JP2022118697A - シールドケーブル - Google Patents

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Kimika Kudo
光樹 平野
Mitsuki Hirano
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Abstract

【課題】放熱特性と機械的ストレスに対する耐性の両方において優れた絶縁被覆を備えたシールドケーブルを提供する。【解決手段】本発明の一態様において、少なくとも1本の電線11又はケーブル10と、前記少なくとも1本の電線11又はケーブル10の周囲に設けられた、金属材料からなる複数の素線130から構成されるシールド13と、前記シールド13の周囲に、前記複数の素線130と直接、且つ面で接触するように設けられた絶縁被覆14と、を備え、前記絶縁被覆14が、酸改質フッ素樹脂からなるベース樹脂141と、前記ベース樹脂141に含まれる、表面にNH2基及びOH基の少なくともいずれか一方の官能基が存在する絶縁性の放熱フィラー142とを有する、シールドケーブル1を提供する。【選択図】図1

Description

本発明は、シールドケーブルに関する。
従来、導線からなる芯線を絶縁被覆した電線であって、塩化ビニールに、シリカ、アルミナ、酸化マグネシウム、窒化ホウ素あるいは酸化ベリリウムのいずれか一種あるいは複数種類を混合して形成した高熱伝導率を有する放熱性絶縁材で絶縁被覆が形成された電線が知られている(特許文献1参照)。
特許文献1に記載の電線によれば、芯線に電流が流れて絶縁被覆に熱が発生しても、放熱性絶縁材で形成されている絶縁被覆には熱がこもらず、外部へと発散することができる。
特開平8-235939号公報
使用前に高温の殺菌処理を行う内視鏡用ケーブルや、画面折り畳み式の薄型PCなどの放熱が困難な狭い筐体内で用いられるケーブルのように、高い耐熱性が求められるケーブルにおいては、耐熱性に優れるフッ素樹脂をシースやジャケットなどの絶縁被覆の材料に用いることが好ましい。
しかしながら、フッ素樹脂はフィラーとの濡れ性が悪く、特許文献1の電線のように放熱特性を高めるために放熱フィラーを混和させると、曲げやねじれなどの変形が生じた際に、接着されないフッ素樹脂とフィラーの界面が起点となってクラックなどが生じる場合がある。すなわち、フッ素樹脂に放熱フィラーを混和させることによって機械的ストレスに対する耐性が低下してしまう。このため、フッ素樹脂をシースなどの絶縁被覆の材料に用いる場合には、優れた放熱特性と機械的ストレスに対する優れた耐性を両立させることが困難であった。
本発明の目的は、放熱特性と機械的ストレスに対する耐性の両方において優れた絶縁被覆を備えたシールドケーブルを提供することにある。
本発明は、上記課題を解決することを目的として、少なくとも1本の電線又はケーブルと、前記少なくとも1本の電線又はケーブルの周囲に設けられた、金属材料からなる複数の素線から構成されるシールドと、前記シールドの周囲に、前記複数の素線と直接、且つ面で接触するように設けられた絶縁被覆と、を備え、前記絶縁被覆が、酸改質フッ素樹脂からなるベース樹脂と、前記ベース樹脂に含まれる、表面にNH基及びOH基の少なくともいずれか一方の官能基が存在する絶縁性の放熱フィラーとを有する、シールドケーブルを提供する。
本発明によれば、放熱特性と機械的ストレスに対する耐性の両方において優れた絶縁被覆を備えたシールドケーブルを提供することができる。
図1は、本発明のシールドケーブルの一例である内視鏡用ケーブルの径方向の断面図である。 図2は、内視鏡用ケーブルにおけるシールドとシースの接触部分の構造を模式的に示す拡大断面図である。
〔実施の形態〕
本発明の実施の形態に係るシールドケーブルは、放熱特性と機械的ストレスに対する耐性の両方において優れたシースやジャケットなどの絶縁被覆を備えたシールドケーブルである。以下、その一例として、上記絶縁被覆としてのシースを備える内視鏡用ケーブルについて説明するが、以下に説明するシースと同様の特徴を有する絶縁被覆を備えたシールドケーブルであれば、本発明の実施の形態に係るシールドケーブルに含まれる。
図1は、本発明のシールドケーブルの一例である内視鏡用ケーブル1の径方向の断面図である。極細同軸複合ケーブルである内視鏡用ケーブル1の内部には、3本の同軸ケーブル10と4本の電線11が収納されており、これら複数の同軸ケーブル10と電線11が抑え巻きテープ12で束ねられる。抑え巻きテープ12の外側は、金属材料からなる複数の素線130を螺旋巻きした横巻シールド、又は複数の素線130を編み込んだ編組シールドなどの導電性のシールド13で覆われている。そして、シールド13を覆うようにシース14が設けられている。なお、同軸ケーブル10と電線11の配置を安定させるため、これらの中心に介在15を設けてもよい。
同軸ケーブル10は、例えば、内部導体101と、内部導体101の周囲に設けられる絶縁体102と、絶縁体102の周囲に設けられる外部導体103と、外部導体103の周囲に設けられるジャケット104とを備える。
電線11は、例えば、導体111と、導体111の周囲に設けられる絶縁体112とを備える。シールド13は、例えば、直径0.05mmのすず入り銅合金からなる複数の素線130が螺旋巻きされた横巻シールドである。
シース14は、酸改質フッ素樹脂からなるベース樹脂141と、ベース樹脂141に含まれる、絶縁性の放熱フィラー142とを備えた、被覆用樹脂材料からなる。シース14は、チューブ押出又は挿入押出により形成される。シース14は、シールド13の各素線130と直接、且つ面で接触している。
図2は、シールド13とシース14の接触部分の構造を模式的に示す拡大断面図である。図2に示されるように、シース14は、隣接する素線130の間の窪んだ空間131に入り込んでいる。ここで、シース14がチューブ押出により形成される場合は、浅く空間131に入り込み、挿入押出により形成される場合は、チューブ押出により形成される場合よりも深く空間131に入り込む。シース14が空間131に入り込んだ結果、シース14は各素線130と線ではなく面で接触することになる。
ベース樹脂141を構成する酸改質フッ素樹脂は、耐熱性に優れるフッ素樹脂を酸改質した樹脂であり、例えば、酸改質されたPFA(テトラフルオロエチレン・パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体)、ETFE(テトラフルオロエチレン・エチレン共重合体)、FEP(テトラフルオロエチレン・ヘキサフルオロプロピレン共重合体(4.6フッ化))である。特に、PFAは他のフッ素樹脂と比較して、耐熱性、絶縁性、機械強度において優れるため、酸改質されたPFAをベース樹脂141として用いることが好ましい。ここで、酸改質とは、酸を樹脂に共重合させる(樹脂の分子主鎖の中に酸を重合させる)ことや、樹脂の側鎖に酸を結合させることなどをいう。
放熱フィラー142は、シース14の放熱特性を向上させるためにベース樹脂141に混和される、高い熱伝導率を有するフィラーである。シース14の機械的ストレスに対する耐性を保持しつつ放熱フィラー142によりシース14の放熱特性を効果的に向上させるためには、シース14における放熱フィラー142の濃度が2質量%以上、12質量%以下であることが好ましい。放熱フィラー142の濃度が2質量%に満たない場合は、シース14の放熱特性を効果的に向上させることが難しく、12質量%を超える場合は、繰り返し曲げ特性や繰り返しねじり特性などの機械的ストレスに対する耐性が悪化するおそれがある。
また、放熱フィラー142は、高い絶縁性が求められるシース14に含まれるものであるため、絶縁性である。放熱フィラー142の長径は機械的特性の観点から、50nm以上、1μm以下であることが好ましい。放熱フィラー142の長径が1μmを超える場合、放熱フィラー142とベース樹脂141の界面が少ないものの、一つ一つの界面が大きいため、応力集中により破壊の起点として作用し易くなる。一方、放熱フィラー142の長径が50nmに満たない場合、放熱フィラー142の粒子の凝集等により発生した粗大粒子が破壊の起点として作用するおそれがある。
放熱フィラーとしては、窒化ホウ素(BN)フィラー、窒化アルミニウム(AlN)フィラー、炭化ケイ素(SiC)フィラー、酸化亜鉛(ZnO)フィラー、アルミナ(Al)フィラーなどがあり、これらの表面にはNH基やOH基が存在する。
このため、例えば、放熱フィラー142は、窒化ホウ素フィラー、窒化アルミニウムフィラー、炭化ケイ素フィラー、酸化亜鉛フィラー、及びアルミナフィラーのうちの1つ又は2つ以上から構成される。
シース14においては、ベース樹脂141を構成する酸改質フッ素樹脂の酸に含まれるC=O基(カルボニル基)と、放熱フィラー142の表面のNH基又はOH基が反応し、ベース樹脂141と放熱フィラー142の界面の接着性を発現する。このため、内視鏡用ケーブル1に曲げやねじれなどの変形が生じてシース14に機械的ストレスが生じたときでも、クラックなどの起点となるベース樹脂141と放熱フィラー142の界面に隙間が生じることを抑制できる。すなわち、シース14は、放熱フィラー142による優れた放熱特性を有しつつ、機械的ストレスに対する優れた耐性を有する。
より具体的には、放熱フィラー142の表面のNH基は、ベース樹脂141を構成する酸改質フッ素樹脂の酸に含まれるカルボニル基と反応してアミドを形成する(アミド反応: -COOH + -NH2 = -CONH- + H2O)ことにより、ベース樹脂141と放熱フィラー142の界面の接着性を発現させる。また、放熱フィラー142の表面のOH基は、ベース樹脂141を構成する酸改質フッ素樹脂の酸に含まれるカルボニル基と反応して水素結合を形成することにより、ベース樹脂141と放熱フィラー142の界面の接着性を発現させる。
そして、NH基とカルボニル基の反応により発現する接着性の方が、OH基とカルボニル基の反応により発現する接着性よりも強い。このため、放熱フィラー142として、表面にNH基が存在する窒化物系のフィラーである窒化ホウ素フィラーと窒化アルミニウムフィラーの一方又は両方を用いることが特に好ましい。また、窒化ホウ素フィラーの方が窒化アルミニウムフィラーよりも耐湿性に優れるため、放熱フィラー142としてより好ましい。
また、シールド13は、金属材料から構成されるため、その表面には少なからずOH基が存在する。このため、シース14を押出成形する際に、シールド13の表面のOH基と、ベース樹脂141を構成する酸改質フッ素樹脂の酸に含まれるカルボニル基とが反応して水素結合を形成する。これにより、シールド13とシース14との界面の接着性が向上する。また、隣接する素線130の間の窪んだ空間131にシース14が入り込むことにより、シールド13とシース14の接触面積が増加して、シールド13とシース14の接着性がより大きくなる。シールド13とシース14とが強く接着されることにより、内視鏡用ケーブル1に曲げやねじれなどの変形が生じた際に、シールド13を構成する素線130のズレや移動による機械的ストレスが抑制され、素線130の断線やシース14の破断、素線130がシース14を突き破ることなどを抑制することができる。
なお、内視鏡用ケーブル1において、同軸ケーブル10の絶縁被覆であるジャケット104や電線11の絶縁被覆である絶縁体112も、シース14と同様に、ベース樹脂141と放熱フィラー142を備えた被覆用樹脂材料からなるものであってもよい。
(実施の形態の効果)
上記実施の形態によれば、酸改質フッ素樹脂からなるベース樹脂と、表面にNH基及びOH基の少なくともいずれか一方の官能基が存在する絶縁性の放熱フィラーとを備えた、放熱特性と機械的ストレスに対する耐性の両方において優れた被覆用樹脂材料を提供することができる。
そして、その被覆用樹脂材料をシースやジャケットなどの絶縁被覆の材料とすることにより、放熱特性と機械的ストレスに対する耐性の両方において優れた絶縁被覆を備えたシールドケーブルを提供することができる。これらのシールドケーブルは、使用前に高温の殺菌処理を行う内視鏡用ケーブルや、画面折り畳み式の薄型PCなどの放熱が困難な狭い筐体内で用いられるケーブルのような、高い放熱特性と高い機械的ストレスに対する耐性の両方を絶縁被覆が備えることが求められるシールドケーブルとして、好適に用いることができる。
本発明に係るシールドケーブルの例として、複合10芯ケーブルを形成し、絶縁被覆としてのシースの引張特性及び熱伝導特性(放熱特性)、並びにケーブルの曲げ特性を評価した。
(複合10芯ケーブルの構成)
本実施例に係る複合10芯ケーブルの内部には、2本の44AWG同軸ケーブル、2本の42AWG同軸ケーブル、及び6本の36AWG電線が収納されており、これらが撚り合わされて厚さ約0.05mmの抑え巻きテープで束ねられ、抑え巻きテープの外側が厚さ約0.05mmのシールドで覆われている。シールドは、直径0.05mmの銀メッキ銅合金線を70本螺旋巻きした横巻シールドである。そして、シールドを覆うように、厚さ約0.10mm、外径約1.5mmのシースが設けられている。
44AWG同軸ケーブルは、外径が約0.26mmであり、7本の直径約0.02mmの導体の撚線からなる内部導体と、内部導体の周囲に設けられる厚さ約0.05mmの絶縁体と、絶縁体の周囲に設けられる厚さ約0.025mmの外部導体と、外部導体の周囲に設けられる厚さ約0.03mmのジャケットとを備える。
42AWG同軸ケーブルは、外径が約0.29mmであり、7本の直径約0.025mmの導体の撚線からなる内部導体と、内部導体の周囲に設けられる厚さ約0.05mmの絶縁体と、絶縁体の周囲に設けられる厚さ約0.025mmの外部導体と、外部導体の周囲に設けられる厚さ約0.03mmのジャケットとを備える。
36AWG電線は、外径が約0.25mmであり、19本の直径約0.03mmの導体の撚線からなる内部導体と、内部導体の周囲に設けられる厚さ約0.05mmの絶縁体とを備える。
本実施例においては、シースの構成の異なる3種の複合10芯ケーブル(実施例1、比較例1、比較例2と呼ぶ)を作製し、評価を行った。実施例1、比較例1、比較例2のシース以外の構成は上記の通りで、共通している。実施例1、比較例1、比較例2のそれぞれシースの構成を以下の表1に示す。
Figure 2022118697000002
表1中の数値は、シース中の各材料の濃度(質量%)である。また、表1中の“AP-201”は、ダイキン工業株式会社製のネオフロンAP-201であり、“AP-202”は、ダイキン工業株式会社製のネオフロンAP-202であり、“EA-2000”は、AGC株式会社製のFluon+ EA-2000である。
実施例1、比較例1、比較例2のうち、酸改質フッ素樹脂をベース樹脂とし、窒化ホウ素フィラーを放熱フィラーとして有する実施例1が、上記本発明の実施の形態の被覆用樹脂材料に該当する。
(評価方法)
引張特性の評価は、完成品の複合10芯ケーブル(実施例1、比較例1、比較例2)からシース以外の構成物を除去し、シース単体での引張試験により実施した。標線間距離50mm、引張速度20mm/minの条件で試験を実施し、破断強度及び破断伸びを評価した。
シース熱伝導率の評価は、シース材料のシート形状のサンプルを作成し、ISO22007-2に準拠した熱伝導率測定により実施した。
曲げ特性の評価は、複合10芯ケーブル(実施例1、比較例1、比較例2)の一端に100gのおもりを吊るし、試験装置に設置した半径7.5mmのプーリーに沿って左右に90°以上で屈曲させる屈曲試験により実施した。この屈曲試験においては、1分間に30回の速さで屈曲させ、10,000回屈曲させる毎に外観を確認し、200,000回まで屈曲を継続実施した。
(評価結果)
実施例1、比較例1、比較例2についての、シースの引張特性及び熱伝導特性(放熱特性)、並びにケーブルの曲げ特性の評価結果を以下の表2に示す。
Figure 2022118697000003
シースの熱伝導特性については、実施例1と比較例2がほぼ同等であり、比較例1よりも優れていた。これは、放熱フィラーを実施例1と比較例2が含み、比較例1が含んでいないことによると考えられる。
シースの引張特性については、比較例2の破断強度が比較例1の破断強度よりも小さかった。これは、比較例2が放熱フィラーを含んでいるために、ベース樹脂と放熱フィラーの界面の隙間が起点となってクラックが生じたことによると考えられる。一方で、実施例1は放熱フィラーを含んでいるにもかかわらず、比較例1との破断強度の差が比較例2ほど大きくない。これは、実施例1のベース樹脂が酸改質フッ素樹脂からなるためにベース樹脂と放熱フィラーの界面の接着性が強く、界面に応力が発生し、クラックの起点となる隙間の発生が抑えられたことによると考えられる。なお、実施例1の破断伸びが、比較例1、比較例2の破断伸びよりも小さかった。これは、実施例1のベース樹脂と放熱フィラーの界面での拘束力が大きくなったことによると考えられるが、この実施例1の破断伸びの低下は実用上問題ないレベルであると考えられる。
ケーブルの曲げ特性については、シースの引張特性と同様の評価結果が得られた。これは、シースの引張特性と同様の理由によると考えられる。すなわち、比較例2のシース破断回数(シースに破断が生じたときのケーブルの屈曲回数)が比較例1のシース破断回数よりも少なかったが、これは、比較例2が放熱フィラーを含んでいるために、ベース樹脂と放熱フィラーの界面の隙間が起点となってクラックが生じたことによると考えられる。また、実施例1は放熱フィラーを含んでいるにもかかわらず、シース破断回数が比較例1と同等であった。これは、実施例1のベース樹脂が酸改質フッ素樹脂からなるためにベース樹脂と放熱フィラーの界面の接着性が強く、界面に応力が発生し、クラックの起点となる隙間の発生が抑えられたこと、並びに、実施例1のベース樹脂が酸改質フッ素樹脂からなるために、ベース樹脂とシールドの界面の接着性が強く、また、シールドを構成する素線間の窪んだ空間にシースが入り込んでシールドとシースの接着性がより向上し、シールドを構成する素線のズレや移動による機械的ストレスが抑制されたことによると考えられる。
上記のように、比較例1は引張特性及び曲げ特性に優れているものの、熱伝導特性に劣っていた。反対に、比較例2は熱伝導特性に優れているものの、引張特性及び曲げ特性に劣っていた。実施例1、比較例1、比較例2のうち、引張特性及び曲げ特性と熱伝導特性の両方において優れている、すなわち放熱特性と機械的ストレスに対する耐性の両方において優れたシースを備えていたのは実施例1のみであった。
本発明に係るシールドケーブルの例として、複合12芯ケーブルを形成し、絶縁被覆としてのシースの引張特性及び熱伝導特性(放熱特性)、並びにケーブルの曲げ特性及びねじり特性を評価した。
(複合12芯ケーブルの構成)
本実施例に係る複合12芯ケーブルの内部には、2本の44AWG同軸ケーブル、6本の40AWG同軸ケーブル、2本の36AWG電線、及び2本の32AWG電線が収納されており、これらが撚り合わされて厚さ約0.01mmの抑え巻きテープで束ねられている。抑え巻きテープの外側には厚さ約0.05mmのシールドで覆われている。シールドは、直径0.05mmの銀メッキ銅合金線を80本螺旋巻きした横巻シールドである。そして、シールドを覆うように、厚さ約0.1mm、外径約1.6mmのシースが設けられている。
44AWG同軸ケーブルは、外径が約0.25mmであり、7本の直径約0.02mmの導体の撚線からなる内部導体と、内部導体の周囲に設けられる厚さ約0.05mmの絶縁体と、絶縁体の周囲に設けられる厚さ約0.02mmの外部導体と、外部導体の周囲に設けられる厚さ約0.02mmのジャケットとを備える。
40AWG同軸ケーブルは、外径が約0.36mmであり、7本の直径約0.03mmの導体の撚線からなる内部導体と、内部導体の周囲に設けられる厚さ約0.075mmの絶縁体と、絶縁体の周囲に設けられる厚さ約0.03mmの外部導体と、外部導体の周囲に設けられる厚さ約0.03mmのジャケットとを備える。
36AWG電線は、外径が約0.23mmであり、19本の直径約0.03mmの導体の撚線からなる内部導体と、内部導体の周囲に設けられる厚さ約0.04mmの絶縁体とを備える。
32AWG電線は、外径が約0.35mmであり、19本の直径約0.05mmの導体の撚線からなる内部導体と、内部導体の周囲に設けられる厚さ約0.05mmの絶縁体とを備える。
本実施例においては、上記の複合12芯ケーブルであってシースに放熱フィラーを含むもの(実施例2と呼ぶ)とシースに放熱フィラーを含まないもの(比較例3と呼ぶ)を作成し、評価を行った。実施例2のシースは、ベース樹脂として酸改質PFA(EA-2000)を96質量%、放熱フィラーとして窒化ホウ素フィラーを4質量%含む。比較例3のシースは、PFA(ネオフロンAP-201)のみからなる。
(評価方法)
引張特性の評価は、完成品の複合12芯ケーブル(実施例2、比較例3)からシース以外の構成物を除去し、シース単体での引張試験により実施した。標線間距離50mm、引張速度20mm/minの条件で試験を実施し、破断強度及び破断伸びを評価した。
シース熱伝導率の評価は、シース材料のシート形状のサンプルを作成し、ISO22007-2に準拠した熱伝導率測定により実施した。
曲げ特性の評価は、複合12芯ケーブル(実施例2、比較例3)の一端に100gのおもりを吊るし、試験装置に設置した半径7.5mmのプーリーに沿って左右に90°以上で屈曲させる屈曲試験により実施した。この屈曲試験においては、1分間に30回の速さで屈曲させ、10,000回屈曲させる毎に外観を確認し、実施例2については200,000回まで、比較例3については150,000回まで、屈曲を継続実施した。
ねじり特性の評価は、複合12芯ケーブル(実施例2、比較例3)の一端に150gのおもりを吊るし、試験装置に設置し、200mmの長さで左右に180°以上捻回させるねじり試験により実施した。このねじり試験においては、10,000回捻回させる毎に外観を確認し、実施例2については200,000回まで、比較例3については150,000回まで、捻回を継続実施した。
(評価結果)
実施例2、比較例3についての、シースの引張特性及び熱伝導特性(放熱特性)、並びにケーブルの曲げ特性及びねじり特性の評価結果を以下の表3に示す。
Figure 2022118697000004
シースの熱伝導特性については、実施例2が比較例3よりも優れていた。これは、放熱フィラーを実施例2が含み、比較例3が含んでいないことによると考えられる。
シースの引張特性については、実施例2が放熱フィラーを含んでいるにもかかわらず、破断強度は比較例3と同等、破断伸びは比較例3に及ばないものの、その差は実用上問題ないレベルであるという結果が得られた。これは、実施例2のベース樹脂が酸改質フッ素樹脂からなるためにベース樹脂と放熱フィラーの界面の接着性が強く、界面に応力が発生し、クラックの起点となる隙間の発生が抑えられたことによると考えられる。
ケーブルの曲げ特性及びねじり特性については、実施例2が放熱フィラーを含んでいるにもかかわらず、比較例3と同等の結果が得られた。これは、実施例2のベース樹脂が酸改質フッ素樹脂からなるために、ベース樹脂と放熱フィラーの界面の接着性が強く、界面に応力が発生し、クラックの起点となる隙間の発生が抑えられたこと、並びに、実施例2のベース樹脂が酸改質フッ素樹脂からなるために、ベース樹脂とシールドの界面の接着性が強く、また、シールドを構成する素線間の窪んだ空間にシースが入り込んでシールドとシースの接着性がより向上し、シールドを構成する素線のズレや移動による機械的ストレスが抑制されたことによると考えられる。
上記のように、実施例2が引張特性、曲げ特性、及びねじり特性と熱伝導特性の両方において優れている、すなわち放熱特性と機械的ストレスに対する耐性の両方において優れたシースを備えていることが確認された。
(実施の形態のまとめ)
次に、以上説明した実施の形態から把握される技術思想について、実施の形態における符号等を援用して記載する。ただし、以下の記載における各符号等は、特許請求の範囲における構成要素を実施の形態に具体的に示した部材等に限定するものではない。
[1]少なくとも1本の電線(11)又はケーブル(10)と、前記少なくとも1本の電線(11)又はケーブル(10)の周囲に設けられた、金属材料からなる複数の素線(130)から構成されるシールド(13)と、前記シールド(13)の周囲に、前記複数の素線(130)と直接、且つ面で接触するように設けられた絶縁被覆(14)と、を備え、前記絶縁被覆(14)が、酸改質フッ素樹脂からなるベース樹脂(141)と、前記ベース樹脂(141)に含まれる、表面にNH基及びOH基の少なくともいずれか一方の官能基が存在する絶縁性の放熱フィラー(142)とを有する、シールドケーブル(1)。
[2]前記放熱フィラー(142)が、窒化ホウ素フィラー、窒化アルミニウムフィラー、炭化ケイ素フィラー、酸化亜鉛フィラー、及びアルミナフィラーのうちの1つ又は2つ以上から構成される、上記[1]に記載のシールドケーブル(1)。
[3]前記放熱フィラー(142)が、窒化ホウ素フィラーと窒化アルミニウムフィラーの一方又は両方から構成される、上記[2]に記載のシールドケーブル(1)。
[4]前記酸改質フッ素樹脂が、酸改質されたPFA、ETFE、又はFEPである、上記[1]~[3]のいずれか1項に記載のシールドケーブル(1)。
[5]前記酸改質フッ素樹脂が酸改質されたPFAであり、前記放熱フィラー(142)が窒化ホウ素フィラーである、上記[1]に記載のシールドケーブル(1)。
[6]前記絶縁被覆(14)における前記放熱フィラー(142)の濃度が、2質量%以上、12質量%以下である、上記[1]~[5]のいずれか1項に記載のシールドケーブル(1)。
[7]前記放熱フィラー(142)の長径が、50nm以上、1μm以下である、上記[1]~[6]のいずれか1項に記載のシールドケーブル(1)。
[8]前記絶縁被覆(14)は、隣接する前記素線(130)の間の窪んだ空間(131)に入り込んでいる、上記[1]~[7]のいずれか1項に記載のシールドケーブル(1)。
[9]前記電線(11)及び/又は前記ケーブル(10)を合計で2本以上含む、上記[1]~[8]のいずれか1項に記載のシールドケーブル(1)。
以上、本発明の実施の形態及び実施例を説明したが、本発明は、上記実施の形態及び実施例に限定されず、発明の主旨を逸脱しない範囲内において種々変形実施が可能である。また、上記に記載した実施の形態及び実施例は特許請求の範囲に係る発明を限定するものではない。また、実施の形態及び実施例の中で説明した特徴の組合せの全てが発明の課題を解決するための手段に必須であるとは限らない点に留意すべきである。
1 内視鏡用ケーブル
10 同軸ケーブル
11 電線
12 抑え巻きテープ
13 シールド
130 素線
14 シース
15 介在

Claims (9)

  1. 少なくとも1本の電線又はケーブルと、
    前記少なくとも1本の電線又はケーブルの周囲に設けられた、金属材料からなる複数の素線から構成されるシールドと、
    前記シールドの周囲に、前記複数の素線と直接、且つ面で接触するように設けられた絶縁被覆と、
    を備え、
    前記絶縁被覆が、酸改質フッ素樹脂からなるベース樹脂と、前記ベース樹脂に含まれる、表面にNH基及びOH基の少なくともいずれか一方の官能基が存在する絶縁性の放熱フィラーとを有する、
    シールドケーブル。
  2. 前記放熱フィラーが、窒化ホウ素フィラー、窒化アルミニウムフィラー、炭化ケイ素フィラー、酸化亜鉛フィラー、及びアルミナフィラーのうちの1つ又は2つ以上から構成される、
    請求項1に記載のシールドケーブル。
  3. 前記放熱フィラーが、窒化ホウ素フィラーと窒化アルミニウムフィラーの一方又は両方から構成される、
    請求項2に記載のシールドケーブル。
  4. 前記酸改質フッ素樹脂が、酸改質されたPFA、ETFE、又はFEPである、
    請求項1~3のいずれか1項に記載のシールドケーブル。
  5. 前記酸改質フッ素樹脂が酸改質されたPFAであり、
    前記放熱フィラーが窒化ホウ素フィラーである、
    請求項1に記載のシールドケーブル。
  6. 前記絶縁被覆における前記放熱フィラーの濃度が、2質量%以上、12質量%以下である、
    請求項1~5のいずれか1項に記載のシールドケーブル。
  7. 前記放熱フィラーの長径が、50nm以上、1μm以下である、
    請求項1~6のいずれか1項に記載のシールドケーブル。
  8. 前記絶縁被覆は、隣接する前記素線の間の窪んだ空間に入り込んでいる、
    請求項1~7のいずれか1項に記載のシールドケーブル。
  9. 前記電線及び/又は前記ケーブルを合計で2本以上含む、
    請求項1~8のいずれか1項に記載のシールドケーブル。
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