JP2022108610A - 琉球松葉を用いた中性脂肪抑制組成物およびその飲食物 - Google Patents

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【課題】琉球松に含まれる中性脂肪抑制作用を効果的に発揮する複数の有効成分を見いだし、それらの相乗効果を発揮させることができ、全体として中性脂肪抑制効果を高めることができ、一部の成分が高濃度となることのない成分バランスのとれた琉球松葉からの抽出組成物とすることにより、安全性、安定性が確保され、食品にも活用できる琉球葉を用いた中性脂肪抑制組成物を実現することを課題とする。【解決手段】琉球松葉を粗破砕処理し、凍結乾燥処理し、破砕処理した後、有機溶媒抽出した抽出組成物であることを特徴とする琉球松葉を用いた中性脂肪抑制組成物とするものである。【選択図】 図1

Description

本発明は、琉球松の葉を溶媒抽出した抽出組成物を用いた中性脂肪抑制組成物に関する。
琉球松(Pinus luchuensis)は、マツ科の植物で琉球列島の固有種でもあり、沖縄県内全域に多く生息している。琉球松は、沖縄県内でパルプや木工などに利用されているが、道路や地面に落ちている葉は未利用のため、琉球松葉の新たな利用法が求められている。
マツ科には、抗酸化作用や脂質代謝促進作用がある“プロシア二ジン”などの有効成分が含有していることが報告されている。
肥満とは、脂肪組織に正常以上に脂肪が蓄積した状態を表し、糖尿病・高血圧・高脂血症などの疾患のリスクファクターである。
脂質(あぶらの仲間)は、動物の体に不可欠なものですが、そのままだと、血液中の水分とうまくなじまないので、血液の中を運搬して体の各部位の間でやり取りすることが難しくなります。
脂質は、中性脂肪(トリグリセリド、トリグリセライド、TG)やコレステロールといった物質として体の中に存在します。さらに、中性脂肪やコレステロールが組み合わさり、水になじみやすいようにタンパク質などと結合したものが、LDLやHDLと呼ばれるような物質です。
食物中の脂質は、腸で取り込まれ、最初は中性脂肪が多く含まれた物質となり、血液中に入ります。血液をめぐり、脂肪細胞に届くと、中性脂肪は脂肪細胞に蓄えられます。
脂肪組織は、皮下脂肪として体温を保ったり、内臓を衝撃から守ったりする役割があります。また肝臓の細胞でも中性脂肪が取り込まれ、エネルギー源になったり、他の脂質に加工されたりします。
中性脂肪やコレステロールは体にとって不可欠なものではあるのですが、多すぎると、血管の壁が狭くもろくなり、全身で様々な問題を引き起こすことがあります。また、中性脂肪が高すぎると、膵臓にもダメージが起こる場合があると言われています。
琉球松などの生物素材からの抽出物を抗肥満剤とする特許が開示されている。
特開2010-280734号公報では、リパーゼ阻害活性を有するイタドリ、サキシマスオウノキ、タカサゴギク、インゲンマメ、ゲットウ、ナンテン、ベニバナ、オオフトモモ、セイロンベンケイ、ガジュマル、モモタマナ、モクセンナ、オオゴチョウ、リュウキュウマツからなる群から選ばれた少なくとも1種類以上の植物からの、ケイソウ土を添加し、70~90℃の抽出温度で、50%エタノールにより得た抽出物を、含有するリパーゼ阻害剤とするものである。
生物素材の抽出物を用いることで、リパーゼ阻害活性または抗酸化性成分を提供する。更に両活性が同時に機能するような乾燥および抽出条件も定めたことで、肥満予防やニキビ予防はもとより、生体内の酸化的ストレスを軽減させ、その結果、皮膚のシミ・そばかす、更には悪性新生物(ガン)等の病因となるリスクをも軽減させる安全な製剤、化粧品を提供することを目的とするものであり、以下の試験結果を開示している。
各植物を適当な大きさに切断した後、65℃12時間の温風乾燥若しくは、凍結乾燥後、破砕し0.5mmのメッシュを通過したものを生物素材ごとに高圧抽出し、乾燥重量で0.5g~5gの各薬草乾燥粉末を5gのケイソウ土とともに抽出セルに添加し、抽出溶媒;50%エタノール、溶媒量;25ml、抽出温度;82℃、抽出圧力;13.8MPa、抽出時間;10分、抽出回数;2回の条件で抽出操作を行った。抽出液は0.45μmのメンブレンフィルターでろ過した。
リパーゼ阻害率(%) 抗酸化性(希釈倍率)
イタドリ 全草 98.18 1,000
インゲンマメ 種皮 58.10 1,111
リュウキュウマツ 葉 65.78 175
琉球松に含まれる有効成分の一つである、プロシア二ジンは、フラボノイド類のフラバン-3-オールに属し, エピカテキンあるいはカテキンが縮合したオリゴマーあるいはポリマー(2~15量体)として存在する、植物の二次代謝産物である。
カカオや黒大豆, シナモン, ナッツ, アップル, グレープシードなどの食品に多く含まれており、抗酸化性が高いと期待されている。
プロシアニジンの主要な生理機能としては、以下の通りである。
1)抗酸化作用
2)薬物代謝促進作用
細胞損傷や炎症に対して、薬物代謝促進作用を介して抑制することが報告されている。
3)肝損傷抑制作用
4)糖代謝促進作用
プロシアニジンやそれを多く含む食品が、糖代謝を促進し、高血糖の予防改善を含めた健康の維持増進に及ぼす効果が報告されている。
5)脂質代謝促進作用
プロシアニジンの脂質代謝促進や肥満・脂肪蓄積抑制効果については種々の報告がなされてきつつあるものの、いずれもプロシアニジン高含有組成物を用いた実験であるとともに、その詳細な作用機構はまだ十分に解明されていない。
カカオならびに黒大豆由来のプロシアニジン高含有組成物は、高脂肪食摂取による脂肪蓄積の予防に寄与していることを明らかにされている。
6)消化酵素への作用
脂質代謝にかかわるリパーゼ活性阻害に関しては、プロアントシアニジンによる活性阻害作用が報告されている。たとえば、プロシアニジンがin vitroあるいは in vivo試験の両方でリパーゼ阻害作用を発揮し、二量体から五量体では重合度依存的に阻害活性が高まることを明らかにされている。さらに、動物実験において脂質負荷試験を行った場合に、トリグリセリドの吸収量がプロシアニジンの1時間前処理により抑制されることを確認している。
プロシアニジンはごく微量で効果を発揮することがわかっており、そのため、生体でのより生理的な濃度域での検証や安全性評価も十分に行う必要があり、機能性表示食品などへと実用化し、社会貢献にもつなげられると期待されている。
また、本願発明では、琉球松に含まれる有効成分の一つである、ケルセチンにも注目した。
ケルセチンは野菜、果物、茶等に広く含まれるフラボノイドである。そして、強力な抗酸化活性の他、血小板の凝集抑制および接着抑制作用、血管拡張作用、抗ガン作用等、多彩な生理機能をもつことが知られている。
フラボノイドの摂取と生活習慣病との関連について,これまでに欧米で複数の前向きコホート研究が行われた。これらのコホート研究では、食品摂取頻度調査表を用いた調査と、各食品のフラボノイド含量のデータベースからフラボノイドの摂取量を推定して、フラボノイドの摂取量と心血管疾患等のリスクとの関係を検討しており、ケルセチンやケンフェロール等を含むフラボノールの摂取量の多い人では、冠動脈性心疾患で死亡する割合が低いこと等が報告されている。(非特許文献1)
Knektらは約1万人を対象としたフィンランドの調査において、ケルセチンの摂取量の多い人で虚血性心疾患での死亡率や喘息の発生率が低いこと、また、男性では肺がんの発症率が低いことが報告されている。(非特許文献1)
食品では,ルチン(ケルセチン-3-ルチノシド)を多く含むアスパラや,サニーレタス,タマネギ,ピーマン,ロメインレタスのケルセチン含量が高いことが報告されている。特にタマネギはケルセチン含量が高いことが知られている。
また、日本では、ケルセチンの主な摂取源は緑茶であり、タマネギやアスバラ、トマト等からも多く摂取されている。日本のタマネギのケルセチン含量は、約10~50mg/100mgとされる。
マウス試験では、
ケルセチンの糖尿病改善効果
0.5%ケルセチン含有飼料を2週間摂取することにより、糖尿病により上昇した血糖値が低下し、低下したインスリン濃度は上昇して、糖尿病の症状が改善された。(非特許文献1)
ケルセチンの肥満・メタボリックシンドローム改善効果
西洋型食に0.05%の割合でケルセチンを添加し、マウスに摂取させたところ、20週後には西洋型食で誘導される体重や脂肪重量の増加が抑制され、高血糖や血中のインスリン濃度、コレステロール濃度の上昇が改善された。(非特許文献1)
ヒト試験では、
Egertらは150mgのケルセチンを含むカプセルを6週間摂取することにより、BMI25以上の太り過ぎの人の収縮期血圧及び酸化LDL値が下がること、また162mgのケルセチンを含むタマネギの皮の抽出物を6週間摂取することにより、太り過ぎから肥満(obesity,BMI30以上)の高血圧患者の収縮期血圧が下がることを報告している。(非特許文献1)
このように、食品から摂取するケルセチンの有効性や,有効な摂取方法及び作用機構の解明が期待されている。
食品由来のケルセチンを用いた中性脂肪低減や高血圧の低減に関する特許が開示されている。
特開2002-171934では、タマネギ薄皮を原料とし、100℃~160℃で熱風乾燥することで劣悪な味を改善し、ケルセチンの含有率が高く、高血圧の予防等に有利性の高い健康補助食品の製造方法が開示されている。
また、特開2020-121952では、茶葉抽出物のケルセチン配糖体を用いたマウス試験により、有意な中性脂肪低下を確認している。
特開2010-280734号公報 特開2002-171934号公報 特開2020-121952号公報 食糧 その科学と技術 (54), 5-18, 2016-03:農研機構:ケルセチンの生活習慣病予防機能
琉球松における抗酸化作用や脂質代謝促進作用がある“プロシア二ジン”などの有効成分を効果的な活用する方法が求められている。
特開2010-280734号公報では、様々な生物素材について、抽出処理を行い、リパーゼ阻害活性または抗酸化性成分を提供する素材の探求段階であり、それらの作用を発揮する有効成分の特定までは至っていないため、作用効果の検証を行ったものである。
特開2002-171934号公報では、タマネギ薄皮を原料として、ケルセチンを高含有する抽出物を開示しているが、ケルセチンも少量で効果を発揮する成分であり、高濃度に対する安全性、安定性が懸念される。
特開2020-121952号公報では、乾燥茶葉からケセルチン配糖体の単離する抽出方法であり、これも、高濃度に対する安全性、安定性の問題があり、食品として広く普及することはできない。
琉球松に含まれる一部の有効成分のみを高濃度に抽出するのではなく、琉球松に含まれる中性脂肪抑制作用を効果的に発揮する複数の有効成分を見いだし、それらの相乗効果を発揮させることができ、全体として中性脂肪抑制効果を高めることができ、一部の成分が高濃度となることのない成分バランスのとれた琉球松葉からの抽出組成物とすることにより、安全性、安定性が確保され、食品にも活用できる琉球葉を用いた中性脂肪抑制組成物を実現することを課題とする。
本発明は、上記に示す課題を以下の手段によって解決することができる。
本発明の請求項1では、琉球松葉を粗破砕処理し、凍結乾燥処理し、破砕処理した後、有機溶媒抽出した抽出組成物であることを特徴とする琉球松葉を用いた中性脂肪抑制組成物とするものである。
該琉球松葉は、沖縄県産の琉球松(Pinus luchuensis)の葉を原料とするものである。
該粗破砕処理は、琉球松葉を0.5mm~30mm程度に粗く破砕できるものであればいずれでも良い。好ましくは、0.5~10mm程度が良い。
該凍結乾燥処理は、通常のフリーズドライ処理で良く、凍結状態で減圧して乾燥させる処理で良い。凍結乾燥により、加熱することなく、乾燥させるので、水分とともに有効成分が蒸発することがなく、有効成分の酸化もなく成分の変質を防止する乾燥処理となる。好ましくは、急速冷凍が良い。
該破砕処理は、熱を加えることなく、素早く均一に粉砕できるものであればいずれでも良い。市販されている、粉砕処理装置などが使用できる。
該有機溶媒抽出は、一般的な有機溶媒抽出で良く、例えば、エタノールを溶媒とする有機溶媒抽出処理で良い。
該中性脂肪抑制組成物は、高脂肪食等を摂取した場合に、血中の中性脂肪量の増加を抑えることのできる組成物である。
本発明の請求項2は、前記の凍結乾燥処理は、急速凍結処理、真空乾燥処理であることを特徴とする琉球松葉を用いた中性脂肪抑制組成物とするものである。
該急速凍結処理は、琉球松葉が常温から-10℃になるまで、30分以内となる急冷処理である。
該真空乾燥は、凍結した琉球松葉から真空状態で水分を昇華させるものである。
本発明の請求項3は、前記の破砕処理は、粉砕処理であることを特徴とする琉球松葉を用いた中性脂肪抑制組成物とするものである。
該粉砕処理は、凍結乾燥処理した琉球松葉を粉砕できるものであればいずれでも良い。ビーズ式破砕機などが好ましい。このビーズ式破砕機は、ステンレス等のビーズとサンプルを激しく衝突させてその衝撃と摺り作用により破砕するものであり、短時間で熱を加えず、均一に粉砕できる。
本発明の請求項4は、前記の有機溶媒抽出は、有機溶媒としてエタノールを用いたことを特徴とする琉球松葉を用いた中性脂肪抑制組成物とするものである。
該有機溶媒として使用するエタノールは、50%以上が良く、70%以上がこの好ましい。
本発明の請求項5は、前記の抽出組成物は、プロシア二ジンの含有量が1.0μg/mg以上であることを特徴とする琉球松葉を用いた中性脂肪抑制組成物とするものである。
該プロシア二ジンの含有量は、1.0μg/mg~2.0μg/mg程度が好ましい。プロシアニジンの市販製品としては、1.46μg/mg含有の市販品が販売されている。
本発明の請求項6は、前記の抽出組成物は、ケルセチンの含有量が0.1μg/mg以上であることを特徴とする琉球松葉を用いた中性脂肪抑制組成物とするものである。
該ケルセチンの含有量は、0.1μg/mg~2.5μg/mg程度が好ましい。プロシアニジン市販製品としては、2.2μg/mg含有の市販品が販売されている。
本発明の請求項7は、請求項1から請求項6までのいずれか1項に記載の中性脂肪抑制組成物を含有することを特徴とする飲食物とするものである。
前記の請求項1から請求項6までのいずれかの中性脂肪抑制組成物を含有する食品としては、菓子類、麺類、調味料などいずれの食品でも良い。飲料に使用しても良い。
本発明は、以下の効果がある。
(1)中性脂肪抑制効果を有する琉球松の葉を用いた組成物を実現できる。
(2)琉球松葉の成分の抽出処理において、有効成分を確実に、かつ変質なく抽出できる。
(3)琉球松葉の有効成分である、プロシアニジンの作用が効果的に発揮される中性脂肪抑制組成物を実現できる。
(4)琉球松葉の有効成分である、ケルセチンの作用が効果的に発揮される中性脂肪抑制組成物を実現できる。
(5)琉球松葉の有効成分である、プロシアニジンとケルセチンにおいて、各々の作用機序が効果的に発揮され、バランス良く含有されている中性脂肪抑制組成物を実現できる。
(6)琉球松葉の有効成分である、プロシアニジンとケルセチンにおいて、各々の作用機序が効果的に発揮され、バランス良く含有されている飲食物を実現できる。
(7)琉球松葉の有効成分の一部が高濃度となることなく、互いの有効成分の効果を十分に発揮させ、相乗効果が高められた中性脂肪抑制組成物を実現できる。
(8)琉球松葉の有効成分をバランスよく含有し、安全性、安定性の高い中性脂肪抑制組成物を含有する飲食物を実現できる。
本発明による中性脂肪抑制組成物の製造方法を示すフロー図である。 本発明による試験マウスの血中中性脂肪量のグラフを示す図である。
次に本発明の一実施形態について、図面を用いて具体的に説明する。
図1は、本発明による中性脂肪抑制組成物の製造方法を示すフロー図である。
S-1)粗破砕処理工程
沖縄県産の琉球松葉を採取し、2cm以下に粗破砕した。
S-2)急速冷凍処理工程
粗破砕した琉球松葉を急速冷凍装置(エアブラスト冷凍機)で品温が30分以内に最大氷結晶生成帯(-5~-1℃)を通過するように冷凍した。
S-3)真空乾燥処理工程
冷凍した琉球松葉をフリーズドライ装置で、真空乾燥処理した。
S-4)粉砕処理工程
真空乾燥処理した琉球松葉をビーズ式破砕機で粉砕処理した。
S-5)有機溶媒抽出工程
粉砕処理した琉球松葉を70%エタノールを用いて有機溶媒抽出を行った。
S-6)濾過処理工程
上記の有機溶媒抽出物を0.22μmのフィルターを通して濾過処理した。
S-7)中性脂肪抑制組成物
黄色のパウダー状の中性脂肪抑制組成物となった。
〔有効成分含有量の測定〕
琉球松葉の中性脂肪抑制効果が期待されている有効成分として、プロシアニジンとケルセチンの含有量を測定した。
超高速分離液体クロマトグラフィー(UPLC)を用いて、粉末1mg中の含有量を測定した。以下の通りである。

-----------------------------------------------------------
有効成分 含有量(μg/mg)
-----------------------------------------------------------
プロシアニジン 1.54
-----------------------------------------------------------
ケルセチン 0.12
-----------------------------------------------------------
琉球松葉におけるプロシアニジンとケルセチンの含有比率は、概ね13:1である。
プロシアニジンにおいては、市販されている機能性表示食品の含有量(1.46μg/mg)と同等であった。
ケルセチンの脂肪分解作用としては、1μMにおいても有効性が確認されている。
〔抗肥満作用動物実験〕
上記の中性脂肪抑制組成物をマウスを以下の4群を用意し、全採血を行い、中性脂肪量を測定した。1群4匹で行った。
A群:普通食+PBS投与群
B群:普通食+琉球松葉抽出物投与群
C群:高脂肪食+PBS投与群
D群:高脂肪食+琉球松葉抽出物投与群
それぞれの餌(普通食、高脂肪食)を自由摂取させ、各郡に対して、PBS又は琉球松葉抽出物を2ヶ月間、経口ゾンデを用いて経口投与した。
投与開始から2ヶ月後に全マウスの全採血を行い、血糖値、血清脂質等を測定し、中性脂肪量を測定した。図2に本発明による試験マウスの血中中性脂肪量を示すグラフを示す。
本実験の各測定の結果より、中性脂肪においてC群:高脂肪食+PBSとD群:高脂肪食+琉球松葉のエタノール抽出物群間で有意な差が得られた。
この結果から、琉球松葉のエタノール抽出物には、中性脂肪の取り込みを抑制する有効成分が含有されていることが示唆された。
また、A群:普通食+PBSとB群:普通食+琉球松葉のエタノール抽出物群間には有意差がないことから、多量の脂肪が摂取された場合のみ抑制効果が作用することが示された。
本発明の中性脂肪抑制組成物は、通常食では、抑制効果は発揮されず、高脂肪食を摂取した場合にのみ抑制効果が発揮される。すなわち、本発明の琉球松葉抽出物による中性脂肪抑制効果は、通常の状態では影響はなく、通常から外れた状態においてのみ抑制効果が発揮される中性脂肪抑制組成物を実現するものである。
また、効果的な凍結乾燥処理により、その有効成分を蒸発などの工程がないので確実に抽出でき、かつ、熱を加えないので変質もなく、各々の有効成分がバランス良く効果的に抽出されるものである。
すなわち、本発明の琉球松葉抽出物は、上記のような独特の中性脂肪抑制効果を発揮する、プロシアニジンとケルセチンの配合割合となっており、各々の有効成分が相乗効果により効果的に作用しており、一部の有効成分が高濃度となることがなく、バランスの良い、安全性が高く、信頼性の高い中性脂肪抑制組成物を実現できるものである。
S-1 粗破砕処理工程
S-2 急速冷凍処理工程
S-3 真空乾燥処理工程
S-4 粉砕処理工程
S-5 有機溶媒抽出工程
S-6 濾過処理工程
S-7 中性脂肪抑制組成物

Claims (7)

  1. 琉球松葉を粗破砕処理し、凍結乾燥処理し、破砕処理した後、有機溶媒抽出した抽出組成物であることを特徴とする琉球松葉を用いた中性脂肪抑制組成物。
  2. 前記の凍結乾燥処理は、急速凍結処理及び真空乾燥処理であることを特徴とする請求項1に記載の琉球松葉を用いた中性脂肪抑制組成物。
  3. 前記の破砕処理は、粉砕処理であることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の琉球松葉を用いた中性脂肪抑制組成物。
  4. 前記の有機溶媒抽出は、有機溶媒としてエタノールを用いたことを特徴とする請求項1から請求項3までの何れか1項に記載の琉球松葉を用いた中性脂肪抑制組成物。
  5. 前記の抽出組成物は、プロシア二ジンの含有量が1.0μg/mg以上であることを特徴とする請求項1から請求項4までの何れか1項に記載の琉球松葉を用いた中性脂肪抑制組成物。
  6. 前記の抽出組成物は、ケルセチンの含有量が0.1μg/mg以上であることを特徴とする請求項1から請求項5までの何れか1項に記載の琉球松葉を用いた中性脂肪抑制組成物。
  7. 請求項1から請求項6までのいずれか1項に記載の中性脂肪抑制組成物を含有することを特徴とする飲食物。
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