JP2022111533A - PPARγ発現量増進剤 - Google Patents

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満智子 西岡
Machiko Nishioka
典永 西田
Norinaga Nishida
誠一郎 青江
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Abstract

【課題】PPARγ発現量増進剤を提供すること。【解決手段】ユーグレナ、パラミロン、パラミロン加工物、及びβ-1,3-グルカンからなる群より選択される少なくとも1種を含有する、PPARγ発現量増進剤。【選択図】なし

Description

本発明は、PPARγ発現量増進剤等に関する。
PPARγ(Peroxisome Proliferator-Activated Receptor-γ:ペルオキシゾーム増殖剤応答性受容体-γ)は、転写因子PPARの内の1つとして知られている。PPARγは、内皮細胞、血管平滑筋細胞、マクロファージ等において発現し、抗動脈硬化作用、抗糖尿病作用、抗炎症作用等に関与することが知られており、また近年では日内リズムの形成に重要であることが報告されている。
ユーグレナは、ミドリムシ属(=ユーグレナ属)に属する微細藻類であり、食品材料として利用されている。また、ユーグレナ抽出物を皮膚に適用することも行われている(特許文献1)。また、パラミロンは、ミドリムシが産生するβ-1,3-グルカンであり、創傷治療やアレルギー抑制などに有用であることが報告されている。しかしながら、ユーグレナやβ-1,3-グルカンとPPARγとの関連については未だしられていない。
特表2008-526954号公報
本発明は、PPARγ発現量増進剤を提供することを課題とする。
本発明者は、上記課題に鑑みて鋭意研究した結果、ユーグレナ、パラミロン、パラミロン加工物、及びβ-1,3-グルカンからなる群より選択される少なくとも1種を含有する、PPARγ発現量増進剤、であれば、上記課題を解決できることを見出した。この知見に基づいてさらに研究を進めた結果、本発明が完成した。即ち、本発明は、下記の態様を包含する。
項1. ユーグレナ、パラミロン、パラミロン加工物、及びβ-1,3-グルカンからなる群より選択される少なくとも1種を含有する、PPARγ発現量増進剤。
項2. ユーグレナ、パラミロン、及びパラミロン加工物からなる群より選択される少なくとも1種を含有する、項1に記載のPPARγ発現量増進剤。
項3. ユーグレナ及び/又はパラミロンを含有し、且つ
前記ユーグレナがユーグレナ・グラシリスである且つ/或いは前記パラミロンがユーグレナ・グラシリス由来のパラミロンである、
項1又は2に記載のPPARγ発現量増進剤。
項4. 前記ユーグレナ及び/又はパラミロンを含有し、且つ
前記ユーグレナがユーグレナ・グラシリスEOD-1株(受託番号FERM BP-11530)である且つ/或いは前記パラミロンがユーグレナ・グラシリスEOD-1株(受託番号FERM BP-11530)由来のパラミロンである、
項1又は2に記載のPPARγ発現量増進剤。
項5. 腸組織におけるPPARγ発現量の増進に用いるための、項1~4のいずれかに記載のPPARγ発現量増進剤。
項6. 前記腸組織が小腸組織である、項5に記載のPPARγ発現量増進剤。
項7. 食品組成物、栄養補助食品、食品添加剤、又は医薬である、項1~6のいずれかに記載のPPARγ発現量増進剤。
項8. 経口組成物である、項1~7のいずれかに記載のPPARγ発現量増進剤。
本発明によれば、PPARγ発現量増進剤を提供することができる。
試験例1のPPARγ発現量の測定結果を示すグラフである。縦軸は、反転腸管のPPARγ mRNA発現量の、リファレンスである36B4 mRNA発現量に対する比である。横軸中、セルロース群は、結晶セルロースを添加した反応液を使用した群であり、パラミロン群は、パラミロンを添加した反応液を使用した群である。両群間の有意差(対応のあるt検定)は1%未満であった。
本明細書中において、「含有」及び「含む」なる表現については、「含有」、「含む」、「実質的にからなる」及び「のみからなる」という概念を含む。
本発明は、その一態様において、ユーグレナ、パラミロン、パラミロン加工物、及びβ-1,3-グルカンからなる群より選択される少なくとも1種を含有する、PPARγ発現量増進剤(本明細書において、「本発明の剤」と示すこともある。)に関する。以下に、これについて説明する。
1.ユーグレナ
ユーグレナは、ミドリムシ属(=ユーグレナ属)に属する微細藻類であり、その限りにおいて特に制限されない。ユーグレナとして、具体的には、例えばEuglena gracilis(ユーグレナ・グラシリス)、Euglena longaEuglena caudataEuglena oxyurisEuglena tripterisEuglena proximaEuglena viridisEuglena sociabilisEuglena ehrenbergiiEuglena desesEuglena pisciformisEuglena spirogyraEuglena acusEuglena geniculataEuglena intermediaEuglena mutabilisEuglena sanguineaEuglena stellataEuglena terricolaEuglena klebsiEuglena rubraEuglena cyclopicolaなどが挙げられる。これらの中でも、本発明の効果をより確実に発揮できるという観点から、好ましくはユーグレナ・グラシリスが挙げられ、より好ましくはユーグレナ・グラシリスEOD-1株[2013年6月28日付で独立行政法人製品評価技術基盤機構 特許生物寄託センター{NITE-IPOD(郵便番号292-0818 日本国千葉県木更津市かずさ鎌足2-5-8 120号室)}にブダペスト条約の規定下で、受託番号FERM BP-11530として国際寄託済み]が挙げられる。
ユーグレナの形態は、ユーグレナの細胞体又はその成分の大半を含むものである限り、特に制限されない。ユーグレナの形態としては、例えばユーグレナの乾燥粉末形態、ユーグレナの懸濁液、ユーグレナエキス等が挙げられ、中でも、好ましくはユーグレナの乾燥粉末形態が挙げられる。
ユーグレナの乾燥状態におけるパラミロン含有率は、例えば50%以上、好ましくは60%以上、より好ましくは70%以上である。
ユーグレナは、1種単独であってもよいし、2種以上の組み合わせであってもよい。
2.β-1,3-グルカン、パラミロン
β-1,3-グルカンは、グルコースがβ1,3結合のみで連結してなる1本の糖鎖(又は糖鎖構造)を主鎖として有するものであれば特に制限されない。β-1,3-グルカンは、直鎖状のものに限らず、分枝鎖を有するものも包含する。
β-1,3-グルカン誘導体の重量平均分子量は、特に限定されないが、例えば1×104~2×106、好ましくは5×104~1×106、更に好ましくは1×105~1×106ある。なお、重量平均分子量は、GPC法により測定することができる。
β-1,3-グルカンは、化学合成により得られたものであってもよいが、入手容易性等の観点から、各種生物が産生する天然β-1,3-グルカンが好ましい。天然β-1,3-グルカンとしては、例えばパラミロン、カードラン、ラミナラン、カロース、レンチナン、シゾフィラン等が挙げられる。これらの中でも、特に好ましくはパラミロンが挙げられる。以下、パラミロンについて説明する。
パラミロンは、ユーグレナ由来のβ-1,3-グルカンであり、その限りにおいて特に制限されない。
パラミロンが由来するユーグレナについては、上記「1.ユーグレナ」における説明と同様である。
パラミロンの質量平均分子量は、特に限定されないが、例えば1×104~5×106、好ましくは2×104~1×106、より好ましくは5×104~1×106、さらに好ましくは1×105~5×105である。
なお、質量平均分子量は、SEC-MALS分析により、以下の条件で測定 することができる:
検出器:多角度散乱検出器(Wyatt Technology製DAWN HELEOS II)
示差屈折計検出器(Wyatt Technology製Optilab T-rEX)
使用カラム:TSKgel α-M 2本(東ソー製)
移動相:0.05M臭化カリウム添加DMSO
流 速:0.5 mL/min。
パラミロンは、ユーグレナの細胞内において、通常、β-1,3-グルカン鎖が形成する3重螺旋構造体が一定の規則性の基に高度に集積してなるパラミロン粒子として存在している。
パラミロン粒子の形状は、特に制限されないが、通常は、偏平な回転楕円体状である。
パラミロン粒子の粒子径分布は、特に制限されないが、例えば0.5~15μm、好ましくは1~6μmである。また、パラミロン粒子の平均粒子径も特に制限されないが、例えば1~10、好ましくは2~4μmである。
パラミロンの形態は、パラミロンを含むものである限り、特に制限されない。ユーグレナの形態としては、例えばパラミロンの乾燥粉末形態、パラミロンの懸濁液等が挙げられ、中でも、好ましくはパラミロンの乾燥粉末形態が挙げられる。
パラミロンは、1種単独であってもよいし、2種以上の組み合わせであってもよい。
3.ユーグレナ及びパラミロンの製造方法
ユーグレナは、液体に含まれたユーグレナを培養する工程(培養工程)を含む方法により、大量に調製することが可能である。培養工程は、例えば公知の方法(例えば、特許第5883532号公報に記載の方法)に従って行うことができる。該培養工程では、典型的には、水と、ユーグレナと、ユーグレナが利用できる栄養素とを含む液体(培養液)を撹拌しつつ好気条件でユーグレナ属微細藻類を培養する。
栄養素としては、糖類(グルコース(ブドウ糖)、フルクトース(果糖)などの単糖類)、ミネラル類(例えばナトリウム、カリウム、マグネシウム、カルシウム、鉄、亜鉛、モリブデン、銅、リン、窒素、硫黄、又は、ホウ素など)、ビタミンB類(例えばビタミンB1(チアミン)、ビタミンB2(リボフラビン)、ナイアシン、パントテン酸、ビタミンB6(ピリドキシン、ピリドキサール、又はピリドキサミン)、ビタミンB12(シアノコバラミン)、葉酸、ビオチンなど)などが挙げられる。培養液中の栄養素の濃度は、ユーグレナの生存、増殖等が可能な濃度である限り特に制限されない。
培養工程の光条件は特に制限されず、培養工程は明条件と暗条件のいずれで行われてもよい。従属栄養培養にて培養する際には暗条件で培養される。明条件としては、藻類を増殖させるための通常の光強度を採用することができる。暗条件としては、例えば10μmol/m2/s未満、好ましくは光が全く当たらない完全な暗所条件が挙げられる。
培養工程における培養温度は、ユーグレナが増殖できる温度であれば、特に限定されない。該培養温度(培養液の温度)としては、例えば、20℃~35℃が採用される。
培養工程における液体のpHは、ユーグレナが増殖できるpHであれば、特に限定されない。ユーグレナが増殖できるpHとしては、例えば3.0~5.5が採用される。
培養工程の後に、液体の遠心分離や重力分離などによってユーグレナを濃縮することが好ましい。得られたユーグレナは、所望の形態に応じて、追加の処理(例えば、液体への懸濁、水中又は油中への分散、エキス抽出、乾燥粉末化等)に供することができる。
パラミロン粒子は、公知の方法(例えば特許第5883532号公報に記載の方法)に従って又は準じて、ミドリムシから分離、単離、又は精製することによって製造することができる。パラミロン粒子は、例えばミドリムシの細胞膜を破壊することによって得られる細胞内容成分を回収することによって、容易に得ることができる。また、必要に応じて、パラミロン粒子を精製してもよい。パラミロン粒子の精製については各種知られており(例えば、特許第5883532号公報)、それらの方法に従って行うことができる。精製工程としては、例えば、界面活性剤処理工程、洗浄工程などが挙げられる。得られたユーグレナは、所望の形態に応じて、追加の処理(例えば、液体への懸濁、水中又は油中への分散、乾燥粉末化等)に供することができる。
4.パラミロン加工物
パラミロン加工物は、パラミロンに対して加工処理、例えば物理処理、化学処理等することによって得られるものであり、その限りにおいて特に制限されない。パラミロン加工物としては、例えば、繊維化パラミロン、アモルファスパラミロン等が挙げられる。アモルファルパラミロンは、公知の方法に従って又は準じて、例えば特開2011-184592号公報に記載の方法を用いて化学的に処理することにより、得ることができる。
パラミロン加工物としては、繊維化パラミロンが好ましい。以下に、繊維化パラミロンについて説明する。
繊維化パラミロンは、ユーグレナ由来のβ-1,3-グルカンであり、繊維状の形態のものである限りにおいて特に制限されない。これまで、パラミロン粒子を化学処理(アルカリ処理等)して得られたアモルファスパラミロンが報告されているが、これは、電子顕微鏡で観察すると繊維化であるとは認められず、形や大きさが不定形の塊であるため、繊維化パラミロンには包含されない。
繊維化パラミロンの重量平均分子量は、特に限定されないが、例えば1×104~2×107、好ましくは1×105~5×105である。
なお、重量平均分子量は、SEC-MALS分析により、以下の方法で測定することができる:
検出器:多角度散乱検出器(Wyatt Technology製DAWN HELEOS II)
示差屈折計検出器(Wyatt Technology製Optilab T-rEX)
使用カラム:TSKgel α-M 2本(東ソー製)
移動相:0.05M臭化カリウム添加DMSO
流 速:0.5 mL/min。
繊維化パラミロンの繊維の直径は、特に制限されないが、例えば10~500 nm、好ましくは20~300 nm、より好ましくは50~200 nmである。繊維化パラミロンの繊維の直径は、通常、繊維化パラミロンの電子顕微鏡像に基づいて測定することができる。
繊維化パラミロンの水中沈定体積は、特に制限されないが、例えば30~300 mL/g、好ましくは50~250 mL/g、より好ましくは70~200 mL/gである。
水中沈定体積は以下の方法に従って又は準じて測定することができる:
「日本食物繊維学会監修、日本食物繊維学会編集委員会編(2008)食物繊維 ‐基礎と応用‐ 第3版, p.111 第一出版, 東京」に記載されている方法に準じて測定を行う。具体的には、次の通りである。サンプルのスラリー状の試験試料を、25 mL容積のプラスチックチューブに、乾燥質量換算で125 mg計り取り、プラスチックチューブを手で激しく振って、内容物を撹拌する。その後、25 mL容積のメスシリンダーに内容物を移し、25 mLになるまで純水を加える。メスシリンダー内の液体を撹拌した後、37℃で24時間静置する。これによりサンプルが沈殿し、界面を介して分けられる2つの層(沈殿したサンプルを主に含む層(下層)、及び水を主に含む層(上層))が生じる。下層の体積をメスシリンダーの目盛から求め、得られた体積をサンプル質量(乾燥質量)で除して、水中沈定体積(mL/g)を算出する。試験は3回又は4回行い、平均値及び標準偏差を算出する。
繊維化パラミロンは、酵素による分解に対して、比較的高い耐性を有する。例えば、βグルカナーゼの分解により生成されるモノマー(グルコース)の量は、繊維化パラミロン1 g当たり、例えば0.1~50 mg、好ましくは1~10 mgである。
この量は以下の方法に従って又は準じて測定することができる:
反応液[被検物質30 mg(乾燥重量)、緩衝液(東京化成工業社製 B0156、フタル酸水素カリウム-水酸化ナトリウムバッファー (pH4.0))5 mL、酵素液(日本バイオコン社製 endo-1,3-β-Glucanase (酵素含有量:50 units/mL))0.1 mL、純水、反応液量 10 mL]を調製し、40℃で24時間、45 rpmで水平振盪する。振盪後、直ちに凍結保存し、濃縮のために凍結乾燥する。凍結乾燥後、各試料に純水を0.5 mLずつ加え、攪拌する(20倍濃縮)。遠心分離(10000G、5分間、4℃)し、上澄を回収する作業を2回繰り返す。回収した上澄中のグルコース濃度を、測定キット(和光純薬工業社製、グルコースCII-テストワコー)を用いて測定する。測定値に基づいて、被検物質1 g当たりのグルコース生成量(mg)を算出する。
繊維化パラミロンは、アルカリ溶液への溶解性が、比較的低い。例えば、繊維化パラミロンは、0.1~0.3Mの水酸化ナトリウム水溶液に対して溶解しない。ここで、「溶解しない」とは、例えば、当該水溶液に繊維化パラミロンを懸濁した後(例えば、直後~1時間経過後)の溶液の吸光度(660 nm)が、例えば0.1以上、好ましくは1.0以上であることを意味する。
溶解性は以下の方法に従って又は準じて測定することができる:
被検物質250 mg(乾燥重量)をバイアル中の試験液(純水、0.1M NaOH水溶液、0.3M NaOH水溶液)10 mLに懸濁する。バイアルを20秒間、手で激しく振った後、およびシェーカーで80 rpmで1時間振盪した後に、それぞれバイアル中の液の660 nmにおける吸光度を測定する。なお、吸光度の測定は、日本分光株式会社製分光光度計 V-730を用いて行う。
繊維化パラミロンの結晶化度の粒状パラミロンに対する相対値(繊維化パラミロンの結晶化度/粒状パラミロンの結晶化度)は、例えば0.60~0.90、好ましくは0.65~0.80である。
結晶化度は以下の方法に従って又は準じて測定することができる:
被検物質について、XRD測定する。条件は次のとおりである。機器:PANalytical X’Pert3 Powder、管電圧:45kV、管電流:40mA、測定範囲:5.005~50.018°、測定間隔:0.013°、解析ソフト:HighScore。結晶化度は2θ=5~80°における非晶質部の強度と結晶部の強度の比により解析する。解析は各測定テ一夕から装置によるバックグラウンドを除去(バックグラウンド設定Auto、ベンティングファクター0、粒状度100)した後に実施し、非晶質部は2θ=14、29°を通る接線で決定する。それぞれの非晶質部を決定するペンディングファクターと粒状度の条件は、0/20とする。
繊維化パラミロンは、水などの溶媒に分散した形態であってもよいし、乾燥形態であってもよい。繊維化パラミロンは、乾燥形態であっても、水に再分散することが可能である。
なお、本明細書において、「乾燥形態」とは、水分含量が15質量%以下、好ましくは10質量%以下、より好ましくは5質量%以下であることを示す。
繊維化パラミロンとしては、好ましくはこのパラミロン粒子を物理的に解繊処理して得られる、パラミロン粒子の解繊物を用いることができる。また、この解繊処理をユーグレナに適用することによって得られる、ユーグレナの解繊処理物を、繊維化パラミロンとして用いることもできる。
解繊処理は、パラミロン粒子中に存在するβ-1,3グルカンの水素結合をほとんど切断せずに(例えば、β-1,3グルカンの水素結合の10%以下、5%以下、2%以下、1%以下しか切断せずに)解繊することができる処理、又はパラミロン粒子中に存在するβ-1,3-グルカン鎖又はこれが形成する3重螺旋構造体の一部又は全部を解くことができる処理である限り特に制限されない。好ましくはパラミロン粒子中に存在するβ-1,3グルカンの水素結合をほとんど切断せずに解繊処理し、繊維状とすることが好ましい。パラミロン粒子の様な微粒子を摩砕(せん断)又は粉砕(好ましくは摩砕(せん断))することができる公知の処理を、解繊処理として採用することができる。
解繊処理は、公知の摩砕機(せん断機)、粉砕機などの装置を用いて行うことができる。解繊処理に用いる装置としては、例えば石臼式摩砕機、ジェットミル、二軸混練機、高圧ホモジナイザー、高圧乳化機、二軸押し出し機、ビーズミルなどが挙げられる。これらの中でも、好ましくは石臼式摩砕機やビーズミルが挙げられる。
解繊処理は、湿式で行うことも、乾式で行うこともできる。湿式で解繊処理を行う方が、繊維化パラミロンをより効率的に溶液中に分散させることが可能となり、好ましい。湿式で行う場合の溶媒としては、繊維化パラミロンを分散可能な溶媒である限り特に制限されず、水を好適に用いることができる。
解繊処理は、1種単独であってもよいし、2種以上の組み合わせであってもよい。また、一部が解繊処理されたパラミロンであってもよく、解繊処理されたパラミロンを含む限り本発明の意図するものである。
5.用途
ユーグレナ、パラミロン、パラミロン加工物、及びβ-1,3-グルカンからなる群より選択される少なくとも1種(以下、「本発明の有効成分」と示すこともある。)は、PPARγ発現量増進作用、より具体的には各組織(例えば腸組織、腎臓、肝臓、骨髄、胎盤、血管平滑筋、脂肪組織、免疫系細胞、心臓等、特に腸組織(中でも小腸組織))におけるPPARγ発現量の増進作用を有することから、PPARγ発現量増進剤の有効成分として利用することができる。
本発明の有効成分は、PPARγ発現量の増進作用に基づいて、PPARγが関連する各種用途、例えば抗動脈硬化、抗糖尿病(糖尿病の予防又は改善)、抗炎症(炎症の予防又は改善)、抗がん(がんの予防又は改善)、糖及び/又は脂質代謝改善、酸化ストレスの抑制、日内リズム改善(例えば、(例えば血管における)BMAL1等の時計遺伝子等の転写調整、それによる血圧の日内変動の安定化等)、免疫系の調節、抗リウマチ等の用途に用いることも可能である。なお、「改善」とは、症状又は状態の好転又は緩和、症状又は状態の悪化の防止又は遅延、症状又は状態の進行の逆転、防止又は遅延を意味し、「治療」を包含する。本発明の有効成分は、好ましくは、これらの用途の内の複数(2つ以上、より好ましくは3つ以上、さらに好ましくは4つ以上、よりさらに好ましくは5つ以上、よりさらに好ましくは6つ以上)の用途を含む包括的な用途に利用することができる。
さらには、本発明の有効成分は、以下に列挙する用途、目的、対象:
(a)しなやかな血管を維持したい方に
(b)血糖値が気になる方に
(c)糖や脂質を多く含む食事を好まれる方に
(d)メタボが気になる方に
(e)健康な腸を維持したい方に
(f)関節が気になる方に
(g)生活リズムの乱れが気になる方に
等に利用することもできる。
本発明の剤は、各種分野において、例えば食品組成物(健康食品、健康増進剤、栄養補助食品(サプリメントなど)を包含する)、食品添加剤、化粧品、化粧品添加剤、医薬、試薬、飼料などとして用いることができる。本発明の剤は、好ましくは経口組成物である。
本発明の剤の形態は、特に限定されず、用途に応じて、各用途において通常使用される形態をとることができる。
本発明の剤の形態としては、用途が食品組成物の場合は、液状、ゲル状あるいは固形状の食品、例えばジュース、清涼飲料、茶、スープ、豆乳などの飲料、サラダ油、ドレッシング、ヨーグルト、ゼリー、プリン、ふりかけ、育児用粉乳、ケーキミックス、乳製品(例えば、粉末状、液状、ゲル状、固形状等)、パン、菓子(例えば、クッキー等)などが挙げられる。
本発明の剤の形態としては、用途が化粧品である場合は、例えば乳液、化粧液、フェイスクリーム、ハンドクリーム、ローション、ボディソープ、シャンプー、リンス、化粧用ゲル、パック、ファンデーション、リップクリーム、洗顔剤等が挙げられる。
本発明の剤の形態としては、用途が医薬である場合は、例えば軟膏剤、外用液剤(リニメント剤、ローション剤等)、スプレー剤(外用エアゾール剤、ポンプスプレー剤等)、クリーム剤、ゲル剤、貼付剤(プラスター剤、硬膏剤等のテープ剤(リザーバー型、マトリックス型等)、パップ剤、パッチ剤、マイクロニードル等)、点眼剤、眼軟膏剤、点鼻剤、坐剤、直腸用半固形剤、注腸剤等の非経口摂取に適した製剤形態(特に、外用製剤形態); 錠剤(口腔内側崩壊錠、咀嚼可能錠、発泡錠、トローチ剤、ゼリー状ドロップ剤などを含む)、丸剤、顆粒剤、細粒剤、散剤、硬カプセル剤、軟カプセル剤、ドライシロップ剤、液剤(ドリンク剤、懸濁剤、シロップ剤を含む)、ゼリー剤などの経口摂取に適した製剤形態(経口製剤形態)が挙げられる。
本発明の剤の形態としては、用途が添加剤、健康増進剤、栄養補助食品(サプリメントなど)などである場合は、例えば錠剤(口腔内側崩壊錠、咀嚼可能錠、発泡錠、トローチ剤、ゼリー状ドロップ剤などを含む)、丸剤、顆粒剤、細粒剤、散剤、硬カプセル剤、軟カプセル剤、ドライシロップ剤、液剤(懸濁剤、シロップ剤を含む)、ゼリー剤などが挙げられる。
本発明の剤は、必要に応じてさらに他の成分を含んでいてもよい。他の成分としては、食品組成物(健康食品、健康増進剤、栄養補助食品(サプリメントなど)を包含する)、食品添加剤、化粧品、化粧品添加剤、医薬、試薬、飼料などに配合され得る成分である限り特に限定されるものではないが、例えば基剤、担体、溶剤、分散剤、乳化剤、緩衝剤、安定剤、賦形剤、結合剤、崩壊剤、滑沢剤、増粘剤、着色料、香料、キレート剤などが挙げられる。
本発明の剤における有効成分の含有量は、用途、使用態様、適用対象の状態などに左右されるものであり、限定はされないが、例えば0.0001~100質量%、好ましくは0.001~50質量%とすることができる。
本発明の剤の適用(例えば、投与、摂取、接種など)量は、PPARγ発現量増進作用を発現する有効量であれば特に限定されず、通常は、有効成分の乾燥重量として、一般に一日あたり0.1~10000 mg/kg体重である。上記適用量は1日1回以上(例えば1~3回)に分けて適用するのが好ましく、年齢、病態、症状により適宜増減することもできる。
本発明の好ましい一態様において、ユーグレナ適用量(乾燥重量)は、1日あたり、好ましくは100~1000mg、より好ましくは250~750mg、さらに好ましくは400~600mgである。適用は1日1回とすることが好ましく、また毎日適用することが好ましい。適用期間は、好ましくは3日間以上、より好ましくは1週間以上、さらに好ましくは2週間以上、よりさらに好ましくは4週間以上、とりわけ好ましくは6週間以上、特に好ましくは8週間以上である。本発明の有効成分は天然由来であり安全性が高いので適用期間の上限は特に制限されないが、例えば3年間、1年間、6ヶ月間、3ヶ月間、又は2ヶ月間である。
以下に、実施例に基づいて本発明を詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例によって限定されるものではない。
参考例1
パラミロン粒子を以下のようにして調製した。
準備したユーグレナ・グラシリスEOD-1株(培養後、乾燥前の状態のもの)を、5フラスコ分の液体を集め、集めた液体を遠心管内で遠心分離(500×g、4分間、室温)した。遠心管内の上澄み液をいったん取り除いて回収した。回収した上澄み液を遠心管に入れて遠心管内の沈殿物を分散させ、100 mL容積のメスシリンダーに全て移した。さらに、メスシリンダーに、回収した上澄み液を加えて、90 mLにメスアップした。
[酵素処理工程]
90 mLにメスアップした液体を200 mLビーカーに移し、撹拌しながら塩酸水溶液を添加することによって液体のpHを3に調整した。タンパク質分解酵素(酸性プロテアーゼ 製品名「プロテアーゼYP-SS」ヤクルト薬品工業社製 至適pH2.5~3.0)を5 g/L濃度となるように液体に添加した。液体を撹拌しつつ50℃にて2時間、酵素処理を施した。
[界面活性剤処理工程]
ドデシル硫酸ナトリウムの濃度が3.0質量/容量(w/v)%となるように、酵素処理工程を経た液体に、ドデシル硫酸ナトリウムの水溶液を加えた。ドデシル硫酸ナトリウムを含む液体を撹拌しつつ、塩酸水溶液の添加によって液体のpHを3に調整した。さらに、液体をプロペラ撹拌機(回転速度200 rpm)で60℃にて30分間撹拌した。
[分離工程]
遠心分離(1000×g、2分間、室温)によってパラミロンを沈殿させ、界面活性剤処理工程を経た液体から、パラミロンを分離した。ドデシル硫酸ナトリウムの濃度が1.0質量/容量%となるように変更した点、pHを調整しなかった点以外は、同様にしてさらに界面活性剤処理工程を行った。その後、上記と同様にして分離工程を行った。このようにして、界面活性剤処理工程及び分離工程をそれぞれ3回ずつ行った。
[洗浄工程]
分離工程において遠心分離によって沈殿したパラミロンを、純水によって懸濁させ、40℃にて10分間静置した。次に、遠心分離(1000×g、2分間、室温)によってパラミロンを沈殿させた。このような操作を合計3回行った。
[乾燥工程]
洗浄工程において遠心分離によって沈殿したパラミロンを、50℃にて乾燥させて、パラミロン粒子を得た。得られたパラミロン粒子を、以下の試験例でパラミロンとして用いた。
試験例1.PPARγ発現量に対する影響の解析
反転腸管試験法により、PPARγ(Peroxisome Proliferator-Activated Receptor-γ)発現量に対するパラミロンの影響を調べた。具体的には、以下のようにして行った。
固形飼料(NMF;オリエンタル酵母工業)で飼育した15週齢のアダルトマウス(C57BL/6J)から回腸(盲腸から5cm部位)を摘出し、反転させた。マウス1匹から2個の反転腸管を作成し、反転腸管内は30mMトリス塩酸緩衝液(pH7.4)で満たして両端を結紮した。腸管はマウス5匹から採取した。一方、反転腸管の調製とは別に、125mM NaCl、10mM果糖、0.25mM CaCl2を含む30mMトリス塩酸緩衝液(pH7.4)に終濃度が5質量%になるように結晶セルロース又はパラミロン(参考例1)を懸濁させて、反応液を調製した。反転腸管を、反応液に浸漬し、酸素を流入させながら37℃の恒温槽の中で振盪しながら90分間反応させた。反応後、内容液を除去し、RNA later(キアゲン)に保存した。反応後の反転腸管からRneasy mini kitを用いてRNAを抽出後、cDNAを調製した。リアルタイムPCR(QuantStudio 3、サーモフィッシャー製)を用いて、サイバーグリーン法によりPPARγの発現量をΔΔCt法で相対定量した。なお、PPARγのPCRプライマーとしては、次の8つのtranscript variant全てを検出できるプライマーを使用した:XM_036165927.1、XM_017321456.3、XM_030255223.2、XM_017321455.3、XM_006505739.4、XM_006505738.5、XM_006505737.5、及びXM_006505743.4。リファレンス遺伝子は36B4を用いた。
結果を図1に示す。図1に示されるように、パラミロンを含む反応液を用いた場合の方がPPARγの発現量が高かった。このことから、パラミロンがPPARγ発現量増進作用を有することが分かった。また、ユーグレナはパラミロンを含むので、ユーグレナもまた、PPARγ発現量増進作用を有すると考えられた。

Claims (8)

  1. ユーグレナ、パラミロン、パラミロン加工物、及びβ-1,3-グルカンからなる群より選択される少なくとも1種を含有する、PPARγ発現量増進剤。
  2. ユーグレナ、パラミロン、及びパラミロン加工物からなる群より選択される少なくとも1種を含有する、請求項1に記載のPPARγ発現量増進剤。
  3. ユーグレナ及び/又はパラミロンを含有し、且つ
    前記ユーグレナがユーグレナ・グラシリスである且つ/或いは前記パラミロンがユーグレナ・グラシリス由来のパラミロンである、
    請求項1又は2に記載のPPARγ発現量増進剤。
  4. 前記ユーグレナ及び/又はパラミロンを含有し、且つ
    前記ユーグレナがユーグレナ・グラシリスEOD-1株(受託番号FERM BP-11530)である且つ/或いは前記パラミロンがユーグレナ・グラシリスEOD-1株(受託番号FERM BP-11530)由来のパラミロンである、
    請求項1又は2に記載のPPARγ発現量増進剤。
  5. 腸組織におけるPPARγ発現量の増進に用いるための、請求項1~4のいずれかに記載のPPARγ発現量増進剤。
  6. 前記腸組織が小腸組織である、請求項5に記載のPPARγ発現量増進剤。
  7. 食品組成物、栄養補助食品、食品添加剤、又は医薬である、請求項1~6のいずれかに記載のPPARγ発現量増進剤。
  8. 経口組成物である、請求項1~7のいずれかに記載のPPARγ発現量増進剤。
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