JP2022102458A - 半導体装置の製造方法、フィルム状接着剤及びその製造方法、並びにダイシング・ダイボンディング一体型フィルム - Google Patents

半導体装置の製造方法、フィルム状接着剤及びその製造方法、並びにダイシング・ダイボンディング一体型フィルム Download PDF

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Yuya Hiramoto
圭 板垣
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裕也 秋山
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Abstract

【課題】優れた放熱性を有する半導体装置の製造方法を提供すること。【解決手段】半導体装置の製造方法は、基材層40と、粘着剤層30と、フィルム状接着剤からなる接着剤層10とをこの順に備える、ダイシング・ダイボンディング一体型フィルム100を準備する工程と、ダイシング・ダイボンディング一体型フィルム100の接着剤層10に半導体ウェハWを貼り付ける工程と、接着剤層10を貼り付けた半導体ウェハWをダイシングすることによって、複数の個片化された接着剤片付き半導体チップ60を作製する工程と、接着剤片付き半導体チップ60を支持部材80に接着剤片10aを介して接着する工程とを備える。フィルム状接着剤は、第1の銀粒子と、平均粒径が第1の銀粒子よりも大きい第2の銀粒子と、熱硬化性樹脂成分とを含有する。【選択図】図3

Description

本開示は、半導体装置の製造方法、フィルム状接着剤及びその製造方法、並びにダイシング・ダイボンディング一体型フィルムに関する。
従来、半導体装置は以下の工程を経て製造される。まず、ダイシング用粘着シートに半導体ウェハを貼り付け、その状態で半導体ウェハを半導体チップに個片化する(ダイシング工程)。その後、ピックアップ工程、圧着工程、及びダイボンディング工程等が実施される。特許文献1には、ダイシング工程において半導体ウェハを固定する機能と、ダイボンディング工程において半導体チップを基板と接着させる機能とを併せ持つ粘接着フィルム(ダイシング・ダイボンディング一体型フィルム)が開示されている。ダイシング工程において、半導体ウェハ及び接着剤層を個片化することによって、接着剤片付き半導体チップを得ることができる。
近年、電力の制御等を行うパワー半導体装置と称されるデバイスが普及している。パワー半導体装置は供給される電流に起因して熱が発生し易く、優れた放熱性が求められる。特許文献2には、硬化前の放熱性より硬化後の放熱性が高い導電性フィルム状接着剤(フィルム状接着剤)及びフィルム状接着剤付きダイシングテープ(ダイシング・ダイボンディング一体型フィルム)が開示されている。
特開2008-218571号公報 特開2016-103524号公報
しかしながら、従来のフィルム状接着剤又はダイシング・ダイボンディング一体型フィルムを用いて製造される半導体装置は、放熱性が充分でなく、未だ改善の余地がある。
そこで、本開示は、優れた放熱性を有する半導体装置の製造方法を提供することを主な目的とする。
本開示の発明者らが上記課題を検討すべく検討したところ、半導体チップと支持部材とを接着する接着部材として、所定の組み合わせの銀粒子を用いたフィルム状接着剤を用いたところ、得られる半導体装置の放熱性が向上することを見出し、本開示の発明を完成するに至った。
本開示の一側面は、半導体装置の製造方法に関する。当該半導体装置の製造方法は、基材層と、粘着剤層と、フィルム状接着剤からなる接着剤層とをこの順に備える、ダイシング・ダイボンディング一体型フィルムを準備する工程と、ダイシング・ダイボンディング一体型フィルムの接着剤層に半導体ウェハを貼り付ける工程と、接着剤層を貼り付けた半導体ウェハをダイシングすることによって、複数の個片化された接着剤片付き半導体チップを作製する工程と、接着剤片付き半導体チップを支持部材に接着剤片を介して接着する工程とを備える。当該フィルム状接着剤は、第1の銀粒子と、平均粒径が第1の銀粒子よりも大きい第2の銀粒子と、熱硬化性樹脂成分とを含有する。このような半導体装置の製造方法によれば、接着部材が放熱パスを形成して高い熱伝導率を示すものとなり、得られる半導体装置は、優れた放熱性を有するものとなる。
第1の銀粒子の平均粒径及び第2の銀粒子の平均粒径はいずれも0.01~10μmであってよい。第2の銀粒子の平均粒径は、第1の銀粒子の平均粒径の2倍を超えていてもよい。
第1の銀粒子及び第2の銀粒子の合計の含有量は、フィルム状接着剤全量を基準として、75~95質量%あってよい。フィルム状接着剤全量を基準としたとき、第1の銀粒子の含有量に対する第2の銀粒子の含有量の質量比は、3.1倍以上であってよい。フィルム状接着剤全量を基準としたとき、第1の銀粒子の含有量と第2の銀粒子の含有量との質量比は、76:24~84:16であってよい。
フィルム状接着剤の硬化物の熱伝導率は、5.0W/m・K以上であってよい。
フィルム状接着剤は、エラストマーをさらに含有していてもよい。熱硬化性樹脂成分は、エポキシ樹脂及びフェノール樹脂を含んでいてもよい。エポキシ樹脂は、25℃で液状のエポキシ樹脂を含んでいてもよい。
本開示の他の一側面は、フィルム状接着剤の製造方法に関する。当該フィルム状接着剤の製造方法は、第1の銀粒子と、平均粒径が第1の銀粒子よりも大きい第2の銀粒子と、有機溶媒とを含有する原料ワニスを混合し、第1の銀粒子と、第2の銀粒子と、有機溶媒と、熱硬化性樹脂成分とを含有する接着剤ワニスを調製する工程と、接着剤ワニスを用いて、フィルム状接着剤を形成する工程とを備える。このような製造方法によって得られるフィルム状接着剤を用いることによって、優れた放熱性を有する半導体装置を作製することができる。
本開示の他の一側面は、フィルム状接着剤に関する。当該フィルム状接着剤は、第1の銀粒子と、平均粒径が第1の銀粒子よりも大きい第2の銀粒子と、熱硬化性樹脂成分とを含有する。このようなフィルム状接着剤を用いることによって、優れた放熱性を有する半導体装置を作製することができる。
本開示の他の一側面は、ダイシング・ダイボンディング一体型フィルムに関する。当該ダイシング・ダイボンディング一体型フィルムは、基材層と、粘着剤層と、上記のフィルム状接着剤からなる接着剤層とをこの順に備える。このようなダイシング・ダイボンディング一体型フィルムを用いることによって、優れた放熱性を有する半導体装置を作製することができる。
本開示は、優れた放熱性を有する半導体装置の製造方法が提供される。また、本開示によれば、優れた放熱性を有する半導体装置を製造することが可能なフィルム状接着剤及びその製造方法、並びにダイシング・ダイボンディング一体型フィルムが提供される。
図1は、フィルム状接着剤の一実施形態を示す模式断面図である。 図2は、ダイシング・ダイボンディング一体型フィルムの一実施形態を示す模式断面図である。 図3は、半導体装置の製造方法の一実施形態を示す模式断面図である。図3(a)、(b)、(c)、(d)、(e)、及び(f)は、各工程を模式的に示す断面図である。 図4は、半導体装置の一実施形態を示す模式断面図である。
以下、図面を適宜参照しながら、本開示の実施形態について説明する。ただし、本開示は以下の実施形態に限定されるものではない。以下の実施形態において、その構成要素(ステップ等も含む)は、特に明示した場合を除き、必須ではない。各図における構成要素の大きさは概念的なものであり、構成要素間の大きさの相対的な関係は各図に示されたものに限定されない。
本明細書中、「~」を用いて示された数値範囲は、「~」の前後に記載される数値をそれぞれ最小値及び最大値として含む範囲を示す。本明細書中に段階的に記載されている数値範囲において、ある段階の数値範囲の上限値又は下限値は、他の段階の数値範囲の上限値又は下限値に置き換えてもよい。また、本明細書中に記載されている数値範囲において、その数値範囲の上限値又は下限値は、実施例に示されている値に置き換えてもよい。また、個別に記載した上限値及び下限値は任意に組み合わせ可能である。また、本明細書において、「(メタ)アクリレート」とは、アクリレート、及び、それに対応するメタクリレートの少なくとも一方を意味する。「(メタ)アクリロイル」等の他の類似の表現においても同様である。また、「(ポリ)」とは「ポリ」の接頭語がある場合とない場合の双方を意味する。また、「A又はB」とは、A及びBのどちらか一方を含んでいればよく、両方とも含んでいてもよい。また、以下で例示する材料は、特に断らない限り、1種単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。組成物中の各成分の含有量は、組成物中に各成分に該当する物質が複数存在する場合、特に断らない限り、組成物中に存在する当該複数の物質の合計量を意味する。
[フィルム状接着剤]
図1は、フィルム状接着剤の一実施形態を示す模式断面図である。図1に示されるフィルム状接着剤10Aは、熱硬化性であり、半硬化(Bステージ)状態を経て、硬化処理後に完全硬化(Cステージ)状態となるものである。フィルム状接着剤10Aは、図1に示すとおり、支持フィルム20上に設けられていてもよい。フィルム状接着剤10Aは、半導体チップと支持部材との接着又は半導体チップ同士の接着に使用されるダイボンディングフィルムであり得る。
支持フィルム20としては、特に制限されないが、例えば、ポリテトラフルオロエチレン、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリメチルペンテン、ポリエチレンテレフタレート、ポリイミド等のフィルムなどが挙げられる。支持フィルムは、離型処理が施されていてもよい。支持フィルム20の厚さは、例えば、10~200μm又は20~170μmであってよい。
フィルム状接着剤10Aは、第1の銀粒子(以下、「(A)成分」という場合がある。)と、平均粒径が第1の銀粒子よりも大きい第2の銀粒子(以下、「(B)成分」という場合がある。)と、熱硬化性樹脂成分(以下、「(C)成分」という場合がある。)とを含有し、必要に応じて、エラストマー(以下、「(D)成分」という場合がある。)、カップリング剤(以下、「(E)成分」という場合がある。)、硬化促進剤(以下、「(F)成分」という場合がある。)等をさらに含有していてもよい。
(A)成分:第1の銀粒子、(B)成分:第2の銀粒子
(A)成分及び(B)成分としての銀粒子は、フィルム状接着剤における放熱性を高めるための成分である。(B)成分は、平均粒径が(A)成分よりも大きい銀粒子である。銀粒子は、例えば、銀から構成される粒子(銀単独で構成される粒子)又は金属粒子(銅粒子等)の表面を銀で被覆した銀被覆金属粒子であってもよい。銀被覆金属粒子としては、例えば、銀被覆銅粒子等が挙げられる。(A)成分及び(B)成分は、銀から構成される粒子であってよい。
(A)成分及び(B)成分としての銀粒子としては、特に制限されないが、例えば、還元法によって製造された銀粒子(還元剤を用いた液相(湿式)還元法によって製造された銀粒子)、アトマイズ法によって製造された銀粒子等が挙げられる。(A)成分及び(B)成分としての銀粒子は、いずれも還元法によって製造された銀粒子であってよい。
還元剤を用いた液相(湿式)還元法においては、通常、粒径制御、凝集・融着防止の観点から表面処理剤(滑剤)が添加されており、還元剤を用いた液相(湿式)還元法によって製造された銀粒子は、表面処理剤(滑剤)によって表面が被覆されている。そのため、還元法によって製造された銀粒子は、表面処理剤で表面処理された銀粒子ということもできる。表面処理剤は、オレイン酸(融点:13.4℃)、ミリスチン酸(融点:54.4℃)、パルミチン酸(融点:62.9℃)、ステアリン酸(融点:69.9℃)等の脂肪酸化合物、オレイン酸アミド(融点:76℃)、ステアリン酸アミド(融点:100℃)等の脂肪酸アミド化合物、ペンタノール(融点:-78℃)、ヘキサノール(融点:-51.6℃)、オレイルアルコール(融点:16℃)、ステアリルアルコール(融点:59.4℃)等の脂肪族アルコール化合物、オレアニトリル(融点:-1℃)等の脂肪族ニトリル化合物などが挙げられる。表面処理剤は、融点が低く(例えば、融点100℃以下)、有機溶媒への溶解性が高い表面処理剤であってよい。
(A)成分及び(B)成分としての銀粒子の形状は、特に制限されず、例えば、フレーク状、樹脂状、球状等であってよく、球状であってもよい。銀粒子の形状が球状であると、フィルム状接着剤の表面粗さ(Ra)が改善され易い傾向にある。
(A)成分及び(B)成分としての銀粒子の平均粒径は、0.01~10μmであってよい。銀粒子の平均粒径が0.01μm以上であると、接着剤ワニスを作製したときの粘度上昇を防ぎことができる、所望の量の銀粒子をフィルム状接着剤に含有させることができる、フィルム状接着剤の被着体への濡れ性を確保してより良好な接着性を発揮させることができる等の効果が奏される傾向にある。銀粒子の平均粒径が10μm以下であると、フィルム成形性により優れ、銀粒子の添加による放熱性をより向上させることができる傾向にある。また、銀粒子の平均粒径が10μm以下であることによって、フィルム状接着剤の厚さをより薄くすることができ、さらに半導体チップを高積層化することができるとともに、フィルム状接着剤から銀粒子が突き出すことによる半導体チップのクラックの発生を防止することができる傾向にある。(A)成分及び(B)成分としての銀粒子の平均粒径は、0.1μm以上、0.3μm以上、又は0.5μm以上であってもよく、8.0μm以下、7.0μm以下、6.0μm以下、5.0μm以下、4.0μm以下、又は3.0μm以下であってもよい。
なお、本明細書において、(A)成分及び(B)成分としての銀粒子の平均粒径は、銀粒子全体の体積に対する比率(体積分率)が50%のときの粒径(レーザー50%粒径(D50))を意味する。平均粒径(D50)は、レーザー散乱型粒径測定装置(例えば、マイクロトラック)を用いて、水中に銀粒子を懸濁させた懸濁液をレーザー散乱法によって測定することによって求めることができる。
(A)成分としての銀粒子の平均粒径は、例えば、0.01μm以上1μm以下であり得る。(A)成分としての銀粒子の平均粒径は、0.1μm以上1μm以下又は0.5μm以上1μm以下であってよい。
(B)成分としての銀粒子の平均粒径は、1μmを超え10μm以下であり得る。(B)成分としての銀粒子の平均粒径は、1μmを超え8.0μm以下、1μmを超え7.0μm以下、1μmを超え6.0μm以下、1μmを超え5.0μm以下、1μmを超え4.0μm以下、又は1μmを超え3.0μm以下であってよい。
(B)成分は、平均粒径が(A)成分よりも大きい銀粒子であり、(A)成分の平均粒径の2倍を超えていてもよい。(B)成分は、例えば、(A)成分の平均粒径の10倍以下、8倍以下、6倍以下、又は5倍以下であってよい。
(A)成分及び(B)成分の合計の含有量は、フィルム状接着剤の全量を基準として、75~95質量%であってよい。(A)成分及び(B)成分の合計の含有量が、フィルム状接着剤の全量を基準として、75質量%以上であると、フィルム状接着剤の熱伝導率をより向上させることができ、半導体装置の放熱性をより向上させることができる傾向にある。(A)成分及び(B)成分の合計の含有量は、フィルム状接着剤の全量を基準として、78質量%以上、80質量%以上、又は82質量%以上であってもよい。(A)成分及び(B)成分の合計の含有量が、フィルム状接着剤の全量を基準として、95質量%以下であると、フィルム状接着剤に他の成分をより充分に含有させることができ、ダイシング・ダイボンディング一体型フィルムを形成した場合において、接着剤層と粘着剤層との接着性がより充分となる傾向にある。(A)成分及び(B)成分の合計の含有量は、フィルム状接着剤の全量を基準として、92質量%以下、90質量%以下、90質量%未満、又は88質量%以下であってもよい。なお、接着剤ワニスの固形分全量を基準としたときの(A)成分及び(B)成分の合計の含有量は上記範囲と同様であってよい。
フィルム状接着剤全量を基準としたとき、(A)成分の含有量に対する(B)成分の含有量の質量比((B)成分の含有量/(A)成分の含有量)は、3.1倍以上であってよい。当該質量比が3.1倍以上であると、フィルム状接着剤の接着力と熱伝導率とをより両立させることができる。当該質量比は、3.2倍以上又は3.3倍以上であってもよい。当該質量比の上限は、例えば、6倍以下、5倍以下、又は4倍以下であってよい。なお、接着剤ワニスの固形分全量を基準としたときの当該質量比は上記範囲と同様であってよい。
フィルム状接着剤全量を基準としたとき、(A)成分の含有量と(B)成分の含有量との質量比は、76:24~84:16であってよい。当該質量比がこのような範囲であると、フィルム状接着剤の接着力と熱伝導率とをより両立させることができる。当該質量比は、76:24~82:18又は76:24~80:20であってよい。なお、接着剤ワニスの固形分全量を基準としたときの当該質量比は上記範囲と同様であってよい。
(C)成分:熱硬化性樹脂成分
(C)成分は、例えば、熱硬化性樹脂(以下、「(C1)成分」という場合がある。)と硬化剤(以下、「(C2)成分」という場合がある。)との組み合わせであってよい。(C1)成分は、加熱等によって、分子間で三次元的な結合を形成し硬化する性質を有する成分であり、硬化後に接着作用を示す成分である。(C1)成分は、エポキシ樹脂であってよい。(C2)成分は、エポキシ樹脂の硬化剤となり得るフェノール樹脂であってよい。(C)成分は、(C1)成分としてのエポキシ樹脂及び(C2)成分としてのフェノール樹脂を含んでいてもよい。
(エポキシ樹脂)
エポキシ樹脂は、分子内にエポキシ基を有するものであれば、特に制限なく用いることができる。エポキシ樹脂は、分子内に2以上のエポキシ基を有しているものであってよい。エポキシ樹脂は、25℃で液状のエポキシ樹脂を含んでいてもよい。
エポキシ樹脂としては、例えば、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、ビスフェノールS型エポキシ樹脂、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂、ビスフェノールAノボラック型エポキシ樹脂、ビスフェノールFノボラック型エポキシ樹脂、スチルベン型エポキシ樹脂、トリアジン骨格含有エポキシ樹脂、フルオレン骨格含有エポキシ樹脂、トリフェノールメタン型エポキシ樹脂、ビフェニル型エポキシ樹脂、キシリレン型エポキシ樹脂、ビフェニルアラルキル型エポキシ樹脂、ナフタレン型エポキシ樹脂、ジシクロペンタジエン型エポキシ樹脂、多官能フェノール類、アントラセン等の多環芳香族類のジグリシジルエーテル化合物などが挙げられる。これらは、1種を単独で又は2種以上を組み合わせて用いてもよい。
エポキシ樹脂は、25℃で液状のエポキシ樹脂を含んでいてもよい。このようなエポキシ樹脂を含むことによって、フィルム状接着剤の表面粗さ(Ra)が改善され易い傾向にある。25℃で液状のエポキシ樹脂の市販品としては、例えば、EXA-830CRP(商品名、DIC株式会社製)、YDF-8170C(商品名、日鉄ケミカル&マテリアル株式会社)等が挙げられる。
エポキシ樹脂のエポキシ当量は、特に制限されないが、90~300g/eq又は110~290g/eqであってよい。エポキシ樹脂のエポキシ当量がこのような範囲にあると、フィルム状接着剤のバルク強度を維持しつつ、フィルム状接着剤を形成する際の接着剤ワニスの流動性を確保し易い傾向にある。
(C1)成分の含有量は、フィルム状接着剤の全量を基準として、0.1質量%以上、1質量%以上、2質量%以上、又は3質量%以上であってよく、15質量%以下、12質量%以下、10質量%以下、8質量%以下、又は6質量%以下であってよい。なお、接着剤ワニスの固形分全量を基準としたときの(C1)成分の含有量は上記範囲と同様であってよい。
(C1)成分として25℃で液状のエポキシ樹脂を含む場合、(C1)成分の全量に対する当該エポキシ樹脂の質量比(当該エポキシ樹脂の質量/(C1)成分の全質量)は、百分率で、10~100%、40~100%、60%~100%、又は80%~100%であってよい。なお、接着剤ワニスにおける(C1)成分の全量に対する当該エポキシ樹脂の質量比は上記範囲と同様であってよい。(C1)成分として25℃で液状のエポキシ樹脂を含む場合、当該エポキシ樹脂の含有量は、フィルム状接着剤の全量を基準として、0.1質量%以上、1質量%以上、2質量%以上、又は3質量%以上であってよく、15質量%以下、12質量%以下、10質量%以下、8質量%以下、又は6質量%以下であってよい。なお、接着剤ワニスの固形分全量を基準としたときの当該エポキシ樹脂の含有量は上記範囲と同様であってよい。
(フェノール樹脂)
フェノール樹脂は、分子内にフェノール性水酸基を有するものであれば特に制限なく用いることができる。フェノール樹脂としては、例えば、フェノール、クレゾール、レゾルシン、カテコール、ビスフェノールA、ビスフェノールF、フェニルフェノール、アミノフェノール等のフェノール類及び/又はα-ナフトール、β-ナフトール、ジヒドロキシナフタレン等のナフトール類とホルムアルデヒド等のアルデヒド基を有する化合物とを酸性触媒下で縮合又は共縮合させて得られるノボラック型フェノール樹脂、アリル化ビスフェノールA、アリル化ビスフェノールF、アリル化ナフタレンジオール、フェノールノボラック、フェノール等のフェノール類及び/又はナフトール類とジメトキシパラキシレン又はビス(メトキシメチル)ビフェニルから合成されるフェノールアラルキル樹脂、ナフトールアラルキル樹脂、ビフェニルアラルキル型フェノール樹脂、フェニルアラルキル型フェノール樹脂などが挙げられる。これらは、1種を単独で又は2種以上を組み合わせて用いてもよい。
フェノール樹脂の水酸基当量は、40~300g/eq、70~290g/eq、又は100~280g/eqであってよい。フェノール樹脂の水酸基当量が40g/eq以上であると、フィルムの貯蔵弾性率がより向上する傾向にあり、300g/eq以下であると、発泡、アウトガス等の発生による不具合を防ぐことが可能となる。
(C1)成分であるエポキシ樹脂のエポキシ当量と(C2)成分であるフェノール樹脂の水酸基当量との比((C1)成分であるエポキシ樹脂のエポキシ当量/(C2)成分であるフェノール樹脂の水酸基当量)は、硬化性の観点から、0.30/0.70~0.70/0.30、0.35/0.65~0.65/0.35、0.40/0.60~0.60/0.40、又は0.45/0.55~0.55/0.45であってよい。当該当量比が0.30/0.70以上であると、より充分な硬化性が得られる傾向にある。当該当量比が0.70/0.30以下であると、粘度が高くなり過ぎることを防ぐことができ、より充分な流動性を得ることができる。
(C2)成分の含有量は、フィルム状接着剤の全量を基準として、0.1質量%以上、0.5質量%以上、1質量%以上、又は2質量%以上であってよく、15質量%以下、12質量%以下、10質量%以下、8質量%以下、又は6質量%以下であってよい。なお、接着剤ワニスの固形分全量を基準としたときの(C2)成分の含有量は上記範囲と同様であってよい。
(C)成分の含有量((C1)成分及び(C2)成分の合計の含有量)は、フィルム状接着剤の全量を基準として、0.1質量%以上、1質量%以上、3質量%以上、又は5質量%以上であってよく、30質量%以下、25質量%以下、20質量%以下、又は15質量%以下であってよい。なお、接着剤ワニスの固形分全量を基準としたときの(C)成分の含有量は上記範囲と同様であってよい。
(D)成分:エラストマー
(D)成分としては、例えば、ポリイミド樹脂、アクリル樹脂、ウレタン樹脂、ポリフェニレンエーテル樹脂、ポリエーテルイミド樹脂、フェノキシ樹脂、変性ポリフェニレンエーテル樹脂等が挙げられる。(D)成分は、これらの樹脂であって、架橋性官能基を有する樹脂であってよく、架橋性官能基を有するアクリル樹脂であってもよい。ここで、アクリル樹脂とは、(メタ)アクリレート((メタ)アクリル酸エステル)に由来する構成単位を含む(メタ)アクリル(共)重合体を意味する。アクリル樹脂は、エポキシ基、アルコール性又はフェノール性水酸基、カルボキシ基等の架橋性官能基を有する(メタ)アクリレートに由来する構成単位を含む(メタ)アクリル(共)重合体であってよい。また、アクリル樹脂は、(メタ)アクリレートとアクリルニトリルとの共重合体等のアクリルゴムであってもよい。これらのエラストマーは、1種を単独で又は2種以上を組み合わせて用いてもよい。
アクリル樹脂の市販品としては、例えば、SG-P3、SG-70L、SG-708-6、WS-023 EK30、SG-280 EK23、HTR-860P-3、HTR-860P-3CSP、HTR-860P-3CSP-3DB(いずれもナガセケムテックス株式会社製)等が挙げられる。
(D)成分としてのエラストマーのガラス転移温度(Tg)は、-50~50℃又は-30~20℃であってよい。Tgが-50℃以上であると、フィルム状接着剤のタック性が低くなるため取り扱い性がより向上する傾向にある。Tgが50℃以下であると、フィルム状接着剤を形成する際の接着剤ワニスの流動性をより充分に確保できる傾向にある。ここで、(D)成分としてのエラストマーのTgは、DSC(熱示差走査熱量計)(例えば、株式会社リガク製、商品名:Thermo Plus 2)を用いて測定した値を意味する。
(D)成分としてのエラストマーの重量平均分子量(Mw)は、5万~160万、10万~140万、又は30万~120万であってよい。(D)成分としてのエラストマーのガラス転移温度が5万以上であると、成膜性により優れる傾向にある。(D)成分の重量平均分子量が160万以下であると、フィルム状接着剤を形成する際の接着剤ワニスの流動性により優れる傾向にある。ここで、(D)成分としてのエラストマーのMwは、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)で測定し、標準ポリスチレンによる検量線を用いて換算した値を意味する。
(D)成分としてのエラストマーのMwの測定装置、測定条件等は、例えば、以下のとおりである。
ポンプ:L-6000(株式会社日立製作所製)
カラム:ゲルパック(Gelpack)GL-R440(日立化成株式会社製)、ゲルパック(Gelpack)GL-R450(日立化成株式会社製)、及びゲルパックGL-R400M(日立化成株式会社製)(各10.7mm(直径)×300mm)をこの順に連結したカラム
溶離液:テトラヒドロフラン(以下、「THF」という。)
サンプル:試料120mgをTHF5mLに溶解させた溶液
流速:1.75mL/分
(D)成分の含有量は、フィルム状接着剤の全量を基準として、0.1質量%以上、0.5質量%以上、1質量%以上、2質量%以上、又は3質量%以上であってよく、15質量%以下、12質量%以下、10質量%以下、8質量%以下、又は6質量%以下であってよい。なお、接着剤ワニスの固形分全量を基準としたときの(D)成分の含有量は上記範囲と同様であってよい。
(E)成分:カップリング剤
(E)成分は、シランカップリング剤であってよい。シランカップリング剤としては、例えば、γ-ウレイドプロピルトリエトキシシラン、γ-メルカプトプロピルトリメトキシシラン、3-フェニルアミノプロピルトリメトキシシラン、3-(2-アミノエチル)アミノプロピルトリメトキシシラン等が挙げられる。これらは、1種を単独で又は2種以上を組み合わせて用いてもよい。
(F)成分:硬化促進剤
(F)成分としては、例えば、イミダゾール類及びその誘導体、有機リン系化合物、第二級アミン類、第三級アミン類、第四級アンモニウム塩等が挙げられる。これらは、1種を単独で又は2種以上を組み合わせて用いてもよい。これらの中でも、反応性の観点から(F)成分はイミダゾール類及びその誘導体であってもよい。
イミダゾール類としては、例えば、2-メチルイミダゾール、1-ベンジル-2-メチルイミダゾール、1-シアノエチル-2-フェニルイミダゾール、1-シアノエチル-2-メチルイミダゾール等が挙げられる。これらは、1種を単独で又は2種以上を組み合わせて用いてもよい。
フィルム状接着剤は、その他の成分をさらに含有していてもよい。その他の成分としては、例えば、顔料、イオン補捉剤、酸化防止剤等が挙げられる。
(E)成分、(F)成分、及びその他の成分の合計の含有量は、フィルム状接着剤の全質量を基準として、0.005~10質量%であってよい。なお、接着剤ワニスの固形分全量を基準としたときの(E)成分、(F)成分、及びその他の成分の合計の含有量は上記範囲と同様であってよい。
[フィルム状接着剤の製造方法]
図1に示されるフィルム状接着剤10Aは、例えば、(A)成分と、(B)成分と、有機溶媒とを含有する原料ワニスを混合し、(A)成分と、(B)成分と、有機溶媒と、(C)成分とを含有する接着剤ワニスを調製する工程(混合工程)と、接着剤ワニスを用いて、フィルム状接着剤を形成する工程(形成工程)とを備える製造方法によって得ることができる。接着剤ワニスは、必要に応じて、(D)成分、(E)成分、(F)成分、その他の成分等をさらに含有していてもよい。
(混合工程)
混合工程は、(A)成分と、(B)成分と、有機溶媒とを含有する原料ワニスを混合し、(A)成分と、(B)成分と、有機溶媒と、(C)成分とを含有する接着剤ワニスを調製する工程である。
有機溶媒は、(A)成分以外の成分を溶解できるものであれば特に制限されない。有機溶媒としては、例えば、トルエン、キシレン、メシチレン、クメン、p-シメン等の芳香族炭化水素;ヘキサン、ヘプタン等の脂肪族炭化水素;メチルシクロヘキサンなどの環状アルカン;テトラヒドロフラン、1,4-ジオキサン等の環状エーテル;アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン、4-ヒドロキシ-4-メチル-2-ペンタノン等のケトン;酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸ブチル、乳酸メチル、乳酸エチル、γ-ブチロラクトン、ブチルカルビトールアセテート、エチルカルビトールアセテート等のエステル;エチレンカーボネート、プロピレンカーボネート等の炭酸エステル;N,N-ジメチルホルムアミド、N,N-ジメチルアセトアミド、N-メチル-2-ピロリドン等のアミド、ブチルカルビトール、エチルカルビトール等のアルコールなどが挙げられる。これらは、1種を単独で又は2種以上を組み合わせて用いてもよい。これらのうち、有機溶媒は、表面処理剤の溶解性及び沸点の観点から、N,N-ジメチルホルムアミド、N,N-ジメチルアセトアミド、N-メチル-2-ピロリドン、ブチルカルビトール、エチルカルビトール、ブチルカルビトールアセテート、エチルカルビトールアセテート、又はシクロヘキサノンであってもよい。原料ワニス中の固形成分濃度は、原料ワニスの全質量を基準として、10~80質量%であってよい。
原料ワニスは、例えば、撹拌機で使用する容器に各成分を添加することによって得ることができる。この場合、各成分の添加の順序は特に制限されず、各成分の性状に合わせて適宜設定することができる。
混合は、ホモディスパー、スリーワンモーター、ミキシングローター、プラネタリー、らいかい機等の通常の撹拌機を適宜組み合わせて行うことができる。撹拌機は、原料ワニス又は接着剤ワニスの温度条件を管理できるヒーターユニット等の加温設備を備えていてもよい。混合にホモディスパーを用いる場合、ホモディスパーの回転数は4000回転/分以上であってよい。
混合工程の混合温度は、特に制限されないが、50℃以上であってよい。混合工程の混合温度は、必要に応じて、加温設備等で加温してもよい。本開示の発明者らの検討によると、混合工程の混合温度が50℃以上であると、例えば、銀粒子(好ましくは還元法によって製造された銀粒子)を用いた場合において、得られるフィルム状接着剤は、Cステージ状態において、銀粒子の焼結体を含むものとなり得ることが見出された。このような現象は、(A)成分及び(B)成分として、還元法によって製造された銀粒子を用いたときにより顕著に発現する。このような現象が発現する理由は、必ずしも明らかではないが、本開示の発明者らは、以下のように考えている。(A)成分及び(B)成分としての(還元剤を用いた液相(湿式)還元法によって製造された)銀粒子は、通常、表面処理剤(滑剤)によって表面が被覆されている。ここで、混合工程の混合温度が50℃以上であると、銀粒子を被覆している表面処理剤が解離して(還元状態にある)銀表面が露出し易くなると推測される。さらに、このような銀表面が露出した銀粒子同士は、直接接触し易いことから、フィルム状接着剤を硬化させる条件で加熱すると、銀粒子同士が焼結して銀粒子の焼結体を形成し易くなると推測される。これによって、フィルム状接着剤は、Cステージ状態において、銀粒子の焼結体を含むものになると考えられる。アトマイズ法によって製造された銀粒子は、その製造方法上の特性により、銀粒子の表面に酸化銀膜で覆われている。本開示の発明者らの検討によると、アトマイズ法によって製造された銀粒子を用いた場合、混合工程の混合温度が50℃以上であっても、得られるフィルム状接着剤は、Cステージ状態において、銀粒子の焼結体を含むものとなり難いことを確認している。混合工程の混合温度は、55℃以上、60℃以上、65℃以上、又は70℃以上であってもよい。混合工程の混合温度の上限は、例えば、120℃以下、100℃以下、又は80℃以下であってよい。混合工程の混合時間は、例えば、1分以上、5分以上、又は10分以上であってよく、60分以下、40分以下、又は20分以下であってよい。
(C)成分、(D)成分、(E)成分、(F)成分、又はその他の成分は、各成分の性状に合わせて、任意の段階で接着剤ワニスに含有させることができる。これらの成分は、例えば、混合工程前に原料ワニスに添加することによって接着剤ワニスに含有させてもよいし、混合工程後に、接着剤ワニスに添加することによって含有させてもよい。(E)成分及び(F)成分は、混合工程後に、接着剤ワニスに添加することによって含有させることが好ましい。混合工程後に、接着剤ワニスに添加する場合、添加後において、例えば、50℃未満の温度条件(例えば、室温(25℃))下で混合してもよい。この場合の条件は、室温(25℃))下で0.1~48時間であってよい。
このようにして、(A)成分と、(B)成分と、有機溶媒と、(C)成分とを含有する接着剤ワニスを調製することができる。接着剤ワニスは、調製後において、真空脱気等によってワニス中の気泡を除去してもよい。
接着剤ワニス中の固形成分濃度は、接着剤ワニスの全質量を基準として、10~80質量%であってよい。
(形成工程)
形成工程は、接着剤ワニスを用いて、フィルム状接着剤を形成する工程である。フィルム状接着剤を形成する方法としては、例えば、接着剤ワニスを支持フィルムに塗布する方法等が挙げられる。
接着剤ワニスを支持フィルムに塗布する方法としては、公知の方法を用いることができ、例えば、ナイフコート法、ロールコート法、スプレーコート法、グラビアコート法、バーコート法、カーテンコート法等が挙げられる。
接着剤ワニスを支持フィルムに塗布した後、必要に応じて、有機溶媒を加熱乾燥してもよい。加熱乾燥は、使用した有機溶媒が充分に揮発する条件であれば特に制限はないが、例えば、加熱乾燥温度は50~200℃であってよく、加熱乾燥時間は0.1~30分であってよい。加熱乾燥は、異なる加熱乾燥温度又は加熱乾燥時間で段階的に行ってもよい。
このようにして、フィルム状接着剤10Aを得ることができる。フィルム状接着剤10Aの厚さは、用途に合わせて適宜調整することができるが、例えば、3μm以上、5μm以上、又は10μm以上であってよく、200μm以下、100μm以下、50μm以下、又は30μm以下であってよい。
Cステージ状態において、フィルム状接着剤10Aの熱伝導率(35℃)は、5.0W/m・K以上であってよい。熱伝導率が5.0W/m・K以上であると、半導体装置の放熱性がより優れる傾向にある。熱伝導率は、5.2W/m・K以上、5.4W/m・K以上、5.6W/m・K以上、5.8W/m・K以上、又は6.0W/m・K以上であってもよい。フィルム状接着剤10AのCステージ状態における熱伝導率(35℃)の上限は、特に制限されないが、30W/m・K以下であってよい。なお、本明細書において、熱伝導率は、実施例に記載の方法で算出される値を意味する。また、フィルム状接着剤10Aを硬化させてCステージ状態とするための加熱条件は、例えば、加熱温度110℃で加熱時間1時間、次いで、加熱温度170℃で加熱時間3時間とすることができる。
[ダイシング・ダイボンディング一体型フィルム及びその製造方法]
図2は、ダイシング・ダイボンディング一体型フィルムの一実施形態を示す模式断面図である。図2に示されるダイシング・ダイボンディング一体型フィルム100は、基材層40と、粘着剤層30と、フィルム状接着剤10Aからなる接着剤層10とをこの順に備えている。ダイシング・ダイボンディング一体型フィルム100は、基材層40及び基材層40上に設けられた粘着剤層30を備えるダイシングテープ50と、ダイシングテープ50の粘着剤層30上に設けられた接着剤層10とを備えているということもできる。ダイシング・ダイボンディング一体型フィルム100は、フィルム状、シート状、テープ状等であってもよい。ダイシング・ダイボンディング一体型フィルム100は、接着剤層10の粘着剤層30とは反対側の表面上に支持フィルム20が備えられていてもよい。
ダイシングテープ50における基材層40としては、例えば、ポリテトラフルオロエチレンフィルム、ポリエチレンテレフタレートフィルム、ポリエチレンフィルム、ポリプロピレンフィルム、ポリメチルペンテンフィルム、ポリイミドフィルム等のプラスチックフィルムなどが挙げられる。また、基材層40は、必要に応じて、プライマー塗布、UV処理、コロナ放電処理、研磨処理、エッチング処理等の表面処理が施されていてもよい。
ダイシングテープ50における粘着剤層30は、ダイシング時には半導体チップが飛散しない充分な粘着力を有し、その後の半導体チップのピックアップ工程においては半導体チップを傷つけない程度の低い粘着力を有するものであれば特に制限されず、ダイシングテープの分野で従来公知のものを使用することができる。粘着剤層30は、感圧型粘着剤からなる粘着剤層であっても、紫外線硬化型の粘着剤からなる粘着剤層であってもよい。粘着剤層が紫外線硬化型の粘着剤からなる粘着剤層である場合、粘着剤層は紫外線を照射することによって粘着性を低下させることができる。
ダイシングテープ50(基材層40及び粘着剤層30)の厚さは、経済性及びフィルムの取扱い性の観点から、60~150μm又は70~130μmであってよい。
図2に示されるダイシング・ダイボンディング一体型フィルム100は、フィルム状接着剤10A、並びに、基材層40及び基材層40上に設けられた粘着剤層30を備えるダイシングテープ50を準備する工程と、フィルム状接着剤10Aと、ダイシングテープ50の粘着剤層30とを貼り合わせる工程とを備える製造方法によって得ることができる。フィルム状接着剤10Aと、ダイシングテープ50の粘着剤層30とを貼り合わせる方法としては、公知の方法を用いることができる。
[半導体装置の製造方法]
図3は、半導体装置の製造方法の一実施形態を示す模式断面図である。図3(a)、(b)、(c)、(d)、(e)、及び(f)は、各工程を模式的に示す断面図である。半導体装置の製造方法は、上記のダイシング・ダイボンディング一体型フィルム100の接着剤層10に半導体ウェハWを貼り付ける工程(ウェハラミネート工程、図3(a)、(b)参照)と、接着剤層10を貼り付けた半導体ウェハWをダイシングすることによって、複数の個片化された接着剤片付き半導体チップ60を作製する工程(ダイシング工程、図3(c)参照)と、接着剤片付き半導体チップ60を支持部材80に接着剤片10aを介して接着する工程(半導体チップ接着工程、図3(f)参照))とを備えている。半導体装置の製造方法は、ダイシング工程と半導体チップ接着工程との間に、必要に応じて、粘着剤層30に対して(基材層40を介して)紫外線を照射する工程(紫外線照射工程、図3(d)参照)と、粘着剤層30aから接着剤片10aが付着した半導体チップWa(接着剤片付き半導体チップ60)をピックアップする工程(ピックアップ工程、図3(e)参照)と、支持部材80に接着された接着剤片付き半導体チップ60における接着剤片10aを熱硬化させる工程(熱硬化工程)とをさらに備えていてもよい。
<ウェハラミネート工程>
本工程では、まず、ダイシング・ダイボンディング一体型フィルム100を所定の装置に配置する。続いて、ダイシング・ダイボンディング一体型フィルム100の接着剤層10に半導体ウェハWの表面Wsを貼り付ける(図3(a)、(b)参照)。半導体ウェハWの回路面は、表面Wsとは反対側の面に設けられていてもよい。
半導体ウェハWとしては、例えば、単結晶シリコン、多結晶シリコン、各種セラミック、ガリウムヒ素等の化合物半導体などが挙げられる。
<ダイシング工程>
本工程では、半導体ウェハW及び接着剤層10をダイシングして個片化する(図3(c)参照)。このとき、粘着剤層30の一部、又は、粘着剤層30の全部及び基材層40の一部がダイシングされて個片化されていてもよい。このように、ダイシング・ダイボンディング一体型フィルム100は、ダイシングシートとしても機能する。
<紫外線照射工程>
粘着剤層30が紫外線硬化型の粘着剤層である場合、半導体装置の製造方法は、紫外線照射工程を備えていてもよい。本工程では、粘着剤層30に対して(基材層40を介して)紫外線を照射する(図3(d)参照)。紫外線照射において、紫外線の波長は200~400nmであってよい。紫外線照射条件は、照度及び照射量をそれぞれ30~240mW/cmの範囲及び50~500mJ/cmの範囲であってよい。
<ピックアップ工程>
本工程では、基材層40をエキスパンドすることによって、個片化された接着剤片付き半導体チップ60を互いに離間させつつ、基材層40側からニードル72で突き上げられた接着剤片付き半導体チップ60を吸引コレット74で吸引して粘着剤層30aからピックアップする(図3(e)参照)。なお、接着剤片付き半導体チップ60は、半導体チップWa及び接着剤片10aを有する。半導体チップWaは半導体ウェハWが個片化されたものであり、接着剤片10aは接着剤層10が個片化されたものである。また、粘着剤層30aは粘着剤層30が個片化されたものである。粘着剤層30aは接着剤片付き半導体チップ60をピックアップした後に基材層40上に残存し得る。本工程では、必ずしも基材層40をエキスパンドすることは必要ないが、基材層40をエキスパンドすることによってピックアップ性をより向上させることができる。
ニードル72による突き上げ量は、適宜設定することができる。さらに、極薄ウェハに対しても充分なピックアップ性を確保する観点から、例えば、2段又は3段の突き上げを行ってもよい。また、吸引コレット74を用いる方法以外の方法で接着剤片付き半導体チップ60をピックアップしてもよい。
<半導体チップ接着工程>
本工程では、ピックアップされた接着剤片付き半導体チップ60を、熱圧着によって、接着剤片10aを介して支持部材80に接着する(図3(f)参照)。支持部材80には、複数の接着剤片付き半導体チップ60を接着してもよい。
熱圧着における加熱温度は、例えば、80~160℃であってよい。熱圧着における荷重は、例えば、5~15Nであってよい。熱圧着における加熱時間は、例えば、0.5~20秒であってよい。
<熱硬化工程>
本工程では、支持部材80に接着された接着剤片付き半導体チップ60における接着剤片10aを熱硬化させる。半導体チップWaと支持部材80とを接着している接着剤片10a又は接着剤片の硬化物10acを(さらに)熱硬化させることによって、より強固に接着固定が可能となる。また、(A)成分及び(B)成分が還元法によって製造された銀粒子である場合、接着剤片10a又は接着剤片の硬化物10acを(さらに)熱硬化させることによって、銀粒子の焼結体がより一層得られ易くなる傾向にある。熱硬化を行う場合、圧力を同時に加えて硬化させてもよい。本工程における加熱温度は、接着剤片10aの構成成分によって適宜変更することができる。加熱温度は、例えば、60~200℃であってよく、90~190℃又は120~180℃であってもよい。加熱時間は、30分~5時間であってよく、1~3時間又は2~3時間であってもよい。なお、温度又は圧力は、段階的に変更しながら行ってもよい。
接着剤片10aは、半導体チップ接着工程又は熱硬化工程を経ることによって硬化して、接着剤片の硬化物10acとなり得る。(A)成分及び(B)成分が還元法によって製造された銀粒子である場合、接着剤片の硬化物10acは、銀粒子の焼結体を含み得る。そのため、得られる半導体装置は、優れた放熱性を有するものとなり得る。
半導体装置の製造方法は、必要に応じて、支持部材の端子部(インナーリード)の先端と半導体素子上の電極パッドとをボンディングワイヤで電気的に接続する工程(ワイヤボンディング工程)を備えていてもよい。ボンディングワイヤとしては、例えば、金線、アルミニウム線、銅線等が用いられる。ワイヤボンディングを行う際の温度は、80~250℃又は80~220℃の範囲内であってよい。加熱時間は数秒~数分であってよい。ワイヤボンディングは、上記温度範囲内で加熱された状態で、超音波による振動エネルギーと印加加圧とによる圧着エネルギーの併用によって行ってもよい。
半導体装置の製造方法は、必要に応じて、封止材によって半導体素子を封止する工程(封止工程)を備えていてもよい。本工程は、支持部材に搭載された半導体素子又はボンディングワイヤを保護するために行われる。本工程は、封止用の樹脂(封止樹脂)を金型で成型することによって行うことができる。封止樹脂としては、例えばエポキシ系の樹脂であってよい。封止時の熱及び圧力によって支持部材及び残渣が埋め込まれ、接着界面での気泡による剥離を防止することができる。
半導体装置の製造方法は、必要に応じて、封止工程で硬化不足の封止樹脂を完全に硬化させる工程(後硬化工程)を備えていてもよい。封止工程において、接着剤片が熱硬化されない場合でも、本工程において、封止樹脂の硬化とともに接着剤片を熱硬化させて接着固定が可能になる。本工程における加熱温度は、封止樹脂の種類よって適宜設定することができ、例えば、165~185℃の範囲内であってよく、加熱時間は0.5~8時間程度であってよい。
半導体装置の製造方法は、必要に応じて、支持部材に接着された接着剤片付き半導体素子に対して、リフロー炉を用いて加熱する工程(加熱溶融工程)を備えていてもよい。本工程では支持部材上に、樹脂封止した半導体装置を表面実装してもよい。表面実装の方法としては、例えば、プリント配線板上に予めはんだを供給した後、温風等によって加熱溶融し、はんだ付けを行うリフローはんだ付けなどが挙げられる。加熱方法としては、例えば、熱風リフロー、赤外線リフロー等が挙げられる。また、加熱方法は、全体を加熱するものであってもよく、局部を加熱するものであってもよい。加熱温度は、例えば、240~280℃の範囲内であってよい。
[半導体装置]
図4は、半導体装置の一実施形態を示す模式断面図である。図4に示される半導体装置200は、半導体チップWaと、半導体チップWaを搭載する支持部材80と、接着部材12とを備えている。接着部材12は、半導体チップWa及び支持部材80の間に設けられ、半導体チップWaと支持部材80とを接着している。接着部材12は、銀粒子の焼結体を含むフィルム状接着剤の硬化物(接着剤片の硬化物10ac)である。半導体チップWaの接続端子(図示せず)はワイヤ70を介して外部接続端子(図示せず)と電気的に接続されていてもよい。半導体チップWaは、封止材から形成される封止材層92によって封止されていてもよい。支持部材80の表面80Aと反対側の面に、外部基板(マザーボード)(図示せず)との電気的な接続用として、はんだボール94が形成されていてもよい。
半導体チップWa(半導体素子)は、例えば、IC(集積回路)等であってよい。支持部材80としては、例えば、42アロイリードフレーム、銅リードフレーム等のリードフレーム;ポリイミド樹脂、エポキシ樹脂等のプラスチックフィルム;ガラス不織布等基材にポリイミド樹脂、エポキシ樹脂等のプラスチックを含浸、硬化させた変性プラスチックフィルム;アルミナ等のセラミックスなどが挙げられる。
半導体装置200は、接着部材として、上記フィルム状接着剤の硬化物を備えることから、優れた放熱性を有する。
以下に、本開示を実施例に基づいて具体的に説明するが、本開示はこれらに限定されるものではない。
(実施例1-1及び比較例1-1)
<接着剤ワニスの調製>
表1に示す記号及び組成比(単位:質量部)で、(A)成分、(B)成分、(C)成分、及び(D)成分に、有機溶媒としてのシクロヘキサノンを加え、原料ワニスを調製した。当該原料ワニスをホモディスパー(田島化学機械株式会社製、T.K.HOMO MIXER MARK II)を用いて、30℃の混合温度条件で4000回転/分で20分撹拌し、接着剤ワニスを得た。次いで、接着剤ワニスに(E)成分及び(F)成分を添加し、スリーワンモーターを用いて250回転/分で終夜撹拌した。このようにして、実施例1-1及び比較例1-1の固形分61質量%の接着剤ワニスを調製した。
なお、表1及び後述の表2の各成分の記号は下記のものを意味する。
(A)成分:第1の銀粒子
(A-1)AG-2-1C(商品名、DOWAエレクトロニクス株式会社製、形状:球状、平均粒径(レーザー50%粒径(D50)):0.7μm)
(B)成分:第2の銀粒子
(B-1)AG-5-1F(商品名、DOWAエレクトロニクス株式会社製、形状:球状、平均粒径(レーザー50%粒径(D50)):2.9μm)
(B-2)AG-4-1F(商品名、DOWAエレクトロニクス株式会社製、形状:球状、平均粒径(レーザー50%粒径(D50)):2.5μm)
(B-3)AG-3-1F(商品名、DOWAエレクトロニクス株式会社製、形状:球状、平均粒径(レーザー50%粒径(D50)):1.5μm)
(B-4)Ag-HWQ(商品名、福田金属箔粉工業株式会社、アトマイズ法によって製造された銀粒子、形状:球状、平均粒径(レーザー50%粒径(D50)):1.5μm)
(C)成分:熱硬化性樹脂成分
(C1)成分:熱硬化性樹脂
(C1-1)EXA-830CRP(商品名、DIC株式会社製、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、エポキシ当量:159g/eq、25℃で液状)
(C2)成分:硬化剤
(C2-1)MEH-7800M(商品名、明和化成株式会社製、フェノール樹脂、水酸基当量:175g/eq)
(D)成分:エラストマー
(D-1)SG-P3(商品名、ナガセケムテックス株式会社製、アクリルゴム、重量平均分子量:80万、Tg:-7℃)
(E)成分:カップリング剤
(E-1)A-1160(商品名、GE東芝シリコーン株式会社製、γ-ウレイドプロピルトリエトキシシラン)
(F)成分:硬化促進剤
(F-1)2PZ-CN(商品名、四国化成工業株式会社製、1-シアノエチル-2-フェニルイミダゾール)
<フィルム状接着剤の作製>
実施例1-1及び比較例1-1の接着剤ワニスを用いてフィルム状接着剤を作製した。各接着剤ワニスについて真空脱泡を行い、その後の接着剤ワニスを、支持フィルムである離型処理を施したポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム(厚さ:38μm)上に塗布した。塗布した接着剤ワニスを、90℃で5分、続いて130℃で5分の2段階で加熱乾燥することによって、支持フィルム上に、Bステージ状態にある厚さ20μmの実施例1-1及び比較例1-1のフィルム状接着剤を得た。
<熱伝導率の測定>
(熱伝導率測定用フィルムの作製)
実施例1-1及び比較例1-1のフィルム状接着剤をそれぞれ複数枚ゴムロールにて張り合わせて、100μm以上の厚さの積層フィルムを作製した。得られた積層フィルムを両面がPETフィルムで覆われた状態で、110℃で1時間、次いで、170℃で3時間の条件で熱硬化させてCステージ状態にある熱伝導率測定用フィルムを得た。
(熱伝導率の測定)
熱伝導率測定用フィルムの熱伝導率λは、下記式によって算出した。結果を表1に示す。
熱伝導率λ(W/m・K)=熱拡散率α(mm/s)×比熱Cp(J/g・K)×比重ρ(g/cm
なお、熱拡散率α、比熱Cp、及び比重ρは以下の方法によって測定した。熱伝導率λが大きいことは、半導体装置において、放熱性により優れることを意味する。
(熱拡散率αの測定)
得られた熱伝導率測定用フィルムを10mm角に切断した。ブラックガードスプレー(FC-153、ファインケミカルジャパン株式会社製)を切断した熱伝導率測定用フィルムの両面に塗布し、測定用サンプルとした。測定には、フラッシュアナライザー(LFA467 HyperFlash、ネッチ・ジャパン株式会社製)を用い、35℃における熱拡散率αを測定した。
(比熱Cpの測定)
示差走査熱量測定(DSC)装置(高感度示差走査熱量計DSC8231(株式会社リガク製))を用いて、昇温速度10℃/分、温度25℃~70℃の条件で測定することによって、35℃における比熱Cpを算出した。
(比重ρの測定)
電子比重計(EW-300SG、アルファーミラージュ株式会社製)を用いて、アルキメデス法によって測定した。
Figure 2022102458000002
表1に示すとおり、所定の組み合わせの銀粒子を用いた実施例1-1のフィルム状接着剤は、所定の組み合わせでない銀粒子を用いた比較例1-1のフィルム状接着剤に比べて、熱伝導率の点に優れていた。
(実施例2-1~2-5及び比較例2-1)
<接着剤ワニスの調製>
表2に示す記号及び組成比(単位:質量部)で、(A)成分、(B)成分、(C)成分、及び(D)成分に、有機溶媒としてのシクロヘキサノンを加え、原料ワニスを調製した。当該原料ワニスをホモディスパー(田島化学機械株式会社製、T.K.HOMO MIXER MARK II)を用いて、70℃の混合温度条件で4000回転/分で20分撹拌し、接着剤ワニスを得た。次いで、接着剤ワニスを20~30℃になるまで放置した後、接着剤ワニスに(E)成分及び(F)成分を添加し、スリーワンモーターを用いて250回転/分で終夜撹拌した。このようにして、実施例2-1~2-5及び比較例2-1の固形分61質量%の接着剤ワニスを調製した。
<フィルム状接着剤の作製>
実施例1-1及び比較例1-1の接着剤ワニスに代えて、実施例2-1~2-5及び比較例2-1の接着剤ワニスを用いた以外は、実施例1-1及び比較例1-1のフィルム状接着剤の作製と同様にして、実施例2-1~2-5及び比較例2-1のフィルム状接着剤を作製した。
<熱伝導率の測定>
実施例1-1及び比較例1-1のフィルム状接着剤に代えて、実施例2-1~2-5及び比較例2-1のフィルム状接着剤を用いた以外は、実施例1-1及び比較例1-1のフィルム状接着剤の熱伝導率の測定と同様にして、実施例2-1~2-5及び比較例2-1のフィルム状接着剤の熱伝導率を測定した。結果を表2に示す。
Figure 2022102458000003
表2に示すとおり、所定の組み合わせの銀粒子を用いた実施例2-1~2-5のフィルム状接着剤は、所定の組み合わせでない銀粒子を用いた比較例2-1のフィルム状接着剤に比べて、熱伝導率の点に優れていた。また、表1に示す結果と比較して、混合温度を高くすることによって、得られるフィルム状接着剤の熱伝導率が向上することが判明した。
以上の結果から、本開示のフィルム状接着剤は、Cステージ状態において、熱伝導率が高く、高い放熱性を示すことが確認された。半導体装置においては、フィルム状接着剤の硬化物が半導体装置の接着部材を構成する。そのため、本開示のフィルム状接着剤を半導体装置に適用した場合は、本開示のフィルム状接着剤の硬化物が半導体装置の接着部材となることから、得られる半導体装置は、優れた放熱性を有することが期待できる。
10…接着剤層、10A…フィルム状接着剤、10a…接着剤片、10ac…接着剤片の硬化物、12…接着部材、20…支持フィルム、30,30a…粘着剤層、40…基材層、50…ダイシングテープ、60…接着剤片付き半導体チップ、70…ワイヤ、72…ニードル、74…吸引コレット、80…支持部材、92…封止材層、94…はんだボール、100…ダイシング・ダイボンディング一体型フィルム、200…半導体装置、W…半導体ウェハ、Wa…半導体チップ。

Claims (13)

  1. 基材層と、粘着剤層と、フィルム状接着剤からなる接着剤層とをこの順に備える、ダイシング・ダイボンディング一体型フィルムを準備する工程と、
    前記ダイシング・ダイボンディング一体型フィルムの前記接着剤層に半導体ウェハを貼り付ける工程と、
    前記接着剤層を貼り付けた前記半導体ウェハをダイシングすることによって、複数の個片化された接着剤片付き半導体チップを作製する工程と、
    前記接着剤片付き半導体チップを支持部材に接着剤片を介して接着する工程と、
    を備え、
    前記フィルム状接着剤が、第1の銀粒子と、平均粒径が前記第1の銀粒子よりも大きい第2の銀粒子と、熱硬化性樹脂成分とを含有する、半導体装置の製造方法。
  2. 前記第1の銀粒子の平均粒径及び前記第2の銀粒子の平均粒径が0.01~10μmである、請求項1に記載の半導体装置の製造方法。
  3. 前記第2の銀粒子の平均粒径が前記第1の銀粒子の平均粒径の2倍を超える、請求項1又は2に記載の半導体装置の製造方法。
  4. 前記第1の銀粒子及び前記第2の銀粒子の合計の含有量が、フィルム状接着剤全量を基準として、75~95質量%である、請求項1~3のいずれか一項に記載の半導体装置の製造方法。
  5. フィルム状接着剤全量を基準としたとき、前記第1の銀粒子の含有量に対する前記第2の銀粒子の含有量の質量比が3.1倍以上である、請求項1~4のいずれか一項に記載の半導体装置の製造方法。
  6. フィルム状接着剤全量を基準としたとき、前記第1の銀粒子の含有量と前記第2の銀粒子の含有量との質量比が76:24~84:16である、請求項1~5のいずれか一項に記載の半導体装置の製造方法。
  7. 前記フィルム状接着剤の硬化物の熱伝導率が5.0W/m・K以上である、請求項1~6のいずれか一項に記載の半導体装置の製造方法。
  8. 前記フィルム状接着剤がエラストマーをさらに含有する、請求項1~7のいずれか一項に記載の半導体装置の製造方法。
  9. 前記熱硬化性樹脂成分がエポキシ樹脂及びフェノール樹脂を含む、請求項1~8のいずれか一項に記載の半導体装置の製造方法。
  10. 前記エポキシ樹脂が25℃で液状のエポキシ樹脂を含む、請求項9に記載の半導体装置の製造方法。
  11. 第1の銀粒子と、平均粒径が前記第1の銀粒子よりも大きい第2の銀粒子と、有機溶媒とを含有する原料ワニスを混合し、前記第1の銀粒子と、前記第2の銀粒子と、前記有機溶媒と、熱硬化性樹脂成分とを含有する接着剤ワニスを調製する工程と、
    前記接着剤ワニスを用いて、フィルム状接着剤を形成する工程と、
    を備える、フィルム状接着剤の製造方法。
  12. 第1の銀粒子と、平均粒径が前記第1の銀粒子よりも大きい第2の銀粒子と、熱硬化性樹脂成分とを含有する、フィルム状接着剤。
  13. 基材層と、粘着剤層と、請求項12に記載のフィルム状接着剤からなる接着剤層とをこの順に備える、ダイシング・ダイボンディング一体型フィルム。
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