伝導組成物を調製する工程Aと、熱伝導組成物から成形体ブロックを形成する工程Bと、成形体ブロックをシート状にスライスして熱伝導シート前駆体を得る工程Cと、熱伝導シート前駆体をプレスして、上述した熱伝導シート1を得る工程Dとを有を有する。
[工程A]
工程Aでは、バインダ樹脂2と繊維状フィラー3とを含む熱伝導組成物を調製する。熱伝導組成物は、上述した他の熱伝導材料4を含んでもよい。熱伝導組成物は、各種添加剤や揮発性溶剤ととともに公知の手法で均一に混合してもよい。
[工程B]
工程Bでは、熱伝導組成物から成形体ブロックを形成する。成形体ブロックの形成方法としては、押出成形法、金型成形法などが挙げられる。押出成形法、金型成形法としては、特に制限されず、公知の各種押出成形法、金型成形法の中から、熱伝導組成物の粘度や熱伝導シート1に要求される特性等に応じて適宜採用することができる。例えば、押出成形法において、熱伝導組成物をダイより押し出す際、あるいは金型成形法において、熱伝導組成物を金型へ圧入する際、バインダ樹脂2が流動し、その流動方向に沿って繊維状フィラー3の長軸が配向する。
成形体ブロックの大きさ・形状は、求められる熱伝導シートの大きさに応じて決めることができる。例えば、断面の縦の大きさが0.5~15cmで横の大きさが0.5~15cmの直方体が挙げられる。直方体の長さは必要に応じて決定すればよい。押出成形法では、熱伝導組成物の硬化物からなり、押出方向に繊維状フィラー3の長軸が配向した、柱状の成形体ブロックを形成しやすい。
得られた成形体ブロックは、熱硬化させることが好ましい。熱硬化における硬化温度は、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、バインダ樹脂2がシリコーン樹脂である場合、60℃~120℃の範囲とすることができる。熱硬化における硬化時間は、例えば、30分~10時間の範囲とすることができる。
[工程C]
工程Cでは、成形体ブロックをシート状にスライスして、厚さ方向Bに繊維状フィラー3の長軸が配向した熱伝導シート前駆体を得る。スライスにより得られる熱伝導シート前駆体の表面(スライス面)には、繊維状フィラー3が露出する。スライスする方法としては特に制限はなく、成形体ブロックの大きさや機械的強度により公知のスライス装置の中から適宜選択することができる。スライス装置としては、例えば、超音波カッタ、かんな(鉋)などが挙げられる。成形体ブロックのスライス方向としては、成形方法が押出成形法である場合、押出し方向に繊維状フィラー3の長軸が配向しているものもあるため、押出し方向に対して60~120度であることが好ましく、70~100度の方向であることがより好ましく、90度(垂直)の方向であることがさらに好ましい。
[工程D]
工程Dでは、熱伝導シート前駆体をプレスして熱伝導シート1を得る。工程Dでは、熱伝導シート前駆体をプレスすることにより、熱伝導シート前駆体7を構成するバインダ樹脂2が熱伝導シート1(プレス後の熱伝導シート前駆体)の表面に染み出し、熱伝導シート1がタック性を有するようになる。熱伝導シート1の表面に染み出すバインダ樹脂2は、未硬化の状態であってもよく、数%程度硬化が進んだ状態であってもよい。工程Dで得られる熱伝導シート1は、表面がより平滑化され、他の部材と熱伝導シート1との密着性をより向上させることができる。
工程Dでは、例えば、熱伝導シート前駆体のスライス面(表面)をプレスすることにより、熱伝導シート前駆体の表面に規則性のある形状を転写する。工程Dの一態様では、熱伝導シート前駆体の表面に、表面に規則性のある形状を有するフィルム又はクッションを貼付してプレスすることにより、フィルム又はクッション表面の形状を熱伝導シート前駆体の表面に転写する。また、工程Dでは、熱伝導シート前駆体のスライス面を、表面が平滑なフィルムに挟んでプレスすることにより得た積層体(表面が平滑なフィルムと、プレスした熱伝導シート前駆体と、表面が平滑なフィルムとの積層体)を、さらに表面に規則性のある形状を有するフィルム又はクッションを用いてプレスすることにより、表面に規則性のある形状を有するフィルム又はクッションの表面の形状を熱伝導シート前駆体の表面に転写するようにしてもよい。
図2は、熱伝導シートの製造方法における、熱伝導シート前駆体をプレスして熱伝導シートを得る工程Dの一例を説明するための断面図である。図2の矢印は、プレスの方向を表す。工程Dでは、図2に示すように、熱伝導シート前駆体7を剥離フィルム6A,6Bで挟持し、さらに、この剥離フィルム6A,6Bの外側に、表面に規則性のある形状を有するクッション8(以下、単に「クッション8」などと称することもある)を配置した状態、すなわち、クッション8A、剥離フィルム6A、熱伝導シート前駆体7、剥離フィルム6B及びクッション8Bをこの順に有する積層体10をプレスしてもよい。このような積層体10をプレスすることにより、クッション8の表面の形状を熱伝導シート前駆体7の表面に転写できる。また、表面に規則性のある形状を有するクッション8を用いることにより、熱伝導シート前駆体7の表面を均一にプレスすることができ、熱伝導シート1の熱抵抗を効果的に小さくできる。さらに、熱伝導シート前駆体7をプレスする際に、熱伝導シート前駆体7を剥離フィルム6A,6Bで挟持することにより、熱伝導シート前駆体7をプレスする際に熱伝導シート前駆体7がプレス装置に付着するのを防止できる。
また、工程Dでは、図2に示すように、熱伝導シート前駆体7を剥離フィルム6A,6Bで挟持し、さらに、この剥離フィルム6A,6Bの外側に、表面に規則性のある形状を有するフィルム9(以下、単に「フィルム9」などと称することもある)を配置した状態、すなわち、フィルム9A、剥離フィルム6A、熱伝導シート前駆体7、剥離フィルム6B及びフィルム9Bをこの順に有する積層体11をプレスしてもよい。このような積層体11をプレスすることでも、フィルム9の表面の形状を熱伝導シート前駆体7の表面に転写できる。また、表面に規則性のある形状を有するフィルム9を用いることにより、熱伝導シート前駆体7の表面を均一にプレスすることができ、熱伝導シート1の熱抵抗を効果的に小さくできる。
なお、図示しないが、工程Dでは、表面に規則性のある形状を有するクッション8と、表面に規則性のある形状を有するフィルム9とを併用してもよい。例えば、工程Dでは、熱伝導シート前駆体7を剥離フィルム6A,6Bで挟持し、さらに、この剥離フィルム6Aの外側の表面に規則性のある形状を有するクッション8を配置するとともに、剥離フィルム6Bの外側の表面に規則性のある形状を有するフィルム9を配置した状態、すなわち、クッション8、剥離フィルム6A、熱伝導シート前駆体7、剥離フィルム6B及びフィルム9をこの順に有する積層体をプレスしてもよい。
剥離フィルム6は、PET(ポリエチレンテレフタレート)、PEN(ポリエチレンナフタレート)、ポリオレフィン、ポリメチルペンテン、グラシン紙等が挙げられる。剥離フィルム6の厚みは、特に限定されず、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、5~200μmとすることができる。また、剥離フィルム6は、厚みが薄い方が、熱伝導シート1に対する追従性(密着性)がより良好となり、熱伝導シート1のタック力をより効果的に発現できる。例えば、熱伝導シート1のタック力をより効果的に発現させる観点では、剥離フィルム6は、厚みが薄いPETフィルムが好ましい。剥離フィルム6Aと剥離フィルム6Bは、材質が同じであってもよいし、材質が異なっていてもよい。また、剥離フィルム6Aと剥離フィルム6Bは、厚みが同じであってもよいし、厚みが異なっていてもよい。
クッション8としては、平面視における模様として、上述のような規則性のある形状を有するものを使用できる。クッション8の材質は、例えば、ラバーを用いることができる。クッション8の具体例としては、ヤマウチ社製の製品名YOM-F01 FDRRが挙げられる。クッション8の厚みは、特に限定されず、目的に応じて適宜選択することができる。クッション8Aとクッション8Bは、表面の規則性のある形状が同じであってもよいし、異なっていてもよい。クッション8Aとクッション8Bは、材質が同じであってもよいし、材質が異なっていてもよい。クッション8Aとクッション8Bは、厚みが同じであってもよいし、厚みが異なっていてもよい。
フィルム9としては、平面視における模様として、上述のような規則性のある形状を有するものを使用できる。フィルム9としては、例えば、表面に規則性のある凹凸を有するエンボスフィルムを使用できる。フィルム9の材質は、特に限定されず、例えば、PETを用いることができる。フィルム9の具体例としては、製品名「ALEF」、製品名「EF」、製品名「NEF」、製品名「小ダイヤ」(以上、石島化学工業社製)などが挙げられる。フィルム9Aとフィルム9Bは、材質が同じであってもよいし、材質が異なっていてもよい。フィルム9Aとフィルム9Bは、表面の規則性のある形状が同じであってもよいし、異なっていてもよい。フィルム9の厚みは、特に限定されず、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、0.004~0.3mmの範囲とすることができる。フィルム9Aとフィルム9Bは、厚みが同じであってもよいし、厚みが異なっていてもよい。
熱伝導シート前駆体7のプレスには、平盤と表面が平坦なプレスヘッドとからなる一対のプレス装置5を使用できる。また、ピンチロールで熱伝導シート前駆体7をプレスしてもよい。プレスの際の圧力は、例えば、0.1~100MPaの範囲とすることができ、0.1~1MPaの範囲であってもよく、0.1~0.5MPaの範囲であってもよい。プレス温度は、例えば、0~180℃の範囲とすることができ、常温~100℃の範囲であってもよく、30~100℃の範囲であってもよい。なお、本明細書において、「常温」とは、JIS K 0050:2019(化学分析方法通則)に規定される15~25℃の範囲をいう。プレスの効果をより高め、プレス時間を短縮するために、熱伝導シート前駆体7を構成するバインダ樹脂2のガラス転移温度(Tg)以上でプレスを行ってもよい。プレス時間は、例えば、10秒~5分の範囲とすることができ、30秒~3分の範囲であってもよい。例えば、プレスの際の圧力は0.2~0.7MPaの範囲が好ましい。また、プレス温度とプレス時間は、常温~90℃の範囲が好ましく、熱伝導シート1がつぶれやすい場合は、低温(例えば25~40℃程度)かつ短時間(10秒程度)が好ましく、熱伝導シート1がつぶれにくい場合は、高温(90℃程度)かつ長時間(3分程度)が好ましい。
なお、工程Dでは、熱伝導シート前駆体7をプレスすることに替えて、次のような方法で、熱伝導シート前駆体7の表面に、クッション8やフィルム9の表面の規則性のある形状を転写してもよい。例えば、プレス機を使用せずに、熱伝導シート前駆体7と、クッション8やフィルム9を真空パックに入れて密着させることで、クッション8やフィルム9の表面の形状(模様)を熱伝導シート前駆体7の表面に転写させてもよい。あるいは、特殊な機械を使用せずに、熱伝導シート前駆体7を、クッション8やフィルム9に挟んだ積層体を、熱伝導シート前駆体7などの荷重や、クッション8やフィルム9の重みによって、クッション8やフィルム9の表面の形状(模様)を熱伝導シート前駆体7の表面に転写させてもよい。
このように、工程Dでは、研磨などの物理的な加工をせずに、熱伝導シート前駆体7をプレスすることで、表面の算術平均粗さ(Sa)が5.0μm以上であり、厚さ0.3mmにおける1kgf/cmの熱抵抗と、厚さ0.3mmにおける5kgf/cmの熱抵抗との熱抵抗差が0.10℃・cm/W未満である熱伝導シート1を得る。そのため、工程Dで得られた熱伝導シート1は、上述のように、実装時にエアーを内包しにくく、かつ、エアーが抜けやすいとともに、荷重による熱抵抗差を低減できる。
また、本製造方法では、表面に規則性のある形状(凹凸)を有する熱伝導シート1を、外部からの圧力のみで作製することができ、熱伝導シート前駆体7に対して、物理的な加工(物理的に削ること、加工、研磨など)を行う必要がない。そのため、熱伝導シート1中の導電物質(例えば繊維状フィラー3)の粉落ちのリスクを防止でき、回路が集積したICチップ上に熱伝導シートを実装した際のショートのリスクを回避できる。したがって、本製造方法で得られる熱伝導シート1は、物理的な加工を施した熱伝導シートに比べて、使用箇所が制限されないという利点がある。さらに、本製造方法では、熱伝導シート前駆体7が任意の厚みであっても、表面に規則性のある形状を有する熱伝導シート1を容易に得ることができる。
また、工程Dにおいて、熱伝導シート前駆体7をプレスすることにより、熱伝導シート前駆体7の表面に規則性のある形状を転写する場合、上述のように、熱伝導シート前駆体7中のバインダ樹脂2の含有量を制御する(多くなりすぎないようにする)ことで、熱伝導シート1に形成した規則性のある形状(凹凸)を消えにくくすることもできる。
<電子機器>
熱伝導シート1は、例えば、発熱体と放熱体との間に配置させることにより、発熱体で生じた熱を放熱体に逃がすためにそれらの間に配された構造の電子機器(サーマルデバイス)とすることができる。電子機器は、発熱体と放熱体と熱伝導シート1とを少なくとも有し、必要に応じて、その他の部材をさらに有していてもよい。
本技術に係る電子機器は、発熱体と放熱体との間に、表面の算術平均粗さ(Sa)が5.0μm以上であり、厚さ0.3mmにおける1kgf/cmの熱抵抗と、厚さ0.3mmにおける5kgf/cmの熱抵抗との熱抵抗差が0.10℃・cm/W未満である熱伝導シート1を備える。このような構成の電子機器は、熱伝導シート1が、実装時にエアーを内包しにくく、荷重による熱抵抗差を低減できるため、熱伝導シート1の実装時に加圧した際、熱伝導シート1内部の折れを防止できる。そのため、熱伝導シート1の面内厚みが不均一となることや、接触熱抵抗の増加による熱伝導シート1の熱抵抗の悪化を抑制できる。また、サイズが大きい熱伝導シート1を自動機でピックアップして、発熱体としてのICチップ上に実装する場合、熱伝導シート1の表面が平滑ではないため、熱伝導シート1が複数の端部から実装されたり、熱伝導シート1がICチップと平行に実装されることを防止できる。そのため、電子機器において、熱伝導シート1とICチップとの間の中央部にエアーが内包されるのを防止できる。
発熱体としては、特に限定されず、例えば、CPU、GPU(Graphics Processing Unit)、DRAM(Dynamic Random Access Memory)、フラッシュメモリなどの集積回路素子、トランジスタ、抵抗器など、電気回路において発熱する電子部品等が挙げられる。また、発熱体には、通信機器における光トランシーバ等の光信号を受信する部品も含まれる。
放熱体としては、特に限定されず、例えば、ヒートシンクやヒートスプレッダなど、集積回路素子やトランジスタ、光トランシーバ筐体などと組み合わされて用いられるものが挙げられる。ヒートシンクやヒートスプレッダの材質としては、例えば、銅、アルミニウムなどが挙げられる。放熱体としては、ヒートスプレッダやヒートシンク以外にも、熱源から発生する熱を伝導して外部に放散させるものであればよく、例えば、放熱器、冷却器、ダイパッド、プリント基板、冷却ファン、ペルチェ素子、ヒートパイプ、ベーパーチャンバー、金属カバー、筐体等が挙げられる。ヒートパイプは、例えば、円筒状、略円筒状又は扁平筒状の中空構造体である。
図3は、熱伝導シートを適用した半導体装置の一例を示す断面図である。例えば、熱伝導シート1は、図3に示すように、各種電子機器に内蔵される半導体装置50に実装され、発熱体と放熱体との間に挟持される。図3に示す半導体装置50は、電子部品51と、ヒートスプレッダ52と、熱伝導シート1とを備え、熱伝導シート1がヒートスプレッダ52と電子部品51との間に挟持される。熱伝導シート1が、ヒートスプレッダ52とヒートシンク53との間に挟持されることにより、ヒートスプレッダ52とともに、電子部品51の熱を放熱する放熱部材を構成する。熱伝導シート1の実装場所は、ヒートスプレッダ52と電子部品51との間や、ヒートスプレッダ52とヒートシンク53との間に限らず、電子機器や半導体装置の構成に応じて、適宜選択できる。ヒートスプレッダ52は、例えば方形板状に形成され、電子部品51と対峙する主面52aと、主面52aの外周に沿って立設された側壁52bとを有する。ヒートスプレッダ52は、側壁52bに囲まれた主面52aに熱伝導シート1が設けられ、主面52aと反対側の他面52cに熱伝導シート1を介してヒートシンク53が設けられる。
以下、本技術の実施例について説明する。本技術は、これらの実施例に限定されるものではない。
<実施例1>
実施例1では、表1に示すように、2液性の付加反応型液状シリコーンに、シランカップリング剤でカップリング処理した平均粒径4μmのアルミナ粒子24体積%と、平均粒径1.3μmの窒化アルミニウム粒子24体積%と、繊維状フィラーとして平均繊維長150μmのピッチ系炭素繊維24体積%とを混合し、シリコーン組成物を調製した。2液性の付加反応型液状シリコーン樹脂は、オルガノポリシロキサンを主成分とするものを28体積%使用した。得られたシリコーン組成物を、中空四角柱状の金型(70mm×70mm)の中に押出成形し、70mm□のシリコーン成型体を成型した。シリコーン成型体をオーブンにて100℃で6時間加熱してシリコーン硬化物とした。シリコーン硬化物を、厚みが0.3mmとなるようにスライサーで切断し、熱伝導シート前駆体を得た。図2に示すように、剥離フィルム6(剥離処理したPETフィルム)で挟持した熱伝導シート前駆体7の表面に、表面に規則性のある形状を有するラバークッション(表面の算術平均粗さ(Sa)=29.915μm)を貼付してプレスを行った。プレス条件は、0.5MPa、温度40℃、時間10secとした。プレス後の熱伝導シート1を60mm×60mm角に外径加工した。
<実施例2>
実施例2では、実施例1と同様に熱伝導シート前駆体7を得て、図2に示すように、剥離フィルム6(剥離処理したPETフィルム)で挟持した熱伝導シート前駆体7の表面に、表面に規則性のある形状を有するエンボスフィルム(表面の算術平均粗さ(Sa)=26.736)を貼付けしてプレスを行った。プレス条件は、0.5MPa、温度40℃、時間10secとした。プレス後の熱伝導シート1を60mm×60mm角に外径加工した。
<比較例1>
比較例1では、実施例1と同様に熱伝導シート前駆体7を得て、剥離フィルム6(剥離処理したPETフィルム)で挟持した熱伝導シート前駆体7の表面に、コピー用紙(A4紙)を貼付けしてプレスを行った。プレス条件は、0.5MPa、温度40℃、時間10secとした。プレス後の熱伝導シート1を60mm×60mm角に外径加工した。
<比較例2>
図4は、比較例2において、表面に規則性のある形状を有するフィルム又はクッションを貼付せずにプレス熱伝導シート前駆体をプレスする方法を説明するための断面図である。比較例2では、実施例1と同様に熱伝導シート前駆体7を得て、図4に示すように、剥離フィルム6(剥離処理したPETフィルム)で挟持した熱伝導シート前駆体7の表面に、表面に規則性のある形状を有するラバークッション又は表面に規則性のある形状を有するエンボスフィルムを貼付せず、そのままプレスした。プレス条件は、0.5MPa、温度40℃、時間10secとした。プレス後の熱伝導シート1を60mm×60mm角に外径加工した。
<比較例3>
比較例3では、実施例1と同様に熱伝導シート前駆体7を得て、熱伝導シート前駆体7をプレス処理せずに、60mm×60mm角に外径加工した。
<比較例4>
比較例4では、実施例1と同様に熱伝導シート前駆体7を得て、紙やすり(三共理化学社製、品名:FUJISTAR 耐水研磨紙DCCS-1000(#1000番))を使用して熱伝導シート前駆体7の表面を研磨した。具体的には、300gの重りがついた研磨紙で、熱伝導シート前駆体7上を引きずる操作を100回行った。研磨後の熱伝導シート前駆体7を60mm×60mm角に外径加工した。
<比較例5>
比較例5では、表1に示すように、2液性の付加反応型液状シリコーンに、シランカップリング剤でカップリング処理した平均粒径2μmのアルミナ粒子44体積%と、繊維状フィラーとして平均繊維長200μmのピッチ系炭素繊維14体積%とを混合し、シリコーン組成物を調製したこと、2液性の付加反応型液状シリコーン樹脂としてオルガノポリシロキサンを主成分とするものを42体積%使用したこと以外は、実施例1と同様に、熱伝導シート前駆体7を得て、実施例1と同様に熱伝導シート前駆体7にプレスを行った。プレス条件は、0.5MPa、温度40℃、時間10secとした。プレス後の熱伝導シート1を60mm×60mm角に外径加工した。
<ショアタイプOOにおける硬度>
実施例1,2及び比較例1,2,5で得られた熱伝導シート1及び比較例3,4で得られた熱伝導シート前駆体7のショアタイプOOにおける硬度は、ASTM-D2240に準拠した測定方法で、2mm厚の熱伝導シート1(又は熱伝導シート前駆体7)を5枚重ねて10mm厚とし、片面5点、両面で合計10点測定した測定結果の平均値とした。結果を表1に示す。
<タック性>
実施例1,2及び比較例1,2,5で得られた直後の熱伝導シート1及び比較例3,4で得られた直後の熱伝導シート前駆体7のタック性を目視で評価した。具体的には、タック性がないときを「×」(OK)と評価し、タック性があったときを「〇」(NG)と評価した。結果を表1に示す。
<加工後10分後の凹凸>
実施例1,2及び比較例1,2,5で得られた熱伝導シート1及び比較例3,4で得られた熱伝導シート前駆体7を作製してから10分後、熱伝導シート1(又は熱伝導シート前駆体7)の表面の凹凸を目視で評価した。シート表面の凹凸が目視で確認できたときを「〇」(OK)と評価し、シート表面の凹凸が目視で確認できなかったときを「×」(NG)と評価した。結果を表1に示す。
<加工後1週間後の凹凸>
実施例1,2及び比較例1,2,5で得られた熱伝導シート1及び比較例3,4で得られた熱伝導シート前駆体7を作製してから1週間後、熱伝導シート1(又は熱伝導シート前駆体7)の表面の凹凸を目視で評価した。シート表面の凹凸が目視で確認できたときを「〇」(OK)と評価し、シート表面の凹凸が目視で確認できなかったときを「×」(NG)と評価した。結果を表1に示す。
<銅板からのシート高さ(最大)>
図5は、銅板からの熱伝導シートの高さを測定する方法の一例を説明するための斜視図である。図5に示すように、実施例1,2、比較例1,2,5で得られた熱伝導シート1(60mm×60mm、厚み0.3mm)又は比較例3,4で得られた熱伝導シート前駆体7(60mm×60mm、厚み0.3mm)を吸着パット20で持ち上げ、10cm角の銅板21(JIS H 3100 C1100P)の上にセットし、熱伝導シート1(又は熱伝導シート前駆体7)を吸着パット20から外した後、非接触測定器(製品名:KEYENCE ONE-SHOT 3D VR-5000)で、銅板21の表面から熱伝導シート1(又は熱伝導シート前駆体7)の上面までの高さを測定した。結果を表1に示す。
<銅板上での気泡の含有>
銅板21からの熱伝導シート1の高さの結果に基づいて、銅板21上の熱伝導シート1(又は熱伝導シート前駆体7)の気泡の含有の有無、すなわち、熱伝導シート1(又は熱伝導シート前駆体7)の脱気ができているかを評価した。結果を表1に示す。
<算術平均粗さ(Sa)>
熱伝導シート1(又は熱伝導シート前駆体7)の高さの測定と同時に、熱伝導シート1(又は熱伝導シート前駆体7)の算術平均粗さ(Sa)[μm]を測定した。算術平均粗さ(Sa)の算出面積は、24.193cm×18.16cmとした。結果を表1に示す。
<熱抵抗、熱抵抗差>
直径20mm、厚さ0.3mmの熱伝導シート1(又は熱伝導シート前駆体7)を準備し、この熱伝導シート1(又は熱伝導シート前駆体7)の熱抵抗(℃・cm/W)を、ASTM-D5470に準拠した方法で測定した。そして、1kgf/cmの圧力をかけたときの熱伝導シート1(又は熱伝導シート前駆体7)の熱抵抗(℃・cm/W)と、5kgf/cmの圧力をかけたときの熱伝導シート1(又は熱伝導シート前駆体7)の熱抵抗(℃・cm/W)との差を求めた。結果を表1に示す。
Figure 2022129312000002
実施例1,2では、表面の算術平均粗さ(Sa)が5.0μm以上であり、厚さ0.3mmにおける1kgf/cmの熱抵抗と、厚さ0.3mmにおける5kgf/cmの熱抵抗との熱抵抗差が0.10℃・cm/W未満である熱伝導シートが得られることが分かった。
一方、比較例1~5では、表面の算術平均粗さ(Sa)が5.0μm以上であり、かつ、厚さ0.3mmにおける1kgf/cmの熱抵抗と、厚さ0.3mmにおける5kgf/cmの熱抵抗との熱抵抗差が0.10℃・cm/W未満である熱伝導シートが得られないことが分かった。
また、実施例1,2及び比較例1~4の結果から、熱伝導シートの組成が同じであっても、熱抵抗差に違いが出ることが分かった。
比較例1~3で得られた熱伝導シート(又は熱伝導シート前駆体)は、低荷重(1kgf/cm)領域での接触性が悪く、高荷重(5kgf/cm)をかけたときに接触性が改善されたため、実施例1,2で得られた熱伝導シートと比べて、荷重による熱抵抗差が大きくなったと考えられる。
比較例4で得られた熱伝導シート前駆体は、実施例1,2で得られた熱伝導シートと同様に、荷重を変化させて測定したときの熱抵抗差が0.10℃・cm/W未満であった。比較例4では、紙やすりで表面の研磨を行ったため、表面の平滑度が向上し、表面の凹凸が小さいものの、接触熱抵抗が下がったことで荷重による熱抵抗差が小さくなったと考えられる。しかし、比較例4では、紙やすりで熱伝導シート前駆体の表面を研磨した、すなわち、物理的に熱伝導シート前駆体を加工したため、炭素繊維の一部に脱落や折れが発生し、熱伝導シート前駆体の外観が黒ずんでいることが分かった。
また、実施例及び比較例で得られた熱伝導シート(又は熱伝導シート前駆体)の表面の算術平均粗さ(Sa)を測定した結果、比較例1のような平らなA4紙や、比較例2のような金属板を用いて熱伝導シート前駆体をプレスした場合、実施例1,2のように表面に規則性のある形状(凹凸)を有するフィルム又はクッションを用いてプレスした場合と比べて、熱伝導シートの表面の平滑度が高い、すなわち、熱伝導シートの表面の算術平均粗さ(Sa)が小さいことが分かった。また、比較例3で得られた熱伝導シートは、表面の算術平均粗さ(Sa)が5.0μm以上であったものの、表面の形状に規則性が確認できず、表面全体が荒れていることが分かった。
また、実施例1,2では、熱伝導シート前駆体に、表面に規則性のある形状(凹凸)を有するフィルム又はクッションを貼付してプレスすることにより、加工後の熱伝導シートの表面に凹凸が転写される(凹凸が残る)ことが分かった。
一方、比較例5では、実施例1,2のように、熱伝導シート前駆体に、表面に規則性のある形状(凹凸)を有するフィルム又はクッションを貼付してプレスしたが、加工後の熱伝導シートの表面に凹凸が転写されない(凹凸が残らない)ことが分かった。比較例5で得られた熱伝導シートは、シリコーン樹脂の含有量が42体積%と多かったため、表面に凹凸が転写されにくかったと考えられる。このことは、比較例5で得られた熱伝導シートの表面の算術平均粗さ(Sa)が5.0μm未満であったことからも裏付けられる。
また、銅板からの熱伝導シートの高さを測定した結果、実施例1,2で得られた熱伝導シートは、銅板に追従することが分かった。実施例1,2で得られた熱伝導シートは、表面の算術平均粗さ(Sa)が5.0μm以上である、すなわち、表面に凹凸があることで、タック性が軽減されたためと考えられる。一方、比較例1、2で得られた熱伝導シートは、実施例1,2の熱伝導シートと比べて表面が平滑でタック性があり、銅板上での気泡・浮きが見られた。比較例1、2で得られた熱伝導シートは、実施例1,2で得られた熱伝導シートと比べてタックがあることで、熱伝導シートを吸着パットから離した際に、吸着パットと接触した部位の熱伝導シートが銅板に対して十分に密着しなかったことで気泡が含有したと考えられる。
従来、熱伝導シートの接触性(熱伝導シートの熱抵抗)を改善するために、熱伝導シートをいかにして平滑にするかの技術について検討が積み重ねられてきた。しかし、実施例及び比較例の結果から、熱伝導シートの平滑性のみが重要ではなく、ある程度熱伝導シートの表面に凹凸があっても、荷重による熱抵抗差を低減できることが分かった。
また、比較例4のように、熱伝導シートの表面に対して物理的な加工を行うことで熱伝導シートの荷重による熱抵抗差を小さくする方法も考えられるが、この場合、上述したショートのリスクの観点で、熱伝導シートの使用箇所が制限されてしまう。一方、実施例1,2のように、プレスにより表面に凹凸(規則性のある形状)を転写した熱伝導シートは、比較例4のように表面に対して物理的な加工を行わずに済むので、比較例4の熱伝導シートと比べてショートのリスクを低減できることが示唆された。
1 熱伝導シート、2 バインダ樹脂、3 繊維状フィラー、4 他の熱伝導材料、5 プレス装置、6 剥離フィルム、7 熱伝導シート前駆体、8 表面に規則性のある形状を有するクッション、9 表面に規則性のある形状を有するフィルム、10 積層体、11 積層体、20 吸着パット、21 銅板、50 半導体装置、51 電子部品、52 ヒートスプレッダ、52a 主面、52b 側壁、52c 他面、53 ヒートシンク

Claims (12)

  1. 当該熱伝導シート表面の算術平均粗さ(Sa)が5.0μm以上であり、
    厚さ0.3mmにおける1kgf/cmの熱抵抗と、厚さ0.3mmにおける5kgf/cmの熱抵抗との熱抵抗差が0.10℃・cm/W未満である、熱伝導シート。
  2. 表面に規則性のある形状を有する、請求項1に記載の熱伝導シート。
  3. 繊維状フィラーを含み、上記繊維状フィラーが厚さ方向に配向している、請求項1又は2に記載の熱伝導シート。
  4. バインダ樹脂としてシリコーン樹脂を含む、請求項1~3のいずれか1項に記載の熱伝導シート。
  5. 上記シリコーン樹脂の含有量が42体積%未満である、請求項4に記載の熱伝導シート。
  6. 上記繊維状フィラー以外の他の熱伝導材料をさらに含む、請求項1~5のいずれか1項に記載の熱伝導シート。
  7. 上記他の熱伝導材料が、アルミナ及び窒化アルミニウムの少なくとも1種である、請求項6に記載の熱伝導シート。
  8. バインダ樹脂と繊維状フィラーとを含む熱伝導組成物を調製する工程Aと、
    上記熱伝導組成物から成形体ブロックを形成する工程Bと、
    上記成形体ブロックをシート状にスライスして熱伝導シート前駆体を得る工程Cと、
    上記熱伝導シート前駆体をプレスして、熱伝導シートを得る工程Dとを有し、
    上記熱伝導シートは、表面の算術平均粗さ(Sa)が5.0μm以上であり、
    上記熱伝導シートは、厚さ0.3mmにおける1kgf/cmの熱抵抗と、厚さ0.3mmにおける5kgf/cmの熱抵抗との熱抵抗差が0.10℃・cm/W未満である、熱伝導シートの製造方法。
  9. 上記工程Dでは、上記熱伝導シート前駆体をプレスすることにより、上記熱伝導シート前駆体の表面に規則性のある形状を転写する、請求項8に記載の熱伝導シートの製造方法。
  10. 上記工程Dでは、上記熱伝導シート前駆体の表面に、表面に規則性のある形状を有するフィルム又はクッションを貼付してプレスすることにより、上記フィルム又はクッション表面の形状を上記熱伝導シート前駆体の表面に転写する、請求項8又は9に記載の熱伝導シートの製造方法。
  11. 上記熱伝導シートの表面がプレス面である、請求項8~10のいずれか1項に記載の熱伝導シートの製造方法。
  12. 発熱体と、
    放熱体と、
    上記発熱体と上記放熱体との間に配置された請求項1~7のいずれか1項に記載の熱伝導シートとを備える、電子機器。
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