JP2022103500A - タイヤ - Google Patents
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Abstract
【課題】乗り心地性及びノイズ性能を向上させたタイヤを提供する。【解決手段】トレッド部2を有するタイヤである。トレッド部2は、周方向溝3と、複数の陸部4とを含む。複数の陸部4は、第1ショルダー陸部11と、第1ミドル陸部12とを含む。第1ショルダー陸部11には、複数の第1ショルダーサイプ21が設けられている。第1ミドル陸部12には、複数の第1ミドルサイプ30が設けられている。第1ショルダーサイプ21及び第1ミドルサイプ30は、それぞれ、本体部と、拡幅部とを含む。第1ショルダーサイプ21の拡幅部の深さは、第1ミドルサイプ30の拡幅部の深さよりも小さい。【選択図】図1
Description
本発明は、タイヤに関する。
下記特許文献1の空気入りタイヤは、トレッド部に外側ミドル陸部及び内側ミドル陸部が区分されている。また、前記外側ミドル陸部及び前記内側ミドル陸部は、それぞれ、溝幅が2mm以上の溝が設けられておらず、かつ、幅が2mm未満のサイピングのみが設けられたリブからなる。
前記外側ミドル陸部のサイピングは、一端が外側ショルダー主溝に連通しかつ他端が外側ミドル陸部で終端する外側サイピング、及び、一端がセンター主溝に連通しかつ他端が外側ミドル陸部で終端する内側サイピングのみからなる。また、前記内側サイピングの本数は、前記外側サイピングの本数よりも小さい。
前記空気入りタイヤは、上述の構成により、操縦安定性と乗り心地性とをバランス良く向上させている。
近年では、車両のエンジンのノイズ性能の向上や、車体の性能向上により、車内の静粛性が著しく向上している。このため、タイヤについても、乗り心地性の向上に加え、ノイズ性能の向上が求められている。
本発明は、以上のような問題点に鑑み案出なされたもので、乗り心地性及びノイズ性能を向上させたタイヤを提供することを主たる課題としている。
本発明は、トレッド部を有するタイヤであって、前記トレッド部は、第1トレッド端と第2トレッド端との間でタイヤ周方向に連続して延びる複数の周方向溝と、前記周方向溝に区分された複数の陸部とを含み、前記複数の陸部は、前記第1トレッド端を含む第1ショルダー陸部と、前記第1ショルダー陸部に隣接する第1ミドル陸部とを含み、前記第1ショルダー陸部には、タイヤ軸方向に延びる複数の第1ショルダーサイプが設けられ、前記第1ミドル陸部には、タイヤ軸方向に延びる複数の第1ミドルサイプが設けられ、前記第1ショルダーサイプ及び前記第1ミドルサイプは、それぞれ、タイヤ半径方向に延びる本体部と、前記陸部の踏面で開口しかつ前記本体部よりも大きい幅を有する拡幅部とを含み、前記第1ショルダーサイプの前記拡幅部の深さは、前記第1ミドルサイプの前記拡幅部の深さよりも小さい。
本発明のタイヤにおいて、前記第1ミドルサイプの前記拡幅部の深さは、1.0~3.0mmであるのが望ましい。
本発明のタイヤにおいて、前記第1ショルダーサイプの前記拡幅部の深さは、前記前記第1ミドルサイプの前記拡幅部の深さの50%~90%であるのが望ましい。
本発明のタイヤにおいて、前記拡幅部は、前記本体部から前記踏面に延びる傾斜面を含むのが望ましい。
本発明のタイヤにおいて、前記第1ショルダーサイプは、底部が局所的に隆起した浅底部を含むのが望ましい。
本発明のタイヤにおいて、前記第1ショルダーサイプの前記浅底部の深さは、前記第1ショルダーサイプの最大の深さの40%~60%であるのが望ましい。
本発明のタイヤにおいて、前記第1ミドルサイプは、その長さ方向に一定の深さを有するのが望ましい。
本発明のタイヤにおいて、前記第1ミドル陸部は、前記第1トレッド端側の第1縦エッジと、前記第2トレッド端側の第2縦エッジと、前記第1縦エッジと前記第2縦エッジとの間の踏面とを含み、前記第1ミドルサイプは、前記第1縦エッジから延びかつ前記第1ミドル陸部内に途切れ端を有する外側第1ミドルサイプと、前記第2縦エッジから延びかつ前記第1ミドル陸部内に途切れ端を有する内側第1ミドルサイプとを含むのが望ましい。
本発明のタイヤにおいて、前記外側第1ミドルサイプの最大の深さは、前記内側第1ミドルサイプの最大の深さよりも小さいのが望ましい。
本発明のタイヤにおいて、前記第1ショルダー陸部には、サイプのみが設けられているのが望ましい。
本発明のタイヤの前記トレッド部は、車両への装着の向きが指定され、前記第1トレッド端は、車両装着時に車両外側に位置するのが望ましい。
本発明のタイヤは、上記の構成を採用したことによって、乗り心地性及びノイズ性能を向上させることができる。
以下、本発明の実施の一形態が図面に基づき説明される。図1は、本発明の一実施形態を示すタイヤ1のトレッド部2の展開図である。本実施形態のタイヤ1は、例えば、乗用車用の空気入りタイヤとして好適に使用される。但し、本発明は、このような態様に限定されるものではなく、重荷重用の空気入りタイヤや、タイヤの内部に加圧された空気が充填されない非空気式タイヤに適用されても良い。
図1に示されるように、本実施形態のタイヤ1は、例えば、車両への装着の向きが指定されたトレッド部2を有する。トレッド部2は、タイヤ1の車両装着時に車両外側に位置することが意図された第1トレッド端T1と、車両装着時に車両内側に位置することが意図された第2トレッド端T2とを有する。車両への装着の向きは、例えば、サイドウォール部(図示省略)に、文字又は記号で表示される。但し、本発明のタイヤ1は、このような態様に限定されるものではなく、車両への装着の向きが指定されないものでも構わない。
第1トレッド端T1及び第2トレッド端T2は、それぞれ、正規状態のタイヤ1に正規荷重の50%が負荷されキャンバー角0°で平面に接地したときの最もタイヤ軸方向外側の接地位置に相当する。
「正規状態」とは、各種の規格が定められた空気入りタイヤの場合、タイヤが正規リムにリム組みされかつ正規内圧が充填され、しかも、無負荷の状態である。各種の規格が定められていないタイヤや、非空気式タイヤの場合、前記正規状態は、タイヤの使用目的に応じた標準的な使用状態であって車両に未装着かつ無負荷の状態を意味する。本明細書において、特に断りがない場合、タイヤ各部の寸法等は、前記正規状態で測定された値である。
「正規リム」は、タイヤが基づいている規格を含む規格体系において、当該規格がタイヤ毎に定めているリムであり、例えばJATMAであれば "標準リム" 、TRAであれば "Design Rim" 、ETRTOであれば"Measuring Rim" である。
「正規内圧」は、タイヤが基づいている規格を含む規格体系において、各規格がタイヤ毎に定めている空気圧であり、JATMAであれば "最高空気圧" 、TRAであれば表 "TIRE LOAD LIMITS AT VARIOUS COLD INFLATION PRESSURES" に記載の最大値、ETRTOであれば "INFLATION PRESSURE" である。
「正規荷重」は、各種の規格が定められた空気入りタイヤの場合、タイヤが基づいている規格を含む規格体系において、各規格がタイヤ毎に定めている荷重であり、JATMAであれば "最大負荷能力" 、TRAであれば表 "TIRE LOAD LIMITS AT VARIOUS COLD INFLATION PRESSURES" に記載の最大値、ETRTOであれば "LOAD CAPACITY" である。また、各種の規格が定められていないタイヤや、非空気式タイヤの場合、「正規荷重」は、タイヤの標準装着状態において、1つのタイヤに作用する荷重を指す。前記「標準装着状態」とは、タイヤの使用目的に応じた標準的な車両にタイヤが装着され、かつ、前記車両が走行可能な状態で平坦な路面上に静止している状態を指す。
トレッド部2は、第1トレッド端T1と第2トレッド端T2との間でタイヤ周方向に連続して延びる複数の周方向溝3と、周方向溝に区分された複数の陸部4とを有する。本実施形態のタイヤ1は、トレッド部2が4本の周方向溝3に区分された5つの陸部4を含む所謂5リブのタイヤとして構成されている。
周方向溝3は、例えば、第1ショルダー周方向溝5、第2ショルダー周方向溝8、第1クラウン周方向溝6及び第2クラウン周方向溝7を含む。第1ショルダー周方向溝5は、第1トレッド端T1とタイヤ赤道Cとの間に設けられている。第2ショルダー周方向溝8は、第2トレッド端T2とタイヤ赤道Cとの間に設けられている。第1クラウン周方向溝6は、第1ショルダー周方向溝5とタイヤ赤道Cとの間に設けられている。第2クラウン周方向溝7は、第2ショルダー周方向溝8とタイヤ赤道Cとの間に設けられている。
タイヤ赤道Cから第1ショルダー周方向溝5又は第2ショルダー周方向溝8の溝中心線までのタイヤ軸方向の距離L1は、例えば、トレッド幅TWの25%~35%であるのが望ましい。タイヤ赤道Cから第1クラウン周方向溝6又は第2クラウン周方向溝7の溝中心線までのタイヤ軸方向の距離L2は、例えば、トレッド幅TWの5%~15%であるのが望ましい。なお、トレッド幅TWは、前記正規状態における第1トレッド端T1から第2トレッド端T2までのタイヤ軸方向の距離である。
本実施形態の各周方向溝3は、例えば、タイヤ周方向に平行に直線状に延びている。各周方向溝3は、例えば、波状に延びるものでも良い。
各周方向溝3の溝幅W1は、例えば、トレッド幅TWの2.0%~8.0%であるのが望ましい。本実施形態では、第1ショルダー周方向溝5が、4本の周方向溝3のうち最も小さい溝幅を有している。但し、本発明は、このような態様に限定されるものではない。各周方向溝3の深さは、乗用車用の空気入りタイヤの場合、例えば、5~10mmであるのが望ましい。
本発明の陸部4は、少なくとも、第1ショルダー陸部11及び第1ミドル陸部12を含んでいる。本実施形態の陸部4は、さらに、第2ショルダー陸部15、第2ミドル陸部14及びクラウン陸部13を含んでいる。第1ショルダー陸部11は、第1トレッド端T1を含んでいる。第1ミドル陸部12は、第1ショルダー周方向溝5と第1クラウン周方向溝6とに区分されており、第1ショルダー陸部11の第2トレッド端T2側に隣接している。
第2ショルダー陸部15は、第2トレッド端T2を含んでいる。第2ミドル陸部14は、第2ショルダー周方向溝8と第2クラウン周方向溝7とに区分されており、第2ショルダー陸部15の第1トレッド端T1側に隣接している。
クラウン陸部13は、第1クラウン周方向溝6と第2クラウン周方向溝7との間に区分されている。これにより、クラウン陸部13は、第1ミドル陸部12と第2ミドル陸部14との間に設けられている。本実施形態のクラウン陸部13は、タイヤ赤道C上に設けられている。
本実施形態の各陸部4には、サイプ16が設けられている。「サイプ」とは、小さな幅を有する切れ込み要素であって、サイプ16の本体部における2つのサイプ壁間の幅が1.5mm以下のものを指す。サイプ16の前記幅は、望ましくは0.2~1.2mmであり、より望ましくは0.5~1.0mmである。サイプ16は、前記幅よりも大きい幅で開口する拡幅部や、前記幅よりも大きいフラスコ底部を含むものでも良い。
図2には、第1ショルダー陸部11及び第1ミドル陸部12の拡大図が示されている。図2に示されるように、第1ショルダー陸部11には、タイヤ軸方向に延びる複数の第1ショルダーサイプ21が設けられている。第1ミドル陸部12には、タイヤ軸方向に延びる複数の第1ミドルサイプ30が設けられている。
図3には、第1ショルダーサイプ21の横断面を示す図として、図2のA-A線断面図が示されている。図4には、第1ミドルサイプ30の横断面を示す図として、図2のB-B線断面図が示されている。図3に示されるように、第1ショルダーサイプ21は、タイヤ半径方向に延びる本体部21aと、陸部の踏面で開口しかつ本体部21aよりも大きい幅を有する拡幅部21bとを含む。同様に、図4に示されるように、第1ミドルサイプ30は、タイヤ半径方向に延びる本体部30aと、陸部の踏面で開口しかつ本体部30aよりも大きい幅を有する拡幅部30bとを含む。本実施形態では、本体部の幅が、例えば、0.5~1.5mmとされる。
本発明では、第1ショルダーサイプ21の拡幅部21bの深さd1は、第1ミドルサイプ30の拡幅部30bの深さd2よりも小さい。本発明のタイヤは、上記の構成を採用したことによって、乗り心地性及びノイズ性能を向上させることができる。その理由として、以下のメカニズムが推察される。
一般に、上述の拡幅部が設けられていないサイプは、陸部の歪によってサイプのエッジの周辺が浮き上がるように変形し、ひいてはサイプ周辺の接地圧が局所的に低下する。本発明では、サイプが拡幅部を含むことにより、上述の変形が緩和され、ひいては乗り心地性が向上する。また、拡幅部を含むサイプは、接地時の打音が小さくなり、ノイズ性能を高めることができる。
また、本発明では、第1ショルダーサイプ21の拡幅部21bの深さd1が第1ミドルサイプ30の拡幅部30bの深さd2よりも小さいことにより、これらのサイプのエッジが接地したときの打音をホワイトノイズ化することができる。本発明のタイヤは、以上のようなメカニズムにより、乗り心地性及びノイズ性能を向上させることができると推察される。
以下、本実施形態のさらに詳細な構成が説明される。なお、以下で説明される各構成は、本実施形態の具体的態様を示すものである。したがって、本発明は、以下で説明される構成を具えないものであっても、上述の効果を発揮し得るのは言うまでもない。また、上述の特徴を具えた本発明のタイヤに、以下で説明される各構成のいずれか1つが単独で適用されても、各構成に応じた性能の向上は期待できる。さらに、以下で説明される各構成のいくつかが複合して適用された場合、各構成に応じた複合的な性能の向上が期待できる。
図5には、トレッド部2の接地時の接地面形状を示す拡大図が示されている。図5に示されるように、正規リムに正規内圧でリム組され、かつ、正規荷重の50%を負荷してキャンバー角0°で平面に接地させた50%荷重負荷状態において、第1ショルダー陸部11、第1ミドル陸部12、クラウン陸部13、第2ミドル陸部14及び第2ショルダー陸部15のタイヤ軸方向の接地面の幅をそれぞれW1s、W1m、Wc、W2m及びW2sとしたとき、以下の式(1)を満足するのが望ましい。また、より望ましい態様として、本実施形態のタイヤ1は、以下の式(2)も満足する。このようなタイヤ1は、第1トレッド端T1に近い陸部がより大きな剛性を有する。このため、操舵によって接地面の中心が第1トレッド端T1側に移動するときにおいても、操舵の手応えが安定し、舵角の増加に対してリニアにコーナリングフォースが発生する。したがって、優れた操縦安定性及び乗り心地性が得られる。
W1m>Wc>W2m…(1)
W1s>W1m>Wc>W2m≧W2s…(2)
W1m>Wc>W2m…(1)
W1s>W1m>Wc>W2m≧W2s…(2)
50%荷重負荷状態において、第1ショルダー陸部11の接地面のタイヤ軸方向の幅W1sは、クラウン陸部13のタイヤ軸方向の接地面の幅Wcの115%~125%であるのが望ましい。これにより、第1ショルダー陸部11の剛性が最適化し、上述の効果とともに、ノイズ性能も向上し得る。
同様の観点から、50%荷重負荷状態において、第1ミドル陸部12の接地面のタイヤ軸方向の幅W1mは、クラウン陸部13のタイヤ軸方向の接地面の幅Wcの101%~107%であるのが望ましい。
50%荷重負荷状態において、第2ミドル陸部14の接地面のタイヤ軸方向の幅W2mは、クラウン陸部13の接地面のタイヤ軸方向の幅Wcの90%~99%であるのが望ましい。これにより、直進時のノイズ性能が向上する。また、直進時のタイヤの振動が車体側に伝達され難くなり、乗り心地性も向上する。
同様の観点から、50%荷重負荷状態において、第2ショルダー陸部15の接地面のタイヤ軸方向の幅W2sは、クラウン陸部13の接地面のタイヤ軸方向の幅Wcの90%~99%であるのが望ましい。
さらに望ましい態様として、本実施形態では、50%荷重負荷状態において、第2ミドル陸部14の前記幅W2mが、第2ショルダー陸部15の前記幅W2sと同一とされている。これにより、第2ミドル陸部14と第2ショルダー陸部15との摩耗の進行が均一となり、耐偏摩耗性能が向上する。
図2に示されるように、第1ショルダー陸部11には、サイプのみが設けられている。これにより、第1ショルダー陸部11の剛性が高められる。
第1ショルダーサイプ21のタイヤ周方向の1ピッチ長さP1は、例えば、第1ショルダー陸部11のタイヤ軸方向の幅W3(正規状態における踏面の幅であり、以下、同様である。)の100%~130%である。なお、2つのサイプのタイヤ周方向の1ピッチ長さは、一方のサイプの横断面における幅方向の中心位置から、他方のサイプの前記中心位置までのタイヤ周方向に平行な距離である。また、前記距離がタイヤ軸方向に変化する場合は、その中間の距離が、前記1ピッチ長さに相当する。
第1ショルダーサイプ21は、少なくとも、第1ショルダー周方向溝5に連通しているのが望ましい。本実施形態の第1ショルダーサイプ21は、例えば、第1ショルダー周方向溝5から第1トレッド端T1まで延びており、第1ショルダー陸部11の踏面を完全に横断している。但し、第1ショルダーサイプ21は、このような態様に限定されるものではなく、第1ショルダー陸部11内に途切れ端を有するものでも良い。
第1ショルダーサイプ21は、例えば、タイヤ軸方向に対して第1方向(本明細書の各図では、右上がりである)に傾斜している。第1ショルダーサイプ21のタイヤ軸方向に対する角度は、例えば、5~35°である。さらに望ましい態様では、第1ショルダーサイプ21は、第2トレッド端T2側に向かってタイヤ軸方向に対する角度が大きくなっている部分を含む。このような第1ショルダーサイプ21は、タイヤ軸方向にも摩擦力を発揮することができる。
第1ショルダーサイプ21の踏面での開口幅W4は、例えば、第1ミドルサイプ30の踏面での開口幅W5よりも大きい。具体的には、第1ショルダーサイプ21の前記開口幅W4は、例えば、4.0~8.0mmである。第1ミドルサイプ30の前記開口幅W5は、例えば、2.0~6.0mmである。また、第1ミドルサイプ30の前記開口幅W5は、第1ショルダーサイプ21の前記開口幅W4の50%~90%である。このような第1ショルダーサイプ21及び第1ミドルサイプ30は、耐偏摩耗性能を向上させることができる。
図3に示されるように、第1ショルダーサイプ21の拡幅部21bは、本体部21aから踏面に延びる傾斜面22を含む。本実施形態の傾斜面22は、平面状であり、タイヤ半径方向に対して50~70°の角度θ1で傾斜している。このような拡幅部21bは、陸部に大きな接地圧が作用したときに傾斜面22の全面が接地できるため、トレッド部の実質的な接地面積を確実に拡大させる。したがって、操縦安定性及び乗り心地性が向上する。
第1ショルダーサイプ21の拡幅部21bの深さd1は、第1ショルダーサイプ21の最大の深さd3の10%~30%であり、望ましい態様では、0.5~2.0mmとされる。なお、第1ショルダーサイプ21の最大の深さd3は、例えば、周方向溝3の深さの70%~100%とされる。また、第1ショルダーサイプ21の拡幅部21bの深さd1は、第1ミドルサイプ30の拡幅部30bの深さd2の50%~90%であり、望ましくは60%~80%である。
第1ショルダーサイプ21の拡幅部21bの幅W6(サイプの横断面における踏面に沿った幅である)は、例えば、2.0~4.0mmである。
図6には、図2のC-C線断面図が示されている。図6に示されるように、第1ショルダーサイプ21は、底部が局所的に隆起した浅底部23を含む。本実施形態の浅底部23は、例えば、第1ショルダー周方向溝5との連通部に設けられている。第1ショルダーサイプ21の浅底部23の最小の深さd4は、第1ショルダーサイプ21の最大の深さd3の40%~60%である。浅底部23のタイヤ軸方向の長さL3は、第1ショルダー陸部11のタイヤ軸方向の幅W3(図2に示す)の10%~30%である。なお、浅底部23の前記長さL3は、例えば、浅底部23の高さ方向の中心位置で測定される。このような浅底部23を有する第1ショルダーサイプ21は、第1ショルダー陸部11の剛性を維持し、操縦安定性を向上させる。
図2に示されるように、第1ミドル陸部12は、第1トレッド端T1側の第1縦エッジ12aと、第2トレッド端T2側の第2縦エッジ12bと、第1縦エッジ12aと第2縦エッジ12bとの間の踏面とを含む。また、第1ミドル陸部12には、サイプのみが設けられている。これにより、第1ミドル陸部12の剛性が高められる。
第1ミドルサイプ30は、第1縦エッジ12aから延びかつ第1ミドル陸部12内に途切れ端31aを有する外側第1ミドルサイプ31と、第2縦エッジ12bから延びかつ第1ミドル陸部12内に途切れ端32aを有する内側第1ミドルサイプ32とを含む。
第1ミドルサイプ30は、トレッド平面視において、直線状に延びている。また、第1ミドルサイプ30は、タイヤ軸方向に対して第1方向に傾斜している。より具体的には、外側第1ミドルサイプ31及び内側第1ミドルサイプ32のそれぞれが、トレッド平面視において直線状に延び、かつ、タイヤ軸方向に対して第1方向に傾斜している。
外側第1ミドルサイプ31のタイヤ軸方向に対する角度、及び、内側第1ミドルサイプ32のタイヤ軸方向に対する角度は、それぞれ、望ましくは20°以上、より望ましくは25°以上であり、望ましくは45°以下、より望ましくは40°以下である。このような外側第1ミドルサイプ31及び内側第1ミドルサイプ32は、タイヤ軸方向及びタイヤ周方向にバランス良く摩擦力を提供する。
外側第1ミドルサイプ31と内側第1ミドルサイプ32との角度差は、望ましくは10°以下、より望ましくは5°以下であり、本実施形態ではこれらが平行に配されている。このような外側第1ミドルサイプ31及び内側第1ミドルサイプ32は、第1ミドル陸部12の偏摩耗を抑制することができる。
外側第1ミドルサイプ31及び内側第1ミドルサイプ32は、それぞれ、第1ミドル陸部12のタイヤ軸方向の中心位置を横切ることなく途切れている。外側第1ミドルサイプ31のタイヤ軸方向の長さLaは、第1ミドル陸部12のタイヤ軸方向の幅W7の20%以上、より好ましくは25%以上であり、好ましくは45%以下、より好ましくは40%以下である。同様に、内側第1ミドルサイプ32のタイヤ軸方向の長さLcは、第1ミドル陸部12のタイヤ軸方向の幅W7の20%以上、より好ましくは25%以上であり、好ましくは45%以下、より好ましくは40%以下である。このような外側第1ミドルサイプ31及び内側第1ミドルサイプ32は、操縦安定性を維持しつつ、乗り心地性及びノイズ性能を向上させることができる。
外側第1ミドルサイプ31の途切れ端31aと、内側第1ミドルサイプ32の途切れ端32aとは、タイヤ周方向に位置ずれしている。外側第1ミドルサイプ31の途切れ端31aと、内側第1ミドルサイプ32の途切れ端32aとのタイヤ周方向の距離Lbは、例えば、第1ミドルサイプ30のタイヤ周方向の1ピッチ長さP2の50%以下であり、望ましくは25%~40%である。さらに望ましい態様では、前記距離Lbは、以下の式(3)の範囲である。これにより、各サイプのピッチ音がホワイトノイズ化し易くなり、ノイズ性能が向上する。
Lb=2La±1(mm)…(3)
Lb=2La±1(mm)…(3)
なお、第1ミドルサイプ30の1ピッチ長さP2は、例えば、第1ショルダーサイプ21の1ピッチ長さP1の80%~120%とされ、より望ましい態様では、これらが同一とされる。
本実施形態では、外側第1ミドルサイプ31が第1ショルダー周方向溝5に連通している。また、トレッド平面視において、外側第1ミドルサイプ31の拡幅部は、第1ショルダーサイプ21の拡幅部21bをその長さ方向に沿って延長した領域と重複する。これにより、外側第1ミドルサイプ31及び第1ショルダーサイプ21が協働してウェット性能をさらに向上させる。
第1ミドルサイプ30は、その長さ方向に一定の深さを有する。より具体的には、外側第1ミドルサイプ31及び内側第1ミドルサイプ32が、それぞれ、その長さ方向に一定の深さを有している。内側第1ミドルサイプ32の深さは、例えば、周方向溝3の深さの70%~100%とされる。また、外側第1ミドルサイプ31の最大の深さは、内側第1ミドルサイプ32の最大の深さよりも小さい。外側第1ミドルサイプ31の最大の深さは、内側第1ミドルサイプ32の最大の深さの30%~70%であり、望ましい態様では1.0~2.5mmとされる。なお、外側第1ミドルサイプ31及び内側第1ミドルサイプ32には、それぞれ、図4で示されるサイプの断面形状を適用することができる。このような外側第1ミドルサイプ31及び内側第1ミドルサイプ32は、各サイプのピッチ音をホワイトノイズ化してノイズ性能を向上させ、かつ、乗り心地性及び操縦安定性をバランス良く向上させる。
図4に示されるように、第1ミドルサイプ30の拡幅部30bは、本体部30aから踏面に延びる傾斜面25を含む。本実施形態の傾斜面25は、平面状であり、タイヤ半径方向に対して30~60°の角度θ2で傾斜している。
第1ミドルサイプ30の拡幅部30bの深さd2は、第1ミドルサイプ30の最大の深さd5の15%~30%である。また、第1ミドルサイプ30の拡幅部30bの深さd2は、例えば、1.0~3.0mmである。第1ミドルサイプ30の拡幅部30bの幅W8(サイプの横断面における踏面に沿った幅である)は、例えば、1.0~3.0mmである。
図2に示されるように、第1ミドル陸部12には、例えば、タイヤ周方向に延びる第1縦サイプ33が設けられている。本実施形態の第1縦サイプ33は、タイヤ周方向に連続して延びている。このような第1縦サイプ33は、ウェット走行時にタイヤ軸方向の摩擦力を提供する。
第1縦サイプ33は、例えば、第1ミドル陸部12をタイヤ軸方向に3等分したときの中央の領域に設けられている。第1縦サイプ33から第1ミドル陸部12のタイヤ軸方向の中心位置までのタイヤ軸方向の距離は、第1ミドル陸部12のタイヤ軸方向の幅W7の10%以下が望ましく、より望ましくは5%以下である。このような第1縦サイプ33の配置は、第1ミドル陸部12の偏摩耗を抑制できる。
図7には、図2のD-D線断面図が示されている。図7に示されるように、第1縦サイプ33は、例えば、開口端から底に向かって一定の幅で構成されている。
図8には、第1ミドル陸部12、クラウン陸部13及び第2ミドル陸部14の拡大図が示されている。図8に示されるように、クラウン陸部13は、第1トレッド端T1側の第1縦エッジ13aと、第2トレッド端T2側の第2縦エッジ13bと、第1縦エッジ13aと第2縦エッジ13bとの間の踏面とを含む。同様に、第2ミドル陸部14は、第1トレッド端T1側の第1縦エッジ14aと、第2トレッド端T2側の第2縦エッジ14bと、第1縦エッジ14aと第2縦エッジ14bとの間の踏面とを含む。
クラウン陸部13は、タイヤ赤道Cよりも第1トレッド端T1側の外側接地面36と、タイヤ赤道Cよりも第2トレッド端T2側の内側接地面37とを含む。本実施形態では、外側接地面36及び内側接地面37のタイヤ軸方向の幅をそれぞれWco、Wciとしたとき、以下の式(4)を満足する。このようなクラウン陸部13は、操縦安定性を高めるのに役立つ。
Wco>Wci…(4)
Wco>Wci…(4)
外側接地面36のタイヤ軸方向の幅Wcoは、例えば、クラウン陸部13の接地面のタイヤ軸方向の幅W9の51%~60%であり、望ましくは51%~55%である。これにより、クラウン陸部13の偏摩耗が抑制されつつ、操縦安定性が向上する。
クラウン陸部13には、サイプのみが設けられている。これにより、クラウン陸部13の剛性が高められる。
クラウン陸部13には、タイヤ軸方向に対して前記第1方向とは逆向きの第2方向(本明細書の各図では、右下がりである。)に傾斜した複数のクラウンサイプ40が設けられている。本実施形態のクラウンサイプ40は、第2方向に傾斜して直線状に延びている。このようなクラウンサイプ40は、第1ミドルサイプ30と協働して多方向に摩擦力を提供し、ウェット性能を向上させる。
クラウンサイプ40のタイヤ周方向の1ピッチ長さP3は、例えば、第1ミドルサイプ30のタイヤ周方向の1ピッチ長さP2(図2に示す)の80%~120%であり、本実施形態では、これらが同一とされている。このようなサイプの配置は、耐偏摩耗性能を向上させる。
クラウンサイプ40のタイヤ軸方向に対する角度は、望ましくは20°以上、より望ましくは25°以上であり、望ましくは45°以下、より望ましくは40°以下である。クラウンサイプ40は、タイヤ周方向及びタイヤ軸方向にバランス良く摩擦力を提供する。
クラウンサイプ40は、第1縦エッジ40aから延びかつクラウン陸部13内に途切れ端41aを有する外側クラウンサイプ41と、第2縦エッジ40bから延びかつクラウン陸部13内に途切れ端42aを有する内側クラウンサイプ42とを含む。
外側クラウンサイプ41と内側クラウンサイプ42との角度差は、望ましくは10°以下、より望ましくは5°以下であり、本実施形態ではこれらが平行に配されている。このような外側クラウンサイプ41及び内側クラウンサイプ42は、クラウン陸部13の偏摩耗を抑制する。
外側クラウンサイプ41及び内側クラウンサイプ42は、それぞれ、クラウン陸部13のタイヤ軸方向の中心位置を横切ることなく途切れている。外側クラウンサイプ41のタイヤ軸方向の長さL4、及び、内側クラウンサイプ42のタイヤ軸方向の長さL5は、例えば、クラウン陸部13のタイヤ軸方向の幅W9の20%~35%である。このような外側クラウンサイプ41及び内側クラウンサイプ42は、操縦安定性と乗り心地性とをバランス良く向上させる。
外側クラウンサイプ41の途切れ端41aと、内側クラウンサイプ42の途切れ端42aとは、タイヤ周方向に位置ずれしている。外側クラウンサイプ41の途切れ端41aと、内側クラウンサイプ42の途切れ端42aとのタイヤ周方向の距離L6は、例えば、外側第1ミドルサイプ31の途切れ端31aと内側第1ミドルサイプ32の途切れ端32aとのタイヤ周方向の距離Lbよりも小さいのが望ましい。具体的には、前記距離L6は、前記距離Lbの望ましくは70%以下、より望ましくは60%以下であり、望ましくは30%以上、より望ましくは40%以上である。このようなサイプの配置は、各サイプのピッチ音をホワイトノイズ化し、ノイズ性能を向上させる。
外側クラウンサイプ41及び内側クラウンサイプ42は、それぞれ、その長さ方向に一定の深さを有している。内側クラウンサイプ42の深さは、例えば、周方向溝3の深さの70%~100%とされる。また、外側クラウンサイプ41の最大の深さは、内側クラウンサイプ42の最大の深さよりも小さい。外側クラウンサイプ41の最大の深さは、内側クラウンサイプ42の最大の深さの30%~70%であり、望ましい態様では、1.0~2.5mmとされる。
外側クラウンサイプ41及び内側クラウンサイプ42には、それぞれ、図4で説明された第1ミドルサイプ30の断面形状の構成を適用することができる。したがって、ここでの説明は省略される。
第2ミドル陸部14には、サイプのみが設けられている。これにより、第2ミドル陸部14の剛性が高められる。
第2ミドル陸部14には、タイヤ軸方向に対して前記第2方向に傾斜した複数の第2ミドルサイプ45が設けられている。本実施形態の第2ミドルサイプ45は、第2方向に傾斜して直線状に延びている。
第2ミドルサイプ45のタイヤ周方向の1ピッチ長さP4は、例えば、クラウンサイプ40のタイヤ周方向の1ピッチ長さP3の80%~120%であり、本実施形態では、これらが同一とされている。このようなサイプの配置は、耐偏摩耗性能を向上させる。
第2ミドルサイプ45のタイヤ軸方向に対する角度は、望ましくは20°以上、より望ましくは25°以上であり、望ましくは45°以下、より望ましくは40°以下である。クラウンサイプ40は、タイヤ周方向及びタイヤ軸方向にバランス良く摩擦力を提供する。
第2ミドルサイプ45は、第1縦エッジ14aから延びかつクラウン陸部13内に途切れ端46aを有する外側第2ミドルサイプ46と、第2縦エッジ14bから延びかつクラウン陸部13内に途切れ端47aを有する内側第2ミドルサイプ47とを含む。
外側第2ミドルサイプ46と内側第2ミドルサイプ47との角度差は、望ましくは10°以下、より望ましくは5°以下であり、本実施形態ではこれらが平行に配されている。このような外側第2ミドルサイプ46及び内側第2ミドルサイプ47は、第2ミドル陸部14の偏摩耗を抑制する。
外側第2ミドルサイプ46及び内側第2ミドルサイプ47は、それぞれ、第2ミドル陸部14のタイヤ軸方向の中心位置を横切ることなく途切れている。外側第2ミドルサイプ46のタイヤ軸方向の長さL7、及び、内側第2ミドルサイプ47のタイヤ軸方向の長さL8は、例えば、外側クラウンサイプ41の前記長さL4及び内側クラウンサイプ42の前記長さL5よりも大きい。具体的には、外側第2ミドルサイプ46の前記長さL7及び内側第2ミドルサイプ47の前記長さL8は、第2ミドル陸部14のタイヤ軸方向の幅W10の25%~35%である。このような外側第2ミドルサイプ46及び内側第2ミドルサイプ47は、ウェット性能及び乗り心地性を向上させるのに役立つ。
外側第2ミドルサイプ46の途切れ端46aと、内側第2ミドルサイプ47の途切れ端47aとは、タイヤ周方向に位置ずれしている。外側第2ミドルサイプ46の途切れ端46aと、内側第2ミドルサイプ47の途切れ端47aとのタイヤ周方向の距離L9は、例えば、外側第1ミドルサイプ31の途切れ端31aと内側第1ミドルサイプ32の途切れ端32aとのタイヤ周方向の距離Lbよりも小さく、望ましくは、外側クラウンサイプ41の途切れ端41aと内側クラウンサイプ42の途切れ端42aとのタイヤ周方向の距離L6よりも小さい。具体的には、前記距離L9は、前記距離L6の望ましくは80%以下、より望ましくは70%以下であり、望ましくは40%以上、より望ましくは50%以上である。このようなサイプの配置は、各陸部の剛性バランスを適正化し、操縦安定性と乗り心地性とをバランス良く向上させる。
外側第2ミドルサイプ46及び内側第2ミドルサイプ47は、それぞれ、その長さ方向に一定の深さを有している。内側第2ミドルサイプ47の深さは、例えば、周方向溝3の深さの70%~100%とされる。また、外側第2ミドルサイプ46の最大の深さは、内側第2ミドルサイプ47の最大の深さよりも小さい。外側第2ミドルサイプ46の最大の深さは、内側第2ミドルサイプ47の最大の深さの30%~70%であり、望ましい態様では、1.0~2.5mmとされる。このような外側クラウンサイプ41及び内側クラウンサイプ42は、各サイプのピッチ音をホワイトノイズ化してノイズ性能を向上させ、かつ、乗り心地性及び操縦安定性をバランス良く向上させる。
外側第2ミドルサイプ46及び内側第2ミドルサイプ47には、それぞれ、図4で説明された第1ミドルサイプ30の断面形状の構成を適用することができる。したがって、ここでの説明は省略される。
第2ミドル陸部14には、例えば、タイヤ周方向に延びる第2縦サイプ48が設けられている。本実施形態の第2縦サイプ48は、タイヤ周方向に連続して延びている。また、第2縦サイプ48は、上述の第1縦サイプ33と同様の断面形状を具えている。このような第2縦サイプ48は、タイヤ軸方向の摩擦力を提供する。
第2縦サイプ48は、例えば、第2ミドル陸部14をタイヤ軸方向に3等分したときの中央の領域に設けられている。第2縦サイプ48から第2ミドル陸部14のタイヤ軸方向の中心位置までのタイヤ軸方向の距離は、第2ミドル陸部14のタイヤ軸方向の幅W10の10%以下が望ましく、より望ましくは5%以下である。
図9には、図1の第2ショルダー陸部15の拡大図が示されている。図9に示されるように、第2ショルダー陸部15には、サイプのみが設けられている。これにより、第2ミドル陸部14の剛性が高められる。
第2ショルダー陸部15には、例えば、タイヤ軸方向に延びる複数の第2ショルダーサイプ50が設けられている。本実施形態では、第2ショルダーサイプ50の合計本数は、第1ショルダーサイプ21(図2に示され、以下、同様である。)の合計本数よりも大きい。このようなサイプの配置は、ノイズ性能及びウェット性能を向上させる。
操縦安定性を維持しつつ、ノイズ性能及びウェット性能を向上させるために、第2ショルダーサイプ50の合計本数は、第1ショルダーサイプ21の合計本数の望ましくは1.3倍以上、より望ましくは1.5倍以上、さらに望ましくは1.8倍以上であり、望ましくは2.8倍以下、より望ましくは2.5倍以下、さらに望ましくは2.2倍以下である。
第2ショルダーサイプ50のタイヤ周方向の1ピッチ長さP5は、例えば、第2ミドルサイプ45のタイヤ周方向の1ピッチ長さP4(図8に示す)の30%~70%である。
第2ショルダーサイプ50は、例えば、第1方向に傾斜している。すなわち、第1ショルダーサイプ21及び第2ショルダーサイプ50は、タイヤ軸方向に対して同じ向きに傾斜している。本実施形態の第2ショルダーサイプ50は、第1方向に傾斜して直線状に延びている。
第2ショルダーサイプ50のタイヤ軸方向に対する角度は、例えば、20°以下であり、望ましくは15°以下、より望ましくは10°以下である。これにより、本実施形態では、第1ショルダーサイプ21のタイヤ軸方向に対する最大の角度は、第2ショルダーサイプ50のタイヤ軸方向に対する最大の角度よりも大きい。このようなサイプの配置により、ノイズ性能がより一層向上する。
第2ショルダーサイプ50には、図3で説明された第1ショルダーサイプ21の断面形状の構成を適用することができる。したがって、ここでの説明は省略される。
第2ショルダーサイプ50は、例えば、第2ショルダー陸部15をタイヤ軸方向に完全に横断する横断第2ショルダーサイプ51と、少なくとも第2トレッド端T2からタイヤ軸方向に延びかつ第2ショルダー陸部15内に途切れ端を有する途切れ第2ショルダーサイプ52とを含む。
途切れ第2ショルダーサイプ52は、第1ミドルサイプ30、クラウンサイプ40及び第2ミドルサイプ45のいずれよりも、タイヤ軸方向の長さが大きい。第2ショルダーサイプ50のタイヤ軸方向の長さL10は、第2ショルダー陸部15のタイヤ軸方向の幅W11の望ましくは50%以上、より望ましくは60%以上であり、望ましくは90%以下、より望ましくは80%以下である。このような途切れ第2ショルダーサイプ52は、乗り心地性と操縦安定性とをバランス良く向上させる。
図10には、図9のE-E線断面図が示されている。図10に示されるように、横断第2ショルダーサイプ51は、底部が局所的に隆起した浅底部53を含む。本実施形態の浅底部53は、例えば、第2ショルダー周方向溝8との連通部に設けられている。第2ショルダーサイプ50の浅底部53には、第1ショルダーサイプ21の浅底部23(図6に示す)の構成を適用することができ、ここでの説明は省略される。このような浅底部53を含む横断第2ショルダーサイプ51は、第2ショルダー陸部15の剛性を維持し、操縦安定性を向上させる。
図1に示されるように、本実施形態では、5つの陸部4のそれぞれにおいて、サイプ16のみが設けられており、かつ、排水用の横溝が設けられていない。これにより、各陸部の剛性が維持され、かつ、横溝のポンピング音が発生しないためノイズ性能の向上が期待される。
以下、本発明の他の実施形態が説明される。他の実施形態を示す図において、既に説明された要素には、上述のものと同じ符号が付されており、上述の構成を適用することができる。
図11には、他の実施形態のトレッド部2の展開図が示されている。図11に示されるように、この実施形態では、第1ミドル陸部12、クラウン陸部13及び第2ミドル陸部14について、タイヤ軸方向の幅が同一とされている。これらのタイヤ軸方向の幅W12は、例えば、トレッド幅TWの10%~20%である。
この実施形態では、第1ショルダー陸部11及び第2ショルダー陸部15について、タイヤ軸方向の幅が同一とされている。これらのタイヤ軸方向の幅W13は、例えば、トレッド幅TWの15%~20%である。
図11の実施形態では、上述の陸部とされることにより、トレッド部2の耐偏摩耗性能がより一層向上し得る。
以上、本発明の一実施形態のタイヤが詳細に説明されたが、本発明は、上記の具体的な実施形態に限定されることなく、種々の態様に変更して実施され得る。
図1の基本パターンを有するサイズ235/55R19のタイヤが表1の仕様に基づき試作された。また、ノイズ性能を比較するための基準となるタイヤ(基準タイヤ)として、図1に示されるパターンを有し、かつ、各サイプに拡幅部が設けられていないタイヤが試作された。比較例として、第1ショルダーサイプの拡幅部の深さと第1ミドルサイプの拡幅部の深さとが同一とされたタイヤが試作された。比較例のタイヤは、上述の事項を除き、図1で示されるものと実質的に同じである。各テストタイヤの乗り心地性及びノイズ性能がテストされた。各テストタイヤの共通仕様やテスト方法は、以下の通りである。
装着リム:19×7.0J
タイヤ内圧:230kPa
テスト車両:排気量2000cc、四輪駆動車
タイヤ装着位置:全輪
装着リム:19×7.0J
タイヤ内圧:230kPa
テスト車両:排気量2000cc、四輪駆動車
タイヤ装着位置:全輪
<乗り心地性>
上記テスト車両で一般道を走行したときの乗り心地性が、運転者の官能により評価された。結果は、比較例の乗り心地性を100とする評点であり、数値が大きい程、乗り心地性が優れていることを示す。
上記テスト車両で一般道を走行したときの乗り心地性が、運転者の官能により評価された。結果は、比較例の乗り心地性を100とする評点であり、数値が大きい程、乗り心地性が優れていることを示す。
<ノイズ性能>
上記テスト車両でドライ路面を40~100km/hで走行し、このときの車内のノイズの最大の音圧が測定された。結果は、基準タイヤの前記音圧との差である音圧減少量が、比較例の前記音圧減少量を100とする指数で示されている。この指数が大きい程、前記ノイズの最大の音圧が小さく、優れたノイズ性能を発揮していることを示す。
テストの結果が表1に示される。
上記テスト車両でドライ路面を40~100km/hで走行し、このときの車内のノイズの最大の音圧が測定された。結果は、基準タイヤの前記音圧との差である音圧減少量が、比較例の前記音圧減少量を100とする指数で示されている。この指数が大きい程、前記ノイズの最大の音圧が小さく、優れたノイズ性能を発揮していることを示す。
テストの結果が表1に示される。
テストの結果、実施例のタイヤは、乗り心地性及びノイズ性能を向上させていることが確認できた。
2 トレッド部
3 周方向溝
4 陸部
11 第1ショルダー陸部
12 第1ミドル陸部
21 第1ショルダーサイプ
30 第1ミドルサイプ
T1 第1トレッド端
T2 第2トレッド端
3 周方向溝
4 陸部
11 第1ショルダー陸部
12 第1ミドル陸部
21 第1ショルダーサイプ
30 第1ミドルサイプ
T1 第1トレッド端
T2 第2トレッド端
Claims (11)
- トレッド部を有するタイヤであって、
前記トレッド部は、第1トレッド端と第2トレッド端との間でタイヤ周方向に連続して延びる複数の周方向溝と、前記周方向溝に区分された複数の陸部とを含み、
前記複数の陸部は、前記第1トレッド端を含む第1ショルダー陸部と、前記第1ショルダー陸部に隣接する第1ミドル陸部とを含み、
前記第1ショルダー陸部には、タイヤ軸方向に延びる複数の第1ショルダーサイプが設けられ、
前記第1ミドル陸部には、タイヤ軸方向に延びる複数の第1ミドルサイプが設けられ、
前記第1ショルダーサイプ及び前記第1ミドルサイプは、それぞれ、タイヤ半径方向に延びる本体部と、前記陸部の踏面で開口しかつ前記本体部よりも大きい幅を有する拡幅部とを含み、
前記第1ショルダーサイプの前記拡幅部の深さは、前記第1ミドルサイプの前記拡幅部の深さよりも小さい、
タイヤ。 - 前記第1ミドルサイプの前記拡幅部の深さは、1.0~3.0mmである、請求項1に記載のタイヤ。
- 前記第1ショルダーサイプの前記拡幅部の深さは、前記第1ミドルサイプの前記拡幅部の深さの50%~90%である、請求項1又は2に記載のタイヤ。
- 前記拡幅部は、前記本体部から前記踏面に延びる傾斜面を含む、請求項1ないし3のいずれか1項に記載のタイヤ。
- 前記第1ショルダーサイプは、底部が局所的に隆起した浅底部を含む、請求項1ないし4のいずれか1項に記載のタイヤ。
- 前記第1ショルダーサイプの前記浅底部の深さは、前記第1ショルダーサイプの最大の深さの40%~60%である、請求項5に記載のタイヤ。
- 前記第1ミドルサイプは、その長さ方向に一定の深さを有する、請求項1ないし6のいずれか1項に記載のタイヤ。
- 前記第1ミドル陸部は、前記第1トレッド端側の第1縦エッジと、前記第2トレッド端側の第2縦エッジと、前記第1縦エッジと前記第2縦エッジとの間の踏面とを含み、
前記第1ミドルサイプは、前記第1縦エッジから延びかつ前記第1ミドル陸部内に途切れ端を有する外側第1ミドルサイプと、前記第2縦エッジから延びかつ前記第1ミドル陸部内に途切れ端を有する内側第1ミドルサイプとを含む、請求項1ないし7のいずれか1項に記載のタイヤ。 - 前記外側第1ミドルサイプの最大の深さは、前記内側第1ミドルサイプの最大の深さよりも小さい、請求項8に記載のタイヤ。
- 前記第1ショルダー陸部には、サイプのみが設けられている、請求項1ないし9のいずれか1項に記載のタイヤ。
- 前記トレッド部は、車両への装着の向きが指定され、
前記第1トレッド端は、車両装着時に車両外側に位置する、請求項1ないし10のいずれか1項に記載のタイヤ。
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