JP2022104315A - フラックス用洗浄剤組成物 - Google Patents
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Abstract
【課題】一態様において、鉄部材の変色を抑制しつつ、200℃以上の加熱処理後の変色した銅及びフラックスの両方の除去性に優れるフラックス用洗浄剤組成物を提供する。【解決手段】本開示は、一態様において、窒素原子及び硫黄原子を有する還元性化合物(成分A)と、有機溶媒(成分B)と、水(成分C)と、を含み、成分Aが、アミノ基とメルカプト基を有する化合物、及びチオ尿素化合物から選ばれる1種以上の化合物である、フラックス用洗浄剤組成物に関する。【選択図】なし
Description
本開示は、フラックス用洗浄剤組成物、及び該洗浄剤組成物を用いた洗浄方法に関する。
半導体パッケージ等の電子基板の回路を形成する電極は、製造コストを低減する為に銅、銅合金等の金属が用いられている。
プリント配線板の実装方法として、実装密度を向上させた表面実装が広く採用されている。実装密度を向上するために、基板上の配線と電子素子の端子間にナノ金属ペーストを塗布し、加熱によりナノ金属を溶融及び固化させ、基板上の配線と電子素子の端子間を結合させる技術が知られている。
例えば、特許文献1には、特定の銀微粒子と特定の銀粉と珪素含有トリアジン化合物とを含み、さらに沸点が100~300℃の酸無水物であるカルボン酸化合物を焼結助剤として含むペースト組成物からなるダイアタッチ材料を介して接着し、基板上に固定された半導体素子が開示されている。そして、カルボン酸化合物の沸点が300℃を超えると、焼結の際に揮発せず膜中にフラックス成分(有機酸等の有機物)が残存することとなるので好ましくないことが開示されている。
例えば、特許文献1には、特定の銀微粒子と特定の銀粉と珪素含有トリアジン化合物とを含み、さらに沸点が100~300℃の酸無水物であるカルボン酸化合物を焼結助剤として含むペースト組成物からなるダイアタッチ材料を介して接着し、基板上に固定された半導体素子が開示されている。そして、カルボン酸化合物の沸点が300℃を超えると、焼結の際に揮発せず膜中にフラックス成分(有機酸等の有機物)が残存することとなるので好ましくないことが開示されている。
一方、はんだ付け後の電子部品のはんだフラックスを洗浄する技術が知られている。例えば、特許文献2には、全体量に対して、グリコール化合物の含有量が1重量%未満の場合には、ベンジルアルコールの含有量を70~99.9重量%の範囲およびアミノアルコールの含有量を0.1~30重量%の範囲とし、グリコール化合物の含有量が1~40重量%の場合には、ベンジルアルコールの含有量を15~99重量%の範囲およびアミノアルコールの含有量を0.1~30重量%の範囲とすることを特徴とする半田フラックス除去用洗浄剤が開示されている。
特許文献3には、電極にはんだを固化させる工程で得られた回路基板のフラックス残渣を、グリコールエーテルと、アルカノールアミンと、特定のイミダゾール化合物とを含有する洗浄剤を用いて洗浄する工程を含む、はんだが固化された回路基板の製造方法が開示されている。
特許文献3には、電極にはんだを固化させる工程で得られた回路基板のフラックス残渣を、グリコールエーテルと、アルカノールアミンと、特定のイミダゾール化合物とを含有する洗浄剤を用いて洗浄する工程を含む、はんだが固化された回路基板の製造方法が開示されている。
酸(フラックス成分)を含むナノ金属ペーストを塗布し、加熱によりナノ金属を溶融及び固化させて、基板上の配線と電子素子の端子間を結合させる際には、金属を溶融させるために基板を200℃以上の高温で保持する工程が必要となる。この工程を経た基板上に酸を主成分とするフラックスが残存すると、これを洗浄する必要がある。しかしながら、特許文献2及び3のはんだフラックス用洗浄剤では、200℃以上の高温で保持する工程を経た酸に由来するフラックスに対する洗浄性(フラックス除去性)が十分ではない。
また、基板表面や金属部材に用いられる銅は、200℃以上の高温で保持することによって表面が酸化して変色する場合がある。そのため、200℃以上の加熱処理により変色した銅(銅の酸化物)を除去できる洗浄剤組成物が求められる。
しかし、銅の酸化物を除去するために還元性化合物を含む洗浄剤組成物を使用すると、例えば、基板に備えられた鉄製やステンレス製のカバー等の鉄部材や、洗浄機の洗浄槽、洗浄液の配管、シャワーノズル等の鉄部材が変色し、腐食の原因になることがある。この鉄部材の変色は、鉄部材の表面を保護する保護膜(酸化鉄の被膜)が還元されることによると考えられる。さらに、保護膜の還元に洗浄剤組成物が消費されることで、フラックスに対する洗浄剤組成物の繰り返し使用のスタミナ性に影響すると考えられる。
また、基板表面や金属部材に用いられる銅は、200℃以上の高温で保持することによって表面が酸化して変色する場合がある。そのため、200℃以上の加熱処理により変色した銅(銅の酸化物)を除去できる洗浄剤組成物が求められる。
しかし、銅の酸化物を除去するために還元性化合物を含む洗浄剤組成物を使用すると、例えば、基板に備えられた鉄製やステンレス製のカバー等の鉄部材や、洗浄機の洗浄槽、洗浄液の配管、シャワーノズル等の鉄部材が変色し、腐食の原因になることがある。この鉄部材の変色は、鉄部材の表面を保護する保護膜(酸化鉄の被膜)が還元されることによると考えられる。さらに、保護膜の還元に洗浄剤組成物が消費されることで、フラックスに対する洗浄剤組成物の繰り返し使用のスタミナ性に影響すると考えられる。
そこで、本開示は、鉄部材の変色を抑制しつつ、200℃以上の加熱処理後の変色した銅及びフラックスの両方の除去性に優れるフラックス用洗浄剤組成物及び洗浄方法を提供する。
本開示は、一態様において、窒素原子及び硫黄原子を有する還元性化合物(成分A)と、有機溶媒(成分B)と、水(成分C)と、を含み、成分Aが、アミノ基とメルカプト基を有する化合物、及びチオ尿素化合物から選ばれる1種以上の化合物である、フラックス用洗浄剤組成物に関する。
本開示は、一態様において、フラックスを有する被洗浄物を、本開示のフラックス用洗浄剤組成物で洗浄する洗浄工程を含む、洗浄方法に関する。
本開示によれば、鉄部材の変色を抑制しつつ、200℃以上の加熱処理後の変色した銅及びフラックスの両方の除去性に優れるフラックス用洗浄剤組成物及び洗浄方法を提供できる。
本発明者らは、窒素原子と硫黄原子を有する還元性化合物(成分A)及び有機溶媒(成分B)を用いることで、鉄部材の変色を抑制しつつ、200℃以上の加熱処理後の変色した銅及びフラックスの両方の除去性を向上できるという知見に基づく。
すなわち、本開示は、一態様において、窒素原子及び硫黄原子を有する還元性化合物(成分A)と、有機溶媒(成分B)と、水(成分C)と、を含み、成分Aが、アミノ基とメルカプト基を有する化合物、及びチオ尿素化合物から選ばれる1種以上の化合物である、フラックス用洗浄剤組成物(以下、「本開示の洗浄剤組成物」ともいう)に関する。
本開示によれば、鉄部材の変色を抑制しつつ、200℃以上の加熱処理後の変色した銅(銅の酸化物)及びフラックスの両方の除去性に優れるフラックス用洗浄剤組成物を提供できる。
本開示の効果発現の作用メカニズムの詳細は不明な部分はあるが、以下のように推察される。
窒素原子及び硫黄原子を有する還元性化合物(成分A)が銅(基板表面及び/又は金属部材)に吸着し、還元反応を引き起こすことで、変色した銅(銅の酸化物)の状態が変化し、銅の酸化物が除去されると考えられる。有機溶媒(成分B)がフラックスへの浸透性を高め、それに伴い、銅とフラックスとの界面剥離が生じるため、従来のようなアルカリ剤による易溶解化や溶剤による溶解に加えて、高い洗浄力を示すと推察される。さらに、窒素原子及び硫黄原子を有する還元性化合物(成分A)は、アミノ基とメルカプト基を有する化合物、及びチオ尿素化合物から選ばれる1種以上の化合物であり、鉄部材の保護膜(酸化鉄)には吸着しにくく、保護膜の除去(還元)が抑制され、鉄部材の変色が抑制されると考えられる。
ただし、本開示はこのメカニズムに限定して解釈されなくてもよい。
窒素原子及び硫黄原子を有する還元性化合物(成分A)が銅(基板表面及び/又は金属部材)に吸着し、還元反応を引き起こすことで、変色した銅(銅の酸化物)の状態が変化し、銅の酸化物が除去されると考えられる。有機溶媒(成分B)がフラックスへの浸透性を高め、それに伴い、銅とフラックスとの界面剥離が生じるため、従来のようなアルカリ剤による易溶解化や溶剤による溶解に加えて、高い洗浄力を示すと推察される。さらに、窒素原子及び硫黄原子を有する還元性化合物(成分A)は、アミノ基とメルカプト基を有する化合物、及びチオ尿素化合物から選ばれる1種以上の化合物であり、鉄部材の保護膜(酸化鉄)には吸着しにくく、保護膜の除去(還元)が抑制され、鉄部材の変色が抑制されると考えられる。
ただし、本開示はこのメカニズムに限定して解釈されなくてもよい。
本開示における「フラックス」とは、一又は複数の形態において、焼結工程(例えば、200℃以上の高温で保持する工程)により2つの部材間を接合するために用いられるフラックスであり、例えば、放熱板と半導体素子との接合や、放熱板と基板との接合に用いられる。フラックスは、一又は複数の実施形態において、酸を主成分とする接合助剤である。
本開示における「フラックス用洗浄剤組成物」は、一又は複数の実施形態において、焼結工程により2つの部材間を接合した後に残存するフラックスを除去するための洗浄剤組成物をいう。
本開示における「フラックス用洗浄剤組成物」は、一又は複数の実施形態において、焼結工程により2つの部材間を接合した後に残存するフラックスを除去するための洗浄剤組成物をいう。
[成分A:窒素原子及び硫黄原子を有する還元性化合物]
本開示の洗浄剤組成物に含まれる窒素原子及び硫黄原子を有する還元性化合物(以下、単に「成分A」ともいう)は、鉄部材の変色抑制と、銅の酸化物の除去性向上の観点から、アミノ基とメルカプト基を有する還元性化合物、及びチオ尿素化合物から選ばれる1種以上の化合物である。アミノ基とメルカプト基を有する還元性化合物としては、例えば、システアミン、システアミン塩酸塩、3-アミノ-1プロパンチオール等が挙げられる。チオ尿素化合物としては、例えば、チオ尿素、二酸化チオ尿素等が挙げられる。成分Aは、1種でもよいし、2種以上の組合せでもよい。
成分Aは、鉄部材の変色を抑制する観点から、カルボキシル基を有さない化合物であることが好ましい。
本開示の洗浄剤組成物に含まれる窒素原子及び硫黄原子を有する還元性化合物(以下、単に「成分A」ともいう)は、鉄部材の変色抑制と、銅の酸化物の除去性向上の観点から、アミノ基とメルカプト基を有する還元性化合物、及びチオ尿素化合物から選ばれる1種以上の化合物である。アミノ基とメルカプト基を有する還元性化合物としては、例えば、システアミン、システアミン塩酸塩、3-アミノ-1プロパンチオール等が挙げられる。チオ尿素化合物としては、例えば、チオ尿素、二酸化チオ尿素等が挙げられる。成分Aは、1種でもよいし、2種以上の組合せでもよい。
成分Aは、鉄部材の変色を抑制する観点から、カルボキシル基を有さない化合物であることが好ましい。
成分Aとしては、鉄部材の変色抑制と、銅の酸化物及びフラックスの両方の除去性向上の観点から、システアミン、システアミン塩酸塩、チオ尿素、及び、二酸化チオ尿素から選ばれる少なくとも1種であることが好ましい。
成分Aの分子量は、揮発性の観点から、40以上が好ましく、60以上がより好ましく、70以上が更に好ましく、そして、フラックスへの浸透速度の観点から、150以下が好ましく、130以下がより好ましく、110以下が更に好ましい。
本開示の洗浄剤組成物の使用時における成分Aの含有量は、銅の酸化物の除去性向上の観点から、0.3質量%以上が好ましく、1質量%以上がより好ましく、5質量%以上が更に好ましく、そして、再酸化抑制、及び鉄部材の変色抑制の観点から、30質量%以下が好ましく、25質量%以下がより好ましく、20質量%以下が更に好ましい。本開示の洗浄剤組成物の使用時における成分Aの含有量は、銅の酸化物の除去性向上、再酸化抑制、及び鉄部材の変色抑制の観点から、0.3質量%以上30質量%以下が好ましく、1質量%以上25質量%以下がより好ましく、5質量%以上20質量%以下が更に好ましい。成分Aが2種以上の組合せである場合、成分Aの含有量はそれらの合計含有量をいう。
[成分B:有機溶媒]
本開示の洗浄剤組成物に含まれる有機溶媒(以下、単に「成分B」ともいう)としては、例えば、フラックスの除去性向上の観点から、下記式(I)で表される化合物、下記式(II)で表される化合物、下記式(III)で表される化合物、アルキルスルホキシド、及びα-オレフィンから選ばれる少なくとも1種であることが好ましい。成分Bは、1種でもよいし、2種以上の組合せでもよい。
本開示の洗浄剤組成物に含まれる有機溶媒(以下、単に「成分B」ともいう)としては、例えば、フラックスの除去性向上の観点から、下記式(I)で表される化合物、下記式(II)で表される化合物、下記式(III)で表される化合物、アルキルスルホキシド、及びα-オレフィンから選ばれる少なくとも1種であることが好ましい。成分Bは、1種でもよいし、2種以上の組合せでもよい。
R1-O-(AO)n-R2 (I)
上記式(I)において、R1は、フラックスの除去性向上の観点から、フェニル基又は炭素数1以上8以下のアルキル基が好ましく、炭素数1以上8以下のアルキル基がより好ましく、炭素数4以上6以下のアルキル基が更に好ましい。R2は、同様の観点から、水素原子又は炭素数1以上4以下のアルキル基が好ましく、水素原子又は炭素数2以上4以下のアルキル基がより好ましい。AOは、エチレンオキシド基(EO)又はプロピレンオキシド基(PO)であり、同様の観点から、エチレンオキシド基が好ましい。nは、AOの付加モル数であり、同様の観点から、1以上3以下の整数が好ましく、2又は3がより好ましく、2が更に好ましい。
上記式(I)で表される化合物としては、例えば、エチレングリコールモノフェニルエーテル、ジエチレングリコールモノフェニルエーテル、トリエチレングリコールモノフェニルエーテル等のモノフェニルエーテル;炭素数1以上8以下のアルキル基を有するエチレングリコールモノアルキルエーテル、ジエチレングリコールモノアルキルエーテル、トリエチレングリコールモノアルキルエーテル、トリプロピレングリコールモノアルキルエーテル等のモノアルキルエーテル;炭素数1以上8以下のアルキル基及び炭素数1以上4以下のアルキル基を有するエチレングリコールジアルキルエーテル、ジエチレングリコールジアルキルエーテル、トリエチレングリコールジアルキルエーテル等のジアルキルエーテル;フェニル基及び炭素数1以上4以下のアルキル基を有するエチレングリコールフェニルアルキルエーテル、ジエチレングリコールフェニルアルキルエーテル、トリエチレングリコールフェニルアルキルエーテル等のフェニルアルキルエーテル;等が挙げられる。これらのなかでも、上記式(I)で表される化合物としては、銅の酸化物及びフラックスの両方の除去性向上の観点から、ジエチレングリコールモノアルキルエーテル及びトリプロピレングリコールモノアルキルエーテルから選ばれる少なくとも1種が好ましく、例えば、ジエチレングリコールモノブチルエーテル(ブチルジグリコール)、ジエチレングリコールモノヘキシルエーテル(ヘキシルジグリコール)、トリプロピレングリコールメチルエーテルから選ばれる少なくとも1種が挙げられる。
R3-CH2OH (II)
上記式(II)において、R3は、フラックスの除去性向上の観点から、フェニル基、ベンジル基、シクロヘキシル基、フリル基、テトラヒドロフリル基、フルフリル基又はテトラヒドロフルフリル基であることが好ましく、フェニル基、シクロヘキシル基又はテトラヒドロフリル基がより好ましく、フェニル基が更に好ましい。
上記式(II)で表される化合物としては、例えば、ベンジルアルコール、フェネチルアルコール、シクロヘキサンメタノール、フルフリルアルコール及びテトラヒドロフルフリルアルコール等が挙げられる。これらのなかでも、銅の酸化物及びフラックスの両方の除去性向上の観点から、ベンジルアルコールが好ましい。
上記式(III)において、フラックスの除去性向上の観点から、R4、R5、R6、R7はそれぞれ独立に、水素原子、炭素数1以上8以下の炭化水素基、炭素数1以上3以下のヒドロキシアルキル基又は水酸基であることが好ましく、R4、R5、R6、R7のいずれか一つが炭素数1以上8以下の炭化水素基であることがより好ましく、炭素数1以上6以下の炭化水素基であることが更に好ましく、メチル基、エチル基、ビニル基のいずれかであることが更に好ましい。
上記式(III)で表される化合物としては、例えば、2-ピロリドン、1-メチル-2-ピロリドン、1-エチル-2-ピロリドン、1-ビニル-2-ピロリドン、1-フェニル-2-ピロリドン、1-シクロヘキシル-2-ピロリドン、1-オクチル-2-ピロリドン、3-ヒドロキシプロピル-2-ピロリドン、4-ヒドロキシ-2-ピロリドン、4-フェニル-2-ピロリドン及び5-メチル-2-ピロリドン等が挙げられる。上記式(III)で表される化合物としては、銅の酸化物及びフラックスの両方の除去性向上の観点から、2-ピロリドン、1-メチル-2-ピロリドン、1-エチル-2-ピロリドン、1-ビニル-2-ピロリドン、1-フェニル-2-ピロリドン、1-シクロヘキシル-2-ピロリドン、1-オクチル-2-ピロリドン及び5-メチル-2-ピロリドンから選ばれる少なくとも1種が好ましく、1-メチル-2-ピロリドン、1-エチル-2-ピロリドン及び1-ビニル-2-ピロリドンから選ばれる少なくとも1種がより好ましく、N-メチル-2-ピロリドン(NMP)がさらに好ましい。
アルキルスルホキシドとしては、例えば、ジメチルスルホキシド(DMSO)等が挙げられる。
α-オレフィンとしては、炭素数8~20のα-オレフィンが挙げられる。α-オレフィンの具体例としては、1-ドデセン等が挙げられる。
成分Bとしては、銅の酸化物及びフラックスの両方の除去性向上の観点から、ジエチレングリコールモノブチルエーテル(ブチルジグリコール)、ジエチレングリコールモノヘキシルエーテル(ヘキシルジグリコール)、トリプロピレングリコールメチルエーテル、ベンジルアルコール、N-メチル-2-ピロリドン(NMP)、及び、ジメチルスルホキシド(DMSO)から選ばれる少なくとも1種が挙げられる。
本開示の洗浄剤組成物の使用時における成分Bの含有量は、銅の酸化物及びフラックスの両方の除去性向上の観点から、10質量%以上が好ましく、18質量%以上がより好ましく、30質量%以上が更に好ましく、50質量%以上が更に好ましく、75質量%以上が更に好ましく、そして、同様の観点から、94質量%以下が好ましく、85質量%以下がより好ましく、80質量%以下が更に好ましい。さらに、本開示の洗浄剤組成物の使用時における成分Bの含有量は、銅の酸化物及びフラックスの両方の除去性向上の観点から、10質量%以上94質量%以下が好ましく、18質量%以上85質量%以下がより好ましく、30質量%以上85質量%以下が更に好ましい。成分Bが2種以上の組合せである場合、成分Bの含有量はそれらの合計含有量をいう。
本開示の洗浄剤組成物における成分Aと成分Bとの質量比(A/B)は、フラックスの除去性向上の観点から、0.005以上が好ましく、0.01以上がより好ましく、0.1以上が更に好ましく、そして、フラックスの除去性向上の観点から、0.7以下が好ましく、0.6以下がより好ましく、0.4以下が更に好ましい。質量比(A/B)は、フラックスの除去性向上の観点から、0.005以上0.7以下が好ましく、0.01以上0.6以下がより好ましく、0.1以上0.4以下が更に好ましい。
[成分C:水]
本開示の洗浄剤組成物は、水(以下、単に「成分C」ともいう)を含む。成分Cとしては、イオン交換水、RO水(逆浸透膜処理水)、蒸留水、純水、超純水等が挙げられる。
本開示の洗浄剤組成物は、水(以下、単に「成分C」ともいう)を含む。成分Cとしては、イオン交換水、RO水(逆浸透膜処理水)、蒸留水、純水、超純水等が挙げられる。
本開示の洗浄剤組成物の使用時における成分Cの含有量は、引火点を下げ取り扱い性を向上する観点から、5質量%以上が好ましく、8質量%以上がより好ましく、そして、フラックス除去性向上の観点から、80質量%以下が好ましく、70質量%以下がより好ましく、50質量%以下が更に好ましく、30質量%以下が更に好ましく、20質量%以下が更に好ましい。さらに、本開示の洗浄剤組成物における成分Cの含有量は、引火点を下げ取り扱い性を向上する観点、及び、フラックス除去性向上の観点から、5質量%以上80質量%以下が好ましく、8質量%以上70質量%以下がより好ましく、8質量%以上50質量%以下が更に好ましい。
本開示の洗浄剤組成物における成分Aと成分Cとの質量比(A/C)は、銅の酸化物及びフラックスの両方の除去性向上の観点から、0.005以上が好ましく、0.03以上がより好ましく、0.5以上が更に好ましく、そして、鉄部材の変色抑制及びフラックスの除去性向上の観点から、3.5以下が好ましく、2.2以下がより好ましく、1.6以下が更に好ましい。質量比(A/C)は、鉄部材の変色抑制、銅の酸化物及びフラックスの両方の除去性向上の観点から、の観点から、0.005以上3.5以下が好ましく、0.03以上2.2以下がより好ましく、0.5以上1.6以下が更に好ましい。
本開示の洗浄剤組成物における成分Bと成分Cとの質量比(B/C)は、フラックスの除去性向上の観点から、0.2以上が好ましく、0.25以上がより好ましく、0.7以上が更に好ましく、1.5以上がより更に好ましく、そして、フラックスの除去性向上の観点から、15以下が好ましく、11以下がより好ましく、10以下が更に好ましい。質量比(B/C)は、フラックスの除去性向上の観点から、0.2以上15以下が好ましく、0.25以上11以下がより好ましく、0.7以上10以下が更に好ましい。
[その他の成分]
本開示の洗浄剤組成物は、本開示の効果を損なわない範囲で、必要に応じて、通常洗浄剤に用いられる、キレート剤、ベンゾトリアゾール(BTA)等の防錆剤、増粘剤、分散剤、塩基性物質、高分子化合物、アルキルグルコシド等の界面活性剤、カプリル酸等の可溶化剤、防腐剤、殺菌剤、抗菌剤、消泡剤、酸化防止剤を適宜含有することができる。本開示の洗浄剤組成物の使用時におけるその他の成分の含有量は、0質量%以上25質量%以下が好ましく、0質量%以上20質量%以下がより好ましく、0質量%以上15質量%以下が更に好ましい。
本開示の洗浄剤組成物は、本開示の効果を損なわない範囲で、必要に応じて、通常洗浄剤に用いられる、キレート剤、ベンゾトリアゾール(BTA)等の防錆剤、増粘剤、分散剤、塩基性物質、高分子化合物、アルキルグルコシド等の界面活性剤、カプリル酸等の可溶化剤、防腐剤、殺菌剤、抗菌剤、消泡剤、酸化防止剤を適宜含有することができる。本開示の洗浄剤組成物の使用時におけるその他の成分の含有量は、0質量%以上25質量%以下が好ましく、0質量%以上20質量%以下がより好ましく、0質量%以上15質量%以下が更に好ましい。
[洗浄剤組成物の製造方法]
本開示の洗浄剤組成物は、例えば、成分A、成分B、成分C、及び、必要に応じて上述したその他の成分を公知の方法で配合することにより製造できる。したがって、本開示は、一態様において、少なくとも成分A、成分B及び成分Cを配合する工程を含む、洗浄剤組成物の製造方法に関する。本開示において「配合する」とは、成分A、成分B、成分C及び必要に応じてその他の成分を同時に又は任意の順に混合することを含む。本開示の洗浄剤組成物の製造方法において、各成分の配合量は、上述した本開示の洗浄剤組成物の使用時における各成分の含有量と同じとすることができる。本開示において「洗浄剤組成物の使用時における各成分の含有量」とは、洗浄時、すなわち、洗浄剤組成物の洗浄への使用を開始する時点での各成分の含有量をいう。
本開示の洗浄剤組成物は、例えば、成分A、成分B、成分C、及び、必要に応じて上述したその他の成分を公知の方法で配合することにより製造できる。したがって、本開示は、一態様において、少なくとも成分A、成分B及び成分Cを配合する工程を含む、洗浄剤組成物の製造方法に関する。本開示において「配合する」とは、成分A、成分B、成分C及び必要に応じてその他の成分を同時に又は任意の順に混合することを含む。本開示の洗浄剤組成物の製造方法において、各成分の配合量は、上述した本開示の洗浄剤組成物の使用時における各成分の含有量と同じとすることができる。本開示において「洗浄剤組成物の使用時における各成分の含有量」とは、洗浄時、すなわち、洗浄剤組成物の洗浄への使用を開始する時点での各成分の含有量をいう。
[洗浄剤組成物のpH]
本開示の洗浄剤組成物のpHは、鉄部材の変色抑制及びフラックスの除去性向上の観点から、7以上が好ましく、8以上がより好ましく、9以上が更に好ましく、そして、銅の酸化物除去性向上の観点から、11以下が好ましく、10以下がより好ましい。また、本開示の洗浄剤組成物のpHは、鉄部材の変色抑制、銅の酸化物及びフラックスの両方の除去性向上の観点から、7以上11以下が好ましく、8以上10以下がより好ましく、9以上10以下が更に好ましい。pHは、必要により、硝酸、硫酸等の無機酸、オキシカルボン酸、多価カルボン酸、アミノポリカルボン酸、アミノ酸等の有機酸、及びそれらの金属塩やアンモニウム塩、アルカリ剤等を用いて調整することができる。本開示において洗浄剤組成物のpHは、25℃における洗浄剤組成物の使用時のpHである。
本開示の洗浄剤組成物のpHは、鉄部材の変色抑制及びフラックスの除去性向上の観点から、7以上が好ましく、8以上がより好ましく、9以上が更に好ましく、そして、銅の酸化物除去性向上の観点から、11以下が好ましく、10以下がより好ましい。また、本開示の洗浄剤組成物のpHは、鉄部材の変色抑制、銅の酸化物及びフラックスの両方の除去性向上の観点から、7以上11以下が好ましく、8以上10以下がより好ましく、9以上10以下が更に好ましい。pHは、必要により、硝酸、硫酸等の無機酸、オキシカルボン酸、多価カルボン酸、アミノポリカルボン酸、アミノ酸等の有機酸、及びそれらの金属塩やアンモニウム塩、アルカリ剤等を用いて調整することができる。本開示において洗浄剤組成物のpHは、25℃における洗浄剤組成物の使用時のpHである。
[被洗浄物]
本開示の洗浄剤組成物は、フラックスを有する被洗浄物の洗浄に使用される。
フラックスを有する被洗浄物は、一実施形態において、基板と金属部材との間又は基板上の2つの金属部材の間にフラックスを含むスラリーを塗布した後、200℃以上に加熱する工程を経た基板が挙げられる。加熱温度は、例えば、200℃~350℃が挙げられる。加熱時間は、例えば、3分~5時間が挙げられる。フラックスの熱による変性に対する洗浄性を発揮する観点から、1時間以上加熱された被洗浄物が好ましい。
被洗浄物の基板表面及び/又は金属部材は、一又は複数の実施形態において、銅が加熱により酸化した部分(銅の酸化物)を含む。
前記フラックスは、一又は複数の実施形態において、主成分として酸を含む。酸としては、例えば、アビエチン酸等の有機酸が挙げられる。
前記フラックスを含有するスラリーは、一又は複数の実施形態において、金属粒子をさらに含むことができる。
前記金属部材としては、例えば、放熱板、電気回路等が挙げられる。
前記基板としては、例えば、銅表面を有する基板が挙げられ、具体的には、銅板等が挙げられる。
前記基板は、一又は複数の実施形態において、酸化鉄の保護膜を有する鉄部材を有する。鉄部材は、鉄を含む材質である部材をいう。鉄部材にはステンレスが含まれる。基板の鉄部材としては、例えば、鉄製又はステンレス製のカバーが挙げられる。
本開示の洗浄剤組成物は、フラックスを有する被洗浄物の洗浄に使用される。
フラックスを有する被洗浄物は、一実施形態において、基板と金属部材との間又は基板上の2つの金属部材の間にフラックスを含むスラリーを塗布した後、200℃以上に加熱する工程を経た基板が挙げられる。加熱温度は、例えば、200℃~350℃が挙げられる。加熱時間は、例えば、3分~5時間が挙げられる。フラックスの熱による変性に対する洗浄性を発揮する観点から、1時間以上加熱された被洗浄物が好ましい。
被洗浄物の基板表面及び/又は金属部材は、一又は複数の実施形態において、銅が加熱により酸化した部分(銅の酸化物)を含む。
前記フラックスは、一又は複数の実施形態において、主成分として酸を含む。酸としては、例えば、アビエチン酸等の有機酸が挙げられる。
前記フラックスを含有するスラリーは、一又は複数の実施形態において、金属粒子をさらに含むことができる。
前記金属部材としては、例えば、放熱板、電気回路等が挙げられる。
前記基板としては、例えば、銅表面を有する基板が挙げられ、具体的には、銅板等が挙げられる。
前記基板は、一又は複数の実施形態において、酸化鉄の保護膜を有する鉄部材を有する。鉄部材は、鉄を含む材質である部材をいう。鉄部材にはステンレスが含まれる。基板の鉄部材としては、例えば、鉄製又はステンレス製のカバーが挙げられる。
[洗浄方法]
本開示は、一態様において、フラックスを有する被洗浄物を、本開示の洗浄剤組成物で洗浄する洗浄工程を含む、洗浄方法(以下、「本開示の洗浄方法」ともいう)に関する。
前記洗浄工程は、一又は複数の実施形態において、フラックスを有する被洗浄物を、洗浄機を用いて、本開示の洗浄剤組成物で洗浄する工程である。
洗浄機は、一又は複数の実施形態において、酸化鉄の保護膜を有する鉄部材を有する。鉄部材にはステンレスが含まれる。洗浄機の鉄部材は、一又は複数の実施形態において、洗浄槽、洗浄液の配管、及び、シャワーノズルの少なくとも1種を含む。
前記洗浄工程は、フラックスを有する被洗浄物を本開示の洗浄剤組成物に接触させることを含む。
本開示の洗浄方法によれば、鉄部材の変色を抑制しつつ、200℃以上の高温処理後の変色した銅及びフラックスの両方を効率よく除去できる。
被洗浄物を本開示の洗浄剤組成物で洗浄する方法、又は、被洗浄物に本開示の洗浄剤組成物を接触させる方法としては、例えば、超音波洗浄装置の浴槽内で接触させる方法、洗浄剤組成物をスプレー状に射出して接触させる方法(シャワー方式)等が挙げられる。本開示の洗浄剤組成物は、希釈することなくそのまま洗浄に使用できる。
前記洗浄工程は、一又は複数の実施形態において、前記被洗浄物を80℃以下の本開示の洗浄剤組成物に浸漬する工程である。浸漬温度は、銅の酸化物及びフラックスの両方の除去性向上の観点から、80℃以下が好ましく、70℃以下がより好ましく、60℃以下が更に好ましく、そして、20℃以上が好ましく、30℃以上がより好ましく、40℃以上が更に好ましい。浸漬時間は、同様の観点から、5分以上が好ましく、10分以上がより好ましく、30分以上が更に好ましく、そして、3時間以下が好ましく、2時間以下がより好ましく、1時間以下が更に好ましい。
本開示の洗浄方法は、洗浄剤組成物に被洗浄物を接触させた後、水でリンスし、乾燥する工程を含むことが好ましい。
本開示の洗浄方法は、本開示の洗浄剤組成物の洗浄力が発揮されやすい点から、本開示の洗浄剤組成物と被洗浄物との接触時に超音波を照射することが好ましく、その超音波は比較的強いものであることがより好ましい。前記超音波の周波数としては、同様の観点から、26~72Hz、80~1500Wが好ましく、36~72Hz、80~1500Wがより好ましい。
本開示は、一態様において、フラックスを有する被洗浄物を、本開示の洗浄剤組成物で洗浄する洗浄工程を含む、洗浄方法(以下、「本開示の洗浄方法」ともいう)に関する。
前記洗浄工程は、一又は複数の実施形態において、フラックスを有する被洗浄物を、洗浄機を用いて、本開示の洗浄剤組成物で洗浄する工程である。
洗浄機は、一又は複数の実施形態において、酸化鉄の保護膜を有する鉄部材を有する。鉄部材にはステンレスが含まれる。洗浄機の鉄部材は、一又は複数の実施形態において、洗浄槽、洗浄液の配管、及び、シャワーノズルの少なくとも1種を含む。
前記洗浄工程は、フラックスを有する被洗浄物を本開示の洗浄剤組成物に接触させることを含む。
本開示の洗浄方法によれば、鉄部材の変色を抑制しつつ、200℃以上の高温処理後の変色した銅及びフラックスの両方を効率よく除去できる。
被洗浄物を本開示の洗浄剤組成物で洗浄する方法、又は、被洗浄物に本開示の洗浄剤組成物を接触させる方法としては、例えば、超音波洗浄装置の浴槽内で接触させる方法、洗浄剤組成物をスプレー状に射出して接触させる方法(シャワー方式)等が挙げられる。本開示の洗浄剤組成物は、希釈することなくそのまま洗浄に使用できる。
前記洗浄工程は、一又は複数の実施形態において、前記被洗浄物を80℃以下の本開示の洗浄剤組成物に浸漬する工程である。浸漬温度は、銅の酸化物及びフラックスの両方の除去性向上の観点から、80℃以下が好ましく、70℃以下がより好ましく、60℃以下が更に好ましく、そして、20℃以上が好ましく、30℃以上がより好ましく、40℃以上が更に好ましい。浸漬時間は、同様の観点から、5分以上が好ましく、10分以上がより好ましく、30分以上が更に好ましく、そして、3時間以下が好ましく、2時間以下がより好ましく、1時間以下が更に好ましい。
本開示の洗浄方法は、洗浄剤組成物に被洗浄物を接触させた後、水でリンスし、乾燥する工程を含むことが好ましい。
本開示の洗浄方法は、本開示の洗浄剤組成物の洗浄力が発揮されやすい点から、本開示の洗浄剤組成物と被洗浄物との接触時に超音波を照射することが好ましく、その超音波は比較的強いものであることがより好ましい。前記超音波の周波数としては、同様の観点から、26~72Hz、80~1500Wが好ましく、36~72Hz、80~1500Wがより好ましい。
[キット]
本開示は、一態様において、本開示の洗浄方法に使用するためのキット(以下、「本開示のキット」ともいう)に関する。本開示のキットは、一又は複数の実施形態において、本開示の洗浄剤組成物を製造するためのキットである。
本開示のキットとしては、例えば、成分Aを含有する溶液(第1液)と、成分Bを含有する溶液(第2液)とを、相互に混合されていない状態で含み、第1液と第2液とが使用時に混合されるキット(2液型洗浄剤組成物)が挙げられる。前記第1液及び第2液には、各々必要に応じて上述したその他の成分が含まれていてもよい。前記第1液及び第2液の少なくとも一方は、本開示の洗浄剤組成物の調製に用いられる水(成分C)の一部又は全部を含有することができる。前記第1液と第2液とが混合された後、必要に応じて水(成分C)で希釈されてもよい。
本開示は、一態様において、本開示の洗浄方法に使用するためのキット(以下、「本開示のキット」ともいう)に関する。本開示のキットは、一又は複数の実施形態において、本開示の洗浄剤組成物を製造するためのキットである。
本開示のキットとしては、例えば、成分Aを含有する溶液(第1液)と、成分Bを含有する溶液(第2液)とを、相互に混合されていない状態で含み、第1液と第2液とが使用時に混合されるキット(2液型洗浄剤組成物)が挙げられる。前記第1液及び第2液には、各々必要に応じて上述したその他の成分が含まれていてもよい。前記第1液及び第2液の少なくとも一方は、本開示の洗浄剤組成物の調製に用いられる水(成分C)の一部又は全部を含有することができる。前記第1液と第2液とが混合された後、必要に応じて水(成分C)で希釈されてもよい。
以下に、実施例により本開示を具体的に説明するが、本開示はこれらの実施例によって何ら限定されるものではない。
1.洗浄剤組成物の調製(実施例1~15、比較例1及び参考例1~3)
100mLガラスビーカーに、下記表1に記載の組成となるように各成分を配合し、下記条件で混合することにより、実施例1~15、比較例1、及び参考例1~3の洗浄剤組成物を調製した。表1中の各成分の数値は、断りのない限り、調製した洗浄剤組成物における含有量(質量%)を示す。各洗浄剤組成物のpHは、25℃における洗浄剤組成物のpHであり、pHメータ(東亜電波工業株式会社、HM-30G)の電極を洗浄剤組成物に浸漬して3分後の数値を測定した。測定結果を表1に示した。
<混合条件>
液温度:25℃
攪拌機:マグネチックスターラー(50mm回転子)
回転数:300rpm
攪拌時間:10分
100mLガラスビーカーに、下記表1に記載の組成となるように各成分を配合し、下記条件で混合することにより、実施例1~15、比較例1、及び参考例1~3の洗浄剤組成物を調製した。表1中の各成分の数値は、断りのない限り、調製した洗浄剤組成物における含有量(質量%)を示す。各洗浄剤組成物のpHは、25℃における洗浄剤組成物のpHであり、pHメータ(東亜電波工業株式会社、HM-30G)の電極を洗浄剤組成物に浸漬して3分後の数値を測定した。測定結果を表1に示した。
<混合条件>
液温度:25℃
攪拌機:マグネチックスターラー(50mm回転子)
回転数:300rpm
攪拌時間:10分
洗浄剤組成物の成分として下記のものを使用する。
(成分A)
システアミン[Sigma-Aldrich社製、分子量77.15]
システアミン塩酸塩 [富士フイルム和光純薬社製、分子量113.61]
チオ尿素[富士フイルム和光純薬社製、分子量76.12]
二酸化チオ尿素[富士フイルム和光純薬社製、分子量108.12]
(非成分A)
チオグリコール酸[富士フイルム和光純薬株式会社製、分子量92]
チオコハク酸(メルカプトこはく酸)[富士フイルム和光純薬社製、分子量150.15]
チオ乳酸[富士フイルム和光純薬社製、分子量106.1]
(成分B)
ブチルジグリコール(BDG)[ジエチレングリコールモノブチルエーテル、日本乳化剤株式会社製]
ヘキシルジグリコール[日本乳化剤株式会社製]
トリプロピレングリコールメチルエーテル[富士フイルム和光純薬株式会社製]
ベンジルアルコール[ランクセス株式会社製]
NMP[N-メチル-2-ピロリドン、富士フイルム和光純薬株式会社製]
DMSO[ジメチルスルホキシド、富士フイルム和光純薬株式会社製]
(成分C)
水[オルガノ株式会社製純水装置G-10DSTSETで製造した1μS/cm以下の純水]
(その他の成分)
ベンゾトリアゾール[1,2,3-ベンゾトリアゾール、東京化成工業株式会社製](防錆剤)
N-メチルイミダゾール[花王株式会社製]
NaOH:水酸化ナトリウム[南海化学株式会社製]
トリエタノールアミン[日本触媒株式会社製]
(成分A)
システアミン[Sigma-Aldrich社製、分子量77.15]
システアミン塩酸塩 [富士フイルム和光純薬社製、分子量113.61]
チオ尿素[富士フイルム和光純薬社製、分子量76.12]
二酸化チオ尿素[富士フイルム和光純薬社製、分子量108.12]
(非成分A)
チオグリコール酸[富士フイルム和光純薬株式会社製、分子量92]
チオコハク酸(メルカプトこはく酸)[富士フイルム和光純薬社製、分子量150.15]
チオ乳酸[富士フイルム和光純薬社製、分子量106.1]
(成分B)
ブチルジグリコール(BDG)[ジエチレングリコールモノブチルエーテル、日本乳化剤株式会社製]
ヘキシルジグリコール[日本乳化剤株式会社製]
トリプロピレングリコールメチルエーテル[富士フイルム和光純薬株式会社製]
ベンジルアルコール[ランクセス株式会社製]
NMP[N-メチル-2-ピロリドン、富士フイルム和光純薬株式会社製]
DMSO[ジメチルスルホキシド、富士フイルム和光純薬株式会社製]
(成分C)
水[オルガノ株式会社製純水装置G-10DSTSETで製造した1μS/cm以下の純水]
(その他の成分)
ベンゾトリアゾール[1,2,3-ベンゾトリアゾール、東京化成工業株式会社製](防錆剤)
N-メチルイミダゾール[花王株式会社製]
NaOH:水酸化ナトリウム[南海化学株式会社製]
トリエタノールアミン[日本触媒株式会社製]
2.洗浄剤組成物の評価
調製した実施例1~15、比較例1及び参考例1~3の洗浄剤組成物を用いて洗浄性(フラックス除去性)、変色した銅(銅の酸化物)の除去性、及び鉄部材の変色抑制について試験を行い、評価した。
調製した実施例1~15、比較例1及び参考例1~3の洗浄剤組成物を用いて洗浄性(フラックス除去性)、変色した銅(銅の酸化物)の除去性、及び鉄部材の変色抑制について試験を行い、評価した。
<テスト基板>
50mm×20mmのタフピッチ銅板上にアビエチン酸(フラックス)を0.05g塗布し、ホットプレートにて300℃で3時間加熱することで、テスト基板を作製した。アビエチン酸は銅板表面の一部に乗った状態である。
ここで作製された基板は、加熱温度並びに、保持時間から、基板上の金属同士を接合することを模したモデルである。例えば、特許文献1の実施例では200℃で60分保持している。
また、ナノ粒子接合材により接合された半導体素子を有する半導体装置に関する特開2020―74498号公報の[0025]段落には、ナノ粒子接合材は、概ね300℃ 以下の低温で接合可能な接合材であり、ナノ粒子接合材が焼結された銀すなわち焼結銀である場合、その焼結温度すなわち硬化温度はおよそ210℃であることが記載されている。
50mm×20mmのタフピッチ銅板上にアビエチン酸(フラックス)を0.05g塗布し、ホットプレートにて300℃で3時間加熱することで、テスト基板を作製した。アビエチン酸は銅板表面の一部に乗った状態である。
ここで作製された基板は、加熱温度並びに、保持時間から、基板上の金属同士を接合することを模したモデルである。例えば、特許文献1の実施例では200℃で60分保持している。
また、ナノ粒子接合材により接合された半導体素子を有する半導体装置に関する特開2020―74498号公報の[0025]段落には、ナノ粒子接合材は、概ね300℃ 以下の低温で接合可能な接合材であり、ナノ粒子接合材が焼結された銀すなわち焼結銀である場合、その焼結温度すなわち硬化温度はおよそ210℃であることが記載されている。
[洗浄性(フラックス除去性)の評価]
テスト基板を各洗浄剤組成物100gに25℃にて1分間浸漬した後、引き上げ、水すすぎを行い、エアブローにて乾燥し、洗浄後の基板を得た。フラックス除去性の評価は、外観を観察し、洗浄前の外観と同様になった部分の面積(フラックスが付着した面積)を洗浄可能な面積から除去率を算出した。除去率は下記式により算出した。
除去率(%)=洗浄後にフラックス除去された面積/洗浄前のフラックスが付着している面積×100
テスト基板を各洗浄剤組成物100gに25℃にて1分間浸漬した後、引き上げ、水すすぎを行い、エアブローにて乾燥し、洗浄後の基板を得た。フラックス除去性の評価は、外観を観察し、洗浄前の外観と同様になった部分の面積(フラックスが付着した面積)を洗浄可能な面積から除去率を算出した。除去率は下記式により算出した。
除去率(%)=洗浄後にフラックス除去された面積/洗浄前のフラックスが付着している面積×100
[変色した銅(銅の酸化物)の除去性の評価]
銅板上にアビエチン酸を乗せなかったこと以外は、上記フラックス除去性の評価と同様にしてテスト基板を準備した。このテスト基板を用いて、フラックス除去性の評価と同様にして洗浄を行った。洗浄前のテスト基板は、高温で処理されたことにより表面が酸化し、黒色化している。洗浄後の変色した銅の除去性の評価は、外観を観察し、洗浄前の外観と同様になった部分の面積を洗浄可能な面積から除去率を算出することで行った。除去率は下記式により算出した。
除去率(%)=洗浄後に変色した銅が除去された面積/洗浄前の変色した銅が付着している面積×100
銅板上にアビエチン酸を乗せなかったこと以外は、上記フラックス除去性の評価と同様にしてテスト基板を準備した。このテスト基板を用いて、フラックス除去性の評価と同様にして洗浄を行った。洗浄前のテスト基板は、高温で処理されたことにより表面が酸化し、黒色化している。洗浄後の変色した銅の除去性の評価は、外観を観察し、洗浄前の外観と同様になった部分の面積を洗浄可能な面積から除去率を算出することで行った。除去率は下記式により算出した。
除去率(%)=洗浄後に変色した銅が除去された面積/洗浄前の変色した銅が付着している面積×100
[鉄部材の変色抑制の評価]
鉄部材として保護膜を有する鉄板(SPCC基板、太佑機材製)を準備した。この鉄部材を各洗浄剤組成物100gに25℃にて1分間浸漬した後、引き上げ、1分間保持した後、イオン交換水ですすぐ。その後10分間で鉄部材の変色の有無を観察した。そして、鉄部材の変色抑制効果を下記評価基準により評価した。鉄部材の変色が見られなかった場合は、腐食を抑制できると判断した。
<評価基準>
A:変色なし
B:変色あり
鉄部材として保護膜を有する鉄板(SPCC基板、太佑機材製)を準備した。この鉄部材を各洗浄剤組成物100gに25℃にて1分間浸漬した後、引き上げ、1分間保持した後、イオン交換水ですすぐ。その後10分間で鉄部材の変色の有無を観察した。そして、鉄部材の変色抑制効果を下記評価基準により評価した。鉄部材の変色が見られなかった場合は、腐食を抑制できると判断した。
<評価基準>
A:変色なし
B:変色あり
上記表1に示すとおり、実施例1~15の洗浄剤組成物は、比較例1の洗浄剤組成物に比べて、銅の酸化物及びフラックスの両方の除去性に優れていた。また、実施例1~15の洗浄剤組成物は、参考例1~3の洗浄剤組成物に比べて、鉄部材の変色を抑制しつつ、銅の酸化物及びフラックスの両方の除去性に優れていた。鉄部材の変色は、見栄えが悪化するだけではなく、洗浄剤組成物のスタミナ性を低下させると考えられる。
本開示の洗浄剤組成物を用いることにより、鉄部材の変色を抑制しつつ、変色した銅(銅の酸化物)及びフラックスの両方を効率よく除去できることから、例えば、半導体装置の製造プロセスにおけるフラックスの洗浄工程の短縮化及び製造される半導体装置の性能・信頼性の向上が可能となり、半導体装置の生産性を向上できる。
Claims (12)
- 窒素原子及び硫黄原子を有する還元性化合物(成分A)と、有機溶媒(成分B)と、水(成分C)と、を含み、
成分Aが、アミノ基とメルカプト基を有する化合物、及びチオ尿素化合物から選ばれる1種以上の化合物である、フラックス用洗浄剤組成物。 - 成分Aの分子量が、150以下である、請求項1に記載のフラックス用洗浄剤組成物。
- 成分Aの含有量が、0.3質量%以上30質量%以下である、請求項1又は2に記載のフラックス用洗浄剤組成物。
- 成分Bの含有量が、10質量%以上94質量%以下である、請求項1から3のいずれかに記載のフラックス用洗浄剤組成物。
- 成分Cの含有量が、5質量%以上80質量%以下である、請求項1から4のいずれかに記載のフラックス用洗浄剤組成物。
- 成分Aが、カルボキシル基を有さない化合物である、請求項1から5のいずれかに記載のフラックス用洗浄剤組成物。
- フラックスを有する被洗浄物を、洗浄機を用いて、請求項1から6のいずれかに記載のフラックス用洗浄剤組成物で洗浄する洗浄工程を含む、洗浄方法。
- フラックスを有する被洗浄物は、基板と金属部材との間又は基板上の2つの金属部材の間にフラックスを含むスラリーを塗布した後、200℃以上に加熱する工程を経た基板である、請求項7に記載の洗浄方法。
- 基板又は洗浄機が鉄を含む材質を有する、請求項7又は8に記載の洗浄方法。
- 被洗浄物の基板表面及び/又は金属部材は、銅が加熱により酸化した部分を含む、請求項7から9のいずれかに記載の洗浄方法。
- 前記洗浄工程は、前記被洗浄物を80℃以下の前記フラックス用洗浄剤組成物に浸漬する工程である、請求項7から10のいずれかに記載の洗浄方法。
- 前記スラリーは、金属粒子をさらに含む、請求項8から11のいずれかに記載の洗浄方法。
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