JP2022112128A - 抗菌・抗ウィルス性繊維とその製造方法および繊維製品 - Google Patents

抗菌・抗ウィルス性繊維とその製造方法および繊維製品 Download PDF

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Abstract

【課題】金属粒子や金属の酸化物粒子(以下、金属粒子)の抗菌・抗ウィルス効果が十分に発揮される抗菌・抗ウィルス性繊維とその製造方法および繊維製品を提供すること。【解決手段】抗菌・抗ウィルス性の金属粒子301を含有する合成繊維302により構成される抗菌・抗ウィルス性繊維であって、合成繊維に含まれる金属粒子表面の一部が露出していることを特徴とする。抗菌・抗ウィルス性繊維の製造方法は、合成繊維を構成する高分子化合物と抗菌・抗ウィルス性の金属粒子を混錬して混錬物を調製する混錬工程と、細孔を備える口金から混錬物を溶融吐出させて繊維化する繊維化工程と、繊維化された合成繊維の表面に大気圧プラズマを照射し、合成繊維の表面に存在する金属粒子表面を覆う高分子化合物の被膜301aを除去して金属粒子表面の一部を露出させる大気圧プラズマ処理工程を有することを特徴とする。【選択図】図3

Description

本発明は、抗菌・抗ウィルス性の金属粒子または金属の酸化物粒子を含有する合成繊維により構成される抗菌・抗ウィルス性繊維に係り、特に、合成繊維表面若しくは近傍に存在する金属粒子または金属の酸化物粒子表面の一部が露出している抗菌・抗ウィルス性繊維とその製造方法および繊維製品に関するものである。
銅、銀、ニッケル、亜鉛には、抗菌・抗ウィルス効果を有することが古くから知られている。その中でも、銅や銀の抗菌・抗ウィルス効果は極めて高く、流しの三角コーナーや洗面器、ドアノブ等生活用品にも採用されている。抗菌・抗ウィルス効果は、金属と周囲の水分が反応して生成される活性酸素若しくは水分へ溶け出した微量の金属イオンが細菌の増殖を抑制し、ウィルスを不活性化させるため、あるいは、金属固体表面の接触によるためと考えられている。
特に、銅を含む化合物の抗菌・抗ウィルス効果は金属固体表面との接触によることが実証され、米国環境保護庁(Environmental Protection Agency:EPC)が銅の抗菌効果を2008年に認可し、銅の抗菌・抗ウィルス効果は一層注目されている。
そして、現在においては、伸銅品をプレス加工した物品以外に、物品の表面に銅をコーティングし若しくは銅箔を張る方法、銅粒子を繊維やフィルムに含有させる方法、あるいは、銅粒子を紙や布に印刷する方法等その用途は多岐に亘っている。
これ等用途の中で、抗菌・抗ウィルス効果のある金属粒子や金属の酸化物粒子を繊維に含有させる方法は、得られた繊維を更に多くの用途(糸、生地等の繊維製品)に加工できるため特に有用である。特許文献1には、塩化ビニデリン系樹脂の中に亜酸化銅粉末を配合し、熔融紡糸した抗菌性塩化ビニデリン系繊維に係る技術が開示されている。
特開平4-281010号公報(請求項1参照)
ところで、金属粒子や金属の酸化物粒子が含まれる樹脂を繊維化して特許文献1に記載の抗菌・抗ウィルス性繊維にした場合、繊維表面若しくは近傍に上記金属粒子や金属の酸化物粒子が存在しても、これ等粒子の表面は、合成繊維を構成する高分子化合物の被膜に覆われていることがある。このため、上記被膜により金属粒子や金属の酸化物粒子の抗菌・抗ウィルス効果が抑制されてしまうことがあった。
本発明はこのような問題点に着目してなされたものであり、その課題とするところは、金属粒子や金属の酸化物粒子の抗菌・抗ウィルス効果が十分に発揮される抗菌・抗ウィルス性繊維とその製造方法および繊維製品を提供することにある。
そこで、上記課題を解決するため、本発明者が、繊維化された合成繊維の表面に大気圧プラズマを照射してその効果を確認したところ、繊維表面若しくは近傍に存在する金属粒子や金属の酸化物粒子の表面を覆っている合成繊維の樹脂成分が均一に除去され、金属粒子や金属の酸化物粒子の抗菌・抗ウィルス効果が十分に発揮されることを見出すに至った。本発明はこのような技術的発見により完成されたものである。
すなわち、本発明に係る第1の発明は、
抗菌・抗ウィルス性の金属粒子または金属の酸化物粒子を含有する合成繊維により構成される抗菌・抗ウィルス性繊維であって、
上記合成繊維の表面若しくは近傍において、該合成繊維に含まれる一部の金属粒子または金属の酸化物粒子表面の一部が露出していることを特徴とする。
また、本発明に係る第2の発明は、
第1の発明に記載の抗菌・抗ウィルス性繊維において、
上記合成繊維の太さが1μm~50μm、上記金属粒子または金属の酸化物粒子における粒度分布のメジアン値が合成繊維の太さの1/3以下であることを特徴とし、
第3の発明は、
第1の発明または第2の発明に記載の抗菌・抗ウィルス性繊維において、
上記合成繊維が、脂肪族ポリアミド系繊維、ポリエステル系繊維、アクリル系繊維、ポリウレタン系繊維、芳香族ポリアミド系繊維、ポリビニルアルコール系繊維、ポリ塩化ビニリデン系繊維、ポリ塩化ビニル系繊維、ポリオレフィン系繊維、ポリクラール系繊維、ポリ乳酸繊維のいずれかで構成されることを特徴とし、
第4の発明は、
第1の発明~第3の発明のいずれかに記載の抗菌・抗ウィルス性繊維において、
抗菌・抗ウィルス性の上記金属粒子が、銅粒子、銀粒子、ニッケル粒子、亜鉛粒子のいずれかで構成されることを特徴とし、
第5の発明は、
第1の発明~第3の発明のいずれかに記載の抗菌・抗ウィルス性繊維において、
抗菌・抗ウィルス性の上記金属の酸化物粒子が、亜酸化銅粒子で構成されることを特徴とし、
また、第6の発明は、
繊維製品において、
第1の発明~第5の発明のいずれかに記載の抗菌・抗ウィルス性繊維が加工されて成ることを特徴とする。
次に、第7の発明は、
抗菌・抗ウィルス性の金属粒子または金属の酸化物粒子を含有する合成繊維により構成される抗菌・抗ウィルス性繊維の製造方法において、
合成繊維を構成する高分子化合物と抗菌・抗ウィルス性の金属粒子または金属の酸化物粒子を混錬して混錬物を調製する混錬工程と、
細孔を備える口金から上記混錬物を溶融吐出させて繊維化する繊維化工程と、
繊維化された合成繊維の表面に大気圧プラズマを照射し、合成繊維の表面若しくは近傍に存在する金属粒子または金属の酸化物粒子表面を覆う上記高分子化合物を除去して上記金属粒子または金属の酸化物粒子表面の一部を露出させる大気圧プラズマ処理工程、
を有することを特徴とし、
第8の発明は、
第7の発明に記載の抗菌・抗ウィルス性繊維の製造方法において、
上記大気圧プラズマ処理工程で用いるプロセスガスが窒素、アルゴンガス、ヘリウムのいずれかを主成分とし、酸素、窒素、水素、水、アンモニアから選択される1種類以上を活性種として上記プロセスガスに添加することを特徴とし、
第9の発明は、
第7の発明または第8の発明に記載の抗菌・抗ウィルス性繊維の製造方法において、
上記大気圧プラズマ処理工程において、リモート型の大気圧プラズマ発生装置を用いて活性化された活性種を上記合成繊維の表面に照射することを特徴とし、
第10の発明は、
第7の発明~第9の発明のいずれかに記載の抗菌・抗ウィルス性繊維の製造方法において、
上記混錬工程で用いる抗菌・抗ウィルス性の金属粒子が、銅粒子、銀粒子、ニッケル粒子、亜鉛粒子のいずれかで構成されることを特徴とし、
第11の発明は、
第7の発明~第10の発明のいずれかに記載の抗菌・抗ウィルス性繊維の製造方法において、
上記混錬工程で用いる高分子化合物がナイロンで構成されかつ抗菌・抗ウィルス性の金属粒子が銅粒子で構成されると共に、上記大気圧プラズマ処理工程で用いるプロセスガスがアルゴンガスで、かつ、酸素10%と水素4%の混合ガスを上記プロセスガスに添加し、リモート型大気圧プラズマ発生装置の第一大気圧プラズマヘッドと第二大気圧プラズマヘッドに高周波電源から100Wの電力を印加して、速度30m/分で搬送される合成繊維に対し大気圧プラズマを照射することを特徴とし、
また、第12の発明は、
第7の発明~第9の発明のいずれかに記載の抗菌・抗ウィルス性繊維の製造方法において、
上記混錬工程で用いる抗菌・抗ウィルス性の金属の酸化物粒子が、亜酸化銅粒子で構成されることを特徴とするものである。
本発明に係る抗菌・抗ウィルス性繊維によれば、
合成繊維の表面若しくは近傍において、合成繊維に含まれる一部の金属粒子または金属の酸化物粒子表面の一部が露出しているため、該金属粒子や金属の酸化物粒子の抗菌・抗ウィルス効果を十分に発揮させることが可能となる。
また、本発明に係る抗菌・抗ウィルス性繊維の製造方法によれば、
大気圧プラズマ処理工程において、繊維化された合成繊維の表面に大気圧プラズマを照射して合成繊維の表面若しくは近傍に存在する金属粒子または金属の酸化物粒子表面を覆う高分子化合物を除去するため、金属粒子や金属の酸化物粒子の抗菌・抗ウィルス効果が十分に発揮される抗菌・抗ウィルス性繊維を製造することが可能となる。
抗菌・抗ウィルス性繊維を製造する第一実施形態に係る装置の説明図。 抗菌・抗ウィルス性繊維を製造する第二実施形態に係る装置の説明図。 抗菌・抗ウィルス性繊維の製造方法に係る大気圧プラズマ処理工程の説明図で、図3(A)は繊維化された合成繊維の断面説明図、図3(B)は大気圧プラズマ処理後における合成繊維の断面説明図。
以下、本発明の実施形態について図面を参照して詳細に説明する。
[抗菌・抗ウィルス性繊維]
(1)抗菌・抗ウィルス性繊維
抗菌・抗ウィルス性の金属粒子または金属の酸化物粒子を含有する合成繊維により構成される本発明の抗菌・抗ウィルス性繊維は、
合成繊維の表面若しくは近傍において、該合成繊維に含まれる一部の金属粒子または金属の酸化物粒子表面の一部が合成繊維を構成する高分子化合物の被膜で覆われることなく露出していることを特徴とする。
金属粒子や金属の酸化物粒子による抗菌・抗ウィルス効果は、上述したように、金属と周囲の水分が反応して生成される活性酸素若しくは水分へ溶け出した微量の金属イオンが、細菌の増殖を抑制し、ウィルスを不活性化させるため、あるいは、金属固体表面の接触によるためと考えられている。
しかし、金属粒子や金属の酸化物粒子を含有する合成繊維において、金属粒子や金属の酸化物粒子が該合成繊維の表面若しくは近傍に存在していても、これ等粒子の表面が合成繊維を構成する高分子化合物の被膜で覆われていれば、金属粒子から金属イオンが溶け出し難く、抗菌・抗ウィルス作用が発現され難くなる。
そこで、本発明においては、繊維化された合成繊維の表面に大気圧プラズマを照射して繊維表面若しくは近傍に存在する金属粒子や金属の酸化物粒子の表面を覆っている合成繊維の樹脂成分(合成繊維を構成する高分子化合物の被膜)を除去し、金属粒子や金属の酸化物粒子の抗菌・抗ウィルス効果が十分に発揮されるようにしたことを特徴とする。
すなわち、表面の一部が大気に露出された金属粒子や金属の酸化物粒子は、微量の金属イオンを発生して、抗菌・抗ウィルス効果を十分に発揮することが可能となる。
上述した抗菌・抗ウィルス作用に係るいずれのメカニズムにおいても、抗菌・抗ウィルス効果を有効に発揮するには、金属表面が大気に暴露されている方が望ましいことは明らかである。
(2)金属粒子、金属の酸化物粒子、および、合成繊維
(2-1)適用される金属粒子としては、銅粒子、銀粒子、ニッケル粒子、亜鉛粒子のいずれかで構成されることが好ましい。これ等の金属粒子は、抗菌・抗ウィルス作用を有し、かつ、安価に入手が可能である。これ等金属の箔や板、メッキ膜は抗菌・抗ウィルス作用を有している。また、適用される金属の酸化物粒子としては、亜酸化銅粒子で構成されることが望ましい。
例えば、金属粒子として銅粒子が適用された場合、銅が銅イオンとなり、細菌の増殖を抑制し、ウィルスを不活性化させる。また、金属の酸化物粒子として亜酸化銅粒子が適用された場合、亜酸化銅(Cu2O)と酸化第二銅(CuO)の不均化反応により、細菌の増殖を抑制し、ウィルスを不活性化させる。
(2-2)次に、適用される合成繊維としては、特に限定されないが、例えば、脂肪族ポリアミド系繊維(ナイロン、ナイロン6、ナイロン66、ナイロン11、ナイロン610、ナイロン612等)、ポリエステル系繊維(ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリトリメチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート等)、アクリル系繊維(ポリアクリロニトリル、アクリロニトリル-塩化ビニル共重合体、モダクリル等)、ポリウレタン系繊維、芳香族ポリアミド系繊維(芳香族ナイロン、アラミド等)、ポリビニルアルコール系繊維(ビニロン等)、ポリ塩化ビニリデン系繊維(ビニリデン等)、ポリ塩化ビニル系繊維(ポリ塩化ビニル等)、ポリオレフィン系繊維(ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン等)、ポリクラール系繊維、ポリ乳酸繊維等が挙げられる。
(2-3)上記合成繊維の太さは1~50μmであることが望ましく、1~20μmがより望ましく、1~10μmが更に望ましい。合成繊維の太さは、複数の合成繊維を撚り合わせ、束ねて(すなわち加工して)得られる糸(繊維製品)の柔軟性に影響し、最終的には糸を織って(すなわち加工して)得られる生地(繊維製品)の柔軟性に影響するため、合成繊維の太さが50μmを超えると、得られる糸や生地が硬くなることがある。また、本発明に係る抗菌・抗ウィルス性繊維は、抗菌・抗ウィルス性の金属粒子または金属の酸化物粒子を含有する合成繊維により構成されるため、合成繊維の太さは1μm以上必要である。金属粒子等の粒子径や繊維の強度を考慮するためである。
(2-4)一方、上記金属粒子や金属の酸化物粒子における粒度分布のメジアン値は、上記合成繊維の太さの1/3以下であることが望ましく、より望ましくは、合成繊維の太さの1/3以下でかつ0.05μm以上10μm以下である。上記粒度分布のメジアン値が、合成繊維の太さの1/3または10μmの一方を超える金属粒子や金属の酸化物粒子が適用されると、合成繊維の断面積に対する金属粒子や金属の酸化物粒子の占める面積が大きくなるため、合成繊維を構成する高分子化合物の占める面積が小さくなり、結果的に、抗菌・抗ウィルス性繊維の強度が低下して切断し易くなる場合がある。また、上記粒度分布のメジアン値が0.05μm未満の金属粒子や金属の酸化物粒子も存在するが、これ等粒子の取り扱いを考慮した場合、粒度分布のメジアン値が0.05μm以上の金属粒子や金属の酸化物粒子の適用が望ましい。すなわち、入手のし易さ、取り扱い易さから金属粒子や金属の酸化物粒子における粒度分布のメジアン値が設定され、当該粒度分布のメジアン値に基づき上記合成繊維の太さが決定される。また、上記金属粒子や金属の酸化物粒子における粒度分布は、レーザー回折を利用した粒度分布計により測定することができる。
(2-5)次に、上記金属粒子や金属の酸化物粒子における粒子形状は合成繊維の強度を考慮して略球状が望ましく、使用される金属粒子や金属の酸化物粒子における製造法は特に限定されず、気相中で合成される金属粒子や金属の酸化物粒子、および、溶媒中で単分散により合成される金属粒子や金属の酸化物粒子が適宜選択される。
また、抗菌・抗ウィルス性繊維における金属粒子や金属の酸化物粒子の含有率については、合成繊維に0.1質量%~20質量%含まれることが望ましく、0.1質量%~15質量%がより望ましく、0.1質量%~10質量%が更に望ましい。上記含有率が0.1質量%未満である場合、金属粒子や金属の酸化物粒子の抗菌・抗ウィルス作用を発現し難いことがあり、20質量%を超えた場合、合成繊維の色合いにこれ等粒子の色が付き、合成繊維の着色自由度を損なうことがある。また、20質量%を超えてこれ等粒子を含有させた場合、合成繊維を構成する高分子化合物が少なくなり、抗菌・抗ウィルス性繊維の強度を低下させることもある。
(2-6)次に、上記合成繊維の断面形状については特に限定されないが、例えば、円形、三角形、中空状、偏平状、Y型、星型、芯鞘型等が挙げられる。金属粒子や金属の酸化物粒子における合成繊維の表面および/または内部の含有は、合成繊維における種々の断面形状で可能であり、例えば、芯鞘型の場合、金属粒子や金属の酸化物粒子を合成繊維の芯部に含有しても、鞘部に含有してもよい。また、合成繊維の形状については、フィラメント(長繊維)であっても、ステープル(短繊維)であってもよい。
[抗菌・抗ウィルス性繊維の製造方法]
(1)抗菌・抗ウィルス性の金属粒子または金属の酸化物粒子を含有する合成繊維により構成される本発明に係る抗菌・抗ウィルス性繊維の製造方法は、
合成繊維を構成する高分子化合物と抗菌・抗ウィルス性の金属粒子または金属の酸化物粒子を混錬して混錬物を調製する混錬工程と、
細孔を備える口金から上記混錬物を溶融吐出させて繊維化する繊維化工程と、
繊維化された合成繊維の表面に大気圧プラズマを照射し、合成繊維の表面若しくは近傍に存在する金属粒子または金属の酸化物粒子表面を覆う上記高分子化合物を除去して上記金属粒子または金属の酸化物粒子表面の一部を露出させる大気圧プラズマ処理工程、
を有することを特徴とする。
(2)混錬工程
(2-1)上記混錬物を得るには、合成繊維を構成する高分子化合物(原料ポリマー)へ抗菌・抗ウィルス性の金属粒子または金属の酸化物粒子を、直接、溶融混錬して混錬物を得る方法、あるいは、上記原料ポリマー(合成繊維を構成する高分子化合物)の一部に予め金属粒子または金属の酸化物粒子が高濃度に含まれたマスターバッチを製造しておき、該マスターバッチと原料ポリマーのペレットを加熱し、溶融混合して混錬物を得る方法等が例示されるが、以下、マスターバッチを用いて混錬物を得る方法について説明する。
(2-2)マスターバッチを得るには、金属粒子または金属の酸化物粒子が、アルコール系、ケトン系、炭化水素系、グリコール系、エーテル系、エステル系、水系等の溶剤に分散された粒子分散液を調製し、該粒子分散液と、合成繊維を構成する高分子化合物(原料ポリマー)のペレットとを溶融混合すればよい。
上記粒子分散液を得るには、金属粒子または金属の酸化物粒子と上記溶剤を、公知のビーズ、ボール、オタワサンドといった媒体メディアを用い、ビーズミル、ボールミル、サンドミル、ペイントシェーカー等の媒体攪拌ミルで上記粒子を粉砕、分散させることで得ることができる。
更に、粒子分散液には、アミンを含有する基、水酸基、カルボキシル基、または、エポキシ基を官能基として有し、金属粒子または金属の酸化物粒子の分散安定性を向上させる分散剤を併用してもよい。
市販の分散剤における好ましい具体例としては、
日本ルーブリゾール(株)製 SOLSPERSE3000、SOLSPERSE9000、SOLSPERSE11200、SOLSPERSE13000、SOLSPERSE13240、SOLSPERSE13650、SOLSPERSE13940、SOLSPERSE16000、SOLSPERSE17000、SOLSPERSE18000、SOLSPERSE20000、SOLSPERSE21000、SOLSPERSE24000SC、SOLSPERSE24000GR、SOLSPERSE26000、SOLSPERSE27000、SOLSPERSE28000、SOLSPERSE31845、SOLSPERSE32000、SOLSPERSE32500、SOLSPERSE32550、SOLSPERSE32600、SOLSPERSE33000、SOLSPERSE33500、SOLSPERSE34750、SOLSPERSE35100、SOLSPERSE35200、SOLSPERSE36600、SOLSPERSE37500、SOLSPERSE38500、SOLSPERSE39000、SOLSPERSE41000、SOLSPERSE41090、SOLSPERSE53095、SOLSPERSE55000、SOLSPERSE56000、SOLSPERSE76500等;
ビックケミー・ジャパン(株)製 Disperbyk-101、Disperbyk-103、Disperbyk-107、Disperbyk-108、Disperbyk-109、Disperbyk-110、Disperbyk-111、Disperbyk-112、Disperbyk-116、Disperbyk-130、Disperbyk-140、Disperbyk-142、Disperbyk-145、Disperbyk-154、Disperbyk-161、Disperbyk-162、Disperbyk-163、Disperbyk-164、Disperbyk-165、Disperbyk-166、Disperbyk-167、Disperbyk-168、Disperbyk-170、Disperbyk-171、Disperbyk-174、Disperbyk-180、Disperbyk-181、Disperbyk-182、Disperbyk-183、Disperbyk-184、Disperbyk-185、Disperbyk-190、Disperbyk-2000、Disperbyk-2001、Disperbyk-2020、Disperbyk-2025、Disperbyk-2050、Disperbyk-2070、Disperbyk-2095、Disperbyk-2150、Disperbyk-2155、Anti-Terra-U、Anti-Terra-203、Anti-Terra-204、BYK-P104、BYK-P104S、BYK-220S、BYK-6919等;
BASFジャパン(株)社製 EFKA4008、EFKA4046、EFKA4047、EFKA4015、EFKA4020、EFKA4050、EFKA4055、EFKA4060、EFKA4080、EFKA4300、EFKA4330、EFKA4400、EFKA4401、EFKA4402、EFKA4403、EFKA4500、EFKA4510、EFKA4530、EFKA4550、EFKA4560、EFKA4585、EFKA4800、EFKA5220、EFKA6230、JONCRYL67、JONCRYL678、JONCRYL586、JONCRYL611、JONCRYL680、JONCRYL682、JONCRYL690、JONCRYL819、JONCRYL-JDX5050等;
味の素ファインテクノ(株)製 アジスパーPB-711、アジスパーPB-821、アジスパーPB-822等が挙げられる。
(2-3)上記マスターバッチの製造方法については、特に限定されないが、例えば、上述した粒子分散液と高分子化合物のペレット、および、必要に応じて他の添加剤を、リボブレンダー、タンブラー、ナウターミキサー、ヘンシェルミキサー、スーパーミキサー、プラネタリーミキサー等の混合機、および、バンバリーミキサー、ニーダー、ロール、ニーダールーダー、一軸押出機、二軸押出機等の混練機を使用して上記溶剤を除去しながら均一に溶融混合する方法が挙げられる。更に、上記分散剤が含まれる粒子分散液の溶剤をスプレードライヤー等公知の乾燥方法により除去し、得られた粒子分散粉と高分子化合物のペレットを上記混合機で溶融混合して製造してもよい。
そして、金属粒子または金属の酸化物粒子が高濃度に含まれたマスターバッチと合成繊維を構成する高分子化合物(原料ポリマー)のペレットを加熱し、溶融混合して上記混錬物が得られる。
(3)繊維化工程と大気圧プラズマ処理工程
(3-1)上記混錬物を口金から溶融吐出させて繊維化する「繊維化工程」、および、繊維化された合成繊維の表面に大気圧プラズマを照射し、金属粒子表面を露出させる「大気圧プラズマ処理工程」を経て抗菌・抗ウィルス性繊維を製造する本発明の第一実施形態に係る装置として、図1に示す製造装置が挙げられる。
すなわち、この製造装置は、抗菌・抗ウィルス性の金属粒子または金属の酸化物粒子と合成繊維を構成する高分子化合物(原料ポリマー)を含んだ溶液若しくは融液100が収容され、かつ、底面側に複数の細孔を備えた口金(図示せず)が組み込まれている繊維原料容器101と、延伸工程等を経て繊維化された複数本の合成繊維102を巻き取る巻取コア107と、巻取コア107に巻き取られる前の合成繊維102表面に対して大気圧プラズマを照射する第一大気圧プラズマヘッド108および第二大気圧プラズマヘッド109と、上記繊維原料容器101と巻取コア107の間に設けられたガイドロール103、104、106と、張力センサロール105とでその主要部が構成されている。
上記第一大気圧プラズマヘッド108と第二大気圧プラズマヘッド109は、繊維化された合成繊維102のほぼ全面にプラズマが照射されるように対向して配置され、かつ、第一大気圧プラズマヘッド108と第二大気圧プラズマヘッド109の間隔は外乱を避けるために2~10mm程度に設定されている。
尚、図1中、モータで駆動するロールにM(モータ)、張力センサロールにTP(テンションピックアップ)、フリーロールにF(フリー)の記号が付されており、張力センサロール105で測定した張力が巻取コア107のモータトルクにフィードバックされて合成繊維102の繊維張力が制御されている。
(3-2)抗菌・抗ウィルス性繊維を製造する本発明の第二実施形態に係る装置として、図2に示す製造装置が挙げられる。
すなわち、図2に示す製造装置においては、抗菌・抗ウィルス性の金属粒子または金属の酸化物粒子と合成繊維を構成する高分子化合物(原料ポリマー)を含んだ溶液若しくは融液200が収容された繊維原料容器201の口金(図示せず)から溶融吐出され、その後、延伸工程等を経て繊維化された合成繊維202が、ガイドロール203、張力センサロール204、水冷駆動ロール205、206、張力センサロール207、ガイドロール208を経て巻取コア209に巻き取られる。第一大気圧プラズマヘッド210と第二大気圧プラズマヘッド211のプラズマ照射により繊維は温度上昇してしまうので、図2に示す製造装置では水冷駆動ロール205、206上でプラズマを照射している。第一大気圧プラズマヘッド210および第二大気圧プラズマヘッド211と水冷駆動ロール205および水冷駆動ロール206との間隔は、外乱を防ぐため1~5mmと狭い方が好ましい。水冷駆動ロール205および水冷駆動ロール206上の繊維張力は、張力センサロール204、207で測定された張力を水冷駆動ロール205、206にフィードバック制御してなされる。また、ガイドロール203とガイドロール208との間の張力と繊維の巻取りは、張力センサロール207で測定された張力を巻取コア209のモータトルクにフィードバック制御してなされる。
図2の製造装置においては、抗菌・抗ウィルス性の金属粒子または金属の酸化物粒子が含まれる合成繊維に対し、上述したように水冷駆動ロール205、206上で大気圧プラズマを照射するため、フローティング状態(空中で)の合成繊維に対し大気圧プラズマを照射している図1の製造装置に較べて冷却効果が高く、合成繊維にダメージを与え難い利点を有する。
尚、図2中、モータで駆動するロールにM(モータ)、張力センサロールにTP(テンションピックアップ)、フリーロールにF(フリー)の記号が付されている。
(3-3)大気圧プラズマ装置
図1および図2の製造装置に組み込まれる大気圧プラズマ装置は、真空設備を必要とせずにプラズマを照射できる装置であり、表面改質や表面汚染物除去、表面を粗化する等の目的で広く使用されている。真空プラズマ装置と同様、電源のタイプは中周波(MHz)、高周波(MHz)、マイクロ波(GHz)があり、周波数が高いほど表面の荒れが少なく均一な効果が期待できるとされている。プラズマガスの主成分(プロセスガス)には窒素、アルゴン、ヘリウム等が用いられ、目的に応じて微量の添加ガス(活性種)が混合される。プロセスガスは設備サイズによるガスコストを加味し決定されることが殆どである。
また、添加ガス(活性種)によって有機物の分解除去効果が異なるため、活性種として酸素、窒素、水素、水、アンモニアから選択される1種類以上を上記プロセスガスに添加することが好ましい。活性種として水素を添加した場合、金属の酸化物粒子における表面の還元効果が期待される。すなわち、金属の酸化物粒子として、酸化銅(CuO)粒子と亜酸化銅(Cu2O)粒子を比較した場合、二価の酸化銅(CuO)より一価の亜酸化銅(Cu2O)の方が抗菌・抗ウィルス効果に優れていることが知られている。このため、長期間大気に放置されて亜酸化銅(Cu2O)から酸化銅(CuO)に酸化された金属の酸化物粒子に対し、活性種として水素が添加された大気圧プラズマ処理を行うことで粒子の一部を亜酸化銅(Cu2O)の状態に戻すことが可能となる。
また、大気圧プラズマ装置には、大きく分けて「ダイレクトタイプ」と「リモートタイプ」がある。「ダイレクトタイプ」では大気圧プラズマを照射する対象物がアースとなるのに対し、「リモートタイプ」では大気圧プラズマ装置の内部にアースがあり、プラズマのみが対象物に照射される。大気圧プラズマを照射する対象物表面が均一な導電体あるいは絶縁体でなく導電体と絶縁体が混在する場合、プラズマが不安定になり、雷のようなアークが対象物に向かって発生し、特に、アークは導電体に向かって発生するため対象物にダメージを与えてしまうことがある。大気圧プラズマ装置の内部にアースを有する上記「リモートタイプ」ではアークが発生し難いため、極めて好ましい。
(3-4)図3は抗菌・抗ウィルス性繊維の製造方法に係る大気圧プラズマ処理工程の説明図で、図3(A)は繊維化された合成繊維(乾燥後)の断面説明図、図3(B)は大気圧プラズマ処理後における合成繊維の断面説明図である。
繊維化された合成繊維(乾燥後)302の表面若しくは近傍に金属粒子または金属の酸化物粒子301が存在していても、大気圧プラズマ処理前の金属粒子または金属の酸化物粒子301表面は、図3(A)に示すように合成繊維302を構成する高分子化合物の被膜301aで覆われているため、金属粒子または金属の酸化物粒子301から抗菌・抗ウィルス性の金属イオンが溶け出し難くなっている。
しかし、大気圧プラズマ処理後における金属粒子または金属の酸化物粒子301表面は、図3(B)に示すように高分子化合物の上記被膜301aが除去されて露出しているため、金属粒子や金属の酸化物粒子301の抗菌・抗ウィルス効果が十分に発揮される抗菌・抗ウィルス性繊維を製造することが可能となる。
ところで、大気圧プラズマを照射して金属粒子や金属の酸化物粒子表面を処理すると、プロセスガスに含ませた上記活性種のガスにより粒子表面が改質され、金属粒子や金属の酸化物粒子の活性が改善されることがある。例えば、金属粒子として銅粒子が適用された場合、銅は大気中に放置すると酸化銅(CuO)に酸化されるが、上述したように二価の酸化銅(CuO)より一価の亜酸化銅(Cu2O)の方が抗菌・抗ウィルス効果に優れている。このため、プロセスガスに活性種が含まれる大気圧プラズマを照射することにより、二価の酸化銅(CuO)を抗菌・抗ウィルス効果に優れた一価の亜酸化銅(Cu2O)に改質することが可能となる。
以下、本発明の実施例について具体的に説明する。
[抗菌・抗ウィルス性繊維の製造]
本実施例では、抗菌・抗ウィルス性の金属粒子として、粒度分布におけるメジアン値が0.5μmの銅粉末[住友金属鉱山株式会社製UCP-030]を用い、合成繊維を構成する高分子化合物(原料ポリマー)として、最も一般的なポリエチレンテレフタレートを用いた。
(混練工程)
銅粉末10重量部と、トルエン80重量部と、アミンを含有する基を官能基として有するアクリル系高分子分散剤(アミン価48mgKOH/g、分解温度250℃のアクリル系分散剤)10重量部を混合し、3kgのスラリーを調製した。
このスラリーをビーズと共に媒体攪拌ミルに投入し、0.5時間の分散処理を行い、銅粉末分散液を調製した後、スプレードライヤーを用いて上記銅粉末分散液からトルエンを除去し、銅粉末とアクリル系高分子分散剤が混合された粉末状の銅分散粉を得た。
次いで、得られた銅分散粉をポリエチレンテレフタレート樹脂ペレットに添加し、ブレンダーで溶融混合して銅粉末を50重量%含有するポリエチレンテレフタレートのマスターバッチを製造した。
そして、得られたマスターバッチとポリエチレンテレフタレート樹脂ペレットの配合割合を調整しながら図1に示す製造装置の繊維原料容器101に投入し、かつ、ブレンダーで溶融混合して表1の「銅粒子含有量(重量%)」欄に記載された3種類の混錬物[銅粒子含有量が0重量%、10重量%、20重量%]をそれぞれ調製した。
(繊維化工程)
次いで、底面側に複数の細孔を備えた口金(図示せず)が組み込まれた上記繊維原料容器101の口金から上記混錬物を溶融吐出させて繊維化し、銅粒子含有量が0重量%のポリエチレンテレフタレート繊維、銅粒子含有量が10重量%のポリエチレンテレフタレート繊維、および、銅粒子含有量が20重量%のポリエチレンテレフタレート繊維をそれぞれ製造した。
尚、ポリエチレンテレフタレート繊維の直径は、銅粒子の粒度分布におけるメジアン値の約20倍である10μmとした。
(大気圧プラズマ処理工程)
次いで、上記銅粒子含有量が0重量%のポリエチレンテレフタレート繊維、銅粒子含有量が10重量%のポリエチレンテレフタレート繊維、および、銅粒子含有量が20重量%のポリエチレンテレフタレート繊維について、対峙する間隔が6mmに設定された図1の第一大気圧プラズマヘッド108と第二大気圧プラズマヘッド109の中央を通過させて大気圧プラズマ処理を行った。
尚、プロセスガスにはアルゴンを用い、表1の「水素添加有/無」欄に記載された混合ガス(「水素添加有」は酸素10%と水素4%の混合ガス、「水素添加無」は酸素のみ)を上記プロセスガスに添加し、リモート型大気圧プラズマ発生装置の第一大気圧プラズマヘッドと第二大気圧プラズマヘッド(各ヘッド幅は100mm)に高周波電源(13.5MHz)から表1の「プラズマ電力(W)」欄に記載された電力(0W、50W、100W)を印加し、表1の「搬送速度(m/分)」欄に記載された速度(30m/分、60m/分)で搬送されるポリエチレンテレフタレート繊維に対して大気圧プラズマをそれぞれ照射した。また、大気圧プラズマの連続照射による熱負荷で各ポリエチレンテレフタレート繊維がダメージを受けないようにするため、繊維搬送停止中は高周波電源の高周波をオフにし、繊維搬送中のみ高周波電源の高周波をオンにしている。
[抗菌・抗ウィルス性繊維の評価]
(評価サンプル)
表1に記載された条件で製造された各ポリエチレンテレフタレート繊維を切断してポリエステルステープルを作製し、これを用いて紡績糸を製造し、かつ、この紡績糸を用いて試料番号1~30のニット製品(生地)を得た。
(評価)
表1に示す試料番号1~30のニット製品(生地)に対し、抗菌・抗ウィルス性の評価を行った。
(1)抗菌性の評価
抗菌性の評価は、JISZ 1902の菌液吸収法に基づいて行い、
抗菌活性値が2.0未満を×、
抗菌活性値が2.0以上3.0未満を△
抗菌活性値が3.0以上を〇とした。
また、JIS Z 1902に記載の無加工試験片は、JISL 0803に規定する綿100%の白布とした。
(2)抗ウィルス性の評価
抗ウィルス性の評価は、ISO18184に基づくプラーク測定法により行い、
抗ウィルス活性値が2.0未満を×、
抗ウィルス活性値が2.0以上3.0未満を△、
抗ウィルス活性値が3.0以上を〇とした。
(評価結果)
表1に評価結果を示す。
Figure 2022112128000002
(1)評価〇の試料番号23[プラズマ電力100(W)、搬送速度30(m/分)、水素添加有、銅粒子含有量10(重量%)]と、試料番号24[プラズマ電力100(W)、搬送速度30(m/分)、水素添加有、銅粒子含有量20(重量%)]の評価結果から、プラズマ電力が高く(100W)、搬送速度が遅く(30m/分)、かつ、プラズマガスに水素が添加される(水素添加有)条件であると、抗菌・抗ウィルス効果が確認された。
(2)他方、「水素添加無」の条件を除き試料番号23、24と同一の条件である試料番号20[プラズマ電力100(W)、搬送速度30(m/分)、水素添加無、銅粒子含有量10(重量%)]と、試料番号21[プラズマ電力100(W)、搬送速度30(m/分)、水素添加無、銅粒子含有量20(重量%)]では評価が×である。
(3)試料番号23、24と試料番号20、21の比較から、大気圧プラズマが強力[プラズマ電力100(W)]であると繊維表面近傍の銅粒子表面を覆っている樹脂被膜は除去されるが、添加ガスの酸素により銅粒子表面が酸化され、抗菌・抗ウィルス効果が低下していると推測される。
(4)尚、活性種としてプロセスガス(アルゴンガス)に添加される酸素と水素の混合ガス(表1の「水素添加有」は酸素10%と水素4%の混合ガス)については、銅粒子の表面を覆っている樹脂の種類や被膜の厚さ、更には大気圧プラズマの照射条件等によって影響を受けることが考えられるため、混合ガスの酸素と水素の割合は、得られる合成繊維の抗菌・抗ウィルス効果を確認して適宜設定すべきと考えられる。
本発明に係る抗菌・抗ウィルス性繊維によれば、合成繊維に含まれる一部の金属粒子または金属の酸化物粒子表面の一部が露出しているためこれ等粒子の抗菌・抗ウィルス効果を十分に発揮させることが可能となる。このため、上記抗菌・抗ウィルス性繊維を加工して得られる繊維製品は医療分野等で利用される産業上の可能性を有している。
100 繊維原料となる溶液若しくは融液
101 繊維原料容器
102 合成繊維
103、104、106 ガイドロール
105 張力センサロール
107 巻取コア
108 第一大気圧プラズマヘッド
109 第二大気圧プラズマヘッド
200 繊維原料となる溶液若しくは融液
201 繊維原料容器
203、208 ガイドロール
204、207 張力センサロール
205、206 水冷駆動ロール
209 巻取コア
210 第一大気圧プラズマヘッド
211 第二大気圧プラズマヘッド
301 金属粒子または金属の酸化物粒子
301a 高分子化合物の被膜
302 合成繊維

Claims (12)

  1. 抗菌・抗ウィルス性の金属粒子または金属の酸化物粒子を含有する合成繊維により構成される抗菌・抗ウィルス性繊維であって、
    上記合成繊維の表面若しくは近傍において、該合成繊維に含まれる一部の金属粒子または金属の酸化物粒子表面の一部が露出していることを特徴とする抗菌・抗ウィルス性繊維。
  2. 上記合成繊維の太さが1μm~50μm、上記金属粒子または金属の酸化物粒子における粒度分布のメジアン値が合成繊維の太さの1/3以下であることを特徴とする請求項1に記載の抗菌・抗ウィルス性繊維。
  3. 上記合成繊維が、脂肪族ポリアミド系繊維、ポリエステル系繊維、アクリル系繊維、ポリウレタン系繊維、芳香族ポリアミド系繊維、ポリビニルアルコール系繊維、ポリ塩化ビニリデン系繊維、ポリ塩化ビニル系繊維、ポリオレフィン系繊維、ポリクラール系繊維、ポリ乳酸繊維のいずれかで構成されることを特徴とする請求項1または2に記載の抗菌・抗ウィルス性繊維。
  4. 抗菌・抗ウィルス性の上記金属粒子が、銅粒子、銀粒子、ニッケル粒子、亜鉛粒子のいずれかで構成されることを特徴とする請求項1~3のいずれかに記載の抗菌・抗ウィルス性繊維。
  5. 抗菌・抗ウィルス性の上記金属の酸化物粒子が、亜酸化銅粒子で構成されることを特徴とする請求項1~3のいずれかに記載の抗菌・抗ウィルス性繊維。
  6. 請求項1~5のいずれかに記載の抗菌・抗ウィルス性繊維が加工されて成ることを特徴とする繊維製品。
  7. 抗菌・抗ウィルス性の金属粒子または金属の酸化物粒子を含有する合成繊維により構成される抗菌・抗ウィルス性繊維の製造方法において、
    合成繊維を構成する高分子化合物と抗菌・抗ウィルス性の金属粒子または金属の酸化物粒子を混錬して混錬物を調製する混錬工程と、
    細孔を備える口金から上記混錬物を溶融吐出させて繊維化する繊維化工程と、
    繊維化された合成繊維の表面に大気圧プラズマを照射し、合成繊維の表面若しくは近傍に存在する金属粒子または金属の酸化物粒子表面を覆う上記高分子化合物を除去して上記金属粒子または金属の酸化物粒子表面の一部を露出させる大気圧プラズマ処理工程、
    を有することを特徴とする抗菌・抗ウィルス性繊維の製造方法。
  8. 上記大気圧プラズマ処理工程で用いるプロセスガスが窒素、アルゴンガス、ヘリウムのいずれかを主成分とし、酸素、窒素、水素、水、アンモニアから選択される1種類以上を活性種として上記プロセスガスに添加することを特徴とする請求項7に記載の抗菌・抗ウィルス性繊維の製造方法。
  9. 上記大気圧プラズマ処理工程において、リモート型の大気圧プラズマ発生装置を用いて活性化された活性種を上記合成繊維の表面に照射することを特徴とする請求項7または8に記載の抗菌・抗ウィルス性繊維の製造方法。
  10. 上記混錬工程で用いる抗菌・抗ウィルス性の金属粒子が、銅粒子、銀粒子、ニッケル粒子、亜鉛粒子のいずれかで構成されることを特徴とする請求項7~9のいずれかに記載の抗菌・抗ウィルス性繊維の製造方法。
  11. 上記混錬工程で用いる高分子化合物がナイロンで構成されかつ抗菌・抗ウィルス性の金属粒子が銅粒子で構成されると共に、上記大気圧プラズマ処理工程で用いるプロセスガスがアルゴンガスで、かつ、酸素10%と水素4%の混合ガスを上記プロセスガスに添加し、リモート型大気圧プラズマ発生装置の第一大気圧プラズマヘッドと第二大気圧プラズマヘッドに高周波電源から100Wの電力を印加して、速度30m/分で搬送される合成繊維に対し大気圧プラズマを照射することを特徴とする請求項7~10のいずれかに記載の抗菌・抗ウィルス性繊維の製造方法。
  12. 上記混錬工程で用いる抗菌・抗ウィルス性の金属の酸化物粒子が、亜酸化銅粒子で構成されることを特徴とする請求項7~9のいずれかに記載の抗菌・抗ウィルス性繊維の製造方法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
KR102596613B1 (ko) * 2022-11-04 2023-11-02 (주)아이엠비 항균 및 항바이러스 필터 여재의 제조방법

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