JP2022117299A - 紫外線発光素子 - Google Patents

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Takatsugu Kobayashi
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Abstract

【課題】外部量子効率の高い紫外線発光素子を提供する。【解決手段】紫外線発光素子は、基板と、基板上に配置された第1導電型半導体層と、第1導電型半導体層上に配置された多重量子井戸構造と、多重量子井戸構造上に配置された第2導電型半導体層と、を備える。多重量子井戸構造は、AlxGa1-xN層(0.7≦x<1)とAlyGa1-yN層(y>x)が8周期以上200周期以下繰り返し積層した構造を有する。【選択図】図1A

Description

本発明は紫外線発光素子に関する。
従来の紫外線発光素子としては、例えば特許文献1に開示されているように、多重量子井戸層を備えたものが知られている。
特許第6727185号公報
本発明の課題は、エネルギー変換効率や素子寿命の観点から、外部量子効率の高い紫外線発光素子を提供することである。
本発明の第1の態様においては、基板と、前記基板上に配置された第1導電型半導体層と、
前記第1導電型半導体層上に配置された多重量子井戸構造と、前記多重量子井戸構造上に配置された第2導電型半導体層と、を備え、前記多重量子井戸構造は、AlGa1-xN層(0.7≦x<1)とAlGa1-yN層(y>x)が8周期以上200周期以下繰り返し積層した構造を有する、紫外線発光素子を提供する。
本発明の第2の態様においては、基板と、前記基板上に配置された第1導電型半導体層と、前記第1導電型半導体層上に配置された多重量子井戸構造と、前記多重量子井戸構造上に配置された第2導電型半導体層と、を備え、前記多重量子井戸構造は、膜厚が0.25nm以上1.5nm以下のAlGa1-zN層(0≦z<1)とAlGa1-yN層 (y>z)が8周期以上200周期以下繰り返し積層した構造を有する、紫外線発光素子を提供する。
なお、上記の発明の概要は、本発明の特徴の全てを列挙したものではない。また、これらの特徴群のサブコンビネーションもまた、発明となりうる。
本発明によれば、外部量子効率の高い紫外線発光素子を提供することが可能になる。
本実施形態の具体例1に係る紫外線発光素子1を示す断面図である。 本実施形態の具体例1に係る多重量子井戸構造12を示す断面図である。 本実施形態の具体例2に係る紫外線発光素子1Aを示す断面図である。 本実施形態の具体例2に係る多重量子井戸構造14を示す断面図である。 本実施形態の具体例3に係る紫外線発光素子1Bを示す断面図である。 本実施形態の具体例4に係る紫外線発光素子1Cを示す断面図である。 本実施形態の具体例5に係る紫外線発光素子1Dを示す断面図である。 実施例2における繰り返し周期ごとの電子密度と外部量子効率の関係を示すグラフである。 実施例2において繰り返し周期が5回の場合の電子密度と正孔密度を示すグラフである。 実施例2において繰り返し周期が10回の場合の電子密度と正孔密度を示すグラフである。 参考例2における繰り返し周期ごとの電流密度と外部量子効率の関係を示すグラフである。 参考例2における繰り返し周期が5回の場合の電子密度・正孔密度を示すグラフである。 参考例2における繰り返し周期が10回の場合の電子密度・正孔密度を示すグラフである。 実施例3における繰り返し周期ごとの電流密度と外部量子効率の関係を示すグラフである。 参考例3における繰り返し周期ごとの電流密度と外部量子効率の関係を示すグラフである。
以下、発明の実施の形態を通じて本発明を説明するが、以下の実施形態は特許請求の範囲にかかる発明を限定するものではない。また、実施形態の中で説明されている特徴の組み合わせの全てが発明の解決手段に必須であるとは限らない。
<第1実施形態の紫外線発光素子>
第1実施形態の紫外線発光素子は、基板と、基板上に配置された第1導電型半導体層と、第1導電型半導体層上に配置された多重量子井戸構造と、多重量子井戸構造上に配置された第2導電型半導体層と、を備える。
第1実施形態の紫外線発光素子の多重量子井戸構造は、AlGa1-xN層(0.7≦x<1)とAlGa1-yN層(y>x)が8周期以上200周期以下繰り返し積層した構造を有する。
多重量子井戸構造として、AlGa1-xN層(0.7≦ x<1)とAlGa1-yN層(y>x)が8周期以上200周期以下繰り返した構造を採用することにより、外部量子効率が格段に向上するという効果を奏する。
一般に、繰り返し構造のうちバンドギャップが小さい方の層は量子井戸層(Quantum Well層)と称され、バンドギャップが大きい方はバリア層と称される。
従来は繰り返し周期を増やしても外部量子効率が向上することは期待されていなかった。これは、電子正孔対はp型半導体層側に最も近い量子井戸層における再結合が主であり、p型半導体層より離れている量子井戸層においてはほとんど再結合しないと考えられていたことに起因する。むしろ繰り返し周期を増やすことによって、駆動電圧の上昇や、格子緩和による結晶性の悪化が懸念されるため繰り返し周期を増やすことは避けるべきと考えられていた。
しかし、膜組成がAlGa1-xN層(0.7≦ x<1)とAlGa1-yN層(y>x)の繰り返し構造とすることにより、駆動電圧の上昇や格子緩和による結晶性の悪化を抑制しつつ、外部量子効率が向上する。これは、このような繰り返し周期を用いることで、電子正孔対が電子ブロック層に最も近い量子井戸層だけではなく、すべての量子井戸層においてほぼ均一に再結合が行われ、すべての量子井戸層が発光に大きく寄与することで高い外部量子効率が得られるからであると考えられる。なお、外部量子効率とは、例えば、紫外線発光素子において、紫外線発光素子の外部に放出される単位時間あたりの光量子数と、紫外線発光素子に流れる電流(すなわち、紫外線発光素子を流れる単位時間あたりの電子数)との比で定義される。この比は、例えば百分率(%)で示される。
また、AlGa1-xN層(0.7≦x<1)とAlGa1-yN層(y>x)の繰り返し構造であることによって中心発光波長は200~240nmとなり、波長の短い紫外線を高い外部量子効率で発光することが可能となる。
第1実施形態の紫外線発光素子において、多重量子井戸構造を構成するAlGa1-xN層(0.7≦x<1)とAlGa1-yN層(y>x)のそれぞれの厚みは特に制限されないが、内部量子効率の観点からAlGa1-xN層(0.7≦x<1)の厚みは0.25nm以上2.0nm以下であることが好ましく、0.25nm以上1.5nm以下であることがより好ましい場合がある。なお、内部量子効率とは、例えば、紫外線発光素子の結晶内部で発生する単位時間あたりの光量子数と、紫外線発光素子に流れる電流(すなわち、紫外線発光素子を流れる単位時間あたりの電子数)との比で定義される。この比は、例えば百分率(%)で示される。
AlGa1-yN層(y>x)の膜厚は特に制限されないが、内部量子効率の観点から2nm以上20nm以下であることが好ましい場合がある。
<第2実施形態の紫外線発光素子>
第2実施形態の紫外線発光素子は、基板と、基板上に配置された第1導電型半導体層と、第1導電型半導体層上に配置された多重量子井戸構造と、多重量子井戸構造上に配置された第2導電型半導体層と、を備える。
第2実施形態の紫外線発光素子の多重量子井戸構造は、膜厚が0.25nm以上2.0nm以下のAlGa1-zN層(0≦z<1)とAlGa1-yN層(y>z)が8周期以上200周期以下繰り返し積層した構造を有する。
多重量子井戸構造として、膜厚が0.25nm以上2.0nm以下のAlGa1-zN層(0≦z<1)とAlGa1-yN層(y>z)が8周期以上200周期以下繰り返し積層した構造を採用することにより、外部量子効率が格段に向上するという効果を奏する。
上述の通り、繰り返し周期を増やしても外部量子効率が向上することは期待されず、むしろ駆動電圧の上昇や、格子緩和による結晶性の悪化が懸念されていたが、膜厚が0.25nm以上2.0nm以下、好ましくは膜厚が0.25nm以上1.5nm以下のAlGa1-zN層(0≦z<1)と、AlGa1-yN層(y>z)との繰り返し構造とすることにより、予想に反して外部量子効率が向上することを本発明者は見出した。
第2実施形態の紫外線発光素子の多重量子井戸構造のAlGa1-zN層(0≦z<1)とAlGa1-yN層(y>z)の各組成は特に制限されないが、電流注入効率の観点から、AlGa1-zN層(0≦z<1)は0.50≦z≦1であることが好ましく、0.7≦z<1であることがより好ましい場合がある。
AlGa1-yN層(y>z)の膜厚は特に制限されないが、内部量子効率の観点から2nm以上20nm以下であることが好ましい場合がある。
次に、上記第1実施形態および第2実施形態の紫外線発光素子(以下、併せて本実施形態の紫外線発光素子と称する)に共通した事項を説明する。
<基板>
本実施形態の紫外線発光素子の基板は、その上に第1導電型半導体層を配置することが可能なものであれば特に制限されない。具体的には、基板として、窒化アルミニウム基板、サファイア基板、GaN基板などが挙げられる。基板上に結晶性の高い半導体層を配置する観点から、基板は窒化アルミニウム基板であることが好ましく、単結晶窒化アルミニウム基板であることがより好ましい場合がある。ここで、本実施形態の紫外線発光素子の説明において、「Aの上にBを配置する」とは、Aの表面上に直接Bを配置する形態と、Aの表面から別の物質を介して間接的にBを配置する形態の両方を意味する。
<第1導電型半導体層>
本実施形態の紫外線発光素子の第1導電型半導体層は、その上に多重量子井戸構造を配置することが可能なものであれば特に制限されない。第1導電型半導体層の具体的な膜組成の一例としては、AlN、GaN、InNおよびこれらの混晶が挙げられる。
ここで第1導電型半導体層および第2導電型半導体層とは、それぞれ異なる導電型を示す半導体層であることを意味する。すなわち、一方がn型導電性を示す場合、他方がp型導電性を示すものであることを意味する。n型導電性を示す半導体層を得る方法は特に制限されないが、例えばSiをn型ドーパントとして用いたn-AlGaNが挙げられる。同様に、p型導電性を示す半導体層を得る方法も特に制限されないが、例えばMgをp型ドーパントとして用いたp-AlGaNが挙げられる。特に制限されないが、結晶性や表面平坦性の観点から、第1導電型半導体層がn型半導体層であることが好ましい場合がある。
第1導電型半導体層の材料は特に制限されないが、一例としてはAlGaN、GaNなどが挙げられる。結晶性の高い多重量子井戸構造を配置する観点から、第1導電型半導体層はn-AlGaNであることが好ましい場合がある。第1導電型半導体層としてn-AlGaNを採用する場合、電気伝導性や第1導電型半導体層における光吸収の観点からAl組成が0.70以上1.0以下であることがより好ましい場合がある。Al組成とは、Al原子とGa原子の合計に対するAl原子の割合を意味する。
第1導電型半導体層の厚みは特に制限されないが、駆動電圧あるいは結晶性の観点から300nm以上1.5μm以下が好ましい場合がある。
<第2導電型半導体層>
本実施形態の紫外線発光素子の第2導電型半導体層は、多重量子井戸構造上に配置されるものであれば特に制限されない。第2導電型半導体層の具体的な膜組成の一例としては、AlN、GaN、InNおよびこれらの混晶が挙げられる。電気伝導や接触抵抗の観点から、第2導電型半導体層はp-AlGaNであることが好ましい場合がある。
第2導電型半導体層の厚みは特に制限されないが、高い光出力を実現するという観点から、5nm以上110nm以下であることが好ましく、さらに15nm以上90nm以下がより好ましい。
<電子ブロック層>
本実施形態の紫外線発光素子は、電子をブロックして多重量子井戸層に電子をより注入させるという観点から、多重量子井戸構造と第2導電型半導体層との間に、AlGa1-bN層(b>x)を更に備えてもよい。AlGa1-bN層(b>x)は電子ブロック層とも呼ばれる。
<グレーデッド層>
本実施形態の紫外線発光素子は、界面でのポテンシャル不連続性を低減し、第1導電型半導体層から多重量子井戸層への電子あるいは正孔の注入効率を向上させるという観点から、第1導電型半導体層と多重量子井戸構造との間に、AlGa1-aN層(aは、0.87以上0.92以下であり、第1導電型半導体層側から多重量子井戸構造側にかけて連続的または段階的に増加する)を更に備えてもよい。Al組成が連続的又は段階的に変化する層はグレーデッド層とも称される。
なお、本実施形態において、AlGa1-aN層のaは0.87未満や0.92を超過する範囲を含むことを妨げるものではない。例えば、AlGa1-aN層のaは、0以上1以下であり、第1導電型半導体層側から多重量子井戸構造側にかけて連続的又は段階的に増加するものであってもよい。このような場合も、AlGa1-aN層のaは0.87以上0.92以下の範囲において連続的または段階的に増加する構成を含むため、本実施形態のAlGa1-aN層に含まれる。
グレーデッド層の膜厚は1.0nm以上30nm以下であることが望ましく、2nm以上20nm以下であることがより好ましい。
さらに、グレーデッド層にはC、H、Si、Mgなどの不純物が含まれていてもよく、不純物の種類はこれらに限定されない。
また、本実施形態の紫外線発光素子は、第2導電型半導体層から多重量子井戸層への電子あるいは正孔の注入効率を向上させるという観点から、多重量子井戸構造と第2導電型半導体層との間に、AlGa1-cN層(cは、0.15以上0.95以下であり、多重量子井戸構造側から第2導電型半導体層側にかけて連続的または段階的に減少する)層を更に備えていてもよい。このとき、AlGa1-cN層のcは0.15未満や0.95を超過する範囲を含むことを妨げるものではない。例えば、AlGa1-cN層のcは、0以上1以下であり、多重量子井戸構造側から第2導電型半導体層側にかけて連続的又は段階的に減少するものであってもよい。このような場合も、AlGa1-cN層のcは0.15以上0.95以下において連続的または段階的に減少する構成を含むため、本実施形態のAlGa1-cN層に含まれる。
<電極>
本実施形態の紫外線発光素子は、多重量子井戸構造に電子および正孔を効率的に注入するために電極を備えていてもよい。電極は特に制限されないが、第1導電型半導体層と電気的に接続される第1電極と、第2導電型半導体層と電気的に接続される第2電極であってもよい。電極は物理的に接触する層とオーミック接続となることが好ましい。
第1電極、あるいは第2電極にはAl、Au、Ti、Ni、Va、Cr、Rh、Mo、Pt、Taなどの金属あるいはこれらの混晶が挙げられる。
<発光波長>
本実施形態の紫外線発光素子は、波長が215nm以上240nm以下の光を放出するものであることが好ましく、中心発光波長が220nm以上230nm以下の光を放出するものであることがより好ましい。波長が215nm以上240nm以下の光を放出するものにするための方法は特に制限されないが、例えば多重量子井戸構造における量子井戸層のAl組成を0.70以上1.0以下にする方法や多重量子井戸構造における量子井戸層の膜厚を2nm以下にする方法などが挙げられる。
<絶縁層>
本実施形態に係る紫外線発光素子は、信頼性の観点から表面の少なくとも一部が絶縁層で覆われていてもよい。絶縁層の材料としては特に制限されないが、酸化ケイ素、窒化ケイ素、酸化アルミニウムなどが挙げられる。
<測定方法>
(膜厚測定)
本実施形態の紫外線発光素子の各層の膜厚は、基板の主面に垂直な所定断面を切り出して、この断面を透過型電子顕微鏡(TEM)により観察し、TEM測長機能を使用することで測定できる。測定方法としては、先ず、TEMを用いて、窒化物半導体素子の基板の主面に対して垂直な断面を観察する。具体的には、例えば、窒化物半導体素子の基板の主面に対して垂直な断面を示すTEM画像内の、基板の主面に対して平行な方向において2μm以上の範囲を観察幅とする。この観察幅の範囲において、組成の異なる二層の界面にはコントラストが観察されるので、この界面までの厚さを、幅200nmの連続する観察領域で観察する。この200nm幅の観察領域内に含まれる各層の厚さの平均値を、上記2μm以上の観察幅から任意に抽出した5箇所から算出することで、各層の膜厚を得る。
(組成測定)
本実施形態の紫外線発光素子の各層の組成の測定法として、X線回折(XRD:X-Ray Diffaction)法による逆格子マッピング測定(RSM:Reciprocal Space Mapping)が挙げられる。具体的には、非対称面を回折面として得られる回折ピーク近傍の逆格子マッピングデータを解析することにより、Al組成が得られる。上記回折面としては、例えば(10-15)面や(20-24)面が挙げられる。
また、量子井戸層やグレーデッド層などのXRDで十分な反射強度が得られない層については、X線光電分光法(XPS:X-ray Photoelectron Spectroscopy)、エネルギー分散型X線分光法(EDX:Energy Dispersive X-ray spectroscopy)、および電子エネルギー損失分光法(EELS:Electron Energy-Loss Spectroscopy)によって測定することができる。
EELSでは、電子線が試料を透過する際に失うエネルギーを測定することで、試料の組成を分析する。具体的には、例えば、TEM観察等で使用する薄片化試料において、透過電子線の強度のエネルギー損失スペクトルを測定・解析する。そして、エネルギー損失量20eV付近に現れるピークのピーク位置が、各層の組成に応じて変化することを利用し、ピーク位置から組成を求めることができる。
上述のTEM観察による層厚算出方法と同様にして、観察幅200nmにおけるAl組成の平均値を、2μm以上の観察領域から任意に抽出した5箇所から算出することで、各層のAl組成を得る。
EDXでは、上述のTEM観察等で使用する薄片化試料において電子線によって発生する特性X線を測定・解析する。上述のTEM観察による層厚算出方法と同様にして、観察幅200nmにおけるAl組成の平均値を、2μm以上の観察領域から任意に抽出した5箇所から算出することで、各層のAl組成を得る。
XPSでは、イオンビームを用いたスパッタエッチングを行いながらXPS測定を行うことで、深さ方向の評価が可能である。イオンビームには一般的にAr+が用いられるが、XPS装置に搭載されたエッチング用イオン銃で照射できるイオンであれば、例えばArクラスターイオンなどの他のイオン種でもよい。Al、Ga、NのXPSピーク強度を測定・解析して各層のAl組成の深さ方向分布を得る。スパッタエッチングの代わりに、基板の主面に対して垂直な断面が拡大されて露出されるようにレーザダイオードを斜め研磨して、露出断面をXPSで測ってもよい。
XPSだけでなくオージェ電子分光法(AES:Auger Electron Spectroscopy)を用いても各層の組成を測定できる。この場合、スパッタエッチングあるいは斜め研磨により露出させた断面においてオージェ電子分光法による測定を行うことで、組成を測定できる。また、斜め研磨により露出させた断面に対するSEM-EDX測定によっても、各層の組成を測定できる。本実施形態の紫外線発光素子の多重量子井戸構造の繰り返し周期の数は、量子井戸層の数で定義され、上記と同様にTEM観察により測定することが可能である。
(発光波長測定)
本実施形態の紫外線発光素子の発光波長は、フォトルミネッセンス(PL)測定により測定することが可能である。以下、PL測定の詳細について説明する。
PL測定では、量子井戸層のバンドギャップエネルギーよりも大きなエネルギーを持つレーザ光を、試料表面から45度程度傾いた角度で照射する。その際に、レンズを用いて試料へ照射するスポット径を小さくしてもよいし、フィルタを用いてレーザ光の強度を変えてもよい。照射されたレーザ光によって、試料の量子井戸層では電子が伝導体に励起され、電子正孔対を生成する。その後、励起された電子は基底状態に戻り、正孔との再結合の過程でバンドギャップに応じた波長の光を発生させる。発生させた光はサンプル直上から取得する。取得した光は回折格子を通すことで光を波長ごとに分解して、試料の発光波長を測定できる。
<具体例>
次に、図面を参照して本実施形態の具体例を示す。なお、以下の説明で参照する図面の記載において、同一又は類似の部分には同一又は類似の符号を付している。ただし、図面は模式的なものであり、厚さと平面寸法との関係、各層の厚さの比率等は現実のものとは異なることに留意すべきである。したがって、具体的な厚さや寸法は以下の説明を参酌して判断すべきものである。また、図面相互間においても互いの寸法の関係や比率が異なる部分が含まれていることは勿論である。
また、以下の説明における上下等の方向の定義は、単に説明の便宜上の定義であって、本開示の技術的思想を限定するものではない。例えば、対象を90°回転して観察すれば上下は左右に変換して読まれ、180°回転して観察すれば上下は反転して読まれることは勿論である。
また、以下に示す具体例はあくまで一例であり、本実施形態は以下に示す具体例に限定されるものではない。
(具体例1)
図1Aは、本実施形態の具体例1に係る紫外線発光素子1を示す断面図である。図1Aに示すように、紫外線発光素子1は、基板10と、基板10上(すなわち、基板10の主面10a上)に配置された第1導電型半導体層11と、第1導電型半導体層11上に配置された多重量子井戸構造12と、多重量子井戸構造12上に配置された第2導電型半導体層13と、を備える。
図1Bは、本実施形態の具体例1に係る多重量子井戸構造12を示す断面図である。図1Bに示すように、多重量子井戸構造12は、AlGa1-xN層(0.7≦x<1)21とAlGa1-yN層(y>x)22がn周期(nは8以上、200以下の整数)繰り返し積層した構造を有する。すなわち、1つのAlGa1-xN層(0.7≦x<1)21と1つのAlGa1-yN層(y>x)22とで構成される1つの積層単位が、n層積層した構造を有する。
例えば、複数の積層単位20-1、20-2…、20-(n-1)、20-nの各々において、AlGa1-xN層21の厚みは0.25nm以上2.0nm以下であってもよい。AlGa1-xN層21とAlGa1-yN層22の繰り返しの周期の開始と終了は、AlGa1-xN層21としてもよい。
紫外線発光素子1が放出する光の波長は、例えば、200nm以上240nm以下である。
(具体例2)
図2Aは、本実施形態の具体例2に係る紫外線発光素子1Aを示す断面図である。図2Aに示すように、紫外線発光素子1Aは、基板10と、基板10上(すなわち、基板10の主面10a上)に配置された第1導電型半導体層11と、第1導電型半導体層11上に配置された多重量子井戸構造14と、多重量子井戸構造14上に配置された第2導電型半導体層13と、を備える。
図2Bは、本実施形態の具体例2に係る多重量子井戸構造14を示す断面図である。図2Bに示すように、多重量子井戸構造14は、膜厚が0.25nm以上1.5nm以下のAlGa1-zN層(0≦z<1)41とAlGa1-yN層(y>z)42がn周期(nは8以上、200以下の整数)繰り返し積層した構造を有する。すなわち、1つのAlGa1-zN層(0≦z<1)41と1つのAlGa1-yN層(y>z)42とで構成される1つの積層単位が、n層積層した構造を有する。複数の積層単位40-1、40-2…、40-(n-1)、40-nの各々において、AlGa1-zN層(0≦z<1)41の膜厚は0.25nm以上1.5nm以下である。
例えば、複数の積層単位40-1、40-2…、40-(n-1)、40-nの各々において、AlGa1-yN層(y>z)の膜厚は2nm以上20nm以下であってもよい。
また、AlGa1-zN層41において、zの範囲は、0.50≦z≦1であってもよい。AlGa1-zN層41とAlGa1-yN層42の繰り返しの周期の開始と終了は、AlGa1-zN層41としてもよい。
紫外線発光素子1Aが放出する光の波長は、例えば、200nm以上240nm以下である。
(具体例3)
図3は、本実施形態の具体例3に係る紫外線発光素子1Bを示す断面図である。図3に示すように、紫外線発光素子1Bは、第1導電型半導体層11と多重量子井戸構造12との間に、AlGa1-aN層15を備える。AlGa1-aN層15はグレーデッド層である。AlGa1-aN層15のaは、0.87以上0.92以下である。AlGa1-aN層15のaは、第1導電型半導体層11側から多重量子井戸構造12側にかけて連続的または段階的に増加する。
具体例3の変形例として、図3に示す多重量子井戸構造12は、多重量子井戸構造14(図2Aおよび図2B参照)であってもよい。この場合も、AlGa1-aN層15のaは、0.87以上0.92以下であり、第1導電型半導体層11側から多重量子井戸構造14側にかけて連続的または段階的に増加する。
紫外線発光素子1Bが放出する光の波長は、例えば、200nm以上240nm以下である。
(具体例4)
図4は、本実施形態の具体例4に係る紫外線発光素子1Cを示す断面図である。図4に示すように、紫外線発光素子1Cは、多重量子井戸構造12と第2導電型半導体層13との間に、AlGa1-bN層16を備える。AlGa1-bN層16は、電子ブロック層である。AlGa1-bN層16のbは、多重量子井戸構造12を構成するAlGa1-xN層21のxの値よりも大きい(b>x)。
具体例4の変形例として、図4に示す多重量子井戸構造12は、多重量子井戸構造14(図2Aおよび図2B参照)であってもよい。この場合、AlGa1-bN層16のbは、多重量子井戸構造14を構成するAlGa1-zN層41のzの値よりも大きい(b>z)。
また、具体例4の別の変形例として、第1導電型半導体層11と多重量子井戸構造12(または、多重量子井戸構造14)との間に、グレーデッド層であるAlGa1-aN層15(図3参照)が設けられていてもよい。
紫外線発光素子1Cが放出する光の波長は、例えば、200nm以上240nm以下である。
(具体例5)
図5は、本実施形態の具体例5に係る紫外線発光素子1Dを示す断面図である。図5に示すように、紫外線発光素子1Dは、多重量子井戸構造12と第2導電型半導体層13との間に、AlGa1-cN層17を備える。AlGa1-cN層17はグレーデッド層である。AlGa1-cN層のcは、0.15以上0.95以下である。AlGa1-cN層のcは、多重量子井戸構造12側から第2導電型半導体層13側にかけて連続的または段階的に減少する。
具体例5の変形例として、図5に示す多重量子井戸構造12は、多重量子井戸構造14(図2Aおよび図2B参照)であってもよい。この場合、AlGa1-cN層のcは、多重量子井戸構造14側から第2導電型半導体層13側にかけて連続的または段階的に減少する。
具体例5の別の変形例として、多重量子井戸構造12(または、多重量子井戸構造14)とグレーデッド層であるAlGa1-cN層17との間に、電子ブロック層であるAlGa1-bN層16(図4参照)が設けられていてもよい。
紫外線発光素子1Dが放出する光の波長は、例えば、200nm以上240nm以下である。
次に、本実施形態の紫外線発光素子のより具体的なメカニズムを説明するために、実施例を示す。
<参考例1>
厚さが550μmの(0001)面AlN単結晶基板を、有機金属気相成長(MOCVD)装置を用いてアニール処理を行った。アニール処理は、1300℃の環境下において、NH雰囲気中での5分間のアニールおよびH雰囲気中での5分間のアニールを1セットとして、2セットの処理を行った。
次に、AlN単結晶基板上に、ホモエピタキシャル層であるAlN層を形成した。AlN層は、1200℃の環境下において500nmの厚さで形成した。また、Al原料としてトリメチルアルミニウム(TMAl)が用いられた。また、N原料としてアンモニア(NH)が用いられた。
上述したように形成したAlN層上に、第1導電型半導体層を形成した。第1導電型半導体層は、Siをドーパント不純物として用いたn型AlGaN層(Al組成87%)とした。第1導電型半導体層は、1080℃の温度で、真空度を50mbarに設定し、350nmの厚さで形成した。また、Al原料としてトリメチルアルミニウム(TMAl)を用いた。また、Ga原料としてトリエチルガリウム(TEGa)を用いた。また、N原料としてアンモニア(NH)を用いた。また、Si原料としてモノシラン(SiH)を用いた。
続いて、第1導電型半導体層上にグレーデッド層を形成した。グレーデッド層は、Al組成を87%から92%に連続的に変化させた。第1導電型半導体層と同様に、グレーデッド層は、1080℃の温度で、真空度を50mbarに設定し、5nmの厚さで形成した。また、Al原料としてトリメチルアルミニウム(TMAl)を用いた。また、Ga原料としてトリエチルガリウム(TEGa)を用いた。また、N原料としてアンモニア(NH)を用いた。
続いて、グレーデッド層上に5回の繰り返し周期をもつ量子井戸層AlGa1-xNとバリア層AlGa1-yNを形成した。量子井戸層の厚さは1nm、Al組成は82%とした。バリア層の厚さは6nm、Al組成は92%とした。第1導電型半導体層と同様に、量子井戸層AlGa1-xNとバリア層AlGa1-yNの形成条件は、1080℃の温度で、真空度を50mbarに設定した。また、Al原料としてトリメチルアルミニウム(TMAl)を用いた。また、Ga原料としてトリエチルガリウム(TEGa)を用いた。また、N原料としてアンモニア(NH)を用いた。なお、繰り返し周期の始めと終わりは量子井戸層である。
続いて、繰り返し周期をもつ量子井戸層上に電子ブロック層を形成した。電子ブロック層は、ドーパントを含まないAlGaN層とした。電子ブロック層は、Al組成が95%であり、1080℃の温度で、真空度を50mbarに設定し、10nmの厚さで形成した。また、Al原料としてトリメチルアルミニウム(TMAl)を用いた。また、Ga原料としてトリエチルガリウム(TEGa)を用いた。
続いて、電子ブロック層上に第2導電型半導体層を形成した。第2導電型半導体層は、基板から遠ざかる方向にAl組成が分布をもち、Al=0.85から0.25まで変化する30nmの厚みを有するAlGaN層である。第1導電型半導体層と同様に、第2導電型半導体層の形成条件は、1080℃の温度で、真空度を50mbarに設定した。また、Al原料としてトリメチルアルミニウム(TMAl)を用いた。また、Ga原料としてトリエチルガリウム(TEGa)を用いた。
続いて、第2導電型半導体層上にp型の導電性を有する窒化物半導体層(pコンタクト層)を形成した。pコンタクト層は、10nmの厚さを有し、GaN層(すなわちAl:0%)とした。pコンタクト層の形成条件は、950℃の温度で、真空度を50mbarに設定した。また、Ga原料としてトリメチルガリウム(TMGa)を用いた。
このようにして得られた5回の繰り返し周期を持つ量子井戸層を有する発光素子に対して、電流注入による発光強度の測定を行った。発光素子に100mAの電流を注入したところ、発光強度は60μWであった。
<実施例1>
繰り返し周期を20回とした以外は、参考例1と同様の方法で発光素子を作製した。
このようにして得られた20回の繰り返し周期を持つ量子井戸層を有する発光素子に対して100mAの電流を注入したところ、発光強度は120μWであった。
Al組成や膜厚は全く同じであるが、繰り返し周期数のみを増加させることで、高い光出力かつ高い外部量子効率の素子を得た。
<実施例2>
STRJapan株式会社製のデバイスシミュレーションソフト「SiLENSe」を用いてシミュレーションを行った。SiLENSeでは、GaN、AlGaN、ZnOなどのウルツ構造やGaInP、AlInPなどの閃亜鉛構造のLED構造のバンド構造について計算を行うことができる。入力として、膜厚、混晶組成、不純物ドーピング密度などの膜構造やバンドギャップエネルギー、電子移動度、自発分極などの物性パラメータを変えてシミュレーションを行うことができる。以下、本実施例のシミュレーション条件について説明する。
実施例2では、すべての層が下地AlN層の格子定数に一致した完全ひずみ系を仮定した。AlN層上に1×1019cm-3のn型ドーパントを含むAl組成87%のn型AlGaN層を置いた。n型AlGaN層の厚みは500nmである。n型AlGaN上に膜厚2nmである量子井戸層Al0.82Ga0.18Nと膜厚6nmであるバリア層Al0.92Ga0.08Nをn周期繰り返し配置した。繰り返し周期nは5、10、20、40としてシミュレーションを行った。なお、繰り返し周期の開始と終了は量子井戸層とした。
繰り返し周期の多重量子井戸上に、膜厚10nmの電子ブロック層Al0.95Ga0.05Nを配置した。電子ブロック層のAl組成は0.95である。さらに、電子ブロック層上にp型グレーデッド層AlGa1-cN(Al組成(c)を0.85から0.25まで連続的に変化させた)を配置した。このp型グレーデッド層AlGa1-cNの膜厚は30nmであり、p型ドーパントを1×1016cm-3を含む。
図6に、繰り返し周期nに対する電流密度[A/cm]と外部量子効率[%]の関係を示す。一般的にAlGaNを用いた発光素子は、電流密度200A/cm以下でよく用いられる。電流密度200A/cm以下の領域で比較すると、繰り返し周期nを増やすことで、外部量子効率が増加していくことが分かる。また、繰り返し周期が5回のものは電流密度を増加させても外部量子効率がほとんど上がらないのに対して、繰り返し周期が10回以上のものは電流密度の増加とともに外部量子効率が大きく増加することが理解される。なお、本シミュレーションには、膜厚が増えたことによる格子緩和などの結晶性の悪化の影響は含んでいない。
図7は、実施例1における繰り返し周期が5回の構造に、電流密度20A/cmで電流を流した時の電子密度と正孔密度の違いを表す。横軸はAlNとn型AlGaNとの界面からの距離であり、縦軸は電子密度、正孔密度である。
図7に示すように、5回の繰り返し周期を持つ素子において、n型AlGaNに最も近い量子井戸層では、正孔密度が1×1016cm-3程度である。一方で、n型AlGaN層から最も遠い量子井戸層においても、正孔密度が1×1016cm-3程度であり、多重量子井戸層のいずれの場所においても略均一に、電子と正孔が再結合することがわかる。
図8は、図6で示した繰り返し周期が10回の構造に対する、電流密度20A/cmで電流を流した時の電子密度と正孔密度の違いを表す。横軸はAlNとn型AlGaNとの界面からの距離であり、縦軸は電子密度、正孔密度である。図8に示すように、10回の繰り返し周期を持つ素子において、n型AlGaNに最も近い量子井戸層では、正孔密度が1×1016cm-3程度である。一方で、n型AlGaN層から最も遠い量子井戸層においても、正孔密度が1×1016cm-3程度であり、多重量子井戸層のいずれの場所においても略均一に、電子と正孔が再結合することがわかる。これらの結果より、量子井戸層のAl組成が0.7以上の場合は、繰り返し周期数を上げても多重量子井戸構造のいずれの場所においても略均一に電子と正孔が再結合することから、繰り返し周期数を増加させることで外部量子効率が増加することがシミュレーションより分かった。
<参考例2>
実施例2の参考例として、量子井戸層のAl組成を52%とし、繰り返し周期nを5と10とした以外は実施例2と同様の条件でシミュレーションを行った。
図9は繰り返し周期5と10に対する、電流密度[A/cm]と外部量子効率[%]の関係を示すが、繰り返し周期を増やしても、ほとんど外部量子効率が変化しないことが分かる。図10は、参考例2における繰り返し周期が5回の構造に、電流密度20A/cmで電流を流した時の電子密度と正孔密度の違いを表す。横軸はAlNとn型AlGaNとの界面からの距離であり、縦軸は電子密度、正孔密度である。図10に示すように、5回の繰り返し周期を持つ素子において、n型AlGaNに最も近い量子井戸層では、正孔密度が1×1011cm-3以下である。一方で、n型AlGaN層から最も遠い量子井戸層では、正孔密度が1×1019cm-3以上であり、n型AlGaN層から最も遠い量子井戸層において、電子と正孔が大きく再結合していることがわかる。
図11は、表2で示した繰り返し周期が10回の構造に対する、電流密度20A/cmで電流を流した時の電子密度と正孔密度の違いを表す。横軸はAlNとn型AlGaNとの界面からの距離であり、縦軸は電子密度、正孔密度である。図11に示すように、10回の繰り返し周期を持つ素子において、n型AlGaNに最も近い量子井戸層では、正孔密度が1×1011cm-3以下である。一方で、n型AlGaN層から最も遠い量子井戸層では、正孔密度が1×1019cm-3以上であり、n型AlGaN層から最も遠い量子井戸層において、電子と正孔が大きく再結合していることがわかる。これらの結果より、量子井戸層のAl組成が0.7未満の場合は、繰り返し周期数を上げてもn型AlGaN層から最も離れた量子井戸層でのみ大きく再結合するため、外部量子効率はほとんど増加しないことがシミュレーションより分かった。
<実施例3>
実施例2と同様に、実施例3においても、デバイスシミュレーションソフトSiLENSeを用いた。
実施例3においても、すべての層が下地AlN層の格子定数に一致した完全ひずみ系を仮定した。AlN上に1×1019cm-3のn型ドーパントを含むAl組成87%のn型AlGaN層を置いた。n型AlGaN層の厚みは500nmである。実施例3では、n型AlGaN上に膜厚0.5nmである量子井戸層Al0.62Ga0.38Nと膜厚6nmであるバリア層Al0.92Ga0.08Nをn周期繰り返し配置した。繰り返し周期nは5、10、20、40としてシミュレーションを行った。なお、繰り返し周期の開始と終了は量子井戸層とした。
繰り返し周期の多重量子井戸上に、膜厚10nmの電子ブロック層Al0.95Ga0.05Nを配置した。電子ブロック層のAl組成は0.95である。さらに、電子ブロック層上にp型グレーデッド層AlGa1-cN(Al組成(c)を0.85から0.25まで連続的に変化させた)を配置した。膜厚は30nmであり、p型ドーパントを1×1016cm-3を含む。
図12に、繰り返し周期nに対する電流密度[A/cm]と外部量子効率[%]の関係を示す。一般的にAlGaNを用いた発光素子は、電流密度200A/cm以下でよく用いられる。電流密度200A/cm以下の領域で比較すると、繰り返し周期nを増やすことで、外部量子効率が増加していくことが分かる。また、繰り返し周期が5回のものは電流密度を増加させても外部量子効率がほとんど上がらないのに対して、繰り返し周期が10回以上のものは電流密度の増加とともに外部量子効率が大きく増加することが理解される。なお、本シミュレーションには、膜厚が増えたことによる格子緩和などの結晶性の悪化の影響は含んでいない。
<参考例3>
実施例3の参考例として、量子井戸層Al0.62Ga0.38Nの膜厚を3nmとし、繰り返し周期nを5、10、15とした以外は実施例3と同様の条件でシミュレーションを行った結果を図13に示す。
図13は繰り返し周期nに対する、電流密度[A/cm]と外部量子効率[%]の関係を示す。繰り返し周期数を増やしても、ほとんど外部量子効率は変化がないことが分かる。
1、1A、1B、1C、1D 紫外線発光素子
10 基板
10a 主面
11 第1導電型半導体層
12 多重量子井戸構造
13 第2導電型半導体層
14 多重量子井戸構造
15 AlaGa1-aN層
16 AlbGa1-bN層
17 AlcGa1-cN層
20、20-1、20-2、20-(n-1)、20-n、40、40-1、40-2、40-(n-1)、40-n 積層単位
21 AlxGa1-xN層
22、42 AlyGa1-yN層
41 AlzGa1-zN層

Claims (14)

  1. 基板と、
    前記基板上に配置された第1導電型半導体層と、
    前記第1導電型半導体層上に配置された多重量子井戸構造と、
    前記多重量子井戸構造上に配置された第2導電型半導体層と、を備え、
    前記多重量子井戸構造は、AlxGa1-xN層(0.7≦x<1)とAlyGa1-yN層(y>x)が8周期以上200周期以下繰り返し積層した構造を有する、紫外線発光素子。
  2. 前記多重量子井戸構造と前記第2導電型半導体層との間に、AlbGa1-bN層(b>x)を更に備える請求項1に記載の紫外線発光素子。
  3. 前記AlxGa1-xN層の厚みが、0.25nm以上2.0nm以下である請求項1または2に記載の紫外線発光素子。
  4. 前記AlyGa1-yN層(y>x)の膜厚が、2nm以上20nm以下である請求項1から3のいずれか一項に記載の紫外線発光素子。
  5. 前記第1導電型半導体層と前記多重量子井戸構造との間に、AlaGa1-aN層(aは、0.87以上0.92以下であり、前記第1導電型半導体層側から前記多重量子井戸構造側にかけて連続的または段階的に増加する)を更に備える請求項1から4のいずれか一項に記載の紫外線発光素子。
  6. 前記多重量子井戸構造と前記第2導電型半導体層との間に、AlcGa1-cN層(cは、0.15以上0.95以下であり、前記多重量子井戸構造側から第2導電型半導体層側にかけて連続的または段階的に減少する)層を更に備える請求項1から5のいずれか一項に記載の紫外線発光素子。
  7. 波長が200nm以上240nm以下の光を放出する請求項1から6のいずれか一項に記載の紫外線発光素子。
  8. 基板と、
    前記基板上に配置された第1導電型半導体層と、
    前記第1導電型半導体層上に配置された多重量子井戸構造と、
    前記多重量子井戸構造上に配置された第2導電型半導体層と、を備え、
    前記多重量子井戸構造は、膜厚が0.25nm以上1.5nm以下のAlzGa1-zN層(0≦z<1)とAlyGa1-yN層(y>z)が8周期以上200周期以下繰り返し積層した構造を有する、紫外線発光素子。
  9. 前記多重量子井戸構造と前記第2導電型半導体層との間に、AlbGa1-bN層(b>z)を更に備える請求項8に記載の紫外線発光素子。
  10. 前記AlzGa1-zN層が、0.50≦z≦1である請求項8または9に記載の紫外線発光素子。
  11. 前記AlyGa1-yN層(y>z)の膜厚が、2nm以上20nm以下である請求項8から10のいずれか一項に記載の紫外線発光素子。
  12. 前記第1導電型半導体層と前記多重量子井戸構造との間に、AlaGa1-aN層(aは、0.87以上0.92以下であり、前記第1導電型半導体層側から前記多重量子井戸構造側にかけて連続的または段階的に増加する)を更に備える請求項8から11のいずれか1項に記載の紫外線発光素子。
  13. 前記多重量子井戸構造と前記第2導電型半導体層との間に、AlcGa1-cN層(cは、0.15以上0.95以下であり、前記多重量子井戸構造側から第2導電型半導体層側にかけて連続的または段階的に減少する)層を更に備える請求項8から12いずれか一項に記載の紫外線発光素子。
  14. 波長が200nm以上240nm以下の光を放出する請求項8から13のいずれか一項に記載の紫外線発光素子。
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