JP2022108221A - ハイブリッド車両の制御システム - Google Patents
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Abstract
【課題】所定の異常が発生した場合に一対の駆動輪への走行用駆動力の伝達を切断して安全に停止させられるハイブリッド車両の制御システムを提供する。【解決手段】制御システム80は、(a)ハイブリッド車両10の走行用駆動力を決定する第1制御装置(HV-ECU82)と、(b)決定された走行用駆動力を一対の駆動輪32に出力させるために、油圧式係合装置(発進クラッチWSC)の断接状態を制御する第2電磁弁SC2のソレノイド駆動回路88bを制御する第2制御装置(動力伝達制御用ECU88)と、(c)第1制御装置が所定の異常を検出した場合に、一対の駆動輪32への決定された走行用駆動力の伝達を切断するために第1制御装置から出力された切断制御信号Scutをソレノイド駆動回路88bへ伝送する信号線52と、を有する。【選択図】図1
Description
本発明は、走行用駆動力源としてのエンジン及び回転電機と、その走行用駆動力源と一対の駆動輪との間に設けられた動力伝達装置と、を備えるハイブリッド車両の、制御システムに関する。
変速機制御用電子制御装置(ECU:Electronic Control Unit)が異常である場合に、自動変速機の変速比を制御する電磁弁への電力供給を停止して、自動変速機が所定の固定変速比となるように制御して退避走行を可能とするハイブリッド車両の制御システムが知られている。例えば、特許文献1に記載されたハイブリッド車両の制御システムがそれである。
特許文献1に記載のハイブリッド車両の制御システムは、一対の駆動輪への走行用駆動力の伝達を継続させる退避走行を可能とすることを目的とするものであり、ハイブリッド車両を停止させることを目的とするものではない。しかし、例えばハイブリッド車両の走行中に所定の異常が発生した場合、走行用駆動力源であるエンジン及び回転電機から一対の駆動輪への走行用駆動力の伝達を切断してハイブリッド車両を安全に停止させたい場合がある。
本発明は、以上の事情を背景として為されたものであり、その目的とするところは、所定の異常が発生した場合に一対の駆動輪への走行用駆動力の伝達を切断して安全に停止させられるハイブリッド車両の制御システムを提供することにある。
第1発明の要旨とするところは、走行用駆動力源としてのエンジン及び回転電機と、前記走行用駆動力源と一対の駆動輪との間の動力伝達経路に設けられ且つ油圧式係合装置を有する動力伝達装置と、を備えるハイブリッド車両の、制御システムであって、(a)前記ハイブリッド車両の走行用駆動力を決定する第1制御装置と、(b)決定された前記走行用駆動力を前記一対の駆動輪に出力させるために、前記油圧式係合装置の断接状態を制御する電磁弁の駆動回路を制御する第2制御装置と、(c)前記第1制御装置が所定の異常を検出した場合に、前記一対の駆動輪への決定された前記走行用駆動力の伝達を切断するために前記第1制御装置から出力された切断制御信号を前記駆動回路へ伝送する信号線と、を有することにある。
第1発明のハイブリッド車両の制御システムによれば、(a)前記ハイブリッド車両の走行用駆動力を決定する第1制御装置と、(b)決定された前記走行用駆動力を前記一対の駆動輪に出力させるために、前記油圧式係合装置の断接状態を制御する電磁弁の駆動回路を制御する第2制御装置と、(c)前記第1制御装置が所定の異常を検出した場合に、前記一対の駆動輪への決定された前記走行用駆動力の伝達を切断するために前記第1制御装置から出力された切断制御信号を前記駆動回路へ伝送する信号線と、が備えられる。このように、第1制御装置が所定の異常を検出した場合に、第1制御装置が信号線を介して直接的に電磁弁の駆動回路を制御することで一対の駆動輪への走行用駆動力の伝達が切断される。第2制御装置のCPUが電磁弁の駆動回路を制御する場合に比較して、所定の異常が発生した場合に第1制御装置が直接的に駆動回路を制御するので一対の駆動輪への走行用駆動力の伝達を切断する制御の確実性が向上し、ハイブリッド車両が安全に停止させられる。
第2発明のハイブリッド車両の制御システムによれば、第1発明において、前記動力伝達装置は、前記切断制御信号により解放状態とされる油圧式クラッチ及び前記切断制御信号によりニュートラル状態とされる自動変速機の少なくとも一方である。このように、油圧式クラッチが解放状態とされるか又は自動変速機がニュートラル状態とされることにより、走行用駆動力源と一対の駆動輪との間の動力伝達経路が切断されて一対の駆動輪への走行用駆動力の伝達が切断される。
第3発明のハイブリッド車両の制御システムによれば、第1発明又は第2発明において、(a)前記第1制御装置は、複数のCPUを備え、(b)前記複数のCPUの少なくとも1つが前記所定の異常を検出した場合に、前記第1制御装置は前記切断制御信号を前記信号線に出力する。このように、第1制御装置が備える複数のCPUの少なくとも1つが制御可能な正常状態であって所定の異常を検出した場合に、一対の駆動輪への走行用駆動力の伝達を切断する切断制御信号が第1制御装置から出力される。そのため、第1制御装置が備えるCPUが1つである場合に比較して、所定の異常が発生した場合に一対の駆動輪への走行用駆動力の伝達を切断する制御の確実性が向上する。
以下、本発明の各実施例について図面を参照しつつ詳細に説明する。なお、以下の各実施例において図は適宜簡略化或いは変形されており、各部の寸法比及び形状等は必ずしも正確に描かれていない。
図1は、本発明の実施例1に係る制御システム80を備えるハイブリッド車両10の概略構成図であるとともに、ハイブリッド車両10における各種制御のための制御機能の要部を表す機能ブロック図である。なお、図1において括弧内に記された符号は、後述する実施例2についてのものである。
ハイブリッド車両10(以下、単に「車両10」と記す。)は、エンジン12、連結軸22、クラッチK0、回転電機MG、発進クラッチWSC、AT入力軸26、自動変速機18、AT出力軸28、ディファレンシャルギヤ40、及び一対の車軸30などを備える。クラッチK0、回転電機MG、発進クラッチWSC、及び自動変速機18は、ケース20内に収容されている。また、車両10は、電動オイルポンプEOP、油圧制御回路44、インバータ60、及び制御システム80を備える。なお、エンジン12及び回転電機MGは車両10の走行用駆動力源であって、その走行用駆動力源から一対の駆動輪32に走行用駆動力が伝達される経路が動力伝達経路PTである。
エンジン12は、周知の内燃機関である。エンジン12は、後述するエンジン制御用ECU84によって車両10に備えられたスロットルアクチュエータや燃料噴射装置や点火装置等のエンジン制御装置68が制御されることによりエンジン12の出力トルクであるエンジントルクTeが制御される。なお、本明細書では、特に区別しない場合には、トルク及び駆動力は同義である。
回転電機MGは、所謂モータジェネレータであって、例えば三相同期モータジェネレータである。
エンジン12に連結された連結軸22と、回転電機MGのロータに連結されたロータ軸24と、の間にはクラッチK0が設けられている。クラッチK0は、エンジン12とロータ軸24との間での動力伝達を断接可能なクラッチであり、例えば湿式多板型の油圧式摩擦係合装置である。
回転電機MGは、後述するPCU86によって制御されるインバータ60により不図示のバッテリに蓄えられた電力を用いて回転駆動され、車両10の走行用駆動力を出力する。また、PCU86によって制御されるインバータ60により不図示のバッテリに蓄えられた電力を用いて電動オイルポンプEOPが駆動される。例えば、電動オイルポンプEOPは、EOP駆動用モータ例えば三相同期モータの回転により駆動可能な周知のオイルポンプである。
自動変速機18は、ニュートラル状態を有する周知の自動変速機であり、走行用駆動力源と一対の駆動輪32との間の動力伝達経路PTに設けられている。自動変速機18は、後述する動力伝達制御用ECU88により制御される油圧制御回路44によって、ニュートラル状態とされたり、異なる変速比γのうちから所望の変速比が形成されたりする。なお、自動変速機18は、油圧式係合装置である後述の変速用係合装置BCを有し、本発明における「動力伝達装置」に相当する。
発進クラッチWSCは、自動変速機18の入力軸であるAT入力軸26とロータ軸24との間の動力伝達経路PTに設けられ、動力伝達経路PTにおける動力伝達を断接可能な油圧式クラッチであり、例えば湿式多板型の油圧式摩擦係合装置である。自動変速機18の出力軸であるAT出力軸28は、ディファレンシャルギヤ40及び一対の車軸30を介して一対の駆動輪32に連結されている。なお、発進クラッチWSCは、本発明における「油圧式係合装置」に相当するとともに、「動力伝達装置」にも相当する。
車両10においては、エンジン12のみを作動させて走行用駆動力を出力させるエンジン走行モード、エンジン12及び回転電機MGから走行用駆動力を出力させるHV走行モード、及びエンジン12を運転停止させた状態で回転電機MGを力行制御することにより走行用駆動力を出力させるEV走行モードが選択可能である。エンジン走行モード及びHV走行モードは、一般に高要求駆動力すなわち高負荷の領域で選択される。EV走行モードは、一般に低要求駆動力すなわち低負荷の領域で選択される。
ロータ軸24には、機械式オイルポンプMOPが配設されている。機械式オイルポンプMOPは、ロータ軸24における回転電機MGと発進クラッチWSCとの間に設けられている。機械式オイルポンプMOPは、回転電機MGによる回転駆動が可能であるとともに、クラッチK0が係合されることによってエンジン12による回転駆動も可能である。電動オイルポンプEOP及び機械式オイルポンプMOPの少なくとも一方が駆動されることで、油圧制御回路44にオイルが圧送される。このオイルは、例えばATF(Automatic Transmission Fluid)等である。
油圧制御回路44は、機械式オイルポンプMOPや電動オイルポンプEOPから圧送されたオイルの油圧を元圧として、ケース20内の各部に必要なオイル(作動油)を供給する。例えば、油圧制御回路44内には、クラッチK0の断接制御用である第1電磁弁SC1、発進クラッチWSCの断接制御用である第2電磁弁SC2(以下、第1電磁弁SC1及び第2電磁弁SC2を特に区別しない場合には、「電磁弁SC」と記す。)及び、自動変速機18の変速制御用である4つの変速用電磁弁SL1~SL4(以下、特に区別しない場合には、「電磁弁SL」と記す。)が設けられている。これら電磁弁SC,SLは、例えば周知のリニアソレノイド弁であって、ソレノイドに駆動電流を供給することにより電気エネルギーを駆動力に変換する装置である電磁部と、その電磁部の駆動により作動油を調圧して作動油圧を発生させる調圧部と、を備える。
第1電磁弁SC1の駆動電流が制御されることによりクラッチK0の断接状態を制御する油圧アクチュエータに供給される作動油圧が調整されてクラッチK0の断接状態が制御される。例えば、第1電磁弁SC1の駆動電流がオフ(駆動電流が流れない状態)とされることでクラッチK0が解放状態とされ、第1電磁弁SC1の駆動電流がオン(駆動電流が流れる状態)とされることでクラッチK0が係合状態とされる。
第2電磁弁SC2の駆動電流が制御されることにより発進クラッチWSCの断接状態を制御する油圧アクチュエータに供給される作動油圧が調整されて発進クラッチWSCの断接状態が制御される。例えば、第2電磁弁SC2の駆動電流がオフとされることで発進クラッチWSCが解放状態とされ、第2電磁弁SC2の駆動電流がオンとされることで発進クラッチWSCが係合状態とされる。変速用電磁弁SL1~SL4の各駆動電流のオン/オフの組み合わせが制御されることにより自動変速機18に設けられた変速用係合装置BCの断接状態を制御する各油圧アクチュエータに供給される作動油圧が調整されて、自動変速機18は、ニュートラル状態にされたり所望の変速比が形成されたりする。例えば、電磁弁SLの駆動電流が全てオフとされることで自動変速機18がニュートラル状態とされる。変速用係合装置BCは、ブレーキやクラッチなどの例えば湿式多板型の油圧式摩擦係合装置であって、本発明における「油圧式係合装置」に相当する。また、第2電磁弁SC2及び変速用電磁弁SL1~SL4は、本発明における「電磁弁」に相当する。
制御システム80は、ハイブリッド駆動制御用ECU82(以下、「HV-ECU82」と記す。)、エンジン制御用ECU84、パワーコントロールユニット86(以下、「PCU86」と記す。)、及び動力伝達制御用ECU88を有する。
HV-ECU82、エンジン制御用ECU84、PCU86、及び動力伝達制御用ECU88のそれぞれは、例えばCPU、RAM、ROM、入出力インターフェース等を備えた所謂マイクロコンピュータを含んで構成されており、CPUはRAMの一時記憶機能を利用しつつ予めROMに記憶されたプログラムに従って信号処理を行うことにより各種制御を実行する。これらHV-ECU82、エンジン制御用ECU84、PCU86、及び動力伝達制御用ECU88は、互いに通信線50で接続され、互いに連携しながら車両10の各部を制御する制御システム80を構成している。通信線50は、例えば各電子制御装置(HV-ECU82、エンジン制御用ECU84、PCU86、及び動力伝達制御用ECU88)の各CPU間で信号を伝送するための所謂バスラインである。バスラインは、各CPUが同じ形式の信号を授受するため構造が簡単となる一方、バスライン上での信号量が増加すると信号を受け取るまでの待ち時間が増加する。
HV-ECU82には、車両10に備えられた各種センサ等(例えば、アクセル開度センサ90、エンジン回転速度センサ92、出力軸回転速度センサ94など)による検出値に基づく各種信号等(例えば、ドライバーによる加速操作の大きさを表す加速操作量としてのアクセル開度θacc[%]、エンジン回転速度Ne[rpm]、車速V[km/h]に対応するAT出力軸28の回転速度である出力軸回転速度Nout[rpm]など)が、それぞれ入力される。
HV-ECU82は、例えばアクセル開度θaccと車速Vとに基づいて、AT出力軸28に出力すべきトルク目標値である要求トルクを計算する。この要求トルクに対応するトルクがAT出力軸28に出力されるように、HV-ECU82からエンジン制御用ECU84、PCU86、及び動力伝達制御用ECU88を介して、エンジン12、回転電機MG、自動変速機18、クラッチK0、及び発進クラッチWSCがそれぞれ制御される。なお、HV-ECU82は、本発明における「第1制御装置」に相当する。
エンジン制御用ECU84からは、エンジン制御装置68に対してエンジン12を制御するためのエンジン制御信号Seが出力される。
PCU86からは、インバータ60に対して回転電機MG及び電動オイルポンプEOPをそれぞれ回転制御するためのMG制御信号Smg及びEOP制御信号Seopが出力される。PCU86は、インバータ60を介して回転電機MGを制御するMG-ECUとしての機能と、インバータ60を介して電動オイルポンプEOPを制御するEOP-ECUとしての機能と、を有する。
動力伝達制御用ECU88からは、油圧制御回路44に対して自動変速機18の変速制御,クラッチK0の断接制御,発進クラッチWSCの断接制御をそれぞれ実行する油圧制御信号Spが出力される。なお、動力伝達制御用ECU88は、本発明における「第2制御装置」に相当する。
ところで、車両10において所定の異常が発生したとき、安全機構として走行用駆動力源であるエンジン12及び回転電機MGから一対の駆動輪32への走行用駆動力の伝達を切断したい場合がある。所定の異常とは、車両10を停止させる必要がある異常であって、例えば走行用駆動力源であるエンジン12及び回転電機MGのいずれかの動作に不具合がある場合やエンジン制御用ECU84、PCU86、及び動力伝達制御用ECU88の電源が遮断されたりこれらのCPUが異常となったりして制御不能となった場合が該当する。
一対の駆動輪32への走行用駆動力の伝達を切断する場合、例えばHV-ECU82からエンジン制御用ECU84やPCU86を介してエンジン12のみ或いは回転電機MGのみの出力トルクを零にしても車両10としては走行用駆動力が零にはならない。また、エンジン12及び回転電機MGの出力トルクを同時に零にしようとしてもエンジン制御装置68やインバータ60など関連する装置が多く、出力トルクを同時に零にすることは困難である。また、エンジン12や回転電機MGで異常が発生した場合の他、エンジン制御用ECU84やPCU86で異常が発生した場合に、一対の駆動輪32への走行用駆動力の伝達を切断したい場合もある。
図1に戻り、HV-ECU82は、走行用駆動力決定部82a、駆動力源制御部82b、伝達装置制御部82c、異常検出部82d、及びソレノイド制御部82eを機能的に備える。
走行用駆動力決定部82aは、例えばアクセル開度θaccと車速Vとに基づいて、車両10の走行用駆動力を決定するすなわちドライバーから要求されている走行用駆動力量Frdem[N]を決定する。走行用駆動力量Frdemは、車両10の走行用駆動力の要求量であるとともに、車両10の走行用駆動力の目標値でもある。走行用駆動力決定部82aにより走行用駆動力量Frdemが決定されると、駆動力源制御部82bは、エンジン制御用ECU84及びPCU86を介してエンジン12及び回転電機MGの出力トルクを制御し、且つ、伝達装置制御部82cは、動力伝達制御用ECU88を介して自動変速機18の変速比γ、クラッチK0の断接状態、及び発進クラッチWSCの断接状態を制御する。これにより、走行用駆動力源(エンジン12及び回転電機MG)から発進クラッチWSC及び自動変速機18を介して一対の駆動輪32に伝達される走行用駆動力、すなわち走行用駆動力決定部82aで決定された走行用駆動力量Frdemの走行用駆動力が一対の駆動輪32から出力される。
動力伝達制御用ECU88は、CPU88a及びソレノイド駆動回路88bを有する。CPU88aは、通信線50から入力された走行用駆動力量Frdemの走行用駆動力を一対の駆動輪32に出力させるために電磁弁SC,SLのソレノイドに供給する各駆動電流を算出する。CPU88aは、算出された各駆動電流が電磁弁SC,SLのソレノイドのそれぞれに供給されるようにソレノイド駆動回路88bを制御する。ソレノイド駆動回路88bによる電磁弁SC,SLのそれぞれに供給される駆動電流は、前述した油圧制御回路44に対して自動変速機18の変速制御,クラッチK0の断接制御,発進クラッチWSCの断接制御をそれぞれ実行する油圧制御信号Spである。なお、ソレノイド駆動回路88bは、本発明における「駆動回路」に相当する。
異常検出部82dは、車両10において所定の異常が発生したか否かを検出する。例えば、車両10に設けられた各種センサ等の検出値に基づいて所定の異常が発生したか否かが検出される。
異常検出部82dにより車両10において所定の異常が発生したことが検出された場合、ソレノイド制御部82eは、信号線52を介して切断制御信号Scutをソレノイド駆動回路88bに出力する。切断制御信号Scutは、発進クラッチWSCの断接状態を制御する第2電磁弁SC2や自動変速機18の変速用係合装置BCの断接状態を制御する変速用電磁弁SL1~SL4のソレノイド駆動回路88bを制御して、一対の駆動輪32への走行用駆動力の伝達を切断する制御信号である。
切断制御信号Scutは、例えば電磁弁SC,SLの電磁部と、その電磁部に駆動電流を供給する電源回路と、の間の電流経路を全て切断する制御信号である。これにより、第1電磁弁SC1の駆動電流がオフとされてクラッチK0が解放状態とされ、第2電磁弁SC2の駆動電流がオフとされて発進クラッチWSCが解放状態とされ、且つ、変速用電磁弁SL1~SL4の駆動電流が全てオフとされて自動変速機18がニュートラル状態とされる。発進クラッチWSCが解放され且つ自動変速機18がニュートラル状態とされることで一対の駆動輪32への走行用駆動力の伝達が切断される。信号線52は、HV-ECU82が所定の異常を検出した場合に、動力伝達制御用ECU88のCPU88aを介することなく、HV-ECU82が直接的にソレノイド駆動回路88bを制御して電磁弁SC,SLに供給する駆動電流を制御する切断制御信号Scutを伝送する信号線である。信号線52は、各電子制御装置(HV-ECU82、エンジン制御用ECU84、PCU86、及び動力伝達制御用ECU88)の各CPU間で信号を伝送するための通信線50とは別に設けられたものであり、例えばHV-ECU82が直接的にソレノイド駆動回路88bを制御して電磁弁SC,SLに供給する駆動電流を制御する切断制御信号Scutのみを伝送する信号線である。なお、切断制御信号Scutがソレノイド駆動回路88bに出力された場合には、ソレノイド駆動回路88bに対する動力伝達制御用ECU88のCPU88aの制御内容にかかわらず、一対の駆動輪32への走行用駆動力の伝達が切断される。
本実施例によれば、車両10の制御システム80には、(a)車両10の走行用駆動力を決定するHV-ECU82と、(b)決定された走行用駆動力を一対の駆動輪32に出力させるために、発進クラッチWSC及び自動変速機18の断接状態を制御する電磁弁SC,SLのソレノイド駆動回路88bを制御する動力伝達制御用ECU88と、(c)HV-ECU82が所定の異常を検出した場合に、一対の駆動輪32への決定された走行用駆動力の伝達を切断するためにHV-ECU82から出力された切断制御信号Scutをソレノイド駆動回路88bへ伝送する信号線52と、が備えられる。このように、HV-ECU82が所定の異常を検出した場合に、HV-ECU82が信号線52を介して直接的に電磁弁SC,SLのソレノイド駆動回路88bを制御することで一対の駆動輪32への走行用駆動力の伝達が切断される。動力伝達制御用ECU88のCPU88aが電磁弁SC,SLのソレノイド駆動回路88bを制御する場合に比較して、所定の異常が発生した場合にHV-ECU82が直接的にソレノイド駆動回路88bを制御するので一対の駆動輪32への走行用駆動力の伝達を切断する制御の確実性が向上し、車両10が安全に停止させられる。また、エンジン12及び回転電機MGの出力トルクを同時に零にするためにHV-ECU82が直接的にエンジン制御装置68及びインバータ60の両方を制御する場合に比較して、電磁弁SC,SLのソレノイド駆動回路88bを制御する構成であるため開発コストや部品の増加を抑制することができる。
本実施例によれば、走行用駆動力源(エンジン12及び回転電機MG)と一対の駆動輪32との間の動力伝達経路PTに設けられ且つ油圧式係合装置を有する動力伝達装置は、切断制御信号Scutにより解放状態とされる発進クラッチWSCと、切断制御信号Scutによりニュートラル状態とされる自動変速機18と、である。このように、発進クラッチWSCが解放状態とされ且つ自動変速機18がニュートラル状態とされることにより、走行用駆動力源と一対の駆動輪32との間の動力伝達経路PTが切断されて一対の駆動輪32への走行用駆動力の伝達が切断される。
ここから、本発明に係る実施例2について説明する。
本実施例における車両110の構成は、前述の実施例1における車両10の構成と略同じであるが、ハイブリッド駆動制御用ECU82(HV-ECU82)の替わりにハイブリッド駆動制御用ECU182となっている点が異なる(図1参照)。そのため、実施例1と異なる部分を中心に説明することとする。
図2は、本発明の実施例2に係る制御システム180におけるハイブリッド駆動制御用ECU182(以下、「HV-ECU182」と記す。)の構成を説明する図である。
HV-ECU182は、メインCPU182a及びサブCPU182bの2つのCPUを有する。例えば、メインCPU182a及びサブCPU182bは、前述した走行用駆動力決定部82a、駆動力源制御部82b、及び伝達装置制御部82cの機能ブロックを分担して備える。また、メインCPU182a及びサブCPU182bは、いずれも異常検出部82d及びソレノイド制御部82eの機能ブロックを備える。
メインCPU182a及びサブCPU182bのそれぞれの異常検出部82dは、車両110において所定の異常が発生したか否かを検出する。メインCPU182a及びサブCPU182bの異常検出部82dにより車両110において所定の異常が発生したことが検出された場合、その所定の異常が検出されたメインCPU182a及びサブCPU182bにおけるソレノイド制御部82eは、一対の駆動輪32への走行用駆動力の伝達を切断する制御信号を出力する。メインCPU182aのソレノイド制御部82e及びサブCPU182bのソレノイド制御部82eの少なくとも一方から前記制御信号が出力された場合には、OR回路182cは、切断制御信号Scutを信号線52に出力する。例えば、メインCPU182a及びサブCPU182bのうち一方が制御不能な異常状態であっても他方が制御可能な正常状態であれば、HV-ECU182は、車両110において所定の異常が発生したことが検出された場合に切断制御信号Scutを信号線52に出力する。
本実施例によれば、車両110の制御システム180では、(a)HV-ECU182は、メインCPU182a及びサブCPU182bの2つのCPUを備え、(b)メインCPU182a及びサブCPU182bの少なくとも1つが所定の異常を検出した場合に、HV-ECU182は切断制御信号Scutを信号線52に出力する。このように、HV-ECU182が備える2つのCPUの少なくとも1つが制御可能な正常状態であって所定の異常を検出した場合に、一対の駆動輪32への走行用駆動力の伝達を切断する切断制御信号ScutがHV-ECU182から出力される。そのため、HV-ECU182が備えるCPUが1つである場合に比較して、所定の異常が発生した場合に一対の駆動輪32への走行用駆動力の伝達を切断する制御の確実性が向上する。
以上、本発明の実施例を図面に基づいて詳細に説明したが、本発明はその他の態様においても適用される。
前述の実施例1、2では、油圧式係合装置を有する動力伝達装置は、切断制御信号Scutにより解放状態とされる発進クラッチWSC及び切断制御信号Scutによりニュートラル状態とされる自動変速機18の両方であったが、これらのうちの少なくとも一方であれば良い。切断制御信号Scutは、一対の駆動輪32への走行用駆動力の伝達を切断できるのであれば、電磁弁SC,SLのうちのいずれを制御するものであっても良い。
前述の実施例2では、HV-ECU182はメインCPU182aとサブCPU182bの2つのCPUを有する態様であったが、3つ以上のCPUを有するすなわち複数のCPUを有する態様であっても良い。要するに、複数のCPUの少なくとも1つが所定の異常を検出した場合に、一対の駆動輪32への走行用駆動力の伝達を切断するためにHV-ECU182から電磁弁SC,SLの駆動電流を制御する切断制御信号Scutが信号線52に出力される構成であれば良い。
なお、上述したのはあくまでも本発明の実施例であり、本発明はその趣旨を逸脱しない範囲において当業者の知識に基づいて種々の変更、改良を加えた態様で実施することができる。
10、110:ハイブリッド車両
12:エンジン
18:自動変速機(動力伝達装置)
32:一対の駆動輪
52:信号線
80、180:制御システム
82、182:ハイブリッド駆動制御用ECU(HV-ECU、第1制御装置)
88:動力伝達制御用ECU(第2制御装置)
88b:ソレノイド駆動回路(駆動回路)
BC:変速用係合装置(油圧式係合装置)
MG:回転電機
PT:動力伝達経路
SC2:第2電磁弁(電磁弁)
Scut:切断制御信号
SL1~SL4:変速用電磁弁(電磁弁)
WSC:発進クラッチ(油圧式係合装置、動力伝達装置)
12:エンジン
18:自動変速機(動力伝達装置)
32:一対の駆動輪
52:信号線
80、180:制御システム
82、182:ハイブリッド駆動制御用ECU(HV-ECU、第1制御装置)
88:動力伝達制御用ECU(第2制御装置)
88b:ソレノイド駆動回路(駆動回路)
BC:変速用係合装置(油圧式係合装置)
MG:回転電機
PT:動力伝達経路
SC2:第2電磁弁(電磁弁)
Scut:切断制御信号
SL1~SL4:変速用電磁弁(電磁弁)
WSC:発進クラッチ(油圧式係合装置、動力伝達装置)
Claims (1)
- 走行用駆動力源としてのエンジン及び回転電機と、前記走行用駆動力源と一対の駆動輪との間の動力伝達経路に設けられ且つ油圧式係合装置を有する動力伝達装置と、を備えるハイブリッド車両の、制御システムであって、
前記ハイブリッド車両の走行用駆動力を決定する第1制御装置と、
決定された前記走行用駆動力を前記一対の駆動輪に出力させるために、前記油圧式係合装置の断接状態を制御する電磁弁の駆動回路を制御する第2制御装置と、
前記第1制御装置が所定の異常を検出した場合に、前記一対の駆動輪への決定された前記走行用駆動力の伝達を切断するために前記第1制御装置から出力された切断制御信号を前記駆動回路へ伝送する信号線と、を有する
ことを特徴とするハイブリッド車両の制御システム。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2021003134A JP2022108221A (ja) | 2021-01-12 | 2021-01-12 | ハイブリッド車両の制御システム |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2021003134A JP2022108221A (ja) | 2021-01-12 | 2021-01-12 | ハイブリッド車両の制御システム |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2022108221A true JP2022108221A (ja) | 2022-07-25 |
Family
ID=82556274
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2021003134A Pending JP2022108221A (ja) | 2021-01-12 | 2021-01-12 | ハイブリッド車両の制御システム |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP2022108221A (ja) |
-
2021
- 2021-01-12 JP JP2021003134A patent/JP2022108221A/ja active Pending
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Legal Events
Date | Code | Title | Description |
---|---|---|---|
A621 | Written request for application examination |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621 Effective date: 20231219 |