JP2022123829A - 被膜形成方法、及び構造体 - Google Patents

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Abstract

【課題】第1被覆材と第2被覆材の密着性に優れるとともに、さらには温度上昇時に、安定した炭化断熱層を形成することができ、優れた耐熱保護性能を確保することができる被膜形成方法を提供する。【解決手段】本発明は、基材に対し、第1被覆材、及び第2被覆材を塗付する被膜形成方法であって、上記第1被覆材は、その被膜が温度上昇によって炭化断熱層を形成するものであり、上記第1被覆材及び第2被覆材は、樹脂成分としてポリオール成分(A)及びポリイソシアネート成分(B)を含み、上記第2被覆材は、上記第1被覆材のポリオール成分(A1)よりも水酸基価の大きいポリオール成分(A2)を含むことを特徴とする。【選択図】なし

Description

本発明は、新規な被膜形成方法に関する。
鋼材や、コンクリート、木材、合成樹脂等の基材を火災から保護する目的として、火災時等の温度上昇によって発泡し、炭化断熱層を形成する被覆材が種々提案されている。このような被覆材としては、合成樹脂に、発泡剤、炭化剤、難燃剤等を配合したものが知られている。このような被覆材は、その被膜厚によって、耐熱保護性能が決定されることが多く、目的の耐熱保護性能を得るためには、所定の被膜厚で均一になるように塗付することが重要であり、中でも、合成樹脂の選択が重要となる。例えば、厚塗り用の被覆材として、ポリオール成分とポリイソシアネート成分からなるウレタン樹脂組成物に、難燃剤、発泡剤、炭化剤を配合した被覆材が開発されている(例えば、特許文献1)。
しかし、炭化断熱層を形成する被覆材の被膜は、耐久性に劣る場合がある。これに対し、被膜の耐久性等を高め、さらに種々の色彩を付与すること等を目的として、被膜上に第2被覆材を積層することが行われている。
特開平5-70540号公報
しかしながら、第2被覆材を積層する場合、第2被覆材の種類によっては、十分な密着性が得られず、耐久性、美観性等の向上効果が得られ難い場合があった。本発明はこのような課題に鑑みなされたもので、第2被覆材との密着性に優れるとともに、さらには温度上昇時に、安定した炭化断熱層を形成することができ、優れた耐熱保護性能を確保することができる被膜形成方法を提供することを目的とする。
このような課題を解決するために本発明者らは、基材に対し、特定のポリオール成分、ポリイソシアネート成分を含む第1被覆材及び第2被覆材を塗付することにより、密着性に優れるとともに、基材の耐熱保護性能を高める被膜を形成することができることを見出し、本発明の完成に至った。
すなわち、本発明は以下の特徴を有するものである。
1.基材に対し、第1被覆材、及び第2被覆材を塗付する被膜形成方法であって、
上記第1被覆材は、その被膜が温度上昇によって炭化断熱層を形成するものであり、
上記第1被覆材及び第2被覆材は、樹脂成分としてポリオール成分(A)及びポリイソシアネート成分(B)を含み、
上記第2被覆材は、上記第1被覆材のポリオール成分(A1)よりも水酸基価の大きいポリオール成分(A2)を含むことを特徴とする被膜形成方法。
2.上記第1被覆材及び第2被覆材は、上記ポリオール成分(A)としてポリエーテルポリオール(Ax)を含み、
上記第2被覆材は、上記第1被覆材のポリエーテルポリオール(Ax1)よりも水酸基価の大きいポリエーテルポリオール(Ax2)を含むことを特徴とする1.に記載の被膜形成方法。
3.上記ポリエーテルポリオール(Ax2)は、水酸基価が50mgKOH/g以上のポリエーテルポリオールを含むことを特徴とする1.または2.に記載の被膜形成方法。
4.基材に対し、第1被覆材により形成される第1被膜、第2被覆材により形成される第2被膜を有する構造体であって、
上記第1被膜は、温度上昇によって炭化断熱層を形成するものであり、
上記第1被覆材及び第2被覆材は、樹脂成分としてポリオール成分(A)及びポリイソシアネート成分(B)を含み、
上記第2被覆材は、上記第1被覆材のポリオール成分(A1)よりも水酸基価の大きいポリオール成分(A2)を含むことを特徴とする構造体。
本発明は、基材に対し、第1被覆材、及び第2被覆材を塗付する被膜形成方法であって、上記第1被覆材層は、温度上昇によって炭化断熱層を形成するものであり、上記第1被覆材及び第2被覆材は、樹脂成分としてポリオール成分(A)及びポリイソシアネート成分(B)を含み、上記第2被覆材は、上記第1被覆材のポリオール成分(A1)よりも水酸基価の大きいポリオール成分(A2)を含むことにより、密着性、耐久性、美観性等に優れるとともに、基材の耐熱保護性能を高めることができる被膜を形成することができる。
以下、本発明をその実施の形態に基づき詳細に説明する。
本発明の被膜形成方法は、基材に対し、第1被覆材、及び第2被覆材を順に塗付することを特徴とするものである。まず、各構成について説明する。
<基材>
本発明の対象となる基材としては、建築物・土木構築物等の構造物、具体的に、壁、柱、床、梁、屋根、階段、天井、戸等の各種基材が挙げられる。このような基材としては、例えば、コンクリート、モルタル、サイディングボード、押出成形板、石膏ボード、パーライト板、煉瓦、プラスチック、木材、金属、鉄骨(鋼材)、ガラス、磁器タイル等が挙げられる。これら基材は、その表面に、既に被膜が形成されたもの、何らかの下地処理(防錆処理、難燃処理等)が施されたもの、壁紙が貼り付けられたもの等であってもよい。本発明は上記基材の耐熱保護性、美観性等を高めるものであり、特に、鉄骨(鋼材)の耐熱保護性、美観性等を高めるのに最適な被膜形成方法である。
<第1被覆材>
本発明では、上記基材に対して、第1被覆材を塗付し、第1被膜を形成する。このような第1被覆材は、その被膜(第1被膜)が火災等の温度上昇(加熱)により炭化断熱層を形成することを特徴とする。具体的に、第1被膜は、温度上昇(好ましくは被膜表面温度が200℃以上、さらに好ましくは250℃以上)によって、優れた発泡性を有し、炭化断熱層を形成することにより基材の耐熱保護性能を高めることができる。
第1被覆材は、樹脂成分として、ポリオール成分(A)及びポリイソシアネート成分(B)を必須成分として含む。前記ポリオール成分(A)とポリイソシアネート成分(B)は、反応して被膜を形成する成分である。なお、第1被覆材のポリオール成分(A)を「ポリオール成分(A1)」、ポリイソシアネート成分(B)を「ポリイソシアネート成分(B1)」とする。
ポリオール成分(A1)としては、例えば、ポリエーテルポリオール、ポリエステルポリオール、ひまし油、ひまし油変性ポリオール、エポキシ変性ポリオール、シリコーン変性ポリオール、フッ素変性ポリオール、アクリルポリオール、ポリカーボネートポリオール、ポリラクトンポリオール、ポリブタジエンポリオール、ポリペンタジエンポリオール等が挙げられる。これらから選ばれる1種または2種以上を含むことができる。これらのポリオールは、20℃において液体であることが好ましく、溶剤可溶型、非水ディスパージョン(NAD)型等の形態でも使用することができる。
上記ポリオール成分(A1)の水酸基価は好ましくは1~250mgKOH/g(より好ましくは3~150mgKOH/g)である。このようなポリオール成分(A1)成分を含有することによって、本発明の効果を発揮することができる。なお、ここに言う水酸基価とは、固形分1gに含まれる水酸基と等モルの水酸化カリウムのmg数によって表される値(KOHmg/g)である。また、本発明において「α~β」は「α以上β以下」と同義である。
本発明では、ポリオール成分(A1)として、ポリエーテルポリオール(Ax1)を含むことが好ましい。これにより、被膜の温度上昇(好ましくは被膜表面温度が200℃以上、さらに好ましくは250℃以上)によって、優れた発泡性を有し、基材の耐熱保護性能を高めることができる。
上記ポリエーテルポリオール(Ax1)は、例えば、トリメチロールプロパン、グリセリン、ヘキサントリオール、ペンタエリスリトール誘導体、ソルビトール、ネオペンチルグリコール等の多価アルコール類と、エチレンオキサイド、プロピレンオキサイド等のアルキレンオキサイドとの付加重合により得られるものである。本発明では、上記多価アルコール類と、エチレンオキサイド及び/またはプロピレンオキサイドとの付加重合により得られる重合体が好適であり、末端にエチレンオキサイド及び/またはプロピレンオキサイドが付加されたものも使用できる。さらに、上記のポリエーテルポリオールとして、活性水素原子を有する官能基(水酸基)が3つ以上(官能基数3以上)のポリエーテルポリオールを含むことが好ましい。この場合、硬化性に優れ、安定して被膜を形成することができるため本発明の効果が得られやすい。活性水素原子を有する官能基としては水酸基が好適である。
このようなポリエーテルポリオール(Ax1)としては、水酸基価が好ましくは1~250mgKOH/g(より好ましくは5~180mgKOH/g、さらに好ましくは8~100mgKOH/g、特に好ましくは10~35mgKOH/g)である。このようなポリオール成分(Ax1)を使用することにより、いっそう優れた発泡性を発揮し、基材の耐熱保護性能を高めることができる。
上記ポリエーテルポリオール(Ax1)は、その分子量が、好ましくは500以上(より好ましくは1000以上、さらに好ましくは3000以上、特に好ましくは5000以上、最も好ましくは6500以上)であり、その上限は、好ましくは20000以下(より好ましくは18000以下、さらに好ましくは15000以下、最も好ましくは12000以下)である。ポリオール成分(A1)として、このようなポリエーテルポリオール(Ax1)を含むことにより、被膜の温度上昇(好ましくは被膜表面温度が200℃以上、さらに好ましくは250℃以上)によって、優れた発泡性を示し、基材の耐熱保護性能を高めることができる。なお、本発明においてポリオール成分の分子量は、数平均分子量(Mn)であり、ポリスチレン重合体をリファレンスとして用い、ゲルパーミエーションクロマトグラフィーによって求めた、いわゆるポリスチレン換算分子量である。
上記ポリエーテルポリオール(Ax1)の含有量は、ポリオール成分(A1)の全量に対して、70重量%以上(より好ましくは80重量%以上、さらに好ましくは90重量%以上)であることが好ましい。また、上記ポリオール成分(A1)が、ポリエーテルポリオール(Ax1)のみの態様であってもよい。
本発明では、ポリオール成分(A1)として、さらにフッ素含有ポリオール(Ay1)を含むことが好ましい。これにより、樹脂成分の難燃性を高めるとともに、火災等による温度上昇の際には、被膜が優れた発泡性を発揮し炭化断熱層を形成し、高温雰囲気下でも灰化・収縮を抑制することができ、基材の耐熱保護性能を高めることができる。
このようなフッ素含有ポリオール(Ay1)としては、特に限定されないが、例えば、フルオロオレフィンモノマー、フルオロアルキル基含有アクリル系モノマー等の含フッ素モノマーと、水酸基含有ビニル系モノマーと、必要に応じて他の重合性モノマーとを共重合することにより得られるものである。フルオロオレフィンモノマーしては、例えば、テトラフルオロエチレン、クロロトリフルオロエチレン、ヘキサフルオロプロピレン等のパーフルオロオレフィン類、フッ化ビニル、フッ化ビニリデン等が挙げられる。フルオロアルキル基含有アクリル系モノマーとしては、例えば、パーフルオロメチルメタクリレート、パーフルオロイソノニルメチルメタクリレート、2-パーフルオロオクチルエチルアクリレート、2-パーフルオロオクチルエチルメタクリレート、トリフルオロエチルアクリレート等が挙げられる。これらは1種または2種以上で使用できる。本発明では、好ましくはテトラフルオロエチレン、クロロトリフルオロエチレンから選ばれる1種以上、より好ましくはクロロトリフルオロエチレンを使用することが好ましい。
水酸基含有ビニル系単量体としては、例えば、ヒドロキシエチルビニルエーテル、ヒドロキシプロピルビニルエーテル、ヒドロキシブチルビニルエーテル、ヒドロキシペンチルビニルエーテル等のヒドロキシアルキルビニルエーテル;エチレングリコールモノアリルエーテル、ジエチレングリコールモノアリルエーテル、トリエチレングリコールモノアリルエーテル等のヒドロキシアリルエーテル;2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、4-ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、4-ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート等の水酸基含有(メタ)アクリレート等が挙げられ、これらの1種または2種以上が使用できる。
その他の重合性モノマーとしては、例えば、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、イソプロピル(メタ)アクリレート、n-ブチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、n-アミル(メタ)アクリレート、イソアミル(メタ)アクリレート、n-ヘキシル(メタ)アクリレート、2-エチルヘキシル(メタ)アクリレート、オクチル(メタ)アクリレート、デシル(メタ)アクリレート、ドデシル(メタ)アクリレート、オクタデシル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート等の(メタ)アクリル酸アルキルエステル;ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリレート、ジメチルアミノ(メタ)アクリレート、アミノエチル(メタ)アクリレート、ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレート等のアミノ基含有モノマー;アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸、マレイン酸またはそのモノアルキルエステル、イタコン酸またはそのモノアルキルエステル、フマル酸またはそのモノアルキルエステル等のカルボキシル基含有モノマー;(メタ)アクリルアミド、エチル(メタ)アクリルアミド等のアミド含有モノマー;(メタ)アクリロニトリル等のニトリル基含有モノマー;グリシジル(メタ)アクリレート等のエポキシ基含有モノマー;スチレン、メチルスチレン、クロロスチレン、ビニルトルエン等の芳香族ビニルモノマー;酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、酪酸ビニル、ピバリン酸ビニル等のビニルエステル;エチレン、プロピレン等のオレフィン系モノマー等が挙げられ、必要に応じこれらの1種または2種以上が使用できる。
このようなフッ素含有ポリオール(Ay1)としては、フッ素含有ポリオール(Ay1)固形分中のフッ素含有率が、10~50重量%(より好ましくは15~40重量%、さらに好ましくは20~35重量%)であることが好ましい。また、水酸基価が、5~100mgKOH/g(より好ましくは10~80mgKOH/g)であることが好ましい。さらに、分子量[数平均分子量(Mn)]が、5000~100000(より好ましくは8000~60000)であることが好ましい。このようなフッ素含有ポリオール(Ay1)を含むことにより、火災等による温度上昇の際には、被膜が優れた発泡性を発揮し炭化断熱層を形成し、高温雰囲気下でも灰化・収縮を抑制することができ、基材の耐熱保護性能を高めることができる。
フッ素含有ポリオール(Ay1)の含有量は、ポリオール成分(A1)の全量に対して、固形分換算で好ましくは0.1~30重量%(より好ましくは0.3~20重量%、さらに好ましくは0.5~10重量%)である。この範囲を満たすことにより、基材の耐熱保護性能を高めるとともに、第2被覆材との密着性においても好適である。
ポリイソシアネート成分(B1)としては、例えば、トルエンジイソシアネート(TDI)、4,4-ジフェニルメタンジイソシアネート(pure-MDI)、ポリメリックMDI、キシリレンジイソシアネート(XDI)、ヘキサメチレンジイソシアネート(HMDI)、イソホロンジイソシアネート(IPDI)、水添XDI、水添MDI等、あるいはこれらをアロファネート化、ビウレット化、2量化(ウレトジオン化)、3量化(イソシアヌレート化)、アダクト化、カルボジイミド化した誘導体等;及び、これらをアルコール類、フェノール類、ε-カプロラクタム、オキシム類、活性メチレン化合物類等でブロックした、ブロックイソシアネート等が挙げられ、これらから選ばれる1種または2種以上を用いることができる。
本発明では、ポリイソシアネート成分(B1)として、ヘキサメチレンジイソシアネート(HMDI)及び/またはその誘導体(以下「HMDI類」ともいう。)を含むことが好ましい。上記HMDI類の含有量は、ポリイソシアネート成分(B1)の全量に対して、90重量%以上(より好ましくは95重量%以上)であることが好ましい。また、ポリイソシアネート成分(B1)が、HMDI類のみからなる態様も好適である。また、誘導体としては、ビウレット体、及び/またはイソシアヌレート体が好適である。このような場合、形成被膜の硬化性に優れ、温度上昇時には、より優れた発泡性を発揮し、基材の耐熱保護性を高めることができる。
ポリイソシアネート成分(B1)のNCO含有量は、好ましくは10~35重量%(より好ましくは13~32重量%、さらに好ましくは15~30重量%)である。このような場合、形成被膜の硬化性に優れ、温度上昇時には、より優れた発泡性を発揮し、基材の耐熱保護性を高めることができる。
ポリオール成分(A1)とポリイソシアネート成分(B1)の混合は、ポリオール成分(A1)とポリイソシアネート成分(B1)のNCO/OH当量比で好ましくは0.6~3.5(より好ましくは1~3.0、さらに好ましくは1.1~2.5)となるような比率で行う。このような場合、硬化性に優れ、所望の厚さで均一な被膜が形成可能であり、火災等による温度上昇等には、より優れた発泡性を有し、安定した炭化断熱層を形成して基材の耐熱保護性能を高めることができる。さらに、形成被膜は、耐久性(例えば、防水性、耐透水性、耐割れ性、下地追従性等)に優れ、初期の外観(美観性)を長期にわたり維持することができるとともに、火災等による温度上昇等には、本発明の効果を十分に発揮することができる。
本発明では、ポリオール成分(A1)とポリイソシアネート成分(B1)の反応を促進する硬化触媒(P)を併用することができる。硬化触媒とはイソシアネート基が反応して硬化するのを促進させる作用を有する物質である。なお、第1被覆材の硬化触媒(P)を「硬化触媒(P1)」とする。硬化触媒(P1)としては、例えば、アミン系触媒、有機金属系触媒、及び無機系触媒等各種が挙げられる。例えば、アミン系触媒としては、エチレンジアミン、トリエチレンジアミン、トリエチルアミン、エタノールアミン、ジエタノールアミン、及び、ヘキサメチレンジアミンもしくはこれらの誘導体または溶剤との混合物等が挙げられる。有機金属系触媒としては、ジブチルスズジラウレート、ジブチルスズジアセテート等の有機金属化合物;酢酸カリウム、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸鉛、ステアリン酸アルミニウム、オクチル酸錫等の有機金属塩等が挙げられる。無機系触媒としては、塩化スズ等が挙げられる。これらは1種または2種以上で使用でき、溶剤と混合して使用することもできる。本発明では、特に、有機金属系触媒を含むことが好適である。この場合、硬化を促進するとともに、樹脂成分の硬化性を高めることができ、本発明の効果を高めることができる。
硬化触媒(P1)の含有量は、上記ポリオール成分(A1)(固形分)100重量部に対して、好ましくは0.001~5重量部(より好ましくは0.005~4重量部、さらに好ましくは0.1~3重量部)である。この場合、十分な硬化性を得ることができ、本発明の効果を高めることができる。
本発明の第1被覆材は、上記樹脂成分に加えて、例えば、発泡剤(C)、炭化剤(D)、難燃剤(E)、及び充填剤(F)等から選ばれる少なくとも1種の粉体成分を含むことができる。
発泡剤(C)としては、例えば、メラミン及びその誘導体、ジシアンジアミド及びその誘導体、アゾビステトラゾーム及びその誘導体、アゾジカーボンアミド、尿素、チオ尿素等が挙げられる。これらは、1種又は2種以上で使用することができる。発泡剤(C)の含有量は、上記樹脂成分(固形分)[上記(A1)成分と上記(B1)成分の総固形分]100重量部に対して、好ましくは10~200重量部(より好ましくは20~150重量部)である。なお、本発明の発泡剤(C)は、火災時等の温度上昇によって被膜に発泡作用を付与するものであり、具体的には、被膜表面の温度が好ましくは200℃以上となった場合に発泡作用を付与するものである。
炭化剤(D)としては、例えば、ペンタエリスリトール、ジペンタエリスリトール、トリメチロールプロパン、デンプン、カゼイン等が挙げられる。これらは、1種又は2種以上で使用することができる。本発明では、特にペンタエリスリトール、ジペンタエリスリトールが脱水冷却効果と炭化断熱層形成作用に優れている点で好ましい。炭化剤(D)の含有量は、上記樹脂成分(固形分)100重量部に対して、好ましくは10~200重量部(より好ましくは20~150重量部)である。なお、本発明の炭化剤(D)は、火災時等の温度上昇によって、上記樹脂成分の炭化とともに脱水炭化することにより、炭化断熱層を形成する作用を付与するものである。
難燃剤(E)としては、例えば、トリクレジルホスフェート、ジフェニルクレジルフォスフェート等の有機リン系化合物;塩素化ポリフェニル、塩素化ポリエチレン、塩化ジフェニル、塩化トリフェニル、塩素化パラフィン、五塩化脂肪酸エステル、パークロロペンタシクロデカン、塩素化ナフタレン、テトラクロル無水フタル酸等の塩素化合物;三酸化アンチモン、五塩化アンチモン等のアンチモン化合物;三塩化リン、五塩化リン、リン酸アンモニウム、ポリリン酸アンモニウム、リン酸メラミン、ポリリン酸メラミン、ポリリン酸メラム、ポリリン酸メレム、リン酸ホウ素、ポリリン酸ホウ素、リン酸アルミニウム、ポリリン酸アルミニウム等のリン化合物;その他ホウ酸亜鉛、ホウ酸ソーダ等の無機質化合物等が挙げられる。これらは、1種又は2種以上で使用することができる。本発明では、難燃剤(E)として、例えば、ポリリン酸メラミン、ポリリン酸メラム、ポリリン酸メラミン・メラム・メレム複塩、またはポリリン酸メラミン・メラム・メレム複塩とピロ硫酸ジメラムとの複合化合物等から選ばれる少なくとも1種以上のリン化合物を含むことが好ましく、さらには、ポリリン酸アンモニウムとこれらを併用して含むことも好ましい。難燃剤(E)の含有量は、上記樹脂成分(固形分)100重量部に対して、好ましくは50~1000重量部(より好ましくは100~800重量部)である。
充填剤(F)としては、例えば、タルク、炭酸カルシウム、炭酸ナトリウム、酸化アルミニウム(アルミナ)、酸化チタン、酸化亜鉛、シリカ、粘土、クレー、シラス、マイカ、珪砂、珪石粉、石英粉、硫酸バリウム等が挙げられる。これらは、1種又は2種以上で使用することができる。充填剤(F)の含有量は、上記樹脂成分(固形分)100重量部に対して、好ましくは3~200重量部(より好ましくは5~150重量部)である。
さらに、本発明では、上記成分に加えて金属水和物(G)、繊維(H)等を含むこともできる。金属水和物(G)は、温度上昇時に、脱水反応等による吸熱性を示すものであり、上記充填剤(F)とは異なるものである。このような金属水和物(F)としては、例えば、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム等が挙げられる。これらは1種または2種以上で使用することができる。また、金属水和物(G)の平均粒子径は、好ましくは0.1~20μm(より好ましくは0.2~15μm、さらに好ましくは0.3~8μm、最も好ましくは0.4~3μm)である。金属水和物(G)の含有量は、上記樹脂成分(固形分)100重量部に対して、好ましくは0.1~50重量部(より好ましくは0.3~30重量部)である。
本発明では、充填剤(F)と金属水和物(G)を併用することが好ましく、この場合、金属水和物(G)の含有量は、充填剤(F)に対して、好ましくは0.1~20重量%(より好ましくは0.3~15重量%)である。この場合、発泡性、特に高温下における炭化断熱層の収縮等を抑制し、安定した炭化断熱層を形成することができるため、本発明の効果を高めることができる。なお、平均粒子径は、レーザ回折式粒度分布測定装置によって測定される。
繊維(H)は、厚塗り性を高め、被膜のひび割れを抑制することができる。また、繊維(H)は、火災等による温度上昇の際には、被膜のタレ等を生じ難くすることができるとともに、被膜内部の熱伝導性を高めることができる。その結果、優れた発泡性を示し、均一な炭化断熱層を形成して、基材の耐熱保護性能を高めることができる。このような繊維(H)としては、例えば、アクリル繊維、アセテート繊維、アラミド繊維、銅アンモニア繊維(キュプラ)、ナイロン繊維、ノボロイド繊維、パルプ繊維、ビスコースレーヨン、ビニリデン繊維、ポリエステル繊維、ポリエチレン繊維、ポリ塩化ビニル繊維、ポリクラール繊維、ボリノジック繊維、ポリプロピレン繊維、セルロース繊維等の有機質繊維、炭素繊維、ロックウール繊維、ガラス繊維、シリカ繊維、アルミナ繊維、シリカ-アルミナ繊維、スラグウール繊維、セラミックファイバー、カーボン繊維、炭化珪素繊維等の無機繊維等が挙げられる。これらは、1種又は2種以上で使用することができる。
本発明では、繊維(H)として、無機繊維を含むことが好適であり、中でも、ロックウール繊維、スラグウール繊維、ガラス繊維、セラミックファイバー等の人造鉱物繊維が好適である。これにより、被膜のひび割れをよりいっそう抑制することができる。さらに、火災等による温度上昇の際には、被膜のタレ等を生じ難くすることができるとともに、被膜内部の熱伝導性をいっそう高めることができる。その結果、被膜内部(芯部)まで優れた発泡性を示し、より均一で優れた強度を有する炭化断熱層を形成し、基材の耐熱保護性能をよりいっそう高めることができる。
また、繊維(H)の大きさ(繊維長及び繊維径)は、被覆材の性能、適用基材、塗付具等の仕様に応じて設定すればよく、平均繊維長は、好ましくは10~1000μm(より好ましくは15~800μm、さらに好ましくは20~600μm)、平均繊維径は、好ましくは0.5~10μm(より好ましくは1~8μm)の範囲内であることが好適である。また、そのアスペクト比(繊維長/繊維径)は、好ましくは3~300(より好ましくは5~200)である。上記範囲を満たす場合、厚塗り性が高まり、形成被膜の割れが生じ難くなるとともに、火災等による温度上昇の際には、被膜のタレ等を生じ難くすることができ、安定した炭化断熱層を形成することができる。繊維(H)の含有量は、上記樹脂成分(固形分)100重量部に対して、好ましくは0.5~30重量部(より好ましくは1~25重量部)である。
本発明の第1被覆材としては、上記(C)成分~上記(H)成分等の粉体成分を含む被覆材(発泡性耐火被覆材)であり、上記ポリオール成分(A1)の固形分100重量部に対し、粉体成分を100~1000重量部(より好ましくは150~900重量部、さらに好ましくは180~800重量部)含む態様が望ましい。
また、樹脂成分(上記ポリオール成分(A1)及び上記ポリイソシアネート成分(B1))の固形分100重量部に対し、粉体成分を100~1000重量部(より好ましくは150~800重量部、さらに好ましくは180~600重量部)含む態様が望ましい。
本発明の被覆材は、さらに高沸点化合物(I)を含むことが好ましい。高沸点化合物(I)は、20℃において液体であり、沸点が100℃以上(より好ましくは150℃以上、さらに好ましくは200℃以上)の高沸点液状化合物である。このような高沸点化合物(I)を含むことにより、上記(C)成分~上記(H)成分等の粉体成分の分散安定性等を高めることができる。また、密着性にすぐれた良好な被膜を形成、特に被膜の弾性が向上し被膜の割れ等を防止することができる。さらに、その被膜が火災等によって高温に曝された場合には、被膜の適度な軟化に寄与し発泡性をよりいっそう高め、形成した炭化断熱層の脱落(剥離)等を抑制し、基材の耐熱保護性能を高めることができる。
高沸点化合物(I)としては、上記を満たすものであれば特に限定されず、例えば、フタル酸ジメチル、フタル酸ジエチル、フタル酸ジブチル、フタル酸ジヘプチル、フタル酸ジヘキシル、フタル酸ジ-2-エチルヘキシル、フタル酸ジイソノニル、フタル酸ジイソデシル、フタル酸ジウンデシル、フタル酸ブチルベンジル等のフタル酸エステル化合物;アジピン酸ジエチル、アジピン酸ジブチル、アジピン酸ジイソブチル、アジピン酸ジヘキシル、アジピン酸ジ-2-エチルヘキシル、アジピン酸ジオクチル、アジピン酸ジイソノニル、アジピン酸ジイソデシル、アジピン酸ビス(ブチルジグリコール)、セバシン酸ジエチル、セバシン酸ジブチル、セバシン酸ジヘキシル、セバシン酸ジ-2-エチルヘキシル等の脂肪族二塩基酸エステル化合物;アジピン酸-1,3ブチレングリコール系ポリエステル、アジピン酸-1,2プロピレングリコール系ポリエステル等のアジピン酸系ポリエステル;マレイン酸ジメチル、マレイン酸ジエチル、マレイン酸ジブチル、マレイン酸ジヘキシル、マレイン酸ジ-2-エチルヘキシル、マレイン酸ジイソノニル、マレイン酸ジイソデシル等のマレイン酸エステル化合物;リン酸トリエチル、リン酸トリブチル、リン酸トリ-2-エチルヘキシル、リン酸トリクレジル、リン酸トリキシレニル、リン酸クレジルジフェニル、リン酸-2エチルヘキシルジフェニル等のリン酸エステル化合物;
トリス-2-エチルヘキシルトリメリテート等のトリメット酸エステル化合物;メチルアセチルリジノレート等のリシノール酸エステル化合物;エポキシヘキサヒドロフタル酸ジ2-エチルヘキシル、エポキシヘキサヒドロフタル酸ジエポキシステアリル、エポキシ化脂肪酸ブチル、エポキシ化脂肪酸2-エチルヘキシル、エポキシ化大豆油、エポキシ化亜麻仁油等のエポキシ系エステル化合物;安息香酸グリコールエステル等の安息香酸系エステル化合物;1-フェニル-1-キシリルエタン、1-フェニル-1-エチルフェニルエタン等の芳香族炭化水素化合物、γ-ブチロラクトン等のラクトン類、石油樹脂(炭素原子数が8~10である芳香族炭化水素留分重合物)とスチリルキシレン等の混合物等が挙げられる。これらは、1種又は2種以上で使用することができる。
本発明では、高沸点化合物(I)として、フタル酸エステル化合物、脂肪族二塩基酸エステル化合物、リン酸エステル化合物から選ばれる1種以上を含むことが好ましく、さらには、アルキル基の炭素数が4~11(より好ましくは5~10、さらに好ましくは6~9)のフタル酸エステル化合物、脂肪族二塩基酸エステル化合物から選ばれる1種以上を含むことが好ましい。その具体例としては、例えば、フタル酸ジイソノニル、アジピン酸ジイソノニル等が好適である。
高沸点化合物(I)の含有量は、上記樹脂成分(固形分)100重量部に対して、好ましくは5~150重量部(より好ましくは8~100重量部、さらに好ましくは10~80重量部)である。上記範囲を満たす場合、上記粉体成分の分散性が高まり、厚塗り性に優れ、火災等による温度上昇の際には、優れた発泡性を有し、基材の耐熱保護性能を維持する効果を十分に発揮することができる。さらには、優れた仕上材層との適性を得ることができる。
その他、添加剤としては、本発明の効果を著しく阻害しないものであればよく、例えば、顔料、湿潤剤、可塑剤、硬化遅延剤、滑剤、防腐剤、防黴剤、防藻剤、抗菌剤、増粘剤、レベリング剤、分散剤、消泡剤、架橋剤、シランカップリング剤、紫外線吸収剤、光安定剤、酸化防止剤、ハロゲン捕捉剤、希釈溶媒等が挙げられる。
このうち酸化防止剤としては、例えば、リン系、硫黄系又はヒンダード型フェノール系酸化防止剤等が挙げられる。これらは1種または2種以上で使用することができる。このような酸化防止剤を含むことにより、平常時だけでなく、火災等による温度上昇に際しても被膜の劣化を抑制することができ、温度上昇によって形成される炭化断熱層の性状を高めることができる。
本発明の第1被覆材は、上記ポリオール成分(A1)を含む主剤、及び上記ポリイソシアネート成分(B1)を含む硬化剤を有する2液型の被覆材であることが好ましい。すなわち、流通時には主剤と、硬化剤とを、それぞれ別のパッケージに保存した状態とし、使用時(塗付時)にこれらを混合すればよい。この場合、上記発泡剤(C)、上記炭化剤(D)、上記難燃剤(E)、及び上記充填剤(F)(さらには、上記金属水和物(G)、繊維(H)、高沸点化合物(I)、硬化触媒(P))はそれぞれ、主剤と硬化剤の少なくとも一方に混合すればよいが、本発明では主剤に混合することが好ましい。また、主剤と硬化剤の混合時に、各成分を添加する3成分型とすることもできる。
<第2被覆材>
本発明では、上記基材面上に形成された第1被膜に対し、第2被覆材を塗付して第2被膜を形成する。第2被覆材は、第1被膜の耐久性、美観性等を高め、さらに種々の色彩等を付与することができるものである。このような第2被覆材は、樹脂成分として、ポリオール成分(A)及びポリイソシアネート成分(B)を必須成分として含む。前記ポリオール成分(A)とポリイソシアネート成分(B)は、反応して被膜を形成する成分である。なお、第2被覆材のポリオール成分(A)を「ポリオール成分(A2)」、ポリイソシアネート成分(B)を「ポリイソシアネート成分(B2)」とする。
ポリオール成分(A2)としては、上述のポリオール成分(A1)と同様のものが挙げられ、これらから選ばれる1種または2種以上を含むことができる。
本発明では、ポリオール成分(A2)として、上記ポリオール成分(A1)よりも水酸基価の大きいポリオールを含む。本発明では、上記ポリオール成分(A1)と上記ポリオール成分(A2)の水酸基価の差が、好ましくは5mgKOH/g以上(より好ましくは10mgKOH/g以上、さらに好ましくは50mgKOH/g以上、特に好ましくは100mgKOH/g以上、最も好ましくは150mgKOH/g以上)である。このような場合、平常時には第1被膜との密着性に優れ、耐久性、美観性等を高めることができる。また、ポリオール成分は、その水酸基価と比例して樹脂成分の熱分解温度が高くなる傾向にあり、第2被膜は火災時等の温度上昇初期段階では熱分解の開始を遅延することができる。その後、温度上昇に伴って溶融・分解することにより、第1被膜が均一に発泡することができ、十分な耐熱保護性を発揮することができる。
このようなポリオール成分(A2)の水酸基価は、好ましくは30~1000mgKOH/g(より好ましくは35~900mgKOH/g)である。なお、第1被覆材、第2被覆材のいずれか、または両方が複数のポリオール成分を含む場合は、第1被覆材の少なくとも1種のポリオール成分(A1)と、第2被覆材の少なくとも1種のポリオール成分(A2)とが、上記条件を満たせばよい。
本発明では、ポリオール成分(A2)として、ポリエーテルポリオール(Ax2)を含むことが好ましい。上記ポリエーテルポリオール(Ax2)は、上述のポリエーテルポリオール(Ax1)と同様のものが挙げられ、これらから選ばれる1種または2種以上を含むことができる。さらに、本発明では、ポリエーテルポリオール(Ax2)として、上記ポリエーテルポリオール(Ax1)よりも水酸基価の大きいポリオールを含むことが好ましい。本発明では、上記ポリエーテルポリオール(Ax1)と上記ポリエーテルポリオール(Ax2)の水酸基価の差が、好ましくは5mgKOH/g以上(より好ましくは10mgKOH/g以上、さらに好ましくは50mgKOH/g以上、特に好ましくは100mgKOH/g以上、最も好ましくは150mgKOH/g以上)である。平常時には第1被膜との密着性がよりいっそう高まり、美観性等を高めることができる。また、第2被膜が火災時等の温度上昇初期段階に、熱分解の開始を遅延することができる。その後、温度上昇に伴って溶融・分解することにより、第1被膜が均一に発泡することができ、十分な耐熱保護性を発揮することができる。このようなポリエーテルポリオール(Ax2)の水酸基価は、好ましくは50mgKOH/g以上(より好ましくは100mgKOH/g以上、さらに好ましくは150mgKOH/g以上、特に好ましくは200mgKOH/g以上、最も好ましくは250mgKOH/g以上)である。なお、その上限は特に限定されないが、好ましくは1000mgKOH/g以下(より好ましくは800mgKOH/g以下)である。このような場合、本発明の効果をいっそう高めることができる。
さらに、ポリエーテルポリオール(Ax2)は、上記ポリエーテルポリオール(Ax1)よりも分子量の小さいポリエーテルポリオールを含むことが好ましい。すなわち、第1被覆材としては、相対的に分子量の大きいポリエーテルポリオール(Ax1)を含み、第2被覆材としては、相対的に分子量の小さいポリエーテルポリオール(Ax2)を含むものが好ましい。これにより、密着性、耐熱保護性をいっそう高めることができる。
上記ポリエーテルポリオール(Ax1)と上記ポリエーテルポリオール(Ax2)の分子量の差は、好ましくは2000以上(より好ましくは3000以上、さらに好ましくは4000以上、特に好ましくは6000以上、最も好ましくは6500以上)である。このような場合、優れた、密着性、耐熱保護性を発揮することができる。ポリエーテルポリオール(Ax2)は、その分子量が好ましくは4000以下(より好ましくは2000以下、さらに好ましくは1000以下、特に好ましくは900以下、最も好ましくは600以下)であり、その下限は、好ましくは50以上(より好ましくは100以上、さらに好ましくは150以上)である。このような(Ax2)成分を使用することにより、密着性、耐熱保護性をよりいっそう高めることができる。
なお、第1被覆材、第2被覆材のいずれか、または両方が複数のポリエーテルポリオール(Ax)を含む場合は、第1被覆材の少なくとも1種のポリエーテルポリオール(Ax1)と、第2被覆材の少なくとも1種のポリエーテルポリオール(Ax2)とが、上記条件を満たせばよく、第1被覆材の全てのポリエーテルポリオール(Ax1)に対し、第2被覆材の全てのポリエーテルポリオール(Ax2)が上記条件を満たすことがより好ましい。
さらに、第2被覆材は、ポリオール成分(A2)として、アクリルポリオール(Az2)を含むことが好ましい。アクリルポリオール(Az2)は、(メタ)アクリル酸アルキルエステルと、水酸基含有モノマーと、必要に応じその他のモノマーとを構成成分として含み、これらを重合したものが使用できる。(メタ)アクリル酸アルキルエステルは、(メタ)アクリロイル基とアルキル基とを有する化合物である。なお、本発明では、アクリル酸アルキルエステルとメタクリル酸アルキルエステルとを併せて(メタ)アクリル酸アルキルエステルと表記している。モノマーとは、重合性不飽和二重結合を有する化合物の総称である。
このような(メタ)アクリル酸アルキルエステルとしては、例えば、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸n-プロピル、(メタ)アクリル酸イソプロピル、(メタ)アクリル酸n-ブチル、(メタ)アクリル酸イソブチル、(メタ)アクリル酸t-ブチル、(メタ)アクリル酸n-ペンチル、(メタ)アクリル酸イソペンチル、(メタ)アクリル酸ネオペンチル、(メタ)アクリル酸t-ペンチル、(メタ)アクリル酸1-エチルプロピル、(メタ)アクリル酸2-メチルブチル、(メタ)アクリル酸3-メチルブチル、(メタ)アクリル酸n-ヘキシル、(メタ)アクリル酸シクロヘキシル、(メタ)アクリル酸2-エチルブチル、(メタ)アクリル酸2-メチルペンチル、(メタ)アクリル酸4-メチルペンチル、(メタ)アクリル酸n-ヘプチル、(メタ)アクリル酸n-オクチル、(メタ)アクリル酸イソオクチル、(メタ)アクリル酸2-エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸n-ノニル、(メタ)アクリル酸n-デシル、(メタ)アクリル酸n-ウンデシル、(メタ)アクリル酸n-ラウリル等が挙げられる。これらは、1種または2種以上で使用できる。
上記水酸基含有モノマーとしては、例えば、(メタ)アクリル酸2-ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸2-ヒドロキシプロピル、(メタ)アクリル酸3-ヒドロキシプロピル、(メタ)アクリル酸2-ヒドロキシブチル、(メタ)アクリル酸4-ヒドロキシブチル等の(メタ)アクリル酸ヒドロキシアルキルエステル等が挙げられる。これらは、1種または2種以上で使用できる。
上記その他のモノマーとしては、例えば、芳香族モノマー、カルボキシル基含有モノマー、アミノ基含有モノマー、ピリジン系モノマー、ニトリル基含有モノマー、アミド基含有モノマー、エポキシ基含有モノマー、カルボニル基含有モノマー、アルコキシシリル基含有モノマー、含フッ素モノマー、紫外線吸収性基含有モノマー、光安定性基含有モノマー等が挙げられる。これらは、1種または2種以上で使用できる。
さらに、本発明では、(Az2)成分として、アクリルポリオールとポリエステルを含むポリエステル含有アクリルポリオールを使用することもできる。ポリエステル含有アクリルポリオールは、例えば、重合性不飽和基を有するポリエステル樹脂と、(メタ)アクリル酸アルキルエステル、水酸基含有モノマーと、その他の重合性モノマーを反応させて得ることができる。
重合性不飽和基を有するポリエステル樹脂は、多塩基酸と多価アルコールを縮合反応させてポリエステル樹脂を得る際に、多塩基酸及び/または多価アルコールとして、重合性不飽和基を有するものを一部使用することによって得ることができる。また、重合性不飽和基を有するポリエステル樹脂は、ポリエステル樹脂中の水酸基またはカルボキシル基と反応可能なモノマー、具体的にはマレイン酸、(メタ)アクリル酸、(メタ)アクリル酸グリシジル等を、ポリエステル樹脂と反応させることによって得ることもできる。
アクリルポリオール(Az2)の水酸基価は、好ましくは1~200KOHmg/gであり(より好ましくは3~100KOHmg/g、さらに好ましくは5~80KOHmg/g)である。アクリルポリオール(Az2)の水酸基価がこのような範囲内であれば、優れた密着性向上効果が得られる。また、ポリエーテルポリオール(Ax2)とアクリルポリオール(Az2)の重量比(固形分)は、好ましくは90:10~10:90(より好ましくは80:20~20:80、さらに好ましくは70:30~50:50)である。このような場合、第1被覆材との密着性に優れるとともに、第2被覆材上に仕上材等の被膜を形成した場合においても優れた密着性を発揮することができる。
また、本発明ではポリオール成分(A2)の固形分中に、上記ポリエーテルポリオール(Ax2)と上記アクリルポリオール(Az2)の固形分含有量(合計)が、好ましくは50重量%以上(より好ましくは80重量%以上、さらに好ましくは90重量%以上)である。その上限は特に限定されず、上記ポリエーテルポリオール(Ax2)と上記アクリルポリオール(Az2)のみの態様であってもよい。このような場合、本発明の効果を十分に発揮することができる。
第2被覆材におけるポリイソシアネート成分(B2)は、上記ポリオール成分(A2)との硬化反応を生じる成分である。ポリイソシアネート(B2)としては、上述のポリイソシアネート(B1)と同様のものが挙げられ、これらから選ばれる1種または2種以上を含むことができる。
上記(A2)成分と、(B2)成分の混合は、(A2)成分と(B2)成分のNCO/OH当量比で好ましくは0.6~3.5(より好ましくは1~2.5、さらに好ましくは1.1~1.9)となるような比率で行う。このような場合、硬化性に優れ、本発明の効果を十分に発揮することができる。また、第2被覆材においても 、上述の硬化触媒を併用することができる。これにより(A2)成分と(B2)成分の反応を促進することができる。
本発明第2被覆材では、ポリオール成分(A2)とポリイソシアネート成分(B2)の反応を促進する硬化触媒(P)を併用することができる。なお、第2被覆材の硬化触媒(P)を「硬化触媒(P2)」とする。硬化触媒(P2)としては、上述のポリオール成分(A1)とポリイソシアネート成分(B1)の硬化触媒(P1)と同様のものが挙げられ、これらから選ばれる1種または2種以上を含むことができる。
硬化触媒(P2)の含有量は、上記ポリオール成分(A2)(固形分)100重量部に対して、好ましくは0.001~5重量部(より好ましくは0.005~3重量部、さらに好ましくは0.01~0.5重量部)である。この場合、十分な作業性(可使時間)、硬化性を確保することができ、本発明の効果を高めることができる。
上述の成分の他、本発明第2被覆材には、上記樹脂成分に加えて、本発明の効果を著しく阻害しない範囲内において、各種成分を配合することも可能である。このような成分としては、例えば、着色顔料、体質顔料、難燃剤、発泡剤、炭化剤、増粘剤、可塑剤、防腐剤、防黴剤、防藻剤、消泡剤、レベリング剤、顔料分散剤、皮張り防止剤、ドライヤー、艶消し剤、紫外線吸収剤、光安定剤、酸化防止剤、低汚染化剤等が挙げられる。
本発明の第2被覆材は、着色顔料、体質顔料等の粉体成分を含むことが好ましい。これにより、被膜形成時の凝集力が高まり、密着性等においてより優れた効果を得ることができる。また、平均粒子径1μm以上(好ましくは5~50μm)の粉体成分を用いることにより、密着性等をいっそう高めることも可能である。このような効果を得るためには、上記ポリオール成分(A2)の固形分100重量部に対し、粉体成分を1~150重量部(好ましくは3~100重量部、より好ましくは5~80重量部)含む態様が望ましい。また、樹脂成分(上記ポリオール成分(A2)及び上記ポリイソシアネート成分(B2))の固形分100重量部に対し、粉体成分を1~100重量部(好ましくは3~50重量部、より好ましくは5~40重量部)含む態様が望ましい。
また、第2被覆材には、本発明の効果を著しく阻害しない範囲内において、上記発泡剤(C)、上記炭化剤(D)、上記難燃剤(E)、及び上記充填剤(F)(さらには、上記金属水和物(G)、繊維(H)、高沸点化合物(I))等を含んでもよい。
本発明第2被覆材は、ポリオール成分(A2)を含む主剤と、ポリイソシアネート成分(B2)を含む硬化剤とを塗装直前に混合して、塗装を行えばよい。また本発明では、主剤、硬化剤とは別に、希釈剤として塗装時に溶剤を混合することもできる。溶剤は主剤、硬化剤のいずれか、または両方に含むことができる。第2被覆材における溶剤は、上記樹脂成分(固形分)100重量部に対し、5~500重量部(好ましくは10~400重量部、より好ましくは20~300重量部)含まれることが望ましい。溶剤の含有量がこのような範囲内であれば、仕上材の仕上り性等の点で好適である。特に、本発明被覆材の希釈後における固形分が、25~90重量%(より好ましくは30~85重量%)であることが望ましい。このような範囲内であれば上記効果をよりいっそう高めることができる。
本発明では、上記被覆材(第1被覆材及び第2被覆材)により形成される被膜を保護するために、必要に応じてさらに上塗材を塗付することもできる。このような上塗材としては、公知の上塗材を使用することができる。本発明では、上記第2被覆材により形成される第2被膜を有することにより、種々の上塗材との良好な密着性を得ることができる。このような上塗材としては、例えば、クリヤータイプ又は着色タイプ、艶有りタイプ又は艶消しタイプ、硬質タイプ又は弾性タイプ、薄膜タイプ又は厚膜タイプ等のいずれのものも使用することができる。また、水系・溶剤系のいずれであっても良く、所望の目的に応じて適宜選択できる。
本発明の上塗材としては、樹脂成分を含むことが好ましい。このような樹脂の形態としては、例えば、溶剤可溶型樹脂、非水分散型樹脂、無溶剤型樹脂、水分散型樹脂、水溶性樹脂等が挙げられる。樹脂の種類としては、例えば、アクリル樹脂、ウレタン樹脂、エポキシ樹脂、塩化ビニル樹脂、酢酸ビニル樹脂、アクリルシリコン樹脂、フッ素樹脂、ケイ素樹脂、ポリビニルアルコール、セルロース誘導体等、あるいはこれらの複合物等が挙げられる。これらは1種または2種以上で使用することができる。本発明では特に、ウレタン樹脂、エポキシ樹脂、アクリル樹脂、アクリルシリコン樹脂、フッ素樹脂から選ばれる1種以上を含むことが好ましい。
さらに、上記樹脂成分は架橋反応性を有するものであってもよい。樹脂成分が架橋反応型樹脂である場合は、形成被膜の耐水性、耐久性、密着性が高まり、降雨、結露等による被膜の膨れ・剥れの発生等を抑制することができる。また、第1被覆材の耐熱保護性を安定して保持することができる。このような架橋反応型樹脂は、それ自体で架橋反応を生じるもの、あるいは別途混合する架橋剤によって架橋反応を生じるもののいずれであってもよい。このような架橋反応性は、例えば、水酸基とイソシアネート基、カルボニル基とヒドラジド基、エポキシ基とアミノ基、アルド基とセミカルバジド基、ケト基とセミカルバジド基、アルコキシル基どうし、カルボキシル基と金属イオン、カルボキシル基とカルボジイミド基、カルボキシル基とエポキシ基、カルボキシル基とアジリジン基、カルボキシル基とオキサゾリン基等の反応性官能基を組み合わせることによって付与することができる。この中でも水酸基とイソシアート基、カルボニル基とヒドラジド基、エポキシ基とアミノ基から選ばれる1種以上の架橋反応を生じる架橋反応型樹脂を含むことが好適である。
上記上塗材の樹脂成分以外の成分として、例えば、着色顔料、体質顔料、骨材等を混合することができる。このような成分を適宜配合することにより、所望の色彩やテクスチャーを表出することができる。着色顔料、体質顔料、骨材等の混合量は、上記被覆材の効果(発泡性、耐熱保護性等)を阻害しない範囲であれば特に限定されないが、好ましくは樹脂成分の固形分100重量部に対して、好ましくは1~2000重量部(より好ましくは5~1000重量部)である。
本発明では特に、上記着色顔料、体質顔料として、赤外線反射性及び/又は赤外線透過性を有する顔料を使用することが好適である。これにより、耐熱保護性等の効果をよりいっそう高めることができる。
赤外線反射性を有する顔料としては、例えば、アルミニウムフレーク、酸化チタン、硫酸バリウム、酸化亜鉛、酸化鉄、炭酸カルシウム、酸化珪素、酸化マグネシウム、酸化ジルコニウム、酸化イットリウム、酸化インジウム、アルミナ、鉄-クロム複合酸化物、マンガン-ビスマス複合酸化物、マンガン-イットリウム複合酸化物、黒色酸化鉄、鉄-マンガン複合酸化物、鉄-銅-マンガン複合酸化物、鉄-クロム-コバルト複合酸化物、銅-クロム複合酸化物、銅-マンガン-クロム複合酸化物等が挙げられ、これらの1種または2種以上が使用できる。
赤外線透過性を有する顔料としては、例えばペリレン顔料、アゾ顔料、黄鉛、チタニウムレッド、カドミウムレッド、キナクリドンレッド、イソインドリノン、ベンズイミダゾロン、フタロシアニングリーン、フタロシアニンブルー、コバルトブルー、インダスレンブルー、群青、紺青等が挙げられ、これらの1種または2種以上が使用できる。
さらに、上塗材には、その他、通常塗料に使用可能な各種添加剤を配合することもできる。このような添加剤としては、例えば増粘剤、造膜助剤、レベリング剤、湿潤剤、可塑剤、凍結防止剤、pH調整剤、防腐剤、防黴剤、防藻剤、抗菌剤、分散剤、消泡剤、吸着剤、紫外線吸収剤、光安定剤、酸化防止剤、繊維類、低汚染化剤、親水化剤、撥水剤、カップリング剤、触媒等が挙げられる。
<被膜形成方法>
本発明の被膜形成方法は、基材に対し、第1被覆材、第2被覆材を塗付することを特徴とする。具体的に、
(1)基材に対し、第1被覆材を塗付し、第1被膜層を形成する工程、
(2)上記第1被膜上に、第2被覆材を塗付し、第2被膜層を形成する工程、
を含むものである。さらに必要に応じて、
(3)上記第2被膜上に、上塗材を塗付し、上塗層を形成する工程、
を含むこともできる。
本発明の被膜形成方法では、特定のポリオール成分、ポリイソシアネート成分を含む第1被覆材及び第2被覆材を塗付することにより、第1被膜層と、第2被膜層の密着性に優れ、さらには温度上昇時に、安定した炭化断熱層を形成することができ、優れた耐熱保護性能を確保することができる。
さらに、本発明では、第1被覆材のポリオール成分(A1)(固形分)100重量部に対する硬化触媒(P1)の含有量(P1w)と、第2被覆材のポリオール成分(A2)(固形分)100重量部に対する硬化触媒(P2)の含有量(P2w)が、下記式[1]を満たすことが好ましい。これにより、十分な作業性を確保しつつ、硬化時間(指触乾燥時間)を短縮することができるため、工期短縮を図ることができる。
式[1]・・・(P1w)/(P2w)>1(より好ましくは≧5、さらに好ましくは≧10)
上記作用機構は、以下に限定されるものではないが、本発明の第1被覆材は、上記ポリオール成分(A1)に対して粉体成分を多く含むため、硬化触媒(P1)を増量した場合であっても十分な可使時間及び作業性を確保することができ、第1被膜層に硬化触媒(P1)を保持することができる。このような第1被膜層に対して、第2被覆材を塗付することにより、第1被膜層中の硬化触媒(P1)が第2被覆材へ移行し、第2被覆材の硬化を補助することができる。これにより、第2被覆材の可使時間を十分に確保しつつ、第2被覆材の硬化時間を短縮することができる。その結果、工期を短縮した場合であっても、十分な密着性、及び優れた仕上り性を得ることができる。
上記(1)工程において、被覆材を基材に塗付する際には、例えば、刷毛塗装、ローラー塗装、スプレー塗装(エアスプレー、エアレススプレー)、こて等の塗付具を用いて塗装することができる。第1被覆材の塗装時の塗付け量、塗回数等は、各種被覆材の機能性に応じて設定すればよい。
具体的に、第1被覆材は、1工程ないし数工程塗り重ねて塗付すれば良いが、1工程あたりの乾燥膜厚が好ましくは400μm以上(より好ましくは500~5000μm)となるように塗付することが好ましい。最終的に形成される被膜厚は、所望の機能性、適用部位等により適宜設定すれば良いが、好ましくは0.4~10mm程度である。この場合、第1被覆材の塗装時の塗付け量は、好ましくは0.4~20.0Kg/m(より好ましくは0.6~16.0Kg/m)の範囲である。
また、本発明の第1被覆材は、上記(A1)成分と上記(B1)成分の反応により被膜を形成するため硬化性に優れており、その乾燥は好ましくは常温で行えばよく、次工程(上記(2)工程)への間隔は、好ましくは5時間以上(より好ましくは10時間以上30日以内)で行えばよい。また、上記(1)工程と、上記(2)工程は別の場所で行われもよい。例えば、上記(1)工程を予め工場内等で行った後(プレコート)、基材の設置場所へ搬送し、その後、上記(2)工程を行うこともできる。
上記(2)工程において、第2被覆材は、例えば、刷毛塗装、ローラー塗装、スプレー塗装等の種々の方法を用いて塗装することができる。第2被覆材の塗装時の塗付け量は、好ましくは30~500g/m(より好ましくは50~300g/m)である。第2被覆材の塗回数は、第1被覆材の表面状態等によって適宜設定すればよいが、好ましくは1~2回である。なお、本発明の被覆材は、1回塗りにおいても十分に本発明の効果を発揮することができる。
第2被覆材の乾燥は好ましくは、常温で行えばよく、次工程(上記(3)工程)を行う場合、その間隔は、好ましくは5時間以上(より好ましくは10時間以上30日以内)で行えばよい。また、第1被覆材と第2被覆材が上記式[1]を満たす場合、第2被覆材の乾燥は、最短で3時間程度に設定することも可能である。また、上記(1)工程、上記(2)工程と上記(3)工程は別の場所で行われもよい。例えば、上記(1)工程を予め工場内等で行った後(プレコート)、基材の設置場所へ搬送し、その後、上記(2)工程、及び上記(3)工程を行う、あるいは、上記(1)工程、及び上記(2)工程を予め工場内等で行った後(プレコート)、基材の設置場所へ搬送し、その後、上記(3)工程を行うこともできる。
上記(3)工程において、上塗材は、例えば、刷毛塗装、ローラー塗装、スプレー塗装等の種々の方法を用いて塗付することができる。塗付け量は、好ましくは30~5000g/m(より好ましくは50~3000g/m)である。仕上材の塗回数は、適宜設定すればよいが、好ましくは1~2回である。また、乾燥は好ましくは、常温で行えばよい。
<構造体>
本発明によれば、基材に対し、上記第1被覆材により形成される第1被膜、上記第2被覆材により形成される第2被膜を有する構造体を得ることができる。本発明の構造体は、密着性、耐久性に優れるとともに、基材の耐熱保護性能を発揮することができる。さらに、本発明の構造体は、第2被膜の上に上塗材により形成される上塗層を有することにより、よりいっそう密着性に優れ、さらには美観性、耐候性等を向上することができる。
以下に実施例を示して、本発明の特徴をより明確にする。但し、本発明はこの範囲には限定されない。
原料としては以下のものを使用した。
・ポリオール成分(A)
・ポリエーテルポリオール(Ax)
(Ax-1)ポリエーテルポリオール(水酸基価400mgKOH/g、官能基数3、数平均分子量400、固形分100重量%)
(Ax-2)ポリエーテルポリオール(水酸基価230mgKOH/g、官能基数3、数平均分子量700、固形分100重量%)
(Ax-3)ポリエーテルポリオール(水酸基価160mgKOH/g、官能基数3、数平均分子量1000、固形分100重量%)
(Ax-4)ポリエーテルポリオール(水酸基価55mgKOH/g、官能基数3、数平均分子量3000、固形分100重量%)
(Ax-5)ポリエーテルポリオール(水酸基価34mgKOH/g、官能基数3、数平均分子量5000、固形分100重量%)
(Ax-6)ポリエーテルポリオール(水酸基価24mgKOH/g、官能基数3、数平均分子量7000、固形分100重量%)
(Ax-7)ポリエーテルポリオール(水酸基価17mgKOH/g、官能基数3、数平均分子量10000、固形分100重量%)
・フッ素含有ポリオール(Ay)
(Ay-1)3フッ化エチレン共重合体(クロロトリフルオロエチレン-ビニルエーテル-ヒドロキシアルキルビニルテーテル共重合体、フッ素含有率27重量%、水酸基価52mgKOH/g、固形分60重量%、芳香族炭化水素溶媒含有)
・アクリルポリオール(Az)
(Az-1)アクリルポリオール(水酸基価40KOHmg/g、固形分50重量%、媒体:芳香族炭化水素化合物、エステル化合物)
(Az-2)ポリエステル含有アクリルポリオール(水酸基価40KOHmg/g、ポリエステル比率10重量%、固形分50重量%、媒体:芳香族炭化水素化合物、エステル化合物)
なお、上記(A)成分は、全て20℃において液体である。
・ポリイソシアネート成分(B)
(B)ビウレット型ヘキサメチレンジイソシアネート(NCO含有量23.5%)
・発泡剤(C):メラミン
・炭化剤(D):ペンタエリスリトール
・難燃剤(E):ポリリン酸アンモニウム
・充填剤(F):酸化チタン
・金属水和物(G):水酸化アルミニウム(平均粒子径:1μm)
・繊維(H):ロックウール繊維(平均繊維長125μm、平均繊維径4.5μm)
・高沸点化合物(I):フタル酸ジイソノニル(分子量419、沸点420℃)
・硬化触媒(P):有機金属系触媒
・添加剤1:分散剤、消泡剤等
・添加剤2:希釈溶剤(芳香族炭化水素)
(第1被覆材の調製)
表1に示す配合に従って、(A1)成分、(C)成分~(P)成分、添加剤1、2を常法により混合し主剤を調製した。
また、ポリイソシアネート成分(B)80重量部、希釈溶剤(芳香族炭化水素)20重量部を混合し硬化剤を調製した。
次いで、主剤と、硬化剤を、それぞれポリオール成分(A1)とポリイソシアネート成分(B)のNCO/OH当量比が1.6となるように主剤と硬化剤を混合し、第1被覆材1~10を得た。
Figure 2022123829000001
(第2被覆材の調製)
表2に示す配合に従って、(A2)成分、着色顔料(酸化チタン)、硬化触媒、及び添加剤1、2を常法により混合し主剤を調製した。
また、ポリイソシアネート成分(B)80重量部、希釈溶剤(芳香族炭化水素)20重量部を混合し硬化剤を調製した。
次いで、主剤と、硬化剤を、それぞれポリオール成分(A2)とポリイソシアネート成分(B)のNCO/OH当量比が1.2となるように主剤と硬化剤を混合し、第2被覆材1~13を得た。
Figure 2022123829000002
<上塗材>
アクリルポリオール(水酸基価20KOHmg/g、固形分50重量%、媒体:脂肪族炭化水素化合物)100重量部、二酸化チタン40重量部、添加剤(増粘剤、消泡剤)10重量部を常法にて均一に混合、攪拌して主剤を調製した。次いで、ポリイソシアネート(アダクト型ヘキサメチレンジイソシアネート、NCO含有量12%)50重量部、希釈溶剤(脂肪族炭化水素)50重量部を混合し硬化剤を調製した。主剤と、硬化剤を、それぞれポリオール成分とポリイソシアネート成分のNCO/OH当量比が1.0となるように混合したものを上塗材1とした。
(試験例1~25)
各被覆材について、以下の評価を実施した。結果は、表3に示す。
・試験体[I]の作製
150mm×70mmの鋼板に、第1被覆材を1.5Kg/mでスプレー塗付し7日間養生した。次いで、第2被覆材を塗付け量100g/mで刷毛塗りし、24時間養生し試験体[I]を作製した。なお、第1被覆材と第2被覆材の組み合わせは、表3に示した。また、塗装、養生等はすべて標準状態(温度23℃・相対湿度50%)で行った。
<密着性評価1>
作製した試験体[I]について、JIS K 5600-5-6に準じた碁盤目テープ法にて可塑剤含有材料の表面との密着性を評価した。評価基準は、以下の通りである。
A:欠損部面積が10%未満
B:欠損部面積が10%以上25%未満
C:欠損部面積が25%以上50%未満
D:欠損部面積が50%以上
<耐熱保護性評価>
作製した試験体[I]を80℃恒温器内にて1週間放置した後、得られた試験体を、ISO 5660-1 コーンカロリーメーター法に基づき、電気ヒーター(CONEIII、株式会社東洋精機製)を用いて、試験体表面に50kW/mの輻射熱を15分間放射したときの発泡倍率、及び鋼板裏面温度を測定した。各評価基準は以下の通りである。また、結果は表3に示す。
(発泡倍率)
AA:35倍超
A:25倍超35倍以下
AB:20倍超25倍以下
B:15倍超20倍以下
C:5倍超15倍以下
D:5倍以下
(裏面温度)
AA:430℃未満
A:430℃以上470℃未満
B:470℃以上500℃未満
C:500℃以上550℃未満
D:550℃以上
Figure 2022123829000003
(試験例26~34)
・試験体[II]の作製
150mm×70mmの鋼板に、第1被覆材を1.5Kg/mでスプレー塗付し7日間養生した。次いで、第2被覆材を塗付け量100g/mで刷毛塗りし、24時間養生した。次に、上塗材1を塗付量0.3kg/mでスプレー塗装し72時間養生し試験体を作製した。なお、塗装、養生等はすべて標準状態(温度23℃・相対湿度50%)で行った。なお、第1被覆材と第2被覆材と上塗材の組み合わせは、表4に示した。
<密着性評価2>
作製した試験体[II]について、JIS K 5600-5-6に準じた碁盤目テープ法にて被覆材及び上塗材との密着性を評価した。評価基準は、上記密着性評価1と同様である。
<耐熱保護性評価>
作製した試験体[II]について、上記の耐熱保護性評価を行った。評価基準は、上記耐熱保護性評価と同様である。
Figure 2022123829000004
(試験例35~38、参考例1)
<硬化性評価>
150mm×70mmの鋼板に、第1被覆材を1.5Kg/mでスプレー塗付し24時間養生した。次いで、第2被覆材を塗付け量100g/mで刷毛塗りし、JIS K5400に規定される指触乾燥、及び硬化乾燥の状態となる時間を評価した。なお、第1被覆材と第2被覆材の組み合わせは、表5に示した。また、塗装、養生等はすべて標準状態(温度23℃・相対湿度50%)で行った。
(指触乾燥)
A:4時間未満
B:4時間以上6時間未満
C:6時間以上8時間未満
D:8時間以上
(硬化乾燥)
A:20時間未満
B:20時間以上24時間未満
C:24時間以上36時間未満
D:36時間以上
Figure 2022123829000005
(試験例39~42)
・試験体[III]の作製
150mm×70mmの鋼板に、第1被覆材を1.5Kg/mでスプレー塗付し24時間養生した。次いで、第2被覆材を塗付け量100g/mで刷毛塗りし、3時間養生した。次に、上塗材1を塗付量0.3kg/mでスプレー塗装し72時間養生し試験体を作製した。なお、塗装、養生等はすべて標準状態(温度23℃・相対湿度50%)で行った。なお、第1被覆材と第2被覆材と上塗材の組み合わせは、表6に示した。
<仕上り性評価>
試験体[III]の仕上り性を目視で評価した。仕上り性に優れるものを「A」、仕上りに異常が認められたものを「D」とする4段階(優:A>B>C>D:劣)で行った。
<密着性評価3>
作製した試験体[III]について、JIS K 5600-5-6に準じた碁盤目テープ法にて被覆材及び上塗材との密着性を評価した。評価基準は、上記密着性評価1と同様である。
<耐熱保護性評価>
作製した試験体[III]について、上記の耐熱保護性評価を行った。評価基準は、上記耐熱保護性評価と同様である。
Figure 2022123829000006

Claims (4)

  1. 基材に対し、第1被覆材、及び第2被覆材を塗付する被膜形成方法であって、
    上記第1被覆材は、その被膜が温度上昇によって炭化断熱層を形成するものであり、
    上記第1被覆材及び第2被覆材は、樹脂成分としてポリオール成分(A)及びポリイソシアネート成分(B)を含み、
    上記第2被覆材は、上記第1被覆材のポリオール成分(A1)よりも水酸基価の大きいポリオール成分(A2)を含むことを特徴とする被膜形成方法。
  2. 上記第1被覆材及び第2被覆材は、上記ポリオール成分(A)としてポリエーテルポリオール(Ax)を含み、
    上記第2被覆材は、上記第1被覆材のポリエーテルポリオール(Ax1)よりも水酸基価の大きいポリエーテルポリオール(Ax2)を含むことを特徴とする請求項1に記載の被膜形成方法。
  3. 上記ポリエーテルポリオール(Ax2)は、水酸基価が50mgKOH/g以上のポリエーテルポリオールを含むことを特徴とする請求項1または請求項2に記載の被膜形成方法。
  4. 基材に対し、第1被覆材により形成される第1被膜、第2被覆材により形成される第2被膜を有する構造体であって、
    上記第1被膜は、温度上昇によって炭化断熱層を形成するものであり、
    上記第1被覆材及び第2被覆材は、樹脂成分としてポリオール成分(A)及びポリイソシアネート成分(B)を含み、
    上記第2被覆材は、上記第1被覆材のポリオール成分(A1)よりも水酸基価の大きいポリオール成分(A2)を含むことを特徴とする構造体。

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