JP2022115037A - 導電性樹脂組成物 - Google Patents

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Masayuki Sasaki
祐基 白川
Yuki Shirakawa
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Hikaru Fukushima
香織 藤井
Kaori Fujii
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Abstract

【課題】導電膜を形成した際の体積抵抗率が低く、良好な導電性を示すものであり、各種基材に対する密着性が良好であり、保存安定性に優れ、導電性インクや回路接続材料等として有用な導電性樹脂組成物を提供すること。【解決手段】(a)銀系金属粉末、銅系金属粉末、アルミニウム系金属粉末、鉄系金属粉末、ニッケル系金属粉末、亜鉛系金属粉末、錫系金属粉末及び金系金属粉末からなる群より選ばれる1種類以上の導電粉末と、(b)ポリビニルブチラール系樹脂と、を含むとともに、(c)レゾール型フェノール系樹脂をポリビニルブチラール系樹脂100質量部に対して0~75質量部含む、導電性樹脂組成物。【選択図】なし

Description

本発明は、導電性樹脂組成物に関する。また、本発明は、基材にスクリーン印刷して回路等を形成する際に用いられる導電性インク、及び電子部品を回路基板等に導電接続する際に用いられる回路接続材料に関する。
導電性樹脂組成物としては、多種多様な組成のものが知られており、導電性ペースト、導電性インク、導電性塗料、回路接続材料、導電性接着剤等として、電子回路の形成、電子部品の接着等の種々の用途に使用されている。
例えば、各種の印刷方法に適用可能であり、相互接続及びトレース、電極などの導電構造を有するフレキシブルプラスチック基材等の製造に有用な導電性インクが求められている。
例えば、コンピュータや携帯電話などの電子機器において、LED素子、半導体素子、コンデンサなど各種の電子部品が同一回路基板上に高密度実装し高集積化するための回路接続材料が求められている。
しかしながら、これまでの導電性樹脂組成物は、ガラスやプラスチックフィルム等の基材に対する密着性が低く、電子部品と回路の接着に際しても十分な接着力が得られないことが多いため、導電接続の信頼性が低いものであった。
また、導電性樹脂組成物における導電粉末の分散性が不十分となり、導電性樹脂組成物の膜の体積抵抗率が高くなり導電性が不十分になることがあった。
このため、部品の小型化・回路の高密度化により配線パターン間隔が狭くなっている電子機器に対して、短絡故障の発生が抑えられており、導電接続の信頼性が高い導電性樹脂組成物が求められている。
このようなニーズに対して、特許文献1~3には、導電粉末と、樹脂成分とを含む導電性樹脂組成物が記載されている。しかしながら、これらの導電性樹脂組成物は、プラスチック基材やガラスに対する密着性、導電性及び保存安定性のいずれか1つ以上において改善すべき点があった。
特開平10-162646号公報 国際公開第2014/104053号 特開平10-247419号公報
これまで、プラスチック基材やガラスに対して十分な密着性を有し、膜とした際に十分な導電性を有し、保存安定性に優れ、人体や環境に悪影響を与える鉛成分を含まない導電性樹脂組成物は知られていなかった。
本発明が解決しようとする課題は、導電膜を形成した際の体積抵抗率が低く、良好な導電性を示すものであり、各種基材に対する密着性が良好であり、保存安定性に優れ、導電性インクや回路接続材料等として有用な導電性樹脂組成物を提供することである。
本発明者らは、上記課題を解決すべく鋭意検討を行った結果、特定の組成の導電性樹脂組成物とすることで、上記課題が解決できることを見出し、本発明を完成するに至った。
具体的には、以下に示すとおりである。
[1] (a)銀系金属粉末、銅系金属粉末、アルミニウム系金属粉末、鉄系金属粉末、ニッケル系金属粉末、亜鉛系金属粉末、錫系金属粉末及び金系金属粉末からなる群より選ばれる1種類以上の導電粉末と、
(b)ポリビニルブチラール系樹脂と、
を含むとともに、
(c)レゾール型フェノール系樹脂をポリビニルブチラール系樹脂100質量部に対して0~75質量部含む、
導電性樹脂組成物。
[2] 導電粉末が、銀系金属粉末、銅系金属粉末及びニッケル系金属粉末からなる群より選ばれる1種類以上である、[1]に記載の導電性樹脂組成物。
[3] [1]又は[2]に記載の導電性樹脂組成物を含む、導電性インク。
[4] [1]又は[2]に記載の導電性樹脂組成物を含む、回路接続材料。
本発明は、導電膜を形成した際の体積抵抗率が低く、良好な導電性を示すものであり、各種基材に対する密着性が良好であり、保存安定性に優れ、導電性インクや回路接続材料等として有用な導電性樹脂組成物が得られるという顕著な効果を発揮する。
さらに、本発明の導電性樹脂組成物は、導電接続を形成する際の膜形成温度を低くすることができるため、従来基材として使用されていなかった低融点のプラスチックを基材として用いることが可能となる。
本発明の導電性樹脂組成物は、プリンテッドエレクトロニクス材料として有用であり、表示装置、車両関連部品、IoT、移動通信システム(Mobile Communication System)等の各種電子機器等の大量生産に際して極めて有用である。
本発明は、導電性樹脂組成物、導電性インク及び回路接続材料にかかるものである。以下、これらについて詳細に説明する。
[導電性樹脂組成物]
<導電粉末>
銀系金属粉末、銅系金属粉末、アルミニウム系金属粉末、鉄系金属粉末、ニッケル系金属粉末、亜鉛系金属粉末、錫系金属粉末及び金系金属粉末からなる群より選ばれる1種類以上の導電粉末は、銀、銅、アルミニウム、鉄、ニッケル、亜鉛、錫又は金のいずれかを金属成分として含む粉末であれば特に限定されない。例えば、前記金属自体の粉末、前記金属を含む合金粉末、前記金属で表面の少なくとも一部を被覆した被覆粉末等があげられる。導電粉末は、1種類単独又は2種類以上を組み合わせて使用することができる。
本発明において、導電粉末は、導電性やコスト等の点から、銀系金属粉末、銅系金属粉末及びニッケル系金属粉末からなる群より選ばれる1種類以上であることが好ましい。より好ましくは銀系金属粉末の1種類以上であり、さらに好ましくは銀被覆粉末を含むものであり、最も好ましくは、銀被覆銅単独又は銀被覆銅粉末と銀粉末の混合物である。銀被覆銅粉末は、導電性が高く、金属銀粉末と比較して安価であり、銅マイグレーションの発生を抑えることができることから好適である。
導電粉末の形状は、特に限定されない。真球状、略球状(例えば、縦横のアスペクト比が1.5以下)、扁平状、ブロック状、板状、多角錐状、多面体状、鱗片状、棒状、繊維状、針状、不定形状等のものを、用途等に応じて用いることができる。本発明においては、耐酸化性、体積抵抗率、分散性、取扱性等の観点から、真球状、略球状、扁平状又は鱗片状のものが好ましい。
導電粉末の体積平均粒子径は、特に制限されない。D50として、例えば0.001μm以上、好ましくは0.005μm以上、より好ましくは0.01μm以上であり、例えば50.0μm以下、好ましくは25.0μm以下、より好ましくは15.0μm以下である。D50が0.001μm以上であると、導電粉末の耐酸化性が向上し、分散性及び取扱性が良好になる。D50が50.0μm以下であると、体積抵抗率を低くでき、分散性及び取扱性が良好になる。
(銀系金属粉末)
銀系金属粉末は、金属銀を含む粉末であれば特に限定されない。例えば、金属銀粉末、銀合金粉末、銀被覆粉末等があげられる。
銀系金属粉末は、1種類単独又は2種類以上を組み合わせて使用することができる。
金属銀粉末は、金属銀を粉末化して得られたものである。また、化学的に反応させて得られる銀ナノコロイド等の銀ナノ粒子であってもよい。金属銀粉末における銀の含有量は特に制限されない。例えば95.0質量%以上であり、好ましくは97.0質量%以上であり、さらに好ましくは99.0質量%以上である。
銀合金粉末は、銀を含む合金粉末であれば特に限定されない。銀合金粉末における銀の含有量は、銀合金粉末の融点等の観点から適宜定めることができる。好ましくは5.0質量%以上、より好ましくは7.0質量%以上、さらに好ましくは10.0質量%以上であり、好ましくは99質量%未満である。
銀含有粉末における銀の含有率は、蛍光X線分析(XRF)装置等を用いることで容易に測定することができる。
銀合金粉末としては、例えば、Ag-Cu系合金、Ag-Pd系合金、Ag-Pt系合金等があげられる。
銀被覆粉末は、金属銀で粒子表面の少なくとも一部が被覆されたものである。
銀被覆粉末を形成する粒子としては、例えば、金属粒子(例えば、Cu粒子、Pd粒子、Al粒子、合金粒子等)、有機高分子粒子、ガラスやセラミック等の無機粒子、鉱物系粒子等からなる群より選ばれる1種類以上があげられる。
金属銀の被覆手段としては、メッキや蒸着等の手段があげられる。金属銀被覆の厚さは、特に限定されない。例えば0.01μm以上、好ましくは0.10μm以上であり、例えば10.00μm以下、好ましくは5.00μm以下である。また、銀被覆粉末における銀被膜量は、特に限定されない。例えば、銀被覆粉末全量に対して0.3質量%以上、好ましくは0.5質量%以上、より好ましくは1.0質量%以上であり、例えば、30.0質量%以下、好ましくは20.0質量%以下、より好ましくは15.0質量%以下である。
銀系金属粉末は、不可避的に混入する他の原子をさらに含んでいてもよい。このような他の原子としては、例えば、Mn、Sb、Si、K、Na、Li、Ba、Sr、Ca、Mg、Be、Zn、Pb、Cd、Tl、V、Al、Zr、W、Mo、Ti、Co、Sn、Cu、Ni、Au等からなる群より選ばれる1種類以上があげられる。
他の原子の含有率は、例えば、銀含有粉末中3.0質量%以下、好ましくは1.0質量%以下である。
(銅系金属粉末)
銅系金属粉末は、金属銅を含む粉末であれば特に限定されない。例えば、金属銅粉末、銅合金粉末、銅被覆粉末等があげられる。
銅系金属粉末は、1種類単独又は2種類以上を組み合わせて使用することができる。
金属銅粉末は、金属銅を粉末化して得られたものである。金属銅粉末における銅の含有量は特に制限されない。例えば95.0質量%以上であり、好ましくは97.0質量%以上であり、さらに好ましくは99.0質量%以上である。
銅合金粉末は、銅を含む合金粉末であれば特に限定されない。銅合金粉末における銅の含有量は、銅合金粉末の融点等の観点から適宜定めることができる。好ましくは5.0質量%以上、より好ましくは7.0質量%以上、さらに好ましくは10.0質量%以上であり、好ましくは99.9質量%未満である。
銅含有粉末における銅の含有率は、蛍光X線分析(XRF)装置等を用いることで容易に測定することができる。
銅合金粉末としては、例えば、Cu-Ag系合金、Cu-Pd系合金、Cu-Sn系合金等があげられる。
銅被覆粉末は、金属銅で粒子表面の少なくとも一部が被覆されたものである。
銅被覆粉末を形成する粒子としては、例えば、金属粒子(例えば、Ag粒子、Pd粒子、Al粒子、合金粒子等)、有機高分子粒子、ガラスやセラミック等の無機粒子、鉱物系粒子等からなる群より選ばれる1種類以上があげられる。
金属銅の被覆手段としては、メッキや蒸着等の手段があげられる。金属銅被覆の厚さは、特に限定されない。例えば0.01μm以上、好ましくは0.10μm以上であり、例えば10μm以下、好ましくは5μm以下である。また、銅被覆粉末における銅被膜量は、特に限定されない。銅被覆粉末全量に対して、例えば0.5質量%以上、好ましくは1.0質量%以上、より好ましくは5.0質量%以上であり、例えば30.0質量%以下、好ましくは20.0質量%以下、より好ましくは15.0質量%以下である。
銅系金属粉末は、不可避的に混入する他の原子をさらに含んでいてもよい。このような他の原子としては、例えば、Mn、Sb、Si、K、Na、Li、Ba、Sr、Ca、Mg、Be、Zn、Pb、Cd、Tl、V、Al、Zr、W、Mo、Ti、Co、Sn、Ag、Ni、Au等からなる群より選ばれる1種類以上があげられる。
他の原子の含有率は、例えば、銅含有粉末中3.0質量%以下、好ましくは1.0質量%以下である。
(ニッケル系金属粉末)
ニッケル系金属粉末は、金属ニッケルを含む粉末であれば特に限定されない。例えば、金属ニッケル粉末、ニッケル合金粉末、ニッケル被覆粉末等があげられる。
ニッケル系金属粉末は、1種類単独又は2種類以上を組み合わせて使用することができる。
金属ニッケル粉末は、金属ニッケルを粉末化して得られたものである。金属ニッケル粉末におけるニッケルの含有量は特に制限されない。例えば95.0質量%以上であり、好ましくは97.0質量%以上であり、さらに好ましくは99.0質量%以上である。
ニッケル合金粉末は、ニッケルを含む合金粉末であれば特に限定されない。ニッケル合金粉末におけるニッケルの含有量は、ニッケル合金粉末の融点等の観点から適宜定めることができる。好ましくは3.0質量%以上、より好ましくは5.0質量%以上、さらに好ましくは10.0質量%以上であり、好ましくは95.0質量%未満である。
ニッケル含有粉末におけるニッケルの含有率は、蛍光X線分析(XRF)装置等を用いることで容易に測定することができる。
ニッケル合金粉末としては、例えば、Ni-Fe系合金(Ni-58Fe等)、Ni-Cu系合金(Ni-75Cu等)、Ni-Cu-Zn系合金(Ni-6Cu-20Zn等)、Ni-Cr系合金、Ni-Cr-Ag系合金等があげられる。
ニッケル被覆粉末は、金属ニッケルで粒子表面の少なくとも一部が被覆されたものである。
ニッケル被覆粉末を形成する粒子としては、例えば、金属粒子(例えば、Cu粒子、Ag粒子、Pd粒子、合金粒子等)、有機高分子粒子、ガラスやセラミック等の無機粒子、鉱物系粒子等からなる群より選ばれる1種類以上があげられる。
金属ニッケルの被覆手段としては、メッキや蒸着等の手段があげられる。金属ニッケル被覆の厚さは、特に限定されない。例えば0.01μm以上、好ましくは0.10μm以上であり、例えば10μm以下、好ましくは5μm以下である。また、ニッケル被覆粉末におけるニッケル被膜量は、特に限定されない。ニッケル被覆粉末全量に対して、例えば0.5質量%以上、好ましくは1.0質量%以上、より好ましくは5.0質量%以上であり、例えば30.0質量%以下、好ましくは20.0質量%以下、より好ましくは15.0質量%以下である。
ニッケル系金属粉末は、不可避的に混入する他の原子をさらに含んでいてもよい。このような他の原子としては、例えば、Ag、Mn、Sb、Si、K、Na、Li、Ba、Sr、Ca、Mg、Be、Zn、Pb、Cd、Tl、V、Al、Zr、W、Mo、Ti、Co、Sn、Au等からなる群より選ばれる1種類以上があげられる。
他の原子の含有率は、例えば、ニッケル含有粉末中3.0質量%以下、好ましくは1.0質量%以下である。
(含有量)
導電性樹脂組成物における、導電粉末の含有量は特に限定されない。導電性樹脂組成物の導電性等の観点から適宜定めることができる。導電性樹脂組成物中の導電粉末、ポリビニルブチラール系樹脂及びレゾール型フェノール系樹脂の合計量を100質量%とした場合、例えば5.0質量%以上、好ましくは60.0質量%以上、より好ましくは70.0質量%以上、さらに好ましくは80.0質量%以上であり、例えば97.0質量%以下、好ましくは95.0質量%以下である。
<ポリビニルブチラール系樹脂>
ポリビニルブチラール系樹脂は、ポリビニルアルコールのアルコール部分をブチルアルデヒドでアセタール化した樹脂である。一般的に、下記の式(1)で表されるビニルブチラール単位、式(2)で表される酢酸ビニル単位及び式(3)で表されるビニルアルコール単位を主たる繰り返し単位として含む熱可塑性樹脂である。
Figure 2022115037000001
ポリビニルブチラール系樹脂は、上記の式(1)~(3)の各単位の割合と重量平均分子量(重合度)により、物理的性質、化学的性質及び機械的性質等が変化する。
例えば、ポリビニルブチラール系樹脂中の(1)で表されるビニルブチラール単位が多くなる(ブチラール化度が高くなる)ことで、相溶性や非極性溶剤溶解性等が向上する。(2)で表される酢酸ビニル単位が多くなる(アセチル基量が増える)ことで、溶剤に溶解した際の粘度を低下させることができ、樹脂のガラス転移温度を低下させることができる。式(3)で表されるビニルアルコール単位が多くなると、密着性や極性溶媒溶解性等を向上させることができる。
本発明において、ポリビニルブチラール系樹脂中のブチラール基、アセチル基及び水酸基の各基の量比は、特に限定されない。例えば、これらの基の総量を100molとして、ブチラール基を55.0mol%以上80.0mol%以下、アセチル基が25.0mol%以下、水酸基が10.0mol%以上20.0mol%以下とすることができる。
なお、本発明において、導電粉末としてニッケル系金属粉末を用いる場合、アセチル基の量が多いほうが好ましい。例えば、アセチル基の量が7.0mol%以上25.0mol%以下のポリビニルブチラール系樹脂を用いることが好ましい。
ポリビニルブチラール系樹脂の重量平均分子量は、特に限定されない。導電性樹脂組成物の機械的特性や溶媒との相溶性等の観点から、例えば10,000以上、好ましくは20,000以上であり、例えば250,000以下、好ましくは120,000以下である。
ポリビニルブチラール系樹脂の製造方法は、公知の方法が制限なく用いられる。例えば、ポリビニルアルコール水溶液とブチルアルデヒドを酸触媒の存在下で反応させ、生成したポリビニルブチラール系樹脂スラリーをアルカリで中和し、溶媒と分離後、さらに洗浄・脱水ののち乾燥することにより粉末状の樹脂を製造する方法があげられる。
ポリビニルブチラール系樹脂は、合成したものを用いてもよく、市販品を用いてもよい。市販品としては、例えば、積水化学工業社製の商品名S-LECシリーズ(例えば、BL-1、BL-1H、BL-2H、BL-5Z、BL-7Z、BL-10、BL-S、BM-1、BM-2、BM-5、BM-S、BM-SHZ、BH-3、BH-6、BH-A、BH-S、BX-1、BX-L、BX-3、BX-5、KS-1、KS-5Z、KS-6Z、KS-10、KX-1、KX-5、KW-M、KW-10、SV-12、SV-16、SV-22、SV-26等)、クラレ社製の商品名Mowitalシリーズ(例えば、LPB16B、B20H、30T、30H、30HH、45M、45H、60H、60T、60HH、70HH、75H等)からなる群より選ばれる1種類以上を使用することができる。
導電性樹脂組成物における、ポリビニルブチラール系樹脂の含有量は特に限定されない。導電性樹脂組成物の導電性等の観点から適宜定めることができる。導電性樹脂組成物中の導電粉末、ポリビニルブチラール系樹脂及びレゾール型フェノール系樹脂の合計量を100質量%として、例えば1.0質量%以上、好ましくは1.5質量%以上、より好ましくは2.0質量%以上であり、例えば25.0質量%以下、好ましくは20.0質量%以下、より好ましくは17.0質量%以下である。
<レゾール型フェノール系樹脂>
レゾール型フェノール系樹脂は、フェノール系化合物を、アルカリ触媒下でホルムアルデヒドと反応させて得られる樹脂である。
フェノール系化合物としては、例えば、フェノール、分岐を有していてもよい炭素数1~20のアルキル基を有するアルキルフェノール(クレゾール、キシレノール、t-ブチルフェノール等)、フェニルフェノール、レゾルシノール等からなる群より選ばれる1種類以上があげられる。
なお、フェノール系化合物を、アルカリ触媒下でホルムアルデヒドと反応させる際に、各種変性剤を加えて製造される変性レゾール型フェノール系樹脂であってもよい。
レゾール型フェノール系樹脂の分子量は、特に制限されない。例えば、溶液化した際の溶液粘度の観点から、質量平均分子量としては、例えば200以上、好ましくは300以上であり、例えば10,000以下、好ましくは3,000以下である。
レゾール型フェノール系樹脂は、合成したものを用いてもよく、市販品を用いてもよい。市販品としては、例えば、田岡化学工業社製の「タッキロール」シリーズ、日立化成工業社製の「ヒタノール」シリーズ、明和化成社製の「H」、「HF」、「MWF」、「DL」、「MEHC」、「MEH」シリーズ、荒川化学工業社製の「タマノル」シリーズ、群栄化学工業社製の「レヂトップ」シリーズ、アイカSDKフェノール社製の「BSR」シリーズ、Schenectady International社製の「SP」シリーズ等からなる群より選ばれる1種類以上があげられる。
導電性樹脂組成物において、レゾール型フェノール系樹脂の量は、導電性樹脂組成物の導電性等の観点から、ポリビニルブチラール系樹脂100質量部に対して、例えば75.0質量部以下、好ましくは50.0質量部以下である。
例えば、レゾール型フェノール系樹脂を含むことなく(使用量を0質量%とする)、導電性樹脂組成物を形成することができる。また、レゾール型フェノール系樹脂を、ポリビニルブチラール系樹脂100質量部に対して、例えば0.1質量部以上、好ましくは0.5質量部以上、より好ましくは1.0質量部以上、例えば75.0質量部以下、好ましくは50.0質量部以下、より好ましくは40.0質量部以下となる量で含む導電性樹脂組成物を形成することができる。
レゾール型フェノール系樹脂は、自己反応性の官能基を有するため、例えば加熱することで架橋硬化させることができるという利点を有する。
<その他成分>
本発明の導電性樹脂組成物は、必要に応じて、溶媒、ポリビニルブチラール系樹脂及びレゾール型フェノール系樹脂以外の樹脂、無鉛ハンダ粒子、有機酸化合物、顔料、充填剤(フィラー)、酸化防止剤、腐食抑制剤、界面活性剤、消泡剤、分散剤、粘度調整剤(チキソトロピー調整剤)、接着性付与剤、カップリング剤、沈降防止剤等、界面活性剤、pH調整剤(アミン化合物)、レベリング剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤、難燃剤等からなる群より選ばれる1種類以上の各種添加剤を混合することができる。
(溶媒)
本発明の導電性樹脂組成物は、溶媒を含んでいてもよい。これにより、導電性樹脂組成物の流動性を向上させ、作業性の向上に寄与することができる。また、導電性樹脂組成物と溶媒を混合することで、導電性樹脂ペースト、導電性インクや回路接続剤を構成することができる。
溶媒としては、水及び各種有機溶媒からなる群より選ばれる1種類以上から、任意のものを用いることができる。有機溶媒としては、例えば、エチルアルコール、プロピルアルコール、ブチルアルコール、ペンチルアルコール、ヘキシルアルコール、ヘプチルアルコール、オクチルアルコール、ノニルアルコール、デシルアルコール、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノプロピルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノプロピルエーテル、プロピレングリコールモノブチルエーテル、メチルメトキシブタノール、α-ターピネオール、β-ターピネオール、へキシレングリコール、ベンジルアルコール、2-フェニルエチルアルコール、イソパルミチルアルコール、イソステアリルアルコール、ラウリルアルコール、エチレングリコール、プロピレングリコールもしくはグリセリン等のアルコール類;アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン、ジアセトンアルコール(4-ヒドロキシ-4-メチル-2-ペンタノン)、2-オクタノン、イソホロン(3、5、5-トリメチル-2-シクロヘキセン-1-オン)もしくはジイソブチルケトン(2、6-ジメチル-4-ヘプタノン)等のケトン系溶媒;酢酸エチル、酢酸ブチル、ジエチルフタレート、ジブチルフタレート、アセトキシエタン、酪酸メチル、ヘキサン酸メチル、オクタン酸メチル、デカン酸メチル、1,2-ジアセトキシエタン等のエステル系溶媒;テトラヒドロフラン、ジメチルエーテル、ジエチルエーテル、ジプロピルエーテル、エチレングリコールジメチルエーテル、エチレングリコールジエチルエーテル、エチレングリコールジブチルエーテル、プロピレングリコールジメチルエーテル、エトキシエチルエーテル、1,2-ビス(2-ジエトキシ)エタンもしくは1,2-ビス(2-メトキシエトキシ)エタン等のエーテル系溶媒;酢酸2-(2ブトキシエトキシ)エタン、メチルセロソルブアセテート、エチレングリコールモノブチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート等のエーテルエステル系溶媒;2-(2-メトキシエトキシ)エタノール等のエーテルアルコール系溶媒;ベンゼン、トルエン、キシレン、n-パラフィン、イソパラフィン、ドデシルベンゼン、テレピン油、ケロシンもしくは軽油等の炭化水素系溶媒;アセトニトリル、プロピオニトリル等のニトリル系溶媒;ジメチルアセトアミド、N,N-ジメチルホルムアミド、N-メチル-2-ピロリドン等の含窒素極性溶媒;シリコンオイル系溶媒等からなる群より選ばれる1種類以上があげられる。
溶媒としては、アルコール系溶媒、エーテル系溶媒、エステル系溶媒、エーテルエステル系溶媒及びケトン系溶媒からなる群より選ばれる1種類以上であることが好ましい。より好ましくは、エーテル系溶媒、エステル系溶媒、エーテルエステル系溶媒の1種類以上である。
溶剤を用いる場合の使用量は、特に限定されず、導電性樹脂組成物の粘度が、基材上に適切に塗布、印刷等できる程度の粘度及び/又は多孔質体に適切に含浸し得る程度の粘度となるように適宜調整すればよい。
(ポリビニルブチラール系樹脂及びレゾール型フェノール系樹脂以外の樹脂)
本発明の導電性樹脂組成物は、ポリビニルブチラール系樹脂及びレゾール型フェノール系樹脂以外の樹脂を含んでいてもよい。ポリビニルブチラール系樹脂及びレゾール型フェノール系樹脂以外の樹脂としては、熱硬化性樹脂でも熱可塑性樹脂のいずれでもよく、1種類単独又は2種類以上を用いることができる。
熱硬化性樹脂としては、例えば、エポキシ系樹脂、ノボラック型フェノール系樹脂、ポリイミド系樹脂、ポリウレタン系樹脂、メラミン系樹脂、ウレア系樹脂等からなる群より選ばれる1種類以上があげられる。
熱可塑性樹脂としては、例えば、ポリオレフィン系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリ(メタ)アクリル系樹脂、フェノキシ樹脂、熱可塑性ポリウレタン系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、ポリフェニレンエーテル系樹脂、ポリビニルエーテル系樹脂、ポリビニルアルコール系樹脂、ポリ酢酸ビニル系樹脂、アイオノマー樹脂等からなる群より選ばれる1種類以上があげられる。
ポリビニルブチラール系樹脂及びレゾール型フェノール系樹脂以外の樹脂を用いる場合の使用量は、特に限定されず、導電性樹脂組成物の使用態様や必要とする特性等に応じて適宜調整すればよい。
(無鉛ハンダ粉末)
本発明の導電性樹脂組成物は、作業者、使用者、環境等への影響を考慮して、鉛を含まない無鉛ハンダ粉末を含んでいてもよい。
無鉛ハンダ粉末は、不可避的に含まれる量以上の鉛を含有しないものであれば、特に限定されない。
無鉛ハンダ粉末の融点は、好ましくは300℃以下であり、より好ましくは220℃以下であり、さらに好ましくは50℃以上220℃以下である。無鉛ハンダ粉末の融点が300℃を超えると、回路基板や電子部品等の被接続部材が熱破壊や熱劣化するおそれがある。融点が50℃未満であると、機械的強度が弱くなり、導電接続の信頼性が低下するおそれがある。
無鉛ハンダ粉末としては、例えば、錫(Sn)をベースとし、銀(Ag)、ビスマス(Bi)、亜鉛(Zn)、銅(Cu)、インジウム(In)、アルミニウム(Al)及びアンチモン(Sb)等からなる群より選ばれる1種類以上を含む無鉛ハンダ粉末(例えば、Sn-Bi系、Sn-Cu系、Sn-Sb系、Sn-Zn系、Sn-Ag系、Sn-Ag-Cu系、Sn-Zn-Bi系、Sn-Ag-In-Bi系、Sn-Zn-Al系、Sn-Ag-Bi系、Sn-Ag-Cu-Bi系、Sn-Ag-Cu-Bi-In-Sb系等)、Biをベースとする無鉛ハンダ粉末(Bi-In系等)及びInをベースとする無鉛ハンダ粉末(In-Ag系、In-Bi系等)からなる群より選ばれる1種類以上があげられる。
無鉛ハンダ粉末の形状は、特に限定されない。真球状、略球状(例えば、縦横のアスペクト比が1.5以下)、扁平状、多面体状、鱗片状、繊維状、不定形状等のものを、用途等に応じて用いることができる。本発明においては、接続安定性、体積抵抗率、分散性、取扱性等の観点から、真球状、略球状、扁平状又は鱗片状のものが好ましい。
無鉛ハンダ粉末の体積平均粒子径は、特に制限されない。D50としては、例えば0.5μm以上、好ましくは1.0μm以上、より好ましくは5.0μm以上であり、例えば50.0μm以下、好ましくは40.0μm以下、より好ましくは30.μm以下である。D50が0.5μm未満であると、無鉛ハンダ粉末の分散性及び取扱性が低下するおそれがある。D50が50.0μmを超えると、接続安定性が低下するおそれがあり、体積抵抗率が高くなるおそれがあり、分散性及び取扱性が低下するおそれがある。
無鉛ハンダ粉末を用いる場合の使用量は、特に限定されず、導電性樹脂組成物の使用態様や必要とする特性等に応じて適宜調整すればよい。導電性樹脂組成物中の導電粉末、ポリビニルブチラール系樹脂及びレゾール型フェノール系樹脂の合計量を100質量%として、例えば、75.0質量%以下とすることができる。
(有機酸化合物)
有機酸化合物としては、例えば、R-X(式中、Rは、水素、炭素数1~50の有機基であり、Xは酸基であって複数のXは互いに異なっていてもよく、nは1以上の整数である。)で表される有機酸化合物の1種又は2種類以上があげられる。
Xで表される酸基としては、例えば、カルボキシル基(-COOH)、カルボン酸無水物基(-C(=O)-O-C(=O)-)、スルホン酸基(-SOH)、リン酸基(-PO)等があげられる。
有機酸化合物としては、例えば、有機カルボン酸化合物、有機カルボン酸無水物、有機スルホン酸化合物、有機ホスホン酸化合物等があげられる。
有機酸化合物を用いることで、導電粉末の分散性等が向上し効率的に配置することができ、導電接続及び絶縁信頼性を高めることができる。
{有機カルボン酸化合物}
有機カルボン酸化合物は、分子構造中にカルボキシル基(-COOH)を1つ以上有する炭素数1~50の化合物であれば、特に限定されない。
有機カルボン酸化合物としては、例えば、ギ酸、酢酸、プロピオン酸、ステアリン酸、乳酸、リンゴ酸、酒石酸、コハク酸、マレイン酸、フマル酸、安息香酸、アスコルビン酸、グルタル酸、アビエチン酸、マロン酸、ドデカン二酸、エイコ酸二酸、クエン酸、セバシン酸、カプリン酸、アラキドン酸、ドコサヘキサエン酸、ドデセニルコハク酸、イタコン酸、ジメチロールプロピオン酸、トリメチロールプロパン酸、サリチル酸、2-エチルヘキサン酸、アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸、シュウ酸、アジピン酸、ヘキサントリカルボン酸、シクロヘキシルカルボン酸、1,4-シクロヘキシルジカルボン酸、エチレンジアミン四酢酸、イソフタル酸、テレフタル酸、ナフタレンジカルボン酸、トリメリット酸、ピロメリット酸等からなる群より選ばれる1種類以上があげられる。
{有機カルボン酸無水物}
有機カルボン酸無水物は、分子構造中にカルボン酸無水物基(-C(=O)-O-C(=O)-)を1つ以上有する化合物であれば、特に限定されない。
有機カルボン酸無水物は、有機カルボン酸2分子の分子間での脱水及び/又は有機カルボン酸1分子の分子内での脱水により得られたものである。本発明においては、例えば、酢酸無水物、プロピオン酸無水物、シュウ酸無水物、マレイン酸無水物、フタル酸無水物、安息香酸無水物、コハク酸無水物、2-メチルコハク酸無水物等からなる群より選ばれる1種類以上があげられる。
{有機スルホン酸化合物}
有機スルホン酸化合物は、分子構造内にスルホン酸基(-SOH)を1つ以上有する化合物であれば、特に限定されない。
例えば、ベンゼンスルホン酸、n-ドデシルベンゼンスルホン酸、クメンスルホン酸、キシレンスルホン酸、クレゾ-ルスルホン酸、p-フェノールスルホン酸、p-トルエンスルホン酸、2-ナフタレンスルホン酸、スチレンスルホン酸、4,4-ビフェニルジスルホン酸、m-ベンゼンジスルホン酸、アニリン-2,4-ジスルホン酸、ポリスチレンスルホン酸等の芳香族スルホン酸化合物;メタンスルホン酸、エタンスルホン酸、1-プロパンスルホン酸、トリフルオロメタンスルホン酸、1,3-プロパンジスルホン酸、アミノメタンスルホン酸、2-アミノエタンスルホン酸等の脂肪族スルホン酸化合物;シクロペンタンスルホン酸、シクロヘキサンスルホン酸、3-シクロヘキシルアミノプロパンスルホン酸脂環族スルホン酸化合物等からなる群より選ばれる1種類以上があげられる。
{有機ホスホン酸化合物}
有機ホスホン酸化合物は、分子構造内にリン酸基(-PO)を1つ以上有する化合物であれば、特に限定されない。
例えば、1-ヒドロキシエチリデン-1,1-ジホスホン酸、1-ヒドロキシプロピリデン-1,1-ジホスホン酸、1-ヒドロキシブチリデン-1,1-ジホスホン酸、アミノトリメチレンホスホン酸、メチルジホスホン酸、ニトロトリスメチレンホスホン酸、エチレンジアミンテトラメチレンホスホン酸、エチレンジアミンビスメチレンホスホン酸、ヘキサメチレンジアミンテトラメチレンホスホン酸、ジエチレントリアミンペンタメチレンホスホン酸、シクロヘキサンジアミンテトラメチレンホスホン酸、カルボキシエチルホスホン酸、ホスホノ酢酸、2-ホスホノブタン-1,2,4-トリカルボン酸、2,3-ジカルボキシプロパン-1,1-ジホスホン酸、ホスホノブチル酸、ホスホノプロピオン酸、スルホニルメチルホスホン酸、N-カルボキシメチル-N,N-ジメチレンホスホン酸、N,N-ジカルボキシメチル-N-メチレンホスホン酸、2-エチルヘキシルアシッドホスフェート、ステアリルアシッドホスフェート、ベンゼンホスホン酸等からなる群より選ばれる1種類以上があげられる。
有機ホスホン酸化合物は、分子構造内にリン酸基を有する界面活性剤であってもよい。
リン酸基を有する界面活性剤としては、分子構造内にポリオキシエチレン基又はフェニル基を有するものが好ましい。例えば、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテルリン酸、ポリオキシエチレンアルキルエーテルリン酸、ジポリオキシプロピレンラウリルエーテルリン酸、ジポリオキシエチレンオレイルエーテルリン酸、ジポリオキシエチレンオキシプロピレンラウリルエーテルリン酸、ジポリオキシプロピレンオレイルエーテルリン酸、ラウリルリン酸アンモニウム、オクチルエ-テルリン酸アンモニウム、セチルエーテルリン酸アンモニウム、ポリオキシエチレンラウリルエーテルリン酸、ポリオキシエチレンオキシプロピレンラウリルエーテルリン酸、ポリオキシプロピレンラウリルエーテルリン酸、ポリオキシエチレントリスチリルフェニルエーテルリン酸、ポリオキシエチレンオキシプロピレントリスチリルフェニルエーテルリン酸、ポリオキシプロピレントリスチリルフェニルエーテルリン酸等からなる群より選ばれる1種類以上があげられる。
リン酸基を有する界面活性剤としては、東邦化学工業社製の商品名フォスファノールやビックケミー・ジャパン社製のDisperbyk等の市販品からなる群より選ばれる1種類以上を用いることができる。
有機酸化合物を用いる場合の使用量は、特に限定されず、導電性樹脂組成物の使用態様や必要とする特性等に応じて適宜調整すればよい。導電性樹脂組成物中の導電粉末、ポリビニルブチラール系樹脂及びレゾール型フェノール系樹脂の合計量を100質量%として、例えば、0.1質量%以上10.0質量%以下とすることができる。
<導電性樹脂組成物の性状>
本発明の導電性樹脂組成物の性状は、粉末状、固体状、ペースト状、液体状(ワニス状)等の任意の性状とすることができる。導電性インクや回路接続材料としての用途の際には、室温(20℃)でペースト状又は液体状(ワニス状)であることが好適である。
<導電性樹脂組成物の特性>
本発明の導電性樹脂組成物は導電性に優れている。導電性樹脂組成物の導電性は、剥離性基材の上に導電性樹脂組成物を流延又は塗布し乾燥後に剥離して得られた導電膜の体積抵抗率が2.0×10-2Ω・cm未満である。好ましくは導電膜の体積抵抗率が8.0×10-3Ω・cm未満、より好ましくは7.0×10-3Ω・cm未満である。ここで、体積抵抗率は、実施例において記載した方法により得られる。
本発明の導電性樹脂組成物は、各種の基材に対する密着性に優れている。ガラス又はPETに対する密着性は、実施例において記載した方法により評価される。
また、本発明の導電性樹脂組成物は、保存安定性に優れている。2ヵ月の保存前後において、増粘等の粘度変化等がなく、沈殿・分離の発生等も見られないものである。
<導電性樹脂組成物の調製方法>
本発明の導電性樹脂組成物の調製に際しては、導電粉末及びポリビニルブチラール系樹脂を必須成分とし、必要に応じてレゾール型フェノール系樹脂成分や溶媒等の添加剤成分を、任意の順序で混合容器に加えて混合し製造することができる。混合に際しては、例えば、ボールミル、ロールミル、ビーズミル、自転公転ミキサー、プラネタリーミキサー、タンブラー、スターラー、撹拌機、メカニカルホモジナイザー、超音波ホモジナイザー、高圧ホモジナイザー、ペイントシェーカー、V型ブレンダー、ナウターミキサー、バンバリーミキサー、混練ロール、単軸或いは二軸の押出機などで混合する方法が適宜用いられる。
導電性樹脂組成物を調製する際の温度(各成分を混合する際の温度)は、特に限定されない。必要に応じて、加熱等をすることができ、例えば、10℃以上100℃以下とできる。
導電性樹脂組成物を調製する際の雰囲気は、特に限定されない。大気中で行うことができ、不活性雰囲気下で行うこともできる。
<導電性樹脂組成物の用途>
本発明の導電性樹脂組成物は、導電性物体を製造する用途とすることができる。導電性物体は、導電性樹脂組成物に加えて他の部材等を含んでいてもよい。
導電性物体としては、例えば、導電性インク、回路接続材料、導電性ペースト、導電膜、導電性繊維、導電性塗料、半導体パッケージ用導電材料、マイクロエレクトロニクスデバイス用導電材料、帯電防止材料、電磁波シールド材料、異方性導電性接着剤(ダイ取付接着剤等)ダイアタッチペースト、アクチュエータ、センサー、導電性樹脂成形体からなる群より選ばれる1種類以上があげられる。
例えば、溶媒を導電性樹脂組成物の成分とすることで、導電性インク、導電性ペースト、導電性塗料等を構成することができる。その際の粘度は特に限定されず、用途等に応じて低粘度のワニス状から高粘度のペースト状等とすることができる。
例えば、必要に応じて溶媒等を含む導電性樹脂組成物を、キャスティング法、ディッピング法、バーコート法、ディスペンサ法、ロールコート法、グラビアコート法、スクリーン印刷法、フレキソ印刷法、スプレーコート法、スピンコート法、又はインクジェット法等により各種の基材に塗布し、300℃以下の温度で加熱乾燥させて導電膜とすることができる。乾燥時の雰囲気は、大気中、不活性ガス中、真空中、減圧等からなる群より選ばれる1種類以上があげられる。特に、導電膜の劣化抑制(導電粉末の酸化防止等)の観点からは、窒素、アルゴン等の不活性ガス雰囲気が好ましい。
本発明の導電性樹脂組成物は、押出成形、射出成形、圧縮成形等の成形方法により成形し、成形体として用いることができる。成形体としては、例えば電子機器部品、自動車用部品、機械機構部品、食品容器、フィルム、シート、繊維等があげられる。
[導電性インク]
本発明の導電性インクは、前記導電性樹脂組成物を溶媒に溶解及び/又は分散させて得ることができる。
本発明の導電性インクは、導電粉末及びポリビニルブチラール系樹脂を必須成分とし、必要に応じてレゾール型フェノール系樹脂成分や、溶媒、ポリビニルブチラール系樹脂及びレゾール型フェノール系樹脂以外の樹脂、無鉛ハンダ粒子、有機酸化合物、顔料、充填剤(フィラー)、酸化防止剤、腐食抑制剤、界面活性剤、消泡剤、分散剤、粘度調整剤(チキソトロピー調整剤)、接着性付与剤、カップリング剤、沈降防止剤等、界面活性剤、pH調整剤(アミン化合物)、レベリング剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤、難燃剤等からなる群より選ばれる1種類以上の各種添加剤成分を含んでいる。
導電性インクは、前記成分を混合容器に入れた後に、ボールミル、ロールミル、ビーズミル、自転公転ミキサー、プラネタリーミキサー、タンブラー、スターラー、撹拌機、メカニカルホモジナイザー、超音波ホモジナイザー、高圧ホモジナイザー、ペイントシェーカー等からなる群より選ばれる1種類以上の混合機を用いて混合し、ワニス状又はペースト状とすることで得られる。
本発明の導電性樹脂組成物は、必要に応じて、溶媒、ポリビニルブチラール系樹脂及びレゾール型フェノール系樹脂以外の樹脂、無鉛ハンダ粒子、有機酸化合物、顔料、充填剤(フィラー)、酸化防止剤、腐食抑制剤、界面活性剤、消泡剤、分散剤、粘度調整剤(チキソトロピー調整剤)、接着性付与剤、カップリング剤、沈降防止剤等、界面活性剤、pH調整剤(アミン化合物)、レベリング剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤、難燃剤等からなる群より選ばれる1種類以上の各種添加剤を混合することができる。
本発明の導電性インクは、例えば配線形成用の印刷用導電性インクとして利用できる。印刷方法としては、例えばスクリーン印刷、インクジェット印刷、フレキソ印刷、グラビア印刷等からなる群より選ばれる1種類以上があげられる。本発明においては、印刷性や形状保持性に優れるため、スクリーン印刷、インクジェット印刷等からなる群より選ばれる1種類以上の印刷方法を用いることが好ましい。
ここで、スクリーン印刷法におけるメッシュは適宜選択でき、導電性インク中の導電粉末が過度に除去されないだけのメッシュを採用することが好ましい。
本発明の導電性インクを塗布してなる塗布膜の膜厚は、各種の用途に応じて適当な厚みとすることができる。例えば1μm以上、好ましくは2μm以上、より好ましくは5μm以上であり、例えば100μm以下である。
本発明の導電性インクは、導電性、各種基材への密着性、保存安定性、レベリング(表面平滑性)、印刷性等からなる群より選ばれる1種類以上の特性に優れたものである。
[回路接続材料]
本発明の回路接続材料は、各種電子部品と回路基板との導電接続や電気・電子回路相互の接続(接着)に用いられる。
回路接続材料の形状等は特に限定されないが、液状又はフィルム状であることが好ましい。
液状の回路接続材料は、例えば、本発明の導電性樹脂組成物又はこれに有機溶媒等の溶媒を混合することで得ることができる。
フィルム状の回路接続材料は、例えば、本発明の導電性樹脂組成物又はこれに有機溶媒等の溶媒を混合したものを剥離性基材上に直接流延・塗布して膜を形成し、乾燥して溶媒を除去してフィルムを形成し、剥離性基材上から剥がすことで得ることができる。
また、フィルム状の回路接続材料は、例えば、本発明の導電性樹脂組成物又はこれに有機溶媒等の溶媒を混合したものを不織布等に含浸させた後に剥離性基材上に形成し、乾燥して溶媒を除去した後に剥離性基材上から剥がすことで得ることができる。
本発明の回路接続材料を用いた電気的接続方法等は特に限定されない。例えば、電子部品や回路等の電極と、それと相対峙する基材上の電極との間に回路接続材料を設け、必要に応じて加熱及び/又は加圧して両電極の電気的接続と両電極間の接着を行う方法があげられる。
相対峙する電極との間に回路接続材料を設ける方法は、特に限定されない。例えば、液状の回路接続材料を塗布する方法、フィルム状の回路接続材料を挟む方法等があげられる。
また、電子部品等が有するピンと回路との導電接続に際して、ピンの根元に回路接続材料を設け、突合せ接合して導電接続を構成する方法等があげられる。
本発明の回路接続材料は、実質的に異方導電材料として用いることができ、また、接着性に優れた回路接続材料を基材上の相対峙する電極間に形成し、必要に応じて加熱加圧により両電極の接触と基材間の接着を得る電極の接続方法に用いることができる。電極を形成する基材としては、半導体、ガラス、セラミック等の無機質、ポリイミド、ポリカーボネート等の有機物、ガラス/エポキシ等のこれら複合の各組み合わせが適用できる。
さらに、本発明の回路接続材料は、低温で塗膜形成することができることから、例えば200℃以下という低温であっても、導電接続を可能とすることができる。
以下に実施例をあげて、本発明をさらに詳細に説明する。なお、本発明は、これらの実施例に限定されない。特に断りのない限り、「%」は「質量%」を、「部」は「質量部」を意味する。
実施例及び比較例において用いた材料は、それぞれ以下のとおりである。
<導電粉末>
導電粉末1:フレーク状銅粉を10質量%の銀で被覆したフレーク状銀被覆銅粉(比表面積:1.4m/g、D50:2.0μm、タップ密度:3.3g/cm;三井金属鉱業社製「1100YP」)
導電粉末2:フレーク状銅粉を10質量%の銀で被覆したフレーク状銀被覆銅粉(比表面積:0.55m/g、D50:2.2μm、タップ密度:5.2g/cm;三井金属鉱業社製「ACPZ-2」)
導電粉末3:銅粉を10質量%の銀で被覆した銀被覆銅粉(比表面積:16600cm/g、D50:10.86μm、タップ密度:1.04g/cm;福田金属箔粉工業社製「2L3」)
導電粉末4:銅粉を10質量%の銀で被覆した銀被覆銅粉(比表面積:7.8cm/g、D50:46.8μm、タップ密度:0.77g/cm;福田金属箔粉工業社製「C3」)
導電粉末5:銀ナノ粒子(D50:500nm;三井金属鉱業社製「SPQ02X」)
<ポリビニルブチラール系樹脂>
PVB1:ポリビニルブチラール系樹脂(積水化学工業社製「S-LEC BH-A」)
<レゾール型フェノール系樹脂>
PF1:レゾール型フェノール系樹脂(明和化成社製「MWF-2620」)
PF2:レゾール型フェノール系樹脂(荒川化学工業社製「タマノル 586」)
<その他の成分>
EC:エチルセルロース
CA:ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセタート(カルビトールアセテート)
実施例及び比較例において、導電性樹脂組成物の特性(導電性及び密着性)の測定・評価は、以下に示す方法で測定した。
<導電性>
スピンコーターにより、導電性樹脂組成物の膜を作製した。膜の体積抵抗率を、抵抗率計「ロレスタGP-MCP T610」(日東精工アナリテック社製)により測定した。
本発明においては、導電膜の体積抵抗率が2.0×10-2Ω・cm未満であるものを合格とした。
<密着性>
導電性樹脂組成物をガラス板又はPETフィルム(ポリエチレンテレフタレート樹脂フィルム)上に塗布し、厚さ100μmの膜を作製した。
得られた膜について、JIS K 5600のクロスカット法に基づき、素地まで達する2mm間隔6本の格子状切り込みを入れた後に、セロテープ(登録商標)を貼り付けて剥がし、膜の剥がれ具合により、ガラス板又はPETフィルムに対する密着性を、下記評価基準に従って評価した。
A:膜の剥がれなし
C:膜の剥がれがあり
<保存安定性>
実施例及び比較例の各サンプルを密閉した金属缶にて、常温(23±2℃)で2ヵ月静置保管し、粘度計(Brookfield社製、HBDV2)を用いて粘度を測定し、下記式(1)にて粘度変化率を計算し、下記評価基準に従って評価した。
粘度変化率=((静置保管後の粘度-保管前の粘度)/保管前の粘度)×100 ・・・(1)
A:粘度変化率が±10%以内
B:粘度変化率が±10%超20%未満
C:粘度変化率が±20%以上、もしくは沈殿・分離がみられる
[実施例1]
90.0部の導電粉末4と、10.0部のPVB1を、混合、撹拌して導電性樹脂組成物を作製した。
得られた導電性樹脂組成物を53.0部のカルビトールアセテートに分散させて導電性樹脂組成物分散液を作製した。これを基材上に塗布して導電膜を作製し、その導電性、密着性及び保存安定性について評価を行った。結果を表1に示す。
[実施例2~25、比較例1~3]
導電性樹脂組成物の構成成分及びその使用量を表1及び表2に示すものとしたほかは、実施例1と同様にして導電性樹脂組成物を作製し、実施例1と同様にして、導電性、密着性及び保存安定性を評価した。結果を表1及び表2に併せて示す。
Figure 2022115037000002
Figure 2022115037000003
導電性評価及び密着性評価に合格した実施例1~25に係る導電性樹脂組成物は、保存安定性試験後であっても、沈殿・分離等の発生がなく、増粘等も生じることなく良好な流動性を有していた。
表1及び表2から、以下の点が看取できる。
実施例の導電性樹脂組成物は、導電性、密着性及び保存安定性が優れている。
比較例1の導電性樹脂組成物は、ポリビニルブチラール系樹脂に代えてエチルセルロースを含むものであり、ガラスに対する密着性及びPETに対する密着性が十分ではない。
比較例2の導電性樹脂組成物は、ポリビニルブチラール系樹脂に代えてレゾール型フェノール系樹脂(PF1)を含むものであり、ガラスに対する密着性及びPETに対する密着性が十分でない。さらに、保存安定性が十分でない。
比較例3の導電性樹脂組成物は、ポリビニルブチラール系樹脂に代えてレゾール型フェノール系樹脂(PF1)を含むものであり、ガラスに対する密着性及びPETに対する密着性が十分でなく、さらに、導電膜の体積抵抗率が大きく良好な導電性を示さない。さらに、保存安定性が十分でない。

Claims (4)

  1. (a)銀系金属粉末、銅系金属粉末、アルミニウム系金属粉末、鉄系金属粉末、ニッケル系金属粉末、亜鉛系金属粉末、錫系金属粉末及び金系金属粉末からなる群より選ばれる1種類以上の導電粉末と、
    (b)ポリビニルブチラール系樹脂と、
    を含むとともに、
    (c)レゾール型フェノール系樹脂をポリビニルブチラール系樹脂100質量部に対して0~75質量部含む、
    導電性樹脂組成物。
  2. 導電粉末が、銀系金属粉末、銅系金属粉末及びニッケル系金属粉末からなる群より選ばれる1種類以上である、請求項1に記載の導電性樹脂組成物。
  3. 請求項1又は2に記載の導電性樹脂組成物を含む、導電性インク。
  4. 請求項1又は2に記載の導電性樹脂組成物を含む、回路接続材料。
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