JP2022109920A - 交差反応性siglec抗体 - Google Patents

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Abstract

【課題】癌などの疾患を処置することにおける使用のための、Siglec-7およびSiglec-9を標的とする治療剤を提供する。【解決手段】ヒトSiglec-7ポリペプチドおよびヒトSiglec-9ポリペプチドに特異的に結合する単離モノクローナル抗体であって、前記抗体が、Siglec発現NK細胞が標的細胞表面上に前記Siglecのリガンドを保有する標的ヒト細胞と接触させられると、前記Siglec発現NK細胞においてCD137発現の上昇を引き起こすものである、抗体である。【選択図】なし

Description

関連出願の相互参照
本願は、その全体において参照により本明細書中に組み込まれる2014年9月10日提出の米国仮特許出願第62/048,292号明細書の利益を主張する。
配列表の参照
本願は、電子方式の配列リストとともに提出されている。本配列リストは、2015年9月8日作成の「Siglec7-9_ST25」という名称で提供されており、サイズは60kBである。本配列リストの電子方式の情報は、その全体において参照により本明細書中に組み込まれる。
本発明は、リンパ球における複数のSiglecの阻害活性を中和する抗体を含む、複数のSiglecに結合する物質に関する。このような物質は、癌または感染性疾患の処置のために使用され得る。
NK細胞は、リンパ球前駆細胞から骨髄で発生する単核細胞であり、形態学的特徴および生物学的特性としては、一般的に、クラスター決定基(CD)CD16、CD56および/またはCD57の発現;細胞表面上にアルファ/ベータまたはガンマ/デルタTCR複合体がないこと;「自己」主要組織適合抗原複合体(MHC)/ヒト白血球抗原(HLA)タンパク質を発現できない標的細胞に結合し、これを死滅させる能力;およびNK受容体を活性化するためにリガンドを発現する腫瘍細胞または他の病的細胞を死滅させる能力が挙げられる。NK細胞は、予め免疫付与または活性化する必要なく、一部のタイプの腫瘍細胞株に結合し、これを死滅させる能力を特徴とする。NK細胞は、免疫系において制御効果を発揮する可溶性タンパク質およびサイトカインも放出し得、複数回の細胞分裂が起こり、親細胞と同様の生物学的特性を有する娘細胞を生成させ得る。正常で健康な細胞は、NK細胞による溶解から保護される。
それらの生物学的特性に基づいて、NK細胞の調整に依存する様々な治療およびワクチンストラテジーが当技術分野において提案されてきた。しかし、NK細胞活性は、刺激性および阻害シグナルの両方を含む複雑な機序により制御される。簡潔に述べると、NK細胞の溶解活性は、標的細胞上でのリガンドとの相互作用時に正または負の何れかの細胞内シグナルを伝達する様々な細胞表面受容体により制御される。これらの受容体を介して伝達される正および負のシグナル間のバランスは、NK細胞によって標的細胞が溶解される(死滅させられる)か否かを決定する。NK細胞刺激性シグナルには、NKp30、NKp44およびNKp46などの天然細胞傷害誘発受容体(NCR);ならびにNKG2C受容体、NKG2D受容体、ある種の活性化キラーIg様受容体(KIR)および他の活性化NK受容体が介在し得る(非特許文献1)。NK細胞阻害シグナルには、Ly49、CD94/NKG2-Aのような受容体ならびに主要組織適合抗原複合体(MHC)クラスI分子を認識するある種の阻害性KIRが介在し得る(非特許文献2;非特許文献3)。これらの阻害受容体は、他の細胞上に存在するMHCクラスI分子の多型決定基(HLAクラスIを含む)に結合し、NK細胞介在性の溶解を阻害する。
NK細胞の溶解活性はまた、siglecポリペプチドによっても制御され得る。Siglec(シアル酸結合免疫グロブリン様レクチン)は、シアログリカンに結合し、細胞型および分化依存性に造血系の細胞で主に発現される、I型レクチンのサブセットである。シアル酸が一般的には糖タンパク質および脂質の末端の位置でユビキタスに発現される一方で、非常に特異的な個別のシアログリカン構造のみが、末端近くの炭水化物部分に対する同一性および連結に依存して、個々のSiglec受容体により認識される。N-アセチルノイラミン酸(Neu5Ac)α2-6およびα2-3結合を含有する一般的な哺乳動物シアロシド構造に対するSiglecの一般的な親和性は低いものでしかない。
Siglecは一般に、Siglec-1、-2、-4および-15から構成される第1のサブセットと、Siglec-3、-5、-6、-7、-8、-9、-10、-11、-12、-14および-16を含むSiglecのCD33関連群との2つの群に分けられる。CD33関連Siglecは、とりわけ、進化的保存性が低いことおよび複数の機序による配列の急速な進化を特徴とする。
ジェノバのMorettaグループにより1999年に最初にクローニングされ、特徴が調べられ、ヒトCD33関連Siglec受容体に属する、1型膜貫通タンパク質であるSiglec-7(CD328)は、シアル酸結合N末端V-セットIgドメイン、2個のC2-セットIgドメインおよび1個の免疫受容体チロシン阻害モチーフ(ITIM)および1個のITIM様モチーフを含有する細胞質内領域を特徴とする。Siglec-7は、NK細胞、樹状細胞、単球、好中球およびCD8+T細胞上で構成的に発現される。この受容体の細胞外ドメインは、(2,8)-結合ジシアル酸および分岐状α2,6-シアリル残基、例えばガングリオシドGD3により提示されるものなどに選択的に結合する。
Siglec-9(CD329)は、2000年にVarkiグループにより特徴が調べられ(例えば、(非特許文献4))、単球、好中球、樹状細胞、CD34+細胞、CD8+T細胞およびNK細胞上で発現される。Siglec-9(ならびにSiglec-8)は、シアル酸および硫酸の両方を含有するシアロシドリガンドに対して示差的な特異性を有し、硫酸の位置が特異性の重要な決定基であることが分かっている。Siglec-9は、癌細胞上で過剰発現されるMUC16に結合することが分かっている。Siglec-7のように、Siglec9もシアル酸結合N末端V-セットIgドメイン、2個のC2-セットIgドメイン、および1個の免疫受容体チロシン阻害モチーフ(ITIM)および1個のITIM様モチーフを含有する細胞質内領域を含有する。ヒトSiglec-9のN末端V-セットIgドメインは、ヒトSiglec-7のN末端V-セットIgドメインと約77%の全体的なアミノ酸配列同一性を共有し、これらの2種類のsiglecは、異なるシアル酸結合特異性を示す。
Siglec-7およびSiglec-9のそれぞれに対する様々な抗体が記載されてきた。例えば、(特許文献1)(Morettaら)および(非特許文献5)は、マウス抗siglec-7抗体QA79に言及している。(非特許文献6)は抗体Z176を報告している。抗siglec-9抗体も報告されており、クローンE10-286はBD Biosciencesから入手可能である。
欧州特許第1238282B1号明細書
Lanier,Annual Review of Immunology 2005;23:225-74 Kaerre et al.,Nature 1986;319:675-8 Oehlen et al.,Science 1989;246:666-8 Angata et al.,J Biol Chem 2000;275:22127-22135 Vitale et al.((1999)Proc.Nat.Acad.Sci.96(26):15091-96) Falco et al.(1999)J.Exp.Med.190:793-801
Siglec-7および-9への関心にもかかわらず、これらの受容体を標的とする治療剤は開発されていない。したがって、癌などの疾患を処置することにおける使用のための、これらの受容体を標的とする薬剤が必要とされている。
本明細書中で示されるように、NK細胞は、阻害Siglec-7および阻害Siglec-9タンパク質の両方を発現し得る。同時に、腫瘍細胞がSiglec-7に対する、およびSiglec-9に対する天然リガンド(グリカン)を発現し得ることが示されている。結果的に、一方のSiglecを阻害するが他方を阻害しない治療剤は、Siglecが介在するNKおよび/または他の免疫細胞の活性の制限を中和するのに最大限に有効ではない可能性がある。したがって、Siglec7および9の両方の阻害は有利であり得る。しかし、Siglec-9がヒトSiglec-7のN末端V-セットIgドメインと共有する全体的なアミノ酸配列同一性は僅か約77%である。さらに、これら2種類のsiglecは、異なるシアル酸結合特異性を示す。
ある態様において、本開示は、2種類以上の阻害ヒトSiglecポリペプチド(例えば細胞の表面で発現されるようなSiglecポリペプチド)に特異的に結合する抗体を提供する。ある実施形態において、本抗体はさらに、特に免疫細胞におけるこのようなSiglecポリペプチドのシアル酸リガンド誘導性阻害活性を阻止することによって、少なくとも2種類のこのようなSiglecの阻害活性を阻害することが可能である(例えば中和抗体)。本抗体は、2種類以上のSiglec上に存在する共通の決定基に結合し得る。任意選択により、2種類以上のSiglecポリペプチドは、CD33関連Siglecポリペプチドである。ある実施形態において、2種類以上のSiglecポリペプチドは、Siglec-7およびSiglec-9である。ある実施形態において、本抗体はさらに、Siglec-3、-5、-6、-8、-10、-11および-12の何れにも実質的に結合しない。ある実施形態において、本抗体はさらにSiglec-14および-16の何れにも実質的に結合しない。
本明細書中での何れかの実施形態において、本抗体は、例えば、各Siglecとそのシアロシド含有リガンド(例えば天然リガンド)との間の相互作用を阻止し得、および/またはそのシアロシド含有リガンドにより誘導されるSiglec活性(阻害シグナル)を阻止し得る。本明細書中での何れかの実施形態において、本抗体は、例えば、各Siglecとそのシアロシド不含リガンド(例えばシアロシドを欠く天然タンパク質リガンド)との間の相互作用を阻止し得、および/またはそのシアロシド含有リガンドにより誘導されるSiglec活性(阻害シグナル)を阻止し得る。
ある態様において、本開示は、ヒトSiglec-7および/または-9ポリペプチドに特異的に結合し、シアロシド不含タンパク質リガンドにより誘導されるこのようなSiglecポリペプチドの阻害活性を阻止することによって、免疫細胞におけるこのようなSiglecの阻害活性を阻害することが可能である抗体(例えば中和抗体)を提供する。ある実施形態において、本開示は、ヒトSiglec-7ポリペプチドに特異的に結合し(何らかの他のSiglecポリペプチドに対する結合能があるかまたはない)、Siglec-7とSiglec-7のシアロシド不含リガンドとの間の相互作用を阻止することが可能である抗体を提供する。ある実施形態において、本開示は、ヒトSiglec-9ポリペプチドに特異的に結合し(何らかの他のSiglecポリペプチドに対する結合能があるかまたはない)、Siglec-9とSiglec-9のシアロシド不含リガンドとの間の相互作用を阻止することが可能である抗体を提供する。
このような抗体の断片および誘導体も提供される。ある実施形態において、本抗体は、前記2種類以上のヒトSiglecに結合可能である(すなわち2種類以上のSiglecと交差反応性がある)抗原結合ドメイン(例えば、単一抗原結合ドメイン、重鎖および軽鎖可変ドメインから構成されるドメインなど)を含む。
ある態様において、本発明は、ヒトSiglec-7ポリペプチドおよびヒトSiglec-9ポリペプチドに特異的に結合可能な抗原結合ドメイン(例えば単離されているかまたは単離ポリペプチド中に含まれるものおよび抗体)に関する。ある実施形態において、抗原結合ドメインは、Siglec-3、-5、-6、-8、-10、-11および-12の何れにも実質的に結合しない。
本発明はまた、とりわけ、ヒト阻害受容体Siglec-7およびSiglec-9の両方に特異的に結合し、その阻害活性を中和する抗原結合ドメインまたは抗体(中和抗Siglec-7/9抗体)にも関する。ある実施形態において、抗原結合ドメインまたは抗体は、Siglec-3、-5、-6、-8、-10、-11および-12の何れにも実質的に結合しない。中和抗Siglec-7/9抗体は、免疫細胞においてSiglec-7および-9により発揮される阻害活性を緩和し、Siglec-7のシアル酸リガンドおよび/またはSiglec-9のシアル酸リガンドを発現する癌細胞を効果的に認識し、および/または排除するリンパ球の能力を促進する。交差反応性および中和抗体は、一方または他方のタイプのリガンドの発現のために、癌細胞が溶解から逃れる能力を低下させ、したがって、これらにより免疫系による腫瘍監視が促進される。Siglec-9は、CD56dimNK細胞で選択的に発現され、一方でsiglec-7はCD56dimおよびCD56brightNK細胞上で発現される。CD56dimNK細胞(CD56dimCD16KIR)は、末梢血液および脾臓NK細胞の約90%に相当し、パーフォリンおよびグランザイムを発現し、主要な細胞傷害性サブセットであり、一方でCD56brightNK細胞(CD56brightCD16dim/-KIR)は、リンパ節および扁桃腺でNK細胞の大多数を構成し、活性化時に主としてサイトカイン産生に反応する。
ある実施形態において、Siglec-7およびSiglec-9の両方に結合し得、リンパ球(例えばNK細胞、CD8+T細胞)細胞傷害性のSiglec-7およびSiglec-9介在性阻害の両方を中和し得る抗体が提供される。ある態様において、本抗体は、標的細胞(例えばSiglec-7のリガンドおよびSiglec-9のリガンドを発現する細胞、腫瘍細胞)の存在下でリンパ球活性化を向上させる。ある実施形態において、本抗体は、NK細胞および/またはCD8+T細胞活性化を向上させる。ある実施形態において、細胞傷害性の阻害の活性化または中和の向上は、細胞傷害性/細胞傷害性の可能性のマーカー、例えばCD107および/またはCD137発現(動員)の上昇により評価される。Siglec-7は、配列番号1または52のアミノ酸配列を含み得る。Siglec-9は、配列番号2または53のアミノ酸配列を含み得る。
本明細書中の実施形態の何れかのある態様において、本抗体は、2種類以上のSiglec、例えば、Siglec-7およびSiglec-9と交差反応性があり、2種類以上のSiglecの細胞外ドメイン上に存在する共通エピトープに、すなわち2価方式で結合し得る四量体(例えば全長、F(ab)’断片)抗体である。ある実施形態において、本抗体は、2価的に2種類以上のSiglec(例えばSiglec-7および-9)のそれぞれに結合し得る。本明細書中の実施形態の何れかの別の態様において、本抗体は、1価方式でSiglecに結合し、各Siglec、例えば、Siglec-7およびSiglec-9でアゴニスト活性を欠く。ある実施形態において、1価方式で各Siglecに結合する抗体はFab断片である。本明細書中の実施形態の何れかにおいて、本抗体は、各Siglecに1価または2価方式で結合し、各Siglec、例えばSiglec-7およびSiglec-9でアゴニスト活性がない。治療用途の場合、抗体は、好ましくは非枯渇抗体である。任意選択により、本抗体は、ヒト新生児Fc受容体(FcRn)により結合可能であるが、実質的にヒトFcγRへのそのFcドメインを介した結合を欠くFcドメインを含む(例えばCD16)。
ある実施形態において、本抗体は、Siglec-7およびSiglec-9の両方に結合する1つ以上の(例えば2つの)抗原結合ドメインを含む。ある具体的な実施形態において、本抗体は、四量体の、任意選択により、2つの同一の抗原結合ドメイン(任意選択により2つの重鎖および軽鎖可変領域対)を含み、Siglec-7およびSiglec-9に結合し、その阻害活性を中和し、ヒト新生児Fc受容体(FcRn)により結合可能なFcドメインを含み、実質的にヒトFcγRへの結合を欠く(例えばCD16)、全長抗体である。
本明細書中の実施形態の何れかにおいて、ヒトリンパ球上でのSiglecへの結合時に、モノクローナル抗体は、標的細胞表面上のSiglecのシアル酸リガンドを保有する標的ヒト細胞の溶解を促進するかまたは再構成する能力を有し、および/またはこの標的細胞が前記リンパ球(例えばエフェクターリンパ球、NKまたはCD8+T細胞)と接触すると、(例えば、リンパ球上のCD107および/またはCD137発現の上昇により決定した場合に)リンパ球活性化を向上させる能力を有する。ある実施形態において、リンパ球により発現される2種類以上のSiglec(例えば、リンパ球の同じサブセットにより発現されるかまたはリンパ球の異なるサブセットにより発現される2種類のSiglec)を中和する抗体が提供される。ある実施形態において、リンパ球の第1のサブセットにより発現される第1のSiglecを中和する、およびリンパ球の第2のサブセットにより発現される第2のSiglecを中和する抗体が提供される。リンパ球の第1および第2のサブセット(例えばNK細胞、CD8+T細胞)は、例えば異なる細胞表面マーカーまたは異なる機能的特性または異なる標的細胞を溶解または認識する(例えばこれにより活性化される)能力を特徴とし得る。ある実施形態において、本抗体は、そのシアロシドリガンド(例えば腫瘍細胞上に存在するリガンド)へのSiglecの結合を減少させる(阻止する)。
ある態様において、本発明は、
a)第1のCD33関連Siglecに特異的に結合し、かつヒトリンパ球上で第1のCD33関連Siglecに結合する場合に、ヒト免疫細胞が、標的細胞表面上に第1のCD33関連Siglecのリガンドを保有する標的細胞と接触すると、NKまたはT細胞の細胞傷害性のSiglec介在性阻害を中和することと;
b)第2のCD33関連Siglecに特異的に結合し、かつヒトリンパ球上で第2のCD33関連Siglecに結合する場合に、ヒト免疫細胞が、標的細胞表面上に第2のCD33関連Siglecのリガンドを保有する標的細胞と接触すると、NKまたはT細胞の細胞傷害性のSiglec介在性阻害を中和することと;
c)ヒトFcγ受容体に(例えば抗体のFcドメイン介して)実質的に結合しない(例えばCD16)ことと
を特徴とする、モノクローナル抗体またはその断片である抗体を提供する。ある実施形態において、本抗体は、ヒトFcドメインを含む全長抗体である。ある実施形態において、リンパ球はNK細胞である。ある実施形態において、リンパ球は細胞傷害性CD8+T細胞である。ある実施形態において、第1および/または第2のCD33関連Siglecのリガンドは、シアル酸またはシアル酸を含む分子である。ある実施形態において、第1のCD33関連SiglecはSiglec-7である。ある実施形態において、第2のCD33関連SiglecはSiglec-9である。
ある態様において、本発明は、
a)Siglec-7に特異的に結合し、かつヒトリンパ球上でSiglec-7に結合する場合に、標的細胞がリンパ球と接触すると、リンパ球による、標的細胞表面上にSiglec-7のリガンドを保有する標的ヒト細胞の溶解を引き起こす(例えばこのような能力を向上させる)ことと;
b)Siglec-9に特異的に結合し、かつヒトリンパ球上でSiglec-9に結合する場合に、標的細胞がリンパ球と接触すると、リンパ球による、標的細胞表面上にSiglec-9のリガンドを保有する標的ヒト細胞の溶解を引き起こす(例えばこのような能力を向上させる)ことと;
c)ヒトFcγ受容体に(例えば抗体のFcドメイン介して)実質的に結合しない(例えばCD16)ことと
を特徴とする、モノクローナル抗体またはその断片である抗体を提供する。ある実施形態において、本抗体は、ヒトFcドメインを含む全長抗体である。ある実施形態において、リンパ球はNK細胞である。ある実施形態において、リンパ球はCD8+T細胞である。ある実施形態において、第1および/または第2のCD33関連Siglecのリガンドは、シアル酸またはシアル酸を含む分子である。
ある態様において、本発明は、
a)Siglec-7に特異的に結合し、かつヒトリンパ球上でSiglec-7に結合する場合に、標的細胞がリンパ球と接触すると、標的細胞表面上にSiglec-7のリガンドを保有する標的細胞の存在下でリンパ球活性化または細胞傷害性の向上を引き起こすことと;
b)Siglec-9に特異的に結合し、かつヒトリンパ球上でSiglec-9に結合する場合に、標的細胞がリンパ球と接触すると、標的細胞表面上にSiglec-9のリガンドを保有する標的細胞の存在下でリンパ球活性化または細胞傷害性の向上を引き起こすことと;
c)ヒトFcγ受容体に(例えば抗体のFcドメイン介して)結合しない(例えばCD16)ことと
を特徴とする、モノクローナル抗体またはその断片である抗体を提供する。ある実施形態において、本抗体は、ヒトFcドメインを含む全長抗体である。ある実施形態において、リンパ球はNK細胞である。ある実施形態において、リンパ球はCD8+T細胞である。ある実施形態において、第1および/または第2のCD33関連Siglecのリガンドはシアル酸またはシアル酸を含む分子である。ある実施形態において、細胞傷害性の阻害の活性化または中和の向上は、細胞傷害性/細胞傷害性の可能性のマーカー、例えばCD107および/またはCD137発現(動員)の上昇により評価される。
本明細書中の実施形態の何れかにおいて、本抗体は、Siglecのシアロシドリガンドにより惹起されるSiglecによる阻害シグナル伝達を阻止する。本明細書中の実施形態の何れかにおいて、本抗体は、SiglecのシアロシドリガンドへのSiglecの結合を阻止する。
本明細書中の実施形態の何れかにおいて、Siglecのリガンドは、天然リガンド、例えばシアル酸リガンド(シアル酸を含むリガンド)である。9個の炭素の酸性単糖のファミリーであるシアル酸は、一般的にはN-グリカン、O-グリカンおよび糖脂質の終端分岐であることが分かっている。Siglecは、2位からの酸性シアル酸結合のようなシアル酸分子の多くの態様、シアル酸の配置およびそれらの提示法を認識すると考えられる。本明細書中の実施形態の何れかにおいて、Siglecのリガンドは、主に5-N-アセチルノイラミン酸(Neu5Ac)誘導体を含み、5-N-グリコリルノイラミン酸(Neu5Gc)誘導体のような他のシアル酸誘導体を含み得る。ある実施形態において、Siglec-9および/またはSiglec-7のリガンドは、糖タンパク質(例えばムチン)または糖脂質上に存在するシアル酸である。ある実施形態において、Siglec-7のリガンドは、b-シリーズガングリオシド、例えば、GD2、GD3およびGT1b上で提示されるα2,8-結合ジシアル酸を含む。ある実施形態において、Siglec-7のリガンドは、内部で分岐状であるα2,6-結合ジシアルガングリオシド、例えばDSGb5を含む。ある実施形態において、Siglec-9のリガンドは、ムチン、例えばMUC1上に存在するリガンドであるか、またはムチン、例えばMUC1を含む。ある実施形態において、Siglec-9のリガンドは、シアル酸および硫酸の両方を含有するシアログリカンリガンドである。
ある態様において、第1および第2のヒトCD33関連Siglecの細胞外ドメイン上に存在する共通の決定基に結合する抗体が提供される。任意選択により、本抗体は、例えばSiglecを発現する細胞(例えばNK細胞)がSiglecのシアル酸リガンドを保有する標的ヒト細胞と接触すると、この第1および第2のSiglecのそれぞれの阻害活性を阻止する。ある実施形態において、第1のCD33関連SiglecはSiglec-7である。ある実施形態において、第2のCD33関連SiglecはSiglec-9である。本抗体は、それによりNKおよび/またはT細胞活性化および/または細胞傷害性を上昇させ得る。
本明細書中の何れかの実施形態のある態様において、Siglec-7上およびSiglec-9上に存在する共通の決定基に結合する抗体が提供される。任意選択により、この共通の決定基は、1つ以上の他のSiglec、例えばSiglec-3、-5、-6、-8、-10、-11および-12のうちの1つ以上(またはこれらの全て)上に存在しない。
本明細書中の実施形態の何れかにおいて、本抗体は、Siglecの細胞外ドメインに結合する。本明細書中の実施形態の何れかにおいて、本抗体は、Siglecのシアル酸結合ドメイン内でまたはその付近で少なくとも部分的に結合する。
本明細書中の実施形態の何れかにおいて、ヒトリンパ球(例えばNK細胞)上のSiglecに結合すると、標的細胞がリンパ球と接触すると、モノクローナル抗体は、標的細胞表面上にSiglecのシアル酸リガンドを保有する標的ヒト細胞の溶解を再構成する能力を有する。
本明細書中の実施形態の何れかにおいて、本抗体は、第1および第2のSiglecポリペプチド(例えばヒトSiglec-7およびヒトSiglec-9)のそれぞれへの結合に対して、10-8M未満、好ましくは10-9M未満のKDを有する。大量に発現される低親和性シアル酸とのシス相互作用のために細胞表面でSiglec-7および-9結合部位が一般的に遮蔽されると考えられる限り、トランス相互作用は、シスと競合するリガンドよりも高い親和性を発現する抗体で起こり得る。ある実施形態において、中和抗Siglec抗体は、Siglec(例えばSiglec-7および/またはSiglec-9)へのシアロシドリガンドの結合に取って代わることが可能である。
本発明はまた、ヒトもしくはヒト化抗体またはその抗体断片もしくは誘導体も提供し、これは、単独でまたは何らかの適切な組み合わせで、先述の特性の何れかを有する。
ある実施形態において、本抗体はモノクローナル抗体である。ある実施形態において、本抗体は、IgG1、IgG2、IgG3またはIgG4抗体である。例えば、本抗体は、ヒトIgG4アイソタイプを含む抗体、またはFcドメインとFcγ受容体との間の結合を低下させるために修飾される(例えばCD16)何らかのヒトIgGアイソタイプ(例えばIgG1、IgG2、IgG3またはIgG4)のFcドメインを含む抗体であり得る。ある実施形態において、NKまたはT細胞により発現される2種類以上のSiglec(例えばSiglec-7およびSiglec-9)に結合する抗体は、直接または間接的に、このようなSiglecポリペプチドを発現するNK細胞の枯渇につながらない(例えば、Siglec+NKまたはT細胞数の10%、20%、50%、60%またはそれを超える排除または減少につながらない)。好ましくは、抗原結合化合物は、抗体介在性の細胞の細胞傷害性(ADCC)および/またはCDCを誘導することが可能なFcドメインを含まず、任意選択により、抗原結合化合物は、FcγRIIIA(CD16)ポリペプチドに実質的に結合可能なFcドメインを含まないか、またはFcγRIIIA(CD16)ポリペプチドに対して実質的に結合可能でないFcドメインを含み、好ましくは抗原結合化合物はFcドメインを欠くか(例えばCH2および/またはCH3ドメインを欠くか)またはIgG2またはIgG4アイソタイプのFcドメインを含み、任意選択により、IgG4アイソタイプのFcドメインは、S241P突然変異などの半抗体の形成を減少させるために安定化突然変異を含み、任意選択により、抗原結合化合物は、Fab、Fab’、Fab’-SH、F(ab’)2、Fv、ダイアボディ、1本鎖抗体断片または複数の異なる抗体断片を含む多特異性抗体からなるか、またはこれらを含む。好ましくは、抗原結合化合物は毒性部分に連結されない。好ましくは、本抗体は、Siglecポリペプチドのアゴニストとして作用せず、例えば本抗体は、任意選択により、Siglecによるシグナル伝達を引き起こすように、NK細胞上のSiglecポリペプチドのインビボでの十分な架橋を引き起こす能力がない。
ある態様において、3A11、1H9および/または2B4が結合するSiglec-7および/またはSiglec-9上のエピトープへの結合について競合する(例えば、3A11、1H9または2B4の何れかの重鎖および軽鎖CDRまたは可変領域を有する抗体との、Siglec-7および/またはSiglec-9ポリペプチド上のエピトープへの結合について競合する)モノクローナル抗体が提供される。
本発明の実施形態の何れかのある態様において、同じエピトープに結合し、および/またはSiglec-7および/またはSiglec-9ポリペプチドへの結合についてモノクローナル抗体3A11、1H9または2B4と競合する(例えば、細胞により発現されるSiglec-7および/またはSiglec-9ポリペプチドへの結合について、3A11、1H9または2B4の何れかの、重鎖および軽鎖CDRまたは可変領域を有する抗体と競合する)抗原結合化合物が提供される。ある実施形態において、同じエピトープに結合し、および/またはSiglec-7および/またはSiglec-9ポリペプチドへの結合について:
(a)配列番号3および4のVHおよびVL領域をそれぞれ有する抗体(3A11);
(b)配列番号21および22のVHおよびVL領域をそれぞれ有する抗体(1H9);および
(c)配列番号39および40のVHおよびVL領域をそれぞれ有する抗体(2B4)
からなる群から選択される抗体と競合する抗原結合化合物が提供される。
本発明の実施形態の何れかのある態様において、本抗体は、抗体3A11、1H9および2B4からなる群から選択される抗体の個々の重および/または軽鎖の1、2または3個のCDRを有する重および/または軽鎖を有し得る。
本発明の実施形態の何れかのある態様において、Siglecへの結合は、細胞性Siglecであるものとして特定され得、このSiglecは、細胞の表面で発現され、例えばネイティブまたは修飾型細胞性Siglec、組み換え宿主細胞により発現されるSiglec、NK細胞、CD8T細胞などにより発現されるSiglecである。
本発明はまた、先述の特性の何れかを有する、ヒトまたはヒト化抗体または抗体断片をコードする核酸、このような核酸を含むベクター、このようなベクターを含む細胞、抗Siglec抗体の発現に適切な条件下でこのような細胞を培養することを含むヒト抗Siglec抗体を産生させる方法も提供する。本発明はまた、このようなタンパク質、核酸、ベクターおよび/または細胞および一般的には活性成分または本組成物の処方、送達、安定性もしくは他の特徴を促進する不活性成分であり得る1つ以上のさらなる成分(例えば様々な担体)を含む、組成物、例えば薬学的に許容可能な組成物およびキットにも関する。本発明は、Siglec介在性生物学的活性の調整などにおいて、例えばそれに関連する疾患、特に癌および感染性疾患の処置において、このような抗体、核酸、ベクター、細胞、生物および/または組成物を作製しかつ使用する、様々な新規のおよび有用な方法にさらに関する。
本発明はまた、2種類以上のSiglec遺伝子産物と交差反応し、かつ任意選択により2種類以上のSiglecの阻害活性をさらに中和する抗体を作製する方法も提供し、この方法は、
(a)CD33関連Siglecポリペプチドに結合する複数の抗体を提供するステップと、
(b)少なくとも2種類の異なるCD33関連Siglec遺伝子産物と交差反応する抗体(例えば(a)のステップのもの)を選択するステップと、
(c)任意選択により、少なくとも2種類の異なるCD33関連Siglec遺伝子産物の阻害活性を中和する抗体(例えばステップ(b)のもの)を選択するステップと
を含む。
別の態様において、2種類以上のSiglec遺伝子産物と交差反応し、かつ2種類以上のSiglecの阻害活性をさらに中和する抗体を作製する方法は、
(a)CD33関連Siglecポリペプチドに結合する複数の抗体を提供するステップと、
(b)少なくとも2種類の異なるCD33関連Siglec遺伝子産物と交差反応する抗体(例えば(a)のステップのもの)を選択するステップと、
(c)任意選択により、2種類の異なるCD33関連Siglec遺伝子産物のそれぞれとその個々のシアル酸リガンドとの間の相互作用を阻止する抗体(例えばステップ(b)のもの)を選択するステップと
を含む。
当然のことながら、上記方法の何れかにおけるステップ(b)および(c)はあらゆる所望の順序で行われ得る。
ある実施形態において、上記方法の何れかにおいて2種類の異なるSiglec遺伝子産物の阻害活性を中和する抗体(例えばステップ(c)のもの)を選択することは、NK細胞を増強する抗体を選択することを含み得る。
ある実施形態において、2種類の異なるSiglec遺伝子産物の阻害活性を中和する抗体(例えばステップ(c)のもの)を選択することは、2種類の異なるSiglec遺伝子産物のうちの少なくとも1つの阻害活性を抗体が中和するか否かを決定することを含み、ここで抗体がこの少なくとも1つのSiglecの阻害活性を中和することを決定することは、その抗体が2種類の異なるSiglec遺伝子産物の阻害活性を中和可能であることを示す。ある実施形態において、抗体が2種類の異なるSiglec遺伝子産物のうちの少なくとも1つの阻害活性を中和するか否かを決定することは、その抗体が、Siglecを発現するリンパ球が(例えばSiglecのリガンドを発現する)標的細胞と接触させられると、細胞傷害性のマーカーの上昇(例えばCD107および/またはCD137の発現の上昇)を引き起こすか否かを評価することを含む。細胞傷害性のマーカー上昇(例えばCD107および/またはCD137の発現の上昇)は、その抗体が2種類の異なるSiglec遺伝子産物の阻害活性を中和可能であることを示す。
少なくとも2種類の異なるSiglec遺伝子産物と交差反応する抗体の選択は、2種類以上の異なる阻害Siglecポリペプチド(例えばSiglec-7および-9)への結合について抗体をスクリーニングすることによって達成され得る。ある実施形態において、本方法は、結合が所望されない1つ以上のさらなるSiglecポリペプチドへの結合について抗体をスクリーニングし、このようなさらなるSiglecポリペプチドに結合しない抗体を選択することによることをさらに含み、任意選択により、さらなるSiglecポリペプチドは、Siglec-3、-5、-6、-8、-10、-11および-12のうちの1つ以上(またはこれらの全て)である。
ある実施形態において、ステップ(b)で調製される抗体はモノクローナル抗体である。
ある実施形態において、ステップ(a)で複数の抗体を提供することは、CD33関連Siglecポリペプチド(例えばSiglec-7および/または-9)を含む免疫原で非ヒト哺乳動物に免疫付与し、その免疫付与哺乳動物から抗体を調製することを含み、この抗体は前記Siglecポリペプチドに結合する。「その免疫付与哺乳動物から抗体を調製する」という語は、本明細書中で使用される場合、免疫付与動物からB細胞を得て、抗体を発現するハイブリドーマを作製するためにB細胞を使用することと、免疫付与動物の血清から抗体を直接得ることとを含む。ある実施形態において、ステップ(a)で複数の抗体を提供することは、例えばファージディスプレイによって抗体のライブラリを作製することを含む。
CD33関連ポリペプチドは、ある実施形態において、Siglec-7および/またはSiglec-9であり得る。選択される抗体は、少なくともSiglec-7およびSiglec-9と交差反応する。選択される抗体は、Siglec-3、-5、-6、-8、-10、-11および-12のうちの1つ以上(またはそれらの全て)と交差反応する。ある実施形態において、本抗体は、少なくとも2種類の異なるCD33関連受容体遺伝子産物上に存在する共通の決定基を認識し、最も好ましくは、SiglecはSiglec-7およびSiglec-9である。ある実施形態において、Siglec-7およびSiglec-9の両方のポリペプチドが免疫付与のために使用され、および/または同時にまたは連続しての何れかで抗体の選択において結合の評価が行われる。
本発明はまた、Siglec-7および/またはSiglec-9発現リンパ球、任意選択により、NK細胞および/またはCD8+T細胞の活性を調整するためのインビトロ方法も提供し、この方法は、表面にSiglec-7および/またはSiglec-9を発現するリンパ球を、Siglec-7およびSiglec-9の阻害活性を中和する抗体と接触させることを含む。
本発明はまた、リンパ球の活性(例えば、NK細胞、CD8+T細胞)活性の増強および/または調整を、それを必要とする対象において行う方法、例えばCD56dimNK細胞(主要な細胞傷害性サブセット)およびCD56brightNK細胞(リンパ節および扁桃腺のNK細胞の大部分、活性化時に主にサイトカイン産生に反応する)の両方を調整することによってNK細胞活性を増強する方法も提供し、この方法は、有効量の先述の組成物の何れかを対象に投与することを含む。ある実施形態において、対象は、癌に罹患している患者である。例えば、患者は、造血系の癌、例えば急性骨髄性白血病、慢性骨髄性白血病、多発性骨髄腫または非ホジキンリンパ腫の罹患者であり得る。あるいは、患者は、固形腫瘍、例えば結直腸癌、腎臓癌、卵巣癌、肺癌、乳癌または悪性メラノーマの罹患者であり得る。別の実施形態において、対象は、感染性疾患に罹患している患者である。
これらの態様をより詳細に記載し、本明細書中で提供される本発明の説明から、さらなる態様、特性および長所が明らかとなるであろう。
NK細胞への抗Siglec抗体の結合を示す。Siglec MFI:蛍光強度の平均。NK細胞のかなりの割合(約44%)がSiglec-7およびSiglec-9の両方を発現し、このことから、例えば腫瘍細胞上に存在するグリカンリガンドの機能として、これらの受容体のそれぞれ(またはその両方)によってNK細胞の大部分が阻害され得ることが示唆される。 それぞれがヒトSiglec-7およびSiglec-9発現細胞株の両方に結合する、mAb 3A11、1H9および2B4に対するSiglec-7およびSiglec-9への結合の結果を示す。 10μg/mLの飽和用量での、標的細胞または脱シアル化標的細胞の存在下での、および3A11抗Siglec-7/9抗体またはアイソタイプ対照CHS2抗体の存在下での、NK細胞上でのCD137 FACSの読み出しを示す。各点は、健常ボランティアからのNKに相当する。3A11抗体は、標的細胞株Ramosの存在下でNK細胞上でのCD137発現の上昇を誘導した。3A11抗体は、標的細胞株の非存在下ではNK細胞上でのCD137発現に効果がなかった。
定義
本明細書で使用される場合、「1つの(a)」または「1つの(an)」は1つ以上を意味し得る。請求項で使用される場合、「含む」という語と組み合わせて使用されるとき、「1つの(a)」または「1つの(an)」という語は、1つまたは2つ以上を意味し得る。本明細書中で使用される場合、「別の」は、少なくとも第2またはそれを超えるものを意味し得る。
「含む」が使用される場合、これは、任意選択により、「から基本的になる」または「からなる」により置き換えられ得る。
ヒトSiglec-7(Genbank受入番号NP_055200.1で示され、この開示全体が参照により本明細書中に組み込まれる)は、CD33関連Siglecファミリーのメンバーである(Angata and Varki,Glycobiology 10(4),431-438(2000))。ヒトSiglec-7は、次のアミノ酸配列を有する467個のアミノ酸を含む。
Figure 2022109920000001
ヒトSiglec-9(Genbank受入番号AAF71455で示され、この開示全体が参照により本明細書中に組み込まれる)は、CD33関連Siglecファミリーのメンバーである(Angata and Varki,J.Biol.Chem.275(29),22127-22135(2000))。ヒトSiglec-9は、次のアミノ酸配列を有する463個のアミノ酸を含む。
Figure 2022109920000002
本発明に関連して、「NK細胞の細胞傷害性のSiglec介在性阻害を中和する」、「T細胞の細胞傷害性のSiglec介在性阻害を中和する」または「Siglecの阻害活性を中和する」は、Siglec(例えばSiglec-7、Siglec-9)が、サイトカイン放出および細胞傷害性反応などのリンパ球反応につながる細胞内過程に負の影響を与えるその能力において阻害される過程を指す。これは、例えば標準的なNKまたはT細胞に基づく細胞傷害性アッセイにおいて測定され得、この場合、Siglec陽性リンパ球によるシアル酸リガンド陽性細胞の死滅を刺激する治療用化合物の能力を測定する。ある実施形態において、抗体標品によって、Siglec限定リンパ球の細胞傷害性の少なくとも10%の増強、任意選択によりリンパ球細胞傷害性の少なくとも40%もしくは50%の増強、または任意選択によりNK細胞傷害性の少なくとも70%の増強が引き起こされ、これは記載される細胞傷害性アッセイに関するものである。ある実施形態において、抗体標品によって、Siglec限定リンパ球によるサイトカイン放出の少なくとも10%の増強、任意選択によりサイトカイン放出の少なくとも40%もしくは50%の増強、または任意選択によりサイトカイン放出の少なくとも70%の増強が引き起こされ、これは記載される細胞傷害性アッセイに関するものである。ある実施形態において、抗体標品によって、Siglec限定リンパ球による細胞傷害性のマーカー(例えばCD107および/またはCD137)の細胞表面発現の少なくとも10%の増強、任意選択により少なくとも40%もしくは50%の増強、または任意選択により細胞傷害性のマーカー(例えばCD107および/またはCD137)の細胞表面発現の少なくとも70%の増強が引き起こされる。
シアル酸リガンドへのSiglec分子の結合を阻止する抗Siglec抗体の能力は、可溶性または細胞表面連結Siglecおよびシアル酸分子を用いたアッセイにおいて、本抗体が、シアル酸分子に対するSiglec分子の結合を用量依存的に検出可能に減少させ得、このSiglec分子が本抗体の非存在下でシアル酸分子に検出可能に結合することを意味する。
この明細書全体内で、「癌の処置」などが抗Siglec結合物質(例えば抗体)に関して言及される場合は常に、(a)癌の処置の方法であって、このような治療を必要とする個体、哺乳動物、特にヒトに、癌の処置を可能にする用量で(治療的有効量)、好ましくは本明細書中で指定されるような用量(量)で(好ましくは薬学的に許容可能な担体物質中で)抗Siglec結合物質を投与する(少なくとも1回の処置)ステップを含む方法;(b)(特にヒトにおける)癌の処置のための抗Siglec結合物質の使用またはその処置における使用のための抗Siglec結合物質;(c)癌の処置用の医薬品の製造のための抗Siglec結合物質の使用、抗Siglec結合物質を薬学的に許容可能な担体と混合することを含む、癌の処置用の医薬品または有効用量の癌の処置に適切な抗Siglec結合物質を含む医薬品の製造のために抗Siglec結合物質を使用する方法;または(d)本願が提出される国で特許を得ることを可能とする主題に従う、a)、b)およびc)の何れかの組み合わせを意味する。
本明細書中で使用される場合、「抗原結合ドメイン」という用語は、エピトープに免疫特異的に結合可能な三次元構造を含むドメインを指す。したがって、ある実施形態において、このドメインは、超可変領域、任意選択により抗体鎖のVHおよび/またはVLドメイン、任意選択により少なくともVHドメインを含み得る。別の実施形態において、結合ドメインは、抗体鎖の少なくとも1つの相補性決定領域(CDR)を含み得る。別の実施形態において、結合ドメインは、非免疫グロブリン骨格からのポリペプチドドメインを含み得る。
「抗体」という用語は、本明細書中で使用される場合、ポリクローナルおよびモノクローナル抗体を指す。重鎖における定常ドメインのタイプに依存して、抗体は5つの主要なクラス:IgA、IgD、IgE、IgGおよびIgMのうちの1つに割り当てられる。これらのうちの一部は、サブクラスまたはアイソタイプ、例えばIgG1、IgG2、IgG3、IgG4などにさらに分類される。代表的な免疫グロブリン(抗体)構造単位は四量体を含む。各四量体は、ポリペプチド鎖の2つの同一の対から構成され、各対は1本の「軽」鎖(約25kDa)および1本の「重」鎖(約50~70kDa)を有する。各鎖のN末端は、抗原認識に主に関与する約100~110またはそれを超えるアミノ酸の可変領域を定める。可変軽鎖(V)および可変重鎖(V)という用語は、これらの軽鎖および重鎖をそれぞれ指す。免疫グロブリンの異なるクラスに対応する重鎖定常ドメインは、「アルファ」、「デルタ」、「イプシロン」、「ガンマ」および「ミュー」とそれぞれ呼ばれる。免疫グロブリンの異なるクラスのサブユニット構造および三次元立体配置は周知である。IgGは、生理学的状況において最も共通する抗体であるため、および実験室で最も容易に作製されるため、本明細書中で使用される抗体の代表的なクラスである。任意選択により、本抗体はモノクローナル抗体である。抗体の特定の例は、ヒト化、キメラ、ヒトまたはそうでなければヒトに適切な抗体である。「抗体」はまた、本明細書中に記載の抗体の何れかの何らかの断片または誘導体も含む。
「交差反応性」抗Siglec抗体は、特異性および/または親和性で、複数のSiglec分子に結合する抗体である。例えば、モノクローナル抗体は、Siglec-7およびSiglec-9と交差反応性であり得る。
「特異的に結合する」という語は、単離標的細胞の表面上に存在するタンパク質、その中のエピトープまたはネイティブタンパク質の何れかの組み換え形態を用いて評価した場合に、抗体が好ましくは競合的結合アッセイにおいて結合パートナー、例えばSiglec-7、Siglec-9に結合し得ることを意味する。競合的結合アッセイおよび特異的な結合を決定するための他の方法を以下でさらに記載し、これらは当技術分野で周知である。
抗体が特定のモノクローナル抗体と「競合する」と言われる場合、これは、本抗体が、組み換えSiglec分子または表面発現Siglec分子の何れかを用いた結合アッセイにおいて、モノクローナル抗体と競合することを意味する。例えば、試験抗体が結合アッセイにおいて参照抗体のSiglecポリペプチドまたはSiglec発現細胞への結合を減少させる場合、本抗体は、参照抗体とそれぞれ「競合する」と言われる。
「親和性」という用語は、本明細書中で使用される場合、エピトープへの抗体の結合の強度を意味する。抗体の親和性は、[Ab]x[Ag]/[Ab-Ag](式中、[Ab-Ag]は、抗体-抗原複合体のモル濃度であり、[Ab]は未結合抗体のモル濃度であり、[Ag]は未結合抗原のモル濃度である)として定められる解離定数Kdにより与えられる。親和性定数Kは、1/Kdにより定義される。mAbの親和性を決定するための方法は、Harlow,et al.,Antibody:A Laboratory Manual,Cold Spring Harbor Laboratory Press,Cold Spring Harbor,N.Y.,1988),Coligan et al.,eds,Current Protocols in Immunology,Greene Publishing Assoc.and Wiley Interscience,N.Y.,(1992,1993)およびMuller,Meth.Enzymol.92:589-601(1983)で見出すことができ、この参考文献は、全体的に参照により本明細書中に組み込まれる。mAbの親和性を決定するための当技術分野で周知のある標準的な方法は、表面プラズモン共鳴(SPR)スクリーニング(BIAcore(商標)SPR分析装置による分析など)の使用である。
本明細書に関連して、「決定基」はポリペプチド上の相互作用または結合の部位を指す。
「エピトープ」という用語は、抗原性決定基を指し、抗体が結合する抗原上のエリアまたは領域である。タンパク質エピトープは、直接結合に関与するアミノ酸残基ならびに特異的な抗原結合抗体またはペプチドにより効果的に阻止されるアミノ酸残基、すなわち抗体の「フットプリント」内のアミノ酸残基を含み得る。これは、例えば抗体または受容体と組み合わせ得る複合抗原分子上の最も単純な形態または最小構造領域である。エピトープは、直鎖状または立体構造/構造であり得る。「直鎖状エピトープ」という用語は、アミノ酸の直鎖状配列(一次構造)上で隣接するアミノ酸残基から構成されるエピトープとして定義される。「立体構造または構造エピトープ」という用語は、全てが隣接しておらず、したがって分子の折り畳みにより互いに対して近接するようになるアミノ酸の直鎖状配列の分離部分を表す(二次、三次および/または四次構造)アミノ酸残基から構成されるエピトープとして定義される。立体構造エピトープは三次元構造に依存する。したがって「立体構造」という用語は、「構造」と交換可能に使用されることが多い。
「枯渇させる」または「枯渇させること」という用語は、Siglec発現細胞(例えばSig-lec-7またはSiglec-9発現リンパ球)に関して、結果として、試料または対象中に存在するこのようなSiglec発現細胞の数に負の影響を与えるように、死滅させる、排除する、溶解する、またはこのような死滅、排除もしくは溶解の誘導を引き起こす過程、方法または化合物を意味する。過程、方法または化合物に関して、「非枯渇」という用語は、この過程、方法または化合物が枯渇させていないことを意味する。
「薬剤」という用語は、本明細書中で、化学的化合物、化学的化合物の混合物、生体高分子または生体物質から作製される抽出物を指すために使用される。「治療剤」という用語は、生物学的活性を有する薬剤を指す。
本明細書中での目的のために、「ヒト化」または「ヒト」抗体は、1つ以上のヒト免疫グロブリンの定常および可変フレームワーク領域が動物免疫グロブリンの結合領域、例えばCDRと融合される抗体を指す。このような抗体は、結合領域が由来する非ヒト抗体の結合特異性を維持するが、非ヒト抗体に対する免疫反応を回避するために設計される。このような抗体は、抗原負荷に反応して特異的なヒト抗体を作製させるために「操作」されている、トランスジェニックマウスまたは他の動物から入手し得る(例えば、全体的な教示が参照により本明細書中に組み込まれる、Green et al.(1994)Nature Genet 7:13;Lonberg et al.(1994)Nature 368:856;Taylor et al.(1994)Int Immun 6:579を参照)。全て当技術分野で公知である、遺伝学的または染色体導入法ならびにファージディスプレイ技術によって、完全ヒト抗体も構築し得る(例えば、McCafferty et al.(1990)Nature 348:552-553を参照)。ヒト抗体は、インビトロ活性化B細胞によっても作製し得る(例えば、参照によりそれらの全体において組み込まれる米国特許第5,567,610号明細書および同第5,229,275号明細書を参照)。
「キメラ抗体」は、(a)抗原結合部位(可変領域)が、異なるかまたは改変されているクラス、エフェクター機能および/または種の定常領域、またはキメラ抗体に新しい特性を付与する完全に異なる分子、例えば、酵素、毒素、ホルモン、成長因子、薬物などに連結されるように、定常領域またはそれらの一部が改変され、置き換えられ、または交換されているか、または(b)可変領域またはそれらの一部が、改変され、置き換えられ、または異なるかもしくは改変されている抗原特異性を有する可変領域と交換されている、抗体分子である。
「超可変領域」という用語は、本明細書中で使用される場合、抗原結合に関与する抗体のアミノ酸残基を指す。超可変領域は一般に、「相補性決定領域」または「CDR」(例えば軽鎖可変ドメイン中の、残基24~34(L1)、50~56(L2)および89~97(L3)および重鎖可変ドメイン中の、31~35(H1)、50~65(H2)および95~102(H3);Kabat et al.1991)および/または「超可変ループ」からの残基(例えば軽鎖可変ドメイン中の、残基26~32(L1)、50~52(L2)および91~96(L3)および重鎖可変ドメイン中の、26~32(H1)、53~55(H2)および96~101(H3);Chothia and Lesk,J.Mol.Biol1987;196:901-917)または抗原結合に関与する必須アミノ酸を決定するための同様の系からのアミノ酸残基を含む。一般的には、この領域中のアミノ酸残基の付番は、Kabat et al.、前出に記載の方法により行われる。「Kabat位置」、「Kabatにおけるような可変ドメイン残基付番」および「Kabatによる」などの句は、本明細書中で、重鎖可変ドメインまたは軽鎖可変ドメインに対するこの付番系を指す。Kabat付番系を用いて、ペプチドの実際の直鎖状アミノ酸配列は、可変ドメインのFRもしくはCDRの短縮またはそれへの挿入に対応する少数のまたはさらなるアミノ酸を含有し得る。例えば、重鎖可変ドメインは、CDR H2の残基52の後に1個のアミノ酸挿入(Kabatによる残基52a)および重鎖FR残基82の後に残基の挿入(例えばKabatによる残基82a、82bおよび82cなど)を含み得る。残基のKabat付番は、「標準的な」Kabat付番配列での抗体の配列の相動性の領域でのアライメントにより、ある一定の抗体に対して決定され得る。
「フレームワーク」または「FR」残基は、本明細書中で使用される場合、CDRとして定められる領域を除く、抗体可変ドメインの領域を意味する。各抗体可変ドメインフレームワークは、CDRによって分離される近接領域(FR1、FR2、FR3およびFR4)にさらに分けられ得る。
「Fcドメイン」、「Fc部分」および「Fc領域」という用語は、例えば、ヒトγ(ガンマ)重鎖の約アミノ酸(aa)230~約aa450からの、抗体重鎖のC末端断片、または他のタイプの抗体重鎖(例えば、ヒト抗体の場合、α、δ、εおよびμ)におけるその対応配列またはその天然のアロタイプを指す。別段の指定がない限り、免疫グロブリンに対する一般的に受容されるKabatアミノ酸付番は、この開示を通じて使用される(Kabat et. al.(1991)Sequences of Protein of Immunological Interest,5th ed.,United States Public Health Service,National Institute of Health,Bethesda,MDを参照)。
「単離」、「精製」または「生物学的に純粋」という用語は、実質的にまたは基本的に、そのネイティブ状態で見られるような通常それに付随する成分を含まない物質を指す。純度および均一性は、一般的にはポリアクリルアミドゲル電気泳動または高速液体クロマトグラフィーなどの分析学的化学技術を用いて決定される。標品中に存在する主要な種であるタンパク質は実質的に精製されている。
「ポリペプチド」、「ペプチド」および「タンパク質」という用語は、アミノ酸残基のポリマーを指すために本明細書中で交換可能に使用される。この用語は、1つ以上のアミノ酸残基が対応する天然のアミノ酸の人工的な化学模倣物であるアミノ酸ポリマーならびに天然のアミノポリマーおよび非天然のアミノポリマーに適用される。
「組み換え」という用語は、例えば細胞または核酸、タンパク質またはベクターに関して使用される場合、細胞、核酸、タンパク質またはベクターが、異種核酸もしくはタンパク質の導入またはネイティブ核酸もしくはタンパク質の改変により修飾されているか、または細胞が、そのように修飾された細胞に由来することを示す。したがって、例えば、組み換え細胞は、細胞のネイティブ(非組み換え)形態内では見出されない遺伝子を発現するか、またはそうでなければ異常に発現されるか、発現が少ないかまたは全く発現されないネイティブ遺伝子を発現する。
本明細書に関連して、ポリペプチドまたはエピトープに「結合」する抗体という用語は、特異性および/または親和性をもって前記決定基に結合する抗体を指す。
「同一性」または「同一である」という用語は、2つ以上のポリペプチドの配列間の関係において使用される場合、2つ以上の一連のアミノ酸残基の間の一致数により決定される場合の、ポリペプチド間の配列関連性の度合いを指す。「同一性」は、特定の数学的モデルまたはコンピュータープログラム(すなわち「アルゴリズム」)により扱われるギャップアライメント(もしあれば)を用いた2つ以上の配列のうちのより小さいものの間の完全な一致のパーセントを評価する。関連ポリペプチドの同一性は、公知の方法により容易に計算され得る。このような方法としては、Computational Molecular Biology,Lesk,A.M.,ed.,Oxford University Press,New York,1988;Biocomputing:Informatics and Genome Projects,Smith,D.W.,ed.,Academic Press,New York,1993;Computer Analysis of Sequence Data,Part 1,Griffin,A.M.and Griffin,H.G.,eds.,Humana Press,New Jersey,1994;Sequence Analysis in Molecular Biology,von Heinje,G.,Academic Press,1987;Sequence Analysis Primer,Gribskov,M.and DevereuX,J.,eds.,M.Stockton Press,New York,1991;およびCarillo et al.,SIAM J.Applied Math.48,1073(1988)に記載のものが挙げられるが限定されない。
同一性を決定するための方法は、試験される配列間の一致が最大となるように設計される。同一性を決定する方法は、公開されているコンピュータープログラムに記載されている。2つの配列間の同一性を決定するためのコンピュータープログラム法としては、GAP(Devereux et al.,Nucl.Acid.Res.12,387(1984);Genetics Computer Group,University of Wisconsin,Madison,Wis.),BLASTP、BLASTN and FASTA(Altschul et al.,J.Mol.Biol.215,403-410(1990))を含む、GCGプログラムパッケージが挙げられる。BLASTXプログラムは、National Center for Biotechnology Information(NCBI)および他のソース(BLAST Manual,Altschul et al.NCB/NLM/NIH Bethesda,Md.20894;Altschul et al.、前出)から公開されている。周知のSmith Watermanアルゴリズムも同一性を決定するために使用し得る。
抗体の産生
本発明に関連して、「共通の決定基」は、ヒト阻害Siglec受容体、特にCD33関連Siglecの受容体のいくつかの遺伝子産物により共有される決定基またはエピトープを指す。抗体は、少なくともSiglec-7およびSiglec-9により共有される共通の決定基に結合し得る。ある実施形態において、この共通決定基は、任意選択により、CD33関連Siglec、特にSiglec-3、-5、-6、-8、-10、-11および-12の1つ以上またはその全てにおいて存在し得ない。ある実施形態において、この共通決定基はSiglec-3、-5、-6、-8、-10、-11および-12上に存在しない。
癌の処置のために使用し得る抗Siglec剤は、ヒトSiglec受容体の細胞外部分に結合し、Siglec陽性リンパ球の表面上で発現されるヒトSiglec受容体の阻害活性を低下させる。ある実施形態において、本剤は、リンパ球、例えばNK細胞、CD8+T細胞で、シアル酸分子がSiglecによる阻害シグナル伝達を引き起こす能力を阻害する。ある実施形態において、本剤は、Siglecへの結合においてシアル酸分子と競合し、すなわち本剤は、Siglecとそのシアル酸リガンドとの間の相互作用を阻止する。
本発明のある態様において、本剤は、全長抗体、抗体断片および合成または半合成抗体由来分子から選択される抗体である。
本発明のある態様において、本剤は、完全ヒト抗体、ヒト化抗体およびキメラ抗体から選択される抗体である。
本発明のある態様において、本剤は、IgA、IgD、IgG、IgEおよびIgM抗体から選択される抗体の断片である。
本発明のある態様において、本剤は、IgG1、IgG2、IgG3およびIgG4から選択される定常ドメインを含む抗体の断片である。
本発明のある態様において、本剤は、Fab断片、Fab’断片、Fab’-SH断片、F(ab)2断片、F(ab’)2断片、Fv断片、重鎖Ig(ラマまたはラクダIg)、VHH断片、シングルドメインFVおよび1本鎖抗体断片から選択される抗体断片である。
本発明のある態様において、本剤は、scFV、dsFV、ミニボディー、ダイアボディ、トリアボディー、カッパボディー、IgNARから選択される、合成または半合成抗体由来分子、および多特異性抗体である。
したがって、本発明は、Siglecに結合する抗体および抗原結合ドメイン(および前述のものを含むポリペプチド)に関する。ある態様において、本抗体または抗原結合ドメインは、さらなるヒトSiglec、例えば、Siglec-3、-5、-6、-8、-10、-11および/または-12よりも少なくとも100倍低い結合親和性(例えばKD)でSiglec-7および/または-9に結合する。
本発明のある態様において、本抗体は、少なくとも部分的に精製された形態である。
本発明のある態様において、本抗体は、基本的に単離形態である。
本抗体は、当技術分野で公知の様々な技術により作製し得る。一般的には、これらは、Siglecポリペプチド、好ましくはヒトSiglecポリペプチドを含む免疫原での非ヒト動物、好ましくはマウスの免疫付与によって作製される。Siglecポリペプチドは、ヒトSiglecポリペプチドの全長配列またはその断片もしくは誘導体、一般的には免疫原性断片、すなわち、Siglecポリペプチドを発現する細胞の表面に露出したエピトープを含むポリペプチドの部分を含み得る。このような断片は、一般的には、成熟ポリペプチド配列の少なくとも約7連続アミノ酸、さらにより好ましくはその少なくとも約10連続アミノ酸を含有する。断片は、一般的には、基本的に受容体の細胞外ドメイン由来である。ある実施形態において、免疫原は、脂質膜中、一般的には細胞の表面の、野生型ヒトSiglecポリペプチドを含む。具体的な実施形態において、免疫原は、任意選択により処理されるかまたは溶解されるインタクトな細胞、特にインタクトなヒト細胞を含む。他の実施形態において、本ポリペプチドは組み換えSiglecポリペプチドである。
非ヒト哺乳動物に抗原で免疫付与するステップは、マウスにおいて抗体の産生を刺激するための当技術分野で周知の何らかの方式で行われ得る(例えば、その開示全体が参照により本明細書中に組み込まれる、E.Harlow and D.Lane,Antibodies:A Laboratory Manual.,Cold Spring Harbor Laboratory Press,Cold Spring Harbor,NY(1988)を参照)。任意選択により完全または不完全フロインドアジュバントなどのアジュバントとともに、免疫原を緩衝液中で懸濁するかまたは溶解させる。免疫原の量、緩衝液のタイプおよびアジュバントの量を決定するための方法は、当業者にとって周知であり、何ら限定していない。これらのパラメーターは、異なる免疫原に対して異なり得るが、容易に明らかとなり得る。
同様に、抗体の産生を刺激するのに十分な免疫付与の位置および頻度も当技術分野で周知である。典型的な免疫付与プロトコールにおいて、第1日に非ヒト動物に抗原を腹腔内注射し、約1週間後に再び注射する。この後、第20日前後に、任意選択により不完全フロインドアジュバントなどのアジュバントとともに抗原のリコール注射を行う。リコール注射は、静脈内で行い、数日連続して反復し得る。この後、第40日に、静脈内または腹腔内の何れかで、一般的にはアジュバントなしで、ブースター注射を行う。このプロトコールの結果、約40日後、抗原特異的な抗体産生B細胞が生成する。結果として免疫付与で使用した抗原に対する抗体を発現するB細胞の生成が起こる限り、他のプロトコールも使用し得る。
代替的な実施形態において、非免疫付与非ヒト哺乳動物からのリンパ球を単離し、インビトロで増殖させ、次いで細胞培養中で免疫原に曝露する。次いで、リンパ球を回収し、下記の融合ステップを行う。
モノクローナル抗体の場合、次のステップは、免疫付与した非ヒト哺乳動物から脾臓細胞を分離し、続いて、抗体産生ハイブリドーマを形成させるために、不死化細胞とこれらの脾臓細胞を融合させることである。非ヒト哺乳動物からの脾臓細胞の分離は当技術分野で周知であり、一般的には、麻酔下の非ヒト哺乳動物から脾臓を摘出し、それを切って小片にし、単一の細胞懸濁液を生成させるために、細胞ストレイナーのナイロンメッシュを通じて脾膜から脾臓細胞を適切な緩衝液中に圧搾することを含む。この細胞を洗浄し、遠心し、あらゆる赤血球細胞を溶解する緩衝液中で再懸濁する。溶液を再び遠心し、ペレット中の残留リンパ球を新鮮な緩衝液中で最終的に再懸濁する。
分離し、単一細胞懸濁液中に入れたら、リンパ球を不死細胞株に融合させ得る。これは、一般的にはマウス骨髄腫細胞株であるが、ハイブリドーマを作製するのに有用な多くの他の不死細胞株が当技術分野で公知である。マウス骨髄腫株としては、Salk Institute Cell Distribution Center,San Diego,U.S.A.から入手可能なMOPC-21およびMPC-11マウス腫瘍由来のもの、American Type Culture Collection,Rockville,Maryland U.S.Aから入手可能なX63 Ag8653およびSP-2細胞が挙げられるが限定されない。融合はポリエチレングリコールなどを使用して達成される。次いで、未融合の親骨髄腫細胞の増殖または生存を阻害する1つ以上の物質を含有する選択培地中で、得られたハイブリドーマを増殖させる。例えば、親骨髄腫細胞が酵素ヒポキサンチングアニンホスホリボシルトランスフェラーゼ(HGPRTまたはHPRT)を欠く場合、ハイブリドーマのための培地は、一般的にはヒポキサンチン、アミノプテリンおよびチミジン(HAT培地)を含み、これらの物質はHGPRT欠損細胞の増殖を妨害する。
ハイブリドーマは、一般的にはマクロファージのフィーダー層上で増殖させる。マクロファージは、脾臓細胞を分離するために使用される、好ましくは非ヒト哺乳動物の同腹仔からのものであり、一般的にはハイブリドーマを播種する数日前に不完全フロインドアジュバントなどで刺激する。融合方法は、その開示が参照により本明細書中に組み込まれる、Goding、“Monocolonal Antibodies:Principles and Practice”,pp.59-103(Academic Press,1986)に記載されている。
コロニー形成および抗体産生のために十分な時間にわたり選択培地中で細胞を増殖させる。これは通常、約7~約14日間である。
次いで、Siglecポリペプチド遺伝子産物に特異的に結合する抗体産生についてハイブリドーマコロニーをアッセイする。このアッセイは、一般的には、比色分析ELISA型アッセイであるが、ハイブリドーマを増殖させるウェルに適合させ得るあらゆるアッセイを使用し得る。他のアッセイとしては、ラジオイムノアッセイまたは蛍光励起細胞分取が挙げられる。1つ以上の別個のコロニーが存在するか否かを決定するために、所望の抗体産生について陽性であるウェルを調べる。複数のコロニーが存在する場合、単一細胞のみが所望の抗体を産生するコロニーを生じさせていることを確実にするために、細胞を再クローニングし、増殖させ得る。一般的には、抗体はまた、Siglecポリペプチド、例えばSiglec発現細胞に結合する能力についても試験され得る。
モノクローナル抗体を産生することが確認されるハイブリドーマを、DMEMまたはRPMI-1640などの適切な培地中でより大量に増殖させ得る。あるいは、ハイブリドーマ細胞を動物における腹水癌としてインビボで増殖させ得る。
所望のモノクローナル抗体を産生させるのに十分な増殖後、モノクローナル抗体を含有する増殖培地(または腹水)を細胞から分離して除き、その中に存在するモノクローナル抗体を精製する。精製は一般的には、ゲル電気泳動、透析、プロテインAもしくはプロテインG-セファロースを使用したクロマトグラフィーまたはアガロースもしくはセファロースビーズなどの固体支持体に連結される抗マウスIgによって達成される(例えば、その開示が参照により本明細書に組み込まれる、Antibody Purification Handbook,Biosciences,publication No.18-1037-46,Edition ACに全て記載されている)。結合される抗体は、一般的には、抗体含有分画の即時の中和とともに低pH緩衝液(pH3.0以下のグリシンまたは酢酸緩衝液)を使用することによって、プロテインA/プロテインGカラムから溶出される。これらの分画をプールし、透析し、必要に応じて濃縮する。
単一の明らかなコロニーがある陽性ウェルを一般的には再クローニングし、再アッセイして、1つのモノクローナル抗体のみが検出され、産生されていることを保証する。
抗体は、例えば(その開示全体が参照により本明細書中に組み込まれる、Ward et al.Nature,341(1989)p.544)に開示されるような免疫グロブリンのコンビナトリアルライブラリの選択によっても作製され得る。
Siglecに結合可能であり、および/または他の所望の特性を有することが可能な抗体が同定されたら、一般的には、他のSiglecポリペプチドおよび/または無関係なポリペプチドを含む他のポリペプチドへのこれらの結合能について、本明細書中に記載のものを含む標準的な方法を使用してこれらも評価する。理想的には、抗体はかなりの親和性でSiglec、例えば、ヒトSiglec-7およびヒトSiglec-9にのみ結合し、無関係のポリペプチド、とりわけCD33関連Siglec以外のポリペプチドまたは所望のSiglec(例えばSiglec-7およびSiglec-9)以外のSiglecに対して顕著なレベルで結合しない。しかし、当然のことながら、Siglecに対する親和性が実質的に他のSiglectおよび/または他の無関係なポリペプチドに対する親和性よりも大きい限り(例えば、5×、10×、50×、100×、500×、1000×、10,000×またはそれを超える)、抗体は、本方法での使用に適切である。
脊椎動物または細胞での免疫付与および抗体産生時に、特許請求されるような抗体を単離するために特定の選択ステップを行い得る。この点において、本開示はまた、このような抗体を作製する方法にも関し、この方法は、(a)Siglecに結合する複数の抗体を提供することと、(c)2種類以上のSiglecに結合可能である、例えばヒトSiglec-7およびヒトSiglec-9の両方に結合する、ステップ(a)からの抗体を選択することとを含む。ある実施形態において、抗体を作製するために、げっ歯類、ウシ、ブタ、家禽、ウマ、ウサギ、ヤギまたはヒツジなど、非ヒト動物を使用する。この点において、本開示はまた、このような抗体を作製する方法にも関し、この方法は、(a)Siglecポリペプチドを含む免疫原で非ヒト哺乳動物に免疫付与することと、(b)前記免疫付与動物から抗体を調製することと、(c)2種類以上のSiglecに結合可能である、例えばヒトSiglec-7およびヒトSiglec-9の両方に結合する抗体をステップ(b)から選択することとを含む。
抗Siglec抗体は、これらがヒトFcγ受容体への特異的な結合を減少させるかまたは実質的に欠くように、非枯渇抗体として調製され得る。このような抗体は、Fcγ受容体に対して結合しないことまたはこれに対する結合親和性が低いことが知られている様々な重鎖の定常領域を含み得る。あるこのような例は、ヒトIgG4定常領域である。あるいは、Fc受容体結合を回避するために、FabまたはF(ab’)2断片など、定常領域を含まない抗体断片を使用し得る。Fc受容体結合は、例えばBIACOREアッセイにおけるFc受容体タンパク質への抗体の結合を試験することを含め、当技術分野で公知の方法に従い評価し得る。また、Fc受容体への結合を最小化するかまたは除外するためにFc部分が修飾される何らかの抗体アイソタイプを使用し得る(例えば、その開示が参照により本明細書中に組み込まれる国際公開第03101485号パンフレットを参照)。例えばFc受容体結合を評価するための細胞に基づくアッセイなどのアッセイは当技術分野で周知であり、例えば、国際公開第03101485号パンフレットに記載されている。
Siglecポリペプチド上に存在するエピトープに結合する抗体をコードするDNAをハイブリドーマから単離し、適切な宿主への遺伝子移入のために適切な発現ベクターに入れる。次いで、抗体またはそれらの変異体、例えばそのモノクローナル抗体のヒト化バージョン、抗体の活性断片、抗体の抗原認識部分を含むキメラ抗体または検出可能部分を含むバージョンの組み換え産生のために宿主を使用する。
モノクローナル抗体をコードするDNAは、従来の手順を使用して、容易に単離し、配列決定し得る(例えば、マウス抗体の重鎖および軽鎖をコードする遺伝子に特異的に結合可能なオリゴヌクレオチドプローブを用いることによる)。単離したら、DNAを発現ベクターに入れ得、次いで、組み換え宿主細胞においてモノクローナル抗体の合成を得るために、これを、そのままでは免疫グロブリンタンパク質を産生しない、大腸菌(E.coli)細胞、サルCOS細胞、チャイニーズハムスター卵巣(CHO)細胞または骨髄腫細胞などの宿主細胞に遺伝子移入する。本明細書中の他の箇所に記載されるように、多数の目的の何れかのために、例えば抗体をヒト化する断片もしくは誘導体を作製するために、または例えば抗体の結合特異性を最適化するために抗原結合部位において抗体の配列を修飾するために、このようなDNA配列を修飾し得る。抗体をコードするDNAの細菌中の組み換え発現は、当技術分野で周知である(例えば、Skerra et al.,Curr.Opinion in Immunol.,5,pp.256(1993);およびPluckthun,Immunol.130,p.151(1992)を参照)。
siglec(例えばSiglec-7およびSiglec-9、特に実質的にまたは基本的にモノクローナル抗体3A11、1H9または2B4と同じエピトープに結合する1つ以上の抗体の同定は、抗体競合が評価され得る様々な免疫学的スクリーニングアッセイの何れか1つを用いて容易に決定し得る。多くのこのようなアッセイは、日常的に実施され、当技術分野で周知である(例えば参照により本明細書中に組み込まれる米国特許第5,660,827号明細書を参照)。本明細書中に記載の抗体が結合するエピトープを実際に決定することは、本明細書中に記載のモノクローナル抗体と同じまたは実質的に同じエピトープに結合する抗体を同定するのに何ら必要とされないことを理解されたい。
例えば、調べようとする試験抗体は、異なるソースの動物から得られるか、または異なるIgアイソタイプのものでもあり、対照(例えば3A11、1H9または2B4)および試験抗体を混合し(または予め吸着させ)、Siglecポリペプチドを含有する試料に適用する、単純な競合アッセイを使用し得る。ウエスタンブロッティングおよびBIACORE分析の使用に基づくプロトコールは、このような競合実験での使用に適切である。
ある一定の実施形態において、Siglec抗原試料に適用する前のある時間、対照抗体(例えば3A11、1H9または2B4)を様々な量の試験抗体(例えば、約1:10または約1:100)と予め混合する。他の実施形態において、対照および様々な量の試験抗体をSiglec抗原試料への曝露中に単純に混合し得る。(例えば未結合抗体を排除するための分離または洗浄技術を使用することによって)遊離抗体から結合抗体を、(例えば種特異的なまたはアイソタイプ特異的な二次抗体を使用することにより、または検出可能標識で3A11、1H9または2B4を特異的に標識することにより)試験抗体から3A11、1H9または2B4を区別し得る限り、試験抗体が3A11、1H9または2B4の抗原への結合を減少させるか否かを判定し得、これは、試験抗体が3A11、3A11、1H9または2B4と実質的に同じエピトープを認識することを示す。完全に無関係な抗体の非存在下での(標識化)対照抗体の結合は、対照高値となり得る。対照低値は、標識化(3A11、1H9または2B4)抗体を完全に同じタイプの(3A11、1H9または2B4)非標識抗体と温置することによって得られ得、ここで競合が起こり、標識抗体の結合を減少させる。試験アッセイにおいて、試験抗体の存在下での標識化抗体の反応性の顕著な減少は、実質的に同じエピトープ、すなわち標識化(3A11、1H9または2B4)抗体と「交差反応する」かまたは競合するエピトープを認識する試験抗体を示す。約1:10と約1:100との間の3A11、1H9または2B4:試験抗体の何れかの比率でSiglec抗原への3A11、1H9または2B4の結合を少なくとも約50%、例えば少なくとも約60%またはより好ましくは少なくとも約80%または90%(例えば約65~100%)減少させる何らかの試験抗体は、3A11、1H9または2B4と実質的に同じエピトープまたは決定基と結合する抗体であるとみなされる。好ましくは、このような試験抗体は、少なくとも約90%(例えば約95%)、Siglec抗原への3A11、1H9または2B4の結合を減少させる。
例えばフローサイトメトリー試験により競合を評価することもできる。このような試験において、1種類以上のある種のSiglecポリペプチドを保有する細胞を最初に例えば3A11、1H9または2B4と温置し、次いで蛍光色素またはビオチンで標識される試験抗体と温置し得る。本抗体は、飽和量の3A11、1H9または2B4との予備温置時に得られる結合が、3A11、1H9または2B4との予備温置を行わずに抗体により得られる結合の約80%、好ましくは約50%、約40%以下(例えば、約30%、20%または10%)(蛍光手段により測定される場合)である場合、3A11、1H9または2B4と競合すると言われる。あるいは、抗体は、飽和量の試験抗体と予備温置される細胞上で(蛍光色素またはビオチンにより)標識化3A11、1H9または2B4抗体とともに得られる結合が、試験抗体との予備温置を行わずに得られる結合の約80%、好ましくは約50%、約40%またはそれ未満(例えば約30%、20%または10%)である場合、3A11、1H9または2B4と競合すると言われる。
試験抗体が予め吸着され、Siglec抗原が固定化される表面に飽和濃度で適用される単純な競合アッセイも使用し得る。単純競合アッセイにおける表面は、好ましくはBIACOREチップ(または表面プラズモン共鳴分析に適切な他の媒体)である。次いで、対照抗体(例えば、3A11、1H9または2B4)をSiglec飽和濃度で表面と接触させ、Siglecおよび対照抗体の表面結合を測定する。対照抗体のこの結合を試験抗体の非存在下でのSiglec含有面への対照抗体の結合と比較する。試験アッセイにおいて、試験抗体の存在下での対照抗体によるSiglec含有面の結合の顕著な減少は、試験抗体が対照抗体と実質的に同じエピトープを認識し、試験抗体が対照抗体と「交差反応」するようになることを示す。少なくとも約30%またはそれを超える、好ましくは約40%、Siglec抗原への、対照(3A11、1H9または2B4など)抗体の結合を減少させる何らかの試験抗体は、対照(例えば、3A11、1H9または2B4)と実質的に同じエピトープまたは決定基に結合する抗体であるとみなされ得る。好ましくは、このような試験抗体は、少なくとも約50%(例えば少なくとも約60%、少なくとも約70%またはそれを超える)だけSiglec抗原への対照抗体(例えば、3A11、1H9または2B4)の結合を減少させる。当然のことながら、対照および試験抗体の順序は逆転し得、すなわち、対照抗体を最初に表面に結合させ得、試験抗体をその後に競合アッセイにおいて表面と接触させる。好ましくは、Siglec抗原に対してより高い親和性を有する抗体は、(抗体が交差反応することが推測される)第2の抗体に対して見られる結合の減少がより大きい規模であると予想されるため、最初に表面と結合させる。このようなアッセイのさらなる例は、例えば、その開示が参照により本明細書中に組み込まれるSaunal(1995)J.Immunol.Methods 183:33-41で提供される。
抗体がエピトープ領域内で結合するか否かの判定は、当業者にとって公知のように行い得る。このようなマッピング/特徴評価方法の一例として、抗Siglec抗体に対するエピトープ領域は、Siglecタンパク質における露出アミン/カルボキシルの化学修飾を用いて、エピトープ「フットプリンティング」により決定され得る。このようなフットプリンティング技術のある具体例は、HXMS(質量分析により検出される水素-重水素交換)の使用であり、ここで受容体およびリガンドタンパク質アミドプロトンの水素/重水素交換、結合および逆交換が起こり、タンパク質結合に加わる骨格アミド基は、逆交換から保護され、したがって重水素化されたままとなる。関連領域は、この点でペプシンのタンパク質分解、ファストマイクロボア高速液体クロマトグラフィー分離および/またはエレクトロスプレーイオン化質量分析により同定され得る。例えば、Ehring H,Analytical Biochemistry,Vol.267(2)pp.252-259(1999)Engen,J.R.and Smith,D.L.(2001)Anal.Chem.73,256A-265Aを参照。適切なエピトープ同定技術の別の例は核磁気共鳴エピトープマッピング(NMR)であり、一般的には遊離抗原および抗体などの抗原結合ペプチドと複合体形成する抗原の二次元NMRスペクトルにおけるシグナルの位置を比較する。抗原は、一般的には、15Nで選択的に同位体標識され、抗原に対応するシグナルのみがNMR-スペクトルで見られ、抗原結合ペプチドからのシグナルが見られないようになる。抗原結合ペプチドとの相互作用に関与するアミノ酸由来の抗原シグナルは一般的に、遊離抗原のスペクトルと比較して、複合体のスペクトルにおいて位置をシフトさせ、結合に関与するアミノ酸はそのように同定され得る。例えばErnst Schering Res Found Workshop.2004;(44):149-67;Huang et al.,Journal of Molecular Biology,Vol.281(1)pp.61-67(1998);およびSaito and Patterson,Methods.1996 Jun;9(3):516-24を参照。
エピトープマッピング/特徴評価は質量分析方法を用いて行うこともできる。例えば、Downard,J Mass Spectrom.2000 Apr;35(4):493-503およびKiselar and Downard,Anal Chem.1999 May 1;71(9):1792-1801を参照。プロテアーゼ消化技術もエピトープマッピングおよび同定との関連で有用であり得る。抗原性決定基関連領域/配列は、プロテアーゼ消化によって、例えばSiglecに対して約1:50の比率でトリプシンを使用することによって、pH7~8でo/n消化を使用することによって、続いてペプチド同定のために質量分析(MS)を行うことによって決定し得る。続いて、抗Siglec結合物によりトリプシン切断から保護されるペプチドは、トリプシン消化に供した試料および抗体と温置し、続いて例えばトリプシン(それにより結合物に対するフットプリントが明らかになる)による消化に供した試料の比較により同定し得る。キモトリプシン、ペプシンなどの他の酵素もまたはあるいは同様のエピトープ特徴評価方法で使用し得る。さらに、酵素性消化によって、可能性のある抗原性決定基配列が表面に露出していない、したがっておそらく免疫原性/抗原性について関連がないと思われるSiglecポリペプチドの領域内にあるか否かを分析するための迅速な方法が提供され得る。
部位特異的突然変異誘発は、結合エピトープを明らかにするのに有用な別の技術である。例えば、「アラニンスキャニング」において、タンパク質セグメント内の各残基をアラニン残基で置き換え、結合親和性に対する結果を測定する。突然変異が結合親和性の顕著な低下につながる場合、結合に関与する可能性が高い。構造エピトープに特異的なモノクローナル抗体(すなわち、折り畳まれていないタンパク質に結合しない抗体)を使用して、アラニン置換がタンパク質の全体的な折り畳みに影響しないことを確認し得る。例えば、Clackson and Wells,Science 1995;267:383-386;およびWells,Proc Natl Acad Sci USA 1996;93:1-6を参照。
エピトープ「フットプリンティング」のために電子顕微鏡も使用し得る。例えば、Wang et al.,Nature 1992;355:275-278は、低温電子顕微鏡、三次元画像再構成およびX結晶学の同時適用を使用して、ネイティブササゲモザイクウイルスのキャプシド表面上のFab断片の物理学的フットプリントを決定した。
エピトープ評価のための「標識不含」アッセイの他の形態としては、表面プラズモン共鳴(SPR、BIACORE)および反射型干渉分光法(RifS)が挙げられる。例えば、Faegerstam et al.,Journal Of Molecular Recognition 1990;3:208-14;Nice et al.,J.Chromatogr.1993;646:159-168;Leipert et al.,Angew.Chem.Int.Ed.1998;37:3308-3311;Kroeger et al.,Biosensors and Bioelectronics 2002;17:937-944を参照。
本発明の抗体と同じであるかまたは実質的に同じであるエピトープへの抗体結合が本明細書中に記載の代表的な競合アッセイのうちの1つ以上で同定され得ることも注意すべきである。
試験(ヒト化)抗体がヒトSiglec(例えばSiglec-7およびSiglec-9)に対する天然または非天然シアル酸リガンドの結合に影響を及ぼすか否かを評価するために、交差ブロッキングアッセイも使用し得る。例えば、ヒト化抗Siglec抗体標品がシアル酸とのSiglec-7相互作用を減少させるかまたは阻止するか否かを判定するために、次の試験を行い得る。ヒトSiglec(例えばSiglec-7およびSiglec-9)に対するシアル酸リガンドを発現する細胞株を標識したSiglec-Fc(例えばSiglec-7FcおよびSiglec-9Fc)と氷上で1時間温置し、洗浄し、標準的方法によりフローサイトメーター上で結合を分析する。試験抗体の非存在下で、Siglec-Fcは細胞に結合する。シアル酸へのSiglec結合を阻止するSiglec-Fc(例えばSiglec-7FcおよびSiglec-9Fc)と予め温置した抗体標品の存在下で、細胞へのSiglec-Fcの結合が減少する。しかし、当然のことながら、シアル酸リガンド発現標的細胞に対するNK細胞溶解活性の再構成は、Siglec-シアル酸リガンド相互作用の阻止を評価する必要なく直接評価し得る。
Siglecに対する所望の結合を有する抗原結合化合物が得られたら、そのSiglec(例えばSiglec-7および/またはSiglec-9)阻害能についてこれを評価し得る。複数のSiglecの阻害能は、1つのSiglecの阻害が、他のSiglecも交差反応性抗体により阻害されることを示すため、Siglecのうちの1つの阻害について試験することにより評価し得るか、または各Siglecの阻害について試験し得る。例えば、抗Siglec抗体が(例えば細胞上に存在するような)シアル酸リガンドにより誘導されるSiglec活性化を低下させるかまたは阻止する場合、Siglec限定リンパ球の細胞傷害性を向上させ得る。これは典型的な細胞傷害性アッセイにより評価し得、その例を以下に記載する。
抗体がSiglec介在性シグナル伝達を低下させる能力は、例えばSiglec-7またはSig-lec-9を発現するNK細胞および個々のSiglecのシアル酸リガンドを発現する標的細胞を使用して、標準的な4時間インビトロ細胞傷害性アッセイにおいて試験し得る。Siglec-7または-9がシアル酸リガンドを認識するため、このようなNK細胞はシアル酸リガンドを発現する標的を効果的に死滅させず、リンパ球介在性の細胞溶解を妨害する阻害シグナル伝達の開始および拡大につながる。このようなインビトロ細胞傷害性アッセイは、例えばColigan et al.,eds.,Current Protocols in Immunology,Greene Publishing Assoc.およびWiley Inter-science,N.Y.,(1992,1993)に記載のように、当技術分野で周知である標準的方法により行われ得る。標的細胞をNK細胞の添加前に51Crで標識し、次いで死滅は、死滅の結果としての細胞から培地への51Crの放出に比例するものとして推定する。Siglec-7および/または-9がシアル酸リガンドに結合するのを妨害する抗体の添加の結果、Siglecを介した阻害シグナル伝達の開始および拡大が妨げられる。したがって、このような薬剤の添加の結果、標的細胞のリンパ球介在性の死滅が増加する。それにより、このステップは、例えばリガンド結合を阻止することによりSiglec-7または-9誘導性の負のシグナル伝達を妨げる薬剤を同定する。特定の51Cr放出細胞傷害性アッセイにおいて、Siglec-7または-9-発現NKエフェクター細胞は、シアル酸リガンド陰性標的細胞(例えば、シアリダーゼで処理した細胞)を死滅させ得るが、シアル酸リガンド発現対照細胞はあまり死滅させない。このように、NKエフェクター細胞は、特定のSiglecを介したシアル酸誘導性の阻害シグナル伝達のために、シアル酸リガンド陽性細胞をあまり効率的に死滅させない。このような51Cr放出細胞傷害性アッセイにおいてNK細胞をブロッキング抗Siglec抗体と予め温置する場合、抗体濃度依存的にシアル酸リガンド発現細胞がより効率的に死滅させられる。本アッセイは、各Siglec、例えばSiglec-7およびSiglec-9に対して個別に行い得る。
抗体の阻害活性(すなわち細胞傷害性促進能)は、多くの他の方法の何れかでも、例えばその開示が参照により本明細書中に組み込まれるSivori et al.,J.Exp.Med.1997;186:1129-1136に記載されるような細胞内遊離カルシウムにおけるその効果により、または脱顆粒マーカーCD107もしくはCD137発現などのNK細胞の細胞傷害性活性化のマーカーにおけるその影響により、評価し得る。何らかの細胞に基づく細胞傷害性アッセイを使用して、例えば、それぞれの開示全体が参照により本明細書中に組み込まれる、Sivori et al.,J.Exp.Med.1997;186:1129-1136;Vitale et al.,J.Exp.Med.1998;187:2065-2072;Pessino et al.,J.Exp.Med.1998;188:953-960;Neri et al.,Clin.Diag.Lab.Immun.2001;8:1131-1135;Pende et al.,J.Exp.Med.1999;190:1505-1516において開示されるように、P815、K562細胞などの標的細胞または適切な腫瘍細胞を死滅させるためにNK細胞を刺激する抗体の能力を評価するために何らかの他のパラメーターを測定することによって、NK、TまたはNKT細胞活性を評価することもできる。
ある実施形態において、抗体標品は、Siglec限定リンパ球の細胞傷害性の少なくとも10%の増強、好ましくはNK細胞傷害性の少なくとも40%もしくは50%の増強またはより好ましくはNK細胞傷害性の少なくとも70%の増強を引き起こす。
NK細胞のサイトカイン産生(例えばIFN-yおよびTNF-α産生)を刺激するために抗体とNK細胞を温置するサイトカイン放出アッセイを使用して、細胞傷害性リンパ球の活性にも対処し得る。代表的なプロトコールにおいて、PBMCからのIFN-y産生は、培養4日後の、細胞表面および細胞質内染色およびフローサイトメトリーによる分析によって評価する。簡潔に述べると、ブレフェルジンA(Sigma Aldrich)を培養の最後の4時間の間、5μg/mLの最終濃度で添加する。次いで細胞を透過処理(IntraPrep(商標);Beckman Coulter)およびPE-抗IFN-yまたはPE-IgG1(Pharmingen)での染色前に、抗CD3および抗CD56mAbと温置する。ELISA(GM-CSF:DuoSet Elisa,R&D Systems,Minneapolis,MN,IFN-y:OptEIA set,Pharmingen)を使用して、ポリクローナル活性化NK細胞からのGM-CSFおよびIFN-y産生を上清中で測定する。
抗体の断片および誘導体(別段の指定がない限り、または文脈と明らかに矛盾しない限り、本願で使用される場合の1つまたは複数の「抗体」という用語に包含される)は、当技術分野で公知の技術により作製し得る。「断片」は、インタクト抗体の一部分、一般的には抗原結合部位または可変領域を含む。抗体断片の例としては、Fab、Fab’、Fab’-SH、F(ab’)2およびFv断片;ダイアボディ;(1)1本鎖Fv分子、(2)会合する重鎖部分がなく、軽鎖可変ドメインを1個のみ含有する1本鎖ポリペプチドまたは軽鎖可変ドメインの3個のCDRを含有するそれらの断片、および(3)会合する軽鎖部分がなく、重鎖可変領域を1個のみ含有する1本鎖ポリペプチドまたは重鎖可変領域の3個のCDRを含有するその断片を含むが限定されない、近接アミノ酸残基の1つの連続した配列からなる一次構造を有するポリペプチド(本明細書中で「1本鎖抗体断片」または「1本鎖ポリペプチド」と呼ぶ)である何らかの抗体断片;および抗体断片から形成される多特異性(例えば二特異性)抗体が挙げられる。とりわけ、ナノボディ、ドメイン抗体、単ドメイン抗体または「dAb」が挙げられる。
ある一定の実施形態において、抗体を産生するハイブリドーマのDNAは、例えば相同非ヒト配列の代わりにヒト重鎖および軽鎖定常ドメインに対するコード配列を置換することによって(例えば、Morrison et al.,PNAS pp.6851(1984))、または免疫グロブリンコード配列に非免疫グロブリンポリペプチドに対するコード配列の全てまたは一部を共有結合により連結することによって、発現ベクターに挿入する前に修飾し得る。このようにして、オリジナル抗体の結合特異性を有する「キメラ」または「ハイブリッド」抗体を調製する。一般的には、このような非免疫グロブリンポリペプチドが抗体の定常ドメインに対して置換される。
任意選択により、抗体はヒト化される。抗体の「ヒト化」型は、マウス免疫グロブリン由来の最小配列を含有する特異的なキメラ免疫グロブリン、免疫グロブリン鎖またはその断片(例えばFv、Fab、Fab’、F(ab’)2または抗体の他の抗原結合サブ配列など)である。殆どの部分に対して、ヒト化抗体は、オリジナル抗体の所望の特異性、親和性および能力を維持しながら、レシピエントの相補性決定領域(CDR)からの残基がオリジナル抗体(ドナー抗体)のCDRからの残基により置換されるヒト免疫グロブリン(レシピエント抗体)である。
一部の例において、ヒト免疫グロブリンのFvフレームワーク残基を対応する非ヒト残基により置換し得る。さらに、ヒト化抗体は、レシピエント抗体または移入されたCDRもしくはフレームワーク配列の何れでも見出されない残基を含み得る。これらの修飾は、抗体性能をさらに高め、最適化するために行われる。一般に、ヒト化抗体は、少なくとも1つ、一般的には2つの可変ドメインの実質的に全てを含み、CDR領域の全てまたは実質的に全てがオリジナル抗体のものに対応し、FR領域の全てまたは実質的に全てが、ヒト免疫グロブリンコンセンサス配列のものである。ヒト化抗体は、最適には、通常はヒト免疫グロブリンのものである免疫グロブリン定常領域(Fc)の少なくとも一部分も含む。さらなる詳細については、その開示全体が参照により本明細書中に組み込まれる、Jones et al.,Nature,321,pp.522(1986);Reichmann et al.,Nature,332,pp.323(1988);Presta,Curr.Op.Struct.Biol.,2,pp.593(1992);Verhoeyen et Science,239,pp.1534;および米国特許第4,816,567号明細書を参照)。抗体をヒト化するための方法は当技術分野で周知である。
ヒト化抗体を作製することにおいて使用しようとするヒト可変ドメイン、軽鎖および重鎖の両方の選択は、抗原性を低下させるために非常に重要である。いわゆる「最良適合」方法に従い、公知のヒト可変ドメイン配列のライブラリ全体に対して抗体の可変ドメインの配列をスクリーニングする。次に、マウスのものに最も近いヒト配列が、ヒト化抗体のためのヒトフレームワーク(FR)として受容される(Sims et al.,J.Immunol.151,pp.2296(1993);Chothia and Lesk,J.Mol.196,1987,pp.901)。別の方法は、軽鎖または重鎖の特定のサブグループの全ヒト抗体のコンセンサス配列からの特定のフレームワークを使用する。いくつかの異なるヒト化抗体のために同じフレームワークを使用し得る(Carter et al.,PNAS 89,pp.4285(1992);Presta et al.,J.Immunol.,151,p.2623(1993))。
抗体がSiglec受容体に対する高親和性および他の有利な生物学的特性を保有してヒト化されることはさらに重要である。この目的を達成するために、ある方法に従い、親およびヒト化配列の三次元モデルを用いた、親配列および様々な概念的ヒト化産物の分析の過程によってヒト化抗体を調製する。三次元免疫グロブリンモデルは一般的に利用可能であり、当業者によく知られている。選択された候補免疫グロブリン配列の可能性が高い三次元構造を例示し、表示するコンピュータープログラムが利用可能である。これらの表示を調べることにより、候補免疫グロブリン配列の機能における残基の可能性のある役割の分析、すなわち候補免疫グロブリンのその抗原への結合能に影響を及ぼす残基の分析が可能になる。このようにして、FR残基を選択し、コンセンサスおよび輸入配列から組み合わせ得、標的抗原に対する親和性向上などの所望の抗体特性が達成されるようになる。一般に、CDR残基は、抗原結合に影響を及ぼすことに直接的に、および最も実質的に関与する。
「ヒト化」モノクローナル抗体を作製する別の方法は、免疫付与のために使用されるマウスとして、XenoMouse(Abgenix,Fremont,CA)を使用することである。XenoMouseは、その免疫グロブリン遺伝子が機能的ヒト免疫グロブリン遺伝子により置換されているマウス宿主である。したがって、このマウスにより、またはこのマウスのB細胞から作製されるハイブリドーマにおいて産生される抗体は既にヒト化されている。XenoMouseは、参照によりその全体において本明細書中に組み込まれる、米国特許第6,162,963号明細書に記載されている。
ヒト抗体は、免疫付与のためにヒト抗体レパートリーを発現するように操作されている他のトランスジェニック動物を使用することによる(Jakobovitz et al.,Nature 362(1993)255)かまたはファージディスプレイ法を用いた抗体レパートリーの選択によるなど、様々な他の技術によっても作製され得る。このような技術は、当業者にとって公知であり、本願で開示されるようにモノクローナル抗体から出発して実行され得る。
抗体CDR配列
抗体3A11
抗体3A11の重鎖可変領域のアミノ酸配列を配列番号3として記載し、軽鎖可変領域のアミノ酸配列を配列番号4として記載する。具体的な実施形態において、本発明は、モノクローナル抗体3A11と同じエピトープまたは決定基と基本的に結合する抗体を提供し、任意選択により、本抗体は、抗体3A11の超可変領域を含む。本明細書中の実施形態の何れかにおいて、抗体3A11は、アミノ酸配列および/またはそれをコードする核酸配列を特徴とし得る。ある実施形態において、本モノクローナル抗体は、3A11のFabまたはF(ab’)部分を含む。3A11の重鎖可変領域を含むモノクローナル抗体も提供される。ある実施形態によれば、本モノクローナル抗体は、3A11の重鎖可変領域の3個のCDRを含む。3A11の可変軽鎖可変領域または3A11の軽鎖可変領域のCDRのうちの1、2または3個をさらに含むモノクローナル抗体も提供される。任意選択により、前記軽鎖または重鎖CDRの何れか1つ以上は、1、2、3、4もしくは5個またはそれを超えるアミノ酸修飾(例えば置換、挿入または欠失)を含有し得る。任意選択により、抗体3A11の抗原結合領域の一部または全てを含む軽鎖および/または重鎖可変領域の何れかが、ヒトIgG型の免疫グロブリン定常領域、任意選択によりヒト定常領域、任意選択によりヒトIgG1、IgG2、IgG3またはIgG4アイソタイプと融合され、任意選択により、エフェクター機能(ヒトFcγ受容体への結合)を低下させるためにアミノ酸置換をさらに含む抗体が提供される。
別の態様において、本発明は、表Aに規定のアミノ酸配列またはその少なくとも4、5、6、7、8、9もしくは10個の近接アミノ酸の配列を含む3A11のHCDR1領域であって、任意選択によりこれらのアミノ酸のうちの1つ以上が異なるアミノ酸により置換され得るもの;表Aに規定のアミノ酸配列またはその少なくとも4、5、6、7、8、9もしくは10個の近接アミノ酸の配列を含む3A11のHCDR2領域であって、任意選択によりこれらのアミノ酸のうちの1つ以上が異なるアミノ酸により置換され得るもの;表Aに規定のアミノ酸配列またはその少なくとも4、5、6、7、8、9もしくは10個の近接アミノ酸の配列を含む3A11のHCDR3領域であって、任意選択によりこれらのアミノ酸のうちの1つ以上が異なるアミノ酸により置換され得るもの;表Aに規定のアミノ酸配列またはその少なくとも4、5、6、7、8、9もしくは10個の近接アミノ酸の配列を含む3A11のLCDR1領域であって、任意選択によりこれらのアミノ酸のうちの1つ以上が異なるアミノ酸により置換され得るもの;表Aに規定のアミノ酸配列またはその少なくとも4、5、6、7、8、9もしくは10個の近接アミノ酸の配列を含む3A11のLCDR2領域であって、任意選択によりこれらのアミノ酸のうちの1つ以上が異なるアミノ酸により置換され得るもの;表Aに規定のアミノ酸配列またはその少なくとも4、5、6、7、8、9もしくは10個の近接アミノ酸の配列を含む3A11のLCDR3領域であって、任意選択によりこれらのアミノ酸のうちの1つ以上が欠失し得るかまたは異なるアミノ酸により置換され得るものを含む抗体を提供する。HCDR1、2、3およびLCDR1、2、3配列は任意選択により、全てが(またはそれぞれ、独立に)Kabat付番系(各CDRに対して表Aで示されるとおり)のもの、Chotia付番系(各CDRに対して表Aで示されるとおり)のもの、IMGT付番系(CDRに対して表Aで示されるとおり)のものまたは何らかの他の適切な付番系のものとして特定され得る。
抗体1H9
抗体1H9の重鎖可変領域のアミノ酸配列を配列番号21として記載し、軽鎖可変領域のアミノ酸配列を配列番号22として記載する。具体的な実施形態において、本発明は、モノクローナル抗体1H9と同じエピトープまたは決定基と基本的に結合する抗体を提供し、任意選択により、本抗体は、抗体1H9の超可変領域を含む。本明細書中の実施形態の何れかにおいて、抗体1H9は、アミノ酸配列および/またはそれをコードする核酸配列を特徴とし得る。ある実施形態において、本モノクローナル抗体は、1H9のFabまたはF(ab’)部分を含む。1H9の重鎖可変領域を含むモノクローナル抗体も提供される。ある実施形態によれば、本モノクローナル抗体は、1H9の重鎖可変領域の3個のCDRを含む。1H9の可変軽鎖可変領域または1H9の軽鎖可変領域のCDRのうちの1、2または3個をさらに含むモノクローナル抗体も提供される。任意選択により、前記軽鎖または重鎖CDRの何れか1つ以上は、1、2、3、4もしくは5個またはそれを超えるアミノ酸修飾(例えば置換、挿入または欠失)を含有し得る。任意選択により、抗体1H9の抗原結合領域の一部または全てを含む軽鎖および/または重鎖可変領域の何れかが、ヒトIgG型の免疫グロブリン定常領域、任意選択によりヒト定常領域、任意選択によりヒトIgG1、IgG2、IgG3またはIgG4アイソタイプと融合され、任意選択により、エフェクター機能(ヒトFcγ受容体への結合)を低下させるためにアミノ酸置換をさらに含む抗体が提供される。
別の態様において、本発明は、表Aに規定のアミノ酸配列またはその少なくとも4、5、6、7、8、9もしくは10個の近接アミノ酸の配列を含む1H9のHCDR1領域であって、任意選択によりこれらのアミノ酸のうちの1つ以上が異なるアミノ酸により置換され得るもの;表Aに規定のアミノ酸配列またはその少なくとも4、5、6、7、8、9もしくは10個の近接アミノ酸の配列を含む1H9のHCDR2領域であって、任意選択によりこれらのアミノ酸のうちの1つ以上が異なるアミノ酸により置換され得るもの;表Aに規定のアミノ酸配列またはその少なくとも4、5、6、7、8、9もしくは10個の近接アミノ酸の配列を含む1H9のHCDR3領域であって、任意選択によりこれらのアミノ酸のうちの1つ以上が異なるアミノ酸により置換され得るもの;表Aに規定のアミノ酸配列またはその少なくとも4、5、6、7、8、9もしくは10個の近接アミノ酸の配列を含む1H9のLCDR1領域であって、任意選択によりこれらのアミノ酸のうちの1つ以上が異なるアミノ酸により置換され得るもの;表Aに規定のアミノ酸配列またはその少なくとも4、5、6、7、8、9もしくは10個の近接アミノ酸の配列を含む1H9のLCDR2領域であって、任意選択によりこれらのアミノ酸のうちの1つ以上が異なるアミノ酸により置換され得るもの;表Aに規定のアミノ酸配列またはその少なくとも4、5、6、7、8、9もしくは10個の近接アミノ酸の配列を含む1H9のLCDR3領域であって、任意選択によりこれらのアミノ酸のうちの1つ以上が欠失し得るかまたは異なるアミノ酸により置換され得るものを含む抗体を提供する。HCDR1、2、3およびLCDR1、2、3配列は任意選択により、全てが(またはそれぞれ、独立に)Kabat付番系(各CDRに対して表Aで示されるとおり)のもの、Chotia付番系(各CDRに対して表Aで示されるとおり)のもの、IMGT付番系(各CDRに対して表Aで示されるとおり)のものまたは何らかの他の適切な付番系のものとして特定され得る。
抗体2B4
抗体2B4の重鎖可変領域のアミノ酸配列を配列番号39として記載し、軽鎖可変領域のアミノ酸配列を配列番号40として記載する。具体的な実施形態において、本発明は、モノクローナル抗体2B4と同じエピトープまたは決定基と基本的に結合する抗体を提供し、任意選択により本抗体は、抗体2B4の超可変領域を含む。本明細書中の実施形態の何れかにおいて、抗体2B4は、アミノ酸配列および/またはそれをコードする核酸配列を特徴とし得る。ある実施形態において、本モノクローナル抗体は、2B4のFabまたはF(ab’)部分を含む。2B4の重鎖可変領域を含むモノクローナル抗体も提供される。ある実施形態によれば、本モノクローナル抗体は、2B4の重鎖可変領域の3個のCDRを含む。2B4の可変軽鎖可変領域または2B4の軽鎖可変領域のCDRのうちの1、2または3個をさらに含むモノクローナル抗体も提供される。任意選択により、前記軽鎖または重鎖CDRの何れか1つ以上は、1、2、3、4もしくは5個またはそれを超えるアミノ酸修飾(例えば置換、挿入または欠失)を含有し得る。任意選択により、抗体2B4の抗原結合領域の一部または全てを含む軽鎖および/または重鎖可変領域の何れかが、ヒトIgG型の免疫グロブリン定常領域、任意選択によりヒト定常領域、任意選択によりヒトIgG1、IgG2、IgG3またはIgG4アイソタイプと融合され、任意選択により、エフェクター機能(ヒトFcγ受容体への結合)を低下させるためにアミノ酸置換をさらに含む抗体が提供される。
別の態様において、本発明は、表Aに規定のアミノ酸配列またはその少なくとも4、5、6、7、8、9もしくは10個の近接アミノ酸の配列を含む2B4のHCDR1領域であって、任意選択によりこれらのアミノ酸のうちの1つ以上が異なるアミノ酸により置換され得るもの;表Aに規定のアミノ酸配列またはその少なくとも4、5、6、7、8、9もしくは10個の近接アミノ酸の配列を含む2B4のHCDR2領域であって、任意選択によりこれらのアミノ酸のうちの1つ以上が異なるアミノ酸により置換され得るもの;表Aに規定のアミノ酸配列またはその少なくとも4、5、6、7、8、9もしくは10個の近接アミノ酸の配列を含む2B4のHCDR3領域であって、任意選択によりこれらのアミノ酸のうちの1つ以上が異なるアミノ酸により置換され得るもの;表Aに規定のアミノ酸配列またはその少なくとも4、5、6、7、8、9もしくは10個の近接アミノ酸の配列を含む2B4のLCDR1領域であって、任意選択によりこれらのアミノ酸のうちの1つ以上が異なるアミノ酸により置換され得るもの;表Aに規定のアミノ酸配列またはその少なくとも4、5、6、7、8、9もしくは10個の近接アミノ酸の配列を含む2B4のLCDR2領域であって、任意選択によりこれらのアミノ酸のうちの1つ以上が異なるアミノ酸により置換され得るもの;表Aに規定のアミノ酸配列またはその少なくとも4、5、6、7、8、9もしくは10個の近接アミノ酸の配列を含む2B4のLCDR3領域であって、任意選択によりこれらのアミノ酸のうちの1つ以上が欠失し得るかまたは異なるアミノ酸により置換され得るものを含む抗体を提供する。HCDR1、2、3およびLCDR1、2、3配列は任意選択により、全てが(またはそれぞれ、独立に)Kabat付番系(各CDRに対して表Aで示されるとおり)のもの、Chotia付番系(各CDRに対して表Aで示されるとおり)のもの、IMGT付番系(各CDRに対して表Aで示されるとおり)のものまたは何らかの他の適切な付番系のものとして特定され得る。
本明細書中の実施形態の何れかの別の態様において、3A11、2B4または1H9の重鎖および軽鎖のCDR1、2および3の何れも、その少なくとも4、5、6、7、8、9または10個の近接アミノ酸の配列を、および/または対応する配列番号で挙げられる特定のCDRまたは一連のCDRと少なくとも50%、60%、70%、80%、85%、90%または95%の配列同一性を共有するアミノ酸配列を有することを特徴とし得る。
本発明の抗体の何れかにおいて、例えば、3A11、2B4または1H9において、特定される可変領域およびCDR配列は、配列修飾、例えば置換(1、2、3、4、5、6、7、8個またはそれを超える配列修飾)を含み得る。ある実施形態において、重鎖および軽鎖のCDR1、2および/または3は、置換される残基が、ヒト起源の配列中に存在する残基である、1、2、3またはそれを超えるアミノ酸置換を含む。ある実施形態において、置換は保存的修飾である。保存的配列修飾は、そのアミノ酸配列を含有する抗体の結合特性に顕著に影響しないかまたはこれを変化させないアミノ酸修飾を指す。このような保存的修飾としては、アミノ酸置換、付加および欠失が挙げられる。部位特異的突然変異誘発およびPCR介在性突然変異誘発など、当技術分野で公知の標準的技術によって、本発明の抗体に修飾を導入し得る。保存的アミノ酸置換は、一般的には、アミノ酸残基が同様の物理化学的特性の側鎖を有するアミノ酸残基で置換されるものである。特定される可変領域およびCDR配列は、1、2、3、4またはそれを超えるアミノ挿入、欠失または置換を含み得る。置換が行われる場合、好ましい置換は保存的修飾である。同様の側鎖を有するアミノ酸残基のファミリーは当技術分野で定められている。これらのファミリーは、塩基性側鎖(例えば、リジン、アルギニン、ヒスチジン)、酸性側鎖(例えば、アスパラギン酸、グルタミン酸)、非荷電極性側鎖(例えばグリシン、アスパラギン、グルタミン、セリン、スレオニン、チロシン、システイン、トリプトファン)、非極性側鎖(例えば、アラニン、バリン、ロイシン、イソロイシン、プロリン、フェニルアラニン、メチオニン)、ベータ分岐状側鎖(例えばスレオニン、バリン、イソロイシン)および芳香族側鎖(例えば、チロシン、フェニルアラニン、トリプトファン、ヒスチジン)があるアミノ酸を含む。したがって、本発明の抗体のCDR領域内の1つ以上のアミノ酸残基は、同じ側鎖ファミリーからの他のアミノ酸残基で置換され得、改変された抗体は、本明細書中に記載のアッセイを用いて、保有される機能(すなわち本明細書中に記載の特性)について試験し得る。
AbM(Oxford MolecularのAbM抗体モデリングソフトウェア定義)、KabatおよびChothia定義系に従うCDRの配列を以下の表Aでまとめた。本発明による抗体の可変領域の配列を以下の表Bに挙げ(リーダー配列が存在する場合、リーダー配列の終わりの直後のアミノ位置で開始するように何らかの抗体鎖が指定され得る)、各CDRに下線を付す。本明細書中の何れかの実施形態において、シグナルペプチドまたはその何らかの部分を含有するかまたは欠くように、VLまたはVH配列を指定し、付番し得る。
ある実施形態において、本発明の抗体は、ヒトIgG1またはIgG3アイソタイプのものである。ある実施形態において、本発明の抗体は、それらの結合および/または機能的特性を保有する抗体断片である。
Figure 2022109920000003
Figure 2022109920000004
抗体処方物
1mg/mL~500mg/mLの濃度で含む医薬処方物中に抗Siglec抗体が組み込まれ得、前記処方物のpHは2.0~10.0である。本処方物は、緩衝液系、保存剤、等張化剤、キレート剤、安定化剤および界面活性剤をさらに含み得る。ある実施形態において、医薬処方物は、水性処方物、すなわち水を含む処方物である。このような処方物は一般的に溶液または懸濁液である。さらなる実施形態において、本医薬処方物は水性溶液である。「水性処方物」という用語は、少なくとも50%w/wの水を含む処方物として定義される。同様に「水溶液」という用語は、少なくとも50%w/wの水を含む溶液として定義され、「水性懸濁液」という用語は、少なくとも50%w/wの水を含む懸濁液として定義される。
別の実施形態において、本医薬処方物は、凍結乾燥処方物であり、医師または患者が使用前にそれに溶媒および/または希釈剤を添加する。
別の実施形態において、本医薬処方物は、事前に溶解する必要がない使用準備済みの乾燥処方物(例えば凍結乾燥または噴霧乾燥)である。
さらなる態様において、本医薬処方物は、このような抗体の水溶液および緩衝液を含み、この抗体は1mg/mLまたはそれを超える濃度で存在し、前記処方物のpHは約2.0~約10.0である。
別の実施形態において、本処方物のpHは、約2.0~約10.0、約3.0~約9.0、約4.0~約8.5、約5.0~約8.0および約5.5~約7.5からなる一覧から選択される範囲である。
さらなる実施形態において、緩衝液は、酢酸ナトリウム、炭酸ナトリウム、クエン酸塩、グリシルグリシン、ヒスチジン、グリシン、リジン、アルギニン、リン酸二水素ナトリウム、リン酸水素二ナトリウム、リン酸ナトリウムおよびトリス(ヒドロキシメチル)-アミノメタン、ビシン、トリシン、リンゴ酸、コハク酸塩、マレイン酸、フマル酸、酒石酸、アスパラギン酸またはこれらの混合物からなる群から選択される。これらの具体的な各緩衝液は、本発明の代替的な実施形態を構成する。
さらなる実施形態において、本処方物は、薬学的に許容可能な保存剤をさらに含む。さらなる実施形態において、本処方物は等張剤をさらに含む。さらなる実施形態において、本処方物はキレート剤も含む。本発明のさらなる実施形態において、本処方物は安定化剤をさらに含む。さらなる実施形態において、本処方物は界面活性剤をさらに含む。便宜上、Remington:The Science and Practice of Pharmacy,19th edition,1995を参照する。
本発明のペプチド医薬処方物中に他の成分が存在し得る可能性がある。このようなさらなる成分としては、湿潤剤、乳化剤、抗酸化剤、充填剤、等張性調節剤、キレート剤、金属イオン、油性ビヒクル、タンパク質(例えば、ヒト血清アルブミン、ゼラチンまたはタンパク質)および双性イオン(例えば、ベタイン、タウリン、アルギニン、グリシン、リジンおよびヒスチジンなどのアミノ酸)が挙げられ得る。このようなさらなる成分は、当然ではあるが本発明の医薬処方物の全体的な安定性に悪影響を与えるべきではない。
本発明による抗体を含有する医薬組成物は、いくつかの部位、例えば局所部位、例えば皮膚および粘膜部位、吸収を迂回する部位、例えば動脈における、静脈における、心臓における投与、および吸収を含む部位、例えば皮膚、皮下における、筋肉における、または腹部における投与において、このような処置を必要とする患者に投与し得る。本発明による医薬組成物の投与は、このような処置を必要とする患者への、いくつかの投与経路を通じて、例えば、皮下、筋肉内、腹腔内、静脈内、舌、舌下、頬側、口腔における投与、経口、胃腸における投与、鼻腔、肺、例えば細気管支および肺胞またはそれらの組み合わせを通じた投与、上皮、真皮、経皮、膣、直腸、眼、例えば結膜を通じた投与、ウレタル(uretal)および非経口投与であり得る。
適切な抗体処方物は、他の既に開発されている治療用モノクローナル抗体での経験を調べることによっても決定し得る。いくつかのモノクローナル抗体は、リツキサン(リツキシマブ)、ハーセプチン(トラスツズマブ)ゾーレア(オマリズマブ)、ベクザー(トシツモマブ)、キャンパス(アレムツズマブ)、ゼバリン、オンコリム(Oncolym)など、臨床的状況で有効であることが示されており、本発明の抗体とともに同様の処方物を使用し得る。例えば、モノクローナル抗体は、100mg(10mL)または500mg(50mL)の何れかの単回使用バイアルで、9.0mg/mL塩化ナトリウム、7.35mg/mLクエン酸ナトリウム二水和物、0.7mg/mLポリソルベート80および注射用の滅菌水中でIV投与用に処方された10mg/mLの濃度で供給され得る。pHは6.5に調整する。別の実施形態において、本抗体は、pHが6.0の約20mMクエン酸Na、約150mM NaClを含む処方物中で供給される。
悪性腫瘍の診断および処置
本明細書中に記載のような抗Siglec抗体を使用して、個体、とりわけヒト患者を処置する方法も提供される。ある実施形態において、本発明は、ヒト患者への投与のための医薬組成物の調製における本明細書中で記載のような抗体の使用を提供する。一般的には、患者は、癌または感染性疾患、例えば細菌性またはウイルス性疾患に罹患しているか、またはそのリスクがある。
例えば、ある態様において、本発明は、Siglec-7および/または-9限定リンパ球の活性の増強を、それを必要とする患者において行う方法を提供し、この方法は、中和抗Siglec7/9抗体を前記患者に投与するステップを含む。本抗体は、例えばヒトまたはヒト化抗Siglec-7/9抗体であり得、この抗体は、Siglec-7および-9受容体のシアル酸介在性活性化を低下させるかまたは妨害する。ある実施形態において、本方法は、リンパ球(例えばNKおよび/またはCD8+T細胞)活性の向上が有益である疾患を有する患者においてこのようなリンパ球の活性を向上させることを対象とし、この疾患は、NKもしくはCD8+T細胞による溶解の影響を受け易い細胞を含むか、このような細胞に影響を与えるか、またはこのような細胞により引き起こされ、または不十分なNKもしくはCD8+T細胞活性により引き起こされるかまたは不十分なNKもしくはCD8+T細胞活性を特徴としており、例えば癌または感染性疾患である。
より具体的に、本発明の方法および組成物は、様々な癌および他の増殖性疾患の処置のために利用される。これらの方法は、リンパ球上の阻害受容体の阻止を介して免疫反応を促進することにより効果を発揮するため、これらは癌の非常に広い範囲に適用可能である。ある実施形態において、本発明の抗Siglec抗体で処置されるヒト患者は、肝臓癌、骨癌、膵臓癌、皮膚癌、頭頸部の癌、乳癌、肺癌、非小細胞肺癌(NSCLC)、去勢抵抗性前立腺癌(CRPC)、メラノーマ、子宮癌、結腸癌、直腸癌、肛門領域の癌、胃癌、精巣癌、子宮癌、卵管の癌腫、子宮内膜の癌腫、子宮頸部の癌腫、膣の癌腫、外陰部の癌腫、非ホジキンリンパ腫、食道癌、小腸癌、内分泌系の癌、甲状腺癌、副甲状腺癌、副腎癌、軟組織の肉腫、尿道癌、陰茎癌、小児期の固形腫瘍、リンパ球性リンパ腫、膀胱癌、腎臓または尿管の癌、腎盂の癌腫、中枢神経系(CNS)の新生物、原発性CNSリンパ腫、腫瘍の血管新生、脊髄軸腫瘍、脳幹グリオーマ、下垂体腺腫、カポジ肉腫、類表皮癌、扁平上皮癌、アスベストにより誘導されるものを含む環境誘導性の癌、例えば多発性骨髄腫、B細胞リンパ腫、ホジキンリンパ腫/縦隔原発性B細胞性リンパ腫、非ホジキンリンパ腫、急性骨髄性リンパ腫、慢性骨髄性白血病、慢性リンパ性白血病、濾胞性リンパ腫、びまん性大細胞型B細胞リンパ腫、バーキットリンパ腫、免疫芽球性大細胞型リンパ腫、前駆Bリンパ芽球性リンパ腫、マントル細胞リンパ腫、急性リンパ芽球性白血病、菌状息肉腫、未分化大細胞型リンパ腫、T細胞リンパ腫および前駆Tリンパ芽球性リンパ腫を含む血液系悪性腫瘍および前記癌の何れかの組み合わせを有する。本発明は転移性癌の処置にも適用可能である。患者は、処置前、処置中または処置後に、上記臨床特性のうちの1つ以上に対して試験または選択され得る。
抗Siglec抗体に基づく処置は、好ましくはウイルス、細菌、原生動物、カビまたは真菌による感染によって引き起こされる何らかの感染を含む感染性疾患を処置または予防するためにも使用され得る。このようなウイルス感染性生物としては、A型肝炎、B型肝炎、C型肝炎、インフルエンザ、水痘、アデノウイルス、I型単純ヘルペス(HSV-1)、2型単純ヘルペス(HSV-2)、牛疫、ライノウイルス、エコーウイルス、ロタウイルス、呼吸器多核体ウイルス、パピローマウイルス、パピローマウイルス、サイトメガロウイルス、エキノウイルス、アルボウイルス、ハンタウイルス(huntavirus)、コクサッキーウイルス、流行性耳下腺炎ウイルス、麻疹ウイルス、風疹ウイルス、ポリオウイルスおよびI型または2型ヒト免疫不全ウイルス(HIV-1、HIV-2)が挙げられるが限定されない。細菌は、次のものを含むが限定されない感染生物の別の好ましいクラスを構成する:ブドウ球菌(Staphylococcus);S.ピオゲネス(S.pyogenes)を含む連鎖球菌(Streptococcus);エンテロコッカス(Enterococcl);バチルス・アンスラシス(Bacillus anthracis)を含むバチルス(Bacillus)およびラクトバチルス(Lactobacillus);リステリア(Listeria);コリネバクテリウム・ジフテリエ(Corynebacterium diphtheriae);G.バジナリス(G.vaginalis)を含むガルドネレラ(Gardnerella);ノカルジア(Nocardia);ストレプトマイセス(Streptomyces);サーモアクチノマイセス・ブルガリス(Thermoactinomyces vulgaris);トレポネーマ(Treponerna);カンピロバクター(Camplyobacter)、P.エルギノーサ(P.aeruginosa)を含むシュードモナス(Pseudomonas);レジオネラ(Legionella);N.ゴノローエ(N.gonorrhoeae)およびN.メニンギティディス(N.meningitides)を含むナイセリア(Neisseria);F.メニンゴセプチクム(F.meningosepticum)およびF.オドラツルン(F.odoraturn)を含むフラボバクテリウム(Flavobacterium);ブルセラ(Brucella);B.ペルツッシス(B.pertussis)およびB.ブロンキセプチカ(B.bronchiseptica)を含むボルデテラ(Bordetella);大腸菌(E.coli)を含むエシェリキア(Escherichia)、クレブシエラ(Klebsiella);エンテロバクター(Enterobacter)、S.マルセッセンス(S.marcescens)およびS.リケファシエンス(S.liquefaciens)を含むセラチア(Serratia);エドワージエラ(Edwardsiella);P.ミラビリス(P.mirabilis)およびP.ブルガリス(P.vulgaris)を含むプロテウス(Proteus);ストレプトバチルス(Streptobacillus);R.フィケツフィ(R.fickettsfi)を含むリケッチア科(Rickettsiaceae)、C.シタッシ(C.psittaci)およびC.トラコルナチス(C.trachornatis)を含むクラミジア(Chlamydia);M.ツベルクローシス(M.tuberculosis)、M.イントラセルラーレ(M.intracellulare)、M.ホルイツルン(M.folluiturn)、M.ラプレ(M.laprae)、M.アビウム(M.avium)、M.ボビス(M.bovis)、M.アフリカヌム(M.africanum)、M.カンサッシ(M.kansasii)、M.イントラセルラーレ(M.intracellulare)およびM.レプラエルヌリウム(M.lepraernurium)を含むマイコバクテリウム(Mycobacterium);およびノカルジア(Nocardia)。原生動物としては、リーシュマニア(leishmania)、コクジディオア(kokzidioa)およびトリパノソーマ(trypanosoma)が挙げられ得るが限定されない。寄生虫としては、クラミジア(chlamydia)およびリケッチア(rickettsia)が挙げられるが限定されない。
別の実施形態によれば、本抗体組成物は、その抗体が投与されている特定の治療目的のために通常利用される薬剤を含む1つ以上の他の治療剤との併用処置において使用され得る。さらなる治療剤は通常、処置されている特定の疾患または状態に対する単剤療法においてその薬剤に対して一般的に使用される量および治療計画で投与される。このような治療剤としては、抗癌剤、化学療法剤、抗生物質、抗ウイルス剤が挙げられるが限定されない。
処置方法において、Siglec結合化合物および第2の治療剤は、個別に、一緒に、または連続して、またはカクテルにして投与し得る。いくつかの実施形態において、本抗原結合化合物は、第2の治療剤の投与前に投与される。例えば、Siglec結合化合物は、第2の治療剤の投与のおよそ0~30日前に投与し得る。いくつかの実施形態において、Siglec結合化合物は、第2の治療剤の投与の、約30分~約2週間、約30分~約1週間、約1時間~約2時間、約2時間~約4時間、約4時間~約6時間、約6時間~約8時間、約8時間~1日または約1~5日前に投与する。いくつかの実施形態において、Siglec結合化合物は、治療剤の投与と同時に投与する。いくつかの実施形態において、Siglec結合化合物は、第2の治療剤の投与後に投与する。例えば、Siglec結合化合物は、第2の治療剤の投与からおよそ0~30日後に投与し得る。いくつかの実施形態において、Siglec結合化合物は、第2の治療剤の投与から、約30分~約2週間、約30分~約1週間、約1時間~約2時間、約2時間~約4時間、約4時間~約6時間、約6時間~約8時間,約8時間~1日または約1~5日後に投与する。
他の態様において、Siglec-7+Siglec-9+NK細胞および/またはT細胞、例えばCD8T細胞を同定するための方法が提供される。NK細胞および/またはT細胞上でのSiglec-7およびSiglec-9の同時発現を評価することは、診断または予測法において使用し得る。例えば、生体試料は、個体から(例えば血液試料から、癌患者から得られる癌または癌隣接組織から)得ることができ、Siglec-7および/またはSiglec-9+NKおよび/またはT細胞の存在について分析し得る。このような細胞上でのSiglec-7およびSiglec-9の両方の発現は、例えばNKおよび/またはT細胞、例えばSiglec-7およびSiglec-9の両方のポリペプチドにより阻害される腫瘍浸潤性NKおよび/またはT細胞を有する個体を同定するために使用し得る。本方法は、例えば、Siglec-7およびSiglec-9を中和する薬剤での処置に対する反応についての予測として有用であり得る。
ある一定の選択的な態様において、Siglec-7および/またはSiglec-9に対する天然リガンドの腫瘍試料(例えば腫瘍組織および/または腫瘍隣接組織)中での存在を評価することによって、抗Sig-lec-7/9抗体での処置について患者を同定し得る。本明細書中での治療用途または癌治療または予防方法の何れかのある実施形態において、個体における癌の処置または予防は、
a)癌を有する個体内の悪性細胞(例えば腫瘍細胞)がSiglec-7のリガンドおよび/またはSiglec-9のリガンドを発現するか否かを決定し、
b)悪性細胞(例えば腫瘍細胞)(の例えば表面上)によりSiglec-7のリガンドおよび/またはSiglec-9のリガンドが顕著に発現されると判定されたら、抗Siglec7/9抗体、例えば本開示の何れかの態様に従う抗体をその個体に投与することを含む。
ある実施形態において、生体試料(例えば、腫瘍細胞、腫瘍組織および/または腫瘍隣接組織を含む試料)が主にSiglec-7のリガンドおよび/またはSiglec-9のリガンドを発現するという判定から、Siglec-7およびSiglec-9ポリペプチドを阻害する抗体でその個体を処置し得る、および/またはそれにより利益を受け得る癌をその個体が有することが示される。
ある実施形態において、Siglec-7のリガンドおよび/またはSiglec-9のリガンドの顕著な発現は、ある一定の個体から採取される相当な数の腫瘍細胞において前記リガンドが発現されることを意味する。正確なパーセンテージ値により拘束されない一方で、一部の例において、患者から採取される腫瘍細胞(試料中)の少なくとも30%、40%、50%、60%、70%、80%またはそれを超えて存在する場合、リガンドが「顕著に発現される」と言われ得る。
本方法の何れかのある実施形態において、癌を有する個体内の悪性細胞(例えば腫瘍細胞)がSiglec-7および/またはSiglec-9のリガンドを発現するか否かを判定することは、生体試料中の悪性細胞上でのSiglec-7のリガンドおよび/またはSiglec-9のリガンドの発現レベルを決定することおよびそのレベルを参照レベル(例えば値、弱いかまたは強い細胞表面染色など)と比較することを含む。参照レベルは、例えば、健常個体、抗Siglecでの処置から引き出せる臨床的便益がないかもしくは低い個体または抗Siglec抗体での処置から引き出せる臨床的便益がかなり大きい個体に対応し得る。生体試料が、上昇しているレベル(例えば高値、強い表面染色、抗Siglec抗体での処置から引き出せる臨床的利益が相当なものである個体のものに対応するレベル、抗Siglec抗体での処置から引き出せる臨床的便益がないか/低い個体のものに対応するものより高いレベルなど)でSiglec-7のリガンドおよび/またはSiglec-9のリガンドを発現するという判定は、その個体が抗Siglec抗体で処置し得る癌を有することを示す。
実施例1:Siglec-7およびSiglec-9の両方を同時発現するヒトNK細胞サブセット
CD33関連Siglecの中でも、Siglec-7(CD328)およびSiglec-9(CD329)は、癌細胞により過剰発現されるグリカンを含め、シアル酸に対する結合の特性を共有し、それらが発現される免疫細胞において阻害受容体として機能すると考えられる。リンパ球上でのSiglecの発現を調べるために、ヒトNK細胞上でのSiglec-7およびSiglec-9の分布を調べた。
ヒトドナーから精製した新鮮なNK細胞上でのフローサイトメトリーによって、NK細胞上でのSiglec-7およびSiglec-9発現を判定した。NK集団は、CD3-CD56+細胞と判定した(抗CD3 Pacific blue-BD Pharmingen #558124;抗CD56-PE-Vio770-Milteny #130100676)。抗Siglec-7抗体(クローン194211-IgG1 APC-R&D Systems#FAB11381A)、抗Siglec-9抗体(クローン 191240-IgG2A PE-R&D Systems #FAB1139P)およびアイソタイプ対照IgG1 APCおよびIgG2A APCを使用した。50μLの染色Ab混合液とともにNK細胞を30分間温置し、染色緩衝液で2回洗浄し、Canto II(HTS)で蛍光を明らかにした。
結果を図1で示す。代表的な結果を示す。MFI:蛍光強度の平均。NK細胞のかなりの割合(約44%)がSiglec-7およびSiglec-9の両方を発現し、このことから、NK細胞の大部分が、例えば腫瘍細胞上に存在するグリカンリガンドの機能として、これらの受容体のそれぞれ(または両方)によって阻害され得ることが示唆される。
実施例2:抗Siglec-7/9抗体の作製
Siglec-7およびSiglec-9は、シアル酸結合N末端V-セットIgドメインを有する特徴的なドメイン、2つのC2-セットIgドメイン、および1つの免疫受容体チロシンに基づく阻害モチーフ(ITIM)および1つのITIM様モチーフを含有する細胞質内領域を共有し、両者とも、癌細胞により過剰発現されるシアル酸に結合し、それらが発現される免疫細胞における阻害受容体としてのそれらの機能により腫瘍監視に関与すると考えられる。しかし、CD33関連Siglecは、とりわけ進化的保存が低いことおよび多数の機序により急速に進化する配列を特徴とする。Siglec-9は、ヒトSiglec-7のN末端V-セットIgドメインと僅か約77%の全体的なアミノ酸配列同一性を共有する。さらに、これらの2つのsiglecは、異なるシアル酸結合特異性を呈する。
さらに、一般に2つの群、Siglec-1、-2、-4および-15から構成される第1のサブセットと、Siglec-3、-5、-6、-7、-8、-9、-10、-11、-12、-14および-16を含むSiglecのCD33関連群とに分けられる、Siglec-7および-9と配列類似性を共有する多くのsiglecもある。
Siglec-7およびSiglec-9の両方に結合する抗体を得ることができるか否かを調べるために、マウスの免疫付与を行い、続いて細胞性Siglec-7およびSiglec-9(細胞表面で発現されるタンパク質)への結合についてスクリーニングした。さらに、他のCD33関連Siglecは異なる生物学的機能を有するため、他のCD33関連Siglecに結合しない交差反応性Siglec-7/9抗体を得ることが可能か否かを評価するために、抗体をさらにスクリーニングした。
A.免疫付与#1
抗ヒトSiglec-7およびSiglec-9抗体を得るために、ヒトSiglec-7 FcおよびヒトSiglec-9 Fc細胞外ドメイン組み換えタンパク質を用いてBalb/cマウスに免疫付与を行った。マウスに対して、30μgのSiglec-7 Fcタンパク質、30μgのヒトSiglec-9 Fcタンパク質および完全フロインドアジュバントの乳液での初回免疫付与を腹腔内に1回行った。マウスに対して、30μgのSiglec-7 Fcタンパク質、30μgのヒトSiglec-9 Fcタンパク質および完全フロインドアジュバントの乳液で2回目の免疫付与を腹腔内に行った。および最後にマウスに対して、7.5μgのSiglec-7 Fcタンパク質および7.5μgのヒトSiglec-9 Fcタンパク質で静脈内に免疫促進注射を行った。免疫促進注射から3日後に免疫脾臓細胞をX63.Ag8.653不死化B細胞と融合させ、照射した脾臓細胞の存在下で培養した。ハイブリドーマを半固体メチルセルロース含有培地に播種し、clonepix2装置(Molecular Devices)を用いて増殖クローンを採取した。
一次スクリーニング:一次スクリーニング:親およびhuSiglec-7およびhuSiglec-9-発現CHO細胞株を用いて、フローサイトメトリーによって一次スクリーニングにおいて増殖クローンの上清(SN)を試験した。0.5μM CFSEを用いてHuSiglec-7-発現CHO細胞を染色した。フローサイトメトリースクリーニングのために、全細胞を等しく混合し、alexa fluor647で標識されたヤギ抗マウスポリクローナル抗体(pAb)によって上清中の反応抗体の存在を明らかにした。20種類の抗体が、ヒトSiglec-7および/またはSiglec-9に結合することが分かった。13種類がキメラヒトIgG1抗体として産生され、それらのうちの5種類がSiglec-7およびSiglec-9の両方に結合することが分かった。重鎖N297Q(Kabat EU付番)突然変異があり、その結果N結合グリコシル化を欠き、Fcγ受容体への結合が減少した抗体も産生され、さらなる実験で使用した。
使用されるSiglecポリペプチドに対するアミノ酸配列およびGenbank参照番号を以下の表1で示す。
図2は、Siglec-7およびSiglec-9発現細胞株上に存在するような、ヒトSiglec-7およびSiglec-9の両方にそれぞれが結合する、mAb 3A11、1H9および2B4についてのSiglec-7およびSiglec-9への結合の代表的な結果を示す。
B.免疫付与#2および#3
さらなるSiglec7/9交差反応抗体を見出し得るか否かを評価するために、さらなる一連の免疫付与を行った。一次および二次スクリーニングは次のとおりである。半固体メチルセルロース含有培地のかわりにP96において培地中にハイブリドーマを播種したことを除き、第1回目の免疫付与に記載のものと同じプロトコールに従い、2回のさらなる免疫付与を行った。30種類を超える抗体がヒトSiglec-7およびSiglec-9の両方と結合することが分かった。
Figure 2022109920000005
Figure 2022109920000006
実施例3:CD33関連Siglecへの結合
Siglec-7および-9と配列類似性を共有するCD33関連Siglecはまた一般に、2つの群、Siglec-1、-2、-4および-15から構成される第1のサブセットと、Siglec-3、-5、-6、-7、-8、-9、-10、-11、-12、-14および-16を含むSiglecのCD33関連群とに分けられる。他のCD33関連Siglecは異なる生物学的機能を有し、および/または腫瘍監視に関与しないと考えられるため、他のCD33関連Siglecに結合しない交差反応性Siglec-7/9抗体を得ることが可能か否かを評価するために抗体をさらにスクリーニングした。
Siglec-3、-5、-6、-8、-10、-11および-12を発現する細胞を作製し、細胞への結合についてフローサイトメトリーによって、交差反応性Siglec-7/9抗体の代表的なサブセットを試験した。使用されるSiglecポリペプチドに対するアミノ酸配列およびGenbank参照番号を以下の表1で示す。
簡潔に述べると、(Siglecのうちの1つを発現する)HuSiglec発現CHO細胞株を使用した。フローサイトメトリースクリーニングのために、各HuSiglec発現CHO細胞株(CHO HuSiglec-3細胞株、CHO HuSiglec-5細胞株、CHO HuSiglec-6細胞株、CHO HuSiglec-8細胞株、CHO HuSiglec-10細胞株、CHO HuSiglec-11細胞株、CHO HuSiglec-12細胞株)とともに抗体を1時間温置し、染色緩衝液中で2回洗浄し、PEで標識したヤギ抗マウスポリクローナル抗体(pAb)により明らかにし、染色緩衝液で2回洗浄し、HTFCサイトメーター上で染色を得て、FlowJoソフトウェアを用いて分析した。
結果から、交差反応性Siglec-7/9抗体の殆どがSiglecの何れにも、すなわちSiglec-3、-5、-6、-8、-10、-11または-12に結合しなかったことが示された。しかし、交差反応性Siglec-7/9抗体のうちの少数がSiglec-7および-9に加えてSiglec-12またはSiglec-6に結合した。代表的なmAb 3A11、2B4および1H9のうち、Siglec-3、-5、-6、-8、-10、-11または-12の何れかに結合したものはなかった。
実施例4:Siglec-7/9のSiglec活性中和能の評価
NK細胞活性化アッセイにおいて、Siglec活性の阻止について、第1および第2の免疫付与において試験した抗Siglec-7/9抗体を試験した。24時間でのCD137発現上昇は、NK細胞を含む一部のリンパ球の活性化と相関する(Kohrtら(2011)Blood 117(8):2423-2432)。フローサイトメトリーによるNK細胞上でのCD137発現の分析によって、NK細胞活性化における抗Siglec-7/9抗体の効果および標的細胞の脱シアル化を判定した。
エフェクター細胞は、ドナーから精製した新鮮NK細胞であった。標的細胞は、E:T比1/1としてのRamos細胞株(野生型またはノイラミニダーゼ処理)またはK562であった。読み出しは24時間でCD137であった。馴化NK細胞対Ramos(Siglec-7およびSiglec-9リガンド+)において、抗Siglec-7/9抗体3A11(CHS2-M-S97A-3A11とも呼ばれる、上記で論じられるようなS297Q突然変異を有するヒトIgG1アイソタイプ)抗体またはS297Q突然変異を有するアイソタイプ対照ヒトIgG1(CHS2と呼ばれる)の存在下で、8名のドナーを試験した。馴化NK細胞対脱シアル化Ramos(Siglec-7およびSiglec-9リガンド-)において4名のドナーを試験した。対照は、抗Siglec-7/9 3A11抗体またはアイソタイプ対照CHS2存在下でNK細胞のみ、およびNK細胞対NK活性化陽性対照細胞株としてのK562であった。重鎖可変ドメインアミノ酸配列が配列番号3で示され、軽鎖可変ドメインアミノ酸配列が配列番号4で示される抗Siglec-7/9 3A11抗体を10μg/mLの最終濃度で使用した。25mUノイラミニダーゼ(Roche Diagnostics-#11080725001)を用いて標的細胞を2時間脱シアル化した。ノイラミニダーゼ処理前後に脱シアル化を調節した。10μg/mLでヒトSiglec-7 Fc(R&D Systems#1138-SL-050)およびヒトSiglec-9 Fc組み換えタンパク質(R&D Systems#1139-SL-050)とともに染色緩衝液(SB)中で標的細胞を1時間温置し、SBで2回洗浄し、ヤギF(ab’)2抗マウスIgG(Fc)PE(Beckman Coulter#IM0551)とともに30分間温置し、SBで2回洗浄し、Canto II(HTS)で蛍光を明らかにした。完全RPMI中、200μL最終/ウェルで96UウェルプレートでCD137アッセイを行った。抗体、標的細胞およびエフェクター細胞を混合し、300gで1分間回転させ、37℃で24時間温置し、500gで3分間回転させ、染色緩衝液(SB)で2回洗浄し、50μLの染色Ab mix(抗CD3 Pacific blue-BD Pharmingen#558124;抗CD56-PE-Vio770-Miltenyi#130100676;抗CD137-APC-Miltenyi#130094821)を添加し、300gで30分間温置し、SBで2回洗浄し、SBでペレットを再懸濁し、Canto II(HTS)で蛍光を明らかにした。
図3は、標的細胞または脱シアル化標的細胞の存在下、および10μg/mLの飽和用量の、3A11抗Siglec-7/9抗体またはアイソタイプ対照CHS2抗体の存在下での、NK細胞上のCD137 FACS読み出しを示す。各点は、健常ボランティアからのNKを表す。3A11抗体は、標的細胞株Ramos存在下でNK細胞上でのCD137発現の上昇を誘導した。3A11抗体は、標的細胞株の非存在下でNK細胞上でのCD137発現に対して効果がなかった。同様に、3A11抗体は、細胞傷害性アッセイにおいてRamos標的細胞株の溶解増加を誘導した。2名のドナー(D2およびD3)で、脱シアル化Ramos標的細胞を用いて、NK細胞上でのCD137発現の誘導も観察された。2名の他のドナー(D1およびD4)に対して、3A11はCD137発現の上昇を誘導したが、脱シアル化標的細胞では誘導せず、このことから、3A11はSiglec-7およびSiglec-9とシアル酸リガンドとの間の相互作用を阻止するが、シアル酸不含リガンド、すなわち他の未知のリガンド(シアル酸と独立)との相互作用も阻止することが示唆される。3種類のさらなる抗体(1種類の交差反応性抗Siglec-7/9および2種類の抗Siglec-9抗体)は、CD137アッセイにおいてCD137発現の弱い上昇も誘導した。これらの結果から、本発明者らは、3A11がSiglec-7/-9阻害シグナルを阻止し、NK活性化および細胞傷害性を向上させると結論付けることができる。
本明細書中で引用される、刊行物、特許出願および特許を含む全ての参考文献は、本明細書中の他の箇所でなされる特定の文献の何れかの個別に提供される組み込みにかかわらず、(法律によって許される最大の限度で)各参考文献が個々におよび具体的に参照により組み込まれることが示され、本明細書中でその全体において記載されているかのように、同定度に参照により全体的に本明細書に組み込まれる。
「1つの(a)」および「1つの(an)」および「その(the)」という語および本発明を記載する文脈中の同様の指示対象の使用は、本明細書中で別段の指示がない限り、または文脈に明らかに矛盾しない限り、単数および複数の両方を包含するものと解釈すべきである。
別段の指定がない限り、本明細書中で提供される全ての厳密値は、対応する近似値の代表である(例えば、特定の要因に関して提供される全ての代表的厳密値または測定値は、必要に応じて、「約」により修飾される対応する近似測定値も提供するとみなされ得る)。
1つまたは複数の要素に関する「含む」、「有する」、「包含する」または「含有する」などの語を使用した本発明の何らかの態様または実施形態の本明細書中での記述は、別段の指定がない限り、または内容に明らかに矛盾しない限り、その特定の1つまたは複数の要素「からなる」、「から基本的になる」またはそれを「実質的に含む」本発明の同様の態様または実施形態に対する支持を提供するものとする(例えば、特定の要素を含む場合の本明細書中に記載の組成物は、別段の指定がない限り、または内容に明らかに矛盾しない限り、その要素からなる組成物も記載するものとしても理解されるべきである)。
本明細書中で提供されるあらゆる実施例または代表的な語(例えば「など」)の使用は、本発明を単により良好に明らかにするものとして意図され、別段の主張がない限り、本発明の範囲において限定を提起しない。本明細書中のいかなる語も、何らかの請求項に記載されていない要素を本発明の実施に必須であるものとして示すものと解釈すべきではない。

Claims (38)

  1. ヒトSiglec-7ポリペプチドおよびヒトSiglec-9ポリペプチドに特異的に結合する単離抗体。
  2. 中和抗Siglec7/9抗体である、請求項1に記載の抗体。
  3. 第3のヒトCD33関連Siglecポリペプチドに実質的に結合せず、任意選択により第3のヒトCD33関連Siglecポリペプチドよりも少なくとも100倍低いKDで前記Siglec-7およびSiglec-9に結合し、任意選択により前記第3のヒトCD33関連Siglecが、Siglec-3、-5、-6、-8、-10、-11および-12からなる群から選択される、請求項1または2に記載の抗体。
  4. 前記第3のヒトCD33関連SiglecポリペプチドがSiglec-12である、請求項1~3の何れか一項に記載の単離抗体。
  5. 第1および第2のヒトCD33関連Siglecの細胞外ドメイン上に存在する共通の決定基に結合するモノクローナル抗体であって、前記第1および第2のSiglecの阻害活性を中和する、モノクローナル抗体。
  6. 細胞上に存在する前記Siglecの天然のリガンドによる前記Siglecの活性化を阻害する、請求項1~5の何れか一項に記載の抗体。
  7. Siglec発現リンパ球が、標的細胞表面上に前記Siglecのリガンドを保有する標的ヒト細胞と接触させられると、前記発現リンパ球において細胞傷害性に関連するマーカーの上昇を引き起こす、請求項1~6の何れか一項に記載の抗体。
  8. a)Siglec-7に特異的に結合し、かつヒト免疫細胞上のSiglec-7に結合する場合に、標的細胞表面上にSiglec-7のリガンドを保有する標的ヒト細胞が前記免疫細胞と接触すると、前記標的細胞に対する前記免疫細胞の活性化および/または細胞傷害性を増大させることと;
    b)Siglec-9に特異的に結合し、かつヒトリンパ球上のSiglec-9に結合する場合に、標的細胞表面上にSiglec-9のリガンドを保有する標的ヒト細胞が前記免疫細胞と接触すると、前記標的細胞に対する前記免疫細胞の活性化および/または細胞傷害性を増大させることと;
    c)CD16ヒトFcγ受容体に実質的に結合しないことと
    を特徴とする単離モノクローナル抗体。
  9. Siglec-7および/またはSiglec-9の前記リガンドがシアル酸を含む、請求項1~8の何れか一項に記載の抗体。
  10. Siglec-7および/またはSiglec-9の前記リガンドがシアログリカンを含む、請求項9に記載の抗体。
  11. Siglec-7および/またはSiglec-9の前記リガンドが、糖タンパク質またはガングリオシド上に存在するシアル酸を含む、請求項9に記載の抗体。
  12. Siglec-7の前記リガンドが、ガングリオシドまたはムチン上に存在するシアル酸を含む、請求項11に記載の抗体。
  13. Siglec-9の前記リガンドがシアル酸不含ポリペプチドである、請求項1~12の何れか一項に記載の抗体。
  14. (a)(i)配列番号3の重鎖可変領域のCDR1、2および3を含む重鎖と、(ii)配列番号4の軽鎖可変領域のCDR1、2および3を含む軽鎖とを含むモノクローナル抗体;
    (b)(i)配列番号21の重鎖可変領域のCDR1、2および3を含む重鎖と、(ii)配列番号22の軽鎖可変領域のCDR1、2および3を含む軽鎖とを含むモノクローナル抗体;および
    (c)(i)配列番号39の重鎖可変領域のCDR1、2および3を含む重鎖と、(ii)配列番号40の軽鎖可変領域のCDR1、2および3を含む軽鎖とを含むモノクローナル抗体
    からなる群から選択される抗体と、Siglec-7および/またはSiglec-9への結合について競合する単離抗体。
  15. (a)(i)配列番号3の重鎖可変領域のCDR1、2および3を含む重鎖と、(ii)配列番号4の軽鎖可変領域のCDR1、2および3を含む軽鎖とを含むモノクローナル抗体;
    (b)(i)配列番号21の重鎖可変領域のCDR1、2および3を含む重鎖と、(ii)配列番号22の軽鎖可変領域のCDR1、2および3を含む軽鎖とを含むモノクローナル抗体;および
    (c)(i)配列番号39の重鎖可変領域のCDR1、2および3を含む重鎖と、(ii)配列番号40の軽鎖可変領域のCDR1、2および3を含む軽鎖とを含むモノクローナル抗体
    からなる群から選択される、請求項1~14の何れか一項に記載の抗体。
  16. キメラ、ヒトまたはヒト化抗体である、請求項1~15の何れか一項に記載の抗体。
  17. Siglec-7およびSiglec-9に結合可能な抗原結合ドメインを含む、請求項1~16の何れか一項に記載の抗体。
  18. 非枯渇抗体である、請求項1~17の何れか一項に記載の抗体。
  19. ヒトIgG4アイソタイプ抗体、またはFcドメインとFcγ受容体との間の結合を減少させるために修飾されている前記Fcドメインを有する抗体である、請求項1~18の何れか一項に記載の抗体。
  20. Fab、Fab’、Fab’-SH、F(ab’)2、Fv、ダイアボディ、1本鎖抗体断片から選択される抗体断片、または複数の異なる抗体断片を含む多特異性抗体である、請求項1~18の何れか一項に記載の抗体。
  21. 検出可能部分と複合化されているかまたは共有結合されている、請求項1~20の何れか一項に記載の抗体。
  22. 請求項1~20の何れか一項に記載の抗体をキメラ化またはヒト化することによって得られる抗体。
  23. 請求項1~22の何れか一項に記載の抗体と、薬学的に許容可能な担体とを含む医薬組成物。
  24. 請求項1~23の何れか一項に記載の抗体を含み、任意選択により請求項1~23の何れか一項に記載の抗体を特異的に認識する標識化二次抗体をさらに含むキット。
  25. 請求項1~22の何れか一項に記載の抗体の重鎖および/または軽鎖をコードする核酸。
  26. 請求項1~22の何れか一項に記載の抗体を産生するハイブリドーマまたは組み換え宿主細胞。
  27. 疾患の処置または予防を、それを必要とする患者において行うための方法であって、有効量の請求項1~22の何れか一項に記載の抗体または請求項23に記載の組成物を前記患者に投与することを含む方法。
  28. 前記疾患が癌である、請求項27に記載の方法。
  29. 対象においてCD56dimNK細胞および/またはCD56brightNK細胞および/またはCD8+T細胞を調整するための方法であって、有効量の請求項1~22の何れか一項に記載の抗体または請求項23に記載の組成物を前記対象に投与することを含む方法。
  30. リンパ球、任意選択によりCD56dimNK細胞、CD56brightNK細胞および/またはCD8+T細胞の活性を調整するためのインビトロ方法であって、Siglec7を発現するリンパ球および/またはSiglec-9を発現するリンパ球を請求項1~22の何れか一項に記載の抗体または請求項23に記載の組成物と接触させることを含むインビトロ方法。
  31. 疾患に罹患している対象からのリンパ球の活性を評価するためのインビトロ方法であって、細胞を含む対象からの生体試料を得ることと、前記細胞を請求項1~22の何れか一項に記載の抗体と接触させることと、前記抗体が前記リンパ球の活性を調整するか否かを評価することとを含むインビトロ方法。
  32. リンパ球、任意選択によりCD56dimNK細胞、CD56brightNK細胞および/またはCD8+T細胞を同定するための方法であって、細胞を含む対象からの生体試料を得ることと、前記細胞を請求項1~22の何れか一項に記載の抗体と接触させることと、前記抗体が前記細胞と結合するか否かを評価することとを含む方法。
  33. 前記リンパ球が、疾患、任意選択により癌に罹患している対象から得られた生体試料中に存在する、請求項26~28の何れか一項に記載の方法。
  34. 請求項1~22の何れか一項に記載の抗体での処置に反応する癌に罹患している対象を選択するための方法であって、前記対象中の癌細胞がSiglec-7またはSiglec-9のリガンドを発現するか否か、任意選択により、癌細胞が、上昇したレベルのSiglec-7またはSiglec-9のリガンドを発現するか否かを判定することを含み、Siglec-7もしくはSiglec-9のシアル酸リガンドの発現またはSiglec-7もしくはSiglec-9のシアル酸リガンドの上昇したレベルが反応者対象を示す、方法。
  35. 請求項1~22の何れか一項に記載の抗体または請求項23に記載の組成物を反応者対象に投与することをさらに含む、請求項34に記載の方法。
  36. 複数のSiglec遺伝子産物と交差反応し、かつ前記Siglecの阻害活性を中和する抗体を作製する方法であって、
    (a)CD33関連Siglecポリペプチドと結合する複数の抗体を提供するステップと、
    (b)少なくとも2種類の異なるCD33関連Siglec遺伝子産物と交差反応する抗体を選択するステップと、
    (c)2種類の異なるCD33関連Siglec遺伝子産物の阻害活性を中和する抗体を選択するステップと
    を含む方法。
  37. ステップ(c)は、Siglec発現リンパ球が、標的ヒト細胞表面上に前記Siglecのリガンドを保有する標的ヒト細胞と接触させられると、前記リンパ球において細胞傷害性と関連するマーカーの上昇を引き起こすことが可能な抗体を選択することを含む、請求項36に記載の方法。
  38. 前記少なくとも2種類の異なるCD33関連Siglec遺伝子産物がSiglec-7およびSiglec-9である、請求項36または37に記載の方法。
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