JP2022126956A - 静脈撮像装置、静脈撮像方法 - Google Patents

静脈撮像装置、静脈撮像方法 Download PDF

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Abstract

【課題】ICG(インドシアニングリーン)などの造影剤の使用なしで静脈の状況を判定できるように血管を可視化する。【解決手段】静脈撮像装置は、照明と近赤外カメラを備える。照明は、波長が1040nm以上1100nm以下の範囲に属する光を照射する。近赤外カメラは、隣接する素子同士の間に電位障壁が形成された半導体受光素子アレイを有し、照明が照射した波長1040nm以上1100nm以下の範囲に属する光の反射光を検出する。【選択図】図1

Description

本発明は、静脈の状態を可視化する静脈撮像装置、静脈撮像方法に関する。
特許文献1~12には、薬剤投与や採血のルートとなる十分な太さのある直径5mm程度の血管の描出を目的に、体表面の撮像により静脈を提示する装置、撮像システムと画像表示システムに関する技術が開示されており、この技術に適した照明、カメラ、撮像システムに関する内容が示されている。
皮下組織の静脈のうち薬剤投与や採血のルートとなる太さのあるものについては、その視認性を高めるための機器装置が開発されている。特許文献1~3には、静脈を視認するための装置が示されている。これらの装置は、表皮から10mmまでの深さに存在する静脈を検知し、薬剤投与や採血のルートとして利用可能な静脈について、その走行状態をリアルタイムで皮膚表面へ直接、投影する。いずれの装置においても、波長が900nm以下の近赤外線を放射し、血液中のヘモグロビンに吸収された光と、周辺組織で反射された光とをアレイ検出器でとらえる。コンピュータは、検出結果を画像強調アルゴリズムで処理し、デジタル強調されたグレースケール画像とする。そして、プロジェクターが、薬剤投与や採血のルートとして利用可能な静脈の位置情報を皮膚表面に表示する。
特許文献1,2に基づく装置は、静脈と周囲間質とのコントラストを強調することで薬剤投与や採血のルートとなる血管を捉える。特許文献3に基づく装置も、特許文献1,2に基づく装置と全く同じことを可能にしている。
特許文献1~3に基づく皮下の血管走行を可視化する装置と方法は、例えば特許文献4に示されたように、近赤外光とその検出にConventional silicon CCDを使用する。Conventional silicon CCDを使用した近赤外光とその検出は、特許文献5で示されるように、波長700~900nmの近赤外光波長域を利用した静脈走行の描出でおこなわれており、特許文献6で示されるように薬剤投与や採血など、静脈を対象に行う処置を補助する。
特許文献5,6では、皮下組織の静脈のうち薬剤投与もしくは採血のルートにはなりえない特に1mmに満たない血管径の静脈を「細静脈」と表現している。一般の採血や薬剤投与で用いられる注射針としては、24ゲージ針(外径0.46±002mm)~26ゲージ針(外径0.56±002mm)がもっとも狭小であるが、細静脈内へ的確に穿刺するのは困難である。加えて十分な分量の薬剤投与も困難である。さらには採取した血液が溶血するため、血液採取で利用することも困難である。これらの理由のため、特許文献1~3に基づく装置では、血管径が1mm程度の静脈は、プロジェクターによって皮膚表面に表示する対象としていない。
皮下組織の静脈のうち薬剤投与もしくは採血のルートとなる太さのある静脈(血管径が1mmを超えていて薬剤投与や採血を行うことができる静脈)を視認する際には、Conventional silicon CCDカメラを用いることができる。その際、たとえば特許文献7に示されているように、波長650~1100nmを透過するフィルタを用いると、視認性が改善する。
特許文献8は、採血等を目的に注射針を穿刺する際に使用する装置デバイスを提供するものである。特許文献8には、波長600~1200nmの照明を用いると、薬剤投与や採血のルートとなりうる太さの血管、あるいは注射針穿刺が可能な太さの静脈の視認性が向上すると記載されている。
特許文献9は、薬剤投与や採血のルートとなりうる注射針穿刺が可能な血管径の静脈を視認するための手段を開示している。特許文献9には、Conventional silicon CCDカメラを使用した装置仕様においては、ICG(インドシアニングリーン)等の投与を行って静脈を造影することが、目的に合う血管検出に役立つと示されている。
特許文献10には、薬剤投与や採血のルートとなりうる注射針穿刺の可能な静脈の検出において用いられるConventional silicon CCDカメラは、波長1100nmの光を照明として用いると、光電変換を担うシリコンの光吸収効率がゼロ近くになってしまうことが示されている。そして、特許文献10は、1000nmを超える波長域での撮像では、InGaAs,InSb,またはHgCdTeのFocal Plane Arraysを備えたセンサーを使用することが必要になると開示している。
特許文献11は、血流中の赤血球移動により生じる光散乱の大きさを血流量測定に利用する方法の1形態を開示している。より具体的には、特許文献11の方法は、表皮に照射したレーザー光の散乱により発生するドップラーシフトのうち、血管形状を描出できない領域において検出されるドップラーシフトから、微小血管内を移動している赤血球に由来する情報を取り出し、抹消血流状態を知る方法である。
特許文献12は波長740,780,850,および940nmの光で、筋肉組織と血管に含まれるヘムと酸化ヘムの光吸収の違いを検出する。特許文献12では、筋肉内と血管内を区別することなしに合算される酸素飽和度を算出し、径5mm程度の薬液投与に用いる血管走行を基軸に、組織酸素飽和度分布(tissue oxygen saturation map)を提示する。しかし、薬液投与に使用しない径1mm程度の血管の位置情報を提示することなく、酸素飽和度の算出に使用している。なお、特許文献12で利用する酸素飽和度は、薬剤投与や採血のルートとなる静脈に由来する値と、間質を構成する筋細胞と筋線維芽細胞に存在するミオグロビンと由来する値との総和である。
波長1000~1300nmの光は、波長1000nm未満の光に比べて光吸収と組織散乱が小さく、減衰されにくいため、より深い皮下組織まで届く。非特許文献1は、1000nmを超える波長域を利用して行った皮膚と皮下組織でのグルコース濃度計測を紹介する文献である。非特許文献1では、波長1000~1300nmの光の組織透過性の測定結果を示している。1000nmを超える近赤外波長域(超1000nm波長域)でグルコースの光吸収を測定するモジュールは、歴史的にInGaAs素子で作られることが多く(非特許文献2)、非特許文献1では、InGaAs素子を使用することでヘモグロビンより弱い光吸収のグルコースの光吸収を計測し、グルコース濃度を算出している。
非特許文献3は、体外から観察することによって体内のさまざまな生命現象をとらえる計測を非侵襲生体計測法として解説している。非特許文献3では、光を利用した非侵襲生体計測法では、間質組織での散乱と吸収減衰の少ない波長700~900nmの光を利用した分光計測技術の可能性を紹介している。
光を利用した非侵襲生体計測法の具体例として、パルスオキシメータがある。パルスオキシメータは、ヘモグロビンの酸素化と脱酸素化状態によってその吸収が異なる700~900nmの波長域を利用して、動脈血の酸素飽和度を測定する。
非侵襲生体計測法で測定するグルコース値は、画像として静脈走行を捉えて計測された領域に由来する場合は、血糖値に関係する値であると判断できる。これに対し、静脈走行を捉えられない領域に由来するグルコース値は、この領域の占有面積を考慮すると、脂肪細胞、線維細胞、筋細胞、筋線維芽細胞、および間質組織液に由来するものが大部分であり、細静脈や毛細血管に存在する糖の濃度の寄与は少ないと判断される。
非特許文献4は、silicon製のCharge-coupled device(CCD)カメラは、波長1000~1350nmに感度がないことを、データを提示して示し、900nmより長い波長域ではInGaAsカメラのQuantum efficiencyが、siliconのそれより優れていることを明らかにしている。また、非特許文献4では、1000~1350nmの波長域を生体イメージングに適したSecond windowであると結論付けている。
非特許文献5には、単層カーボンナノチューブは1080nmより長い波長の蛍光を発するので、マウスの血管へこれを投与することで血管造影を行うことができ、InGaAsカメラを用いて体外から観察すれば、深部に存在する大動脈を可視化できることが示されている。
非特許文献4,6は、希土類含有セラミックスナノ粒子、量子ドット、単層カーボンナノチューブ、低分子有機蛍光色素を挙げて、1050nm以上の波長で造影に利用可能な蛍光物質を提示している。しかし、動画撮像に成功した報告ではない。
なお、特許文献13には、赤外領域の複数の波長を発光する照明ユニットと赤外領域の波長の光に感度を有する赤外カメラを用いて、生体組織の識別を支援する技術が示されている。特許文献14には、隣接する素子間のクロストークを低減する化合物半導体受光素子アレイに関する技術が示されている。また、非特許文献7には、D-ダイマーなどの血液検査、太い静脈に形成された血栓の超音波ドップラー法での検査について示されている。
米国特許第5969754号明細書 米国特許第6556858号明細書 米国特許第8463364号明細書 米国特許第4817622号明細書 米国特許第5519208号明細書 米国特許第5608210号明細書 米国特許出願公開第2003/0018271号明細書 特開2004-237051号公報 米国特許第6178340号明細書 米国特許出願公開第2009/0018414号明細書 米国特許第6263227号明細書 米国特許第9968285号明細書 国際公開第2014/192876号 国際公開第2011/089949号
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リアルタイムでの血流計測にはドップラー法があるが、この方法は断層イメージング法であり、直径が5mm程度の血管径が必要であり、1mmに満たない細静脈は画像化ができないので血流測定できない。
微小血栓が発生し、それが成長してくか否かを評価するためには、数分から数時間にわたって連続的な観察を行える技術が必要である。ICG(インドシアニングリーン)造影を使用した血管の血流状態評価はこの目的に利用可能である。しかし、ICGの副反応を予防する必要があるため、投与量は可能な限り最小量でおこなわなければならない。また、ICGは血流により流れ去るため、1shotで観察できるのは数秒間程度である。したがって、数分から数時間にわたって連続的な観察を行うための技術がさらに必要である。
また、ICG造影では、siliconカメラを用いて波長835nmの蛍光を検出する。しかし、室内照明に用いられる蛍光灯やLED照明に由来する光がsiliconカメラに感光してしまうので、暗室の利用や遮光の工夫なしに、直径が1mm未満の血管を良好な画像として検出するのは困難である。
さらに、ICG液を持続注入するための留置針で、直径1mm未満の血管を的確にとらえることは、不可能である。このため、通常は大きな血管へICGを投与し、直径1mm未満の末梢血管へ流れ込む状態を利用して描出している。よって、直径1mm未満の末梢血管の観察時間は数秒に限られる。直径1mm未満の末梢血管を対象として、数10秒単位、数分単位、あるいは数時間単位で、可逆的もしくは不可逆的な血流の増加、減衰、途絶を直接観察もしくは観察記録する方法は無い。
新型コロナウイルス(COVID-19)感染症の広がりによって、全身の血栓形成と重症化が注目されるようになり、D-ダイマーなどの血液検査、または太い静脈に形成された血栓の超音波ドップラー法での検査が行われている(非特許文献7)。しかしながら、これらの方法およびICG造影は、COVID-19感染で血栓形成の始まる直径1mm未満の末梢血管を対象に、血栓形成による血流低下を判定することに利用できない。このため、COVID-19感染を起点とする血栓形成をモニタリングし、早期に診断できる有効な手段は確立されていない。
骨髄移植後に生じる血栓性微小血管症は、COVID-19感染と同様に、直径1mm未満の細小静脈から血栓形成がはじまる。しかし、血栓形成による血流低下を判定する方法は確立されていない。血栓形成の始まる直径1mm未満の末梢血管を対象に、数時間連続的に血管の状態を観察記録して、可逆的もしくは不可逆的なダイナミクスを評価して、病的状態の判断に利用できる手段が必要とされている。
1000~1350nmの波長域は、生体イメージングに適したSecond windowであり、InGaAsカメラのQuantum efficiencyはこの波長域でsiliconのQuantum efficiencyより優れている。故に、体外からの静脈観察では、波長1050nm程度の近赤外光照明とInGaAsカメラでの撮像の方が、波長900nmの照明とsiliconカメラによる撮像よりも優れている。そのため、波長1050nm程度の近赤外光照明とInGaAsカメラでの撮像であれば、ICG(インドシアニングリーン)を使用した静脈造影に近い画像を取得できるのではないかと期待されてきた。しかしながらそれには、広いダイナミックレンジが必要であり、ICG静脈造影で取得される直径1mm未満の血管の分布と同様の画像の取得は達成されていない。
従来のInGaAsカメラにおいては、素子間のクロストークに起因する課題が指摘されており、波長1050nmの近赤外光については1μW/cm2に収まるダイナミックレンジでしか、設定することができない。たとえば、特許文献13は、被写体(検体)の周囲を直接透過する光が強すぎて赤外カメラ等による撮像画像が飽和し、画像情報を取得できないことを指摘している。故に特許文献13には、透過して減弱させることで弱い光のみが赤外カメラへ入射するように手段を講じない限り、画像分析することができないと記載されている。
従来型InGaAs赤外カメラにおいては、電荷積分回路内の帰還路に置かれたキャパシタンスを用いてダイナミックレンジを小さく制限することで、光励起キャリアの隣接画素への漏れ出しを防いでいる。ダイナミックレンジを小さく制限しているために、絞りを利用した撮像を行うことができないので、一定の深さの血管のみの描出となる。このことは即ち、検査対象にできる血管は、浅層から深層渡って分布する血管の中の一部に制限されることを意味する。
上述した問題を解決するため、本発明は、ICG(インドシアニングリーン)などの造影剤の使用なしで静脈の状況を判定できるように血管を可視化することを目的とする。
本発明の静脈撮像装置は、照明と近赤外カメラを備える。照明は、波長が1040nm以上1100nm以下の範囲に属する光を照射する。近赤外カメラは、隣接する素子同士の間に電位障壁が形成された半導体受光素子アレイを有し、照明が照射した波長1040nm以上1100nm以下の範囲に属する光の反射光を検出する。
本発明では、酸化ヘモグロビンには吸収されやすく、還元ヘモグロビンには吸収されにくい波長を用いる。また、隣接する素子同士の間に電位障壁を形成しているので、画素間のクロストークを低減でき、近赤外カメラのダイナミックレンジを広くできる。したがって、ICG(インドシアニングリーン)などの造影剤の使用なしで、静脈内の酸化ヘモグロビンに依存した情報を可視化できる。よって、本発明の静脈撮像装置によれば、例えば、長時間にわたって継続的に抹消組織に供給されている酸素の状態を可視化できるので、血栓形成の状況を判断しやすくなる。
静脈撮像装置の概略を示す図。 静脈撮像装置の近赤外カメラと可視カメラの位置関係の第1の具体例を示す図。 静脈撮像装置の近赤外カメラと可視カメラの位置関係の第2の具体例を示す図。 暗箱も有する静脈撮像装置のイメージを示す図。 回転アームも有する静脈撮像装置のイメージを示す図。 静脈撮像装置の処理フローの例を示す図。 InGaAs製の受光素子アレイの構造を示す図。 近赤外カメラ1に設定可能な条件の例を示す図。 近赤外カメラ1の光電変換特性の計測を行ったときの構成を示す図。 近赤外カメラ1の設置位置での単位面積あたりの照度と近赤外カメラ1のデジタル出力値との関係を示す図。 電位障壁を形成したInGaAs製の半導体受光素子アレイの素子ごとの出力を示す図。 電位障壁を形成した受光素子アレイを用いた近赤外カメラ1と電位障壁を形成していない受光素子アレイを用いた近赤外カメラ34を比較するための実験装置の構成を示す図。 電位障壁を形成した受光素子アレイを用いた近赤外カメラ1と電位障壁を形成していない受光素子アレイを用いた近赤外カメラ34を比較した実験の結果を示す図。 静脈撮像装置を用いて手指の血管を撮像した例を示す図。
以下、本発明の実施の形態について、詳細に説明する。なお、同じ機能を有する構成部には同じ番号を付し、重複説明を省略する。
<静脈撮像装置>
図1は静脈撮像装置の概略を示す図、図2は静脈撮像装置の近赤外カメラと可視カメラの位置関係の第1の具体例を示す図、図3は静脈撮像装置の近赤外カメラと可視カメラの位置関係の第2の具体例を示す図、図4は暗箱も有する静脈撮像装置のイメージを示す図、図5は回転アームも有する静脈撮像装置のイメージを示す図、図6は静脈撮像装置の処理フローの例を示す図である。
静脈撮像装置100は、少なくとも照明3と近赤外カメラ1を備える。照明3は、波長が1040nm以上1100nm以下の範囲に属する光を照射する。「波長が1040nm以上1100nm以下の範囲に属する光」とは、この範囲に属す一部の波長の光を含んでいればよいという意味である。例えば、照明3は、波長1050nmで発光するLEDを備えれば、「波長が1040nm以上1100nm以下の範囲に属する光」に該当する。また、この範囲以外の光を含んでもよい。例えば、照明3は、波長1050nmで発光するLEDと可視波長域で発光するLEDを備えてもよい。2種類以上のLEDを備えるときは、照明3は2つ以上の筐体で構成してもよい。また、照明3の位置は固定してもよいし、スライドできるようにしてもよい。照射された光は、検査対象物6で反射される。
近赤外カメラ1は、隣接する素子同士の間に電位障壁が形成された半導体受光素子アレイを有し、照明が照射した波長1040nm以上1100nm以下の範囲に属する光の反射光を検出する。近赤外カメラ1の半導体受光素子アレイがInGaAs感光層を有するようにすれば、波長1040nm以上1100nm以下の範囲に属する光を検出しやすい。近赤外カメラ1は、波長1040nm以上1100nm以下の範囲外の光も検出してもよい。ただし、可視光を照射しながら使用する場合は、近赤外カメラ1が可視光を検出しないように、フィルタ(図1,2には図示していない)を配置してもよい。例えば、図3に示したダイクロイックミラー7を前述のフィルタとして用いてもよい。なお、近赤外カメラ1が、あらかじめ定めた時間間隔で連続して反射光を検出するように設定すれば、長時間にわたって継続的に静脈を撮像できる。
静脈撮像装置100は、さらに、可視光を検出する可視カメラ2、近赤外カメラで取得した画像と可視カメラ2で取得した画像を重ね合わせた画像を出力する制御装置4、制御装置4が出力する画像を表示する表示装置5も備えればよい。近赤外カメラ1と可視カメラ2は、検査対象物6に対してほぼ同じ範囲を撮像できるように配置しておけば、画像を重ね合わせやすい。
血管は、空間的広がりを持って分布する。近赤外カメラ1は、クリアな血管像を取得できるように絞り機能を備えている方が望ましい。絞り機能により確保される焦点深度の範囲内で画像取得を行うことができるからである。ただし、静脈撮像装置100は波長1040nm以上1100nm以下の範囲に属する光を用いるので、深い皮下組織まで届く。皮膚近傍で反射する光と深い位置で反射する光の照度は大きく異なるので、近赤外カメラ1は照度に関して広いダイナミックレンジを有することが求められる。具体的には、照度のダイナミックレンジが0.007μW/cm2以上92μW/cm2以下であることが望ましい。これだけの広いダイナミックレンジがあれば、撮像可能な範囲に空間的に広がりを持つ血管を撮像しやすい。直径1mm程度の静脈を撮像の対象とするのであれば、近赤外カメラ1は、照度が0.007μW/cm2以上92μW/cm2以下の範囲において、静脈の輪郭が100μm分以上は変化しないような特性を有していることが望ましい。なお、撮像対象となる静脈の太さによって許容できる長さは異なる。また、一般的には絞りによっても輪郭は変化するが、近赤外カメラは1、照度が92μW/cm2において、発光物もしくは光を反射する物の輪郭が絞りに依存してあらかじめ定めた長さ以上は変化しないようにすればよい。言い換えると、絞りを解放した状態と絞った状態での輪郭の差があらかじめ定めた長さ以下であればよい。「あらかじめ定めた長さ」は用途に応じて適宜定めればよい。可視カメラ2は、一般的には156万画素以上の解像度があれば十分である。ただし、撮像の目的に適合させて解像度を選択すればよい。
制御装置4は、近赤外カメラ1で取得される近赤外光で描出された静脈系と、可視カメラ2で取得される検査対象物の位置空間情報を収集して処理し、リアルタイム動画または、静止画で表示するための画像処理を行う。近赤外カメラ1で取得される動画または静止画に基づいて血管への穿刺や血管生検をおこなう場合には、可視カメラ2で取得される動画または静止画像の位置空間情報をもとに制御装置4で補正し、表示装置5において並列画面として、もしくは重ね合わせや覆うような表示を行えばよい。
図2の例では、近赤外カメラ1と可視カメラ2を12度離した位置に設置し、検査対象を撮像もしくは動画を撮影する様子を示している。図3は、波長の違いに応じてダイクロイックミラー7で光路を分けて、近赤外カメラ1と可視カメラ2のそれぞれで撮像を行う様子を示している。
静脈撮像装置100は、図4のように、暗箱8を備えてもよい。なお、図3に示したダイクロイックミラー7を備える場合も、暗箱8を備えてもよい。暗箱8を備えれば、近赤外カメラ1、可視カメラ2、照明3を協調させて、検査対象物6の動画または静止画像を取得することもできる。例えば、図6に示す処理フローを行えばよい。検査対象物6を可視カメラ2で位置決めする(S101)。次に、暗状態で近赤外カメラ1と可視カメラ2で撮影し(S102)、波長1040nm~1100nmの光を照射して近赤外カメラ1で撮影する(S103)。ステップS103では、静脈内の酸化ヘモグロビンを撮影できる。次に可視カメラ2で可視画像を撮影し(S104)、制御装置4が酸化ヘモグロビンの画像と可視画像とを重ね合わせした画像を出力し、表示装置5に表示する(S105)。
図5は、近赤外カメラ1、可視カメラ2、照明3を一体化した構造の例示である。近赤外カメラ1と可視カメラ2は、光路を図3に示すようにダイクロイックミラー7で分けることで一体化して、マクロ顕微鏡12を構成している。また、レンズ11の周囲にリング状に配置された照明10は、波長1040nm以上1100nm以下の範囲に属する光と可視波長域の光を照射できる照明である。
図5の静脈撮像装置は、回転アーム13、直動機構14に装着されており、検査対象物6の周囲を回転・直進させながら、連続的に動画または静止画像を取得できる。このような装置で取得した画像であれば、立体画像として表示することもできる。
<近赤外カメラ>
図7にInGaAs製の受光素子アレイの構造を示す。図7(A)は電位障壁を有するInGaAs製の受光素子の構造を模式的に示したものであり、特許文献14の図4と同様の構造である。図7(B)は図7(A)の構造の場合のA-A線に沿った電位分布を示している。図7(C)は電位障壁構造を形成していないInGaAs製の受光素子の構造を模式的に示したものであり、特許文献14の図5と同様の構造である。図7(D)は図7(C)の構造の場合のB-B線に沿った電位分布を示している。素子に電位障壁構造を形成する方法には、特許文献14に示された方法を用いればよい。図7(A)の受光素子アレイも図7(C)の受光素子アレイも、基板21上に形成された受光素子アレイである。どちらの受光素子アレイも、狭いバンドギャップエネルギーを有する感光層22が広いバンドギャップを持つ窓層23およびバリア層28に挟まれており、N側電極26とP側電極27との間に逆バイアス電圧を印加する。そして、どちらの受光素子アレイも、感光層22に入射した光を光電変換し、発生した電荷を検出する。なお、図7(C)の25はP型拡散層である。
特許文献14には、図7(A)の受光素子アレイは、図7(C)の受光素子アレイに比べて隣接画素との電位差が電位障壁層24の電位障壁を越えるまでは光励起電子が特定画素に留まりやすいという特性が記載されている。このように隣接する素子同士の間に電位障壁が形成された半導体受光素子アレイにおいては、画素を構成する受光素子の周囲がP型選択拡散による電位障壁層24により囲まれている。よって、隣接画素に沿ったコンダクションバンドには、拡散電位に相当する電位障壁(~0.3eV)が発生している。そのために特定の画素で発生した光励起電子は、隣接する画素へ移動することができず、優れた画素分離特性を有する構造であることを示している。近赤外カメラ1は、図7(A)のような電位障壁が形成された半導体受光素子アレイを有している。
図8は、近赤外カメラ1に設定可能な条件の例を示している。近赤外カメラ1には、このような条件が設定され、例えば、1秒間に30フレームの撮像を行い、露光時間は16ミリ秒のように動作できる。皮下組織に存在する血管は、身体の部位および肥満の程度などにより、表皮表層からの距離が異なるので、図8に示す設定の中から視認性の良い条件を選択すればよい。
図9に、近赤外カメラ1の光電変換特性の計測を行ったときの構成を示す。この計測では、近赤外カメラ1には、渋谷光学製の撮像レンズ(OK002-Monf/2.8、焦点距離30.8mm)を装着したアイアールスペック社製のNVU3VL-2型を用いた。LEDマトリックス32には1050nmのLEDを配置し、拡散板31には積水化成品工業株式会社製の拡散板SS180を使用した。近赤外カメラ1を設置した位置における単位面積あたりの照度μW/cm2を計測する照度計30には、浜松ホトニクス製フォトディテクタ(G12181-230K、Φ3mm、カットオフ1.85μm)を用いた。
駆動電流を変化させることで照度調整を行い、近赤外カメラ1からのデジタル出力値(16bit)を記録してグラフにプロットし、設定条件によって異なる光電変換特性を比較した。近赤外カメラ1の設置位置での単位面積あたりの照度と近赤外カメラ1のデジタル出力値との関係を図10に示す。横軸は単位面積あたりの照度μW/cm2、縦軸は近赤外カメラ1からのデジタル出力値(ADC出力)である。図8に示した(1)~(3)の設定ごとに異なる結果が得られている。設定を変更することで異なる特性にできることが分かる。
図11は、電位障壁を形成したInGaAs製の半導体受光素子アレイの素子ごとの出力を示している。図11の駆動電流は、LEDマトリックス32のLEDを駆動する電流を示しており、数値が大きいほど照度が高い。ADC出力は、近赤外カメラ1からのデジタル出力値である。図11に例示した結果は、LEDの駆動電流が500μAを超えて照度が増えるとADC出力値が飽和状態に達して変化が見られなくなり、その状態は駆動電流2000μAとなっても、ADC出力値に変化が見られない状態が続くことを例示している。一方、ADC出力値が飽和状態に達して変化が見られない状態となった素子から100μm程度離れた位置に存在する素子のADC出力は、駆動電流が0μAのときと同様であり、クロストークの影響を受けていないことを示している。言い換えると、照度が0.007μW/cm2以上92μW/cm2以下の範囲において変化しても、撮像対象物の輪郭が100μm分以上は変化しないと期待できる。さらに、LEDの駆動電流が500μAを超えてADC出力値に変化が見られなくなった素子の隣に位置する15μm程度離れた素子においても、わずかな上昇を認める程度であることから、電位障壁による画素分離(クロストーク低減)の有効性を確認することができる。
図11に示した結果は、静脈撮像装置100に使用する近赤外カメラ1を選択するに際し、強い光を受光したときに受光素子の飽和により周囲画素へあふれ出すブルーミング現象が防止される仕組みが存在するか否かの判断に有効であることを示している。
図12に、電位障壁を形成した受光素子アレイを用いた近赤外カメラ1と電位障壁を形成していない受光素子アレイを用いた近赤外カメラ34を比較するための実験装置の構成を示す。この実験では、電位障壁を形成したInGaAs受光素子アレイを用いた近赤外カメラ1として、アイアールスペック社製のNVU3VL-2を使用し、電位障壁を形成していないInGaAs受光素子アレイを用いた近赤外カメラ34として、アートレイ社製のArtcam031T型を使用した。撮像レンズは興和光学製の近赤外撮像レンズ(LM35HC-SW)を共用して行った。LED33には、波長1050nmで発光するウシオエピテックス製のLED(L1050 S-66-60)を使用した。近赤外カメラ1,34の受光面は、LED33から40cm離れた位置となるようにセットした。照度はLED33を駆動する電流量で調整した。近赤外カメラ1,34の受光位置における単位面積あたりの照度μW/cm2を計測する照度計30には、浜松ホトニクス製フォトディテクタ(G12181-230K、Φ3mm、カットオフ1.85μm)を用いた。
図13に、電位障壁を形成した受光素子アレイを用いた近赤外カメラ1と電位障壁を形成していない受光素子アレイを用いた近赤外カメラ34を比較した実験の結果を示す。いずれの撮影もシャッター速度は18m秒(1/60秒)とした。図13(A)は、照度を0.007~92μW/cm2で変化させたときの比較である。上段が近赤外カメラ1(NVU3VL-2)で撮像した結果、下段が近赤外カメラ34(Artcam031T)で撮像した結果を示している。近赤外カメラ1で撮像した結果では、高照度では撮像レンズでのフレアにより輪郭形状が不明確になっているが、設定したすべての照度でLED33の形状を描出していることが分かる。一方、近赤外カメラ34で撮像した結果では、照度の増加とともに描出されるLED33の輪郭が拡大していることが分かる。
図13(B)は、照度を92μW/cm2に設定して絞りを変更した例を示している。上段が近赤外カメラ1(NVU3VL2)で撮像した結果、下段が近赤外カメラ34(Artcam031T)で撮像した結果を示している。近赤外カメラ1で撮像した結果では、絞りを変更してもLED33の発光部分のサイズは変化していないことが分かる。一方、近赤外カメラ34で撮像した結果では、小絞りとすることでLED33の発光部分のサイズが小さくなっていることが分かる。つまり、近赤外カメラ34でLED33の大きさを正確に認識できるようにするためには、絞りを適正に調整する必要がある。なお、空間的に分布する静脈の撮像には広いダイナミックレンジ(具体的には、0.007μW/cm2以上92μW/cm2以下)があることが望ましい。また、照度が92μW/cm2において、発光物もしくは光を反射する物の輪郭が絞りに依存して変化しない方が望ましい。アイアールスペック社製のNVU3VL-2であれば、近赤外カメラ1として適していることが分かる。
体外から観察することによって体内のさまざまな生命現象をとらえる非侵襲生体計測法では、体表面から距離の異なる血管分布を撮像する必要があり、それには、皮下組織に存在する血管へ十分な光量を届けるとともに、絞りを利用して被写界深度を確保して行う必要がある。図13に示したように、電位障壁を形成した受光素子アレイを用いた近赤外カメラ1であれば、ブルーミングを起こすことなく撮像できる照度の範囲が広いので、非侵襲生体計測法に利用しやすいことが分かる。
図14は、静脈撮像装置100を用いて手指の血管を撮像した例である。電位障壁を形成した受光素子アレイを用いた近赤外カメラ1には、アイアールスペック社製のNVU3VL-2を使用し、波長1050nmの近赤外光を照明して、動画として手指の血管を撮像したデータである。このように、ICG(インドシアニングリーン)などの造影剤を用いることなく手指の血管を描出し、数分間以上にわたって画像を記録することができる。
本発明では、酸化ヘモグロビンには吸収されやすく、還元ヘモグロビンには吸収されにくい波長1040~1100nmの光を用いる。また、隣接する素子同士の間に電位障壁を形成しているので、画素間のクロストークを低減でき、近赤外カメラのダイナミックレンジを広くできる。したがって、ICG(インドシアニングリーン)などの造影剤の使用なしで、静脈内の酸化ヘモグロビンに依存した情報を可視化できる。つまり、本発明の静脈撮像装置によれば、長時間にわたって継続的に抹消組織に供給されている酸素の状態を可視化できるので、血栓形成の状況を判断しやすくなる。例えば、1枚あたり100ミリ秒未満の速さで、連続的に撮像を行い記録することで、直径1mm程度の血管が、うっ血、乏血、血流の途絶などによって変化することを検出できる。そして、数10秒、数分、数時間、数日、あるいは数週間にわたり経時的に記録することも可能になる。このような経時的に記録した情報を解析することで、急性のみならず慢性進行性病変、もしくは回復へ向かっていることを判断するのに利用できる。
なお、今回開示された実施の形態は全ての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、今回開示された実施の形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲によって示された範囲内又は特許請求の範囲と均等の範囲内での全ての変更が含まれることが意図される。
1,34 近赤外カメラ 2 可視カメラ
3 照明 4 制御装置
5 表示装置 6 検査対象物
7 ダイクロイックミラー 8 暗箱
10 照明 11 レンズ
12 マクロ顕微鏡 13 回転アーム
14 直動機構 21 基板
22 感光層 23 窓層
24 電位障壁層 25 P型拡散層
26 N側電極 27 P側電極
28 バリア層 30 照度計
31 拡散板 32 LEDマトリックス
33 LED 100 静脈撮像装置

Claims (9)

  1. 波長が1040nm以上1100nm以下の範囲に属する光を照射する照明と、
    隣接する素子同士の間に電位障壁が形成された半導体受光素子アレイを有し、前記照明が照射した波長1040nm以上1100nm以下の範囲に属する光の反射光を検出する近赤外カメラと
    を備える静脈撮像装置。
  2. 請求項1記載の静脈撮像装置であって、
    前記半導体受光素子アレイは、InGaAs感光層を有する
    ことを特徴とする静脈撮像装置。
  3. 請求項1または2記載の静脈撮像装置であって、
    前記近赤外カメラが可視光を検出しないためのフィルタを備える
    ことを特徴とする静脈撮像装置。
  4. 請求項1から3のいずれかに記載の静脈撮像装置であって、
    前記近赤外カメラは、あらかじめ定めた時間間隔で連続して反射光を検出する
    ことを特徴とする静脈撮像装置。
  5. 請求項1から4のいずれかに記載の静脈撮像装置であって、
    さらに、
    可視光を検出する可視カメラと、
    前記近赤外カメラで取得した画像と前記可視カメラで取得した画像を重ね合わせた画像を出力する制御装置
    も備えることを特徴とする静脈撮像装置。
  6. 請求項1から5のいずれかに記載の静脈撮像装置であって、
    前記近赤外カメラは、照度が92μW/cm2において、発光物もしくは光を反射する物の輪郭が絞りに依存してあらかじめ定めた長さ以上は変化しない
    ことを特徴とする静脈撮像装置。
  7. 請求項1から5のいずれかに記載の静脈撮像装置であって、
    前記近赤外カメラは、照度が0.007μW/cm2以上92μW/cm2以下の範囲において、静脈の輪郭が100μm分以上は変化しない
    ことを特徴とする静脈撮像装置。
  8. 請求項1から5のいずれかに記載の静脈撮像装置であって、
    前記近赤外カメラは、アイアールスペック社製のNVU3VL-2である
    ことを特徴とする静脈撮像装置。
  9. 波長が1040nm以上1100nm以下の範囲に属する光を照射し、
    隣接する素子同士の間に電位障壁が形成された半導体受光素子アレイを有し、照射した波長1040nm以上1100nm以下の範囲に属する光の反射光を検出する近赤外カメラを用いて静脈を撮像する
    ことを特徴とする静脈撮像方法。
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