JP2022129189A - 光触媒活性を有する部材及びその製造方法 - Google Patents

光触媒活性を有する部材及びその製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】光触媒活性を有する微粒子を従来よりも基材に良好に固定可能で、良好な光触媒活性を付与可能な、光触媒活性を有する部材の製造方法を提供すること。【解決手段】チタン、チタン合金、チタン化合物又はチタン化合物を含む金属で形成されている基材の表面に対して酸化処理を行って、前記基材に酸化チタン被膜を形成する酸化処理工程、溶媒、光触媒活性を有する微粒子及び分解性チタン化合物を含有する混合液と、前記酸化チタン被膜とを前記分解性チタンが分解する条件下で接触させ、前記分解性チタン化合物に由来する分解物を介して前記酸化チタン被膜に前記微粒子を担持させる担持処理工程を含む、光触媒活性を有する部材の製造方法。【選択図】なし

Description

本発明は、光触媒活性を有する部材及びその製造方法に関するものである。
光触媒は、所定波長の光を照射することで強い酸化分解機能を発揮し、光触媒を含む表層を有する部材表面に付着している物質等を酸化分解することが知られている。このような光触媒機能を利用して、脱臭、殺菌、抗菌、水中や空気中等に含まれる環境汚染物質の分解を行ったり、表面を親水性にして汚れや水滴等の付着を防止したりすること等が検討されている。
このような光触媒機能を基材の表面に付与して光触媒活性を有する部材を製造する方法は、従来、各種提案されている。このうち、例えば特許文献1には、基材表面に酸化チタン層が被覆されてなる光触媒材料を製造するに際し、酸化チタン層の表面から厚さ10nmの表層部に存在する酸化チタンが光触媒活性の高いアナターゼ型結晶となるようにする方法として、チタン製の基材を用い、基材表面に対して陽極酸化処理を行った後、その表面に有機チタンを適用し、焼成して酸化チタンを生成する方法が提案されている。この方法は、酸化チタン粉末をSi系バインダーにより基材に固定する従来の方法、チタン製の基材に陽極酸化処理のみを行う従来の方法、チタン製の基材に有機チタンを適用し、焼成して酸化チタンを生成する処理のみを行う従来の方法の各欠点を解消し、高い光触媒活性を有する酸化チタン層を基材に強固に形成することができるとされている。
特開2000-312829号公報
しかしながら、本発明者が検討したところによると、特許文献1に記載の方法を採用しても、光触媒活性の向上について、改善の余地があることが判明した。
そこで、本発明の目的は、従来よりも良好な光触媒活性を基材に付与可能な、光触媒活性を有する部材の製造方法を提供すること、また、従来よりも良好な光触媒活性を有する部材を提供することである。
本発明者は、前述の課題解決のために、鋭意検討を行った。その結果、溶媒、光触媒活性を有する微粒子及び分解性チタン化合物を含有する混合液を採用し、これを、酸化処理により酸化チタン被膜が形成された基材に前記分解性チタン化合物が分解する条件下で接触させることで、良好な光触媒活性を有する部材が得られることを見出し、本発明を完成させた。本発明の要旨は以下のとおりである。
(1)チタン、チタン合金、チタン化合物又はチタン化合物を含む金属で形成されている基材の表面に対して酸化処理を行って、前記基材に酸化チタン被膜を形成する酸化処理工程、
溶媒、光触媒活性を有する微粒子及び分解性チタン化合物を含有する混合液と、前記酸化チタン被膜とを前記分解性チタン化合物が分解する条件下で接触させ、前記分解性チタン化合物に由来する分解物を介して前記酸化チタン被膜に前記微粒子を担持させる担持処理工程を含む、光触媒活性を有する部材の製造方法。
(2)前記担持処理工程の後、さらに、前記溶媒の沸点以上に加熱する焼付処理工程を含む、前項(1)記載の光触媒活性を有する部材の製造方法。
(3)前記分解性チタン化合物が、ハロゲン化チタン、チタンアルコキシドから選択される少なくとも一種である、前項(1)又は(2)に記載の光触媒活性を有する部材の製造方法。
(4)担持処理工程において、前記酸化チタン被膜は前記溶媒の沸点以上800℃以下に加熱される、前項(1)~(3)の何れか一項に記載の光触媒活性を有する部材の製造方法。
(5)前記基材の表面はチタンにより形成されており、当該チタンが酸化処理される、前項(1)~(4)の何れか一項に記載の光触媒活性を有する部材の製造方法。
(6)光触媒活性を有する微粒子が酸化チタンの微粒子である前項(1)~(5)の何れか一項に記載の光触媒活性を有する部材の製造方法。
(7)前項(1)~(6)の何れか一項に記載の製造方法により得られる光触媒活性を有する部材。
(8)チタン、チタン合金、チタン化合物又はチタン化合物を含む金属で形成されている基材と、
前記基材の表層に形成されている酸化チタン被膜と、
前記酸化チタン被膜に、分解性チタン化合物の分解物を介して担持されている光触媒活性を有する微粒子と、を備える光触媒活性を有する部材。
(9)表面の水との接触角が、80°未満である、前項(7)又は(8)記載の光触媒活性を有する部材。
本発明によれば、従来よりも良好な光触媒活性を基材に付与可能な、光触媒活性を有する部材の製造方法を提供することができる。また、本発明によれば、従来よりも良好な光触媒活性を有する部材を提供することができる。
実施例1の光触媒活性を有する部材の表面の電子顕微鏡の撮像を示した図である。 (a)実施例1の光触媒活性を有する部材の表面の電子顕微鏡の撮像を示した拡大図である。(b)図2(a)中の四角形の枠内の撮像を拡大した拡大図である。 比較例1の酸化チタン被膜が形成された基材の断面の電子顕微鏡の撮像を示した図である。 比較例1の酸化チタン被膜が形成された基材の表面の電子顕微鏡の撮像を示した図である。 比較例1の酸化チタン被膜が形成された基材の断面のX線回折の測定結果を示した図である。 実施例1の部材の断面のX線回折の測定結果を示した図である。 実施例1及び比較例1、2の試験片を用いて行ったアルデヒド臭気試験のアクリルケース内のアセトアルデヒドの濃度の経時変化を示した図である。
本発明の実施形態に係る光触媒活性を有する部材(以下、「光触媒部材」と称する場合がある。)の製造方法は、以下の工程を含む。
チタン、チタン合金、チタン化合物又はチタン化合物を含む金属で形成されている基材の表面に対して酸化処理を行って、前記基材に酸化チタン被膜を形成する酸化処理工程、
溶媒、光触媒活性を有する微粒子(以下、「光触媒微粒子」と称する場合がある。)及び分解性チタン化合物を含有する混合液と、前記酸化チタン被膜とを前記分解性チタン化合物が分解する条件下で接触させ、前記分解性チタン化合物に由来する分解物を介して前記酸化チタン被膜に前記微粒子を担持させる担持処理工程。
このような工程を含むことで、チタン原子を含む金属又は化合物で形成されている基材に対して酸化処理を行って酸化チタン被膜を形成し、この酸化チタン被膜に対して、所定の条件で所定の混合液を適用して、光触媒微粒子を、その活性が維持された状態で、分解性チタン化合物に由来する分解物を介して酸化チタン被膜に対して良好に担持することが可能になったものと考えられる。この際、分解性チタン化合物は、所定の処理の結果分解され、例えば、光触媒粒子と酸化チタン被膜とは分解性チタン化合物に由来する分解物を介して担持されていると考えられる。この際に生成する分解性チタン化合物に由来する分解物としては、例えば、酸化チタン等が考えられる。
酸化処理工程に供する基材は、チタン、チタン合金、チタン化合物又はチタン化合物を含む金属で形成されているものを用いる。つまり、基材は、純チタン製、チタン合金製、チタン化合物製、又は、チタン化合物を含む金属製のものである。純チタンやチタン合金としては、例えば、JISやASTM等で規定されている各種のもの等を用いることができる。純チタンとしては、例えば、JIS 1~4種等の工業用純チタン等として市販されているもの等が挙げられる。チタン合金としては、例えば、耐食合金、α合金、Near α合金、α-β合金、Near β合金、β合金等を用いることができる。耐食合金としては、例えばJIS 11~23種等、α合金としては、例えばJIS 50種等、α-β合金としては、例えばJIS 60種、60E種、61種、61F種等、β合金としては、例えばJIS 80種等が挙げられる。また、チタン合金を構成するTi以外の金属元素としては、例えば、Al、V、Pd、Ru、Cr、Ta、Ni、Mo、Sn、Si、Fe、Zr、Nb等が挙げられる。適用可能なチタン合金としては、例えば、Ti-Al系、Ti-Al-Sn系、Ti-Al-V系合金等が挙げられる。チタン化合物としては、例えば、窒化チタン、炭化チタン、酸化チタン等が挙げられる。チタン化合物を含む金属としては、例えば、窒化チタン、炭化チタン、酸化チタン等のチタン化合物を含む金属等が挙げられる。基材がチタン化合物を含む金属である場合は、チタン化合物が母材となる金属中に分散状態で存在しているもの、基材にした場合にチタン化合物が基材の表層に偏在しているもの等が挙げられる。また、母材となる金属は、酸化処理に応じて適宜選択することができる。
基材の形態は特に限定はなく、光触媒活部材の用途等に応じて適宜決定することができる。
酸化処理としては、基材の表面に酸化チタン被膜を形成することができる処理であれば特に限定はなく、基材の材質等に応じて適宜選択することができる。このような酸化処理としては、例えば、チタン、チタン合金、チタン化合物又はチタン化合物を表層に含む金属で形成された基材を陽極酸化して酸化チタン被膜を基材表面に形成する処理、酸化チタンを含む金属で形成されている基材に対して母材となる金属を酸化処理により溶出させて残存する酸化チタンにより酸化チタン被膜を基材表面に形成する処理、等が挙げられる。このような酸化処理のうち、多孔質の酸化チタン被膜を所望の膜厚で形成させる観点から、陽極酸化処理が好ましい。
陽極酸化処理の条件は、基材の材質、形成させる酸化チタン被膜の結晶相、膜厚等を考慮して定法に従って行うことが可能である。陽極酸化処理を行う前処理として、脱脂処理、及び、基材表面に酸化膜が形成されている場合はその酸化膜を除去する工程を行うのが好ましい。脱脂処理としては、例えば、所定温度に調整された、水酸化ナトリウム水溶液等のアルカリ性溶液と所定時間接触させる処理等が挙げられる。脱脂処理の条件は定法に従って決定することができる。基材表面の酸化膜を除去する処理は、特に限定はなく、例えば、化学研磨処理や、ショットブラスト等の機械的処理及び/又は物理研磨とその後の酸洗浄とを行う処理等が挙げられる。処理の簡便性等の観点からは、化学研磨処理が好ましい。化学研磨処理は、例えば、所定の温度の酸性溶液に所定時間基材を浸漬することで行うことができる。化学研磨処理の条件は、基材の材質等に応じて適宜決定することができる。また、陽極酸化処理を行った後は、水による洗浄、デスマットを行い、さらに、純水による洗浄、乾燥処理を行うのが好ましい。
尚、酸化チタンを含む金属で形成されている基材に対して母材となる金属を酸化処理により溶出させて残存する酸化チタンにより酸化チタン被膜を基材表面に形成する処理も、前述の陽極酸化処理と同様の処理を行うことができる。
酸化処理後の基材の表層に形成される酸化チタン被膜の厚みは、酸化チタン被膜に対する分解性チタン化合物に由来する分解物の固定の観点等から、0.3~10μmが好ましく、0.3~5μmがより好ましい。多孔質の孔の大きさは、特に限定はなく、例えば、50~800nmとすることができる。
酸化処理として陽極酸化処理を行った場合、形成される酸化チタン被膜は、X線回折分析によると、ルチル型の結晶構造が多く含まれる傾向にあることを確認している。また、レーザーラマン顕微鏡により結晶相をスクリーニングすると、酸化チタン被膜の外側に近い部分にルチル型が多く、その基材側に近い方にアナターゼ型が多く分布する傾向にあることを確認している。つまり、陽極酸化処理のみを行った場合の酸化チタン被膜は、光触媒活性が高いアナターゼ型が少ないうえに、光が入射する外側に、光触媒活性が低いルチル型多く分布しているため、光触媒活性が低い傾向にあることを確認している。そこで、以下の担持処理工程を行って、光触媒微粒子及び分解性チタン化合物等を含む混合液を酸化チタン被膜に適用して、分解性チタン化合物に由来する分解物を介して光触媒微粒子を酸化チタン被膜に担持して、良好な光触媒活性を有する光触媒部材を提供することを可能にしている。
担持処理工程において用いる混合液は、溶媒、光触媒微粒子及び分解性チタン化合物を含有する。
溶媒としては、特に限定はなく、水溶性有機溶媒、非水溶性有機溶媒何れでもよい。水溶性有機溶媒としては、例えば、例えば、メチルアルコール、エチルアルコール、n-プロピルアルコール、イソプロピルアルコール、n-ブチルアルコール、sec-ブチルアルコール、tert-ブチルアルコール、イソブチルアルコール、n-ペンタノール等のアルキルアルコール類;3-メトキシ-3-メチル-1-ブタノール、3-メトキシ-1-プロパノール、1-メトキシ-2-プロパノール、3-メトキシ-n-ブタノール等の1価のアルコール類;1-ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、3-メトキシプロパンアミド、3-ブトキシプロパンアミド、N,N-ジメチル-3-メトキシプロパンアミド、N,N-ジブチル-3-メトキシプロパンアミド、N,N-ジブチル-3-ブトキシプロパンアミド、N,N-ジメチル-3-ブトキシプロパンアミド等のアミド類;アセトン、ジアセトンアルコール等のケトン又はケトアルコール類;テトラヒドロフラン、ジオキサン等のエーテル類;ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール等のオキシエチレン又はオキシプロピレン共重合体;エチレングリコール、プロピレングリコール、ジエチレングリコール、ジプロピレングリコール、1,3-プロパンジオール、イソブチレングリコール、トリエチレングリコール、トリプロピレングリコール、テトラエチレングリコール、1,3-プロパンジオール、2-メチル-1,2-プロパンジオール、2-メチル-1,2-プロパンジオール、1,2-ブタンジオール、1,3-ブタンジオール、1,4-ブタンジオール、1,2-ペンタンジオール、1,2-ヘキサンジオール、1,5-ペンタンジオール、1,6-ヘキサンジオール、2-メチル-2,4-ペンタンジオール、3-メチル-1,3-ブタンジオール、3-メチル-1,5-ペンタンジオール、2-メチル-2,4-ペンタンジオール等のジオール類;グリセリン、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、1,2,6-ヘキサントリオール等のトリオール類:メソエリスリトール、ペンタエリスリトール等の4価アルコール類;エチレングリコールモノメチル(又はエチル、イソプロピル、n-ブチル、イソブチル、n-ヘキシル、2-エチルヘキシル)エーテル、ジエチレングリコールモノメチル(又はエチル、イソプロピル、n-ブチル、イソブチル、n-ヘキシル、2-エチルヘキシル)エーテル、トリエチレングリコールモノメチル(又はエチル、イソプロピル、n-ブチル、イソブチル)エーテル、プロピレングリコールモノメチル(又はエチル、イソプロピル、n-ブチル、イソブチル)エーテル、ジプロピレングリコールモノメチル(又はエチル、イソプロピル、n-ブチル,イソブチル)エーテル等のモノアルキルエーテル類;ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールエチルメチルエーテル、トリエチレングリコールジメチルエーテル、トリエチレングリコールジエチルエーテル、テトラエチレングリコールジメチルエーテル、テトラエチレングリコールジエチルエーテル、プロピレングリコールジメチルエーテル、プロピレングリコールジエチルエーテル、ジプロピレングリコールジメチルエーテル、ジプロピレングリコールジエチルエーテル等の多価アルコールのジアルキルエーテル類;モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、N-メチルエタノールアミン、N-エチルエタノールアミン、N-ブチルエタノールアミン、N-メチルジエタノールアミン、N-エチルジエタノールアミン、N-ブチルジエタノールアミン等のアルカノールアミン類;N-メチル-2-ピロリドン、2-ピロリドン、1,3-ジメチル-2-イミダゾリジノン等の含窒素複素環化合物;γ-ブチロラクトン、スルホラン等の環状化合物等が挙げられる。これらは1種でも良いし、2種以上組わせて用いてもよい。
これらの水溶性有機溶媒のうち、加熱により水溶性有機溶媒を除去する場合の容易性等の観点から、アルキルアルコール類が好ましく、炭素数1~5のアルキルアルコール類が好ましい。
非水溶性有機溶媒としては、例えば、ブタン、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、シクロペンタン、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン、ジメチルシクロヘキサン、トリメチルシクロヘキサン、エチルシクロヘキサン、ジエチルシクロヘキサン、デカヒドロナフタレン、ビシクロヘプタン、トリシクロデカン、ヘキサヒドロインデンシクロヘキサン、シクロオクタンなどの飽和炭化水素;1-ブテン、2-ブテン、1-ペンテン、2-ペンテンなどの不飽和炭化水素;ベンゼン、トルエン、キシレンなどの芳香族炭化水素;ニトロメタン、ニトロベンゼン、アセトニトリル、ジメチルホルムアミド、N-メチルピロリドンなどの含窒素系炭化水素;ジエチルエ-テル、テトラヒドロフランなどのエ-テル類;クロロホルム、ジクロロメタン、クロロベンゼン、ジクロロベンゼンなどの含ハロゲン系炭化水素等が挙げられる。これらは1種でも良いし、2種以上組わせて用いてもよい。
光触媒微粒子を構成する材質としては、特に限定はなく、例えば、酸化チタン、酸化亜鉛、酸化錫、酸化ジルコニウム、酸化タングステン、酸化クロム、酸化モリブデン、酸化鉄、酸化ニッケル、酸化ルテニウム、酸化コバルト、酸化銅、酸化マンガン等が挙げられる。これらは1種のみでもよいし、2種以上組み合わせて用いてもよい。このうち、酸化チタンが好ましく、アナターゼ型の酸化チタンが特に好ましい。このような光触媒粒子は市販のものを使用することができる。
光触媒微粒子の平均粒子径は、表面積を確保する観点から、5~100nmが好ましく、5~20nmがより好ましい。つまり、ナノ粒子であるのが好ましい。また、比表面積は、光触媒活性の観点から、40m/g以上が好ましく、150m/g以上がより好ましく、250m/g以上がさらに好ましい。比表面積は、例えば、BET法により測定することができる。
分解性チタン化合物は、チタン原子を含み、外部からの作用により分解し得る化合物である。外部からの作用とは、加熱、光の照射、オゾン等の反応性化合物の添加等を意味する。このような外部からの作用により、例えば、チタン原子を含む分解物と、チタン原子を含まない分解物とが生成し、チタン原子を含む分解物が作用して、基材の表層に形成された酸化チタン被膜と、光触媒微粒子とを結合させ、両者を良好に固定しているものと推測される。チタン原子を含む分解物は、例えば、酸化チタン被膜及び光触媒微粒子の両者と結合状態にある酸化チタンであり得る。また、この酸化チタンの形態は粒子、特に、多孔質の粒子であり得る。また、この粒子の大きさは、平均粒子径として、概して、光触媒微粒子より大きいものが多く存在し、光触媒微粒子の概ね100倍以上のものが多く存在し得る。分解性チタン化合物に由来する分解物である酸化チタンは、このように、概して、光触媒微粒子より大きい粒子を形成するため、光触媒微粒子を用いない場合は、最終的に得られる光触媒部材全体の光触媒活性が、光触媒微粒子が担持されている場合に比べて低くなることを確認している。
分解性チタン化合物としては、例えば、ハロゲン化チタン、チタンアルコキシド、チタンキレート化合物等の加水分解性チタン化合物、ペルオキソチタン酸及びその塩等が挙げられる。これらは、1種のみでもよいし、2種以上組み合わせて用いてもよい。このような分解性チタン化合物は、例えば、特開平10-305091号公報等に記載のものを用いることができる。具体的には以下のとおりである。
ハロゲン化チタンとしては、例えば、4塩化チタン、4臭化チタン、4フッ化チタン、4ヨウ素化チタン等が挙げられる。
チタンアルコキシドとしては、例えば、一般式Ti(OR)(式中Rは、独立して、アルキル基を示す。)で表されるチタンテトラアルコキシド、チタンテトラアルコキシドの加水分解縮合物、イソプロピルトリイソステアロイルチタネート、イソプロピルトリ-n-ドデシルベンゼンスルホニルチタネート、イソプロピルトリス(ジオクチルピロホスフェート)チタネート、テトライソプロピルビス(ジオクチルホスファイト)チタネート、テトラオクチルビス(ジトリデシルホスファイト)チタネート、テトラ(2,2-ジアリルオキシメチル-1-ブチル)ビス(ジ-トリデシル)ホスファイトチタネート、ビス(ジオクチルピロホスフェート)オキシアセテートチタネート、ビス(ジオクチルピロホスフェート)エチレンチタネート、イソプロピルトリオクタノイルチタネート、イソプロピルジメタクリロイルイソステアロイルチタネート、イソプロピルイソステアロイルジアクリルチタネート、イソプロピルトリ(ジオクチルホスフェート)チタネート、イソプロピルトリクミルフェニルチタネート、イソプロピルトリ(N-アミノエチル-アミノエチル)チタネート等が挙げられる。
一般式Ti(OR)(式中Rは、独立して、アルキル基を示す。)において、Rで示されるアルキル基としては、炭素数1~10のアルキル基が好ましく、例えば、メチル基、エチル基、n-プロピル基、イソプロピル基、n-ブチル基、n-オクチル基、2-エチルヘキシル基がより好ましい。また、このようなチタンテトラアルコキシドとしては、例えば、テトラ-n-ブトキシチタン、テトラ-i-プロポキシチタン、テトラキス(2-エチルヘキシルオキシ)チタン等が挙げられる。
チタンテトラアルコキシドの加水分解縮合物は、チタンテトラアルコキシド同士の分岐状又は直鎖状の加水分解縮合物である。チタンテトラアルコキシドに塩酸等の酸触媒を含む水溶液を加えると加水分解して、チタンアルコキシド同士の縮合反応が起こることで得られる。
チタンキレート化合物は、単独で用いて加熱すると、加水分解、縮重合が起こすものが好ましく、例えば、オキシビスアセチルアセトナトチタン、テトラキスアセチルアセトナトチタン、ジブトキシビスアセチルアセトナトチタン、ジイソプロポキシビスアセチルアセトナトチタン、ジイソプロポキシビスエチルアセチルアセトナトチタン、ジイソプロポキシビストリエタノールアミナトチタン、ジヒドロキシビスラクタトチタン等が挙げられる。
ペルオキソチタン酸は、HTiOで表される化合物であり、その塩としては、例えば、ペルオキソチタン酸ナトリウム、ペルオキソチタン酸カリウム等が挙げられる。
前述のような分解性チタン化合物のうち、担持処理工程を簡便に行う観点、入手の容易さやコストの観点から、加水分解性チタン化合物が好ましく、ハロゲン化チタン、チタンアルコキシドから選択される少なくとも一種がより好ましく、4塩化チタン、チタンテトラアルコキシドから選択される少なくとも一種がさらに好ましい。
混合液には、前述の必須成分以外に、必要に応じて他の成分を添加することができる。特に、分解性チタン化合物が、反応性化合物により分解する場合、必要に応じてこの反応性化合物を添加することになる。但し、光触媒微粒子を酸化チタン被膜に効率的に固定する観点、より良好な光触媒活性を確保する観点等から、シリカ等の他の微粒子、バインダー樹脂や加熱処理等により除去困難な成分は含まないのが好ましい。
混合液は、各成分を混合、撹拌することで得ることができる。各成分の混合液中の濃度は特に限定はないが、例えば、噴霧により混合液を塗布する場合において、溶媒と分解性チタン化合物を含む液相と、光触媒微粒子を含む固相とで構成される混合液では、液相が、溶媒を90~99.5質量%、分解性チタン化合物を0.5~10質量%含有し、固相が、液相(混合液として)100mlに対して、光触媒微粒子を0.5~3g、或いは、0.5~1g含有することができる。
担持処理工程では、前述の混合液を、分解性チタン化合物が分解する条件下で、酸化チタン被膜に接触させる。「分解性チタン化合物が分解する条件下で」とは、分解性チタン化合物の種類等に応じて、所定温度で所定時間加熱する、所定波長の光線を所定時間照射する、オゾン等の反応性化合物を所定温度で所定時間反応させる等の条件下を意味し、「分解する」とは、分解性チタン化合物から他の化合物が生成することを意味する。混合液と酸化チタン被膜との接触方法としては特に限定はなく、例えば、塗布、浸漬等が挙げられる。塗布方法としては、例えば、スプレーコート(噴霧による塗布)、バーコート、スピンコート等が挙げられる。
分解性チタン化合物が、例えば、加熱により分解させることが可能な加水分解性チタン化合物である場合、混合液と酸化チタン被膜とを接触させる際に、酸化チタン被膜は前記溶媒の沸点以上800℃以下に加熱されるのが好ましい。但し、この沸点は、加水分解性チタン化合物が分解する温度以上である。これにより、酸化チタン被膜に混合液を接触させると、溶媒を直ちに蒸発させることができる。また、加水分解性チタン化合物が分解して、加水分解性チタン化合物に由来する酸化チタンの粒子をより良好に形成させることができる。また、両者の接触させ方は、スプレー等で混合液を酸化チタン被膜に噴霧することにより行うのが好ましい。これにより、酸化チタン被膜全体に、より均一に混合液を塗布することができる。そして、酸化チタン被膜と接した混合液中の成分が直ちに反応して酸化チタン被膜の全体に、加水分解性チタン化合物に由来する例えば酸化チタンの粒子が形成されるとともに、その酸化チタンの粒子は、酸化チタン被膜及び光触媒微粒子と良好に結合していると推測される。また、この酸化チタンの粒子は、多孔質であり、粒子の表面及び孔内に、光触媒微粒子がより均一に分布するように担持されていると推測される。一方、加熱により分解性チタン化合物が分解せず、光の照射やオゾン等の反応性化合物の添加を、両者を接触させながら又は接触させた後に行う場合は、両者の接触のさせ方は特に限定はない。
酸化チタン被膜に分解性チタン化合物に由来する分解物を介して光触媒微粒子を担持させ、担持処理工程が終了した後、さらに、前記溶媒の沸点以上に加熱する焼付処理工程を行うことができる。担持処理工程において加熱した場合は、担持処理工程での温度以上の温度にて加熱するのが好ましい。これにより、溶媒を確実に除去することができる。その結果、光触媒活性をより向上させることができる。また、分解性チタン化合物が分解した結果生じる有機系の化合物をより確実に除去する観点から、その沸点よりもさらに高温、例えば、沸点の4倍程度以上の温度で加熱してもよい。焼結処理工程における加熱時間は、基材の種類、混合液の成分等に応じて適宜決定することができる。
例えば前述のようにして、少なくとも酸化処理工程及び担持処理工程を経て得られる光触媒部材は、予め形成した多孔質の酸化チタン被膜に対して、分解性チタン化合物に由来する分解物を介して良好に担持されている光触媒微粒子を有する。そして、この担持されている光触媒微粒子はその活性が維持された状態にある。そのため、光触媒部材は、良好な光触媒活性を有する。光触媒微粒子の担持量は、光触媒活性、材質等に応じて適宜設定することが可能である。
また、前述のようにして、少なくとも酸化処理工程及び担持処理工程を経て得られる光触媒部材は、良好な光触媒活性を有すると同時に、優れた親水性をも有する。例えば、光触媒部材の表面の水との接触角は80°未満とすることができ、超親水性とされる10°以下とすることもできる。さらには、5°未満は勿論のこと、0°とすることもできる。尚、例えば陽極酸化処理の結果基材の表層に形成される酸化チタン被膜のみでも超親水性を発現させることは可能であるが、光触媒活性は非常に低いのが現状である。尚、接触角はJIS R3257(静滴法(θ/2法))に準拠して測定することができる。
前述の光触媒部材は、良好な光触媒活性を有すると同時に、きわめて優れた親水性をも有するため、例えば、防汚性、滑雪性付与等を目的として、高速道路の防音壁、道路反射鏡、各種反射体、街路灯、自動車や列車等の車両或いは飛行機や船舶等のボディー、外壁材や屋根材等の建材、道路標識、ロードサイド看板等に好適である。
以下、本発明の実施形態を実施例に基づき詳細に説明する。
(実施例1)
純チタン製の基材を60℃の70g/lの水酸化ナトリウム水溶液に1分間浸漬して脱脂して、水洗した後に、75g/lの硝酸水溶液にて中和した。その後、90℃に加熱した、リン酸と硝酸の混合溶液(リン酸濃度95質量%、硝酸濃度5質量%)に1分浸漬して化学研磨処理を行い、基材表面の酸化膜を除去した(前処理工程)。その後、硫酸とシュウ酸の混合溶液(硫酸濃度100g/l、シュウ酸濃度10g/l)を電解液として用い、陽極酸化処理を行った(酸化処理工程)。陽極酸化処理の条件については、電解液の温度が10℃、Duty比25:10で定電流電解、正電流1dm2当たり42A、負電流25Aとし、5分間処理した。その後、陽極酸化処理後の基材を水洗し、デスマットを行い、純水で洗浄後、乾燥した。陽極酸化処理された基材の表層には、100~400nm程度の大きさのポーラスを有する酸化チタン被膜(膜厚4~5μm)が形成されていることを走査型電子顕微鏡(SEM)の撮像、X線回折により確認した。
エチルアルコール(エタノール)に、テトラ-n-ブトキシチタン(チタンテトラブトキシド)の濃度が1質量%となるように添加し、この溶液100mlに対して、酸化チタンの微粒子(石原産業株式会社製、ST-01、比表面積300m/g、平均粒子径7nm)0.5gを添加して撹拌し、酸化チタンの微粒子の混合液(以下、「混合液」と称する。)を作製した。
前述のようにして得られた酸化チタン被膜が形成された基材を380℃に加熱した後、その温度に保持した状態で、酸化チタン被膜が形成された基材の表面に対して、前記混合液を噴霧した。混合液の噴霧量は、基材表面1cm当たり、1.6ml(酸化チタンの微粒子8mg)とした(以上、担持処理工程)。
担持処理工程の後、500℃で3時間加熱した。この際、酸化チタン被膜に残存し得る有機成分が除去される(以上、焼付処理工程)。その後冷却して、光触媒活性を有する部材を得た。得られた部材を後述する評価に供した。基材に担持された酸化チタンの量は、2mg/cmであった。
(実施例2)
チタンテトラブトキシドの濃度を2.5質量%とした以外は、実施例1と同様にして光触媒活性を有する部材を得た。
(実施例3)
酸化チタンの微粒子の添加量を1gとした以外は、実施例1と同様にして光触媒活性を有する部材を得た。
(比較例1)
実施例1と同様にして陽極酸化処理を行って、酸化処理工程のみを行って、酸化チタン被膜が形成された基材を得た。
(比較例2)
酸化チタンの微粒子を含まない混合液を用いた以外は、実施例1と同様にして光触媒活性を有する部材を得た。
(評価)
<走査型電子顕微鏡(SEM)観察>
実施例1で得られた部材の表面、及び、比較例1で得られた基材の表面及び断面についてSEMにより観察した。実施例1の表面の撮像を図1、図2(a)、(b)に、比較例1の撮像を図3、4に示す。尚、実施例1の陽極酸化処理後の基材も比較例1と同様の撮像であった。図1、図2(a)、(b)は、日本電子株式会社製、JCM-7000、図3、4は、株式会社日立ハイテク製、SU-8000により撮影した撮像である。
<X線回折測定>
実施例1で得られた光触媒活性を有する部材及び比較例1で得られた酸化チタン被膜が形成された基材を用いて、表面のX線回折を測定した。測定には、株式会社リガク製、MiniFlex-IIを用いた。比較例1及び実施例1の測定結果をそれぞれ図5、6に示す。
<アルデヒド臭気試験>
実施例1~3の部材、比較例1の酸化チタン被膜を形成した基材及び比較例2の部材を試験片(50mm×50mm)として用い、アセトアルデヒドの分解能力を測定した。縦75mm×横75mm×高さ90mmの密閉可能なアクリルケースに、各試験片及び500ppmとなるようにアセトアルデヒドを封入した。日亜化学工業株式会社製、紫外線LED(波長375nm、2.2W)3灯を用いて試験片に紫外線を照射し、アセトアルデヒドの濃度を臭気測定装置(Luma Sence Technologies(INNOVA)社製、光音響マルチガスモニタ 1512-5、測定限界0.5ppm)で測定した。実施例1、比較例1、2の測定結果を図7に示す。実施例2、3の結果は実施例1と同等であった。
<親水性:水の接触角>
実施例1の部材を用い、JIS R3257(静滴法(θ/2法))に準拠して、水との接触角を測定した。その結果、実施例1の部材の表面の水の接触角は0°であった。
図1~4に示すように、実施例1のように所定の処理を行うことで、基材(図3中、符号3)の表層に多孔質の酸化チタン被膜(図3、4中、符号2)が形成され、その酸化チタン被膜にチタンテトラブトキシドに由来する酸化チタンの粒子が形成され(特に図1、図2(a)参照)、且つ、この粒子の表面に光触媒微粒子である酸化チタンの微粒子が担持されている(特に図2(b)参照)。尚、図1に示すように、酸化チタン被膜の表面の全体が、チタンテトラブトキシドに由来する酸化チタンの粒子で覆われており、酸化チタン被膜は目視により確認することはできない。図2に示すように、チタンテトラブトキシドに由来する酸化チタンの粒子の表面には、光触媒微粒子である酸化チタンの微粒子が極めて多数担持されているため、個別の微粒子を目視で確認することはできない。図5に示すように、「Sample(12-H)」で示すX線解析結果は、「anatase」で示すアナターゼ型の結晶構造のX線解析結果よりも、「rutile」で示すルチル型の結晶構造のX線解析結果と近似しており、比較例1の酸化チタン被膜にはルチル型の酸化チタンが多く含まれていることが分かる。一方、図6に示すように、「試料面」で示すX線解析結果は、「rutile」で示すルチル型の結晶構造のX線解析結果よりも、「anatase」で示すアナターゼ型の結晶構造のX線解析結果と近似しており(例えば、25degreeのピークの大きさ等)、実施例1のように酸化チタン被膜に分解性チタン化合物に由来する分解物である酸化チタンの粒子を介して光触媒微粒子である酸化チタンの微粒子が担持された場合は、光触媒部材の表層にアナターゼ型の結晶構造の酸化チタンが多く含まれていることが分かる。図7に示すように、実施例1は、酸化チタン被膜のみの比較例1、及び、従来の方法で酸化チタン被膜に酸化チタンの層を形成した比較例2と比較して、アセトアルデヒド濃度の減少速度が速く、かつ、比較例1、2ではアセトアルデヒド濃度が30分経過後も0にならないのに対して、5分程度でアセトアルデヒド濃度ほぼ0になっており、光触媒活性が高いことが分かる。また、実施例1の部材は、表面の水との接触角が0°であり、優れた光触媒活性かつ超親水性の表面を有することが分かる。
1 チタンブトキシドに由来する酸化チタン粒子
2 酸化チタン被膜
3 基材

Claims (9)

  1. チタン、チタン合金、チタン化合物又はチタン化合物を含む金属で形成されている基材の表面に対して酸化処理を行って、前記基材に酸化チタン被膜を形成する酸化処理工程、
    溶媒、光触媒活性を有する微粒子及び分解性チタン化合物を含有する混合液と、前記酸化チタン被膜とを前記分解性チタン化合物が分解する条件下で接触させ、前記分解性チタン化合物に由来する分解物を介して前記酸化チタン被膜に前記微粒子を担持させる担持処理工程を含む、光触媒活性を有する部材の製造方法。
  2. 前記担持処理工程の後、さらに、前記溶媒の沸点以上に加熱する焼付処理工程を含む、請求項1記載の光触媒活性を有する部材の製造方法。
  3. 前記分解性チタン化合物が、ハロゲン化チタン、チタンアルコキシドから選択される少なくとも一種である、請求項1又は2に記載の光触媒活性を有する部材の製造方法。
  4. 担持処理工程において、前記酸化チタン被膜は前記溶媒の沸点以上800℃以下に加熱される、請求項1~3の何れか一項に記載の光触媒活性を有する部材の製造方法。
  5. 前記基材の表面はチタンにより形成されており、当該チタンが酸化処理される、請求項1~4の何れか一項に記載の光触媒活性を有する部材の製造方法。
  6. 光触媒活性を有する微粒子が酸化チタンの微粒子である請求項1~5の何れか一項に記載の光触媒活性を有する部材の製造方法。
  7. 請求項1~6の何れか一項に記載の製造方法により得られる光触媒活性を有する部材。
  8. チタン、チタン合金、チタン化合物又はチタン化合物を含む金属で形成されている基材と、
    前記基材の表層に形成されている酸化チタン被膜と、
    前記酸化チタン被膜に、分解性チタン化合物の分解物を介して担持されている光触媒活性を有する微粒子と、を備える光触媒活性を有する部材。
  9. 表面の水との接触角が、80°未満である、請求項7又は8記載の光触媒活性を有する部材。

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