JP2022111546A - パウチ容器入り抗感染液 - Google Patents

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Abstract

【課題】長期間パウチ容器内に充填された抗感染液の品質を保持したまま保管することができ、かつ、他の容器に詰め替える際に注ぎやすい口栓を備えるパウチ容器入り抗感染液を提供する。【解決手段】口栓12を備えたパウチ容器10に抗感染液が収容されたパウチ容器入り抗感染液であって、パウチ容器10のパウチ容器本体11および口栓12は、光透過率が低下された構造を備え、抗感染液が変質せずに保存することができ、抗感染液を供給できるように構成されていることを特徴とするパウチ容器入り抗感染液である。【選択図】図1

Description

本発明は、パウチ容器入り抗感染液に関し、特に、例えば微酸性電解水のようなウイルスや菌の除去および消毒をするための抗感染液に関する。
昨今の衛生需要の高まりから、手や食品に付着したウイルスや菌を除去するために、抗感染液として、例えば、除菌液や洗剤を使用してウイルスや菌を除去している。例えば、微酸性電解水に食品を浸漬させて、食品に付着したウイルスや菌を除去している。また、例えば、エタノールを含む除菌液によって、手、食器、机等に付着したウイルスや菌を除去している。家庭でも手軽にウイルスや菌を除去することが可能な製品が望まれており、従来から除菌液や洗剤はパウチ容器に除菌液や洗剤を収容して販売されている。
しかしながら、除菌液や洗剤の中には光に弱い成分が含まれる場合があり、長期間品質を保持したまま保管することが困難であった。そこで、例えば、有効塩素濃度およびpH安定性に優れる次亜塩素酸水を提供するために、特許文献1には、ポリアミド層、アルミ箔層、ポリエチレン層等を積層したフィルムから製造されるパウチに次亜塩素酸水を充填した次亜塩素酸水用パウチが開示されている。また、特許文献2には、次亜塩素酸またはその塩と、炭酸ガスと、導電率が1mS/m以下、全有機炭素が0.1mg/L以下である水とを含み、pHが4~7の範囲であり、有効塩素濃度が50~300mg/Lの範囲のアルミパウチ容器に収容された次亜塩素酸系水溶液が開示されている。特許文献1に記載の次亜塩素酸水用パウチおよび特許文献2に記載の次亜塩素酸系水溶液が収容されたアルミパウチ容器は、次亜塩素酸水をアルミパウチ容器に充填しており、パウチ容器内への光の侵入を抑制し、長期間品質を保持したまま保管できるようにしている。
実用新案登録第3153227号公報 特開2020-143051号公報
しかしながら、特許文献1に記載の次亜塩素酸水用パウチおよび特許文献2に記載の次亜塩素酸系水溶液が収容されたアルミパウチ容器は、口栓が設けられておらず、スプレーボトル等に詰め替えて使用する場合は、注ぎにくいという問題があった。また、パウチ容器に口栓を設けると、口栓から光が侵入し、除菌液や洗剤に含まれる光に弱い成分が変質してしまい、長期間品質を保持したまま保管することが困難であった。
そこで、本発明はパウチ容器内への光透過率を抑制することで長期間パウチ容器内に充填された抗感染液の品質を保持したまま保管することができ、かつ、他の容器に詰め替える際に注ぎやすい口栓を備えるパウチ容器入り抗感染液を提供することを目的とする。
本発明の請求項1に係るパウチ容器入り抗感染液は、口栓を備えたパウチ容器に抗感染液が収容された容器入り抗感染液であって、前記パウチ容器のパウチ容器本体および前記口栓は、光透過率が低下された構造を備え、前記抗感染液が変質しないで保存することができ、前記抗感染液を供給できるように構成されていることを特徴とするパウチ容器入り抗感染液である。
本発明の請求項2に係るパウチ容器入り抗感染液は、前記パウチ容器本体および前記口栓が、光透過率が1%以下になるように合成樹脂および金属箔の積層体により構成された、請求項1に記載のパウチ容器入り抗感染液である。
本発明の請求項3に係るパウチ容器入り抗感染液は、抗感染液が微酸性電解水である請求項1または2に記載のパウチ容器入り抗感染液である。
本発明の請求項4に係るパウチ容器入り抗感染液は、抗感染液がエタノール、グレープフルーツ種子エキス、緑茶エキス、柿渋エキスを含む、請求項1または2に記載のパウチ容器入り抗感染液である。
本発明の請求項5に係るパウチ容器入り抗感染液は、前記口栓が、前記パウチ容器本体の収容部に臨む内開口部を覆う遮蔽シートを備え、前記遮蔽シートのアルミニウム領域と前記収容部のアルミニウム領域とは近接して光透過率が低下されるように構成された、請求項1ないし4のいずれかに記載のパウチ容器入り抗感染液である。
本発明の請求項6に係るパウチ容器入り抗感染液は、前記口栓が、前記パウチ容器本体の収容部に臨む内開口部を覆う遮蔽シートを備え、前記遮蔽シートの一部が切り裂かれて開口され、前記収容部に収容された抗感染液を注出できるように構成されたことを特徴とする、請求項1ないし5のいずれかに記載のパウチ容器入り抗感染液である。
請求項1に係る発明によれば、パウチ容器本体および口栓は、光透過率が低下された構造を備えているため、パウチ容器内への光透過率を抑制することができる。したがって、長期間パウチ容器内に充填された抗感染液の品質を保持したまま保管することができる。また、パウチ容器に口栓を備えるため、他の容器に詰め替える際に注ぎやすい。
請求項2に係る発明によれば、パウチ容器本体および口栓が、光透過率が1%以下になるように合成樹脂および金属箔により構成されているので、抗感染液の有効成分に悪影響を及ぼすことなく保管することができる。特に、抗感染液が微酸性電解水の場合に有効塩素濃度を維持することができ、抗感染液に含まれるグレープフルーツ種子エキス等の変色を防止することができる。
請求項3に係る発明によれば、抗感染症液として微酸性電解水を充填することで、微酸性電解水に含まれる次亜塩素酸の光による分解を抑制し、微酸性電解水に含まれる有効塩素濃度を低下させることなく保管することができる。
請求項4に係る発明によれば、抗感染症液として植物抽出成分を含む除菌液を充填することで、植物抽出成分の変色を抑制し、植物抽出成分を含む除菌液を変色させることなく保管することができる。
請求項5に係る発明によれば、口栓が、パウチ容器本体の収容部に臨む内開口部を覆う遮蔽シートを備え、遮蔽シートのアルミニウム領域と収容部のアルミニウム領域とは近接して光透過率が低下されるように構成されているので、遮蔽シートのアルミニウム領域と収容部のアルミニウム領域との間から侵入する光(紫外線)を抑制することができる。
請求項6に係る発明によれば、口栓が、パウチ容器本体の収容部に臨む内開口部を覆う遮蔽シートを備え、遮蔽シートの一部が切り裂かれて開口され、収容部に収容された抗感染液を注出できるように構成されているので、切り欠く角度や範囲によって、注出される抗感染液の量を加減することができ、使用に適する量を注出することができる。
本発明によれば、長期間パウチ容器内に充填された抗感染液の品質を保持したまま保管することができ、かつ、他の容器に詰め替える際に注ぎやすい口栓を備えるパウチ容器入り抗感染液を提供することができる。
本発明の上述の目的、その他の目的、特徴および利点は、図面を参照して行う以下の発明を実施するための形態の説明から一層明らかとなろう。
本発明の一実施形態に係るパウチ容器を示す正面図である。 本発明の一実施形態に係る口栓の底面が見える状態の斜視図である。 本発明の一実施形態に係る口栓本体を示す正面図である。 本発明の一実施形態に係る口栓本体を示す平面図である。 本発明の一実施形態に係る口栓本体を示す側面図である。 本発明の一実施形態に係る口栓本体を示す底面図である。 本発明の一実施形態に係る口栓本体の図4Aに示すVA-VA断面図である。 本発明の一実施形態に係る口栓本体の図4Aに示すVB-VB断面図である。 本発明の一実施形態に係る口栓本体の底面図において、第1の凸部および第2の凸部を明示した部分拡大図である。 本発明の一実施形態に係る口栓本体の高さ方向に沿った断面図であり、第1の凸部およびその近傍の拡大図である。 本発明の一実施形態に係る切り裂き体の底面が見える状態の斜視図である。 本発明の一実施形態に係る切り裂き体の天面が見える状態の斜視図である。 本発明の一実施形態に係る切り裂き体を示す正面図である。 本発明の一実施形態に係る切り裂き体を示す平面図である。 本発明の一実施形態に係る切り裂き体を示す側面図である。 本発明の一実施形態に係る切り裂き体を示す底面図である。 本発明の一実施形態に係るキャップを示す正面図である。 本発明の一実施形態に係るキャップを示す図であり、(A)が平面図、(B)が底面図である。 本発明の一実施形態に係るキャップのタンパーエビデンスを示す斜視図である。 本発明の一実施形態に係る口栓本体、切り裂き体およびキャップを組み立てる順に並べて底面側から見たときの斜視図である。 本発明の一実施形態に係る口栓本体に遮蔽シートを固着する方向で並べて底面側から見たときの斜視図である。 本発明の一実施形態に係る口栓を示す高さ方向に沿った断面図である。 本発明の一実施形態に係る口栓を示す図であり、(A)が図17のXVIIIA-XVIIIA端面図、(B)がキャップを左回転させたときの羽根押し部と羽根部との関係を示す模式図である。 本発明の一実施形態に係る口栓本体の回転停止雄部312の位置における幅方向に沿った断面図(図17のXIXA-XIXA断面図)であり、(A)が切り裂き体の回転角0度、(B)が切り裂き体の回転角150度、(C)が切り裂き体の回転角300度を示す図である。 本発明の一実施形態に係る遮蔽シートの一部が切り裂かれる様子を示す模式平面図であり、(A)が切り裂き体の回転角0度、(B)が切り裂き体の回転角150度、(C)が切り裂き体の回転角300度を示す図である。 本発明の一実施形態に係る遮蔽シートの一部が切り裂かれる様子を示す図であり、切り裂き体の回転角150度のときの高さ方向に沿った断面図である。 本発明の一実施形態に係る遮蔽シートの一部を切り裂いた状態を示す図であり、切り裂き体の回転角300度のときの高さ方向に沿った断面図である。 本発明の一実施形態に係る口栓本体を示す図22のフランジ部近傍の断面図である。 本発明の一実施形態に係る遮蔽シートの一部を切り裂いた状態を底面側から見たときの斜視図である。 本発明の一実施形態に係る口栓付きパウチ容器が備える切り裂き体開始部を口栓本体から取り外した後、再び取り付けたときを示す図であり、(A)が羽根押し部と羽根部の関係を示す模式図、(B)が高さ方向に沿った断面図である。 本発明の一実施形態に係る容器に口栓を装着後の拡大断面図である。 本発明に係る口栓付きパウチ容器の斜視図解図である。 本発明に係る口栓付きパウチ容器の説明図である。 本発明に係る口栓付きパウチ容器を10℃で保管した時の抗感染液中の塩素濃度を示す図である。
本発明の一実施形態であるパウチ容器入り抗感染液1は、
口栓12を備えたパウチ容器10に収容されており、
パウチ容器10のパウチ容器本体11および口栓12は、光透過率が低下された構造を備え、
抗感染液500が変質しないで保存できるようにパウチ容器10に収容され、抗感染液500を供給できるように構成されている。
パウチ容器本体11および口栓12は、光透過率が1%以下になるように合成樹脂および金属箔の積層体により構成されている。
口栓12は、パウチ容器本体11の収容部200に臨む内開口部30を覆う遮蔽シート14を備え、遮蔽シート14のアルミニウム領域とパウチ容器本体11の収容部200のアルミニウム領域とは近接して光透過率が低下されるように構成されている。
口栓12は、パウチ容器本体11の収容部200に臨む内開口部30を覆う遮蔽シート14を備え、遮蔽シート14の一部が切り裂かれて開口され、パウチ容器本体11の収容部200に収容された抗感染液500を注出できるように構成されている。
口栓12は、口栓12を構成する合成樹脂材料に、白色顔料、酸化チタンを含有させた合成樹脂材で成形され、光透過率が1%以下になるように構成されている。
口栓12を、光透過率が1%以下になるように構成するために、熱結晶化により白化させてもよい。
1.抗感染液
本発明に係る抗感染液500は、光(紫外線)によって分解されやすい物質を有効成分として含む殺菌剤や除菌液である。特に、抗感染液500として、例えば、微酸性電解水、植物抽出成分を含む除菌液であることが好ましい。
(1)微酸性電解水
微酸性電解水は適切な濃度の塩酸または適切な濃度の塩酸に塩化ナトリウム水溶液を加えて適切な濃度に調整した水溶液を無隔膜電解槽内で電気分解して得られる水溶液であり、微酸性次亜塩素酸水とも呼ばれる。微酸性電解水の主成分は次亜塩素酸である。微酸性電解水は、触れたときに除菌されるので即効性があるものとして知られている。
また、微酸性電解水は微酸性(pH5.0ないし6.5)である。微酸性電解水は除菌・消臭効果があるが、pH値が肌や水に近いため低刺激で手荒れをおこしにくいことから、手袋・マスクの着用が不要である。微酸性電解水は、塩素濃度が低くても除菌力が強く、塩素臭もなく、サビの心配がない。
微酸性電解水は、有効塩素濃度が10ppm以上であり、30ppm以下であることが好ましく、通常、1000ppm以下である。製造時の有効塩素濃度は、36ないし40ppmである。4ヶ月後の有効塩素濃度は30ppm以上のものである。
本実施形態に係る微酸性電解水の有効塩素濃度は、電気分解時に付加する電流の値によって変化し、通常、電流値が大きいほど、得られる微酸性電解水の有効塩素濃度が大きくなる。
本実施形態に係る微酸性電解水のpH値は、微酸性電解水の安定性を確保でき、かつ、トリハロメタンの発生を抑制できる観点から、pH7.0未満であることが好ましく、pH5.0以上6.5未満であることがより好ましい。なお、本実施形態に係る微酸性電解水のpH値は、市販のpH測定器を用いて測定することができる。
本実施形態に係る微酸性電解水は、例えば、希塩酸を電気分解して生成した次亜塩素酸を、水道水と一定の割合で混ぜることにより希釈して生成される。微酸性電解水は、陽極と陰極とが隔膜で仕切られていない一室型電解装置で、2~6%塩酸水(希塩酸)を電解することにより生成される。生成された微酸性電解水は、pHが5.0~6.5で、有効塩素が10~80ppmとされる次亜塩素酸水溶液である。そして、微酸性電解水は、高い殺菌、抗菌、消臭効果を有する一方で、人の健康を損なうおそれがなく、食品添加物に指定されるものである。また、微酸性電解水は塩素臭等もないので、再利用可能な容器を洗浄した後の使用も安全である。
(2)植物抽出成分を含む除菌液
植物抽出成分を含む除菌液は、エタノール、グレープフルーツ種子エキス、緑茶エキス、柿渋エキスを含むものである。
エタノールは除菌性を得るために配合される。エタノールの配合量としては、30質量%以上、95質量%以下であることが好ましく、53質量%以上75質量%以下であることがより好ましく、55質量%以上60質量%以下であることが最も好ましい。エタノールの含有量が53質量%未満であると貯蔵安定性や除菌性が低下する場合があり、95質量%を超えても配合量に見合った効果は得られない場合がある。
グレープフルーツ種子エキスは、グレープフルーツの種子から抽出した天然由来の殺菌、抗菌、ウイルス不活性化成分であり、食品添加物として認められている。また、揮発性が小さく持続的な殺菌、抗菌、ウイルス不活性化活性を有する。グレープフルーツ種子エキスは、グレープフルーツ(学名:Citrus Paradisi Macfadyen(Rutaceae))の種子から水、エタノールなどのアルコール類などによって抽出されたものである。本実施形態に係るグレープフルーツ種子エキスは、一般に食品添加物として認められたものを使用することが好ましい。本実施形態においては、市販のグレープフルーツ種子エキスを使用することができる。
既存添加物名簿収載品目リスト(日本添加物協会(最終改正平成26年1月30日)では、グレープフルーツ種子エキスは、品名(名称)「グレープフルーツ種子抽出物(グレープフルーツの種子から得られた、脂肪酸およびフラボノイドを主成分とするものをいう。)」、基原・製法・本質「ミカン科グレープフルーツ(Citrus Paradisi MACF.)の種子より、水またはエタノールで抽出して得られたものである。主成分は脂肪酸およびフラボノイドである。」と収載されている。
グレープフルーツ種子エキスは、一般的には以下のように製造されるが、この方法に限定されるものではない。
まず、グレープフルーツの種子(好ましくは未成熟の種子である。グレープフルーツはいずれの産地のものでも用いることができるが、南米産のものがより好ましい。)を粉砕し、粉砕した種子を、水、アルコール類、炭化水素類、エステル類、ケトン類、エーテル類またはハロゲン化炭化水素類、およびこれらの混合溶媒に浸漬して抽出するか、あるいは浸漬し加熱還流して抽出し、適宜濃縮または濃縮還元して得られる。水およびアルコールが抽出溶媒として好ましく使用することができる。アルコールとしては、一価アルコールおよび多価アルコールのいずれも用いることができ、好ましくは、水、エタノール、イソプロピルアルコール、プロピレングリコール、1,3-ブチレングリコール、グリセリン、およびこれらの混合溶媒が挙げられ、さらに好ましくは水、エタノールおよびこれらの混合溶媒が挙げられる。
グレープフルーツ種子エキスの配合量は、植物抽出成分を含む除菌液の0.001質量%以上5質量%以下であることが好ましく、0.005質量%以上3質量%以下であることがより好ましく、0.1質量%以上1質量%以下であることがさらに好ましい。グレープフルーツ種子エキスが0.001質量%未満では、抗菌効果の持続性や抗ウイルス効果の持続性が低下する場合があり、5質量%を超えても、殺菌、ウイルス不活性化効力の顕著な向上が期待できない上に、非常に高価なものになり、汎用性がなくなってしまう。
緑茶エキスは、ツバキ科植物・チャの芽葉を原料として抽出されたエキスである。緑茶エキスの主成分であるカテキンは、抗菌・殺菌・抗ウイルス作用を有する。緑茶エキスは、緑茶を原料として、水またはアルコールで抽出し、乾燥したものである。緑茶エキスは水に浸漬させて抽出されたものが好ましい。本実施形態においては市販の緑茶エキスを使用することができる。
緑茶エキスの配合量は、植物抽出成分を含む除菌液の0.01質量%以上、10質量%以下であることが好ましく、0.05質量%以上、6質量%以下であることがより好ましく、0.1質量%以上、5質量%以下であることがさらに好ましい。緑茶エキスが0.05質量%未満では抗菌効果の持続性や抗ウイルス効果の持続性が低下する場合があり、10質量%を超えても殺菌、ウイルス不活性化効力の顕著な向上が期待できない場合があるためである。
柿渋エキスは、渋柿の実を圧搾することにより得られた搾汁をろ過し、発酵および熟成することにより得たエキスである。柿渋エキスの主成分であるタンニンは、天然由来の殺菌、抗菌、ウイルス不活性化成分である。本実施形態においては市販の柿渋エキスを使用することができる。
柿渋エキスの配合量は、植物抽出成分を含む除菌液の0.01質量%以上、10質量%以下であることが好ましく、0.05質量%以上、6質量%以下であることがより好ましく、0.1質量%以上、5質量%以下であることがさらに好ましい。柿渋エキスが0.005質量%未満では、抗菌効果の持続性や抗ウイルス効果の持続性が低下する場合があり、10質量%を超えても殺菌、ウイルス不活性化効力の顕著な向上が期待できない場合があるためである。
エタノール、グレープフルーツ種子エキス、緑茶エキス、柿渋エキスを含む植物抽出成分を含む除菌液のpHは6.0~9.0に調整されている。
エタノール、グレープフルーツ種子エキス、緑茶エキス、柿渋エキスを含む植物抽出成分を含む除菌液は、天然由来の殺菌、抗菌、ウイルス不活性化成分を含むため、人体への影響を低減しつつ、殺菌・抗菌・抗ウイルス効果を発揮することができる。
2.パウチ容器
以下、本発明の一実施形態に係るパウチ容器10について、図1~26を参照して説明する。図1は、本発明の一実施形態に係るパウチ容器を示す正面図である。図2は、本発明の一実施形態に係るパウチ容器が備える口栓の底面が見える状態の斜視図である。
本発明の一実施形態に係るパウチ容器10は、抗感染液500を収容部200に充填するパウチ容器本体11と、パウチ容器本体11に取り付けられた口栓12とを備える。口栓12は、パウチ容器本体11に収容された抗感染液500を外部に注出するために設けられている。口栓12は、口栓本体20と、切り裂き体50と、キャップ80とを含む。口栓12は、口栓本体20における収容部200に臨む内開口部30を覆う遮蔽シート14をさらに備える。遮蔽シート14はアルミ製のシートによって構成されており、口栓本体20の底面とほぼ同じ大きさである。遮蔽シート14のアルミニウム領域とパウチ容器本体11の収容部200の内面のアルミニウム領域とは、密接して、抗感染液500に含まれる有効成分がパウチ容器10から抜け出にくい構造となっている。
なお、パウチ容器10が収容することのできる抗感染液500の容量は、150ml、300mlまたは500mlなどにすることができるが、特に限定されない。
(パウチ容器本体11)
パウチ容器本体11は、平面視略長方形の第1容器シート210と、平面視略長方形の第2容器シート220と、底部204となる舟形状の底部シート230とを備える。パウチ容器本体11は、底部シート230の周縁を第1容器シート210および第2容器シート220に溶着するとともに、底部204と直交する左側部206で溶着され、底部204と直交する右側部208で溶着されている。パウチ容器本体11の底部204と反対側の上縁である第1容器シート210の上側縁216と第2容器シート220の上側縁226との間に口栓12を取り付けて上縁を溶着することにより、口栓12を備えるパウチ容器10を得ることができる。
パウチ容器本体11を構成するプラスチックフィルムとしては、ヒートシール性を有する熱可塑性樹脂からなる単層フィルム、これらのヒートシール性を有する熱可塑性樹脂フィルムを袋の内層とし、他のフィルムを積層した2層以上の層構成を有する積層フィルムを使用することができる。
ヒートシール性を有する熱可塑性樹脂フィルムとしては、例えばポリプロピレン、プロピレン-エチレン共重合体、結晶性ポリブテン-1、結晶性ポリ4-メチルペンテン-1、低-、中-、或いは高密度ポリエチレン、線状低密度ポリエチレン、エチレン-酢酸ビニル共重合体(EVA)、エチレン-アクリル酸共重合体(EAA)、エチレン-アクリル酸エチル共重合体(EEA)、イオン架橋オレフィン共重合体(アイオノマー)等のポリオレフィン類;ポリスチレン、スチレン-ブタジエン共重合体等の芳香族ビニル共重合体;ポリ塩化ビニル、塩化ビニリデン樹脂等のハロゲン化ビニル重合体;アクリロニトリル-スチレン共重合体、アクリロニトリル-スチレン-ブタジエン共重合体の如きニトリル重合体;ナイロン6、ナイロン66、パラまたはメタキシリレンアジパミドの如きポリアミド類;ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリテトラメチレンテレフタレート、ポリ-1,4-シクロヘキサンジメチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート等のポリエステル類;各種ポリカーボネート;ポリオキシメチレン等のポリアセタール類等の熱可塑性樹脂を挙げることができる。
特に好ましい材料としては、例えば低密度ポリエチレン、線状低密度ポリエチレン、中密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、ポリプロピレン、プロピレン-エチレン共重合体、エチレン-酢酸ビニル共重合体、エチレン系不飽和カルボン酸乃至その無水物でグラフト変性されたオレフィン樹脂等のオレフィン系樹脂、アイオノマー樹脂、比較的低融点乃至低軟化点のポリアミド乃至コポリアミド樹脂、ポリエステル乃至コポリエステル樹脂等が使用される。
パウチ容器本体11を構成するプラスチックフィルムとして積層フィルムを使用する場合には、上記のヒートシール性を有する熱可塑性樹脂フィルムをパウチ容器本体11の内層とし、必要に応じて接着剤層を介して、他のフィルムを積層した積層フィルムを使用する。
接着剤層を形成する材料としては、ポリエチレンイミン樹脂、アルキルチタネート樹脂、ポリエステル-イソシアネート系樹脂、ウレタン樹脂、エポキシ樹脂、ポリエーテル系樹脂、極性基を導入したオレフィン系樹脂等から選ばれた接着性樹脂を使用する。
ヒートシール性樹脂と積層するフィルムとしては、特に制限はなく、通常包装袋に用いられるものはいずれも使用可能である。このようなフィルムに適した材料としては、上記のヒートシール性樹脂として使用される材料はいずれも使用することができるが、内層に用いる樹脂よりも融点の高い樹脂を選択するのが好ましい。
また、パウチ容器本体11の収容部200の領域を構成するフィルムとして、アルミニウム等の金属箔と上記のプラスチックフィルムの1種又は2種以上を貼合せたものを使用する。特に、抗感染液500の場合には、アルミニウム等の金属箔を含む積層フィルムを使用することが好ましい。その他、ポリ塩化ビニリデン樹脂、EVAケン化物、ナイロン又は環状オレフィンコポリマー等の樹脂層、アルミニウムや酸化珪素などの金属酸化物蒸着膜を有する樹脂層、粘土鉱物を含有する樹脂層も可能である。
パウチ容器本体11の収容部200の領域を構成するフィルムとして、アルミニウム等の金属箔と上記のプラスチックフィルムの1種又は2種以上を貼合せたものを使用することにより、アルミニウム等の金属箔による遮光効果によってパウチ容器10内への光透過率が1%以下とすることができる。したがって、長期間パウチ容器10内に充填された抗感染液500の品質を保持したまま保管することができる。
(遮蔽シート14)
遮蔽シート14は、接合部22の開口部を覆うように接合部22の底面に貼り付けられ、パウチ容器本体11の収容部200と密接し、且つ、切り裂き体50により切り裂けられて、口栓本体20の貫通孔26とパウチ容器本体11の収容部200とが連通するように形成されている。
遮蔽シート14は、例えば、最も口栓本体20側の第1層が低密度ポリエチレン(PE)、その上の第2層がアルミニウムホイル(AL)、その上の第3層が低密度ポリエチレン(PE)、その上の第4層がポリエチレンテレフタレート(PET)である、4層構造を有する。
例えば、遮蔽シート14は、最も口栓本体20側の第1層が口栓本体20と接着するための接着剤層を構成する熱溶着層であり、第2層は抗感染液500がパウチ容器10から口栓12を通して抜け出ることを防止する等、バリアー性を有する層であり、第3層および第4層が遮蔽シート14を切り裂いたときに切られた領域によって囲繞された部分が遮蔽シート14から切り離されて脱落しないように保持するための層とすることができる。
また、例えば、遮蔽シート14は、最も口栓本体20側の第1層が口栓本体20と接着するための接着剤層を構成する熱溶着層を形成し、第2層が第3層のバリアー性を有する層を保護する中間層であり、第3層が抗感染液500がパウチ容器10から口栓12を通して抜け出ることを防止する等、バリアー性を有する層であり、第4層が遮蔽シート14を切り裂いたときに切られた領域によって囲繞された部分が遮蔽シート14より切り離されて脱落しないように保持するための層とすることができる。
最も下側の第4層が、収容部200に収容された抗感染液500と接する。
遮蔽シート14は、パウチ容器本体11の第1容器シート210の第4層及び第2容器シート220の第4層と密接している。
遮蔽シート14は、例えば、厚み0.0006mm以上0.2mm以下である。
(口栓12)
口栓12についてより詳細に説明する。
口栓12は、口栓本体20と、切り裂き体50と、キャップ80とを含む。口栓本体20の底面には、遮蔽シート14が固着される。切り裂き体50は、口栓本体20に形成された貫通孔26に挿入され、上下方向(軸方向)に移動するように構成され、遮蔽シート14の一部を切り裂くように形成されている。
キャップ80は、口栓本体20に形成された貫通孔26の外開口部28に螺着されてパウチ容器10を密閉するとともに、注出するときに開封され、且つ切り裂き体50を遮蔽シート14に向かって移動させるように構成されている。
(口栓本体20)
本実施形態に係る口栓本体20について、図3~7に基づいて説明する。図3は、本発明の一実施形態に係る口栓本体を示す正面図である。図4Aは、本発明の一実施形態に係る口栓本体を示す平面図である。図4Bは、本発明の一実施形態に係る口栓本体を示す側面図である。図4Cは、本発明の一実施形態に係る口栓本体を示す底面図である。図5Aは、本発明の一実施形態に係る口栓本体の図4Aに示すVA-VA断面図である。図5Bは、本発明の一実施形態に係る口栓本体の図4Aに示すVB-VB断面図である。図6は、本発明の一実施形態に係る口栓本体の底面図において、第1の凸部および第2の凸部を明示した部分拡大図である。図7は、本発明の一実施形態に係る口栓本体の高さ方向に沿った断面図であり、第1の凸部およびその近傍の拡大図である。
口栓本体20は、パウチ容器本体11に取り付けられる接合部22と、接合部22の天部上面の略中央において上方に向けて突設され、抗感染液500を注出するときの注出口に切り裂き体50を挿入する部位となる筒部24とを有する。
接合部22および筒部24は、例えば、合成樹脂などの材料で一体成形される。口栓本体20には、その略中央を上下方向に亘って貫通する、平面視略円形状の貫通孔26が形成される。すなわち、貫通孔26は、接合部22の底面から筒部24の上面までに亘って貫通する。貫通孔26は、接合部22の底面に形成された内開口部30と、筒部24の上面に形成された外開口部28とを有する。
接合部22は、パウチ容器本体11を構成する第1容器シート210の端縁と、第2容器シート220の端縁との間に挟持されるようにパウチ容器本体11に取り付けられる。
接合部22は、平面視略ひし形状の底部と、底部の端縁から立ち上がる側部と、底部とほぼ同様の形状を有する天部とを有する。
接合部22の一方側の側部には、複数(例えば3つ)の横リブ部と、複数(例えば4つ)の縦リブ部が突設される。複数(例えば3つ)の横リブ部は、左右方向(横方向)に直線状に延びる。また、複数(例えば3つ)の横リブ部は、互いに平行であり、上下方向に等間隔に設けられる。複数(例えば4つ)の縦リブ部は、上下方向(縦方向)に直線状に延びる。複数(例えば4つ)の縦リブ部は、互いに平行であり、左右方向に等間隔に設けられる。
接合部22の略中央には、上記したように、平面視略円形状の貫通孔26が形成される。接合部22に形成された貫通孔26は、切り裂き体50の刃部52を収容するための空間となる切り裂き体収容部44が形成される。
切り裂き体収容部44は、径および高さが切り裂き体50の刃部52の径および高さとほぼ同じまたはやや大きい。
切り裂き体収容部44の内壁(すなわち、貫通孔26の側壁下部)には、らせん状の斜面に形成された案内斜面310dが形成される。案内斜面310dの下端部(すなわち、案内斜面310dの終端部)は、貫通孔26の内開口部30よりもやや上方に位置する。
そして、この終端部の近傍には、側面視略四角形状の回転停止雄部312が下方(第2の方向)に向けて突設される。回転停止雄部312は、口栓本体の回転規制係合部を構成し、切り裂き体50の平面視の回転運動(平面視左回転および右回転)を停止させ、切り裂き体50が回転しながら上下動することを停止させるために形成される。回転停止雄部312は、側面視略四角形状である。
本実施形態に係る口栓本体20の接合部22の底面には、遮蔽シート14を確実に固着するために、第1の凸部36と、第2の凸部38とが突設される。図6において、第1の凸部36および第2の凸部38が点描画法で示されている。図7の断面図に示すように、第1の凸部36は、下方に向けて広がる断面半円弧状で低い丘陵状の突部である。また、第2の凸部38も、第1の凸部36と同様の形状の突部である。
第1の凸部36は、貫通孔26の外縁に沿って突設され、底面視略円形の筋状である。なお、第1の凸部36は、貫通孔26の外縁と所定の距離だけ離間して形成される。
第2の凸部38は、口栓本体20の底面の外縁に沿って突設された直線筋状であり、底面視略ひし形状である。なお、第2の凸部38は、口栓本体20の底面の外縁と所定の距離だけ離間して形成される。
第2の凸部38の前端部分は、第1の凸部36の前端部分と、接線状に互いに重なり合う。第2の凸部38の前述した重なり合う部分の底面視形状は、第1の凸部36の底面視形状と同様である。すなわち、第2の凸部38の前端部分の底面視形状は、前方に向けて湾曲した形状となる。なお、第1の凸部36の後端部分および第2の凸部38の後端部分についても同様である。
筒部24は、注出口となる径およびキャップ80を螺嵌できる長さの略円筒形状である。筒部24の外面には、右雄ネジ部32(第1の雄ネジ部)と、突条40と、回転停止部42とが突設される。
右雄ネジ部32は、筒部24の外面上部に形成され、平面視右回転(時計回り)でねじを巻いたとき(旋回したとき)進行するネジ(以下、「右ネジ」という)の雄部を構成する。突条40は、右雄ネジ部32の下部において、筒部24の外面全周に亘って設けられる。突条40は、その径方向の寸法が、上端から下端に向かって大きくなる形状である。すなわち、突条40は、上端から下端に向かって傾斜した形状を有する。回転停止部42は、突条40の下部において、周方向に関して等間隔に4つ設けられる。
回転停止部42は、それぞれ、ガイド面42aと、ストッパ面42bとを有する。筒部24を平面視右回り(時計回り)で見たとき、ガイド面42aが先に現れる面となり、ストッパ面42bが後に現れる面となる。
ガイド面42aは、平面視右回転(時計回り)で見て、先に現れる端縁から後に現れる端縁に向かって径方向の寸法が大きくなるように傾斜している。
一方、ストッパ面42bは、筒部24の径方向に延びる形状である。すなわち、回転停止部42は、それぞれ平面視略直角三角形状である。
(切り裂き体50)
本実施形態に係る切り裂き体50について、図8~11に基づいて説明する。図8は、本発明の一実施形態に係る切り裂き体の底面が見える状態の斜視図である。図9は、本発明の一実施形態に係る切り裂き体の天面が見える状態の斜視図である。図10は、本発明の一実施形態に係る切り裂き体を示す正面図である。図11Aは、本発明の一実施形態に係る切り裂き体を示す平面図である。図11Bは、本発明の一実施形態に係る切り裂き体を示す側面図である。図11Cは、本発明の一実施形態に係る切り裂き体を示す底面図である。
切り裂き体50は、口栓本体20から抜け出ないように、口栓本体20の貫通孔26の内部を下方に移動するように形成される。切り裂き体50は、軸方向に延びる受動軸部54と、受動軸部54の下端部の外壁を覆うように形成された刃部52とを有する。刃部52と、受動軸部54とは、例えば、合成樹脂などの材料で一体成形される。切り裂き体50の上下方向の寸法(受動軸部54の上下方向の寸法)は、口栓本体20のそれよりもやや小さい。切り裂き体50には、その略中央を上下方向に亘って貫通する、すなわち、刃部52の底面から受動軸部54の上面までに亘って貫通する、平面視略円形状の注出貫通孔56が形成される。注出貫通孔56は、刃部52の底面に形成された入口58と、受動軸部54の上面に形成された出口60とを有する。
刃部52は、その外径が、口栓本体20に形成された切り裂き体収容部44の内径とほぼ等しいかやや小さい。また、刃部52は、その上下方向の寸法が、口栓本体20に形成された切り裂き体収容部44のそれとほぼ同じかやや小さい。刃部52は、その上端部から下端部近傍までの基礎部62と、その下端部の切刃部64とを有する。基礎部62の外面には、左ネジの雄部を構成する被案内斜面360cが形成される。この被案内斜面360cは、上記した口栓本体20の内面に形成された案内斜面310dに対応したらせん状の斜面を有する。
切り裂き体50の被案内斜面360cは、初期状態から左に向かうに従って上昇する上向きの小道であり、口栓本体20の案内斜面310dは、初期状態から左に向かうに従って上昇する下向きの小道である(図10および図11B参照)。
切り裂き体50の被案内斜面360cは、口栓本体20の案内斜面310dの下方に位置し、被案内斜面360cの下部領域が口栓本体20の回転停止雄部312の近傍に位置している。切り裂き体50の被案内斜面360cは、口栓本体20の案内斜面310dに対向している。
切り裂き体50は、連通回転方向(平面視左回転)に回されることにより、その被案内斜面360cが口栓本体20の案内斜面310dに接触して下方(第2の方向)に案内される。
被案内斜面360cの始端部の近傍には、側面視略四角形状に凹むように回転停止雌部362(切り裂き体の回転規制係合部)が形成される。
この回転停止雌部362は、上記した案内斜面310dの終端部に形成された回転停止雄部312と協働して作用する。この協働する態様の詳細については後述する。
基礎部62における被案内斜面360cの下部には、径方向の寸法の小さくなる段差としてフランジ部370が全周に亘って形成される。
切刃部64は、その上端部(基礎部62との接続部)から軸方向に沿って延びる略円筒形状の切刃根元部66と、切刃根元部66の下端部から徐々に径方向の寸法が小さくなる切刃底部68とを有する。
切刃底部68は、その底面に、刃先端部70を有する。
刃先端部70は、底面視したとき、略真円状の外形を有した略円環状である。
本実施形態に係る切刃部64の刃先端部70は、左回転の始点である切裂き部420から平面視左回転(反時計回り)の方向にいくほど、次第に上方、すなわち受動軸部54側に向かうように緩やかに傾斜している。そして、刃先端部70は、前述した平面視左回転の始点である切裂き部420と、切裂き部420より連続する刃傾斜部422と刃傾斜部422の平面視左回点の終点である刃終端部424とを備える。
切裂き部420は、刃先端部70における最も下方に位置し、刃傾斜部422は、切裂き部420の位置から前述した平面視左回転の方向にいくほど次第に上方に向かうように緩やかに傾斜し、刃終端部424は、最も上方に位置する。
刃傾斜部422と刃終端部424との間には、刃上下延在部426が形成されている。
刃上下延在部426は、互いに接続するように略上下方向に延びる鉛直状である。
切裂き部420は、平面視したとき、上記した被案内斜面360cの始端部の近傍に形成された回転停止雌部362と中心角約300度ずれた位置に形成される。
受動軸部54は、その上下方向の寸法が、口栓本体20の筒部24のそれよりもやや小さい略円筒形状である。
受動軸部54の外面には、その上端部から下端部まで上下方向に延びる受動部としての3つの羽根部390が突設される。
羽根部390は、それぞれ、互いに同様の形状を有し、受動軸部54の周方向に等間隔に形成される。受動軸部54は、平面視で見て、3つの羽根部390の先端を結んだときに描かれる円の直径(すなわち、受動軸部54の羽根部390を含む外径)が、口栓本体20の筒部24の内径にほぼ等しいかやや小さい。羽根部390は、キャップ80が左回転(反時計回り)するのに連動して切り裂き体50も左回転するための構成を有する。羽根部390は、それぞれ、平面視したとき、左回転(反時計回り)で見て先に現れる面が突出する方向と受動軸部54の外面の接線方向とのなす角度が、左回転で見て後に現れる面が突出する方向と受動軸部54の外面の接線方向とのなす角度よりも小さくなるように形成される。すなわち、羽根部390それぞれは、平面視したとき、左回転で見ると、その根元(すなわち、受動軸部54の外面との接続部)からその先端に向けて後退するように傾斜している。
なお、受動軸部54の外面は、その上端部から下端部に向けて径方向の寸法がやや小さくなるように形成されることが好ましい。
(キャップ80)
本実施形態に係るキャップ80について、図12~14に基づいて説明する。図12は、本発明の一実施形態に係るキャップを示す正面図である。図13は、本発明の一実施形態に係るキャップを示す図であり、(A)が平面図、(B)が底面図である。図14は、本発明の一実施形態に係るキャップのタンパーエビデンスを示す斜視図である。
キャップ80は、口栓本体20の軸方向の一方の端部に取り外し可能に螺合できるように、且つ切り裂き体50を口栓本体20の貫通孔26の内部を下方に移動させるように形成される。
キャップ80は、キャップ本体82と、初期状態のキャップ本体82に手を加えられたことを明確とするためのタンパーエビデンス84とを含む。
キャップ本体82は、平面視略円形状の頂部90と、頂部90の端縁から垂下された側壁である垂下部92とを含む。すなわち、キャップ本体82は、その底面に開口を有する略円柱形状である。
頂部90と垂下部92とは、合成樹脂で一体成形される。キャップ本体82の内径は、口栓本体の20の筒部24の外径とほぼ等しいかやや大きい。
また、キャップ本体82は、その上下方向の寸法が、口栓本体20の上端部から突条40までの寸法とほぼ等しい。
頂部90の内面には、垂下部92と同じ方向に垂れ下がる3つの作動部としての羽根押し部86が配設される。
垂下部92の内面には、右ネジの雌部を構成する右雌ネジ部88(第1の雌ネジ部)が形成される。
3つの羽根押し部86は、それぞれ、同様の形状を有する。また、3つの羽根押し部86は、それぞれ、平面視したとき、略円弧状に形成される。また、3つの羽根押し部86は、それぞれ、平面視したとき、互いに結んだとき一つの円を描くように配設される。また、3つの羽根押し部86は、それぞれ、平面視左回転で見たとき、後に現れる端部の径方向の寸法が先に現れる端部のそれよりもやや大きく形成されることが好ましい。この右雌ネジ部88は、上記した口栓本体20の外面に形成された右雄ネジ部32に螺合する。
タンパーエビデンス84は、その内径および外径が、キャップ本体82のそれらとほぼ同じ円環状に形成される。また、タンパーエビデンス84は、その高さ方向の寸法が、口栓本体20の回転停止部42のそれとほぼ同じである。
タンパーエビデンス84は、その上面に2つの連結部410および4つの上面仮連結部412が突設され、その側壁の外面に4つの側面仮連結部414が突設され、その側壁の内面に回転停止部98が突設される。
キャップ80は、出荷時の初期状態(すなわち、口栓本体20、切り裂き体50およびキャップ80が組み立てられてなる口栓12の底面に遮蔽シート14を固着した状態で、口栓12をパウチ容器本体11の端縁に取り付けて抗感染液500を密封した状態)においては、そのキャップ本体82の下端部と、そのタンパーエビデンス84の2つの連結部410のそれぞれの先端部および4つの上面仮連結部412のそれぞれの先端部とが連結されている。
また、タンパーエビデンス84は、初期状態において、4つの側面仮連結部414により、その全周に亘って連結されている。2つの連結部410は、側面視略L字状である。
また、4つの上面仮連結部412および4つの側面仮連結部414の連結は、容易に破断するように構成されている。
タンパーエビデンス84に設けられた回転停止部98は、上記した口栓本体20に設けられた回転停止部42と協働して作用する。この協働態様の詳細については後述する。
本発明の一実施形態に係る口栓12を構成する材料としては、パウチ容器本体11を構成するプラスチックフィルムとヒートシール性を有する熱可塑性樹脂が使用される。
このような熱可塑性樹脂としては、例えばポリプロピレン、プロピレン-エチレン共重合体、結晶性ポリブテン-1、結晶性ポリ4-メチルペンテン-1、低-、中-、或いは高密度ポリエチレン、線状低密度ポリエチレン、エチレン-酢酸ビニル共重合体(EVA)、エチレン-アクリル酸共重合体(EAA)、エチレン-アクリル酸エチル共重合体(EEA)、イオン架橋オレフィン共重合体(アイオノマー)等のポリオレフィン類;ポリスチレン、スチレン-ブタジエン共重合体等の芳香族ビニル共重合体;ポリ塩化ビニル、塩化ビニリデン樹脂等のハロゲン化ビニル重合体;アクリロニトリル-スチレン共重合体、アクリロニトリル-スチレン-ブタジエン共重合体の如きニトリル重合体;ナイロン6、ナイロン66、パラまたはメタキシリレンアジパミドの如きポリアミド類;ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリテトラメチレンテレフタレート、ポリ-1,4-シクロヘキサンジメチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート等のポリエステル類;各種ポリカーボネート;ポリオキシメチレン等のポリアセタール類等の熱可塑性樹脂を挙げることができる。
特に好ましい材料としては、例えば低密度ポリエチレン、線状低密度ポリエチレン、中密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、ポリプロピレン、プロピレン-エチレン共重合体等のポリオレフィン樹脂が挙げられる。
口栓本体20、切り裂き体50およびキャップ80は、例えば射出成形、圧縮成形等の公知の方法によって成形することができる。
口栓本体20、切り裂き体50およびキャップ80内に形成するガスバリヤー層は、ポリ塩化ビニリデン樹脂、EVAケン化物、ナイロンまたは環状オレフィンコポリマー等のガスバリヤー性樹脂層、アルミニウムや酸化珪素などの金属酸化物蒸着膜を有する樹脂層、粘土鉱物を含有する樹脂層、アルミニウム等の金属箔等によって構成される。
ガスバリヤー層は、例えば共射出成形、多層圧縮成形、多色成形、蒸着等、公知の方法により形成することができる。
口栓12を光透過率が1%以下になるように構成するために、口栓12を構成する合成樹脂材料に、例えば、白色顔料、酸化チタンを含有させた合成樹脂材によって成形される。また、口栓12を、光透過率が1%以下になるように構成するために、熱結晶化により白化させてもよい。このように構成することで、パウチ容器10内への光透過率が1%以下とすることができる。したがって、長期間パウチ容器10内に充填された抗感染液500の品質を保持したまま保管することができる。
(口栓12の組立て手順)
つづいて、口栓12を組み立てる手順の一例について、図15~17に基づいて説明する。図15は、本発明の一実施形態に係る口栓本体、切り裂き体およびキャップを組み立てる順に並べて底面側から見たときの斜視図である。図16は、本発明の一実施形態に係る口栓に遮蔽シートを固着する方向で並べて底面側から見たときの斜視図である。図17は、本発明の一実施形態に係る口栓を示す高さ方向に沿った断面図である。
まず、平面視したとき、キャップ80の中心と口栓本体20の筒部24の中心とが同心となるように、キャップ80を口栓本体20の上面側(筒部24の上面側)から嵌め込んでいく。
そうすると、キャップ80の内面に形成された右雌ネジ部88の下端部(すなわち、右雌ネジ部88の始端部)に、口栓本体20の上部(筒部24)の外面に形成された右雄ネジ部32の上端部(すなわち、右雄ネジ部32の終端部)が突き当たる。
ここから、キャップ80を平面視右回転(時計回り)させることにより、右雌ネジ部88と右雄ネジ部32とを螺合させる。このようにして、キャップ80は、口栓本体20の下方へと進行する。
右雌ネジ部88と右雄ネジ部32とを螺合させていき、キャップ80を下方へと進行させていくと、タンパーエビデンス84の側壁の内面に突設された回転停止部98が、口栓本体20の外面に突設された回転停止部42のガイド面42aに当接する。
ここで、上記したように、ガイド面42aは、口栓本体20を平面視右回転(時計回り)で見たとき、先に現れる端縁から後に現れる端縁に向かって径方向の寸法が大きくなるように傾斜している。口栓本体20の回転停止部42がこのような形状を有することにより、タンパーエビデンス84の回転停止部98は、口栓本体20の回転停止部42のガイド面42aを容易に乗り越える。したがって、タンパーエビデンス84(キャップ80)が右回転(時計回り)しつづけることができる。
キャップ80の頂部90の内面と、口栓本体20の上端とが当接またはほぼ当接するまで、キャップ80を右回転(時計回り)させ、下方に進行させる。キャップ80を最後まで螺合すると、キャップ本体82の下端部が口栓本体20の突条40の上部近傍に位置し、タンパーエビデンス84が口栓本体20の回転停止部42とほぼ同じ高さに位置する。すなわち、キャップ本体82の垂下部92の内面が口栓本体20の突条40よりも上部の外面に対向し、且つタンパーエビデンス84の内面が口栓本体20の回転停止部42の外面に対向するようになる。このようにして、キャップ80を口栓本体20の上部に螺合させる。
次に、平面視したとき、口栓本体20の切り裂き体収容部44の中心と切り裂き体50の中心とが同心となるように、口栓本体20の貫通孔26の内開口部30側(すなわち、口栓本体20の底面側)から、切り裂き体50を挿し込む。このとき、切り裂き体50をその受動軸部54の上端部から貫通孔26に挿し込む。
このとき、口栓本体20に形成された回転停止雄部312が、平面視したとき、切り裂き体50に形成された回転停止雌部362と中心角約300度ずれた位置になるように、口栓本体20の貫通孔26に切り裂き体50を挿し込む。
口栓本体20の回転停止雄部312の先端部に切り裂き体50に形成された左右方向延在部360aが突き当たるまで、口栓本体20の貫通孔26に切り裂き体50を挿し込むと、切り裂き体50の刃部52が口栓本体20の切り裂き体収容部44に完全に収容される。このとき、刃部52の上面と切り裂き体収容部44の上壁とが接するか互いに近傍に位置し、且つ刃部52の底面(すなわち、切り裂き体50の底面)と、切り裂き体収容部44の底面(すなわち、口栓本体20の底面)とがほぼ同じ高さになる。また、このとき、切り裂き体50は、その受動軸部54が、口栓本体20の筒部24の内部(すなわち、貫通孔26のよりも上部)を延びる。
なお、平面視したとき、切り裂き体50の受動軸部54の中心と、口栓本体20の筒部24の中心とは同心である。さらに、このとき、切り裂き体50の受動軸部54の外面に突設された3つの羽根部390の平面視左回転(反時計回り)で見て先に現れる面が、キャップ80の頂部90から下方に延びるように形成された3つの羽根押し部86それぞれの平面視左回転(反時計回り)で見て先に現れる端部に対向する(図18A参照)。
上記のようにして、口栓本体20の上部にキャップ80を螺合し、口栓本体20の貫通孔26に切り裂き体50を挿し込むことにより、口栓12を組み立てる。
そして、口栓12の底面(すなわち、口栓本体20の底面)に、貫通孔26の内開口部30を密閉するように、遮蔽シート14を固着する。遮蔽シート14は、例えば、熱板を用いた熱溶着によって、口栓本体20の底面に固着される。
このとき、遮蔽シート14は、口栓本体20の底面に突設された第1の凸部36および第2の凸部38に固着される。これにより、口栓本体20の底面に形成され得る意図しない僅かな凹凸に影響されずに、口栓本体20の底面に遮蔽シート14を固着することができる。したがって、口栓本体20の底面に遮蔽シート14を確実に固着することが可能となる。
なお、上記した通り、第1の凸部36は、貫通孔26の外縁と所定の距離だけ離間して突設される。これにより、例えば、遮蔽シート14が熱溶着の際に変形して貫通孔26の内部へと入り込んでしまうことを防止できる。したがって、遮蔽シート14に妨げられることなく、切り裂き体50を口栓本体20の貫通孔26へと適切に挿入することができ、且つスムーズに下方へと移動させることができる。
同様に、第2の凸部38は、遮蔽シート14の底面の外縁と所定の距離だけ離間して突設されるため、口栓本体20の底面から側面へと捲れ上がってしまうことなどを抑制することができる。
引き続き、口栓12をパウチ容器本体11に取り付ける方法について、主として図27に基づいて説明する。
パウチ容器本体11を構成する第1容器シート210と、第2容器シート220と、第1容器シート210と第2容器シート220との間に連設された底部シート230とを有する原反(シート状物)を準備する。原反(シート状物)は、ロール状に巻き重ねられている。
上記ロール状の原反(シート状物)を引き出し、底部シート230をスタンディングパウチの底部204となるように折り曲げ、成形して、第1容器シート210と第2容器シート220とを対向させる。
次に、対向する第1容器シート210の左側縁212と第2容器シート220の左側縁222とを熱溶着して左側部206を形成する。
第1容器シート210および第2容器シート220は、その一方の側部(左側部206)と底部204とを接続されている。
底部204とは反対側である上部の第1容器シート210の上側縁216と第2容器シート220の上側縁226との間に、口栓12の接合部22を挿入する。
次に、第1容器シート210の上側縁216の内側面と第2容器シート220の上側縁226の内側面との間に接合部22を挟み込む。
そして、第1容器シート210の上側縁216の内側面と第2容器シート220の上側縁226の内側面とは、その周辺領域で溶着するとともに、第1容器シート210の上側縁216の内側面と第2容器シート220の上側縁226の内側面との間に挟み込まれた接合部22の外周面にも溶着する。
次に、溶着された一方の側部(パウチ容器本体11の左側部206)を下にし、溶着されていない方の側部(パウチ容器本体11の右側部208)を構成する第1容器シート210の右側縁214と第2容器シート220の右側縁224とを上にして、第1容器シート210と第2容器シート220の間に収容物(抗感染液)を注入する注入機のノズルを挿入して、抗感染液500をパウチ容器本体11の収容部200に充填する。
次に、第1容器シート210の他方側部を構成する右側縁214の内側面と第2容器シート220の他方側部を構成する右側縁224の内側面とを、周辺において溶着して、右側部208を形成する。
上部である注出部202、左側部206、右側部208および底部204で囲繞された収容部200に抗感染液500が封入される。
而して、抗感染液500は、パウチ容器10に充填されて、密閉される。
このようにして得られたパウチ容器10は、遮蔽シート14により、パウチ容器本体11の収容部200と、口栓12に形成された貫通孔26とが遮蔽されている。したがって、パウチ容器本体11の収容部200に収容された抗感染液500が、接合部22および口栓12の貫通孔26から漏れ出ることを防止することができる。上記のように組み立てられたキャップ80、口栓本体20および切り裂き体50は、図17に示すように、軸方向に沿って延びる中心軸Cが共通である。すなわち、キャップ80のキャップ本体82、口栓本体20の貫通孔26および切り裂き体50は、互いに同心の略円筒状である。
上記のように組み立てられた口栓12の初期状態(組み立てた直後の口栓本体20、切り裂き体50、キャップ80および遮蔽シート14の位置関係)は、次の通りである。
口栓本体20の略円筒状の筒部24および貫通孔26、切り裂き体50の略円筒状の受動軸部54および刃部52並びにキャップ80の頂部90および略円筒状の垂下部92は、それぞれ、中心軸Cが同心となるように配設されている。
口栓本体20の上端部(一方の端部)に螺合されたキャップ80は、その頂部90の内面が、口栓本体20の筒部24の上端部に接触する。
口栓本体20の上端部(一方の端部)に螺合されたキャップ80は、その垂下部92の内面が、口栓本体20の筒部24の外面に沿って、口栓本体20の筒部24の上端部か垂下部92の内面に形成された右雌ネジ部88が、口栓本体20の筒部24の外面に形成された右雄ネジ部32に螺合されることにより、口栓本体20の上端部(一方の端部)に螺合される。
さらに、キャップ80の下端部に形成された略円環状のタンパーエビデンス84が、軸方向において、口栓本体20の筒部24の外面の突条40の下部に形成された回転停止部98と同じ位置になる。そして、タンパーエビデンス84の内面と、回転停止部98の外面とが対向する。
口栓本体20の貫通孔26に挿入された切り裂き体50は、口栓本体20の貫通孔26の上端部の近傍から下端部まで軸方向に延びる。
切り裂き体50の上端部(すなわち、その受動軸部54の上端部)は、口栓本体20の上端部(すなわち、その筒部24の上端部)よりもやや下方に位置する。
一方、切り裂き体50の下端部(すなわち、その刃部52の下端部)は、口栓本体20の下端部(すなわち、その接合部22の底面)とほぼ同じ高さに位置する。
刃部52の上端部(すなわち、受動軸部54の外面から径方向に突出する上端面)は、口栓本体20の貫通孔26の内壁に形成された段差部34の下面に接触する。
口栓本体20の底面に固着された遮蔽シート14は、その上面(口栓本体20の底面に固着される側の面)の略中央に、切り裂き体50の下端部(すなわち、その刃部52の下端部)が接触する。
キャップ80の頂部90から垂下される羽根押し部86は、それぞれ、平面視したとき、左回転(反時計回り)で見て先端側に位置する端部が、切り裂き体50の羽根部390の左回転(反時計回り)で見て後に現れる面の径方向でいう先端側に接触する。
また、受動軸部54の外面から突設された羽根部390は、それぞれ、平面視したとき、左回転(反時計回り)で見て後に現れる面の径方向でいう先端側が、キャップ80の頂部90から垂下される羽根押し部86の左回転(反時計回り)で見て先端側に位置する端部に接触する。
口栓本体20の内壁に形成された回転停止雄部312と、切り裂き体50の外壁に形成された回転停止雌部362とは、平面視したとき、左回転(反時計回り)で見て、互いに周方向において回転角300度だけ離間している。
切り裂き体50の被案内斜面360cは、初期状態から左に向かうに従って上昇する上向きの小道であり、口栓本体20の案内斜面310dは、初期状態から左に向かうに従って上昇する下向きの小道である(図10および図11参照)。
切り裂き体50の被案内斜面360cは、口栓本体20の案内斜面310dの下方に位置し、被案内斜面360cの下部領域が口栓本体20の回転停止雄部312の近傍に位置している。切り裂き体50の被案内斜面360cは、口栓本体20の案内斜面310dに対向している。
切り裂き体50の回転停止雌部362は、口栓本体20の案内斜面310dの上方領域と略々同じ高さ位置において、僅かに左方に離間した位置に配設されている。
切り裂き体50は、初期状態において、段差360の左右方向延在部360aが底面視において正面側に位置し、上下方向延在部360eが底面視において略々正面側に位置し、立上り部360bが底面視において左側に位置している。
切り裂き体50は、初期状態において、回転停止雌部362が底面視において右側に位置している。
切り裂き体50は、初期状態において、刃部52の切裂き部420が底面視において正面側に位置している。
(遮蔽シート14の一部を切り裂くための手順)
つづいて、遮蔽シート14の一部を切り裂くことにより、パウチ容器本体11の収容部200と、口栓12に形成された貫通孔26とを連通し、抗感染液500を注出させることができる状態とする態様の一例について、図18~24に基づいて説明する。図18は、本発明の一実施形態に係る口栓を示す図であり、(A)が図17のXVIIIA-XVIIIA端面図、(B)がキャップを左回転させたときの羽根押し部と羽根部との関係を示す模式図である。図19は、本発明の一実施形態に係る口栓本体の回転停止雄部312の位置における幅方向に沿った断面図(図17のXIXA-XIXA断面図)であり、(A)が切り裂き体の回転角0度、(B)が切り裂き体の回転角150度、(C)が切り裂き体の回転角300度を示す図である。図20は、本発明の一実施形態に係る遮蔽シートの一部が切り裂かれる様子を示す模式平面図であり、(A)が切り裂き体の回転角0度、(B)が切り裂き体の回転角150度、(C)が切り裂き体の回転角300度を示す図である。図21は、本発明の一実施形態に係る遮蔽シートの一部が切り裂かれる様子を示す図であり、切り裂き体の回転角150度のときの高さ方向に沿った断面図である。図22は、本発明の一実施形態に係る遮蔽シートの一部を切り裂いた状態を示す図であり、切り裂き体の回転角300度のときの高さ方向に沿った断面図である。図23は、本発明の一実施形態に係る口栓本体を示す図22のフランジ部近傍の断面図である。図24は、本発明の一実施形態に係る遮蔽シートの一部を切り裂いた状態を底面側から見たときの斜視図である。
キャップ80をその垂下部92を把持して平面視左回転(反時計回り)させ(連通回転方向に回転させ、)キャップ80を上方(第1の方向)に移動させる。これにより、タンパーエビデンス84の4つの上面仮連結部412とキャップ本体82の下端部との連結が破断する。また、これと同時に、タンパーエビデンス84の側壁の内面に突設された回転停止部98が、口栓本体20の外面に突設された回転停止部42のストッパ面42bに当接し、これを乗り越えようとする。このとき、タンパーエビデンス84の内径が口栓本体20の回転停止部42により押し広げられるため、タンパーエビデンス84を周方向に仮連結する4つの側面仮連結部414も破断する。なお、タンパーエビデンス84の平面視略L字形状の2つの連結部410は、タンパーエビデンス84の内径が広がる方向に撓み、キャップ本体82の下端部と連結された状態を保つ。
タンパーエビデンス84の上面仮連結部412および側面仮連結部414の連結が破断すると、密閉されたキャップ本体82に手を加えられたことが明確となる。これにより、安全性を確保することができる。さらに、タンパーエビデンス84は、上面仮連結部412および側面仮連結部414の連結が破断しても、連結部410がキャップ本体82の下端部と連結された状態を保つ。すなわち、キャップ本体82とタンパーエビデンス84とが連結部410により常に連結された状態であるため、口栓12を開け閉めする際の使い勝手が良好となる。
上記したように、キャップ80を平面視左回転(反時計回り)させ、上方(第1の方向)に移動させることにより、タンパーエビデンス84の上面仮連結部412および側面仮連結部414の連結が破断する。これと同時に、キャップ80の頂部90から下方に延びるように形成された3つの羽根押し部86それぞれの平面視左回転(反時計回り)で見て先に現れる端部が、切り裂き体50の受動軸部54の外面に突設された3つの羽根部390の左回転(反時計回り)で見て先に現れる面に当接し、これを摺動しながら押し進める。これにより、口栓本体20に挿入された切り裂き体50も平面視左回転(反時計回り)させる。
切り裂き体50は、平面視左回転(反時計回り)すると、その外面下部に形成された被案内斜面360cが、口栓本体20の内壁に形成された案内斜面310dにガイドされて案内され、下方(第2の方向)へと進行する。すなわち、切り裂き体50は、キャップ80が移動する上方向(第1の方向)とは反対の下方向(第2の方向)に移動する。
切り裂き体50は、初期状態において、その底面の高さが、口栓本体20の底面の高さ(すなわち、貫通孔26の内開口部30の高さ)と同じまたはほぼ同じである。切り裂き体50は、この初期状態から、平面視左回転(反時計回り)させられることにより下方に移動していくと、その下端に形成された刃部52が口栓本体20の底面から回転しながら突き出てくる。このとき、刃部52の下端縁に形成された刃先端部70が、回転しながら円を描くように、口栓本体20の底面に固着された遮蔽シート14を切り裂いていく。すなわち、図20(B)(切り裂き体50が中心角150度左回転した状態の図)に示すように、遮蔽シート14を切り裂き始端部17から円弧を描くように切裂いていく。
切り裂き体50は、平面視において、中心角300度左回転(反時計回り)することにより、図20(C)に示すように、遮蔽シート14を切り裂き始端部17から切り裂き終端部18まで円弧を描くように切り裂く。このようにして、中心角300度の円弧状の切り裂き端縁19を有する垂下り部16が形成される。切り裂き体50は、初期状態から中心角300度左回転すると、切り裂き体50が下方へ移動することで羽根押し部86と羽根部390が接しなくなり、切り裂き体50の回転が止まるとともに、その被案内斜面360cの終端部近傍に形成された回転停止雌部362に、口栓本体20の案内斜面310dの始端部近傍に形成された回転停止雄部312が嵌合する。これにより、切り裂き体50は、初期状態から中心角300度左回転(反時計回り)した状態でその回転が規制され、上下方向へも移動できなくなる。
キャップ80は、キャップ本体82を手で摘み平面視左回転(反時計回り)させることにより、口栓本体20の外壁に沿って上方(第1の方向、すなわち、遮蔽シート14から離間する方向)へと移動する。そして、キャップ80は、中心軸Cを中心として回転角300度左回転(反時計回り)したとき、その垂下部92の内面に形成された右雌ネジ部88の下端部から5/6巻き分(中心角300度巻き分)だけ上方へと移動する。
切り裂き体50は、キャップ80の回転によって羽根部390により押されて、中心軸Cを中心として平面視左回転(反時計回り)することにより、口栓本体20の貫通孔26の内部を下方(第2の方向、すなわち、遮蔽シート14の側)へと移動する。そして、切り裂き体50は、初期状態から、中心軸Cを中心として回転角300度左回転(反時計回り)したとき、切り裂き体50の被案内斜面360cが口栓本体20の案内斜面310dを摺動して、その下端部(すなわち、刃部52の下端部)からフランジ部370までの距離だけ下方に移動する。すなわち、切り裂き体50は、初期状態から中心軸Cを中心として回転角300度左回転(反時計回り)したとき、その下端部からフランジ部370までの部分が、遮蔽シート14から突き出た状態になる。
このとき、フランジ部370の下端面が、わん曲した遮蔽シート14の上面に載置された状態になる。
また、キャップ80の頂部90から垂下される羽根押し部86の下端部と、切り裂き体50の上端部(すなわち、その受動軸部54の上端部)とが、軸方向において、ほぼ同じ位置になる。
そして、口栓本体20の内壁に形成された回転停止雄部312と、切り裂き体50の外壁に形成された回転停止雌部362とが互いに係合する。
キャップ80および切り裂き体50は、それぞれ、平面視左回転(反時計回り)しながら軸方向に沿って移動する。したがって、口栓本体20の筒部24、切り裂き体50およびキャップ80は、キャップ80および切り裂き体50が回転角300度左回転(反時計回り)した状態においても、それぞれ、中心軸Cが同心の略円筒状である。
口栓本体20の筒部24、切り裂き体50およびキャップ80は、それぞれ、中心軸Cが同心の略円筒状である。したがって、口栓本体20の筒部24、切り裂き体50およびキャップ80は、平面視したとき、それぞれ、中心軸C(中心点)が同心の略真円状である。
口栓12は、中心軸Cが、筒部24および貫通孔26を平面視したときの、筒部24および貫通孔26の中心、並びに筒部24および貫通孔26を正面視したときの、口栓12のおよび貫通孔26幅方向の中央を軸方向に沿って直線状に延びる。
また、口栓12は、中心軸Cが、平面視したとき、(それぞれが平面視略真円状である)口栓本体20の筒部24、切り裂き体50およびキャップ80の中心点となる。
キャップ80は、略円筒状であるため、頂部90および垂下部92を平面視したとき、それらが略真円状である。そして、キャップ80は、その外面を把持され、頂部90および垂下部92の中心並びに垂下部92の幅方向の中央を軸方向に沿ってのびる中心軸Cを仮想回転軸として、平面視左回転(反時計回り)させられることにより、軸方向に沿って上方(第1の方向)へと移動する。
切り裂き体50は、略円筒状であるため、摺動軸部54および刃部52を平面視したとき、それらが略真円状である。そして、切り裂き体50は、キャップ80の羽根押し部86にその羽根部390が押され、刃部52および摺動軸部54の中心並びに刃部52および摺動軸部54へ幅方向の中央に沿ってのびる中心軸Cを仮想回転軸として、平面視左回転(反時計回り)させられることにより、軸方向に沿って下方(第2の方向)へと移動する。
キャップ80が初期状態から中心軸Cを仮想回転軸として平面視左回転(反時計回り)させられると、キャップ80の羽根押し部86が切り裂き体50の羽根部390を押し進め、切り裂き体50も初期状態から中心軸Cを仮想回転軸として平面視左回転(反時計回り)させられる。
切り裂き体50は、初期状態から中心軸Cを仮想回転軸として平面視で回転角300度左回転(反時計回り)させられると、その回転停止雌部362に口栓本体20の回転停止雄部312が係合し、中心軸Cを仮想回転軸とした左回転(および右回転)を停止させられる。
切り裂き体50の刃部52の基礎部62は、径方向の寸法がフランジ部370のそれと同じでフランジ部370の上方にのびる大径部352と、径方向の寸法がフランジ部370のそれよりもやや小さい小径部354と、大径部352と小径部354の接続部に形成された段差360とを有する。
前記段差360は、フランジ部370の近傍において、フランジ部370と平行に(すなわち、周方向に沿って側面視左右方向に)延びる左右方向延在部360aと、左右方向延在部360aの一方の端部から上方にやや立ち上がる立上り部360bと、立上り部360bの上端部から側面視左肩上がりに傾斜し、周方向に沿って側面視左右方向に延びて基礎部62の上端まで至る被案内斜面360cと、左右方向延在部360aの他方の端部からやや右肩上がりに傾斜して上方へと延び、基礎部62の上端まで至る上下方向延在部360eとを有する。
被案内斜面360cの上端部と、上下方向延在部360eの上端部とは、周方向において離間している。すなわち、基礎部62の上端部の一部は、大径部352の上端部により構成される。大径部352の上端部の周方向の一方の端部が被案内斜面360cの上端部であり、他方の端部が上下方向延在部360eの上端部である。回転停止雌部362は、(基礎部62の上端部の一部を構成する)大径部352の上端部の周方向における略中央部に形成された側面視略四角形状の凹部である。
回転停止雌部362は、左右方向延在部360aの(平面視)右側の近傍に形成されている。
切裂き部420は、左右方向延在部360aの下方であって、回転停止雌部362の(平面視)左側の近傍に形成されている。
口栓本体20の貫通孔26の下部を構成する切り裂き体収容部44は、上記した切り裂き体50の大径部に対応した径方向の寸法を有する切り裂き体収容大径部302と、上記した切り裂き体50の小径部に対応した径方向の寸法を有する切り裂き体収容小径部304と、切り裂き体収容大径部302と切り裂き体収容小径部304の接続部に形成された段差310とを有する。
切り裂き体収容大径部302は、内開口部30の上方にのび、切り裂き体収容小径部304は、切り裂き体収容大径部302の上方にのびる。
すなわち、切り裂き体収容大径部302の側壁は、切り裂き体収容小径部304の側壁よりも貫通孔26の外径側に位置することになる。
前記段差は、貫通孔26の壁面の周方向に沿って側面視左右方向に延びる左右方向延在部310aと、左右方向延在部310aの周方向における一方の端部(左端部)から貫通孔26の壁面に沿って下方へと延びる上下方向延在部310bと、上下方向延在部310bの下端部から貫通孔26の壁面の周方向に沿って側面視左方へと延びる下端部310cと、下端部310cの左端部から側面視左肩上がりに傾斜して貫通孔26の壁面の周方向に延びる案内斜面310dとを有する。
回転停止雄部312は、前記段差310の下端部の周方向における略中央部に形成された側面視四角形状の凸部である。回転停止雄部312は、段差310を構成する下端部310cにおいて、下向きに突設された凸部である。
口栓本体20の貫通孔26に形成された回転停止雄部312は、初期状態において、切り裂き体50の刃部52に形成された段差360の左右方向延在部360aに接触またはほぼ接触する。そして、口栓本体20の回転停止雄部312は、切り裂き体50が平面視左回転(反時計回り)させられると、切り裂き体50に対して相対的に回転し、切り裂き体50の刃部52に形成された段差360の左右方向延在部360a、立上り部360b、案内斜面360cおよび上端部360dを経て、回転停止雌部362に係合する。
切り裂き体50は、初期状態から平面視左回転(反時計回り)させられることにより、下方(第2の方向)へと移動する。このとき、切り裂き体50は、底面側から見ると、右回転(時計回り)している。
すなわち、口栓12の初期状態を底面視したとき、切り裂き体50の回転停止雌部362は、口栓本体20の回転停止雄部312よりも右回転で見て中心軸Cを中心として中心角300度後退した位置(切り裂き体収容大径部302と切り裂き体収容小径部304の接続部に形成された段差310の左右方向延在部310aに対向する位置)にあり、そこから中心軸Cを中心として底面視中心角300度右回転(平面視中心軸Cを中心として中心角300度左回転)させられることにより、切り裂き体収容部44に形成された段差310を構成する案内斜面310d、下端部310cを経て、回転停止雄部312に係合する。
上記したように、切り裂き体50を中心角300度左回転(反時計回り)させることにより、遮蔽シート14の一部が切り裂かれ、パウチ容器本体11の収容部200と、切り裂き体50の注出貫通孔56(および口栓本体20の貫通孔26)とが連通する。なお、遮蔽シート14は、上記したような切裂き部420により、中心角300度しか切り裂かれない。すなわち、遮蔽シート14の残りの60度の部分が、その他の部分に繋がったままであるため、円弧状の垂下り部16が遮蔽シート14のその他の部分に垂れ下がった状態となる。したがって、遮蔽シート14を切り裂くことにより切り屑が発生しない。その結果、パウチ容器本体11の収容部200に落下しないため、切り屑を誤飲してしまうことを防止することができる。なお、上記では、切り裂き体50が中心角300度左回転させられるとして説明したが、この場合に限られず、中心角360度未満のその他の角度回転させられることにより、遮蔽シート14の切り裂かれた部分と、その他の部分とが繋がった状態となるようにしてもよい。
刃部52は、下端部から上方に向かうほどにその径方向の寸法が大きくなるように形成されている。したがって、遮蔽シート14は、その円状に切り裂かれた部分の径方向の寸法が、切り裂き体50が下方に進むほどに、刃部52の外面に押し広げられ、徐々に大きくなっていく。そして、切り裂き体50が中心角300度左回転(反時計回り)したあと、切り裂き体50のフランジ部370の底面が遮蔽シート14の上面(内面)の円状に切り裂かれた部分の外縁部に載置された状態になる。遮蔽シート14は、十分な張りを有する。したがって、刃部52に切り裂かれると垂下り部16はその他の部分から垂れ下がるが、垂下り部16を除くその他の部分(特に、切り裂き端縁19の近傍)は、いわゆるピンと張った状態を維持する。切り裂き体50は、このような遮蔽シート14の垂下り部16を除くその他の部分にそのフランジ部370が当接するため、遮蔽シート14の一部を切り裂いたあとにパウチ容器本体11の収容部200に落下してしまうことを防止できる。
さらに、本実施形態に係る切り裂き体50の刃先端部70は、上記したように、切裂き部420から平面視左回転(反時計回り)の方向にいくほど、次第に上方に向かうように緩やかに傾斜している。これにより、切り裂き体50は、初期状態から回転を開始して切刃部64により遮蔽シート14を切り裂き、さらに左回転(反時計回り)しながら下方へと移動する際、遮蔽シート14に引っ掛ることなくスムーズに遮蔽シート14を切り裂いていくことができる。
上記したように、キャップ80を平面視左回転(反時計回り)させることにより、キャップ80が上方に移動する。これにより、タンパーエビデンス84の仮連結が破断し、密閉されたキャップ82に手を加えられたことが明確となる。また、これと同時に、切り裂き体50が平面視左回転(反時計回り)しながら下方に移動する。これにより、遮蔽シート14の一部が切り裂かれ、パウチ容器本体11の収容部200と口栓本体20の貫通孔26(切り裂き体50の注出貫通孔56)とが連通する。このとき、キャップ80を中心角約300度左回転(反時計回り)させた状態である。ここからさらにキャップ80を平面視左回転(反時計回り)させることにより、キャップ80を上方に移動させ、キャップ80の内面に形成された右雌ネジ部88と、口栓本体20の外面に形成された右雄ネジ部32との螺合状態を開放し、キャップ80を口栓本体20から取り外す。このようにして、切り裂き体50に形成された注出貫通孔56の出口60(および口栓本体20に形成された外開口部28)が開放される。
(キャップ80を口栓本体20に再び取り付けるときの態様について)
なお、キャップ80を口栓本体20から取り外した後、再び取り付けることにより、口栓本体20に形成された貫通孔26の外開口部28(受動軸部54に形成された注出貫通孔56の出口60)を塞ぎ、抗感染液500がパウチ容器本体11の収容部200から外部に漏れ出すことを防止することができる。キャップ80を、口栓本体20に取り付けるため、口栓本体20の上端部に被せ、平面視右回転させることにより螺合させていくと、キャップ80に形成された3つの羽根部390の下端部が、貫通孔26に挿入された受動軸部54の羽根押し部86の上端部に突き当たりそうになる。
ここで、羽根押し部86の下端部(先端部)は、その上端部(根元部)よりも幅寸法が小さく形成されている。したがって、キャップ80を初期状態から取り外して再び取り付けたとき、その羽根押し部86が切り裂き体50の羽根部390に接触しにくくなる。なお、上記したように、キャップ80に形成された3つの羽根部390は、それぞれ、平面視したとき、左回転(反時計回り)で見て先に現れる面が突出する方向と受動軸部54の外面の接線方向とのなす角度が、左回転で見て後に現れる面が突出する方向と受動軸部54の外面の接線方向とのなす角度よりも小さくなるように形成される。また、上記したように、キャップ80に形成された3つの羽根押し部86は、それぞれ、平面視左回転で見たとき、後に現れる端部の径方向の寸法が先に現れる端部のそれよりもやや大きく形成される。羽根部390および羽根押し部86は、このような形状を有することにより、キャップ80を取り付け終わる間際に仮に干渉し合ったとしても、互いに変形して力を逃がすことができる。
(効果)
本発明の一実施形態に係るパウチ容器10は、パウチ容器本体11および口栓12の光透過率が1%以下になるように合成樹脂および金属箔により構成されているので、抗感染液500の有効成分に悪影響を及ぼすことなく長期間保管することができる。
また、本発明の一実施形態に係るパウチ容器10は、口栓12が、パウチ容器本体11の収容部200に臨む内開口部30を覆う遮蔽シート14を備え、遮蔽シート14のアルミニウム領域と収容部200のアルミニウム領域とは近接して光透過率が低下されるように構成されているので、遮蔽シート14のアルミニウム領域と収容部200のアルミニウム領域との間から侵入する光(紫外線)を抑制することができる。
さらに、本発明の一実施形態に係るパウチ容器10は、口栓12が、パウチ容器本体11の収容部200に臨む内開口部30を覆う遮蔽シート14を備え、遮蔽シート14の一部が切り裂かれて開口され、収容部200に収容された抗感染液500を注出できるように構成されているので、切り裂く角度や範囲によって、注出される抗感染液の量を加減することができ、使用に適する量を注出することができる。
本発明に係る実施例について説明する。
(1)微酸性電解水
主成分:次亜塩素酸水 100重量%
電解質:希塩酸
液性:酸性(pH5.0ないし6.5)
有効塩素濃度:10~30ppm(製造時36~40ppm)
(2)植物抽出成分を含む除菌液
植物抽出成分を含む除菌液は、エタノール60重量%、グレープフルーツ種子エキス1重量%、緑茶エキス1重量%、柿渋エキス1重量%、水(純水)37重量%を混合して作製した。
グレープフルーツ種子抽出液は、例えばノロウイルスを不活化する作用を有しているが、特に、南米産のグレープフルーツの種子抽出液は、ウイルスを不活化する効果を奏するので、それを選択した。
(3)パウチ容器
本発明に係る実施例について図26を用いて説明する。図26は、本発明の一実施形態に係るパウチ容器本体に口栓を溶着後の拡大断面図である。パウチ容器10は、パウチ容器本体11に口栓12を取り付けた、注出口の付いたスタンディングパウチである。
パウチ容器10は、平面視略長方形の第1容器シート210と平面視略長方形の第2容器シート220とを、舟形状の底部シート230と周縁で溶着するとともに、底部204と直交する左側部206で溶着したものに、底部204と反対側の注口側の上縁である第1容器シート210の上側縁216と第2容器シート220の上側縁226との間に口栓12を取り付け、上縁を溶着したものを準備した。
次に、パウチ容器10は、底部204と直交する第1容器シート210の右側縁214と第2容器シート220の右側縁224との間、すなわち第1容器シート210と第2容器シート220とが分離した間より、抗感染液500をその収容部200に流し込んだ後、第1容器シート210の右側縁214と第2容器シート220の右側縁224を溶着され、収容部200内に抗感染液500を封入した。
第1容器シート210と第2容器シート220とは、同一の層構造を備えたものであり、外側の第1層が、ポリエチレンテレフタレート(PET)、その内側の第2層が、ナイロン(NY)、その内側の第3層が、アルミニウムホイル(AL)、その内側の第4層がリニア低密度ポリエチレン(LLDPE)である、4層構造である。
最も内側の第4層のリニア低密層ポリエチレン(LLDPE)が収容部200内の抗感染液500と接する。
遮蔽シート14(厚み0.0006mm以上0.2mm以下)は、第1層側で口栓12の口栓本体20に熱溶着されており、遮蔽シート14の第4層と第1容器シート210および第2容器シート220とが溶着されて密着する。
口栓12は、ポリエチレンで成形されてなる。
口栓12の口栓本体20に接着された遮蔽シート14は、最も口栓本体20側の第1層が低密度ポリエチレン(PE)、その上の第2層がアルミニウムホイル(AL)、その上の第3層が低密度ポリエチレン(PE)、その上の第4層がポリエチレンテレフタレート(PET)である4層構造である。
遮蔽シート14は、第1層が接着剤層を構成する熱溶着層を形成し、第2層が抗感染液などの有効成分が容器10から口栓12を通して抜け出ることを防止する等、バリアー性を有する層であり、第3層および第4層が遮蔽シート14を切り裂いたときに切られた領域によって囲繞された部分が遮蔽シート14より切り離されて脱落しないように保持するための層である。
遮蔽シート14は、容器10の第1容器シート210の第4層および第2容器シート220の第4層と密接している。
最も下側の第4層が、収容部200に収容された抗感染液500と接する。
容器の大きさは、高さ210mm、幅120mm、底部の厚さ40mmである。遮蔽シート14を構成するアルミシートは、口栓本体20の底面とほぼ同じ大きさである。例えば、パウチ容器10に収容された抗感染液である微酸性電解水は、300mlである。
(実験例)
A.パウチ容器の光透過率測定試験
パウチ容器の光透過率の測定は、次のようにして測定した。
まず、本発明の実施例である口栓12にアルミニウム層を有する遮蔽シート14を備えるパウチ容器10と、口栓にアルミニウム層を有するシートを備えないパウチ容器の2種類のパウチ容器を準備し、パウチ容器の内側から照度計(URCERI会社製)を差し込み、口栓の外側にLEDライト(3点発光式)を発光させたところ、口栓にアルミニウム層を有するシートを備えないパウチ容器の場合には3.3ルクスから6.0ルクスに上昇するのに対し、口栓12にアルミニウム層を有する遮蔽シート14を備えるパウチ容器10の場合には1.7ルクスのままで変化はなかった。
B.微酸性電解水の塩素濃度の変化
本発明の実施例である口栓12にアルミニウム層を有する遮蔽シート14を備えるパウチ容器10に微酸性電解水を充填し、3日に1回、24000ルクスの光を照射し、7日間繰り返して微酸性電解水の塩素濃度を測定した。
一方、比較例として、透明パウチ容器に、微酸性電解水を充填し、3日に1回、24000ルクスの光を照射し、7日間繰り返して微酸性電解水の塩素濃度を測定した。
実施例のパウチ容器10に収容した微酸性電解水の塩素濃度は、実施例においては塩素濃度が減少しにくいことが分かった。(図29参照)
したがって、比較例においては光により塩素が分解されるのに対し、実施例においては光の侵入を抑制しているため、塩素の分解が抑制されることにより、塩素濃度が減少しにくくなるという結果となった。(図29参照)
C.植物抽出成分を含む除菌液
実施例のアルミニウム層を備えるパウチ容器に植物抽出成分を含む除菌液を充填し、植物抽出成分を含む除菌液の経時変化を観察した。
除菌・抗菌・抗ウイルス成分であるグレープフルーツ種子エキス・緑茶エキス・柿渋エキスは光によって褐変や変色することがあるが、365日間経過後、充填された植物抽出成分を含む除菌液を観察ところ、褐変や変色が見られなかった。
以上のように、本発明の実施形態は、前記記載で開示されているが、本発明は、これに限定されるものではない。
すなわち、本発明の技術的思想および目的の範囲から逸脱することなく、以上説明した実施形態に対し、機序、形状、材質、数量、位置または配置等に関して、様々の変更を加えることができるものであり、それらは、本発明に含まれるものである。
1 パウチ容器入り抗感染液
10 パウチ容器
11 パウチ容器本体
12 口栓
14 遮蔽シート
16 垂下り部
17 切り裂き始端部
18 切り裂き終端部
19 切り裂き端縁
20 口栓本体
22 接合部
24 筒部
26 貫通孔
28 外開口部
30 内開口部
32 右雄ネジ部
34 段差部
36 第1の凸部
38 第2の凸部
40 突条
42 回転停止部
42a ガイド面
42b ストッパ面
44 切り裂き体収容部
50 切り裂き体
52 刃部
54 受動軸部
56 注出貫通孔
58 入口
60 出口
62 基礎部
64 切刃部
66 切刃根元部
68 切刃底部
70 刃先端部
72 刃突部
74 切り裂き体当接支持部
76 第1の板状部
77 第2の板状部
78 切り裂き体軸部
79 遮蔽シート固着部
80 キャップ
82 キャップ本体
84 タンパーエビデンス
86 羽根押し部
88 右雌ネジ部
90 頂部
92 垂下部
98 回転停止部
200 収容部
202 注出部
204 底部
206 左側部
208 右側部
210 第1容器シート
212 左側縁
214 右側縁
216 上側縁
220 第2容器シート
222 左側縁
224 右側縁
226 上側縁
230 底部シート
302 切り裂き体収容大径部
304 切り裂き体収容小径部
310 段差
310a 左右方向延在部
310b 上下方向延在部
310c 下端部
310d 案内斜面
312 回転停止雄部
330 横リブ部
332 試験用の孔
340 縦リブ部
352 大径部
354 小径部
360 段差
360a 左右方向延在部
360b 立上り部
360c 被案内斜面
360d 上端部
360e 上下方向延在部
362 回転停止雌部
370 フランジ部
380 切欠き部
390 羽根部
410 連結部
412 上面仮連結部
414 側面仮連結部
420 切裂き部
422 刃傾斜部
424 刃終端部
426 刃上下延在部
500 抗感染液
C 中心軸

Claims (6)

  1. 口栓を備えたパウチ容器に抗感染液が収容されたパウチ容器入り抗感染液であって、
    前記パウチ容器のパウチ容器本体および前記口栓は、光透過率が低下された構造を備え、
    前記抗感染液が変質しないで保存することができ、前記抗感染液を供給できるように構成されていることを特徴とする、
    パウチ容器入り抗感染液。
  2. 前記パウチ容器本体および前記口栓は、光透過率が1%以下になるように合成樹脂および金属箔の積層体により構成された、請求項1に記載のパウチ容器入り抗感染液。
  3. 前記抗感染液は、微酸性電解水である、請求項1または2に記載のパウチ容器入り抗感染液。
  4. 前記抗感染液は、エタノール、グレープフルーツ種子エキス、緑茶エキス、柿渋エキスを含む、請求項1または2に記載のパウチ容器入り抗感染液。
  5. 前記口栓は、前記パウチ容器本体の収容部に臨む内開口部を覆う遮蔽シートを備え、前記遮蔽シートのアルミニウム領域と前記収容部のアルミニウム領域とは近接して光透過率が低下されるように構成された、請求項1ないし4のいずれかに記載のパウチ容器入り抗感染液。
  6. 前記口栓は、前記パウチ容器本体の収容部に臨む内開口部を覆う遮蔽シートを備え、前記遮蔽シートの一部が切り裂かれて開口され、前記収容部に収容された抗感染液を注出できるように構成されたことを特徴とする、請求項1ないし5のいずれかに記載のパウチ容器入り抗感染液。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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KR102644268B1 (ko) * 2023-03-19 2024-03-07 류양렬 수액팩 커버용 차광필름커버

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