JP2005264318A - 耐磨耗性に優れた軟窒化処理鋼 - Google Patents

耐磨耗性に優れた軟窒化処理鋼 Download PDF

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Abstract

【課題】 主として自動車用部品を用途とし、軟窒化処理前に全伸び特性と穴拡げ性などのプレス成形性に優れ、軟窒化処理後に十分な厚みの表層硬化層を有する耐摩耗性に優れた軟窒化処理鋼を提供する。
【解決手段】 質量%で、C :0.001〜0.005%、Si:0.03〜0.5%、Mn:0.1〜1.0%、Al:0.015%〜0.1%、Ti:0.03〜0.1%、Cr:0.4〜1.4%を含有し、P :0.035%以下に制限し、残部がFeおよび不可避的不純物からなり、さらに、鋼最表面から0.25mmの深さにおいて、フェライト結晶中の{001}面上に板状析出したCr窒化物の板状方向のサイズが5〜10nm、該Cr窒化物の個数密度が1×1017cm-3以上であり、好ましくは、該Cr窒化物中のN量とCr量の比(N/Cr)が0.5〜0.8の範囲内にある耐磨耗性に優れた軟窒化処理鋼。
【選択図】 図1

Description

本発明は、自動車部品、自転車その他回転を伴う各種部品、または、衝撃負荷の加わりやすい各種機械部品などに採用される窒化処理鋼に属し、特に、自動車用のトランスミッション等の部品に代表されるように、プレス成形後、さらに軟窒化処理を施すことにより特性が付与される部品への適用を前提として、窒化処理前のプレス成形性と、窒化処理後の耐磨耗性の両特性がともに優れた軟窒化処理鋼に関わるものである。
鋼の表面硬化法の一手法として知られる窒化法は、一般に、成形加工して得られた鋼製部品をNH3等の窒素含有ガスの雰囲気でAc1以下の温度域に加熱し、表層部に活性窒素を拡散させ、安定な窒化物を形成することにより、表層部を硬化させる手法である。
しかし、その表層部の硬化機構はよく判っていないのが現状であり、例えば、窒素原子が鋼中のAl、Cr、Ti、V、Moなどの間で窒化物を形成し、これらが転位(すべり)との何らかの干渉効果を持つことによるという説や、鋼中における窒化物自身の歪みに起因するという説など、幾つかの硬化機構説がある。
このような窒化法による鋼表層部の硬化処理方法として、例えば、特許文献1および特許文献2などでは、C:0.1〜0.5%の鋼中にAlやCrの窒化物形成元素を添加した鋼を所定温度条件で窒化処理した軟窒化低合金鋼が提案されているが、いずれも、鋼中のC含有量が高く、窒化処理時に窒化物を形成する元素を多く添加するために、鋼材の加工性に劣り、主に、切削加工による工具、構造用部品に用途が限られるという欠点があった。
これに対し、プレス加工成形が可能な自動車や機械部品用鋼として深絞り性および窒化処理に優れた軟窒化用の極低C−IF(Interstitial Free)鋼板の製造方法が特許文献3などで提案されている。しかし、このような従来の軟窒化用鋼板では、窒化処理した後の表面性状が不均一となり、十分な強度を得ることが困難であるなどの課題があった。
これに対し、特許文献4〜6などでは、添加元素としてのCuに注目し、鋼板製造時に、鋼中にCuを固溶させることにより十分な加工性を確保でき、かつ、窒化処理時には、鋼中のCu析出により強度向上とともに、表面硬化が可能となる、窒化処理用熱延鋼板が提案されている。
これらの方法のうち、特許文献6で開示する方法では、自動車用部品を用途とし、窒化処理前のプレス成形時に要求される鋼板の伸びフランジ性や穴拡げ性を確保し、かつ、鋼板の窒化処理後に表面から板厚方向に硬度を低下させた表面耐磨耗性に優れた鋼板が提案されている。
しかしながら、より耐磨耗性を向上させるためには、最表面から、より内部までを硬化させることが理想である。充分な厚みの硬化層を形成するためには、窒素を鋼表面から板厚方向へ充分に拡散させる必要があり、軟窒化処理条件として、処理時間を増加させるか、加熱温度を上昇させなければならない。
しかしながら、軟窒化処理時の処理時間増加および加熱温度上昇は、軟窒化処理鋼の製造における生産性向上および製造コスト低減の観点からは、好ましくない。
このような従来技術の現状から、より低温または短時間での軟窒化処理条件においても、窒素の鋼中への拡散量が確保でき、表面から深さ方向に十分な硬化層を有する、窒化処理前のプレス成形性に優れ、かつ、窒化処理後の表面耐磨耗性に優れた軟窒化処理鋼が望まれていた。
特開昭59−31850号公報 特開昭59−50158号公報 特開平9−25517号公報 特開平3−122254号公報 特開平11−199970号公報 特開2003−119548号公報
上記従来技術では、最近の自動車部品に要求される高強度化、例えば、最表面から深さ方向0.25mmの硬度が515Hv以上の目標を達成することは困難であり、または、目標を満足する軟窒化処理鋼を製造するためには生産性およびコストを低下させるという課題があった。
このような従来技術の現状に鑑みて、本発明は、生産性およびコストを低下させることなく、主に自動車用部品として要求される、軟窒化処理前には伸びフランジ性や穴拡げ性などのプレス成形性に優れ、かつ、軟窒化処理後には表面から充分な厚みで硬化層が形成された耐磨耗性に優れた軟窒化処理鋼を提供することを目的とする。
本発明鋼は、自動車用または機械構造用の部品に要求される耐磨耗性を充分に向上させるために、鋼最表面から0.25mmの深さにおける目標硬度がビッカース硬度で515Hv以上を満足する硬化層を有する軟窒化処理鋼であり、そのために、特に、鋼中の窒化物形成成分の含有量を規定するとともに、軟窒化処理により形成する鋼最表面から0.25mmの深さにおける窒化物の析出形態を規定した軟窒化処理鋼である。
なお、上記の鋼最表面については、表面処理条件によって軟窒化処理後の最表層部には、数十μm程度の鉄窒化層が形成されるので、これを含んだ鋼表面を最表面と定義する。
つまり、本発明の要旨とするところは、以下の通りである。
(1)質量%で、
C :0.001〜0.005%、
Si:0.03〜0.5%、
Mn:0.1〜1.0%、
Al:0.015%〜0.1%、
Ti:0.03〜0.1%、
Cr:0.4〜1.4%を含有し、
P :0.035%以下に制限し、残部がFeおよび不可避的不純物からなり、さらに、鋼最表面から0.25mmの深さにおいて、フェライト結晶中の{001}面上に板状析出したCr窒化物の板状方向のサイズが5〜10nm、該Cr窒化物の個数密度が1×1017cm-3以上であることを特徴とする耐磨耗性に優れた軟窒化処理鋼。
(2)前記Cr窒化物中のN量とCr量の比(N/Cr)が0.5〜0.8の範囲内にあることを特徴とする上記(1)記載の耐磨耗性に優れた軟窒化処理鋼。
(3)前記Cr窒化物の個数密度が2×1017cm-3以上であることを特徴とする上記(1)または(2)記載の耐磨耗性に優れた軟窒化処理鋼。
(4)さらに、質量%で、
Cu:0.8〜2.0%、
Ni:0.5×[Cu]〜1.5%を含有することを特徴とする上記(1)〜(3)の何れかに記載の耐磨耗性に優れた軟窒化処理鋼。
但し、上記[Cu]はCu含有量(質量%)を示す。
(5)さらに、質量%で、
Oを0.004%以下に制限することを特徴とする上記(1)〜(4)の何れかに記載の耐磨耗性に優れた軟窒化処理鋼。
本発明の適用により、従来に比べて、生産性およびコストを低下させることなく、軟窒化処理前には伸びフランジ性や穴拡げ性などのプレス成形性に優れ、かつ、軟窒化処理後には表面から充分な厚みで硬化層が形成された耐磨耗性に優れた軟窒化処理鋼を提供することができる。
従来から知られているAl、Cr、Ti、Vなどの窒化物の微細分散技術を複合的に活用するだけでは、近年の厳しい部品ニーズに対してその技術限界があることに直面し、本発明者らは、プレス加工性に優れた鋼板が、軟窒化処理により表層から充分な領域が硬化し、部品として要求される耐摩耗性が向上する諸条件を鋭意検討した。
特に、窒化処理によって鋼中に生成する窒化物の種類と組成、個数密度、分布、母相との整合性に着目し、これらを、ある特定の範囲内に最適化することで、厳しいニーズに対応可能な表層強化技術を可能とすることを突き止めた。
さらに、鋼材部品自体の強度を制御する目的で、炭窒化物や他の析出物挙動を検討した結果、表面硬度の制御とは独立に、鋼材内部の強度設計も可能であることを見出した。
以下、本発明について詳細に説明する。
まず、本発明鋼の成分組成は以下の理由で限定する。なお、以下に示す「%」は、特に説明がない限り「質量%」を意味するものとする。
Cは、0.001〜0.005%とする。鋼中のCは過度に含有すると、炭化物を形成し、鋼の延性、プレス成形性の低下をもたらすため、その含有量の上限を0.005%とした。C含有量は、低いほど延性、プレス成形性が向上するものの、その含有量を0.001%より低くすると、脱炭処理のために製造コストが高くなるため、その下限を0.001%とした。
Siは、脱酸剤として、さらには、固溶強化機構により母材強度を向上させる作用を有するので、その効果を利用するために、その含有量の下限を0.03%とする。一方で、Siの過剰添加による加工性の低下を防ぐために、その含有量の上限を0.5%と限定した。
Mnは、鋼中のSと反応し、MnSを形成することにより、鋼を製造する際の高温での割れや中心偏析を抑制する役割を果たすので、その含有量の下限を0.1%とする。また、Mnは、固溶強化能力が高いので、必要に応じて、その含有量を向上することができるが、含有量が1.0%を超えると、延性の低下が大きくなるので、含有量の上限を1.0%とする。
Pは、一般に、固溶強化元素の一つとして知られ、ある程度までの含有は許容されるが、本発明では、延性の劣化を抑制するために、その含有量の上限を0.035%に制限する。
Alは、Siと同様に脱酸剤として有効な元素である。また、軟窒化処理時にAl窒化物を析出し、鋼の表層硬化に寄与する。これらの作用を十分発揮させるためには、含有量の下限を0.015%とする。しかし、Al含有量が0.1%を超えると、鋼表層部のみが硬化し、鋼内部への窒素拡散を抑制することになり、充分な厚みの硬化層は得られなくなるので、その含有量の上限を0.1%とした。
Tiは、鋼中の不要なCやNと析出物を形成し、鋼中の固溶Cおよび固溶Nを低減させることにより延性向上に寄与するので、その含有量の下限を0.03%とする。しかし、Tiの過剰添加は、固溶Ti量が増加し延性低下を引き起こし、また、Al同様に鋼表層部のみが硬化し、内部への窒素拡散を抑制することになるので、その含有量の上限を0.1%とした。
Crは、本発明において中心的役割を担う元素であり、軟窒化処理時に鋼再表面から充分な深さ領域で、微細な窒化析出物を高密度に形成し、鋼結晶構造において転位の移動を抑制することにより、表層部の硬度を上昇させる作用を持つ。
この作用・効果を充分に発揮させるために、その含有量の下限を0.4%とする。より好ましくは0.7%とする。しかし、Cr含有量が多すぎると、鋼の極表層部のみの硬度が上昇し、内部への窒素拡散を抑制することとなり、内部硬化が遅れ充分な厚みの硬化層を得ることができなくなるため、その含有量の上限を1.4%とする。より好ましくは1.2%とする。
本発明鋼は、上記の成分を基本成分として含有し、かつ、その含有量を規定することにより、窒化処理前には延性や穴広げ性などのプレス成形性に優れ、かつ、窒化処理後に表面から充分な厚み領域に、後述するような微細窒化物を高密度に析出させ、硬化させることができる。
本発明鋼は、上記課題とする鋼材特性を害することのない範囲で、その他の特性を向上するなどの目的で、必要に応じて、以下の成分を含有することができる。
Cuは、窒化処理時に鋼中にCu粒子を析出し、強度を向上させる作用を有する元素として知られている(特許文献6、参照)。しかし、表層部の微細窒化物形成領域においては、析出Cu粒子は硬化にほとんど影響を及ぼしていないことが判明した。この領域では、熱処理中に析出したCu粒子を核生成サイトとして窒化物が優先的に成長する。
したがって、Cu粒子は、常に、この窒化物とペアを形成するため、硬化に寄与する析出物の総個数密度が、ほぼ窒化物によって決まることになるためである。この知見は、3次元アトムプローブ(3D−AP)解析によって初めて見出されたものである。したがって、析出Cu粒子は、微細窒化物形成領域では硬化に寄与せず、微細窒化物が形成されない鋼内部の強度のみを増加させることになる。
したがって、本発明では、Cuは表層部の硬度向上のために添加する必要はなく、Cr等の微細窒化物形成が形成されない表層より内部(中心部側)においてCu析出による強度向上効果を得るために、必要に応じてCuを添加する。
この鋼内部(中心部側)のCu析出による強度向上効果を充分得るためには、Cu含有量の下限を0.8%とするのが好ましい。一方、過度の添加はその効果が飽和するため、コスト面も考慮して、その含有量の上限を2.0%、好ましくは1.5%とする。
Niは、鋼表層での硬化層形成にとって本来必要でない元素であるが、上記Cuを添加する場合には、熱間圧延時に生じるCu起因の脆化割れを回避するため、Cu含有量に応じて添加することが好ましい。この作用効果を充分得るためには、質量比で、Cu含有量の0.5倍以上添加する必要がある。
したがって、Ni含有量の下限を0.5×[Cu]とするのが好ましい。なお、上記[Cu]はCu含有量(質量%)を示す。一方、その含有量が1.5%を超えると、延性の低下につながるため、その上限を1.5%とする。
このような理由で、本発明では、さらに鋼材強度を向上するために、Cuを0.8〜2.0%の範囲で添加するとともに、その際のCu起因の熱延脆化割れを回避するために、Niを0.5×(Cu)〜1.5%の範囲で添加する。
本発明においては、鋼中に形成される酸化物の量を極力低くすることも重要であり、特に、プレス成形性の中でも、伸びフランジ性および穴拡げ性の向上のためには、Oを0.004%以下とすることが好ましい。
また、上記で規定する以外のその他の元素については、本発明の目的を達成する上では不可避的不純物として取り扱うが、より好ましくは、以下のように含有量を規制する。
例えば、原料としてスクラップを部分使用した時に混入するSnなどのような微量元素は、特に、本発明鋼の材料特性を左右するものではないため、本発明効果を左右するものではない。
しかし、VやMo、Nb、Zr等のようなに、Nとの親和力が大きい元素については、窒化処理によって容易に窒化物を形成し、極表層部の硬化など鋼材特性に悪影響を及ぼすため、これらの元素の混入を極力防止し、各々の含有量を0.01%以下とすることがより好ましい。
また、軟窒化処理前の鋼中に不可避的成分として含有されているNは、フェライト鉄中での固溶度が比較的大きい。鋼中の固溶N量が多いと延性が劣化し、プレス生成性が劣化することになり好ましくない。したがって、軟窒化処理前のN含有量は0.005%以下、より好ましくは0.003%以下に制限する。
なお、軟窒化処理後は、窒化処理中に表面から浸入、拡散したNが、Crなどと微細かつ高密度の窒化物を析出し、鋼中の転位を固着する等によって表層硬化に寄与するため、この限りではない。
Sは、加工性を低下させ、耐食性等の観点から悪影響を及ぼすため、その含有量を可能な限り低減することが好ましいが、溶解の段階で混入してしまうので、含有量の上限を0.03%以下とするのがより好ましい。
本発明では、上述したように鋼中の成分組成を好ましい範囲に規定することに加えて、鋼の窒化処理後に形成される鋼表層部の窒化物の形態を、以下の理由から規定する。
本発明者らは、成分組成が異なる鋼を、窒化処理条件を変えて窒化処理した後の鋼表層部について、透過型電子顕微鏡(TEM)と3次元アトムプローブ装置(3D−AP)を用いて解析し、表層部の硬化特性の観点から、最適な析出窒化物の形態について詳細に検討した。
その結果、鋼の表層部の硬化特性を向上するためには、窒化処理により鋼最表面からより深い領域、少なくとも0.25mmの深さまでの領域において析出する窒化物の中でも、特に、フェライト結晶中の{001}面上に板状析出したCr窒化物のサイズとその個数密度、および、その窒化物中のN量とCr量の比(N/Cr)が、重要な条件であることを知見した。
上述した通り、本発明鋼は、鋼中にCrを含有し、窒化処理においては、表面から窒素が鋼内部に浸入、拡散し、鋼中のCr等の窒化物形成元素と窒化物を形成する。
この際、Crは、従来の窒化処理用鋼に用いられていたV等に比べ窒素との親和力が少し小さいため、適量の添加の場合には、極表層部でのみ窒化物を形成し、その後の窒素の内部拡散を阻害するという要因は小さく、鋼最表面から充分な深さ領域まで有効に窒化物を生成することができる。
但し、Vなどの窒素と親和力の大きな元素が複合添加されている場合は、Crに優先しこれらの元素と析出物を形成することになるため、極表層部のみの硬化が生じ易く、充分な厚みの硬化層の形成が難くなる。
本発明では、自動車用または機械構造用の部品に要求される耐磨耗性を充分に向上させるために、鋼最表面から0.25mmの深さにおける目標硬さをビッカース硬度(100g荷重)を515Hv以上とし、そのために、鋼最表面から0.25mmの深さにおけるCr窒化物の析出形態を、以下のように規定する必要がある。
フェライト結晶中の{001}面上に板状析出したCr窒化物は、形状が板状であるために、フェライトの結晶格子内で大きな整合歪みを生成し、硬度上昇に有効に作用する。
この作用を有効に発揮させるためには、上記Cr窒化物のサイズは、板状長径方向に5〜10nmとする必要がある。その板状長径方向のサイズが5nm未満であると、フェライトの結晶格子内で充分大きな整合歪みを生成することはできず、逆に、10nmより大きい場合は、非整合性が大きくなるため、むしろ、硬度が低下してしまう。このような理由から、上記Cr窒化物のサイズは、板状長径方向に5〜10nmとする。
本発明鋼を窒化処理して得られる析出Cr窒化物中には、主成分としてCrとNを含有するが、微量ながら、さらに鋼中の固溶Al、Ti、Mnが固溶し、(Cr、Al、Ti、Mn)xyの結晶組成を示す窒化物が析出する。Cr、Al、TiおよびMnの合計量との比(N/(Cr+Al+Ti+Mn))は、およそ1/2となることから、上記析出形態を有するCr窒化物の化学量論組成は、Cr2Nに近い成分であることが好ましい。
Nと、Cr、Al、TiおよびMnの合計量との組成比(N/(Cr+Al+Ti+Mn))によって、Cr主体の窒化物の形態、さらには、窒化物の密度およびサイズが変化する。
本発明者らは、後述する3D−AP装置を用いた元素分析の結果、上記Cr主体窒化物中の主成分であるN量とCr量の比(N/Cr)が0.5未満となると、安定な窒化物が生成され難く、また、窒化物のサイズが小さくなるため硬化作用が減少することを確認した。
一方、このN量とCr量の比(N/Cr)が0.8を超えると、上記の板状析出形態と異なる形態の窒化物が増加し、窒化物のサイズが大きくなり、密度が低下するため、硬化作用が減少することも確認している。
このような理由から、本発明において、上記Cr主体窒化物中のN量とCr量の比(N/Cr)を0.5〜0.8の範囲内とするのが好ましい。なお、この窒化物中のN量とCr量の比(N/Cr)は、後述する3D−AP装置を用いた元素分析により求められる。
また、上述した鋼最表面から0.25mmの深さにおける目標硬さをビッカース硬度(100g荷重)で515Hv以上とするためには、上記析出形態を有するCr窒化物を表層中に高密度分散させることが必要であり、そのために、そのCr窒化物の個数密度を、1×1017cm-3以上とする。また、表層硬化による耐磨耗性向上をより高めるためには、好ましくは、表層2×1017cm-3とする。
一方、Cr窒化物中のN量とCr量の比(N/Cr)は、Cr窒化物析出物のサイズが非常に小さいため、この元素組成比を厳密に求める方法は、一般には確立されていないのが現状である。TEMの元素分析法として知られているEDS(Energy Dispersion X-ray Spectroscopy)法でも測定は不可能である。
そこで、本発明では、この微小サイズの析出物の組成を直接調べることができる3D−AP装置を用いて窒化物中のN量とCr量の比(N/Cr)を直接測定した。3D−AP装置による分析法では、試料の構成原子を電界イオン化し、検出器に到達するまでの飛行時間を計測し、質量電荷比を求めることによって元素種を決定することができる。
鋼中のCr窒化物について、その構成原子のNは主としてN+イオンの質量電荷比(14)として検出され、CrはCr2+イオンの質量電荷比として検出される。また、Cr窒化物は、CrN2+複合イオンの質量電荷比としても検出されるため、これも元素分析に加えた。本発明鋼における窒化物の組成比(N/Cr)は、この方法を用いて決定した。
但し、W.Sha,L.Chang,G.D.W.Smith,Liuheng and E.J.Mittemeijer:Surface Science 266(1992)p416−423.中に記載されているように、Nの一部(およそ30%程度)はNN+イオンとなり、Fe2+イオンと質量電荷比28で重なるため分析が不可能となる。
したがって、3D−APによるN量の見積もりは過小評価である可能性があり、実際の、Cr窒化物中の(N/Cr)比は本発明で規定した範囲より少し大きい可能性がある。
なお、以上説明した本発明鋼の最表面から0.25mmの深さにおける、フェライト結晶中の{001}面上に板状析出したCr窒化物のサイズ、その個数密度、および、その窒化物中のN量とCr量の比(N/Cr)は、例えば、TEM、3D−APなどを用いて鋼材表層硬化層の析出物を解析することで定量することができる。
また、本発明軟窒化処理鋼の製造方法は特に規定する必要はなく、例えば、特許文献1等、従来から知られている製造方法により得られた軟窒化処理用鋼材を用い、通常の軟窒化処理方法を用い、その条件を調整して、目的とする所定深さに所定析出形態のCr窒化物を生成すればよい。なお、品質や製造コストの観点から、窒化処理方法としては、尿素を熱分解してできるCO+NH3を利用したガス軟窒化処理方法が好ましい。
本発明軟窒化処理鋼の表層硬化層を形成するための好ましい窒化処理条件として、特に、窒化処理時の加熱温度を高目にしたり、処理時間を増加させることは、生産性およびコスト増加になる。また、析出窒化物の粗大化などを招き、フェライト結晶格子内での整合歪みの発生を阻害し、逆に非整合性が現れるなど、むしろ硬度低下が生じる原因となることもある。
本発明で規定するCr含有鋼を、低めの加熱温度で短い処理時間で軟窒化処理することが、生産性向上およびコスト低減の点で好ましい。
以下に、本発明軟窒化処理鋼を製造するための好ましい形態の一例を説明する。なお、以下の製造方法に限定されるものではない。
まず、軟窒化処理する前の鋼材、つまり、軟窒化処理用の鋼材の製造形態の一例を説明する。
上記成分組成範囲にある鋼を連続鋳造等によりスラブ鋼片とし、この鋼片をそのまま、または、再加熱することにより1150〜1250℃の温度に加熱後、粗圧延し、仕上げ圧延を行なう。この際、仕上げ圧延は、Ar3変態点以上のオーステナイト域で終了することが、延性などの特性を得るための組織制御の観点から望ましい。
上記仕上げ圧延後の巻き取りは、700℃以下で実施する。なお、鋼材中にCuを0.8%以上含有する場合は、巻き取り後にゆっくり冷却すると、鋼材内部でのCuの析出が起こり、その析出硬化能のために、その後の加工性が悪くなるので、400℃以下の温度域まで、100/℃以上の速度で冷却することが望ましい。
なお、0.8%未満のCuを含有している鋼、または、Cuを含有していない成分系の鋼の場合は、この急速冷却の必要はない。
本発明鋼は、軟窒化処理前には、穴拡げ性などのプレス成形性に優れた特性を有することを目的とするため、熱延鋼板の状態で軟窒化処理に供するのが望ましい。
しかし、必要に応じて、熱間圧延に引き続いて冷間圧延を行い、その後、再結晶熱処理を施し、この冷延鋼板を軟窒化処理してもよい。但し、この場合は、本発明が対象とする極低炭素IF鋼では、再結晶熱処理時の焼鈍温度がAc3変態点を超えると、延性やr値などのプレス成形性が劣化するため、その温度の上限を900℃とすることに配慮する必要がある。
また、再結晶工程に続く過時効条件も、引張り強度で490MPa以下として鋼材の加工性を確保するためには、その温度を350℃以下とすることが好ましい。
次に、これらの製造方法で得られた窒化処理用鋼材を窒化処理する場合の好ましい条件について説明する。通常、上記窒化処理用鋼材を自動車用部品または機械構造用部品などにプレス成形した後、この部品を窒化処理することにより表層を硬化させる。
ガス軟窒化処理においては、CO2+H2+N2+NH3のガス雰囲気で、加熱温度:540〜630℃とし、処理時間:3〜5時間でガス軟窒化処理を施すのが好ましい。
一般には、生産性向上およびコスト低減の観点から、ガス軟窒化処理は、低温かつ短時間で行なうことが望ましい。本発明鋼は、Crを所定量含有するため、従来の窒化処理用鋼に比べて、窒化処理時に、低温かつ短時間の条件でも、鋼材表面から充分な深さ領域までCr窒化物を生成することができるが、本発明鋼の上記析出形態のCr窒化物を形成するためには、例えば、以下のような2段加熱処理を行なう方が好ましい。
つまり、ガス軟窒化処理において、第一窒化処理として、一次加熱温度:570〜630℃の比較的高温で、かつ、処理温度:1時間以内での短時間で処理し、その後、引き続き、第二窒化処理として、二次加熱温度:540〜600℃の比較的低温で、かつ、処理温度:2〜4時間で処理を行うのが好ましい。
この方法を用いることにより、表層での窒化物の過剰な成長による鋼材内部への窒化拡散の阻害を抑制することができ、上述したような析出形態のCr窒化物を高密度で、表層から充分な深さ範囲にわたって生成することが可能となる。
もちろん、窒化処理は、上記のような多段の軟窒化処理に限定する必要はなく、本発明で規定する成分組成の鋼材を窒化処理する際の条件調整により、本発明で限定する表層硬化層を形成することができればよい。
本発明の実施例を、比較例と共に説明する。
表1に示した成分組成を有する鋼を種々溶解し、インゴットを製造した。表1に示す分析値は化学分析値であり、単位は「質量%」である。
インゴットは、1250℃で1時間の加熱を行った後、仕上げ温度930℃、仕上げ厚み2mmで熱間圧延し、表1に示す鋼A〜C、E〜L(Cu添加なし)は580℃の温度で巻き取り、熱延鋼板を作製した。また、表1に示す鋼D、M、N(Cu添加)は、同じ条件で熱間圧延後、380℃まで水冷後、放冷し、巻き取り、熱延鋼板を作製した。
次に、それぞれの熱延板からJIS Z 2201に記載の5号試験片を採取、加工して、JIS Z 2241に記載の試験方法に従って引張り試験を行なった。引張り試験で測定された降伏応力(YP)と引張り強度(TS)を、表2に示す。
また、プレス成形性の指標として、全伸び特性と穴広げ性の試験を行い、それぞれを測定した。なお、穴広げ性試験においては、直径10mmの打ち抜き穴のバリを外側にして、60°円錐ポンチにて押し広げ、クラックが板圧を貫通した時点での穴径(d)と初期穴径(d0)との比(d/d0)を求めた。全伸び(El)および穴広げ値(d/d0)の測定結果を、表2に示す。
表2に示すとおり、本発明で規定する成分組成の範囲内にある鋼A〜D(鋼成分発明内)はいずれも、穴広げ値(d/d0)が2.5を超え、また、全伸び(El)も35%を超えるものであり、優れたプレス成形性を有している。
一方、本発明で規定する成分組成の範囲から外れる鋼E〜G、MおよびN(鋼成分発明外)は、全伸び(El)は34%以下、穴広げ値(d/d0)は2.2以下と、何れも不充分であり、プレス成形性は低い結果であった。
また、鋼H〜L(鋼成分発明外)は、本発明で規定する成分組成の範囲から外れる鋼ではあるものの、全伸び(El)は35%以上、穴広げ値(d/d0)は2.5以上であり、プレス成形性は充分であった。
次に、加工性が良好であった本発明で規定する成分組成の範囲内にある鋼A〜D(鋼成分発明内)と、本発明で規定する成分組成の範囲から外れるが加工性が良好であった鋼H〜L(鋼成分発明外)を用いて、さらに、それぞれの鋼を軟窒化処理した後、軟窒化処理鋼としての特性を調べた。
窒化処理は、2段階窒化処理法を用い、CO2+H2+N2+NH3のガス雰囲気中で、第一窒化処理後、第二窒化処理を行い、それぞれ表3に示した加熱温度と処理時間で実施した。なお、表3中の第一窒化処理および第二窒化処理には、加熱温度と処理時間を、それぞれ示す。表中の試験No.5を除き、コスト低減の観点から処理時間の合計が3時間以内とする2段階窒化処理を行った。
軟窒化処理後の軟窒化処理鋼の特性評価は、表面から目的の深さ(0.25mm、0.8mm)まで機械研磨した後、100g荷重のビッカース硬度試験を行い、ビッカース硬度(Hv)を測定して行った。また、機械研磨や電解研磨によって目的の深さ(0.25mm、0.8mm)の試料を作製し、TEMと3D−APを用いて、窒化析出物の形状、サイズ、個数密度、成分比を調べた。これらの結果を、表3に示す。
図1および図2には、表3に示す鋼Dの最表面から深さ0.1mmにおいて、TEMおよび3D−APを用いて、それぞれ観察した析出物を示す。
図1は、TEM写真であり、これから平均7nmの母相と整合した板状Cr窒化物が{001}面上に高密度分布している様子が判る。また、図2は、3D−APによる元素マップであり、図1で観察されたCr窒化物が、Al、Mnを含むCrを主成分とする窒化物であることを示す。
また、鋼Dは、Crと共に選択成分としてCuを含有する鋼であるが、図1および2の解析結果から、析出したCu粒子はCr窒化物と対になって存在することが判る(図2中で、矢印が対を示す)。なお、図2に示す元素マップは、各点が原子1個に対応し、これから、Cr窒化物中の成分比を正確に求めることが可能である。
表3において、試験No.1〜6は、同じ鋼Aを用い、異なる窒化処理条件によって軟窒化処理を行なった実施例である。
試験No.3および4は、最表面から0.25mmの深さにおけるCr窒化物の析出形態({001}面上に板状析出、板状方向のサイズ:5〜10nm、N量とCr量の比(N/Cr):0.5〜0.8、個数密度:1×1017cm-3以上)が本発明範囲内である発明鋼であり、試験No.1、2、5および6は、本発明範囲から外れる比較鋼を示す。
表3中、第一段、第二段の窒化処理温度が低温である場合には、窒素の内部拡散が充分には行われず、析出物の個数密度が充分に得られないため、目的の硬度が得られなかった。一方、高温または長時間の窒化処理では、Nの内部拡散は充分であるが、析出物の粗大化や、個数密度低減、非整合変化等が生じ、目的の硬度が得られなかった。
また、試験No.7〜14は、No.3(鋼A)と同じ良好な窒化処理条件であるが、鋼B〜Lの異なる鋼種を用いて軟窒化処理を行なった実施例である。試験No.7〜9は、鋼中の成分組成が本発明範囲内である発明鋼、試験No.10〜14は本発明範囲から外れる比較鋼を用いて、同じ条件で軟窒化処理を行なった実施例である。
また、表3に示すCr窒化物の形状については、{001}面上に板状析出したものはその長径、棒状のものはその長さ、直方体のものは最長の一辺、不定形のものは球形とした時のその直径を平均値で表した。
表3から、鋼中の成分組成および最表面から0.25mmの深さにおけるCr窒化物の析出形態のいずも本発明で規定する範囲内である試験No.3、4、7〜9の発明鋼は、最表面から0.25mmにおける硬度が515Hv以上と充分な表層硬度が得られた。
また、これらの発明鋼の内で、試験No.9は、Crと共に選択成分としてCuを添加した鋼Dを窒化処理して得られた発明鋼である。この試験No.9の発明鋼の0.25mm深さの硬度は、Cuを添加しない他の発明鋼とほぼ同じであるが、0.8mm深さの硬度は、他の発明鋼に比べて2倍程度向上した。
これは、上述したように、鋼Dを窒化処理して得られた鋼の元素マップ(図2)から明らかなように、Cr窒化物とCu粒子が共存する表層硬化領域では、Cu粒子は、常に、Cr析出物と対となっているため、Cu粒子による硬度向上の寄与は少ない。
しかし、内部側では、Cr窒化物は形成され難いため、Cu粒子の単独析出による硬度向上が顕著に現れるものと考えられる。
一方、試験No.12〜14は、比較鋼として、CrよりNとの親和力が大きな、Al、Ti、V等の窒化物形成元素を多量に添加した鋼J〜Lを用いて試験No.3(鋼A)と同じ最適な条件で窒化処理を実施した実施例である。その結果、極表層部のみの過度な硬化が起こり、それが内部への窒素拡散を阻害する結果、最表面から充分な厚みの硬化層は形成されず、0.25mm深さでの硬度は低かった。
また、試験No.10は、比較鋼として、Crの添加量が本発明の範囲より少ない鋼Hを用い、試験No.11は、比較鋼として、Crの添加量が本発明の範囲より多い鋼Iを用い、それぞれ試験No.3(鋼A)と同じ最適な条件で窒化処理を実施した実施例である。
その結果、いずれの比較鋼も、最表面から0.25mm深さでのCr窒化物の密度が本発明範囲より低くなり、0.25mm深さの硬度が低下した。
前述したように、本発明の適用により、従来に比べて、生産性およびコストを低下させることなく、軟窒化処理前には伸びフランジ性や穴拡げ性などのプレス成形性に優れ、かつ、軟窒化処理後には表面から充分な厚みで硬化層が形成された耐磨耗性に優れた軟窒化処理鋼を提供することができる。
したがって、本発明によれば、自動車用または機械構造用の部品などを製造する際にプレス加工性を良好に維持しつつ耐磨耗性に優れた良好な品質の製品を高生産性かつ低コストで製造することができ、本発明が産業上に与える貢献は非常に多大なものである。
D鋼を軟窒化処理後に透過型電子顕微鏡(TEM)を用いて観察した表層深さ0.1mmにおける析出物の組織写真を示す図である。 D鋼を軟窒化処理後に3次元アトムプローブ装置(3D−AP)を用いて解析して得られた表層深さ0.1mmにおける析出物の元素マップを示す図である。

Claims (5)

  1. 質量%で、
    C :0.001〜0.005%、
    Si:0.03〜0.5%、
    Mn:0.1〜1.0%、
    Al:0.015%〜0.1%、
    Ti:0.03〜0.1%、
    Cr:0.4〜1.4%を含有し、
    P :0.035%以下に制限し、残部がFeおよび不可避的不純物からなり、さらに、鋼最表面から0.25mmの深さにおいて、フェライト結晶中の{001}面上に板状析出したCr窒化物の板状方向のサイズが5〜10nm、該Cr窒化物の個数密度が1×1017cm-3以上であることを特徴とする耐磨耗性に優れた軟窒化処理鋼。
  2. 前記Cr窒化物中のN量とCr量の比(N/Cr)が0.5〜0.8の範囲内にあることを特徴とする請求項1記載の耐磨耗性に優れた軟窒化処理鋼。
  3. 前記Cr窒化物の個数密度が2×1017cm-3以上であることを特徴とする請求項1または2記載の耐磨耗性に優れた軟窒化処理鋼。
  4. さらに、質量%で、
    Cu:0.8〜2.0%、
    Ni:0.5×[Cu]〜1.5%
    を含有することを特徴とする請求項1〜3の何れか1項に記載の耐磨耗性に優れた軟窒化処理鋼。
    但し、上記[Cu]はCu含有量(質量%)を示す。
  5. さらに、質量%で、
    Oを0.004%以下に制限することを特徴とする請求項1〜4の何れか1項に記載の耐磨耗性に優れた軟窒化処理鋼。
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