JP2022124404A - 車両の制御装置 - Google Patents

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Sukenori Kuwamoto
武司 金山
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Abstract

Figure 2022124404000001
【課題】トルクリミッタに滑りが発生していることや動力伝達機構に故障が発生していることを正確に判別することができる車両の制御装置を提供する。
【解決手段】第1判定部102aで入力側回転速度Ninと出力側回転速度Noutとの差ΔNの絶対値が第1閾値Nthrよりも大きいと判定され、且つ、第2判定部102bで出力側トルクToutが第2閾値T0以上であると判定される場合には、診断部102でトルクリミッタ18に滑りが発生していると診断され、第1判定部102aで入力側回転速度Ninと出力側回転速度Noutとの差ΔNの絶対値が第1閾値Nthrよりも大きいと判定され、且つ、第2判定部102bで出力側トルクToutが第2閾値T0よりも小さいと判定される場合には、診断部102で動力伝達機構16に故障が発生していると診断される。
【選択図】図1

Description

本発明は、原動機と、前記原動機からの駆動力を駆動輪に伝達する動力伝達機構と、前記原動機と前記動力伝達機構との間に設けられたトルクリミッタと、を備えた車両の、制御装置に関し、前記トルクリミッタの滑りや前記動力伝達機構の故障を判別することができる技術に関するものである。
(a)原動機と、(b)前記原動機からの駆動力を駆動輪に伝達する動力伝達機構と、(c)前記原動機と前記動力伝達機構との間の動力伝達経路に設けられ、前記原動機と前記動力伝達機構との間で伝達されるトルクを制限するトルクリミッタと、を備えた車両の、制御装置がよく知られている。例えば、特許文献1に記載された車両の制御装置がそれである。特許文献1では、前記トルクリミッタの入力側回転速度であるエンジン回転速度Neと前記トルクリミッタの出力側回転速度であるキャリア回転速度Ncとの差の絶対値が予め定められた所定値以上である場合には、前記トルクリミッタの連続的な滑りの発生を判定することが開示されている。
特開2005-42701号公報
ところで、特許文献1では、前記出力側回転速度である前記キャリア回転速度を前記サンギヤ回転速度と前記リングギヤ回転速度とから算出している。このため、前記動力伝達機構すなわち前記動力伝達機構の一部を構成する遊星歯車装置に故障が発生すると、前記遊星歯車装置の各回転要素の回転速度の関係が拘束されなくなり前記キャリア回転速度すなわち前記出力側回転速度に異常な値が示されてしまう。このように、前記遊星歯車装置に故障が発生すると、前記トルクリミッタに滑りが発生していないにもかかわらず、前記トルクリミッタに滑りが発生していると誤判定してしまう可能性があった。すなわち、特許文献1のように前記動力伝達機構の内部部品の回転速度に基づいて前記トルクリミッタの出力側回転速度を求め、その出力側回転速度に基づいて前記トルクリミッタに滑りが発生しているか否かを判定する場合には、前記動力伝達機構に故障が発生すると前記トルクリミッタに滑りが発生していると誤判定してしまう可能性があった。
本発明は、以上の事情を背景として為されたものであり、その目的とするところは、トルクリミッタに滑りが発生していることや動力伝達機構に故障が発生していることを正確に判別することができる車両の制御装置を提供することにある。
第1発明の要旨とするところは、(a)原動機と、前記原動機からの駆動力を駆動輪に伝達する動力伝達機構と、前記原動機と前記動力伝達機構との間の動力伝達経路に設けられ、前記原動機と前記動力伝達機構との間で伝達されるトルクを制限するトルクリミッタと、を備えた車両の、制御装置であって、(b)前記動力伝達機構の内部部品の回転速度に基づいて求められた前記トルクリミッタの出力側回転速度と、前記トルクリミッタの入力側回転速度との差の絶対値が第1閾値よりも大きいか否かを判定する第1判定部と、(c)前記トルクリミッタの出力側トルクが第2閾値よりも小さいか否かを判定する第2判定部と、(d)前記第1判定部で前記入力側回転速度と前記出力側回転速度との差の絶対値が前記第1閾値よりも大きいと判定され、前記第2判定部で前記出力側トルクが前記第2閾値以上であると判定される場合には、前記トルクリミッタに滑りが発生していると診断し、前記第1判定部で前記入力側回転速度と前記出力側回転速度との差の絶対値が前記第1閾値よりも大きいと判定され、前記第2判定部で前記出力側トルクが前記第2閾値よりも小さいと判定される場合には、前記動力伝達機構に故障が発生していると診断する診断部と、を備えることにある。
第1発明の車両の制御装置によれば、前記第1判定部で前記入力側回転速度と前記出力側回転速度との差の絶対値が前記第1閾値よりも大きいと判定され、且つ、前記第2判定部で前記出力側トルクが前記第2閾値以上であると判定される場合には、前記診断部で前記トルクリミッタに滑りが発生していると診断され、前記第1判定部で前記入力側回転速度と前記出力側回転速度との差の絶対値が前記第1閾値よりも大きいと判定され、且つ、前記第2判定部で前記出力側トルクが前記第2閾値よりも小さいと判定される場合には、前記診断部で前記動力伝達機構に故障が発生していると診断されるので、前記診断部によって前記トルクリミッタに滑りが発生していることや前記動力伝達機構に故障が発生していることを正確に判別することができる。
ここで、好適には、前記出力側トルクは、前記動力伝達機構に設けられたトルクセンサから求められる。このため、前記トルクセンサによって前記出力側トルクを高精度に推定することができる。
また、好適には、(a)前記原動機はエンジンであり、(b)前記動力伝達機構には、前記エンジンからの駆動力によって発電する電動機が備えられており、(c)前記出力側トルクは、前記電動機の発電トルクから推定される。このため、例えばトルクセンサを設けることなく安価に前記出力側トルクを推定することができる。
また、好適には、前記出力側トルクは、前記駆動輪の回転角加速度から推定される。このため、例えばトルクセンサを設けることなく安価に前記出力側トルクを推定することができる。
また、好適には、前記診断部で前記動力伝達機構に故障が発生していると診断された場合には、前記原動機を停止させる。このため、前記原動機が駆動され続けることによる前記動力伝達機構での更なる故障を防止することができる。
また、好適には、前記診断部で前記トルクリミッタに滑りが発生していると診断された場合には、前記出力側トルクに応じて前記原動機のトルクを低減させる。このため、前記トルクリミッタでの滑りが抑制されて、前記トルクリミッタの耐久性の低下が抑制される。
また、好適には、(a)前記原動機はエンジンであり、(b)前記動力伝達機構には、前記エンジンからの駆動力によって発電する第1電動機と、前記第1電動機で発電された電力や蓄電装置に充電された電力によって前記駆動輪に駆動力を伝達する第2電動機と、が備えられており、(c)前記診断部で前記トルクリミッタに滑りが発生していると診断された場合には、前記トルクリミッタに滑りが発生していない場合に比べて前記蓄電装置の目標充電残量を高くするとともに、前記診断部で前記トルクリミッタに滑りが発生していると診断されることによって低減された前記エンジンのトルクを前記第2電動機で出力する。このため、充電残量が増えた前記蓄電装置の電力を用いて、前記第2電動機によって前記エンジンで低下されたトルク分を好適に補うことができる。
また、好適には、前記蓄電装置の目標充電残量は、前記診断部で前記トルクリミッタに滑りが発生していると診断されたときの前記出力側トルクに応じて変更する。このため、前記蓄電装置の充電残量が前記目標充電残量を超え難くなりできるかぎり前記エンジンのパワーだけで走行することができるので、前記目標充電残量を超える充電残量を減らすために例えば前記第2電動機を駆動させることが少なくなる。これによって、前記蓄電装置の寿命を好適に保護することができる。
また、好適には、(a)前記診断部で前記動力伝達機構に故障が発生していると診断されると、運転者に前記動力伝達機構に故障が発生していることを通知し、(b)前記診断部で前記トルクリミッタに滑りが発生していると診断されると、運転者に前記トルクリミッタに滑りが発生していることを通知する。このため、前記診断部で前記動力伝達機構に故障が発生していると診断されると、運転者に前記動力伝達機構の点検又は交換を促すことができ、前記診断部で前記トルクリミッタに滑りが発生していると診断されると、運転者に前記トルクリミッタの点検又は交換を促すことができる。
本発明が適用された車両の概略構成を説明する図であると共に、車両における各種制御の為の制御機能及び制御系統の要部を説明する図である。 図1の車両に設けられた電子制御装置の制御作動の要部を説明するフローチャートであり、車両走行中においてトルクリミッタに滑りが発生していることや動力伝達機構に故障が発生していることをそれぞれ診断する制御の制御作動を説明するフローチャートである。 本発明の他の実施例(実施例2)の車両の構成を説明する図である。 本発明の他の実施例(実施例3)の車両の構成を説明する図である。
以下、本発明の実施例を図面を参照して詳細に説明する。
図1は、本発明が適用された車両10の概略構成を説明する図であると共に、車両10における各種制御の為の制御系統の要部を説明する図である。図1において、車両10は、エンジン(原動機)12と、エンジン12からの駆動力を駆動輪14に伝達する動力伝達機構16と、エンジン12と動力伝達機構16との間の動力伝達経路に設けられたトルクリミッタ18と、を備えている。
エンジン12は、駆動力を発生することが可能な駆動力源であって、例えばガソリンエンジンやディーゼルエンジン等の公知の内燃機関である。エンジン12は、後述する電子制御装置(制御装置)100によって、車両10に備えられたスロットルアクチュエータや燃料噴射装置や点火装置等を含むエンジン制御装置20が制御されることによりエンジン12の出力トルクであるエンジントルク(トルク)Teが制御される。
動力伝達機構16は、図1に示すように、例えば、手動変速機22と、手動変速機22の変速機出力軸24に動力伝達可能に連結されたデファレンシャル装置26と、駆動輪14に動力伝達可能に連結された左右一対の車軸28等と、を備えている。なお、手動変速機22は、図示しないシフトレバーの操作によって複数の変速段のうちの所定の変速段に切り換えられるものであり、図1に示す手動変速機22は、前記シフトレバーの操作によって前記所定の変速段が達成された状態を示している。
トルクリミッタ18は、図1に示すように、エンジン連結軸30に動力伝達可能に連結された入力側回転部材18aと、手動変速機22の変速機入力軸32に動力伝達可能に連結された出力側回転部材18bと、を備えており、入力側回転部材18aの摩擦面18cと出力側回転部材18bの摩擦面18cとが予め設定された押圧力で圧接させられている。このため、トルクリミッタ18では、エンジン12と動力伝達機構16との間で伝達されるトルクが設定トルクよりも大きくなると、入力側回転部材18aの摩擦面18cと出力側回転部材18bの摩擦面18cとの間に滑りすなわちトルクリミッタ18に滑りが発生して、エンジン12と動力伝達機構16との間で伝達されるトルクが制限される。なお、エンジン連結軸30は、エンジン12とトルクリミッタ18の入力側回転部材18aとを連結するものであるので、エンジン回転速度Ne[rpm]と入力側回転部材18aの入力側回転速度Nin[rpm]とは同じである。
図1に示すように、車両10は、エンジン12などの制御に関連する車両10の制御装置を含むコントローラとしての電子制御装置100を備えている。電子制御装置100は、例えばCPU、RAM、ROM、入出力インターフェース等を備えた所謂マイクロコンピュータを含んで構成されており、CPUはRAMの一時記憶機能を利用しつつ予めROMに記憶されたプログラムに従って信号処理を行うことにより車両10の各種制御を行う。
電子制御装置100には、車両10に備えられた各種センサ等(例えばエンジン回転速度センサ50、回転速度センサ52、トルクセンサ54、アクセル開度センサ56、車速センサ58など)による検出値に基づく各種信号等(例えばエンジン回転速度Neすなわち入力側回転部材18aの入力側回転速度Nin、動力伝達機構16の内部部品の回転速度である変速機出力軸24の回転速度Nmout、変速機入力軸32のトルクすなわちトルクリミッタ18の出力側回転部材18bの出力側トルクTout、アクセル開度θacc、車速Vなど)が、それぞれ供給される。なお、トルクセンサ54は、例えばひずみゲージ式又は渦電流式等のトルクセンサであり、トルクセンサ54は、例えば図1に示すように手動変速機22の変速機入力軸32に設けられている。
電子制御装置100からは、車両10に備えられた各装置(例えばエンジン制御装置20など)に各種指令信号(例えばエンジン12を制御する為のエンジン制御指令信号Seなど)が、それぞれ出力される。
電子制御装置100は、車両10における各種制御を実現する為に、診断手段すなわち診断部102と、表示制御手段すなわち表示制御部104と、エンジン制御手段すなわちエンジン制御部106と、を備えている。
診断部102は、第1判定手段すなわち第1判定部102aと、第2判定手段すなわち第2判定部102bと、を備えている。診断部102は、第1判定部102aと第2判定部102bとからそれぞれ判定される判定結果からトルクリミッタ18に滑りが発生していることや動力伝達機構16に故障が発生していることを診断する。
第1判定部102aは、回転速度差算出手段すなわち回転速度差算出部102cを備えている。回転速度差算出部102cは、トルクリミッタ18において入力側回転部材18aの入力側回転速度Nin[rpm]と出力側回転部材18bの出力側回転速度Nout[rpm]との差ΔN(=Nin-Nout)[rpm]を算出する。なお、入力側回転速度Ninは、エンジン回転速度センサ50から検出されたエンジン回転速度Neから求められるようになっている。又、出力側回転速度Noutは、回転速度センサ52から検出された手動変速機22の変速機出力軸24の回転速度Nmoutと、回転速度センサ52で回転速度Nmoutが検出されたときに手動変速機22で成立している変速段の変速比とによって求められるようになっている。
第1判定部102aは、回転速度差算出部102cで入力側回転速度Ninと出力側回転速度Noutとの差ΔNが算出されると、回転速度差算出部102cで算出された差ΔNの絶対値|ΔN|が予め定められた第1閾値Nthr[rpm]よりも大きいか否かを判定する。なお、第1閾値Nthrは、トルクリミッタ18に滑りが発生しているか否かを判定するために予め設定された零回転に近い判定値である。
第2判定部102bは、トルクリミッタ18の出力側回転部材18bの出力側トルクTout[Nm]が予め設定された第2閾値T0[Nm]よりも小さいか否かを判定する。又、第2閾値T0は、出力側トルクToutにおいて動力伝達機構16に故障が発生してトルクリミッタ18の出力側回転部材18bに十分なトルクが伝えられない領域の上限値であり、第2閾値T0は、動力伝達機構16に故障が発生しているか否かを判定するために予め設定された判定値である。
診断部102は、第1判定部102aで入力側回転速度Ninと出力側回転速度Noutとの差ΔNの絶対値が第1閾値Nthrよりも大きいと(|ΔN|>Nthr)判定され、且つ、第2判定部102bで出力側トルクToutが第2閾値T0以上(Tout≧T0)であると判定されると、トルクリミッタ18に滑りが発生していると診断する。又、診断部102は、第1判定部102aで入力側回転速度Ninと出力側回転速度Noutとの差ΔNの絶対値が第1閾値Nthrよりも大きいと(|ΔN|>Nthr)判定され、且つ、第2判定部102bで出力側トルクToutが第2閾値T0よりも小さいと(Tout<T0)判定されると、動力伝達機構16すなわち手動変速機22に故障が発生していると診断する。
表示制御部104は、診断部102でトルクリミッタ18に滑りが発生していると診断されると、図示しない第1警告灯を点灯させて、運転者にトルクリミッタ18に滑りが発生していることを通知する。又、表示制御部104は、診断部102で動力伝達機構16に故障が発生していると診断されると、図示しない第2警告灯を点灯させて、運転者に動力伝達機構16に故障が発生していることを通知する。
エンジン制御部106は、例えば駆動要求量マップにアクセル開度θacc[%]及び車速V[km/h]を適用することで、運転者による車両10に対する駆動要求量を算出する。前記駆動要求量マップは、予め実験的に或いは設計的に求められて記憶された関係すなわち予め定められた関係である。前記駆動要求量は、例えば駆動輪14における要求駆動トルクTrdem[Nm]である。エンジン制御部106は、伝達損失、補機負荷、手動変速機22の変速段(変速比)等を考慮して、要求駆動トルクTrdemを実現するエンジントルクTeが得られるように、エンジン制御指令信号Seをエンジン制御装置20へ出力する。
又、エンジン制御部106は、診断部102でトルクリミッタ18に滑りが発生していると診断されると、診断部102でトルクリミッタ18に滑りが発生していると診断されたときの出力側トルクToutに応じてエンジントルクTeを低減する。エンジン制御部106は、例えば、診断部102でトルクリミッタ18に滑りが発生していると診断されると、出力側トルクToutよりもエンジントルクTeが小さくなるようにエンジントルクTeを低減する。
又、エンジン制御部106は、診断部102で動力伝達機構16に故障が発生していると診断されると、エンジン12を停止する。
図2は、電子制御装置100の制御作動の要部を説明するフローチャートであり、車両走行中においてトルクリミッタ18に滑りが発生していることや動力伝達機構16に故障が発生していることをそれぞれ診断する制御の制御作動を説明するフローチャートである。
図2に示すように、先ず、回転速度差算出部102cの機能に対応するステップ(以下、ステップを省略する)S10において、入力側回転速度Ninと出力側回転速度Noutとの差ΔNが算出される。次に、第1判定部102aの機能に対応するS20において、S10で算出された差ΔNの絶対値|ΔN|が第1閾値Nthrよりも大きいか否かが判定される。S20の判定が否定される場合には、本ルーチンが終了させられる。S20の判定が肯定される場合すなわち差ΔNの絶対値|ΔN|が第1閾値Nthrよりも大きい場合(|ΔN|>Nthr)には、第2判定部102bの機能に対応するS30が実行される。
S30では、出力側トルクToutが第2閾値T0よりも小さいか否かが判定される。S30の判定が肯定される場合すなわち出力側トルクToutが第2閾値T0よりも小さい場合(Tout<T0)には、診断部102の機能に対応するS40が実行される。S30の判定が否定される場合すなわち出力側トルクToutが第2閾値T0以上である場合(Tout≧T0)には、診断部102の機能に対応するS50が実行される。S40では、動力伝達機構16に故障が発生していると診断される。S50では、トルクリミッタ18に滑りが発生していると診断される。
次に、表示制御部104およびエンジン制御部106の機能に対応するS60では、S40で動力伝達機構16に故障が発生していると診断されると、運転者に動力伝達機構16に故障が発生していることが通知されるとともにエンジン12が停止させられる。又、表示制御部104およびエンジン制御部106の機能に対応するS70では、S50でトルクリミッタ18に滑りが発生していると診断されると、運転者にトルクリミッタ18に滑りが発生していることが通知されるとともにエンジントルクTeが低減させられる。
上述のように、本実施例の車両10の電子制御装置100によれば、第1判定部102aで入力側回転速度Ninと出力側回転速度Noutとの差ΔNの絶対値が第1閾値Nthrよりも大きいと判定され、且つ、第2判定部102bで出力側トルクToutが第2閾値T0以上であると判定される場合には、診断部102でトルクリミッタ18に滑りが発生していると診断され、第1判定部102aで入力側回転速度Ninと出力側回転速度Noutとの差ΔNの絶対値が第1閾値Nthrよりも大きいと判定され、且つ、第2判定部102bで出力側トルクToutが第2閾値T0よりも小さいと判定される場合には、診断部102で動力伝達機構16に故障が発生していると診断されるので、診断部102によってトルクリミッタ18に滑りが発生していることや動力伝達機構16に故障が発生していることを正確に判別することができる。
また、本実施例の車両10の電子制御装置100によれば、出力側トルクToutは、動力伝達機構16に設けられたトルクセンサ54から求められる。このため、トルクセンサ54によって出力側トルクToutを高精度に推定することができる。
また、本実施例の車両10の電子制御装置100によれば、診断部102で動力伝達機構16に故障が発生していると診断された場合には、エンジン12を停止させる。このため、エンジン12が駆動され続けることによる動力伝達機構16での更なる故障(動力伝達機構16での2次故障)を防止することができる。
また、本実施例の車両10の電子制御装置100によれば、診断部102でトルクリミッタ18に滑りが発生していると診断された場合には、出力側トルクToutに応じてエンジントルクTeを低減させる。このため、トルクリミッタ18での滑りが抑制されて、トルクリミッタ18の耐久性の低下が抑制される。
また、本実施例の車両10の電子制御装置100によれば、診断部102で動力伝達機構16に故障が発生していると診断されると、運転者に動力伝達機構16に故障が発生していることを通知し、診断部102でトルクリミッタ18に滑りが発生していると診断されると、運転者にトルクリミッタ18に滑りが発生していることを通知する。このため、診断部102で動力伝達機構16に故障が発生していると診断されると、運転者に動力伝達機構16の点検又は交換を促すことができ、診断部102でトルクリミッタ18に滑りが発生していると診断されると、運転者にトルクリミッタ18の点検又は交換を促すことができる。
次に、本発明の他の実施例を説明する。なお、以下の説明において実施例相互に共通する部分には同一の符号を付して説明を省略する。
図3は、本発明の他の実施例(実施例2)の車両200の構成を説明する図である。本実施例の車両200は、トルクセンサ54が設けられていない点と、手動変速機22にかえて動力伝達機構16に電気式の無段変速機202が設けられている点と、車両200の電子制御装置(制御装置)204の機能が電子制御装置100の機能と一部異なる点と、で相違しており、その他は実施例1の車両10と略同じである。なお、電子制御装置204は、出力側トルクToutを推定する機能を有するトルク推定部102dが第2判定部102bに備えられている点と、エンジン制御部106にかえてハイブリッド制御部108が設けられている点と、回転速度差算出部102cにおいて出力側回転速度Nout(キャリアCAの回転速度Nc)が電気式の無段変速機202に設けられたサンギヤSの回転速度NsとリングギヤRの回転速度Nrとから求められている点と、で相違しており、その他は電子制御装置100と略同じである。回転速度Nsは、例えば、第1電動機MG1のレゾルバから求められ、回転速度Nrは、例えば、第2電動機MG2のレゾルバから求められる。なお、サンギヤSの回転速度NsおよびリングギヤRの回転速度Nrは、動力伝達機構16すなわち無段変速機202の内部部品の回転速度である。
電気式の無段変速機202は、第1電動機(電動機)MG1と、エンジン12の駆動力を第1電動機MG1および電気式の無段変速機202の出力回転部材である変速機出力軸206に機械的に分割する動力分割機構としての差動機構208と、を備えている。なお、変速機出力軸206には、第2電動機MG2が動力伝達可能に連結されている。無段変速機202は、第1電動機MG1の運転状態が制御されることにより差動機構208の差動状態が制御される。無段変速機202は、変速比(ギヤ比ともいう)γm(=エンジン回転速度Ne/MG2回転速度Nm)が変化させられる電気的な無段変速機として作動させられる。エンジン回転速度Neは、トルクリミッタ18に滑りが発生していない場合において無段変速機202の入力回転速度すなわち変速機入力軸210の回転速度と同値である。MG2回転速度Nmは、第2電動機MG2の回転速度であり、無段変速機202の出力回転速度すなわち変速機出力軸206の回転速度と同値である。
差動機構208は、シングルピニオン型の遊星歯車装置にて構成されており、サンギヤS、キャリアCA、及びリングギヤRを備えている。キャリアCAは、変速機入力軸210を介してトルクリミッタ18の出力側回転部材18bに動力伝達可能に連結されている。サンギヤSは、第1電動機MG1に動力伝達可能に連結されている。リングギヤRは、第2電動機MG2に動力伝達可能に連結されている。差動機構208において、キャリアCAは入力要素として機能し、サンギヤSは反力要素として機能し、リングギヤRは出力要素として機能する。
第1電動機MG1及び第2電動機MG2は、電動機(モータ)としての機能及び発電機(ジェネレータ)としての機能を有する回転電気機械であって、所謂モータジェネレータである。第1電動機MG1および第2電動機MG2は、各々、車両200に備えられたインバータ212を介して、車両200に備えられたバッテリ(蓄電装置)214に接続されている。第1電動機MG1および第2電動機MG2は、各々、後述する電子制御装置204によってインバータ212が制御されることにより、第1電動機MG1の出力トルクであるMG1トルクTg及び第2電動機MG2の出力トルクであるMG2トルクTmが制御される。
エンジン12からの駆動力を少なくとも用いて走行するバイブリッド走行では、差動機構208において、キャリアCAに入力される正トルクのエンジントルクTeに対して、第1電動機MG1による負トルクの反力トルクとなるMG1トルクTgすなわち第1電動機MG1の発電(回生)トルクTgがサンギヤSに入力されると、リングギヤRには正回転にて正トルクとなるエンジン直達トルクTd(=Te/(1+ρ)=-(1/ρ)×Tg)が現れる。第1電動機MG1は、正回転にて負トルクを発生する場合には発電機として機能する。すなわち、第1電動機MG1は、エンジン12からの駆動力によって発電する。第1電動機MG1の発電電力Wgは、バッテリ214に充電されたり、第2電動機MG2にて消費される。第2電動機MG2は、発電電力Wgの全部又は一部を用いて、或いは発電電力Wgに加えてバッテリ214からの電力を用いて、MG2トルクTmを出力する。すなわち、第2電動機MG2は、第1電動機MG1で発電された電力やバッテリ214に充電された電力によって駆動輪14に駆動力を伝達する。なお、上記「ρ」は、差動機構208を構成する遊星歯車装置のギヤ比(=サンギヤSの歯数/リングギヤRの歯数)である。
トルク推定部102dは、第1電動機MG1の発電トルクTgから式(1)を用いて出力側トルクToutを推定する。なお、発電トルクTgは、電子制御装置204からインバータ212に出力される電動機制御指令信号Smgから推定されるようになっている。又、電動機制御指令信号Smgは、第1電動機MG1および第2電動機MG2をそれぞれ制御するための指令信号である。なお、第2判定部102bは、トルク推定部102dで推定された出力側トルクToutが第2閾値T0よりも小さいか否かを判定する。
Tout=-Tg×ρ/(1+ρ) ・・・(1)
ハイブリッド制御部108は、エンジン12の作動を制御するエンジン制御手段すなわちエンジン制御部としての機能と、インバータ212を介して第1電動機MG1および第2電動機MG2の作動を制御する電動機制御手段すなわち電動機制御部としての機能を含んでおり、それら制御機能によりエンジン12、第1電動機MG1、および第2電動機MG2によるハイブリッド駆動制御等を実行する。ハイブリッド制御部108は、予め定められた関係(例えば駆動力マップ)にアクセル開度θaccおよび車速Vを適用することで要求駆動パワーPrdem(見方を換えれば、そのときの車速Vにおける要求駆動トルクTrdem)を算出する。ハイブリッド制御部108は、バッテリ214の充放電可能電力Win、Wout等を考慮して、要求駆動パワーPrdemを実現するように、エンジン12、第1電動機MG1、および第2電動機MG2を制御する指令信号(エンジン制御指令信号Seおよび電動機制御指令信号Smg)を出力する。
ハイブリッド制御部108は、診断部102でトルクリミッタ18に滑りが発生していると診断されると、診断部102でトルクリミッタ18に滑りが発生していると診断されたときの出力側トルクToutよりもエンジントルクTeが小さくなるようにエンジントルクTeを低減するとともに、その低減されたエンジントルクTe分のトルクを第2電動機MG2で出力する。又、ハイブリッド制御部108は、診断部102でトルクリミッタ18に滑りが発生していると診断されると、診断部102でトルクリミッタ18に滑りが発生していないと診断される場合に比べてバッテリ214の目標充電残量SOCtgt[%]を高くする。なお、バッテリ214の目標充電残量SOCtgtは、診断部102でトルクリミッタ18に滑りが発生していると診断されたときの出力側トルクToutに応じて変更する。例えば、出力側トルクToutが高いほど目標充電残量SOCtgtが高くなるように変更する。
又、ハイブリッド制御部108は、診断部102で動力伝達機構16すなわち無段変速機202に故障が発生していると診断されると、エンジン12、第1電動機MG1、および第2電動機MG2を停止する。
上述のように、本実施例の車両200の電子制御装置204によれば、動力伝達機構16には、エンジン12からの駆動力によって発電する第1電動機MG1が備えられており、出力側トルクToutは、第1電動機MG1の発電トルクTgから推定される。このため、例えば実施例1に示すようなトルクセンサ54を設けることなく安価に出力側トルクToutを推定することができる。
また、本実施例の車両200の電子制御装置204によれば、診断部102でトルクリミッタ18に滑りが発生していると診断された場合には、出力側トルクToutに応じてエンジン12のエンジントルクTeを低減させる。このため、トルクリミッタ18での滑りが抑制されて、トルクリミッタ18の耐久性の低下が抑制される。
また、本実施例の車両200の電子制御装置204によれば、動力伝達機構16には、エンジン12からの駆動力によって発電する第1電動機MG1と、第1電動機MG1で発電された電力やバッテリ214に充電された電力によって駆動輪14に駆動力を伝達する第2電動機MG2と、が備えられており、診断部102でトルクリミッタ18に滑りが発生していると診断された場合には、トルクリミッタ18に滑りが発生していない場合に比べてバッテリ214の目標充電残量SOCtgtを高くするとともに、診断部102でトルクリミッタ18に滑りが発生していると診断されることによって低減されたエンジン12のエンジントルクTeを第2電動機MG2で出力する。このため、充電残量が増えたバッテリ214の電力を用いて、第2電動機MG2によってエンジン12で低下されたトルク分を好適に補うことができる。
また、本実施例の車両200の電子制御装置204によれば、バッテリ214の目標充電残量SOCtgtは、診断部102でトルクリミッタ18に滑りが発生していると診断されたときの出力側トルクToutに応じて変更する。このため、バッテリ214の充電残量が目標充電残量SOCtgtを超え難くなりできるかぎりエンジン12のパワーだけで走行することができるので、目標充電残量SOCtgtを超える充電残量を減らすために例えば第2電動機MG2を駆動させることが少なくなる。これによって、バッテリ214の寿命を好適に保護することができる。
図4は、本発明の他の実施例(実施例3)の車両300の構成を説明する図である。本実施例の車両300は、トルクセンサ54が設けられていない点と、車両300の電子制御装置(制御装置)302の機能が電子制御装置100の機能と一部異なる点と、で相違しており、その他は実施例1の車両10と略同じである。なお、電子制御装置302は、出力側トルクToutを推定する機能を有するトルク推定部102eが第2判定部102bに備えられている点で相違しており、その他は電子制御装置100と略同じである。
トルク推定部102eは、駆動輪14の回転角加速度(d(Nload)/dt)[rad/sec]から式(2)を用いて出力側トルクToutを推定する。なお、式(2)において、「Iload」は駆動輪14のイナーシャ(回転慣性)[kg・m]であり、「Nload」は駆動輪14の回転角速度[rad/sec]であり、「γ」は動力伝達機構16のギヤ比(=変速機入力軸32の回転速度/車軸28の回転速度)である。又、駆動輪14の回転角加速度(d(Nload)/dt)は、例えば、サンプリング同期毎の左右の駆動輪14の平均の回転角速度Nloadの差分から求められる。なお、第2判定部102bは、トルク推定部102eで推定された出力側トルクToutが第2閾値T0よりも小さいか否かを判定する。
Tout=Iload×(d(Nload)/dt)/γ ・・・(2)
上述のように、本実施例の車両300の電子制御装置302によれば、出力側トルクToutは、駆動輪14の回転角加速度(d(Nload)/dt)から推定される。このため、例えば実施例1のようなトルクセンサ54を設けることなく安価に出力側トルクToutを推定することができる。
以上、本発明の実施例を図面に基づいて詳細に説明したが、本発明はその他の態様においても適用される。
例えば、前述の実施例1、3において、トルクリミッタ18の出力側回転速度Noutは、動力伝達機構16の内部部品の回転速度である変速機出力軸24の回転速度Nmoutに基づいて求められていたが、例えば、変速機出力軸24以外の動力伝達機構16の内部部品の回転速度に基づいて出力側回転速度Noutを求めても良い。
また、前述の実施例では、車両10、200、300にエンジン12が設けられていたが、エンジン12にかえてエンジン12以外の原動機例えばモータ(電動機)等が設けられていても良い。
また、前述の実施例1では、診断部102で動力伝達機構16に故障が発生していると診断されるとエンジン12を停止させたが、例えば、診断部102で動力伝達機構16に故障が発生していると診断されると車両10の車両走行システムを停止させても良い。
また、前述の実施例2の車両200は、エンジン12の駆動力を発電用と駆動用とに分割(スプリット)するハイブリッド車両であったが、本発明は、例えば、発電専用のエンジンと、前記発電専用のエンジンの駆動力によって発電する発電機と、前記発電機で発電した電力を用いて駆動する走行用の電動機と、を備えるシリーズ型のハイブリッド車両にも適用することができる。なお、前記シリーズ型のハイブリッド車両では、前記発電専用のエンジンと前記発電機との間にトルクリミッタ18が設けられている。このため、前記シリーズ型のハイブリッド車両では、実施例2と同様に、前記発電機の発電トルクから出力側トルクToutを算出することができる。
尚、上述したのはあくまでも一実施形態であり、本発明は当業者の知識に基づいて種々の変更、改良を加えた態様で実施することができる。
10、200、300:車両
12:エンジン(原動機)
14:駆動輪
16:動力伝達機構
18:トルクリミッタ
24:変速機出力軸(内部部品)
100、204、302:電子制御装置(制御装置)
102:診断部
102a:第1判定部
102b:第2判定部
102c:回転速度差算出部
Nin:入力側回転速度
Nmout、Nr、Ns:回転速度
Nout:出力側回転速度
Nthr:第1閾値
R:リングギヤ(内部部品)
S:サンギヤ(内部部品)
Tout:出力側トルク
T0:第2閾値
ΔN:差

Claims (1)

  1. 原動機と、前記原動機からの駆動力を駆動輪に伝達する動力伝達機構と、前記原動機と前記動力伝達機構との間の動力伝達経路に設けられ、前記原動機と前記動力伝達機構との間で伝達されるトルクを制限するトルクリミッタと、を備えた車両の、制御装置であって、
    前記動力伝達機構の内部部品の回転速度に基づいて求められた前記トルクリミッタの出力側回転速度と、前記トルクリミッタの入力側回転速度との差の絶対値が第1閾値よりも大きいか否かを判定する第1判定部と、
    前記トルクリミッタの出力側トルクが第2閾値よりも小さいか否かを判定する第2判定部と、
    前記第1判定部で前記入力側回転速度と前記出力側回転速度との差の絶対値が前記第1閾値よりも大きいと判定され、前記第2判定部で前記出力側トルクが前記第2閾値以上であると判定される場合には、前記トルクリミッタに滑りが発生していると診断し、前記第1判定部で前記入力側回転速度と前記出力側回転速度との差の絶対値が前記第1閾値よりも大きいと判定され、前記第2判定部で前記出力側トルクが前記第2閾値よりも小さいと判定される場合には、前記動力伝達機構に故障が発生していると診断する診断部と、
    を備えることを特徴とする車両の制御装置。
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