JP2022127772A - 放熱部材の製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】高い熱伝導性を維持しつつ実装性を向上させる。【解決手段】放熱部材の製造方法は、高分子マトリックスと熱伝導率に異方性を有する異方性充填剤とを含む熱伝導組成物を、異方性充填剤が熱伝導組成物の厚み方向に配向した状態が維持される仮硬化状態で第1被着体に配置する工程と、第1被着体を第2被着体に実装する工程と、第1被着体を第2被着体に実装した後、仮硬化状態の熱伝導組成物を更に硬化させる工程と、を含む。【選択図】図2

Description

本発明は、放熱部材の製造方法に関する。
電子機器の更なる高性能化に伴って、半導体素子等の電子部品の高密度化、高実装化が進んでいる。これに伴って、電子機器を構成する電子部品から発熱する熱をさらに効率よく放熱することが重要になっている。電子機器には、電子部品の熱を放熱させる放熱部材が備えられており、放熱部材を構成するヒートシンク等の部材は、効率よく放熱させるために熱伝導部材を介して半導体に取り付けられている。熱伝導部材としては、シリコーン等の高分子マトリックスに無機フィラー等の充填材を分散含有させたものが広く使用されている。無機フィラーとしては、例えば、アルミナ、窒化アルミニウム、水酸化アルミニウム等が挙げられる。また、熱伝導部材のタイプとして、グリスタイプ、シートタイプ、液状硬化タイプ等がある。このような熱伝導部材においては、更なる熱伝導率の向上が要求されており、一般には、高熱伝導率化を目的として、マトリックス内に配合されている無機フィラーの充填率を高めることにより対応している。しかし、無機フィラーの充填率を高めると、柔軟性が損なわれたり、粉落ちが発生したりするため、無機フィラーの充填率を高めることには限界がある。
また、高熱伝導化を目的として、窒化ホウ素、黒鉛等の鱗片状粒子、炭素繊維等を高分子マトリックス内に充填させることがある。これは、鱗片状粒子、炭素繊維等の有する熱伝導率の異方性によるものである。例えば、炭素繊維の場合には、繊維方向に約600W/mK~約1200W/mK程度の熱伝導率を有する。窒化ホウ素の場合には、面方向に約110W/mK、面方向に対して垂直な方向に約2W/mK程度の熱伝導率を有する。このような炭素繊維の繊維方向や鱗片状粒子の面方向を、熱の伝導方向である熱伝導部材の厚み方向と同じにする、即ち、炭素繊維や鱗片状粒子を厚み方向に配向させることによって、熱伝導性を飛躍的に向上させることができる。
熱伝導率の異方性を有する熱伝導シートを製造する方法として、マトリックスと熱伝導性フィラーとを含む組成物を未硬化状態のグリーンシートに成形し、グリーンシートの積層体をスライスする方法がある(特許文献1)。また、当該組成物を押出成形して得られたブロック状の物体をスライスする方法がある(特許文献2,3)。
特許第5405890号公報 特開2009-94110号公報 特許第6200119号公報
上記のような熱伝導部材(熱伝導シート)を放熱部材に実装する際には、適切な配向性の維持と、確実な接着性とが求められる。配向性が崩れると、熱伝導性が低下する。配向性を維持するためには熱伝導部材を硬化させる必要があるが、熱伝導部材の柔軟性が低くなると、熱伝導部材と被着体との接着が困難となる。
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、高い熱伝導性を維持しつつ実装性を向上させることができる放熱部材の製造方法を提供することを目的とする。
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明に係る放熱部材の製造方法は、高分子マトリックスと熱伝導率に異方性を有する異方性充填剤とを含む熱伝導組成物を、前記異方性充填剤が前記熱伝導組成物の厚み方向に配向した状態が維持される仮硬化状態で第1被着体に配置する工程と、前記第1被着体を第2被着体に実装する工程と、前記第1被着体を前記第2被着体に実装した後、前記仮硬化状態の前記熱伝導組成物を更に硬化させる工程と、を含むものである。
本発明によれば、高い熱伝導性を維持しつつ実装性を向上させることができる。
図1は、実施形態に係る放熱部材の一例を示す図である。 図2は、実施形態に係る放熱部材の製造方法の基本的な流れの一例を示すフローチャートである。 図3は、第1実施例に係る放熱部材の製造方法の流れを示すフローチャートである。 図4は、第2実施例に係る放熱部材の製造方法の流れを示すフローチャートである。 図5は、第3実施例に係る放熱部材の製造方法の流れを示すフローチャートである。 図6は、第4実施例に係る放熱部材の製造方法の流れを示すフローチャートである。
以下、添付図面を参照しながら、本発明の実施形態を詳細に説明する。なお、以下に説明する実施形態により本発明が限定されるものではない。また、図面の記載において、同一又は対応する要素には適宜同一の符号を付している。さらに、図面は模式的なものであり、各要素の寸法の関係等は、現実のものとは異なる場合があることに留意する必要がある。図面の相互間においても、互いの寸法の関係や比率が異なる部分が含まれている場合がある。
[放熱部材の構成例]
図1は、実施形態に係る放熱部材1の一例を示す図である。放熱部材1は、電子部品10の熱を放熱させるための部材である。ここで例示する放熱部材1は、熱伝導シート11A,11B、ヒートスプレッダ12、及びヒートシンク13を有する。熱伝導シート11Aは、電子部品10とヒートスプレッダ12との間に挟持され、熱伝導シート11Bは、ヒートスプレッダ12とヒートシンク13との間に挟持されている。
電子部品10としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、CPU、MPU、グラフィック演算素子、イメージセンサ等の各種半導体素子、アンテナ素子、バッテリー等が挙げられる。ヒートスプレッダ12は、電子部品10の熱を伝導(放熱)可能な部材であれば、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。熱伝導シート11A,11Bは、その厚み方向に高い熱伝導性を有する。厚み方向とは、熱伝導シート11A,11Bと被着体(本実施形態では電子部品10、ヒートスプレッダ12、又はヒートシンク13)との接着面に対して垂直な方向(図1中、上下方向)である。熱伝導シート11A,11Bを用いることによって、放熱部材1の放熱性を向上させることができる。以下、2つの熱伝導シート11A,11Bを区別する必要がない場合には、熱伝導シート11と記載する場合がある。
なお、熱伝導シート11の実装場所は、上記に限らず、冷却対象となる電子機器や放熱部材全体の構成に応じて適宜選択され得る。また、上記においては、放熱を促進させる部材としてヒートスプレッダ12及びヒートシンク13を利用する構成が例示されているが、これに限らず、例えば冷却器、ダイパッド、プリント基板、冷却ファン、ペルチェ素子、ヒートパイプ、金属カバー、筐体等を利用してもよい。
[熱伝導シートの構成例]
本実施形態に係る熱伝導シート11は、高分子マトリックスと、熱伝導率に異方性を有する異方性充填剤とを含むバインダ樹脂が硬化されたものである。
高分子マトリックスは、熱伝導シート11の基材となる高分子成分であり、その種類は特に限定されず、公知の成分を適宜選択することができる。例えば、高分子マトリックスとして、熱硬化性樹脂、紫外線硬化性樹脂等が挙げられる。
熱硬化性樹脂としては、例えば、架橋ゴム、エポキシ樹脂、ポリイミド樹脂、ビスマレイミド樹脂、ベンゾシクロブテン樹脂、フェノール樹脂、不飽和ポリエステル、ジアリルフタレート樹脂、シリコーン樹脂、ポリウレタン、ポリイミドシリコーン、熱硬化型ポリフェニレンエーテル、熱硬化型変性ポリフェニレンエーテル等が挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。また、硬化時間や硬化温度などの調整のために、触媒を添加してもよい。
なお、架橋ゴムとしては、例えば、天然ゴム、ブタジエンゴム、イソプレンゴム、ニトリルゴム、水添ニトリルゴム、クロロプレンゴム、エチレンプロピレンゴム、塩素化ポリエチレン、クロロスルホン化ポリエチレン、ブチルゴム、ハロゲン化ブチルゴム、フッ素ゴム、ウレタンゴム、アクリルゴム、ポリイソブチレンゴム、シリコーンゴム等が挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
また、これら熱硬化性樹脂の中でも、成形加工性及び耐候性に優れるとともに、電子部品に対する密着性及び追従性の点から、シリコーン樹脂を用いることが好ましい。シリコーン樹脂としては、特に制限はなく、目的に応じてシリコーン樹脂の種類を適宜選択することができる。
上述した成形加工性、耐候性、密着性等を得る観点からは、シリコーン樹脂として、液状シリコーンゲルの主剤と、硬化剤とから構成されるシリコーン樹脂であることが好ましい。そのようなシリコーン樹脂としては、例えば、付加反応型液状シリコーン樹脂、過酸化物を加硫に用いる熱加硫型ミラブルタイプのシリコーン樹脂等が挙げられる。これらの中でも、電子機器の熱を放熱させる放熱部材としては、電子部品の発熱面とヒートシンク面との密着性が要求されるため、付加反応型液状シリコーン樹脂が特に好ましい。
付加反応型液状シリコーン樹脂としては、ビニル基を有するポリオルガノシロキサンを主剤、Si-H基を有するポリオルガノシロキサンを硬化剤とした、2液性の付加反応型シリコーン樹脂等を用いることが好ましい。
ここで、液状シリコーン成分は、主剤となるシリコーンA液成分と硬化剤が含まれるシリコーンB液成分を有し、シリコーンA液成分とシリコーンB液成分とが所定の割合で配合されている。シリコーンA液成分とシリコーンB液成分との配合割合は適宜調整できるが、熱伝導シート11に柔軟性を付与するとともに、熱伝導シート11の被着体(図1に示す例では電子部品10、ヒートスプレッダ12、又はヒートシンク13)との接触面に高分子マトリックスの未硬化成分をブリードさせることができる配合割合とすることが好ましい。
紫外線硬化性樹脂としては、例えば、光重合開始剤を配合した(メタ)アクリレート樹脂や不飽和ポリエステル樹脂、光カチオン硬化剤を含有したエポキシ樹脂等が挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
また、熱伝導シート11における高分子マトリックスの含有量は、特に制限されず、目的に応じて適宜選択することができるが、シートの成形加工性、シートの密着性等を確保する観点からは、15体積%~50体積%程度であることが好ましく、20体積%~45体積%であることがより好ましい。
異方性充填剤は、熱伝導シート11の熱伝導性を向上させるための成分であり、熱伝導率の異方性を有する。異方性充填剤の種類については、熱伝導性が高く、熱伝導率の異方性を有する材料であれば特に限定はされないが、例えば、鱗片状粒子、繊維状粒子等が挙げられる。
鱗片状粒子としては、例えば、窒化ホウ素、黒鉛等が挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。鱗片状粒子を使用することで、熱伝導率は、面方向(接着面と平行な方向)に高く、面方向に対して垂直な方向に低くなる。例えば、窒化ホウ素を使用する場合の熱伝導率は、面方向に約110W/mK、面方向に対して垂直な方向に約2W/mK程度となる。
繊維状粒子としては、例えば、炭素繊維が挙げられる。炭素繊維としては、例えば、ピッチ系、PAN系、PBO繊維を黒鉛化したもの、アーク放電法、レーザー蒸発法、CVD法(化学気相成長法)、CCVD法(触媒化学気相成長法)等で合成されたもの等が挙げられる。これらの中でも、高い熱伝導性が得られる点から、PBO繊維を黒鉛化した炭素繊維、ピッチ系炭素繊維がより好ましい。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
また、炭素繊維は、必要に応じて、その一部又は全部を表面処理して用いることができる。表面処理としては、例えば、酸化処理、窒化処理、ニトロ化、スルホン化、若しくはこれらの処理によって表面に導入された官能基又は炭素繊維の表面に、金属、金属化合物、有機化合物等を付着又は結合させる処理等が挙げられる。官能基としては、例えば、水酸基、カルボキシル基、カルボニル基、ニトロ基、アミノ基等が挙げられる。
さらに、炭素繊維の平均繊維長(平均長軸長さ)についても、特に制限はなく適宜選択することができるが、確実に高い熱伝導性を得る点から、50μm~300μmの範囲であることが好ましく、75μm~275μmの範囲であることがより好ましく、90μm~250μmの範囲であることが特に好ましい。
さらにまた、炭素繊維の平均繊維径(平均短軸長さ)についても、特に制限はなく適宜選択することができるが、確実に高い熱伝導性を得る点から、4μm~20μmの範囲であることが好ましく、5μm~14μmの範囲であることがより好ましい。
炭素繊維のアスペクト比(平均長軸長さ/平均短軸長さ)については、確実に高い熱伝導性を得る点から、8以上であることが好ましく、9~30であることがより好ましい。アスペクト比が8未満であると、炭素繊維の繊維長(長軸長さ)が短いため、熱伝導率が低下してしまうおそれがあり、一方、30を超えると、熱伝導シート11中での分散性が低下するため、十分な熱伝導率を得られないおそれがある。
炭素繊維を使用することで、熱伝導率は、繊維方向に高くなる。炭素繊維の繊維方向の熱伝導率は、約600W/mK~約1200W/mK程度となる。
上記のような鱗片状粒子の面方向や炭素繊維の繊維方向を、熱の伝導方向である熱伝導シート11の厚み方向と同じにする、即ち、鱗片状粒子や炭素繊維を厚み方向に配向させることにより、熱伝導性を飛躍的に向上させることができる。
なお、熱伝導シート11は、熱伝導性充填剤として、無機物フィラーをさらに含有してもよい。無機物フィラーを含有させることにより、熱伝導シート11の熱伝導性をより高め、シートの強度を向上できる。無機物フィラーとしては、形状、材質、平均粒径等については特に制限がされず、目的に応じて適宜選択することができる。形状としては、例えば、球状、楕円球状、塊状、粒状、扁平状、針状等が挙げられる。これらの中でも、球状、楕円形状が充填性の点から好ましく、球状が特に好ましい。
無機物フィラーの材料としては、例えば、窒化アルミニウム(窒化アルミ:AlN)、シリカ、アルミナ(酸化アルミニウム)、窒化ホウ素、チタニア、ガラス、酸化亜鉛、炭化ケイ素、ケイ素(シリコン)、酸化珪素、金属粒子等が挙げられる。1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。これらの中でも、アルミナ、窒化ホウ素、窒化アルミニウム、酸化亜鉛、シリカが好ましく、熱伝導率の点から、アルミナ、窒化アルミニウムがより好ましい。
また、熱伝導シート11は、上述した高分子マトリックス、異方性充填剤等に加え、目的に応じてその他の成分を適宜含有してもよい。その他の成分としては、例えば、磁性粉、チキソトロピー性付与剤、分散剤、硬化促進剤、遅延剤、微粘着付与剤、可塑剤、難燃剤、酸化防止剤、安定剤、着色剤等が挙げられる。また、磁性粉の含有量を調整することにより、熱伝導シート11に電磁波吸収性能を付与してもよい。
[放熱部材の製造方法]
以下に、放熱部材1の製造方法について説明する。図2は、実施形態に係る放熱部材1の製造方法の基本的な流れの一例を示すフローチャートである。
先ず、高分子マトリックスと異方性充填剤とを含む熱伝導組成物を、異方性充填剤が熱伝導組成物の厚み方向に配向した状態が維持される仮硬化状態で第1被着体に配置する(S11)。熱伝導組成物とは、上述した熱伝導シート11の素材となる組成物である。第1被着体とは、熱伝導シート11が接着される部材(図1の構成例においては電子部品10、ヒートスプレッダ12、又はヒートシンク13)である。
その後、仮硬化状態の熱伝導組成物が配置された第1被着体を第2被着体に実装する(S12)。第2被着体とは、熱伝導シート11の第1被着体が接着される面とは反対側の面に接着される部材である。例えば、熱伝導シート11Aについての第2被着体は、第1被着体がヒートスプレッダ12である場合には電子部品10となり、第1被着体が電子部品10である場合にはヒートスプレッダ12となる。熱伝導シート11Bについての第2被着体は、第1被着体がヒートスプレッダ12である場合にはヒートシンク13となり、第1被着体がヒートシンク13である場合にはヒートスプレッダ12となる。
そして、第1被着体を第2被着体に実装した後、仮硬化状態の熱伝導組成物を更に硬化させる(S13)。
上記方法によれば、熱伝導組成物は、適切な配向性と比較的高い柔軟性とを有する仮硬化状態で放熱部材1に実装され、実装後に完全に硬化される。これにより、配向性と接着性とを両立させることができ、高い熱伝導性を維持しつつ実装性を向上させることができる。
以下に、上記実施形態に係る放熱部材1の製造方法の具体的な実施例について説明する。
[第1実施例]
図3は、第1実施例に係る放熱部材1の製造方法の流れを示すフローチャートである。先ず、液状の熱伝導組成物を、異方性充填剤が熱伝導組成物の厚み方向に配向した状態となるように第1被着体に塗布する(S101)。当該塗布を実現する方法は、特に限定されるべきものではないが、例えば、スリット付きダイヘッドを用いて当該塗布を実現できる。その後、第1被着体上の熱伝導組成物を仮硬化し(S102)、異方性充填剤が熱伝導組成物の厚み方向に配向した状態が維持される仮硬化状態とする。その後、仮硬化状態の熱伝導組成物が配置された第1被着体を第2被着体に実装する(S103)。その後、仮硬化状態の熱伝導組成物を更に硬化させる(S104)。
上記方法によれば、熱伝導組成物は、第1被着体に塗布された後に仮硬化状態となる。これにより、工程数の削減等を実現できる。
なお、仮硬化及び仮硬化後の硬化の方法の組み合わせは問わない。例えば、仮硬化を紫外線硬化で行い、硬化を熱硬化で行ってもよい。また、仮硬化と硬化の双方を熱硬化で行ってもよい。また、紫外光が十分に透過できる状態であれば、仮硬化と硬化の双方を紫外線硬化で行ってもよい。
[第2実施例]
図4は、第2実施例に係る放熱部材1の製造方法の流れを示すフローチャートである。先ず、液状の熱伝導組成物から、シート形状を有し仮硬化状態のグリーンシートを作製する(S201)。その後、グリーンシートを第1被着体に配置する(S202)。その後、仮硬化状態のグリーンシートが配置された第1被着体を第2被着体に実装する(S203)。その後、仮硬化状態のグリーンシートを更に硬化させる(S204)。
上記方法によれば、熱伝導組成物は、仮硬化状態のグリーンシートとして予め準備され、適宜な場所に配置される。これにより、グリーンシート(仮硬化状態の熱伝導組成物)を作製する工程と、グリーンシートを第1被着体に配置する工程とを分割できる。
なお、仮硬化及び仮硬化後の硬化の方法の組み合わせは問わない。例えば、仮硬化を紫外線硬化で行い、硬化を熱硬化で行ってもよい。また、仮硬化と硬化の双方を熱硬化で行ってもよい。また、紫外光が十分に透過できる状態であれば、仮硬化と硬化の双方を紫外線硬化で行ってもよい。
[第3実施例]
図5は、第3実施例に係る放熱部材1の製造方法の流れを示すフローチャートである。先ず、液状の熱伝導組成物を押出成形し、異方性充填剤が押出方向に配向した未硬化ブロックを作製する(S301)。未硬化ブロックは、液だれしない程度の粘度を有するように作製される。その後、未硬化ブロックから、シート形状を有し仮硬化状態のグリーンシートを作製する(S302)。その後、グリーンシートを第1被着体に配置する(S303)。その後、仮硬化状態のグリーンシートが配置された第1被着体を第2被着体に実装する(S304)。その後、仮硬化状態のグリーンシートを更に硬化させる(S305)。
上記方法によれば、グリーンシートは、押出成形により作製され異方性充填剤が押出方向に配向した未硬化ブロックから作製される。これにより、グリーンシートを効率的に作製できる。
なお、仮硬化及び仮硬化後の硬化の方法の組み合わせは問わない。例えば、仮硬化を紫外線硬化で行い、硬化を熱硬化で行ってもよい。また、仮硬化と硬化の双方を熱硬化で行ってもよい。また、紫外光が十分に透過できる状態であれば、仮硬化と硬化の双方を紫外線硬化で行ってもよい。
[第4実施例]
図6は、第4実施例に係る放熱部材1の製造方法の流れを示すフローチャートである。先ず、液状の熱伝導組成物を押出成形し、異方性充填剤が押出方向に配向した未硬化ブロックを作製する(S401)。その後、未硬化ブロックの表面に紫外線を照射する(S402)。その後、紫外線が照射された表面が含まれるように未硬化ブロックをスライスし、シート形状を有し仮硬化状態のグリーンシートを作製する(S403)。その後、グリーンシートを第1被着体に配置する(S404)。その後、仮硬化状態のグリーンシートが配置された第1被着体を第2被着体に実装する(S405)。その後、仮硬化状態のグリーンシートを更に硬化させる(S406)。
上記方法によれば、グリーンシートは、未硬化ブロックのうち紫外線照射によりある程度硬化された表面部分を切り出すことにより作製される。これにより、グリーンシートの作製を容易化できる。
[比較結果]
以下に、本実施形態に係る製造方法による効果と、比較例に係る製造方法による効果との比較結果について説明する。ここでは、第1~第3比較例に係る製造方法のそれぞれにより製造された試料と、上記第1実施例に対応する製造方法により製造された試料との比較結果について説明する。
各試料の製造には下記配合を用いた。
・2液硬化シリコーンA/B:35vol%
・40μm鱗片状BN:25vol%
・1μm窒化アルミ:20vol%
・1μmアルミナ:20vol%
[第1比較例:配向したシート]
上記配合の割合で各材料を混合し、押出成形により押出方向に配向した未硬化の成形体を作製した。未硬化の成形体を60℃で4時間加熱して硬化した。硬化した成形体を0.5mm及び1.0mmにスライスすることで鱗片状BNが厚み方向に配向したシートを得た。
[第2比較例:グリス]
上記配合において2液硬化シリコーンA/Bをシリコーンオイルに置き換えて混合した。混合物をシリンジに充填し、グリスを得た。ダイヘッドにて厚みが0.5mm及び1.0mmとなるようにディスペンスした。
[第3比較例:液状硬化]
上記配合においてA液で作製したものとB液で作製したものをそれぞれシリンジに充填し、硬化前の組成物を得た。この組成物を、ダイヘッドを用いて厚みが0.5mm及び1.0mmとなるようにディスペンスした。
[第1実施例:液状配向塗布+硬化]
上記配合においてA液で作製したものとB液で作製したものをそれぞれシリンジに充填し、硬化前の組成物を得た。この組成物を、スリット付きダイヘッドを用いて鱗片状BNが厚み方向に配向されるように、又厚みが0.5mm及び1.0mmとなるようにディスペンスした。
下記表1は、上記のように製造した各試料の配向工程の有無、接着(接着性)、熱抵抗、配向性、信頼性、及びコストについての評価結果を示している。熱抵抗については、厚さ0.5mm及び1.0mmのそれぞれについて圧縮率を10%、30%、及び50%と変化させた場合の各値が示されている。圧縮率とは、熱伝導組成物を厚み方向に圧縮する際における圧縮幅の圧縮前の厚みに対する割合である。
配向工程の有無は、異方性充填剤を厚み方向に配向する工程の有無を示している。ここでは、第1比較例及び第1実施例は配向工程を有し、第2比較例及び第3比較例は配向工程を有していない。
接着は、試料が密着した後で硬化するか否かに基づいて評価された。配向性は、シートの熱抵抗を基準として評価された。熱抵抗は、ASTM 05470に準拠する方法により測定された。信頼性は、30%圧縮状態の試料をCu板に挟み、-40℃~125℃(保持30min)のHS試験を1000回行った際のポンプアウト現象に基づいて評価された。コストは、歩留まりに基づいて評価された。
Figure 2022127772000002
接着については、第1実施例及び第3比較例では実装後に硬化するため結果が良好(〇)となり、第1比較例では硬化後に実装するため結果が不良(×)となった。また、第2比較例では硬化しないため結果が不良となった。
配向性については、[第1比較例:配向したシート]の熱抵抗を基準として評価した。第2比較例及び第3比較例については、第1比較例に対して熱抵抗が非常に大きくなることから、配向性の結果は不良となった。第1実施例については、シートと同等以上の性能となることから、配向性の結果は良好となった。
信頼性については、第1実施例、第1比較例、及び第3比較例では硬化したため結果が良好となり、第2比較例では未硬化であり、液が外にはみ出したため、結果が不良となった。
コストについては、液状である第1実施例、第2比較例、及び第3比較例では材料歩留まりが良いため、結果が良好となった。第1比較例ではシートから個片加工するため歩留まりが悪いため、結果が不良となった。
以上のように、第1実施例(本実施形態)に係る製造方法によれば、接着、熱抵抗、配向性、信頼性、及びコストの全てにおいて良好な結果を得ることができた。
1…放熱部材、10…電子部品、11A,11B…熱伝導シート、12…ヒートスプレッダ、13…ヒートシンク

Claims (10)

  1. 高分子マトリックスと熱伝導率に異方性を有する異方性充填剤とを含む熱伝導組成物を、前記異方性充填剤が前記熱伝導組成物の厚み方向に配向した状態が維持される仮硬化状態で第1被着体に配置する工程と、
    前記第1被着体を第2被着体に実装する工程と、
    前記第1被着体を前記第2被着体に実装した後、前記仮硬化状態の前記熱伝導組成物を更に硬化させる工程と、
    を含む放熱部材の製造方法。
  2. 液状の前記熱伝導組成物を、前記異方性充填剤が前記熱伝導組成物の厚み方向に配向した状態となるように前記第1被着体に塗布する工程と、
    前記第1被着体に塗布された前記熱伝導組成物を前記仮硬化状態にする工程と、
    を含む請求項1に記載の放熱部材の製造方法。
  3. 液状の前記熱伝導組成物から、シート形状を有し前記仮硬化状態のグリーンシートを作製する工程と、
    前記グリーンシートを前記第1被着体に配置する工程と、
    前記第1被着体を前記第2被着体に実装した後、前記グリーンシートを更に硬化させる工程と、
    を含む請求項1に記載の放熱部材の製造方法。
  4. 液状の前記熱伝導組成物を押出成形し、前記異方性充填剤が押出方向に配向した未硬化ブロックを作製する工程と、
    前記未硬化ブロックから、シート形状を有し前記仮硬化状態のグリーンシートを作製する工程と、
    前記グリーンシートを前記第1被着体に配置する工程と、
    前記第1被着体を前記第2被着体に実装した後、前記グリーンシートを更に硬化させる工程と、
    を含む請求項1に記載の放熱部材の製造方法。
  5. 液状の前記熱伝導組成物を押出成型し、前記異方性充填剤が押出方向に配向した未硬化ブロックを作成する工程と、
    前記未硬化ブロックの表面に紫外線を照射する工程と、
    紫外線が照射された前記表面が含まれるように前記未硬化ブロックをスライスし、シート形状を有し前記仮硬化状態のグリーンシートを作製する工程と、
    前記グリーンシートを前記第1被着体に配置する工程と、
    前記第1被着体を前記第2被着体に実装した後、前記グリーンシートを更に硬化させる工程と、
    含む請求項1に記載の放熱部材の製造方法。
  6. 前記異方性充填剤は、鱗片状粒子又は繊維状粒子の少なくとも一方を含む、
    請求項1~5のいずれか1項に記載の放熱部材の製造方法。
  7. 前記異方性充填剤は、前記鱗片状粒子として窒化ホウ素を含む、
    請求項6に記載の放熱部材の製造方法。
  8. 前記異方性充填剤は、前記繊維状粒子として炭素繊維を含む、
    請求項6に記載の放熱部材の製造方法。
  9. 前記異方性充填剤は、前記鱗片状粒子として窒化ホウ素を含み、前記繊維状粒子として炭素繊維を含む、
    請求項6に記載の放熱部材の製造方法。
  10. 前記高分子マトリックスは、熱硬化性樹脂又は紫外線硬化性樹脂の少なくとも一方を含む、
    請求項1~9のいずれか1項に記載の放熱部材の製造方法。
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