JP2022117848A - 被処理物の熱処理方法 - Google Patents

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Shinichi Nakamura
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Abstract

【課題】より簡易な手段で対処することができる被処理物の熱処理方法を提供しようとするもの。【解決手段】400~1,000℃で溶融する易融物質の加熱貯留槽の下方から被処理物を供給するようにした。400~1,000℃で溶融する易融物質の加熱貯留槽の下方から被処理物を供給するようにしたので、加熱貯留槽の下方に供給した被処理物が上方に向けて浮上する間に熱の作用を受けて炭化することができると共に、400~1,000℃で溶融する易融物質の加熱貯留槽に被処理物を供給することにより、焼却処理、発酵処理、埋立て投棄処理などのような大掛かりな処理とはならない。【選択図】なし

Description

この発明は、生ごみその他の被処理物の熱処理方法に関するものである。
従来より、会社、工場、ホテル、旅館、飲食店、一般家庭等から排出された生ごみその他の廃棄物を、公害が生ずることなく、無害、無臭で炭化処理するための装置に関する提案があった(特許文献1)。
すなわち、会社、工場、ホテル、旅館、飲食店、一般家庭等から排出された生ごみその他の廃棄物の量は極めて多量であり、これらの廃棄物を公害が生ずることなく、無害、無臭で処理することが大きな社会問題になっている。
廃棄物の処理は、一般に、焼却処理、発酵処理、埋立て投棄処理等によって行われている。このような従来の廃棄物処理手段特に焼却処理の場合に、次のような問題が生ずる。即ち、廃棄物の焼却処理時に、排ガス中に存在するダストおよび有害物質が飛散するため、公害を引き起こさずに無煙、無臭で処理することができず、また、処理に際し廃棄物を分別しなければならず、これらの処理のために多額の設備費を要し、処理コストが高騰する上、処理作業が複雑になること等である、というものである。
このような状況に対し、より簡易な手段で対処できる被処理物の熱処理方法を得たいという要望があった。
特開平11-51339
そこでこの発明は、より簡易な手段で対処することができる被処理物の熱処理方法を提供しようとするものである。
前記課題を解決するためこの発明では次のような技術的手段を講じている。
(1)この発明の被処理物の熱処理方法は、400~1,000℃で溶融する易融物質の加熱貯留槽の下方から被処理物を供給するようにしたことを特徴とする。
この被処理物の熱処理方法によると、400~1,000℃で溶融する易融物質の加熱貯留槽の下方から被処理物を供給するようにしたので、加熱貯留槽の下方に供給した被処理物が上方に向けて浮上する間に熱の作用を受けて炭化することができると共に、400~1,000℃で溶融する易融物質の加熱貯留槽に被処理物を供給することにより、焼却処理、発酵処理、埋立て投棄処理などのような大掛かりな処理とはならない。
前記被処理物として、家庭、企業、業務用などの炊事場のシンクの角の三角コーナーの生ごみ、病院や介護施設の使用済みのおしめ、脱脂綿、スポンジ、タオル(感染性廃棄物・菌類に汚染されたものを含む)、廃プラスチックス類、工場で油にまみれたウエス、これらの粉砕物、これらの真空パック物(一時的に悪臭を遮断)などを例示することが出来る。被処理物を巻いたり、ローラーで押圧して押し潰して減容化しておいてもよい。被処理物の水分は、できるだけ除去しておくことが望ましい。
前記易融物質として、食塩(NaCl)や低融点合金などを例示することが出来る。加熱貯留槽の温度が400℃以上であると、被処理物を加熱溶融した易融物質中でほぼ炭化物とすることが出来る。なお加熱貯留槽の槽内温度が850~1,000℃であると、元々の被処理物に仮にダイオキシン類が含有されていたとしても熱分解により無害化できることとなる。
易融物質の加熱貯留槽の下方から被処理物を供給する態様として、加熱貯留槽の底部(底面)やその近傍の側面から槽内へと圧入することを例示することが出来る。槽内に圧入する態様として、被処理物をホッパーなどから受け入れてスパイラル・コンベアなどにより機械的に押圧して押し込むことを例示することが出来る。
加熱貯留槽の形状として、鉛直方向(縦方向)に長い(深い)ものを例示することが出来る。このようにすると、加熱貯留槽の下方に供給した被処理物が上方に向けて浮上する間に熱の作用を長めに受けることが出来る。そして、加熱貯留槽の表面に到達した時点で炭化物に変質・変容していることとなる。すると、被処理物を大きく減容化することが出来る。
加熱貯留槽の加熱手段として、電気ヒーターや、(LNG、LPG)ガス・バーナーを例示することが出来る。加熱貯留槽内の易融物質は、加熱により槽内で対流・変位することとなる。槽内には、被処理物の浮上を抑制して表面への浮き上がり時間を遅延させるための邪魔板を設けてもよい。
(2)前記加熱貯留槽の揮散領域を(真空ポンプで)真空吸引するようにしてもよい。こうすると、加熱貯留槽の揮散領域が減圧されることとなり、加熱貯留槽中の被処理物の含水分等の揮発を促進することが出来る。
(3)前記加熱貯留槽の揮散領域に不活性ガスを注入するようにしてもよい。こうすると、加熱貯留槽内の易融物質の温度が設定温度範囲中での高温であっても、被処理物の分解ガスに対する酸素による悪影響(万が一の自然発火等)を低減することが出来る。前記不活性ガスとして、窒素ガスを例示することが出来る。
(4)前記加熱貯留槽の揮散ガスを電解スクラバー槽に注入するようにしてもよい。こうすると、加熱貯留槽からの揮散ガスが電解スクラバー槽内に移行して、揮散ガス中の成分(有機物等の熱分解生成物など)がスクラバー槽中の電解水(例えば電解HClO含有水)により酸化分解されて浄化されることとなる。
この発明は上述のような構成であり、次の効果を有する。
焼却処理、発酵処理、埋立て投棄処理などのような大掛かりな処理とはならないので、より簡易な手段で対処することができる被処理物の熱処理方法を提供することが出来る。
以下、この発明の実施の形態を説明する。
〔実施形態1〕
この実施形態の被処理物の熱処理方法では、400~1,000℃で溶融する易融物質の加熱貯留槽の下方から被処理物を供給するようにした。前記易融物質として、食塩(NaCl)を用いた(融点800℃、沸点1,413℃)。加熱貯留槽の槽内温度は、400℃~1,000℃強の範囲で設定した。
加熱貯留槽(食塩の融点800℃に対し900℃に温度設定)の加熱手段として、その外周を電気ヒーターで囲繞するようにした。加熱貯留槽の温度を400℃以上にすると、被処理物を加熱溶融した易融物質(食塩)中でほぼ炭化物とすることが出来た。
加熱貯留槽を高温に設定するほど、残渣となる炭化物が少なくなる傾向があった。加熱貯留槽の槽内温度を850~1,000℃に設定すると、元々の被処理物にダイオキシン類が含有されていたとしても熱分解して無害化できる。
前記被処理物として、炊事場のシンクの角の三角コーナーの生ごみ、使用済みのおしめ、脱脂綿、スポンジ、タオル、廃プラスチックス類、工場で油にまみれたウエス、これらの粉砕物、これらの真空パック物(一時的に悪臭を遮断)を処理した。嵩の大きな被処理物は巻いたり、ローラーで押圧して押し潰して減容化しておいた。被処理物の水分は、できるだけ除去しておくようにした。
易融物質の加熱貯留槽の下方から被処理物を供給するために、加熱貯留槽の底部(底面)の近傍の側面から槽内へと圧入するようにした。具体的には、被処理物を槽内に圧入するため、ホッパーから受け入れてスパイラル・コンベア(モータによりスパイラル羽根を回転駆動する)により機械的に押圧して押し込むようにした。
加熱貯留槽の形状として、鉛直方向(縦方向)に長い(深い)ものとした。これにより、加熱貯留槽の下方に供給した被処理物が上方に向けて浮上する間に熱の作用を長めに受けるようにすることが出来た。そして、加熱貯留槽の表面に到達した時点で炭化物に変質・変容していた。よって、被処理物を大きく減容化することが出来た。
加熱貯留槽内の易融物質(溶融した食塩)は、加熱により槽内で対流・変位した。槽内には、被処理物の浮上を抑制して表面への浮き上がり時間を遅延させるための邪魔板を設けた。
また、前記加熱貯留槽の揮散ガスは、電解機構を付設した電解スクラバー槽に注入するようにした。電解スクラバー槽内と前記電解機構との間で、電解水を循環させるようにしている。したがって、加熱貯留槽からの揮散ガスが電解スクラバー槽内に移行して、揮散ガス中の成分(有機物等の熱分解生成物など)がスクラバー槽中の電解水(電解HClO含有水)により酸化分解されて浄化された。
次に、この実施形態の被処理物の熱処理方法の使用状態を説明する。
この被処理物の熱処理方法によると、400~1,000℃の範囲内の800℃で溶融する易融物質(食塩)の加熱貯留槽(900℃に設定)の下方から被処理物を供給するようにしたので、加熱貯留槽の下方に供給した被処理物が上方に向けて浮上する間に熱の作用を受けて炭化することが出来た。
また、400~1,000℃の範囲内の800℃で溶融する易融物質の加熱貯留槽に被処理物を供給するようにしたので、焼却処理、発酵処理、埋立て投棄処理などのような大掛かりな処理とはならず、より簡易な手段で対処することが出来た。
〔実施形態2〕
次に、実施形態2を上記実施形態との相違点を中心に説明する。
この実施形態では、前記加熱貯留槽(実施形態1と同様に食塩を用い900℃に温度設定)の揮散領域に不活性ガスを注入するようにした。前記不活性ガスとして窒素ガスを用いた。
これにより、加熱貯留槽内の易融物質の温度が高温(900℃)であっても、被処理物の分解ガスに対する酸素による悪影響(自然発火等)を回避することが出来た。
〔実施形態3〕
次に、実施形態3を上記実施形態との相違点を中心に説明する。
この実施形態では、前記加熱貯留槽(実施形態1と同様に食塩を用い900℃に温度設定)の揮散領域を真空ポンプで真空吸引するようにした。これにより、加熱貯留槽の揮散領域が減圧されることとなって、加熱貯留槽中の被処理物の含水分等の揮発を促進することが出来た。吸引度は状況に応じて調整した。
〔適用事例〕
400~1,000℃で溶融する易融物質の加熱貯留槽の下方から被処理物を供給する技術について、この被処理物の熱処理方法の適用事例を説明する。
被処理物として、腐りやすい生ものの残飯などの臭気物に対する臭い対策において利点がある。例えば、ファーストフード店やレストラン、空港その他の厨房に設置することが出来る。
病院で排出される止血帯、汚染ガーゼ、包帯その他の血液が付着した感染性廃棄物、手術での医療廃棄物、介護施設、老健施設などの使用済みおしめや廃棄タオルその他に対する簡易で衛生的な処理設備として利点がある。
処理後の炭化物について、燃料としてや活性炭としての用途として再利用することが出来る。ことに900℃などの温度帯で処理した場合は、それ以上 賦活処理することなく活性炭として使用することが出来る。この被処理物由来の活性炭は、排水処理における汚れ物質(有機成分等)の吸着除去に利用することが出来る。
より簡易な手段で対処することができることによって、種々の被処理物の熱処理方法の用途に適用することができる。

Claims (4)

  1. 400~1,000℃で溶融する易融物質の加熱貯留槽の下方から被処理物を供給するようにしたことを特徴とする被処理物の熱処理方法。
  2. 前記加熱貯留槽の揮散領域を真空吸着するようにした請求項1記載の被処理物の熱処理方法。
  3. 前記加熱貯留槽の揮散領域に不活性ガスを注入するようにした請求項1記載の被処理物の熱処理方法。
  4. 前記加熱貯留槽の揮散ガスを電解スクラバー槽に注入するようにした請求項1乃至3のいずれかに記載の被処理物の熱処理方法。
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