JP2022128086A - 光ファイバ母材の製造方法および光ファイバの製造方法 - Google Patents

光ファイバ母材の製造方法および光ファイバの製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】スート密度の不均一化を抑制できる光ファイバ母材の製造方法および光ファイバの製造方法を提供する。【解決手段】光ファイバ母材の製造方法は、バーナ1に原料ガスを供給し、火炎中に生成したガラス微粒子をターゲットTに堆積させて多孔質ガラス微粒子体100を得る工程を有する。前記工程において、ガラス微粒子をターゲットTに堆積させるにあたり、ターゲットTを軸周りに回転させつつ、バーナ1とターゲットTのうち少なくとも一方をターゲットTの長手方向に相対的に往復動させる。前記往復動は、第1の向きの単方向経路と、前記第1の向きとは反対の第2の向きの単方向経路とを含む。少なくとも1つの前記単方向経路において、バーナ1とは異なる温度調整装置2を用いて、バーナ1の通過時の多孔質ガラス微粒子体100の表面温度を、予め定められた範囲内となるように調整する。【選択図】図1

Description

本発明は、光ファイバ母材の製造方法および光ファイバの製造方法に関する。
光ファイバ母材を製造する方法としては、外付け法がある。外付け法では、例えば、ターゲットの長手方向に沿ってバーナまたはターゲットを往復動させつつ、ガラス微粒子をターゲットの外周面に堆積させることによって多孔質ガラス微粒子体を得る。
バーナまたはターゲットの往復動の距離が短い場合、多孔質ガラス微粒子体には前回加熱時の熱が余熱として残りやすい。そのため、バーナ通過直前の多孔質ガラス微粒子体の表面温度は、バーナの折り返し位置に近いほど高く、折り返し位置から遠いほど低くなることがある。加熱前にこのような温度の差異があることにより、加熱後の多孔質ガラス微粒子体の表面温度に、長手方向の位置によって差異が生じる場合がある。この表面温度の差異は、スート密度に不均一を生じさせ、焼結後の光ファイバ母材の外径変動の原因となる可能性がある。
ガラス微粒子を堆積させる際には、例えば、多孔質ガラス微粒子体の表面温度および外径に基づいてバーナの酸水素ガス流量を調整することができる(例えば、特許文献1を参照)。特許文献1に記載の製造方法では、バーナの酸水素ガス流量の調整によって、多孔質ガラス微粒子体の表面温度の差異を小さくできる可能性がある。
特開2000-256034号公報
しかし、特許文献1に記載の製造方法では、往復動の距離が短い場合、酸水素ガス流量を短時間で変更する必要があるため、バーナの火炎が不安定になる場合がある。火炎の不安定化は、スート密度の不均一を招く可能性がある。
本発明の一態様は、スート密度の不均一化を抑制できる光ファイバ母材の製造方法および光ファイバの製造方法を提供することを課題とする。
本発明の一態様は、バーナに原料ガスを供給し、火炎中に生成したガラス微粒子をターゲットに堆積させて多孔質ガラス微粒子体を得る工程を有し、前記工程において、ガラス微粒子をターゲットに堆積させるにあたり、前記ターゲットを軸周りに回転させつつ、前記バーナと前記ターゲットのうち少なくとも一方を前記ターゲットの長手方向に相対的に往復動させ、前記往復動は、第1の向きの単方向経路と、前記第1の向きとは反対の第2の向きの単方向経路とを含み、少なくとも1つの前記単方向経路において、前記バーナとは異なる温度調整装置を用いて、前記バーナの通過時の前記多孔質ガラス微粒子体の表面温度を、予め定められた範囲内となるように調整する、光ファイバ母材の製造方法を提供する。
前記光ファイバ母材の製造方法によれば、温度調整装置を用いて、多孔質ガラス微粒子体の表面温度を予め定められた範囲内となるように調整することによって、バーナの移動に起因するスート密度の不均一化を抑制できる。よって、光ファイバ母材の外径変動を抑制することができる。
前記光ファイバ母材の製造方法では、前記ガラス微粒子の堆積時における、前記バーナが通過する瞬間に前記バーナによって前記ガラス微粒子が堆積する領域の前記表面温度を、前記温度調整装置を用いて、予め定められた範囲内となるように調整することが好ましい。
前記温度調整装置は、温度調整ガスの供給源と、前記供給源からの温度調整ガスを前記多孔質ガラス微粒子体に向けて放出する1または複数のノズルとを備えることが好ましい。
前記温度調整装置は、前記バーナと近接して連動して前記ターゲットの長手方向に相対的に往復動することが好ましい。
少なくとも1つの前記温度調整装置の少なくとも一部は、少なくとも1つの前記単方向経路において、前記バーナに対して進行方向の前側に位置することが好ましい。
少なくとも1つの前記温度調整装置の少なくとも一部は、前記バーナを基準として、前記ターゲットの軸周り方向に±90°の範囲内に設置されていることが好ましい。
前記工程において、前記バーナを、前記ターゲットに対して前記ターゲットの長手方向に往復動させることが好ましい。
前記多孔質ガラス微粒子体の外径の増加に応じて、前記バーナまたは前記温度調整装置を、前記多孔質ガラス微粒子体の径方向の外方に移動させることが好ましい。
本発明の他の態様は、前記光ファイバ母材の製造方法によって得られた光ファイバ母材を線引きすることによって光ファイバを得る、光ファイバの製造方法を提供する。
本発明の一態様によれば、スート密度の不均一化を抑制できる光ファイバ母材の製造方法および光ファイバの製造方法を提供する。
(A)第1実施形態の製造装置の模式的な正面図である。(B)第1実施形態の製造装置の模式的な側面図である。 多孔質ガラス微粒子体の表面温度の変化を説明する図である。 (A)第1実施形態の製造装置の模式的な正面図である。(B)第1実施形態の製造装置の模式的な側面図である。 多孔質ガラス微粒子体の表面温度の変化を説明する図である。 線引き装置の概略構成を示す模式図である。 (A)比較形態における多孔質ガラス微粒子体の表面温度の変化を説明する図である。(B)比較形態におけるバーナの動作の例を示す説明図である。 (A)多孔質ガラス微粒子体の表面温度の変化を説明する図である。(B)第2実施形態の製造装置の模式的な正面図である。(C)第2実施形態の製造装置の模式的な側面図である。 (A)第3実施形態の製造装置の模式的な正面図である。(B)第3実施形態の製造装置の模式的な側面図である。
以下、本発明の実施形態に係る光ファイバ母材の製造方法および光ファイバの製造方法について、図面を参照して説明する。なお、以下の説明に用いる図面では、部材を認識可能な大きさとするため縮尺を変更している場合がある。
[光ファイバ母材の製造装置](第1実施形態)
図1(A)は、第1実施形態の光ファイバ母材の製造装置10の模式的な正面図である。図1(B)は、製造装置10の模式的な側面図である。
図1(A)に示すように、製造装置10は、複数のバーナ1と、温度調整装置2と、ガス供給源3と、複数の着火装置4(図1(B)参照)と、制御部5とを備える。
バーナ1は、例えば、ターゲットTの中心軸に対して直交する姿勢とされている。バーナ1の先端(ガスの出口)は、ターゲットTの中心軸に向けられている(図1(B)参照)。バーナ1には、例えば、可燃性ガス(例えば、水素ガスなど)と、支燃性ガス(例えば、酸素ガス)とが供給配管(図示略)を通して供給される。
複数のバーナ1は、ターゲットTの長手方向に間隔をおいて設けられている。バーナ1は、ターゲットTの長手方向と平行な方向に移動可能とされている。バーナ1は、例えば、ターゲットTの長手方向と平行なレール(図示略)に沿って移動可能とすることができる。
バーナ1は、モータなどの駆動機構(図示略)によって、それぞれターゲットTの長手方向に往復動することができる。図1(A)に示す製造装置10は、3つのバーナ1を備える。これらのバーナ1をそれぞれバーナ1A,1B,1Cという。3つのバーナ1A,1B,1Cは、それぞれ動作範囲R(R1,R2,R3)を往復動する。詳しくは、バーナ1Aは、動作範囲R1を往復動することができる。バーナ1Bは、動作範囲R2を往復動することができる。バーナ1Cは、動作範囲R3を往復動することができる。動作範囲R1,R2,R3は、ターゲットTの長手方向の位置が異なる。なお、動作範囲R1,R2,R3は長さが互いに異なっていてもよい。バーナ1A,1B,1Cは、可動範囲が互いに重なってもよい。バーナ1A,1B,1Cは、複数回の往復動における動作範囲が、往復動ごとに異なってもよい。
製造装置10は、ターゲットTの一方または両方の端を支持する回転チャック(図示略)を備える。回転チャックは、ターゲットTを軸周り方向に回転可能に支持する。
なお、ここに示す製造装置10は、バーナ1がターゲットTの長手方向に移動可能となるように構成されているが、バーナ1は、ターゲットTに対して相対的に往復動できればよい。例えば、製造装置10は、バーナ1ではなく、ターゲットTを長手方向に移動可能としてもよい。バーナ1とターゲットTの両方を移動可能としてもよい。すなわち、製造装置10は、バーナ1とターゲットTの少なくとも一方をターゲットTの長手方向に移動可能とすることができる。
温度調整装置2は、複数のノズル11と、供給源12とを備える。
供給源12は、温度調整ガスを供給する。温度調整ガスは、例えば、可燃性ガス(例えば、水素ガスなど)と支燃性ガス(例えば、酸素ガス)とを含む。
ノズル11は、供給源12から供給された温度調整ガスを、ターゲットT(または多孔質ガラス微粒子体100)に向けて放出し、吹きつけることができる。ノズル11は、例えば、ターゲットTの中心軸に対して直交する姿勢とされている。ノズル11の先端(ガスの出口)は、ターゲットTの中心軸に向けられている(図1(B)参照)。
ノズル11は、バーナ1に対して進行方向の前側に位置することが好ましい。すなわち、ノズル11の、ターゲットTの長手方向の位置は、バーナ1に比べて、移動方向の前側の位置であることが好ましい。これにより、バーナ1による加熱に先だってスートの表面温度を調整できる。バーナ1で加熱する前に、バーナ1による加熱温度に近い温度までスートの表面温度を調整できるため、バーナ1による温度調整は容易となる。よって、スート密度の不均一化の抑制が容易となる。
本実施形態では、温度調整装置2は、ノズル11のみがバーナ1に対して進行方向の前側に位置するが、温度調整装置2の全体がバーナに対して進行方向の前側に位置していてもよい。すなわち、温度調整装置は、少なくとも一部がバーナに対して進行方向の前側に位置していてもよい。
図1(B)に示すように、ノズル11は、バーナ1に対してターゲットTの軸周り方向に異なる位置に設けてもよい。
ノズル11の、ターゲットTの軸周り方向の位置は、バーナ1を基準として(すなわち、バーナ1の位置を0°として)、±90°以内の範囲にあることが好ましい。すなわち、ターゲットTの軸方向から見て、バーナ1の中心軸に対するノズル11の中心軸の傾斜角度θは、90°以下が好ましい。図1(B)には、バーナ1に対して±90°以内の範囲を仮想線で示した。ノズル11がバーナ1に対して±90°以内の範囲にあると、温度調整ガスがバーナ1の火炎Fの流れを阻害するのを抑えることができる。
温度調整装置2は、ノズル11だけでなく、装置全体がバーナ1を基準としてターゲットTの軸周り方向に±90°の範囲内に設置されていてもよい。すなわち、温度調整装置は、少なくとも一部がバーナを基準としてターゲットの軸周り方向に±90°の範囲内に設置されていてもよい。
図1(A)に示すように、複数のノズル11は、ターゲットTの長手方向に間隔をおいて設けられている。ノズル11は、ターゲットTの長手方向と平行な方向に移動可能とされている。ノズル11は、例えば、ターゲットTの長手方向と平行なレール(図示略)に沿って移動可能とすることができる。
ノズル11は、モータなどの駆動機構(図示略)によって、それぞれターゲットTの長手方向に往復動することができる。図1(A)に示す製造装置10は、3つのノズル11を備える。これらのノズル11をそれぞれノズル11A,11B,11Cという。3つのノズル11は、それぞれバーナ1(1A,1B,1C)に近接して位置する。3つのノズル11は、それぞれバーナ1(1A,1B,1C)と連動して往復動することができる。
なお、温度調整装置2は、ノズル11だけでなく、装置全体(温度調整装置2の全体)がバーナ1と連動して往復動してもよい。
ガス供給源3は、原料ガスを含むガスをバーナ1に供給する。原料ガスとしては、例えば、四塩化ケイ素を用いることができる。原料ガスとしては、ケイ素含有有機化合物を用いてもよい。ケイ素含有有機化合物としては、環状シロキサンD3(ヘキサメチルシクロトリシロキサン)、D4(オクタメチルシクロテトラシロキサン)、D5(デカメチルシクロペンタシロキサン)などがある。ガス供給源3は、原料ガスと酸素ガスとの混合ガスをバーナ1に供給してもよい。
制御部5は、バーナ1、温度調整装置2、ガス供給源3および着火装置4の動作を制御する。
[光ファイバ母材の製造方法](第1実施形態)
第1実施形態に係る光ファイバ母材の製造方法を、図1(A)~図4を参照して説明する。
第1実施形態の製造方法は、(1)堆積工程と、(2)焼結工程とを有する。
(1)堆積工程
図1(A)および図1(B)に示すように、原料ガスを含むガスをガス供給源3からバーナ1に供給する。バーナ1の出口では、可燃性ガスの燃焼により火炎Fが生じる。火炎F中で原料ガスが反応することでガラス微粒子が生成される。ガラス微粒子はターゲットTの表面に堆積し、スートが形成される。これにより、多孔質ガラス微粒子体100が得られる。
この工程では、ガラス微粒子をターゲットTの表面に堆積させるにあたり、回転チャック(図示略)によってターゲットTを軸周りに回転させつつ、バーナ1とターゲットTのうち少なくとも一方をターゲットTの長手方向に相対的に往復動させる。往復動は、往路となる単方向経路と、復路となる単方向経路とを含む。
「往復動」について詳しく説明する。ここでは、バーナ1とターゲットTのうち、ターゲットTは動作せず、バーナ1のみが動作する場合を例として挙げる。
図1(A)に示すように、制御部5は、バーナ1およびノズル11を、ターゲットTの長手方向に、動作範囲Rの一端(第1端E1)から他端(第2端E2)に向けて移動させる。動作範囲Rの第1端E1から第2端E2に至る経路は、第1の向き(図1(A)の左方)の単方向経路(往路)である。この経路を「第1経路」という。
バーナ1が第2端E2に達すると、制御部5は、第2端E2を折り返し点としてバーナ1およびノズル11を方向変換させ、バーナ1およびノズル11を、ターゲットTの長手方向に、第1端E1に向けて移動させる。動作範囲Rの第2端E2から第1端E1に至る経路は、第2の向き(図1(A)の右方)の単方向経路(復路)である。この経路を「第2経路」という。第2の向きは、第1の向きの反対の向きである。
バーナ1が第2端E2に達すると、制御部5は、第1端E1を折り返し点としてバーナ1およびノズル11を方向変換させる。
「往復動」は、第1経路と第2経路とを繰り返す動作である。
単方向経路(第1経路および第2経路)は、それぞれ(1-1)冷却工程と、(1-2)加熱工程とを有する。第1経路を例として、各工程について説明する。なお、本実施形態では、単方向経路は冷却工程と加熱工程とを有するが、単方向経路は冷却工程のみ、または加熱工程のみを有していてもよい。すなわち、単方向経路は、冷却工程と加熱工程のいずれか一方または両方を有する。
(1-1)冷却工程
図1(A)に示すように、開始時において、バーナ1は、動作範囲Rの第1端E1にある。バーナ1は、第1経路に従って動作範囲Rの第2端E2に向かう。この冷却工程は、バーナ1が第1経路の中間地点M1(図4参照)に至るまでの工程である。
図2は、多孔質ガラス微粒子体100の表面温度の変化を説明する図である。
図2に示すように、多孔質ガラス微粒子体100は、前回の第2経路によって加熱されている。そのため、バーナ1が通過する直前の多孔質ガラス微粒子体100には余熱が残っており、多孔質ガラス微粒子体100の表面温度t1は、第1端E1から中間地点M1に向かって低くなる勾配を有する。
図1(A)に示すように、制御部5は、供給源12からノズル11に温度調整ガスを供給する。図1(A)および図1(B)に示すように、ノズル11は、温度調整ガスを多孔質ガラス微粒子体100に吹きつける。着火装置4(図1(B)参照)は稼働しない。そのため、温度調整ガスは、燃焼せずに多孔質ガラス微粒子体100に吹きつけられる。
図2に示すように、温度調整ガスの温度は、バーナ1が通過する直前の多孔質ガラス微粒子体100の表面温度t1より低い温度である。そのため、多孔質ガラス微粒子体100は冷却される。
制御部5は、温度調整ガスの吹きつけ量、温度調整ガスの温度などの設定によって、バーナ1の通過時の多孔質ガラス微粒子体100の表面温度が、第1端E1から中間地点M1にかけて、予め定められた範囲内となるように調整することができる。「予め定められた範囲」とは、例えば、最大値と最小値との差が20℃(または20℃以下の温度)の範囲である。
例えば、前述の表面温度t1の勾配に合わせて、開始時には温度調整ガスの吹きつけ量を多くし、工程の進行に伴って吹きつけ量を徐々に減らすことができる。これにより、多孔質ガラス微粒子体100の表面温度が高い初期には温度の下げ幅を大きくし、工程の進行に伴って温度の下げ幅を徐々に小さくすることができる。これにより、多孔質ガラス微粒子体100の温度勾配を緩和または解消し、多孔質ガラス微粒子体100の表面温度を前記範囲内に調整することができる。
図2に示す例では、バーナ1が通過する直前の多孔質ガラス微粒子体100の表面温度(バーナ1の通過時の多孔質ガラス微粒子体100の表面温度)は、t1より低い「t2」となる。温度t2は、第1端E1から中間地点M1にかけて一定(または略一定)である。このように、多孔質ガラス微粒子体100の表面温度は、第1端E1から中間地点M1にかけて、予め定められた範囲内となる。
バーナ1により加熱されることによって、多孔質ガラス微粒子体100の表面温度は、t2より高い「t3」となる。表面温度t3は、第1端E1から中間地点M1の経路にかけて一定(または略一定)である。
(1-2)加熱工程
図3(A)は、製造装置10の模式的な正面図である。図3(B)は、製造装置10の模式的な側面図である。図4は、多孔質ガラス微粒子体100の表面温度の変化を説明する図である。
図4に示すように、多孔質ガラス微粒子体100の表面温度t4は、中間地点M1から第2端E2に向かって低くなる勾配を有する。
図3(A)に示すように、バーナ1は、中間地点M1から、第1経路に従って第2端E2に向かう。この加熱工程は、バーナ1が中間地点M1から第2端E2に至るまでの工程である。
図3(A)および図3(B)に示すように、ノズル11は、温度調整ガスを多孔質ガラス微粒子体100に向かって噴出(放出)させる。制御部5は、着火装置4(図1(B)参照)を稼働させる。そのため、温度調整ガスは燃焼し、多孔質ガラス微粒子体100を加熱する。
制御部5は、温度調整ガスの噴出量の設定などによって、バーナ1の通過時の多孔質ガラス微粒子体100の表面温度が、中間地点M1から第2端E2にかけて、予め定められた範囲内となるように調整することができる。
例えば、前述の表面温度t4の勾配に合わせて、温度調整ガスの噴出量を徐々に増加させることができる。これにより、多孔質ガラス微粒子体100の表面温度が高い初期には温度の上げ幅を小さくし、工程の進行に伴って温度の上げ幅を徐々に大きくすることができる。これにより、多孔質ガラス微粒子体100の温度勾配を緩和または解消し、多孔質ガラス微粒子体100の表面温度を前記範囲内に調整することができる。
図4に示す例では、バーナ1が通過する直前の多孔質ガラス微粒子体100の表面温度(バーナ1の通過時の多孔質ガラス微粒子体100の表面温度)は、t4より高い「t5」となる。温度t5は、中間地点M1から第2端E2にかけて一定(または略一定)である。このように、多孔質ガラス微粒子体100の表面温度は、中間地点M1から第2端E2にかけて、予め定められた範囲内となる。
バーナ1により加熱されることによって、多孔質ガラス微粒子体100の表面温度は、t5より高い「t6」となる。表面温度t6は、中間地点M1から第2端E2の経路にかけて一定(または略一定)である。表面温度t6は、第1端E1から中間地点M1までの範囲の多孔質ガラス微粒子体100の表面温度t3(図2参照)と同じ温度である。よって、バーナ1により加熱された多孔質ガラス微粒子体100の表面温度は、第1端E1から第2端E2にかけて一定(または略一定)となる。
第2経路は、第1経路と同様に、(1-1)冷却工程と、(1-2)加熱工程とを有する。第2経路は、冷却工程のみ、または加熱工程のみを有していてもよい。すなわち、第2経路は、冷却工程と加熱工程のいずれか一方または両方を有すればよい。
(2)焼結工程
多孔質ガラス微粒子体100(図1(A)および図3(A)参照)を焼結させることで、光ファイバ母材を得る。必要に応じて光ファイバ母材に脱水処理やドープ処理を施してもよい。
[光ファイバの製造方法]
実施形態の光ファイバの製造方法では、前述の光ファイバ母材を線引きして光ファイバ素線(光ファイバ)を得る。
実施形態に係る光ファイバの製造方法の線引き工程の例を、図5を参照して説明する。
図5は、線引き装置200の概略構成を示す模式図である。
図5に示すように、紡糸部110において、加熱炉112によって光ファイバ母材102を加熱する。これにより、光ファイバ母材102を溶融紡糸して光ファイバ裸線103を形成する。外径測定部120において、光ファイバ裸線103の外径を測定してもよい。光ファイバ裸線103を冷却部130で冷却する。
コーティング部140において、光ファイバ裸線103の外周に、被覆材を塗布(コーティング)して被覆層とすることによって被覆光ファイバ104を得る。硬化部150において、加熱、UV照射などにより被覆光ファイバ104の被覆層を硬化させて光ファイバ素線105(光ファイバ)を得る。光ファイバ素線105は、引取り部160により引き取られ、巻取り部170により巻き取られる。
[実施形態の光ファイバ母材の製造方法および光ファイバの製造方法が奏する効果]
前述の光ファイバ母材の製造方法によれば、温度調整装置2を用いて、バーナ1の通過時の多孔質ガラス微粒子体100の表面温度を予め定められた範囲内となるように調整することによって、多孔質ガラス微粒子体100の表面温度の差異を小さくできるため、バーナの移動に起因するスート密度の不均一化を抑制することができる。よって、光ファイバ母材の外径変動を抑制することができる。
前述の光ファイバ母材の製造方法によれば、温度調整装置2を使用するため、バーナの酸水素ガス流量によって多孔質ガラス微粒子体の温度調整を図る場合に比べて、バーナ1におけるガス流量の調整を少なくできる。そのため、バーナ1の火炎Fを安定化させることができる。よって、スート密度の不均一化の抑制の点で有利となる。
比較のため、温度調整装置2(図1参照)を備えていない製造装置を用いた場合の製造方法を比較形態として想定する。
図6(A)は、比較形態における多孔質ガラス微粒子体100Aの表面温度の変化を説明する図である。図6(B)は、比較形態におけるバーナ1の動作の例を示す説明図である。
図6(A)に示すように、バーナ1が通過する直前の多孔質ガラス微粒子体100Aの表面温度t11は、第1端E1から第2端E2に向けて低くなる勾配を有する。図6(B)に示すように、バーナ1を、動作範囲Rの第1端E1から第2端E2に向けて移動させる。図6(A)に示すように、加熱された多孔質ガラス微粒子体100Aの表面温度t12も勾配を有する。このように、比較形態では、多孔質ガラス微粒子体100Aの表面温度が長さ方向に不均一となるため、スート密度も不均一となりやすい。
温度調整装置2は、供給源12とノズル11とを備えるため、ノズル11を多孔質ガラス微粒子体100に近い位置に配置し、ノズル11を用いて効率よく多孔質ガラス微粒子体100の温度を調整できる。
ノズル11は、バーナ1と近接して連動して往復動することができるため、バーナ1と温度調整装置とが互いに近い温度で調整でき、バーナ1の通過時の多孔質ガラス微粒子体100の表面温度を容易に調整できる。
前述の光ファイバ母材の製造方法では、バーナ1をターゲットTの長手方向に移動させるため、ターゲットTを移動させる場合に比べ、調整可能なパラメータが多くなる。例えば、加熱温度、移動方向、移動速度などをバーナ1ごとに設定できる。また、バーナ1が複数設けられている場合は、それぞれのパラメータを変えることができ得る。そのため、高精度の温度調整が可能であり、スート密度の不均一化を精度よく抑制できる。
バーナ1の火炎Fの多孔質ガラス微粒子体100への当たりやすさは、多孔質ガラス微粒子体100の外径によって変わることがある。例えば、多孔質ガラス微粒子体100の外径が小さいと火炎Fが当たりにくく、多孔質ガラス微粒子体100の外径が大きいと火炎Fが当たりやすくなる可能性がある。そのため、多孔質ガラス微粒子体100の表面温度の差異は、多孔質ガラス微粒子体100の外径に影響を受けることが考えられる。よって、温度調整装置2による温度の調整の条件は、多孔質ガラス微粒子体100の外径に応じて定めてもよい。
前述の光ファイバ母材の製造方法では、多孔質ガラス微粒子体100の外径の増加に応じて、バーナ1または温度調整装置2を、多孔質ガラス微粒子体100の径方向の外方に移動させてもよい。バーナ1と温度調整装置2は、一方のみを多孔質ガラス微粒子体100の径方向の外方に移動させてもよいし、両方を多孔質ガラス微粒子体100の径方向の外方に移動させてもよい。この手法によれば、バーナ1の火炎Fまたは温度調整装置2と、多孔質ガラス微粒子体100の表面との距離を適正化できる。
多孔質ガラス微粒子体100の表面温度は、各単方向経路内で定められた範囲にあればよく、例えば、堆積工程の初期と終期とで異なっていてもよい。単方向経路内で表面温度が定められた範囲にあれば(好ましくは一定であれば)、スート密度の長手方向の不均一化を抑制できるためである。
多孔質ガラス微粒子体100のスート密度は、径方向外方に行くほど低下することが好ましい。これにより、脱水時に用いる塩素の拡散が容易となる。
[光ファイバ母材の製造装置](第2実施形態)
図7(A)は、多孔質ガラス微粒子体300の表面温度の変化を説明する図である。図7(B)は、第2実施形態の光ファイバ母材の製造装置210の模式的な正面図である。図7(C)は、製造装置210の模式的な側面図である。図1(A)等に示す第1実施形態の製造装置10との共通構成については、同じ符号を付して説明を省略する。
図7(B)に示すように、製造装置210は、バーナ1と、温度調整装置202と、ガス供給源3と、着火装置4(図7(C)参照)と、制御部205とを備える。
温度調整装置202は、第1ノズル211Aと、第2ノズル211Bと、第3ノズル211Cと、供給源212とを備える。第1ノズル211A、第2ノズル211B、および第3ノズル211Cは、ノズルの例である。
供給源212は、温度調整ガスを供給する。
第1ノズル211A、第2ノズル211Bおよび第3ノズル211Cは、供給源212から供給された温度調整ガスを、ターゲットT(または多孔質ガラス微粒子体300)に向けて放出することができる。
図7(B)に示すように、第1経路(第1端E1から第2端E2に向かう単方向経路)において、第1ノズル211Aは、バーナ1に比べて進行方向の前方に位置する。第2ノズル211Bは、進行方向についてバーナ1と並ぶ位置にある。第3ノズル211Cは、バーナ1に比べて進行方向の後方に位置する。
図7(C)に示すように、第1ノズル211A、第2ノズル211B、および第3ノズル211Cは、バーナ1に対してターゲットTの軸周り方向に±90°以内の範囲にあると、温度調整ガスがバーナ1の火炎Fの流れを阻害するのを抑えることができる。第2ノズル211Bは、バーナ1に対してターゲットTの軸周り方向に異なる位置に設けられる。第1ノズル211Aおよび第3ノズル211Cについては、バーナ1に対する、ターゲットTの軸周り方向の位置に制約はない。
制御部205は、バーナ1、温度調整装置202、ガス供給源3および着火装置4の動作を制御する。
[光ファイバ母材の製造方法](第2実施形態)
第2実施形態に係る光ファイバ母材の製造方法を説明する。
図7(B)および図7(C)に示すように、堆積工程において、原料ガスを含むガスをガス供給源3からバーナ1に供給する。バーナ1の出口では、可燃性ガスの燃焼により火炎Fが生じる。火炎F中で原料ガスが反応することでガラス微粒子が生成される。ガラス微粒子はターゲットTの表面に堆積し、スートが形成される。これにより、多孔質ガラス微粒子体300が得られる。
この工程では、ガラス微粒子をターゲットTの表面に堆積させるにあたり、ターゲットTを軸周りに回転させつつ、バーナ1をターゲットTの長手方向に相対的に往復動させる。
図7(A)に示すように、温度調整装置202による温度調整を行わない場合を想定する。この場合には、多孔質ガラス微粒子体300の表面温度t7は、バーナ1の火炎Fの中心軸の延長線上の点で最も高くなる。
A1は、多孔質ガラス微粒子体300の表面のうち、バーナ1によってガラス微粒子が堆積する領域(以下、堆積領域A1という)である。堆積領域A1は、例えば、微粒子の95%が堆積する領域である。堆積領域A1では、バーナ1の火炎Fの中心軸の延長線上の点で最もガラス微粒子の堆積量が多くなる。堆積領域A1のなかでも火炎Fの中心軸の延長線上の点から離れた位置では、堆積量は少なくなる。
制御部205は、供給源212からノズル211A~211Cに温度調整ガスを供給する。第1ノズル211Aおよび第2ノズル211Bは、温度調整ガスを多孔質ガラス微粒子体300に吹きつける。温度調整ガスは、燃焼せずに多孔質ガラス微粒子体300に吹きつけられる。そのため、第1ノズル211Aおよび第2ノズル211Bによって、多孔質ガラス微粒子体300は冷却される。
制御部205は、第3ノズル211Cについてのみ、着火装置4(図7(C)参照)を稼働させる。そのため、温度調整ガスは燃焼し、多孔質ガラス微粒子体300を加熱する。
図7(A)に示すように、第1ノズル211Aおよび第2ノズル211Bが多孔質ガラス微粒子体300を冷却し、第3ノズル211Cが多孔質ガラス微粒子体300を加熱すると、堆積領域A1のうち高温の領域の温度が下がり、低温の領域の温度が上がる。そのため、堆積領域A1内の温度を、全域にわたって予め定められた範囲内となるように調整することができる。すなわち、ガラス微粒子の堆積時の多孔質ガラス微粒子体300の表面温度を、予め定められた範囲内となるように調整することができる。ガラス微粒子の堆積時の多孔質ガラス微粒子体300の表面温度は、バーナ1が通過する瞬間の表面温度であってよい。
図7(A)では、多孔質ガラス微粒子体300の表面温度は、一定(または略一定)の温度「t8」となる。
なお、バーナ1の火炎Fの多孔質ガラス微粒子体300への当たりやすさは、多孔質ガラス微粒子体300の外径によって変わることがある。例えば、多孔質ガラス微粒子体300の外径が小さいと火炎Fが当たりにくく、多孔質ガラス微粒子体300の外径が大きいと火炎Fが当たりやすくなる可能性がある。そのため、多孔質ガラス微粒子体300の表面温度の差異は、多孔質ガラス微粒子体300の外径に影響を受けることが考えられる。温度調整装置2による温度の調整の条件は、多孔質ガラス微粒子体300の外径に応じて定めてもよい。
[実施形態の光ファイバ母材の製造方法および光ファイバの製造方法が奏する効果]
この光ファイバ母材の製造方法によれば、温度調整装置202を用いて、ガラス微粒子体の堆積時における堆積領域A1の表面温度を、予め定められた範囲内となるように調整することによって、バーナ1の移動に起因するスート密度の不均一化の抑制を図ることができる。よって、光ファイバ母材の外径変動を抑制することができる。
工程の進行に伴ってスートの厚さが増すことによってバーナ1とスート表面とが近くなった場合、火炎の熱が多孔質ガラス微粒子体300の背面側に十分に伝わらなくなり、スート密度の不均一化が起こりやすくなることが考えられる。しかし、この光ファイバ母材の製造方法によれば、前述のように、不均一化を抑えたスート形成が可能であるため、スート密度の不均一化を抑制することができる。
また、この光ファイバ母材の製造方法によれば、温度調整装置202を用いて、バーナ1の通過時の多孔質ガラス微粒子体300の表面温度を予め定められた範囲内となるように調整するため、バーナの移動に起因するスート密度の不均一化を抑制することができる。よって、光ファイバ母材の外径変動を抑制することができる。
また、この光ファイバ母材の製造方法によれば、温度調整装置202を使用するため、バーナの酸水素ガス流量によって多孔質ガラス微粒子体の温度調整を図る場合に比べて、バーナ1におけるガス流量の調整を少なくできる。そのため、バーナ1の火炎Fを安定化させることができる。よって、スート密度の不均一化の抑制の点で有利となる。
[光ファイバ母材の製造装置および製造方法](第3実施形態)
図8(A)は、第3実施形態の光ファイバ母材の製造装置310の模式的な正面図である。図8(B)は、製造装置310の模式的な側面図である。図1(A)等に示す第1実施形態の製造装置10との共通構成については、同じ符号を付して説明を省略する。
図8(A)に示すように、製造装置310は、第1実施形態の製造装置10(図1(A)参照)に比べてノズル11の数が多い。複数のノズル11は、ターゲットTの長手方向に並べられている。そのほかの構成は、第1実施形態の製造装置10と同様とすることができる。
第3実施形態に係る光ファイバ母材の製造方法を説明する。
図8(A)および図8(B)に示すように、この製造方法では、堆積工程において、複数のノズル11のうち、バーナ1の位置に近いノズル11を適宜用いて温度調整ガスを放出させればよい。そのため、ノズル11をバーナ1とともに移動させる必要はない。
この光ファイバ母材の製造方法によれば、第1実施形態と同様に、バーナ1の移動に起因するスート密度の不均一化の抑制を図ることができる。よって、光ファイバ母材の外径変動を抑制することができる。
この光ファイバ母材の製造方法によれば、第1実施形態と同様に、バーナ1の火炎Fを安定化させることができる。よって、スート密度の不均一化の抑制の点で有利となる。
この光ファイバ母材の製造方法によれば、ノズル11を移動させる必要がないため、操作が容易となる。
以下、具体的な実施例を用いて、上記実施形態を説明する。なお、本発明は以下の実施例に限定されない。
(実施例1)
光ファイバ母材の製造装置を用いて多孔質ガラス微粒子体を製造した。この製造装置は、ターゲットの長手方向に200mmの間隔をおいて設置した5つのバーナと、温度調整装置とを備える。
原料ガスとして四塩化ケイ素を用いた。可燃性ガスとして水素ガスを用いた。支燃性ガスとして酸素ガスを用いた。バーナでは、酸水素火炎中で原料ガスを反応させてガラス微粒子を生成させた。
単方向経路に要する時間が30秒となるようにターゲットを長手方向に往復動させた。多孔質ガラス微粒子体(またはターゲット)の表面温度は、非接触型のレーザー温度測定器によって測定した。表面温度は、バーナの火炎の中心軸の延長線上となる位置で測定した。
バーナに対してターゲットの長手方向の一方および他方に、それぞれ温度調整装置のノズルを設置した。ノズルは、バーナからターゲットの長手方向に20mmの距離に設置した。
堆積工程において、バーナ1の通過時の前記表面温度の最大値と最小値との差が20℃の範囲内になるように、ノズルの酸素ガスと酸水素ガス火炎の出力を調整した。外径100mm位置での多孔質ガラス微粒子体の最大スート密度と最小スート密度の差は0.19g/cmであった。
(実施例2)
原料ガスとして有機シリコン化合物を用いた。それ以外の条件は実施例1と同様にして、多孔質ガラス微粒子体を製造した。
外径100mm位置での多孔質ガラス微粒子体の最大スート密度と最小スート密度の差は0.21g/cmであった。
(実施例3)
原料ガスとして四塩化ケイ素を用いた。温度調整装置のノズルは、ターゲット長手方向にバーナと重なる位置に1つと、バーナに対してターゲットの長手方向の一方および他方に2つずつ設けた。2つのノズルは、バーナからターゲットの長手方向に20mmと40mmの距離に設置した。バーナ1が通過する瞬間の堆積領域(微粒子の95%が堆積する領域)の表面温度の最大値と最小値との差が20℃の範囲内となるように、ノズルの酸素ガスと酸水素ガス火炎の出力を調整した。
外径100mm位置での多孔質ガラス微粒子体の最大スート密度と最小スート密度の差は0.14g/cmであった。
(比較例1)
温度調整を行わないこと以外は実施例1と同様にして多孔質ガラス微粒子体を製造した。外径100mm位置でのターゲット表面の最大スート密度と最小スート密度の差は0.40g/cmであった。
(比較例2)
多孔質ガラス微粒子体の表面温度が20℃の範囲内となるようにバーナの酸水素ガスの流量の調整を行ったこと以外は実施例1と同様にして多孔質ガラス微粒子体を製造した。その結果、バーナの火炎が不安定になった。外径100mm位置でのターゲット表面の最大スート密度と最小スート密度の差は0.30g/cmであった。
(比較例3)
原料ガスとして有機シリコン化合物を用いたこと以外は比較例2と同様にして多孔質ガラス微粒子体を製造した。その結果、バーナの火炎が不安定になった。また、原料ガスの不完燃焼によるすすが多孔質ガラス微粒子体の表面に付着した。外径100mm位置でのターゲット表面の最大スート密度と最小スート密度の差は0.33g/cmであった。
実施例1~3では、最大スート密度と最小スート密度の差を小さくできた。
温度調整を行わなかった比較例1では、最大スート密度と最小スート密度の差が大きくなった。
バーナの酸水素ガスの流量によって多孔質ガラス微粒子体の表面温度の調整を試みた比較例2および比較例3では、バーナの火炎が不安定になった。また、最大スート密度と最小スート密度の差が大きくなった。原料ガスとして有機シリコン化合物を用いた比較例3では、すすが多孔質ガラス微粒子体の表面に付着した。
以上、本発明を最良の形態に基づいて説明してきたが、本発明は上述の最良の形態に限定されず、本発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の改変が可能である。
図1(A)等に示す温度調整装置2は、ノズル11と供給源12とを有するが、温度調整装置の構成はこれに限定されない。温度調整装置としては、例えば、水冷管(冷却装置)を用いてもよい。加熱装置としてメタンバーナなどを用いてもよい。加熱装置としては、発熱体(ヒータ)を用いてもよい。
1…バーナ、2,202…温度調整装置、11…ノズル、211A…第1ノズル(ノズル)、211B…第2ノズル(ノズル)、211C…第3ノズル(ノズル)、100,300…多孔質ガラス微粒子体。

Claims (9)

  1. バーナに原料ガスを供給し、火炎中に生成したガラス微粒子をターゲットに堆積させて多孔質ガラス微粒子体を得る工程を有し、
    前記工程において、ガラス微粒子をターゲットに堆積させるにあたり、前記ターゲットを軸周りに回転させつつ、前記バーナと前記ターゲットのうち少なくとも一方を前記ターゲットの長手方向に相対的に往復動させ、
    前記往復動は、第1の向きの単方向経路と、前記第1の向きとは反対の第2の向きの単方向経路とを含み、
    少なくとも1つの前記単方向経路において、前記バーナとは異なる温度調整装置を用いて、前記バーナの通過時の前記多孔質ガラス微粒子体の表面温度を、予め定められた範囲内となるように調整する、光ファイバ母材の製造方法。
  2. 前記ガラス微粒子の堆積時における、前記バーナが通過する瞬間に前記バーナによって前記ガラス微粒子が堆積する領域の前記表面温度を、前記温度調整装置を用いて、予め定められた範囲内となるように調整する、請求項1記載の光ファイバ母材の製造方法。
  3. 前記温度調整装置は、温度調整ガスの供給源と、前記供給源からの温度調整ガスを前記多孔質ガラス微粒子体に向けて放出する1または複数のノズルとを備える、請求項1または2に記載の光ファイバ母材の製造方法。
  4. 前記温度調整装置は、前記バーナと近接して連動して前記ターゲットの長手方向に相対的に往復動する、請求項1~3のうちいずれか1項に記載の光ファイバ母材の製造方法。
  5. 少なくとも1つの前記温度調整装置の少なくとも一部は、少なくとも1つの前記単方向経路において、前記バーナに対して進行方向の前側に位置する、請求項1~4のうちいずれか1項に記載の光ファイバ母材の製造方法。
  6. 少なくとも1つの前記温度調整装置の少なくとも一部は、前記バーナを基準として、前記ターゲットの軸周り方向に±90°の範囲内に設置されている、請求項1~5のうちいずれか1項に記載の光ファイバ母材の製造方法。
  7. 前記工程において、前記バーナを、前記ターゲットに対して前記ターゲットの長手方向に往復動させる、請求項1~6のうちいずれか1項に記載の光ファイバ母材の製造方法。
  8. 前記多孔質ガラス微粒子体の外径の増加に応じて、前記バーナまたは前記温度調整装置を、前記多孔質ガラス微粒子体の径方向の外方に移動させる、請求項1~7のうちいずれか1項に記載の光ファイバ母材の製造方法。
  9. 請求項1~8のうちいずれか1項に記載の光ファイバ母材の製造方法によって得られた光ファイバ母材を線引きすることによって光ファイバを得る、光ファイバの製造方法。
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