JP2022104019A - 中和処理方法、ニッケル酸化鉱石の湿式製錬方法 - Google Patents

中和処理方法、ニッケル酸化鉱石の湿式製錬方法 Download PDF

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Abstract

【課題】不純物金属イオンを含む硫酸酸性溶液からその金属イオンを中和除去する中和処理において、中和剤の使用量を効果的に低減させ、効率的な処理を行うことができる方法を提供すること。【解決手段】本発明は、ニッケル酸化鉱石に硫酸を添加してニッケルを浸出する浸出処理を経て得られる溶液に硫化剤を添加して硫化処理を施すことによって回収される、不純物金属を含む硫酸酸性溶液(被中和処理液)から、その不純物金属を中和除去する中和処理方法であって、中和処理槽11に収容した被中和処理液に対して中和剤を添加して中和処理を施すことにより、不純物金属を含有する沈殿物とその不純物金属が除去された中和終液とを得る工程を含み、この工程では、中和剤を、中和処理槽11に収容した被中和処理液の液面の少なくとも2箇所以上に添加する。【選択図】図2

Description

本発明は、中和処理方法に関するものであり、より詳しくは、ニッケル酸化鉱石の湿式製錬プロセスにおける排水中和工程での処理に適用される中和処理方法、及びその方法による工程を含むニッケル酸化鉱石の湿式製錬方法に関する。
ニッケル酸化鉱石の湿式製錬法として、硫酸等の酸により高温高圧下で浸出する高圧酸浸出法を用いた方法がある。この方法は、従来の一般的なニッケル酸化鉱の製錬方法である乾式製錬法と異なり、還元及び乾燥工程を含まず、一貫した湿式工程からなるものであるため、エネルギー的及びコスト的に有利である。また、ニッケル品位を50質量%程度にまで上昇させたニッケルとコバルトとを含む硫化物(以下、「ニッケルコバルト混合硫化物」又は「ニッケル硫化物」ともいう)を得ることができるという利点を有している。
例えば、特許文献1には、
(a)ニッケル酸化鉱石のスラリー(鉱石スラリー)に硫酸等の酸を添加し、高温高圧下において浸出処理を施し、浸出液と浸出残渣とを含む浸出スラリーを得る浸出工程
(b)浸出スラリーを多段洗浄しながら浸出残渣を分離し、ニッケル及びコバルトと共に不純物元素を含む浸出液を得る固液分離工程
(c)分離した浸出液に中和剤を添加してpHを調整するとともに、その中和処理により生成する不純物元素を含む中和澱物の沈降速度を促進させるために浸出残渣スラリーの一部と凝結剤を添加し、その後、中和澱物を分離して、ニッケル及びコバルトを含む貴液を得る中和工程
(d)ニッケル及びコバルトを含む貴液に、硫化水素ガス等の硫化剤を添加することでニッケル及びコバルトを含む硫化物を生成させて分離するニッケル回収工程
(e)ニッケルコバルト混合硫化物を回収した後の貧液中に残留する、鉄、マグネシウム、マンガン等の不純物を除去する排水中和工程
を含むニッケル酸化鉱石の湿式製錬方法が記載されている。
さて、上述した工程を有する湿式製錬方法において、ニッケル回収工程を経て回収された貧液の中和を行うために(排水中和工程)、例えば、消石灰スラリー等の強アルカリ性の中和剤が工業的に用いられている。しかしながら、貧液に対する中和剤の分散が不十分となったり、添加した中和剤が中和処理槽内に滞留することなく直ぐに槽外へ排出するなど、中和反応に寄与しない中和剤が多く発生する。そのため、中和剤を中和に必要な計算上の添加量よりも40%~20%程度多く添加する必要があった。
特許文献2には、排水中和工程において、中和剤の使用量を低減させて効率的な中和処理を行うことを目的とする技術が記載されている。具体的には、消石灰スラリーの一部を炭酸カルシウムスラリーに代替し、2種類の中和剤を用いて2段階の中和処理を施すようにするとともに、2段階目の中和処理では中和剤として固形分濃度を特定の範囲に調整した消石灰スラリーを用いることを特徴とする技術が記載されている。このような特許文献2に記載の技術によれば、効果的に中和処理を行うことができるとともに、高価な消石灰スラリーのロスを減らしてその使用量を有効に低減させることができ、効率的な処理を行うことが可能となる。
ところが、中和処理を適切に行いながら、中和剤の使用量をさらに低減させてより一層に効率的に処理を行うようにすることが求められている。また、例えば特許文献2に記載されているような、2段階の中和処理を行わなくとも、あるいは各段階での中和処理において、効果的に中和剤の使用量を低減できるようにすることが求められている。
特開2013-256691号公報 特開2018-79435号公報
本発明は、このような実情に鑑みて提案されたものであり、不純物金属イオンを含む硫酸酸性溶液からその金属イオンを中和除去する中和処理において、中和剤の使用量を効果的に低減させ、効率的な処理を行うことができる方法を提供することを目的とする。
本発明者は、上述した課題を解決するために鋭意検討を重ねた。その結果、中和処理槽に収容した被中和処理液の液面の少なくとも2箇所以上の箇所から中和剤を添加するようにすることで、中和剤を有効に分散させることができ、中和剤の使用量を低減できることを見出し、本発明を完成するに至った。
(1)本発明の第1の発明は、ニッケル酸化鉱石に硫酸を添加してニッケルを浸出する浸出処理を経て得られる溶液に硫化剤を添加して硫化処理を施すことによって回収される、不純物金属を含む硫酸酸性溶液から、該不純物金属を中和除去する中和処理方法であって、中和処理槽に収容した被中和処理液である前記硫酸酸性溶液に対して中和剤を添加して中和処理を施すことにより、前記不純物金属を含有する沈殿物と該不純物金属が除去された中和終液とを得る工程を含み、前記工程では、前記中和剤を、前記中和処理槽に収容した被中和処理液の液面の少なくとも2箇所以上に添加する、中和処理方法である。
(2)本発明の第2の発明は、第1の発明において、前記中和剤は、消石灰スラリーを含む、中和処理方法である。
(3)本発明の第3の発明は、第1の発明において、前記工程は、前記硫酸酸性溶液に対して、第1の中和剤として炭酸カルシウムスラリーを用い、pH5.0~6.0の範囲を終点として中和処理を施す第1の中和処理工程と、前記第1の中和処理工程を経て得られる溶液に対して、第2の中和剤として消石灰スラリーを用いて中和処理を施し、前記不純物金属を含有する沈殿物と該不純物金属が除去された中和終液とを得る第2の中和処理工程と、を有し、前記第1の中和処理工程と前記第2の中和処理工程とのいずれか一方又はその両方での処理において、中和剤を、中和処理槽に収容した被中和処理液の液面の少なくとも2箇所以上に添加する、中和処理方法である。
(4)本発明の第4の発明は、第1乃至第3のいずれかの発明において、被中和処理液である前記硫酸酸性溶液には、前記浸出処理を経て得られる浸出残渣を含む溶液が混合されている、中和処理方法である。
(5)本発明の第5の発明は、第1乃至第4のいずれかの発明において、前記中和処理槽に収容した被中和処理液の液面に対する前記中和剤の添加位置を、隣り合う前記中和剤のそれぞれの添加位置と、前記中和処理槽の中心とを、それぞれ結んでなる角の水平方向の大きさが、360/消石灰スラリーの添加位置の数×0.9以上、360/消石灰スラリーの添加位置の数×1.1以下、となる位置とする、中和処理方法である。
(6)本発明の第6の発明は、第1乃至第5のいずれかの発明において、前記中和処理槽に収容した被中和処理液の液面に対する前記中和剤の添加位置を、前記中和剤の添加位置と、前記中和処理槽の中心との水平方向の距離が、前記中和処理槽の内径の20%以上、50%以下、となる位置とする、中和処理方法である。
(7)本発明の第7の発明は、ニッケル酸化鉱石の湿式製錬方法であって、少なくとも、前記ニッケル酸化鉱石に硫酸を添加しニッケルを浸出する浸出処理を行う浸出工程と、前記浸出処理により得られる浸出スラリーを浸出液と浸出残渣とに固液分離する固液分離工程と、前記浸出液に硫化剤を添加して硫化処理を行う硫化工程と、前記硫化処理にて生成するニッケル硫化物を分離して回収される、不純物金属を含む硫酸酸性溶液から、該不純物金属を中和除去する排水中和工程と、を含み、前記排水中和工程では、中和処理槽に収容した被中和処理液である前記硫酸酸性溶液に対して中和剤を添加して中和処理を施すことにより、前記不純物金属を含有する沈殿物と該不純物金属が除去された中和終液とを得る操作を行い、前記中和剤を添加するに際して、前記中和処理槽に収容した被中和処理液の液面の少なくとも2箇所以上に添加する、湿式製錬方法である。
本発明によれば、不純物金属イオンを含む硫酸酸性溶液からその金属イオンを中和除去する中和処理において、中和剤の使用量を効果的に低減させ、効率的な処理を行うことができる方法を提供することができる。
ニッケル酸化鉱石の高圧酸浸出法による湿式製錬プロセスの流れを示す工程図である。 中和処理方法において用いる中和処理設備の概略構成を示す図である。 図2に構成図を示す中和処理槽を上面から(被中和処理液の液面に正対するように)みたときの図であり、中和剤添加ノズルの設置箇所(中和剤の添加位置)について説明するための図である。 2段階の中和処理の流れを示す工程図である。
以下、本発明の具体的な実施形態(以下、「本実施の形態」ともいう)について詳細に説明する。なお、本発明は以下の実施形態に何ら限定されるものではなく、本発明の要旨を変更しない範囲内において、適宜変更を加えて実施することができる。
≪1.中和処理方法の概要≫
本実施の形態に係る中和処理方法は、ニッケル酸化鉱石の湿式製錬プロセスにおける排水中和工程での処理に適用されるものである。具体的には、ニッケル酸化鉱石に硫酸を添加してニッケルを浸出する浸出処理を経て得られる溶液に硫化剤を添加して硫化処理を施すことによって回収される、不純物金属を含む硫酸酸性溶液から、その不純物金属を中和除去する中和処理方法である。
中和処理に対象(被中和処理液)である硫酸酸性溶液には、ニッケル酸化鉱石の湿式製錬プロセスを経て除去された不純物金属が含まれている。例えば、鉄、マグネシウム、マンガン等の金属が含まれている。中和処理においては、これらの不純物金属のイオンを中和除去して分離し、被中和処理液を排水することが可能な形態とする。
なお、被中和処理液である「硫酸酸性溶液」とは、液相のみからなるものに限られず、固形分を所定濃度で含有し硫酸酸性溶液を液相として含む硫酸酸性スラリーも含む。
具体的に、本実施の形態に係る中和処理方法は、中和処理槽に収容した被中和処理液である硫酸酸性溶液に対して中和剤を添加して中和処理を施すことにより、不純物金属を含有する沈殿物とその不純物金属が除去された中和終液とを得る工程を含む。そして、その工程では、中和剤を、中和処理槽に収容した被中和処理液の液面の少なくとも2箇所以上に添加することを特徴としている。
このような方法によれば、中和剤の使用量を効果的に低減させることができ、効率的な処理を行うことができる。特に、例えばコストが高い強アルカリ性の中和剤である消石灰スラリーを使用するような場合では、その消石灰スラリーの使用量を有効に低減できるため、効果的に不純物金属を中和除去しながら、処理コストを抑えた経済効率性の高い中和処理を実現することができる。
詳しくは後述するが、ニッケル酸化鉱石の湿式製錬プロセスを経て得られる当該被中和処理液である硫酸酸性溶液には、湿式製錬プロセスの浸出工程での処理(浸出処理)により生成する浸出残渣を含む溶液(スラリー)が混合され、併せて排水中和処理が施されることが一般的である。そのため、被中和処理液である硫酸酸性溶液には、固形分が所定の濃度で含まれており、いわゆる一般的な排水処理に供される被処理液よりも粘性を有するといえる。この点、本実施の形態に係る中和処理方法によれば、中和剤を被中和処理液の液面の少なくとも2箇所以上から添加するようにしているため、そのような粘性を有する被中和処理液中でも中和剤を適切に分散させて有効に作用させることができる。これにより、中和剤のロスが減り、その使用量を効果的に低減することができる。
≪2.ニッケル酸化鉱石の湿式製錬プロセス≫
ここで、ニッケル酸化鉱石の湿式製錬プロセスについて簡単に説明する。なお、ここでは、高温高圧下で硫酸を用いて浸出処理を施す高圧酸浸出法(HPAL法)を用いた湿式製錬プロセスを具体例として説明する。
図1は、ニッケル酸化鉱石の高圧酸浸出法による湿式製錬プロセスの流れを示す工程図である。ニッケル酸化鉱石の湿式製錬プロセスは、ニッケル酸化鉱石のスラリーからニッケルを浸出する浸出工程S1と、得られた浸出スラリーから浸出液と浸出残渣とに固液分離する固液分離工程S2と、浸出液を中和してニッケル回収用の母液と中和殿物とに分離する中和工程S3と、母液である硫酸溶液に硫化剤を添加して硫化処理を施しニッケル硫化物と貧液とを得る硫化工程S4と、貧液に対して中和処理を施して不純物金属を除去する排水中和工程S5と、を有する。
[浸出工程]
浸出工程S1では、ニッケル酸化鉱石のスラリー(鉱石スラリー)に硫酸を添加し、高温高圧下において撹拌処理を施し、浸出液と浸出残渣とからなる浸出スラリーを生成する浸出処理を行う。浸出処理では、例えば高温加圧容器(オートクレーブ)が用いられる。
原料のニッケル酸化鉱石としては、主としてリモナイト鉱及びサプロライト鉱等のいわゆるラテライト鉱が挙げられる。ラテライト鉱のニッケル含有量は、通常0.8質量%~2.5質量%であり、水酸化物又はケイ苦土(ケイ酸マグネシウム)鉱物として含有される。また、鉄の含有量は、10質量%~50質量%であり、主として3価の水酸化物(ゲーサイト)の形態であるが、一部2価の鉄がケイ苦土鉱物に含有される。
浸出工程S1では、下記の式[1]~[5]で表される浸出反応と高温熱加水分解反応が生じ、ニッケル、コバルト等の硫酸塩としての浸出と、浸出された硫酸鉄のヘマタイトとしての固定化が行われる。ただし、鉄イオンの固定化は完全には進行しないため、通常、得られる浸出スラリーの液部分には、ニッケル、コバルト等の他に2価と3価の鉄イオンが含まれる。
・浸出反応
MO+HSO ⇒ MSO+HO ・・・[1]
(なお、式中Mは、Ni、Co、Fe、Zn、Cu、Mg、Cr、Mn等を表す。)
2Fe(OH)+3HSO ⇒ Fe(SO+6HO ・・・[2]
FeO+HSO ⇒ FeSO+HO ・・・[3]
・高温熱加水分解反応
2FeSO+HSO+1/2O ⇒ Fe(SO+HO ・・・[4]
Fe(SO+3HO ⇒ Fe+3HSO ・・・[5]
浸出処理に供される鉱石スラリーの濃度は、特に限定されないが、浸出スラリーのスラリー濃度が30質量%~45質量%程度になるように調製することが好ましい。また、浸出処理における硫酸添加量は、鉱石中の鉄が浸出されるような過剰量が用いられる。例えば、鉱石1トン当り200kg~300kg程度とする。なお、鉱石1トンあたりの硫酸添加量が300kgを超えると、硫酸コストが大きくなり好ましくない。
[固液分離工程]
固液分離工程S2では、浸出工程S1にて生成する浸出スラリーを多段洗浄して、ニッケルを含む浸出液と、浸出残渣とに分離する。
固液分離工程S2における多段洗浄方法としては、ニッケルを含まない洗浄液で向流に接触させる連続交流洗浄法を用いることが好ましい。これにより、系内に新たに導入する洗浄液を削減でき、ニッケル及びコバルトの回収率を90%以上とすることができる。
なお、固液分離工程S2にて浸出液と分離され回収された浸出残渣を含むスラリーは、後述する排水中和工程S5に移送され、硫化工程S4での処理を経て回収される貧液と併せて中和処理が施される。
[中和工程]
中和工程S3では、分離された浸出液の酸化を抑制しながら、浸出液のpHが4.0以下、好ましくは2.8~3.0となるように中和剤を添加し、ニッケル回収用の母液と3価の鉄を含む中和殿物のスラリーとを生成させる。このようにして浸出液に対する中和処理を行うことで、浸出処理で用いた過剰の酸を中和するとともに、溶液中に残留する3価の鉄イオンやアルミニウムイオン等を除去する。なお、浸出液のpHが4.0を超えると、ニッケルの水酸化物の発生が多くなる。
中和処理で得られる中和殿物のスラリーは、必要に応じて固液分離工程S2へ送ることができる。これにより、中和殿物スラリーに含まれるニッケルを効果的に回収できる。
[硫化工程]
硫化工程S4では、中和工程S3にて得られるニッケル回収用の母液である硫酸溶液に硫化水素ガス等の硫化剤を添加して硫化反応を生じさせ、ニッケルを含む硫化物(ニッケル硫化物)と、ニッケル濃度を低い水準で安定させた貧液とを生成させる。なお、母液中に亜鉛が含まれる場合には、硫化反応によりニッケル硫化物を生成させるに先立って、亜鉛を硫化物として選択的に分離する処理を行うことができる。
ニッケル回収用の母液は、上述のように、ニッケル酸化鉱石を浸出して得られた浸出液に基づく、ニッケルを含む硫酸溶液である。具体的には、例えばpHが2.7~3.3で、ニッケル濃度が2g/L~5g/L、コバルト濃度が0.1g/L~1.0g/Lの溶液である。また、不純物成分として、例えば、鉄、マグネシウム、マンガン等の金属成分を含有する溶液である。不純物金属は、浸出処理における酸化還元電位(ORP)、オートクレーブの操業条件、及び鉱石品位により大きく変化するが、一般的には、鉄、マグネシウム、マンガン、その他の不純物金属が、数g/L程度の割合で含まれている。
例えば、硫酸溶液に含まれる不純物金属である、鉄、マンガン、アルカリ金属、及びマグネシウム等のアルカリ土類金属は、回収するニッケルに対して比較的多く存在するが、硫化処理により生成する硫化物としての安定性は低い。そのため、これらの不純物金属は、硫化物中に含有されることはなく、硫化物を分離して回収される貧液(硫化終液)中に含まれることになる。なお、貧液は、pHが1.0~3.0程度である。
このように硫化工程S4では、不純物含有量の少ないニッケル硫化物と、ニッケルが分離された貧液とが生成され、それぞれ回収される。回収方法としては、硫化処理により得られた硫化物のスラリーをシックナー等の沈降分離装置を用いて沈降分離させることによって、沈殿物である硫化物がシックナーの底部より分離回収され、水溶液成分がオーバーフローして貧液として回収される。
[排水中和工程]
硫化工程S4を経て得られる貧液は、鉄、マグネシウム、マンガン等の不純物金属のイオンを含有している。そのため、回収した貧液を系外に排出するにあたっては、貧液中の残留金属イオンを除去する中和処理を施すことが必要となる(排水中和工程S5)。また、貧液を、湿式製錬プロセスに繰り返し用いる場合においても、不純物成分を極力低減させた状態とするために中和処理を施すことが好ましい。
また、貧液には、固液分離工程S2で分離された浸出残渣を含むスラリーの一部又は全部が混合され、排水中和工程S5では、貧液に対する場合と同様な手順で併せて中和処理を施すことができる。なお、浸出残渣には遊離硫酸が含まれているため、別々に中和処理を行うのではなく、混合スラリーとしてまとめて処理を施した方が効率的である。
≪3.排水中和処理について≫
以下では、より具体的に排水中和工程における中和処理方法(排水中和処理方法)について説明する。
従来、排水中和工程における貧液に対する中和処理では、中和に必要なpHを達成するために、例えば消石灰スラリー等の高アルカリ性の中和剤を用いていた。しかしながら、このような高アルカリ性の中和剤は、硫化工程S4からの貧液の発生量が多くなってその使用量が多くなると、煩雑な前処理と前処理設備が必要となる。また、他の中和剤に対してコスト面で比較的有利な中和剤であっても、処理すべき貧液量が多くなるに伴ってその使用量が膨大になると、仕上がりコストへの影響度が大きいという問題がある。
また、排水中和工程S5での中和処理の対象液(被中和処理液)は、一般的に、硫化工程S4から回収される貧液に、固液分離工程S2を経て回収される浸出残渣を含むスラリーが混合されたもの(混合スラリー)である。浸出残渣は、所定の粒度を有する固形分であり、混合スラリー中の固形分として所定の濃度で含まれている。そのため、被中和処理液は、粘性を有する。このような被中和処理液に対する中和剤による中和処理では、所定程度の粘性や固形分の存在等に起因して、中和剤の分散を阻害することがある。
そこで、本実施の形態に係る中和処理方法では、中和処理槽に収容した被中和処理液である貧液(硫酸酸性溶液)に中和剤を添加して中和処理を施すに際して、その被中和処理液の液面の少なくとも2箇所以上の箇所から中和剤を添加する。
これにより、消石灰スラリー等の中和剤を被中和処理液中に効果的に分散することができて、反応に寄与せず槽外へ排出される中和剤、つまり、未反応のロスとなる中和剤の発生を抑制することができ、中和剤の使用量を有効に低減することができる。
<3-1.中和処理設備及び中和剤の添加について>
図2は、本実施の形態に係る中和処理方法において用いる中和処理設備の概略構成を示す図である。中和処理設備1においては、中和処理槽11と、中和処理槽11に収容した被中和処理液を撹拌する撹拌装置12と、被中和処理液に中和剤を添加するための中和剤添加ノズル13と、を備える。
(中和処理槽)
中和処理槽11は、中和処理の反応場となる処理槽である。中和処理槽11では、内部に被中和処理液である貧液(硫酸酸性溶液)が収容され、中和剤添加ノズル13から添加される中和剤と共に撹拌装置12により撹拌混合されて、中和処理が施される。
中和処理槽11において、槽の上端部にはオーバーフロー樋が設けられており、樋内にオーバーフローした中和処理後の溶液(中和終液)は、その樋に連接するオーバーフロー管の内部を流通して排出されるようになっている。一方、槽の下部には、圧縮空気を槽内に供給して酸化反応を促すための空気供給口が設けられている。
なお、中和処理槽11の大きさや形状等は、特に限定されず、湿式製錬プロセスで一般に使用される処理槽を用いることができる。
(撹拌装置)
撹拌装置12は、中和処理槽11の中心付近において上方から内部に向かって設置され、槽内に収容した被中和処理液を中和剤と共に混合撹拌して中和処理を促す。撹拌装置12は、撹拌軸12aと、撹拌翼12bと、を有する。
撹拌装置12において、その具体的な撹拌機構、特に撹拌翼12bの種類については特に限定されないが、中和処理槽11の周縁から中心へ向けて上下方向に循環する流れを形成する撹拌翼であることが好ましい。例えば、傾斜パドル翼を備えた撹拌装置や傾斜タービン翼を備えた撹拌装置によれば、槽の周縁から中心へ向けて上下方向に循環する流れを効果的に形成でき、撹拌効率を高めることができる。このような撹拌装置12を備えた中和処理設備1にて中和処理を施すことで、後述する中和剤の添加位置に関する技術概念とともに、中和剤を被中和処理液中により効果的に分散させることができ、例えば添加した中和剤が即座にオーバーフロー樋に排出されてしまうような事態を防ぐことができる。
なお、例えば、中和処理槽の中心から周縁に向けて上下方向に循環流を形成する撹拌翼や、周方向の旋回流のみを形成する撹拌翼を有する撹拌装置を用いた場合、添加した中和剤が即座に槽の周縁に設けられるオーバーフロー樋に排出されてしまう可能性がある。この場合、被中和処理液中に中和剤が十分に滞留されずに、中和剤のロスが増え、効果的に中和処理が行われなくなることがある。したがって、撹拌装置12としては、これらの点を考慮してその具体的な撹拌機構(撹拌翼)を設定することが好ましい。
(中和剤添加ノズル)
中和剤添加ノズル(単に「ノズル」ともいう)13は、中和処理槽11に収容された被中和処理液中に中和剤を添加するためのノズルであり、中和処理槽11の上方から槽内に収容される被中和処理液の液面と正対するように設けられる。中和処理設備1においては、中和剤添加ノズル13が複数設けられており、被中和処理液の液面の少なくとも2箇所以上の箇所から中和剤が添加されるようになっている。
図2に示す構成図では、中和剤添加ノズル13が4つ設けられ、被中和処理液の液面の4箇所から中和剤が添加される例を示している。なお、図2中の4つの中和剤添加ノズル13には、それぞれ、符号「13a」、「13b」、「13c」、「13d」を付す。
ここで、上述したように、中和処理設備1においては中和剤添加ノズル13が複数設けられ、被中和処理液の液面の少なくとも2箇所以上から中和剤が添加されるようになっているが、その中和剤の添加位置としては、隣り合う添加位置同士で互いに近接せず、できるだけ離れた位置であることが好ましい。
図3は、図2に構成図を示す中和処理槽11を上面から(被中和処理液の液面に正対するように)みたときの図であり、中和剤添加ノズル13a~13dの設置箇所、言い換えると中和剤の添加位置を説明するための図である。図3に示すように、4つの中和剤添加ノズル13a~13dは、互いに近接しない位置に配置されている。
具体的に、中和剤添加ノズル13の設置箇所としては、特に限定されないが、隣り合う中和剤添加ノズル13のそれぞれの位置(ノズル13による中和剤の添加位置)と、中和処理槽11の中心と、をそれぞれ結んでなる角の水平方向の大きさが、360/中和剤の添加位置の数×0.9以上、360/中和剤の添加位置の数×1.1以下、となるように配置することが好ましい。
なお、隣り合う中和剤添加ノズル13とは、図3に示す、「ノズル13aとノズル13b」、「ノズル13bとノズル13c」、「ノズル13cとノズル13d」、「ノズル13dとノズル13a」をいう。また、中和処理槽11の中心とは、図3中の符号「P」で示す箇所をいう。また、隣り合うノズル13のそれぞれの位置と槽中心Pとを結んでなる角の水平方向の大きさとは、図3中の角度「A」、「A」、「A」、「A」をいう。
さらに、中和剤添加ノズル13の設置箇所としては、中和剤添加ノズル13の位置と中和処理槽11の中心Pとの水平方向の距離が、中和処理槽11の内径の20%以上、50%以下、となるように配置することが好ましい。
なお、ノズル13の位置と槽中心Pとの水平方向の距離とは、図3中の距離「L」、「L」、「L」、「L」をいう。
上述したような箇所に中和剤添加ノズル13をそれぞれ配置し、その箇所から各ノズル13を介して中和剤を添加することで、被中和処理液の液面に対して中和剤を互いに近接させずに添加でき、その被中和処理液中においてより効果的に分散させることができる。これにより、より効果的に中和剤のロスを減らし、使用量を低減することができる。
なお、中和剤添加ノズル13の大きさや形状等は、特に限定されない。例えば、添加形態が直投形態となる添加ノズルや、添加形態がシャワー状、スプレー状、噴射状となる添加ノズル等、種々のノズルを用いることができる。
また、中和剤としては、特に限定されないが、消石灰スラリー、炭酸カルシウムスラリー等のスラリーを用いることができる。中和剤スラリーは、例えば、消石灰スラリーを用いる場合には、その固形濃度(%Solid)が10%~20%の範囲であるものが好ましい。固形濃度(%Solid)が10%未満であると、添加に必要な中和剤量が増加して反応に寄与せず槽外へ排出してしまうスラリーが生じる可能性がある。一方で、固形濃度(%Solid)が20%を超えると、槽内において中和剤の分散度合いが低下するほか、槽内において局所的に反応が進むことにより、スケールの形成が促進される可能性があり、中和剤の使用量の増加につながる。
<3-2.中和処理(2段階の中和処理)について>
排水中和工程S5における中和処理においては、特に限定されないが、中和剤として使用する消石灰スラリーの一部を、安価な中和剤である炭酸カルシウムスラリーに代替し、その2種類の中和剤を用いて2段階からなる段階的な中和処理を行うようにすることが、より好ましい。詳しくは後述するが、2段階からなる中和処理を行うようにすることで、中和剤の使用量をより一層効果的に低減させることができる。
図4は、2段階の中和処理の流れを示す工程図である。図4に示すように、貧液(硫酸酸性溶液)に対して第1の中和剤として炭酸カルシウムスラリーを用い、所定のpH範囲を終点とした中和処理を行う第1の中和処理工程S51と、第1の中和処理工程S51で得られた溶液に対して中和剤として消石灰スラリーを用いた中和処理を行い、不純物金属を含む沈殿物と中和終液とを生成させる第2の中和処理工程S52と、を有する。
本実施の形態に係る中和処理方法では、このように2段階の中和処理を行う場合において、第1の中和処理工程S51と第2の中和処理工程S52とのいずれか一方、又はその両方での処理において、中和剤を、中和処理槽に収容した被中和処理液の液面の少なくとも2箇所以上に添加するようにする。
なお、第1の中和処理工程S51は「予備中和処理工程」とも称され、その予備中和処理工程に対して第2の中和処理工程S52については単に「中和処理工程」あるいは「本中和処理工程」という。また、第1の中和処理工程S51での処理における被中和処理液は、貧液(硫酸酸性溶液)であり、第2の中和処理工程S52での処理における被中和処理液は、第1の中和処理工程S51での処理後の溶液(予備中和終液)である。
[第1の中和処理工程]
第1の中和処理工程(予備中和処理工程)S51では、中和剤として炭酸カルシウムスラリーを用い、上述した硫化工程S4を経て得られた貧液を被中和処理液として中和処理(予備中和処理)を施す。このように、安価な炭酸カルシウムスラリーを中和剤として用い、先ず第1段階目の中和処理を施すことで、後述する第2段階目の中和処理で使用する、強アルカリ性の高価な中和剤(消石灰スラリ)ーの使用量を減らすことができる。
第1の中和処理工程S51では、特定のpH範囲を中和反応の終点として調整して中和処理を行う。例えば、その終点のpHを5.0~6.0の範囲として中和処理を行うことができる。炭酸カルシウムスラリーを中和剤として用いるとともに、その終点のpHを5.0~6.0の範囲に調整した第1段階目の中和処理を行うことにより、第2の中和処理工程S52にて用いる中和剤である消石灰スラリーの使用量を減らすことができる。
終点のpHが5.0未満であると、予備中和処理が不十分となって第2の中和処理工程S52での中和処理の負荷が増大し、結果として中和剤の使用量が増加することがある。一方で、終点のpHが6.0を超えると、予備中和処理の負荷が増大し、炭酸カルシウムスラリーの使用量が増加することがある。また、終点のpHが6.0を超えるように調整して予備中和処理の負荷を増大させた場合でも、第2の中和処理工程S52での中和処理における中和剤の使用量は殆ど変わらないため、中和処理全体における中和剤の使用量が増加して非効率となる可能性がある。
このように、終点のpHを上述した範囲に適切に調整することで、中和処理全体で用いる中和剤の総使用量を低減させ、処理コストを抑えた効率的な中和処理を行うことができ、処理すべき貧液量の増加に対しても処理コストを過剰に増大させることなく効率的な処理を行うことができる。
なお、溶液のpH測定は、周知の方法を用いて行うことができ、その測定されたpHに基づいて中和処理の終点を判断することができる。例えば、第1の中和処理工程S51で用いられる中和処理槽内にpH測定計を設け、その槽内の溶液のpHを随時測定可能とし、中和剤の添加に伴う中和反応の進行により変化するpHを観測して、中和処理の終点を判断する。
[第2の中和処理工程]
第2の中和処理工程S52では、中和剤として消石灰スラリーを用い、第1の中和処理工程S51を経て得られた中和処理終液(予備中和終液)に対して中和処理を施す。この中和処理により、不純物金属を含む沈殿物と不純物金属が除去された中和終液とを生成させる。なお、消石灰スラリーは、強アルカリ性の中和剤であり、比較的高コストなものである。
上述したように、第1の中和処理工程S51において炭酸カルシウムスラリーを用いて特定のpH範囲を終点とする中和処理を行っていることから、第2の中和処理工程S52において使用する中和剤である消石灰スラリーの使用量を低減させることができる。
第2の中和処理工程S52における中和処理では、その終点のpH範囲としてpH8.5~9.5の範囲に調整して処理を行うことが好ましい。より好ましくは、pH8.9~9.1の範囲に調整して第2段階目の中和処理を行う。これにより、中和剤の使用量をさらに抑えることができ、より効率的な中和処理を行うことができる。
終点のpHが8.5未満であると、予備中和終液中に含まれる鉄、マグネシウム、マンガン、その他の不純物金属の沈殿物が十分に形成されず、不純物金属イオンが中和終液中に残留してしまう可能性がある。一方で、終点のpHが9.5を超えると、それ以上に不純物金属の沈殿形成は進行せず、中和処理の負荷が大きくなって消石灰スラリーの使用量が増加して経済性が悪化する可能性がある。
なお、pH管理については、第1の中和処理工程S51における中和処理にて行う方法と同様にして行うことができる。
[第1及び第2の中和処理工程における中和剤の添加について]
ここで、本実施の形態に係る中和処理方法では、上述したような2段階の中和処理を行う場合において、第1の中和処理工程S51と第2の中和処理工程S52とのいずれか一方、又はその両方での処理において、中和剤を、中和処理槽に収容した被中和処理液の液面の少なくとも2箇所以上に添加するようにする。
中和剤の添加の方法、すなわち液面に対して少なくとも2箇所以上の箇所から添加する方法については、上で詳細に説明した通りであるためここでの説明は省略するが、このようにして中和剤を添加することで、被中和処理液中において効果的に中和剤を分散させることができ、未反応のロスとなる中和剤量を減らし、中和剤使用量を効果的に低減することができる。
それに加え、上述したように2段階の中和処理を行うようにすることで、より一層効果的に、中和剤の使用量を低減することができ、好ましい。
以下、本発明の実施例を示してより具体的に説明するが、本発明は以下の実施例に何ら限定されるものではない。
[実施例1]
ニッケル酸化鉱石の湿式製錬プロセスにおいて、浸出工程、固液分離工程、及び中和工程を経て回収された、ニッケル及びコバルトと、鉄、マグネシウム、マンガン、その他の不純物金属とを含む硫酸溶液からなる母液に対して、硫化水素ガスを吹き込んでニッケルを含む硫化物を形成させる硫化工程を実行した。
その後、硫化工程を経て排出された硫酸酸性溶液である貧液と、固液分離工程で分離した浸出残渣を含むスラリーとを混合した混合スラリーに対して、その混合スラリー中に含まれる不純物金属を中和除去する排水中和処理(排水中和工程)を行った。
排水中和処理では、第1の中和処理(予備中和処理)と第2の中和処理との2段階の処理を行った。具体的には、先ず、被中和処理液である混合スラリーを予備中和処理槽に装入し、混合スラリーに対して中和剤として炭酸カルシウムスラリーを添加して中和処理(第1の中和処理)を行った。予備中和処理では、終点のpHが5.5となるように炭酸カルシウムの添加量を調整した。
次に、予備中和処理後の予備中和処理終液を被中和処理液とし、中和剤として消石灰スラリー(固液濃度20%)を用いた中和処理(第2の中和処理)を行った。中和処理では、終点のpHが9.0となるように中和剤の添加量を調整した。このとき、中和剤を、被中和処理液の液面に対して4箇所から添加した。
より詳しくは、図2の構成図を示すような、内径5800mmの中和処理槽11と、撹拌装置(傾斜パドル翼を備える装置)12と、4本の中和剤添加ノズル13(13a~13d)とを備える中和処理設備1を用い、図3の上面視図に示すように各ノズル13a~13dを配置して、それぞれのノズル13a~13dから中和剤である消石灰スラリーを添加した。なお、図3の上面視図において、隣り合うノズル13の位置と中和処理槽11の中心Pとを結んでなる角の水平方向の大きさは、角度Aが89°、角度Aが88°、角度Aが83°、角度Aが98°であった。また、ノズル13の位置と中和処理槽の中心Pとの水平方向の距離は、距離Lが2734mm、距離Lが1793mm、距離Lが1600mm、距離Lが2473mm(距離L~Lは槽内径の27.6%~47.2%)であった。
上記の条件で6か月間の操業を行い、予備中和処理終液の単位時間あたりの処理液量(m/h)に対する消石灰スラリーの添加量(m/h)の比を月別に集計して求め、求めた結果の6か月間の平均値を算出した。その結果、6か月間の平均値は0.0524(m/h(消石灰)/m/h(処理液量))となった。
[比較例1]
比較例1では、単一の中和剤添加ノズルを備える中和処理設備を用い、そのノズルを中和処理槽の水平方向略中心に配置して消石灰スラリーを添加して第2の中和処理を行ったこと以外は、実施例1と同様にして処理した。
その結果、6か月間の平均値は0.0790(m/h(消石灰)/m/h(処理液量))となった。
実施例1と比較例1の結果の比較からわかるように、中和処理槽に収容した被中和処理液の液面に対して2箇所以上の箇所から中和剤を添加して処理を行うことで、予備中和処理終液の単位処理量(m/h)に対する消石灰スラリーの単位添加量(m/h)を33.7%削減することができ、効率的な中和処理を行うことができた。
このような結果から、鉄、マグネシウム、マンガン等の不純物金属を含む硫酸酸性溶液から、その金属イオンを中和除去する排水中和処理において、例えば高価な中和剤である消石灰スラリーの使用量を効果的に低減させ、効率的な中和処理を行うことができることがわかった。
1 中和処理設備
11 中和処理槽
12 撹拌装置
13,13a,13b,13c,13d 中和剤添加ノズル

Claims (7)

  1. ニッケル酸化鉱石に硫酸を添加してニッケルを浸出する浸出処理を経て得られる溶液に硫化剤を添加して硫化処理を施すことによって回収される、不純物金属を含む硫酸酸性溶液から、該不純物金属を中和除去する中和処理方法であって、
    中和処理槽に収容した被中和処理液である前記硫酸酸性溶液に対して中和剤を添加して中和処理を施すことにより、前記不純物金属を含有する沈殿物と該不純物金属が除去された中和終液とを得る工程を含み、
    前記工程では、前記中和剤を、前記中和処理槽に収容した被中和処理液の液面の少なくとも2箇所以上に添加する、
    中和処理方法。
  2. 前記中和剤は、消石灰スラリーを含む、
    請求項1に記載の中和処理方法。
  3. 前記工程は、
    前記硫酸酸性溶液に対して、第1の中和剤として炭酸カルシウムスラリーを用い、pH5.0~6.0の範囲を終点として中和処理を施す第1の中和処理工程と、
    前記第1の中和処理工程を経て得られる溶液に対して、第2の中和剤として消石灰スラリーを用いて中和処理を施し、前記不純物金属を含有する沈殿物と該不純物金属が除去された中和終液とを得る第2の中和処理工程と、を有し、
    前記第1の中和処理工程と前記第2の中和処理工程とのいずれか一方又はその両方での処理において、中和剤を、中和処理槽に収容した被中和処理液の液面の少なくとも2箇所以上に添加する、
    請求項1に記載の中和処理方法。
  4. 被中和処理液である前記硫酸酸性溶液には、前記浸出処理を経て得られる浸出残渣を含む溶液が混合されている、
    請求項1乃至3のいずれかに記載の中和処理方法。
  5. 前記中和処理槽に収容した被中和処理液の液面に対する前記中和剤の添加位置を、
    隣り合う前記中和剤のそれぞれの添加位置と、前記中和処理槽の中心とを、それぞれ結んでなる角の水平方向の大きさが、360/消石灰スラリーの添加位置の数×0.9以上、360/消石灰スラリーの添加位置の数×1.1以下、となる位置とする、
    請求項1乃至4のいずれかに記載の中和処理方法。
  6. 前記中和処理槽に収容した被中和処理液の液面に対する前記中和剤の添加位置を、
    前記中和剤の添加位置と、前記中和処理槽の中心との水平方向の距離が、前記中和処理槽の内径の20%以上、50%以下、となる位置とする、
    請求項1乃至5のいずれかに記載の中和処理方法。
  7. ニッケル酸化鉱石の湿式製錬方法であって、
    少なくとも、
    前記ニッケル酸化鉱石に硫酸を添加しニッケルを浸出する浸出処理を行う浸出工程と、
    前記浸出処理により得られる浸出スラリーを浸出液と浸出残渣とに固液分離する固液分離工程と、
    前記浸出液に硫化剤を添加して硫化処理を行う硫化工程と、
    前記硫化処理にて生成するニッケル硫化物を分離して回収される、不純物金属を含む硫酸酸性溶液から、該不純物金属を中和除去する排水中和工程と、を含み、
    前記排水中和工程では、
    中和処理槽に収容した被中和処理液である前記硫酸酸性溶液に対して中和剤を添加して中和処理を施すことにより、前記不純物金属を含有する沈殿物と該不純物金属が除去された中和終液とを得る操作を行い、
    前記中和剤を添加するに際して、前記中和処理槽に収容した被中和処理液の液面の少なくとも2箇所以上に添加する、
    湿式製錬方法。
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