JP2022115154A - 切削装置、切削方法、および耐震構造 - Google Patents

切削装置、切削方法、および耐震構造 Download PDF

Info

Publication number
JP2022115154A
JP2022115154A JP2021011638A JP2021011638A JP2022115154A JP 2022115154 A JP2022115154 A JP 2022115154A JP 2021011638 A JP2021011638 A JP 2021011638A JP 2021011638 A JP2021011638 A JP 2021011638A JP 2022115154 A JP2022115154 A JP 2022115154A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
cutting
inner peripheral
sewage pipe
peripheral surface
joint
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP2021011638A
Other languages
English (en)
Inventor
寛之 鈴木
Hiroyuki Suzuki
裕司 畑中
Yuji Hatanaka
友宏 畑中
Tomohiro Hatanaka
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
TEIKOKU HUME KAN HIGASHI NIPPON KK
Lonbic Japan Co Ltd
Original Assignee
TEIKOKU HUME KAN HIGASHI NIPPON KK
Lonbic Japan Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by TEIKOKU HUME KAN HIGASHI NIPPON KK, Lonbic Japan Co Ltd filed Critical TEIKOKU HUME KAN HIGASHI NIPPON KK
Priority to JP2021011638A priority Critical patent/JP2022115154A/ja
Publication of JP2022115154A publication Critical patent/JP2022115154A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Images

Landscapes

  • Sewage (AREA)
  • Underground Structures, Protecting, Testing And Restoring Foundations (AREA)

Abstract

【課題】 正確な中心軸の位置設定を必要とせず、容易に継手部に耐震補強を施すことができる切削装置、切削方法、および耐震構造を提供することを目的とする。【解決手段】 脆弱部を形成する継手部の内周面に向けて下水管の中心軸側から外側に向けて筒状の孔を切削手段が切削し、連結された切削手段を継手部の内周面に向けて切削手段移動機構が前後進させ、切削手段移動機構を支持して、継手部の内周面に沿って円周状に切削手段を周回移動手段が周回移動させる。【選択図】図1

Description

本発明は、切削装置、切削方法、および耐震構造に関し、特に既設のマンホールと下水管との継手部に、ひび割れを誘導する脆弱部を有する耐震構造を形成するための切削装置、切削方法、およびその耐震構造に関する。
従来から、地震発生時に生じる地盤沈下や、下水管を埋設する際に使用した埋め戻し土の液状化現象により、開削部の沈下や下水管やマンホールの浮上などの問題が多く発生している。
このマンホールと下水管とは継手部で接続されて固定されていることから、地震発生時にマンホールや下水管が動いてしまうと、継手部が破断してしまうことになる。マンホールと下水管とを接続する継手部が破断してしまうと、下水機能を果たさなくなってしまう問題があった。
そこで、マンホールと下水管とを接続する継手部を分断し、その分断した継手部に、あらかじめ可とう性を持たせた耐震部材を取り付けることで、継手部に耐震機能を具備させる耐震施工が開発されている。
マンホールと下水管とが既に埋設されている場合、つまり既設のマンホールと下水管との継手部に耐震機能を具備させる場合、マンホールと下水管とが固定された継手部に耐震施工を施すために、埋設されたマンホールや下水管を掘り起こして行う施工は、多くの時間と費用が必要になるため現実的ではない。
そこで、このような既設のマンホールや下水管に耐震施行を行う場合には、マンホールや下水管の内部に作業員が入り、ブレーカーなどの切削機を用いて継手部を切削して分断する。その分断した継手部に耐震部材を挿入することで、マンホールと下水管との継手部に可とう性を与える施工が行われている。
ところが、マンホールや下水管の内部は非常に狭いため、マンホールや下水管の内部で継手部の切削作業を行うと、マンホールや下水管の内部で切削した継手部の粉塵が飛散する問題がある。
またこれだけでなく、マンホールや下水管の内部では、臭いや、ガスなどによる健康被害だけでなく、酸素欠乏症や硫化水素中毒を原因とする事故、また大雨に伴う急激な水位上昇により作業員が流される事故など、人命に関わる重大な事故が発生している。
そこで、より迅速に継手部の切削作業が行えるように、分解可能なドリル本体をマンホール内に搬入、組み立て作業を行い、継手部の内径に合わせたコアドリルをドリル本体に接続して、継手部を切削する方法が開発されている。
ところが、排水能力向上のために下水管が大型化されているため、継手部の内径がマンホールの開口部における内径を超える場合がある。大型化された下水管とマンホールとの継手部をコアドリルで切削する場合に、マンホールの開口部の内径よりもコアドリルの外径が大きいと、コアドリルをマンホールの内部に搬入できない問題が生じる。すなわちコアドリルを使用したマンホール内の切削作業が行えない問題があった。
そこで、狭い既設のマンホール内に容易に搬入、組み立てが可能であり、マンホールの開口部における内径よりも大口径の継手部を容易に切削できる切削装置が開発されている(たとえば、特許文献1参照)。
図16は、特許文献1で開示された切削装置の構成を示す下水管の長軸方向に切断したときの断面図である。
図16に示すように、特許文献1で開示された切削装置10は、下水管20の側壁21に固定金具15によって固定された円筒状のガイドレール14と、ガイドレール14に連結され継手部31に沿って移動され、かつ継手部31に形成される隙間32が隙間32の溝方向に連続的に切削される切削手段であるドリルビット12と、ドリルビット12とガイドレール14とが連結される支持部である支持金具13とを備えている。
これにより、ガイドレール14が下水管20の側壁21に沿って固定され、継手部31を切削するドリル11およびドリルビット12が支持金具13によって支持され、支持金具13を介してガイドレール14に連結したドリル11およびドリルビット12が側壁21に沿って移動しながら継手部31を切削するので、次のような効果がある。
マンホール内に入れることのできない大型のコアドリルを必要としないため、マンホールと大口径の下水管との継手部も容易に切削することができる。また、狭いマンホール内での人員作業を縮小化、および簡易化できるので、粉塵飛散、臭い、ガスなどによる人的な健康被害を軽減することができる。
特開2018-003242号公報
特許文献1で開示された切削装置の場合、ガイドレール14を設置する際に、ガイドレール14の中心軸線と下水管20の中心軸線とを合わせるように設定する作業が必要である。ところが、このガイドレール14の中心軸線と下水管20の中心軸線とを合わせる作業は、中心軸線が目視できないため非常に手間がかかり、作業時間が増加する問題があった。
ガイドレール14の中心軸線と下水管20の中心軸線とが位置ズレした状態でガイドレール14を下水管20に設置し、位置ズレしたガイドレール14に沿って隙間32を切削してしまうと、ドリル11およびドリルビット12は、位置ズレしたガイドレール14に沿って移動するため、形成される隙間32が所望の位置から位置ズレして形成されることになる。
切削する隙間32の位置が所望の位置から位置ズレしてしまうということは、計画していた隙間32の形成位置に正しく隙間32を形成することはできないため、予定外のマンホール30や下水管20をドリル11およびドリルビット12で切削することで傷つけてしまうおそれがあった。
また、隙間32の切削作業中に、たとえばドリル11およびドリルビット12による振動でガイドレール14の固定状態が変化して位置ズレしてしまうと、継手部31に沿って移動するドリル11およびドリルビット12の軌跡もガイドレール14の位置ズレと共に変化するおそれがある。
この場合、継手部31に沿って周回したドリルビット12の切削開始点と、切削終了点とが一致しなくなる問題が生じる。つまり継手部31に円周状の隙間32が正確に形成できないことになる。これでは、継手部31に下水管20とマンホール30とを分断できないことになり、継手部31に耐震構造を形成することができない。
また、継手部31に円周状の隙間32が正確に形成できない場合、あらかじめ形成された隙間32に設置するはずであった耐震部材が挿入できない問題も生じてしまうことになる。
このため、ガイドレール14の中心軸線と下水管20の中心軸線とを合わせるように設定する作業は非常に重要であり、慎重に中心軸を測定しながらガイドレールを正確に設置する必要がある。
また隙間32の切削作業中にガイドレール14が位置ズレしないために、強固にガイドレール14と下水管20とを固定したり、切削作業中にガイドレール14が位置ズレしていないか確認したりする作業も必要である。このため、特許文献1で開示された切削装置では、作業時間が増加する問題があった。
本発明はこのような点に鑑みてなされたものであり、正確な中心軸の位置設定を必要とせず、容易に継手部に耐震補強を施すことができる切削装置、切削方法、および耐震構造を提供することを目的とする。
本発明では上記問題を解決するために、既設のマンホールと下水管との継手部に、ひび割れを誘導する脆弱部を有する耐震構造を形成するための切削装置において、前記脆弱部を形成する前記継手部の内周面に向けて前記下水管の中心軸側から外側に向けて筒状の孔を切削するための切削手段と、連結された前記切削手段を前記継手部の内周面に向けて前後進させる切削手段移動機構と、前記切削手段移動機構を支持して、前記継手部の内周面に沿って円周状に前記切削手段を周回移動させる周回移動手段とを備えることを特徴とする切削装置が提供される。
これにより、脆弱部を形成する継手部の内周面に向けて下水管の中心軸側から外側に向けて筒状の孔を切削手段が切削し、連結された切削手段を継手部の内周面に向けて切削手段移動機構が前後進させ、切削手段移動機構を支持して、継手部の内周面に沿って円周状に切削手段を周回移動手段が周回移動させる。
また、本発明では、既設のマンホールと下水管との継手部に、ひび割れを誘導する脆弱部を有する耐震構造を形成するための切削方法において、前記脆弱部を形成する前記継手部の内周面に向けて前記下水管の中心軸側から外側に向けて筒状の孔を切削手段が切削する工程と、連結された前記切削手段を前記継手部の内周面に向けて切削手段移動機構が前後進させる工程と、前記切削手段移動機構を支持して、前記継手部の内周面に沿って円周状に前記切削手段を周回移動手段が周回移動させる工程とを備えることを特徴とする切削方法が提供される。
これにより、脆弱部を形成する継手部の内周面に向けて下水管の中心軸側から外側に向けて筒状の孔を切削手段が切削し、連結された切削手段を継手部の内周面に向けて切削手段移動機構が前後進させ、切削手段移動機構を支持して、継手部の内周面に沿って円周状に切削手段を周回移動手段が周回移動させる。
また、本発明では、既設のマンホールと下水管との継手部に形成される耐震構造において、前記継手部の内周面に向けて前記下水管の中心軸側から外側に向けて筒状の孔を切削するための切削手段と、連結された前記切削手段を前記継手部の内周面に向けて前後進させる切削手段移動機構と、前記切削手段移動機構を支持して、前記継手部の内周面に沿って円周状に前記切削手段を周回移動させる周回移動手段とを備えた切削装置で、前記継手部の内周面に沿って円周状に切削されて複数の前記孔が形成された、ひび割れを誘導する脆弱部を備えることを特徴とする耐震構造が提供される。
これにより、脆弱部を形成する継手部の内周面に向けて下水管の中心軸側から外側に向けて筒状の孔を切削手段が切削し、連結された切削手段を継手部の内周面に向けて切削手段移動機構が前後進させ、切削手段移動機構を支持して、継手部の内周面に沿って円周状に切削手段を周回移動手段が周回移動させる。
本発明の切削装置、切削方法、および耐震構造によれば、脆弱部を形成する継手部の内周面に向けて下水管の中心軸側から外側に向けて筒状の孔を切削手段が切削し、連結された切削手段を継手部の内周面に向けて切削手段移動機構が前後進させ、切削手段移動機構を支持して、継手部の内周面に沿って円周状に切削手段を周回移動手段が周回移動させるので、次のような効果がある。
切削手段移動機構が切削手段を継手部の内周面に向けて前後進させて切削手段移動機構が移動させるので、切削手段が切削する筒状の孔の深さを切削手段移動機構で自在に調節することができる。
このため、周回移動手段が正確な中心軸位置に設置されなくても、切削手段が切削する筒状の孔の深さ調節することで、同じ深さの孔が切削された脆弱部を形成することができる。すなわち、正確な中心軸の位置設定が必要なくなるので、容易に継手部に耐震補強を施すことができる。また、中心軸の位置設定の位置ズレによる、
第1の実施の形態に係る切削装置の構成を示す断面斜視図である。 第1の実施の形態に係る切削装置で形成される脆弱部の位置を示す下水管を長軸方向に切断したときの断面図である。 第1の実施の形態に係る切削装置で脆弱部を形成するための孔を切削している様子を示す断面斜視図である。 第1の実施の形態に係る切削装置で脆弱部を形成するための孔を切削した状態を示す断面斜視図である。 第1の実施の形態に係る切削装置で脆弱部を形成するための孔を切削する工程を示す下水管を長軸方向に対して垂直に切断したときの断面図である。 第1の実施の形態に係る切削装置で脆弱部を形成した状態を示す下水管を長軸方向に対して垂直に切断したときの断面図である。 第1の実施の形態に係る切削装置で脆弱部を形成した状態の例を示す下水管の内周面からの正面図である。 第1の実施の形態に係る切削装置が形成した脆弱部を有する耐震構造の一部を示す断面斜視図である。 第1の実施の形態に係る切削装置が形成した脆弱部を有する耐震構造例を示す断面斜視図である。 拡張スリーブの拡張構造を示す斜視図である。 脆弱部に継手ゴムおよび拡張スリーブが設置された状態を示す下水管を長軸方向に対して垂直に切断したときの断面図である。 第2の実施の形態に係る切削装置の構成を示す断面斜視図である。 第2の実施の形態に係る切削装置で脆弱部を形成するための孔を切削している様子を示す断面斜視図である。 第3の実施の形態に係る切削装置の構成を示す断面斜視図である。 第3の実施の形態に係る切削装置で脆弱部を形成するための孔を切削している様子を示す断面斜視図である。 特許文献1で開示された切削装置の構成を示す下水管の長軸方向に切断したときの断面図である。
以下、図面を参照して本発明の実施の形態を詳細に説明する。
〔第1の実施の形態〕
図1は、第1の実施の形態に係る切削装置の構成を示す断面斜視図である。
本実施の形態の切削装置100は、既設のマンホール200と下水管300との継手部に、ひび割れを誘導する脆弱部Vを有する耐震構造を形成するための切削機械である。なお、本実施の形態では、内径が800mmの下水管300を想定して以下を説明する。
あらかじめ既設のマンホール200と下水管300との継手部付近に、ひび割れを誘導する脆弱部Vを形成することで、地震発生時にマンホール200や下水管300が動いたときに、継手部の破損を脆弱部Vに誘導することができる。すなわち、既設のマンホール200や下水管300で意図しない場所が破断することがない。
この脆弱部Vには、あらかじめ可とう性や防水性を持たせた耐震部材を取り付けることで、脆弱部Vに可とう性能や防水性能を具備させておく。これにより、地震発生時にマンホール200や下水管300が動いて脆弱部Vにひび割れが発生しても、耐震部材の存在により水漏れが発生しない。つまり、下水機能が失われることがない。
図1に示すように、切削装置100は、切削手段110、および周回移動手段120を備えている。
切削手段110は、マンホール200と下水管300との継手部付近にひび割れを誘導する脆弱部Vを形成するためのものである。具体的には、マンホール200と下水管300との継手部にあたる下水管300の内周面を切削することで脆弱部Vを形成する切削機械である。
さらに具体的には、切削手段110は、切削機本体111と、切削機本体111に装着される切削ビット112を備えている。切削ビット112は、切削機本体111に装着されて回転し、対象物に押し当てることで対象物に円筒状の孔をあけることができるコアドリルビットである。
切削ビット112は、下水管300の内径に合わせて任意のものを選択することができるが、内径が800mmの下水管300に対して脆弱部Vを形成するためには、50mmの孔を形成することができる切削ビット112を使用することが好ましい。
周回移動手段120は、マンホール200と下水管300との継手部にあたる下水管300の内周面に形成する脆弱部Vを切削手段110で切削できるように、切削手段110を支持し、下水管300の内周面に沿って円周状に切削手段110を周回移動させるためのものである。
具体的に、周回移動手段120は、回転軸121、軸支持体122、回転アーム123、支持角度調節部124、および切削機移動機構125を備えている。
回転軸121は、所定の長さの棒状部材であって、軸支持体122によって下水管300の中心軸に合わせて支持される。
回転軸121は、マンホール200の開口部から内部に搬入し、マンホール200と下水管300との継手部を通しながら下水管300の内部に搬入する。回転軸121の長さによっては、マンホール200から下水管300の内部に搬入できない場合がある。
このような場合は、回転軸121を長手方向に複数に分割した状態でマンホール200の開口部から内部に搬入し、マンホール200や下水管300で分割された回転軸121を連結して組み立てることもできる。
軸支持体122は、下水管300の中心軸に合わせて回転軸121を支持するためのものである。
軸支持体122は、たとえば回転軸121を軸支するための軸受体122Aと、軸受体122Aを下水管300の管内に固定するため固定脚122Bで構成されている。
回転軸121は、軸受体122Aに設けられた貫通孔に挿入され、回転自在に軸受体122Aに軸支される。また、回転軸121は複数の軸支持体122で支持することで、下水管300の中心軸に合わせて平行に安定的に支持することができる。
回転軸121のマンホール200側の先端部には、回転アーム123が回転軸121に対して垂直方向に固定されている。回転アーム123は下水管300の内径よりも短い棒状部材であって、回転アーム123の長手方向の中心部が回転軸121に固定される。これにより、回転軸121が回転することで、回転アーム123の両端部が、下水管300の内周面に沿って旋回する。
支持角度調節部124は、回転アーム123に固定され、回転アーム123の旋回と共に旋回し、連結されることで支持する切削手段110が固定される角度を調節するためのものである。
支持角度調節部124は、たとえば2本の支持棒124A、124B、ガイド部124Cを備えている。
支持棒124Aは、回転アーム123の一端側に所定の角度で固定されている。また支持棒124Bは、回転アーム123の他端側に回動自在に連結されている。
支持棒124Aのうち、回転アーム123と固定されていない側には、たとえば溝形鋼が扇状に折り曲げ加工されたガイド部124Cが固定されている。ガイド部124Cは、溝部が下水管300側に向く方向で支持棒124Aに固定される。
また支持棒124Bのうち、回転アーム123に連結されていない側の端部は、ガイド部124Cの溝部内に収容される。支持棒124Bは、回転アーム123の他端側に回動自在に連結されているため、回転アーム123に連結されていない側の端部は、支持棒124Aに固定されたガイド部124Cに沿って移動することができる。
これにより、支持棒124Bは任意の角度に調節することができる。すなわち、支持棒124Bに切削手段110を連結することで、切削手段110の切削する角度を任意の角度に調節することができる。
切削手段110は、任意の角度に調節することができる支持棒124Bに切削機移動機構125を介して、切削ビット112が支持棒124Bと平行になるようにして連結される。
切削機移動機構125は、たとえば図示しない正逆回転駆動するモータおよびギヤを備えており、切削機移動機構125が有するギヤが支持棒124Bに設けられた図示しない複数のネジ山を回転しながら伝うことで、切削手段110を支持棒124Bに沿って前後進させることができる。切削手段110を駆動させた状態で前進させて、下水管300の内周面に押し当てることで、下水管300の内周面を切削することができる。
前述のように支持棒124Bは任意の角度に調節することができるので、支持棒124Bに平行になるようにして連結された切削ビット112は、支持角度調節部124によって任意の角度に調節される。
また切削手段110は、切削機移動機構125を介して支持棒124Bに連結されているので、任意に切削手段110を前後進させて、下水管300の内周面を切削することができる。
さらに、支持角度調節部124は、下水管300の内周面に沿って旋回する回転アーム123に連結されているため、回転アーム123を旋回させることで、切削手段110が下水管300の内周面に沿って移動させることができる。
これにより、マンホール200と下水管300との継手部にあたる下水管300の内周面の任意の場所に切削手段110を移動させて、かつ切削手段110を任意の角度に調節させて下水管300の内周面を切削することができる。
本実施の形態の切削装置100を使用することで、下水管300の内周面の任意の場所に外径50mmの孔を形成することができる。この複数の孔を連続するように形成することで、下水管300の内周面にひび割れを誘導する脆弱部Vを形成することができる。
本実施の形態の切削装置100では、切削手段110が旋回する位置や角度を任意の場所に設定できるため、たとえ回転軸121を下水管300の中心軸に合わせる設定が位置ズレしたとしても、切削手段110が旋回する位置や角度を調節することで、切削痕の位置ズレを調整することができる。
また、脆弱部Vは、下水管300の内周面にひび割れを誘導するためのものであって、完全に連続した溝を形成する必要はない。つまり、ある程度の間隔を開けて外径50mmの孔を形成してもよい。
このため、回転軸121を下水管300の中心軸に合わせる設定が位置ズレしたとしても、形成された脆弱部Vには、複数の孔が形成されているため、下水管300の内周面にひび割れを誘導することができる。
さらに、切削手段110によって下水管300の内周面に形成される孔は、外径50mmであるため、たとえば隣り合う孔の中心線が20mm~30mm程度ズレが生じていたとしても、ひび割れの誘導に支障は生じない。つまり、回転軸121を下水管300の中心軸に合わせる設定作業を慎重に行う必要はない。このため、施工作業の時間を大幅に短縮することができる。
なお、本実施の形態の切削装置100では、回転軸121が回転することで、回転アーム123が下水管300の内周面に沿って旋回する例で説明したが、回転軸121が固定された状態で、回転アーム123が回転軸121を中心にして旋回する構造とすることもできる。
なお、本実施の形態では、回移動手段120が、下水管300の内周面に向かって放射状に複数設置された固定脚122Bを複数備えた2つの軸支持体122が回転軸121を支持する例で説明したが、軸支持体122は1つであってもよい。また3以上の軸支持体122で回転軸121を支持することもできる。
また、軸受体122Aから放射状に設置された固定脚122Bの数にも制限はなく、一又は複数の固定脚122Bで支持することもできる。この他、下水管300の内周面に向かって、上下垂直方向に張るように張設された支柱を固定脚122Bとして固定させ、固定脚122Bに軸受体122Aを介して回転軸121を接続して回移動手段120を構成することもできる。
図2は、第1の実施の形態に係る切削装置で形成される脆弱部の位置を示す下水管を長軸方向に切断したときの断面図である。
図2に示すように、マンホール200と下水管300との継手部にあたる下水管300の内周面に脆弱部Vが形成される。
なお、本実施の形態の切削装置100では、切削手段110が旋回する位置や角度を任意の場所に設定できるが、ここでは下水管300のマンホール200側開口部付近の内周面から、マンホール200と下水管300とが接続された外側角部に向けて、斜めに脆弱部Vを形成する。
このとき、形成する孔は、下水管300の側壁面を貫通するように形成するのではなく、下水管300の側壁面と形成する孔とに差分を設けた状態、つまり下水管300の外周面に貫通孔を形成せずに、下水管300の外側壁面を残すようにして切削装置100で脆弱部Vを形成する。すなわち、切削装置100が切削する孔の深さは、下水管300の側壁面の厚さよりも短くなるように調節する。
具体的には、あらかじめ下水管300の側壁面の厚さを測定しておき、その下水管300の側壁面の厚さよりも短い深さの孔を切削できるように、切削ビット112の刃の外側に、切削ビット112の刃の先端から基端側の長さが、切削する孔の所望の深さと等しい位置に、切削を停止するための切削停止手段である目印線を付けておく。
切削ビット112で下水管300を切削しながら切削ビット112を目視し、切削ビット112に付された目印線が下水管300の側壁面にきたところで切削を一旦停止する。次に、切削ビット112を次の切削位置まで移動させて切削を開始する。同様に切削ビット112に付された目印線が下水管300の側壁面にきたところで切削を停止する。これを繰り返すことで、継手部に均一な深さの孔を形成することができる。
切削停止手段は、目印線だけでなく、切削ビット112の刃の先端から基端側の長さが、切削する孔の所望の深さと等しい位置に設けられたフランジ部であってもよい。具体的にフランジ部は、円筒状の切削ビット112よりも外側にはみ出すように形成された部分である。
切削ビット112で下水管300を切削していくと、やがて切削ビット112に形成されたフランジ部が下水管300の側壁面に接する。フランジ部が下水管300の側壁面に接することで、フランジ部が下水管300の側壁面に接した位置よりも深く接することができなくなる。これにより、継手部に均一な深さの孔を形成することができる。
また、切削装置100は、切削する下水管300における管壁の厚さを測定するための壁厚測定手段を備えるもできる。これにより、下水管300の管壁の厚さを測定しながら、水管300の側壁面に所望の深さの孔を形成することができる。
たとえば、下水管300が長年の使用により、変形したいた場合や、下水管300の管壁の厚さが不明な場合でも、壁厚測定手段で下水管300の管壁の厚さを測定しながら、水管300の側壁面に所望の深さの孔を形成することで、下水管300の外側壁面を残すようにして切削装置100で脆弱部Vを形成することができる。
これにより、切削ビット112に付された印を目視しながら切削を行うことがないので、切削装置100による下水管300内の切削作業を自動化することができる。このため、マンホール200や下水管300の内部で生じる、臭いや、ガスなどによる健康被害や、酸素欠乏症や硫化水素中毒を原因とする事故、また大雨に伴う急激な水位上昇により作業員が流される事故などを抑制することができる。
また、後述するように、下水管300の外周面に貫通孔を形成せずに、下水管300の外側壁面を残すことで、下水管300の外側壁面と切削ビット112の刃の内側に残された切削屑とが接続された状態であるため、下水管300に形成する脆弱部Vに切削屑が残されることが好ましい。
切削装置100が切削する孔の深さは、この下水管300の外側壁面と切削ビット112の刃の内側に残された切削屑とが接続された状態が維持できるような深さで切削することが好ましい。また、切削装置100が切削する孔の径も、切削ビット112の刃の内側に残された切削屑と接続された状態が維持できるような径であることが好ましい。
これにより、下水管300の外側壁面は形成された脆弱部Vの孔が貫通されていないので、可とう性や防水性を持たせた耐震部材を下水管300の外側壁面に施す必要がない。つまり可とう性や防水性を持たせた耐震部材は、下水管300の内周面に形成された脆弱部Vが形成された部分だけに施せばよく、施工時間を大幅に短縮することができる。
また、下水管300の外側壁面と切削ビット112の刃の内側に残された切削屑とが接続された状態にすることで、切削時に排出される切削屑の量を低減することができる。これにより、切削屑の処理工程や、清掃工程などの時間を抑制することができ、施工コストを低減することができる。
図3は、第1の実施の形態に係る切削装置で脆弱部を形成するための孔を切削している様子を示す断面斜視図である。
図3に示すように、支持棒124B、および支持棒124Bに連結された切削手段110を、形成する脆弱部Vの位置に合わせて調節し、切削機移動機構125により、切削手段110を駆動させた状態で下水管300の内周面に向けて前進させる。切削手段110を前進させて下水管300の内周面に押し当てることで、下水管300の内周面を切削する。
図4は、第1の実施の形態に係る切削装置で脆弱部を形成するための孔を切削した状態を示す断面斜視図である。
図4に示すように、図3の状態から切削機移動機構125により、切削手段110を下水管300から内側に遠ざけるように後退させる。これにより、下水管300の内周面には、切削手段110により形成された切削痕Mが形成される。
次の切削痕Mを形成する場合には、切削装置100の回転軸121を一方側に回転させて、回転アーム123を旋回させて切削した切削痕Mに隣設する位置を切削手段110が切削できるように調節する。続いて切削機移動機構125により、切削手段110を駆動させた状態で下水管300の内周面に向けて前進させ、図3~図4の工程を繰り返す。
なお、切削手段110によって形成される切削痕Mの深さは、切削機移動機構125による切削手段110の移動距離を調節することで自在に調節することができる。これにより、下水管300の外周面に貫通孔を形成せずに、下水管300の外側壁面を残すようにして切削装置100で脆弱部Vを形成することができる。
図5は、第1の実施の形態に係る切削装置で脆弱部を形成するための孔を切削する工程を示す下水管を長軸方向に対して垂直に切断したときの断面図である。
図5(A)に示すように、切削手段110を、形成する脆弱部Vの位置に合わせて調節する。
次に、図5(B)に示すように、切削機移動機構125により、切削手段110を駆動させた状態で下水管300の内周面に向けて前進させる。切削手段110を前進させて下水管300の内周面に押し当てることで、下水管300の内周面を切削する。
次に、図5(C)に示すように、図5(B)の状態から切削機移動機構125により、切削手段110を下水管300から内側に遠ざけるように後退させる。これにより、下水管300の内周面には、切削手段110により形成された切削痕Mが形成される。
次に、図5(D)に示すように、切削装置100の回転軸121を一方側に回転させて、回転アーム123を旋回させて切削した切削痕Mに隣設する位置を切削手段110が切削できるように調節する。
たとえば図5(D)では、前工程で形成された切削痕Mの外周と、切削ビット112の外周とが接する位置に調節される。
次に、図5(E)に示すように、切削機移動機構125により、切削手段110を駆動させた状態で下水管300の内周面に向けて前進させる。切削手段110を前進させて下水管300の内周面に押し当てることで、下水管300の内周面を切削する。
次に、図5(F)に示すように、図5(E)の状態から切削機移動機構125により、切削手段110を下水管300から内側に遠ざけるように後退させる。これにより、下水管300の内周面には、切削手段110により形成された2つの切削痕Mが形成される。
以後、下水管300の内周面を周回するまで、図5(D)から図5(F)までの工程を繰り返す。下水管300の内周面を周回するように切削痕Mを形成することで、既設のマンホール200と下水管300との継手部に、ひび割れを誘導する脆弱部Vを形成することができる。
以上のように、本実施の形態の切削装置100で形成する孔は、下水管300の側壁面を貫通するように形成するのではなく、下水管300の側壁面と形成する孔とに差分を設けた状態、つまり下水管300の外周面に貫通孔を形成せずに、下水管300の外側壁面を残すようにして切削装置100で脆弱部Vを形成する。
一般に、切削ビット112として用いられるコアドリルビットで、対象物を穿孔する場合、穿孔した際にコアドリルビットの刃の内側に入り込んだ切削屑は、コアドリルビットを引き抜くと同時にコアドリルビットの刃の内側に残された状態で対象物から撤去される。
ところが、本実施の形態の切削装置100では、下水管300の外側壁面を残すようにして孔を形成するため、本来、円筒状にも設けられた切削ビット112の刃の内側に入り込んで、切削ビット112を後退させると共に取り除かれるべき切削屑310は、下水管300の外側壁面と接続されているため、下水管300に形成する脆弱部Vに残されることになる。
この切削屑310は、下水管300に形成する脆弱部Vに残されていたとしても、脆弱部Vに切削痕Mが形成されていれば、ひび割れを誘導することができるので、支障はない。
また、マンホール200と下水管300とが脆弱部Vで完全に分断されていないため、最低限必要な強度も保持することができ、かつ地震発生時には、脆弱部Vにひび割れを誘導することができる。
また、下水管300の外側壁面を残すようにして切削装置100で脆弱部Vを形成することで、切削ビット112を下水管300の内周面から引き抜いても、切削ビット112の刃の内側に切削屑310が取り残されない。
つまり、次の孔を切削する際に、切削ビット112の刃の内側に残された切削屑310を取り除く工程が必要なくなる。これにより、連続作業で脆弱部Vを形成するための孔を切削することができ、作業効率が向上する。
また、切削ビット112の刃の内側に残された切削屑310を取り除く工程は、50mmの筒の中に取り残されたコンクリートを取り除く細かい作業であるため、人の手で行う必要がある。
本実施の形態の切削装置100では、この切削ビット112の刃の内側に残された切削屑310を人の手で取り除く工程が不要であるため、すべての切削工程を遠隔作業で行うこともできる。これにより、マンホール内で人が行う危険な作業を低減させることができる。
なお、本実施の形態の切削装置100では、切削ビット112をコアドリルビットとして円筒状の切削痕Mが形成され、切削痕Mを複数形成することで脆弱部Vを形成する例で説明したが、切削ビット112は、たとえば先端に切削刃を備えたドリルビットであって、ドリルビットの進行方向に穿孔穴を形成するようにすることもできる。この場合、脆弱部Vはドリルビットで形成された複数の穿孔穴によって形成される。
図6は、第1の実施の形態に係る切削装置で脆弱部を形成した状態を示す下水管を長軸方向に対して垂直に切断したときの断面図である。
図6に示すように、切削装置100で下水管300の内周面を周回するまで、切削痕Mを形成する。
これにより、切削痕Mは、下水管300の内周面から放射状に複数形成される。この下水管300の内周面から放射状に形成された切削痕Mを形成することで、地震発生時にマンホール200や下水管300が動いたときに、継手部の破損を脆弱部Vに誘導することができる。
図7は、第1の実施の形態に係る切削装置で脆弱部を形成した状態の例を示す下水管の内周面からの正面図である。
図7(A)に示すように、切削痕Mは、切削により形成された切削痕Mの内側に切削屑310が取り残された状態で切削されている。また、切削痕Mは、隣設する隣設孔の切削痕Mの外周円が接するように連続して形成される。
なお、切削痕Mの幅は、下水管300の内周面を切削する切削ビット112の刃の厚さによって異なるが、本実施の形態の場合では、厚さ4mm程度の溝が円周状に形成されることが好ましい。
形成される切削痕Mの幅は、脆弱部Vを形成する下水管300の大きさに合わせて任意の大きさを選択することができる。つまり、下水管300の大きさに合わせて任意の大きさの切削ビット112を選択して円周状の溝である切削痕Mを形成することができる。
図7(B)の例では、切削痕Mは、切削により形成された切削痕Mの内側に切削屑310が取り残された状態で切削されている。また、切削痕Mは、隣設する隣設孔の切削痕Mの外周円が重ならないように、所定の間隔をあけて連続して形成することもできる。
図7(C)に示すように、切削痕Mは、切削により形成された切削痕Mの内側に切削屑310が取り残された状態で切削されている。また、切削痕Mは、隣設する隣設孔の切削痕Mの外周円が重なるように連続して形成することもできる。
上記のように、脆弱部Vは、様々な形態の切削痕Mで形成することができる。また、隣設する切削痕Mが離れているほど強度が高い。具体的には、図7(C)、図7(A)、図7(B)の順に強度が高くなる。このように、脆弱部Vの強度は、隣設する隣設孔の切削痕Mの位置関係によって調節することができる。
図8は、第1の実施の形態に係る切削装置が形成した脆弱部を有する耐震構造の一部を示す断面斜視図である。
本実施の形態の切削装置100で、下水管300の内周面を周回するように切削痕Mを形成することで、既設のマンホール200と下水管300との継手部に、ひび割れを誘導する脆弱部Vを形成し、形成された脆弱部Vの内側面には、可とう性や防水性を持たせた耐震部材が取り付けられることで耐震構造を形成される。
具体的には、図8に示すように、形成された脆弱部Vの内側には、形成された切削痕Mを完全に覆うように、可とう性と防水性を備えたゴム層である継手ゴムGが設置される。
これにより、地震が発生していないときには、下水管300を流れる下水が脆弱部Vに滲入することを防止することができる。このため、下水管300を流れる下水の水圧によって脆弱部が破損することを防止することができる。
また、地震が発生したときには、脆弱部Vが形成されているため、マンホール200や下水管300が動いたときに、継手部の破損を脆弱部Vに誘導することができる。これにより、既設のマンホール200や下水管300で意図しない場所が破断することがない。
また内側を覆うように可とう性と防水性を備えた継手ゴムGが設置されているため、マンホール200や下水管300の動きや、脆弱部Vの動きに合わせて継手ゴムGが柔軟に対応する。このため、脆弱部Vが備えられた継手部が破断することがなくなり、破損を誘導した脆弱部Vを有する継手部からの漏水を防止することができる。
図9は、第1の実施の形態に係る切削装置が形成した脆弱部を有する耐震構造例を示す断面斜視図である。
本実施の形態の切削装置100で、下水管300の内周面を周回するように切削痕Mを形成することで、既設のマンホール200と下水管300との継手部に、ひび割れを誘導する脆弱部Vを形成し、形成された脆弱部Vの内側面には、可とう性や防水性を持たせた耐震部材である継手ゴムGが設置される。
図9に示すように、継手ゴムGの内側面には、継手ゴムGを下水管300の内周面に固定するための拡張スリーブSが設置される。
拡張スリーブSは、後述するように径を拡張するための構造を有しており、継手ゴムGの内側面に拡張スリーブSが設置した後に、拡張スリーブSの径を拡大させる。
これにより、継手ゴムGが下水管300の内周面に押し付けられて固定される。この他、継手ゴムGと下水管300との間や、継手ゴムGと拡張スリーブSとの間に接着剤を介在させることもできる。
図10は、拡張スリーブの拡張構造を示す斜視図である。
図10に示すように、拡張スリーブSは硬質な樹脂材や鋼板が円筒状に形成されたものである。図9の例では、拡張スリーブSは一連の円筒状に形成された例で説明するが、円筒状の拡張スリーブを複数に分割して構成することもできる。
拡張スリーブSの一部には、一方の開口部から他方の開口部に向かって、楔S1を打ち込むための切欠部S2が形成されている。
切欠部S2は、一方側が幅広に形成され広口部、他方側が幅狭に形成された狭口部を有する三角状の切り欠きである。また楔S1は、この切欠部S2よりも大型に形成された三角状の楔である。
拡張スリーブSを取り付ける際は、拡張スリーブSから楔S1を取り外した状態で、継手ゴムGが設置された下水管300の内周面の内側に拡張スリーブSを設置する。次に切欠部S2の一方側に形成された広口部から、楔S1の先端を差し込んで打ち込む。
このように切欠部S2に楔S1を打ち込むことで、拡張スリーブS径が拡張される。これにより、継手ゴムGが下水管300の内周面に押し付けられて固定される。
図11は、脆弱部に継手ゴムおよび拡張スリーブが設置された状態を示す下水管を長軸方向に対して垂直に切断したときの断面図である。
図11に示すように、形成された脆弱部Vの内側には、複数の切削痕Mが下水管300の内周面を周回するように形成されている。また形成された切削痕Mを完全に覆うように、可とう性と防水性を備えた継手ゴムGおよび拡張スリーブSが設置される。
これにより、地震が発生していないときには、下水管300を流れる下水が脆弱部Vに滲入することを防止することができる。このため、下水管300を流れる下水の水圧によって脆弱部Vが破損することを防止することができる。
また、地震が発生したときには、脆弱部Vが形成されているため、マンホール200や下水管300が動いたときに、継手部の破損を脆弱部Vに誘導することができる。これにより、既設のマンホール200や下水管300で意図しない場所が破断することがない。
また内側を覆うように可とう性と防水性を備えた継手ゴムGおよび拡張スリーブSが設置されているため、マンホール200や下水管300の動きや、脆弱部Vの動きに合わせて継手ゴムGが柔軟に対応する。このため、脆弱部Vが備えられた継手部が破断することがなくなり、破損を誘導した脆弱部Vを有する継手部からの漏水を防止することができる。
〔第2の実施の形態〕
次に、本発明の第2の実施の形態について説明する。本実施の形態の切削装置は、周回移動手段の支持形態が異なる以外は、第1の実施の形態で示した構成とほぼ同様である。このため、上記第1の実施の形態とほぼ同様の構成部分については同一の符号を付すなどして適宜その説明を省略する。
図12は、第2の実施の形態に係る切削装置の構成を示す断面斜視図である。
図12に示すように、切削装置100は、切削手段110、および周回移動手段120を備えている。
切削手段110は、マンホール200と下水管300との継手部付近にひび割れを誘導する脆弱部Vを形成するためのものであって、切削機本体111と、切削機本体111に装着される切削ビット112を備えている。
周回移動手段120は、回転軸121、軸支持体122、および切削機移動機構125を備えている。
回転軸121のマンホール200側の先端部には、切削手段110による切削方向が回転軸121に対して垂直方向になるように切削機移動機構125を介して切削手段110が固定されている。
切削機移動機構125は、たとえば図示しない正逆回転駆動するモータおよびギヤを備えており、切削機移動機構125が有するギヤが切削手段110に設けられた図示しない複数のネジ山を回転しながら伝うことで、切削手段110を回転軸121に対して垂直方向に前後進させることができる。切削手段110を駆動させた状態で前進させて、下水管300の内周面に押し当てることで、下水管300の内周面を切削することができる。
また、切削機移動機構125は、下水管300の中心で回転する回転軸121の先端に垂直に固定されているため、回転軸121を回転させることで、切削手段110による切削ビット112の先端が、下水管300の内周面に沿って移動させることができる。
これにより、マンホール200と下水管300との継手部にあたる下水管300の内周面の任意の場所に切削手段110を移動させて、切削手段110を下水管300の内周面に対して垂直(下水管300の中心から放射状に)下水管300の内周面を切削することができる。
本実施の形態の切削装置100を使用することで、下水管300の内周面の任意の場所に外径50mmの孔を形成することができる。この複数の孔を連続するように形成することで、下水管300の内周面にひび割れを誘導する脆弱部Vを形成することができる。
本実施の形態の切削装置100では、切削手段110が下水管300の内周面を旋回しながら外径50mmの孔を切削していくため、たとえ回転軸121を下水管300の中心軸に合わせる設定が位置ズレしたとしても、下水管300の内周面にひび割れを誘導する脆弱部Vを形成することができる。
また、本実施の形態の切削装置100では、切削手段110が下水管300の内周面を放射状に移動し、旋回しながら外径50mmの孔を切削していくため、たとえ回転軸121を下水管300の中心軸に合わせる設定が位置ズレしたとしても、切削機移動機構125による切削手段110の移動距離を調節することで、形成する切削痕Mの深さを一定に形成することができる。
図13は、第2の実施の形態に係る切削装置で脆弱部を形成するための孔を切削している様子を示す断面斜視図である。
図13に示すように、切削機移動機構125により、切削手段110を駆動させた状態で下水管300の内周面に向けて前進させて下水管300の内周面に押し当てることで、下水管300の内周面を切削することができる。
切削手段110によって形成される切削痕Mの深さは、切削機移動機構125による切削手段110の移動距離を調節することで自在に調節することができる。これにより、下水管300の外周面に貫通孔を形成せずに、下水管300の外側壁面を残すようにして切削装置100で脆弱部Vを形成することができる。
なお、本実施の形態では、回移動手段120が、下水管300の内周面に向かって放射状に複数設置された固定脚122Bを複数備えた2つの軸支持体122が回転軸121を支持する例で説明したが、軸支持体122は1つであってもよい。また3以上の軸支持体122で回転軸121を支持することもできる。
また、軸受体122Aから放射状に設置された固定脚122Bの数にも制限はなく、一又は複数の固定脚122Bで支持することもできる。この他、下水管300の内周面に向かって、上下垂直方向に張るように張設された支柱を固定脚122Bとして固定させ、固定脚122Bに軸受体122Aを介して回転軸121を接続して回移動手段120を構成することもできる。
〔第3の実施の形態〕
次に、本発明の第3の実施の形態について説明する。本実施の形態の切削装置は、周回移動手段の支持形態が異なる以外は、第1および第2の実施の形態で示した構成とほぼ同様である。このため、上記第1および第2の実施の形態とほぼ同様の構成部分については同一の符号を付すなどして適宜その説明を省略する。
図14、第3の実施の形態に係る切削装置の構成を示す断面斜視図である。
図14に示すように、切削装置100は、切削手段110、および周回移動手段130を備えている。
周回移動手段130は、ガイドレール131、ガイドレール支持体132、および切削機移動機構133を備えている。
ガイドレール131は、下水管300の中心軸を中心とした円筒状の形状で形成されたた鋼材であり、レール面中央部外側には放射状に複数のガイドレール支持体132が備えられ、ガイドレール131が下水管300の内部に固定されている。
ガイドレール131の内径は、マンホール200の開口部の内径より小さくすることで、マンホール200の内部に容易に搬入することができる。また分割したガイドレール131をマンホール200の内部で組み立てることができる。
切削機移動機構133は、連結される切削手段110の切削方向に対して垂直に設けられた挟持部133Aを介してガイドレール131に連結されている。挟持部133Aは、下水管300に固定されたガイドレール131のレール面を水平方向に銜えることで、ガイドレール131のレール面に沿って移動することができる。
これにより、挟持部133Aは下水管300の内周面に沿って旋回することができる。なお、この挟持部133Aの移動には、原動機、例えばモータや制御装置を用いることで、レール面上の移動の自動化や、遠隔操作を可能とすることができる。
挟持部133Aによってガイドレール131に連結された切削機移動機構133は、たとえば図示しない正逆回転駆動するモータおよびギヤを備えており、切削機移動機構125が有するギヤが切削手段110に設けられた図示しない複数のネジ山を回転しながら伝うことで、切削手段110を挟持部133Aが銜えたガイドレール131のレール面に対して垂直方向に前後進させることができる。
切削手段110を駆動させた状態で前進させて、下水管300の内周面に押し当てることで、下水管300の内周面を切削することができる。
また、切削機移動機構133は、下水管300の内部に固定されたガイドレール131のレール面上を移動する挟持部133Aを介して、ガイドレール131のレール面に対して垂直に固定されているため、切削機移動機構133がガイドレール131に沿って移動することで、切削手段110による切削ビット112の先端が、下水管300の内周面に沿って移動させることができる。
これにより、マンホール200と下水管300との継手部にあたる下水管300の内周面の任意の場所に切削手段110を移動させて、切削手段110を下水管300の内周面に対して垂直(下水管300の中心から放射状に)下水管300の内周面を切削することができる。
図15は、第3の実施の形態に係る切削装置で脆弱部を形成するための孔を切削している様子を示す断面斜視図である。
図15に示すように、下水管300の内部に固定されたガイドレール131のレール面上を移動しながら、切削機移動機構125により、切削手段110を駆動させた状態で下水管300の内周面に向けて前進させて下水管300の内周面に押し当てることで、下水管300の内周面を切削することができる。
切削手段110によって形成される切削痕Mの深さは、切削機移動機構125による切削手段110の移動距離を調節することで自在に調節することができる。これにより、下水管300の外周面に貫通孔を形成せずに、下水管300の外側壁面を残すようにして切削装置100で脆弱部Vを形成することができる。
100 切削装置
110 切削手段
111 切削機本体
112 切削ビット
120、130 周回移動手段
121 回転軸
122 軸支持体
122A 軸受体
122B 固定脚
123 回転アーム
124 支持角度調節部
124A、124B 支持棒
124C ガイド部
125、133 切削機移動機構
131 ガイドレール
132 ガイドレール支持体
133A 挟持部
200 マンホール
300 下水管
310 切削屑
G 継手ゴム
M 切削痕
S 拡張スリーブ
S1 楔
S2 切欠部
V 脆弱部

Claims (19)

  1. 既設のマンホールと下水管との継手部に、ひび割れを誘導する脆弱部を有する耐震構造を形成するための切削装置において、
    前記脆弱部を形成する前記継手部の内周面に向けて前記下水管の中心軸側から外側に向けて筒状の孔を切削するための切削手段と、
    連結された前記切削手段を前記継手部の内周面に向けて前後進させる切削手段移動機構と、
    前記切削手段移動機構を支持して、前記継手部の内周面に沿って円周状に前記切削手段を周回移動させる周回移動手段と、
    を備えることを特徴とする切削装置。
  2. 前記切削手段は、
    円筒状の孔を切削するコアドリルであること、
    を特徴とする請求項1記載の切削装置。
  3. 前記円筒状の孔の深さは、
    前記継手部の壁面の厚さよりも短い孔深長であること、
    を特徴とする請求項2記載の切削装置。
  4. 前記孔深長は、
    前記コアドリルが前記継手部を切削した際に、
    前記コアドリルの刃の内側に残された切削屑と、前記継手部の外側壁面とが接続された状態を維持できる深さであること、
    を特徴とする請求項3記載の切削装置。
  5. 前記円筒状の孔の径は、
    前記切削屑と、前記外側壁面とが接続された状態を維持できる径であること、
    を特徴とする請求項4記載の切削装置。
  6. 前記切削手段による前記継手部の切削が、前記孔深長で停止させるための切削停止手段、
    を備えることを特徴とする請求項3記載の切削装置。
  7. 前記切削停止手段は、
    前記切削手段の先端から基端側の長さが前記孔深長と等しい位置に設けられた目印線であること、
    を特徴とする請求項6記載の切削装置。
  8. 前記切削停止手段は、
    前記切削手段の先端から基端側の長さが前記孔深長と等しい位置に、前記切削手段の外側に突出するように設けられたフランジ部であること、
    を特徴とする請求項6記載の切削装置。
  9. 前記継手部の壁面の厚さを測定する壁厚測定手段、
    を備えることを特徴とする請求項3記載の切削装置。
  10. 前記円筒状の孔の外周円と、切削されて隣設される隣設孔の外周円と、が接するようにして切削されること、
    を特徴とする請求項2記載の切削装置。
  11. 前記円筒状の孔の外周円と、切削されて隣設される隣設孔の外周円と、が所定の間隔をあけて切削されること、
    を特徴とする請求項2記載の切削装置。
  12. 前記円筒状の孔の外周円と、切削されて隣設される隣設孔の外周円と、が重なるようにして切削されること、
    を特徴とする請求項2記載の切削装置。
  13. 前記周回移動手段を前記下水管内に固定するための固定手段、
    を備えることを特徴とする請求項1記載の切削装置。
  14. 前記固定手段は、
    前記下水管の内周面に向かって放射状に設置された複数の固定脚、
    をそなえることを特徴とする請求項13記載の切削装置。
  15. 前記固定手段は、
    前記下水管の内周面に向かって垂直方向に張設された張設支柱、
    を備えることを特徴とする請求項13記載の切削装置。
  16. 既設のマンホールと下水管との継手部に、ひび割れを誘導する脆弱部を有する耐震構造を形成するための切削方法において、
    前記脆弱部を形成する前記継手部の内周面に向けて前記下水管の中心軸側から外側に向けて筒状の孔を切削手段が切削する工程と、
    連結された前記切削手段を前記継手部の内周面に向けて切削手段移動機構が前後進させる工程と、
    前記切削手段移動機構を支持して、前記継手部の内周面に沿って円周状に前記切削手段を周回移動手段が周回移動させる工程と、
    を備えることを特徴とする切削方法。
  17. 既設のマンホールと下水管との継手部に形成される耐震構造において、
    前記継手部の内周面に向けて前記下水管の中心軸側から外側に向けて筒状の孔を切削するための切削手段と、連結された前記切削手段を前記継手部の内周面に向けて前後進させる切削手段移動機構と、前記切削手段移動機構を支持して、前記継手部の内周面に沿って円周状に前記切削手段を周回移動させる周回移動手段とを備えた切削装置で、前記継手部の内周面に沿って円周状に切削されて複数の前記孔が形成された、ひび割れを誘導する脆弱部、
    を備えることを特徴とする耐震構造。
  18. 前記複数の前記孔を覆うように前記継手部の内側に配設される可とう性と防水性を備えたゴム層、
    を備えることを特徴とする請求項17記載の耐震構造。
  19. 前記ゴム層の内側から外径を拡張して、前記ゴム層を前記継手部に固定するための拡張スリーブ、
    を備えることを特徴とする請求項18記載の耐震構造。
JP2021011638A 2021-01-28 2021-01-28 切削装置、切削方法、および耐震構造 Pending JP2022115154A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2021011638A JP2022115154A (ja) 2021-01-28 2021-01-28 切削装置、切削方法、および耐震構造

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2021011638A JP2022115154A (ja) 2021-01-28 2021-01-28 切削装置、切削方法、および耐震構造

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2022115154A true JP2022115154A (ja) 2022-08-09

Family

ID=82747932

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2021011638A Pending JP2022115154A (ja) 2021-01-28 2021-01-28 切削装置、切削方法、および耐震構造

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2022115154A (ja)

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP4668874B2 (ja) 鋼管先受け工法
CN111236221A (zh) 一种旋挖桩的施工工艺
KR101157080B1 (ko) 하수관과 가지관 접합부의 비굴착 보수 장치 및 보수 방법
CN114108611B (zh) 一种大直径钢管混凝土变径桩基施工方法
JP2020098089A5 (ja)
JP2022115154A (ja) 切削装置、切削方法、および耐震構造
KR20200031530A (ko) 지열 열 교환기를 설치하기 위한 방법 및 장치
US20210324685A1 (en) Interlocking tubular with sectioned parts and related method
JP6750970B2 (ja) 切削装置、およびその切削方法
KR101709990B1 (ko) 수중구조물 시공장치 및 이를 이용한 시공방법
JP4514159B2 (ja) マンホール側壁と管との接続部補修装置及び当該補修装置を使用した補修工法
JP2019035253A (ja) ボックスカルバート内壁面の耐震スリット切断方法及びこれに用いる耐震スリット切断システム
CN107883113A (zh) 一种可调型管道内支架加固系统及其加固方法
JP2014005590A (ja) 円筒状部材形成ユニットの結合装置
JPH01198920A (ja) アースアンカーによる水中土留め壁の補強方法
KR102547059B1 (ko) 내진용 기초파일 및 이를 제조하는 방법
JP5796887B2 (ja) マンホール側壁と管との接続部補修装置及び当該補修装置を使用した補修工法
JP2014005589A (ja) 円筒状部材形成ユニットの結合装置
CN219808384U (zh) 工法桩测斜管安装装置
JP2006200126A (ja) マンホール周壁と管との接続部補修装置及び当該補修装置を使用した補修工法
CN116464833A (zh) 一种地下大直径管道迁改割接结构及方法
JP2008111264A (ja) 管埋設方法及び管埋設システム
KR20170061093A (ko) 수직구 굴착방법
CN116291480A (zh) 一种隧道施工方法
JP2005155680A (ja) 埋設管の敷設方法及びそれに使用する敷設装置

Legal Events

Date Code Title Description
A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20210331

A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20231206