JP2022114686A - 掘削チップおよび掘削工具 - Google Patents

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【課題】このような背景の下になされたもので、先端部の摩耗の進展を抑えることによって削孔効率の低下を抑制するとともに再研磨加工のコストを削減することが可能な掘削チップおよび掘削工具を提供する。【解決手段】軸線回りに回転させられるとともに打撃力が与えられる工具本体の先端面に取り付けられる掘削チップであって、柱状の基端部と基端部から先端側に突出する先端部とが一体に形成されたチップ本体を備え、先端部は、チップ本体の先端側に突出する凸曲面状部と、チップ本体の先端側から見て基端部の中心線に対する直径方向に沿う延在方向に延びて凸曲面状部の表面から先端側に突出する突条部と、を有し、突条部は、幅寸法が延在方向の一方側に向かうに従い大きくなる拡幅部を有する、掘削チップ。【選択図】図1

Description

本発明は、掘削チップおよび掘削工具に関するものである。
軸線回りに回転させられるとともにトップハンマーやダウンザホールハンマーという削岩装置から出力される打撃エネルギーを軸線回りに回転される工具本体に与えて削孔を行う用途に用いる掘削工具では、工具本体の先端面にボタンビットという硬質の掘削チップ(ボタンビット)を取り付け、掘削チップの先端部を岩盤に接触させて打撃エネルギーを伝播することにより削孔を行う。
掘削工具の工具本体の先端面に取り付けられる掘削チップとしては、チップ本体の先端部が半球状をなすボタンチップや先端部が砲弾型のバリスティックチップ、あるいは先端部が円錐の突端を丸めた形状のスパイクチップなどが知られており、岩質によって最適な形状のものが選定されるが、削孔工程によるチップ本体の先端部の摩耗が著しい場合には、一般的にボタンチップが選定される。
掘削チップは、削孔が進行するに従いチップ本体の先端部が摩耗することにより削孔効率が低下して寿命を迎える。また、チップ本体の先端部が摩耗した掘削チップは、先端部を再研磨加工して刃先形状を再生することにより再利用することも行われているが、特に工具本体の先端面最外周のゲージ面に取り付けられた掘削チップ(ゲージチップ)が摩耗すると削孔径が小さくなるため、やはりある一定の大きさになると寿命となる。このため、長期に亙って削孔効率を維持するには、チップ本体の先端部の形状を摩耗し難い形状とする必要がある。
特許文献1には、超硬チップ(掘削チップ)の刃体(チップ本体)が、台金(工具本体)に埋設される円柱状の取り付け部と、この取り付け部の上端部に形成された穿孔部とからなり、この穿孔部は、先端側ほど順次曲率半径が小さくなるが半径が少なくとも1mm以上の半球体を複数個積み重ねた形状に形成された掘削チップが記載されている。
特許文献2には、同様に削孔効率を長期に亙って維持することを目的として、ゲージチップの先端部に、チップ中心線に沿った断面が先端側に向かうに従い曲率半径が段階的に小さくなる凸曲線状をなす少なくとも2段の凸曲面部が形成された掘削チップが記載されている。
特開平7-293173号公報 特開2012-057310号公報
掘削チップの摩耗は、チップ本体の先端部のうちでも岩盤に強く接触する工具本体の先端側に最も突出した頂部(チップ本体の円柱状の基端部の中心線と先端面との交点部分)において顕著となり、この部分から工具本体の軸線に対する径方向に延びる部分に、チップ本体の先端側から見て中心線に対する直径方向に帯状に広がってゆく。特に、上述したゲージチップは工具本体の削孔回転による転動距離が長く、また掘削対象との接触によって摩耗する部分が多いため、このような帯状の摩耗は一層顕著となる。
本発明は、このような背景の下になされたもので、先端部の摩耗の進展を抑えることによって削孔効率の低下を抑制するとともに再研磨加工のコストを削減することが可能な掘削チップおよび掘削工具を提供することを目的としている。
本発明の一態様の掘削チップは、軸線回りに回転させられるとともに打撃力が与えられる工具本体の先端面に取り付けられる掘削チップであって、柱状の基端部と前記基端部から先端側に突出する先端部とが一体に形成されたチップ本体を備え、前記先端部は、前記チップ本体の先端側に突出する凸曲面状部と、前記チップ本体の先端側から見て前記基端部の中心線に対する直径方向に沿う延在方向に延びて前記凸曲面状部の表面から先端側に突出する突条部と、を有し、前記突条部は、幅寸法が前記延在方向の一方側に向かうに従い大きくなる拡幅部を有する。
この構成によれば、チップ本体の先端部に、凸曲面状部の表面からさらに先端側に突出する突条部が設けられる。このため、掘削チップを工具本体の先端側から見て突条部が前記軸線に対する径方向に延びるように取り付けることにより、この軸線に対する径方向に帯状に進行するチップ本体先端部の摩耗を突条部に限定することができる。したがって、チップ本体の寿命を延長することができ、掘削工具による削孔効率の低下を抑制することが可能となる。しかも、掘削チップを再研磨する場合に、先端部の全体を再研磨加工することなく、突条部を再研磨すればよいので、再研磨に要するコストを削減することが可能となり、効率的かつ経済的な再研磨を行うことができる。
また、一般的に掘削チップの摩耗は、工具本体の軸線から離れた領域で大きくなりやすい。したがって、掘削チップは、工具の径方向外側に偏って顕著に摩耗しやすい。上述の構成によれば、突条部は、拡幅部において、延在方向の一方側に向かうに従い幅寸法が大きくなる。また、上述の構成の掘削チップは、拡幅部において幅寸法が大きくなる延在方向の一方側を工具本体の軸線の径方向外側に配置させるように工具本体に取り付けられる。このため、突条部は、摩耗の進行が進みやすい工具本体の径方向外側において幅寸法が大きくなり、当該領域において摩耗が局所的に進行することを抑制することができる。結果的に、掘削チップを長期間使用する場合であっても突条部の形状を維持することができ削孔効率の低下を抑制できる。
上述の掘削チップにおいて、前記拡幅部は、前記突条部の前記延在方向の全域に設けられる構成としてもよい。
この構成によれば、突条部の延在方向の全域において摩耗量に合わせて幅寸法を調整することができる。これにより、突条部の延在方向の全域の摩耗量を適切に制御できる。
上述の掘削チップにおいて、前記突条部は、前記拡幅部より前記延在方向の他方側に位置する一定幅部を有し、前記一定幅部は、前記延在方向に沿って幅寸法が一様である構成としてもよい。
この構成によれば、突条部の延在方向において摩耗量が特に大きくなる延在方向の他方側のみに拡幅部を配置する。これにより、突条部の延在方向の他方側の摩耗量を適切に制御できる。
上述の掘削チップにおいて、前記突条部は、前記突条部の幅方向両側をそれぞれ向き前記凸曲面状部から先端側に向かうに従い互いに近づくように傾斜する2つの傾斜面と、2つの前記傾斜面の頂部を繋ぎ前記延在方向に沿って帯状に延びる頂面と、を有する構成としてもよい。
この構成によれば、突条部は、先端側に向かうに従い互いに近づくように傾斜する2つの傾斜面を有するため、突条部の強度を確保することができるとともに、再研磨代を大きく確保することができる。
上述の掘削チップにおいて、前記突条部は、前記凸曲面状部からの突出高さが最も大きい最厚部を有し、前記突条部は、前記延在方向の両端部において前記凸曲面状部からの突出高さが最も小さくなり、前記延在方向の両端部から前記最厚部に向かうに従い前記凸曲面状部からの突出高さが徐々に大きくなる構成としてもよい。
この構成によれば、突条部は、最厚部から延在方向の両端部側に向かうに従って突出高さが徐々に小さくなる。突条部は、最厚部から延在方向の両端部側に向かうに従い摩耗量が徐々に小さくなるため、摩耗量に合わせて突出高さが適切に確保される。これにより、掘削チップは、突条部の摩耗が進んだ場合であっても先端形状を維持することが可能となり、安定した削孔を行うことができる。
また、最厚部が中心線上に位置する場合、突条部5の延在方向の中央部の強度も確保することができるとともに、この突条部の中央部が摩耗した場合に中央部の再研磨加工を行う場合でも再研磨代を大きく確保することができる。
上述の掘削チップにおいて、前記最厚部における前記突条部の前記凸曲面状部からの突出高さが、前記基端部の直径の9/100以上30/100以下の範囲内とされている構成としてもよい。
最厚部の突出高さを基端部の直径の9/100以上とすることで、突条部の摩耗が進んだ場合であっても十分に長く掘削チップを使用することができる。一方で、最厚部の突出高さを基端部の直径の30/100以下とすることで、最厚部の剛性を十分に確保して削孔効率を十分に高めることができる。
上述の掘削チップにおいて、前記突条部の前記延在方向の両端部は、前記基端部と前記先端部との境界部に位置している構成としてもよい。
この構成によれば、先端部の前記延在方向の全域に突条部が形成されるので、先端部の摩耗を一層確実に抑制することができる。
上述の掘削チップにおいて、前記突条部の根元部の幅寸法の最大値は、前記基端部の直径Dの1/3以上3/4以下の範囲内である構成としてもよい。
幅寸法の最大値が、基端部の直径の1/3を下回ると先端部の摩耗を確実に抑制することができなくなるおそれがある一方、3/4を上回ると抵抗の増大を招くおそれがある。
上述の掘削チップにおいて、前記凸曲面状部は、前記中心線上に中心を有する半球状である構成としてもよい。
この構成によれば、凸曲面状部をボタンチップのような半球状とすることで、突条部が摩滅してもチップ本体の先端部の摩耗をある程度は抑制することが可能となる。
上述の掘削チップにおいて、前記凸曲面状部は、前記中心線上に中心を有する砲弾形状である構成としてもよい。
突条部に拡幅部が設けられる掘削チップは、掘削対象との接触面が増加することで突条部の摩耗が抑制される一方で、接触面の増加に伴い掘削効率が低下する虞がある。上述の構成によれば、凸曲面状部を砲弾形状とすることで、半球形状の場合と比較して、掘削チップによる掘削効率を高めることができる。すなわちこの構成によれば、拡幅部を設けることのデメリットである掘削効率の低下を、凸曲面状部を砲弾形状によって補い、掘削効率と寿命のバランスがよい掘削チップを提供できる。
上述の掘削チップにおいて、前記突条部は、多結晶ダイヤモンド焼結体によって形成されている構成としてもよい。
上述の掘削チップでは、チップ本体の先端部の摩耗が突条部に限定される。この突条部を、通常のチップ本体の材質に用いられる超硬合金よりも高硬度の多結晶ダイヤモンド焼結体によって形成することにより、チップ本体の摩耗をさらに抑えて寿命を延長することができる。また、突条部のみを多結晶ダイヤモンド焼結体とすることで、一般的な多結晶ダイヤモンド焼結体を用いた掘削チップのように、超硬合金よりなるチップ本体の先端部の全体を多結晶ダイヤモンド焼結体によって被覆する場合に比べ、経済的でもある。
本発明の一態様の掘削工具は、上記の掘削チップと、先端面において前記掘削チップを保持し、軸線回りに回転させられる工具本体と、を備え、前記掘削チップは、前記先端部を前記先端面から突出させるとともに、前記突条部の前記延在方向を、前記工具本体の軸線に対する径方向に一致させるとともに、前記拡幅部において幅寸法が大きくなる延在方向の一方側を前記軸線の径方向外側に配置する。
この構成によれば、掘削チップは、拡幅部において幅寸法が大きくなる延在方向の一方側を、工具本体の軸線の径方向外側に配置するように工具本体に取り付けられる。これにより、上述の掘削チップを用いることによる効果を十分に享受することができる。
本発明によれば、掘削チップのチップ本体先端部の摩耗の進展を抑えることが可能となって、掘削工具による削孔効率の低下を抑制することができるとともに、再研磨加工を行う場合でも突条部を再研磨加工すればよいので、再研磨に要するコストを削減することができ、効率的かつ経済的な削孔を行うことが可能となる。
図1は、一実施形態の掘削チップの斜視図である。 図2は、一実施形態の掘削チップの正面図である。 図3は、一実施形態の掘削チップの第1の側面図である。 図4は、一実施形態の掘削チップの第2の側面図である。 図5は、一実施形態の掘削工具の正面図である。 図6は、一実施形態の掘削工具の側面図である。 図7は、従来構造の掘削チップ(ボタンチップ)の正面図である。 図8は、従来構造の掘削チップ(ボタンチップ)の第1の側面図である。 図9は、従来構造の掘削チップ(ボタンチップ)の第2の側面図である。 図10は、従来構造の掘削チップ(ボタンチップ)の摩耗状態を示す正面図である。 図11は、従来構造の掘削チップ(ボタンチップ)の摩耗状態を示す第1の側面図である。 図12は、従来構造の掘削チップ(ボタンチップ)の摩耗状態を示す第2の側面図である。 図13は、一実施形態の掘削チップの摩耗状態を示す正面図である。 図14は、一実施形態の掘削チップの摩耗状態を示す第1の側面図である。 図15は、一実施形態の掘削チップの摩耗状態を示す第2の側面図である。 図16は、従来構造の掘削チップ(ボタンチップ)の再研磨工程を示す模式図である。 図17は、一実施形態の掘削チップの再研磨工程を示す模式図である。 図18は、変形例1の掘削チップの正面図である。 図19は、変形例2の掘削チップの正面図である。 図20は、変形例3の掘削チップの側面図である。
以下、図面を参照して本発明を適用した実施形態について詳細に説明する。
図1~図4は、一実施形態の掘削チップ10を示すものである。図5および図6は、掘削チップ10を取り付けた本発明の掘削工具20を示すものである。
図1~図4には、X-Y-Z座標系を図示する。Z軸は、後述する中心線Cに沿って延びる。各図において、掘削チップ10又はチップ本体1の先端側とは+Z側であり、基端側とは-Z側である。
以下の説明において、中心線Cに沿う方向を、単に「軸方向」と呼ぶ場合がある。軸方向は、Z軸方向と同義である。なお、掘削チップ21は、後述する掘削工具20の軸線Oに対して傾斜して固定される場合があるため、中心線Cの軸方向は、掘削工具20の軸線Oの軸方向とは、必ずしも一致しない。
図5および図6に示すように、掘削チップ10は、工具本体11の先端面12に取り付けられる。掘削チップ10は、先端側を掘削対象に向けて工具本体11に装着される。工具本体11は、軸線O回りに回転させられるとともに打撃力が与えられる。
図1~4に示すように、掘削チップ10は、チップ本体1を備える。チップ本体1は、超硬合金等の硬質材料により構成される。チップ本体1は、一体的に形成される基端部2と先端部3とを有する。
基端部2は、中心線Cを中心とする円柱状である。基端部2の後端面は、チップ本体1の後端側に向かうに従い縮径する円錐台状に形成されている。
なお、基端部2は、一様な断面形状で一方向に延びる柱状であれば、例えば多角柱および楕円柱などの断面形状が異なる他の柱状であってもよい。基端部が、円形ではない他の断面形状である場合、断面の重心を結ぶ直線が基端部の中心線となる。
先端部3は、基端部2から先端側に突出する。先端部3は、凸曲面状部4と突条部5とを有する。本実施形態の凸曲面状部4は、中心線C上に中心を有する半球状である。凸曲面状部4は、チップ本体1の先端側に突出する。
なお、本実施形態では、凸曲面状部4が半球状である場合について例示するが、凸曲面状部4の曲面形状は他の凸曲面であってもよい。例えば、凸曲面状部は、楕円球状、砲弾形状などであってもよい。
突条部5は、凸曲面状部4の表面から先端側に突出する。突条部5は、延在方向に直線状に延びる。突条部5の延在方向は、チップ本体1の先端側から見て基端部2の中心線Cに対する直径方向に沿う。図1~図4において、延在方向は、Y軸方向に沿う方向である。また、延在方向の一方側は+Y側であり、他方側は-Y側である。
図4に示すように、突条部5は、延在方向に沿って凸曲面状部4からの突出高さが変化する。ここで、突条部5の突出高さとは、凸曲面状部4の表面から突条部5の先端までの凸曲面状部4の法線方向に沿う高さ寸法を意味する。なお、以下の説明において、突条部5が突出する凸曲面状部4の表面の法線方向を突条部5の突出方向と呼ぶ。すなわち、凸曲面状部4からの突出高さとは、突条部5の突出方向の高さ寸法を意味する。
突条部5は、凸曲面状部4からの突出高さが最も大きい最厚部6を有する。最厚部6は、頂点6pを有する。頂点6pは、最厚部6の突出方向の先端の点である。本実施形態において、頂点6pは中心線C上に位置する。また、突条部5の突出高さは、頂点6pを頂点として延在方向の両端に向かって対称に低くなっている。
なお、最厚部6の頂点6pは、必ずしも中心線C上に配置されている必要はなく、例えば中心線Cから延在方向の一端側に偏って配置されていてもよい。
突条部5は、延在方向の両端部において凸曲面状部4からの突出高さが最も小さくなる。突条部5は、延在方向の両端部から最厚部6に向かうに従い凸曲面状部4からの突出高さが徐々に大きくなる。突条部5の延在方向の両端部は、基端部2と先端部3との境界部に位置している。すなわち、本実施形態の突条部5は、先端側から見て先端部3の直径方向の全域に設けられる。なお、突条部5の延在方向の両端部には、基端部2と滑らかに繋がるフィレット部が設けられていてもよい。
図3に示すように、突条部5の表面には、幅方向両側を向く2つの傾斜面5aと、2つの傾斜面5aの頂部を繋ぐ頂面5bが設けられる。2つの傾斜面5aと頂面5bとの交差稜線部は、凸曲面によって面取りされる。また、2つの傾斜面5aと凸曲面状部4とが交差する隅角部は凹曲面とされている。
頂面5bは、延在方向に沿って帯状に延びる。頂面5bは、延在方向から見て、凸曲面状部4の曲率半径と等しい曲率半径の凸曲線状である。なお、頂面5bは、延在方向から見て、直線状に形成された面であってもよい。頂面5bには、上述した最厚部6の頂点6pが配置される。
2つの傾斜面5aは、凸曲面状部4から突条部5の先端側に向かうに従い互いに近づくように傾斜する。したがって、突条部5は、根元部側に向かうに従い幅寸法が大きくなる。すなわち、突条部5は、延在方向から見て、等脚台形状に突出する。本実施形態の傾斜面5aは、延在方向から見て、幅方向外側に若干膨らむ凸曲面状とされている。
なお、傾斜面5aは、延在方向から見て、直線状に形成された面であってもよい。また、傾斜面5aは、延在方向から見て、径方向内側に凹む凹曲面状とされていてもよい。
図2に示すように、突条部5は、幅寸法が延在方向の一方側(+Y側)に向かうに従い大きくなる拡幅部7を有する。本実施形態において、拡幅部7は、突条部5の延在方向の全域に設けられる。
なお、本実施形態において、突条部5の幅寸法とは、軸方向から見て、突条部5の延在方向と直交する方向における突条部5の寸法を意味する。幅寸法の基準となる幅方向とは、軸方向から見て、延在方向に垂直な方向である。
拡幅部7は、少なくとも頂面5bにおいて、幅寸法が延在方向の一方側に向かうに従い大きくなっていればよい。本実施形態において、突条部5は、根元部側に向かうに従い幅寸法が大きくなる。また、突条部5の突出高さは、中央部から延在方向両側に向かうに従い低くなるため、根元部における突条部5の幅寸法は、延在方向両側に向かうに従い小さくなる。したがって、突条部5の根元部においては、拡幅部7であっても、必ずしも幅寸法が、大きくなるとは限らない。
突条部5の凸曲面状部4に繋がる根元部における幅寸法の最大値Wは、基端部2の直径Dの1/3以上3/4以下の範囲内とされていることが好ましく、1/3以上1/2以下の範囲内とされていることがより好ましい。なお、本実施形態において、突条部5において根元部の幅寸法が最大となる部分は、中心線Cに対して延在方向の一方側(+Y側)に偏って配置される。
図5および図6に示すように、掘削チップ10は、軸線O周りに回転させられる工具本体11の先端面12に取り付けられる。複数の掘削チップ10と工具本体11とは、掘削工具20を構成する。すなわち、掘削工具20は、複数の掘削チップ10と、これら複数の掘削チップ10を保持する工具本体11と、を有する。掘削工具20は、岩盤等の削孔に使用される。
工具本体11は、鋼材等の金属材料から構成される。工具本体11は、軸線Oを中心とした多段の円柱状である。工具本体11の後端部には、図示略のダウンザホールハンマーに取り付けられるシャンク部13が設けられる。また、工具本体11の先端部には、シャンク部13よりも大径のヘッド部14が設けられる。
ヘッド部14は、軸線Oの軸方向から見て、略円形である。ヘッド部14は、工具本体11の先端側を向く先端面12を有する。先端面12は、フェイス面12aとゲージ面12bとを有する。掘削チップ10は、フェイス面12aとゲージ面12bとの双方に取り付けられる。すなわち、工具本体11は、先端面12において掘削チップ10を保持する。
なお、本実施形態では、掘削チップ10は、フェイス面12aとゲージ面12bとの双方に取り付けられる。しかしながら、掘削チップ10は、フェイス面12aおよびゲージ面12bのうち何れか一方にのみ取り付けられていてもよい。また、ゲージ面12bのみに本実施形態の掘削チップ10を取り付け、フェイス面12aには従来構造の掘削チップ(例えば、ボタンチップ)を取り付けてもよい。
フェイス面12aは、工具本体11の軸線O周辺の中央部に位置する。フェイス面12aは、軸線Oの軸方向から見て、軸線Oを中心とする略円形である。フェイス面12aは、軸線Oと直交する円環状の平坦面と、当該平坦面の径方向内側に位置し内周側に向かうに従い工具本体11の後端側に向かって傾斜するすり鉢状のテーパ面と、を有する。
ゲージ面12bは、軸線Oの軸方向から見て、軸線Oを中心とする円形である。ゲージ面12bは、フェイス面12aの外周に配置される。ゲージ面12bは、軸線Oの軸方向から見て、フェイス面12aを径方向外側から囲む。ゲージ面12bは、軸線Oの径方向外側に向かうに従い工具本体11の後端側に延びるテーパ面である。
ヘッド部14のフェイス面12aには、複数のブロー孔16が開口する。ブロー孔16は、シャンク部13の後端面から軸線Oに沿って延びる。また、フェイス面12aには、ブロー孔16の開口から排出溝15に繋がる溝部17が設けられる。
ヘッド部14の外周面には、軸線Oに平行に延びる複数(本実施形態では8つ)の排出溝15が設けられる。削孔工程により発生した繰り粉は、ブロー孔16から排気されるブローとともに排出溝15を介してヘッド部14の後方に排出される。
フェイス面12aおよびゲージ面12bには、断面円形の複数の孔部12hが設けられる。孔部12hは、設けられる場所のフェイス面12aおよびゲージ面12bに対して垂直に延びる。掘削チップ10の基端部2は、孔部12hに焼き嵌めや圧入等のしまり嵌めによって嵌め入れられる。
掘削チップ10の中心線Cは、フェイス面12aおよびゲージ面12bに垂直に配置される。掘削チップ10は、先端部3を先端面12(フェイス面12aおよびゲージ面12b)から突出させて取り付けられる。
掘削チップ10は、突条部5の延在方向を工具本体11の軸線Oに対する径方向に一致させるように取り付けられる。すなわち、掘削工具20に装着された掘削チップ10において、突条部5の延在方向は先端側から見て軸線Oに対する径方向に延びる。このとき、突条部5の拡幅部7において幅寸法が大きくなる延在方向の一方側は、軸線Oの径方向外側に配置される。
なお、取り付け時の組み付け誤差に起因する範囲で、掘削チップ10の突条部5の延在方向は、軸線Oの径方向に対して若干のずれが許容される。より具体的には、突条部5の延在方向は、軸線Oの径方向に対して±10°の範囲であればずれていても、十分な効果を得ることができる。
掘削工具20は、ダウンザホールハンマーに図示略の掘削ロッドを介して連結される回転駆動装置によって軸線O回りに工具回転方向Tに回転させられる。さらに、掘削工具20は、ダウンザホールハンマーから軸線O方向先端側に打撃力が与えられる。これにより、掘削工具20は、工具本体11の先端面12に取り付けられた掘削チップ10によって岩盤を破砕して削孔を行う。
図7~図9は、従来構造の掘削チップ21であるボタンチップを工具本体22に取り付けた状態を示す。また、図10~図12は、従来構造の掘削チップ21の摩耗の進行を具体的に示す。図10~図12において、摩耗が進行する部分を網掛けで強調して図示する。
図10~図12に示すように、従来構造の掘削チップ21では、削孔工程を行うと、工具本体22の軸線に対する径方向において、先端部の摩耗が帯状に進行する。摩耗が帯状に進行することで、掘削チップ21は、掘削対象に対する接触部分が平坦となり、掘削対象に局所的な衝撃力を加えることができなくなる。結果的に、従来構造の掘削チップ21では、削孔効率が低下するという問題があった。
なお、図12に示すように、掘削チップ21の摩耗は、掘削チップ10の中心線Cに対し、掘削工具20の軸線Oから離れた領域で最も大きくなる。このため、掘削チップ21の摩耗量は、中心線Cに対して対称ではない。これは、軸線Oから遠い領域では、軸線O回りの工具本体11の回転による転動距離が長くなり、掘削対象との接触によって摩耗し易くなるためである。
図13~図15は、本実施形態の掘削チップ10を工具本体11に取り付けた状態を示す。なお、図13~図15において、摩耗の進行を網掛けで強調して図示する。
本実施形態の掘削チップ10の先端部3には、掘削工具20の軸線Oに対する径方向を延在方向とする突条部5が設けられる。すなわち、掘削チップ10は、削孔工程において、摩耗が進行し易い領域が、予め肉厚に形成されている。これにより、摩耗が進んでも突条部5のみが掘削対象に接触し、掘削対象に局所的な衝撃を与えることができ、削孔効率の低下を抑制できる。すなわち、本実施形態によれば、掘削チップ10の寿命を延長することができる。
また、複数の掘削チップ10のうちゲージ面12bに取り付けられたものは、掘削工具20の軸線O回りの回転による転動距離が長く、また掘削対象との接触によって摩耗する部分が多い。このような帯状の摩耗は一層顕著となるが、そのようなゲージ面12bに取り付けられた掘削チップ10においても寿命を延長することができる。
上述したように、本実施形態の掘削チップ10によれば、突条部5は、拡幅部7において、延在方向の一方側(+Y側)に向かうに従い幅寸法が大きくなる。また、図15に示すように、掘削チップ10は、拡幅部7において幅寸法が大きくなる延在方向の一方側を、工具本体11の軸線Oの径方向外側に配置させるように工具本体11に取り付けられる。
図12を基に説明したように、掘削チップ10は、軸線Oの径方向外側に偏って顕著に摩耗する。本実施形態によれば、突条部5は、摩耗の進行が進みやすい工具本体11の軸線Oに対する径方向外側において幅寸法が大きくなり、当該領域において突条部5の摩耗が局所的に進行することを抑制することができる。結果的に、掘削チップ10を長期間使用する場合であっても突条部5の形状を維持することができ削孔効率の低下を抑制できる。また、本実施形態によれば、チップ本体1の寿命をさらに延長することができる。
本実施形態によれば、拡幅部7は、突条部5の延在方向の全域に設けられる。このため、突条部5の延在方向の全域において摩耗量に合わせて幅寸法を調整することができる。これにより、突条部5の延在方向の全域の摩耗量を適切に制御できる。
本実施形態によれば、突条部5は、延在方向の両端部において凸曲面状部4からの突出高さが最も小さくなる。また、突条部5は、延在方向の両端部から中心線C上に位置する最厚部6に向かうに従い凸曲面状部4からの突出高さが徐々に大きくなる。すなわち、突条部5は、最厚部6から延在方向の両端部側に向かうに従って突出高さが徐々に小さくなる。
突条部5は、最厚部6から延在方向の両端部側に向かうに従い摩耗量が徐々に小さくなるため、摩耗量に合わせて突出高さが適切に確保される。これにより、掘削チップ10は、突条部5の摩耗が進んだ場合であっても先端形状を維持することが可能となり、削孔効率の低下を抑制できる。また、本実施形態では、最厚部6が中心線上に位置するため、突条部5の延在方向の中央部の強度も確保することができるとともに、この突条部5の中央部が摩耗した場合に中央部の再研磨加工を行う場合でも再研磨代を大きく確保することができる。
なお、突条部の最厚部の頂点は、中心線Cから延在方向の一端側に偏って配置されていてもよい。この場合、頂点が偏って配置される延在方向の一端側を、軸線Oの径方向外側に配置させることが好ましい。この場合、摩耗が進行し易い領域を予め肉厚に形成することとなるため、摩耗が進行しても突条部5の形状を維持でき、摩耗が進んでも削孔効率の低下を抑制できる。
本実施形態によれば、突条部5の2つの傾斜面5aは、突条部5の幅方向両側をそれぞれ向き凸曲面状部4から先端側に向かうに従い互いに近づくように傾斜する。したがって、突条部5の幅寸法は、凸曲面状部4の表面から突出方向の先端側に向かうに従い徐々に小さくなる。これによっても、突条部5の強度を確保することができるとともに、再研磨代を大きく確保することができ、より一層効率的かつ経済的である。
本実施形態によれば、突条部5の延在方向の両端部は、基端部2と先端部3との境界部に位置している。すなわち、突条部5は、先端部3の直径方向の全域に形成される。このため、突条部5が先端部3の直径方向の全域に対し部分的に設けられる場合と比較して、チップ本体1の先端部3の摩耗を一層確実に抑制することが可能となる。
本実施形態において、突条部5の凸曲面状部4に繋がる根元部における幅寸法の最大値Wは、基端部2の直径Dの1/3以上3/4以下の範囲内であることが好ましい。幅寸法の最大値Wが、基端部2の直径Dの1/3を下回ると、突条部5の頂面5bの幅も小さくなって先端部3の摩耗を確実に抑制することができなくなるおそれがある。一方で、幅寸法の最大値Wが、基端部2の直径Dの3/4を上回ると、頂面5bの幅も大きくなりすぎるので、岩盤との接触による抵抗の増大を招くおそれがある。したがって、最大値Wを直径Dの1/3以上3/4以下の範囲内とすることで、突条部5の摩耗を抑制しつつ、掘削時の抵抗を軽減できる。さらに、最大値Wを直径Dの1/3以上1/2以下の範囲内とすることで、この効果をより顕著に得ることができる。
本実施形態において、凸曲面状部4は、中心線C上に中心を有する半球状である。このため、凸曲面状部4をボタンチップのような半球状とすることで、突条部5が摩滅してもチップ本体1の先端部3の摩耗を抑制できる。
本実施形態において、最厚部6における突条部5の凸曲面状部4からの突出高さが、基端部2の直径の9/100以上30/100以下の範囲内とされていることが好ましい。最厚部6の突出高さを基端部2の直径の9/100以上とすることで、突条部5の摩耗が進んだ場合であっても十分に長く掘削チップ10を使用することができる。一方で、最厚部6の突出高さを基端部の直径の30/100以下とすることで、最厚部6の剛性を十分に確保して削孔効率を十分に高めることができる。
本実施形態において、突条部5は、多結晶ダイヤモンド焼結体によって形成されていてもよい。本実施形態の掘削チップ10では、チップ本体1の先端部3の摩耗が突条部5に限定される。したがって、突条部5を、通常のチップ本体1の材質に用いられる超硬合金よりも高硬度の多結晶ダイヤモンド焼結体によって形成することにより、チップ本体1の摩耗をさらに抑えて寿命を延長することができる。また、一般的な多結晶ダイヤモンド焼結体を用いた掘削チップのように、超硬合金よりなるチップ本体の先端部の全体を多結晶ダイヤモンド焼結体によって被覆する場合に比べ、経済的でもある。
また、一般的な多結晶ダイヤモンド焼結体を用いた掘削チップでは、超硬合金よりなるチップ本体の先端部の表面全体を多結晶ダイヤモンド焼結体によって被覆している。この場合には、多結晶ダイヤモンド焼結体の被覆層の厚さによっては、多量の多結晶ダイヤモンド焼結体を要することがある。これに比べて、本実施形態に示すように、多結晶ダイヤモンド焼結体を突条部5のみに形成する場合、多結晶ダイヤモンド焼結体の使用量を抑制することができるので、経済的でもある。
図16および図17は、掘削チップの再研磨工程を示す模式図である。図16は、従来構造の掘削チップ21であるボタンチップの再研磨工程を示し、図17は、本実施形態の掘削チップ10の再研磨工程を示す。
カップ形砥石24は、凹球面状のダイヤモンド砥粒層23を有する。図16および図17に示すように、再研磨工程は、カップ形砥石24の凹球面状のダイヤモンド砥粒層23内に研磨対象の掘削チップを収容し回転させることで行われる。
従来構造の掘削チップ21は、摩耗が帯状に進む。このため、従来構造の掘削チップ21の再研磨では、先端部の形状を整えるために先端部の全体を研磨しなければならず、再研磨加工に要するコストや時間の増大を招くことになる。
これに対して本実施形態の掘削チップ10は、突条部5が集中して摩耗が進んでいる。また突条部5は、先端部3において突条部5が突出している。図17に示すように、本実施形態の掘削チップ10の再研磨工程では、突条部5のみがダイヤモンド砥粒層23に接触して研磨され、先端部3の全体を再研磨加工する必要がない。このため、再研磨に要するコストや時間を削減することができるとともに、カップ形砥石24の消耗も最小限に抑えることが可能となるので、効率的かつ経済的な再研磨を行うことができる。
なお、掘削チップ10を再研磨するカップ形砥石24の内側面の形状は、最厚部6を研磨することに適した形状とすることが好ましい。これにより、再研磨後の掘削チップ10においても、突条部5が、中心線Cから延在方向の一端側に偏って配置された構成を実現できる。
(変形例)
拡幅部7は、必ずしも突条部5の延在方向全域に設けられていなくてもよい。このような場合について、変形例1、2として図18、19を基に説明する。
なお、上述の実施形態と同一態様の構成要素については、同一符号を付し、その説明を省略する。
図18は、変形例1の掘削チップ110の正面図である。
本変形例の突条部105は、拡幅部107と一定幅部108と、を有する。拡幅部107と一定幅部108と延在方向に沿って並ぶ。一定幅部108は、拡幅部107より延在方向の他方側(-Y側)に位置する。本変形において、拡幅部107と一定幅部108との境界部は、中心線C上に位置する。
上述の実施形態と同様に、拡幅部107は、幅寸法が延在方向の一方側(+Y側)に向かうに従い大きくなる。一方で、一定幅部108は、延在方向に沿って幅寸法が一様である。本変形例によれば、突条部105の延在方向において摩耗量が特に大きくなる延在方向の他方側(-Y側)のみに拡幅部107を配置する。これにより、突条部105の延在方向の他方側の摩耗量を適切に制御できる。
図19は、変形例2の掘削チップ210の正面図である。
本変形例の突条部205は、拡幅部207と、第1の一定幅部208と、第2の一定幅部209と、を有する。第1の一定幅部208と、拡幅部207と、第2の一定幅部209とは、延在方向の一方側に向かってこの順で並ぶ。本変形において、拡幅部207は、中心線C上に位置する。
上述の実施形態と同様に、拡幅部207は、幅寸法が延在方向の一方側(+Y側)に向かうに従い急激に大きくなる。一方で、第1の一定幅部208および第2の一定幅部209は、延在方向に沿って幅寸法が一様である。第2の一定幅部209の幅寸法は、第1の一定幅部208の幅寸法より大きい。本変形例によれば、突条部205の延在方向において摩耗量が特に大きくなる延在方向の他方側(-Y側)の幅寸法を大きくする。これにより、突条部205の延在方向の他方側の摩耗量を適切に制御できる。
図20は、本実施形態に採用可能な、変形例3の掘削チップ310の側面図である。なお、上述の実施形態と同一態様の構成要素については、同一符号を付し、その説明を省略する。
上述の実施形態と同様に、本変形例の掘削チップ310の先端部303は、凸曲面状部304と突条部305とを有する。また、突条部305は、凸曲面状部304からの突出高さが最も大きい最厚部306を有する。加えて、突条部305は、幅寸法が延在方向の一方側に向かうに従い大きくなる拡幅部7を有する。
本変形例の、凸曲面状部304は、中心線C上に中心を有する砲弾形状である。突条部305に拡幅部7が設けられる掘削チップ310は、掘削対象との接触面が増加することで突条部305の摩耗が抑制される一方で、接触面の増加に伴い掘削効率が低下する虞がある。本実施形態によれば、凸曲面状部304を砲弾形状とすることで、半球形状の場合と比較して、掘削チップ310による掘削効率を高めることができる。すなわちこの構成によれば、拡幅部7を設けることのデメリットである掘削効率の低下を、凸曲面状部304を砲弾形状によって補い、掘削効率と寿命のバランスがよい掘削チップを提供できる。
以上に、本発明の様々な実施形態を説明したが、各実施形態における各構成およびそれらの組み合わせ等は一例であり、本発明の趣旨から逸脱しない範囲内で、構成の付加、省略、置換およびその他の変更が可能である。また、本発明は実施形態によって限定されることはない。
1…チップ本体
2…基端部
3,303…先端部
4,304…凸曲面状部
5,105,205,305…突条部
5a…傾斜面
5b…頂面
6,306…最厚部
7,107,207…拡幅部
10,21,110,210,310…掘削チップ
11,22…工具本体
12…先端面304
20…掘削工具
108、208、209…一定幅部
C…中心線
D…直径
O…軸線
W…最大値

Claims (12)

  1. 軸線回りに回転させられるとともに打撃力が与えられる工具本体の先端面に取り付けられる掘削チップであって、
    柱状の基端部と前記基端部から先端側に突出する先端部とが一体に形成されたチップ本体を備え、
    前記先端部は、
    前記チップ本体の先端側に突出する凸曲面状部と、
    前記チップ本体の先端側から見て前記基端部の中心線に対する直径方向に沿う延在方向に延びて前記凸曲面状部の表面から先端側に突出する突条部と、を有し、
    前記突条部は、幅寸法が前記延在方向の一方側に向かうに従い大きくなる拡幅部を有する、
    掘削チップ。
  2. 前記拡幅部は、前記突条部の前記延在方向の全域に設けられる、
    請求項1に記載の掘削チップ。
  3. 前記突条部は、前記拡幅部より前記延在方向の他方側に位置する一定幅部を有し、
    前記一定幅部は、前記延在方向に沿って幅寸法が一様である、
    請求項1に記載の掘削チップ。
  4. 前記突条部は、
    前記突条部の幅方向両側をそれぞれ向き前記凸曲面状部から先端側に向かうに従い互いに近づくように傾斜する2つの傾斜面と、
    2つの前記傾斜面の頂部を繋ぎ前記延在方向に沿って帯状に延びる頂面と、を有する、
    請求項1~3の何れか一項に記載の掘削チップ。
  5. 前記突条部は、前記凸曲面状部からの突出高さが最も大きい最厚部を有し、
    前記突条部は、前記延在方向の両端部において前記凸曲面状部からの突出高さが最も小さくなり、前記延在方向の両端部から前記最厚部に向かうに従い前記凸曲面状部からの突出高さが徐々に大きくなる、
    請求項1~4の何れか一項に記載の掘削チップ。
  6. 前記最厚部における前記突条部の前記凸曲面状部からの突出高さが、前記基端部の直径の9/100以上30/100以下の範囲内とされている、
    請求項5に記載の掘削チップ。
  7. 前記突条部の前記延在方向の両端部は、前記基端部と前記先端部との境界部に位置している、
    請求項1~6の何れか一項に記載の掘削チップ。
  8. 前記突条部の根元部の幅寸法の最大値は、前記基端部の直径Dの1/3以上3/4以下の範囲内である、
    請求項1~7の何れか一項に記載の掘削チップ。
  9. 前記凸曲面状部は、前記中心線上に中心を有する半球状である、
    請求項1~8の何れか一項に記載の掘削チップ。
  10. 前記凸曲面状部は、前記中心線上に中心を有する砲弾形状である、
    請求項1~8の何れか一項に記載の掘削チップ。
  11. 前記突条部は、多結晶ダイヤモンド焼結体によって形成されている、
    請求項1~10の何れか一項に記載の掘削チップ。
  12. 請求項1~11の何れか一項に記載の掘削チップと、
    先端面において前記掘削チップを保持し、軸線回りに回転させられる工具本体と、を備え、
    前記掘削チップは、前記先端部を前記先端面から突出させるとともに、前記突条部の前記延在方向を、前記工具本体の軸線に対する径方向に一致させるとともに、前記拡幅部において幅寸法が大きくなる前記延在方向の一方側を前記軸線の径方向外側に配置する、
    掘削工具。
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