JP2022172520A - 酵素センサー用電極及び酵素センサー - Google Patents

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Akihiko Yatemata
茂紀 井上
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【課題】電極のノイズに対する感度に優れ、強度の高い酵素センサー用電極および酵素センサーを提供すること。【解決手段】作用極および対極を有する酵素センサー用電極であって、作用極が炭素材料および水性樹脂を含み、かつ作用極の厚さが15μm以下、密度が1.4g/cm3以上である酵素センサー用電極、炭素材料が少なくとも黒鉛を含む前記酵素センサー用電極、作用極100質量%中、炭素材料を60質量%以上含む前記酵素センサー用電極、前記酵素センサー用電極を用いた酵素センサー。【選択図】なし

Description

本発明は、酵素センサー用電極及び酵素センサーに関する。
血液や汗等の生体試料や食品、細胞培養用培地等に含まれる特定成分を、簡便に計測する酵素センサーが実用化されている。例えば、血液中のグルコースを電気化学的な手段により検出、あるいは定量化する血糖値センサー等が挙げられる。これは血中に含まれるグルコースに対し酵素の基質特異性により選択的に酸化し、メディエーターを介して、あるいは直接電極に電荷が到達して電流が発生、その電流値からグルコース濃度を定量することができる。
実用化されている酵素センサーにおける電極部分は、スパッタやめっき等により金属層が形成されたものが用いられることがある(例えば特許文献1)。しかし、その測定感度は未だ十分とは言い難い状況であり、高価な金属を使用しないことは腐食やコストの観点からも好ましい。
特開2008-045877号公報
本発明の目的は、電極のノイズに対する感度に優れ、強度の高い酵素センサー用電極および酵素センサーを提供することである。
本発明者らは、前記の諸問題を解決するために研究を重ねた結果、本発明に至った。
すなわち本発明は、基材上に設置された、少なくとも作用極と対極を有する酵素センサー用電極であって、少なくとも作用極が炭素材料および水性樹脂を含み、更に作用極の厚さが15μm以下、密度1.4g/cm以上である酵素センサー用電極に関する。
また、本発明は、炭素材料が少なくとも黒鉛を含む前記酵素センサー用電極に関する。
また、本発明は、作用極中に含まれる炭素材料が60%以上である前記酵素センサー用電極に関する。
また、本発明は、前記酵素センサー用電極を用いた酵素センサーに関する。
本発明によれば、炭素材料と水性樹脂とを含む作用極において、膜厚15μm以下、密度1.4g/cmとすることで、ノイズが少なく強度に優れた酵素センサー電極を提供することができる。更に、主に炭素材料から構成される電極であるため、低コストで使い捨て可能な電極を提供することができる。
(炭素材料)
本発明における炭素材料としては特に限定は無く、黒鉛、カーボンブラック、導電性炭素繊維(カーボンナノチューブ、カーボンナノファイバー、カーボンファイバー)、グラフェン、フラーレン等が挙げられ、これらを単独または2種以上を併用して使用することができる。炭素材料は、導電性やコストの観点から少なくとも黒鉛を用いることが好ましい。
黒鉛としては、例えば人造黒鉛や天然黒鉛等が挙げられる。人造黒鉛は、無定形炭素の熱処理により、不規則な配列の微小黒鉛結晶の配向を人工的に行わせたものであり、一般的には石油コークスや石炭系ピッチコークスを主原料として製造される。天然黒鉛としては、薄片状黒鉛、球形黒鉛、鱗片状黒鉛、塊状黒鉛、土状黒鉛等を使用することができる。また、鱗片状黒鉛を化学処理等した膨張黒鉛(膨張性黒鉛ともいう)や、膨張黒鉛を熱処理して膨張化させた後、微細化やプレスにより得られた膨張化黒鉛等を使用することもできる。これらの黒鉛の中でも、導電性の観点から、天然黒鉛が好ましく、球形黒鉛、鱗片状黒鉛、膨張化黒鉛、および薄片状黒鉛が好ましい。
また、用いる黒鉛の平均粒径は、0.5~500μmが好ましく、特に、2~100μmが好ましい。
本発明でいう平均粒径とは、体積粒度分布において、粒子径の細かいものからその粒子の体積割合を積算していったときに、50%となるところの粒子径(D50)であり、一般的な粒度分布計、例えば、動的光散乱方式の粒度分布計(日機装社製「マイクロトラックUPA」)等で測定される。
市販の黒鉛としては、例えば、薄片状黒鉛として、日本黒鉛工業社製のCMX、UP-5、UP-10、UP-20、UP-35N、CSSP、CSPE、CSP、CP、CPB、UCP、J-CPB、CB-150、CB-100、ACP、ACP-1000、ACB-50、ACB-100、ACB-150、SP-10、SP-20、SP-5030、J-SP、SP-270、HOP、GR-60、LEP、F#1、F#2、F#3、中越黒鉛社製のCX-3000、FBF、BF、CBR、SSC-3000、SSC-600、SSC-3、SSC、CX-600、CPF-8、CPF-3、CPB-6S、CPB、96E、96L、96L-3、90L-3、CPC、S-87、K-3、CF-80、CF-48、CF-32、CP-150、CP-100、CP、HF-80、HF-48、HF-32、SC-120、SC-80、SC-60、SC-32、伊藤黒鉛工業社製のCNP15、CNP7、Z-5F、EC1500、EC1000、EC500、EC300、EC100、EC50、西村黒鉛社製の10099M、PB-99等が挙げられる。球形天然黒鉛としては、日本黒鉛工業社製のCGC-20、CGC-50、CGB-20、CGB-50が挙げられる。土状黒鉛としては、日本黒鉛工業社製の青P、AP、AOP、P#1、中越黒鉛社製のAPR、S-3、AP-6、300Fが挙げられる。人造黒鉛としては、日本黒鉛工業社製のPAG-60、PAG-80、PAG-120、PAG-5、HAG-10W、HAG-150、中越黒鉛社製のRA-3000、RA-15、RA-44、GX-600、G-6S、G-3、G-150、G-100、G-48、G-30、G-50、SECカーボン社製のSGP-100、SGP-50、SGP-25、SGP-15、SGP-5、SGP-1、SGO-100、SGO-50、SGO-25、SGO-15、SGO-5、SGO-1、SGX-100、SGX-50、SGX-25、SGX-15、SGX-5、SGX-1が挙げられる。これらを単独または2種以上を併用して使用することができる。
用いる黒鉛の比表面積は、値が大きいほど、電気化学反応の起きる面積が大きくなるため、感度を上げるのに有利となる。具体的には、窒素の吸着量から求められる比表面積(BET)で、好ましくは1m/g以上、より好ましくは5m/g以上のものを使用することが望ましい。比表面積が1m/gを下回る黒鉛を用いると、十分な感度を得ることが難しくなる場合がある。また、300m/gを超える黒鉛は、市販材料での入手が困難となる場合がある。
炭素材料の合計100質量%中の黒鉛の含有量は、好ましくは25~99質量%であり、より好ましくは50~96質量%である。
黒鉛以外の炭素材料は特に限定されないが、コストや導電性などの観点から、カーボンブラックや導電性炭素繊維を用いることが好ましい。
カーボンブラックとしては、気体もしくは液体の原料を反応炉中で連続的に熱分解し製造するファーネスブラック、特にエチレン重油を原料としたケッチェンブラック、原料ガスを燃焼させて、その炎をチャンネル鋼底面にあて急冷し析出させたチャンネルブラック、ガスを原料とし燃焼と熱分解を周期的に繰り返すことにより得られるサーマルブラック、特にアセチレンガスを原料とするアセチレンブラックなどの各種のものを単独で、もしくは2種類以上併せて使用することができる。また、通常行われている酸化処理されたカーボンブラックや、中空カーボン等も使用できる。
カーボンの酸化処理は、カーボンを空気中で高温処理したり、硝酸や二酸化窒素、オゾン等で二次的に処理したりすることより、例えばフェノール基、キノン基、カルボキシル基、カルボニル基の様な酸素含有極性官能基をカーボン表面に直接導入(共有結合)する処理であり、カーボンの分散性を向上させるために一般的に行われている。しかしながら、官能基の導入量が多くなる程カーボンの導電性が低下することが一般的であるため、酸化処理をしていないカーボンの使用が好ましい。
用いるカーボンブラックの比表面積は、値が大きいほど、カーボンブラック粒子どうしの接触点が増えるため、電極の内部抵抗を下げるのに有利となる。また、比表面積の値が大きいほど、電気化学反応の起きる面積が大きくなるため、感度を上げるのに有利となる。具体的には、窒素の吸着量から求められる比表面積(BET)で、好ましくは210m/g以上のものを使用することが望ましい。比表面積が210m/gを下回るカーボンブラックを用いると、十分な導電性を得ることが難しくなる場合がある。また、1500m2/gを超えるカーボンブラックは、市販材料での入手が困難となる場合がある。
また、用いるカーボンブラックの粒径は、一次粒子径で0.005~1μmが好ましく、特に、0.01~0.2μmが好ましい。ただし、ここでいう一次粒子径とは、電子顕微鏡などで測定された粒子径を平均したものである。
市販のカーボンブラックとしては、例えば、ケッチェンブラックとして、東海カーボン社製のトーカブラック#4400、#4500、#5500、デグサ社製のプリンテックスL、三菱化学社製の#2350、#2400B、#2600B、#3050B、#3230B、#3350B、#3400B、#5400B、キャボット社製のVulcanXC-72R、BlackPearls2000、TIMCAL社製のEnsaco250G、等のファーネスブラック、ライオン・スペシャリティ・ケミカルズ社製のEC-200L、EC-300J、EC-600JD等、アセチレンブラックとして、デンカ社製のデンカブラックHS-100、デンカブラックLi-400、デンカブラックFX-35等のが挙げられるが、これらに限定されるものではなく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
導電性炭素繊維としては石油由来の原料から焼成して得られるものが良いが、植物由来の原料からも焼成して得られるものも用いることができる。また、カーボンナノチューブは、グラフェンシートが一層でナノメートル領域の直径を有するチューブを形成した単層カーボンナノチューブ、グラフェンシートが多層である多層カーボンナノチューブが挙げられる。単層カーボンナノチューブの直径は0.7-2.0nmが好ましく、多層カーボンナノチューブの直径は30nm程度が好ましい。と
市販の導電性炭素繊維やカーボンナノチューブとしては、昭和電工社製のVGCF等の気相法炭素繊維、名城ナノカーボン社製のEC1.0,EC1.5,EC2.0,EC1.5-P等の単層カーボンナノチューブ、CNano社製のFloTube9000、FloTube9100、FloTube9110、FloTube9200、Nanocyl社製のNC7000、Knano社製の100T等が挙げられる。
炭素材料の合計100質量%中の黒鉛以外の含有率は、導電性や非導電性基材への密着性等から、1~75質量%が好ましく、4~50質量%が更に好ましい。作用極100質量%中に含まれる炭素材料は、50~98質量%が好ましく、60~95質量%が更に好ましい。
(水性樹脂)
少なくとも作用極は、炭素材料の分散性や非導電性基材への密着性、導電性組成物の安定性を付与するために、測定対象が生体試料や食品、細胞培養用培地であることを考慮して、水溶液が素早く電極に浸透できる水性樹脂をバインダーとして使用する。水性樹脂は特に制限されず、例えば、アクリル樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリエステル樹脂、フェノール樹脂、エポキシ樹脂、フェノキシ樹脂、尿素樹脂、メラミン樹脂、シリコーン樹脂、ポリアニリン及びポリアセチレン等の導電性樹脂、セルロース類、これらの変性物や共重合物等が挙げられる。これら水性樹脂は、1種又は2種以上用いることができる。
また、水性樹脂が塗膜となった後に、硬化(架橋)反応を受ける、硬化性樹脂を用いることもできる。
また、水性樹脂に水性エマルションを併用してもよい。水性エマルションは、バインダー樹脂が水中に溶解せずに、微粒子の形態で分散した分散液である。
水性エマルションとしては特に限定されず、(メタ)アクリル系エマルション;ニトリル系エマルション;ウレタン系エマルション;SBR(スチレンブタジエンゴム)等のジエン系ゴムを含むジエン系エマルション;PVdF(ポリフッ化ビニリデン)及びPTFE(ポリテトラフルオロエチレン)等の含フッ素高分子を含むフッ素系エマルション等が挙げられる。
エマルションの平均粒子径は、結着性や粒子の安定性の観点から、10~1000nmであることが好ましく、10~300nmであることが好ましい。なお、本発明における平均粒子径とは、体積平均粒子径のことを表し、動的光散乱法により測定できる。特に密着性の観点から水性エマルションを用いることが好ましい。
<酵素センサー用電極>
本発明は、作用極および対極を有する酵素センサーに用いられる酵素センサー用電極であって、これらの電極は、例えば、基材の少なくとも片側の表面に、導電性の炭素材料と水性樹脂と、必要に応じて液状媒体等を含有する酵素センサー電極形成用組成物を塗工、必要に応じてプレス処理等を行って、導電層を形成することで得ることができる。酵素センサー用電極は、少なくとも作用極が炭素材料および水性樹脂を含み、更に作用極の厚さが15μm以下、密度1.4g/cm以上である。
また、必要に応じて酸化還元酵素やメディエーターを担持して電極を得ることができる。酵素センサーは、少なくとも作用極および対極を有していればよく、参照極を有していてもよい。
(液状媒体)
酵素センサー電極形成用組成物は、任意の液状媒体を含むことができる。液状媒体としては特に限定されず、公知のものを用いることができる。ペースト組成物の分散性向上、並びに、基材上へのペースト組成物の塗工性向上のために、複数種の溶剤を混ぜて使用してもよい。
液状媒体としては、アルコール類、グリコール類、セロソルブ類、アミノアルコール類、アミン類、ケトン類、カルボン酸アミド類、リン酸アミド類、スルホキシド類、カルボン酸エステル類、リン酸エステル類、エーテル類、ニトリル類等の有機溶剤、及び水等が挙げられる。中でも、水性樹脂を用いるため水を主成分とすることが好ましい。
(分散剤)
酵素センサー電極形成用組成物は分散剤を使用することができる。分散剤は、炭素材料等に対して分散剤として有効に機能し、その凝集を緩和することができる。分散剤は炭素材料に対して凝集を緩和する効果が得られれば特に限定されるものではない。
更に、酵素センサー電極形成用組成物には、増粘剤、成膜助剤、硬化剤、消泡剤、レベリング剤、防腐剤、pH調整剤、酸化還元酵素、メディエーターなどを必要に応じて配合できる。
(非導電性基材)
非導電性基材としては、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート等のポリエステル樹脂、ポリメチルメタクリレート等のアクリル樹脂、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ塩化ビニル、ポリスチレン、ポリカーボネート、ポリイミド、ポリテトラフルオロエチレン、パーフルオロアルコキシアルカン、パーフルオロエチレンプロペンコポリマー、エチレンテトラフルオロエチレンコポリマー、ポリビニリデンフルオライド、ポリクロロトリフルオロエチレン、エチレンクロロトリフルオロエチレンコポリマー等の樹脂フィルムが例示できる。また、樹脂フィルム以外にも紙や布等も挙げられる。
<酵素センサー用電極の形成>
酵素センサー用電極は、前記の非導電性基材に酵素センサー電極形成用組成物を塗工・印刷、必要に応じてプレス処理等を行って形成することができる。非導電性基材上に前記の組成物を塗工・印刷する方法としては、特に制限はなく、例えばスクリーン印刷、インクジェット印刷、グラビア印刷、ナイフコーター、バーコーター、ブレードコーター、スプレー、ディップコーター、スピンコーター、ロールコーター、ダイコーター、カーテンコーター等の一般的な方法を適用できる。
また、塗布後に平版プレスやカレンダーロール等による圧延処理を行ってもよく、導電層を軟化させてプレスしやすくするため、加熱しながら行ってもよい。基材を除く電極部(導電層)の厚みが薄いと電極内部への電解液の浸透が早く、またノイズを少なくできるため15μm以下が好ましい。また密度が高い程、電極の強度が高まるため、1.4g/cm以上が好ましい。
<酵素センサー>
酵素センサーにおける電極は、作用極及び対極、あるいは作用極、対極及び参照極の構成で設置される。これらの電極は、異なる非導電性基材上に導電層をそれぞれ形成することで作製する場合や、同一の非導電性基材上にそれぞれの電極について導電層を形成する場合や、同一の非導電性基材上に導電層を設置した後に非導電部位を形成することで電極を作製してもよい。また予め、非導電性基材に金属スパッタなどで金属層を形成した上に、各電極の導電層を形成して電極を作製してもよい。参照極を設置する場合は、例えば導電層の上部へ更に銀や塩化銀などを積層することによって作製される。各電極のリード部は、金属スパッタなどで金属層を形成する方法、導電層を延長して用いる方法、延長した導電層の上部や下部に金属スパッタなどで金属層を更に形成する方法等、が例示できる。
酸化還元酵素やメディエーターを設置する方法としては、作用極、対極及び参照極の上部、あるいは作用極の上部及び/または内部に、酸化還元酵素や必要に応じてメディエーターを含ませる方法や、酸化還元酵素や必要に応じてメディエーターを含む層を形成する方法等が挙げられる。酸化還元酵素やメディエーターを含む層を形成する場合、親水性化合物および/または親水性樹脂を混合してもよい。
センサーの用途としては、例えば、各種有機物を対象とした有機物センサー、血液や汗、尿、便、涙、唾液、呼気などの生体試料中の有機物や体液を対象とした生体センサー、水分を対象にした水分センサー、果物や食品中の糖等を対象にした食品用センサー、IoTセンサー、大気や河川、土壌など環境中の有機物を対象にした環境センサー、動物や昆虫、植物を対象にした動植物センサー、細胞培養における培地成分等をモニタリングする細胞培養センサー等が挙げられる。生体センサーとしては、例えば、血液中の糖をセンシングする血糖値センサーや、尿中の糖をセンシングする尿糖値センサー、汗中の乳酸値をセンシングする疲労度センサーや熱中症センサー、汗や尿中の水分をセンシングする発汗センサーや排尿センサー等が挙げられる。また、生体向けのウェアラブルセンサーとしての用途として例えば、おむつ内にセンサーを仕込んだ排尿センサーや尿糖値センサー、経皮貼付型の発汗、熱中症センサー、穿刺型での間質液の糖センサー、等が挙げられる。
<酸化還元酵素>
本発明における酵素としては、反応により電子を授受できる酵素であれば特に制限はなく、検出対象に応じて適宜選択される。糖や有機酸などのオキシダーゼやデヒドロゲナーゼなどが利用できる。中でも、人体の血液や尿などの生体試料に含まれるグルコースを検出対象にできるグルコースオキシダーゼやグルコースデヒドロゲナーゼが好ましい場合がある。その他、フルクトースを検出対象にできるフルクトースオキシダーゼやフルクトースデヒドロゲナーゼ、乳酸を検出対象にできる乳酸オキシダーゼや乳酸デヒドロゲナーゼが好ましい場合がある。
<メディエーター>
酵素には電極に直接電子を伝達できる直接電子移動型(DET型)酵素と直接電子を伝達できない酵素が存在し、DET型以外の酵素の場合には、燃料の酸化によって生じた電子を酵素から電極に伝達する役割を担うメディエーターを併用する必要がある。メディエーターとしては、電極に電子を伝達できる酸化還元物質であれば特に制限はなく、従来公知のものを使用できる。メディエーターの使用方法としては、電極に担持させる方法や電解液に溶解させて使用する方法等がある。メディエーターとしては、テトラチアフルバレン、ハイドロキノンや1,4‐ナフトキノン等のキノン類などの非金属化合物、フェロセン、フェリシアン化物、オスミウム錯体、及びこれら化合物を修飾したポリマー等が例示できる。
以下に、実施例により本発明をさらに具体的に説明するが、以下の実施例は本発明の権利範囲を何ら制限するものではない。尚、特に断らない限り、実施例および比較例における「部」は「質量部」を、「%」は「質量%」を表す。
[実施例1]
<酵素センサー電極形成用組成物の作製>
イオン交換水500質量部に水性樹脂(CMCダイセル#1240(ダイセル化学工業社製))3質量部を溶解させ、黒鉛(天然黒鉛 J-CPB(日本黒鉛社製))70質量部と黒鉛以外の炭素材料(ファーネスブラックVULCAN(登録商標)XC72(CABOT社製))10質量部を添加しミキサーに入れて混合した。次いで、サンドミルにて分散を行った。
次に水分散性樹脂微粒子((メタ)アクリル系エマルション W-168(トーヨーケム社製 固形分50質量%))34質量部を添加し、適宜イオン交換水を加えてミキサーで混合し、酵素センサー電極形成用組成物を得た。
<酵素センサー用電極の作製>
前記の酵素センサー電極形成用組成物を非導電性基材である厚さ100μmのPET基材(ルミラー(東レ社製))上にドクターブレードを用いて塗布した後、加熱乾燥して導電層(1)を得た。その後、ロールプレス機によりプレス加工を行い、酵素センサー用電極(1)を得、膜厚を計測、導電層の密度を算出した。
実施例1と同様の方法によって、表1に示す実施例2~5および比較例1~2の酵素センサー用電極(2)~(9)を得た。
〇:密度1.4g/cm以上
△:密度1.4g/cm未満
<電極の密着性評価>
上記で作製した電極に、ナイフを用いて電極表面から基材に達する深さまでの切込みを2mm間隔で縦横それぞれ碁盤目の切り込みを入れた。この切り込みに粘着テープを貼り付けて直ちに引き剥がし、塗面の脱落の程度を目視でそれぞれ判定した。評価基準を下記に示す。結果を表1に示す。
○:「剥離ほぼなし」
△:「半分程度剥離」(実用上問題のないレベル)
×:「ほとんどの部分で剥離」
前記、酵素センサー用電極(1)~(9)を10×20mmに切り出し、下部2×2mm以外をテープでマスキング処理を行った。
<電気化学評価>
上記作製した酵素センサー用電極を作用極として、対極(白金コイル電極)、参照電極(銀/塩化銀電極)が取り付けられた電解槽に、電解液として0.1Mリン酸緩衝液(pH7.0)を入れ、0.3V(vsAg/AgCl)の電位を印加して500秒後の電流値を測定することでバックグラウンドを得た。表1に示すように、比較例における0.3Vでの電流値に対する、各実施例における同電流値の百分率(%)で比較した。酵素センサー用電極で測定されるバックグラウンドの電流値が小さい程、センシング対象物質を検出しやすいため感度が高いと言える。
〇:50%未満
△:50%以上100%未満
×:100%以上
Figure 2022172520000001
いずれの実施例においても、比較例よりノイズとなるバックグラウンド電流を低減できたため、本発明の電極は高感度な酵素センサーとして利用できる。また、比較例2のように膜厚が15μm以下でも密度1.4g/cm未満の電極は、密着性に劣るため酵素センサー用電極としての使用に適さない。
実施例5の酵素センサー用電極(5)について、マスキング処理を行っていない下部2×2mmの導電層に、メディエーターであるフェロセンのメタノール水溶液と、酵素であるグルコースオキシダーゼ水溶液をそれぞれ滴下、自然乾燥させてメディエーターと酵素を担持し、酵素センサー用酵素担持電極を得た。5mM、10mM、20mMのグルコースを含む各0.1Mりん酸緩衝液中で、それぞれ0.3V(vsAg/AgCl)の電位を印加して10秒後の電流値を測定したところ、グルコース濃度と電流値に相関が見られた。基質濃度による電流値変化が得られたため、センサーとして活用が可能である。また、実施例7の酵素センサー電極(7)について、同様に各グルコース濃度と電流値を確認したところ、実施例5と比較して電流値が2分の1以下となった。

Claims (4)

  1. 作用極および対極を有する酵素センサー用電極であって、作用極が炭素材料および水性樹脂を含み、かつ作用極の厚さが15μm以下、密度が1.4g/cm以上である酵素センサー用電極。
  2. 炭素材料が少なくとも黒鉛を含む請求項1記載の酵素センサー用電極。
  3. 作用極100質量%中、炭素材料を60質量%以上含む請求項1または2記載の酵素センサー用電極。
  4. 請求項1~3いずれか記載の酵素センサー用電極を用いた酵素センサー。

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Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
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WO2024106524A1 (ja) * 2022-11-18 2024-05-23 第一工業製薬株式会社 電気化学センサ用電極印刷用インキ組成物、並びにそれを用いた印刷電極及び電気化学センサ

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