JP2022122264A - 薬剤の製造方法 - Google Patents

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JP2022122264A JP2022011737A JP2022011737A JP2022122264A JP 2022122264 A JP2022122264 A JP 2022122264A JP 2022011737 A JP2022011737 A JP 2022011737A JP 2022011737 A JP2022011737 A JP 2022011737A JP 2022122264 A JP2022122264 A JP 2022122264A
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Masashi Nomura
関口万美
Mami Sekiguchi
遠藤功太郎
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Abstract

【課題】簡易に薬物成分をコーティングでき、且つ、薬物成分の溶出抑制が十分にできる薬剤の製造方法の提供を課題とする。【解決手段】本発明は水不溶性高分子と、高分子分散剤と、有効成分と、分散媒とを混合し懸濁液を得る懸濁液作製工程と、電解質と、溶媒とを混合し電解液を得る電解液作製工程と、前記懸濁液と、前記電解液とを混合し混合液を得る混合工程と、前記混合液に、液体吸着剤を混合し、造粒物を得る造粒工程と、前記造粒物を含む薬剤を得る薬剤製造工程とを含む薬剤の製造方法等を提供する。【選択図】なし

Description

本発明は、薬剤の製造方法に関する。
近年、高齢者、小児等、苦味等の不快な味を感じる薬物を摂取するのが難しい人のために、胃又は腸内で吸収し易くする技術と共に、口腔内で感じる苦味をマスキングする技術の開発が盛んに行われている。それらの技術のうち、最もシンプルな方法としては、アスパルテーム、ステビア、糖アルコールなどの甘味剤を添加して、苦味等を隠蔽する技術が提案されている。しかし、これらの技術は苦味を他の味で隠すものであるため、完全に薬物の苦味を消すことは難しい。
そこで、不快味を呈する成分をコーティング剤でコーティングすることが考えられる。かかるコーティング技術としては、微粒子である有効成分に高分子溶液を噴霧する噴霧コーティング方法や、有効成分を媒体中に分散させて、これをポリマー等の被膜成分の溶液中に懸濁させて、表面に被膜を被着させてカプセル化するコアセルベーション法が検討されている。噴霧コーティング方法は、一般的な方法として知られているが、噴霧工程に時間がかかり装置も大掛かりになるという問題がある。
比較的簡易且つ効率よくコーティングできるコアセルベーション法については、例えば、特許文献1及び2が挙げられる。
特許文献1には、水系溶媒又は有機溶媒中にコーティグポリマーを溶解させ、そこにコアや活性成分を懸濁させて、その後相分離させてコアセルベーションを起こさせ、活性成分をポリマーでコーティングすることが開示されている。
特許文献2には、マイクロカプセル化する基質を、イオン性高分子と有機溶媒を含む水性緩衝液に混合し、相分離成分を添加することでコアセルベーションを起こさせ、基質をイオン性高分子でコーティングすることが開示されている。
しかしながら、これらのコアセルベーション法によってコーティングされた薬物を含む錠剤等の薬剤の製造工程では、相分離後に分散媒等の液体成分と粒子とを分離するためにろ過工程が必要となり製造工程が複雑になる。
さらに、有効成分がコーティングされた薬剤では、コーティングした成分が比較的短時間で溶出してしまうと苦味成分等の本来口腔内では溶出させたくない成分が口腔内に溶出することを十分に抑制できない。従って、溶出が十分に抑制できる薬剤が期待されている。
特許第4968829号公報 特許第4978917号公報
本発明は、前記のような従来技術の問題点に鑑みてなされたものであり、簡易に薬物成分をコーティングでき、且つ、薬物成分の溶出抑制が十分にできる薬剤の製造方法を提供することを課題とする。
本発明は、水不溶性高分子と、高分子分散剤と、有効成分と、分散媒とを混合し懸濁液を得る懸濁液作製工程と、
電解質と、溶媒とを混合し電解液を得る電解液作製工程と、
前記懸濁液と、前記電解液とを混合し混合液を得る混合工程と、
前記混合液に、液体吸着剤を混合し、造粒物を得る造粒工程と、
前記造粒物を含む薬剤を得る薬剤製造工程とを含む。
本発明において、前記電解質が、炭酸水素ナトリウム、酢酸ナトリウム、リン酸水素二ナトリウム、酒石酸ナトリウム、酒石酸カリウム、酒石酸ナトリウムカリウム、塩化マグネシウムからなる群から選択される少なくとも1つであってもよい。
本発明において、前記混合工程において、35℃以上65℃以下の温度で混合してもよい。
本発明において、前記電解液作製工程において、さらに、水溶性高分子を混合してもよい。
他の本発明は、水不溶性高分子と、高分子分散剤と、有効成分と、分散媒とを混合し懸濁液を得る懸濁液作製工程と、
前記懸濁液と水溶性高分子とを35℃以上65℃以下の温度で混合し混合液を得る混合工程と、
前記混合液に、液体吸着剤を混合し、造粒物を得る造粒工程と、
前記造粒物を含む薬剤を得る薬剤製造工程とを含む。
本発明において、前記水不溶性高分子が、アミノアルキルメタクリレートコポリマーであってもよい。
本発明において、前記高分子分散剤が、ラウリル硫酸、ステアリン酸及びこれらの塩からなる群から選択される少なくとも1つであってもよい。
本発明において、前記水溶性高分子が、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、ポリビニルピロリドンからなる群から選択される少なくとも一つであってもよい。
本発明において、前記液体吸着剤が、二酸化ケイ素であってもよい。
本発明において、前記有効成分が、前記分散媒中で懸濁する成分であってもよい。
本発明では、前記薬剤製造工程において、前記造粒物を成型して錠剤としてもよい。
本発明によれば、簡易に薬物成分をコーティングでき、且つ、薬物成分の溶出抑制が十分にできる薬剤の製造方法を提供することができる。
図1は実施例及び比較例を用いた官能試験結果を示すグラフである。 図2は実施例及び比較例を用いた官能試験結果を示すグラフである。
以下に、本発明に係る薬剤の製造方法(以下単に、製造方法とも言う。)の実施形態について説明する。
第一の実施形態に係る製造方法は、
水不溶性高分子と、高分子分散剤と、有効成分と、分散媒とを混合し懸濁液を得る懸濁液作製工程と、
電解質と、溶媒とを混合し電解液を得る電解液作製工程と、
前記懸濁液と、前記電解液とを混合し混合液を得る混合工程と、
前記混合液に、液体吸着剤を混合し、造粒物を得る造粒工程と、
前記造粒物を含む薬剤を得る薬剤製造工程と、を含む薬剤の製造方法である。
[懸濁液作製工程]
本実施形態の製造方法は、水不溶性高分子と、高分子分散剤と、有効成分と、分散媒とを混合し懸濁液を得る懸濁液作製工程を含む。
(有効成分)
有効成分は、目的に応じて適宜選択でき、薬効成分、食品成分等が挙げられる。
前記薬効成分としては、例えば、抗腫瘍薬、抗生物質、抗炎症薬、鎮痛薬、骨粗しょう症薬、抗高脂血症薬、抗菌薬、鎮静薬、精神安定薬、抗てんかん薬、抗うつ薬、消化器系疾患治療薬、アレルギー性疾患治療薬、高血圧治療薬、動脈硬化治療薬、糖尿病治療薬、ホルモン薬、脂溶性ビタミン薬等の薬物;ビタミン類;カルシウム、亜鉛や鉄等のミネラル類;アスパラギン酸、アルギニン等のアミノ酸類などの薬物以外の医薬部外品;特定保健用食品;栄養機能食品等が挙げられる。
前記有効成分は、特に限定されるものではないが、例えば、前記分散媒中で懸濁する成分であることが挙げられる。有効成分が、懸濁液作製工程において、水不溶性高分子及び高分子分散剤と共に分散媒中で懸濁することで、有効成分が十分なマスキング効果が得られる。また、懸濁しやすさの観点から、有効成分は、塩ではなく、水への溶解性が低いことが好ましい。
より具体的には、有効成分がアセトアミノフェン、ジクロフェナク、ロキソプロフェン、フェルビナク、フルルビプロフェン、プロプラノロール、キニーネ、アジスロマイシン、クラリスロマイシン、シロドシン、プレドニゾロン、テルミサルタン、バルサルタン、カフェイン、カテキン、ウコンからなる群から選択される少なくとも1つであることが挙げられる。
これらの有効成分は、口腔内で苦味等の不快味を呈する成分であり、本実施形態の製造方法で製造される薬剤の有効成分とした場合、その不快味がマスキングされる。
前記有効成分の含有量は特に限定されるものではなく、目的の効果を生じさせる範囲で適宜選択しうる。
(水不溶性高分子)
水不溶性高分子は、前記有効成分をコーティングする成分の一つであり、水に不溶の高分子であって、薬剤の成分として使用可能なものであれば特に限定されるものではない。例えば、アミノアルキルメタクリレートコポリマーが挙げられる。
本実施形態の製造方法において、前記水不溶性高分子の含有量は特に限定されるものではなく、有効成分をコーティングする効果が得られる範囲から任意に選択可能である。
例えば、懸濁液における濃度は懸濁液の混合性及び製剤の小型化の観点から7質量%以上15質量%以下、又は9質量%以上13質量%以下等であることが挙げられる。
また、水不溶性高分子の有効成分に対する比率は、十分なマスキング効果の発揮及び製剤の小型化の観点から10質量%以上30質量%以下、又は15質量%以上25質量%以下等であることが挙げられる。
(高分子分散剤)
高分子分散剤は、前記水不溶性高分子の分散媒中への分散を促進する高分子であれば特に限定されるものではない。
例えば、ラウリル硫酸酸、ステアリン酸及びこれらの塩からなる群から選択される少なくとも1つであること等が挙げられる。より具体的には、ラウリル硫酸ナトリウム、ラウリル硫酸マグネシウム、ラウリル硫酸カリウム、マグネシウム、ステアリン酸、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸ナトリウム等が挙げられる。
高分子分散剤は、単独で又は複数種類を組み合わせて使用することができる。
本実施形態の製造方法において、前記高分子分散剤の含有量は特に限定されるものではなく、水不溶性高分子を分散媒中に分散させる効果が得られる範囲から任意に選択可能である。
例えば、1.75質量%以上3.75質量%以下、又は2.5質量%以上3.0質量%以下等であることが挙げられる。
(分散媒)
分散媒としては、前記各成分を分散させることができれば特に限定されるものではなく、精製水、純水、イオン交換水等の水、有機分散媒等が適宜使用できる。安全性等を考慮すれば水が好ましい。
本実施形態の製造方法において、前記分散媒の使用量は特に限定されるものではなく、前記各成分を適切に分散しうる効果が得られる範囲から任意に選択可能である。
例えば、固形成分に対して30質量%以上110質量%以下、又は34質量%以上50質量%以下等であることが挙げられる。
本実施形態の懸濁液作製工程では、各成分を公知の手段で混合することで、分散媒中に水不溶性高分子が分散した懸濁液を得る。
各成分を混合する手段は、すべての成分を同時に分散媒と混合してもよく、一部の成分を分散媒と混合してから、残りの成分を添加して混合してもよい。
例えば、まず、水不溶性高分子と、高分子分散剤とを分散媒に添加し、攪拌した後に、有効成分を添加しさらに攪拌して、懸濁液を得てもよい。
攪拌時間、攪拌温度等は特に限定されるものではなく、各成分が十分に分散されるように設定することができる。
[電解液作製工程]
本実施形態の製造方法は、電解質と、溶媒とを混合し電解液を得る電解液作製工程を含む。
(電解質)
電解質は、前記水不溶性高分子を有効成分を覆うように析出させる析出促進剤として作用する成分であり、薬剤の成分として使用可能なものであれば特に限定されるものではない。
例えば、炭酸水素ナトリウム、酢酸ナトリウム、リン酸水素二ナトリウム、酒石酸ナトリウム、酒石酸カリウム、酒石酸ナトリウムカリウム、塩化マグネシウムからなる群から選択される少なくとも1つ等が挙げられる。
本実施形態の製造方法において、前記電解質の含有量は特に限定されるものではなく、水不溶性高分子を析出させる効果が得られる範囲から任意に選択可能である。
例えば、上記水不溶性高分子に対する比率は不溶性高分子による被覆性の観点から4質量%以上15質量%以下、又は6質量%以上9質量%以下等であることが挙げられる。
電解質は、単独で又は複数種類を組み合わせて使用することができる。
(溶媒)
溶媒としては、電解質を溶解させ電解液とすることができれば特に限定されるものではなく、精製水、純水、イオン交換水等の水、有機溶媒等が適宜使用できる。安全性等を考慮すれば水が好ましい。
本実施形態の製造方法において、前記溶媒の含有量は特に限定されるものではなく、前記各成分を適切に溶解しうる効果が得られる範囲から任意に選択可能である。
例えば、固形成分に対して15質量%以上65質量%以下、又は20質量%以上50質量%以下等であることが挙げられる。
(水溶性高分子)
本実施形態の電解液作製工程において、さらに、水溶性高分子を混合してもよい。
水溶性高分子は、前記水不溶性高分子と共に有効成分をコーティングする成分の一つであり、水溶性高分子であって、薬剤の成分として使用可能なものであれば特に限定されるものではない。
例えば、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、ポリビニルピロリドンからなる群から選択される少なくとも一つ等が挙げられる。
本実施形態の製造方法において、前記水溶性高分子の含有量は特に限定されるものではなく、有効成分をコーティングする効果が得られる範囲から任意に選択可能である。
例えば、電解液への添加量が0.5質量%以上2.5質量%以下、又は1質量%以上2質量%以下等であることが挙げられる。
水溶性高分子は、単独で又は複数種類を組み合わせて使用することができる。
本実施形態の電解液作製工程では、各成分を公知の手段で混合することで、溶媒中に各成分が溶解した溶解液を得る。
各成分を混合する方法は、すべての成分を同時に溶媒と混合してもよく、一部の成分を溶媒と混合してから、残りの成分を添加して混合してもよい。
成分を混合する手段は、公知の攪拌装置などを用いることができる。また、攪拌時間、攪拌温度等は特に限定されるものではなく、各成分が十分に溶解されるように設定することができる。
[混合工程]
本実施形態の製造方法は、前記懸濁液と、前記電解液とを混合し混合液を得る混合工程を含む。
各液を混合する手段は、公知の攪拌装置などを用いることができる。また、攪拌時間、攪拌温度等は特に限定されるものではなく、各液が十分に攪拌され、すなわち容積が安定するまで攪拌することが好ましい。
混合工程において、35℃以上65℃以下、又は、38℃以上50℃以下の温度で混合してもよい。
かかる温度で混合することで、より有効成分を確実にコーティングすることができる。
尚、混合工程で得られた混合液における固形成分に対する液体成分(溶媒、分散媒を含む全液体成分)の比率は、懸濁液の混合性及び製剤の小型化の観点から50質量%以上150質量%以下又は55質量%以上140質量%以下等が挙げられる。
かかる混合工程において、有効成分が被覆された粒子が形成される。
[造粒工程]
本実施形態の製造方法は、前記混合液に、液体吸着剤を混合し、造粒する造粒工程を含む。
(液体吸着剤)
液体吸着剤は、前記混合液中から溶媒、分散媒等の液体成分を吸着することができるものであって、薬剤の成分として使用可能なものであれば特に限定されるものではない。
例えば、二酸化ケイ素が挙げられ、中でも、含水二酸化ケイ素が好ましい例として挙げられる。
本実施形態の製造方法において、前記液体吸着剤の含有量は特に限定されるものではなく、溶媒等の液体成分を十分に吸着して造粒できるという効果が得られる範囲から任意に選択可能である。
例えば、10質量%以上50質量%以下、又は12質量%以上40質量%以下等であることが挙げられる。
造粒工程において造粒する手段は公知の手段を使用することができる。例えば、公知の攪拌造粒装置で前記液体吸着剤を加えた混合液を攪拌することで、造粒物が得られる。
造粒物は、篩等で整粒し、さらに乾燥してもよい。また、液体吸着剤で吸収しきれなかった液体成分をろ過等によって除去してもよい。
本実施形態の造粒工程では、液体吸着剤を用いて造粒するために、ろ過等で除去する液体成分が少ない、又は、ないため、ろ液の処理が不要又は簡易な処理で済むという利点がある。
[薬剤製造工程]
本実施形態の製造方法は、前記造粒物を含む薬剤を得る薬剤製造工程を含む。
前記造粒物を含む薬剤を得る方法としては、特に限定されるものではなく、造粒物をそのまま、あるいは、他の成分と混合して顆粒状の薬剤を得てもよく、顆粒状の成分をさらにカプセルに入れてカプセル状の薬剤を得てもよく、さらには、造粒物を成型して錠剤を得てもよい。
本実施形態では、薬剤製造工程では前記造粒物を成型して錠剤とする。
造粒物を成型する手段は、公知の錠剤を成型する方法が採用できる。例えば、湿製打錠法、乾式打錠法等の打錠方法によって成型してもよい。
例えば、本実施形態で得られた造粒物に、公知の崩壊剤、結合剤、賦形剤、滑沢剤等の成分を混合し、打錠機で成型し、錠剤とすることが挙げられる。
尚、本実施形態において、懸濁液作製工程と、電解液作製工程とは、順次実施されてもよく、並行に実施されてもよく、その順序は特に限定されるものではない。
第二の実施形態に係る製造方法は、
水不溶性高分子と、高分子分散剤と、有効成分と、分散媒とを混合し懸濁液を得る懸濁液作製工程と、
前記懸濁液と水溶性高分子とを35℃以上65℃以下の温度で混合し混合液を得る混合工程と、
前記混合液に、液体吸着剤を混合し、造粒物を得る造粒工程と、
前記造粒物を含む薬剤を得る薬剤製造工程と、を含む薬剤の製造方法である。
本実施形態の製造方法では、上述した第一の実施形態の製造方法における、懸濁液作製工程、造粒工程及び薬剤製造工程を含む他、下記の混合工程を含む。
[混合工程]
本実施形態の製造方法は、前記懸濁液と水溶性高分子とを35℃以上65℃以下の温度で混合し混合液を得る混合工程を含む。
本実施形態の混合工程では、水溶性高分子を35℃以上65℃以下の温度で混合することで、上述した第一の実施形態で使用した電解質を用いなくても、水溶性高分子が水不溶性高分子を十分に析出させる核となりうる。
各液を混合する手段は、公知の攪拌装置などを用いることができる。また、攪拌時間、攪拌温度等は特に限定されるものではなく、各液が十分に攪拌され、すなわち容積が安定するまで攪拌することが好ましい。
その他の上記第一の実施形態と共通する点についての説明は上記と同様である。
本実施形態の製造方法で得られた錠剤(薬剤)は、有効成分が十分にコーティングされ、口腔内等では、有効成分が溶出されない程度の溶出率を備えている。
例えば、後述する実施例で測定される溶出率は、33%以下、又は30%以下、又は25%以下、又は20%以下のような低い溶出率であることが挙げられる。
本実施形態で使用される各成分としてはすべて薬剤として使用可能な成分を選択しうる。それにより、製造過程での成分の除去や洗浄液やろ液等の処理が安全に行える。或は、除去や洗浄が不要となり簡易な製造工程とすることができる。又は、最終製剤への残留が制限される成分の残留量を評価及び管理することが不要となる。
本実施形態にかかる薬剤の製造方法は、以上のとおりであるが、今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は前記説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
次に、本発明の実施例について比較例と併せて説明する。尚、本発明は下記の実施例に限定して解釈されるものではない。
[溶出率、硬度、崩壊時間測定]
実施例1~23及び比較例1~2について溶出率を測定した。また、実施例23,24については硬度及び崩壊時間を測定した。
(実施例1)
バーチカルグラニュレーター(装置名:FM-VG-10、パウレック社製)にD-マンニトール780g、クロスポビドン120g及び含水二酸化ケイ素180gを投入し、混合することで予混合末を調製した。
別途、精製水500mLにラウリル硫酸ナトリウム9g、ステアリン酸6g及びオイドラギットEPO60gを順次投入し、僅かに濁った溶液1を調製した。別途、精製水300mLにヒドロキシプロピルセルロース3g及び炭酸水素ナトリウム3.6gを溶解させ、溶液2(電解液)を調製した。
次に、溶液1にアセトアミノフェン300gを懸濁させ懸濁液を得、さらに溶液2を添加し、容積が安定するまで撹拌した。その後、該液(混合液)を撹拌しながら約40℃まで加温した。
先に調製した予混合末に上記液を添加し、撹拌造粒を行った。その後、12号篩で整粒後、フローコーター(装置名:FLO-5B、フロイント産業社製)にて乾燥し、造粒末を得た。
(実施例2)
精製水9mLにラウリル硫酸ナトリウム0.15g、ステアリン酸0.1g及びオイドラギットEPO1gを順次投入し、僅かに濁った溶液1を調製した。別途、精製水5mLに炭酸水素ナトリウム0.06gを溶解させ、溶液2(電解液)を調製した。
次に、溶液1にアセトアミノフェン5gを懸濁させた液を調整し(懸濁液)、これにさらに溶液2を添加し、容積が安定するまで撹拌した。その後、この液(混合液)を撹拌しながら約40℃まで加温した。
予め混合機(装置名:分析粉砕器R-8、日本理化学器械社製)に投入した含水二酸化ケイ素3.64gに上記液を添加し、撹拌造粒を行った。その後、棚式乾燥機にて乾燥後、18号篩にて整粒することで造粒末を得た。
(実施例3)
精製水9.1mLにラウリル硫酸ナトリウム0.15g、ステアリン酸0.1g及びオイドラギットEPO1gを順次投入し、僅かに濁った溶液1を調製した。別途、精製水5mLに炭酸水素ナトリウム0.06gを溶解させ、溶液2(電解液)を調製した。
次に、溶液1にアセトアミノフェン5gを懸濁させ懸濁液を得、さらに溶液2を添加し、容積が安定するまで撹拌した液(混合液)を得た。
予め混合機(装置名:分析粉砕器R-8、日本理化学器械社製)に投入した含水二酸化ケイ素3.64gに上記液を添加し、撹拌造粒を行った。その後、棚式乾燥機にて乾燥後、18号篩にて整粒することで造粒末を得た。
(実施例4)
実施例2の溶液2(電解液)の調製時において、炭酸水素ナトリウムの代わりにヒドロキシプロピルセルロース0.05gを使用すること以外は実施例2と同様にして造粒末を得た。
(実施例5)
実施例2の溶液2(電解液)の調製時において、さらにヒドロキシプロピルセルロース0.05gを溶解すること、及び、混合液の攪拌時の加温をしないこと以外は実施例2と同様にして造粒末を得た。
(実施例6)
精製水9.1mLにラウリル硫酸ナトリウム0.15g、ステアリン酸0.1g及びオイドラギットEPO1gを順次投入し、僅かに濁った溶液1を調製した。別途、精製水5mLに炭酸水素ナトリウム0.06g及びヒドロキシプロピルセルロース0.025gを溶解させ、溶液2(電解液)を調製した。
次に、溶液1にアセトアミノフェン5gを懸濁させ懸濁液を得、さらに溶液2を添加し、容積が安定するまで撹拌した液(混合液)を得た。その後、懸濁液を撹拌しながら約40℃まで加温した。
予め混合機(装置名:分析粉砕器R-8、日本理化学器械社製)に投入した含水二酸化ケイ素3.64gに上記液を添加し、撹拌造粒を行った。その後、棚式乾燥機にて乾燥後、18号篩にて整粒することで造粒末を得た。
(実施例7)
実施例6の溶液2(電解液)の調製時において、ヒドロキシプロピルセルロース添加量を0.125gとした以外は実施例5と同様にして造粒末を得た。
(実施例8)
実施例7の溶液2(電解液)の調製時において、ヒドロキシプロピルセルロースの代わりにヒドロキシプロピルメチルセルロースを使用すること及び加温温度が約45℃にすること以外は実施例7と同様にして造粒末を得た。
(実施例9)
実施例7の溶液2(電解液)の調製時において、ヒドロキシプロピルセルロースの代わりにポリビノルピロリドンを使用すること及び加温温度が約50℃にすること以外は実施例7と同様にして造粒末を得た。
(実施例10)
精製水9.1mLにラウリル硫酸ナトリウム0.15g、ステアリン酸0.1g及びオイドラギットEPO1gを順次投入し、僅かに濁った溶液1を調製した。別途、精製水5mLに炭酸水素ナトリウム0.09g及びヒドロキシプロピルセルロース0.05gを溶解させ、溶液2(電解液)を調製した。
次に、溶液1にアセトアミノフェン5gを懸濁させ懸濁液を得、さらに溶液2を添加し、容積が安定するまで撹拌した。その後、該液(混合液)を撹拌しながら約40℃まで加温した。
予め混合機(装置名:分析粉砕器R-8、日本理化学器械社製)に投入した含水二酸化ケイ素3.64gに上記液を添加し、撹拌造粒を行った。その後、棚式乾燥機にて乾燥後、18号篩にて整粒することで造粒末を得た。
(実施例11)
精製水4.5mLにラウリル硫酸ナトリウム0.075g、ステアリン酸0.05g及びオイドラギットEPO0.5gを順次投入し、僅かに濁った溶液1を調製した。別途、精製水5mLに炭酸水素ナトリウム0.03g及びヒドロキシプロピルセルロース0.05gを溶解させ、溶液2(電解液)を調製した。
次に、溶液1にアセトアミノフェン5gを懸濁させ懸濁液を得、さらに溶液2を添加し、容積が安定するまで撹拌した。その後、該液(混合液)を撹拌しながら約40℃まで加温した。
予め混合機(装置名:分析粉砕器R-8、日本理化学器械社製)に投入した含水二酸化ケイ素2.3gに上記液を添加し、撹拌造粒を行った。その後、棚式乾燥機にて乾燥後、18号篩にて整粒することで造粒末を得た。
(実施例12)
精製水13.6mLにラウリル硫酸ナトリウム0.225g、ステアリン酸0.15g及びオイドラギットEPO1.5gを順次投入し、僅かに濁った溶液1を調製した。別途、精製水5mLに炭酸水素ナトリウム0.09g及びヒドロキシプロピルセルロース0.05gを溶解させ、溶液2(電解液)を調製した。
次に、溶液1にアセトアミノフェン5gを懸濁させ懸濁液を得、さらに溶液2を添加し、容積が安定するまで撹拌した。その後、該液(混合液)を撹拌しながら約40℃まで加温した。
予め混合機(装置名:分析粉砕器R-8、日本理化学器械社製)に投入した含水二酸化ケイ素6gに上記液を添加し、撹拌造粒を行った。その後、棚式乾燥機にて乾燥後、18号篩にて整粒することで造粒末を得た。
(実施例13)
精製水14.3mLにラウリル硫酸ナトリウム0.15g、ステアリン酸0.1g及びオイドラギットEPO1gを順次投入し、僅かに濁った溶液1を調製した。別途、精製水5mLに炭酸水素ナトリウム0.06g及びヒドロキシプロピルセルロース0.05gを溶解させ、溶液2(電解液)を調製した。
次に、溶液1にアセトアミノフェン5gを懸濁させ懸濁液を得、さらに溶液2を添加し、容積が安定するまで撹拌した。その後、該液(混合液)を撹拌しながら約40℃まで加温した。
予め混合機(装置名:分析粉砕器R-8、日本理化学器械社製)に投入した含水二酸化ケイ素6.64gに上記液を添加し、撹拌造粒を行った。その後、棚式乾燥機にて乾燥後、18号篩にて整粒することで造粒末を得た。
(実施例14)
精製水6.7mLにラウリル硫酸ナトリウム0.15g、ステアリン酸0.1g及びオイドラギットEPO1gを順次投入し、僅かに濁った溶液1を調製した。別途、精製水5mLに炭酸水素ナトリウム0.06g及びヒドロキシプロピルセルロース0.05gを溶解させ、溶液2(電解液)を調製した。
次に、溶液1にアセトアミノフェン5gを懸濁させ懸濁液を得、さらに溶液2を添加し、容積が安定するまで撹拌した。その後、該液(混合液)を撹拌しながら約40℃まで加温した。
予め混合機(装置名:分析粉砕器R-8、日本理化学器械社製)に投入した含水二酸化ケイ素3.19gに上記液を添加し、撹拌造粒を行った。その後、棚式乾燥機にて乾燥後、18号篩にて整粒することで造粒末を得た。
(実施例15)
精製水9.1mLにラウリル硫酸ナトリウム0.15g、ステアリン酸0.1g及びオイドラギットEPO1gを順次投入し、僅かに濁った溶液1を調製した。別途、精製水5mLに酢酸ナトリウム0.06g及びヒドロキシプロピルセルロース0.05gを溶解させ、溶液2(電解液)を調製した。
次に、溶液1にアセトアミノフェン5gを懸濁させ懸濁液を得、さらに溶液2を添加し、容積が安定するまで撹拌した。その後、該液(混合液)を撹拌しながら約40℃まで加温した。
予め混合機(装置名:分析粉砕器R-8、日本理化学器械社製)に投入した含水二酸化ケイ素3.64gに上記液を添加し、撹拌造粒を行った。その後、棚式乾燥機にて乾燥後、18号篩にて整粒することで造粒末を得た。
(実施例16)
実施例15の溶液2(電解液)の調製時において、酢酸ナトリウムの代わりに炭酸ナトリウムを使用すること以外は実施例15と同様にして造粒末を得た。
(実施例17)
実施例15の溶液2(電解液)の調製時において、酢酸ナトリウムの代わりにリン酸水素二ナトリウムを使用すること以外は実施例15と同様にして造粒末を得た。
(実施例18)
実施例15の溶液2(電解液)の調製時において、酢酸ナトリウム0.06gの代わりに塩化マグネシウム六水和物0.13gを使用すること、及び、懸濁液を加温しないこと以外は実施例15と同様にして造粒末を得た。
(実施例19)
実施例15の溶液2(電解液)の調製時において、酢酸ナトリウム0.06gの代わりに酒石酸ナトリウムカリウム四水和物0.08gを使用すること以外は実施例15と同様にして造粒末を得た。
(実施例20)
精製水9.1mLにラウリル硫酸ナトリウム0.15g、ステアリン酸0.1g及びオイドラギットEPO1gを順次投入し、僅かに濁った溶液1を調製した。別途、精製水5mLに炭酸水素ナトリウム0.06g及びヒドロキシプロピルセルロース0.05gを溶解させ、溶液2(電解液)を調製した。
次に、溶液1にアセトアミノフェン5gを懸濁させ懸濁液を得、さらに溶液2を添加し、容積が安定するまで撹拌した。その後、該液(混合液)を撹拌しながら約50℃まで加温した。
予め混合機(装置名:分析粉砕器R-8、日本理化学器械社製)に投入した含水二酸化ケイ素3.64gに上記液を添加し、撹拌造粒を行った。その後、棚式乾燥機にて乾燥後、18号篩にて整粒することで造粒末を得た。
(実施例21)
実施例20の混合液を60℃に加温したこと以外は実施例20と同様にして造粒末を得た。
(実施例22)
精製水9.1mLにラウリル硫酸ナトリウム0.15g、ステアリン酸0.1g及びオイドラギットEPO1gを順次投入し、僅かに濁った溶液1を調製した。別途、精製水5mLに炭酸水素ナトリウム0.06g及びヒドロキシプロピルセルロース0.05gを溶解させ、溶液2(電解液)を調製した。
次に、溶液1にメロキシカム5gを懸濁させ懸濁液を得、その液を溶液2に添加し、容積が安定するまで撹拌した。その後、該液(混合液)を撹拌しながら約40℃まで加温した。
予め混合機(装置名:分析粉砕器R-8、日本理化学器械社製)に投入した含水二酸化ケイ素3.64gに上記液を添加し、撹拌造粒を行った。その後、棚式乾燥機にて乾燥後、18号篩にて整粒することで造粒末を得た。
(比較例1)
撹拌している精製水10mLにラウリル硫酸ナトリウム0.15g、ステアリン酸0.1g及びオイドラギットEPO1gを順次投入し、僅かに濁った溶液1を調製した。別途、精製水5mLにヒドロキシプロピルセルロース0.05gを溶解させ、溶液2を調製した。その後、溶液1に溶液2を混合し、混合溶を調製した。
次に、アセトアミノフェン5g、D-マンニトール13.45g、クロスポビドン2g及び含水二酸化ケイ素3を投入し、先に調製した混合液とで撹拌造粒を行った。その後、棚式乾燥機にて乾燥後、18号篩にて整粒することで造粒末を得た。
(比較例2)
精製水9.1mLにラウリル硫酸ナトリウム0.15g、ステアリン酸0.1g及びオイドラギットEPO1gを順次投入し、僅かに濁った溶液1を調製した。別途、精製水5mLに炭酸水素ナトリウム0.06g及びヒドロキシプロピルセルロース0.05gを溶解させ、溶液2を調製した。
次に、溶液2にアセトアミノフェン5gを懸濁させ、その液を溶液1に添加し、容積が安定するまで撹拌した。その後、該液を撹拌しながら約40℃まで加温した。
予め混合機(装置名:分析粉砕器R-8、日本理化学器械社製)に投入した含水二酸化ケイ素3.64gに上記液を添加し、撹拌造粒を行った。その後、棚式乾燥機にて乾燥後、18号篩にて整粒することで造粒末を得た。
(実施例23)
実施例1で調製した造粒末365.4g、低置換度ヒドロキシプロピルセルロース10g、結晶セルロース10g及びD-マンニトール112.1gをビニール袋に入れて1分間混合し、その後ステアリン酸マグネシウム2.5gを入れてさらに30秒混合し、打錠末を得た。その打錠末を用いて直径8.5mm及び錠剤質量250mgの錠剤を調製した。
硬度73N、崩壊時間27秒の口腔内崩壊錠を得た。尚、硬度及び崩壊時間は以下の方法で測定した。
硬度:木屋式デジタル硬度計(KHT-20N、藤原製作所製)により測定した(N=10)。
崩壊時間:口腔内に水なしで錠剤を含ませ錠剤が口腔内の唾液のみで崩壊、溶解するまでの時間を測定した(N=3)。
(実施例24)
実施例1で調製した造粒末487.2g、低置換度ヒドロキシプロピルセルロース5.2g及び結晶セルロース5.1gをビニール袋に入れて1分間混合し、その後ステアリン酸マグネシウム2.5gを入れてさらに30秒混合し、打錠末を得た。その打錠末を用いて直径8.5mm及び錠剤質量250mgの錠剤を調製した。
硬度58N、崩壊時間29秒の口腔内崩壊錠を得た。
尚、各実施例、比較例における各成分としては以下のものを使用した。

有効成分
アセトアミノフェン:HEBI JIHENG PHARMACEUTICAL社製
メロキシカム:東京化成工業社製

高分子分散剤
ラウリル硫酸ナトリウム:Kolliphor SLS Fine、BASF社製
ステアリン酸:NF-GenAR、Avator社製

水不溶性高分子
アミノアルキルメタクリレートコポリマー:オイドラギットEPO、Evonik社製

水溶性高分子
ヒドロキシプロピルセルロース:HPC SSL、日本曹達社製
ヒドロキシプロピルメチルセルロース:TC-5E、信越化学工業社製
ポリビニルピロリドン:コリドン K-30、BASF社製

電解質成分
炭酸水素ナトリウム:メルク社製
酢酸ナトリウム三水和物:関東化学社製
リン酸水素二ナトリウム:メルク社製
酒石酸ナトリウムカリウム四水和物:関東化学社製

液体吸着剤
含水二酸化ケイ素:フジシル、富士化学工業社製

その他の添加剤成分
クロスポビドン:コリドンCL-SF、BASF社製
低置換度ヒドロキシプロピルセルロース:NBD-022、信越化学工業社製
結晶セルロース:セオラスOD-20P、旭化成社製
D-マンニトール:ペアリトール25C、ロケット社製、ペアリトールフラッシュ、ロケット社製、マンニットP、三菱商事ライフサイエンス社製
ステアリン酸マグネシウム:ステアリン酸マグネシウム(植物性)、太平化学社製
(溶出率)
上記各実施例及び比較例で得られた造粒末を、下記の方法で溶出率を測定した。
第17改正日本薬局方溶出試験法パドル法に準拠して行った溶出試験の開始1分後の時点における薬物の溶出率を示す。尚、アセトアミノフェンの試験液は精製水、メロキシカムの試験液はpH6.8とした。
結果を表1に示す。
尚、表中には、オイドラギットEPO(EPO)に対する電解質成分の添加率(質量%)、溶液1におけるEPO濃度(質量%)、アセトアミノフェン又はメロキシカム(API)に対するEPO比率(質量%)、固形成分に対する液体成分量(質量%)を合わせて示した。
Figure 2022122264000001
上記実施例で得られた造粒末は、比較例で得られた造粒末に比べていずれも溶出率が抑制されていた。
また、上記実施例で得られた錠剤では、適切な硬度及び口腔内での崩壊性を備えていた。
[溶出性官能試験]
以下の実施例25~26及び比較例3~4について溶出性の測定として官能試験を行った。
尚、有効成分として以下のものを使用した他は、上記実施例及び比較例と同様の材料を用いた。これらの有効成分はいずれも強い苦味を感じさせる成分である。

クラリスロマイシン:東京化成工業社製
プレドニゾロン:東京化成工業社製
(実施例25)
混合機(装置名:分析粉砕器R-8、日本理化学器械社製)にD-マンニトール13.21g、クロスポビドン2g及び含水二酸化ケイ素3gを投入し、混合することで予混合末を調製した。
別途、精製水8.3mLにラウリル硫酸ナトリウム0.15g、ステアリン酸0.1g及びオイドラギットEPO1gを順次投入し、僅かに濁った溶液1を調製した。別途、精製水5mLにヒドロキシプロピルセルロース0.05g及び炭酸水素ナトリウム0.24gを溶解させ、溶液2(電解液)を調製した。
次に、溶液1にクラリスロマイシン5gを懸濁させ懸濁液を得、さらに溶液2を添加し、容積が安定するまで撹拌して混合液を得た。その後、該液を撹拌しながら約40℃まで加温した。
先に調製した予混合末に上記混合液を添加し、撹拌造粒を行った。その後、棚式乾燥機にて乾燥後、18号篩にて整粒することで造粒末を得た。
(実施例26)
混合機(装置名:分析粉砕器R-8、日本理化学器械社製)にD-マンニトール13.21g、クロスポビドン2g及び含水二酸化ケイ素3gを投入し、混合することで予混合末を調製した。
別途、精製水8.3mLにラウリル硫酸ナトリウム0.15g、ステアリン酸0.1g及びオイドラギットEPO1gを順次投入し、僅かに濁った溶液1を調製した。別途、精製水5mLにヒドロキシプロピルセルロース0.06g及び炭酸水素ナトリウム0.24gを溶解させ、溶液2(電解液)を調製した。次に、溶液1にプレドニゾロン5gを懸濁させ懸濁液を得、さらに溶液2を添加し、容積が安定するまで撹拌した。その後、該液(混合液)を撹拌しながら約40℃まで加温した。
先に調製した予混合末に上記懸濁液を添加し、撹拌造粒を行った。その後、棚式乾燥機にて乾燥後、18号篩にて整粒することで造粒末を得た。
(比較例3)
精製水8.3mLにラウリル硫酸ナトリウム0.15g、ステアリン酸0.1g及びオイドラギットEPO1gを順次投入し、僅かに濁った溶液1を調製した。別途、精製水5mLにヒドロキシプロピルセルロース0.05gを溶解させ、溶液2を調製した。その後、溶液1に溶液2を混合し、混合溶液を調製した。
次に、混合機(装置名:分析粉砕器R-8、日本理化学器械社製)にクラリスロマイシン5g、D-マンニトール13.45g、クロスポビドン2g及び含水二酸化ケイ素3gを投入し、先に調製した混合溶液にて撹拌造粒を行った。その後、棚式乾燥機にて乾燥後、18号篩にて整粒することで造粒末を得た。
(比較例4)
精製水8.3mLにラウリル硫酸ナトリウム0.15g、ステアリン酸0.1g及びオイドラギットEPO1gを順次投入し、僅かに濁った溶液1を調製した。別途、精製水5mLにヒドロキシプロピルセルロース0.05gを溶解させ、溶液2を調製した。その後、溶液1に溶液2を混合し、混合溶液を調製した。
次に、混合機(装置名:分析粉砕器R-8、日本理化学器械社製)にプレドニゾロン5g、D-マンニトール13.45g、クロスポビドン2g及び含水二酸化ケイ素3gを投入し、先に調製した混合溶液にて撹拌造粒を行った。えその後、棚式乾燥機にて乾燥後、18号篩にて整粒することで造粒末を得た。
(官能試験)
上記実施例及び比較例の造粒末を用いて以下の官能試験を行った。
試験者(2名)に、薬剤0.2gを口腔内に含ませ、10秒以内で感じた苦味をスコアA、10秒後に口を漱いだ後に感じた苦味をスコアBとしてそれぞれ下記の基準で点数を付けさせた。

0点:苦味を感じない
1点:苦味を知覚することができる
2点:わずかに苦味を感じる
3点:苦味を感じる
4点:強く苦味を感じる

スコアA及びBの点数と、試験者2名の各スコアの平均点を表2に示す。また、有効成分(クラリスロマイシン、プレドニゾロン)ごとの試験者2名の各スコアの平均の点数を図1、2のグラフに示す。
Figure 2022122264000002
上記実施例で得られた造粒末は、比較例で得られた造粒末に比べて、10秒以内、10秒以後どちらのタイミングでも苦味を感じさせなかった。特に、苦味が強く感じられる10秒以後であっても、苦味を感じさせることを抑制できていた。このことから、実施例の造粒末は、水(唾液)に有効成分を溶出させにくく、苦味を口腔内で感じさせにくいことが明らかである。
すなわち、実施例で得られた造粒末は苦味を感じさせる有効成分が口腔内で溶出することを抑制させ、口腔内に有効成分が残留することも抑制できるものと考えられる。

Claims (11)

  1. 水不溶性高分子と、高分子分散剤と、有効成分と、分散媒とを混合し懸濁液を得る懸濁液作製工程と、
    電解質と、溶媒とを混合し電解液を得る電解液作製工程と、
    前記懸濁液と、前記電解液とを混合し混合液を得る混合工程と、
    前記混合液に、液体吸着剤を混合し、造粒物を得る造粒工程と、
    前記造粒物を含む薬剤を得る薬剤製造工程と、を含む薬剤の製造方法。
  2. 前記電解質が、炭酸水素ナトリウム、酢酸ナトリウム、リン酸水素二ナトリウム、酒石酸ナトリウム、酒石酸カリウム、酒石酸ナトリウムカリウム、塩化マグネシウムからなる群から選択される少なくとも1つである請求項1に記載の薬剤の製造方法。
  3. 前記混合工程において、35℃以上65℃以下の温度で混合する請求項1又は2のいずれか一項に記載の薬剤の製造方法。
  4. 前記電解液作製工程において、さらに、水溶性高分子を混合する請求項1乃至3のいずれか一項に記載の薬剤の製造方法。
  5. 水不溶性高分子と、高分子分散剤と、有効成分と、分散媒とを混合し懸濁液を得る懸濁液作製工程と、
    前記懸濁液と水溶性高分子とを35℃以上65℃以下の温度で混合し混合液を得る混合工程と、
    前記混合液に、液体吸着剤を混合し、造粒物を得る造粒工程と、
    前記造粒物を含む薬剤を得る薬剤製造工程と、を含む薬剤の製造方法。
  6. 前記水不溶性高分子が、アミノアルキルメタクリレートコポリマーである請求項1乃至5のいずれか一項に記載の薬剤の製造方法。
  7. 前記高分子分散剤が、ラウリル硫酸、ステアリン酸及びこれらの塩からなる群から選択される少なくとも1つである請求項1乃至6のいずれか一項に記載の薬剤の製造方法。
  8. 前記水溶性高分子が、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、ポリビニルピロリドンからなる群から選択される少なくとも一つである請求項4乃至7のいずれか一項に記載の薬剤の製造方法。
  9. 前記液体吸着剤が、二酸化ケイ素である請求項1乃至8のいずれか一項に記載の薬剤の製造方法。
  10. 前記有効成分が、前記分散媒中で懸濁する成分である請求項1乃至9のいずれか一項に記載の薬剤の製造方法。
  11. 前記薬剤製造工程において、前記造粒物を成型して錠剤とする請求項1乃至10のいずれか一項に記載の薬剤の製造方法。


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