JP2022102452A - リチウムイオン二次電池用セパレータ及びリチウムイオン二次電池 - Google Patents
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Abstract
【課題】高エネルギー密度の電池であっても発熱を防止し、熱収縮が小さく、釘刺し試験において安全性を維持することができるリチウムイオン二次電池用セパレータ及びリチウムイオン二次電池を提供する。【解決手段】セルロース繊維を含む繊維からなるリチウムイオン二次電池用セパレータであって、突き刺し伸度が0.80mm以下であり、100℃から250℃まで昇温させたときの熱収縮率が長手方向と幅方向でいずれも2%以下である、リチウムイオン二次電池用セパレータとする。【選択図】なし
Description
本発明は、セルロース繊維からなるリチウムイオン二次電池用セパレータ及びリチウムイオン二次電池に関する。
リチウムイオン二次電池はスマートフォン、ノートパソコン等の小型電子機器、家庭用蓄電設備など幅広い用途に使用されている。また、電気自動車、ハイブリッド車、電動工具、電動二輪車、ドローンのようなモーターの動力源としての需要も増加してきている。
リチウムイオン二次電池は、正極、電解質、セパレータおよび負極により構成された発電素子が外装体により封止された構造である。リチウムイオン二次電池のセパレータには、正負極間の電気絶縁性、電解液に対する化学的安定性、正極に対する耐酸化性、負極に対する耐還元性、リチウムイオン透過性、安全性が求められる。また、電池製造工程では電解液浸透性、製造時にかかる応力に耐えうる十分な強度が求められる。
近年、リチウムイオン二次電池は高エネルギー密度化、高容量化、高出力化が進んでいる。このため、セパレータは低い内部抵抗や薄肉化を実現するための研究開発が盛んに行われている。一方で、リチウムイオン二次電池は、内部への異物の混入、外部からの強い衝撃、過充電によるデンドライト生成等により、発火に至る可能性がある。発火事故は後を絶たず、その多くが正極と負極の内部短絡による局所的な異常発熱が原因と考えられている。内部短絡は保護回路や安全性素子等で対応することが難しく、セパレータの更なる高安全化が望まれている。内部短絡に対する安全性の評価をする代表的な試験の一つとして釘刺し試験がある。これは電池に釘を貫通させて強制的に内部短絡させた時の電池の挙動を観察する試験であり、セパレータを含む内部隔壁を破壊して内部短絡を生じさせ、事故につながるような発熱、発火が生じるか否かが評価される。
リチウムイオン二次電池用セパレータとしては、ポリエチレンやポリプロピレン等のポリオレフィンからなる微多孔フィルムが多く使用されている。この微多孔フィルムの安全機能として、異常時に電池内部の温度が上昇した場合にフィルムを構成する樹脂が溶融して微多孔が閉塞することでリチウムイオンの移動を抑制して電流を遮断させるシャットダウン機能がある。
例えば、特許文献1では、突刺し破断伸びが3.0mm以上と大きいため、電池に釘が刺さったときに釘の周囲の電極破断部分をセパレータが覆って破断部分を含む広い領域がシャットダウンされることで電池の発熱を抑制できるとされている。しかしながら近年の高エネルギー密度のリチウムイオン二次電池では内部短絡が発生した場合には局所的に電池内部の温度が急激に上昇することでシャットダウンが機能する前に、ポリオレフィンが溶融して熱暴走する可能性が示唆されている。そこで突き刺し強度や突き刺し伸度が一定値以上であることが良いとされていた従来の考え方では不十分であり、更に安全性の高いセパレータが検討されている。
特許文献2では、ポリオレフィン微多孔膜について、突刺伸度が2.30mm以下であることにより衝突試験時に電池内に異物が混入していた場合、電極同士の接触面積を十分に確保することで局所的な電流集中を防ぐことができるとされている。付言すると、衝突試験は外部からの衝撃により、内部短絡することを想定した試験であり、一方で前記の釘刺し試験は異物混入やデンドライト成長による短絡を想定した試験である。よって、衝突試験では大面積で短絡する可能性を想定したものであり、小面積で短絡をさせる釘刺し試験とは評価の観点がそもそも異なる。また、特許文献2は幅方向の熱機械分析測定において、応力変異点の温度が80.0℃ 以上であり、かつ応力ピーク値が1.8g以下であることにより、衝撃の程度が非常に軽度であり電池の温度が上昇してしまう場合にも、優れた耐熱性により電池の温度の上昇に伴う微多孔膜の収縮を防ぐことができ、電池の熱暴走を防ぐことが可能であると記述されている。しかしながら、近年開発されている高エネルギー密度のリチウムイオン二次電池の正極は、リチウムイオン放出後の結晶構造が不安定であり、より低い温度であっても熱暴走に至りやすい特徴がある。異物による短絡の際に、たとえ電極同士の接触面積を十分に確保したとしても短絡箇所に高エネルギーが集中し、局所的に発熱温度が高くなる。発熱温度がポリオレフィンの融点よりも高くなると、セパレータが収縮して短絡面積が広がることで、連鎖的に発熱、短絡を繰り返し熱暴走に至る可能性がある。よって、特許文献2のように局所的な電流集中を防ぐのみでは不十分であり、より安全性を高めるには、連鎖的な発熱そのものを防止する必要がある。また、耐熱性を高めるために微多孔フィルムのセパレータに無機塗工層を設けるのはコストアップとなる。
特許文献3では、再生セルロース繊維をフィブリル化処理した原料を用いることで、高安全性を有しつつ耐熱性でかつ高出力性寄与できるとされている。セルロース繊維からなるセパレータは、通常のポリオレフィン系微多孔膜セパレータがメルトダウンする180℃の温度でも形状を保持できる高い耐熱性をもつことや、セルロース繊維のフィブリル化状態を規定することにより耐ショート性、耐デンドライト性を向上させることができると記述されている。しかしながら、強制内部短絡試験における短絡直後の発熱挙動には着目されていない。
一般的に熱暴走に至るには、正極活物質の熱分解温度に到達する必要があるため、短絡時の発熱温度をコントロールすることが安全性面で重要とされている。その中で局所的な内部短絡で最も発熱量が多くなる条件(図1(2)の短絡抵抗の領域)は、電池の内部抵抗と同程度の抵抗で短絡が発生した場合とされている。内部抵抗よりも短絡抵抗が高い条件(図1(3)の短絡抵抗の領域)での初期短絡は短絡抵抗が高くなるに従い、穏やかな放電現象となり熱暴走には至り難い。一方で内部抵抗よりも低い抵抗で短絡する条件(図1(1)の短絡抵抗の領域)は、異なる電極箔同士の接触、もしくは外部短絡といった場合に限定されており、内部短絡で問題となる電極箔と電極合材、あるいは電極合材と電極合材同士での条件では低抵抗短絡にはならない。そのため、内部短絡を想定するケースでは、内部抵抗と同程度までの抵抗値での短絡を想定した安全性試験が望ましい。また、低エネルギー密度のリチウムイオン二次電池では、図1の点線で示すように図1(2)の短絡抵抗の領域での短絡部発熱量は比較的小さいが、高エネルギー密度のリチウムイオン二次電池では図1の実線で示すように短絡部発熱量が大きくなるため、熱暴走の可能性が高くなる。よって、高エネルギー密度のリチウムイオン二次電池ほど熱暴走の危険がある。なお、本発明において熱暴走とはリチウムイオン二次電池の連鎖的な発熱現象を意味する。
上記の事情に鑑みて本発明の課題は、高エネルギー密度の電池であっても発熱を防止し、熱収縮が小さく、釘刺し試験において安全性を維持することができるリチウムイオン二次電池用セパレータ及びリチウムイオン二次電池を提供することである。特に、内部短絡と同程度の抵抗値で短絡が発生する場合であっても、熱暴走が発生しないリチウムイオン二次電池用セパレータ及びリチウムイオン二次電池を提供する。
本発明者らは、上記課題を解決するために鋭意検討した結果、セルロース繊維からなるリチウムイオン二次電池用セパレータの突き刺し伸度を特定することにより本発明を完成させた。さらには、正極および負極の突き刺し伸度のいずれか低い方をA、前記セパレータの突き刺し伸度をBとしたとき、A>Bを満たす、リチウムイオン二次電池を完成させた。
すなわち、本発明は、セルロース繊維を含む繊維からなるリチウムイオン二次電池用セパレータであって、突き刺し伸度が0.80mm以下である、リチウムイオン二次電池用セパレータである。
前記セパレータは突き刺し強度が300gf以下であることが好ましい。
前記セパレータは100℃から250℃まで昇温させたときの熱収縮率が長手方向と幅方向でいずれも2%以下であることが好ましい。
前記セパレータは構成するセルロース繊維のうち繊維幅が1000nm以下であるセルロース繊維が50重量%以上含まれることが好ましい。
前記セパレータは厚み10μmあたりの透気抵抗度が10秒以上600秒以下であることが好ましい。また、前記セパレータは空孔率が30~70%の範囲であることが好ましい。
前記セパレータはカットファイバーをさらに含むことが好ましい。
本発明は、前記セパレータを備えるリチウムイオン二次電池にも関する。
また本発明は、正極、負極およびセルロース繊維を含む繊維からなるセパレータの積層体を含むリチウムイオン二次電池であって、前記正極および負極の突き刺し伸度のいずれか低い方をA、前記セパレータの突き刺し伸度をBとしたとき、A>Bを満たす、リチウムイオン二次電池にも関する。ここで使用されるセパレータは前記のリチウムイオン二次電池用セパレータであることが好ましい。
本発明によれば、リチウムイオン二次電池の熱暴走を抑制することができ、安全性を高めることができる。本発明のセパレータを用いたリチウムイオン二次電池はセパレータの突き刺し伸度が十分に小さく、釘刺し試験時に電極が破断する前に破断し電極の破断形状に追従するため、小さな面積で内部短絡する。したがって、短絡部分に電流が集中することで、短絡部分の電極箔や電極合材の溶融、電極合材の剥離による高抵抗化が起こり、短絡が解除され、発熱を早期に抑制することができる。そして、本発明で用いるセルロース繊維は200℃以上の高い耐熱性を有するため、発生した熱により短絡面積が増大することはない。一方で、短絡部抵抗が高いときは、短絡部分の局所的な発熱は小さく電池温度は緩やかに上昇するため、発火には至らない。電池が放電によりエネルギーを放出したところで発熱は収束し、安全な状態に移行する。以上の効果が得られる。
以下、本発明を実施するための形態(以下、「実施形態」と略記する。)について詳細に説明する。尚、本発明は、以下の実施形態に限定されるものではなく、その要旨の範囲内で種々変形して実施することができる。
本発明の第一態様は、セルロース繊維を含む繊維からなるリチウムイオン二次電池用セパレータであり、突き刺し伸度が0.80mm以下である。このセパレータは電解液を含んだ状態においてイオン透過性を有し、有機溶媒に対する耐性が高く、かつ孔径の微細なものが好ましい。
[突き刺し試験特性]
突き刺し伸度とは、シート状試料の周縁を固定し、シート状試料の外表面から厚み方向に特定サイズの針を突き刺して、針がシート状試料に接触してから、穴が開くまでの移動距離(伸度)を意味する。突き刺し強度とは、シート状試料の周縁を固定し、シート状試料の外表面から膜状試料の厚み方向に特定サイズの針を突き刺すことにより掛けられた力に対する試料の応力を意味する。本発明により、リチウムイオン二次電池用セパレータは、0.80mm以下の突き刺し伸度を有すると、熱暴走の抑制にとって効果的であることが見出された。同様の観点から、突き刺し伸度は好ましくは0.60mm以下、さらに好ましくは0.45mm以下、より好ましくは0.35mm以下である。ただし、セパレータの突き刺し伸度が低すぎる場合には、電池製造における積層や巻回時にかかる応力に耐え切れず、セパレータが破断するおそれがある。このことからセパレータとしての必要最小限の強度を維持するために、突き刺し伸度の下限値は好ましくは0.05mm以上、さらに好ましくは0.10mm以上である。突き刺し伸度は、例えば、セパレータを作製するためのセルロース原料の叩解度、カットファイバーや無機物の添加、コーティングなどによって調整することができる。
突き刺し伸度とは、シート状試料の周縁を固定し、シート状試料の外表面から厚み方向に特定サイズの針を突き刺して、針がシート状試料に接触してから、穴が開くまでの移動距離(伸度)を意味する。突き刺し強度とは、シート状試料の周縁を固定し、シート状試料の外表面から膜状試料の厚み方向に特定サイズの針を突き刺すことにより掛けられた力に対する試料の応力を意味する。本発明により、リチウムイオン二次電池用セパレータは、0.80mm以下の突き刺し伸度を有すると、熱暴走の抑制にとって効果的であることが見出された。同様の観点から、突き刺し伸度は好ましくは0.60mm以下、さらに好ましくは0.45mm以下、より好ましくは0.35mm以下である。ただし、セパレータの突き刺し伸度が低すぎる場合には、電池製造における積層や巻回時にかかる応力に耐え切れず、セパレータが破断するおそれがある。このことからセパレータとしての必要最小限の強度を維持するために、突き刺し伸度の下限値は好ましくは0.05mm以上、さらに好ましくは0.10mm以上である。突き刺し伸度は、例えば、セパレータを作製するためのセルロース原料の叩解度、カットファイバーや無機物の添加、コーティングなどによって調整することができる。
本発明によれば、リチウムイオン二次電池の熱暴走を抑制することができる。前記および図1のように、電池の局所的な短絡抵抗が電池の内部抵抗と同程度の場合に最も発熱量が高くなり熱暴走につながりやすいが、本発明はこのような想定において高い安全性が得られる。本発明においては、正極、負極、セパレータにより構成された積層体を含むリチウムイオン二次電池において釘刺し試験を実施するとき、微小な面積かつ低い短絡抵抗で短絡させることにより短絡電流が集中し、短絡部の接触が断ち切られる。したがって、高エネルギー密度の電池であっても安全性を確保することができる。本発明のリチウムイオン二次電池用セパレータは釘刺し試験時に電極が破断する前に破断し、電極の破断形状に追従して破断するため、比較的小さな面積で内部短絡することができる。
一方で、釘刺し試験時に短絡部抵抗が高いときにおいても、短絡部分の局所的な発熱は小さく電池温度は緩やかに上昇するため、発火には至らない。電池が放電によりエネルギーを放出したところで発熱は収束し、安全な状態に移行する。図3では、釘が刺さることによる破膜時の挙動について、ポリエチレンやポリプロピレン等のポリオレフィンに代表される突き刺し伸度の高いセパレータ、および、本発明の第一態様に係るセパレータが対比される。図3を参照して、釘が刺さるときの破膜挙動と熱暴走の発生の関係を説明する。図3(a)は、正極及び負極の破壊挙動の一般的な例である。釘(4)が刺さるとき、正極(2)または負極(3)は突き刺し伸度が小さいため、破断後に釘が刺さる過程において中央部から亀裂が入ることで破壊が進行する。図3(b)は、ポリエチレンやポリプロピレンに代表される突き刺し伸度の高いポリオレフィン製セパレータ(11)の破膜挙動の例であり、釘(4)が刺さるとき、セパレータ(11)の突き刺し伸度が高いことに起因してセパレータ(11)に円形状の破断が生じる。この破断後は円形状に短絡部分が拡大する。また、セパレータ(11)が釘(4)の移動方向(突刺方向)に伸びるため、セパレータ(11)の破断時に、正極(2)と負極(3)の間にセパレータ(11)が入り込むことで、短絡初期の短絡部分の抵抗が高くなりやすい。そしてポリオレフィン製セパレータ(11)において高抵抗で短絡した場合、短絡部分の発熱によりセパレータ(11)が収縮し、短絡面積が徐々に拡大する。これにより、特にシャットダウンが機能しないような高エネルギー密度の電池においては、熱暴走に至る危険性がある。
図3(c)は、本発明のセパレータの破膜挙動の例である。本発明の第一態様のセパレータ(1)は、正極(2)及び負極(3)と同様に突き刺し伸度が小さいので、正極(2)及び負極(3)と同形状で破断し、微小な面積で短絡する。このように、本発明のセパレータは、釘刺し試験時に初期短絡抵抗が低く、微小な面積で短絡することから、微小面積に大きな短絡電流が集中する。これにより、短絡部分の電極箔や電極合材の溶融、電極合材の剥離による高抵抗化が起こり、導電パスが破壊されることで、発熱を早期に抑制することができる。さらにセルロース繊維はポリオレフィンよりも高い耐熱性を有するため、初期の短絡抵抗が高い場合においても、短絡部分の発熱に起因する熱収縮は極めて小さく、安全にエネルギー放出することができる。このような観点から、破膜時に異物への適切な追従性を有するセルロースを含む繊維からなるセパレータの突き刺し伸度が0.80mm以下であることにより本発明が特定される。後述する第二態様の二次電池も同様に、セパレータ(1)の突き刺し伸度が負極(3)の突き刺し伸度よりも低くなるように設計されているため、負極(3)と同形状で破断し、微小な面積で短絡する。また、セパレータ(1)は正極(2)および負極(3)よりも突き刺し伸度が小さいので、正極(2)と負極(3)は短絡初期の抵抗は低くなる効果が得られる。
セパレータの突き刺し伸度が正負極に比べて小さいことで、釘刺し試験時の短絡抵抗を低抵抗に制御することができる。これに加えて突き刺し強度が正負極に比べて低いことで、釘刺し試験で釘が刺さる時の電極の破壊挙動に追従しやすくなるため、短絡面積は小さくなる。このとき、短絡電流が集中することで短絡が解除される。釘刺し試験時にセパレータと正負極の破壊のされ方が異なる場合には短絡面積が大きくなることで短絡電流が分散し、短絡部分の発熱は継続し続ける。本発明のセパレータの突き刺し強度の上限値は好ましく300gf、より好ましくは200gfである。
[熱収縮率]
熱収縮率は熱機械分析(TMA)の引張モードによって求められる。TMAでは一定荷重のもとで加熱しながら、試料に起こる膨張、収縮を検出する方法である。試料は試料管の底部に置かれ、その試料の上にプローブ(検出棒)が直接乗せられる。試料は、荷重発生部からプローブを介して一定の荷重がかけられた状態で、加熱される。試料が変形を起こすと、試料とともにプローブが移動し、この時の移動量を位置検出部で計測することにより、熱膨張や熱収縮などの測定が可能となる。TMA測定は、実施例に記載の方法に従って行われる。
熱収縮率は熱機械分析(TMA)の引張モードによって求められる。TMAでは一定荷重のもとで加熱しながら、試料に起こる膨張、収縮を検出する方法である。試料は試料管の底部に置かれ、その試料の上にプローブ(検出棒)が直接乗せられる。試料は、荷重発生部からプローブを介して一定の荷重がかけられた状態で、加熱される。試料が変形を起こすと、試料とともにプローブが移動し、この時の移動量を位置検出部で計測することにより、熱膨張や熱収縮などの測定が可能となる。TMA測定は、実施例に記載の方法に従って行われる。
電池内部のセパレータは減圧状態であったり、張力が掛かる状態になっていたりすることから、容易にずれることはない。よって、本発明では、熱収縮率の測定にTMAが適する。また、一般にリチウムイオン二次電池内への水分持ち込み量を少なくするために、セパレータは乾燥した状態で電池に組み込まれることが多い。常温のセルロース繊維には水分が吸着しており、吸着水分が取り除かれることによってもセパレータの収縮が起こる。したがって、電池内部でのセパレータの熱収縮をより正確に再現するため、まず100℃で吸着水分を取り除き、さらに100℃から250℃まで加熱したときの変形を熱収縮率として算出することができる。
内部短絡による発熱が起こるとき、セパレータの熱収縮率が大きい場合には、発熱の影響を受けてセパレータが収縮する。この場合、短絡面積が増大し、連鎖的な発熱が起こることで熱暴走へと発展する。熱収縮率が大きい場合には、短絡部近傍のみならず、リチウムイオン二次電池端部においても短絡が発生するおそれがある。一方、セパレータに耐熱性があり、熱収縮率が小さい場合には、短絡面積が拡大することなく熱暴走を抑制することができる。したがって、100℃から250℃まで昇温させたときの熱収縮率が長手方向と幅方向でいずれも2%以下であることが好ましい。熱暴走抑制の観点から、1.0%以下であることがより好ましく、0.5%以下であることがさらに好ましい。
熱収縮率は、例えば、セパレータを作製するためのセルロース原料の選定、カットファイバーの添加、そのカットファイバーの繊維径、セルロース原料とセルロース繊維以外の原料の組成比率、繊維の配向性制御、セパレータ表面のコーティング処理などの選択により適宜調整することができる。
熱収縮率は、例えば、セパレータを作製するためのセルロース原料の選定、カットファイバーの添加、そのカットファイバーの繊維径、セルロース原料とセルロース繊維以外の原料の組成比率、繊維の配向性制御、セパレータ表面のコーティング処理などの選択により適宜調整することができる。
[構成要素]
セルロース繊維からなるリチウムイオン二次電池用セパレータの構成要素及び好ましい実施形態について以下に説明する。
セルロース繊維からなるリチウムイオン二次電池用セパレータの構成要素及び好ましい実施形態について以下に説明する。
[セルロース繊維]
リチウムイオン二次電池用セパレータはセルロース繊維を含むものであり、繊維の全重量を基準として、その配合量は50重量%から100重量%の範囲であることが好ましい。セルロース繊維としては、コットン、コットンリンター、木材パルプに代表されるようなセルロース繊維供給源からの、セルロースI型の天然繊維、再生セルロースに代表されるセルロースII型の繊維が挙げられ、特に限定されるものではない。
リチウムイオン二次電池用セパレータはセルロース繊維を含むものであり、繊維の全重量を基準として、その配合量は50重量%から100重量%の範囲であることが好ましい。セルロース繊維としては、コットン、コットンリンター、木材パルプに代表されるようなセルロース繊維供給源からの、セルロースI型の天然繊維、再生セルロースに代表されるセルロースII型の繊維が挙げられ、特に限定されるものではない。
本発明のセパレータに使用されるセルロース繊維はミクロフィブリル化されていてもよい。セルロース繊維をミクロフィブリル化処理する装置は特に限定されるものではないが、例えば、高圧ホモジナイザー処理(マントン・ゴーリン型分散機による高圧分散処理)、ラニエタイプ圧力式ホモジナイザー、超高圧ホモジナイザー処理(アルテマイザーTM(スギノマシーン株式会社製)、ビーズミルや流星ミル等の分散装置、マスコロイダー(粒度16~120番の砥粒を備える砥粒板を複数枚擦合せ配置した砥粒板擦合装置、増幸産業株式会社製)等のホモジナイザー等が挙げられる。また、ミクロフィブリル化処理する前にダブルディスクリファイナー、ビーター等製紙用で使用している叩解機を前処理に使用することも可能である。また、添加量は限られてくるが、TEMPO酸化触媒によってナノファイバー化されたセルロースナノファイバーを用いることも可能である。特に、本発明においては、セパレータ膜厚を従来よりも薄くしたとしても電池製造に耐え得る十分な引張強度および引き裂き強度を確保する観点から、セルロース系セパレータに使用されるセルロース繊維が、粒度16~120番の砥粒を備える砥粒板を複数枚擦合せ配置した砥粒板擦合装置の擦合せ部に予め叩解処理したパルプスラリーを通過させる微細化処理、又は予め叩解処理したパルプスラリーを高圧ホモジナイザー処理する微細化処理を受けていることが好ましい。
前記セルロース繊維には1000nm以下、好ましくは500nm以下、より好ましくは300nm以下の太さ(幅)の繊維がセルロース繊維の全重量を基準として50重量%以上含まれていることが好ましく、70重量%以上がより好ましく、90重量%以上が特に好ましい。したがって、前記セルロース繊維は300nm以下の太さを有する比較的細いセルロース繊維から主に構成されることが好ましい。繊維幅が小さいほどセパレータの厚み均一性が高くなり、透気抵抗度や突き刺し強度のばらつきも小さくなる。なお、ここでの繊維幅は、多孔性シートの表面の複数箇所を電子顕微鏡によって拡大観察し、各電子顕微鏡画像中から所定数の繊維を無作為に選別し、選別された当該繊維の幅を測定し平均して得られた繊維幅を意味する。選別される繊維の数は100以上であり、200以上が好ましく、300以上がより好ましい。セルロース繊維幅は、ホモジナイザーや叩解機によるミクロフィブリル化やTEMPO酸化触媒によるナノファイバー化などにより上記で説明されたとおりに調整することができる。
[カットファイバー]
本発明に使用される繊維として、セルロース繊維に加えてカットファイバーを含むことが好ましい。カットファイバーを使用することで突き刺し伸度を調整することができ、セルロース繊維単独よりも低い突き刺し伸度を設計しやすい。またカットファイバーの添加によりセパレータのハンドリング性を向上させることもできる。カットファイバーの平均繊維径は1.8~25μmが好ましく、1.8~20μmがより好ましく、1.8~15μmが更により好ましく、1.8~10μmが更により好ましく、1.8~5μmが特に好ましい。繊維の全重量を基準として、カットファイバーの配合量は50重量%未満が好ましく、50重量%未満で配合比率が高いほど低い突き刺し伸度を設計することができるためより好ましい。50重量%を超えるとセパレータの細孔径が大きくなり、リチウムデンドライトによる短絡が発生するリスクが高くなる。カットファイバーとしては、合成樹脂等が挙げられ、例えば、ポリビニルアルコール、脂肪族ポリアミド、半芳香族ポリアミド、芳香族ポリアミド、ポリスルホン、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエステル、ポリフッ化ビニリデン、ポリフッ化ビニリデン-ヘキサフルオロプロピレン、ポリエチレンオキシド、ポリメチルペンテン、ポリアクリロニトリルポリフェニレンスルフィド、ポリアセチル、ポリウレタン、ポリアクリロニトリル、ポリメチルメタクリレート、ポリスチレン、ポリテトラフルオロエチレン、エチレン-テトラフルオロエチレン、PPS樹脂および、これらの組み合わせから選択される高分子を利用することができる。前記カットファイバーは特に限定されるものではないが、上記高分子から構成されることが好ましく、カットファイバーを構成する高分子としては、ポリエステル、アラミド、ビニロン、PPS樹脂、又は、これらの組合せがより好ましい。なお、その構成成分として、上記の素材の他に、必要に応じて、公知の各種添加剤(例えば、前記素材が樹脂の場合には酸化防止剤等)を含有していてもよい。
本発明に使用される繊維として、セルロース繊維に加えてカットファイバーを含むことが好ましい。カットファイバーを使用することで突き刺し伸度を調整することができ、セルロース繊維単独よりも低い突き刺し伸度を設計しやすい。またカットファイバーの添加によりセパレータのハンドリング性を向上させることもできる。カットファイバーの平均繊維径は1.8~25μmが好ましく、1.8~20μmがより好ましく、1.8~15μmが更により好ましく、1.8~10μmが更により好ましく、1.8~5μmが特に好ましい。繊維の全重量を基準として、カットファイバーの配合量は50重量%未満が好ましく、50重量%未満で配合比率が高いほど低い突き刺し伸度を設計することができるためより好ましい。50重量%を超えるとセパレータの細孔径が大きくなり、リチウムデンドライトによる短絡が発生するリスクが高くなる。カットファイバーとしては、合成樹脂等が挙げられ、例えば、ポリビニルアルコール、脂肪族ポリアミド、半芳香族ポリアミド、芳香族ポリアミド、ポリスルホン、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエステル、ポリフッ化ビニリデン、ポリフッ化ビニリデン-ヘキサフルオロプロピレン、ポリエチレンオキシド、ポリメチルペンテン、ポリアクリロニトリルポリフェニレンスルフィド、ポリアセチル、ポリウレタン、ポリアクリロニトリル、ポリメチルメタクリレート、ポリスチレン、ポリテトラフルオロエチレン、エチレン-テトラフルオロエチレン、PPS樹脂および、これらの組み合わせから選択される高分子を利用することができる。前記カットファイバーは特に限定されるものではないが、上記高分子から構成されることが好ましく、カットファイバーを構成する高分子としては、ポリエステル、アラミド、ビニロン、PPS樹脂、又は、これらの組合せがより好ましい。なお、その構成成分として、上記の素材の他に、必要に応じて、公知の各種添加剤(例えば、前記素材が樹脂の場合には酸化防止剤等)を含有していてもよい。
本発明のセパレータは、有機材料や無機材料の1種を含有していてもよく、2種以上を含有していてもよい。有機材料としては、セルロース誘導体(カルボキシメチルセルロース等)、ポリビニルアルコール、脂肪族ポリアミド、半芳香族ポリアミド、芳香族ポリアミド、ポリスルホン、セルロースアセテート、セルロース、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエステル、ポリフッ化ビニリデン、ポリフッ化ビニリデン-ヘキサフルオロプロピレン、ポリエチレンオキシド、ポリメチルペンテン、ポリアクリロニトリルポリフェニレンスルフィド、ポリアセチル、ポリウレタン、ポリアクリロニトリル、ポリメチルメタクリレート、ポリスチレン、ポリテトラフルオロエチレン、エチレン-テトラフルオロエチレン、PPS樹脂及び、これらの組み合わせから選択される高分子等を利用することができる。無機材料としては、アルミナ、シリカ(珪素酸化物) 、チタニア、ジルコニア、マグネシア、セリア、イットリア、酸化亜鉛、酸化鉄などの酸化物系セラミックス; 窒化ケイ素、窒化チタン、窒化ホウ素等の窒化物系セラミックス; シリコンカーバイド、炭酸カルシウム、硫酸アルミニウム、水酸化アルミニウム、チタン酸カリウム、タルク、カオリンクレー、カオリナイト、ハロイサイト、パイロフィライト、モンモリロナイト、セリサイト、マイカ、アメサイト、ベントナイト、アスベスト、ゼオライト、ケイ酸カルシウム、ケイ酸マグネシウム、ケイ藻土、ケイ砂等のセラミックス; ガラス繊維等が挙げられる。なお、その構成成分として、上記の素材の他に、必要に応じて、公知の各種添加剤( 例えば、前記素材が樹脂の場合には酸化防止剤等)を含有していてもよい。セパレータの耐熱性や電池製造時の巻回適性の観点から上記有機材料および無機材料単体あるいは2種類以上を含むコーティング層が形成されていても良い。
[リチウムイオン二次電池用セパレータ]
本発明のセパレータは、厚み10μm当たりの透気抵抗度が10秒以上600秒以下(/100cc)であることが好ましく、20秒以上450秒以下がより好ましく、30秒以上250秒以下が更により好ましい。前記透気抵抗度はJIS P8117に基づいて測定することができる。透気抵抗度はセルロース繊維の繊維幅や含有する前記無機材料、有機材料、などにより調整することができる。
本発明のセパレータは、厚み10μm当たりの透気抵抗度が10秒以上600秒以下(/100cc)であることが好ましく、20秒以上450秒以下がより好ましく、30秒以上250秒以下が更により好ましい。前記透気抵抗度はJIS P8117に基づいて測定することができる。透気抵抗度はセルロース繊維の繊維幅や含有する前記無機材料、有機材料、などにより調整することができる。
前記セパレータの厚みは、特に限定されるものではないが、電池製造時のセパレータの巻回適性と電池の高容量化を両立する観点から、セパレータの厚みは3~50μmが好ましく、5~40μmが好ましく、5~25μmがより好ましい。
本発明のセパレータの空孔率は30%以上70%以下が好ましい。発明における空孔率は、繊維を膨潤させない溶媒を前記セパレータに含浸させて、その吸液した溶媒の重量から計算することが可能である。本発明において空孔率を測定することが可能な溶媒は、繊維を膨潤させない溶媒なので、セルロース繊維等の極性を有する繊維の場合は極性の低い有機溶媒を用いるのが好ましい。また吸液させた溶媒が短い測定時間の間で揮発してしまわないものを選定する必要がある。特に好ましいものとしては、通常電解液で使用されるプロピレングリコールやケロシン等石油系の高沸点溶媒等が挙げられる。本発明の積層体の空孔率を30%~70%の範囲に維持することで、電気化学素子に良好に対応可能である。空孔率30%未満でも本発明の多孔性シートは電気化学素子として作動することは可能ではあるが、抵抗値が高いため出力が下がり電気化学素子としての性能が十分ではないおそれがある。空孔率が70%を超える場合には、細孔分布のモード径が大きくなり多孔性シートに起因する抵抗が下がるので電気化学素子の出力性能及びサイクル特性は向上するが、リチウムイオン二次電池用途ではリチウム遮断特性が低下し、リチウムデンドライトによる短絡が発生するリスクが高くなるため、安全上好ましくない。
本発明のセパレータの水銀圧入法で測定されるモード径(最大頻度)は、0.3μm未満であることが好ましい。リチウムイオン二次電池等の電気化学素子で使用される電極活物質の粒子径は様々な大きさがあるため、必ずしも細孔径が小さくなければならない訳ではない。およその基準としては、使用される活物質の粒子径の1/4の細孔径であれば短絡は起きないとされている。
[製造方法]
本発明のセパレータの製造方法は、抄紙法やキャスト法でシート化した原料をアセトンのような親水性の溶媒に置換した後、更にトルエンとアセトンの混合溶媒といったより疎水性の高い溶媒に置換して乾燥させる、親水性開孔剤を含むスラリーを基材上に塗布し乾燥する等の方法があり、特に限定されるものではないが、製造効率の観点から、スラリーを基材上に塗布し乾燥する方法が好ましい。抄紙法やキャスト法でシート化した原料をアセトンのような親水性の溶媒に置換した後、更にトルエンとアセトンの混合溶媒といったより疎水性の高い溶媒に置換して乾燥させる方法は、分散溶媒の水からアセトンに溶媒置換する作業である。セルロース繊維は、繊維径が細くなるに従い保水性が高くなるため、水から溶媒への置換は非常に時間のかかる作業となっており実生産の面で生産性を下げる要因となっている。更に、細孔径は繊維の太さに依存されるため、細孔径はあくまで繊維の太さによってコントロールされることになり、均一化された繊維を利用しなくては目的の細孔径をえることが出来ず、セルロース繊維の処理工程にも時間とコストが必要となっている。
本発明のセパレータの製造方法は、抄紙法やキャスト法でシート化した原料をアセトンのような親水性の溶媒に置換した後、更にトルエンとアセトンの混合溶媒といったより疎水性の高い溶媒に置換して乾燥させる、親水性開孔剤を含むスラリーを基材上に塗布し乾燥する等の方法があり、特に限定されるものではないが、製造効率の観点から、スラリーを基材上に塗布し乾燥する方法が好ましい。抄紙法やキャスト法でシート化した原料をアセトンのような親水性の溶媒に置換した後、更にトルエンとアセトンの混合溶媒といったより疎水性の高い溶媒に置換して乾燥させる方法は、分散溶媒の水からアセトンに溶媒置換する作業である。セルロース繊維は、繊維径が細くなるに従い保水性が高くなるため、水から溶媒への置換は非常に時間のかかる作業となっており実生産の面で生産性を下げる要因となっている。更に、細孔径は繊維の太さに依存されるため、細孔径はあくまで繊維の太さによってコントロールされることになり、均一化された繊維を利用しなくては目的の細孔径をえることが出来ず、セルロース繊維の処理工程にも時間とコストが必要となっている。
[リチウムイオン二次電池]
本発明のセパレータを備えるリチウムイオン二次電池は、正極と負極とを有し、これらの間に本発明のリチウムイオン二次電池用セパレータが配置され、このセパレータに電解液が含浸されたものである。
本発明のセパレータを備えるリチウムイオン二次電池は、正極と負極とを有し、これらの間に本発明のリチウムイオン二次電池用セパレータが配置され、このセパレータに電解液が含浸されたものである。
上記正極及び負極は電極活物質を含む。正極活物質としては従来公知のものを用いることができ、例えば、LiCoO2、LiNiO2、LiMn2O4等のリチウム遷移金属酸化物や、LiFePO4等のリチウム金属リン酸塩等が挙げられる。負極活物質としては従来公知のものを用いることができ、例えば、グラファイト等の炭素材料やリチウム合金等が挙げられる。また、電極には必要に応じて、従来公知の導電助材や結着剤が添加される。
リチウムイオン二次電池を製造するにはまず、正極活物質、負極活物質とそれぞれ、必要に応じて、従来公知の導電助材や結着剤とを含有してなる正極合剤、負極合剤を従来公知の集電体に塗布する。集電体としては例えば、正極にはアルミニウム等、負極には銅、ニッケル等が用いられる。正極合剤、負極合剤を集電体に塗布した後、乾燥させ、加圧成形することにより、集電体に活物質層が形成された正極及び負極がそれぞれ得られる。
次いで、得られた正極及び負極と、本発明のセパレータとを、正極、セパレータ、負極の順に積層し或いは巻回して素子を構成する。次いで、その素子を外装材に収納し、集電体を外部電極に接続して、従来公知の電解液を含浸した後、外装材を封止してリチウムイオン二次電池が得られる。なお、上述した各種物性の測定値は、特に断りの無い限り、後述する実施例における測定法に準じて測定される値である。
本発明の第二態様は、正極、負極、セルロース繊維を含む繊維からなるセパレータの積層体を含む二次電池であって、前記正極および負極の突き刺し伸度のいずれか低い方をA、前記セパレータの突き刺し伸度をBとしたとき、A>Bを満たす、リチウムイオン二次電池である。これを満たすものであれば、リチウムイオン二次電池の設計において、目的に応じて任意の正極、負極、セパレータ等の部材を選択し、組み合わせることができる。正極、負極、セパレータは厚みや種類などにより、各部材の突き刺し伸度は異なる。釘刺し試験時の初期短絡抵抗が低い、すなわち正極と負極が接触し易い状態とするためには、突き刺し伸度が高い正極および負極よりもセパレータの突き刺し伸度が低ければよい。よって、リチウムイオン二次電池が内部短絡に対して優れた安全性を有するために求められるセパレータの突き刺し伸度は前記のごとくA>Bと特定される。なお、セパレータはセルロース繊維を含む繊維からなり、第一態様のリチウムイオン二次電池用セパレータであることが好ましい。
前記セパレータは突き刺し伸度が電極よりも小さいため、電極合材同士の接触に加えて電極箔同士や電極箔と電極合材が接触しやすくなることで、低い短絡抵抗で短絡させるように制御することができる。また、セルロース繊維はポリエチレンやポリプロピレン等のポリオレフィンとは異なり200℃以上の高い耐熱性を有するため、短絡部分に発生した熱により連鎖的に短絡面積が増大することはない。つまり、短絡部分に電流が集中することで、電極箔や電極合材の溶融、電極合材の剥離による高抵抗化が起こり電圧復帰することにより熱暴走を抑制することができる。
前記の正極は特に限定は無くA>Bを満たすものであれば公知のものが用いられ、例えば、正極基材に正極合剤を含む正極合剤層が形成されたものである。また、負極とは特に限定は無くA>Bを満たすものであれば公知のものでよく、例えば、負極基材に負極合剤を含む負極合剤層が形成されたものである。前記積層体は、正極と負極との間にセパレータが介された積層体が例示され、この積層体が電解液とともにラミネートフィルムあるいは円筒型や角型等のケース内部に収容されたものが例示される。
正極、負極、セパレータの積層体を含むリチウムイオン二次電池は、公知の手法に従って得られる。例えば、正極、セパレータ及び負極を順次積層した積層体をラミネートセル容器内に収容し、電解液とともに封止することでリチウムイオン二次電池が得られる。
次に、実施例及び比較例を挙げて本実施形態をより具体的に説明するが、本実施形態は
その要旨を超えない限り、以下の実施例に限定されるものではない。なお、実施例中の物
性は以下の方法により測定した。
その要旨を超えない限り、以下の実施例に限定されるものではない。なお、実施例中の物
性は以下の方法により測定した。
[繊維幅]
電子顕微鏡(日立製作所製)で倍率5000倍の画像を5箇所撮影し、それぞれの視野から任意で20本の繊維を選択して繊維幅を測定した。
電子顕微鏡(日立製作所製)で倍率5000倍の画像を5箇所撮影し、それぞれの視野から任意で20本の繊維を選択して繊維幅を測定した。
[厚み]
サンプルを23℃50%相対湿度の雰囲気下で1日調湿した後、自動昇降式紙厚計TM600(熊谷理機工業社製)を用いて、先端直径16mmの先端子、100kPaの圧力で厚みを測定した。厚みの測定値は、5箇所の平均値を算出した値である。
サンプルを23℃50%相対湿度の雰囲気下で1日調湿した後、自動昇降式紙厚計TM600(熊谷理機工業社製)を用いて、先端直径16mmの先端子、100kPaの圧力で厚みを測定した。厚みの測定値は、5箇所の平均値を算出した値である。
[透気抵抗度]
サンプルを23℃50%相対湿度の雰囲気下で1日調湿した後、王研式透気度平滑度試験機(旭精工社製)を用いて透気抵抗度を測定した。透気抵抗度の測定値は、3箇所の平均値を算出した値である。また得られた透気抵抗度の厚み10μmあたりの値を算出した。
サンプルを23℃50%相対湿度の雰囲気下で1日調湿した後、王研式透気度平滑度試験機(旭精工社製)を用いて透気抵抗度を測定した。透気抵抗度の測定値は、3箇所の平均値を算出した値である。また得られた透気抵抗度の厚み10μmあたりの値を算出した。
[空孔率]
50mm×50mmのサイズにカットしたサンプルを23℃50%相対湿度の雰囲気下で1日調湿した後、更に5桁秤を用いてサンプルの重量を秤量した。秤量後、ケロシンに1分間含浸させた後、表面について余分な溶媒を吸い取り紙で吸収した後、再度秤量を行った。含浸後の重量から含浸前の重量を引いた値を含浸した溶媒の密度で割ることにより溶媒の体積を求めた。この体積を厚みから計算した全体の体積の百分率を空孔率とした。したがって、この場合の空孔率は以下の式により求めることができる。空孔率(%)=100×(吸液後のシート重量-吸液前のシート重量)/吸液させた溶媒の密度×5×5×厚み(cm)空孔率は、3回の平均を算出した値である。
50mm×50mmのサイズにカットしたサンプルを23℃50%相対湿度の雰囲気下で1日調湿した後、更に5桁秤を用いてサンプルの重量を秤量した。秤量後、ケロシンに1分間含浸させた後、表面について余分な溶媒を吸い取り紙で吸収した後、再度秤量を行った。含浸後の重量から含浸前の重量を引いた値を含浸した溶媒の密度で割ることにより溶媒の体積を求めた。この体積を厚みから計算した全体の体積の百分率を空孔率とした。したがって、この場合の空孔率は以下の式により求めることができる。空孔率(%)=100×(吸液後のシート重量-吸液前のシート重量)/吸液させた溶媒の密度×5×5×厚み(cm)空孔率は、3回の平均を算出した値である。
[突き刺し試験]
圧縮試験機KES-G5(カトーテック社製)を用いて測定した。50mm×50mmのサイズにカットしたサンプルを23℃50%相対湿度の雰囲気下で1日調湿した後、試料ホルダーでサンプルを固定した。次に固定されたサンプルの中央部を、球状の針先端(曲率半径0.5mm)を有する直径1mmの針 、突き刺し速度0.1cm/sec、測定下限値10gf、23℃50%相対湿度の雰囲気下にて突き刺し試験を行うことにより、最大突刺荷重として突き刺し強度を測定し、かつ針が微多孔膜に触れてから最大応力(突き刺し強度)に達するまでの針の変位を突き刺し伸度として測定した。突き刺し試験の測定値は、5点を測定し、それらの平均値を算出した値である。
圧縮試験機KES-G5(カトーテック社製)を用いて測定した。50mm×50mmのサイズにカットしたサンプルを23℃50%相対湿度の雰囲気下で1日調湿した後、試料ホルダーでサンプルを固定した。次に固定されたサンプルの中央部を、球状の針先端(曲率半径0.5mm)を有する直径1mmの針 、突き刺し速度0.1cm/sec、測定下限値10gf、23℃50%相対湿度の雰囲気下にて突き刺し試験を行うことにより、最大突刺荷重として突き刺し強度を測定し、かつ針が微多孔膜に触れてから最大応力(突き刺し強度)に達するまでの針の変位を突き刺し伸度として測定した。突き刺し試験の測定値は、5点を測定し、それらの平均値を算出した値である。
[熱収縮率]
熱機械分析装置TMA/SS 7100(日立ハイテクサイエンス社製)を用い、引張モードで測定を行った。流れ方向または幅方向でサンプルを幅4mmに切り出し、チャック間距離20mmとなるようにチャックに固定し、専用プロープにセットした。初期荷重を0.0098N(1.0gf)に設定し、窒素ガス300mL/minフロー雰囲気下で30 ℃ から5℃/minの速度で100℃まで昇温させ、20分間保持した。その後、100℃から5℃/minの速度で250℃まで昇温させた。100℃から250℃までのチャック間距離の変化を熱収縮率とした。したがって、熱収縮率は以下の式によって求めることができる。このTMAにより算出した熱収縮率は、2回の測定の平均を算出した値である。
熱収縮率=(100℃のときのチャック間距離-250℃のときのチャック間距離)/100℃のときのチャック間距離
熱機械分析装置TMA/SS 7100(日立ハイテクサイエンス社製)を用い、引張モードで測定を行った。流れ方向または幅方向でサンプルを幅4mmに切り出し、チャック間距離20mmとなるようにチャックに固定し、専用プロープにセットした。初期荷重を0.0098N(1.0gf)に設定し、窒素ガス300mL/minフロー雰囲気下で30 ℃ から5℃/minの速度で100℃まで昇温させ、20分間保持した。その後、100℃から5℃/minの速度で250℃まで昇温させた。100℃から250℃までのチャック間距離の変化を熱収縮率とした。したがって、熱収縮率は以下の式によって求めることができる。このTMAにより算出した熱収縮率は、2回の測定の平均を算出した値である。
熱収縮率=(100℃のときのチャック間距離-250℃のときのチャック間距離)/100℃のときのチャック間距離
[釘刺し試験]
a.正極の作製
正極活物質としてリチウムコバルトニッケルマンガン複合酸化物LiNiMnCoO2、並びに導電材としてアセチレンブラックを、バインダーであるポリフッ化ビニリデン(PVDF)に分散させてスラリーを調製した。このスラリーを正極集電体となる厚さ15μmのアルミニウム箔の両面に22.0mg/cm2塗布し、170℃で乾燥後、ロールプレス機で合材の密度が2.8g/cm3となるように成形した。得られた成形体を28mm幅にスリットして正極を得た。
b.負極の作製
負極活物質として人造グラファイト、並びに導電材としてアセチレンブラックを、バインダーであるポリフッ化ビニリデン(PVDF)に分散させてスラリーを調製した。このスラリーを負極集電体となる厚さ10μm銅箔の両面に12.2mg/cm2塗布し、120℃で乾燥後、ロールプレス機で合材の密度が1.5g/cm3となるように成形した。得られた成形体を30mm幅にスリットして負極を得た。
c.非水電解液の調製
エチレンカーボネート:エチルメチルカーボネート=3:7(体積比) の混合溶媒にビニレンカーボネートを2%層加し、溶質としてLiPF6を濃度1mol/Lとなるように溶解させて、非水電解液を調製した。
d.セパレータの乾燥
実施例は120℃、比較例は70℃で乾燥させ、31mm幅にスリットした。
e.電池組立
正極24枚、セパレータ48枚及び負極25枚を積層した後、正極にアルミニウム板、負極に鉄ニッケル板の外部端子を溶接した。この積層体をポリプロピレン系アルミラミネート外装に挟み込み、ラミネートシールすることで固定した。その後、非水電解液をラミネートセル内に注入し、封止することで、2Ahの積層型ラミネートセルを作製した。この積層型ラミネートセルを0.2C(定格電気容量の1時間率(1C)の0.2倍の電流)の電流値で電池電圧4.2Vまで充電し、到達後2.7Vまで放電することを3回繰り返した。さらに、4.2Vまで充電した。
f.釘刺し試験
室温環境下で、電池を試験台に固定した。外径3mm、先端角度45°である、SK鋼の釘を用いて、25mm/secの速度で電池の上面から3.8mmの深さまで差し込んだ。このときの釘の温度をシールタイプの熱電対で測定した。釘の最高到達温度について下記基準に即して評価した。
〇:最高到達温度が110℃以下。
△:最高到達温度が111℃以上、180℃以下。
×:最高到達温度が181℃以上、又は発火。
a.正極の作製
正極活物質としてリチウムコバルトニッケルマンガン複合酸化物LiNiMnCoO2、並びに導電材としてアセチレンブラックを、バインダーであるポリフッ化ビニリデン(PVDF)に分散させてスラリーを調製した。このスラリーを正極集電体となる厚さ15μmのアルミニウム箔の両面に22.0mg/cm2塗布し、170℃で乾燥後、ロールプレス機で合材の密度が2.8g/cm3となるように成形した。得られた成形体を28mm幅にスリットして正極を得た。
b.負極の作製
負極活物質として人造グラファイト、並びに導電材としてアセチレンブラックを、バインダーであるポリフッ化ビニリデン(PVDF)に分散させてスラリーを調製した。このスラリーを負極集電体となる厚さ10μm銅箔の両面に12.2mg/cm2塗布し、120℃で乾燥後、ロールプレス機で合材の密度が1.5g/cm3となるように成形した。得られた成形体を30mm幅にスリットして負極を得た。
c.非水電解液の調製
エチレンカーボネート:エチルメチルカーボネート=3:7(体積比) の混合溶媒にビニレンカーボネートを2%層加し、溶質としてLiPF6を濃度1mol/Lとなるように溶解させて、非水電解液を調製した。
d.セパレータの乾燥
実施例は120℃、比較例は70℃で乾燥させ、31mm幅にスリットした。
e.電池組立
正極24枚、セパレータ48枚及び負極25枚を積層した後、正極にアルミニウム板、負極に鉄ニッケル板の外部端子を溶接した。この積層体をポリプロピレン系アルミラミネート外装に挟み込み、ラミネートシールすることで固定した。その後、非水電解液をラミネートセル内に注入し、封止することで、2Ahの積層型ラミネートセルを作製した。この積層型ラミネートセルを0.2C(定格電気容量の1時間率(1C)の0.2倍の電流)の電流値で電池電圧4.2Vまで充電し、到達後2.7Vまで放電することを3回繰り返した。さらに、4.2Vまで充電した。
f.釘刺し試験
室温環境下で、電池を試験台に固定した。外径3mm、先端角度45°である、SK鋼の釘を用いて、25mm/secの速度で電池の上面から3.8mmの深さまで差し込んだ。このときの釘の温度をシールタイプの熱電対で測定した。釘の最高到達温度について下記基準に即して評価した。
〇:最高到達温度が110℃以下。
△:最高到達温度が111℃以上、180℃以下。
×:最高到達温度が181℃以上、又は発火。
[実施例1]
針葉樹晒クラフトパルプをイオン交換水中に3重量%濃度になるように分散させ、ダブルディスクリファイナーを用いて長さ加重平均繊維長0.4mm~0.6mmの範囲となるような条件までサイクリングにて叩解した。長さ加重平均繊維長が0.4mm~0.6mmの範囲となったセルロース繊維分散液をマスコロイダー(増幸産業株式会社製)で5回処理することによりセルロース繊維の原料を得た。原料の繊維幅を測定したところ、98重量%が1000nm以下であった。
針葉樹晒クラフトパルプをイオン交換水中に3重量%濃度になるように分散させ、ダブルディスクリファイナーを用いて長さ加重平均繊維長0.4mm~0.6mmの範囲となるような条件までサイクリングにて叩解した。長さ加重平均繊維長が0.4mm~0.6mmの範囲となったセルロース繊維分散液をマスコロイダー(増幸産業株式会社製)で5回処理することによりセルロース繊維の原料を得た。原料の繊維幅を測定したところ、98重量%が1000nm以下であった。
セルロース繊維の原料を100重量部とし、これに対して合繊繊維カットファイバーとして平均繊維径3.5μm、繊維長3mmのポリエチレンテレフタレート繊維(TA04PN、帝人ファイバー製)を60重量部、グリコールエーテル系開孔剤(商品名:ハイソルブDB 東邦化学製)を350重量部、親水性高分子バインダーとして1重量%濃度でイオン交換水に溶解したカルボキシメチルセルロース(商品名:サンローズMAC-500LC 日本製紙ケミカル製)を10重量部添加し、最終的に固形分濃度が1.8重量%となるように水を加えた塗料をホモミキサー(株式会社アズワン製)で均一に混ざるまで分散を行い、塗料を調合した。
調合した塗料を厚さ100μmのPETフィルム上にWET膜厚が0.40mmとなるようダイコーターを用いて塗布し、120℃の熱風及び赤外線ヒーターを用いて20分間乾燥した。得られた塗工膜をトルエン中でPETフィルムから剥離してトルエンを揮発させることにより、坪量8.9g/m2、厚み19μmのセパレータを得た。
[実施例2]
合成繊維カットファイバーとして平均繊維径5μm、繊維長3mmのポリエチレンテレフタレート繊維(TA04PN、帝人ファイバー製)を100重量部加える以外は実施例1と同様の方法で塗料を調合した。調合した塗料を厚さ100μmのPETフィルム上にWET膜厚が0.35mmとなるようダイコーターを用いて塗布し、120℃の熱風及び赤外線ヒーターを用いて20分間乾燥した。得られた塗工膜をトルエン中でPETフィルムから剥離してトルエンを揮発させることにより、坪量7.4g/m2、厚み22μmのセパレータを得た。
合成繊維カットファイバーとして平均繊維径5μm、繊維長3mmのポリエチレンテレフタレート繊維(TA04PN、帝人ファイバー製)を100重量部加える以外は実施例1と同様の方法で塗料を調合した。調合した塗料を厚さ100μmのPETフィルム上にWET膜厚が0.35mmとなるようダイコーターを用いて塗布し、120℃の熱風及び赤外線ヒーターを用いて20分間乾燥した。得られた塗工膜をトルエン中でPETフィルムから剥離してトルエンを揮発させることにより、坪量7.4g/m2、厚み22μmのセパレータを得た。
[実施例3]
カルボキシメチルセルロースの代わりに、10重量%で溶解したポリビニルアルコール(クラレポバール95-88)を加える以外は実施例1と同様の方法で調合した塗料を使用し、坪量8.0g/m2、厚み19μmのセパレータを得た。
カルボキシメチルセルロースの代わりに、10重量%で溶解したポリビニルアルコール(クラレポバール95-88)を加える以外は実施例1と同様の方法で調合した塗料を使用し、坪量8.0g/m2、厚み19μmのセパレータを得た。
[比較例1・2]
比較例1として市販のフィラーコートポリエチレンフィルム製セパレータ、比較例2として市販のポリプロピレンフィルム製セパレータを使用した。
比較例1として市販のフィラーコートポリエチレンフィルム製セパレータ、比較例2として市販のポリプロピレンフィルム製セパレータを使用した。
実施例1~3、比較例1、2のセパレータについて評価を行った。評価結果を表1に示す。表1の結果から、突き刺し伸度が小さい実施例1~3は、釘刺し試験における最高到達温度が100℃以下であり、安全性が高いことが示された。一方で突き刺し伸度が大きい比較例1、2は最高到達温度が100℃を超え、熱暴走に至る危険性が高いことが示された。実施例1~3は、突き刺し伸度が小さいため初期の短絡抵抗が図1(2)の領域となり、瞬間的に局所加熱されて短絡が解除されることで、発熱が抑制されたと考えられる。比較例1、2は、突き刺し伸度が大きいため初期の短絡抵抗は高いが、発熱によりセパレータが溶融・収縮することで連鎖的に短絡・発熱したと推測される。
1 本発明のリチウムイオン二次電池用セパレータ
11 ポリオレフィン製セパレータ
2 正極
3 負極
4 釘
11 ポリオレフィン製セパレータ
2 正極
3 負極
4 釘
Claims (10)
- セルロース繊維を含む繊維からなるリチウムイオン二次電池用セパレータであって、突き刺し伸度が0.80mm以下である、リチウムイオン二次電池用セパレータ。
- 突き刺し強度が300gf以下である、請求項1に記載のリチウムイオン二次電池用セパレータ。
- 100℃から250℃まで昇温させたときの熱収縮率が長手方向と幅方向でいずれも2%以下である、請求項1または2に記載のリチウムイオン二次電池用セパレータ。
- 構成するセルロース繊維のうち繊維幅が1000nm以下であるセルロース繊維が50重量%以上含まれることを特徴とする、請求項1~3のいずれかに記載のリチウムイオン二次電池用セパレータ。
- 厚み10μmあたりの透気抵抗度が10秒以上600秒以下である、請求項1~4のいずれかに記載のリチウムイオン二次電池用セパレータ。
- 空孔率が30~70%の範囲である、請求項1~5のいずれかに記載のリチウムイオン二次電池用セパレータ。
- カットファイバーをさらに含む、請求項1~6のいずれかに記載のリチウムイオン二次電池用セパレータ。
- 請求項1~7に記載のリチウムイオン二次電池用セパレータを備えるリチウムイオン二次電池。
- 正極、負極およびセルロース繊維を含む繊維からなるセパレータの積層体を含み、前記正極および負極の突き刺し伸度のいずれか低い方をA、前記セパレータの突き刺し伸度をBとしたとき、A>Bを満たす、リチウムイオン二次電池。
- セパレータが請求項1~7に記載のリチウムイオン二次電池用セパレータである、請求項9記載のリチウムイオン二次電池。
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JP2020217187A JP2022102452A (ja) | 2020-12-25 | 2020-12-25 | リチウムイオン二次電池用セパレータ及びリチウムイオン二次電池 |
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JP2020217187A Pending JP2022102452A (ja) | 2020-12-25 | 2020-12-25 | リチウムイオン二次電池用セパレータ及びリチウムイオン二次電池 |
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2020
- 2020-12-25 JP JP2020217187A patent/JP2022102452A/ja active Pending
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