JP2022127376A - 制御装置及び熱源システム、並びに制御方法、並びに制御プログラム - Google Patents

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Abstract

【課題】より効果的に要求される温度の熱媒を送出することのできる制御装置及び熱源システム、並びに制御方法、並びに制御プログラムを提供することを目的とする。【解決手段】直列に接続された複数の熱源機2a、2bを備える熱源システム1に適用される制御装置であって、冷水流量の計測値と、各熱源機2a、2bにおける冷水の入口温度の計測値と、熱源システム1における冷水の要求出口温度とに基づいて、各熱源機2a、2bにおける冷水の出口設定温度を設定する設定部を備える。【選択図】図1

Description

本開示は、制御装置及び熱源システム、並びに制御方法、並びに制御プログラムに関するものである。
複数の熱源機を直列に接続することで、大温度差の冷水(熱媒)を負荷側へ送水することができる。例えば、2台の熱源機を備えた熱源システムは、特許文献1に開示されている。
特許第6336295号公報
このような熱源システムでは、冷水の温度状態に応じて各熱源機の冷水の出口設定温度を決定している。しかしながら、例えば、熱源システムへ流入する冷水の温度が高い場合には、各熱源機の能力を上回る運転を防止するため、各熱源機の冷水の出口設定温度が高く設定される場合がある。
本開示は、このような事情に鑑みてなされたものであって、より効果的に要求される温度の熱媒を送出することのできる制御装置及び熱源システム、並びに制御方法、並びに制御プログラムを提供することを目的とする。
本開示の第1態様は、直列に接続された複数の熱源機を備える熱源システムに適用される制御装置であって、熱媒流量の計測値と、各前記熱源機における熱媒の入口温度の計測値と、前記熱源システムにおける熱媒の要求出口温度とに基づいて、各熱源機における熱媒の出口設定温度を設定する設定部を備える制御装置である。
本開示の第2態様は、直列に接続された複数の熱源機を備える熱源システムの制御方法であって、熱媒流量の計測値と、各前記熱源機における熱媒の入口温度の計測値と、前記熱源システムにおける熱媒の要求出口温度とに基づいて、各熱源機における熱媒の出口設定温度を設定する工程を有する制御方法である。
本開示の第3態様は、直列に接続された複数の熱源機を備える熱源システムの制御プログラムであって、熱媒流量の計測値と、各前記熱源機における熱媒の入口温度の計測値と、前記熱源システムにおける熱媒の要求出口温度とに基づいて、各熱源機における熱媒の出口設定温度を設定する処理をコンピュータに実行させるための制御プログラムである。
本開示によれば、より効果的に要求される温度の熱媒を送出することができるという効果を奏する。
本開示の一実施形態に係る熱源システムの概略構成を示した図である。 本開示の一実施形態に係る制御装置のハードウェア構成の一例を示した図である。 本開示の一実施形態に係る制御装置が備える機能を示した機能ブロック図である。 本開示の一実施形態に係る下位側熱源機の出口設定温度の設定処理の手順の一例を示すフローチャートである。 本開示の一実施形態に係る上位側熱源機の出口設定温度の設定処理の手順の一例を示すフローチャートである。 本開示の一実施形態に係る制御装置の出口設定温度の設定処理による効果を示す図である。 本開示の一実施形態に係る制御装置の出口設定温度の設定処理における変形例による効果を示す図である。
以下に、本開示に係る制御装置及び熱源システム、並びに制御方法、並びに制御プログラムの一実施形態について、図面を参照して説明する。本実施形態では、冷水を熱媒として負荷へ供給する場合を説明するが、熱水を熱媒とすることとしてもよい。
図1は、本実施形態に係る熱源システム1の概略構成を示した図である。図1に示すように、熱源システム1は、直列に接続された複数の熱源機を有している。本実施形態では、冷水流れにおいて上流側の熱源機を上位側熱源機2a、下流側の熱源機を下位側熱源機2bとする。ここでは、2台の熱源機を図示しているが、熱源機の直列台数については特に限定されない。熱源システム1は、熱源機に供給される冷水の流量を調整するための冷水ポンプ5が設けられている。
上位側熱源機2a、下位側熱源機2bは固定速の熱源機である。熱源機は、例えば、ヒートポンプ式熱源機であり、一例として、ターボ冷凍機、吸収式冷凍機、ヒートリカバリー機等が挙げられる。なお、熱源機の仕様については固定速に限定されない。例えば、他の仕様としては、下位側熱源機2bは、定格能力が2232.6kWであり、定格冷水入口温度が14.6℃であり、定格冷水出口温度が5℃(温度差9.6℃)であり、定格冷水流量が200m3/hである。上位側熱源機2aの仕様については、例えば、定格能力が2418.6kWであり、定格冷水入口温度が25℃であり、定格冷水出口温度が14.6℃(温度差10.4℃)であり、定格冷水流量が200m3/hである。熱源機の仕様については上記は一例であり、上記仕様に限定されない。
熱源システム1において、上位側熱源機2aの出口側の冷水温度(冷水送水温度)の設定値を、出口設定温度(上位SP)C2SPといい、下位側熱源機2bの出口側の冷水温度(冷水送水温度)の設定値を、出口設定温度(下位SP)C1SPという。換言するとこれらの設定値は、目標値である。負荷側より要求される冷水送水温度を要求出口温度(要求SP)という。
このような熱源システム1において、冷房装置等の外部負荷4で利用されることにより暖められた冷水(例えば、5℃~30℃)は、上位側熱源機2a、下位側熱源機2bに供給されて所定の要求出口温度(例えば、5℃)まで冷却される。冷却された冷水は、外部負荷4に供給されて、再び熱源システム1に戻され、冷却される。
図1に示すように、熱源システム1には、上位側熱源機2aにおける冷水の入口温度C2siを計測する計測器TE2、下位側熱源機2bにおける冷水の入口温度C1siを計測する計測器TE1が設けられており、計測値が後述する制御装置20へ出力される。熱源システム1には、下位側熱源機2bにおける冷水の出口温度を計測する計測器TE3が設けられている。冷水流量(熱媒流量)C12sfを計測するための流量計FTが、下位側熱源機2bの下流側(下位側熱源機2bと外部負荷4との間)に設けられており、流量の計測値が後述する制御装置20へ出力される。流量計の設置位置については、図1は一例であり、他の位置に設けられることとしても良い。
制御装置20は、熱源システム1の運転制御を行う。具体的には、各熱源機の出口設定温度を設定し、該出口設定温度の冷水を送出するように、各熱源機を制御する。各熱源機を、冷水の温度のみに基づいて制御することとした場合、熱源機へ流入する冷水の温度が高いと、熱源機がオーバーロードとならないように運転される場合がある。このような場合には、十分に冷却を行うことができず、要求出口温度を満たすことができなくなる可能性がある。しかし、熱源機へ流入する冷水の流量によっては、熱源機へ流入する冷水の温度が高くてもオーバーロードとならずに要求出口温度を満たすことができる見込みがある。そこで、制御装置20は、冷水の温度状態だけでなく、冷水の流量も加味して、各熱源機の制御を行う。
図2は、本実施形態に係る制御装置20のハードウェア構成の一例を示した図である。
図2に示すように、制御装置20は、コンピュータシステム(計算機システム)であり、例えば、CPU11と、CPU11が実行するプログラム等を記憶するためのROM(Read Only Memory)12と、各プログラム実行時のワーク領域として機能するRAM(Random Access Memory)13と、大容量記憶装置としてのハードディスクドライブ(HDD)14と、ネットワーク等に接続するための通信部15とを備えている。大容量記憶装置としては、ソリッドステートドライブ(SSD)を用いることとしてもよい。これら各部は、バス18を介して接続されている。
制御装置20は、キーボードやマウス等からなる入力部や、データを表示する液晶表示装置等からなる表示部などを備えていてもよい。
CPU11が実行するプログラム等を記憶するための記憶媒体は、ROM12に限られない。例えば、磁気ディスク、光磁気ディスク、半導体メモリ等の他の補助記憶装置であってもよい。
後述の各種機能を実現するための一連の処理の過程は、プログラムの形式でハードディスクドライブ14等に記録されており、このプログラムをCPU11がRAM13等に読み出して、情報の加工・演算処理を実行することにより、後述の各種機能が実現される。プログラムは、ROM12やその他の記憶媒体に予めインストールしておく形態や、コンピュータ読み取り可能な記憶媒体に記憶された状態で提供される形態、有線又は無線による通信手段を介して配信される形態等が適用されてもよい。コンピュータ読み取り可能な記憶媒体とは、磁気ディスク、光磁気ディスク、CD-ROM、DVD-ROM、半導体メモリ等である。
図3は、制御装置20が備える機能を示した機能ブロック図である。図3に示されるように、制御装置20は、設定部21と、更新部22と、制御部23とを備えている。
設定部21は、冷水流量の計測値と、熱源機における冷水の入口温度の計測値(C1si、C2si)と、熱源システム1における冷水の要求出口温度とに基づいて、各熱源機における冷水の出口設定温度(C1SP、C2SP)を設定する。具体的には、設定部21は、冷水流量の計測値が低いほど各熱源機における出口設定温度が低くなるように、各熱源機における出口設定温度を設定する。
具体的には、設定部21は、熱源機における定格入口温度と定格出口温度との温度差に、冷水流量の計測値に対する冷水流量の定格値の割合である補正係数を乗じた値を、入口温度の計測値から減算することにより、各熱源機の出口設定温度を設定する。
下位側熱源機2bの出口設定温度C1SPは、以下の式(1)により示される。
[数1]
C1SP=C1si-(C1ci-C1co)×(C12cf/C12sf)×A1
(1)
式(1)において、C1SPは出口設定温度であり、C1siは入口温度(計測値)であり、C1ciは定格入口温度であり、C1coは定格出口温度であり、C12sfは冷水流量(計測値)であり、C12cfは定格冷水流量であり、A1は調整用のパラメータ(係数)である。係数は、例えば、比重比熱や熱源機の劣化に基づいて設定(変更)することとしてもよい。例えば、冷水の種類によって、比重と比熱が変わったときに係数を変更することとしてもよい。また、例えば、熱源機の劣化により定格能力が出せなくなったときに係数を変更することとしてもよい。(C12cf/C12sf)は冷水の流量に基づく補正係数となる。A1は基本的に1である。すなわち、C1siとC12sfとが計測されれば、C1SPが算出される。C1coは、例えば、要求出口温度が用いられる。
上位側熱源機2aの出口設定温度C2SPは、以下の式(2)により示される。
[数2]
C2SP=C2si-(C2ci-C2co)×(C12cf/C12sf)×A2
(2)
式(2)において、C2SPは出口設定温度であり、C2siは入口温度(計測値)であり、C2ciは定格入口温度であり、C2coは定格出口温度であり、C12sfは冷水流量(計測値)であり、C12cfは定格冷水流量であり、A2は調整用のパラメータ(係数)である。(C12cf/C12sf)は冷水の流量に基づく補正係数となる。A2は基本的に1である。すなわち、C2siとC12sfとが計測されれば、C2SPが算出される。
このようにして、下位側熱源機2bの出口設定温度と、上位側熱源機2aの出口設定温度とが、冷水の流量を考慮して算出される。冷水の流量を考慮して出口設定温度を設定する方法については、冷水流量の計測値が低いほど出口設定温度が低くなるように設定されれば、上記に限定されない。
更新部22は、各熱源機の出口設定温度を更新する。具体的には、更新部22は、直列に接続された各熱源機のうち、最下流側の熱源機に対して設定された冷水流量に基づく出口設定温度と、要求出口温度とを比較し、高い方を最下流側の熱源機の出口設定温度として更新する。本実施形態では、2つの熱源機を直列に接続しているため、最下流側の熱源機とは、下位側熱源機2bとなる。
すなわち、更新部22は、式(1)により算出された下位側熱源機2bの出口設定温度C1SPと、負荷側の要求によって決定される要求出口温度とを比較し、高い方を下位側熱源機2bの出口設定温度として更新する。
更新部22は、直列に接続された各熱源機のうち最下流側の熱源機以外の熱源機において、冷水流量に基づく出口設定温度と、定格能力比率に基づく出口設定温度とを比較し、高い方を熱源機の出口設定温度として更新する。本実施形態では、2つの熱源機を直列に接続しているため、最下流側の熱源機以外の熱源機とは、上位側熱源機2aとなる。
すなわち、更新部22は、式(2)により算出された上位側熱源機2aの出口設定温度C2SPと、定格能力比率に基づく出口設定温度とを比較し、高い方を上位側熱源機2aの出口設定温度として更新する。
定格能力比率に基づく出口設定温度とは、予め設定された各熱源機に対応した能力比率に基づいて、負荷分配を行う方法である。具体的には、熱源システム1の冷水の入口温度と、要求出口温度との差を各熱源機の定格能力比率に応じて分配した結果に基づいて算出された各熱源機の出口設定温度を行う。
定格能力比率に基づいた上位側熱源機2aの出口設定温度C2SPrは、以下の式(3)により表される。
[数3]
C2SPr
=C1co-(C2si-C1co)×[C1cc/(C1cc+C2cc)]
(3)
式(3)において、C1cc下位側熱源機の定格冷凍能力であり、C2ccは上位側熱源機2aの定格冷凍能力である。つまり、[C1cc/(C1cc+C2cc)]が定格能力比率となる。すなわち、C2siが計測されれば、C2SPrが算出される。
式(3)によりC2SPrが算出されると、更新部22は、式(2)により算出された上位側熱源機2aの出口設定温度C2SPと、式(3)により算出された定格能力比率に基づく出口設定温度C2SPrとを比較し、高い方を上位側熱源機2aの出口設定温度として更新する。
更新部22を設けることなく、設定部21で設定した各熱源機の出口設定温度を用いて、制御が実行されることとしても良い。
制御部23は、設定部21及び更新部22において設定された各熱源機の出口設定温度を用いて、各熱源機を制御する。具体的には、下位側熱源機2bは、設定された出口設定温度の冷水を送出するように制御される。上位側熱源機2aは、設定された出口設定温度の冷水を送出するように制御される。このようにして、流入する冷水の温度に対応して出口設定を満たす温度の冷水が送出される。
次に、上述の制御装置20による出口設定温度の設定処理の一例について図4及び図5を参照して説明する。図4は、下位側熱源機2bの出口設定温度の設定処理の手順の一例を示すフローチャートである。図5は、上位側熱源機2aの出口設定温度の設定処理の手順の一例を示すフローチャートである。図4及び図5に示すフローは、例えば、熱源システム1が稼働している場合において所定の制御周期で繰り返し実行される。
図4を参照して、下位側熱源機2bの出口設定温度の設定処理について説明する。
まず、各計測値及び定格仕様情報を取得する(S101)。S101では、式(1)を計算するための情報を取得する。
次に、下位側熱源機2bの出口設定温度を算出する(S102)。S102では、式(1)を用い、冷水の流量を考慮して出口設定温度が算出される。
次に、冷水の流量を考慮した出口設定温度(式(1)による出口設定温度)が、要求出口温度より大きいか否かを判定する(S103)。冷水の流量を考慮した出口設定温度が、要求出口温度より大きい場合(S103のYES判定)には、下位側熱源機2bの出口設定温度として、冷水の流量を考慮した出口設定温度を用いる(S104)。
冷水の流量を考慮した出口設定温度が、要求出口温度より大きくない場合(S103のNO判定)には、下位側熱源機2bの出口設定温度として、要求出口温度を用いる(S105)。
次に、図5を参照して、上位側熱源機2aの出口設定温度の設定処理について説明する。
まず、各計測値及び定格仕様情報を取得する(S201)。S201では、式(2)及び式(3)を計算するための情報を取得する。
次に、上位側熱源機2aの出口設定温度を算出する(S202)。S202では、式(2)を用い、冷水の流量を考慮して出口設定温度が算出される。
S202と並列して、式(3)を用い、定格能力比率を考慮した出口設定温度を算出する(S203)。S202とS203の処理は並列処理としても良いし直列処理することとしても良い。
次に、冷水の流量を考慮した出口設定温度(式(2)による出口設定温度)が、定格能力比率を考慮して出口設定温度(式(3)による出口設定温度)より大きいか否かを判定する(S204)。冷水の流量を考慮した出口設定温度が、定格能力比率を考慮して出口設定温度より大きい場合(S204のYES判定)には、上位側熱源機2aの出口設定温度として、冷水の流量を考慮した出口設定温度を用いる(S205)。
冷水の流量を考慮した出口設定温度が、定格能力比率を考慮した出口設定温度より大きくない場合(S204のNO判定)には、上位側熱源機2aの出口設定温度として、定格能力比率を考慮した出口設定温度を用いる(S206)。
このようにして、下位側熱源機2bの出口設定温度と、上位側熱源機2aの出口設定温度とが設定され、設定された出口設定温度に基づいて各熱源機が制御される。
次に、上述の制御装置20の出口設定温度の設定処理による効果について図6を参照して説明する。図6は、縦軸を冷水の出口設定温度とし、横軸を冷水の入口温度(上位側熱源機2aへ流入する冷水の温度)としている。定格負荷とは、冷水の入口温度が定格冷水入口温度に達することを意味している。そして、図6では、冷水の流量が定格冷水流量より少ない場合(例えば、180m3/h)を想定するものとする。
図6では、本実施形態における上位側熱源機2aの出口設定温度をL2として示しており、下位側熱源機2bの出口設定温度をL1として示している。そして、参考例における上位側熱源機2aの出口設定温度をEX2として示しており、下位側熱源機2bの出口設定温度をEX1として示している。
参考例とは、冷水の流量を考慮せず出口設定温度を設定する場合の例である。具体的には、参考例では、定格負荷までの場合(冷水の入口温度が定格冷水入口温度よりも低い場合)には、下位側熱源機2bの出口側設定温度を要求出口温度とし、上位側熱源機2aの出口側設定温度を定格能力比率に応じて設定する。そして、参考例では、定格負荷を超える場合(冷水の入口温度が定格冷水入口温度よりも高い場合)には、熱源機の能力超過を防止するために、冷水の入口温度を所定値減算した値(例えば定格冷水入口温度差を減算した値)と仮定して出口設定温度を設定する場合である。
図6に示すように、定格負荷(上位側熱源機2aの定格冷水入口温度)までは、下位側熱源機2bの出口設定温度であるL1とEX1とは等しくなる。具体的には、いずれの場合でも要求出口温度が出口設定温度として設定される。そして、定格負荷を超えた領域では、参考例のEX1では出口設定温度が上昇する。一方で、本実施形態では、L1として示すように、冷水の流量が定格冷水流量より少ないことが考慮されて出口設定温度が設定されるため、定格負荷を超過後でも要求出口温度が出口設定温度として用いられる。そして、さらに負荷が上昇しても出口設定温度が低く保たれる。すなわち、本実施形態では、より広い負荷範囲で、要求出口温度を満たす冷水を送出することができる。負荷が高い領域でも、出口設定温度を低く設定することができる。冷水の流量が定格冷水流量よりも低いほど、上記効果は大きくなる。
上位側熱源機2aについては、定格負荷(上位側熱源機2aの定格冷水入口温度)までは出口設定温度であるL2とEX2とはほとんど等しい。具体的には、いずれの場合でも定格負荷までの領域では、等しい増加傾向で出口設定温度が設定される。換言すると、定格負荷までの領域では、定格能力比率に基づいた出口設定温度が適用される。そして、定格負荷を超えた領域では、参考例のEX2では出口設定温度が上昇する。一方で、本実施形態では、L2として示すように、冷水の流量が定格冷水流量より少ないことが考慮されて出口設定温度が設定されるため、定格負荷を超過後でも定格負荷までの領域と等しい増加傾向(すなわち定格能力比率に基づいた出口設定温度)で出口設定温度が設定される。そして、さらに負荷が上昇しても出口設定温度が低く保たれる。すなわち、より広い負荷範囲で、上位側熱源機2a及び下位側熱源機2bの負荷状態がバランスされ、高COPの運転を行うことができる。そして、負荷が高い領域でも、出口設定温度を低く設定することができる。冷水の流量が定格冷水流量よりも低いほど、上記効果は大きくなる。
図6より、参考例と比較して、本実施形態ではより広い負荷範囲(冷水の入口温度範囲)で効果的に要求出口温度を満足することができる。そして、より広い範囲で各熱源機の運転状態をバランスさせて、高COPの運転が可能となる。
図7では、図6と同様に、前述の参考例と、本実施形態の変形例との特性を示している。本実施形態では、図4及び図5のフローに示すように、冷水の入口温度が定格冷水入口温度よりも高いか否かに関係なく設定処理を行なっている。本実施形態の変形例とは、定格負荷と負荷状態の関係により制御切り替えを行う例である。具体的には、変形例では、定格負荷までの場合(冷水の入口温度が定格冷水入口温度よりも低い場合)には、下位側熱源機2bの出口側設定温度を要求出口温度とし、上位側熱源機2aの出口側設定温度を定格能力比率に応じて設定する。そして、変形例では、定格負荷を超える場合(冷水の入口温度が定格冷水入口温度よりも高い場合)には、下位側熱源機2bの出口側設定温度を式(1)により設定し、上位側熱源機2aの出口側設定温度を式(2)により設定する。図7では、変形例における上位側熱源機2aの出口設定温度を、L2rとして示しており、下位側熱源機2bの出口設定温度を、L1rとして示している。
変形例のように制御した場合には、定格負荷程度までは、下位側熱源機2bは要求出口温度が出口設定温度として用いられる。そして、定格負荷付近の領域において設定方法が切り替わり、式(1)により出口設定温度が設定される。このため、定格負荷付近において一時的に、出口設定温度が低下し、出口設定温度が要求出口温度を下回る場合がある。そして、定格負荷程度までは、上位側熱源機2aは定格能力比率に応じて出口設定温度が制御され、定格負荷付近の領域において設定方法が切り替わり、式(2)により出口設定温度が設定される。このため、定格負荷付近において一時的に、出口設定温度が低下してCOPが低下する可能性がある。
このため、本願発明としては、図4及び図5のフローのように処理を行うことがより好ましい。しかしながら、上記の変形例のように制御することも可能である。
以上説明したように、本実施形態に係る制御装置及び熱源システム、並びに制御方法、並びに制御プログラムによれば、複数の熱源機が直列に接続される熱源システム1において、冷水流量の計測値と、各熱源機の冷水の入口温度の計測値と、要求出口温度とを用いて、各熱源機の出口温度が設定される。このため、冷水流量を考慮してより効果的に要求出口温度の冷水を送出することが可能となる。例えば、熱源機における冷水の入口温度が高い場合であっても、冷水流量が低ければ、冷凍機の能力内で要求出口温度の冷水を送出することが可能となる。
冷水流量に基づく出口設定温度と、要求出口温度とを比較し、高い方を最下流側の熱源機の出口設定温度として更新するため、より確実に、要求出口温度の冷水を送出することが可能となる。冷水流量に基づく出口設定温度と、定格能力比率に基づく出口設定温度とを比較し、高い方を熱源機の出口設定温度として更新するため、より効果的に高COPで運転することが可能となる。
本開示は、上述の実施形態のみに限定されるものではなく、発明の要旨を逸脱しない範囲において、種々変形実施が可能である。
以上説明した各実施形態に記載の制御装置及び熱源システム、並びに制御方法、並びに制御プログラムは例えば以下のように把握される。
本開示に係る制御装置(20)は、直列に接続された複数の熱源機を備える熱源システム(1)に適用される制御装置(20)であって、熱媒流量の計測値と、各前記熱源機における熱媒の入口温度の計測値と、前記熱源システム(1)における熱媒の要求出口温度とに基づいて、各熱源機における熱媒の出口設定温度を設定する設定部(21)を備える。例えば、熱源機は、上位側熱源機2aと下位側熱源機2bである。
本開示に係る制御装置(20)によれば、複数の熱源機が直列に接続される熱源システム(1)において、熱媒流量の計測値と、各熱源機の熱媒の入口温度の計測値と、要求出口温度とを用いて、各熱源機の出口温度が設定される。このため、熱媒流量を考慮してより効果的に要求出口温度の熱媒を送出することが可能となる。例えば、熱源機における熱媒の入口温度が高い場合であっても、熱媒流量が低ければ、冷凍機の能力内で要求出口温度の熱媒を送出することが可能となる。
本開示に係る制御装置(20)は、前記設定部(21)は、熱媒流量の計測値が低いほど各前記熱源機における出口設定温度が低くなるように、各前記熱源機における出口設定温度を設定することとしてもよい。
本開示に係る制御装置(20)によれば、熱源機における熱媒の入口温度が高い場合であっても、熱媒流量が低ければ、より温度の低い熱媒を送出することが可能となる。
本開示に係る制御装置(20)は、前記設定部(21)は、前記熱源機における定格入口温度と定格出口温度との温度差に、熱媒流量の計測値に対する熱媒流量の定格値の割合である補正係数を乗じた値を、入口温度の計測値から減算することにより、各前記熱源機の出口設定温度を設定することとしてもよい。
本開示に係る制御装置(20)によれば、熱源機における熱媒の入口温度が高い場合であっても、熱媒流量が低ければ、冷凍機の能力内でより低い温度の熱媒を送出することが可能となる。
本開示に係る制御装置(20)は、直列に接続された各前記熱源機のうち、最下流側の前記熱源機に対して設定された熱媒流量に基づく出口設定温度と、要求出口温度とを比較し、高い方を最下流側の前記熱源機の出口設定温度として更新する更新部(22)を備えることとしてもよい。
本開示に係る制御装置(20)によれば、熱媒流量に基づく出口設定温度と、要求出口温度とを比較し、高い方を最下流側の熱源機の出口設定温度として更新するため、より確実に、要求出口温度の熱媒を送出することが可能となる。
本開示に係る制御装置(20)は、前記熱源システム(1)の熱媒の入口温度と、要求出口温度との差を各前記熱源機の定格能力比率に応じて分配した結果に基づいて算出された各前記熱源機の出口設定温度を用い、直列に接続された各前記熱源機のうち最下流側の前記熱源機以外の前記熱源機において、熱媒流量に基づく出口設定温度と、前記定格能力比率に基づく出口設定温度とを比較し、高い方を前記熱源機の出口設定温度として更新する更新部(22)を備えることとしてもよい。
本開示に係る制御装置(20)によれば、熱媒流量に基づく出口設定温度と、定格能力比率に基づく出口設定温度とを比較し、高い方を熱源機の出口設定温度として更新するため、より効果的に高COPで運転することが可能となる。
本開示に係る熱源システム(1)は、直列に接続された複数の熱源機と、上記の制御装置(20)と、を備える。
本開示に係る制御方法は、直列に接続された複数の熱源機を備える熱源システム(1)の制御方法であって、熱媒流量の計測値と、各前記熱源機における熱媒の入口温度の計測値と、前記熱源システム(1)における熱媒の要求出口温度とに基づいて、各熱源機における熱媒の出口設定温度を設定する工程を有する。
本開示に係る制御プログラムは、直列に接続された複数の熱源機を備える熱源システム(1)の制御プログラムであって、熱媒流量の計測値と、各前記熱源機における熱媒の入口温度の計測値と、前記熱源システム(1)における熱媒の要求出口温度とに基づいて、各熱源機における熱媒の出口設定温度を設定する処理をコンピュータに実行させる。
1 :熱源システム
2a :上位側熱源機
2b :下位側熱源機
4 :外部負荷
5 :冷水ポンプ
11 :CPU
12 :ROM
13 :RAM
14 :ハードディスクドライブ
15 :通信部
18 :バス
20 :制御装置
21 :設定部
22 :更新部
23 :制御部
FT :流量計
TE1 :計測器
TE2 :計測器
TE3 :計測器

Claims (8)

  1. 直列に接続された複数の熱源機を備える熱源システムに適用される制御装置であって、
    熱媒流量の計測値と、各前記熱源機における熱媒の入口温度の計測値と、前記熱源システムにおける熱媒の要求出口温度とに基づいて、各熱源機における熱媒の出口設定温度を設定する設定部を備える制御装置。
  2. 前記設定部は、熱媒流量の計測値が低いほど各前記熱源機における出口設定温度が低くなるように、各前記熱源機における出口設定温度を設定する請求項1に記載の制御装置。
  3. 前記設定部は、前記熱源機における定格入口温度と定格出口温度との温度差に、熱媒流量の計測値に対する熱媒流量の定格値の割合である補正係数を乗じた値を、入口温度の計測値から減算することにより、各前記熱源機の出口設定温度を設定する請求項1または2に記載の制御装置。
  4. 直列に接続された各前記熱源機のうち、最下流側の前記熱源機に対して設定された熱媒流量に基づく出口設定温度と、要求出口温度とを比較し、高い方を最下流側の前記熱源機の出口設定温度として更新する更新部を備える請求項1から3のいずれか1項に記載の制御装置。
  5. 前記熱源システムの熱媒の入口温度と、要求出口温度との差を各前記熱源機の定格能力比率に応じて分配した結果に基づいて算出された各前記熱源機の出口設定温度を用い、直列に接続された各前記熱源機のうち最下流側の前記熱源機以外の前記熱源機において、熱媒流量に基づく出口設定温度と、前記定格能力比率に基づく出口設定温度とを比較し、高い方を前記熱源機の出口設定温度として更新する更新部を備える請求項1から3のいずれか1項に記載の制御装置。
  6. 直列に接続された複数の熱源機と、
    請求項1から5のいずれか1項に記載の制御装置と、
    を備える熱源システム。
  7. 直列に接続された複数の熱源機を備える熱源システムの制御方法であって、
    熱媒流量の計測値と、各前記熱源機における熱媒の入口温度の計測値と、前記熱源システムにおける熱媒の要求出口温度とに基づいて、各熱源機における熱媒の出口設定温度を設定する工程を有する制御方法。
  8. 直列に接続された複数の熱源機を備える熱源システムの制御プログラムであって、
    熱媒流量の計測値と、各前記熱源機における熱媒の入口温度の計測値と、前記熱源システムにおける熱媒の要求出口温度とに基づいて、各熱源機における熱媒の出口設定温度を設定する処理をコンピュータに実行させるための制御プログラム。
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