JP2022117709A - 補助循環制御装置、補助循環システム - Google Patents
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Abstract
Description
このような体外循環(CPB)では、人工肺(Membrane Lung、以下、MLという場合がある)により、血液のガス交換が行われる。
人工呼吸器を用いる場合、生体肺(NL)の能低下により人工呼吸器による肺換気が充分に機能しないばかりか、人工呼吸器を使用することにより、かえって生体肺機能が低下する心配がある。
具体的には、人工肺(ML)と生体肺(NL)を併存させて、患者から脱血した血液を人工肺(ML)でガス交換して再び体内に戻すことで、生体肺(NL)の機能を人工肺(ML)により補助させるものである。
補助循環(ECMO)による治療は、例えば、数日から1か月程度の長期にわたって行う場合がある。
また、人工呼吸器による生体肺(NL)の管理は、換気量と呼気終末二酸化炭素分圧などのモニタリングに依存しているが、補助循環(ECMO)を用いて血液のガス交換をしている患者の全ての呼吸を管理することはできない。
1)補助循環の依存度合いの適否(例えば、依存度を高くする必要性、依存度低下の可否)を判断すること
2)補助循環装置の依存度合いを低下させること
3)補助循環装置を離脱させることが可能かどうかを判断すること
4)補助循環装置の離脱
(1)この発明の第1態様は、生体に接続され、前記生体から脱血した血液を送血ポンプにより人工肺に送血して、前記人工肺において生体肺と並行して血液をガス交換する補助循環装置を制御する補助循環制御装置であって、前記人工肺に供給する人工肺吸気ガス制御部と、前記人工肺に送血する血液の流量を制御する送血ポンプ流量制御部と、を有し、前記人工肺における血液のガス交換量を変化させるガス交換量制御部と、前記生体における血液ガス交換状況指標を演算する血液ガス交換状況指標演算部と、を備えていることを特徴とする。
また、患者の代謝状況を容易に把握することができる。
また、血液酸素化状況指標とは、例えば、人工肺における酸素飽和度、生体の酸素飽和度、血液のヘモグロビン濃度、血液の酸素分圧等が挙げられ、血液の酸素化度合いを示す周知の他の指標を適用してもよい。
また、データを時系列で蓄積することにより、血液ガス交換状況指標を的確に把握することができる。
その結果、人工肺における血液の酸素化状態を効率的に変化させることができる。
(5)上記(1)~(4)のいずれか一項に記載の補助循環制御装置であって、前記血液ガス交換状況指標が設定された数値範囲内であるかどうかを判定する血液ガス交換状況判定部を備えていてもよい。
その結果、補助循環の依存度低下の可否確認、補助循環の離脱可否確認、補助循環の離脱を効率的に行うことができる。
また、予め設定した状態とは、ガス交換量を変化させる制御を開始したときの状態に限定されず、予め設定された数値、または血液ガス交換状況が適切と判定されていたときの数値、又はこれらに対して一定の比率や差を以って設定された数値等であってもよい。
その結果、生体における補助循環の依存度合いを安全に変化させることができる。
以下、図1~図12を参照して、本発明の第1実施形態に係る補助循環(V-V ECMO)について説明する。
図1は、第1実施形態に係る補助循環(V-V ECMO)の概略構成を説明する概念図である。なお、図1に示す点線は、補助循環制御装置100と各センサ、人工肺ガス供給装置、遠心ポンプドライバを接続する電気ケーブル(一部経路を省略)を示している。
以下、補助循環システム(血液循環回路)を、補助循環システム(V-V ECMO)と表示する。
また、第1実施形態では、患者(生体)Pには、図1に示すように、例えば、補助循環制御装置100と、補助循環システム(V-V ECMO)10と、液晶タッチパネル180と、人工呼吸器140と、パルスオキシメータ(血液酸素化指標測定装置)148が接続されている。
また、患者(生体、人体)Pは、人工呼吸器140が接続されていて、人工呼吸器140から供給された吸気ガスを吸入して、生体肺(NL)において血液を酸素化する人工呼吸を行っている。
この実施形態において、遠心ポンプ(送血ポンプ)115と人工肺120は、補助循環装置を構成する。
そして、脱血ライン111は、患者Pから脱血した血液を、遠心ポンプ115に移送する。
送血ライン112は、例えば、遠心ポンプ115から送り出された血液を人工肺120に移送する。
そして、還流ライン113は、人工肺120から送り出された血液を患者(生体)Pの静脈V1に移送(還流)する。
また、第1環流ライン113には、流量センサ116が配置されている。
また、遠心ポンプ115は、例えば、流量設定スイッチ(不図示)を操作することにより、流量センサ116で流量(流速)を検出してフィードバック制御するように構成されている。
なお、図1では、簡便のために、還流血酸素飽和度センサのみを符号117で示している。
なお、酸素飽和度センサ117の構成は、血液の酸素化の程度を検出可能な範囲で任意に設定することが可能であり、血液酸素化指標を測定可能な公知の種々のセンサを適用してもよい。
そして、補助循環システム(V-V ECMO)10を流れる血液を酸素化する構成とされている。
そして、中空糸膜または平膜等において、供給されたガスの酸素が血液側に移動し、血液に溶存する二酸化炭素が人工肺に供給されるガス側に移動して、血液をガス交換するように構成されている。また、人工肺本体121は、例えば、血液の温度を調整するための熱交換器が一体に形成されている。
なお、人工肺本体121の構成は、血液のガス交換が可能な範囲で任意に設定することが可能である。
そして、人工肺吸気ライン123は、人工肺ガス供給装置122から送り出された人工肺吸気を人工肺本体121に移送する。
また、人工肺吸気ライン123、人工肺呼気ライン124は、例えば、柔軟な樹脂材料によって形成されたチューブにより構成されている。
また、人工肺吸気ガスセンサ125は、人工肺吸気ライン123に配置されている。具体的には、第1人工肺吸気ライン123Aと第2人工肺吸気ライン123Bの間に配置されている。
そして、人工肺吸気ライン123を介して人工肺本体121に送り込まれる吸気の二酸化炭素(CO2)濃度を検出する。
また、人工肺呼気ガスセンサ126は、人工肺呼気ライン124に配置されている。具体的には、人工肺呼気ライン124の下流端に配置されている。
そして、人工肺呼気ライン124を介して人工肺本体121から排出される呼気に含まれる二酸化炭素(CO2)濃度を検出する。
そして、人工呼吸器140は、酸素(O2)濃度を高めた人工呼吸器ガスを患者(生体)Pに供給して、患者Pが効率的に血液のガス交換をするのを補助するように構成されている。
また、図1に示すように、人工呼吸器吸気ライン141には、例えば、人工呼吸器吸気ガスセンサ142が配置されていて、人工呼吸器140から人工呼吸器吸気ライン141を介して患者Pに供給される吸気の二酸化炭素(CO2)濃度を検出可能とされている。
また、図1に示すように、人工呼吸器呼気ライン143には、例えば、人工呼吸器呼気ガスセンサ144が配置されていて、患者Pが排出して人工呼吸器呼気ライン143を介して人工呼吸器140に移送される血液の酸素化に用いられた後の呼気の二酸化炭素(CO2)濃度を検出可能とされている。
図2は、補助循環システム(V-V ECMO)を適用していない患者(生体)Pの血液循環の概略を、図3は、補助循環システム(ECMO)を適用した患者Pの血液循環の概略を説明する概念図である。なお、図2、図3において、心臓と生体肺の間の血液の流れは省略している。
図2、図3において、白い矢印は、ガス交換した後の血液の流れを、塗りつぶした矢印は、ガス交換される前の血液の流れを示している。
まず、図2を参照して、補助循環システム(ECMO)を適用していない場合の血液循環について説明する。
補助循環システム(ECMO)を適用していない場合は、患者(生体)Pにおける血液循環は、図2に示すように、生体肺(NL)で酸素化された後の酸素含有量(酸素含有量パラメータ)CaO2、動脈血酸素飽和度(血液酸素化状況指標)SaO2の血液が、心臓によって動脈A1を通じて全身の生体組織PSに送り出される。
そして、静脈V1を通じて心臓及び生体肺(NL)に還流する。
この血液循環では、動脈A1、静脈V1には、例えば、同じ流量QCOの血液が流れる。
ここで、静脈血の酸素飽和度(血液酸素化状況指標)SvO2は、例えば、スワンガンツカテーテルの計測値を適用してもよい。また、流量QCOはスワンガンツカテーテルの計測値、血圧波形解析、超音波エコー、MRI等を用いて計測してもよい。
次に、図3を参照して、補助循環システム(ECMO)を適用した場合の血液循環について説明する。
補助循環システム(V-V ECMO)10を適用している患者(生体)Pは、図3に示すように、生体肺(NL)で酸素化された動脈血酸素含有量CaO2、動脈血酸素飽和度(血液酸素化状況指標)SaO2、流量(自己心拍出量)QCO)が、心臓によって動脈A1を通じて全身の生体組織PSに送り出される。
なお、図3に示すQREは、酸素化されて静脈V1に戻された後に、再び人工肺(ML)に流れた、補助循環(V-V ECMO)においてリサーキュレーションした血液の流量を示している。
還流点P2で静脈V1に戻された血液は、静脈V1を流れてきた酸素含有量CvO2、酸素飽和度SvO2の血液と混合されて、酸素含有量CvO2(NL)、酸素飽和度(血液酸素化状況指標)SvO2(NL)、流量QCOの混合静脈血となって生体肺(NL)に送られる。
そして、生体肺(NL)で酸素化されて、酸素含有量CaO2、動脈血酸素飽和度SaO2の血液となり、動脈A1に送り出される。
自発率
=生体肺(NL)における酸素摂取量V'O2(NL)/(人工肺(ML)における酸素摂取量V'O2(ML)+生体肺(NL)における酸素摂取量V'O2(NL))
補助循環比率(ECMO Rate)
=(人工肺(ML)における酸素摂取量V'O2(ML))/(人工肺(ML)における酸素摂取量V'O2(ML)+生体肺(NL)における酸素摂取量V'O2(NL))
となる。
ここで、生体肺(NL)における酸素摂取量V'O2(NL)は、患者(生体)の呼吸気に含まれる酸素含有量として取得することができる。
補助循環比率(ECMO Rate)
=(人工肺(ML)における二酸化炭素排出量V'CO2(ML))/(人工肺(ML)における二酸化炭素排出量V'CO2(ML)+生体肺(NL)における二酸化炭素排出量V'CO2(NL))
となる。
ここで、生体肺(NL)における二酸化炭素排出量V'CO2(NL)は、患者(生体)の呼吸気に含まれる二酸化炭素含有量として取得することができる。
動脈血の酸素運搬量を動脈血酸素運搬量DaO2、静脈血の酸素運搬量を静脈血酸素運搬量DvO2で表すと、人工肺(ML)及び生体肺(NL)における酸素摂取量V’O2と、生体組織で消費された酸素の量〔動脈血酸素運搬量DaO2-静脈血酸素運搬量DvO2〕は、数式(101)が成立する。
そして、酸素運搬量DaO2は酸素の供給量を、二酸化炭素総排出V'CO2は酸素消費量と対応しており、生体の生存には消費量よりも供給量が大きいことが必要であるから、以下の数式(107)を満足することが必要である。
その結果、DaO2/V'CO2がValarm(管理目標値)を超えているかどうかを可視化することで患者ごとの管理が可能となる。
であり、右辺第2項は第1項と比較して微少量であることから、右辺第2項を省略すると、
CaO2 ≒((1.34×Hb×SaO2)/100)で表すことができる。したがって、数式(108)は、数式(109)のように表すことができる。
そして、液晶タッチパネル180を操作することにより、人工肺における血液のガス交換量を変化させ、そのときの体重による呼吸効率(血液ガス交換状況指標)を演算するとともに、この体重による呼吸効率に基づいて、血液のガス交換状況が適切かどうかを判定する。
また、補助循環制御装置100は、人工肺120における血液のガス交換量を減少させたときの、体重による呼吸効率を判定して、ガス交換量を変化させる制御を継続し又は解除する。
また、補助循環制御装置100は、例えば、補助循環システム(V-V ECMO)10における補助循環比率(ECMO Rate)、言い換えると補助循環の寄与度を演算する。
この実施形態において、補助循環制御装置100は、各センサから入力された信号をリアルタイムに演算して、出力する構成とされている。
第1演算部160は、コンピュータにより構成されている。
また、第1演算部160は、図4に示すように、第1信号受付部151~第6信号受付部156と接続されていて、これら信号受付部から信号が入力される。
また、第1演算部160には、図示しないケーブルにより、人工肺120及び人工呼吸器140から、それぞれ人工呼吸器140の吸気及び呼気のガス流量信号(不図示)が入力されるように構成されている。
なお、この実施形態では、吸気及び呼気のガス流量として、人工肺120、人工呼吸器140のガス供給量を用いている。
また、第1演算部160は、例えば、第1記憶部165と接続されている。
また、第1記憶部165には、例えば、人工肺二酸化炭素排出量演算部161と、人工呼吸器二酸化炭素排出量演算部162と、人工肺酸素飽和度演算部163と、生体酸素飽和度演算部164が演算する際に参照する定数、データテーブル、演算するための数式等が格納されている。
また、人工肺二酸化炭素排出量演算部161は、人工肺120のガス供給量(吸気及び呼気のガス流量)信号(不図示)を受け取る。
(2)次に、第2受付部152を介して、人工肺呼気二酸化炭素濃度データを受け取る。(S102)
人工肺二酸化炭素濃度差は、例えば、下記の数式により演算する。
人工肺二酸化炭素濃度差=人工肺呼気二酸化炭素濃度-人工肺吸気二酸化炭素濃度
(5)そして、人工肺二酸化炭素排出量を演算する。(S105)
人工肺二酸化炭素排出量は、例えば、以下の数式により演算することができる。
人工肺二酸化炭素排出量(V’CO2(ML)
=人工肺120における二酸化炭素濃度差×人工肺120のガス供給量
=(人工肺呼気二酸化炭素濃度-人工肺吸気二酸化炭素濃度)×人工肺120のガス供給量
なお、上記(S101)~(S105)の手順を実行する際には、必要に応じて第1記憶部165に格納されたデータテーブル(不図示)を参照する。
また、人工呼吸器二酸化炭素排出量演算部162は、人工呼吸器140からガス供給量(吸気及び呼気のガス流量)信号(不図示)を受け取る。
(2)次に、第3受付部154を介して、人工呼吸器呼気二酸化炭素濃度データを受け取る。(S202)
(3)次いで、人工呼吸器吸気二酸化炭素濃度データ及び人工呼吸器呼気二酸化炭素濃度データに基づいて、人工呼吸器二酸化炭素濃度差(=人工呼吸器呼気二酸化炭素濃度-人工呼吸器吸気二酸化炭素濃度)を演算する。(S203)
(4)人工呼吸器140から人工呼吸器ガス供給量データを受け取る。(S204)
人工呼吸器二酸化炭素排出量は、例えば、以下の数式により演算することができる。
人工呼吸器二酸化炭素排出量(V’CO2(NL))
=人工呼吸器140における二酸化炭素濃度差×人工呼吸器140のガス供給量
=(人工呼吸器呼気二酸化炭素濃度-人工呼吸器吸気二酸化炭素濃度)×人工呼吸器140のガス供給量
なお、上記(S201)~(S205)の手順を実行する際には、必要に応じて第1記憶部165に格納されたデータテーブル(不図示)を参照する。
また、この実施形態において、ボリュームカプノ分析等により、生体肺(NL)の二酸化炭素排出量(V’CO2(NL))を演算する。
第2演算部170は、コンピュータにより構成されている。
また、第2演算部170は、図4に示すように、第1演算部160と接続されていて、第1演算部160から演算結果が入力される。
第2記憶部175には、例えば、第2演算部170において演算するための数式や定数、ガス交換状況判定部(血液ガス交換状況判定部)173が血液のガス交換状況を判定するためのガス交換状況判定閾値、又は血液ガス交換状況指標と対応するガス交換状況判定閾値パターンを構成するデータテーブルが格納されている。
(2)次に、人工呼吸器二酸化炭素(CO2)排出量を取得する。(S302)
二酸化炭素(CO2)総排出量は、例えば、以下の数式により演算する。
二酸化炭素総排出量(V’CO2)=人工肺二酸化炭素排出量(V’CO2(ML))+人工呼吸器二酸化炭素排出量(V’CO2(NL))
補助循環比率(ECMO Rate)は、例えば、以下の数式により演算する。
補助循環比率(ECMO Rate)=人工肺二酸化炭素排出量(V’CO2(ML))/生体全体の二酸化炭素総排出量(V’CO2)
二酸化炭素(CO2)排出量に着目した自発率は、以下の数式により表すことができる。
自発率=生体肺(NL)による二酸化炭素(CO2)排出量V'CO2(NL)/(人工肺(ML)による二酸化炭素(CO2)排出量V'CO2(ML)+生体肺(NL)による二酸化炭素(CO2)排出量V'CO2(NL))
なお、二酸化炭素(CO2)排出量に着目した自発率は、補助循環比率(ECMO Rate)から一義的に演算可能である。
患者Pの体重データは、例えば、液晶タッチパネル180に設けられたテンキー(不図示)により入力する。
患者Pの推定代謝による二酸化炭素(CO2)量は、例えば、以下の数式で演算して近似値を得ることができる。
患者Pの推定代謝による二酸化炭素(CO2)量=〔1メッツ〕×0.8×患者Pの体重
ここで、メッツ(MET: metabolic equivalent)は、運動強度の評価を示すものであり、1メッツは、安静時の酸素摂取量(3.5ml/kg/min)で示される。
0.8:呼吸商による定数(呼吸商)
患者Pの体重による呼吸効率は、例えば、以下の数式で演算することができる。
体重による呼吸効率=二酸化炭素総排出量/患者Pの推定代謝による二酸化炭素(CO2)量
また、血液ガス交換状況指標演算部172は、患者Pの体重による呼吸効率を、ガス交換状況判定部173に出力する。
そして、ガス交換状況判定部173は、血液ガス交換状況指標演算部172から受け取った患者Pの体重による呼吸効率、二酸化炭素総排出量、及び判定した結果に関する信号を、ガス交換量制御部176、液晶タッチパネル180にリアルタイムで継続的に出力する。
ガス交換状況判定閾値は、例えば、第2記憶部175を参照して、数値データや、体重による呼吸効率の変化に対応させて設定された閾値パターンをデータテーブルとして取得してもよい。
具体的には、例えば、患者Pの体重による呼吸効率≧ガス交換状況判定閾値である場合(S502:Yes)はS502に移行する。
このとき、ガス交換量制御部176によるガス交換量の変化は引き続き継続される。
一方、患者Pの体重による呼吸効率≧ガス交換状況判定閾値 でない場合(S502:No)は、S503に移行する。
(4)ガス交換状況判定部(血液ガス交換状況判定部)173から血液ガス交換状況不適切の信号が出力されると、ガス交換量制御部176による人工肺120における血液のガス交換量を変化させる制御は停止(例えば、解除)されて、例えば、人工肺120への人工肺吸気ガス供給量、血液流量を、ガス交換量変動制御開始前の状態まで復帰する。
ガス交換状況判定部(血液ガス交換状況判定部)173は、例えば、液晶タッチパネル(表示部)180から終了の指示があるまでS501~S503を実行する。
そして、酸素飽和度表示部174は、例えば、人工肺酸素飽和度と、患者(生体)Pの酸素飽和度をそれぞれ液晶タッチパネル180に出力して表示する。
また、酸素飽和度表示部174は、例えば、人工肺酸素飽和度と、患者(生体)Pの酸素飽和度をそれぞれの閾値と対比する。また、酸素飽和度表示部174は、人工肺酸素飽和度、人工肺酸素飽和度が設定された閾値を下回る等の異常が検出された場合にアラームを出力する構成としてもよい。
なお、閾値は、例えば、液晶タッチパネル180に設けられたテンキー(不図示)により入力して、記憶部(不図示)に格納されている。
また、ガス交換量制御部176は、図4に示すように、例えば、人工肺吸気ガス供給量演算部177と、人工肺吸気ガス制御部178Aと、送血ポンプ流量制御部178Bと、を備えている。
具体的には、人工肺吸気ガス制御部178Aは、人工肺ガス供給装置122と接続され、送血ポンプ流量制御部178Bは、遠心ポンプドライバ115Dを介して、遠心ポンプ(送血ポンプ)115と接続されている。
また、第3記憶部179には、例えば、ガス交換量定常制御、ガス交換量変動制御における、人工肺120におけるガス交換量制御パターンを構成するデータテーブルが格納されている。具体的には、人工肺120に供給する人工肺吸気ガスの酸素含有量、及び人工肺120に送る血液流量について、ガス交換量の変化を開始してからの経過時間と対応させて格納されている。
具体的には、定常動作においては、人工肺吸気ガスが含む酸素含有量を所定範囲内に制御し、変動動作においては、人工肺吸気ガスが含む酸素含有量を設定された制御パターンにしたがって変化(増加又は減少)させるようになっている。
血ポンプ流量制御部178Bは、遠心ポンプドライバ115Dを介して遠心ポンプ115に対して制御信号を出力する。
その結果、遠心ポンプ115から人工肺120に送られる血液流量が人工肺吸気ガス供給量と対応して変化する。
ガス交換量制御部176は、ガス交換量定常制御信号を受けて、例えば、人工肺吸気ガス供給量演算部177において、予め設定したトリガーとなる項目(例えば、人工肺後の酸素飽和度(血液酸素化状況指標)、患者Pの体重による呼吸効率(血液ガス交換状況指標)、人工肺における酸素摂取量等)が所定の範囲内となるように、人工肺吸気ガス供給量、送血流量を演算して、人工肺吸気ガス制御部178A、送血ポンプ流量制御部178Bに出力する。具体的には、患者Pの推定代謝による二酸化炭素(CO2)量を定数とすると、二酸化炭素総排出量が所定の範囲内となるように制御することになる。
(2)次に、人工肺吸気ガス供給量演算部177は、第3記憶部179を参照して、第2演算部170で得られたデータに基づいて、人工肺吸気ガス供給量、送血流量を演算する。(S602)
そして、ガス交換状況判定部173が患者Pの血液ガス交換状況が不適切であるとの信号を出力している場合(S605:No)はS602に移行する。そして、人工肺吸気ガス供給量演算部177は、S602において、第3記憶部179を参照して、ガス交換状況判定部173が演算した患者Pの体重による呼吸効率に基づいて、対応する人工肺吸気ガス供給量、送血流量が演算する。
一方、ガス交換状況判定部173が患者Pの血液ガス交換状況不適切との信号を出力していない場合(S605:Yes)はS603に移行する。
このとき、人工肺吸気ガス供給量演算部177は、人工肺吸気ガス供給量、人工肺に対する送血流量を変化させず巣に引き続いて出力する。
S601~S605は、例えば、ガス交換量定常制御を終了するまで実施する。
ガス交換量変動制御は、例えば、液晶タッチパネル180の操作により出力されたガス交換量変動制御信号を受け取ることにより開始され、予め設定したプログラム(制御パターンや数式等)に基づいて、血液のガス交換量を変動(変化)させる制御である。具体的には、人工肺におけるガス交換量を減少させる場合、ガス交換量を増加させる場合の少なくともいずれか一方を含むものとする。
また、人工肺によるガス交換量を高くする場合は、例えば、補助循環比率(ECMO Rate)を高くすることの要否確認等に適用する。
ガス交換量変動制御終了信号は、例えば、経過時間、設定された血液ガス交換量、目標とする血液ガス交換状況指標の目標達成や、ガス交換量制御パターンの終了により出力される。
そして、ガス交換量変動制御終了信号無しの場合(S705:No)場合はS706に移行する。
一方、ガス交換量変動制御終了信号有りの場合(S705:Yes)場合はS708に移行する。
そして、血液ガス交換状況指標不適切でない場合(S706:No)はS703に移行する。
一方、血液ガス交換状況指標不適切である場合(S706:Yes)はS707に移行する。
ガス交換量変動制御終了時に設定する人工肺吸気ガス供給量、送血流量は、例えば、ガス交換変動制御を開始した状態まで復帰させてもよいし、予め設定した数値や、S606で血液ガス交換状況不適切を確認したときの人工肺吸気ガス供給量、送血流量のままとしてもよいし、これらに対して一定の数値又は比率で補正した人工肺吸気ガス供給量、送血流量まで変化させてもよい。また、第3記憶部179に格納された人工肺吸気ガス供給量、送血流量まで変化させてもよい。
また、人工肺吸気ガス供給量、送血流量を所定の数値まで変化させた後に、ガス交換量変動制御を再開してもよい。
なお、ガス交換量変動制御を停止とは、ガス交換量変動制御を解除すること、一時的に中断することのいずれでもよく、液晶タッチタッチパネル180からの指示に関係なく実行される。また、S705において、ガス交換量変動制御が終了信号を検出した場合においては、ガス交換量変動制御の終了を意味する。
S703~S706は、例えば、人工肺120が離脱されるか、ガス交換量を変化させる制御を停止(例えば、解除)又はガス交換量変動制御を終了するまで実施する。
液晶タッチパネル180は、図12に示すように、例えば、人工肺呼吸表示部181と、人工呼吸器呼吸表示部182と、生体の二酸化炭素排出量表示部183と、生体の推定代謝による二酸化炭素量表示部184と、補助循環比率(ECMO Rate)(血液ガス交換状況指標)表示部185と、体重による呼吸効率(血液ガス交換状況指標)表示部186と、生体の酸素飽和度表示部187と、グラフ表示部188と、パネルスイッチ部(操作部)189と、を備えている。
人工肺後酸素飽和度表示部187A、生体酸素飽和度表示部187Bは、酸素飽和度表示部174が出力した人工肺120、及び生体の酸素飽和度信号受け取って、数値により表示する。
補助循環比率(ECMO Rate)表示部188Aは、例えば、補助循環比率演算部171が出力した補助循環比率(ECMO Rate)のグラフAを、リアルタイムかつ時系列的に表示する。
その結果、補助循環の依存度低下の可否確認、補助循環の離脱可否の確認、補助循環の離脱を効率的に行うことができる。
また、生体肺による血液の酸素化状態を効率的に把握することができる。
以下、図13、図14を参照して、本発明の第2実施形態に係る補助循環(V-A ECMO)について説明する。
図13は、本発明の第2実施形態に係る補助循環(V-A ECMO)の概略構成を説明する概念図である。なお、図13に示す点線は、補助循環制御装置100と各センサ、人工肺ガス供給装置、遠心ポンプドライバを接続する電気ケーブル(一部経路を省略)を示している。
また、図14は、補助循環(V-A ECMO)を適用している患者の血液循環の概略を説明する概念図である。
図13において、符号20は補助循環システム(V-A ECMO)を示している。
また、第2実施形態では、患者(生体)Pには、例えば、補助循環制御装置100と、補助循環システム(V-A ECMO)20と、液晶タッチパネル180と、人工呼吸器140と、パルスオキシメータ(血液酸素化指標測定装置)148が接続されている。
また、補助循環制御装置100、液晶タッチパネル180の接続、作用についても第1実施形態と同様であるので、同じ符号を付して説明を省略する。
補助循環システム(V-A ECMO)20を適用している患者(生体)Pは、図14に示すように、生体肺(NL)で酸素化された酸素含有量CaO2(NL)、血酸素飽和度(血液酸素化状況指標)SaO2(NL)、流量(自己心拍出量)QCOの血液が、心臓によって動脈A1に送り出される。
そして、還流点P2で合流した血液は混合されて、酸素含有量CaO2、動脈血酸素飽和度SaO2、流量QCIR(=QCO+QECMO)の血液となり、動脈A1を通じて、生体組織PSに流れる。
酸素含有量CvO2、酸素飽和度SvO2まで低下した流量QCIRの静脈血は、静脈V1を通じて心臓、生体肺(NL)に向かって流れる。
そして、生体肺(NL)で酸素化されて、酸素含有量CaO2(NL)、酸素飽和度SaO2(NL)、流量(自己心拍出量)QCOの血液となり、動脈A1に送り出される。
また、図14に示す血液循環では、人工肺(ML)及び生体肺(NL)で、上述の数式(101)に示す〔DaO2-DvO2〕だけ酸素化される。
補助循環流量QECMOに着目した場合には、補助循環(V-A ECMO)における血液循環では、第1実施形態に係る補助循環(V-V ECMO)で説明した数式(101)~数式(106)が成立する。内容については、第1実施形態と同様であるので、説明を省略する。
動脈A1を通じて生体組織PSに流れる血液の動脈血酸素含有量CaO2、循環血流量QCIRとすると、動脈血酸素運搬量DaO2は、以下の数式(201)のように表すことができる。
次に、酸素運搬量DaO2を二酸化炭素(CO2)総排出量V’CO2(=V’CO2(NL)+V’CO2(ML))で除した数式(205)で算出される値が一定の値より大きいときには安全な循環動態と考えられるので、その値を閾値Valarm(管理目標値)として設定すると、DaO2/ V’CO2>Valarmと表すことができる。そして、数式(204)の右辺に着目すると、以下に示す数式(205)が成立する。
ここで、流量QCOは、例えば、スワンガンツカテーテルの計測値、血圧波形解析、超音波エコー、MRI等を用いて計測してもよい。
次に、補助循環流量QECMOに着目した場合について説明する。
(2)補助循環流量QECMOに着目する場合
静脈血の酸素運搬量を静脈血酸素運搬量DvO2とすると、酸素移動に関して酸素の質量は保存されることから、以下の数式(209)が成立する。
であり、右辺第2項は第1項と比較して微少量であることから
CvO2 ≒((1.34×Hb×SvO2)/100)
と省略できる。したがって、式(214)は、式(215)のように変形することができる。
また、上記実施形態においては、補助循環制御装置100を、補助循環(V-V ECMO)10、補助循環(V-A ECMO)20の制御に適用する場合について説明したが、例えば、補助循環(V-V-A ECMO)の制御に適用してもよい。
また、遠心ポンプ115の血液流量に対応させて、人工肺吸気ガスの酸素含有量を変化させる構成としてもよい。
また、上記実施形態に示した補助循環制御装置100のブロック図における各ブロックの機能、信号のやり取りは一例であり、上記ブロック部に限定されない。
10 補助循環システム(V-V ECMO)
20 補助循環システム(V-A ECMO)
100 補助循環制御装置
111 脱血ライン
112 送血ライン
113 還流ライン
115 遠心ポンプ(送血ポンプ)
116 流量センサ
118 送血オートクランプ
119 リサーキュレーションクランプ
120 人工肺
121 人工肺本体
122 人工肺ガス供給装置
125 人工肺吸気ガスセンサ
126 人工肺呼気ガスセンサ
140 人工呼吸器
142 人工呼吸器吸気ガスセンサ
144 人工呼吸器呼気ガスセンサ
171 補助循環比率演算部
172 血液ガス交換状況指標演算部
173 ガス交換状況判定部(血液ガス交換状況判定部)
174 酸素飽和度表示部(血液酸素化指標表示部)
176 ガス交換量制御部
178A 人工肺吸気ガス制御部
178B 送血ポンプ制御部
180 液晶タッチパネル
Claims (11)
- 生体に接続され、前記生体から脱血した血液を送血ポンプにより人工肺に送血して、前記人工肺において生体肺と並行して血液をガス交換する補助循環装置を制御する補助循環制御装置であって、
前記人工肺に供給する人工肺吸気ガス制御部と、前記人工肺に送血する血液の流量を制御する送血ポンプ流量制御部と、を有し、前記人工肺における血液のガス交換量を変化させるガス交換量制御部と、
前記生体における血液ガス交換状況指標を演算する血液ガス交換状況指標演算部と、
を備えていることを特徴とする補助循環制御装置。 - 請求項1に記載の補助循環制御装置であって、
前記血液ガス交換状況指標演算部は、
設定された時間間隔で演算する
ことを特徴とする補助循環制御装置。 - 請求項1又は2に記載の補助循環制御装置であって、
前記ガス交換量制御部は、
前記人工肺における血液のガス交換量を変化させる際に、前記人工肺に供給する人工肺吸気ガスの酸素含有量と、前記人工肺に送る血液の流量、の少なくともいずれか一方を変化させる
ことを特徴とする補助循環制御装置。 - 請求項1又は2に記載の補助循環制御装置であって、
前記ガス交換量制御部は、
前記血液ガス交換状況指標演算部が演算した前記血液ガス交換状況指標に基づいて、前記人工肺における血液のガス交換量を制御する
ことを特徴とする補助循環制御装置。 - 請求項1~4のいずれか一項に記載の補助循環制御装置であって、
前記血液ガス交換状況指標が設定された数値範囲内であるかどうかを判定する血液ガス交換状況判定部を備えている
ことを特徴とする補助循環制御装置。 - 請求項5に記載の補助循環制御装置であって、
前記血液ガス交換状況判定部は、
前記人工肺における血液のガス交換量を変化させたときの前記血液ガス交換状況指標を演算して、前記人工肺により行う補助循環の低下によって前記血液ガス交換状況指標が設定された数値範囲内にあるかどうかにより補助循環の依存度低下が適切かどうかを判定するように構成されている
ことを特徴とする補助循環制御装置。 - 請求項1~6のいずれか一項に記載の補助循環制御装置であって、
前記ガス交換量制御部は、
予め設定されたプログラムにしたがって前記人工肺における血液のガス交換量を変化可能に構成されていて、
前記血液ガス交換状況指標演算部は、
前記ガス交換量制御部が前記プログラムにしたがって前記人工肺における血液のガス交換量を変化させたときの前記血液ガス交換状況指標を演算する
ことを特徴とする補助循環制御装置。 - 請求項7に記載の補助循環制御装置であって、
前記ガス交換量制御部は、
前記人工肺における血液のガス交換量を変化させる際に、前記生体肺が補助循環に対する依存が低下する回復時間と対応させて、前記人工肺における血液のガス交換量を減少させるように構成されている
ことを特徴とする補助循環制御装置。 - 請求項8に記載の補助循環制御装置であって、
前記ガス交換量制御部は、
前記人工肺における血液のガス交換量を変化させていて、予め設定された補助循環依存度低下動作の停止条件を検出した場合に、前記人工肺に送血する血液流量と前記人工肺に供給する人工肺吸気ガスの酸素含有量を予め設定した状態まで復帰させる
ことを特徴とする補助循環制御装置。 - 請求項7~9のいずれか一項に記載の補助循環制御装置であって、
前記血液ガス交換状況指標演算部が演算した血液ガス交換状況指標が設定された数値範囲から外れた際にアラームを出力する
ことを特徴とする補助循環制御装置。 - 請求項1~10のいずれか一項に記載の補助循環制御装置を備えていることを特徴とする補助循環システム。
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