JP2022103519A - 管状体及びその製造方法 - Google Patents

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Ryota Sakamine
由実 金光
Yumi Kanemitsu
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Abstract

【課題】強度に優れた管状体の提供。【解決手段】管状体2は、繊維強化樹脂で形成されている。管状体2は、所定の送り角度θ1で送り出されたラッピングテープ30を所定の螺旋角度θsで螺旋状に巻き付けて加熱硬化させることで製造されている。前記送り角度θ1が、0°よりも大きい。前記螺旋角度θsに対する前記送り角度θ1の変化率Xが、-60%以上200%以下である。ただし、前記変化率X(%)は次式により算出される。X=[(θ1/θs)-1]×100前記送り角度θ1が、前記螺旋角度θsよりも大きくされてもよい。このラッピングテープ30の巻き方により、強度に優れた管状体2が提供されうる。【選択図】図5

Description

本開示は、管状体及びその製造方法に関する。
繊維強化樹脂製のゴルフクラブシャフトが広く知られている。特開2010-260344号は、このシャフトの製造においてラッピングテープが用いられることを開示する。ゴルフクラブシャフト以外の管状体も、この製造方法で製造されうる。ゴルフクラブシャフト以外の管状体として、テニスラケットのフレーム、バトミントンラケットのフレーム、釣り竿、トレッキングポール、ウォーキングポール、杖、等が挙げられる。
特開2010-260344号
本発明者が鋭意検討した結果、ラッピングテープの巻き方を変えることで、管状体の強度が高まることが判明した。
本開示の目的の一つは、強度に優れた管状体を提供することにある。
一つの態様では、管状体は、繊維強化樹脂で形成されている。この管状体は、送り角度θ1で送り出されたラッピングテープを螺旋角度θsで螺旋状に巻き付けて加熱硬化させることで製造されている。前記送り角度θ1が、0°よりも大きい。前記螺旋角度θsに対する前記送り角度θ1の変化率Xが、が-60%以上200%以下である。ただし、前記変化率X(%)は次式により算出される。
X=[(θ1/θs)-1]×100
他の態様では、管状体の製造方法は、マンドレルに繊維強化樹脂材料を巻き付けて中間巻回体を得る巻回工程と、前記中間巻回体に送り角度θ1で送り出されたラッピングテープを螺旋角度θsで螺旋状に巻き付けるラッピング工程と、前記ラッピングテープが巻き付けられた前記中間巻回体を加熱する硬化工程と、前記硬化工程の後に前記ラッピングテープを除去する工程と、を含む。前記送り角度θ1が、0°よりも大きい。前記螺旋角度θsに対する前記送り角度θ1の変化率Xが、が-60%以上200%以下である。ただし、前記変化率X(%)は次式により算出される。
X=[(θ1/θs)-1]×100
一つの側面として、強度に優れた管状体が提供されうる。
図1は、第1実施形態に係る管状体及びその展開図を示す。 図2は、第2実施形態に係る管状体及びその展開図を示す。 図3は、本開示の製造方法を示す概念図である。 図4は、従来の製造方法を示す概念図である。 図5は、図3の要部拡大図である。
以下、適宜図面が参照されつつ、実施形態が詳細に説明される。
図1は、第1実施形態の管状体であるゴルフクラブシャフト2と、このシャフト2の展開図とを示している。
シャフト2は、チップ端Tpとバット端Btとを有する。シャフト2の外径は一定である。チップ端Tpでのシャフト2の外径は、バット端Btでのシャフト2の外径と同じである。シャフト2は、中心線z1を有する。シャフト2の内部は空洞である。シャフト2は、管状体である。シャフト2を有するゴルフクラブでは、チップ端Tp側の端部にヘッドが取り付けられ、バット端Btの端部にグリップが取り付けられる。
シャフト2の材料は、シート状のプリプレグである。シート状のプリプレグは、プリプレグシートとも称される。本願において、プリプレグシートは単にシートとも称される。典型的なプリプレグシートでは、繊維が一方向に配向しており、これはUDプリプレグとも称される。UDはユニディレクションの略である。シャフト2は、複数のプリプレグシートを巻回し且つ硬化させてなる。
シャフト2は、シートワインディング製法で作製されている。シャフト2の製法は限定されない。例えば、シャフト2はフィラメントワインディング製法で作製されてもよい。シャフト2は、シートワインディングとフィラメントワインディングとを組み合わせた製法で作製されてもよい。また、プリプレグはUDプリプレグに限定されず、例えばプリプレグに含まれる繊維が編まれていてもよい。
シャフト2は、複数のプリプレグシートから形成されている。本実施形態では、シートs1からs5が用いられている。また、シャフト2の製造には、マンドレル4が用いられる。マンドレル4は金属製である。マンドレル4は、シャフト2の内面を成形する。マンドレル4の外径は一定である。
シャフト2は、バイアス層とストレート層とを含む。シートs1及びシートs2は、バイアス層を構成している。バイアスシートは、中心線z1に対して-θ°で繊維が配向する第1シートs1と、中心線z1に対して+θ°で繊維が配向する第2シートs2との組み合わせにより形成されている。バイアスシートs1,s2が巻回されることで、バイアス層s1,s2が形成される。バイアス層s1,s2は、シャフト全長に亘って配置されている。θは、典型的には、45°±10°に設定される。本実施形態では、θは45°である。
なお図1では、シートs1とシートs2とで繊維の傾斜方向が同じように見える。しかし、シートs2は裏返されて、シートs1に貼り合わせられる。この結果、シートs1とシートs2とで繊維の傾斜方向が互いに逆となる。
シートs3及びシートs5はストレート層を構成している。ストレート層では、中心線z1に対して0°(±10°)で繊維が配向している。ストレートシートs3,s5が巻回されることで、ストレート層s3,s5が形成される。ストレート層s3,s5は、シャフト全長に亘って配置されている。
シャフト2は、更にフープ層を含む。シートs4はフープ層を構成している。フープ層では、中心線z1に対して90°(±10°)で繊維が配向している。フープシートs4が巻回されることで、ストレート層s4が形成される。フープ層s4は、シャフト全長に亘って配置されている。
シャフト2の積層構成は、一例である。本開示において、シャフトの積層構成は限定されない。
図2は、第2実施形態のゴルフクラブシャフト6及びその展開図を示している。
シャフト6は、チップ端Tpとバット端Btとを有する。シャフト6の外径は一定ではない。チップ端Tpでのシャフト2の外径は、バット端Btでのシャフト2の外径よりも小さい。シャフト6は、チップ端Tpに近づくにつれてその外径が小さくなるテーパー部を有する。シャフト6は、中心線z1を有する。シャフト6の内部は空洞である。シャフト6は、管状体である。シャフト6を有するゴルフクラブでは、チップ端Tp側の端部にヘッドが取り付けられ、バット端Btの端部にグリップが取り付けられる。
シャフト6の材料は、シート状のプリプレグである。シャフト6は、複数のプリプレグシートを巻回し且つ硬化させてなる。シャフト6は、複数のプリプレグシートから形成されている。本実施形態では、シートs1からs6が用いられている。また、シャフト6の製造には、マンドレル8が用いられる。マンドレル8は金属製である。マンドレル8は、シャフト6の内面を成形する。マンドレル8はテーパー部を有する。
シャフト6は、バイアス層とストレート層とを含む。シートs1及びシートs2は、バイアス層を構成している。バイアスシートは、中心線z1に対して-θ°で繊維が配向する第1シートs1と、中心線z1に対して+θ°で繊維が配向する第2シートs2との組み合わせにより形成されている。バイアスシートs1,s2が巻回されることで、バイアス層s1,s2が形成される。バイアス層s1,s2は、シャフト全長に亘って配置されている。本実施形態では、θは45°である。
シートs3及びシートs5はストレート層を構成している。ストレート層では、中心線z1に対して0°(±10°)で繊維が配向している。ストレートシートs3,s5が巻回されることで、ストレート層s3,s5が形成される。ストレート層s3,s5は、シャフト全長に亘って配置されている。
シャフト6は、更にフープ層を含む。シートs4はフープ層を構成している。フープ層では、中心線z1に対して90°(±10°)で繊維が配向している。フープシートs4が巻回されることで、ストレート層s4が形成される。フープ層s4は、シャフト全長に亘って配置されている
シャフト6は、更に部分ストレート層を含む。部分ストレート層は、シャフトの軸方向における一部に配置されたストレート層である。ストレートシートs6が巻回されることで、部分ストレート層が形成されている。部分ストレート層s6は、シャフト6のチップ端Tp側の端部を補強している。部分ストレート層s6が配置された部分では、シャフト6の外径は一定である。
シャフト6の積層構成は、一例である。本開示において、シャフトの積層構成は限定されない。
以下では、ゴルフクラブシャフト6の製造工程の一例が説明される。
[ゴルフクラブシャフトの製造工程の一例]
(1)裁断工程
裁断工程では、プリプレグシートが所望の形状に裁断される。この工程により、複数のシートが切り出される。
裁断は、裁断機によりなされてもよい。裁断は、手作業でなされてもよい。手作業の場合、例えば、カッターナイフが用いられる。
(2)貼り合わせ工程
必要に応じて、複数のシート同士が貼り合わせられて、合体シートが作製される。バイアスシートは、貼り合わされて合体シートとされる。
(3)巻回工程
巻回工程では、マンドレルが用意される。このマンドレルに、離型剤が塗布され、更に、粘着性を有する樹脂が塗布される。この樹脂は、タッキングレジンとも称される。このマンドレルに、裁断されたシートが巻回される。このタッキングレジンにより、マンドレルへのシート端部の端付けが容易とされている。
各シートは、所定の端付け位置で、巻回対象物への端付けがなされる。次いで、この巻回対象物が転がされる。この巻回は、手作業によりなされてもよいし、機械によりなされてもよい。この機械はローリングマシンと称される。なお、巻回対象物とは、マンドレル又はマンドレルに1以上のシートが巻回されたものである。全てのシートが巻回されて、中間巻回体が得られる。
(4)ラッピング工程
ラッピング工程では、上記中間巻回体の外周面にラッピングテープが巻き付けられる。ラッピングテープは、テープ状のラッピングフィルムである。このラッピングテープは、テンション(張力)を付与されつつ巻き付けられる。
(5)硬化工程
硬化工程では、ラッピングがなされた後の中間巻回体が加熱される。この加熱により、マトリクス樹脂が硬化されつつ、シャフトが管状に成形される。この硬化の過程で、マトリクス樹脂が一時的に流動化する。このマトリクス樹脂の流動化により、シート間及びシート内のボイドが排出されうる。巻き付けられたラッピングテープの締め付け圧により、ボイドの排出が促進されている。
(6)マンドレルの引き抜き工程及びラッピングテープの除去工程
硬化工程の後、マンドレルの引き抜き工程とラッピングテープの除去工程とがなされる。この結果、硬化管状体が得られる。ラッピングテープの除去工程の能率を向上させる観点から、マンドレルの引き抜き工程の後にラッピングテープの除去工程がなされるのが好ましい。
(7)両端カット工程
この工程では、硬化積層体の両端部がカットされる。このカットにより、チップ端Tpの端面及びバット端Btの端面が、平坦とされる。
(8)研磨工程
この工程では、硬化積層体の表面が研磨される。硬化積層体の表面には、ラッピングテープの跡としての凹凸が形成されうる。研磨により、この凹凸が除去され、シャフトの表面が滑らかとされうる。
(9)塗装工程
研磨工程後の硬化積層体が、塗装される。
ゴルフクラブシャフト以外の管状体も、上記製造工程で製造されうる。
この製造方法では、繊維強化樹脂材料として、プリプレグが用いられている。この製造方法では、シート状のプリプレグ(プリプレグシート)がマンドレルに巻回される。なお、繊維強化樹脂材料として、プリプレグシートの他、トウプリプレグ、スリットプリプレグ等が挙げられる。この繊維強化樹脂材料は、液状の樹脂に含浸させた繊維束であってもよい。
プリプレグシートは、繊維とマトリクス樹脂とを含む。本実施形態では、この繊維が炭素繊維である。本実施形態では、この炭素繊維は、一方向に配向している。この繊維は、炭素繊維以外でもよい。高強度で且つ軽量なシャフトを得る観点から、炭素繊維が好ましい。
図3は、本開示におけるラッピング工程の様子を示す概略図である。ラッピング工程では、ラッピング機10が用いられる。ゴルフクラブシャフト等の管状体のラッピング工程では、市販のラッピング機である、横手鉄工所製のラッピング機が用いられている。図3のラッピング機10は、この横手鉄工所製の市販品を改造したものである。
ラッピング機10は、テープ送り出し部12と、レール14と、回転保持部16とを有する。回転保持部16に、マンドレル4に巻かれた前記中間巻回体18がセットされる。回転保持部16にセットされた状態において、中間巻回体18の中心線は、レール14に対して平行である。図3では中間巻回体18の一端側のみが示されているが、回転保持部16は、中間巻回体18の両端を保持している。中間巻回体18は、レール14と平行な状態で保持されている。テープ送り出し部12は、レール14に沿って移動する。回転保持部16は、中間巻回体18を回転させる。この回転により、ラッピングテープ30が巻き取られる。ラッピングテープ30は、螺旋角度θsで巻かれる。螺旋角度θsは、中間巻回体18の周方向D2に対する、巻かれたテープ30の角度である。周方向D2は、中間巻回体18の中心線に対して直角である。この回転の回転軸は、中間巻回体18の中心線である。テープ送り出し部12の移動速度と、中間巻回体18の回転数とは、制御されている。ラッピングテープ30は、一定のピッチPtで巻き付けられうる。
なお、螺旋角度θsは、実測することができ、ピッチPtと中間巻回体18の外径とから計算で求めることもできる。
図4は、従来のラッピング工程の様子を示す概略図である。ラッピング工程では、ラッピング機20が用いられる。このラッピング機20は、前述の横手鉄工所製のラッピング機である。
ラッピング機20は、テープ送り出し部22と、レール24と、回転保持部26とを有する。回転保持部26に、マンドレル4に巻かれた前記中間巻回体18がセットされる。回転保持部26にセットされた状態において、中間巻回体18の中心線は、レール24に対して平行である。中間巻回体18は、レール24と平行な状態で保持されている。テープ送り出し部22は、レール24に沿って移動する。回転保持部26は、中間巻回体18を回転させる。この回転により、ラッピングテープ30が巻き取られる。テープ送り出し部22の移動速度と、中間巻回体18の回転数とは、制御されている。
ラッピング機10及びラッピング機20では、ラッピングテープ30が所定の向きで引き出される。巻回中におけるラッピングテープ30のテンションは、制御される。
本開示のラッピング機10(図3)と、市販のラッピング機20(図4)との相違は、テープ送り出し部の向きが変えられるか否かにある。換言すれば、この相違は、中間巻回体18に対するラッピングテープ30の送り角度θ1を変えられるか否かにある。ラッピング機10は、市販のラッピング機20を改造したものである。ラッピング機10では、テープ送り出し部12が、レール14に対して回転でき且つ任意の回転角度で固定できるように構成されている。ラッピング機10では、中間巻回体18に対するラッピングテープ30の送り角度θ1を調整することができる。更にラッピング機10は、ラッピング中に送り角度θ1を変えることもできる。一方、ラッピング機20(横手鉄工所製のラッピング機)では、送り角度θ1は0°で固定されており、調整できない。送り角度θ1は、テープ送り出し部から送り出されたラッピングテープ30の方向D1と、中間巻回体18の周方向D2との成す角度である。方向D1は、送り方向とも称される。送り方向D1は、テープ送り出し部12から送り出されたラッピングテープ30の中心線の方向である。幅が一定のラッピングテープ30においては、この中心線の方向は、テープ30のエッジ(両側のエッジ)の方向でもある。
上述の通り、従来は、送り角度θ1は0°であった。このため、図4で示される通り、螺旋状に巻き付けられたラッピングテープ30の螺旋角度θsは、送り角度θ1と相違していた。従って図4に示される通り、巻回中のラッピングテープ30において、巻き付けられたテープ30と巻き付けられる前のテープ30との間には角度がある。この点に関して、前述した特開2010-260344号公報の図2では、巻き付けられたテープと巻き付けられる前のテープとの間に角度がないように見える。換言すれば、この図2では、送り角度θ1が螺旋角度θsに等しいように見える。しかしこれは、従来技術の実際とは相違する。従来技術において、角度θsと角度θ1との差が小さく、例えば2~3°程度である。このため、肉眼では、角度θsと角度θ1との差がないように見える。この結果、従来技術の特許公報における図面では、当該角度差がないように描かれている。
送り角度θ1が0°であっても、螺旋角度θs自体が通常2~3°程度と小さいことから、螺旋角度θsと送り角度θ1との差が管状体の品質に影響するとは考えられなかった。しかし、本発明者は、この小さな角度差が、管状体の強度に影響することを見出した。
図5は、図3の要部を示す拡大図である。ラッピングテープ30は、所定のピッチPtで巻き付けられている。ピッチPtは中間巻回体18の軸方向に沿って測定される。ラッピングテープ30は、その一部が重ねられた状態で、隙間無く螺旋状に巻き付けられている。図5において2点鎖線で示されるのは、巻回開始線である。巻回開始線は、巻回工程においてラッピングテープ30が中間巻回体18に接し始める位置である。
図5において、実線は、送り角度θ1が螺旋角度θsに一致している状態を示している。この場合、ラッピングテープ30に作用するテンションは、ラッピングテープ30の幅方向において均等化される。幅方向とは、巻回開始線R1に沿った方向である。
図5において、一点鎖線は、送り角度θ1が螺旋角度θsよりも小さい状態を示している。この場合、ラッピングテープ30に作用するテンションは、ラッピングテープ30の幅方向において均等ではない。この場合、巻回進行方向D3の前方側S1に作用するテンションが、巻回進行方向D3の後方側S2に作用するテンションよりも大きい。
図5において、破線は、送り角度θ1が螺旋角度θsよりも大きい状態を示している。この場合、ラッピングテープ30に作用するテンションは、ラッピングテープ30の幅方向において均等ではない。この場合、巻回進行方向D3の前方側S1に作用するテンションが、巻回進行方向D3の後方側S2に作用するテンションよりも小さい。
ラッピングテープ30に作用するテンションは、中間巻回体18を締め付ける。上述の通り、テープ30の締め付け圧によって、中間巻回体18のボイドが抜ける。ボイドが少なくなることで、強度が向上する。
テープ30の幅方向においてテンションが不均等であると、締め付け圧が不均等となり、締め付け圧が弱い部分が生ずる。締め付け圧が弱い部分では、ボイドの残存率が高くなりうる。ボイドが多い部分は、シャフトの強度を低下させる。テンションが均等化されることで、ボイドの残存率が高い部分が減少する。この結果、シャフトの強度が高まる。
上述の作用効果は、中間巻回体18がテーパー部を有するか否かに関わらず生ずる。テーパー部がある場合、当該テーパー部のテーパー角に応じて、送り角度θ1が更に修正されてもよい。
図5の一点鎖線の状態では、送り角度θ1は、0°より大きい。よって、ラッピングテープ30の幅方向におけるテンションの不均等は、送り角度θ1が0°である場合に比べると、緩和されている。送り角度θ1が0°よりも僅かに大きくなるだけで、強度が改善できることが判明した。また、送り角度θ1が螺旋角度θsよりも大きい場合、その差(θ1-θs)が比較的大きくなっても、強度を向上する効果が得られることが判明した。これらの効果は、後述の実施例で示されている。
本願では、螺旋角度θsに対する送り角度θ1の変化率が、X(%)とされる。この変化率Xは、次式により算出される。
X=[(θ1/θs)-1]×100
変化率Xが所定の範囲にあるときに、送り角度θ1が0°の場合に比較して、管状体の強度が充分に高まることが判明した。管状体の強度の観点から、変化率Xは、-60%以上が好ましく、-40%以上がより好ましく、-20%以上がより好ましい。管状体の強度の観点から、変化率Xは、200%以下が好ましく、180%以下がより好ましく、160%以下がより好ましい
変化率Xの好ましい範囲が幅を有していることで、量産時における送り角度θ1及び螺旋角度θsの誤差が吸収されうる。このため、不良率を低減することができる。
変化率Xの好ましい範囲が幅を有していることで、中間巻回体18の形状に対する適合性が高まる。中間巻回体18がテーパーを有する場合、中間巻回体18の軸方向位置によって中間巻回体18の外径が変化するので、送り角度θ1が徐々に変化する。変化率Xが所定の幅を有することで、この送り角度θ1の変化に対応することができる。すなわち、変化率Xが好ましい範囲に入るようにラッピング機10の設定を行うことで、軸方向位置に合わせて送り角度θ1を変化させなくても、強度を高めることができる。中間巻回体18のテーパー角がその軸方向位置によって変化している場合や、中間巻回体18がテーパーのある部分と無い部分とを有する場合にも、適応することができる。
送り角度θ1が0°よりも大きい場合、送り角度θ1が0°の場合と比べて、管状体の強度が向上しうることが明らかとなった。また、送り角度θ1が螺旋角度θsよりも大きい場合、送り角度θ1が螺旋角度θsよりも小さい場合に比較して、管状体の強度が向上しうることが明らかとなった。差(θ1-θs)の絶対値が同じとすると、差(θ1-θs)がプラスである場合のほうが、差(θ1-θs)がマイナスである場合と比較して、管状体の強度が向上しうる。差(θ1-θs)の絶対値が大きい場合、この傾向が高まる。差(θ1-θs)がプラスである場合、差(θ1-θs)の絶対値が大きくなっても、管状体の強度が低下しにくい。これらの効果は、後述の実施例で示されている。
このように、送り角度θ1が螺旋角度θsよりも大きい場合に、差(θ1-θs)が変化しても強度が落ちにくい。このことにより、量産時における送り角度θ1及び螺旋角度θsの誤差が吸収されうる。すなわち、送り角度θ1の中央値を螺旋角度θsよりも大きな適切な値に設定することで、送り角度θ1及び螺旋角度θsが変動しても、差(θ1-θs)を適切な範囲に収めることができる。よって、不良率を低減することができる。
更に、θ1>θsの場合における上記汎用性は、中間巻回体18の形状に対する適合性を高める。中間巻回体18がテーパーを有する場合、上述の通り、中間巻回体18の軸方向位置によって送り角度θ1が変化する。この場合、送り角度θ1の中央値を螺旋角度θsよりも大きな適切な値に設定することで、送り角度θ1が変動しても、差(θ1-θs)を適切な範囲に収めることができる。中間巻回体18のテーパー角がその軸方向位置によって変化している場合や、中間巻回体18がテーパーのある部分と無い部分とを有する場合にも、差(θ1-θs)を適切な範囲に収めることができる。
管状体の強度の観点から、送り角度θ1は、1°以上が好ましく、1.5°以上がより好ましく、2°以上がより好ましい。管状体の強度の観点から、送り角度θ1は、20°以下が好ましく、17°以下がより好ましく、15°以下がより好ましい。上述の通り、テーパーのある管状体では、ラッピング機10の設定が一定でも、送り角度θ1が変化しうる。送り角度θ1は、管状体の軸方向における中心位置において測定された値とされうる。
管状体の強度の観点から、ピッチPtは、1mm以上が好ましく、1.5mm以上がより好ましく、2mm以上がより好ましい。管状体の強度の観点から、ピッチPtは、10mm以下が好ましく、8mm以下がより好ましく、6mm以下がより好ましく、4mm以下がより好ましい。
管状体の強度の観点から、螺旋角度θsは、1°以上が好ましく、1.5°以上がより好ましく、2°以上がより好ましい。管状体の強度の観点から、螺旋角度θsは、12°以下が好ましく、10°以下がより好ましく、8°以下がより好ましく、5°以下がより好ましい。
[サンプル6]
ラッピング工程を含む上記製造工程により、図1に示される積層構成を有する管状体を得た。ただし、強度を正確に評価するため、研磨工程及び塗装工程は実施しなかった。管状体を構成するシートは以下の表1の通りとされた。
Figure 2022103519000002
ラッピング工程では、送り角度θ1を調整可能な、上述のラッピング機10(図3)を用いた。ラッピングテープとして、藤森工業社製の商品名「W16-15」が用いられた。このW16-15は、PET層がPP層で挟み込まれたハイブリッドテープである。テンションは4000Nとされ、ピッチは2.0mmとされ、送り角度θ1は2.0°とされた。サンプル6の仕様及び評価結果が、下記の表2に示されている。
[他のサンプル]
表2から表7に示されている仕様の他はサンプル6と同様にして、他のサンプルを得た。表2、表3及び表7で示されているサンプルでは、ピッチが2.0mmとされた。表4及び表5で示されるサンプルでは、ピッチが4.0mmとされた。表6で示されるサンプルでは、ピッチが10.0mmとされた。これらのサンプルの仕様及び評価結果が、下記の表2から表7に示されている。表7のサンプルでは、ラッピング工程において、送り角度θ1を変更しながらラッピングがなされた。
Figure 2022103519000003
Figure 2022103519000004
Figure 2022103519000005
Figure 2022103519000006
Figure 2022103519000007
Figure 2022103519000008
[強度の評価]
SG式3点曲げ強度試験に準拠して、3点曲げ強度が測定された。これは、日本の製品安全協会が定める、ゴルフクラブシャフトの試験である。得られた管状体の軸方向における中心点で、強度が測定された。前記SG式3点曲げ強度試験におけるA点、B点及びC点での測定方法(スパン300mm)が採用された。表2、表3及び表7では、サンプル2の強度を100とした指数が示されている。表4及び表5では、サンプル16の強度を100とした指数が示されている。表6では、サンプル30の強度を100とした指数が示されている。
これらの評価結果が示すように、変化率Xが所定の範囲にあるとき、強度が高い。また、送り角度θ1が0°よりも大きいとき、強度は高い。送り角度θ1が螺旋角度θsと一致していなくても、差(θ1-θs)が所定の範囲であれば、強度は高い。
差(θ1-θs)の絶対値が大きくなると、強度は低下しうる。ただし、差(θ1-θs)がプラスの場合、差(θ1-θs)の絶対値が比較的大きくなっても、強度が高くなっている。差(θ1-θs)の絶対値が同一であるとき、差(θ1-θs)がプラスである場合、差(θ1-θs)がマイナスである場合よりも、強度が高い。この点は、例えば、サンプル2とサンプル9との比較から理解できる。一方、送り角度θ1がマイナスである場合、強度は低下している。
上述の通り、強度の差は、ラッピングテープの幅方向におけるテンションの不均等により生ずると考えられる。差(θ1-θs)の絶対値が同じであっても、送り角度θ1が螺旋角度θsよりも大きい場合には、このテンションの不均衡が比較的少ないと考えられる。また、送り角度θ1がマイナスである場合、即ち、送り角度θ1の傾斜方向が螺旋角度θsの傾斜方向と逆である場合、差(θ1-θs)の絶対値が比較的小さくても、上記テンションの不均衡が大きくなると考えられる。
差(θ1-θs)がプラスの場合、送り角度θ1の比較的広い範囲で、高い強度が得られている。この観点から、送り角度θ1を螺旋角度θsに一致させるよりも、差(θ1-θs)をプラスとしたほうが有利な場合がある。量産では、送り角度θ1又は螺旋角度θsに公差が生じうる。送り角度θ1を螺旋角度θsよりも大きくすることで、この公差が生じても、個体毎の強度のバラツキを低くすることができる。よって、安定した品質の管状体を量産することができる。
以下の付記は、本開示に含まれる発明の一部である。
[付記1]
繊維強化樹脂で形成された管状体であって、
送り角度θ1で送り出されたラッピングテープを螺旋角度θsで螺旋状に巻き付けて加熱硬化させることで製造されており、
前記送り角度θ1が、0°よりも大きく、
前記螺旋角度θsに対する前記送り角度θ1の変化率Xが、が-60%以上200%以下である管状体。
ただし、前記変化率X(%)は次式により算出される。
X=[(θ1/θs)-1]×100
[付記2]
前記送り角度θ1が、前記螺旋角度θsよりも大きい付記1に記載の管状体。
[付記3]
繊維強化樹脂で形成された管状体であって、
所定の送り角度θ1で送り出されたラッピングテープを所定の螺旋角度θsで螺旋状に巻き付けて加熱硬化させることで製造されており、
前記送り角度θ1が、前記螺旋角度θsよりも大きい管状体。
[付記4]
ゴルフクラブシャフトである付記1から3のいずれか1項に記載の管状体。
[付記5]
マンドレルに繊維強化樹脂材料を巻き付けて中間巻回体を得る巻回工程と、
前記中間巻回体に、送り角度θ1で送り出されたラッピングテープを螺旋角度θsで螺旋状に巻き付けるラッピング工程と、
前記ラッピングテープが巻き付けられた前記中間巻回体を加熱する硬化工程と、
前記硬化工程の後に前記ラッピングテープを除去する工程と、
を含み、
前記送り角度θ1が、0°よりも大きく、
前記螺旋角度θsに対する前記送り角度θ1の変化率Xが、が-60%以上200%以下である管状体の製造方法。
ただし、前記変化率X(%)は次式により算出される。
X=[(θ1/θs)-1]×100
2・・・ゴルフクラブシャフト(管状体)
4・・・マンドレル
6・・・ゴルフクラブシャフト(管状体)
8・・・マンドレル
10・・・ラッピング機
12・・・テープ送り出し部
14・・・レール
16・・・回転保持部
18・・・中間巻回体
20・・・従来のラッピング機
30・・・ラッピングテープ
θ1・・・送り角度
θs・・・螺旋角度
Pt・・・ピッチ

Claims (5)

  1. 繊維強化樹脂で形成された管状体であって、
    送り角度θ1で送り出されたラッピングテープを螺旋角度θsで螺旋状に巻き付けて加熱硬化させることで製造されており、
    前記送り角度θ1が、0°よりも大きく、
    前記螺旋角度θsに対する前記送り角度θ1の変化率Xが、-60%以上200%以下である管状体。
    ただし、前記変化率X(%)は次式により算出される。
    X=[(θ1/θs)-1]×100
  2. 前記送り角度θ1が、前記螺旋角度θsよりも大きい請求項1に記載の管状体。
  3. 繊維強化樹脂で形成された管状体であって、
    所定の送り角度θ1で送り出されたラッピングテープを所定の螺旋角度θsで螺旋状に巻き付けて加熱硬化させることで製造されており、
    前記送り角度θ1が、前記螺旋角度θsよりも大きい管状体。
  4. ゴルフクラブシャフトである請求項1から3のいずれか1項に記載の管状体。
  5. マンドレルに繊維強化樹脂材料を巻き付けて中間巻回体を得る巻回工程と、
    前記中間巻回体に、送り角度θ1で送り出されたラッピングテープを螺旋角度θsで螺旋状に巻き付けるラッピング工程と、
    前記ラッピングテープが巻き付けられた前記中間巻回体を加熱する硬化工程と、
    前記硬化工程の後に前記ラッピングテープを除去する工程と、
    を含み、
    前記送り角度θ1が、0°よりも大きく、
    前記螺旋角度θsに対する前記送り角度θ1の変化率Xが、-60%以上200%以下である管状体の製造方法。
    ただし、前記変化率X(%)は次式により算出される。
    X=[(θ1/θs)-1]×100
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