JP2022121736A - 放射線検出器 - Google Patents

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Abstract

Figure 2022121736000001
【課題】耐湿性を向上し得る放射線検出器を提供する。
【解決手段】放射線検出器10Eは、有機材料からなる基板2と、基板2の主面に形成され、ヨウ化タリウムを主成分として含むバリア層3と、バリア層3上に形成され、タリウムが添加されたヨウ化セシウムを主成分として含む複数の柱状結晶により構成されるシンチレータ層4と、シンチレータ層4において生じた光を受ける光電変換素子16が設けられた光検出面を含むセンサパネル11と、シンチレータ層4とセンサパネル11との間に配置されて、シンチレータ層4をセンサパネル11に光学的に接続するFOP9と、を備える。
【選択図】図9

Description

本発明は、放射線検出器に関する。
当該分野の技術として特許文献1~3が知られている。
特許文献1は、シンチレータパネルを開示する。シンチレータパネルは、樹脂基板と蛍光体層との間に設けられた金属膜を有する。
特許文献2は、シンチレータパネルを備える放射線検出装置を開示する。シンチレータパネルは、ヨウ化セシウムを主成分とするシンチレータ層を有する。このシンチレータ層には、タリウムがドープされている。シンチレータ層におけるタリウムの濃度は、基板との界面付近において大きくなっている。このタリウムの濃度分布によれば、光出力が向上する。
特許文献3は、蛍光体層を備える放射線検出器を開示する。この放射線検出器も、ヨウ化セシウムを主成分とするシンチレータ層を有し、当該シンチレータ層には、タリウムがドープされている。また、シンチレータ層におけるタリウムの濃度は、基板側が大きくなっている。このタリウムの濃度分布によれば、センサ基板と蛍光体層との密着性が向上する。
国際公開第2011/065302号 特開2008-51793号公報 特開2012-98110号公報
シンチレータ層を成長させる成長基板は、水分を透過する透湿性を有することがある。成長基板を透過した水分は、シンチレータ層の根元部に到達する。ヨウ化セシウムにより形成されたシンチレータ層は、潮解性を有することが知られている。そうすると、成長基板から供給された水分によって、シンチレータ層の根元部に潮解が生じ、ひいてはシンチレータパネルの特性が低下してしまう。従って、当該分野においては、ヨウ化セシウムにより形成されたシンチレータ層を有するシンチレータパネルの耐湿性の向上が望まれている。
例えば、特許文献1では、基板と蛍光体層との間に金属膜を設けることにより、樹脂基板から蛍光体層への水分の移動を阻害することを狙っている。
そこで、本発明は、耐湿性を向上し得る放射線検出器を提供することを目的とする。
本発明の一形態であるシンチレータパネルは、有機材料からなる基板と、基板の主面に形成され、ヨウ化タリウムを主成分として含むバリア層と、バリア層上に形成され、タリウムが添加されたヨウ化セシウムを主成分として含む複数の柱状結晶により構成されるシンチレータ層と、基板の裏面側に形成された部分を含む機能層と、を備える。また、本発明の一形態であるシンチレータパネルは、有機材料からなる基板と、基板上に形成され、ヨウ化タリウムを主成分として含むバリア層と、バリア層上に形成され、タリウムが添加されたヨウ化セシウムを主成分として含む複数の柱状結晶により構成されるシンチレータ層と、を備える。
このシンチレータパネルでは、基板とシンチレータ層との間にバリア層が設けられる。バリア層は、ヨウ化タリウムを主成分として含む。このようなバリア層は、水分を透し難い性質を有する。そうすると、基板からシンチレータ層へ移動しようとする水分を、バリア層によって阻止することが可能になる。これにより、シンチレータ層の根元部における潮解が抑制されるので、ひいてはシンチレータパネルの特性の低下を抑制できる。従って、シンチレータパネルの耐湿性を向上することができる。
上記のシンチレータパネルにおいて有機材料は、ポリエチレンテレフタレートであってもよい。この構成によれば、シンチレータパネルに適した基板を容易に準備することができる。
上記のシンチレータパネルにおいて有機材料は、ポリエチレンナフタレートであってもよい。この構成によっても、シンチレータパネルに適した基板を容易に準備することができる。
本発明の別の形態である放射線検出器は、有機材料からなる基板と、基板上に形成され、ヨウ化タリウムを主成分として含むバリア層と、バリア層上に形成され、タリウムが添加されたヨウ化セシウムを主成分として含む複数の柱状結晶により構成されるシンチレータ層と、を有するシンチレータパネルと、シンチレータパネルにおいて生じた光を受ける光電変換素子が設けられた光検出面を含むセンサ基板と、を備え、センサ基板の光検出面は、シンチレータ層と対面する。
本発明のさらに別の形態である放射線検出器は、有機材料からなる基板と、基板上に形成され、ヨウ化タリウムを主成分として含むバリア層と、バリア層上に形成され、タリウムが添加されたヨウ化セシウムを主成分として含む複数の柱状結晶により構成されるシンチレータ層と、を備え、基板は、シンチレータ層において生じた光を受ける光電変換素子が設けられた光検出面を有する。
これらの放射線検出器は、シンチレータパネルに入射した放射線によって光が生成され、当該光は光検出面に設けられた光電変換素子によって検出される。ここで、シンチレータパネルは、基板とシンチレータ層との間に、ヨウ化タリウムを主成分として含むバリア層を有する。このバリア層によれば、基板からシンチレータ層への水分の移動を阻止することが可能になる。従って、シンチレータ層の根元部における潮解が抑制されるので、シンチレータパネルの特性の低下を抑制することが可能になる。その結果、放射線検出器は、放射線の検出特性の低下が抑制される。従って、放射線検出器の耐湿性を向上することができる。
本発明によれば、耐湿性を向上し得る放射線検出器が提供される。
図1は、第1実施形態に係るシンチレータパネルを示す断面図である。 図2は、第2実施形態に係る放射線検出器を示す断面図である。 図3の(a)部は変形例1に係るシンチレータパネルを示す断面図であり、図3の(b)部は変形例2に係るシンチレータパネルを示す断面図である。 図4の(a)部は変形例3に係るシンチレータパネルを示す断面図であり、図4の(b)部は変形例4に係るシンチレータパネルを示す断面図である。 図5の(a)部は変形例5に係るシンチレータパネルを示す断面図であり、図5の(b)部は変形例6に係るシンチレータパネルを示す断面図であり、図5の(c)部は変形例7に係るシンチレータパネルを示す断面図である。 図6の(a)部は変形例8に係るシンチレータパネルを示す断面図であり、図6の(b)部は変形例9に係るシンチレータパネルを示す断面図である。 図7の(a)部は変形例10に係る放射線検出器を示す断面図であり、図7の(b)部は変形例11に係る放射線検出器を示す断面図である。 図8の(a)部は変形例12に係る放射線検出器を示す断面図であり、図8の(b)部は変形例13に係る放射線検出器を示す断面図である。 図9の(a)部は変形例14に係る放射線検出器を示す断面図であり、図9の(b)部は変形例14をさらに変形した放射線検出器を示す断面図である。 図10の(a)部は変形例15に係る放射線検出器を示す断面図であり、図10の(b)部は変形例16に係る放射線検出器を示す断面図であり、図10の(c)部は変形例17に係る放射線検出器を示す断面図である。 図11の(a)部は変形例18に係る放射線検出器を示す断面図であり、図11の(b)部は変形例19に係る放射線検出器を示す断面図である。 図12の(a)部は変形例20に係る放射線検出器を示す断面図である。 図13は、実験例の結果を示すグラフである。
以下、添付図面を参照しながら本発明を実施するための形態を詳細に説明する。図面の説明において同一の要素には同一の符号を付し、重複する説明を省略する。
<第1実施形態>
図1に示されるように、第1実施形態に係るシンチレータパネル1は、基板2と、バリア層3と、シンチレータ層4と、保護膜6と、を有する。このような構成を有するシンチレータパネル1は、光電変換素子(不図示)と組み合わされて放射線イメージセンサとして用いられる。
基板2、バリア層3及びシンチレータ層4は、それぞれの厚み方向に沿ってこの順に積層された積層体7である。具体的には、基板2上にバリア層3が形成される。そして、バリア層3上にシンチレータ層4が形成される。つまり、基板2とシンチレータ層4とが直接に接することはない。積層体7は、積層体表面7aと、積層体裏面7bと、積層体側面7cと、を有する。そして、積層体7は、保護膜6により覆われる。具体的には、積層体表面7a、積層体裏面7b及び積層体側面7cのそれぞれは、保護膜6により覆われる。つまり、積層体表面7a、積層体裏面7b及び積層体側面7cのそれぞれは、大気に直接に晒されることがない。
基板2は、シンチレータパネル1の基体をなす。基板2は、平面視して矩形、多角形又は円形を呈し、その厚さは、10マイクロメートル以上5000マイクロメートル以下であり、一例として100マイクロメートルである。基板2は、基板表面2aと、基板裏面2bと、基板側面2cとを有する。基板裏面2bは、上述した積層体裏面7bを構成する。また、基板側面2cは、上述した積層体側面7cの一部を構成する。基板2は、有機材料からなる。有機材料として、例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)及びポリイミド(PI)が挙げられる。
バリア層3は、基板2からシンチレータ層4への水分の移動を阻害する。バリア層3は、基板表面2a上に形成され、その厚みは0.001マイクロメートル以上1.0マイクロメートル以下であり、一例として0.06マイクロメートル(600オングストローム)である。バリア層3は、バリア層表面3aと、バリア層裏面3bと、バリア層側面3cと、を有する。バリア層側面3cは、上述した積層体側面7cの一部を構成する。バリア層3は、ヨウ化タリウム(TlI)を主成分として含む。例えば、バリア層3のTlI含有量は、90%以上100%以下であってもよい。換言すると、バリア層3におけるTlI含有量が90%以上である場合に、バリア層3はTlIを主成分とするものといってよい。このようなバリア層3は、例えば、二源蒸着法によって形成することができる。具体的には、ヨウ化セシウム(CsI)を収容する第1蒸着源と、ヨウ化タリウム(TlI)を収容する第2蒸着源と、を利用する。CsIよりも先にTlIを基板に蒸着することでバリア層3を形成する。その厚みは、一例として600オングストローム程度である。尚、バリア層の膜厚は、強粘着テープ等でシンチレータ層と基板とを剥離し、基板界面を蛍光X線分析(XRF)装置にて分析することで測定できる。装置としては例えばリガク社のZSX Primusを挙げることができる。
シンチレータ層4は、放射線を受けて、当該放射線に対応する光を発生させる。シンチレータ層4は、蛍光体材料であるヨウ化セシウムを主成分として含み、さらに、タリウムをドーパントとして含む(CsI:Tl)。例えば、シンチレータ層4のCsI含有量は、90%以上100%以下であってもよい。換言すると、シンチレータ層4のCsI含有量が90%以上である場合に、シンチレータ層4はCsIを主成分とするものといってよい。更に、シンチレータ層4は複数の柱状結晶よりなるため、各柱状結晶がライトガイド効果を有することで高解像度のイメージングに適している。このようなシンチレータ層4は、例えば、蒸着法によって形成することができる。シンチレータ層4は、その厚さが10マイクロメートル以上3000マイクロメートル以下であり、一例として600マイクロメートルである。シンチレータ層4は、シンチレータ層表面4aと、シンチレータ層裏面4bと、シンチレータ層側面4cとを有する。シンチレータ層表面4aは、上述した積層体表面7aを構成する。また、シンチレータ層側面4cは、上述した積層体側面7cの一部を構成する。
シンチレータ層4は、その厚み方向に延びる複数の柱状結晶を含む。複数の柱状結晶の根元部は、シンチレータ層裏面4bを構成し、バリア層3のバリア層表面3aと接する。また、複数の柱状結晶の先端部は、シンチレータ層表面4aを構成する。さらに、シンチレータ層4の外周部に形成された柱状結晶は、シンチレータ層側面4cを構成する。ここで、積層体側面7cは、基板側面2c、バリア層側面3c及びシンチレータ層側面4cを含んでおり、これらの、基板側面2c、バリア層側面3c及びシンチレータ層側面4cは面一である。ここで「面一」とは、基板側面2c、バリア層側面3c及びシンチレータ層側面4cを巨視的に見た場合に、それぞれの面が同一の仮想平面に含まれることをいう。なお、基板側面2c及びシンチレータ層側面4cは、微視的に見るとダレ、粗面、バリといった微細な凹凸構造を有する場合があり得るが、「面一」と規定する場合にはそれらの凹凸構造は無視される。
保護膜6は、積層体7を覆うことにより積層体7を湿気から保護する。保護膜6は、基板裏面2b、基板側面2c、バリア層側面3c、シンチレータ層側面4c及びシンチレータ層表面4aを覆う。また、保護膜6の厚みは、形成される全ての箇所において略同じであってもよいし、箇所ごとに異なっていてもよい。図1に示される保護膜6によれば、例えば、シンチレータ層表面4aの上に形成された膜部は、基板裏面2b、基板側面2c、バリア層側面3c、シンチレータ層側面4cの上に形成された膜部よりも厚い。保護膜6は、ポリパラキシリレンを主成分とする。このような保護膜6は、例えば化学気相成長法(CVD)により形成できる。
このシンチレータパネル1では、基板2とシンチレータ層4との間にバリア層3が設けられる。バリア層3は、ヨウ化タリウムを主成分として含む。このようなバリア層3は、水分を透し難い性質を有する。そうすると、基板2からシンチレータ層4へ移動しようとする水分を、バリア層3によって阻止することが可能になる。従って、シンチレータ層4の根元部における潮解が抑制されるので、ひいてはシンチレータパネル1の特性の低下を抑制できる。
上記のシンチレータパネル1において有機材料は、ポリエチレンテレフタレートであり得る。この構成によれば、シンチレータパネル1に適した基板2を容易に準備することができる。シンチレータパネル1として適した基板とは、シンチレータ層形成時の耐熱性、シンチレータパネル形成時のハンドリング性、シンチレーション光に対する光学特性(反射性や吸収性)、放射線透過性、入手性や価格等のことである。
上記のシンチレータパネル1において有機材料は、ポリエチレンナフタレート、ポリイミド又はポリエーテルエーテルケトンであり得る。この構成によっても、シンチレータパネル1に適した基板2を容易に準備することができる。
<第2実施形態>
次に、第2実施形態に係る放射線検出器について説明する。尚、実際にはセンサパネル11上には導通を取るための領域(辺)が設けられるが、便宜上図示していない。
図2に示されるように、放射線検出器10は、センサパネル11(センサ基板)と、バリア層3Aと、シンチレータ層4Aと、封止部12と、を有する。封止板14から受け入れられた放射線が、シンチレータ層4Aに入射する。シンチレータ層4Aは、放射線に応じた光を発生させる。当該光は、バリア層3Aを通過してセンサパネル11に入射する。センサパネル11は、入射した光に応じて電気信号を発生させる。当該電気信号は、所定の電気回路を通じて出力される。この電気信号によれば、放射線イメージ画像が得られる。
センサパネル11は、パネル表面11aと、パネル裏面11bと、パネル側面11cと、を有する。センサパネル11は、光電変換素子16を有するCCDセンサ、CMOSセンサ又はTFTパネルであり、有機材料からなる基板を含む。複数の光電変換素子16は、パネル表面11a上において二次元状に配置される。複数の光電変換素子16が配置されたパネル表面11a上の領域は、光検出領域S1(光検出面)である。そして、パネル表面11aは、光検出領域S1に加えて、当該光検出領域S1を囲む周囲領域S2を含む。
バリア層3Aは、パネル表面11a上に形成される。バリア層3Aは、バリア層表面3aと、バリア層裏面3bと、バリア層側面3cと、を有する。より具体的には、バリア層3Aは、光検出領域S1を覆うようにパネル表面11a上に形成される。つまり、バリア層表面3aは、パネル表面11aと対面する。またバリア層3Aを平面視したとき、バリア層3Aは、センサパネル11よりも小さい。従って、バリア層側面3cは、パネル側面11cと面一ではない。バリア層3Aは、上記の構成を除き、その他の構成は第1実施形態におけるバリア層3と同様である。例えば、バリア層3Aを構成する材料等は、第1実施形態に係るバリア層3と同じである。
シンチレータ層4Aは、バリア層3A上に形成される。より具体的には、シンチレータ層4Aは、バリア層裏面3b上に形成される。つまり、シンチレータ層4Aもバリア層3Aと同様に、バリア層3Aを介して光検出領域S1を覆うように形成される。この構成によれば、光電変換素子16によってシンチレータ層4Aからの光を確実に捉えることができる。また、シンチレータ層側面4cは、パネル側面11cと面一ではない。
さらに、シンチレータ層4Aは角錐台形状を呈しており、シンチレータ層側面4cはその厚み方向に対して傾く。換言すると、シンチレータ層側面4cは、スロープ(傾斜)を有する。具体的には、シンチレータ層4Aを厚み方向に直交する方向から断面視したとき、断面は台形状を呈する。つまり、シンチレータ層表面4a側の一辺は、シンチレータ層裏面4b側の一辺よりも長い。
封止部12は、センサパネル11のパネル表面11aの一部と、バリア層3Aと、シンチレータ層4Aと、を覆う。封止部12は、パネル表面11aにおける周囲領域S2に固定される。そして、封止部12とセンサパネル11によって形成される内部空間を気密に保つ。この構成により、シンチレータ層4Aが湿気から保護される。
封止部12は、封止枠13と、封止板14と、を有する。封止枠13は、枠表面13aと、枠裏面13bと、枠壁部13cと、を有する。枠壁部13cは、枠表面13aと枠裏面13bとを連結する。枠壁部13cの高さ(つまり枠表面13aから枠裏面13bまでの長さ)は、パネル表面11aからシンチレータ層裏面4bまでの高さよりも高い。従って、シンチレータ層裏面4bと封止板14との間には隙間が形成される。封止枠13は、例えば、樹脂材料、金属材料、セラミック材料により構成してよい。封止枠13は中実であっても、中空であってもよい。枠表面13aと板裏面14b、枠裏面13bとパネル表面11aとを接着剤によって接合してもよい。
封止板14は、平面視して矩形状の板材である。封止板14は、板表面14aと、板裏面14bと、板側面14cとを有する。板裏面14bは、枠表面13aに対して固定される。板側面14cは、枠壁部13cの外側面に対して面一であってもよい。封止板14は、例えば、ガラス材料、金属材料、カーボン材料、バリアフィルムにより構成してよい。金属材料としては、アルミニウムが例示される。カーボン材料としては、炭素繊維強化プラスチック(CFRP)が例示される。バリアフィルムとしては、有機材料層(PETやPEN)と無機材料層(SiN)との積層体が例示される。
放射線検出器10は、シンチレータ層4Aに入射した放射線によって光が生成され、当該光は光検出領域S1に設けられた光電変換素子16によって検出される。ここで、放射線検出器10は、センサパネル11とシンチレータ層4Aとの間に、ヨウ化タリウムを主成分として含むバリア層3Aを有する。このバリア層3Aは、センサパネル11からシンチレータ層4Aへの水分の移動を阻止する。従って、シンチレータ層4Aの根元部における潮解が抑制されるので、放射線検出器10の特性の低下を抑制することができる。
以上、本発明の実施形態について説明したが、上記実施形態に限定されることなく様々な形態で実施される。変形例1~14は、第1実施形態の変形例である。また、変形例15~20は、第2実施形態の変形例である。
<変形例1>
図3の(a)部は、変形例1に係るシンチレータパネル1Aを示す。シンチレータパネル1Aは、基板2、バリア層3及びシンチレータ層4に加えて、さらに別の層を有してもよい。シンチレータパネル1Aは、当該別の層として、機能層8を有する。機能層8は、その機能層表面8aが基板裏面2bに対面する。機能層8は、無機材料を主成分として含む。機能層8は、例えば、金属箔、金属シート、無機材料により形成されたコーティング層であってもよい。そして、機能層8を含む積層体7Aは、保護膜6により覆われる。つまり、保護膜6は、機能層8の機能層裏面8bと、機能層側面8cと、基板側面2cと、バリア層側面3cと、シンチレータ層側面4cと、シンチレータ層表面4aと、を覆う。シンチレータパネル1Aによれば、バリア層3及び機能層8によって基板2を介して浸入する湿気からシンチレータ層4を保護することができる。
<変形例2>
図3の(b)部は、変形例2に係るシンチレータパネル1Bを示す。シンチレータパネル1Bは、変形例1とは異なる構成を有する機能層8Aを有してもよい。機能層8Aは、基板裏面2bに加えて、基板側面2c上にも形成される。つまり、機能層8Aは、基板裏面2b上に形成された第1の部分と、基板側面2c上に形成された第2の部分と、を有する。第1の部分は、機能層表面8aと、機能層裏面8bと、を有する。機能層表面8aは、基板裏面2bと対面する。そうすると、基板2は、バリア層3及び機能層8Aによって全ての面が覆われる。機能層8Aは、無機材料を主成分として含む。機能層8Aは、例えば、無機材料により形成されたコーティング層であってもよい。そして、機能層8Aを含む積層体7Bは、保護膜6により覆われる。つまり、保護膜6は、機能層8Aの第1の部分と、機能層8Aの第2の部分と、バリア層側面3cと、シンチレータ層側面4cと、シンチレータ層表面4aと、を覆う。シンチレータパネル1Bによれば、バリア層3及び機能層8Aによって基板2を介して浸入する湿気からシンチレータ層4を保護することができる。
<変形例3>
図4の(a)部は、変形例3に係るシンチレータパネル1Cを示す。シンチレータパネル1Cは、変形例1とは異なる機能層8Bを有してもよい。機能層8Bは、保護膜6上に形成される。具体的には、基板2、バリア層3及びシンチレータ層4を含む積層体7は、保護膜6によって覆われる。つまり、保護膜6は、基板裏面2bを覆う。そして、機能層8Bは、基板裏面2bを覆う部分の上に形成される。従って、シンチレータパネル1Cは、厚み方向に沿って、機能層8B、保護膜6、基板2、バリア層3及びシンチレータ層4がこの順に積層された積層構造を有する。機能層8Bは、無機材料を主成分として含む。機能層8Bは、例えば、金属箔、金属シート、無機材料により形成されたコーティング層であってもよい。シンチレータパネル1Cによれば、バリア層3及び機能層8Bによって基板2を介して浸入する湿気からシンチレータ層4を保護することができる。
<変形例4>
図4の(b)部は、変形例4に係るシンチレータパネル1Dを示す。変形例4に係るシンチレータパネル1Dは、変形例1とは異なる機能層8Cを有してもよい。機能層8Cは、保護膜6上に形成される。機能層8Cは、積層体7Cの少なくとも一部を覆う。具体的には、基板2、バリア層3及びシンチレータ層4を含む積層体7は、保護膜6によって覆われる。つまり、保護膜6は、基板裏面2bを覆う部分と、基板側面2cを覆う部分と、を有する。そして、機能層8Cは、基板裏面2bを覆う部分の上と、基板側面2cを覆う部分の上と、のそれぞれに形成される。従って、シンチレータパネル1Dは、厚み方向にそって、機能層8C、保護膜6、基板2、バリア層3及びシンチレータ層4がこの順に積層された積層構造を有する。また、シンチレータパネル1Dは、厚み方向と交差する方向に沿って、機能層8C、保護膜6、基板2、保護膜6、機能層8Cがこの順に積層された積層構造を有する。機能層8Cは、無機材料を主成分として含む。機能層8Cは、例えば、金属箔、金属シート、無機材料により形成されたコーティング層であってもよい。シンチレータパネル1Dによれば、バリア層3及び機能層8Cによって基板2を介して浸入する湿気からシンチレータ層4を保護することができる。
第1実施形態に係るシンチレータパネル1は、一枚の大きい基板2上にバリア層3及びシンチレータ層4を形成したパネル基体を形成し、当該パネル基体を切断することにより得られる。つまり、シンチレータパネル1のパネル側面11cには、切断の形態に応じた加工痕が生じることがある。例えば、パネル基体の切断には、レーザ光を利用してもよい。
<変形例5>
図5の(a)部は、変形例5に係るシンチレータパネル1Eを示す。シンチレータパネル1Eは、積層体側面7cに形成された溶融領域5を有してもよい。溶融領域5は、レーザ光によって基板2、バリア層3及びシンチレータ層4の一部が溶融し、再度固化した部分である。つまり、基板側面2c、バリア層側面3c及びシンチレータ層側面4cのそれぞれの全面に溶融領域5が形成される。シンチレータパネル1Eによれば、レーザ光を用いた切断を行うことができる。
このような加工痕は以下のような工程によって形成される。まず、積層体7を形成する。次に、積層体7においてレーザ光をシンチレータ層4の側から照射する。そうするとレーザ光は、シンチレータ層4、バリア層3、基板2の順に切断していく。基板2は、複数の柱状結晶よりなるシンチレータ層4及びバリア層3よりも劈開性がない。従って、レーザ光は、基板裏面2bに到達するまで照射し続けられる。従って、レーザ光は、シンチレータ層表面4aから基板裏面2bに至るまで照射し続けられるので、切断面である積層体側面7cの全面に亘って溶融領域5が形成される。
<変形例6>
図5の(b)部は、変形例6に係るシンチレータパネル1Fを示す。シンチレータパネル1Fは、積層体側面7cの一部に形成された溶融領域5Aを有してもよい。溶融領域5Aは、基板側面2c及びバリア層側面3cのそれぞれの全面と、シンチレータ層側面4cの一部に形成される。具体的には、溶融領域5Aは、バリア層側面3cに連続するシンチレータ層側面4cの一部分に形成される。
このような加工痕は以下のような工程によって形成される。まず、積層体7を形成する。次に、積層体7においてレーザ光を基板2の側から照射する。そうするとレーザ光は、基板2、バリア層3、シンチレータ層4の順に切断していく。シンチレータ層4は、柱状結晶の集合体であり、劈開性が高い。従って、シンチレータ層4の根元部に溝や亀裂が生じると、その亀裂をきっかけとして劈開することができる。つまり、レーザ光は、基板裏面2bからシンチレータ層表面4aに至るまで照射し続ける必要がない。レーザ光は、基板裏面2bからシンチレータ層側面4cにわずかに到達したときに、その照射を停止する。そして、シンチレータ層4に形成された溝や亀裂をきっかけとして、シンチレータ層4を劈開する。この切断方法によれば、シンチレータ層4へのレーザ光の照射を最小限に留めることができる。従って、変形例5の切断方法と比較すると、シンチレータ層4へのダメージを低減することができる。
<変形例7>
図5の(c)部は、変形例7に係るシンチレータパネル1Gを示す。シンチレータパネル1Gは、積層体側面7cの一部に形成された溶融領域5Bを有してもよい。溶融領域5Bは、基板側面2cに形成された溶融部5aと、シンチレータ層側面4cの一部に形成された溶融部5bと、を有する。具体的には、溶融部5bは、シンチレータ層表面4a側のシンチレータ層側面4cの一部分に形成される。換言すると、シンチレータ層4の根元部には、溶融領域5Bは形成されない。なお、バリア層側面3cには、溶融部5aと連続する溶融領域が形成されてもよい。
このような加工痕は以下のような工程によって形成される。まず、積層体7を形成する。次に、積層体7においてレーザ光を基板2の側から照射する。そして、レーザ光が基板表面2aに達したときに照射を停止する。この工程によって、基板側面2cにおける溶融部5aが形成される。次に、レーザ光をシンチレータ層4側から照射する。そして、レーザ光がシンチレータ層表面4aから所定の深さに達したときに照射を停止する。つまり、レーザ光は、シンチレータ層表面4aからシンチレータ層裏面4bまで照射し続けることはない。この段階では、積層体7は、シンチレータ層4の根元部とバリア層3とによって一体性を保っている。そして、シンチレータ層4に設けられた溝や亀裂をきっかけとして、シンチレータ層4を劈開する。この切断方法によれば、シンチレータ層4へのレーザ光の照射を最小限に留めることができる。従って、変形例5の切断方法と比較すると、シンチレータ層4へのダメージを低減することができる。
<変形例8>
図6の(a)部は、変形例8に係るシンチレータパネル1Hを示す。シンチレータパネル1Hは、保護膜6に代えて保護シート6Aを有する。つまり、シンチレータパネル1Hは、積層体7と、保護シート6Aと、を有する。保護シート6Aは、2枚のシート部材6a,6bを貼りあわせて構成される。具体的には、シート部材6aはシンチレータ層表面4aと対面するように配置され、シート部材6bは基板裏面2bと対面するように配置される。シート部材6aとシンチレータ層表面4aとの間、及びシート部材6bと基板裏面2bとの間には、隙間を設けてもよい。また、シート部材6aとシンチレータ層表面4aとは互いに接触してもよいし、シート部材6bと基板裏面2bとは互いに接触してもよい。そして、シート部材6aの周辺部は、シート部材6bの周辺部と重ね合されて、互いに接着される。この構成によれば、積層体7を収容した内部領域を気密に保つことができる。従って、シンチレータ層4を湿気から保護することができる。
<変形例9>
図6の(b)部は、変形例9に係るシンチレータパネル1Kを示す。シンチレータパネル1Kは、保護膜6に代えて袋状の保護シート6Bを有してもよい。つまり、シンチレータパネル1Kは、積層体7と、保護シート6Bと、を有する。保護シート6Bは、開口を有し、当該開口から積層体7を収容する。そして、積層体7を収容した後に、開口を閉じて接着剤などにより固定する。この構成によっても積層体7を収容した内部領域を気密に保つことができる。従って、シンチレータ層4を湿気から保護することができる。
<変形例10>
図7の(a)部は、変形例10に係る放射線検出器10Aを示す。放射線検出器10Aは、第1実施形態に係るシンチレータパネル1が有する積層体7と、センサパネル11と、封止部12と、を有する。センサパネル11は、第2実施形態に係る放射線検出器10が有するセンサパネル11と略同様の構成を有する。
封止部12は、第2実施形態に係る放射線検出器10が有する封止部12と略同様の構成を有する。変形例10に係る放射線検出器10Aにおいて、封止枠13の枠壁部13cの高さは、パネル表面11aから基板裏面2bまでの高さよりも高い。封止枠13は、例えば、樹脂材料、金属材料、セラミック材料により構成してよい。なお、封止枠13を金属材料やセラミック材料により構成した場合には、枠表面13a及び封止板14との間に接着層(不図示)が形成されると共に、枠裏面13bとパネル表面11aとの間に接着層(不図示)が形成される。封止板14は、例えば、ガラス材料、金属材料、カーボン材料、バリアフィルムにより構成してよい。金属材料としては、アルミニウムが例示される。カーボン材料としては、CFRPが例示される。バリアフィルムとしては、有機材料層(PETやPEN)と無機材料層(SiN)との積層体が例示される。放射線検出器10Aは、センサパネル11及び封止部12によって、シンチレータ層4を湿気から保護することができる。
<変形例11>
図7の(b)部は、変形例11に係る放射線検出器10Bを示す。放射線検出器10Bは、変形例10の放射線検出器10Aとは異なる封止部12Aを有する。その他の積層体7及びセンサパネル11の構成は、変形例10と同様である。封止部12Aは、封止板14と封止枠13Aとを備えており、封止枠13Aはさらに、内側封止枠17と外側封止枠18とを有する。つまり、封止枠13は二重構造を有する。内側封止枠17は、例えば、樹脂材料により構成してよい。また、外側封止枠18は、例えば、無機材料により形成されたコーティング層や、ガラスロッドといった無機固形材料により構成してもよい。放射線検出器10Bは、センサパネル11及び封止部12Aによって、シンチレータ層4を湿気から好適に保護することができる。
<変形例12>
図8の(a)部は、変形例12に係る放射線検出器10Cを示す。変形例12に係る放射線検出器10Cは、第1実施形態に係るセンサパネル11の積層体7とは異なる構成の積層体7Cを有する。積層体7Cは、基板2Aと、バリア層3Aと、シンチレータ層4Aとを有する。変形例12に係るバリア層3Aの単体構成は、第2実施形態に係るバリア層3Aと同様である。また、変形例12に係るシンチレータ層4Aの単体構成は、第2実施形態に係るシンチレータ層4Aと同様である。つまり、シンチレータ層側面4cは、厚み方向に対して傾いている。
一方、積層体7Cは、基板側面2cとバリア層側面3cとが面一でなく、且つ、基板側面2cとシンチレータ層側面4cとが面一でない点で、第1実施形態に係る積層体7と異なる。厚み方向から平面視したとき、基板2Aは、バリア層3A及びシンチレータ層4Aよりも大きい。従って、基板表面2aは、バリア層3A及びシンチレータ層4Aから露出する露出領域S3を有する。
積層体7Cは、シンチレータ層表面4aがパネル表面11aと対面するように、センサパネル11に対して取り付けられる。この構成によれば、基板表面2aにおける露出領域S3もパネル表面11aの周囲領域S2と対面する。基板表面2aは、パネル表面11aに対してシンチレータ層4A及びバリア層3Aの高さ分だけ離間する。そこで、基板表面2aとパネル表面11aとの間に、封止枠13を挟み込む。封止枠13と基板2Aとは互いに接着により固定される。同様に、封止枠13とセンサパネル11とは互いに接着により固定される。この構成によれば、基板2Aは、バリア層3A及びシンチレータ層4Aの成長基板としての機能と、放射線検出器10Cにおける封止板としての機能と、を奏し得る。従って、放射線検出器10Cを構成する部品数を低減することができる。
<変形例13>
図8の(b)部は、変形例13に係る放射線検出器10Dを示す。放射線検出器10Dは、変形例12の放射線検出器10Cとは異なる封止枠13Aを有する。その他の積層体7C及びセンサパネル11の構成は、変形例12と同様である。封止枠13Aは、変形例11に係る封止枠13Aと同様の構成を有する。つまり、封止枠13Aは、内側封止枠17と外側封止枠18とを有する。放射線検出器10Dは、基板2A、センサパネル11及び封止枠13Aによって、シンチレータ層4Aを湿気から保護することができる。
<変形例14>
図9の(a)部は、変形例14に係る放射線検出器10Eを示す。放射線検出器10Eは、積層体7と、保護膜6Cと、センサパネル11と、に加えて、さらにファイバオプティカルプレート(以下「FOP9」と言う)と、を有する。FOP9は、積層体7とセンサパネル11との間に配置される。つまり、積層体7は、FOP9を介してセンサパネル11に接合される。具体的には、FOP9は、シンチレータ層4とセンサパネル11との間に配置される。FOP9は、FOP表面9aと、FOP裏面9bと、FOP側面9cと、を有する。FOP裏面9bは、シンチレータ層表面4aに接触する。FOP表面9aは、パネル表面11aに接触する。FOP側面9cは、積層体側面7cと面一である。そして、保護膜6Cは、基板裏面2b、基板側面2c、バリア層側面3c、シンチレータ層側面4c及びFOP側面9cを覆う。従って、保護膜6Cは、シンチレータ層4とFOP9の間、及びFOP9とセンサパネル11との間には形成されない。放射線検出器10Eは、シンチレータ層4を湿気から保護すると共に、FOP9によりシンチレータ層4をセンサパネル11に好適に光学的に接続することができ、シンチレータ層4とFOP9の間、及びFOP9とセンサパネル11の間に保護膜6Cがないことで解像度低下を抑制できる。
なお、図9の(b)部に示された放射線検出器10Sのように、保護膜6Cは、積層体7の外周面を覆っていてもよい。つまり、保護膜6Cは、積層体7とFOP9との間に形成されてもよい。
<変形例15>
図10の(a)部は、変形例15に係る放射線検出器10Fを示す。放射線検出器10Fは、第2実施形態に係る放射線検出器10とは異なる封止部12Aを有する。その他のバリア層3A、シンチレータ層4A及びセンサパネル11の構成は、第2実施形態に係る放射線検出器10と同様である。封止部12Aは、変形例11に係る封止部12Aと同様の構成を有する。つまり、封止部12Aは、封止板14と封止枠13Aとを備えており、封止枠13Aはさらに、内側封止枠17と外側封止枠18とを有する。放射線検出器10Fは、シンチレータ層4Aを好適に湿気から保護することができる。
<変形例16>
図10の(b)部は、変形例16に係る放射線検出器10Gを示す。放射線検出器10Gは、第2実施形態に係る放射線検出器10に対して、封止部12を有しておらず、封止部12に代えて保護膜6Dを有する。その他のバリア層3A、シンチレータ層4A及びセンサパネル11の構成は、第2実施形態に係る放射線検出器10と同様である。保護膜6Dは、パネル表面11aと、バリア層側面3cと、シンチレータ層側面4cとシンチレータ層裏面4bとを覆う。放射線検出器10Gは、シンチレータ層4Aを湿気から好適に保護することができる。保護膜6Dは保護膜6と同様の材料よりなる。
<変形例17>
図10の(c)部は、変形例17に係る放射線検出器10Hを示す。放射線検出器10Hは、変形例16に係る放射線検出器10Gに対して、さらに封止枠13Bを追加したものである。従って、シンチレータ層4A、バリア層3A、センサパネル11及び保護膜6Dは、変形例16に係る放射線検出器10Gと同様である。封止枠13Bは、センサパネル11と保護膜6Dの接合部を塞ぐように形成される。従って、封止枠13Bは、厚み方向から平面視すると、保護膜6Dの外縁に沿って形成される。封止枠13Bは、例えば、UV硬化樹脂により構成してよい。この構成によれば、センサパネル11と保護膜6Dの接合部からの湿気の侵入が抑制されるので、耐湿性をさらに高めることができる。
<変形例18>
図11の(a)部は、変形例18に係る放射線検出器10Kを示す。放射線検出器10Kは、第2実施形態に係る放射線検出器10の封止部12を有しておらず、封止部12に代えて封止シート12Bを有する。その他のバリア層3A、シンチレータ層4A及びセンサパネル11の構成は、第2実施形態に係る放射線検出器10と同様である。封止シート12Bは、厚み方向に平面視して矩形、多角形又は円形を呈する。封止シート12Bは、例えば、金属箔、アルミニウムシートといった金属シート、バリアフィルムにより構成してよい。封止シート12Bは、シンチレータ層4A及びバリア層3Aを覆う。具体的には、シンチレータ層裏面4b、シンチレータ層側面4c、バリア層側面3c及びパネル表面11aの一部を覆う。すなわち、平面視した場合に、封止シート12Bは、シンチレータ層4A及びバリア層3Aよりも大きい。そして、封止シート12Bの外周縁12aは、パネル表面11aに対して接着剤15により接着される。従って、封止シート12B及びセンサパネル11は、シンチレータ層4A及びバリア層3Aを収容する気密領域を形成する。従って、シンチレータ層4Aを湿気から保護することができる。なお、接着剤15は、フィラー材を含んでもよい。このフィラー材は、接着層よりも厚さ未満の粒径を有する。放射線検出器10Kは、シンチレータ層4Aを湿気から好適に保護することができる。
<変形例19>
図11の(b)部は、変形例19に係る放射線検出器10Lを示す。放射線検出器10Lは、変形例18に係る封止シート12Bとは異なる構成の封止枠12Cを有する。封止枠12Cは、箱状を呈し、底面に開口を有する。すなわち、変形例18に係る封止シート12Bは柔軟性を有するが、変形例19に係る封止枠12Cは所定の形状を保ち、硬質である点で相違する。従って、封止枠12Cは、例えば、ガラス材料、金属材料、カーボン材料により構成してよい。封止枠12Cは、その底面がパネル表面11aに対して接着剤15により接着される。この構成によれば、シンチレータ層4Aが封止枠12Cとセンサパネル11とが形成する気密領域に配置されるので、シンチレータ層4Aを湿気から保護することができる。さらに、封止枠12Cが硬質であるので、シンチレータ層4Aを機械的に保護することができる。
<変形例20>
図12は、変形例20に係る放射線検出器10Mを示す。放射線検出器10Mは、第2実施形態に係る放射線検出器10とは異なるバリア層3B及びシンチレータ層4Bを有する。バリア層3Bは、バリア層表面3aと、バリア層裏面3bと、バリア層側面3cと、を有する。シンチレータ層4Bは、シンチレータ層表面4aと、シンチレータ層裏面4bと、シンチレータ層側面4cと、を有する。センサパネル11の単体構成は、第2実施形態に係る放射線検出器10と同様である。シンチレータ層4Bは、センサパネル11の一側面において、光検出領域S1からはみ出すように形成される。具体的には、まず、バリア層3Bは、光検出領域S1と、一方のパネル側面11cと、光検出領域S1と一方のパネル側面11cとの間の周辺領域S2aと、の上に形成される。そして、シンチレータ層4Bは、バリア層3Bを覆うように、バリア層3Bの全面上に形成される。この構成を有する放射線検出器10Mは、例えば、シンチレータ層4Bが光検出領域S1をはみ出すように形成された辺を胸壁側に配置することでマンモグラフィー用の放射線検出器として好適に用いることができる。
<実験例>
実験例では、バリア層が奏する耐湿性の向上についてその効果を確認した。本実験例でいう耐湿性とは、所定の湿度を有する環境に曝された時間と、シンチレータパネルが示す解像度(CTF)の変化の度合いと、の関係をいう。つまり、耐湿性が高いとは、湿度環境に長時間曝された場合であっても、シンチレータパネルが示す解像度の低下度合いが小さいことをいう。逆に、耐湿性が低いとは、湿度環境に長時間曝された場合に、シンチレータパネルが示す解像度の低下度合いが大きいことをいう。
実験例では、まず、3個の試験体(シンチレータパネル)を準備した。それぞれの試験体は、シンチレータ層と基板とを有する。それぞれのシンチレータ層は、CsIを主成分として含み、その厚みは600マイクロメートルである。そして、第1及び第2の試験体は、基板とシンチレータ層との間にTlIを主成分として含むバリア層を有する。一方、第3の試験体は、バリア層を有しない。つまり、第3の試験体は、基板上に直接にシンチレータ層が形成された比較例である。第1の試験体の基板は、有機材料を主成分として含む有機基板である。つまり、第1の試験体は、第1実施形態に係るシンチレータパネル1に対応する。第2の試験体の基板は、アルミニウム製の基体上に有機材料を主成分として含む保護膜を形成した基板である。つまり、第2の試験体は、参考例に係るシンチレータパネルに対応する。第3の試験体の基板は、第2の試験体の基板と同じである。
要するに、第1~第3の試験体の構成は以下のとおりである。
第1の試験体:有機材料からなる基板、バリア層、シンチレータ層。
第2の試験体:有機層を有する基板、バリア層、シンチレータ層。
第3の試験体:有機層を有する基板、(バリア層なし)シンチレータ層。
次に、第1~第3の試験体が有するそれぞれの解像度を得た。この解像度を基準値とした。次に、第1~第3の試験体を、温度が40℃であり湿度が90%に設定された環境試験機に設置した。次に、設置開始から所定時間経過ごとに、それぞれの試験体について解像度を得た。そして、所定時間経過ごと得た解像度が基準値である解像度に対してどの程度の割合であるかを算出した。つまり、環境試験機に設置する前の解像度に対する相対値を得た。例えば、相対値が100パーセントである場合には、所定時間経過後に得た解像度は、環境試験機に設置する前の解像度に対して変化しておらず、性能が低下していないことを示す。従って、相対値が低くなるにつれて、シンチレータパネルの特性が低下することを示す。
図13に示されたグラフは、上記の環境に曝された時間(横軸)と相対値(縦軸)との関係を示す。第1の試験体は、設置開始から1時間後、72時間後、405時間後に解像度の測定を行った。それぞれの結果は、プロットP1a,P1b,P1cとして示す。第2の試験体は、設置開始から1時間後、20.5時間後、84時間後及び253時間後に解像度の測定を行った。それぞれの結果は、プロットP2a,P2b,P2c,P2dとして示す。第3の試験体は、設置開始から1時間後、24時間後、71時間後及び311時間後に解像度の測定を行った。それぞれの結果は、プロットP3a,P3b,P3c,P3dとして示す。
それぞれのプロットを確認すると、第1~第3の試験体のうち、バリア層を有しない第3の試験体(プロットP3a,P3b,P3c,P3d)の性能の低下が最も大きかった。つまり、第3の試験体では、有機層から水分がシンチレータ層へ浸透し、シンチレータ層の潮解が時間の経過と共に進行したことにより、性能の低下が生じたものと考えられる。一方、第1及び第2の試験体(プロットP1a,P1b,P1c、プロットP2a,P2b,P2c,P2d)についても、時間が経過するごとに相対値が低下する傾向が見られた。しかし、第1及び第2の試験体が示す相対値の低下の度合いは、第3の試験体が示す相対値の低下の度合いよりも明らかに抑制されていた。従って、TlIを主成分として含むバリア層を設けることにより、シンチレータパネルの特性の低下を抑制できることがわかった。つまり、TlIを主成分として含むバリア層は、シンチレータパネルの耐湿性の向上に寄与し得ることがわかった。
1,1A,1B,1C,1D,1E,1F,1G,1H,1K…シンチレータパネル、2,2A…基板、2a…基板表面、2b…基板裏面、2c…基板側面、3,3A,3B…バリア層、3a…バリア層表面、3b…バリア層裏面、3c…バリア層側面、4,4A,4B…シンチレータ層、4a…シンチレータ層表面、4b…シンチレータ層裏面、4c…シンチレータ層側面、5,5A,5B…溶融領域、5a,5b…溶融部、6,6C,6D…保護膜、6A,6B…保護シート、6a,6b…シート部材、7,7A,7B…積層体、7a…積層体表面、7b…積層体裏面、7c…積層体側面、8,8A,8B,8C…機能層、8a…機能層表面、8b…機能層裏面、8c…機能層側面、9…FOP、9a…FOP表面、9b…FOP裏面、9c…FOP側面、10,10A,10B,10C,10D,10E,10F,10G,10H,10L,10K,10M…放射線検出器、11…センサパネル、11a…パネル表面、11b…パネル裏面、11c…パネル側面、12,12A…封止部、12B…封止シート、12a…外周縁、12C…封止枠、13,13A,13B…封止枠、13a…枠表面、13b…枠裏面、13c…枠壁部、14…封止板、14a…板表面、14b…板裏面、14c…板側面、16…光電変換素子、17…内側封止枠、18…外側封止枠、15…接着剤、S1…光検出領域、S2…周囲領域、S3…露出領域、S2a…周辺領域。

Claims (5)

  1. 有機材料からなる基板と、
    前記基板の主面に形成され、ヨウ化タリウムを主成分として含むバリア層と、
    前記バリア層上に形成され、タリウムが添加されたヨウ化セシウムを主成分として含む複数の柱状結晶により構成されるシンチレータ層と、
    前記シンチレータ層において生じた光を受ける光電変換素子が設けられた光検出面を含むセンサパネルと、
    前記シンチレータ層と前記センサパネルとの間に配置されて、前記シンチレータ層を前記センサパネルに光学的に接続するファイバオプティカルプレートと、を備える、放射線検出器。
  2. 前記基板の裏面、前記基板の側面、前記バリア層の側面及び前記シンチレータ層の側面を覆う保護膜を更に有する、請求項1に記載の放射線検出器。
  3. 前記ファイバオプティカルプレートの主面は、前記センサパネルの前記光検出面に接し、
    前記ファイバオプティカルプレートの裏面は、前記シンチレータ層の表面に接し、
    前記保護膜は、前記ファイバオプティカルプレートの側面をさらに覆う、請求項2に記載の放射線検出器。
  4. 前記ファイバオプティカルプレートの主面は、前記センサパネルの前記光検出面に接し、
    前記保護膜は、前記ファイバオプティカルプレートに対面する前記シンチレータ層の表面をさらに覆うように、前記シンチレータ層と前記ファイバオプティカルプレートとの間に形成された部分を含む、請求項2に記載の放射線検出器。
  5. 前記ファイバオプティカルプレートの側面には、前記保護膜が形成されない、請求項4に記載の放射線検出器。

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