JP2022116678A - 転がり軸受 - Google Patents
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Abstract
Description
本発明は、転がり軸受に関する。
転がり軸受として、内輪と、外輪と、内輪の軌道面と外輪の軌道面との間に配置された複数のころと、を備えるものが知られている(例えば特許文献1参照)。特許文献1に記載された転がり軸受は、製鉄用の連続鋳造設備のガイドロールを回転自在に支持するために用いられる。
上述したような転がり軸受は、極めて低い回転数で且つ重荷重を受けた状態で使用される。そのため、内輪及び外輪の軌道面ところの転動面との間に潤滑剤の膜が形成され難く、金属接触が生じ易い。また、ガイドロールは冷却水、水蒸気及び酸化スケール(鋼片の表面から剥がれた酸化鉄粉)にさらされ、且つガイドロールの周辺は高温の過酷な環境となる。そのため、冷却水や酸化スケール等が軸受の内部に侵入することで軌道面の潤滑不良が加速され、摩耗や剥離等の軸受の早期損傷が引き起こされるおそれがある。
本発明は、厳しい使用環境下でも潤滑性能を確保することができる転がり軸受を提供することを目的とする。
本発明の転がり軸受は、第1軌道面を有する内輪と、第2軌道面を有する外輪と、第1軌道面と第2軌道面との間に配置され、第1軌道面及び第2軌道面上を転動する転動面を有する複数のころと、を備え、回転数が20min-1以下で且つ基本静定格荷重の15%以上の荷重を受けた状態で使用されるように構成されており、第1軌道面、第2軌道面及び転動面の少なくとも1つには、複数の凹部が形成されている。
この転がり軸受では、第1軌道面、第2軌道面及び転動面の少なくとも1つに複数の凹部が形成されている。これにより、回転数が20min-1以下で且つ基本静定格荷重の15%以上の荷重を受けた状態で使用される場合でも、複数の凹部が潤滑剤の溜まりとして機能するため、潤滑剤の膜を形成し易くすることができる。その結果、金属接触を抑制することができると共に、摩耗や剥離等の早期損傷を抑制することができる。このように、この転がり軸受によれば、厳しい使用環境下でも潤滑性能を確保することができる。
複数の凹部は、第2軌道面のみに形成されていてもよい。この場合、潤滑性能を効果的に確保することができる。また、第2軌道面のみに複数の凹部が形成されているため、製造コストの増加を抑制することができる。
複数の凹部は、第2軌道面及び転動面のみに形成されていてもよい。この場合、潤滑性能を効果的に確保することができる。また、第2軌道面及び転動面のみに複数の凹部が形成されているため、製造コストの増加を抑制することができる。
複数の凹部は、第1軌道面、第2軌道面及び転動面に形成されていてもよい。この場合、潤滑性能を効果的に確保することができる。
複数の凹部は、転動面のみに形成されていてもよい。この場合、潤滑性能を効果的に確保することができる。また、転動面のみに複数の凹部が形成されているため、製造コストの増加を抑制することができる。
本発明によれば、厳しい使用環境下でも潤滑性能を確保することができる転がり軸受を提供することが可能となる。
以下、本発明の一実施形態について、図面を参照しつつ詳細に説明する。以下の説明において、同一又は相当要素には同一符号を用い、重複する説明を省略する。
図1に示される連続鋳造設備1は、ビレット、ブルーム、スラブ等の鋼片5を連続的に製造するための設備である。連続鋳造設備1は、溶鋼が供給されるモールド2と、モールド2から排出された鋼片5を搬送する複数のガイドロール3と、を備えている。
連続鋳造設備1では、鋼片5は、左右一対の第1セグメントS1及び第2セグメントS2の各々において搬送経路に沿って搬送される。複数のガイドロール3は、第1セグメントS1及び第2セグメントS2の各々において鋼片5の搬送経路に沿って並んでおり、鋼片5を挟むように上下2列に配置されている。各ガイドロール3は、中心軸周りに回転して鋼片5を搬送する。下列のガイドロール3は、鋼片5の重量を受けつつ回転する。
図2に示されるように、各ガイドロール3の端部3a,3aは、転がり軸受10により回転可能に支持されている。転がり軸受10は、軸箱7内に配置されている。この例では、転がり軸受10は、自動調心ころ軸受である。図3に示されるように、転がり軸受10は、内輪20と、外輪30と、複数のころ40と、保持器50と、を備えている。以下、転がり軸受10の回転軸AXに平行な方向を軸方向とし、回転軸AX周りの方向を周方向とし、回転軸AXに垂直な方向を径方向として説明する。
内輪20は、第1軌道面21及び内面22を有している。内面22は、径方向における内側を向く円筒面である。内面22は、ガイドロール3の端部3aと嵌め合わされる。外輪30は、第2軌道面31及び外面32を有している。外面32は、径方向における外側を向く円筒面である。外面32は、軸箱7の内面7aと嵌め合わされる。この例では、外輪30が軸箱7に固定されており、内輪20がガイドロール3と共に回転する。外輪30には、第2軌道面31と外面32との間を貫通する貫通孔33が形成されており、貫通孔33から転がり軸受10内に潤滑剤(潤滑油)が供給される。
複数のころ40は、第1軌道面21と第2軌道面31との間に配置されており、周方向に沿って並んでいる。この例では、複数のころ40は、軸方向に関して複数列(この例では2列)に配置されている。複数のころ40は、周方向に隣り合うころ40間の間隔が一定となるように、保持器50によって保持されている。各ころ40は、第1軌道面21及び第2軌道面31上を転動する転動面41を外周面として有している。
各ころ40はたる形に形成されており、転動面41は湾曲面となっている。より具体的には、転がり軸受10では、第2軌道面31は、第2軌道面31の曲率中心が転がり軸受10の中心C(図2)に一致するように、凹状の球面状に形成されている。転動面41は、第2軌道面31に沿う形状を有している。すなわち、転動面41は、第2軌道面31に沿う円弧をころ40の中心軸周りに回転させて得られる形状を有している。第1軌道面21は、転動面41に沿う形状を有している。
第2軌道面31の曲率中心が転がり軸受10の中心Cに一致していることにより、ガイドロール3や軸箱7にたわみ変形が生じた場合でも、内輪20と外輪30とが相対的に傾くことで調心され、たわみが許容される。例えば、図2に矢印ARで示されるように鋼片5の重量によりガイドロール3に重荷重が作用することで、二点鎖線Lで示されるように、ガイドロール3が鉛直下向きに凸となるようにたわみ変形する場合がある。このような場合でも、転がり軸受10では、たわみを許容しつつ重荷重を支持することができる。
保持器50は、円環部51と、複数の第1柱部52と、複数の第2柱部53と、を有している。円環部51は、周方向に沿って延在するように円環状に形成されており、ころ40の列の間に配置されている。複数の第1柱部52は、円環部51から軸方向における一方側に突出しており、周方向に沿って並んでいる。複数の第2柱部53は、円環部51から軸方向における他方側に突出しており、周方向に沿って並んでいる。第1柱部52及び第2柱部53は、周方向において互い違いに配置されている。ころ40は、周方向に隣り合う第1柱部52の間、及び周方向に隣り合う第2柱部53の間に配置されている。
転がり軸受10は、回転数が20min-1以下で且つ基本静定格荷重(Cor)の15%以上の荷重を受けた状態で使用されるように構成されている。すなわち、連続鋳造設備1においてガイドロール3を支持するために用いられる場合、転がり軸受10(内輪20)は20min-1以下の極めて低い回転数で回転する。
また、連続鋳造設備1においてガイドロール3を支持するために用いられる場合、転がり軸受10には、基本静定格荷重の15%以上70%以下の重荷重が作用する。基本静定格荷重とは、軸受が最大応力を受けている接触部において転動体の永久変形量と軌道輪の永久変形量との和が転動体直径の0.0001倍になるような静止荷重である。
転がり軸受10では、外輪30の第2軌道面31に、複数の凹部60が形成されている。図3では、凹部60が形成されている領域が矢印R1で示されている。この例では、凹部60は、第2軌道面31の全面に形成されている。図4(a)及び図4(b)に示されるように、この例では、多数の凹部60が、ランダムな位置に形成されている。凹部60は、微小な凹みによって構成されている。凹部60は、第2軌道面31に垂直な方向から見た場合に、例えば楕円形状を呈している。凹部60の深さは、凹部60が潤滑剤の溜まりとして機能することができる程度の深さに設定されている。
凹部60は、例えば第2軌道面31にショットピーニング加工を施すことにより形成され得る。ショットピーニング加工とは、鉄又は非鉄金属の小さな球体を高速で金属表面に衝突させる処理である。或いは、凹部60は、凹凸パターンを第2軌道面31上に転写することにより形成されてもよい。この場合、複数の凹部60は、一定の間隔を空けて並ぶように配置されてもよい。
以上説明したように、転がり軸受10では、第2軌道面31に複数の凹部60が形成されている。これにより、回転数が20min-1以下で且つ基本静定格荷重の15%以上の荷重を受けた状態で使用される場合でも、複数の凹部60が潤滑剤の溜まりとして機能するため、潤滑剤の膜を形成し易くすることができる。その結果、金属接触を抑制することができると共に、摩耗や剥離等の早期損傷を抑制することができる。このように、転がり軸受10によれば、厳しい使用環境下でも潤滑性能を確保することができる。
また、転がり軸受10では、複数の凹部60が第2軌道面31のみに形成されている。外輪30は固定されて同一の位置で負荷を受けるため、回転する内輪20と比べて厳しい潤滑条件下にあるが、第2軌道面31に複数の凹部60が形成されていることで、潤滑性能を効果的に確保することができる。また、第2軌道面31のみに複数の凹部60が形成されているため、製造コストの増加を抑制することができる。この点は、凹部60をショットピーニング加工により形成する場合に特に顕著となる。また、複数の凹部60を形成するための加工時間を短縮することができ、二酸化炭素の排出量を低減することができる。
[変形例]
[変形例]
図5に示される第1変形例では、複数の凹部60が、第2軌道面31の全面(少なくともころ40が転動する領域の全面)及び転動面41の全面に形成されている。図5では、転動面41において凹部60が形成されている領域が破線Bで示されている。第1変形例によっても、上記実施形態と同様に、厳しい使用環境下でも潤滑性能を確保することができる。また、潤滑性能を効果的に確保することができる。また、第2軌道面31及び転動面41のみに複数の凹部60が形成されているため、製造コストの増加を抑制することができる。
図6に示される第2変形例では、複数の凹部60が、第1軌道面21の全面(少なくともころ40が転動する領域の全面)、第2軌道面31の全面及び転動面41の全面に形成されている。図6では、第1軌道面21において凹部60が形成されている領域が矢印R2で示されている。第2変形例によっても、上記実施形態と同様に、厳しい使用環境下でも潤滑性能を確保することができる。また、潤滑性能を効果的に確保することができる。
図7に示される第3変形例では、複数の凹部60が、第1軌道面21及び第2軌道面31には形成されておらず、転動面41の全面に形成されている。第3変形例によっても、上記実施形態と同様に、厳しい使用環境下でも潤滑性能を確保することができる。また、潤滑性能を効果的に確保することができる。また、転動面41のみに複数の凹部60が形成されているため、製造コストの増加を抑制することができる。
このように、複数の凹部60は、第1軌道面21、第2軌道面31及び転動面41の少なくとも1つに形成されていればよい。この場合、上記実施形態と同様に、厳しい使用環境下でも潤滑性能を確保することができる。
図8に示される第4変形例の転がり軸受10Aは、調心輪付き総ころ軸受として構成されている。転がり軸受10Aは、調心輪55を備えており、保持器50を備えていない。転がり軸受10Aでは、第1軌道面21及び第2軌道面31は、円筒面となっている。ころ40は円柱状に形成されており、転動面41は円筒面となっている。外輪30の外面32は、外面32の曲率中心が転がり軸受10の中心Cに一致するように、凸状の球面状に形成されている。調心輪55の内面55aは、外面32に沿う形状を有している。外面32は、内面55aと嵌め合わされる。調心輪55の外面は、軸箱7の内面7aと嵌め合わされる。このような転がり軸受10Aによっても、調心機能を実現することができる。第2軌道面31の全面には、複数の凹部60が形成されている。
第4変形例によっても、上記実施形態と同様に、厳しい使用環境下でも潤滑性能を確保することができる。なお、第4変形例において、上記第1変形例と同様に、複数の凹部60が、第2軌道面31及び転動面41に形成されていてもよい。上記第2変形例と同様に、複数の凹部60が、第1軌道面21、第2軌道面31及び転動面41に形成されていてもよい。上記第3変形例と同様に、複数の凹部60が、転動面41のみに形成されていてもよい。
図9に示される第5変形例の転がり軸受10Bは、調心機能付き総ころ軸受として構成されている。転がり軸受10Bは、保持器50及び調心輪55を備えていない。転がり軸受10Bでは、第1軌道面21、第2軌道面31及び転動面41の湾曲の度合いが、調心機能が実現されるように設定されている。第2軌道面31の全面には、複数の凹部60が形成されている。
第5変形例によっても、上記実施形態と同様に、厳しい使用環境下でも潤滑性能を確保することができる。なお、第5変形例において、上記第1変形例と同様に、複数の凹部60が、第2軌道面31及び転動面41に形成されていてもよい。上記第2変形例と同様に、複数の凹部60が、第1軌道面21、第2軌道面31及び転動面41に形成されていてもよい。上記第3変形例と同様に、複数の凹部60が、転動面41のみに形成されていてもよい。
図10に示されるように、第6変形例の転がり軸受10では、複数の凹部60が第2軌道面31の一部分のみに形成されている。具体的には、複数の凹部60は、第2軌道面31のうち鉛直方向における下側の領域(下半分)のみに形成されている。すなわち、複数の凹部60は、第2軌道面31において、回転軸AXに対して軸方向に垂直な一方向Dにおける一方側に位置する第1領域P1の全体(半周面)に形成されており、一方向Dにおける他方側に位置する第2領域P2には形成されていない。転がり軸受10は、第1領域P1が回転軸AXに対して鉛直下側に位置する状態(一方向Dが鉛直方向と平行な状態)で使用される。この使用状態において、転がり軸受10が受ける荷重は、第1領域P1に作用し、第2領域P2には作用しない。すなわち、複数の凹部60は、第2軌道面31において、外輪30が固定されて内輪20が回転する場合に荷重が作用する第1領域P1(受圧面)のみに形成されている。図10では、転がり軸受10が受ける荷重が矢印AR1で示されており、第2軌道面31(第1領域P1)に作用する荷重が矢印AR2で示されている。第2軌道面31に作用する荷重は、鉛直下側に向かうにつれて大きくなる。
第6変形例によっても、上記実施形態と同様に、厳しい使用環境下でも潤滑性能を確保することができる。また、複数の凹部60が、第2軌道面31の全面ではなく一部分のみに形成されている。これにより、製造コストの増加を抑制することができる。このように、複数の凹部60は、第1軌道面21、第2軌道面31及び転動面41の少なくとも1つの少なくとも一部に形成されていればよい。この場合、上記実施形態と同様に、厳しい使用環境下でも潤滑性能を確保することができる。
本発明は、上記実施形態及び変形例に限られない。例えば、各構成の材料及び形状には、上述した材料及び形状に限らず、様々な材料及び形状を採用することができる。
10,10A,10B…転がり軸受、20…内輪、21…第1軌道面、30…外輪、31…第2軌道面、40…ころ、41…転動面、60…凹部。
Claims (5)
- 第1軌道面を有する内輪と、
第2軌道面を有する外輪と、
前記第1軌道面と前記第2軌道面との間に配置され、前記第1軌道面及び前記第2軌道面上を転動する転動面を有する複数のころと、を備え、
回転数が20min-1以下で且つ基本静定格荷重の15%以上の荷重を受けた状態で使用されるように構成されており、
前記第1軌道面、前記第2軌道面及び前記転動面の少なくとも1つには、複数の凹部が形成されている、転がり軸受。 - 前記複数の凹部は、前記第2軌道面のみに形成されている、請求項1に記載の転がり軸受。
- 前記複数の凹部は、前記第2軌道面及び前記転動面のみに形成されている、請求項1に記載の転がり軸受。
- 前記複数の凹部は、前記第1軌道面、前記第2軌道面及び前記転動面に形成されている、請求項1に記載の転がり軸受。
- 前記複数の凹部は、前記転動面のみに形成されている、請求項1に記載の転がり軸受。
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