JP2022113988A - 微細パターンの形成方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】本発明の課題は、耐食性やコストに優れた炭素材料からなる導電性塗膜にレーザーを照射して溝加工を施し、直線性の優れた微細パターンの形成方法を提供することである。【解決手段】上記課題は、絶縁性基材上に導電性の微細パターンを形成する方法であって、絶縁性基材上に炭素材料とバインダーとを含む導電性塗膜を形成し、前記導電性塗膜に、波長が700nm以下のレーザーを照射することにより溝加工を施すことを特徴とする微細パターンの形成方法によって解決することができる。【選択図】図3

Description

本発明は、レーザー溝加工による導電性を有する微細パターン形成方法に関する。
近年、スマートフォンに代表されるモバイルデバイスは、その大きさを維持したまま多機能化やディスプレイの高精細化などが進んでいる。これらの性能をさらに向上させるためには、電子部品をさらに高密度に実装する必要がある。電子部品の高密度実装には、電子部品自体の小型化と、信号配線の微細化が求められており、導電パターン形成も改良や新技術による高精細化が求められている。
また、バイオセンサにおいても性能向上が求められており、センサ回路の微細パターン化が進んでいる。例えば、血中のグルコース濃度(血糖値)を測定するセンサチップにおいて、百マイクロメートルオーダーのセンサ回路が形成されているが、数十マイクロメートルオーダーに微細化できれば、電気化学反応を検出する電極の面積を増大させることができ、血糖値測定の精度向上が期待できる。
炭素材料は導電性を有し、金属と比べて耐食性に優れ、またコスト面でも優位となることから、電子デバイスの配線や電極などの回路材料として広く使用されている。回路は炭素含有ペーストを用いてスクリーン印刷により形成されることが多い。従来スクリーン印刷は、ライン/スペース=100μm/100μm程度が限界であったが、最近ではライン/スペース=50μm/50μmの微細印刷が可能となっている。しかし、直線性はまだ十分であるとは言えない。スクリーン印刷法の他に、特許文献1ではフォトリソグラフィによって炭素材料の微細回路を形成しているが、複数工程を必要とするため製造コスト高となる問題がある。 最近では、導電性塗膜にレーザー光を照射することで回路を形成するレーザー加工法が検討されている。レーザー加工法では、絶縁性基材上に導電性ペーストを印刷して導電性塗膜を形成し、その一部をレーザーにより絶縁性基材から除去することで回路を形成する。これによりスクリーン印刷法よりも微細なパターニングが可能となっている(例えば、特許文献2~4)。ただし、これまでの検討は導電性材料として金属材料を用いたものであり、炭素材料はレーザー増感剤として微量添加される程度であった。
特開2018-91812号公報 特開2014-2992号公報 特許5773292号公報 特許6705346号公報
レーザー加工法は微細パターン形成に有用な手段であるが、炭素材料を主体としたペーストから形成された導電性塗膜に対する検討例はこれまでなかった。
本発明は、耐食性やコストに優れた炭素材料からなる導電性塗膜にレーザーを照射して溝加工を施し、直線性の優れた微細パターンの形成方法を提供することを目的とする。
本発明者らは上記課題を解決するため、鋭意検討した結果、炭素材料とバインダーとを含む導電性塗膜に特定波長のレーザー光を照射して溝加工を施すことで、直線性の優れた微細パターンが形成できることを見出し、本発明に至った。
すなわち、本発明は、以下の(1)~(3)に関する。
(1)絶縁性基材上に導電性の微細パターンを形成する方法であって、絶縁性基材上に炭素材料とバインダーとを含む導電性塗膜を形成し、前記導電性塗膜に、波長が700nm以下のレーザーを照射することにより溝加工を施すことを特徴とする微細パターンの形成方法。
(2)導電性塗膜が、炭素材料とバインダーと溶剤とを含むペースト組成物から形成された塗膜であることを特徴とする請求項1に記載の微細パターンの形成方法。
(3)微細パターンが、バイオセンサ用電極パターンである請求項1または2に記載の微細パターンの形成方法。
本発明によれば、耐食性やコストに優れた炭素材料を用いて、簡便なプロセスでラインアンドスペースが数十マイクロメートルオーダーの直線性の優れたパターンを形成することができ、測定精度が向上したバイオセンサ電極などに応用することが可能となる。
レーザー溝加工を施した後の基材と導電性塗膜よりなるシートの平面図である。 レーザーマーカを用いて形成する微細パターンの拡大図である。 レーザーマーカを用いて形成した微細パターンの断面溝形状の概要図である。 バイオセンサ用電極の電極パターンを示す図である。 バイオセンサ用の電極チップを示す図である。
以下、本発明の実施形態について説明する。
先ず、本実施形態の微細パターン形成方法に適用される導電性塗膜について説明する。
本実施形態に適用される導電性塗膜は、炭素材料とバインダーとを含むことを特徴としている。
炭素材料としては、例えば、黒鉛、カーボンブラック、炭素繊維、カーボンナノチューブ、多孔質炭素、グラフェンナノプレートレット、ナノポーラスカーボン、カーボンナノファイバー、カーボンナノホーン等が挙げられる。これら炭素材料は、1種または2種以上を組み合わせて使用することもできる。上記炭素材料の中でも、優れた導電性塗膜が得られることから黒鉛を使用することが好ましい。
黒鉛としては、例えば、人造黒鉛や天然黒鉛等が挙げられる。人造黒鉛は、無定形炭素の熱処理により、不規則な配列の微小黒鉛結晶の配向を人工的に行わせたものであり、一般的には石油コークスや石炭系ピッチコークスを主原料として製造される。天然黒鉛としては、薄片状黒鉛、球形黒鉛、鱗片状黒鉛、塊状黒鉛、土状黒鉛等を使用することができる。また、鱗片状黒鉛を化学処理等した膨張黒鉛(膨張性黒鉛ともいう)や、膨張黒鉛を熱処理して膨張化させた後、微細化やプレスにより得られた膨張化黒鉛等を使用することもできる。これらの黒鉛の中でも、導電性塗膜に用いる場合は、導電性の観点から、天然黒鉛が好ましい。
また、黒鉛は2種類以上を併用して使用することもでき、上記の他の炭素材料と組合せて使用することもできる。これらの場合、炭素粒子間の空隙が小さくなるような組み合わせが、導電性が高まるために好ましい。
また、本実施形態に適用される導電性塗膜は、平均粒子径が0.5~50μmであることが好ましく、2~10μmであることがより好ましい。使用する黒鉛の平均粒子径が50μmより大きい場合、レーザー溝加工後のラインエッジ部分が波打つ形状になりやすく、パターンの直線性が悪化する場合がある。平均粒子径が0.5μmよりも小さい場合、黒鉛間の接触抵抗が大きくなり、導電性が悪くなる場合がある。
本発明でいう平均粒子径とは、体積粒度分布において、粒子径の細かいものからその粒子の体積割合を積算したときに、50%となるところの粒子径(D50)であり、一般的な粒度分布計、例えば、動的光散乱方式の粒度分布計(日機装社製「マイクロトラックUPA」)等で測定される。
市販の黒鉛としては、例えば、薄片状黒鉛として、日本黒鉛工業社製のCMX、UP-5N、UP-10N、UP-20N、UP-35N、CSSP、CSPE、CSP、CP、CPB、UCP、J-CPB、CB-150、CB-100、ACP、ACP-1000、ACB-50、ACB-100、ACB-150、SP-10、SP-20、SP-5030、J-SP、SP-270、HOP、GR-60、LEP、F#1、F#2、F#3、中越黒鉛社製のCX-3000、FBF、BF、CBR、SSC-3000、SSC-600、SSC-3、SSC、CX-600、CPF-8、CPF-3、CPB-6S、CPB、96E、96L、96L-3、90L-3、CPC、S-87、K-3、CF-80、CF-48、CF-32、CP-150、CP-100、CP、HF-80、HF-48、HF-32、SC-120、SC-80、SC-60、SC-32、伊藤黒鉛工業社製のCNP15、CNP7、Z-5F、EC1500、EC1000、EC500、EC300、EC100、EC50、西村黒鉛社製の10099M、PB-99等が挙げられる。球形天然黒鉛としては、日本黒鉛工業社製のCGC-20、CGC-50、CGB-20、CGB-50が挙げられる。土状黒鉛としては、日本黒鉛工業社製の青P、AP、AOP、P#1、中越黒鉛社製のAPR、S-3、AP-6、300Fが挙げられる。人造黒鉛としては、日本黒鉛工業社製のPAG-60、PAG-80、PAG-120、PAG-5、HAG-10W、HAG-150、中越黒鉛社製のRA-3000、RA-15、RA-44、GX-600、G-6S、G-3、G-150、G-100、G-48、G-30、G-50、SECカーボン社製のSGP-100、SGP-50、SGP-25、SGP-15、SGP-5、SGP-1、SGO-100、SGO-50、SGO-25、SGO-15、SGO-5、SGO-1、SGX-100、SGX-50、SGX-25、SGX-15、SGX-5、SGX-1が挙げられる。
その他炭素材料について、市販のカーボンブラックとしては、例えば、東海カーボン社製のトーカブラック#4400、#4500、#5500、デグサ社製のプリンテックスL、三菱化学社製の#2350、#2400B、#2600B、#3050B、#3230B、#3350B、#3400B、#5400B、キャボット社製のVulcanXC-72R、BlackPearls2000、TIMCAL社製のEnsaco250G等のファーネスブラック、ライオン・スペシャリティ・ケミカルズ社製のEC-200L、EC-300J、EC-600JD等のケッチェンブラック、デンカ社製のデンカブラック、デンカブラックFX-35等のアセチレンブラックが挙げられる。
市販の炭素繊維やカーボンナノチューブとしては、例えば、昭和電工社製のVGCF等の気相法炭素繊維、名城ナノカーボン社製のEC1.0,EC1.5,EC2.0,EC1.5-P等の単層カーボンナノチューブ、CNano社製のFloTube9000、FloTube9100、FloTube9110、FloTube9200、Nanocyl社製のNC7000、Knano社製の100T等が挙げられる。
市販の多孔質炭素としては、例えば、クノーベルMHグレード、クノーベルP(2)010グレード、クノーベルP(3)010グレード、クノーベルP(4)050グレード、クノーベルMJ(4)030グレード、クノーベルMJ(4)010グレード、クノーベルMJ(4)150等の東洋炭素社製の多孔質炭素等が挙げられる。
市販のグラフェンナノプレートレットとしては、例えば、xGnP-C-750、xGnP-M-5等のXGSciences社製グラフェンナノプレートレット等が挙げられる。
市販のナノポーラスカーボンとしては、例えば、Easy-N社製ナノポーラスカーボンが挙げられる。
一方、バインダーとしては、炭素材料の分散性や絶縁性基材への密着性、ペースト組成物の安定性を付与できるものであれば特に制限されず、樹脂等が挙げられる。例えば、アクリル樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリエステル樹脂、フェノール樹脂、エポキシ樹脂、フェノキシ樹脂、尿素樹脂、メラミン樹脂、アルキッド樹脂、ホルムアルデヒド樹脂、シリコン樹脂、フッ素樹脂、スチレン-ブタジエンゴムやフッ素ゴム等の合成ゴム、ポリアニリンやポリアセチレン等の導電性樹脂、ポリフッ化ビニリデン、ポリフッ化ビニル、パーフルオロカーボン及びテトラフルオロエチレン等のフッ素原子を含む高分子化合物等が挙げられる。また、これらの樹脂の変性物、混合物、あるいは共重合体でもよい。これらバインダーは、1種または2種以上を組み合わせて使用することもできる。
また、バインダー樹脂が塗膜となった後に、硬化(架橋)反応を受ける、硬化性樹脂を用いることもできる。
また、後述するペースト組成物に使用する溶剤として、水および水と相溶可能な溶剤の混合溶剤を使用する場合、一般的に水性エマルションとも呼ばれるバインダーも使用できる。水性エマルションとは、バインダー樹脂が水中で溶解せずに、微粒子の状態で分散されているものである。
使用するエマルションは特に限定されないが、(メタ)アクリル系エマルション、ニトリル系エマルション、ウレタン系エマルション、ジエン系エマルション(SBR(スチレンブタジエンゴム)など)、フッ素系エマルション(PVDF(ポリフッ化ビニリデン)やPTFE(ポリテトラフルオロエチレン)など)等が挙げられる。
次に、上記の導電性塗膜を形成するために用いられるペースト組成物について説明する。
本実施形態に適用されるペースト組成物は、炭素材料とバインダーと溶剤とを含むことを特徴としている。
炭素材料とバインダーについては上記で説明したものが使用され、溶剤については、特に限定されるものではないが、アルコール類、グリコール類、セロソルブ類、アミノアルコール類、アミン類、ケトン類、カルボン酸アミド類、リン酸アミド類、スルホキシド類、カルボン酸エステル類、リン酸エステル類、エーテル類、ニトリル類、水等が挙げられる。これら溶剤は、1種または2種以上を組み合わせて使用することもできる。
炭素材料とバインダーと溶剤とを含むペースト組成物は、溶媒に炭素材料とバインダーを分散して得ることができる。分散する際には、顔料分散等に通常用いられる分散機、混合機等が使用できる。
例えば、ディスパー、ホモミキサー、あるいはプラネタリーミキサー等のミキサー類;エム・テクニック社製「クレアミックス」、あるいはPRIMIX社製「フィルミックス」等のホモジナイザー類;ペイントシェーカー(レッドデビル社製)、ボールミル、サンドミル(シンマルエンタープライゼス社製「ダイノミル」等)、アトライター、パールミル(アイリッヒ社製「DCPミル」等)、あるいはコボールミル等のメディア型分散機;湿式ジェットミル(ジーナス社製「ジーナスPY」、スギノマシン社製「スターバースト」、ナノマイザー社製「ナノマイザー」等)、エム・テクニック社製「クレアSS-5」、あるいは奈良機械社製「MICROS」等のメディアレス分散機;または、その他ロールミル等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。また、分散機としては、分散機からの金属混入防止処理を施したものを使用することが好ましい。
例えば、メディア型分散機を使用する場合は、アジテーターおよびベッセルがセラミック製または樹脂製の分散機を使用することが好ましく、アジテーターおよびベッセルが金属製の場合はそれらの表面をタングステンカーバイド溶射や樹脂コーティング等の処理施した分散機を使用することが好ましい。そして、メディアとしては、ガラスビーズ、またはジルコニアビーズやアルミナビーズ等のセラミックビーズを用いることが好ましい。また、ロールミルを使用する場合についても、セラミック製ロールを用いることが好ましい。分散機は、1種のみを使用してもよいし、複数種の分散機を組み合わせて使用してもよい。
また、ペースト組成物には、炭素材料の溶媒への濡れ性や分散性を向上させるために、一般的な分散剤を一緒に添加することができる。分散剤としては、ペースト組成物に含まれる溶剤に適した水系分散剤や有機溶剤系分散剤を使用することが好ましく、2種以上を併用してもよい。
市販の水系分散剤としては、特に限定されないが、例えば、ビックケミー社製の分散剤としては、DISPERBYK-180、184、187、190、191、192、193、194、199、2010、2012、2015、2096等が挙げられ、日本ルーブリゾール社製の分散剤としては、SOLSPERSE12000、20000、27000、41000、41090、43000、44000、又は45000等が挙げられる、BASFジャパン社製の分散剤としては、JONCRYL67、678、586、611、680、682、683、690、60、61、62、63、HPD-96、Luvitec K17、K30、K60、K80、K85、K90、VA64等が挙げられ、川研ファインケミカル社製の分散剤としては、ヒノアクトA-110、300、303、又は501等が挙げられ、ニットーボーメディカル社製の分散剤としては、PAAシリーズ、PASシリーズ、両性シリーズPAS-410C、410SA、84、2451、又は2351等が挙げられ、アイエスピー・ジャパン社製の分散剤としては、ポリビニルピロリドンPVP K-15、K-30、K-60、K-90、又はK-120等が挙げられ、丸善石油化学社製の分散剤としては、ポリビニルイミダゾールPVI等が挙げられる。
市販の溶剤系分散剤としては、特に限定されないが、例えば、ビックケミー社製の分散剤としては、Anti-Terra-U、U100、204、DISPERBYK-101、102、103、106、107、108、109、110、111、140、161、163、168、170、171等が挙げられ、日本ルーブリゾール社製の分散剤としては、SOLSPERSE3000、5000、9000、13240、13650、13940、17000、18000、19000、21000、22000、24000SC、24000GR、26000、28000、31845、32000、32500、32600、33500、34750、35100、35200、36600、37500、38500、又は53095が挙げられ、味の素ファインテクノ社製の分散剤としては、アジスパーPB821、PB822、PN411、又はPA111が挙げられ、川研ファインケミカル社製の分散剤としては、ヒノアクトKF-1000、1300M、1500、T-6000、8000、8000E、又は9100等が挙げられ、BASFジャパン社製の分散剤としては、Luvicap等が挙げられる。
また、分散剤は、バインダー樹脂以外の樹脂成分として樹脂型の分散剤を含んでいてもよい。例えば、アクリル樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリエステル樹脂、ポリアミド樹脂、ポリイミド樹脂、ポリアリルアミン樹脂、フェノール樹脂、エポキシ樹脂、フェノキシ樹脂、尿素樹脂、メラミン樹脂、アルキッド樹脂、ホルムアルデヒド樹脂、シリコン樹脂、フッ素樹脂、カルボキシメチルセルロース等の多糖類の樹脂を含む高分子化合物が挙げられる。これら分散剤は、1種または2種以上を組み合わせて使用することもできる。
次に、炭素材料とバインダーと溶剤とを含むペースト組成物から導電性塗膜を作製する方法について説明する。
本実施形態に適用される導電性塗膜は、炭素材料とバインダーと溶剤とを含むペースト組成物を絶縁性基材上に印刷あるいは塗工等により、さらに必要に応じてプレス処理等も施して形成することができる。
絶縁性基材上にペースト組成物を印刷あるいは塗工する方法としては、特に制限はなく、例えば、スクリーン印刷、インクジェット印刷、フレキソ印刷、オフセット印刷、グラビア印刷、グラビアオフセット印刷、ナイフコーター、バーコーター、ブレードコーター、スプレー、ディップコーター、スピンコーター、ロールコーター、コンマコーター、ダイコーター、カーテンコーター等の一般的な方法を適用できる。
印刷あるいは塗工をした後には、乾燥工程を行うことが好ましい。乾燥工程は、熱風オーブン、赤外線オーブン、マイクロウエーブオーブン、およびこれらのオーブンを複合した複合オーブン等公知の乾燥装置が挙げられる。
また、乾燥後に平版プレスやカレンダーロール等による圧延処理を行ってもよく、導電性塗膜を軟化させてプレスしやすくするため、加熱しながら行ってもよい。
絶縁性基材は、特に限定されるものではなく、例えば、ポリイミドフィルム、ポリパラフェニレンテレフタルアミドフィルム、ポリエーテルニトリルフィルム、ポリエーテルサルホンフィルム、ポリエチレンテレフタレートフィルム、ポリエチレンナフタレートフィルム、ポリブチレンテレフタレートフィルム、ポリカーボネートフィルム、ポリ塩化ビニルフィルム、およびポリアクリルフィルム等が挙げられる。
基材の厚みは、特に限定されないが、30~350μm程度であり、50~250μmがより好ましい。前記範囲の厚みにより、基材の機械特性、形状安定性、寸法安定性、およびハンドリング面等が適切になりやすい。
導電性塗膜の厚みは、通常1~50μmが好ましい。厚みが1μmより小さくなると導電性が不足することになり、厚みが50μmより大きいとレーザー溝加工に要するエネルギー量が大きくなり、レーザー非照射部に剥がれや熱ダレ等の影響が生じる。
次に、絶縁性基材上に形成された炭素材料とバインダーとを含む導電性塗膜にレーザー溝加工を施して、微細パターンを形成する方法について説明する。
本発明で使用されるレーザー光は、波長が700nm以下である。例えば、エキシマレーザー(基本波の波長:193~308nm)、YVO4レーザー(基本波の波長:1064nm)の第二高調波(532nm)および第三高調波(355nm)、YAGレーザー(基本波の波長:1064nm)の第二高調波(532nm)および第三高調波(355nm)、および半導体レーザー等が挙げられる。レーザー波長が700nmより大きくなると、溝幅が数十マイクロメートルオーダーの溝加工をする際、バインダーなどの樹脂成分が熱ダレを起こし、溝の上端面がなだらかな形状になることがあるため好ましくない。また、レーザー波長が700nm以下においては、第三高調波などのUV領域において、絶縁性基材にダメージを与える場合があるため、より好ましくは第二高調波などのグリーンレーザーと呼ばれる波長領域(500~570nm)である。
レーザー光を使用する際の平均出力、出力強度、スポット径、デフォーカスの有無、繰り返し周波数、およびスキャン速度などの加工条件は、導電性塗膜が除去できる程度の条件であればよく、限定されないが、以下の式で表されるエネルギー密度により規定することができる。
エネルギー密度=(平均出力×出力強度)/繰り返し周波数/スポット面積
上記式で示されるエネルギー密度とは、レーザースポットにおける単位面積当たりのエネルギー量を表す。エネルギー密度は1~20J/cmが好ましい。1J/cmより低い場合は溝加工が不十分となる場合があり、20J/cmより高い場合は基材や未照射部へのダメージが大きくなる場合がある。より好ましくは、2~10J/cmである。
デフォーカス機能が付いたレーザーマーカを用いるとスポット径を調整することができ、スポット面積を制御することができる。また、スキャン速度を調整することで、照射するエネルギー量を制御することができる。
また、レーザー光のスキャン(印字)を複数回繰り返し行うこともできる。目標とするパターン形成に必要なエネルギー量を1度の印字で与えるよりも、少ないエネルギー量を複数回に分けて印字する方が溝加工性の優れた微細パターンとなるため好ましい。
本発明の形成方法により得られる絶縁性基材上の導電性を有する微細パターンは、電子デバイスの信号配線の高精細化に有用である他、高性能なバイオセンサ用電極としても使用することができる。
バイオセンサとしては、微生物、酵素、抗体等の生物材料の分子認識能を利用し、生物材料を分子識別素子として使用して電気化学計測デバイスとしたものであれば特に限定されないが、例えば、酵素センサ、微生物センサ、免疫センサ等が挙げられる。
以下に、実施例により本発明をさらに具体的に説明するが、以下の実施例は本発明の権利範囲を何ら制限するものではない。なお、実施例および比較例における「部」は「質量部」、%は質量%を表す。
<導電性炭素ペーストの調製例>
[調製例1]
天然薄片状黒鉛UP-10N(日本黒鉛社製、平均粒子径10μm)を20部、ファーネスブラックVULCAN(登録商標)XC72(CABOT社製)を3部、バインダーとしてエマルション型アクリル樹脂分散溶液(トーヨーケム社製:W-168)を4部(固形分50%)、分散剤としてカルボキシメチルセルロース水溶液50部(固形分2%)、溶剤として水50部をミキサーに入れて混合し、更にサンドミルに入れて分散を行い、導電性炭素ペースト(1)を得た。
[調製例2]
天然薄片状黒鉛CB-150(日本黒鉛社製、平均粒子径40μm)に変えた以外は、調製例1と同様にして、導電性炭素ペースト(2)を得た。
下記の実施例1~8および比較例1および2における導電性塗膜の作製方法及びレーザー溝加工性の評価方法を示す。
<導電性塗膜の作製>
基材として厚さ100μmのポリエチレンテレフタレートフィルム(東レ社製ルミラーT60)に導電性炭素ペーストをアプリケーターにより塗工し、80℃オーブンにて60分間乾燥させ、厚さ約20μmの導電性塗膜を得た。この際の膜厚は、接触式膜厚測定装置(ニコン社MS-5C)を用いて、基材と導電性塗膜よりなるシートを測定し、基材のみの測定値を減算して算出した。
<レーザー溝加工性の評価>
得られた導電性塗膜に対して、図2に示すような微細パターン(ライン/スペース=50μm/50μm、スペース10本、長さ200mm)の形成を目的として、レーザーマーカを用いてレーザー溝加工を実施した。レーザー加工条件は使用したレーザーマーカに合わせて最適化した。
形成したスペース10本の両端2本を除いた8本において任意の100箇所を選択し、溝形状を走査型共焦点レーザー顕微鏡(オリンパス社OLS3000)により観察した。そして、図3に示すような上部の溝幅(W1)、底部の溝幅(W2)、および溝深さ(D)を計測し、上部の溝幅の平均値(A)と標準偏差、底部の溝幅の平均値(B)と標準偏差、および上部と底部の溝幅の差を算出した。
溝加工性の評価は以下の基準で判定した。
〇:標準偏差が0~2.0μm、かつ溝幅の差が0~22μm。良好。
△:標準偏差が2.1~2.5μm、あるいは溝幅の差が23~30μm。実用上問題ない。
×:標準偏差が2.6以上、あるいは溝幅の差が31μm以上。実用不可。
[実施例1~5]
導電性炭素ペースト(1)より導電性塗膜を作製し、グリーンレーザーマーカ(キーエンス社MD-S9910)を用いて、表1に示したレーザー加工条件にて図1および2に示した微細パターンを形成した。
[実施例6]
導電性炭素ペースト(2)より導電性塗膜を作製し、グリーンレーザーマーカ(キーエンス社MD-S9910)を用いて、表1に示したレーザー加工条件にて図1および2に示した微細パターンを形成した。
[実施例7~8]
導電性炭素ペースト(1)より導電性塗膜を作製し、UVレーザーマーカ(キーエンス社MD-U1000C)を用いて、表1に示したレーザー加工条件にて図1および2に示した微細パターンを形成した。
[比較例1~2]
導電性炭素ペースト(1)より導電性塗膜を作製し、ハイブリッドレーザーマーカ(キーエンス社MD-X2500)を用いて、表1に示したレーザー加工条件にて図1および2に示した微細パターンを形成した。
Figure 2022113988000002

Figure 2022113988000003

上記各実施例と比較例のレーザー溝加工性の評価結果を表2に示す。
実施例1~3および5は、上部および底部の各溝幅の標準偏差が2.0μmより小さく、上部と底部の溝幅の差も22μmより小さい値であるため、良好な溝が形成された。エネルギー密度が同じでもスキャン速度が異なる実施例1と5の結果を比べると、スキャン速度を上げた場合に前記標準偏差や溝幅の差が大きくなることがわかる。
また、エネルギー密度を実施例1の2倍強まで高めた実施例4では、上底部の溝幅の差が大きめとなったが、実用上は問題ないレベルと判断できる。
また、導電性炭素ペースト(1)に用いた天然黒鉛よりも平均粒子径が4倍程度大きい天然黒鉛を用いた導電性炭素ペースト(2)からなる導電性塗膜をレーザー加工した実施例6では、上部および底部の各溝の標準偏差が大きめとなったが、実用上は問題ないレベルと判断できる。標準偏差が大きくなる要因としては、溝の端面に大きな黒鉛粒子がバリのように不均一に張り出すことが考えられる。
UVレーザーマーカによる実施例7および8では、上部および底部の各溝幅の標準偏差は良好であるが、上部と底部の溝幅の差が大きめとなった。しかし、実用上は問題ないレベルと判断できる。
一方で、波長1064nmのレーザーマーカを用いた比較例1および2では、上部および底部の各溝幅の標準偏差、上部と底部の溝幅の差がともに非常に大きな値となり、実用不可のレベルと判断される。特に、溝の上端面がなだらかな形状になるため、上部の溝幅が非常に大きな値となり、ライン部の塗膜量が大幅に減じる結果となる。これはレーザーによる発熱によって、樹脂ダレのような状態が生じると推察される。この影響は上部および底部の各溝幅の標準偏差の大きさにも表れているため、波長1064nmのレーザーマーカでは50μm程度の微細パターンを形成することは難しいと考えられる。
[実施例9]
<バイオセンサ用電極の作製>
導電性炭素ペースト(1)を用いて、実施例1と同様の方法により導電性塗膜を作製した。得られた導電性塗膜に対して、グリーンレーザーマーカ(キーエンス社MD-S9910)を用いて、図4に示した電極パターンを形成した(白色部分が溝加工する部分であり、S=50μm、L1=L2=200μm、L3=100μm)。レーザー加工条件は、エネルギー密度5.9J/cm、スキャン速度400mm/sとした。次いで、CO2レーザーマーカ(平均出力30W、レーザー波長10.6μm:キーエンス社ML-Z9510)を用いて、図4に示した点線部分に沿ってレーザー切断し、電極チップを得た。レーザー加工条件は、出力強度16%、スキャンスピード100mm/s、印字回数3回とした。
得られた電極チップに対して、図5に示したように絶縁テープでマスキングすることで、作用極6、参照極7、対極8となる各部分を画定した。参照極7の部分には、銀塩化銀ペースト(参照電極用銀塩化銀インク;ビー・エー・エス社製)を塗布して参照極を形成した。
<電気化学評価>
サイクリックボルタンメトリー測定により電極チップの応答性を評価した。5mMフェロシアン化カリウムが溶解した0.1Mリン酸緩衝液(pH7.0)の入った電解槽中に前記電極チップの3極(作用極6、参照極7、対極8)側を浸漬し、反対側より接続端子を介してポテンショスタットに接続した。
参照極を基準として、掃引範囲-0.7V~+0.7V、掃引速度10mV/sの条件で測定したところ、明瞭な酸化還元ピークを確認した。すなわち本発明の微細パターン形成方法により作製された、3極を構成するライン間のスペースが数十μmと微細なパターン形状を有する電極チップは、バイオセンサ用電極として機能すると考えられる。
1 基材と導電性塗膜よりなるシート
2 微細パターン
3 ライン部
4 スペース部
5 絶縁テープ
6 作用極
7 参照極
8 対極
9 基材

Claims (3)

  1. 絶縁性基材上に導電性の微細パターンを形成する方法であって、絶縁性基材上に炭素材料とバインダーとを含む導電性塗膜を形成し、前記導電性塗膜に、波長が700nm以下のレーザーを照射することにより溝加工を施すことを特徴とする微細パターンの形成方法。
  2. 導電性塗膜が、炭素材料とバインダーと溶剤とを含むペースト組成物から形成された塗膜であることを特徴とする請求項1に記載の微細パターンの形成方法。
  3. 微細パターンが、バイオセンサ用電極パターンである請求項1または2に記載の微細パターンの形成方法。
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