JP2022117719A - スパッタリング装置、スパッタリング方法 - Google Patents

スパッタリング装置、スパッタリング方法 Download PDF

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弘敏 阪上
Hirotoshi Sakaue
哲宏 大野
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Abstract

【課題】ガラス基板ターゲットに対してマグネットを走査させるスパッタリングにおいて、膜厚分布や膜質分布にムラが発生することを低減する。【解決手段】揺動時におけるガラス基板11に対するマグネット25の揺動位置に対応して、マグネットによって形成される垂直磁場成分がゼロとなるB垂直ゼロ位置B⊥0を変動させる。【選択図】図3

Description

本発明はスパッタリング装置に関し、特に、マグネトロンカソードを有する成膜に用いて好適な技術に関する。
マグネトロンカソードを有する成膜装置においては、ターゲットの利用効率を向上することなどを目的として、マグネットをターゲットに対して移動させる方式が知られている。
また、特許文献1に開示の技術のように、成膜の均一性向上等の目的のために、マグネットの移動に加え、カソードおよびターゲットを被成膜基板に対して揺動させることも知られている。
また、特許文献2に開示の技術のように、発生したパーティクルがスパッタ処理室内における成膜に悪影響を及ぼすことを防止する目的などで、マグネットおよびカソードを揺動させることが知られている。
さらに、マグネットおよびカソードに対して被成膜基板を揺動させる技術として、本出願人らは特許文献3のような技術を公開している。
特開2009-41115号公報 特開2012-158835号公報 特許第6579726号公報
しかし、上記のようにターゲットに対してマグネットを走査(揺動)させる技術では、膜厚分布や膜質分布にムラができてしまうことが、依然として解消されていないという問題があった。
特に、マルチマグネットのスパッタリング装置では、マグネットの揺動により、成膜特性が変動する場合がある。ここで、マグネットの揺動端ではプラズマの挙動が大きく変化して、膜厚、シート抵抗などの成膜特性分布の調整が困難になる場合がある。さらに、マグネットが揺動する場合には、成膜特性の経時変化が大きく、頻繁なマグネットの調整やメンテナンスが必要であった。
また、マグネットを揺動させるマグネトロンスパッタリング装置(揺動型マグネトロンスパッタリング装置)では、マグネトロンカソード電極のセッティングの際に、磁石構成体の揺動幅の微妙な設定や微調整が必要であるが、近年の装置の大型化に伴って、このような設定・調整に困難を生ずる場合がある。
マグネットの揺動における設定・調整が不完全な場合には、ターゲット表面において垂直磁界成分が0になる位置がシフトしたり、プラズマの広がり具合がずれたりするという問題が発生する。この問題は、マグネットが揺動幅の端に位置したときに顕著である。
また、マグネットの揺動における設定・調整が不完全であると、この揺動幅が設定値からずれてしまい、マグネットが揺動幅の端に位置したときに、主にバッキングプレートをスパッタリングすることになってしまう。
このため、ターゲットのみならず、ターゲットの周囲までスパッタしてしまう場合があり、成膜した膜にバッキングプレート等から微量の不純物が混入して膜組成が所望の範囲にならず、膜質の劣化を生じるおそれがある。
また、ターゲットサイズも大きくして余裕を持たせるという改善策も考えられるが、ターゲットの使用効率の低下を招くことや、装置サイズをさらに大きくしなければならないことが懸念される。
さらに、このような不具合を防止しようとしてターゲットに対するプラズマの発生領域を小さくした場合、あるいは、マグネットの揺動幅を小さくした場合には、成膜された膜組成が所望の範囲にならないなどの不具合が発生する場合もあった。
また、これらのような問題を解決するに際して、おなじ動作・作用が可能な部品としては、処理チャンバ内において、なるべくシンプルな構成にしたいという要求があった。したがって、マグネット等の駆動系における改善よりも、プラズマ発生状態を改善したいという要求があった。
本発明は、上記の事情に鑑みてなされたもので、以下の目的を達成しようとするものである。
1.簡単な構成でプラズマの挙動の安定化を図ること。
2.マグネットの揺動に影響されずにプラズマの挙動の安定化を図ること。
3.プラズマ発生状態の調整容易化を実現すること。
4.成膜特性の調整容易化を実現すること。
5.成膜特性の均一化を実現すること。
上述したように、マグネットの揺動端においてプラズマの挙動が大きく変化して、膜厚、シート抵抗などの成膜特性分布の調整が困難になるという問題があった。本発明者らは、この現象がマグネットとグランドとの距離変動に起因すること、特に、マグネットとグランドとの距離が短くなった際に発生することを見出し、その問題を以下のように解決した。
本発明のスパッタリング装置は、
被成膜基板の形成領域に向けてスパッタ粒子を放出するカソードユニットが、
エロージョン領域が形成されるターゲットと、
前記ターゲットに対して前記被成膜基板とは反対側に配置されて前記ターゲットに前記エロージョン領域を形成するマグネットと、
前記マグネットと前記被成膜基板とを相対的に基板表面に沿った一方向となる揺動方向(走査方向)に往復動作可能なマグネット走査部と、
前記マグネットと前記マグネット走査部とに接続されて磁場形成および往復動作を制御する制御部と、
を有するスパッタリング装置であって、
前記制御部が、
揺動時における前記ターゲットに対する前記マグネットの揺動位置に対応して、
前記マグネットによって形成される垂直磁場成分がゼロとなるB垂直ゼロ位置を変動させる
ことにより上記課題を解決した。
本発明のスパッタリング装置は、
揺動時での前記ターゲットに対する前記マグネットの任意の揺動位置において、前記マグネットによって形成される前記B垂直ゼロ位置を変更する
ことができる。
本発明のスパッタリング装置において、
揺動時での前記ターゲットに対する前記マグネットの任意の揺動位置において、前記マグネットによって形成される前記B垂直ゼロ位置と、前記ターゲット表面に沿った方向の表面方向磁場強度と、を独立して変更する
ことが好ましい。
本発明のスパッタリング装置は、
形成される前記B垂直ゼロ位置を変更する前記マグネットが、電磁石とされる
ことができる。
本発明のスパッタリング装置は、
前記マグネットの揺動位置が前記ターゲットに対する揺動幅の端部となる位置において、
前記マグネットによって形成される前記B垂直ゼロ位置を変更する
ことができる。
本発明のスパッタリング装置は、
前記B垂直ゼロ位置を変動させる前記マグネットが、前記揺動方向と直交する前記基板表面に沿った方向端部に位置する
ことができる。
本発明のスパッタリング装置は、
前記揺動方向の両端に近接する位置に切り替えポイントが設定され、
前記マグネットの前記揺動方向端部が前記切り替えポイントを通過した際に、前記マグネットによって形成される前記B垂直ゼロ位置を変更する
ことができる。
本発明のスパッタリング装置は、
前記マグネットの前記揺動方向端部が前記切り替えポイントを通過した際に、
前記揺動方向の両端側となる前記マグネットにおいて、前記被成膜基板から前記マグネットを見た前記B垂直ゼロ位置によって形成される領域を増大させる
ことができる。
本発明のスパッタリング装置は、
前記B垂直ゼロ位置を変動させる前記マグネットに正の電流を印可して、前記被成膜基板から前記マグネットを見た前記B垂直ゼロ位置によって形成される領域を増大させる
ことができる。
本発明のスパッタリング装置は、
前記マグネットの前記揺動方向端部が前記切り替えポイントを通過した際に、
前記揺動方向の中央側となる前記マグネットにおいて、前記被成膜基板から前記マグネットを見た前記B垂直ゼロ位置によって形成される領域を縮小させる
ことができる。
本発明のスパッタリング装置は、
前記B垂直ゼロ位置を変動させる前記マグネットに負の電流を印可して、前記被成膜基板から前記マグネットを見た前記B垂直ゼロ位置によって形成される領域を縮小させる
ことができる。
本発明のスパッタリング装置は、
前記カソードユニットが、
前記マグネットが表面に中央領域を有する平板状のヨークに配置されて、
前記ヨークの前記中央領域に直線状に配置された中央磁石部と、前記中央磁石部を囲むように周設された周縁磁石部と、を有し、前記中央磁石部および前記周縁磁石部が互いに平行である平行領域を有し、
前記ヨークの前記表面に設けられた磁気回路と、
前記磁気回路に重ねて配置されたバッキングプレートと、
を含み、
前記B垂直ゼロ位置を変動させる前記マグネットが前記揺動方向に複数本並んで配置される
ことができる。
本発明のスパッタリング方法は、
被成膜基板の形成領域に向けてスパッタ粒子を放出可能なターゲットを有するカソードユニットが、前記ターゲットにエロージョン領域を形成するマグネットを有し、
前記マグネットが、マグネット走査部によって基板表面に沿った一方向となる揺動方向(走査方向)に前記被成膜基板に対して相対的に往復動作されるスパッタリング方法であって、
揺動時における前記ターゲットに対する前記マグネットの揺動位置に対応して、
前記マグネットによって形成される垂直磁場成分がゼロとなるB垂直ゼロ位置を変動させる
ことにより上記課題を解決した。
本発明のスパッタリング方法は、
揺動時での前記ターゲットに対する前記マグネットの任意の揺動位置において、前記マグネットによって形成される前記B垂直ゼロ位置を変更する
ことができる。
本発明のスパッタリング方法は、
揺動時での前記ターゲットに対する前記マグネットの任意の揺動位置において、前記マグネットによって形成される前記B垂直ゼロ位置と、前記ターゲット表面に沿った方向の表面方向磁場強度と、を独立して変更する
ことができる。
本発明のスパッタリング方法は、
電磁石とされる前記マグネットに正負の電流を印可して、形成される前記B垂直ゼロ位置を変更する
ことができる。
本発明のスパッタリング方法は、
前記マグネットの揺動位置が前記ターゲットに対する揺動幅の端部となる位置において、
前記マグネットによって形成される前記B垂直ゼロ位置を変更する
ことができる。
本発明のスパッタリング方法は、
前記揺動方向と直交する前記基板表面に沿った方向端部に位置する前記マグネットに印可する電流を変化して前記B垂直ゼロ位置を変動させる
ことができる。
本発明のスパッタリング方法は、
前記揺動方向の両端に近接する位置に切り替えポイントが設定され、
前記マグネットの前記揺動方向端部が前記切り替えポイントを通過した際に、前記マグネットによって形成される前記B垂直ゼロ位置を変更する
ことができる。
本発明のスパッタリング方法は、
前記マグネットの前記揺動方向端部が前記切り替えポイントを通過した際に、
前記揺動方向の両端側となる前記マグネットにおいて、前記被成膜基板から前記マグネットを見た前記B垂直ゼロ位置によって形成される領域を増大させる
ことができる。
本発明のスパッタリング方法は、
前記B垂直ゼロ位置を変動させる前記マグネットに正の電流を印可して、前記被成膜基板から前記マグネットを見た前記B垂直ゼロ位置によって形成される領域を増大させる
ことができる。
本発明のスパッタリング方法は、
前記マグネットの前記揺動方向端部が前記切り替えポイントを通過した際に、
前記揺動方向の中央側となる前記マグネットにおいて、前記被成膜基板から前記マグネットを見た前記B垂直ゼロ位置によって形成される領域を縮小させる
ことができる。
本発明のスパッタリング方法は、
前記B垂直ゼロ位置を変動させる前記マグネットに負の電流を印可して、前記被成膜基板から前記マグネットを見た前記B垂直ゼロ位置によって形成される領域を縮小させる
ことができる。
本発明のスパッタリング方法は、
前記揺動方向に複数本並んで配置された前記マグネットにおいて前記B垂直ゼロ位置を変動させる
ことができる。
本発明のスパッタリング装置は、
被成膜基板の形成領域に向けてスパッタ粒子を放出するカソードユニットが、
エロージョン領域が形成されるターゲットと、
前記ターゲットに対して前記被成膜基板とは反対側に配置されて前記ターゲットに前記エロージョン領域を形成するマグネットと、
前記マグネットと前記被成膜基板とを相対的に基板表面に沿った一方向となる揺動方向(走査方向)に往復動作可能なマグネット走査部と、
前記マグネットと前記マグネット走査部とに接続されて磁場形成および往復動作を制御する制御部と、
を有するスパッタリング装置であって、
前記制御部が、
揺動時における前記ターゲットに対する前記マグネットの揺動位置に対応して、
前記マグネットによって形成される垂直磁場成分がゼロとなるB垂直ゼロ位置を変動させる。
これにより、マグネットで形成される磁場によってプラズマ形成領域を制御することが可能となる。この際、プラズマによって影響される膜特性のうち、膜厚や組成比によるシート抵抗値の分布調整を容易におこなうことができる。しかも、ターゲット表面に沿った方向の表面方向磁場強度には大きな影響を与えることなくB垂直ゼロ位置を変動させることができるため、調整の自由度を向上することが可能となる。
本発明のスパッタリング装置は、
揺動時での前記ターゲットに対する前記マグネットの任意の揺動位置において、前記マグネットによって形成される前記B垂直ゼロ位置を変更する。
これにより、揺動に従って、マグネットとグランドとの距離が変化することに伴って、発生させるプラズマの状態が変動することを抑制すること、あるいは、発生させるプラズマの状態を揺動位置に対応させて制御することが可能となる。したがって、プラズマの変動に起因する膜厚や組成比によるシート抵抗値の分布調整を容易におこなうことができる。しかも、ターゲット表面に沿った方向の表面方向磁場強度には大きな影響を与えることなくB垂直ゼロ位置を変動させることができるため、調整の自由度を向上することが可能となる。
本発明のスパッタリング装置において、
揺動時での前記ターゲットに対する前記マグネットの任意の揺動位置において、前記マグネットによって形成される前記B垂直ゼロ位置と、前記ターゲット表面に沿った方向の表面方向磁場強度と、を独立して変更する。
B垂直ゼロ位置と表面方向磁場強度とを個別に調整することで、B垂直ゼロ位置によって初期の分布調整をおこない、表面方向磁場強度によって経時変化に対応した調整をおこなうことが容易になる。
さらに、B垂直ゼロ位置と表面方向磁場強度とを個別に調整することで、ターゲット材料の使用効率の向上や、エロージョンのない部分(Non-Erosion部)の低減を容易にすることができる。
本発明のスパッタリング装置は、
形成される前記B垂直ゼロ位置を変更する前記マグネットが、電磁石とされる。
これにより、マグネットが揺動している最中に、プラズマを発生させる磁場を調整することが可能となる。したがって、いわゆる、アクティブコントロール、つまり、揺動位置に対応した積極的な磁場調整を容易におこなうことが可能となる。
本発明のスパッタリング装置は、
前記マグネットの揺動位置が前記ターゲットに対する揺動幅の端部となる位置において、
前記マグネットによって形成される前記B垂直ゼロ位置を変更する。
これにより、膜厚や組成比によるシート抵抗値の変動しやすい揺動幅の端部位置においてプラズマの発生状態を調整可能として、膜厚や組成比によるシート抵抗値の調整を容易に行うことが可能となる。
本発明のスパッタリング装置は、
前記B垂直ゼロ位置を変動させる前記マグネットが、前記揺動方向と直交する前記基板表面に沿った方向端部に位置する。
これにより、ターゲットに対して作用するプラズマを発生させる際に、プラズマ状態を優位に調整させることができる。具体的には、端部のマグネットによってB垂直ゼロ位置を変動させることで、被処理基板に対向するマグネットの輪郭に対応するプラズマの発生する領域を広げたり狭めたりして調整することが可能となる。
本発明のスパッタリング装置は、
前記揺動方向の両端に近接する位置に切り替えポイントが設定され、
前記マグネットの前記揺動方向端部が前記切り替えポイントを通過した際に、前記マグネットによって形成される前記B垂直ゼロ位置を変更する。
これにより、膜厚や組成比によるシート抵抗値の変動しやすい揺動幅の端部位置においてプラズマの発生状態を調整可能として、膜厚や組成比によるシート抵抗値の調整を容易におこなって、基板表面に沿った位置における膜厚分布やシート抵抗のばらつきを調整することが可能となる。
本発明のスパッタリング装置は、
前記マグネットの前記揺動方向端部が前記切り替えポイントを通過した際に、
前記揺動方向の両端側となる前記マグネットにおいて、前記被成膜基板から前記マグネットを見た前記B垂直ゼロ位置によって形成される領域を増大させる。
これにより、揺動幅の端部位置においてマグネットとグランドとの距離が縮小することに伴って、発生させるプラズマの状態を揺動位置に対応させて制御することが可能となる。具体的には、揺動方向において、揺動方向における中央位置に比べて揺動方向の両端位置でのB垂直ゼロ位置によって形成される領域を増大させる制御をおこなう。したがって、膜厚や組成比によるシート抵抗値の変動しやすい揺動幅の端部位置においてプラズマの発生状態を調整可能として、膜厚や組成比によるシート抵抗値の調整を容易におこなって、基板表面に沿った位置における膜厚分布やシート抵抗のばらつきを調整することが可能となる。
本発明のスパッタリング装置は、
前記B垂直ゼロ位置を変動させる前記マグネットに正の電流を印可して、前記被成膜基板から前記マグネットを見た前記B垂直ゼロ位置によって形成される領域を増大させる。
これにより、揺動方向の両端側となる前記マグネットにおいて、前記被成膜基板からマグネットを見た前記B垂直ゼロ位置によって形成される領域を増大させることができる。
本発明のスパッタリング装置は、
前記マグネットの前記揺動方向端部が前記切り替えポイントを通過した際に、
前記揺動方向の中央側となる前記マグネットにおいて、前記被成膜基板から前記マグネットを見た前記B垂直ゼロ位置によって形成される領域を縮小させる。
これにより、揺動幅の端部位置においてマグネットとグランドとの距離が縮小することに対応して、揺動幅の中央位置で発生させるプラズマの状態を揺動位置に対応させて制御することが可能となる。具体的には、揺動方向において、揺動方向の両端位置に比べて揺動方向の中央位置でのB垂直ゼロ位置によって形成される領域を縮小させる制御をおこなう。したがって、膜厚や組成比によるシート抵抗値の変動しやすい揺動幅の端部位置に対応して、中央位置におけるプラズマの発生状態を調整可能として、膜厚や組成比によるシート抵抗値の調整を容易におこなって、基板表面に沿った位置における膜厚分布やシート抵抗のばらつきを調整することが可能となる。
本発明のスパッタリング装置は、
前記B垂直ゼロ位置を変動させる前記マグネットに負の電流を印可して、前記被成膜基板から前記マグネットを見た前記B垂直ゼロ位置によって形成される領域を縮小させる。
これにより、揺動方向の両端位置における磁場の変動に対応して、揺動方向における中央位置となる前記マグネットにおいて、前記被成膜基板からマグネットを見た前記B垂直ゼロ位置によって形成される領域を縮小させることができる。
本発明のスパッタリング装置は、
前記カソードユニットが、
前記マグネットが表面に中央領域を有する平板状のヨークに配置されて、
前記ヨークの前記中央領域に直線状に配置された中央磁石部と、前記中央磁石部を囲むように周設された周縁磁石部と、を有し、前記中央磁石部および前記周縁磁石部が互いに平行である平行領域を有し、
前記ヨークの前記表面に設けられた磁気回路と、
前記磁気回路に重ねて配置されたバッキングプレートと、
を含み、
前記B垂直ゼロ位置を変動させる前記マグネットが前記揺動方向に複数本並んで配置される
ことができる。
ここで、形成される前記B垂直ゼロ位置を変更する前記マグネットとして、中央磁石部が電磁石とされ、周辺磁石部が永久磁石とされることができる。
本発明のスパッタリング方法は、
被成膜基板の形成領域に向けてスパッタ粒子を放出可能なターゲットを有するカソードユニットが、前記ターゲットにエロージョン領域を形成するマグネットを有し、
前記マグネットが、マグネット走査部によって基板表面に沿った一方向となる揺動方向(走査方向)に前記被成膜基板に対して相対的に往復動作されるスパッタリング方法であって、
揺動時における前記ターゲットに対する前記マグネットの揺動位置に対応して、
前記マグネットによって形成される垂直磁場成分がゼロとなるB垂直ゼロ位置を変動させる。
これにより、マグネットで形成される磁場によってプラズマ形成領域を制御することが可能となる。この際、プラズマによって影響される膜特性のうち、膜厚や組成比によるシート抵抗値の分布調整を容易におこなうことができる。しかも、ターゲット表面に沿った方向の表面方向磁場強度には大きな影響を与えることなくB垂直ゼロ位置を変動させることができるため、調整の自由度を向上することが可能となる。
本発明のスパッタリング方法は、
揺動時での前記ターゲットに対する前記マグネットの任意の揺動位置において、前記マグネットによって形成される前記B垂直ゼロ位置を変更する。
これにより、揺動に従って、マグネットとグランドとの距離が変化することに伴って、発生させるプラズマの状態が変動することを抑制すること、あるいは、発生させるプラズマの状態を揺動位置に対応させて制御することが可能となる。したがって、プラズマの変動に起因する膜厚や組成比によるシート抵抗値の分布調整を容易におこなうことができる。しかも、ターゲット表面に沿った方向の表面方向磁場強度には大きな影響を与えることなくB垂直ゼロ位置を変動させることができるため、調整の自由度を向上することが可能となる。
本発明のスパッタリング方法は、
揺動時での前記ターゲットに対する前記マグネットの任意の揺動位置において、前記マグネットによって形成される前記B垂直ゼロ位置と、前記ターゲット表面に沿った方向の表面方向磁場強度と、を独立して変更する。
B垂直ゼロ位置と表面方向磁場強度とを個別に調整することで、B垂直ゼロ位置によって初期の分布調整をおこない、表面方向磁場強度によって経時変化に対応した調整をおこなうことが容易になる。
さらに、B垂直ゼロ位置と表面方向磁場強度とを個別に調整することで、ターゲット材料の使用効率の向上や、エロージョンのない部分(Non-Erosion部)の低減を容易にすることができる。
本発明のスパッタリング方法は、
電磁石とされる前記マグネットに正負の電流を印可して、形成される前記B垂直ゼロ位置を変更する。
これにより、マグネットが揺動している最中に、プラズマを発生させる磁場を調整することが可能となる。したがって、いわゆる、アクティブコントロール、つまり、揺動位置に対応した積極的な磁場調整を容易におこなうことが可能となる。
本発明のスパッタリング方法は、
前記マグネットの揺動位置が前記ターゲットに対する揺動幅の端部となる位置において、
前記マグネットによって形成される前記B垂直ゼロ位置を変更する。
これにより、膜厚や組成比によるシート抵抗値の変動しやすい揺動幅の端部位置においてプラズマの発生状態を調整可能として、膜厚や組成比によるシート抵抗値の調整を容易に行うことが可能となる。
本発明のスパッタリング方法は、
前記揺動方向と直交する前記基板表面に沿った方向端部に位置する前記マグネットに印可する電流を変化して前記B垂直ゼロ位置を変動させる。
これにより、ターゲットに対して作用するプラズマを発生させる際に、プラズマ状態を優位に調整させることができる。具体的には、端部のマグネットによってB垂直ゼロ位置を変動させることで、被処理基板に対向するマグネットの輪郭に対応するプラズマの発生する領域を広げたり狭めたりして調整することが可能となる。
本発明のスパッタリング方法は、
前記揺動方向の両端に近接する位置に切り替えポイントが設定され、
前記マグネットの前記揺動方向端部が前記切り替えポイントを通過した際に、前記マグネットによって形成される前記B垂直ゼロ位置を変更する。
これにより、膜厚や組成比によるシート抵抗値の変動しやすい揺動幅の端部位置においてプラズマの発生状態を調整可能として、膜厚や組成比によるシート抵抗値の調整を容易におこなって、基板表面に沿った位置における膜厚分布やシート抵抗のばらつきを調整することが可能となる。
本発明のスパッタリング方法は、
前記マグネットの前記揺動方向端部が前記切り替えポイントを通過した際に、
前記揺動方向の両端側となる前記マグネットにおいて、前記被成膜基板から前記マグネットを見た前記B垂直ゼロ位置によって形成される領域を増大させる。
これにより、揺動幅の端部位置においてマグネットとグランドとの距離が縮小することに伴って、発生させるプラズマの状態を揺動位置に対応させて制御することが可能となる。具体的には、揺動方向において、揺動方向における中央位置に比べて揺動方向の両端位置でのB垂直ゼロ位置によって形成される領域を増大させる制御をおこなう。したがって、膜厚や組成比によるシート抵抗値の変動しやすい揺動幅の端部位置においてプラズマの発生状態を調整可能として、膜厚や組成比によるシート抵抗値の調整を容易におこなって、基板表面に沿った位置における膜厚分布やシート抵抗のばらつきを調整することが可能となる。
本発明のスパッタリング方法は、
前記B垂直ゼロ位置を変動させる前記マグネットに正の電流を印可して、前記被成膜基板から前記マグネットを見た前記B垂直ゼロ位置によって形成される領域を増大させる。
これにより、揺動方向の両端側となる前記マグネットにおいて、前記被成膜基板からマグネットを見た前記B垂直ゼロ位置によって形成される領域を増大させることができる。
本発明のスパッタリング方法は、
前記マグネットの前記揺動方向端部が前記切り替えポイントを通過した際に、
前記揺動方向の中央側となる前記マグネットにおいて、前記被成膜基板から前記マグネットを見た前記B垂直ゼロ位置によって形成される領域を縮小させる。
これにより、揺動幅の端部位置においてマグネットとグランドとの距離が縮小することに対応して、揺動幅の中央位置で発生させるプラズマの状態を揺動位置に対応させて制御することが可能となる。具体的には、揺動方向において、揺動方向の両端位置に比べて揺動方向の中央位置でのB垂直ゼロ位置によって形成される領域を縮小させる制御をおこなう。したがって、膜厚や組成比によるシート抵抗値の変動しやすい揺動幅の端部位置に対応して、中央位置におけるプラズマの発生状態を調整可能として、膜厚や組成比によるシート抵抗値の調整を容易におこなって、基板表面に沿った位置における膜厚分布やシート抵抗のばらつきを調整することが可能となる。
本発明のスパッタリング方法は、
前記B垂直ゼロ位置を変動させる前記マグネットに負の電流を印可して、前記被成膜基板から前記マグネットを見た前記B垂直ゼロ位置によって形成される領域を縮小させる。
これにより、揺動方向の両端位置における磁場の変動に対応して、揺動方向における中央位置となる前記マグネットにおいて、前記被成膜基板からマグネットを見た前記B垂直ゼロ位置によって形成される領域を縮小させることができる。
本発明のスパッタリング方法は、
前記揺動方向に複数本並んで配置された前記マグネットにおいて前記B垂直ゼロ位置を変動させる
ことができる。
本発明によれば、揺動に従って、マグネットとグランドとの距離が変化することに伴って、発生させるプラズマの状態が変動することを抑制する、あるいは、発生させるプラズマの状態を揺動位置に対応させて制御することが可能となり、プラズマの変動に起因する膜厚や組成比によるシート抵抗値の分布調整を容易におこなうことが可能なスパッタリング装置、スパッタリング方法を提供することができるという効果を奏することが可能となる。
本発明に係るスパッタリング装置の第1実施形を示す模式平面図である。 本発明に係るスパッタリング装置の第1実施形態におけるカソードユニットを示す斜視図である。 本発明に係るスパッタリング装置の第1実施形態におけるガラス基板とカソード装置の構成との位置関係を示す模式図である。 本発明に係るスパッタリング装置の第1実施形態におけるガラス基板とマグネットとの位置関係を示す模式斜視図である。 本発明に係るスパッタリング装置の第1実施形態におけるガラス基板とターゲットとマグネットとの位置関係を示す正面図である。 本発明に係るスパッタリング装置の第1実施形態のマグネットにおける端部を示す拡大正面図である。 本発明に係るスパッタリング装置の第1実施形態におけるマグネットを示す矢視断面図である。 本発明に係るスパッタリング装置の第1実施形態におけるマグネットを示す矢視断面図である。 本発明に係るスパッタリング装置の第1実施形態におけるマグネットの揺動を示す模式図である。 本発明に係るスパッタリング装置の第1実施形態におけるマグネットの揺動を示す模式図である。 本発明に係るスパッタリング装置の第1実施形態におけるマグネットで発生させるB垂直ゼロ位置の移動状態を示すグラフである。 本発明に係るスパッタリング装置の第1実施形態におけるマグネットで発生させる平行磁場強度の移動状態を示すグラフである。 本発明に係るスパッタリング装置の第1実施形態におけるマグネットで発生させる磁場パターンAでのB垂直ゼロ位置を示す模式図である。 図12におけるマグネットに印加する電流の値の一例を示すものである。 本発明に係るスパッタリング装置の第1実施形態におけるマグネットで発生させる磁場パターンBでのB垂直ゼロ位置を示す模式図である。 図14におけるマグネットに印加する電流の値の一例を示すものである。 本発明に係るスパッタリング装置の第1実施形態におけるマグネットで発生させる磁場パターンを検証した際のマグネットの揺動位置を示す模式図である。 本発明に係るスパッタリング装置の第1実施形態における磁場パターンAおよび磁場パターンBとして形成した膜においてX方向でのシート抵抗分布を示すグラフである。 本発明に係るスパッタリング装置の第1実施形態におけるマグネットの揺動位置とマグネットで発生させる磁場パターンとの関係を示す模式図である。 本発明に係るスパッタリング装置の第1実施形態におけるマグネットの揺動位置とマグネットで発生させる磁場パターンとの関係を示す模式図である。 本発明に係るスパッタリング装置の第1実施形態におけるマグネットの揺動位置とマグネットで発生させる磁場パターンとの関係を示す模式図である。 本発明に係るスパッタリング装置の第1実施形態におけるマグネットの揺動位置とマグネットで発生させる磁場パターンとの関係を示す模式図である。 本発明に係るスパッタリング装置の第1実施形態におけるマグネットの揺動位置とマグネットで発生させる磁場パターンとの関係の他の例を示す模式図である。 本発明に係るスパッタリング装置の第1実施形態におけるマグネット揺動レシピAおよびマグネット揺動レシピBとして形成した膜においてX方向でのシート抵抗分布を示すグラフである。 本発明に係るスパッタリング装置の第2実施形態におけるガラス基板とターゲットとマグネットとの位置関係を示す正面図である。 本発明に係るスパッタリング装置の第2実施形態におけるマグネットで発生させる磁場パターン2AでのB垂直ゼロ位置を示す模式図である。 本発明に係るスパッタリング装置の第2実施形態におけるマグネットで発生させる磁場パターン2BでのB垂直ゼロ位置を示す模式図である。 本発明に係るスパッタリング装置の第2実施形態におけるマグネットで発生させる磁場パターン2CでのB垂直ゼロ位置を示す模式図である。 本発明に係るスパッタリング装置の第2実施形態におけるマグネットの揺動位置とマグネットで発生させる磁場パターンとの関係を示す模式図である。 本発明に係るスパッタリング装置の第2実施形態におけるマグネットの揺動位置とマグネットで発生させる磁場パターンとの関係を示す模式図である。 本発明に係るスパッタリング装置の第2実施形態におけるマグネットの揺動位置とマグネットで発生させる磁場パターンとの関係を示す模式図である。 本発明に係るスパッタリング装置の第3実施形態におけるガラス基板とターゲットとマグネットとの位置関係を示す正面図である。 本発明に係るスパッタリング装置の第3実施形態におけるガラス基板とターゲットとマグネットとの位置関係を示す断面図である。 本発明に係る実施例を示すグラフである。 本発明に係る実施例を示すグラフである。
以下、本発明に係るスパッタリング装置、スパッタリング方法の第1実施形態を、図面に基づいて説明する。
図1は、本実施形態に係るスパッタリング装置を示す模式平面図であり、図において、符号1は、スパッタリング装置である。
本実施形態に係るスパッタリング装置1は、例えば、半導体の製造工程や、液晶ディスプレイ、有機ELディスプレイなどのFPD(flat panel display,フラットパネルディスプレイ)の製造工程においてガラス等からなる基板上にTFT(Thin Film Transistor)を形成する場合など、ガラスや樹脂からなる被処理基板に対して、真空環境下で加熱処理、成膜処理、エッチング処理等を行うインターバック式の真空処理装置とされる。
本実施形態では、ガラス基板(透明基板)11として、一辺100mm程度から、一辺2000mm以上の矩形基板を適用可能であり、さらに、厚み1mm以下の基板、厚み数mmの基板や、厚み10mm以上の基板も用いることができる。
スパッタリング装置1は、図1に示すように、略矩形のガラス基板11(被処理基板)を搬入/搬出するロード・アンロード室2と、ガラス基板11上に、例えば、ZnO系やIn系の透明導電膜等、アルミニウムや銀等の金属や酸化物、それ以外の被膜をスパッタリング法により形成する耐圧の成膜室4(真空チャンバ)と、成膜室4とロード・アンロード室2(真空チャンバ)との間に位置する搬送室3と、を備えている。本実施形態に係るスパッタリング装置1は、図1において、サイドスパッタ式として示しているが、スパッタダウン式、あるいは、スパッタアップ式とすることもできる。
なお、スパッタリング装置1には、成膜室4A(真空チャンバ)とロード・アンロード室2a(真空チャンバ)とが設けられている。これら複数のチャンバ2、2a、4、4Aは、搬送室3の周囲を取り囲むように形成されている。こうしたチャンバは、例えば、互いに隣接して形成された2つのロード・アンロード室(真空チャンバ)と、複数の処理室(真空チャンバ)とを有して構成されることになる。例えば、一方のロード・アンロード室2は、外部からスパッタリング装置1(真空処理装置)の内部に向けてガラス基板11を搬入するロード室であり、他方のロード・アンロード室2aは、スパッタリング装置1の内部から外部にガラス基板11を搬出するアンロード室である。また、成膜室4と成膜室4Aとが異なる成膜工程を行う構成が採用されてもよい。
こうしたそれぞれのチャンバ2、2a、4、4Aと搬送室3との間には、仕切りバルブが形成されていればよい。
ロード・アンロード室2には、スパッタリング装置1の外部から搬入されたガラス基板11の載置位置を設定してアライメント可能な位置決め部材が配置されていてもよい。
ロード・アンロード室2には、また、この室内を粗真空引きするロータリーポンプ等の粗引き排気装置(粗引き排気手段、低真空排気装置)が設けられる。
搬送室3の内部には、図1に示すように、搬送装置(搬送ロボット)3aが配置されている。
搬送装置3aは、回転軸と、この回転軸に取り付けられたロボットアームと、ロボットアームの一端に形成されたロボットハンドと、ロボットハンドを上下動させる上下動装置とを有している。ロボットアームは、互いに屈曲可能な第一、第二の能動アームと、第一、第二の従動アームとから構成されている。搬送装置3aは、被搬送物であるガラス基板11を、チャンバ2、2a、4、4Aの各々と搬送室3との間で移動させることができる。
成膜室4には、図1に示すように、カソード装置10と、マスク等を有する基板ホルダとされた基板保持部13と、ガス導入装置(ガス導入手段)と、高真空排気装置(高真空排気手段)と、が設けられている。
成膜室4の内部は、図1に示すように、成膜時にガラス基板11の表面が露出する前側空間41と、ガラス基板11の裏面側に位置する裏側空間42とで構成されている。前側空間41には、カソード装置10が配置される。
カソード装置10は、成膜室4の内部において、搬送室3に接続される搬送口4aから最も遠い位置に立設される。
基板保持部13(基板保持手段)は、図1に示すように、裏側空間42内部に設けられている。
基板保持部13は、搬送口4aから搬入されたガラス基板11を支持可能とされる。
基板保持部13(基板保持手段)は、成膜中に後述するターゲット23とガラス基板11の被処理面11aとが対向するように、ガラス基板11を保持する。基板保持部13は、成膜中には、成膜口4bに対応する位置にガラス基板11を保持する。
基板保持部13は、裏側空間42の下側位置で搬送口4aおよび/または成膜口4bと略並行に延在する揺動軸と、揺動軸に取り付けられガラス基板11の裏面を保持する保持部と、を備えてもよい。
ガス導入装置(ガス導入手段)は、成膜室4の内部にガスを導入する。高真空排気装置(高真空排気手段)は、成膜室4の内部を高真空引きするターボ分子ポンプ等である。
図2は、本実施形態におけるスパッタリング装置1のカソード装置を示す斜視図である。図3は、本実施形態のスパッタリング装置におけるガラス基板とカソード装置の構成との位置関係を示す模式図である。
カソード装置10は、成膜室4の内部における成膜位置(プラズマ処理位置)とされたガラス基板11に対してX方向に揺動可能とされている。
カソード装置10は、1つのカソードユニット22を有する。カソードユニット22は、図2に示すように、カソードボックス10Aに配置される。
図4は、本実施形態のスパッタリング装置におけるガラス基板とマグネットとの位置関係を示す模式斜視図である。
カソードユニット22は、図3~図4に示すように、ガラス基板11の表面と対向するZX平面に沿って配置されている。カソードユニット22では、ターゲット23、バッキングプレート24、および、マグネット(磁気回路)25が、ガラス基板11に近い位置から離間するY方向に向けて、この順に配置されている。
図5は、本実施形態のスパッタリング装置におけるガラス基板とターゲットとマグネットとの位置関係を示す正面図である。
ターゲット23は、ガラス基板11と対向するZX平面に沿った平板状に配置される。ターゲット23は、図2に示すように、カソードボックス10Aの表面でガラス基板11に対向する位置に露出している。
ターゲット23は、図3~図5に示すように、Z方向においてガラス基板11よりも長い幅を有する。また、ターゲット23は、揺動方向であるX方向においてガラス基板11よりも大きい幅を有する。
バッキングプレート24は、ガラス基板11と対向するZX平面に沿った平板状に形成され、ターゲット23のガラス基板11と向かい合わない面に接合されている。バッキングプレート24には、直流電源を有する制御部26が接続している。直流電源から供給される直流電力は、バッキングプレート24を通じてターゲット23に供給される。
カソードの電源として直流電源に変えて、直流電源・パルス電源・RF電源を用いてもよい。
カソードユニット22は、ガラス基板11の成膜面11aと対向するZX平面に沿ってターゲット23が配置されている。
カソードユニット22には、ターゲット23の裏面側(バッキングプレート24側)に、複数本のマグネット25が設けられる。
複数本のマグネット25は、多連マグネットとして、互いに平行となるように長手方向がZ方向となるように立設されている。複数本のマグネット25は、X方向に互いに等間隔となるように配置される。
本実施形態では、例えば9本のマグネット25がX方向に隣接されるが、本数は、ガラス基板11の面積やターゲット23の面積、あるいは、後述するマグネット25の揺動範囲等に応じて設定することができる。
なお、本実施形態におけるカソードユニット22では、ガラス基板11に対してターゲット23が固定位置とされて成膜室(チャンバ)4に固定された構成とされる。
1本のマグネット(磁気回路)25は、ガラス基板11と向かい合うターゲット23の表面23aにそれぞれマグネトロン磁場を形成する。それぞれのマグネット25は、個別に制御部26に接続されて、個々に発生する磁場状態を制御可能とされる。
ターゲット23の表面23aに対する法線に沿ったY方向が法線方向であるとき、ターゲット23の表面23aとガラス基板11の表面11aとの間の隙間で生成されるプラズマの密度は、マグネット25が形成するマグネトロン磁場のうち法線方向に沿った磁場成分が0であるB垂直ゼロ位置B⊥0において最も高くなる。以下では、マグネット25の形成するマグネトロン磁場のうち、法線方向に沿った磁場成分が0である領域がプラズマ密度の高い領域である。
図6は、本実施形態におけるスパッタリング装置のマグネットにおける端部を示す拡大正面図である。図7は、本実施形態のスパッタリング装置におけるマグネットを示す矢視断面図である。図8は、本実施形態のスパッタリング装置におけるマグネットを示す矢視断面図である。
マグネット25は、図5~図8に示すように、ヨーク31と、周縁磁石部32と、中央磁石部33と、を有する。
ヨーク31は、表面に中央領域を有する略矩形平板状の磁石ベースとされる。
中央磁石部33は、Z方向を長手方向とする複合磁石体である。中央磁石部33は、中央領域の中央位置に直線状として配置される。
周縁磁石部32は、磁石ベース(ヨーク)31平面において、中央磁石部33から離間して、この中央磁石部33を囲むように周設された略長円の環磁石である。
中央磁石部33と周縁磁石部32とは磁気回路を構成する。
中央磁石部33および周縁磁石部32は、マグネット25の長手方向であるZ方向の中央部分において、互いに平行である平行領域を有する。
中央磁石部33および周縁磁石部32は、いずれも、その延在するZ方向に分割されている。中央磁石部33および周縁磁石部32は、いずれも、分割された個々の磁石がZ方向に連続的に配置されて形成されている。
周縁磁石部32は、図5~図8に示すように、Z方向の端部となる位置にX方向に延在する端部周縁磁石部32aを有する。周縁磁石部32は、端部周縁磁石部32aに隣接して長手方向となるZ方向に延在する第1周縁磁石部32bを有する。
端部周縁磁石部32aは、第1周縁磁石部32bに隣接する位置で、Z方向に延在する部分を有していてもよい。
周縁磁石部32は、第1周縁磁石部32bに隣接して長手方向の端部周縁磁石部32aと逆側となるZ方向に隣接して延在する第2周縁磁石部32cを有する。周縁磁石部32は、第2周縁磁石部32cに隣接して長手方向の第1周縁磁石部32bと逆側となるZ方向に隣接して延在する第3周縁磁石部32dを有する。
周縁磁石部32は、第3周縁磁石部32dに隣接して長手方向の第2周縁磁石部32cと逆側となるZ方向に隣接して延在する第4周縁磁石部32eを有する。周縁磁石部32は、第4周縁磁石部32eに隣接して長手方向の第3周縁磁石部32dと逆側となるZ方向に隣接して延在する第5周縁磁石部32fを有する。
周縁磁石部32は、第5周縁磁石部32fに隣接してZ方向にさらに隣接して延在する分割部分を平行領域に有するが、その説明は省略する。
周縁磁石部32において、端部周縁磁石部32a、第1周縁磁石部32b、第2周縁磁石部32c、第3周縁磁石部32d、第4周縁磁石部32eは、いずれも、永久磁石とされる。
周縁磁石部32において、端部周縁磁石部32a、第1周縁磁石部32b、第2周縁磁石部32c、第3周縁磁石部32d、第4周縁磁石部32eは、それぞれ独立に異なる磁場を発生する構成とされてもよいし、等しい強さの磁場を発生する構成とされてもよい。
周縁磁石部32において、第5磁石部32fおよび、第5磁石部32fからZ方向にさらに延在する分割部分は、永久磁石とされている。
中央磁石部33は、図5~図8に示すように、長手方向となるZ方向の端部となる位置に第1コイル部35bを有する。第1コイル部35bは、Z方向において端部周縁磁石部32aに隣接する。第1コイル部35bは、図6における紙面垂直方向となるY方向軸線を中心としてコイル線が巻回されて構成される。第1コイル部35bは、コイルの中心に第1芯部34bを有する。
第1芯部34bは永久磁石とされる。第1コイル部35bは、Z方向において、第1周縁磁石部32bと一致する位置に配される。第1芯部34bの中心は、Z方向において、第1周縁磁石部32bの中央位置とほぼ同じ位置に配置される。第1コイル部35bは、端部周縁磁石部32aおよび第1周縁磁石部32bに接触していない。
中央磁石部33は、第1コイル部35bに隣接して長手方向の端部周縁磁石部32aと逆側となるZ方向に隣接する第2コイル部35cを有する。第2コイル部35cは、コイルの中心に第2芯部34cを有する。第2芯部34cは永久磁石とされる。第2コイル部35cは、Z方向において、第2周縁磁石部32cと一致する位置に配される。第2芯部34cの中心は、Z方向において、第2周縁磁石部32cの中央位置とほぼ同じ位置に配置される。第2コイル部35cは、第1コイル部35bおよび第2周縁磁石部32cに接触していない。
中央磁石部33は、第2コイル部35cに隣接して長手方向の第1コイル部35bと逆側となるZ方向に隣接する第3コイル部35dを有する。第3コイル部35dは、コイルの中心に第3芯部34dを有する。第3芯部34dは永久磁石とされる。第3コイル部35dは、Z方向において、第3周縁磁石部32dと一致する位置に配される。第3芯部34dの中心は、Z方向において、第3周縁磁石部32dの中央位置とほぼ同じ位置に配置される。第3コイル部35dは、第2コイル部35cおよび第3周縁磁石部32dに接触していない。
中央磁石部33は、第3コイル部35dに隣接して長手方向の第2コイル部35cと逆側となるZ方向に隣接する第4コイル部35eを有する。第4コイル部35eは、コイルの中心に第4芯部34eを有する。第4芯部34eは永久磁石とされる。第4コイル部35eは、Z方向において、第4周縁磁石部32eと一致する位置に配される。第4芯部34eの中心は、Z方向において、第4周縁磁石部32eの中央位置とほぼ同じ位置に配置される。第4コイル部35eは、第3コイル部35dおよび第4周縁磁石部32eに接触していない。
中央磁石部33は、第4コイル部35eに隣接して長手方向の第3コイル部35dと逆側となるZ方向に隣接する第5磁石部37を有する。第5磁石部37は、永久磁石とされる。第5磁石部37は、Z方向において、第5周縁磁石部32fと一致する位置に配される。第5磁石部37は、第5周縁磁石部32fとほぼ平行に配置される。第5磁石部37は、図8に示すように、X方向において、第1芯部34b~第4芯部34eとほぼ同じ位置に配置される。第5磁石部37は、Z方向において、第5周縁磁石部32fとほぼ同じZ方向長さを有する。第5磁石部37は、第4コイル部35eおよび第5周縁磁石部32fに接触していない。
中央磁石部33は、第5磁石部37に隣接してZ方向にさらに延在する分割部分を平行領域に有するが、その説明は省略する。
中央磁石部33において、第1コイル部35b、第2コイル部35c、第3コイル部35d、第4コイル部35eは、いずれも、電源として電力供給機能を有する制御部26(図3)に接続されている。
中央磁石部33において、第1コイル部35b、第2コイル部35c、第3コイル部35d、第4コイル部35eは、それぞれ独立に電流を供給されて、異なる磁場を発生することが可能となっている。
中央磁石部33において、第1芯部34b、第2芯部34c、第3芯部34d、第4芯部34eは、いずれも、ヨーク31と反対側となるY方向端部が長芯部36と隣接している。長芯部36は、第5磁石部37とほぼ同じX方向位置に配置される。長芯部36は、永久磁石または磁性体とされている。
中央磁石部33において、長芯部36は、周縁磁石部32の端部周縁磁石部32a、第1周縁磁石部32b、第2周縁磁石部32c、第3周縁磁石部32d、第4周縁磁石部32eと磁気回路を構成する。
中央磁石部33において、第1コイル部35b~第5コイル部35eでは、それぞれ独立に電流を供給されて、長芯部36と周縁磁石部32とで構成される磁気回路における磁場強度および発生磁場の分布を調整することが可能となっている。
図6~図8において、マグネット25の一端を示したが、マグネット25の他端も、上述した一端と同等の構成とされている。
カソード装置10は、マグネット25を1つの走査方向である揺動方向に沿って移動させるマグネット走査部29を備える。揺動方向は。複数本のマグネット25が立設されるZ方向と直交するX方向である。
マグネット走査部29は、ターゲット23に対するマグネット25の位置を変える。マグネット走査部29は、複数本のマグネット25の相対位置関係を変えずに揺動することが可能である。
つまり、マグネット25は、いずれも、ターゲット23に対して、マグネット走査部29によってターゲット23の粒子放出面と平行に移動(揺動)可能とされている。
マグネット走査部29は、例えば、走査方向に沿って延びるレールと、カソードユニット22におけるX方向の2つの端部の各々に取り付けられたローラーと、ローラーの各々を自転させる複数のモーター等から構成される。マグネット走査部29は、走査方向に沿って延びるレールを有するLMガイド等から構成されてもよい。
マグネット走査部29のレールは、走査方向(X方向)においてターゲット23と同程度かそれよりも長い幅を有する。なお、マグネット走査部29は、走査方向に沿って複数本のマグネット25を一体として移動させることが可能であれば、他の構成として具体化されてもよい。
図9は、本実施形態のスパッタリング装置におけるマグネットの揺動を示す模式図である。図10は、本実施形態のスパッタリング装置におけるマグネットの揺動を示す模式図である。図10において、縦軸は時間、横軸はX方向位置を示している。
本実施形態におけるカソードユニット22では、図4,図9,図10に示すように、マグネット走査部29によって、スパッタ粒子を放出して成膜するとき、マグネット25を揺動端位置Reversと揺動端位置Forwardとの間で往復移動させる。
カソードユニット22では、図10に示すように、複数本のマグネット25からなる多連マグネットを、マグネット走査部29によって、マグネット25を中央位置centerから、図において右向きに揺動端位置Forwardまで、さらに揺動端位置Forwardから左向きに中央位置centerを経由して揺動端位置Reversまで、さらに、揺動端位置Reversから中央位置centerまで移動させて、1スキャンが終了する。カソードユニット22では、図10に示すように、このスキャンを複数回繰り返す。
同時に、マグネット25では、電源としての制御部26からZ方向の端部における分割部分に対して印加する電流を変化させて、マグネット25が形成する磁場プロファイルを変化させる。
具体的には、印加電流を印加することで、マグネット25が形成するマグネトロン磁場のうちY方向(法線方向)に沿った磁場成分が0(B⊥0)であるB垂直ゼロ位置B⊥0を変化させる。
マグネット25のZ方向端部に位置する分割部分への電流を制御して、B垂直ゼロ位置B⊥0をZ方向に変動させる。
このとき、マグネット25が形成するマグネトロン磁場のうちZX面に沿った方向の磁場成分であるB平行強度B//はほぼ変化させないことができる。
本実施形態においては、マグネット25のZ方向端部に位置する第1コイル部35bに対して印加する電流を変化させて、マグネット25が形成する磁場プロファイルを変化させる。
ここで、本実施形態におけるマグネットで形成する磁場プロファイルの一例について説明する。
図11は、本実施形態におけるスパッタリング装置のマグネットで発生させるB垂直ゼロ位置B⊥0の移動状態を示すグラフである。
この場合、第1コイル部35bに対して印加する電流を正に増加するように変化させることで、図11に示すように、Z方向におけるマグネット25の外側に向けてB垂直ゼロ位置B⊥0を移動することができる。
ここで、図11において、0Aは、第1コイル部35bに対して印加する電流の変動に応じたB垂直ゼロ位置B⊥0の状態を示しており、変動させていない状態を示している。
また、図11において、+9Aは、第1コイル部35bに対して印加する電流の変動に応じたB垂直ゼロ位置B⊥0の状態を示しており、電流を正に変動させた状態を示している。
これにより、図11に示すように、マグネット25によって形成されるプラズマ発生領域をZ方向に伸張した状態とすることができる。
さらに、この場合、マグネット25のZ方向の中央付近である平行領域に位置する分割部分への電流は変動しないように制御することができる。
これにより、マグネット25によって形成されるプラズマ発生領域を、マグネット25のZ方向端部に位置する分割部分への電流を変動させない場合に比べて、X方向には変化しない状態とすることができる。
図12は、本実施形態におけるスパッタリング装置のマグネットで発生させる平行磁場強度の移動状態を示すグラフである。
このとき、図11に示すように、マグネット25によって形成されるプラズマ発生領域をZ方向に伸張した状態であっても、図12に示すように、マグネット25が形成するマグネトロン磁場のうちZX面に沿った方向の磁場成分(B//)であるB平行強度はほぼ変化させないことができる。
ここで、図12において、0Aは、第1コイル部35bに対して印加する電流の変動に応じた平行磁場強度(表面方向磁場強度)B//を示しており、変動させていない状態を示している。
また、図12において、+9Aは、第1コイル部35bに対して印加する電流の変動に応じた平行磁場強度B//を示しており、電流を正に変動させた状態を示している。
なお、平行磁場強度B//は、B垂直ゼロ位置B⊥0の変動とは、独立して制御することができる。具体的には、図6の第1コイル部35bの電磁石電流値のみを変更することで、平行磁場強度B//は、B垂直ゼロ位置B⊥0の変動とは、独立して制御することができる。
したがって、B垂直ゼロ位置B⊥0をZ方向に変動した場合でも、平行磁場強度B//がほぼ変わらない状態を維持することができる。
あるいは、本実施形態においては、第1コイル部35bに対して印加する電流を負に増加するように変化させることで、Z方向におけるマグネット25の内側に向けてB垂直ゼロ位置B⊥0を移動することができる。
これにより、マグネット25によって形成されるプラズマ発生領域をZ方向に縮小した状態とすることができる。
さらに、この場合、マグネット25のZ方向の中央付近である平行領域に位置する分割部分への電流は変動しないように制御することができる。
これにより、マグネット25によって形成されるプラズマ発生領域を、マグネット25のZ方向端部に位置する分割部分への電流を変動させない場合に比べて、X方向には変化しない状態とすることができる。
本実施形態においては、上述したようなマグネット25で発生する磁場において、Z方向にB垂直ゼロ位置B⊥0を移動する状態を、カソードユニット22でのX方向におけるマグネット25の配置に対応して変化させるように設定することが可能である。
つまり、本実施形態においては、カソードユニット22において、マグネット25によって、発生させる磁場状態を、ターゲット23に対してX方向の位置に対応して変化させるように設定することが可能である。
本実施形態において、複数本のマグネット25が一体として印加電流を制御され、特定の磁場パターンを形成する。
以下、本実施形態のスパッタリング装置における磁場パターンの例について説明する。
図13は、本実施形態におけるスパッタリング装置のマグネットで発生させる磁場パターンAでのB垂直ゼロ位置を示す模式図である。
図14は、図13に示す磁場パターンAにおいて、マグネットに印加する電流の値の一例を示すものである。
まず、磁場パターンAとして、図13に示すように、全てのマグネット25で形成する磁場を同形とする状態を説明する。
X方向に配置された複数本(ここでは9本)のマグネット25に対して、いずれも同一の条件で電力供給をおこなう。ここで、図14に示すように、複数本のマグネット25における第1コイル部35bに対して、いずれも印加する電流を0Aとする。
この場合、複数本(9本)で形成された多連マグネットとしてのマグネット25で発生する磁場プロファイルは、それぞれマグネット25のX方向位置によらずに、いずれも同一となる。したがって、図13に示すように、全てのマグネット25で形成される磁場が同形となる。
全てのマグネット25で形成される磁場が同形とは、次の状態をいう。
全てのマグネット25で形成される磁場において、B垂直ゼロ位置B⊥0を結んだ線が、Y方向に見て、マグネット25の輪郭と略同じで、マグネット25の輪郭よりもやや小さい形となっている。
全てのマグネット25で形成される磁場において、B垂直ゼロ位置B⊥0を結んだ線のZ方向の長さがいずれも同じ寸法となっている。
全てのマグネット25で形成される磁場において、B垂直ゼロ位置B⊥0を結んだ線のX方向の長さが、平行領域においていずれも同じ寸法となっている。
これを磁場パターンAとする。
図15は、本実施形態におけるスパッタリング装置のマグネットで発生させる磁場パターンBでのB垂直ゼロ位置を示す模式図である。
図16は、図15に示す磁場パターンBにおいて、マグネットに印加する電流の値の一例を示すものである。
次に、磁場パターンBとして、図15に示すように、マグネット25のX方向位置に対応して、形成する磁場を異ならせる状態を説明する。
複数本(ここでは9本)のマグネット25に対して、X方向の配置によって異なる条件で電力供給をおこなう。例えば、X方向端部となる2本ずつ4本のマグネット25と、X方向中央位置となる5本のマグネット25とでは、異なる条件で電力供給をおこなう。
ここで、X方向で異なる条件の電力供給とするのは、X複数本のマグネット25における第1コイル部35bに対する電力供給条件である。
つまり、図16に示すように、X方向の両端部となる2本ずつ4本のマグネット25において、第1コイル部35bに対して印加する電流を+9Aとする。
同時に、図16に示すように、X方向中央位置となる5本のマグネット25において、第1コイル部35bに対して印加する電流を-9Aとする。
この場合、複数本(9本)で形成された多連マグネットとしてのマグネット25で発生する磁場プロファイルは、X方向の両端位置と中央位置とでそれぞれマグネット25のX方向位置によって異なる。したがって、図15に示すように、X方向両端位置で形成される磁場領域がX方向中央位置で形成される磁場領域よりもZ方向に拡がった形となる。
X方向の中央位置よりも両端位置で形成される磁場領域がZ方向に拡がった形とは、次の状態をいう。
X方向の両端部となる2本ずつ4本のマグネット25で形成される磁場において、B垂直ゼロ位置B⊥0を結んだ線が、Y方向に見て、磁場パターンAの輪郭に比べて、Z方向外側に延びた形となっている。
X方向の両端部となる2本ずつ4本のマグネット25で形成される磁場において、B垂直ゼロ位置B⊥0を結んだ線が、Y方向に見て、X方向では磁場パターンAの輪郭とほぼ同じ寸法となっている。
X方向の中央位置となる5本のマグネット25で形成される磁場において、B垂直ゼロ位置B⊥0を結んだ線が、Y方向に見て、磁場パターンAの輪郭に比べて、Z方向でマグネット25の輪郭の内側に縮んだ形となっている。
X方向の中央位置となる5本のマグネット25で形成される磁場において、B垂直ゼロ位置B⊥0を結んだ線が、Y方向に見て、X方向では磁場パターンAの輪郭とほぼ同じ寸法となっている。
このように、複数本のマグネット25からなる多連マグネットで形成される磁場において、B垂直ゼロ位置B⊥0を結んだ線のZ方向の長さが、X方向の中央位置で小さくなり両端位置でZ方向に拡がった形となっている。
なお、全てのマグネット25で形成される磁場において、B垂直ゼロ位置B⊥0を結んだ線のX方向の長さが、平行領域においていずれも磁場パターンAの輪郭とほぼ同じ寸法となっている。
これを磁場パターンBとする。
上述した磁場パターンAと磁場パターンBとによる、成膜特性の差について説明する。
図17は、本実施形態におけるスパッタリング装置のマグネットで発生させる磁場パターンを検証した際のマグネットの揺動位置を示す模式図である。
図18は、磁場パターンAおよび磁場パターンBとして形成した膜においてX方向でのシート抵抗分布を示すグラフである。
ここで、図17において、マグネット25には図の左から右に1~9の番号を振った。
ここでは、多連マグネットとなる複数本のマグネット25をX方向の揺動端部に停止させて、成膜特性を検証した。具体的には、マグネット25を、中央位置centerと端部位置Forwardと端部位置Reversに停止させた状態で、それぞれ第1コイル部35bに対して電力供給せずに成膜したパターンにおけるシート抵抗分布を平均し、これを磁場パターンAとして図18に示した。さらに、磁場パターンAと同様位置で成膜する際に、それぞれ第1コイル部35bに対して電力供給して変化させて成膜したパターンにおけるシート抵抗分布を平均し、これを磁場パターンBとして図18に示した。
図18に示すように、磁場パターンAに比べてB垂直ゼロ位置B⊥0をZ方向に延長するように変化させた磁場パターンBでは、図17に示す1番、2番、8番、9番のマグネット25に対応する基板の部分において、平行磁場強度B//が多少強くなっているが、シート抵抗は上昇した。
また、図18に示すように、磁場パターンAに比べてB垂直ゼロ位置B⊥0をZ方向に縮小するように変化させた磁場パターンBでは、図17に示す3番~7番のマグネット25に対応する基板の部分において、シート抵抗が多少減少した。
このように、磁場強度のみに依存せずに、磁場成分が0(B⊥0)であるB垂直ゼロ位置B⊥0を変化させることで、シート抵抗などの成膜特性を制御することができる。
以下、本実施形態のスパッタリング装置における磁場パターンの切り替え方法の例について説明する。
図19は、本実施形態のスパッタリング装置におけるマグネットの揺動位置とマグネットで発生させる磁場パターンとの関係を示す模式図である。
図20は、本実施形態のスパッタリング装置におけるマグネットの揺動位置とマグネットで発生させる磁場パターンとの関係を示す模式図である。
図21は、本実施形態のスパッタリング装置におけるマグネットの揺動位置とマグネットで発生させる磁場パターンとの関係を示す模式図である。
図22は、本実施形態のスパッタリング装置におけるマグネットの揺動位置とマグネットで発生させる磁場パターンとの関係を示す模式図である。
本実施形態のスパッタリング装置1においては、成膜時に、複数本のマグネット25からなる多連マグネットを揺動方向に揺動させる。
同時に、本実施形態のスパッタリング装置1においては、複数本のマグネット25からなる多連マグネットの揺動位置に応じて、発生させる磁場パターンを切り替える。
具体的には、マグネット25の揺動方向の両端に近接する位置に切り替えポイントSwPが設定される。
複数本のマグネット25からなる多連マグネットにおけるX方向の端部が、切り替えポイントSwPを通過して、多連マグネットにおけるX方向の端部が切り替えポイントSwPよりも揺動幅R-Fの端部に近接した際に、マグネット25によって形成される磁場パターンを切り替える。
切り替えポイントSwPは、図19~図22に示すように、マグネット25の揺動する領域である揺動幅R-Fにおいて、その中央である中央位置centerよりも揺動端位置Reversに近接する位置と、中央位置centerよりも揺動端位置Forwardに近接する位置と、にそれぞれ設定される。
切り替えポイントSwPから揺動端位置Reversまでの距離、および、切り替えポイントSwPから揺動端位置Forwardまでの距離は、いずれも等しく設定される。
また、切り替えポイントSwPから揺動端位置Reversまでの距離、および、切り替えポイントSwPから揺動端位置Forwardまでの距離は、スパッタリング装置1の構成、特性、成膜条件、等によって、成膜ごとに設定することが可能である。特に、マグネット25とグランドとの距離によって距離の設定をおこなうことができる。
ここで、揺動幅R-Fにおいて、切り替えポイントSwPから揺動端位置Reversまでの領域reB、中央位置centerを含み切り替えポイントSwPで挟まれた領域reA、および、切り替えポイントSwPから揺動端位置Forwardまでの領域reBを設定する。
まず、マグネットの揺動について説明する。
スパッタ粒子を放出して成膜するとき、本実施形態のスパッタリング装置1では、図10に示すように、複数本のマグネット25からなる多連マグネットを、マグネット走査部29によって、マグネット25を中央位置centerから、図において右向きに揺動端位置Forwardまで、さらに揺動端位置Forwardから左向きに中央位置centerを経由して揺動端位置Reversまで、さらに、揺動端位置Reversから中央位置centerまで移動させて、1スキャンが終了する。成膜時間、成膜厚さに応じてスキャンを複数回繰り返すが、その際、制御部26によってマグネット25に供給する電流を切り替えポイントSwPに対応して変化させる。
まず、複数本のマグネット25からなる多連マグネットが、図19に示すように、中央位置centerにある場合を考える。ここで、複数本のマグネット25からなる多連マグネットは、X方向における全ての長さが、領域reAの範囲に収まっている。
この場合、図14に示すように、それぞれのマグネット25に印加する電流の値を等しく設定し、図13に示すように、複数本のマグネット25からなる多連マグネットで発生させる磁場パターンを、磁場パターンAとする。
次に、複数本のマグネット25からなる多連マグネットが右向きに移動して、図20に示すように、揺動端位置Forwardに到達する場合を考える。
ここで、図の右方向に移動する複数本のマグネット25からなる多連マグネットにおける前方端部(右側端部)が切り替えポイントSwPを通過して、多連マグネットにおける前方端部(右側端部)が領域reBに進入した際に、マグネット25によって形成される磁場パターンを切り替える。
この場合、図16に示すように、それぞれのマグネット25に印加する電流の値をX方向で異なるように設定し、図14に示すように、複数本のマグネット25からなる多連マグネットで発生させる磁場パターンを、磁場パターンAから磁場パターンBへと切り替える。
つまり、切り替えポイントSwPは、磁場パターン切り替え位置として設定される。
ここで、多連マグネットにおける前方端部(右側端部)が領域reBにある場合には、磁場パターンBを維持する。つまり、図の右方向に移動する複数本のマグネット25からなる多連マグネットにおける前方端部(右側端部)が、切り替えポイントSwPを通過してから揺動端位置Forwardに到達するまで右向きに移動している間は、磁場パターンBを維持する。
これに加え、複数本のマグネット25からなる多連マグネットにおける右側端部が、揺動端位置Forwardから左向きに移動を開始し、さらに、図の左方向に移動する複数本のマグネット25からなる多連マグネットにおける後方端部(右側端部)が、切り替えポイントSwPに到達するまで、磁場パターンBを維持する。
さらに、左向きに移動する多連マグネットにおける後方端部(右側端部)が、切り替えポイントSwPを通過して、領域reAに進入した際に、マグネット25によって形成される磁場パターンを磁場パターンBから磁場パターンAに切り替える。
次に、複数本のマグネット25からなる多連マグネットが左向きに移動して、図21に示すように、揺動端位置Reversに到達する場合を考える。
ここで、図の左方向に移動する複数本のマグネット25からなる多連マグネットにおけるX方向の全体が領域reAに収まっている場合には、磁場パターンAを維持する。
この場合、図14に示すように、それぞれのマグネット25に印加する電流の値を等しく設定し、図13に示すように、複数本のマグネット25からなる多連マグネットで発生させる磁場パターンを、磁場パターンAとする。
次に、複数本のマグネット25からなる多連マグネットが左向きに移動して、図22に示すように、揺動端位置Revaersに到達する場合を考える。
ここで、図の左方向に移動する複数本のマグネット25からなる多連マグネットにおける前方端部(左側端部)が切り替えポイントSwPを通過して、多連マグネットにおける前方端部(左側端部)が領域reBに進入した際に、マグネット25によって形成される磁場パターンを切り替える。
この場合、図16に示すように、それぞれのマグネット25に印加する電流の値をX方向で異なるように設定し、図14に示すように、複数本のマグネット25からなる多連マグネットで発生させる磁場パターンを、磁場パターンAから磁場パターンBへと切り替える。
つまり、切り替えポイントSwPは、磁場パターン切り替え位置として設定される。
ここで、多連マグネットにおける前方端部(左側端部)が領域reBにある場合には、磁場パターンBを維持する。つまり、図の左方向に移動する複数本のマグネット25からなる多連マグネットにおける前方端部(左側端部)が、切り替えポイントSwPを通過してから揺動端位置Reversに到達するまで左向きに移動している間は、磁場パターンBを維持する。
これに加え、複数本のマグネット25からなる多連マグネットにおける左側端部が、揺動端位置Reversから右向きに移動を開始し、さらに、図の右方向に移動する複数本のマグネット25からなる多連マグネットにおける後方端部(左側端部)が、切り替えポイントSwPに到達するまで、磁場パターンBを維持する。
さらに、右向きに移動する多連マグネットにおける後方端部(左側端部)が、切り替えポイントSwPを通過して、領域reAに進入した際に、マグネット25によって形成される磁場パターンを磁場パターンBから磁場パターンAに切り替える。
そして、複数本のマグネット25からなる多連マグネットが、図19に示すように、中央位置centerに戻るまで磁場パターンAを維持する。
さらに、複数本のマグネット25からなる多連マグネットを中央位置centerまで移動させて、1スキャンが終了する。
この1回のスキャンを複数回繰り返して、成膜をおこなう。その間、上述したように、制御部26によってマグネット25に供給する電流を切り替えポイントSwPに対応して変化させることができる。
本実施形態では、マグネット揺動レシピとして、領域reBが、1本のマグネット25のX方向寸法とほぼ等しく設定されている。
本実施形態では、マグネット揺動レシピとして、領域reBが、1本のマグネット25のX方向寸法よりも大きく設定されていてもよい。
図23は、本実施形態のスパッタリング装置におけるマグネットの揺動位置とマグネットで発生させる磁場パターンとの関係の他の例を示す模式図である。
また、マグネット揺動レシピとして、領域reBが、図23に示すように、1本のマグネット25のX方向寸法よりも小さく設定されていてもよい。
あるいは、マグネット揺動レシピとして、領域reBが、2本のマグネット25のX方向寸法とほぼ等しく設定されていてもよい。
また、マグネット揺動レシピとして、領域reBのX方向寸法と領域reAのX方向寸法との比reB/reA、あるいは、領域reBのX方向寸法と揺動幅R-FのX方向寸法との比reB/R-Fを適宜設定することもできる。
以下に、マグネット揺動レシピとして、比reB/R-Fを変更した際における成膜特性を検討する。
図24は、本実施形態のスパッタリング装置におけるマグネット揺動レシピAおよびマグネット揺動レシピBとして形成した膜においてX方向でのシート抵抗分布を示すグラフである。
マグネット揺動レシピとして、次のように設定した。
マグネット揺動レシピA
領域reA;65%,領域reB;35%
マグネット揺動レシピB
領域reA;92%,領域reB;8%
ここでは、上述したように、異なるマグネット揺動レシピによって対応する成膜特性を検証した。具体的には、マグネット25の揺動をマグネット揺動レシピAとして、アルミニウム膜を、成膜した。さらに、領域reBのX方向幅を変化させてマグネット揺動レシピBとして形成した。
図24に示すように、マグネット揺動レシピAに比べて領域reBをX方向に縮小するように変化させたマグネット揺動レシピBでは、X方向の中央位置において、シート抵抗は減少した。
また、図24に示すように、マグネット揺動レシピAに比べて領域reBをX方向に縮小するように変化させたマグネット揺動レシピBでは、X方向の揺動位置の端部位置に比べてX中央位置において、シート抵抗の減少幅が大きくなった。
このように、磁場パターンそのものに依存せずに、切り替えポイントSwPの設定位置であるマグネット揺動レシピを変更するだけで、シート抵抗などの成膜特性を制御することができる。
次に、本実施形態に係るスパッタリング装置1において、ガラス基板11に対する成膜について説明する。
まず、スパッタリング装置1の外部から内部に搬入されたガラス基板11は、まず、ロード・アンロード室2内の位置決め部材に載置され、ガラス基板11が、位置決め部材上で所定位置に配置するようにアライメントされる(図1参照)。
次に、ロード・アンロード室2の位置決め部材に載置されたガラス基板11が搬送装置3a(搬送ロボット)のロボットハンドで支持され、ロード・アンロード室2から取り出される。そして、ガラス基板11は、搬送室3を経由して成膜室4へ搬送される。
このとき、成膜室4において、基板保持部13が駆動部によって揺動軸が回転され水平載置位置に配置される。さらに、図示しないリフトピン移動部によって、リフトピンは、基板保持部13から上方に突出した準備位置に配置されている。
この状態で、成膜室4へ到達したガラス基板11が、搬送装置3a(搬送ロボット)によって基板保持部13の上側に挿入される。
次いで、搬送装置3a(搬送ロボット)のロボットハンドが基板保持部13に近接することで、基板保持部13の所定の面内の位置にガラス基板11がアライメントされた状態として、リフトピン上にガラス基板11が載置される。その後、搬送ロボット3aのアームが、搬送室3へ後退する。そして、リフトピンが下降し、ガラス基板11が基板保持部13上に支持される。
次いで、揺動軸が回動されることで、基板保持部13によってガラス基板11が保持された状態で、ガラス基板11は鉛直処理位置に到達するように立ち上がる。これにより、ガラス基板11によって成膜口4bがほぼ閉塞され、ガラス基板11が成膜位置に保持される。
成膜処理が終了した際には、揺動軸が回動されることで、基板保持部13によってガラス基板11が保持された状態で、ガラス基板11は水平載置位置に到達する。
成膜処理が終了したガラス基板11は、搬送装置3a(搬送ロボット)によって、成膜室4から取り出される。そして、ガラス基板11は、搬送室3を経由してロード・アンロード室2から取り出される。
本実施形態におけるスパッタリング装置およびスパッタリング方法は、叙述したように、マグネット25に印加する電流を設定することでB垂直ゼロ位置B⊥0を変化させることができる。B垂直ゼロ位置B⊥0を変化させることにより、マグネット25で発生させる磁場パターンを設定することができる。さらに、マグネット25で発生させる磁場パターンを、マグネット25の揺動位置によって切り替えることができる。また、マグネット25の揺動位置によって磁場パターンを切り替える切り替えポイントSwPを設定して、マグネット揺動レシピを設定することができる。
これらにより、成膜した膜における膜特性、特に、シート抵抗、膜厚、膜応力等の状態を改善して、より向上することが可能となる。
さらに、本実施形態においては、ターゲット材料の使用効率の向上や、エロージョンのない部分(Non-Erosion部)の低減を容易にするという効果を奏することができる。
なお、本実施形態においては、印加電流設定、B垂直ゼロ位置B⊥0の状態設定、水平磁場強度B//の設定、磁場パターン設定、切り替えポイントSwP設定、マグネット揺動レシピ設定は、いずれも、上述した値等に限定されるものではなく、望ましい膜特性、膜組成、成膜条件、装置特性などによって、適宜設定することができる。
また、本実施形態における構成を組み合わせて、あるいは、一部のみを用いて、適宜成膜をおこなうことが可能である。
以下、本発明に係るスパッタリング装置、スパッタリング方法の第2実施形態を、図面に基づいて説明する。
図25は、本実施形態のスパッタリング装置におけるガラス基板とターゲットとマグネットとの位置関係を示す正面図である。
本実施形態において、上述した第1実施形態と異なるのは、マグネットの本数に関する点であり、これ以外の上述した第1実施形態と対応する構成には同一の符号を付してその説明を省略する。
本実施形態のスパッタリング装置1では、ターゲット23は、ガラス基板11と対向するZX平面に沿った平板状に配置される。ターゲット23は、図25に示すように、Z方向においてガラス基板11よりも長い幅を有する。また、ターゲット23は、揺動方向であるX方向においてガラス基板11よりも大きい幅を有する。
バッキングプレート24は、ガラス基板11と対向するZX平面に沿った平板状に形成され、ターゲット23のガラス基板11と向かい合わない面に接合されている。
カソードユニット22は、ガラス基板11の成膜面11aと対向するZX平面に沿ってターゲット23が配置されている。
カソードユニット22には、ターゲット23の裏面側(バッキングプレート24側)に、1本のマグネット25が設けられる。
1本のマグネット25は、単マグネットとして長手方向がZ方向となるように立設されている。
本実施形態におけるカソードユニット22では、ガラス基板11に対してターゲット23が固定位置とされて成膜室(チャンバ)4に固定された構成とされる。
1本のマグネット(磁気回路)25は、ガラス基板11と向かい合うターゲット23の表面23aにマグネトロン磁場を形成する。マグネット25は制御部26に接続されて、発生する磁場状態を制御可能とされる。
マグネット25は、図5~図8に示した第1実施形態と同様に、ヨーク31と、周縁磁石部32と、中央磁石部33と、を有する。
中央磁石部33と周縁磁石部32とは磁気回路を構成する。
中央磁石部33および周縁磁石部32は、マグネット25の長手方向であるZ方向の中央部分において、互いに平行である平行領域を有する。
中央磁石部33および周縁磁石部32は、いずれも、その延在する方向に分割されている。中央磁石部33および周縁磁石部32は、いずれも、分割された個々の磁石が連続的に配置されて形成されている。
中央磁石部33は、端部コイル部32a、第1コイル部35b、第2コイル部35c、第3コイル部35d、第4コイル部35eを有し、これらは、それぞれ独立に電流を供給されて、異なる磁場を発生することが可能となっている。
中央磁石部33は、第5磁石部37および、第5磁石部37からZ方向にさらに延在する分割部分を有し、これらは、永久磁石とされている。
周縁磁石部32は、端部磁石部32aが永久磁石とされている。
中央磁石部33において、第1コイル部35b~第5コイル部35eでは、それぞれ独立に電流を供給されて、長芯部36と周縁磁石部32とで構成される磁気回路における磁場強度および発生磁場の分布を調整することが可能となっている。
カソード装置10は、第1実施形態と同様に、マグネット25を1つの走査方向である揺動方向に沿って移動させるマグネット走査部29を備える。揺動方向は。複数本のマグネット25が立設されるZ方向と直交するX方向である。
マグネット走査部29は、ターゲット23に対するマグネット25の位置を変える。マグネット走査部29は、ターゲット23に対する1本のマグネット25の姿勢を変えずに揺動することが可能である。
つまり、1本のマグネット25は、Z方向に延在しターゲット23に対向している姿勢を維持したまま、マグネット走査部29によってターゲット23の粒子放出面と平行に移動(揺動)可能とされている。
マグネット走査部29は、例えば、走査方向に沿って延びるレールと、カソードユニット22におけるX方向の2つの端部の各々に取り付けられたローラーと、ローラーの各々を自転させる複数のモーター等から構成される。
マグネット走査部29のレールは、走査方向(X方向)においてターゲット23と同程度かそれよりも長い幅を有する。なお、マグネット走査部29は、走査方向に沿って複数本のマグネット25を一体として移動させることが可能であれば、他の構成として具体化されてもよい。
カソードユニット22では、図10に示した第1実施形態と同様に、1本のマグネット25を、マグネット走査部29によって、中央位置centerから、図において右向きに揺動端位置Forwardまで、さらに揺動端位置Forwardから左向きに中央位置centerを経由して揺動端位置Reversまで、さらに、揺動端位置Reversから中央位置centerまで移動させて、1スキャンが終了する。カソードユニット22では、図10に示した第1実施形態と同様に、このスキャンを複数回繰り返す。
同時に、マグネット25では、電源としての制御部26からZ方向の端部における分割部分に対して印加する電流を変化させて、マグネット25が形成する磁場プロファイルを変化させる。
具体的には、印加電流を印加することで、マグネット25が形成するマグネトロン磁場のうちY方向(法線方向)に沿った磁場成分が0(B⊥0)であるB垂直ゼロ位置B⊥0を変化させる。
マグネット25のZ方向端部に位置する分割部分への電流を制御して、B垂直ゼロ位置B⊥0をZ方向に変動させる。
このとき、マグネット25が形成するマグネトロン磁場のうちZX面に沿った方向の磁場成分(B//)であるB平行強度はほぼ変化させないことができる。
ここで、本実施形態におけるマグネットで形成する磁場パターンとなる磁場プロファイルの一例について説明する。
本実施形態におけるカソードユニット22では、マグネット25が一本であるため、磁場プロファイルを設定することがそのまま磁場パターンの設定となる。
本実施形態においては、磁場パターン2A、磁場パターン2B、磁場パターン2Cとして、3種類の磁場パターンを例示する。
図26は、本実施形態におけるスパッタリング装置のマグネットで発生させる磁場パターン2AでのB垂直ゼロ位置B⊥0を示す模式図である。
図27は、本実施形態におけるスパッタリング装置のマグネットで発生させる磁場パターン2BでのB垂直ゼロ位置B⊥0を示す模式図である。
図28は、本実施形態におけるスパッタリング装置のマグネットで発生させる磁場パターン2CでのB垂直ゼロ位置B⊥0を示す模式図である。
本実施形態における磁場パターン2Aは、図26に示すように、マグネット25で形成される磁場において、B垂直ゼロ位置B⊥0を結んだ線が、Y方向に見て、マグネット25の輪郭と略同じで、マグネット25の輪郭よりもやや小さい形となっている。
これは、図13に示した第1実施形態における磁場パターンAでの1本のマグネット25における磁場プロファイルと同様の状態に設定されてよい。また、マグネット25に供給される電流値も、第1実施形態における磁場パターンAと同様に設定されてよい。
さらに、マグネット25が形成するマグネトロン磁場のうちZX面に沿った方向の磁場成分(B//)であるB平行強度に関しても第1実施形態における磁場パターンAと同様に設定されてよい。
本実施形態における磁場パターン2Bは、図27に示すように、マグネット25で形成される磁場において、B垂直ゼロ位置B⊥0を結んだ線が、Y方向に見て、磁場パターン2Aに比べて、マグネット25のZ方向端部で、Z方向外側に伸長した形となっている。
本実施形態における磁場パターン2Bにおいて、B垂直ゼロ位置B⊥0を結んだ線が、Y方向に見て、X方向では磁場パターン2Aの輪郭とほぼ同じ寸法となっている。
ここで、図15に示した第1実施形態における磁場パターンBでのX方向の両端部となる2本ずつ4本のマグネット25における磁場プロファイルと同様の状態に設定されてよい。また、マグネット25に供給される電流値も、第1実施形態における磁場パターンBでのX方向の両端部となる2本ずつ4本のマグネット25における磁場プロファイルと同様に設定されてよい。
さらに、マグネット25が形成するマグネトロン磁場のうちZX面に沿った方向の磁場成分(B//)であるB平行強度に関しても第1実施形態における磁場パターンBでのX方向の両端部となる2本ずつ4本のマグネット25における磁場プロファイルと同様に設定されてよい。
本実施形態における磁場パターン2Cは、図28に示すように、マグネット25で形成される磁場において、B垂直ゼロ位置B⊥0を結んだ線が、Y方向に見て、磁場パターン2Aに比べて、マグネット25のZ方向端部で、Z方向内側に縮小した形となっている。
本実施形態における磁場パターン2Bにおいて、B垂直ゼロ位置B⊥0を結んだ線が、Y方向に見て、X方向では磁場パターン2Aの輪郭とほぼ同じ寸法となっている。
ここで、図15に示した第1実施形態における磁場パターンBでのX方向の中央位置となる5本のマグネット25における磁場プロファイルと同様の状態に設定されてよい。また、マグネット25に供給される電流値も、第1実施形態における磁場パターンBでのX方向の中央位置となる5本のマグネット25における磁場プロファイルと同様に設定されてよい。
さらに、マグネット25が形成するマグネトロン磁場のうちZX面に沿った方向の磁場成分(B//)であるB平行強度に関しても第1実施形態における磁場パターンBでのX方向の中央位置となる5本のマグネット25における磁場プロファイルと同様に設定されてよい。
以下、本実施形態のスパッタリング装置における磁場パターンの切り替え方法の例について説明する。
図29は、本実施形態のスパッタリング装置におけるマグネットの揺動位置とマグネットで発生させる磁場パターンとの関係を示す模式図である。
図30は、本実施形態のスパッタリング装置におけるマグネットの揺動位置とマグネットで発生させる磁場パターンとの関係を示す模式図である。
図31は、本実施形態のスパッタリング装置におけるマグネットの揺動位置とマグネットで発生させる磁場パターンとの関係を示す模式図である。
本実施形態のスパッタリング装置1においては、成膜時に、1のマグネット25を揺動方向(X方向)に揺動させる。
同時に、本実施形態のスパッタリング装置1においては、1本のマグネット25の揺動位置に応じて、発生させる磁場パターンを切り替える。
具体的には、マグネット25の揺動方向(X方向)において、複数の切り替えポイントSwP1および切り替えポイントSwP2を設定する。
ここで、マグネット25の揺動幅R-Fの両端に近接する位置に切り替えポイントSwP1を設定する。また、マグネット25の揺動幅R-Fの中央に近接する位置に切り替えポイントSwP2をそれぞれ設定する。
1本のマグネット25における進行方向の端部が、これら切り替えポイントSwP1および切り替えポイントSwP2を通過した際に、マグネット25によって形成される磁場パターンを切り替える。
切り替えポイントSwPは、図29~図31に示すように、マグネット25の揺動する領域である揺動幅R-Fにおいて、その中央である中央位置centerよりも揺動端位置Reversに近接する位置に切り替えポイントSwP2が設定される。同様に、揺動幅R-Fにおいて、切り替えポイントSwP2よりも揺動端位置Reversにさらに近接する位置に切り替えポイントSwP1が設定される。
また、揺動幅R-Fにおいて、その中央である中央位置centerよりも揺動端位置Forwardに近接する位置に切り替えポイントSwP2が設定される。同様に、揺動幅R-Fにおいて、切り替えポイントSwP2よりも揺動端位置Forwardにさらに近接する位置に切り替えポイントSwP1が設定される。
ここで、切り替えポイントSwP1および切り替えポイントSwP2は、揺動幅R-Fにおいて、中央位置centerに対してそれぞれ対称に配置される。
切り替えポイントSwP2から揺動端位置Reversまでの距離、および、切り替えポイントSwP2から揺動端位置Forwardまでの距離は、いずれも等しく設定される。
同様に、切り替えポイントSwP1から揺動端位置Reversまでの距離、および、切り替えポイントSwP1から揺動端位置Forwardまでの距離は、いずれも等しく設定される。
ここで、揺動幅R-Fにおいて、揺動端位置Reversから切り替えポイントSwP1までの領域re2B、切り替えポイントSwP1から切り替えポイントSwP2までの領域re2C、中央位置centerを含み切り替えポイントSwP2で挟まれた領域re2A、切り替えポイントSwP2から切り替えポイントSwP1までの領域re2C、および、切り替えポイントSwP1から揺動端位置Forwardまでの領域re2Bを設定する。
また、切り替えポイントSwP1と切り替えポイントSwP2と揺動端位置Reversと揺動端位置Forwardとで設定される領域re2A、領域re2B、領域re2CにおけるX方向の距離は、それぞれ、スパッタリング装置1の構成、特性、成膜条件、等によって、成膜ごとに設定することが可能である。特に、マグネット25とグランドとの距離によって距離の設定をおこなうことができる。
まず、マグネットの揺動について説明する。
スパッタ粒子を放出して成膜するとき、本実施形態のスパッタリング装置1では、図10に示すように、1本のマグネット25を、マグネット走査部29によって、マグネット25を中央位置centerから、図において右向きに揺動端位置Forwardまで、さらに揺動端位置Forwardから左向きに中央位置centerを経由して揺動端位置Reversまで、さらに、揺動端位置Reversから中央位置centerまで移動させて、1スキャンが終了する。成膜時間、成膜厚さに応じてスキャンを複数回繰り返すが、その際、制御部26によってマグネット25に供給する電流を切り替えポイントSwP1、切り替えポイントSwP2に対応して変化させる。
まず、1本のマグネット25が、図29に示すように、中央位置centerにある場合を考える。ここで、1本のマグネット25は、X方向において領域re2Aの範囲に収まっている。
この場合、マグネット25に印加する電流の値を設定し、図26に示すように、1本のマグネット25で発生させる磁場パターンを、磁場パターン2Aを維持する。
次に、1本のマグネット25が右向きに移動して、図30に示すように、切り替えポイントSwP2に到達する場合を考える。
ここで、図の右方向に移動する1本のマグネット25における前方端部(右側端部)が切り替えポイントSwP2を通過して、マグネット25における前方端部(右側端部)が領域re2Cに進入した際に、マグネット25によって形成される磁場パターンを切り替える。
この場合、マグネット25に印加する電流の値を設定し、図28に示すように、1本のマグネット25で発生させる磁場パターンを、磁場パターン2Aから磁場パターン2Cへと切り替える。
つまり、切り替えポイントSwP2は、磁場パターン2Aと磁場パターン2Cとを切り替える磁場パターン切り替え位置として設定される。
ここで、マグネット25における前方端部(右側端部)が領域re2Cにある場合には、磁場パターン2Cを維持する。つまり、図の右方向に移動する1本のマグネット25における前方端部(右側端部)が、切り替えポイントSwP2を通過してから切り替えポイントSwP1に到達するまで右向きに移動している間は、磁場パターン2Cを維持する。
次に、1本のマグネット25がさらに右向きに移動して、図31に示すように、揺動端位置Forwardに到達する場合を考える。
ここで、図の右方向に移動する1本のマグネット25における前方端部(右側端部)が切り替えポイントSwP1を通過して、マグネット25における前方端部(右側端部)が領域re2Bに進入した際に、マグネット25によって形成される磁場パターンを切り替える。
この場合、マグネット25に印加する電流の値を設定し、図27に示すように、1本のマグネット25で発生させる磁場パターンを、磁場パターン2Cから磁場パターン2Bへと切り替える。
つまり、切り替えポイントSwP1は、磁場パターン2Cと磁場パターン2Bとを切り替える磁場パターン切り替え位置として設定される。
ここで、マグネット25における前方端部(右側端部)が領域re2Bにある場合には、磁場パターン2Bを維持する。つまり、図の右方向に移動する1本のマグネット25における前方端部(右側端部)が、切り替えポイントSwP1を通過してから揺動端位置Forwardに到達するまで右向きに移動している間は、磁場パターン2Bを維持する。
これに加え、1本のマグネット25における右側端部が、揺動端位置Forwardから左向きに移動を開始し、さらに、図の左方向に移動する1本のマグネット25における後方端部(右側端部)が、切り替えポイントSwP1に到達するまで、磁場パターン2Bを維持する。
さらに、左向きに移動するマグネット25における後方端部(右側端部)が、切り替えポイントSwP1を通過して、領域re2Cに進入した際に、マグネット25によって形成される磁場パターンを磁場パターン2Cから磁場パターン2Aに切り替える。
次に、1本のマグネット25がさらに左向きに移動して、中央位置center付近から切り替えポイントSwP2に到達する場合を考える。
ここで、図の左方向に移動するマグネット25が領域re2Aに収まっている場合には、磁場パターン2Aを維持する。
ここで、図の左方向に移動する1本のマグネット25における前方端部(左側端部)が切り替えポイントSwP2を通過して、マグネット25における前方端部(左側端部)が領域re2Cに進入した際に、マグネット25によって形成される磁場パターンを磁場パターン2Cに切り替える。
ここで、1本のマグネット25がさらに左向きに移動する間に、マグネット25における前方端部(左側端部)が領域re2Cにある場合には、磁場パターン2Cを維持する。つまり、図の左方向に移動する1本のマグネット25における前方端部(左側端部)が、切り替えポイントSwP2を通過してから切り替えポイントSwP1に到達するまで左向きに移動している間は、磁場パターン2Cを維持する。
次に、1本のマグネット25がさらに左向きに移動して、切り替えポイントSwP2付近から切り替えポイントSwP1に到達する場合を考える。
ここで、図の左方向に移動するマグネット25が領域re2Cに収まっている場合には、磁場パターン2Cを維持する。
ここで、図の左方向に移動する1本のマグネット25における前方端部(左側端部)が切り替えポイントSwP1を通過して、マグネット25における前方端部(左側端部)が領域re2Bに進入した際に、マグネット25によって形成される磁場パターンを磁場パターン2Bに切り替える。
さらに、マグネット25における前方端部(左側端部)が領域re2Bにある場合には、磁場パターン2Bを維持する。つまり、図の左方向に移動する1本のマグネット25における前方端部(左側端部)が、切り替えポイントSwP1を通過してから揺動端位置Revaersに到達するまで左向きに移動している間は、磁場パターン2Bを維持する。
これに加え、1本のマグネット25における左側端部が、揺動端位置Reversから右向きに移動を開始し、さらに、図の右方向に移動する複数本のマグネット25からなる多連マグネットにおける後方端部(左側端部)が、切り替えポイントSwP1に到達するまで、磁場パターン2Bを維持する。
さらに、右向きに移動する多連マグネットにおける後方端部(左側端部)が、切り替えポイントSwP1を通過して、領域re2Cに進入した際に、マグネット25によって形成される磁場パターンを磁場パターン2Bから磁場パターン2Cに切り替える。
ここで、図の右方向に移動するマグネット25が領域re2Cに収まっている場合には、磁場パターン2Cを維持する。
さらに、右向きに移動する多連マグネットにおける後方端部(左側端部)が、切り替えポイントSwP2を通過して、領域re2Aに進入した際に、マグネット25によって形成される磁場パターンを磁場パターン2Cから磁場パターン2Aに切り替える。
そして、1本のマグネット25が、図29に示すように、中央位置centerに戻るまで磁場パターン2Aを維持する。
さらに、1本のマグネット25を中央位置centerまで移動させて、1スキャンが終了する。
この1回のスキャンを複数回繰り返して、成膜をおこなう。その間、上述したように、制御部26によってマグネット25に供給する電流を切り替えポイントSwP1および切り替えポイントSwP2に対応して切り替えて、磁場パターンを変化させることができる。
本実施形態では、マグネット揺動レシピとして、領域re2Bが、1本のマグネット25のX方向寸法とほぼ等しく設定されていてもよい。
本実施形態では、マグネット揺動レシピとして、領域re2Bが、1本のマグネット25のX方向寸法よりも大きく設定されていてもよい。
本実施形態では、マグネット揺動レシピとして、領域re2Bが、1本のマグネット25のX方向寸法よりも小さく設定されていてもよい。
本実施形態では、マグネット揺動レシピとして、領域re2Cが、1本のマグネット25のX方向寸法とほぼ等しく設定されていてもよい。
本実施形態では、マグネット揺動レシピとして、領域re2Cが、1本のマグネット25のX方向寸法よりも大きく設定されていてもよい。
本実施形態では、マグネット揺動レシピとして、領域re2Cが、1本のマグネット25のX方向寸法よりも小さく設定されていてもよい。
このようにマグネット揺動レシピとしては、成膜特性等に応じて好ましい条件を設定することができる。
本実施形態においては、上述した実施形態と同等の効果を奏することができる。さらに、本実施形態においては、ターゲット材料の使用効率の向上や、エロージョンのない部分(Non-Erosion部)の低減を容易にするという効果を奏することができる。
以下、本発明に係るスパッタリング装置、スパッタリング方法の第3実施形態を、図面に基づいて説明する。
図32は、本実施形態のスパッタリング装置におけるガラス基板とターゲットとマグネットとの位置関係を示す正面図である。
図33は、本実施形態のスパッタリング装置におけるガラス基板とターゲットとマグネットとの位置関係を示す断面図である。図33は、第1実施形態における図7,図8に対応する。
本実施形態において、上述した第1および第2実施形態と異なるのは、カソードユニットに関する点であり、これ以外の上述した第1および第2実施形態と対応する構成には同一の符号を付してその説明を省略する。
本実施形態のスパッタリング装置1においては、図32,図33に示すように、カソードユニット22が複数設けられている。
具体的には、カソードユニット22として、マグネット25とバッキングプレート24とターゲット23とを1組として、8本のカソードユニット22が設けられている。
1本のマグネット25は、図6~図8に示した第1実施形態における1本のマグネット25と同等の構成とされている。
また、本実施形態では、1本のマグネット25に対応して、それぞれのガラス基板に近接する位置に、分割されたバッキングプレート24とターゲット23とが配置されている。
本実施形態では、マグネット25とバッキングプレート24とターゲット23とは、互いに相対位置を変えずに揺動可能な構成とされている。
これらマグネット25とバッキングプレート24とターゲット23とは、1組のカソードユニット22として作用する。
1本のカソードユニット22は、長手方向がZ方向となるように立設されている。
8本のカソードユニット22は、第1実施形態における9本のマグネット25が多連マグネットとして揺動されたように、一体として揺動可能とされている。
1本のカソードユニット22では、マグネット25によって、ガラス基板11と向かい合うターゲット23の表面23aにマグネトロン磁場を形成する。1本のカソードユニット22では、マグネット25が制御部26に接続されて、発生する磁場状態を制御可能とされる。
8本のカソードユニット22は、第1実施形態における9本のマグネット25が多連マグネットとして個々に発生する磁場状態を制御可能とされたように、それぞれが発生する磁場状態を制御可能とされる。
1本のカソードユニット22は、第1実施形態における1本のマグネット25と同様に、マグネット25で形成される磁場において、B垂直ゼロ位置B⊥0を結んだ線の形状を含む磁場プロファイルを所定の状態として形成可能および制御可能とされる。
例えば、1本のカソードユニット22における磁場プロファイルを、B垂直ゼロ位置B⊥0を結んだ線が、第2実施形態における磁場パターン2Aと同様に、Y方向に見て、マグネット25の輪郭と略同じで、マグネット25の輪郭よりもやや小さい形とすることができる。
あるいは、1本のカソードユニット22における磁場プロファイルを、B垂直ゼロ位置B⊥0を結んだ線が、第2実施形態における磁場パターン2Bと同様に、Y方向に見て、磁場パターン2Aに比べて、マグネット25のZ方向端部で、Z方向外側に伸長した形とすることができる。
または、1本のカソードユニット22における磁場プロファイルを、B垂直ゼロ位置B⊥0を結んだ線が、第2実施形態における磁場パターン2Cと同様に、Y方向に見て、磁場パターン2Aに比べて、マグネット25のZ方向端部で、Z方向内側に縮小した形とすることができる。
さらに、1本のカソードユニット22における磁場プロファイルにおいては、マグネット25が形成するマグネトロン磁場のうちZX面に沿った方向の磁場成分(B//)であるB平行強度に関しても第1実施形態における磁場パターンBでのX方向の両端部となる2本ずつ4本のマグネット25における磁場プロファイルと同様に設定されてよい。
さらに、1本のカソードユニット22における磁場プロファイルにおいては、マグネット25が形成するマグネトロン磁場のうちZX面に沿った方向の磁場成分(B//)であるB平行強度に関しても第1実施形態における磁場パターンBでのX方向の中央位置となる5本のマグネット25における磁場プロファイルと同様に設定されてよい。
さらに、複数本のカソードユニット22は、第1実施形態における9本のマグネット25と同様に、個々のマグネット25で形成される磁場プロファイルの組み合わせにおいて、B垂直ゼロ位置B⊥0を結んだ線によって形成される磁場パターンを所定の状態に制御可能とされる。
例えば、複数本のカソードユニット22における磁場パターンとしては、第1実施形態における磁場パターンAに対応するように、全てのマグネット25で形成する磁場が同じ状態・形状とすることができる。
あるいは、複数本のカソードユニット22における磁場パターンとしては、第1実施形態における磁場パターンBに対応するように、X方向の両端部となる1本ずつ2本のマグネット25で形成される磁場において、B垂直ゼロ位置B⊥0を結んだ線が、Y方向に見て、磁場パターンAの輪郭に比べて、Z方向外側に延びた形とすることができる。
同時に、X方向の中央位置となる6本のマグネット25で形成される磁場において、B垂直ゼロ位置B⊥0を結んだ線が、Y方向に見て、磁場パターンAの輪郭に比べて、Z方向でマグネット25の輪郭の内側に縮んだ形とすることができる。
なお、Z方向で磁場プロファイルを伸長・縮小させるカソードユニット22の本数は、適宜設定することができる。
さらに、本実施形態における複数本のカソードユニット22は、第1実施形態における9本のマグネット25と同様に、複数本のカソードユニット22の揺動位置に応じて、B垂直ゼロ位置B⊥0を結んだ線によって形成される磁場パターンを所定の状態に切り替え可能とされる。
本実施形態のスパッタリング装置における磁場パターンの切り替え方法は、第1実施形態における図19~図22と同様に、マグネット25の揺動する領域である揺動幅R-Fにおいて、その中央である中央位置centerよりも揺動端位置Reversに近接する位置と、中央位置centerよりも揺動端位置Forwardに近接する位置と、にそれぞれ設定されることができる。
切り替えポイントSwPから揺動端位置Reversまでの距離、および、切り替えポイントSwPから揺動端位置Forwardまでの距離は、いずれも等しく設定されることができる。
本実施形態のスパッタリング装置における磁場パターンの切り替え方法においては、第1実施形態における図19~図22と同様に、揺動幅R-Fにおいて、切り替えポイントSwPから揺動端位置Reversまでの領域reB、中央位置centerを含み切り替えポイントSwPで挟まれた領域reA、および、切り替えポイントSwPから揺動端位置Forwardまでの領域reBを設定することができる。
本実施形態のスパッタリング装置における磁場パターンの切り替え方法においては、第1実施形態と同様に、カソードユニット揺動レシピ(マグネット揺動レシピ)として、領域reBが、1本のカソードユニット22のX方向寸法とほぼ等しく設定されていることができる。
さらに、本実施形態では、カソードユニット揺動レシピ(マグネット揺動レシピ)として、第1実施形態と同様に、領域reBが、1本のカソードユニット22のX方向寸法よりも大きく設定されていてもよい。
このようにカソードユニット揺動レシピ(マグネット揺動レシピ)としては、成膜特性等に応じて好ましい条件を設定することができる。
本実施形態においては、上述した実施形態と同等の効果を奏することができる。さらに、本実施形態においては、ターゲット材料の使用効率の向上や、エロージョンのない部分(Non-Erosion部)の低減を容易にするという効果を奏することができる。
なお、本発明においては、上記の各実施形態で説明した構成を組み合わせて、あるいは、一部のみを用いることも可能である。
例えば、第1実施形態等において、ガラス基板11に対してターゲット23をX方向揺動して、さらに、マグネット25をターゲット23に対して揺動することができる。
あるいは、揺動速度の変更と組み合わせることができる。この場合、例えば、所定のポイントSwPまでは遅い速度でマグネット25、ターゲット23を移動させ、所定のポイントSwPを通過した後、そこから速度を上げるとともにB⊥0も変更させるレシピを例示することができる。
また、上記の各実施形態では、B垂直ゼロ位置B⊥0を移動させて成膜することを説明したが、装置構成は上記の構成に限定されるものではなく、このような作用効果を奏するものであれば、特に限定されない。
さらに、上記の各実施形態では、B垂直ゼロ位置B⊥0をZ方向に移動させて成膜することを説明したが、B垂直ゼロ位置B⊥0をX方向に移動させて成膜することも可能である。
以下、本発明にかかる実施例を説明する。
ここで、本発明におけるスパッタリングによる成膜の具体例として、シート抵抗値確認試験について説明する。
マグネットにおけるZ方向端部のB垂直ゼロ位置B⊥0を、カソードユニットを揺動させながら変更することで、膜厚やシート抵抗分布を調整する。
<実験例1>
第1実施形態で示したスパッタリング装置を用いて、B垂直ゼロ位置B⊥0を変動させずに成膜した膜におけるシート抵抗分布を図34,図35に示す。
ここで、図34は、カソードユニットを中央位置centerとして揺動させない成膜をおこなった結果を示す。また、図35は、カソードユニットを揺動端位置Reversまたは揺動端位置Forwardとして揺動させない成膜をおこなった結果を示す。
ここでは、成膜における諸元を示す。
ターゲット組成;アルミニウム
基板寸法;X方向×Z方向;1500mm×1800mm
膜組成;アルミニウム
成膜厚さ;200nm
供給電力(プラズマ形成電力);80kW
バイアス電力;未使用
供給ガスおよびガス流量;Ar 200sccm
雰囲気圧;0.3Pa
成膜時間;86sec
どちらのマグネット位置でも、マグネットの固定位置でシート抵抗分布が大きく異なっていることがわかる。
つまり、従来の技術では、マグネットを揺動させるマルチマグネットにおいて、このような特性が、シート抵抗分布調整を困難にしている。
<実験例2>
マグネットにおけるZ方向端部への供給電流を変化させて、B垂直ゼロ位置B⊥0を変動させた。
その結果を図11に示す。同時に、このときの平行磁場強度B//の変動を図12に示す。
図11に示す結果から、0Aを+9Aに変更することで、B垂直ゼロ位置B⊥0がZ方向に8mm移動することがわかる。
同時に、図12に示す結果から、平行磁場強度B//は8[G]しか変動せず、B垂直ゼロ位置B⊥0の変化量に比べて非常に変化量が小さいことがわかる。
なお、永久磁石の場合は、B垂直ゼロ位置B⊥0を8mm変えると平行磁場強度B//は65[G]変わる。したがって、従来比で平行磁場強度B//は8分の1の変化量となり、平行磁場強度B//とB垂直ゼロ位置B⊥0とを個別に制御できることがわかる。
<実験例3>
第1実施形態で示したスパッタリング装置で、図17に示すように、多連マグネットを揺動端位置に停止させて、成膜特性を検証した。具体的には、マグネットを、中央位置centerと端部位置Forwardと端部位置Reversに停止させた状態で、それぞれ第1コイル部に対して電力供給せずに成膜したパターンを磁場パターンAとした。磁場パターンAと同様位置で成膜する際に、それぞれ第1コイル部に対して電力供給して変化させて成膜したパターンを磁場パターンBとした。さらに、磁場パターンを、磁場パターンAと磁場パターンBとに変化させた際に、それぞれの移動位置におけるシート抵抗分布を測定して、それぞれを平均した。
ここでは、成膜における諸元を示す。
ターゲット組成;アルミニウム
基板寸法;X方向×Z方向;1500mm×1800mm
膜組成;アルミニウム
成膜厚さ;200nm
供給電力(プラズマ形成電力);80kW
バイアス電力;未使用
供給ガスおよびガス流量;Ar 200sccm
雰囲気圧;0.3Pa
成膜時間;86sec
その結果を図18に示す。
この結果から、供給電流の変化によってB垂直ゼロ位置B⊥0を±8mm変化させると、シート抵抗分布が変化していることがわかる。ここで、図18に示すシート抵抗分布は、ガラス基板11のY方向に3箇所としたマグネット停止位置で測定したシート抵抗値を平均し、さらにこれをX方向位置に並べてある。
これにより、図4に示したマグネットの番号で、1番、2番、8番、9番は8[G]程度、平行磁場強度B//が強くなっているが、シート抵抗は上昇している。一般的には磁場強度を強くするとシート抵抗は下がるのに対して逆の結果になっている。
これは、平行磁場強度B//ではなく、B垂直ゼロ位置B⊥0の変化により、シート抵抗分布が変化したことを示している。
なお、図14,図16に示した電流値において、電流値を正(+)とした場合にはシート抵抗が上昇し、電流値を負(-)とした場合にはシート抵抗が低下していることがわかる。
<実験例4>
第1実施形態で示したスパッタリング装置で、図19,図23に示すように、マグネット揺動レシピを切り替えて成膜をおこなった。
ここで、マグネットの揺動は、2スキャンとした。
ここでは、成膜における諸元を示す。
ターゲット組成; アルミニウム
基板寸法;X方向×Z方向;1500mm×1800mm
膜組成;アルミニウム
成膜厚さ;200nm
供給電力(プラズマ形成電力);80kW
バイアス電力;未使用
供給ガスおよびガス流量;Ar 200sccm
雰囲気圧;0.3Pa
成膜時間;86sec
その結果を図24に示す。
マグネット揺動レシピA
領域reA;65%,領域reB;35%
マグネット揺動レシピB
領域reA;92%,領域reB;8%
この結果から、マグネット揺動レシピにおける切り替えポイントSwPを変更して領域reAと領域reBとの比を変更することで、シート抵抗分布が変化していることが確認できる。
このように、マグネット揺動レシピの変更により、シート抵抗分布の調整が可能となることがわかる。
さらに、本発明においては、ターゲット材料の使用効率の向上や、エロージョンのない部分(Non-Erosion部)の低減を容易にするという効果を奏することができる。
1…スパッタリング装置
4…成膜室(チャンバ)
10…カソード装置
10A…カソードボックス
11…ガラス基板(透明基板)
13…基板保持部
22,22A…カソードユニット
23,23A…ターゲット
23Aa…回転軸
24…バッキングプレート
25…マグネット(磁気回路)
26…制御部
29…マグネット走査部
31…ヨーク
32…周縁磁石部
32a…端部コイル部
32b…第1コイル部
32c…第2コイル部
32d…第3コイル部
32e…第4コイル部
32f…第5磁石部
33…中央磁石部
33a…端部磁石部
33b…第1コイル部
41…前側空間
42…裏側空間
B⊥0…B垂直ゼロ位置
B//…平行磁場強度(表面方向磁場強度)
Revers,Forward…揺動端位置
re2A,re2B,re2C,reA,reB…領域
R-F…揺動幅
SwP,SwP1,SwP2…切り替えポイント

Claims (24)

  1. 被成膜基板の形成領域に向けてスパッタ粒子を放出するカソードユニットが、
    エロージョン領域が形成されるターゲットと、
    前記ターゲットに対して前記被成膜基板とは反対側に配置されて前記ターゲットに前記エロージョン領域を形成するマグネットと、
    前記マグネットと前記被成膜基板とを相対的に基板表面に沿った一方向となる揺動方向(走査方向)に往復動作可能なマグネット走査部と、
    前記マグネットと前記マグネット走査部とに接続されて磁場形成および往復動作を制御する制御部と、
    を有するスパッタリング装置であって、
    前記制御部が、
    揺動時における前記ターゲットに対する前記マグネットの揺動位置に対応して、
    前記マグネットによって形成される垂直磁場成分がゼロとなるB垂直ゼロ位置を変動させる
    ことを特徴とするスパッタリング装置。
  2. 揺動時での前記ターゲットに対する前記マグネットの任意の揺動位置において、前記マグネットによって形成される前記B垂直ゼロ位置を変更する
    ことを特徴とする請求項1記載のスパッタリング装置。
  3. 揺動時での前記ターゲットに対する前記マグネットの任意の揺動位置において、前記マグネットによって形成される前記B垂直ゼロ位置と、前記ターゲット表面に沿った方向の表面方向磁場強度と、を独立して変更する
    ことを特徴とする請求項1記載のスパッタリング装置。
  4. 形成される前記B垂直ゼロ位置を変更する前記マグネットが、電磁石とされる
    ことを特徴とする請求項1記載のスパッタリング装置。
  5. 前記マグネットの揺動位置が前記ターゲットに対する揺動幅の端部となる位置において、
    前記マグネットによって形成される前記B垂直ゼロ位置を変更する
    ことを特徴とする請求項2記載のスパッタリング装置。
  6. 前記B垂直ゼロ位置を変動させる前記マグネットが、前記揺動方向と直交する前記基板表面に沿った方向端部に位置する
    ことを特徴とする請求項5記載のスパッタリング装置。
  7. 前記揺動方向の両端に近接する位置に切り替えポイントが設定され、
    前記マグネットの前記揺動方向端部が前記切り替えポイントを通過した際に、前記マグネットによって形成される前記B垂直ゼロ位置を変更する
    ことを特徴とする請求項5記載のスパッタリング装置。
  8. 前記マグネットの前記揺動方向端部が前記切り替えポイントを通過した際に、
    前記揺動方向の両端側となる前記マグネットにおいて、前記被成膜基板から前記マグネットを見た前記B垂直ゼロ位置によって形成される領域を増大させる
    ことを特徴とする請求項7記載のスパッタリング装置。
  9. 前記B垂直ゼロ位置を変動させる前記マグネットに正の電流を印可して、前記被成膜基板から前記マグネットを見た前記B垂直ゼロ位置によって形成される領域を増大させる
    ことを特徴とする請求項8記載のスパッタリング装置。
  10. 前記マグネットの前記揺動方向端部が前記切り替えポイントを通過した際に、
    前記揺動方向の中央側となる前記マグネットにおいて、前記被成膜基板から前記マグネットを見た前記B垂直ゼロ位置によって形成される領域を縮小させる
    ことを特徴とする請求項7記載のスパッタリング装置。
  11. 前記B垂直ゼロ位置を変動させる前記マグネットに負の電流を印可して、前記被成膜基板から前記マグネットを見た前記B垂直ゼロ位置によって形成される領域を縮小させる
    ことを特徴とする請求項10記載のスパッタリング装置。
  12. 前記カソードユニットが、
    前記マグネットが表面に中央領域を有する平板状のヨークに配置されて、
    前記ヨークの前記中央領域に直線状に配置された中央磁石部と、前記中央磁石部を囲むように周設された周縁磁石部と、を有し、前記中央磁石部および前記周縁磁石部が互いに平行である平行領域を有し、
    前記ヨークの前記表面に設けられた磁気回路と、
    前記磁気回路に重ねて配置されたバッキングプレートと、
    を含み、
    前記B垂直ゼロ位置を変動させる前記マグネットが前記揺動方向に複数本並んで配置される
    ことを特徴とする請求項1から11のいずれか記載のスパッタリング装置。
  13. 被成膜基板の形成領域に向けてスパッタ粒子を放出可能なターゲットを有するカソードユニットが、前記ターゲットにエロージョン領域を形成するマグネットを有し、
    前記マグネットが、マグネット走査部によって基板表面に沿った一方向となる揺動方向(走査方向)に前記被成膜基板に対して相対的に往復動作されるスパッタリング方法であって、
    揺動時における前記ターゲットに対する前記マグネットの揺動位置に対応して、
    前記マグネットによって形成される垂直磁場成分がゼロとなるB垂直ゼロ位置を変動させる
    ことを特徴とするスパッタリング方法。
  14. 揺動時での前記ターゲットに対する前記マグネットの任意の揺動位置において、前記マグネットによって形成される前記B垂直ゼロ位置を変更する
    ことを特徴とする請求項13記載のスパッタリング方法。
  15. 揺動時での前記ターゲットに対する前記マグネットの任意の揺動位置において、前記マグネットによって形成される前記B垂直ゼロ位置と、前記ターゲット表面に沿った方向の表面方向磁場強度と、を独立して変更する
    ことを特徴とする請求項13記載のスパッタリング方法。
  16. 電磁石とされる前記マグネットに正負の電流を印可して、形成される前記B垂直ゼロ位置を変更する
    ことを特徴とする請求項13記載のスパッタリング方法。
  17. 前記マグネットの揺動位置が前記ターゲットに対する揺動幅の端部となる位置において、
    前記マグネットによって形成される前記B垂直ゼロ位置を変更する
    ことを特徴とする請求項14記載のスパッタリング方法。
  18. 前記揺動方向と直交する前記基板表面に沿った方向端部に位置する前記マグネットに印可する電流を変化して前記B垂直ゼロ位置を変動させる
    ことを特徴とする請求項17記載のスパッタリング方法。
  19. 前記揺動方向の両端に近接する位置に切り替えポイントが設定され、
    前記マグネットの前記揺動方向端部が前記切り替えポイントを通過した際に、前記マグネットによって形成される前記B垂直ゼロ位置を変更する
    ことを特徴とする請求項17記載のスパッタリング方法。
  20. 前記マグネットの前記揺動方向端部が前記切り替えポイントを通過した際に、
    前記揺動方向の両端側となる前記マグネットにおいて、前記被成膜基板から前記マグネットを見た前記B垂直ゼロ位置によって形成される領域を増大させる
    ことを特徴とする請求項19記載のスパッタリング方法。
  21. 前記B垂直ゼロ位置を変動させる前記マグネットに正の電流を印可して、前記被成膜基板から前記マグネットを見た前記B垂直ゼロ位置によって形成される領域を増大させる
    ことを特徴とする請求項20記載のスパッタリング方法。
  22. 前記マグネットの前記揺動方向端部が前記切り替えポイントを通過した際に、
    前記揺動方向の中央側となる前記マグネットにおいて、前記被成膜基板から前記マグネットを見た前記B垂直ゼロ位置によって形成される領域を縮小させる
    ことを特徴とする請求項19記載のスパッタリング方法。
  23. 前記B垂直ゼロ位置を変動させる前記マグネットに負の電流を印可して、前記被成膜基板から前記マグネットを見た前記B垂直ゼロ位置によって形成される領域を縮小させる
    ことを特徴とする請求項22記載のスパッタリング方法。
  24. 前記揺動方向に複数本並んで配置された前記マグネットにおいて前記B垂直ゼロ位置を変動させる
    ことを特徴とする請求項20または22記載のスパッタリング方法。
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