JP2022122482A - 熱延鋼板およびその製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】冷間加工性および熱処理後の耐摩耗性に優れた熱延鋼板およびその製造方法を提供することを目的とする。【解決手段】所定の成分組成を有し、ミクロ組織は、フェライトおよびセメンタイトを有し、前記セメンタイトは、全セメンタイト数に対する円相当直径0.1μm以下のセメンタイト数の割合が20%以下、平均セメンタイト径が0.15μm以上、全ミクロ組織に対する前記セメンタイトの占める割合が面積率で1.0%以上5.5%未満であり、鋼板表面から100μmまでの範囲における、鋼中X(X=Ti、Mo、Nb)量に対する1μm以上のXC(X=Ti、Mo、Nb)に含まれるXの質量割合が5%以下であり、引張強さが500MPa以下、全伸びが30%以上である熱延鋼板。【選択図】なし

Description

本発明は、自動車駆動系部品として好適な、冷間加工性に優れ、さらに耐摩耗性に優れる熱延鋼板およびその製造方法に関する。具体的には、鋼板を用いて冷間加工によって部品形状を得た後、浸炭焼入れや高周波焼入れ等の焼入れ処理を行う鋼板に関し、熱処理後、耐摩耗性に優れる熱延鋼板およびその製造方法に関する。冷間加工性に優れるとは、加工性の一つの指標である鋼板の全伸びが30%以上であること、また耐摩耗性に優れるとは、ボールオンディスク型摩耗試験機による摩耗試験にて、30000回における摩耗痕断面積が300μm以下であることをいう。
現在、駆動系自動車用部品は、JIS G4051に規定された機械構造用炭素鋼鋼材および機械構造用合金鋼鋼材である熱延鋼板を、冷間加工によって所望の形状に加工した後、所望の硬さを確保するために浸炭焼入れや高周波焼入れ等の焼入れ処理を施して製造される場合もある。一般に高硬度化することによって鋼板の耐摩耗性は向上する。そのため、耐摩耗性を重視する部材には、焼入れ処理を施すことで高い硬度に調質した鋼材や、高硬度の炭化物を生成するような合金元素含有量の高い鋼材が使用されている。
これまでも耐摩耗性を向上させる技術としてNbやTi等の炭化物を用いた種々の鋼板が提案されている。例えば、特許文献1には、質量%で、C:0.10~0.30%、Si:0.05~2.0%、Mn:0.10~0.50%、P:0.030%以下、S:0.030%以下、Cr:1.80~3.00%、Al:0.005~0.050%、Nb:0.02~0.10%、N:0.0300%以下を含有し、さらに必要に応じてTi:0.050%未満、B:0.0010~0.0050%を含有する成分組成とし、フェライトとパーライトからなる組織であり、そのフェライト粒径の平均値が15μm以上であることを特徴とする耐結晶粒粗大化特性および靭性に優れた浸炭部品用の機械構造用鋼が記載されている。
特許文献2には、質量%で、C:0.32~0.70%、Si:0.5%以下、Mn:0.1~1.5%、P:0.03%以下、S:0.02%以下、Nb:0.1~0.5%、残部Feおよび不可避的不純物からなる化学組成を有し、Nbを含有する粒子径1μm以上の炭化物が200~1000個/mmの密度でマトリクス中に存在する焼鈍組織を有する、機械部品用素材鋼板が記載されている。
特許文献3には、質量%で、C:0.30~0.90%、Si:0.05~1.00%、Mn:0.10~1.50%、P:0.003~0.030%、S:0.001~0.020%、Nb:0.10~0.70%、残部Feおよび不可避的不純物からなる化学組成を有し、Nb含有炭化物が分散した調質熱処理後の金属組織を有し、断面組織観察により観測される個々のNb含有炭化物粒子の面積の二乗平方根をその粒子の粒径とするとき、粒径1.0μm以上のNb含有炭化物粒子の数が200個/mm以上、かつ極値統計法により推定される10mm中のNb含有炭化物粒子の最大粒径Dmaxが18.0μm以下に調整されている疲労特性に優れる耐摩耗性鋼材が提案されている。
特開2013-040376号公報 特開2010-216008号公報 特開2013-136820号公報
特許文献1に記載される技術は、浸炭工程において粒成長抑制して高硬度化に貢献するものであるが、浸炭処理後の焼入れ性を高めるためにCrを1.8%以上添加しており、Cr量が少ない場合の鋼に関する記載はない。
また、特許文献2に記載される技術は、NbおよびTi炭化物量を制御して摩耗性を向上しているが、粒子径1μm以上の炭化物に着目しており、それ以下の炭化物に関して記載されていない。また、セメンタイト制御による冷間加工性の向上に関する技術は記載されてない。
特許文献3に記載される技術は、粒子径1μm以上のNbCの密度と最大粒子径を規定しているが、1μm以下の炭化物に関して記載されていない。また、セメンタイト制御による冷間加工性の向上に関する技術は記載されてない。
本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであり、冷間加工性および熱処理後の耐摩耗性に優れた熱延鋼板およびその製造方法を提供することを目的とする。
本発明者らは、上記課題を達成するため、鋭意検討を行った。その結果、100nm以上1μm未満のTiC、NbC、MoCが耐摩耗性の向上に大きく寄与しており、それらの形成に使用されているTi量、Nb量、Mo量の、全Ti量、全Nb量、全Mo量に対する割合、および、所定の鋼板組織を得るための製造条件について、検討し以下の知見を得た。
i)鋼板表面から100μmまでの範囲における、鋼中X(X=Ti、Mo、Nb)量に対する1μm以上のXC(X=Ti、Mo、Nb)に含まれるXの質量割合が5%以下とすることにより、優れた耐摩耗性が得られる。
ii)鋼板表面から100μmまでの範囲における、XC(X=Ti、Mo、Nb)に含まれるX量に対する100nm以上のXC(X=Ti、Mo、Nb)に含まれるX量の質量割合が65%以上とすることでさらに優れた耐摩耗性が得られる。
iii)所定のTiC、NbCおよびMoCに含まれるTi、NbおよびMo量を得るには、スラブを1250℃以下の温度域で1.5h以上保持した後70s以内で粗圧延を開始し、900~1070℃の温度範囲、5パス以上、圧下率50%以上、パス間時間1s以上15s以下となる条件で粗圧延を実施することが重要である。それらの温度域で所定の歪を付与されながら圧延されることで、100nm以上1μm未満のTiC、NbCおよびMoCが生成されやすくなる。
iv)さらに、粗圧延における1パス目が1000~1070℃の温度域で圧下率30%以下となるように粗圧延を実施することで、100nm以上1μm未満のTiC、NbCおよびMoCがより生成されやすくなる。
v)冷間加工性、焼入れ前の熱延鋼板における硬度(硬さ)、全伸び(以下、単に伸びと称する場合もある。)には、円相当直径が0.1μm以下のセメンタイトが大きく影響している。円相当直径が0.1μm以下のセメンタイト数を全セメンタイト数に対して20%以下とすることで、引張強度500MPa以下、全伸び(El)が30%以上を得ることができる。
vi)スラブを1250℃以下の温度域で1.5h以上保持した後70s以内で粗圧延を開始し、900~1070℃の温度範囲、5パス以上、圧下率50%以上、パス間時間1s以上15s以下となる条件で粗圧延を実施し、仕上圧延終了温度:Ar変態点以上で仕上圧延を行い、その後、平均冷却速度:20~100℃/secで700~750℃まで冷却し、巻取温度:580℃超700℃以下で巻き取り、熱延鋼板とした後、該熱延鋼板を、焼鈍温度:Ac変態点未満で0.5h以上保持する焼鈍を施すことで、冷間加工性を付与し、熱処理後の耐摩耗性を向上させることができる。
vii)あるいは、1250℃以下の温度域で1.5h以上保持し、加熱炉から取り出した後70s以内で粗圧延を開始し、900~1070℃の温度範囲、5パス以上、圧下率50%以上、パス間時間1s以上15s以下となる条件で粗圧延を実施し、仕上圧延終了温度:Ar変態点以上で仕上圧延を行い、その後、平均冷却速度:20~100℃/secで700~750℃まで冷却し、巻取温度:580℃超700℃以下で巻き取り、熱延鋼板とした後、該熱延鋼板を、Ac変態点以上Ac変態点以下で0.5h以上保持し、次いで平均冷却速度:1~20℃/hでAr変態点未満に冷却し、Ar変態点未満で20h以上保持する焼鈍を施すことで、冷間加工性を付与し、熱処理後の耐摩耗性を向上させることができる。
本発明は以上の知見に基づいてなされたものであり、以下を要旨とする。
[1]質量%で、
C:0.05%以上0.30%未満、
Si:0.80%以下、
Mn:0.10%以上1.0%以下、
P:0.03%以下、
S:0.010%以下、
sol.Al:0.001%以上0.10%以下、
N:0.01%以下、
Cr:0.05%以上0.50%以下、
B:0.0005%以上0.005%以下を含有し、
さらにTi:0.06%超0.2%以下、Mo:0.10%超0.4%以下、Nb:0.10%超0.2%以下のうちから選んだ1種以上を含有し、
残部がFeおよび不可避的不純物からなる成分組成を有し、
ミクロ組織は、
フェライトおよびセメンタイトを有し、
前記セメンタイトは、全セメンタイト数に対する円相当直径0.1μm以下のセメンタイト数の割合が20%以下、平均セメンタイト径が0.15μm以上、全ミクロ組織に対する前記セメンタイトの占める割合が面積率で1.0%以上5.5%未満であり、
鋼板表面から100μmまでの範囲における、鋼中X(X=Ti、Mo、Nb)量に対する1μm以上のXC(X=Ti、Mo、Nb)に含まれるXの質量割合が5%以下であり、
引張強さが500MPa以下、全伸びが30%以上である熱延鋼板。
[2]鋼板表面から100μmまでの範囲における、XC(X=Ti、Mo、Nb)に含まれるX量に対する、100nm以上のXC(X=Ti、Mo、Nb)に含まれるX量の質量割合が65%以上である[1]に記載の熱延鋼板。
[3]SbおよびSnから選んだ1種または2種を合計で0.002%以上0.1%以下含有する[1]または[2]に記載の熱延鋼板。
[4]前記成分組成に加えてさらに、質量%で、Ta、Ni、Cu、V、Wのうちから選ばれた1種または2種以上を、それぞれ0.0005%以上0.1%以下含有する[1]~[3]のいずれかに記載の熱延鋼板。
[5]前記フェライトの平均粒径が4~25μmである[1]~[4]のいずれかに記載の熱延鋼板。
[6][1]~[5]のいずれかに記載の熱延鋼板の製造方法であって、
前記成分組成を有する鋼素材を、1250℃以下の温度域で1.5h以上保持した後70s以内で粗圧延を開始し、900~1070℃の温度域、5パス以上、合計圧下率50%以上、パス間時間1s以上15s以下となる条件で粗圧延を実施し、仕上圧延終了温度:Ar変態点以上で仕上圧延を行い、
その後、平均冷却速度:20~100℃/secで700~750℃まで冷却し、
巻取温度:580℃超700℃以下で巻き取り、熱延鋼板とした後、
該熱延鋼板を、焼鈍温度:Ac変態点未満で0.5h以上保持する焼鈍を施す熱延鋼板の製造方法。
[7]前記粗圧延において、1パス目が1000~1070℃の温度域で圧下率30%以下となるように粗圧延を実施する[6]に記載の熱延鋼板の製造方法。
[8][1]~[5]のいずれかに記載の熱延鋼板の製造方法であって、
前記成分組成を有する鋼素材を、1250℃以下の温度域で1.5h以上保持した後70s以内で粗圧延を開始し、900~1070℃の温度域、5パス以上、合計圧下率50%以上、パス間時間1s以上15s以下となる条件で粗圧延を実施し、仕上圧延終了温度:Ar変態点以上で仕上圧延を行い、
その後、平均冷却速度:20~100℃/secで700~750℃まで冷却し、
巻取温度:580℃超700℃以下で巻き取り、熱延鋼板とした後、
該熱延鋼板を、Ac変態点以上Ac変態点以下で0.5h以上保持し、次いで平均冷却速度:1~20℃/hでAr変態点未満に冷却し、Ar変態点未満で20h以上保持する焼鈍を施す熱延鋼板の製造方法。
[9]前記粗圧延において、1パス目が1000~1070℃の温度域で圧下率30%以下となるように粗圧延を実施する[8]に記載の熱延鋼板の製造方法。
本発明によれば、冷間加工性および熱処理後の耐摩耗性に優れた熱延鋼板を得られる。そして、本発明により製造した熱延鋼板を、部品としての摩耗特性が必要とされる駆動系部品などの部品に適用することにより、安定した品質が要求される自動車用駆動系部品の製造に大きく寄与でき、産業上格段の効果を奏する。
以下に、本発明の熱延鋼板およびその製造方法について詳細に説明する。なお、本発明は以下の実施形態に限定されない。
1)成分組成
本発明の熱延鋼板の成分組成と、その限定理由について説明する。なお、以下の成分組成の含有量の単位である「%」は、特に断らない限り「質量%」を意味するものとする。
C:0.05%以上0.30%未満
Cは、焼入れ後の強度を得るために重要な元素である。C量が0.05%未満の場合、成形した後の熱処理によって所望の硬さが得られないため、C量は0.05%以上にする必要がある。しかし、C量が0.30%以上では硬質化し、靭性や冷間加工性が劣化する。したがって、C量は0.05%以上0.30%未満とする。形状が複雑でプレス加工の難しい部品の冷間加工に用いる場合には、C量は0.25%以下とすることが好ましい。好ましくは0.1%以上とし、より好ましくは0.12%以上とする。
Si:0.80%以下
Siは、固溶強化により強度を上昇させる元素である。Si量の増加とともに硬質化し、冷間加工性が劣化するため、Si量は0.80%以下とする。好ましくは0.60%以下、さらに好ましくは0.50%以下である。焼入れ後の焼き戻し工程で所定の軟化抵抗を確保するといった観点から、Si量は、好ましくは0.10%以上とし、より好ましくは0.20%以上とし、さらに好ましくは0.30%以上とする。
Mn:0.10%以上1.0%以下
Mnは、焼入れ性を向上させるとともに、固溶強化により強度を上昇させる元素である。Mn量が0.10%未満になると焼入れ性が低下し始めるため、Mn量は0.10%以上とする。厚物材等で内部まで確実に焼入れる場合には、好ましくは0.25%以上であり、さらに好ましくは0.30%以上である。一方、Mn量が1.0%を超えると、Mnの偏析に起因したバンド組織が発達し、組織が不均一になり、かつ固溶強化により鋼が硬質化し冷間加工性が低下する。したがって、Mn量は1.0%以下とする。成形性の求められる部品用の材料としては、所定の冷間加工性を必要とするため、Mn量は0.7%以下とすることが好ましい。さらに好ましくは0.55%以下である。
P:0.03%以下
Pは、固溶強化により強度を上昇させる元素である。P量が0.03%を超えて増加すると粒界脆化を招き、焼入れ後の靭性が劣化する。また、冷間加工性も低下させる。したがって、P量は0.03%以下とする。優れた焼入れ後の靭性を得るには、P量は0.02%以下が好ましい。Pは冷間加工性および焼入れ後の靭性を低下させるため、P量は少ないほど好ましい。しかしながら、過度にPを低減すると精錬コストが増大するため、P量は0.005%以上が好ましい。さらに好ましくは0.007%以上である。
S:0.010%以下
Sは、硫化物を形成し、熱延鋼板の冷間加工性および焼入れ後の靭性を低下させるため、低減しなければならない元素である。S量が0.010%を超えると、熱延鋼板の冷間加工性および焼入れ後の靭性が著しく劣化する。したがって、S量は0.010%以下とする。優れた冷間加工性および焼入れ後の靭性を得るには、S量は0.005%以下が好ましい。Sは、冷間加工性および焼入れ後の靭性を低下させるため、S量は少ないほど好ましい。しかしながら、過度にSを低減すると精錬コストが増大するため、S量は0.0005%以上が好ましい。
sol.Al:0.001%以上0.10%以下
sol.Al量が0.001%未満では、鋼板中のAlNが少なすぎて、オーステナイト域における加熱時にオーステナイトの粒成長が起こり、所定の疲労強度が得られないため、0.001%以上とする。一方、0.10%を超えると、Al起因の介在物が多数生成され、部品成形時に割れ発生の原因となるため、部品成形時の割れ抑制の観点から0.10%以下とする。なお、sol.Alは、脱酸の効果を有しており、十分に脱酸するためには、0.005%以上とすることが好ましい。
N:0.01%以下
N量が0.01%を超えると、鋼板中の固溶N量が増加し、硬質化するため、所定の引張強さと伸びが得られず、冷間加工性が低下する。従って、0.01%以下とする。好ましくは0.0065%以下である。さらに好ましくは、0.0050%以下である。なお、Nは、AlN、Cr系窒化物およびB窒化物を形成する。これにより、焼入れ処理の加熱時にオーステナイト粒の成長を適度に抑制して、焼入れ後の靭性を向上させる元素である。このため、N量は0.0005%以上が好ましい。さらに好ましくは0.0010%以上である。
Cr:0.05%以上0.50%以下
本発明では、Crは、焼入れ性を高める重要な元素である。0.05%未満の場合、十分な効果が認められないため、Cr量を0.05%以上とする必要がある。また、鋼中のCr量が0%であると、特に浸炭焼入れにおいて表層でフェライトが発生しやすくなり、完全焼入れ組織が得られず、硬度低下が起こりやすい場合がある。このため、焼入れ性を重視する観点より、Cr量は0.05%以上とし、好ましくは0.10%以上とする。一方、Cr量が0.50%を超えると、焼入れ前の鋼板が硬質化して、冷間加工性が損なわれる。このため、Cr量は0.50%以下とする。なお、プレス成形の難しい高加工性を必要とする部品を加工する際には、より一層優れた冷間加工性を必要とするため、Cr量は0.45%以下とすることが好ましく、0.30%以下とすることがさらに好ましい。
B:0.0005%以上0.005%以下
本発明では、Bは、焼入れ性を高める重要な元素である。B量が0.0005%未満の場合、十分な効果が認められないため、B量は0.0005%以上とする必要がある。好ましくは0.0010%以上である。一方、B量が0.005%超えの場合、仕上圧延後のオーステナイトの再結晶が遅延し、結果として熱延鋼板の集合組織が発達し、焼鈍後の異方性が大きくなり、絞り成形において耳が発生しやすくなる。このため、B量は0.005%以下とする。好ましくは0.004%以下である。
さらに本発明では、Ti:0.06%超0.2%以下、Mo:0.10%超0.4%以下、Nb:0.10%超0.2%以下のうちから選んだ1種以上を含有させる。
Ti:0.06%超0.2%以下
Tiは、鋼板中でTiCを生成し、TiCは熱処理後の耐摩耗性を向上する効果が高い。Ti量が0.06%以下では、その効果が認められないため、Tiを含有する場合にはTi量は0.06%超とする。さらに好ましくは0.1%以上である。一方、Ti量が0.2%を超えて含有すると、焼入れ前の鋼板が硬質化して冷間加工性が損なわれる。従って、Tiを含有する場合、Ti量は0.2%以下とする。好ましくは0.15%以下である。
Mo:0.10%超0.4%以下
Moは、熱処理後の耐摩耗性を向上する効果の高い元素である。0.10%以下では添加効果が小さいので、Moを含有する場合には下限を0.10%超とする。さらに好ましくは0.11%以上とする。Moは0.4%を超えると添加効果は飽和し、コストも増加するため、Moを含有する場合には上限を0.4%とする。さらに好ましくは0.35%以下であり、より好ましくは0.3%以下である。
Nb:0.10%超0.2%以下
Nbは、NbCやNbNを形成し、熱処理後耐摩耗性を向上する効果の高い元素である。Nbが0.10%以下ではその効果が弱いため、Nbを含有する場合には0.10%超とする。一方、Nbは0.2%を超えると添加効果が飽和するだけでなく、Nb炭化物により母材の引張強さの増加に伴い伸びを低下させることになるため、Nbを含有する場合には上限を0.2%とする。さらに好ましくは0.18%以下であり、より一層好ましくは0.15%以下である。
本発明において、上記以外の残部は、Feおよび不可避的不純物である。
以上の必須含有元素で、本発明の熱延鋼板は目的とする特性が得られる。なお、本発明の熱延鋼板は、例えば焼入れ性をさらに向上させることを目的として、必要に応じて下記の元素を含有することができる。
SbおよびSnから選んだ1種または2種の合計:0.002%以上0.1%以下
Sb、Snは、鋼板表層からの浸窒抑制に有効な元素である。これら元素の1種以上の合計が0.002%未満の場合、十分な効果が認められないため、これら元素の1種以上の合計で0.002%以上とすることが好ましい。さらに好ましくは0.005%以上である。一方、これらの元素の1種以上の合計が0.1%を超えて含有しても、浸窒防止効果は飽和する。また、これらの元素は、粒界に偏析する傾向があるため、合計で0.1%超えとすると、含有量が高くなりすぎ、粒界脆化を引き起こす可能性がある。したがって、SbおよびSnから選んだ1種または2種を含有する場合、その合計の含有量は、0.1%以下とする。好ましくは0.03%以下であり、さらに好ましくは0.02%以下である。
本発明の機械特性および焼入れ性を安定化させるために、Ta、Ni、Cu、V、Wのうちから選んだ1種または2種以上を、それぞれ0.0005%以上0.1%以下添加してもよい。
Ta:0.0005%以上0.1%以下
Taは、Nbと同様に炭窒化物を形成し、焼入れ前加熱時の結晶粒の異常粒成長防止や結晶粒の粗大化防止、焼戻し軟化抵抗改善に有効な元素である。0.0005%未満では添加効果が小さいので、Taを含有する場合には下限を0.0005%とすることが好ましい。さらに好ましくは0.0010%以上とする。Taは0.1%を超えると添加効果が飽和したり、過剰な炭化物形成による焼入れ硬度を低下させたり、またコスト増となるため、Taを含有する場合には上限を0.1%とすることが好ましい。さらに好ましくは0.05%以下であり、より一層好ましくは0.03%未満である。
Ni:0.0005%以上0.1%以下
Niは、靱性の向上や焼入れ性の向上に効果の高い元素である。0.0005%未満では添加効果がないため、Niを含有する場合には下限を0.0005%とすることが好ましい。さらに好ましくは0.0010%以上とする。Niは0.1%超では、添加効果が飽和する上にコスト増加も招くため、Niを含有する場合には上限を0.1%とすることが好ましい。さらに好ましくは、0.05%以下である。
Cu:0.0005%以上0.1%以下
Cuは、焼入れ性の確保に有効な元素である。0.0005%未満では添加効果が十分に確認されないため、Cuを含有する場合には下限を0.0005%とすることが好ましい。さらに好ましくは0.0010%以上とする。Cuは0.1%超では、熱延時の疵が発生しやすくなり歩留りを落とす等の製造性を劣化させるので、Cuを含有する場合には上限を0.1%とすることが好ましい。さらに好ましくは、0.05%以下である。
V:0.0005%以上0.1%以下
Vは、NbやTaと同様に、炭窒化物を形成し、焼入れ前加熱時の結晶粒の異常粒成長防止および靱性改善、焼戻し軟化抵抗改善に有効な元素である。0.0005%未満では添加効果は十分に発現しないため、Vを含有する場合には下限を0.0005%とすることが好ましい。さらに好ましくは0.0010%以上とする。Vは0.1%を超えると添加効果が飽和するだけでなく、炭化物形成により母材の引張強度の増加に伴い伸びを低下させることになるため、Vを含有する場合には上限を0.1%とすることが好ましい。さらに好ましくは0.05%以下であり、より一層好ましくは0.03%未満である。
W:0.0005%以上0.1%以下
Wは、Nb、Vと同様に、炭窒化物を形成し、焼入れ前加熱時のオーステナイト結晶粒の異常粒成長防止や焼き戻し軟化抵抗改善に有効な元素である。0.0005%未満では添加効果が小さいので、Wを含有する場合には下限を0.0005%とすることが好ましい。さらに好ましくは0.0010%以上とする。Wは0.1%を超えると添加効果が飽和したり、過剰な炭化物形成による焼入れ硬度を低下させたり、またコスト増となるため、Wを含有する場合には上限を0.1%とすることが好ましい。さらに好ましくは0.05%以下であり、より一層好ましくは0.03%未満である。
なお、本発明ではTa、Ni、Cu、V、Wのうちから選んだ2種以上を含有する場合には、その合計量を0.0010%以上0.1%以下とすることが好ましい。
2)ミクロ組織
本発明の熱延鋼板のミクロ組織の限定理由について説明する。
2-1)フェライトおよびセメンタイト
本発明の熱延鋼板のミクロ組織は、フェライトおよびセメンタイトを有する。なお、本発明において、フェライトは面積率で92%以上が好ましい。フェライトの面積率が92%未満となると成形性が悪くなり、加工度の高い部品で冷間加工が難しくなる場合がある。そのため、フェライトは面積率で92%以上が好ましい。さらに好ましくは94%以上とする。
なお、本発明の熱延鋼板のミクロ組織は、上記したフェライトとセメンタイト以外に、パーライトが生成されてもよい。全ミクロ組織に対してパーライトの面積率が6.5%以下であれば、本発明の効果を損ねるものではないため、含有しても構わない。0%であってもよいので、下限は0%とする。
2-2)全セメンタイト数に対する円相当直径0.1μm以下のセメンタイト数の割合:20%以下
円相当直径が0.1μm以下のセメンタイトが多いと分散強化により硬質化し、伸びが低下する。冷間加工性を得る観点より、本発明では、円相当直径が0.1μm以下のセメンタイト数を、全セメンタイト数に対して20%以下とする。その結果、引張強度が500MPa以下、全伸び(El)が30%以上を達成することができる。
さらに本発明の熱延鋼板を難成形部品に用いる場合、高い冷間加工性が必要である。この場合には、円相当直径が0.1μm以下のセメンタイト数が、全セメンタイト数に対して10%以下であることが好ましい。円相当直径が0.1μm以下のセメンタイト数を、全セメンタイト数に対して10%以下とすることで、引張強度で450MPa以下、全伸び(El)が35%以上を達成することができる。なお、円相当直径が0.1μm以下のセメンタイトの割合を定義した理由は、0.1μm以下のセメンタイトでは分散強化能を生じ、その大きさのセメンタイトが増えると冷間加工性に支障をきたすためである。
また、焼鈍中におけるフェライト粒の異常粒成長抑制の観点から、円相当直径が0.1μm以下のセメンタイト数を、全セメンタイト数に対して3%以上とすることが好ましい。なお、焼入れ前に存在するセメンタイト径は、円相当直径で0.07~3.0μm程度である。焼入れ前の円相当直径が0.1μm超のセメンタイトの分散状態については、析出強化にそれほど影響しないサイズであるため、特に本発明では規定しない。
2-3)平均セメンタイト径:0.15μm以上
過度に小さいセメンタイトが多いと冷間加工性が低下する。冷間加工性の観点から、所定のサイズとしたセメンタイトを分散させる必要があり、平均セメンタイト径は0.15μm以上とする。さらに好ましくは0.2μm以上とする。一方、焼入れ時にはセメンタイトを全て溶かして、所定のフェライト中の固溶C量を確保する必要がある。平均セメンタイト径が2.5μmを超えるとオーステナイト域での保持中においてセメンタイトが完全に溶解できないため、平均セメンタイト径は2.5μm以下とする。より好ましくは2.0μm以下である。
なお、本発明において「セメンタイト径」とはセメンタイトの円相当直径を指し、セメンタイトの円相当直径は、セメンタイトの長径と短径を測定して円相当直径に換算した値とする。また「平均セメンタイト径」とは、円相当直径に換算した全てのセメンタイトの円相当直径の合計を、セメンタイト総数で除して求めた値を指す。
2-4)全ミクロ組織に対するセメンタイトの占める割合(面積率)が1.0%以上5.5%未満
全ミクロ組織に対するセメンタイトが占める面積率の割合が1.0%未満となると母材強度が低くなり、熱処理をせずに使用する部材では強度不足に陥る場合があるため、1.0%以上とする。好ましくは1.5%以上である。一方、母材強度が増加して、特に伸びが小さいと難成形部品において割れの危険性が高まるため、所定の伸びを確保する必要がある。所定の伸びを得るために、上記割合は5.5%未満とする。さらに好ましくは5.0%以下とする。
2-5)フェライトの平均粒径:4~25μm(好適条件)
フェライトの平均粒径は、4μm未満では冷間加工前の強度が増加し、プレス成形性が劣化する恐れがあるため、4μm以上が好ましい。一方、フェライトの平均粒径は25μmを超えると、母材強度が低下する恐れがある。また、目的とする製品形状に成型加工後、焼入れせずに使用する領域では、ある程度母材の強度が必要である。そのため、フェライトの平均粒径は、25μm以下とすることが好ましい。より好ましくは5μm以上であり、さらに好ましくは6μm以上である。より好ましくは20μm以下であり、さらに好ましくは18μm以下である。
なお、本発明では、上述のセメンタイトの円相当直径、平均セメンタイト径、全ミクロ組織に対するセメンタイトの占める割合、フェライトの面積率、フェライトの平均粒径等は、後述する実施例に記載の方法で測定することができる。
2-6)鋼板表面から100μmまでの範囲における、鋼中X(X=Ti、Mo、Nb)量に対する1μm以上のXC(X=Ti、Mo、Nb)に含まれるXの質量割合が5%以下
本発明では、鋼板表面から100μmまでの範囲における、鋼中X(X=Ti、Mo、Nb)量に対する1μm以上のXC(X=Ti、Mo、Nb)に含まれるXの質量割合が5%以下とすることで、粗大なXCに要するXを抑え、1μm未満のXCを多量に析出することができ、所定の耐摩耗性が得られる。好ましくは3%以下である。なお、耐摩耗性の向上には、1μm以下のXC(X=Ti、Mo、Nb)に含まれるXの質量割合を5%以下にすることが有効である。なお、1μm以上のXC(X=Ti、Mo、Nb)に含まれるXの質量割合は、少なければ少ないほど良いので、0%であってもよい。
2-7)鋼板表面から100μmまでの範囲における、XC(X=Ti、Mo、Nb)に含まれるX量に対する、100nm以上のXC(X=Ti、Mo、Nb)に含まれるX量の質量割合が65%以上(好適条件)
100nm以上の大きさのTiC、MoC、NbCが耐摩耗性の向上に大きく寄与するため、その質量割合を65%以上とすることが好ましい。
本発明では、100nm以上のTiC、NbC、MoCの析出に使用されるTi、Nb、Moの割合は、スラブ加熱後粗圧延までの保持時間、粗圧延における温度、圧下率、パス間時間が密接に関係し、これらの一連の製造条件を最適化することが必要であることが判明した。なお、100nm以上のTiC、NbC、MoCの析出に使用されるTi、Nb、Moの割合を得るために必要な理由は後述する。
なお、鋼板表面から100μmまでの範囲における、鋼中X(X=Ti、Mo、Nb)量に対する100nm以上のXC(X=Ti、Mo、Nb)に含まれるX量の質量割合は、耐摩耗性を得る点で、それぞれTiは65%以上、Moは30%以上、Nbは80%以上であると好ましい。より好ましくは、Tiは70%以上、Moは35%以上、Nbは85%%以上である。
3)機械特性
本発明の熱延鋼板は、駆動系自動車部品を冷間プレスで成形するため、優れた冷間加工性が必要である。また、焼入れ処理により硬さを大きくして、耐磨耗性を付与する必要がある。そのため、本発明の熱延鋼板は、鋼板の引張強度を低減して引張強度(TS)を500MPa以下とし、かつ全伸びを高めて全伸び(El)を30%以上とすることで、優れた冷間加工性を有するとともに、浸炭時にオーステナイト結晶粒成長を抑制して浸炭後優れた耐摩耗性を得ることができる。さらに好ましくはTSを450MPa以下とし、Elを35%以上とする。
なお、上述の引張強度(TS)、全伸び(El)は、後述する実施例に記載の方法で測定することができる。
4)製造方法
以下、本発明の熱延鋼板の製造方法における限定理由について説明する。なお、説明において、温度に関する「℃」表示は、鋼板表面あるいは鋼素材の表面における温度を表すものとする。
本発明において、鋼素材の製造方法は、特に限定する必要はない。例えば、本発明の鋼を溶製するには、転炉、電気炉どちらも使用可能である。転炉等の公知の方法で溶製された鋼は、造塊-分塊圧延または連続鋳造によりスラブ等(鋼素材)とされる。スラブは、通常、加熱された後、熱間圧延(熱間粗圧延、仕上圧延)される。
例えば、連続鋳造で製造されたスラブの場合は、そのままあるいは温度低下を抑制する目的で保熱して、圧延する直送圧延を適用してもよい。なお、熱間圧延では、仕上圧延終了温度を確保するため、バーヒータ等の加熱手段により被圧延材の加熱を行ってもよい。
鋼素材の加熱温度(スラブ加熱温度):1250℃以下の温度域で1.5h以上保持
スラブ加熱温度が高温すぎる場合には、粗大なTiNが多数析出してしまい、耐摩耗性の向上に有効なTiCに使用されるTiが少なくなる。そのため、スラブ加熱温度は1250℃以下とする。好ましくは1200℃以下である。保持時間は、合金元素が鋼中で均一に分散するという点から、1.5h以上とする。
70s以内で粗圧延開始
鋼板表面から100μmまでの範囲における、鋼中X(X=Ti、Mo、Nb)量に対する1μm以上のXC(X=Ti、Mo、Nb)に含まれるXの質量割合が5%以下となるようにするためには、高温での保持時間を短くする必要がある。従って、1250℃以下の温度域で1.5h以上保持した後、粗圧延開始までの時間を70s以内とする。好ましくは65s以下である。
900~1070℃の温度域、5パス以上、合計圧下率50%以上、パス間時間1s以上15s以下となる条件で粗圧延を実施
鋼板表面から100μmまでの範囲における、鋼中X(X=Ti、Mo、Nb)量に対する1μm以上のXC(X=Ti、Mo、Nb)に含まれるXの質量割合が5%以下となるようにするためには、900~1070℃の温度域で5パス以上、合計圧下率50%以上となるように粗圧延する必要がある。さらに、パス間時間が1s以上を確保できないと、鋼板表面から100μmまでの範囲における、鋼中X(X=Ti、Mo、Nb)量に対する1μm以上のXC(X=Ti、Mo、Nb)に含まれるXの質量割合が5%以下を確保できなくなるため、1s以上とした。操業性を考慮してパス間時間は15s以下が好ましい。より好ましくは10s以下である。
1000~1070℃の温度域で粗圧延における1パス目の圧下率:30%以下(好適条件)
高温で高い歪を付与すると100nm未満のTiC、NbC、MoCが多数析出し、XC(X=Ti、Mo、Nb)に含まれるX量に対する100nm以上のXC(X=Ti、Mo、Nb)に含まれるX量の質量割合が65%以上を確保できなくなる。従って、圧下率を30%以下とすることが好ましい。温度域は、所定のXCを得るといった点から1000~1070℃の温度域とすることが好ましい。
仕上圧延終了温度:Ar変態点以上で仕上圧延
仕上圧延終了温度がAr変態点未満では、熱間圧延後および焼鈍後に粗大なフェライト粒が形成され、伸びが著しく低下する。このため、仕上圧延終了温度は、Ar変態点以上とする。好ましくは(Ar変態点+20℃)以上とする。なお、仕上圧延終了温度の上限は、特に規定する必要はないが、仕上圧延後の冷却を円滑に行うためには、1000℃以下とすることが好ましい。
仕上圧延後、平均冷却速度:20~100℃/secで700~750℃まで冷却
仕上圧延後、700~750℃までの平均冷却速度は焼鈍後の球状化セメンタイトのサイズに大きく影響する。仕上圧延後、平均冷却速度が20℃/sec未満では、焼鈍前組織としてフェライト組織が多すぎるフェライトとパーライト組織になるため、焼鈍後所定のセメンタイト分散状態やサイズが得られない。そのため、20℃/sec以上で冷却する必要がある。好ましくは25℃/sec以上である。一方、平均冷却速度が100℃/secを超えると焼鈍後に所定のサイズを有するセメンタイトが得られにくくなるため、100℃/sec以下とする。好ましくは75℃/sec以下である。
巻取温度:580℃超700℃以下
仕上圧延後の熱延鋼板は、コイル形状に巻き取られる。巻取温度が高すぎると熱延鋼板の強度が低くなり過ぎて、コイル形状に巻き取られた際、コイルの自重で変形する場合がある。このため、操業上の観点から好ましくない。したがって、巻取温度の上限を700℃とする。好ましくは690℃以下である。一方、巻取温度が低すぎると熱延鋼板が硬質化するため、好ましくない。したがって、巻取温度は580℃超とする。好ましくは600℃以上である。
コイル状に巻き取った後、常温まで冷却し、酸洗処理を施しても良い。酸洗処理後、焼鈍を行う。なお、酸洗処理は公知の方法を適用できる。その後、得られた熱延鋼板に以下の焼鈍を施す。
焼鈍温度:Ac変態点未満で0.5h以上保持
焼鈍温度がAc変態点以上であると、オーステナイトが析出し、焼鈍後の冷却過程において粗大なパーライト組織が形成され、不均一な組織となる。このため、焼鈍温度は、Ac変態点未満とする。好ましくは(Ac変態点-10℃)以下である。なお、焼鈍温度の下限は特に定めないが、所定のセメンタイト分散状態を得るには、焼鈍温度は650℃以上が好ましく、さらに好ましくは700℃以上である。なお、雰囲気ガスは、窒素、水素、窒素と水素の混合ガスのいずれも使用できる。また、上記焼鈍温度における保持時間は、0.5h以上とする。焼鈍温度における保持時間が0.5h未満であると、焼鈍の効果が乏しく、本発明の目標とする組織が得られず、その結果、本発明の目標とする鋼板の硬さおよび伸びが得られない場合がある。したがって、上記焼鈍温度における保持時間は0.5h以上とする。さらに好ましくは5h以上であり、より一層好ましくは20h超えである。一方、上記焼鈍温度における保持時間が40hを超えると、生産性が低下し、製造コストが過大となる。そのため、上記焼鈍温度における保持時間は、40h以下とすることが好ましい。さらに好ましくは35h以下である。
本発明では、上記した焼鈍に代えて、以下の2段焼鈍を施すことができる。具体的には、巻き取った後、Ac変態点以上Ac変態点以下で0.5h以上保持(1段目の焼鈍)し、次いで平均冷却速度:1~20℃/hでAr変態点未満に冷却し、Ar変態点未満で20h以上保持(2段目の焼鈍)する2段焼鈍を施すことにより製造することも可能である。
本発明では、熱延鋼板を加熱し、Ac変態点以上Ac変態点以下で0.5h以上保持し、熱延鋼板中に析出していた比較的微細な炭化物を溶解してγ相中に固溶させ、その後平均冷却速度:1~20℃/hでAr変態点未満に冷却し、Ar変態点未満で20h以上保持する。このことにより、比較的粗大な未溶解炭化物等を核として固溶Cを析出させて、全体のセメンタイト数に対する円相当直径0.1μm以下のセメンタイト数の割合が20%以下となるような、炭化物(セメンタイト)の分散を制御された状態とすることができる。すなわち、本発明では、所定条件で2段焼鈍を施すことで、炭化物の分散形態を制御し、鋼板を軟質化させる。本発明で対象とする熱延鋼板では、軟質化する上で焼鈍後における炭化物の分散形態を制御することが重要となる。本発明では、熱延鋼板をAc変態点以上Ac変態点以下で保持する(1段目の焼鈍)ことで、微細な炭化物を溶解するとともに、Cをγ(オーステナイト)中に固溶する。その後のAr変態点未満の冷却段階や保持段階(2段目の焼鈍)において、Ac変態点以上の温度域で存在するα/γ界面や未溶解炭化物が核生成サイトとなり、比較的粗大な炭化物が析出する。以下、このような2段焼鈍の条件について説明する。なお、焼鈍の際の雰囲気ガスは、窒素、水素、窒素と水素の混合ガスのいずれも使用できる。
Ac変態点以上Ac変態点以下で0.5h以上保持(1段目の焼鈍)
熱延鋼板をAc変態点以上の焼鈍温度に加熱することにより、鋼板組織のフェライトの一部をオーステナイトに変態させ、フェライト中に析出していた微細な炭化物を溶解させ、Cをオーステナイト中に固溶させる。一方、オーステナイトに変態せずに残ったフェライトは高温で焼鈍されるため、転位密度が減少して軟化する。また、フェライト中には溶解しなかった比較的粗大な炭化物(未溶解炭化物)が残存するが、オストワルド成長により、より粗大になる。焼鈍温度がAc変態点未満では、オーステナイト変態が生じないため、炭化物をオーステナイト中に固溶させることができない。一方、1段目の焼鈍温度がAc変態点超になると焼鈍後に棒状のセメンタイトが多数得られて、所定の伸びが得られないため、Ac変態点以下とする。また、本発明では、Ac変態点以上Ac変態点以下での保持時間が0.5h未満では微細な炭化物を十分に溶解することができない。このため、1段目の焼鈍として、Ac変態点以上Ac変態点以下で0.5h以上保持することとする。保持時間は、好ましくは1.0h以上とする。また、保持時間は10h以下とすることが好ましい。
平均冷却速度:1~20℃/hでAr変態点未満に冷却
上記した1段目の焼鈍の後、2段目の焼鈍の温度域であるAr変態点未満に、平均冷却速度:1~20℃/hで冷却する。冷却途中に、オーステナイトからフェライトへの変態に伴いオーステナイトから吐き出されるCが、α/γ界面や未溶解炭化物を核生成サイトとして、比較的粗大な球状炭化物として析出する。この冷却においては、パーライトが生成しないように冷却速度を調整する必要がある。1段目の焼鈍後、2段目の焼鈍までの平均冷却速度が、1℃/h未満では生産効率が悪いため、平均冷却速度は1℃/h以上とする。好ましくは5℃/h以上とする。一方、平均冷却速度が20℃/hを超えて大きくなると、パーライトが析出し、硬度が高くなるため、20℃/h以下とする。好ましくは15℃/h以下とする。
Ar変態点未満で20h以上保持(2段目の焼鈍)
上記した1段目の焼鈍後、所定の平均冷却速度で冷却してAr変態点未満で保持することで、オストワルド成長により、粗大な球状炭化物をさらに成長させ、微細な炭化物を消失させる。Ar変態点未満での保持時間が20h未満では、炭化物を十分に成長させることができず、焼鈍後の硬度が大きくなりすぎる。このため、2段目の焼鈍はAr変態点未満で20h以上保持とする。なお、特に限定するものではないが、2段目の焼鈍温度は炭化物を十分成長させるため、660℃以上とすることが好ましく、また、保持時間は生産効率の観点から、30h以下とすることが好ましい。
なお、上述したAc変態点、Ac変態点、Ar変態点、Ar変態点は、フォーマスター試験などによる加熱時、冷却時の熱膨張測定や電気抵抗測定による実測により決定することができる。
また、上述した平均加熱速度、平均冷却速度は、炉内に設置した熱電対で温度を測定し求める。
表1に示す鋼番A~Rの成分組成を有する鋼を溶製し、次いで表2および表3に示す製造条件に従って、熱間圧延を行った。次いで、酸洗し、窒素雰囲気中(雰囲気ガス:窒素)で、表2および表3に示す焼鈍温度および焼鈍時間(h)にて焼鈍(球状化焼鈍)を施して、板厚3.0mmの熱延焼鈍板を製造した。
このようにして得られた熱延焼鈍板から試験片を採取し、下記のように、ミクロ組織、100nm以上TiCに含まれるTi量、100nm以上MoCに含まれるMo量、100nm以上NbCに含まれるNb量、引張強度、全伸び、ガス浸炭油焼入れ後の鋼板硬さおよびガス浸炭油焼入れ後の耐摩耗性をそれぞれ求めた。なお、表1に示すAc変態点、Ac変態点、Ar変態点およびAr変態点はフォーマスター試験により求めたものである。
(1)ミクロ組織
焼鈍後の鋼板のミクロ組織は、板幅中央部から採取した試験片(大きさ:3mmt×10mm×10mm)を切断研磨後、ナイタール腐食を施し、走査型電子顕微鏡(SEM)を用いて、表層から板厚1/4のところの5箇所で3000倍の倍率で撮影した。撮影した組織写真を画像処理により各相(フェライト、セメンタイト、パーライトなど)を特定した。表2および表3にはミクロ組織として「パーライト面積率」を記載しており、パーライトが面積率で6.5%を超えて認められた鋼については、比較例としている。面積率で6.5%以下のパーライトと、フェライトと、セメンタイトを有する鋼については本発明例としている。
また、SEM画像からGIMPファイルといった画像解析ソフトを用いて、フェライトとフェライト以外の領域とを二値化して、フェライトの面積率(%)を求めた。セメンタイトも同様に、セメンタイトとセメンタイト以外の領域を二値化して、セメンタイトの面積率(%)を求めた。また、パーライトは、100(%)からフェライトとセメンタイトの各面積率(%)を引いた値を、パーライトの面積率(%)とした。
また、撮影した組織写真について、個々のセメンタイト径を評価した。セメンタイト径は、長径と短径を測定し、円相当直径に換算した。平均セメンタイト径は、円相当直径に換算した全てのセメンタイトの円相当直径の合計をセメンタイト総数で除して求めた。円相当直径の値が0.1μm以下のセメンタイトの個数を測定し、円相当直径0.1μm以下のセメンタイトの数とした。また、全セメンタイトの個数を求め、全セメンタイト数とした。そして、全セメンタイト数に対する円相当直径0.1μm以下のセメンタイト数の割合((円相当直径0.1μm以下のセメンタイト数/全セメンタイト数)×100(%))を求めた。なお、この「円相当直径0.1μm以下のセメンタイトの割合」を、円相当直径0.1μm以下のセメンタイトと単に称する場合もある。
また、撮影した組織写真について、JIS G 0551に定められた結晶粒度の評価方法(切断法)を用いて、フェライトの平均粒径を求めた。
(2)各X(X=Ti、Mo、Nb)量の測定
下記の参考文献1および特許文献4に記載されている方法と同じ手法で求めた。すなわち、鋼板表面から100μmまでの領域において、10%AA(10vol%アセチルアセトン-1質量%塩化テトラメチルアンモニウムーメタノール)電解液中で電解し、電解液から固溶X(X=Ti、Mo、Nb)量を測定した。続いて、電解後に残った鋼について分散性を有する溶液である0~2000mg/lの範囲に濃度を7水準変化させたヘキサメタリン酸ナトリウム水溶液に浸漬し、析出物を分離した。次に直孔からなり、電子顕微鏡観察から求めた空隙率が47%で、フィルタ孔径が100nmのフィルタを用い、100nm以上の析出物とそれ以下の析出物に分離し、100nm以上のTiC、NbCおよびMoCをそれぞれ求めた。100nm未満の析出物については、100nm以上の析出物を分離した液にて求めた各X(X=Ti、Mo、Nb)から固溶X量を差し引く補正を行って求めた。固溶X量+析出物に含有されるX量=鋼中X量とした。
1μm以上のTiC、NbCおよびMoCについては以下のように求めた。特許文献5に示すような2段レプリカ法にてNb炭化物、Ti炭化物およびMo炭化物のみ抽出したものから、透過型電子顕微鏡(TEM)を用いて、16万倍の倍率で30視野撮影し、サイズを測定した。観察した30個について長径と短径を測定し、円相当直径に換算し、1μm以上のXCに含まれるXの割合を求めた。
[参考文献1]城代哲史、石田智治、猪瀬国生、藤本京子,鉄と鋼,vol.99 (2013) No.5,p.362-365
[特許文献4]特開2010-127789号公報
[特許文献5]特開2018-194539号公報
(3)鋼板の引張強度と伸び
焼鈍後の鋼板(原板)から、圧延方向に対して0°の方向(L方向)に切り出したJIS5号引張試験片を用いて、10mm/分で引張試験を行い、公称応力公称歪曲線を求め、最大応力を引張強度とした。また、破断したサンプルを突き合わせて全伸びを求めた。その結果を、伸び(El)とした。
(4)浸炭油焼入れ後の鋼板硬さ(浸炭焼入れ性)
焼鈍後の鋼板について、930℃で鋼の均熱、浸炭処理、拡散処理といった浸炭焼入れ処理を合計時間4時間で行い、850℃で30分保持した後、油冷した(油冷の温度:70℃)。鋼板表面からの深さ0.1mmの位置と深さ1.2mmの位置まで0.1mm間隔にて硬さを荷重1kgfの条件下で測定し、浸炭焼入れ時の表層0.1mmの硬さ(HV)と表層から1.0mmの硬さ(HV)を求めた。焼入れ性が十分であると評価できる、C含有量に応じた焼入れ性の合格基準を表4に示す。浸炭焼入れ時の表層0.1mmの深さにおける硬さ(HV)が700HV以上で、かつ表層から1.0mm内部に入ったところにおける硬さのそれぞれが、表4の基準を満足した場合、合格(記号:○で示す)と判定し、焼入れ性に優れると評価した。
(5)浸炭後の耐摩耗特性
焼鈍材から30mm×30mmの試験片を採取し、浸炭処理、焼入れ処理を行なって、浸炭材の耐摩耗性を評価した。上記(4)で示す条件で浸炭処理、焼入れ処理を行って、ボールオンディスク試験機を用いて摩耗試験を行った。摩耗試験は超鋼のボール(球径6mm)を試験片の表面と接触させた状態で、1Nの荷重を負荷し、半径8mmの同心円状を回転速度20cm/sで回転させて、30000回回転した後の摩耗痕断面積を求めた。30000回回転後摩耗痕断面積が300μm以下であるものについては、合格(記号:〇で示す)と判定し、耐摩耗性に優れると判定した。
(4)の結果において〇の判定が得られたもの、および、(5)の結果において〇の判定が得られたものついて、総合評価を〇とし、いずれかの値が満足しない場合、不合格(記号:×で示す)と判定した。
表2、3に結果を示す。
Figure 2022122482000001
Figure 2022122482000002
Figure 2022122482000003
Figure 2022122482000004
表2、3の結果から、本発明例はいずれも冷間加工性および熱処理後の耐摩耗性に優れる。

Claims (9)

  1. 質量%で、
    C:0.05%以上0.30%未満、
    Si:0.80%以下、
    Mn:0.10%以上1.0%以下、
    P:0.03%以下、
    S:0.010%以下、
    sol.Al:0.001%以上0.10%以下、
    N:0.01%以下、
    Cr:0.05%以上0.50%以下、
    B:0.0005%以上0.005%以下を含有し、
    さらにTi:0.06%超0.2%以下、Mo:0.10%超0.4%以下、Nb:0.10%超0.2%以下のうちから選んだ1種以上を含有し、
    残部がFeおよび不可避的不純物からなる成分組成を有し、
    ミクロ組織は、
    フェライトおよびセメンタイトを有し、
    前記セメンタイトは、全セメンタイト数に対する円相当直径0.1μm以下のセメンタイト数の割合が20%以下、平均セメンタイト径が0.15μm以上、全ミクロ組織に対する前記セメンタイトの占める割合が面積率で1.0%以上5.5%未満であり、
    鋼板表面から100μmまでの範囲における、鋼中X(X=Ti、Mo、Nb)量に対する1μm以上のXC(X=Ti、Mo、Nb)に含まれるXの質量割合が5%以下であり、
    引張強さが500MPa以下、全伸びが30%以上である熱延鋼板。
  2. 鋼板表面から100μmまでの範囲における、XC(X=Ti、Mo、Nb)に含まれるX量に対する、100nm以上のXC(X=Ti、Mo、Nb)に含まれるX量の質量割合が65%以上である請求項1に記載の熱延鋼板。
  3. SbおよびSnから選んだ1種または2種を合計で0.002%以上0.1%以下含有する請求項1または2に記載の熱延鋼板。
  4. 前記成分組成に加えてさらに、質量%で、Ta、Ni、Cu、V、Wのうちから選ばれた1種または2種以上を、それぞれ0.0005%以上0.1%以下含有する請求項1~3のいずれかに記載の熱延鋼板。
  5. 前記フェライトの平均粒径が4~25μmである請求項1~4のいずれかに記載の熱延鋼板。
  6. 請求項1~5のいずれかに記載の熱延鋼板の製造方法であって、
    前記成分組成を有する鋼素材を、1250℃以下の温度域で1.5h以上保持した後70s以内で粗圧延を開始し、900~1070℃の温度域、5パス以上、合計圧下率50%以上、パス間時間1s以上15s以下となる条件で粗圧延を実施し、仕上圧延終了温度:Ar変態点以上で仕上圧延を行い、
    その後、平均冷却速度:20~100℃/secで700~750℃まで冷却し、
    巻取温度:580℃超700℃以下で巻き取り、熱延鋼板とした後、
    該熱延鋼板を、焼鈍温度:Ac変態点未満で0.5h以上保持する焼鈍を施す熱延鋼板の製造方法。
  7. 前記粗圧延において、1パス目が1000~1070℃の温度域で圧下率30%以下となるように粗圧延を実施する請求項6に記載の熱延鋼板の製造方法。
  8. 請求項1~5のいずれかに記載の熱延鋼板の製造方法であって、
    前記成分組成を有する鋼素材を、1250℃以下の温度域で1.5h以上保持した後70s以内で粗圧延を開始し、900~1070℃の温度域、5パス以上、合計圧下率50%以上、パス間時間1s以上15s以下となる条件で粗圧延を実施し、仕上圧延終了温度:Ar変態点以上で仕上圧延を行い、
    その後、平均冷却速度:20~100℃/secで700~750℃まで冷却し、
    巻取温度:580℃超700℃以下で巻き取り、熱延鋼板とした後、
    該熱延鋼板を、Ac変態点以上Ac変態点以下で0.5h以上保持し、次いで平均冷却速度:1~20℃/hでAr変態点未満に冷却し、Ar変態点未満で20h以上保持する焼鈍を施す熱延鋼板の製造方法。
  9. 前記粗圧延において、1パス目が1000~1070℃の温度域で圧下率30%以下となるように粗圧延を実施する請求項8に記載の熱延鋼板の製造方法。
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