JP2022103097A - ラッピングパッド、その製造方法、及びラップ加工物の製造方法 - Google Patents

ラッピングパッド、その製造方法、及びラップ加工物の製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】スラリーの液体保持性能及び砥粒保持性能の双方に優れるラッピングシートを提供する。【解決手段】細孔を有する樹脂シートを備える、ラッピングシートであって、接触角130°、水銀表面張力485dyn/cmとした水銀圧入法により測定した前記樹脂シートの細孔分布において、0.100μm以上10.0μm以下の細孔径の範囲での積算細孔容積Vが0.020cm3/g以上0.100cm3/g以下であり、前記樹脂シートの密度が、0.9g/cm3以上1.3g/cm3以下である、ラッピングシート。【選択図】なし

Description

本発明は、ラッピングパッド、その製造方法、及びラップ加工物の製造方法に関する。
一般に、レンズ、平行平面板、及び反射ミラーのような光学材料、SiC円盤のような半導体ウェハ材料、結晶体、金属、石材、木材、樹脂材並びにセラミック等の材料に対して、研削加工、ラップ加工、及び研磨が行われるが、ラップ加工においてはラッピングパッドが用いられる。
ラップ加工に関する技術としては、例えば、特許文献1において、プラテンと、前記プラテンに取り付けられているポリマー材料であって、前記ポリマー材料の密度は、約0.7g/cm3~約3.0g/cm3に及ぶ、ポリマー材料と、研磨粒子を備えているスラリーとを備えているラップ加工システムが開示されている。特許文献1においては、そのようなポリマー材料を用いたラップ加工により、長期間にわたり高い除去率での加工が可能となり、当該加工による欠陥は少ないとされている。
特表2018-524193号公報
遊離砥粒(スラリー)を介在するラップ加工に用いられる樹脂シートには、次のような要求がある。すなわち、ラップ加工においてはダイヤモンドに代表される高価な砥粒を含むスラリーが用いられることが多く、そのようなスラリーの使用量を低減できるような樹脂シートが求められる。換言すると、少量のスラリーを効率よく利用できる樹脂シートが求められる。このような要求への対応として、樹脂シートの密度を調整することが考えられるが、単に密度を高めるのみではスラリーの液体成分の利用効率が低下する傾向にある。一方で、発泡を有する低密度の樹脂シートを適用する場合、発泡内に砥粒が入り込んでしまい、砥粒成分の利用効率が低下する傾向にある。このような観点から、特許文献1に記載の技術は、未だ改善の余地がある。
本発明は、上記の問題点に鑑みてなされたものであり、スラリーの液体保持性能及び砥粒保持性能(以下、これらを包括的に「スラリー親和性」ということがある。)の双方に優れる、ラッピングパッド、その製造方法、及びラップ加工物の製造方法を提供することを目的とする。
本発明者らは、上記課題を解決するために鋭意研究を進めた結果、所定の物性を有する樹脂シートによって上記課題を解決し得ることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は以下の態様を包含する。
[1]
細孔を有する樹脂シートを備える、ラッピングパッドであって、
接触角130°、水銀表面張力485dyn/cmとした水銀圧入法により測定した前記樹脂シートの細孔分布において、0.100μm以上10.0μm以下の細孔径の範囲での積算細孔容積Vが、0.020cm3/g以上0.100cm3/g以下であり、
前記樹脂シートの密度が、0.9g/cm3以上1.3g/cm3以下である、ラッピングパッド。
[2]
前記樹脂シートの前記細孔分布において、0.050μm以上0.100μm未満の細孔径の範囲での積算細孔容積V’が、0.000cm3/g以上0.120cm3/g以下である、[1]に記載のラッピングパッド。
[3]
前記樹脂シートの前記細孔分布において、0.100μm以上360μm以下の細孔径の範囲での積算細孔容積V0に対する、前記積算細孔容積Vの割合が、50%以上である、[1]又は[2]に記載のラッピングパッド。
[4]
前記樹脂シートの前記細孔分布において、0.050μm以上360μm以下の細孔径の範囲での積算細孔容積V0’に対する、前記積算細孔容積Vの割合が、50%以上である、[1]~[3]のいずれかに記載のラッピングパッド。
[5]
前記樹脂シートの前記細孔分布において、0.100μm以上360μm以下の細孔径の範囲における最大ピークのピーク位置が、0.100μm以上10.0μm以下の細孔径の範囲内にある、[1]~[4]のいずれかに記載のラッピングパッド。
[6]
前記樹脂シートの前記細孔分布において、0.050μm以上360μm以下の細孔径の範囲における最大ピークのピーク位置が、0.050μm以上10.0μm以下の細孔径の範囲内にある、[1]~[5]のいずれかに記載のラッピングパッド。
[7]
前記樹脂シートの前記細孔分布において、0.100μm以上360μm以下の細孔径の範囲での積算細孔容積V0が、0.040cm3/g以上0.120cm3/g以下である、[1]~[6]のいずれかに記載のラッピングパッド。
[8]
前記樹脂シートの前記細孔分布において、0.050μm以上360μm以下の細孔径の範囲での積算細孔容積V0’が、0.040cm3/g以上0.200cm3/g以下である、[1]~[7]のいずれかに記載のラッピングパッド。
[9]
前記樹脂シートが、ミクロ相分離構造を有する、[1]~[8]のいずれかに記載のラッピングパッド。
[10]
前記樹脂シートが、ポリウレタンを含む、[1]~[9]のいずれかに記載のラッピングパッド。
[11]
細孔を有する樹脂シートを備える、ラッピングパッドであって、
接触角130°、水銀表面張力485dyn/cmとした水銀圧入法により測定した前記樹脂シートの細孔分布において、0.050μm以上10.0μm以下の細孔径の範囲での積算細孔容積V’’が、0.020cm3/g以上0.140cm3/g以下であり、
前記樹脂シートの密度が0.9g/cm3以上1.3g/cm3以下である、ラッピングパッド。
[12]
[1]~[11]のいずれかに記載のラッピングパッドを製造する方法であって、
少なくとも1種のプレポリマーと少なくとも2種の硬化剤との混合液を硬化させることにより、ミクロ相分離構造を有する樹脂シートを得る工程を含む、ラッピングパッドの製造方法。
[13]
前記硬化剤が、NH2当量が100以上300以下である第1の硬化剤と、OH当量が200以上500以下である第2の硬化剤と、OH当量が1000以上2000以下である第3の硬化剤と、を含む、[12]に記載のラッピングパッドの製造方法。
[14]
スラリーの存在下、[1]~[11]のいずれかに記載のラッピングパッドを用いて、被加工物をラップ加工するラッピング工程を有する、ラップ加工物の製造方法。
本発明によれば、スラリーの液体保持性能及び砥粒保持性能の双方に優れる、ラッピングパッド、その製造方法、及びラップ加工物の製造方法を提供することができる。
図1は、実施例1の樹脂シートの水銀圧入法による積算細孔容積(細孔分布)の測定結果である。 図2(A)は、実施例1の樹脂シート表面を走査型電子顕微鏡により500倍で観察したSEM像である。図2(B)は、図2(A)中において、ミクロ相分離構造(ジャイロイド構造)が観察された部分を破線で囲ったものである。 図3は、実施例2の樹脂シート表面を走査型電子顕微鏡により500倍で観察したSEM像である。 図4は、比較例1の樹脂シートの水銀圧入法による積算細孔容積(細孔分布)の測定結果である。 図5は、比較例1の樹脂シート表面を走査型電子顕微鏡により500倍で観察したSEM像である。
以下、本発明の実施の形態(以下、「本実施形態」という。)について詳細に説明するが、本発明はこれに限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で様々な変形が可能である。
(ラッピングパッド)
本実施形態のラッピングパッドは、細孔を有する樹脂シートを備え、接触角130°、水銀表面張力485dyn/cmとした水銀圧入法により測定した樹脂シートの細孔分布において、0.100μm以上10.0μm以下の細孔径の範囲での積算細孔容積Vが0.020cm3/g以上0.100cm3/g以下であり、樹脂シートの密度が0.9g/cm3以上1.3g/cm3以下である。本実施形態のラッピングパッドは、上記のように構成されているため、高密度を維持しながらもスラリーの液体保持性能及び砥粒保持性能の双方に優れる。
また、本実施形態のラッピングパッドは、後述する積算細孔容積V’の観点から、次のように特定することもできる。すなわち、本実施形態のラッピングパッドは、細孔を有する樹脂シートを備え、接触角130°、水銀表面張力485dyn/cmとした水銀圧入法により測定した樹脂シートの細孔分布において、0.050μm以上10.0μm以下の細孔径の範囲での積算細孔容積V’’が0.020cm3/g以上0.140cm3/g以下であり、樹脂シートの密度が0.9g/cm3以上1.3g/cm3以下である。このように特定される本実施形態のラッピングパッドも、被加工物に良好な平坦性を付与することができ、かつ、スラリーとの親和性に優れる。
本実施形態のラッピングパッドは、本実施形態における樹脂シートを備えるものであれば特に限定されず、ラッピングパッドは、樹脂シート以外の構成を有するものであってもよい。ラッピングパッドにおける、樹脂シート以外の構成としては、従来公知の、ラッピング層、クッション層、及び接着層等が挙げられる。
なお、本明細書において、「本実施形態における樹脂シート」と称するときは、「細孔を有する樹脂シートであって、接触角130°、水銀表面張力485dyn/cmとした水銀圧入法により測定した当該樹脂シートの細孔分布において、0.100μm以上10.0μm以下の細孔径の範囲での積算細孔容積Vが0.020cm3/g以上0.100cm3/g以下であり、当該樹脂シートの密度が0.9g/cm3以上1.3g/cm3以下である、樹脂シート」及び「細孔を有する樹脂シートであって、水銀表面張力485dyn/cmとした水銀圧入法により測定した当該樹脂シートの細孔分布において、0.050μm以上10.0μm以下の細孔径の範囲での積算細孔容積V’’が0.020cm3/g以上0.140cm3/g以下であり、当該樹脂シートの密度が0.9g/cm3以上1.3g/cm3以下である、樹脂シート」の双方を包含するものとする。
本実施形態のラッピングパッドは、好ましくは、上記の樹脂シートをラッピング層として有するものである。「樹脂シートをラッピング層として有する」とは、本実施形態のラッピングパッドの少なくとも1つの表面が本実施形態における樹脂シートの表面に対応しており、当該樹脂シートの表面が、本実施形態のラップ加工の際、被加工物に押し当てられるラッピング面となることを意味する。したがって、本実施形態のラッピングパッドは、好ましくは、少なくとも片面が本実施形態における樹脂シートにより構成されている。また、本実施形態のラッピングパッドは、本実施形態における樹脂シートのみからなっていてもよい。
本実施形態のラッピングパッドは、必要に応じて、ラッピング面に溝加工、エンボス加工、及び/又は、穴加工(パンチング加工)が施されていてもよく、光透過部を備えてもよい。溝加工及びエンボス加工の形状に特に限定はなく、例えば、格子型、同心円型、及び放射型等の形状が挙げられる。
(樹脂シート)
(密度)
本実施形態における樹脂シートは、密度が0.9g/cm3以上1.3g/cm3以下である。本実施形態における樹脂シートの密度が0.9g/cm3以上である、すなわち、樹脂シートが高密度であると、ラップ加工の際に砥粒が樹脂シート内に移行して研磨に寄与しなくなることを抑制できる。また、ラッピングパッドは圧力に対して変形しにくいものとなるため、ラップ加工において、ラッピングパッドから被加工物に対して与えられる力がラッピング面方向において均一になる。その結果、そのような樹脂シートを備えるラッピングパッドを用いたラップ加工において、被加工物の表面を一層平坦にすることができる。なお、本明細書において「被加工物の表面が平坦である」とは、被加工物のラップ加工された表面が全体としてより平坦であることを意味する。これは、グローバル平坦性が良好であると換言してもよい。
同様の観点から、本実施形態における樹脂シートの密度は、好ましくは0.9g/cm3超であり、より好ましくは1.0g/cm3以上であり、更に好ましくは1.1g/cm3以上である。なお、樹脂シートの密度が0.9g/cm3超であるとは、有効数字2桁で測定される樹脂の密度が0.91g/cm3以上であることを意味する。
本実施形態における樹脂シートの密度が1.3g/cm3以下であると、スラリーの液体保持性能が向上する。また、樹脂シートの硬度が低くなる傾向にあり、そのような樹脂シートを備えるラッピングパッドを用いたラップ加工において、スクラッチの発生を抑制できる傾向にある。
本実施形態における樹脂シートの密度は、従来公知の方法により測定することができ、例えば、樹脂シート片の質量、及び体積を通常の方法により測定し、得られた値から密度を求めればよい。また、樹脂シートの密度を制御する方法としては、特に限定されないが、例えば、後述する本実施形態のラッピングパッドの製造方法によりラッピングパッドを得ればよい。特に、本実施形態における樹脂シートの製造工程において、発泡剤の量を少なくするか、発泡剤を用いないことにより、樹脂シートの密度を高くすることができる。
(樹脂シートの細孔分布)
(積算細孔容積V)
本実施形態における樹脂シートは、細孔を有し、接触角130°、水銀表面張力485dyn/cmとした水銀圧入法により測定した細孔分布において、0.100μm以上10.0μm以下の細孔径の範囲での積算細孔容積Vが、0.020cm3/g以上0.100cm3/g以下である。
なお、以下、本明細書中において、特に断りがない限り、「細孔分布」とは、接触角130°、水銀表面張力485dyn/cmとした水銀圧入法により測定した細孔分布を意味するものとする。水銀圧入法は、印加する圧力を掃引しながら、測定試料表面の細孔に水銀を満たしていくことにより、測定試料表面における細孔分布を測定することができる方法である。したがって、発泡材料について水銀圧入法により細孔分布を測定する場合、その細孔分布は、主に連通気泡(一般に、「連続気泡」ともいう。)の細孔分布を反映するものであり、独立気泡の細孔分布の寄与は小さい。
本実施形態のラッピングパッドに関し、本発明者らは、水銀圧入法により測定した細孔分布において、0.100μm以上10.0μm以下の細孔径の範囲での積算細孔容積Vが0.020cm3/g以上であると、ラッピングパッドの砥粒保持性能が十分良好なものとなることを見出した。これは、積算細孔容積Vが0.020cm3/g以上であると、0.100μm以上10.0μm以下の細孔径を有する連通気泡が、樹脂シートの全体に分布するようになり、当該連通気泡に起因する凹凸が樹脂シート表面に形成されることで、ラップ加工時において、当該凹凸が砥粒の保持に寄与し、少量のスラリーを効率よく利用できるためと推察される。ただし、積算細孔容積Vが0.020cm3/g以上であることにより、ラッピングパッドのスラリーとの親和性が十分良好なものとなる原因は、上記に限られない。
砥粒保持性能を一層向上させる観点から、本実施形態における樹脂シートにおいて、上記積算細孔容積Vは、好ましくは0.030cm3/g以上であり、より好ましくは0.040cm3/g以上であり、更に好ましくは0.050cm3/g以上である。また、積算細孔容積Vが上記の範囲内にあると、樹脂シートは、高密度でありながらも、ドレス性に優れるようになる。なお、「ドレス」、又は「ドレス処理」とは、被加工物をラッピングする前に、砥粒等が固定されたドレス治具(例えば、ダイヤモンドドレッサー、又はサンドペーパー)を用いて、ラッピングパッドのラッピング面の表面粗さを整えたり、平坦度を整えたりする処理を意味する。また、「ドレス性に優れる」とは、比較的容易な条件の処理によって、十分なドレス処理が行えることを意味する。「ラッピング面」とは、ラッピングパッドによって被加工物をラップ加工する際に、ラッピングパッドが被加工物に接触する面、又は接触することが想定される面を意味する。
本実施形態における樹脂シートにおいて、上記積算細孔容積Vは、0.100cm3/g以下である。積算細孔容積Vが0.100cm3/g以下であることにより、樹脂シートの密度が上記の範囲内となりやすい傾向にあり、そのような樹脂シートを備えるラッピングパッドを用いたラップ加工において、被加工物の表面を一層平坦にすることができる。同様の観点から、積算細孔容積Vは、好ましくは0.090cm3/g以下であり、より好ましくは0.080cm3/g以下である。
(積算細孔容積V’)
本実施形態における樹脂シートの細孔分布において、0.050μm以上0.100μm未満の細孔径の範囲での積算細孔容積V’は、典型的には、0.000cm3/g以上0.120cm3/g以下であり、被加工物に付与する平坦性と、スラリーとの親和性とのバランスを一層向上させる観点から、好ましくは0.000cm3/g以上0.100cm3/g以下であり、より好ましくは0.000cm3/g以上0.080cm3/g以下である。
上記観点から、本実施形態のラッピングパッドは、細孔を有する樹脂シートを備え、接触角130°、水銀表面張力485dyn/cmとした水銀圧入法により測定した樹脂シートの細孔分布において、0.050μm以上10.0μm以下の細孔径の範囲での積算細孔容積V’’が0.020cm3/g以上0.140cm3/g以下であり、樹脂シートの密度が0.9g/cm3以上1.3g/cm3以下である、と特定することができる。なお、本実施形態における0.050μm以上10.0μm以下の細孔径の範囲での積算細孔容積V’’は、本実施形態における積算細孔容積Vと積算細孔容積V’の和として特定することができ、被加工物に付与する平坦性と、スラリーとの親和性とのバランスを一層向上させる観点から、0.020cm3/g以上0.140cm3/g以下であり、好ましくは0.030cm3/g以上0.130cm3/g以下であり、より好ましくは0.050cm3/g以上0.120cm3/g以下である。
(積算細孔容積V0に対する積算細孔容積Vの割合)
本実施形態のラッピングパッドにおいて、被加工物に付与する平坦性と、スラリーとの親和性とのバランスを一層向上させる観点から、樹脂シートの細孔分布において、0.100μm以上360μm以下の細孔径の範囲での積算細孔容積V0に対する、0.100μm以上10.0μm以下の細孔径の範囲での積算細孔容積Vの割合は、好ましくは、50%以上である。換言すると、積算細孔容積V0に対する積算細孔容積Vの比(V/V0)は、好ましくは0.50以上である。このような態様によれば、樹脂シートは、相対的に小さい細孔径を有する細孔の割合が増えるため、密度を高密度に保ちつつ、樹脂シート内の連通気泡の数を一層多くすることができる。
同様の観点から、積算細孔容積V0に対する積算細孔容積Vの割合は、より好ましくは60%以上であり、更に好ましくは65%以上であり、更により好ましくは70%以上である。積算細孔容積V0に対する積算細孔容積Vの割合の上限は特に限定されず、積算細孔容積V0に対する積算細孔容積Vの割合は、100%以下であってもよく、99%以下であってもよく、95%以下であってもよく、90%以下であってもよく、80%以下であってもよい。
また、本実施形態における樹脂シートの細孔分布において、0.050μm以上360μm以下の細孔径の範囲での積算細孔容積V0’に対する積算細孔容積Vの比(V/V0’)は、上記と同様の観点から、好ましくは、50%以上であり、より好ましくは60%以上であり、更に好ましくは65%以上であり、更により好ましくは70%以上である。また、V/V0’は、100%以下であってもよく、99%以下であってもよく、95%以下であってもよく、90%以下であってもよく、80%以下であってもよい。
(最大ピークのピーク位置)
本実施形態における樹脂シートの細孔分布において、0.100μm以上360μm以下の細孔径の範囲における最大ピークのピーク位置は、0.100μm以上10.0μm以下の細孔径の範囲内にあることが好ましい。一般的に、水銀圧入法において、細孔分布は、測定範囲の最大の細孔径からの積算細孔容積として測定される。したがって、「0.100μm以上360μm以下の細孔径の範囲における最大ピークのピーク位置」とは、水銀圧入法で得られた細孔分布から算出されるLog微分細孔容積分布(dV/d(logD))の最大ピークの位置(細孔径)を意味する。また、最大ピークとは、0.100μm以上360μm以下の細孔径の範囲における極大点が複数ある場合、極大値が最も大きい極大点を意味する。
0.100μm以上360μm以下の細孔径の範囲における最大ピークのピーク位置が0.100μm以上10.0μm以下の細孔径の範囲内にあることにより、樹脂シートは、0.100μm以上10.0μm以下の範囲で、分布が一層均一な細孔を有することとなるため、ラッピングパッドのスラリーとの親和性、及びドレス性が一層向上する傾向にある。ラッピングパッドのスラリーとの親和性、及びドレス性を一層向上させる観点から、0.100μm以上360μm以下の細孔径の範囲における最大ピークのピーク位置は、より好ましくは0.500μm以上5.00μm以下の細孔径の範囲内にある。
また、本実施形態における樹脂シートの細孔分布において、0.050μm以上360μm以下の細孔径の範囲における最大ピークのピーク位置は、0.050μm以上10.0μm以下の細孔径の範囲内にあることが好ましく、より好ましくは0.050μm以上5.00μm以下の細孔径の範囲内にある。
(ピークの数及びピーク高さ)
本実施形態における樹脂シートの細孔分布において、0.100μm以上360μm以下の細孔径の範囲におけるピークの数は、好ましくは1以上3以下であり、より好ましくは1以上2以下であり、更に好ましくは1である。ピークの数が上記の範囲内にあることにより、分布が一層均一な細孔を有することとなるため、ラッピングパッドのスラリーとの親和性、及びドレス性が一層向上する傾向にある。
同様の観点から、0.100μm以上360μm以下の細孔径の範囲にピークが2以上ある場合、最大ピークのピーク高さは、2番目に高いピークのピーク高さに比べて、好ましくは2倍以上であり、より好ましくは5倍以上であり、更に好ましくは10倍以上である。
(積算細孔容積V0
本実施形態における樹脂シートの細孔分布において、0.100μm以上360μm以下の細孔径の範囲での積算細孔容積V0は、好ましくは0.040cm3/g以上0.120cm3/g以下であり、より好ましくは0.050cm3/g以上0.110cm3/g以下であり、更に好ましくは0.060cm3/g以上0.100cm3/g以下である。積算細孔容積V0が上記の範囲内にあることにより、被加工物に付与する平坦性と、スラリーとの親和性とのバランスが一層向上する傾向にある。
また、本実施形態における樹脂シートの細孔分布において、0.050μm以上360μm以下の細孔径の範囲での積算細孔容積V0’は、本実施形態における積算細孔容積V0と積算細孔容積V’の和として特定することができ、上記と同様の観点から、好ましくは0.040cm3/g以上0.200cm3/g以下であり、より好ましくは0.050cm3/g以上0.180cm3/g以下であり、更に好ましくは0.060cm3/g以上0.160cm3/g以下である。
本実施形態において、積算細孔容積V、積算細孔容積V’、積算細孔容積V’’、積算細孔容積V0、積算細孔容積V0’最大ピークのピーク位置、ピークの数、及びピーク高さの値は、接触角130°、水銀表面張力485dyn/cmとした水銀圧入法により測定される細孔分布から算出されるが、より詳細な水銀圧入法の測定条件は、実施例に記載の方法を参照することができる。また、積算細孔容積V、積算細孔容積V’、積算細孔容積V’’、積算細孔容積V0、積算細孔容積V0’最大ピークのピーク位置、ピークの数、及びピーク高さの値を制御する方法としては、特に限定されないが、例えば、後述する本実施形態のラッピングパッドの製造方法によりラッピングパッドを得ればよい。
(樹脂シートの構造)
本実施形態における樹脂シートは、ミクロ相分離構造を有することが好ましい。本明細書中、「ミクロ相分離構造」は、ミクロ相分離を経て形成された相分離構造を意味する。また、本明細書中、「ミクロ相分離」とは、巨視的には均質な物体において、微視的(典型的には、マイクロメートルオーダー)な構造パターンが少なくとも1次元の周期性をもって繰り返されるように生じる相分離を意味する。ミクロ相分離は、例えば、後述する本実施形態のラッピングパッドの製造方法における好ましい製造条件を採用することで生じさせることができる。ミクロ相分離構造の典型例としては、以下に限定されないが、球状構造(海島構造)、シリンダー構造、ラメラ構造、及び三次元網目構造が挙げられる。本実施形態におけるミクロ相分離構造は、好ましくは、シリンダー構造、ラメラ構造及び三次元網目構造を含み、より好ましくは三次元網目構造である。
本明細書中、三次元網目構造は、三次元方向に網目状のネットワークを形成した構造を意味する。ミクロ相分離由来の三次元網目構造としては、シングルジャイロイド構造及び/又はダブル(多重)ジャイロイド構造を含むものであってもよい。本明細書において、シングルジャイロイド構造は、典型的には、2つの三叉路が捻じれて対となった細線構造が組み合わさって単位胞を形成し、それが周期的に繰り返されたネットワーク構造を意味し、ダブル(多重)ジャイロイド構造は、2以上のシングルジャイロイド構造が入れ子に組み合わされた構造を意味する。
従来の発泡剤や不活性気体の注入等に由来する連続発泡構造を有する樹脂シートの断面は略球状の発泡断面と樹脂平坦部(つまり、樹脂の海と空隙の島との海島状)が観察される傾向にある。一方、本実施形態における樹脂シートがダブル(多重)ジャイロイド構造を有する場合、その断面では、典型的には、2つ以上の樹脂がマイクロメーターオーダーでまだら状に入り組んで相分離した構造が観察される傾向にある。また、本実施形態における樹脂シートがシングルジャイロイド構造を有する場合、その断面では、典型的には、不定形の空隙断面と樹脂骨格/樹脂骨格断面とが観察される。樹脂骨格部が空隙と比較して充分に大きい場合では、樹脂骨格部が観察できず実質的に樹脂の海状に観察される場合があるが、この場合でも本実施形態における樹脂シートの空隙は、三次元網目状に相互に連通して形成されている。
なお、本実施形態における樹脂シートの断面を観察したときに、2つ以上の樹脂のまだら状模様と、不定形の空隙断面と樹脂骨格/樹脂骨格断面との両方の特徴が観察され、すなわち、ダブル(多重)ジャイロイド構造とシングルジャイロイド構造との境界が明確に区別できない場合もあるが、この場合はシングルジャイロイド構造及びダブル(多重)ジャイロイド構造の少なくとも一方を含むものと評価できる。
本実施形態における樹脂シートがシングルジャイロイド構造及び/又はダブル(多重)ジャイロイド構造を有する場合も、典型的にはLog微分細孔容積分布において0.100μm以上10.0μm以下の細孔径の範囲内にシャープなピーク(極大値)が計測される。
以下、本実施形態のラッピングパッドにおいて観察される好ましい構造について詳述するが、いずれもミクロ相分離由来の構造であることを前提とするものである。
本実施形態における樹脂シートは、組成が異なる2以上の相を含むことができる。本明細書において、相の「組成」とは、相の主成分である樹脂、及び相に含まれる主成分以外の成分の両方を包含し、さらにこれらの配合比も考慮するものである。したがって、本実施形態における樹脂シートが有するミクロ相分離構造は、相の主成分である樹脂、及び相に含まれる主成分以外の成分の少なくともいずれかが互いに異なる2以上の相を含むことができ、典型的には、相の主成分である樹脂の構造、平均分子量、及び官能基の少なくとも1以上が異なる2以上の相を含むことができる。
組成が異なる2つの相の例示としては、例えば、一方の相と他方の相とで、相を構成する樹脂の種類が異なる場合;一方の相と他方の相とで、含有する添加物の含有量が異なる場合;並びに、樹脂シートがABブロックポリマーからなる場合であって、一方の相がAブロックを主成分とする相であり、他方の相がBブロックを主成分とする相である場合が挙げられる。
組成が互いに異なる2つの相を含むミクロ相分離構造の典型的な例示としては、第1の相が所定のプレポリマーと所定の硬化剤とが硬化した相であり、第2の相が、第1の相におけるプレポリマーとは異なるプレポリマーと第1の相における硬化剤とが硬化した相である場合;第1の相が所定のプレポリマーと所定の硬化剤とが硬化した相であり、第2の相が、第1の相におけるプレポリマーと第1の相における硬化剤とは異なる硬化剤が硬化した相である場合;並びに、第1の相が所定のプレポリマーと所定の硬化剤とが硬化した相であり、第2の相が、第1の相におけるプレポリマーとは異なるプレポリマーと第1の相における硬化剤とは異なる硬化剤が硬化した相である場合等が挙げられる。
本実施形態における樹脂シートは、ミクロ相分離に起因する空隙を有することができる。かかる空隙は、ミクロ相分離構造を構成する空隙と換言してもよく、その具体例としては、以下に限定されないが、ジャイロイド構造を与える樹脂骨格により画成される空隙等が挙げられる。なお、本明細書において、空隙は、細孔に由来するものであってもよいし、複数の細孔が連通した連通孔に由来するものであってもよい。
本実施形態におけるミクロ相分離構造を有する樹脂シートは、例えば、後述する本実施形態のラッピングパッドの製造方法により得ることができる。また、樹脂シートがミクロ相分離構造を有することは、倍率は300倍~3000倍程度で走査型電子顕微鏡(SEM)により観察することで確認することができる。
なお、樹脂シートが、組成が異なる2以上の相を含むミクロ相分離構造を有していることないし前述した空隙を有していることは、光学顕微鏡、及び位相差顕微鏡のような光学的方法、走査型電子顕微鏡、及び透過型電子顕微鏡のような電子顕微鏡を用いた方法、光散乱、中性子線小角散乱、及びX線小角散乱のような粒子の散乱を用いた方法、X線回折法、蛍光法、並びにパルスNMR測定法等の方法を用いて観測することができる。
(樹脂シートの平均厚さ)
本実施形態における樹脂シートの平均厚さは、特に限定されないが、好ましくは0.5mm以上10.0mm以下であり、より好ましくは0.6mm以上8.0mm以下であり、更に好ましくは0.7mm以上5.0mm以下である。
(樹脂シートの物性)
本実施形態における樹脂シートの圧縮率は、特に限定されないが、好ましくは0.1%以上10.0%以下であり、より好ましくは0.5%以上5.0%以下である。なお、樹脂シートの圧縮率は、日本産業規格(JIS L 1021)に従い、ショッパー型厚さ測定器(加圧面:直径1cmの円形)を使用して求めることが出来る。具体的には、無荷重状態から初荷重を30秒間かけた後の厚さt0を測定し、次に、厚さt0の状態から最終圧力を30秒間かけた後の厚さt1を測定することにより、以下の式から算出することができる。なお、初荷重は100g/cm2、最終圧力は1120g/cm2である。
圧縮率(%)=100×(t0-t1)/t0
本実施形態における樹脂シートの圧縮弾性率は、特に限定されないが、好ましくは65%以上98%以下であり、より好ましくは70%以上95%以下である。なお、樹脂シートの圧縮弾性率は、日本産業規格(JIS L 1021)に従い、ショッパー型厚さ測定器(加圧面:直径1cmの円形)を使用して求めることが出来る。具体的には、無荷重状態から初荷重を30秒間かけた後の厚さt0を測定し、次に、厚さt0の状態から最終圧力を30秒間かけた後の厚さt1を測定し、更に、厚さt1の状態から全ての荷重を除き、5分間放置(無荷重状態)とした後、再び初荷重を30秒間かけた後の厚さt0’を測定することにより、以下の式から算出することができる。なお、初荷重は100g/cm2、最終圧力は1120g/cm2である。
圧縮弾性率(%)=100×(t0’-t1)/(t0-t1)
本実施形態における樹脂シートのショアD硬度は、特に限定されないが、好ましくは30以上90以下であり、より好ましくは40以上80以下である。なお、樹脂シートのショアD硬度は、日本産業規格(JIS K 7311)に従い、D型硬度計を使用して求めることが出来る。
(樹脂シートの材料)
本実施形態における樹脂シートの材料は特に限定されない。樹脂シートの材料としては、例えば、ポリウレタン樹脂が挙げられる。ポリウレタン樹脂としては、特に限定されないが、例えば、ポリエステル系ポリウレタン樹脂、ポリエーテル系ポリウレタン樹脂、及びポリカーボネート系ポリウレタン樹脂が挙げられる。これらは1種を単独で又は2種以上を組み合わせて用いてもよい。
これらの中でも、本実施形態における樹脂シートの材料は、ポリエステル系ポリウレタン樹脂、及びポリエーテル系ポリウレタン樹脂の少なくともいずれかを含むことが好ましい。特に、本実施形態のラッピングパッドの製造方法において後述する、ウレタンプレポリマーと、少なくとも2種の硬化剤とを含む混合液の硬化物であるポリウレタン樹脂を含むことが好ましい。このような樹脂を用いることにより、簡便に、密度及び細孔分布を上記の範囲内とすることができる傾向にある。
また、本実施形態における樹脂シートは、樹脂成分以外に、添加剤に由来する成分を含有していてもよい。そのような添加剤としては、例えば、本実施形態のラッピングパッドの製造方法において後述する、消泡剤、触媒、発泡剤、整泡剤、砥粒、染料、顔料、中実微粒子、難燃剤、親水化剤、疎水化剤、耐光剤、酸化防止剤、及び帯電防止剤等が挙げられる。
[ラッピングパッドの製造方法]
本実施形態のラッピングパッドの製造方法は、少なくとも1種のプレポリマーと少なくとも2種の硬化剤との混合液を硬化させることにより、ミクロ相分離構造を有する樹脂シートを得る工程を含む。このような方法によれば、簡便に本実施形態のラッピングパッドを製造することができる。以下、ラッピングパッドの製造方法の各工程を詳述する。
(混合工程)
本実施形態のラッピングパッドの製造方法は、少なくとも1種のプレポリマーと少なくとも2種の硬化剤との混合液を調製する混合工程を含むことができる。混合工程において、少なくとも2種の硬化剤を用いることにより、混合工程の後の成形工程において、ミクロ相分離構造を有する樹脂シートを得ることができる。特に、硬化剤を2種以上用いてミクロ相分離構造を形成することにより、プレポリマーを2種以上用いてミクロ相分離構造を形成する場合よりも、硬化反応を制御しやすく、ミクロ相分離構造の形状を容易に制御することができる傾向にある。
混合工程は、例えば、30℃~90℃に加温した少なくとも1種のプレポリマーと、少なくとも2種の硬化剤とを温度調整可能なジャケット付き混合機に投入し、30℃~130℃で攪拌すればよい。この際、必要に応じて攪拌機付きジャケット付きのタンクに混合液を受けて熟成させてもよい。攪拌時間は混合機の歯数や回転数、クリアランス等によって適宜調整するが、例えば0.1秒~60秒である。
(硬化剤)
混合工程において用いられる硬化剤は特に限定されないが、例えば、アミノ基含有化合物、及び水酸基含有化合物が挙げられる。アミノ基含有化合物としては、特に限定されないが、例えば、4,4’-メチレンビス(2-クロロアニリン)(MOCA)、エチレンジアミン、プロピレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン、イソホロンジアミン、ジシクロヘキシルメタン-4,4’-ジアミン、4-メチル-2,6-ビス(メチルチオ)-1,3-ベンゼンジアミン、2-メチル-4,6-ビス(メチルチオ)-1,3-ベンゼンジアミン、2,2-ビス(3-アミノ-4-ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2-ビス[3-(イソプロピルアミノ)-4-ヒドロキシフェニル]プロパン、2,2-ビス[3-(1-メチルプロピルアミノ)-4-ヒドロキシフェニル]プロパン、2,2-ビス[3-(1-メチルペンチルアミノ)-4-ヒドロキシフェニル]プロパン、2,2-ビス(3,5-ジアミノ-4-ヒドロキシフェニル)プロパン、2,6-ジアミノ-4-メチルフェノール、トリメチルエチレンビス-4-アミノベンゾネート、及びポリテトラメチレンオキサイド-ジ-p-アミノベンゾネート等が挙げられる。アミノ基含有化合物としては、4,4’-メチレンビス(2-クロロアニリン)が好ましい。
水酸基含有化合物としては、特に限定されないが、例えば、エチレングリコール、プロピレングリコール、ジエチレングリコール、トリメチレングリコール、テトラエチレングリコール、トリエチレングリコール、ジプロピレングリコール、1,4-ブタンジオール、1,3-ブタンジオール、2,3-ブタンジオール、1,2-ブタンジオール、3-メチル-1,2-ブタンジオール、1,2-ペンタンジオール、1,4-ペンタンジオール、2,4-ペンタンジオール、2,3-ジメチルトリメチレングリコール、テトラメチレングリコール、3-メチル-4,3-ペンタンジオール、3-メチル-4,5-ペンタンジオール、2,2,4-トリメチル-1,3-ペンタンジオール、1,6-ヘキサンジオール、1,5-ヘキサンジオール、1,4-ヘキサンジオール、2,5-ヘキサンジオール、1,4-シクロヘキサンジメタノール、ネオペンチルグリコール、グリセリン、トリメチロールプロパン、トリメチロールエタン、トリメチロールメタン、ポリテトラメチレングリコール、ポリエチレングリコール、及びポリプロピレングリコール等が挙げられる。反応を制御する観点から、水酸基含有化合物としては、3官能以上のものよりも、2官能(ジオール)のものを用いることが好ましい。また、水酸基含有化合物としては、ポリテトラメチレングリコールがより好ましい。
なお、上記の硬化剤は、2種以上を組み合わせて用いられる。硬化剤の組み合わせは特に限定されないが、後述する組み合わせであると好ましい。
硬化剤の活性水素当量(例えば、NH2当量、及びOH当量)は、特に限定されず、例えば50以上5000以下であってもよく、100以上4000以下であってもよく、130以上3000以下であってもよい。また、水酸基含有化合物である硬化剤のOH当量は、100以上5000以下であってもよく、200以上4000以下であってもよく、300以上3000以下であってもよい。アミノ基含有化合物である硬化剤のNH2当量は、50以上2000以下であってもよく、75以上1000以下であってもよく、100以上300以下であってもよい。
混合工程において、少なくとも2種の硬化剤が用いられる。硬化剤の組み合わせとしては、互いに相溶性が低い、及び/又は反応性が異なる、及び/又は活性水素当量が異なる硬化剤を用いることが好ましい。そのような態様によれば、ミクロ相分離構造を一層確実に得ることができる傾向にある。反応性が異なる硬化剤の組み合わせの例としては、例えば、活性水素基が異なる硬化剤の組み合わせが挙げられ、より具体的には、例えば、アミノ基含有化合物及び水酸基含有化合物の組み合わせが挙げられる。
同一の活性水素基を有する硬化剤を2種以上用いる場合、すなわち、水酸基含有化合物を2種以上用いるか、アミノ基含有化合物を2種以上用いる場合は、好ましくは、かかる2種以上の硬化剤は、活性水素当量の差が500以上2000以下である2つの硬化剤を含む。より好ましくは、かかる2種以上の硬化剤は、活性水素当量が200以上500以下である硬化剤と、活性水素当量が1000以上2000以下である硬化剤とを含む。
同一の活性水素基を有する硬化剤を2種以上用いる場合であって、かかる2種以上の硬化剤が、活性水素当量の差が500以上2000以下である2つの硬化剤を含む場合、活性水素当量の小さい硬化剤の使用量と活性水素当量の大きい硬化剤の使用量との比は、「活性水素当量の小さい硬化剤:活性水素当量の大きい硬化剤」が、活性水素基数比で、1:1~15:1であることが好ましく、1:1~10:1であることがより好ましい。
同一の活性水素基を有する硬化剤を2種以上用いる場合であって、かかる2種以上の硬化剤が、活性水素当量が200以上500以下である硬化剤と、活性水素当量が1000以上2000以下である硬化剤とを含む場合、活性水素当量が200以上500以下である硬化剤の使用量と活性水素当量が1000以上2000以下である硬化剤の使用量との比は、「活性水素当量が200以上500以下である硬化剤:活性水素当量が1000以上2000以下である硬化剤」が、活性水素基数比で、1:1~15:1であることが好ましく、1:1~10:1であることがより好ましい。
具体的な好ましい硬化剤の組み合わせとして、少なくとも2種の硬化剤は、好ましくは、アミノ基含有化合物と、水酸基含有化合物とを含む。少なくとも2種の硬化剤は、より好ましくは、1種のアミノ基含有化合物と、2種以上の水酸基含有化合物とを含むか、2種以上のアミノ基含有化合物と、1種の水酸基含有化合物とを含む。少なくとも2種の硬化剤は、更に好ましくは、1種のアミノ基含有化合物と、2種以上の水酸基含有化合物とを含む。
少なくとも2種の硬化剤が、アミノ基含有化合物と水酸基含有化合物とを含む場合、アミノ基含有化合物のNH2当量と、水酸基含有化合物のOH当量の差は特に限定されないが、水酸基含有化合物のOH当量の方が大きいことが好ましく、水酸基含有化合物のOH当量がアミノ基含有化合物のNH2当量に比べて、100以上2000以下大きいことがより好ましい。
少なくとも2種の硬化剤が、アミノ基含有化合物と水酸基含有化合物とを含む場合、硬化剤の使用量の全体に対するアミノ基含有化合物である硬化剤の使用量の割合は、官能基数比で、35%以上95%以下であることが好ましく、40%以上90%以下であることがより好ましい。
好ましい硬化剤の組み合わせの一例としては、例えば、少なくとも2種の硬化剤は、NH2当量が100以上300以下である第1の硬化剤(アミノ基含有化合物)と、OH当量が200以上600以下である第2の硬化剤(水酸基含有化合物)と、OH当量が1000以上2000以下である第3の硬化剤(水酸基含有化合物)とを含む。第1の硬化剤の使用量と、第2の硬化剤の使用量と、第3の硬化剤の使用量の比は、特に限定されないが、第1の硬化剤の使用量は、硬化剤の使用量全体に対して、官能基数比で、30%以上95%以下であることが好ましく、40%以上90%以下であることがより好ましい。第2の硬化剤の使用量は、硬化剤の使用量全体に対して、官能基数比で、1%以上70%以下であることが好ましく、5%以上60%以下であることがより好ましい。第3の硬化剤の使用量は、硬化剤の使用量全体に対して、官能基数比で、3%以上60%以下であることが好ましく、5%以上50%以下であることがより好ましい。
一般に、硬化剤の使用量の合計は、プレポリマーが有する官能基の数を1としたときの、硬化剤に存在する活性水素基(アミノ基及び水酸基)の当量比であるR値により規定される。硬化剤の使用量の合計は、R値が0.7以上1.3以下になるように調整されることが好ましい。R値は、より好ましくは0.8以上1.2以下である。
なお、上記の好ましい硬化剤の組み合わせを適当な使用量で用いることにより、一層確実に、接触角130°、水銀表面張力485dyn/cmとした水銀圧入法により測定した細孔分布において、0.100μm以上10.0μm以下の細孔径の範囲での積算細孔容積Vが、0.020cm3/g以上0.100cm3/g以下である樹脂シート、及び/又は、ミクロ相分離構造を有する樹脂シートを得ることができる。なお、硬化剤の組み合わせとして、互いに相溶性が低い2種以上の硬化剤を用いる、互いに反応性が異なる2種以上の硬化剤を用いる、及び/又は、活性水素当量が異なる硬化剤を用いることができる。仮に、そのような組み合わせによって明瞭なミクロ相分離構造を有する樹脂シートが得られない場合であっても、互いの相溶性が高くなるように硬化剤の種類を変更する、互いの反応性が類似するものとなるように硬化剤を変更する、及び/又は、互いの活性水素当量が近づくように硬化剤を変更する等の調整を行うことにより、ミクロ相分離構造を有する樹脂シートが得られる傾向にある。
(プレポリマー)
混合工程において用いられるプレポリマーとしては、特に限定されないが、例えば、ウレタンプレポリマーが挙げられる。ウレタンプレポリマーとしては、例えば、ヘキサメチレンジイソシアネートとヘキサントリオールとの付加物;2,4-トリレンジイソシアネートとプレンツカテコールとの付加物;2,4-トリレンジイソシアネートとポリ(オキシテトラメチレン)グリコールとジエチレングリコールとの付加物;トリレンジイソシアネートとヘキサントリオールとの付加物;トリレンジイソシアネートとトリメチロールプロパンとの付加物;キシリレンジイソシアネートとトリメチロールプロパンとの付加物;ヘキサメチレンジイソシアネートとトリメチロールプロパンとの付加物;及びイソシアヌル酸とヘキサメチレンジイソシアネートとの付加物が挙げられる。また、これ以外の、ポリイソシアネート化合物とポリオール化合物との反応により調製されるイソシアネート基含有化合物や、市販されている多様なウレタンプレポリマーを用いてもよい。
イソシアネート基含有化合物の調製に用いられるポリイソシアネート化合物としては、分子内に2つ以上のイソシアネート基を有していれば特に限定されるものではない。例えば、分子内に2つのイソシアネート基を有するジイソシアネート化合物としては、m-フェニレンジイソシアネート、p-フェニレンジイソシアネート、2,6-トリレンジイソシアネート(2,6-TDI)、2,4-トリレンジイソシアネート(2,4-TDI)、ナフタレン-1,4-ジイソシアネート、ジフェニルメタン-4,4’-ジイソシアネー卜(MDI)、4,4’-メチレン-ビス(シクロヘキシルイソシアネート)(水添MDI)、3,3’-ジメトキシ-4,4’-ビフェニルジイソシアネート、3,3’-ジメチルジフェニルメタン-4,4’-ジイソシアネート、キシリレン-1、4-ジイソシアネート、4,4’-ジフェニルプロパンジイソシアネート、トリメチレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、プロピレン-1,2-ジイソシアネート、ブチレン-1,2-ジイソシアネート、シクロヘキシレン-1,2-ジイソシアネート、シクロヘキシレン-1,4-ジイソシアネート、p-フェニレンジイソチオシアネート、キシリレン-1,4-ジイソチオシアネート、及びエチリジンジイソチオシアネート等が挙げられる。
これらのポリイソシアネート化合物は、単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。ポリイソシアネート化合物としては、ジイソシアネート化合物が好ましく、2,4-TDI、及び2,6-TDI、MDIがより好ましい。
イソシアネート基含有化合物の調製に用いられるポリオール化合物としては、例えば、エチレングリコール、ジエチレングリコール(DEG)、ブチレングリコール等のジオール化合物、トリオール化合物等;ポリプロピレングリコール(PPG)、及びポリ(オキシテトラメチレン)グリコール(PTMG)等のポリエーテルポリオール化合物;エチレングリコールとアジピン酸との反応物やブチレングリコールとアジピン酸との反応物等のポリエステルポリオール化合物;ポリカーボネートポリオール化合物、並びにポリカプロラクトンポリオール化合物等が挙げられる。また、エチレンオキサイドを付加した3官能性プロピレングリコールを用いることもできる。ポリオール化合物は単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
ウレタンプレポリマーのNCO当量は、好ましくは150以上700以下であり、より好ましくは200以上600以下であり、更に好ましくは200以上500以下である。「NCO当量」とは、“(ポリイソシアネート化合物の質量部+ポリオール化合物の質量部)/[(ポリイソシアネート化合物1分子当たりの官能基数×ポリイソシアネート化合物の質量部/ポリイソシアネート化合物の分子量)-(ポリオール化合物1分子当たりの官能基数×ポリオール化合物の質量部/ポリオール化合物の分子量)]”で求められる、NCO基1個当たりのウレタンプレポリマーの分子量を示す数値である。
混合工程において、少なくとも1種のプレポリマーが用いられる。プレポリマーは上記のものを2種以上組み合わせて用いてもよいが、好ましくは1種を単独で用いられる。そのような態様によれば、硬化反応を制御しやすく、ミクロ相分離構造の形状を容易に制御することができる傾向にある。プレポリマーとして、トリレンジイソシアネートを主成分とするウレタンプレポリマーを単独で用いることが好ましい。
プレポリマーの使用量は特に限定されないが、混合液全体に対して、好ましくは30質量部以上80質量部以下であり、より好ましくは40質量部以上75質量部以下である。
(添加剤)
混合工程において、プレポリマー及び硬化剤以外の成分を添加剤として混合してもよい。添加剤としては、ポリプロピレングリコールのような溶媒(希釈剤);シリコーン系消泡剤のような消泡剤;触媒;水や中空微粒子のような発泡剤;シリコーン系整泡剤のような整泡剤;並びに、酸化セリウムのようなフィラー(砥粒);染料;顔料;中実微粒子;難燃剤;親水化剤;疎水化剤;耐光剤;酸化防止剤;帯電防止剤等が挙げられる。得られる樹脂シートの密度を0.9g/cm3以上1.3g/cm3以下とする観点から、発泡剤は添加しないか、添加量を少量とすることが好ましく、消泡剤を使用することがより好ましい。
混合工程において、添加する触媒の種類及び使用量を調整することにより、硬化反応の反応速度を制御し、形成されるミクロ相分離構造を制御することができる。
(成形工程)
成形工程は、上記のようにして得られた混合液を硬化させることによりミクロ相分離構造を有する樹脂シートを得る工程である。成形工程は、例えば、混合工程により得られた混合液を30℃~150℃に予熱した型枠内に流し込み、30℃~150℃程度で10分~5時間程度加熱すればよい。これにより、プレポリマーと硬化剤とが反応して樹脂を形成することにより、上記混合液が硬化する。また、更に、オーブンにより、50℃~180℃程度で10分~12時間程度加熱することで、2次硬化してもよい。本実施形態のラッピングパッドの製造方法では、混合液が上記のものであるため、ミクロ相分離構造を有する樹脂ブロックを得ることができる。
なお、成形工程における混合液を硬化させる際の反応温度は、用いるプレポリマー、硬化剤及び添加剤の種類や配合比等によって適宜調整することができ、反応温度を調整することにより、硬化反応の反応速度を制御し、形成されるミクロ相分離構造を制御することができる傾向にある。
また、成形工程では、上記のようにして得られた樹脂ブロックから、適当な厚さの樹脂シートを切り出すことにより、ミクロ相分離構造を有する樹脂シートを得る。得られた樹脂シートは、30℃~150℃で1時間~24時間程度エイジングしてもよい。
このようにして得られた樹脂シートは、例えば、その後、片面に両面テープが貼り付けられ、所定形状、好ましくは円板状にカットされて、本実施形態のラッピングパッドとして完成する。両面テープとしては、特に限定されず、従来公知の両面テープの中から任意に選択して用いることができる。
また、本実施形態のラッピングパッドは、樹脂シートのみからなる単層構造であってもよく、樹脂シートの片面に他の層(クッション層、又は基板層)を貼り合わせた複層からなっていてもよい。複層構造を有する場合には、両面テープや接着剤等を用いて、複数の層同士を必要により加圧しながら接着、固定すればよい。用いられる両面テープ、及び接着剤としては、特に限定されず、従来公知の両面テープ及び接着剤の中から任意に選択して用いることができる。
更に、本実施形態のラッピングパッドは、必要に応じて、必要に応じて、表面に溝加工、エンボス加工、及び/又は、穴加工(パンチング加工)を施してもよい。溝加工及びエンボス加工の形状に特に限定はなく、例えば、格子型、同心円型、放射型などの形状が挙げられる。
また、ラッピングパッドは、樹脂シートの表面及び/又は裏面にドレス(研削処理)を施してもよい。本実施形態のラッピングパッドの製造方法における樹脂シートは、高密度であるものの、連通した細孔を有するため、ドレス性に優れ、容易な条件でドレス処理をすることができる。ドレス処理としては、特に限定されず、ダイヤモンドドレッサーによる研削等の公知の方法によりドレスすることができる。
[ラップ加工物の製造方法]
本実施形態のラップ加工物の製造方法は、スラリーの存在下、上記のラッピングパッドを用いて、被加工物をラップ加工し、ラップ加工物を得るラッピング工程を有する。
本実施形態のラップ加工物の製造方法においては、スラリーの供給と共に、保持定盤で被加工物をラッピングパッド側に押圧しながら、保持定盤とラッピング用定盤とを相対的に回転させることで、被加工物の加工面がラッピングパッドの作用を受けてラップ加工される。保持定盤とラッピング用定盤は、互いに異なる回転速度で同方向に回転してもよく、異方向に回転してもよい。また、被加工物は、ラップ加工中に、枠部の内側で移動(自転)しながらラップ加工されてもよい。
スラリーは、被加工物やラッピング条件等に応じて、水、過酸化水素に代表される酸化剤、酸成分、アルカリ成分等の化学成分、添加剤、並びに砥粒(研磨粒子;例えば、ダイヤモンド、SiC、B4C、及びAl23)等を含んでいてもよい。
また、被加工物としては、特に限定されないが、例えば、レンズ、平行平面板、及び反射ミラーのような光学材料、SiC円盤のような半導体ウェハ材料、結晶体、金属、石材、木材、樹脂材、並びにセラミック等の材料が挙げられる。
以下、実施例及び比較例を用いて本実施形態をより具体的に説明する。本実施形態は、以下の実施例によって何ら限定されるものではない。
[水銀圧入法による積算細孔容積(細孔分布)の測定]
樹脂シートの積算細孔容積(細孔分布)は、水銀圧入法により測定した。厚み2mmの樹脂シートから10mm角の試料片を切り出し測定に用いた。積算細孔容積の測定は、接触角130°、水銀表面張力485dyn/cmの条件で、マイクロメリティックス社製の製品名「Auto Pore III」を用いて行った。水銀圧を0.5psiaから30000psiaに掃引することにより、細孔径360μmから細孔径0.005μmまでの積算細孔容積を求めた。細孔分布は、ポロシメーター用データ処理ソフト(島津製作所製、製品名「POREPLOT-PCW」)を用いて求めた。なお、各測定結果について、細孔径360μmから細孔径0.100μmまでの細孔分布を示す。
[樹脂シートの観察]
樹脂シートが、ミクロ相分離構造を有するか否かについては、走査型電子顕微鏡(SEM)による観察により確認した。SEM観察の倍率は300倍~3000倍程度とした。
[実施例1]
2,4-トリレンジイソシアネート(TDI)を主成分とするNCO当量407のウレタンプレポリマーを用意した。
上記のウレタンプレポリマー48.7質量部に、4,4’-メチレンビス(2-クロロアニリン)(MOCA)(NH2当量134)14.1質量部、ポリテトラメチレングリコール(OH当量325)5.7質量部、及びポリプロピレングリコール(OH当量1345)11.3質量部を混合した。更に、上記混合液に、シリコーン系消泡剤(DOW CORNING社製、製品名「71additive」)0.25質量部、触媒(東ソー株式会社製、製品名「トヨキャットET」)0.01質量部、及び砥粒としての酸化セリウムフィラー20.0質量部を添加することにより、樹脂シートの前駆体となる混合液を得た。混合液のR値は1.1であった。
得られた混合液を、50℃に予熱した型枠に注型して、15分間、50℃にて1次硬化させた。形成されたブロック状の成形物を型枠から抜き出し、オーブンにて8時間、120℃で、2次硬化し、ウレタン樹脂ブロックを得た。得られたウレタン樹脂ブロックを25℃まで放冷した後、スライス処理を施し、厚さ2.0mmの樹脂シートを得た。
得られた樹脂シートの密度は、1.2g/cm3、ショアD硬度は54度、圧縮率は0.8%、圧縮弾性率は85%であった。細孔分布の測定結果を図1に示す。また、細孔分布から求められる、0.100μm以上10.0μm以下の細孔径の範囲での積算細孔容積V、0.050μm以上0.100μm未満の細孔径の範囲での積算細孔容積V’、0.100μm以上360μm以下の細孔径の範囲での積算細孔容積V0、比V/V0を表1に示す。
また、樹脂シートの表面を走査型電子顕微鏡により観察したところ、ミクロ相分離構造(三次元網目構造)を有することが確かめられた。具体的には、組成の異なる少なくとも2種の樹脂がまだら状に入り組んだ構造が観察され、少なくともダブルジャイロイド構造を有するものと評価された。より具体的には、SEM像の一例を図2(A)に示す。図2(B)において破線で囲っているように、複数個所においてミクロ相分離構造が確認された。
[実施例2]
実施例1と同様のウレタンプレポリマーを54.0質量部、4,4’-メチレンビス(2-クロロアニリン)(MOCA)(NH2当量134)を9.6質量部、ポリテトラメチレングリコール(OH当量325)を22.9質量部、ポリプロピレングリコール(OH当量1345)を13.2質量部、シリコーン系消泡剤(DOW CORNING社製、製品名「71additive」)を0.33質量部、触媒(東ソー株式会社製、製品名「トヨキャットET」)を0.01質量部混合して樹脂シートの前駆体となる混合液を得た。なお、混合液のR値は、0.9であった。
得られた混合液を、70℃に予熱した型枠に注型して、10分間、70℃にて1次硬化させた。形成されたブロック状の成形物を型枠から抜き出し、オーブンにて15分、120℃で、2次硬化し、ウレタン樹脂ブロックを得た。得られたウレタン樹脂ブロックを25℃まで放冷した後、スライス処理を施し、厚さ2.0mmの樹脂シートを得た。
得られた樹脂シートの密度は、1.1g/cm3、ショアD硬度は64度、圧縮率は1.3%、圧縮弾性率は80%であった。得られた樹脂シートの積算細孔容積V、0.050μm以上0.100μm未満の細孔径の範囲での積算細孔容積V’、積算細孔容積V0、比V/V0の値は、それぞれ、0.020cm3/g以上0.100cm3/g以下、0.000cm3/g以上0.120cm3/g以下、0.040cm3/g以上0.120cm3/g以下、及び50%以上であった。当該樹脂シートの表面を走査型電子顕微鏡により観察したところ、樹脂の海部と空隙の島部の構造は観察されず、少なくともシングルジャイロイド構造を有するものと評価された。SEM像の一例を図3に示す。
[比較例1]
2,4-トリレンジイソシアネート(TDI)を主成分とする第1のウレタンプレポリマー(NCO当量400)、及びヘキサメチレンジイソシアネートを主成分とする第2のウレタンプレポリマー(NCO当量200)を用意した。
第1のウレタンプレポリマー51.6質量部、及び第2のウレタンプレポリマー17.2質量部に、4,4’-メチレンビス(2-クロロアニリン)(MOCA)(NH2当量134)23.3質量部、及びポリテトラメチレングリコール(OH当量500)4.7質量部を混合した。更に、上記混合液に、希釈剤としてのポリエーテル1.39質量部、シリコーン系消泡剤(DOW CORNING社製、製品名「71additive」)1.67質量部、触媒(東ソー株式会社製、製品名「トヨキャットET」)0.04質量部、発泡剤としての水0.07質量部、及びシリコーン系整泡剤(東レ・ダウコーニング株式会社製、製品名「SH193」)0.10質量部を添加することにより、樹脂シートの前駆体となる混合液を得た。混合液のR値は0.9であった。
得られた混合液を、50℃に予熱した型枠に注型して、15分間、50℃にて1次硬化させた。形成されたブロック状の成形物を型枠から抜き出し、オーブンにて8時間、120℃で、2次硬化し、ウレタン樹脂ブロックを得た。得られたウレタン樹脂ブロックを25℃まで放冷した後、スライス処理を施し、厚さ2.0mmの樹脂シートを得た。
得られた樹脂シートの密度は、1.1g/cm3、ショアD硬度は69度、圧縮率は1.1%、圧縮弾性率は90%であった。細孔分布の測定結果を図4に示す。また、細孔分布から求められる、0.100μm以上10.0μm以下の細孔径の範囲での積算細孔容積V、0.100μm以上360μm以下の細孔径の範囲での積算細孔容積V0、比V/V0を表1に示す。
また、樹脂シートの表面を走査型電子顕微鏡により観察したところ、ミクロ相分離構造は確認されなかった。SEM像の一例を図5に示す。比較例1では、少なくとも、OH当量が1000以上2000以下である硬化剤が不足していることに起因して、所望とする硬化反応が進行せずミクロ相分離が生じなかったものと考えられる。
Figure 2022103097000001
実施例1~2のラッピングパッドを用いて、ラップ加工試験及びスラリーとの親和性の評価試験を行った。対照として、比較例1のラッピングパッドを用いて、同条件でラップ加工試験及びスラリーとの親和性の評価試験を行った。その結果、実施例のラッピングパッドは、比較例のラッピングパッドに比べて、被加工物に良好な平坦性を付与することができ、かつ、スラリーとの親和性に優れることがわかった。
本発明のラッピングパッドは、レンズ、平行平面板、及び反射ミラーのような光学材料、SiC円盤のような半導体ウェハ材料、結晶体、金属、石材、木材、樹脂材、並びにセラミック等の材料のラップ加工に用いられるラッピングパッドとして、産業上の利用可能性を有する。

Claims (14)

  1. 細孔を有する樹脂シートを備える、ラッピングパッドであって、
    接触角130°、水銀表面張力485dyn/cmとした水銀圧入法により測定した前記樹脂シートの細孔分布において、0.100μm以上10.0μm以下の細孔径の範囲での積算細孔容積Vが、0.020cm3/g以上0.100cm3/g以下であり、
    前記樹脂シートの密度が、0.9g/cm3以上1.3g/cm3以下である、ラッピングパッド。
  2. 前記樹脂シートの前記細孔分布において、0.050μm以上0.100μm未満の細孔径の範囲での積算細孔容積V’が、0.000cm3/g以上0.120cm3/g以下である、請求項1に記載のラッピングパッド。
  3. 前記樹脂シートの前記細孔分布において、0.100μm以上360μm以下の細孔径の範囲での積算細孔容積V0に対する、前記積算細孔容積Vの割合が、50%以上である、請求項1又は2に記載のラッピングパッド。
  4. 前記樹脂シートの前記細孔分布において、0.050μm以上360μm以下の細孔径の範囲での積算細孔容積V0’に対する、前記積算細孔容積Vの割合が、50%以上である、請求項1~3のいずれか1項に記載のラッピングパッド。
  5. 前記樹脂シートの前記細孔分布において、0.100μm以上360μm以下の細孔径の範囲における最大ピークのピーク位置が、0.100μm以上10.0μm以下の細孔径の範囲内にある、請求項1~4のいずれか1項に記載のラッピングパッド。
  6. 前記樹脂シートの前記細孔分布において、0.050μm以上360μm以下の細孔径の範囲における最大ピークのピーク位置が、0.050μm以上10.0μm以下の細孔径の範囲内にある、請求項1~5のいずれか1項に記載のラッピングパッド。
  7. 前記樹脂シートの前記細孔分布において、0.100μm以上360μm以下の細孔径の範囲での積算細孔容積V0が、0.040cm3/g以上0.120cm3/g以下である、請求項1~6のいずれか1項に記載のラッピングパッド。
  8. 前記樹脂シートの前記細孔分布において、0.050μm以上360μm以下の細孔径の範囲での積算細孔容積V0’が、0.040cm3/g以上0.200cm3/g以下である、請求項1~7のいずれか1項に記載のラッピングパッド。
  9. 前記樹脂シートが、ミクロ相分離構造を有する、請求項1~8のいずれか1項に記載のラッピングパッド。
  10. 前記樹脂シートが、ポリウレタンを含む、請求項1~9のいずれか1項に記載のラッピングパッド。
  11. 細孔を有する樹脂シートを備える、ラッピングパッドであって、
    接触角130°、水銀表面張力485dyn/cmとした水銀圧入法により測定した前記樹脂シートの細孔分布において、0.050μm以上10.0μm以下の細孔径の範囲での積算細孔容積V’’が、0.020cm3/g以上0.140cm3/g以下であり、
    前記樹脂シートの密度が0.9g/cm3以上1.3g/cm3以下である、ラッピングパッド。
  12. 請求項1~11のいずれか1項に記載のラッピングパッドを製造する方法であって、
    少なくとも1種のプレポリマーと少なくとも2種の硬化剤との混合液を硬化させることにより、ミクロ相分離構造を有する樹脂シートを得る工程を含む、ラッピングパッドの製造方法。
  13. 前記硬化剤が、NH2当量が100以上300以下である第1の硬化剤と、OH当量が200以上500以下である第2の硬化剤と、OH当量が1000以上2000以下である第3の硬化剤と、を含む、請求項12に記載のラッピングパッドの製造方法。
  14. スラリーの存在下、請求項1~11のいずれか1項に記載のラッピングパッドを用いて、被加工物をラップ加工するラッピング工程を有する、ラップ加工物の製造方法。
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