JP2022099493A - 物理量検出装置及び物理量検出装置の故障診断方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】振動漏れに起因するノイズの影響を低減するとともに振動素子の故障診断を行うことが可能な物理量検出装置を提供すること。
【解決手段】第1振動腕及び第2振動腕を含む圧電体と、前記第1振動腕に設けられた第1電極と、前記第2振動腕に設けられた第2電極と、を有する振動素子と、前記振動素子に駆動信号を印加する駆動回路と、前記第1電極からの出力信号に基づいて、前記振動素子が検出した物理量に応じた物理量検出信号を生成する検出回路と、前記第2電極からの出力信号に基づいて、前記振動素子の故障診断を行う故障診断回路と、第1モードにおいて前記第1電極を前記検出回路と電気的に接続し、第2モードにおいて前記第1電極を前記駆動回路と電気的に接続する切替回路と、を備え、前記駆動回路は、前記第2モードにおいて、前記第1電極に前記駆動信号を印加する、物理量検出装置。
【選択図】図8
【解決手段】第1振動腕及び第2振動腕を含む圧電体と、前記第1振動腕に設けられた第1電極と、前記第2振動腕に設けられた第2電極と、を有する振動素子と、前記振動素子に駆動信号を印加する駆動回路と、前記第1電極からの出力信号に基づいて、前記振動素子が検出した物理量に応じた物理量検出信号を生成する検出回路と、前記第2電極からの出力信号に基づいて、前記振動素子の故障診断を行う故障診断回路と、第1モードにおいて前記第1電極を前記検出回路と電気的に接続し、第2モードにおいて前記第1電極を前記駆動回路と電気的に接続する切替回路と、を備え、前記駆動回路は、前記第2モードにおいて、前記第1電極に前記駆動信号を印加する、物理量検出装置。
【選択図】図8
Description
本発明は、物理量検出装置及び物理量検出装置の故障診断方法に関する。
現在、様々なシステムや電子機器において、角速度を検出するジャイロセンサーや加速度を検出する加速度センサー等、各種の物理量を検出可能な物理量検出装置が広く利用されている。近年、特に、信頼性の高いシステムを構築するために、物理量を検出する振動素子等の故障診断を行う物理量検出装置が用いられている。
例えば、特許文献1には、振動素子において検出電極に駆動振動の漏れが生じるように振動素子に対して周波数チューニングを行い、振動素子に断線などの故障が発生した場合に振動漏れ成分の大きさが変化することを利用して振動素子の故障を判定する角速度検出装置が記載されている。
特許文献1に記載の角速度検出装置においては、確実な故障判定を行うためには一定の大きさの振動漏れ成分が必要となるが、振動漏れ成分は、検出される角速度成分に対するノイズ成分となるため、角速度検出のS/N比が悪化するおそれがある。
本発明に係る物理量検出装置の一態様は、
第1振動腕及び第2振動腕を含む圧電体と、前記第1振動腕に設けられた第1電極と、前記第2振動腕に設けられた第2電極と、を有する振動素子と、
前記振動素子に駆動信号を印加する駆動回路と、
前記第1電極からの出力信号に基づいて、前記振動素子が検出した物理量に応じた物理量検出信号を生成する検出回路と、
前記第2電極からの出力信号に基づいて、前記振動素子の故障診断を行う故障診断回路と、
第1モードにおいて前記第1電極を前記検出回路と電気的に接続し、第2モードにおいて前記第1電極を前記駆動回路と電気的に接続する切替回路と、を備え、
前記駆動回路は、
前記第2モードにおいて、前記第1電極に前記駆動信号を印加する。
第1振動腕及び第2振動腕を含む圧電体と、前記第1振動腕に設けられた第1電極と、前記第2振動腕に設けられた第2電極と、を有する振動素子と、
前記振動素子に駆動信号を印加する駆動回路と、
前記第1電極からの出力信号に基づいて、前記振動素子が検出した物理量に応じた物理量検出信号を生成する検出回路と、
前記第2電極からの出力信号に基づいて、前記振動素子の故障診断を行う故障診断回路と、
第1モードにおいて前記第1電極を前記検出回路と電気的に接続し、第2モードにおいて前記第1電極を前記駆動回路と電気的に接続する切替回路と、を備え、
前記駆動回路は、
前記第2モードにおいて、前記第1電極に前記駆動信号を印加する。
本発明に係る物理量検出装置の故障診断方法の一態様は、
第1振動腕及び第2振動腕を含む圧電体と、前記第1振動腕に設けられた第1電極と、前記第2振動腕に設けられた第2電極と、を有する振動素子と、
前記振動素子に駆動信号を印加する駆動回路と、
前記第1電極からの出力信号に基づいて、前記振動素子が検出した物理量に応じた物理量検出信号を生成する検出回路と、
を備える物理量検出装置の故障診断方法であって、
前記第1電極に前記駆動信号を印加する工程と、
前記第2電極からの出力信号に基づいて、前記振動素子の故障診断を行う工程と、を含む。
第1振動腕及び第2振動腕を含む圧電体と、前記第1振動腕に設けられた第1電極と、前記第2振動腕に設けられた第2電極と、を有する振動素子と、
前記振動素子に駆動信号を印加する駆動回路と、
前記第1電極からの出力信号に基づいて、前記振動素子が検出した物理量に応じた物理量検出信号を生成する検出回路と、
を備える物理量検出装置の故障診断方法であって、
前記第1電極に前記駆動信号を印加する工程と、
前記第2電極からの出力信号に基づいて、前記振動素子の故障診断を行う工程と、を含む。
以下、本発明の好適な実施形態について図面を用いて詳細に説明する。なお、以下に説明する実施の形態は、特許請求の範囲に記載された本発明の内容を不当に限定するものではない。また以下で説明される構成の全てが本発明の必須構成要件であるとは限らない。
以下では、物理量として角速度を検出する物理量検出装置、すなわち角速度検出装置を例にとり説明する。
1.第1実施形態
図1は、第1実施形態の物理量検出装置の機能ブロック図である。第1実施形態の物理量検出装置1は、振動素子100と、物理量検出回路200と、を備える。
図1は、第1実施形態の物理量検出装置の機能ブロック図である。第1実施形態の物理量検出装置1は、振動素子100と、物理量検出回路200と、を備える。
物理量検出回路200は、外部接続端子として、DS端子、DG端子、S1G端子、S2G端子、S1端子、S2端子、CTL端子、DIAG端子、SS端子、SCK端子、SI端子、SO端子、VO端子を有する。DS端子、DG端子、S1G端子、S2G端子、S1端子及びS2端子は、振動素子100と電気的に接続されている。また、CTL端子、DIAG端子、SS端子、SCK端子、SI端子、SO端子、VO端子は、図示しない外部装置と電気的に接続されている。
図2及び図3は、振動素子100を模式的に示す平面図である。なお、図2及び図3では、互いに直交する3つの軸として、第1軸であるX軸、第2軸であるY軸、および第3軸であるZ軸を図示している。
なお、図2は、振動素子100を第1主面2a側から見た図であって、第1主面2a側の構成を説明するための図である。図3は、振動素子100を第1主面2a側から見た透視図であって、第2主面2b側の構成を説明するための図である。
振動素子100は、図2および図3に示すように、基部10と、連結腕110,112と、駆動振動腕120,122,124,126と、検出振動腕130,132と、支持部140,142と、梁部150,152,154,156と、駆動入力電極30と、駆動出力電極32と、第1検出電極40と、第2検出電極42と、第3検出電極44と、第4検出電極46と、駆動入力配線50と、駆動出力配線52と、第1検出配線60と、第2検出配線62と、第3検出配線64と、第4検出配線66と、を含む。
基部10、連結腕110,112、駆動振動腕120,122,124,126、検出振動腕130,132、支持部140,142および梁部150,152,154,156は、圧電体101を構成している。すなわち、圧電体101は、連結腕110,112、駆動振動腕120,122,124,126、検出振動腕130,132、支持部140,142および梁部150,152,154,156を含む。圧電体101の材質は、例えば、水晶、タンタル酸リチウム、ニオブ酸リチウムなどである。圧電体101は、互いに反対方向を向く第1主面2aおよび第2主面2bと、主面2a,2bに接続された側面3と、を有している。図示の例では、第1主面2aは、+Z軸方向を向く面であり、第2主面2bは、-Z軸方向を向く面であり、側面3は、垂線がZ軸と直交する面である。主面2a,2bは、例えば、平坦な面である。圧電体101の厚さ方向がZ軸方向に沿い、例えば、圧電体101の厚さは、100μm程度である。
基部10は、中心点Gを有している。中心点Gの位置は、圧電体101の重心の位置である。基部10の平面形状は、例えば矩形である。
第1連結腕110および第2連結腕112は、基部10から、X軸に沿って互いに反対方向に延出している。図示の例では、第1連結腕110は、基部10から-X軸方向に延出し、第2連結腕112は、基部10から+X軸方向に延出している。
第1駆動振動腕120および第2駆動振動腕122は、第1連結腕110の先端部から、Y軸に沿って互いに反対方向に延出している。図示の例では、第1駆動振動腕120は、第1連結腕110から+Y軸方向に延出し、第2駆動振動腕122は、第1連結腕110から-Y軸方向に延出している。駆動振動腕120,122は、第1連結腕110を介して、基部10に接続されている。
第3駆動振動腕124および第4駆動振動腕126は、第2連結腕112の先端部から、Y軸に沿って互いに反対方向に延出している。図示の例では、第3駆動振動腕124は、第2連結腕112から+Y軸方向に延出し、第4駆動振動腕126は、第2連結腕112から-Y軸方向に延出している。駆動振動腕124,126は、第2連結腕112を介して、基部10に接続されている。
第1検出振動腕130および第2検出振動腕132は、基部10から、Y軸に沿って互いに反対方向に延出している。図示の例では、第1検出振動腕130は、基部10から+Y軸方向に延出し、第2検出振動腕132は、基部10から-Y軸方向に延出している。検出振動腕130,132は、基部10に接続されている。
振動腕120,122,124,126,130,132の先端には、幅広部5が設けられている。幅広部5は、振動腕120,122,124,126,130,132の他の部分より、幅(X軸方向の大きさ)が大きい。図示はしないが、幅広部5には、錘部が設けられていてもよい。該錘部の質量を調整することによって、振動腕120,122,124,126,130,132の振動の周波数を調整することができる。
第1支持部140は、振動腕120,124,130よりも+Y軸方向側に設けられている。第2支持部142は、振動腕122,126,132よりも-Y軸方向側に設けられている。支持部140,142は、振動素子100が実装される際に、パッケージに固定される部分である。支持部140,142は、梁部150,152,154,156を介して、基部10を支持している。
第1梁部150および第2梁部152は、基部10と第1支持部140とを連結している。図示の例では、第1梁部150は、基部10から、第1駆動振動腕120と第1検出振動腕130との間を通って、第1支持部140まで延出している。第2梁部152は、基部10から、第3駆動振動腕124と第1検出振動腕130との間を通って、第1支持部140まで延出している。
第3梁部154および第4梁部156は、基部10と第2支持部142とを連結している。図示の例では、第3梁部154は、基部10から、第2駆動振動腕122と第2検出振動腕132との間を通って、第2支持部142まで延出している。第4梁部156は、基部10から、第4駆動振動腕126と第2検出振動腕132との間を通って、第2支持部142まで延出している。
梁部150,152,154,156は、平面視において、略S字状の部分を有している。そのため、梁部150,152,154,156は、高い弾性を有することができる。これにより、支持部140,142は、振動腕120,122,124,126,130,132の振動を阻害することなく、梁部150,152,154,156を介して、基部10を支持することができる。
第1実施形態に係る振動素子100では、図2および図3に示すように、圧電体101は、いわゆるダブルT型の振動片である。
駆動入力電極30、駆動出力電極32、第1検出電極40、第2検出電極42、第3検出電極44、第4検出電極46、駆動入力配線50、駆動出力配線52、第1検出配線60、第2検出配線62、第3検出配線64、および第4検出配線66としては、例えば、圧電体101側からクロム、金の順で積層したものを用いる。
駆動入力電極30は、駆動振動腕120,122,124,126に設けられている。図示の例では、駆動入力電極30は、第1駆動振動腕120の側面3および幅広部5と、第2駆動振動腕122の側面3および幅広部5と、第3駆動振動腕124の主面2a,2bと、第4駆動振動腕126の主面2a,2bと、に設けられている。駆動入力電極30は、例えば、中心点Gを通りXZ平面に平行な面に関して、面対称に配置されている。駆動入力電極30は、駆動振動腕120,122,124,126を駆動させる駆動信号が入力される電極である。
駆動出力電極32は、駆動振動腕120,122,124,126に設けられている。図示の例では、駆動出力電極32は、第1駆動振動腕120の主面2a,2bと、第2駆動振動腕122の主面2a,2bと、第3駆動振動腕124の側面3および幅広部5と、第4駆動振動腕126の側面3および幅広部5と、に設けられている。駆動出力電極32は、例えば、中心点Gを通りXZ平面に平行な面に関して、面対称に配置されている。駆動出力電極32は、駆動振動腕120,122,124,126の屈曲に基づく信号を出力するための電極である。
なお、図示はしないが、駆動入力電極30が設けられている位置に駆動出力電極32が設けられていてもよく、駆動出力電極32が設けられている位置に駆動入力電極30が設けられていてもよい。
第1検出電極40は、第1検出振動腕130に設けられている。図示の例では、第1検出電極40は、第1検出振動腕130の主面2a,2bに設けられている。第1検出電極40は、第1検出振動腕130の屈曲に基づく信号を出力するための電極である。
第2検出電極42は、第2検出振動腕132に設けられている。図示の例では、第2検出電極42は、第2検出振動腕132の主面2a,2bに設けられている。第2検出電極42は、例えば、第1検出電極40と、中心点Gを通りXZ平面に平行な面に関して、面対称に配置されている。第2検出電極42は、第2検出振動腕132の屈曲に基づく信号を出力するための電極である。
第3検出電極44は、第1検出振動腕130に設けられている。図示の例では、第3検出電極44は、第1検出振動腕130の側面3および幅広部5に設けられている。第3検出電極44は、第1検出電極40から出力される信号に対して基準となるグラウンド電圧GNDが印加される電極である。例えば、グラウンド電圧GNDは、物理量検出回路200に供給される電源電圧の1/2の電圧である。
第4検出電極46は、第2検出振動腕132に設けられている。図示の例では、第4検出電極46は、第2検出振動腕132の側面3および幅広部5に設けられている。第4検出電極46は、例えば、第3検出電極44と、中心点Gを通りXZ平面に平行な面に関して、面対称に配置されている。第4検出電極46は、第2検出電極42から出力される信号に対して基準となるグラウンド電圧GNDが印加される電極である。
駆動入力配線50は、基部10と、連結腕110,112と、第2支持部142と、第3梁部154と、に設けられている。図示の例では、駆動入力配線50は、基部10の第1主面2aおよび側面3と、第1連結腕110の第1主面2aと、第2連結腕112の主面2a,2bおよび側面3と、第2支持部142の主面2a,2bおよび側面3と、第3梁部154の側面3と、に設けられている。駆動入力配線50によって、振動腕120,122,124,126に設けられた駆動入力電極30は、互いに電気的に接続されている。第2支持部142に設けられた駆動入力配線50は、端子部50aである。図示の例では、端子部50aの平面形状は、矩形である。端子部50aは、図示しない外部部材、例えば、ボンディングワイヤーに接続されており、当該外部部材および駆動入力配線50を介して物理量検出回路200のDS端子と電気的に接続される。
駆動出力配線52は、基部10と、連結腕110,112と、第1支持部140と、第1梁部150と、に設けられている。図示の例では、駆動出力配線52は、基部10の第2主面2bと、第1連結腕110の主面2a,2bおよび側面3と、第2連結腕112の第2主面2bおよび側面3と、第1支持部140の主面2a,2bおよび側面3と、第1梁部150の第2主面2bおよび側面3と、に設けられている。駆動出力配線52によって、振動腕120,122,124,126に設けられた駆動出力電極32は、互いに電気的に接続されている。第1支持部140に設けられた駆動出力配線52は、端子部52aである。図示の例では、端子部52aの平面形状は、矩形である。端子部52aは、外部部材、例えば、ボンディングワイヤーに接続されており、駆動出力配線52および当該外部部材を介して物理量検出回路200のDG端子と電気的に接続される。
第1検出配線60は、基部10と、第1支持部140と、第2梁部152と、に設けられている。図示の例では、第1検出配線60は、基部10の主面2a,2bと、第1支持部140の主面2a,2bおよび側面3と、第2梁部152の第1主面2aおよび側面3と、に設けられている。第1検出配線60は、第1検出電極40に接続されている。第1支持部140に設けられた第1検出配線60は、端子部60aである。図示の例では、端子部60aの平面形状は、矩形である。端子部60aは、外部部材、例えば、ボンディングワイヤーに接続されており、第1検出配線60および当該外部部材を介して物理量検出回路200のS1端子と電気的に接続される。
第2検出配線62は、基部10と、第2支持部142と、第4梁部156と、に設けられている。図示の例では、第2検出配線62は、基部10の主面2a,2bと、第2支持部142の主面2a,2bおよび側面3と、第4梁部156の第1主面2aおよび側面3と、に設けられている。第2検出配線62は、第2検出電極42に接続されている。第2支持部142に設けられた第2検出配線62は、端子部62aである。図示の例では、端子部62aの平面形状は、矩形である。端子部62aは、外部部材、例えば、ボンディングワイヤーに接続されており、第2検出配線62および当該外部部材を介して物理量検出回路200のS2端子と電気的に接続される。
第3検出配線64は、基部10と、第1支持部140と、第2梁部152と、に設けられている。図示の例では、第3検出配線64は、基部10の主面2a,2bおよび側面3と、第1支持部140の主面2a,2bおよび側面3と、第2梁部152の主面2a,2bおよび側面3と、に設けられている。第3検出配線64は、第3検出電極44に接続されている。第1支持部140に設けられた第3検出配線64は、端子部64aである。図示の例では、端子部64aの平面形状は、矩形である。端子部64aは、外部部材、例えば、ボンディングワイヤーに接続されており、第3検出配線64および当該外部部材を介して物理量検出回路200のS1G端子と電気的に接続される。
第4検出配線66は、基部10と、第2支持部142と、第4梁部156と、に設けられている。図示の例では、第4検出配線66は、基部10の主面2a,2bおよび側面3と、第2支持部142の主面2a,2bおよび側面3と、第4梁部156の主面2a,2bおよび側面3と、に設けられている。第4検出配線66は、第4検出電極46に接続されている。第2支持部142に設けられた第4検出配線66は、端子部66aである。図示の例では、端子部66aの平面形状は、矩形である。端子部66aは、外部部材、例えば、ボンディングワイヤーに接続されており、第4検出配線66および当該外部部材を介して物理量検出回路200のS2G端子と電気的に接続される。
なお、図2,3において、圧電体101の側面3に設けられている電極30,32,40,42,44,46、配線50,52,60,62,64,66を、太線で示している。
図4及び図5は、振動素子100の動作を説明するための平面図である。なお、便宜上、図4及び図5では、基部10、連結腕110,112、および振動腕120,122,124,126,130,132以外の部材の図示を省略している。
図4に示すように、振動素子100は、角速度が加わらない状態において、駆動振動腕120,122,124,126に設けられた駆動入力電極30に所定の交流電圧が印加されると、XY平面内において矢印Aの方向に屈曲振動を行う。この振動素子100のモードは「振動モード」と呼ばれる。このとき、駆動振動腕120,122と、駆動振動腕124,126とは、中心点Gを通りYZ平面に平行な面に関して、面対称の振動を行う。そのため、基部10、連結腕110,112、および検出振動腕130,132は、ほとんど振動しない。
駆動振動腕120,122,124,126がこのような駆動振動を行っている状態で、図5に示すように、振動素子100にZ軸まわりの角速度ωが加わると、駆動振動腕120,122,124,126にコリオリ力が働く。これにより、駆動振動腕120,122,124,126が矢印Bの方向に振動する。この矢印Bの方向の振動は、中心点Gに対して周方向の振動である。そして、駆動振動腕120,122,124,126の振動によって、連結腕110,112が矢印Bの方向に振動する。この振動が基部10を介して、検出振動腕130,132に伝達され、検出振動腕130,132を矢印Cで示すように振動させる。矢印Cの方向の振動は、中心点Gに対して矢印Bとは周方向に反対向きの振動である。この振動素子100のモードは「検出モード」と呼ばれる。この検出振動腕130,132の屈曲振動により、第1検出電極40と第3検出電極44との間に発生する電位差、および第2検出電極42と第4検出電極46との間に発生する電位差を検出することによって、Z軸まわりの角速度を求めることができる。
なお、駆動振動腕120,122,124,126の駆動振動が第1検出電極40及び第2検出電極42に漏れると角速度成分に対するノイズ成分となるが、振動腕120,122,124,126,130,132の幅広部5に設けられた図示しない錘部の質量を適切に調整することにより、駆動振動腕120,122,124,126から漏れる駆動振動は、基部10において互いにキャンセルされる。
図1の説明に戻り、物理量検出回路200は、駆動回路210、検出回路220、電圧判定回路230A、電圧判定回路230B、故障診断回路240、制御回路250、記憶部260、インターフェース回路270及び切替回路280を備える。物理量検出回路200は、1チップの集積回路で実現されてもよいし、複数チップの集積回路やディスクリート部品を組み合わせて実現されてもよい。
物理量検出装置1は、動作モードとして、起動モード、通常動作モード及び故障診断モードを有する。起動モードは、物理量検出装置1に電源が投入されてから通常動作モードに移行するまでの動作モードである。通常動作モードは、振動素子100に加わった物理量を検出するモードである。故障診断モードは、振動素子100の故障を診断するモードである。起動モード及び通常動作モードと故障診断モードとでは、切替回路280に含まれるスイッチ281~286の状態が異なる。図1では、起動モード及び通常動作モードにおけるスイッチ281~286の状態が示されており、まず、起動モード及び通常動作モードにおける物理量検出回路200の動作について説明する。
切替回路280は、起動モード及び通常動作モードにおいて、振動素子100の駆動入力電極30及び駆動出力電極32を駆動回路210と電気的に接続し、振動素子100の第1検出電極40及び第2検出電極42を検出回路220と電気的に接続する。具体的には、スイッチ281は、DS端子とAGC回路212とを接続する。スイッチ282は、I/V変換回路211とAGC回路212および比較器213とを接続する。スイッチ283は、S1端子とスイッチ285とを接続する。スイッチ284は、S2端子とスイッチ286とを接続する。スイッチ285は、スイッチ283とQ/V変換回路221Pとを接続する。スイッチ286は、スイッチ284とQ/V変換回路221Nとを接続する。
駆動回路210は、駆動信号を生成し、DS端子を介して、振動素子100に駆動信号を印加する。本実施形態では、駆動回路210は、I/V変換回路211、AGC回路212、比較器213及び起動回路214を含む。AGCは、Automatic Gain Controlの略である。
物理量検出装置1に電源が投入されると、起動回路214が動作する起動モードが開始する。起動回路214は、振動素子100の共振周波数に近い周波数で自励発振し、発振信号を出力する。起動回路214は、例えば、CR発振回路などで実現することができる。起動回路214から出力される発振信号は、AGC回路212、スイッチ281及びDS端子を介して振動素子100の駆動入力電極30に印加され、振動素子100が振動を開始する。
振動素子100が振動すると、圧電効果に基づく交流電流が駆動出力電極32から出力され、当該交流電流はDG端子を介してI/V変換回路211に入力される。I/V変換回路211は、入力された交流電流を振動素子100の振動周波数と同一の周波数の交流電圧信号に変換して出力する。
時間の経過に伴って、振動素子100の振動が大きくなっていき、I/V変換回路211から出力される交流電圧信号の振幅が大きくなる。そして、振動素子100の振動が安定し、I/V変換回路211から出力される交流電圧信号の振幅がほぼ一定となると、起動回路214が動作を停止し、物理量検出装置1の動作モードが起動モードから通常動作モードに移行する。例えば、起動回路214が動作を開始してから、振動素子100の振動が安定するまでの所定時間が経過したら起動回路214が自発的に動作を停止してもよい。あるいは、図示しない振幅検出回路が、I/V変換回路211から出力される交流電圧信号の振幅が所定値に達したことを検出したら、起動回路214の動作を停止させてもよい。
通常動作モードにおいて、I/V変換回路211から出力された交流電圧信号は、スイッチ282を介して、AGC回路212及び比較器213に入力される。
AGC回路212は、入力された交流電圧信号を増幅し、増幅の利得を制御することにより、振幅が一定電圧に保持された駆動信号を生成する。この駆動信号は、スイッチ281及びDS端子を介して振動素子100の駆動入力電極30に印加され、振動素子100が安定した振動を継続する。
比較器213は、I/V変換回路211から出力された交流電圧信号を増幅して2値化信号である方形波電圧信号を出力する。
このように、駆動回路210は、通常動作モードおいて、振動素子100の駆動出力電極32からの出力信号に基づいて駆動信号を生成し、振動素子100の駆動入力電極30に駆動信号を印加する。
検出回路220は、通常動作モードおいて、S1端子を介して入力される信号及びS2端子を介して入力される信号に基づいて、振動素子100が検出した物理量に応じた物理量検出信号を生成する。すなわち、検出回路220は、通常動作モードおいて、第1検出電極40からの出力信号及び第2検出電極42からの出力信号に基づいて、物理量検出信号を生成する。本実施形態では、振動素子100は物理量として角速度を検出するので、検出回路220は、物理量検出信号として角速度に応じた角速度信号を生成する。本実施形態では、検出回路220は、Q/V変換回路221P、Q/V変換回路221N、差動アンプ222、ハイパスフィルター223、ACアンプ224、同期検波回路225、感度調整アンプ226、スイッチトキャパシターフィルター227及びレシオメトリックアンプ228を含む。
振動素子100の第1検出電極40からの出力信号である交流電荷は、S1端子、スイッチ283及びスイッチ285を介してQ/V変換回路221Pに入力される。Q/V変換回路221Pは、入力された交流電荷を交流電圧信号に変換する。
振動素子100の第2検出電極42からの出力信号である交流電荷は、S2端子、スイッチ284及びスイッチ286を介してQ/V変換回路221Nに入力される。Q/V変換回路221Nは、入力された交流電荷を交流電圧信号に変換する。
差動アンプ222は、Q/V変換回路221Pの出力信号とQ/V変換回路221Nの出力信号とを差動増幅する。
ハイパスフィルター223は、差動アンプ222の出力信号に含まれる直流成分を減衰させる。
ACアンプ224は、ハイパスフィルター223の出力信号を増幅する。
同期検波回路225は、比較器213から出力される方形波電圧信号を検波信号として、ACアンプ224の出力信号を同期検波することにより振動素子100が検出した物理量の信号成分を抽出する。
感度調整アンプ226は、同期検波回路225の出力信号を、設定された利得で増幅又は減衰し、物理量の検出感度を調整する。
スイッチトキャパシターフィルター227は、感度調整アンプ226の出力信号をフィルター処理して高周波のノイズ成分を減衰させる。
レシオメトリックアンプ228は、スイッチトキャパシターフィルター227の出力信号を電源電圧に応じた利得で増幅又は減衰させ、ゼロ点電圧及び検出感度を電源電圧に比例して変化させる。そして、レシオメトリックアンプ228の出力信号は、物理量検出信号として、VO端子を介して図示しない外部装置に出力される。
電圧判定回路230Aは、AGC回路212から出力される駆動信号の電圧レベルが正常か否かを示す電圧判定信号を出力する。図6に電圧判定回路230Aの構成例を示す。図6の例では、電圧判定回路230Aは、ACアンプ231、整流回路232、平滑回路233及び比較回路234を含む。電圧判定回路230Aに入力された信号は、ACアンプ231によって増幅された後、整流回路232によって全波整流され、さらに平滑回路233によって平滑化される。比較回路234は、平滑回路233によって平滑化された信号の電圧が所定の範囲に含まれるか否か判定し、判定結果を示す電圧判定信号を出力する。例えば、比較回路234は、平滑回路233によって平滑化された信号の電圧が所定の範囲に含まれる場合にはローレベルとなり、平滑回路233によって平滑化された信号の電圧が所定の範囲に含まれない場合にはハイレベルとなる電圧判定信号を出力する。
故障診断回路240は、通常動作モードにおいて、電圧判定回路230Aから出力される電圧判定信号に基づいて、駆動回路210の故障診断を行い、駆動回路210が故障である場合にハイレベルとなる故障診断信号を出力する。具体的には、故障診断回路240は、通常動作モードにおいて、電圧判定回路230Aから出力される電圧判定信号がハイレベルになると、故障診断信号をハイレベルに固定するとともに、記憶部260に記憶される複数の故障フラグのうちの駆動故障フラグに1を書き込む。故障診断信号は、DIAG端子を介して、図示しない外部装置に出力される。
ここで、故障診断回路240は、電圧判定回路230Aから出力される電圧判定信号に基づいて、駆動回路210の故障診断を行うが、電圧判定回路230Aから出力される電圧判定信号は、駆動信号が正常か否かを示す信号である。すなわち、本実施形態では、故障診断回路240は、駆動信号に基づいて、駆動回路210の故障診断を行う。
インターフェース回路270は、図示しない外部装置からの要求に応じて記憶部260に記憶されているデータを読み出して外部装置に出力する処理や、外部装置から入力されたデータを記憶部260に書き込む処理を行う。例えば、外部装置は、DIAG端子から出力される故障診断信号がローレベルからハイレベルに変化すると、インターフェース回路270を介して、記憶部260に記憶されている複数の故障フラグを読み出し、駆動故障フラグが1であれば、駆動回路210が故障であると判断することができる。インターフェース回路270は、例えば、SPIバスのインターフェース回路であり、外部装置から送信された選択信号、クロック信号、データ信号が、それぞれ、SS端子,SCK端子,SI端子を介して入力され、SO端子を介してデータ信号を外部装置に出力する。SPIは、Serial Peripheral Interfaceの略である。なお、インターフェース回路270は、SPIバス以外の各種のバス、例えば、I2Cバス等に対応するインターフェース回路であってもよい。I2Cは、Inter-Integrated Circuitの略である。
次に、故障診断モードにおける物理量検出回路200の動作について説明する。本実施形態では、物理量検出装置1は、通常動作モードにおいて、図示しない外部装置から、CTL端子に物理量検出装置1が静止していることを示す静止信号が入力された場合に、故障診断モードに移行する。具体的には、制御回路250が、CTL端子に静止信号が入力された場合に、物理量検出装置1の動作モードを故障診断モードに切り替える。例えば、制御回路250は、CTL端子にローレベルの静止信号が所定時間継続して入力された場合に、動作モードを故障診断モードに切り替える。物理量検出装置1が車両に搭載される場合、静止信号は車速パルス信号であってもよい。また、制御回路250は、物理量検出装置1の動作モードを起動モードから故障診断モードに切り替え、さらに、故障診断モードから通常動作モードに切り替えてもよい。
物理量検出回路200は、故障診断モードにおいて、振動素子100の第1検出電極40の故障診断及び第2検出電極42の故障診断を行う。具体的には、物理量検出回路200は、第1検出電極40の故障診断を行うために、第1検出電極40に駆動信号を印加し、振動素子100に、図5に示した検出モードを励起する。このとき、振動素子100の駆動振動腕120,122,124,126は図5の矢印Bの方向に振動するとともに、図4の矢印Aの方向にも振動する。この矢印Aの方向の振動により、駆動出力電極32に交流電流が流れるので、物理量検出回路200は、駆動出力電極32に流れる電流に基づいて第1検出電極40の故障診断を行うことができる。同様に、物理量検出回路200は、第2検出電極42に駆動信号を印加し、駆動出力電極32に流れる電流に基づいて第2検出電極42の故障診断を行うことができる。
図7に、第1検出電極40及び第2検出電極42の故障内容と駆動出力電極32に流れる電流との関係を示す。図7に示すように、第1検出電極40に駆動信号を印加したとき、第1検出電極40にオープン又はショートの故障があれば、駆動信号が正しく印加されないので駆動出力電極32にはほとんど電流が流れず、第1検出電極40に剥離の故障があれば、抵抗値が上昇して第1検出電極40に印加される駆動信号が減衰するので、駆動出力電極32に流れる電流が正常時よりも小さくなる。したがって、物理量検出回路200は、第1検出電極40に駆動信号を印加し、駆動出力電極32に流れる電流に基づいて第1検出電極40の故障診断を行うことができる。
同様に、第2検出電極42に駆動信号を印加したとき、第2検出電極42にオープン又はショートの故障があれば、駆動出力電極32にはほとんど電流が流れず、第2検出電極42に剥離の故障があれば、駆動出力電極32に流れる電流が正常時よりも小さくなる。したがって、物理量検出回路200は、第2検出電極42に駆動信号を印加し、駆動出力電極32に流れる電流に基づいて第2検出電極42の故障診断を行うことができる。
図8に、故障診断モードにおいて第1検出電極40の故障診断を行うときのスイッチ281~286の状態を示す。切替回路280は、故障診断モードにおいて、第1検出電極40の故障診断を行うために、振動素子100の駆動出力電極32を故障診断回路240と電気的に接続し、振動素子100の第1検出電極40を駆動回路210と電気的に接続する。具体的には、スイッチ281は、スイッチ283,284とAGC回路212とを接続する。スイッチ282は、I/V変換回路211と電圧判定回路230Bとを接続する。スイッチ283は、S1端子とスイッチ281とを接続する。スイッチ284は、S2端子とスイッチ286とを接続する。スイッチ285は、グラウンド電圧GNDの供給線とQ/V変換回路221Pとを接続する。スイッチ286は、グラウンド電圧GNDの供給線とQ/V変換回路221Nとを接続する。
駆動回路210は、故障診断モードにおいて、駆動信号を生成し、振動素子100の駆動入力電極30に駆動信号を印加せずに第1検出電極40に駆動信号を印加する。具体的には、故障診断モードでは、起動回路214が動作し、起動回路214から出力される発振信号は、AGC回路212、スイッチ281,283及びS1端子を介して振動素子100の第1検出電極40に印加され、振動素子100に検出モードが励起される。
電圧判定回路230Bは、故障診断モードにおいて、スイッチ282を介して、I/V変換回路211の出力信号が入力され、I/V変換回路211の出力信号の電圧レベルが正常か否かを示す電圧判定信号を出力する。なお、電圧判定回路230Bの構成は、図6に示した電圧判定回路230Aの構成と同様である。
故障診断回路240は、電圧判定回路230Bから出力される電圧判定信号に基づいて、振動素子100の故障診断を行い、振動素子100が故障である場合にハイレベルとなる故障診断信号を出力する。具体的には、故障診断回路240は、故障診断モードにおいて第1検出電極40の故障診断を行うときに、電圧判定回路230Bから出力される電圧判定信号がハイレベルになると、故障診断信号をハイレベルに固定するとともに、記憶部260に記憶される複数の故障フラグのうちの第1検出故障フラグに1を書き込む。故障診断信号は、DIAG端子を介して、図示しない外部装置に出力される。例えば、外部装置は、DIAG端子から出力される故障診断信号がローレベルからハイレベルに変化すると、インターフェース回路270を介して、記憶部260に記憶されている複数の故障フラグを読み出し、第1検出故障フラグが1であり、かつ、駆動故障フラグが0であれば、第1検出電極40が故障であると判断することができる。
ここで、故障診断回路240は、電圧判定回路230Bから出力される電圧判定信号に基づいて、振動素子100の故障診断を行うが、電圧判定回路230Bから出力される電圧判定信号は、駆動出力電極32からの出力信号に基づくI/V変換回路211の出力信号が正常か否かを示す信号である。すなわち、本実施形態では、故障診断回路240は、駆動出力電極32からの出力信号に基づいて、振動素子100の故障診断を行う。また、駆動出力電極32からの出力信号の大きさが第1の範囲である場合にI/V変換回路211の出力信号の電圧レベルが正常であるとすると、故障診断回路240は、駆動出力電極32からの出力信号の大きさが第1の範囲に含まれない場合に振動素子100が故障であると診断する。なお、駆動出力電極32からの出力信号の大きさは、例えば、駆動出力電極32に流れる交流電流の絶対値の平均値である。
図9に、故障診断モードにおいて第2検出電極42の故障診断を行うときのスイッチ281~286の状態を示す。切替回路280は、故障診断モードにおいて、第2検出電極42の故障診断を行うために、振動素子100の駆動出力電極32を故障診断回路240と電気的に接続し、振動素子100の第2検出電極42を駆動回路210と電気的に接続する。具体的には、スイッチ281は、スイッチ283,284とAGC回路212とを接続する。スイッチ282は、I/V変換回路211と電圧判定回路230Bとを接続する。スイッチ283は、S1端子とスイッチ285とを接続する。スイッチ284は、S2端子とスイッチ281とを接続する。スイッチ285は、グラウンド電圧GNDの供給線とQ/V変換回路221Pとを接続する。スイッチ286は、グラウンド電圧GNDの供給線とQ/V変換回路221Nとを接続する。
起動回路214から出力される発振信号は、AGC回路212、スイッチ281,284及びS2端子を介して振動素子100の第2検出電極42に印加され、振動素子100に検出モードが励起される。
電圧判定回路230Bは、故障診断モードにおいて、スイッチ282を介して、I/V変換回路211の出力信号が入力され、I/V変換回路211の出力信号の電圧レベルが正常か否かを示す電圧判定信号を出力する。
故障診断回路240は、故障診断モードにおいて第2検出電極42の故障診断を行うときに、電圧判定回路230Bから出力される電圧判定信号がハイレベルになると、故障診断信号をハイレベルに固定するとともに、記憶部260に記憶される複数の故障フラグのうちの第2検出故障フラグに1を書き込む。故障診断信号は、DIAG端子を介して、図示しない外部装置に出力される。例えば、外部装置は、DIAG端子から出力される故障診断信号がローレベルからハイレベルに変化すると、インターフェース回路270を介して、記憶部260に記憶されている複数の故障フラグを読み出し、第2検出故障フラグが1であり、かつ、駆動故障フラグが0であれば、第2検出電極42が故障であると判断することができる。
なお、図8、図9のいずれの場合も、Q/V変換回路221P,221Nにはグラウンド電圧GNDが入力されるので、故障診断モードでは、検出回路220から出力される物理量検出信号はゼロ点電圧となる。
図10は、故障診断モードにおいて、S1端子又はS2端子に印加される駆動信号の波形及びDG端子から入力される信号の波形の一例を示す図である。図10に示すように、S1端子又はS2端子には駆動信号として矩形波の発振信号が印加される。第1検出電極40が正常の場合は、S1端子に駆動信号が印加されると振動素子100に検出モードが励起され、DG端子から入力される信号の振幅レベルは所定の範囲に含まれる。一方、第1検出電極40がオープンやショート等の故障の場合は、S1端子に駆動信号が印加されても振動素子100に検出モードがほとんど励起されず、また、第1検出電極40が剥離故障の場合は、振動素子100に正常時よりも振動が小さい検出モードが励起される。そのため、DG端子から入力される信号の振幅レベルは正常時よりも小さくなり、所定の範囲から外れる。S2端子に駆動信号が印加された場合のDG端子の信号波形も同様である。したがって、故障診断回路240は、DG端子から入力される信号の振幅レベルに基づいて、振動素子100の故障を診断することができる。
図11は、第1実施形態の物理量検出装置1の故障診断方法の手順の一例を示すフローチャート図である。
まず、物理量検出回路200は、工程S1において、故障診断モードに移行するまで待機し、故障診断モードに移行すると、工程S2において、第1検出電極40に駆動信号を印加する。
次に、工程S3において、物理量検出回路200は、駆動出力電極32からの出力信号に基づいて、振動素子100の故障診断を行う。
次に、工程S4において、工程S3の診断により振動素子100が故障である場合、工程S5において、物理量検出回路200は、第1検出故障フラグに1を書き込み、故障診断信号をハイレベルにする。工程S4において、工程S3の診断により振動素子100が正常である場合は、工程S5は行われない。
次に、工程S6において、物理量検出回路200は、第2検出電極42に駆動信号を印加する。
次に、工程S7において、物理量検出回路200は、駆動出力電極32からの出力信号に基づいて、振動素子100の故障診断を行う。
次に、工程S8において、工程S7の診断により振動素子100が故障である場合、工程S9において、物理量検出回路200は、第2検出故障フラグに1を書き込み、故障診断信号をハイレベルにする。工程S8において、工程S7の診断により振動素子100が正常である場合は、工程S9は行われない。
そして、物理量検出回路200は、工程S10において、通常動作モードに移行するまで待機し、通常動作モードに移行すると、工程S1に戻る。
なお、第1実施形態において、通常動作モードは「第1モード」の一例であり、故障診断モードは「第2モード」の一例である。また、第1検出電極40又は第2検出電極42は「第1電極」の一例であり、第1検出振動腕130又は第2検出振動腕132は「第1振動腕」の一例である。また、駆動出力電極32は「第2電極」の一例であり、第1駆動振動腕120及び第2駆動振動腕122は「第2振動腕」の一例である。また、CTL端子は、「入力端子」の一例である。
以上に説明したように、第1実施形態の物理量検出装置1及びその故障診断方法では、通常動作モードにおいて、駆動回路210が振動素子100の第1駆動振動腕120及び第2駆動振動腕122に設けられた駆動出力電極32からの出力信号に基づいて駆動信号を生成して振動素子100に印加し、検出回路220が第1検出振動腕130に設けられた第1検出電極40からの出力信号及び第2検出振動腕132に設けられた第2検出電極42からの出力信号に基づいて物理量検出信号を生成する。
また、故障診断モードにおいて、駆動回路210が第1検出電極40に駆動信号を印加することにより、第1検出電極40が正常であれば第1検出振動腕130が所定の振幅で振動し、第1検出振動腕130が振動することにより第1駆動振動腕120及び第2駆動振動腕122の振動が励起される。同様に、駆動回路210が第2検出電極42に駆動信号を印加することにより、第2検出電極42が正常であれば第2検出振動腕132が所定の振幅で振動し、第2検出振動腕132が振動することにより第1駆動振動腕120及び第2駆動振動腕122の振動が励起される。
一方、駆動回路210が第1検出電極40に駆動信号を印加しても、第1検出電極40にオープンやショート等の故障があれば第1検出振動腕130がほとんど振動しないため第1駆動振動腕120及び第2駆動振動腕122の振動がほとんど励起されず、あるいは、第1検出電極40が剥離していれば、第1検出振動腕130が所定の振幅よりも小さい振幅で振動するので、第1駆動振動腕120及び第2駆動振動腕122に励起される振動も小さくなる。同様に、駆動回路210が第2検出電極42に駆動信号を印加しても、第2検出電極42にオープンやショート等の故障があれば第2検出振動腕132がほとんど振動しないため第1駆動振動腕120及び第2駆動振動腕122の振動がほとんど励起されず、あるいは、第2検出電極42が剥離していれば、第2検出振動腕132が所定の振幅よりも小さい振幅で振動するので、第1駆動振動腕120及び第2駆動振動腕122に励起される振動も小さくなる。そのため、故障診断回路240は、第1駆動振動腕120及び第2駆動振動腕122に設けられた駆動出力電極32からの出力信号に基づいて、振動素子100の故障診断を行うことができる。
具体的には、第1検出電極40が正常である場合に駆動出力電極32からの出力信号の大きさが第1の範囲であるとすると、例えば、第1検出電極40にオープン、ショート又は剥離の故障が発生した場合には、駆動出力電極32からの出力信号の大きさが第1の範囲の下限値よりも小さくなるので、故障診断回路240は振動素子100が故障であると診断することができる。同様に、第2検出電極42が正常である場合に駆動出力電極32からの出力信号の大きさが第1の範囲であるとすると、例えば、第2検出電極42にオープン、ショート又は剥離の故障が発生した場合には、駆動出力電極32からの出力信号の大きさが第1の範囲の下限値よりも小さくなるので、故障診断回路240は振動素子100が故障であると診断することができる。
そして、この故障診断は、振動素子100の駆動振動腕120,122,124,126から第1検出電極40及び第2検出電極42に漏れる駆動振動を利用するものではないので、第1検出電極40及び第2検出電極42に振動漏れがほとんど生じないようにチューニングされた振動素子100を用いることができる。その結果、通常動作モードにおいて、検出回路220が第1検出電極40からの出力信号及び第2検出電極42からの出力信号に基づいて生成する物理量検出信号において、振動漏れに起因するノイズ成分が低減されるので、物理量検出信号のS/N比の悪化が低減される。したがって、第1実施形態の物理量検出装置1及びその故障診断方法によれば、振動漏れに起因するノイズの影響を低減するとともに振動素子100の故障診断を行うことができる。
また、第1実施形態の物理量検出装置1及びその故障診断方法では、通常動作モードにおいて、故障診断回路240は、駆動信号に基づいて駆動回路210の故障診断を行う。したがって、第1実施形態の物理量検出装置1及びその故障診断方法によれば、故障診断回路240が、通常動作モードにおいて駆動回路210に故障がないと判断し、かつ、故障診断モードにおいて振動素子100に故障がないと診断した場合、例えば、外部装置は、駆動回路210も振動素子100も正常であると判断することができる。また、故障診断回路240が、通常動作モードにおいて駆動回路210に故障がないと診断し、かつ、故障診断モードにおいて振動素子100が故障であると診断した場合、例えば、外部装置は、駆動回路210は正常であるが、振動素子100は故障であると判断することができる。また、故障診断回路240が、通常動作モードにおいて駆動回路210が故障であると診断し、かつ、故障診断モードにおいて振動素子100が故障であると診断した場合、例えば、外部装置は、駆動回路210は故障であるが、振動素子100の故障は疑似的であって実際には正常の可能性が高いと判断することができる。
また、第1実施形態の物理量検出装置1及びその故障診断方法によれば、通常動作モードにおいて、CTL端子に物理量検出装置1が静止していることを示す静止信号が入力された場合に、故障診断モードに移行するので、故障診断回路240は、故障診断モードにおいて、振動素子100に加わる角速度の影響を排除して振動素子100の故障診断を行うことができる。
2.第2実施形態
第2実施形態の物理量検出装置1について、第1実施形態と同様の構成要素には同じ符号を付し、第1実施形態と重複する説明は省略または簡略し、主に第1実施形態と異なる内容について説明する。
第2実施形態の物理量検出装置1について、第1実施形態と同様の構成要素には同じ符号を付し、第1実施形態と重複する説明は省略または簡略し、主に第1実施形態と異なる内容について説明する。
図12は、第2実施形態の物理量検出装置の機能ブロック図である。第2実施形態の物理量検出装置1は、振動素子100と、物理量検出回路200と、を備える。振動素子100の構成及び機能は、第1実施形態と同様であるため、説明を省略する。
物理量検出回路200は、駆動回路210、検出回路220、電圧判定回路230A、電圧判定回路230C、故障診断回路240、制御回路250、記憶部260、インターフェース回路270及び切替回路280を備える。駆動回路210、検出回路220、電圧判定回路230A、制御回路250、記憶部260及びインターフェース回路270の機能は、第1実施形態と同様であるため、説明を省略する。
切替回路280は、スイッチ281,283,284,287~290を含み、起動モード及び通常動作モードにおいて、振動素子100の駆動入力電極30を駆動回路210と電気的に接続し、振動素子100の第1検出電極40及び第2検出電極42を検出回路220と電気的に接続する。図12では、起動モード及び通常動作モードにおけるスイッチ281,283,284,287~290の状態が示されている。具体的には、スイッチ281は、DS端子とAGC回路212とを接続する。スイッチ283は、S1端子とQ/V変換回路221Pとを接続する。スイッチ284は、S2端子とQ/V変換回路221Nとを接続する。スイッチ287は、Q/V変換回路221Pと差動アンプ222とを接続する。スイッチ288は、Q/V変換回路221Nと差動アンプ222とを接続する。スイッチ289は、Q/V変換回路221Nとスイッチ290とを接続する。スイッチ290は、スイッチ289と電圧判定回路230Cとの接続を切断する。
起動モード及び通常動作モードにおける物理量検出回路200の動作は、第1実施形態と同様である。
すなわち、駆動回路210は、起動モードおいて、起動回路214から出力される発振信号を駆動信号として、振動素子100の駆動入力電極30に印加する。また、駆動回路210は、通常動作モードおいて、振動素子100の駆動出力電極32からの出力信号に基づいて駆動信号を生成し、振動素子100の駆動入力電極30に駆動信号を印加する。
また、検出回路220は、通常動作モードおいて、S1端子を介して入力される信号及びS2端子を介して入力される信号に基づいて、振動素子100が検出した物理量に応じた物理量検出信号を生成する。すなわち、検出回路220は、通常動作モードおいて、第1検出電極40からの出力信号及び第2検出電極42からの出力信号に基づいて、物理量検出信号を生成する。
また、故障診断回路240は、通常動作モードにおいて、電圧判定回路230Aから出力される電圧判定信号に基づいて、駆動回路210の故障診断を行い、駆動回路210が故障である場合にハイレベルとなる故障診断信号を出力するとともに、記憶部260に記憶される駆動故障フラグに1を書き込む。
第2実施形態でも、第1実施形態と同様、物理量検出装置1は、通常動作モードにおいて、図示しない外部装置から、CTL端子に物理量検出装置1が静止していることを示す静止信号が入力された場合に、制御回路250が物理量検出装置1の動作モードを故障診断モードに切り替え、故障診断モードに移行する。また、制御回路250は、物理量検出装置1の動作モードを起動モードから故障診断モードに切り替え、さらに、故障診断モードから通常動作モードに切り替えてもよい。
物理量検出回路200は、故障診断モードにおいて、振動素子100の第1検出電極40の故障診断及び第2検出電極42の故障診断を行う。具体的には、物理量検出回路200は、第1検出電極40の故障診断を行うために、第1検出電極40に駆動信号を印加し、振動素子100に、図5に示した検出モードを励起する。このとき、振動素子100の第2検出振動腕132は図5の矢印Cの方向に振動する。この矢印Cの方向の振動により、第2検出電極42に交流電荷が発生するので、物理量検出回路200は、第2検出電極42から出力される電荷に基づいて第1検出電極40の故障診断を行うことができる。同様に、物理量検出回路200は、第2検出電極42に駆動信号を印加し、第1検出電極40から出力される電荷に基づいて第2検出電極42の故障診断を行うことができる。
図13に、第1検出電極40の故障内容と第2検出電極42に発生する電荷との関係及び第2検出電極42の故障内容と第1検出電極40に発生する電荷との関係を示す。図13に示すように、第1検出電極40に駆動信号を印加したとき、第1検出電極40にオープン又はショートの故障があれば、駆動信号が正しく印加されないので第2検出電極42にはほとんど電荷が発生せず、第1検出電極40に剥離の故障があれば、抵抗値が上昇して第1検出電極40に印加される駆動信号が減衰するので、第2検出電極42に発生する電荷が正常時よりも小さくなる。したがって、物理量検出回路200は、第1検出電極40に駆動信号を印加し、第2検出電極42から出力される電荷に基づいて第1検出電極40の故障診断を行うことができる。
同様に、第2検出電極42に駆動信号を印加したとき、第2検出電極42にオープン又はショートの故障があれば、第1検出電極40にはほとんど電荷が発生せず、第2検出電極42に剥離の故障があれば、第1検出電極40に発生する電荷が正常時よりも小さくなる。したがって、物理量検出回路200は、第2検出電極42に駆動信号を印加し、第1検出電極40から出力される電荷に基づいて第2検出電極42の故障診断を行うことができる。
図14に、故障診断モードにおいて第1検出電極40の故障診断を行うときのスイッチ281,283,284,287~290の状態を示す。切替回路280は、故障診断モードにおいて、第1検出電極40の故障診断を行うために、振動素子100の第2検出電極42を故障診断回路240と電気的に接続し、振動素子100の第1検出電極40を駆動回路210と電気的に接続する。具体的には、スイッチ281は、スイッチ283,284とAGC回路212とを接続する。スイッチ283は、S1端子とスイッチ281とを接続する。スイッチ284は、S2端子とQ/V変換回路221Nとを接続する。スイッチ287は、グラウンド電圧GNDの供給線と差動アンプ222とを接続する。スイッチ288は、グラウンド電圧GNDの供給線と差動アンプ222とを接続する。スイッチ289は、Q/V変換回路221Nとスイッチ290とを接続する。スイッチ290は、スイッチ289と電圧判定回路230Cとを接続する。
駆動回路210は、故障診断モードにおいて、駆動信号を生成し、振動素子100の駆動入力電極30に駆動信号を印加せずに第1検出電極40に駆動信号を印加する。具体的には、故障診断モードでは、起動回路214が動作し、起動回路214から出力される発振信号は、AGC回路212、スイッチ281,283及びS1端子を介して振動素子100の第1検出電極40に印加され、振動素子100に検出モードが励起される。
電圧判定回路230Cは、故障診断モードにおいて、スイッチ289,290を介して、Q/V変換回路221Nの出力信号が入力され、Q/V変換回路221Nの出力信号の電圧レベルが正常か否かを示す電圧判定信号を出力する。なお、電圧判定回路230Cの構成は、図6に示した電圧判定回路230A,230Bの構成と同様である。
故障診断回路240は、電圧判定回路230Cから出力される電圧判定信号に基づいて、振動素子100の故障診断を行い、振動素子100が故障である場合にハイレベルとなる故障診断信号を出力する。具体的には、故障診断回路240は、故障診断モードにおいて第1検出電極40の故障診断を行うときに、電圧判定回路230Cから出力される電圧判定信号がハイレベルになると、故障診断信号をハイレベルに固定するとともに、記憶部260に記憶される複数の故障フラグのうちの第1検出故障フラグに1を書き込む。例えば、外部装置は、DIAG端子から出力される故障診断信号がローレベルからハイレベルに変化すると、インターフェース回路270を介して、記憶部260に記憶されている複数の故障フラグを読み出し、第1検出故障フラグが1であれば、第1検出電極40が故障であると判断することができる。
ここで、故障診断回路240は、電圧判定回路230Cから出力される電圧判定信号に基づいて、振動素子100の故障診断を行うが、電圧判定回路230Cから出力される電圧判定信号は、第2検出電極42からの出力信号に基づくQ/V変換回路221Nの出力信号が正常か否かを示す信号である。すなわち、本実施形態では、故障診断回路240は、第2検出電極42からの出力信号に基づいて、振動素子100の故障診断を行う。また、第2検出電極42からの出力信号の大きさが第1の範囲である場合にQ/V変換回路221Nの出力信号の電圧レベルが正常であるとすると、故障診断回路240は、第2検出電極42からの出力信号の大きさが第1の範囲に含まれない場合に振動素子100が故障であると診断する。なお、第2検出電極42からの出力信号の大きさは、例えば、第2検出電極42に発生する交流電荷の絶対値の平均値である。
図15に、故障診断モードにおいて第2検出電極42の故障診断を行うときのスイッチ281,283,284,287~290の状態を示す。切替回路280は、故障診断モードにおいて、第2検出電極42の故障診断を行うために、振動素子100の第1検出電極40を故障診断回路240と電気的に接続し、振動素子100の第2検出電極42を駆動回路210と電気的に接続する。具体的には、スイッチ281は、スイッチ283,284とAGC回路212とを接続する。スイッチ283は、S1端子とQ/V変換回路221Pとを接続する。スイッチ284は、S2端子とスイッチ281とを接続する。スイッチ287は、グラウンド電圧GNDの供給線と差動アンプ222とを接続する。スイッチ288は、グラウンド電圧GNDの供給線と差動アンプ222とを接続する。スイッチ289は、Q/V変換回路221Pとスイッチ290とを接続する。スイッチ290は、スイッチ289と電圧判定回路230Cとを接続する。
起動回路214から出力される発振信号は、AGC回路212、スイッチ281,284及びS2端子を介して振動素子100の第2検出電極42に印加され、振動素子100に検出モードが励起される。
電圧判定回路230Cは、故障診断モードにおいて、スイッチ289,290を介して、Q/V変換回路221Pの出力信号が入力され、Q/V変換回路221Pの出力信号の電圧レベルが正常か否かを示す電圧判定信号を出力する。
故障診断回路240は、故障診断モードにおいて第2検出電極42の故障診断を行うときに、電圧判定回路230Cから出力される電圧判定信号がハイレベルになると、故障診断信号をハイレベルに固定するとともに、記憶部260に記憶される複数の故障フラグのうちの第2検出故障フラグに1を書き込む。例えば、外部装置は、DIAG端子から出力される故障診断信号がローレベルからハイレベルに変化すると、インターフェース回路270を介して、記憶部260に記憶されている複数の故障フラグを読み出し、第2検出故障フラグが1であれば、第2検出電極42が故障であると判断することができる。
ここで、故障診断回路240は、電圧判定回路230Cから出力される電圧判定信号に基づいて、振動素子100の故障診断を行うが、電圧判定回路230Cから出力される電圧判定信号は、第1検出電極40からの出力信号に基づくQ/V変換回路221Pの出力信号が正常か否かを示す信号である。すなわち、本実施形態では、故障診断回路240は、第1検出電極40からの出力信号に基づいて、振動素子100の故障診断を行う。また、第1検出電極40からの出力信号の大きさが第1の範囲である場合にQ/V変換回路221Pの出力信号の電圧レベルが正常であるとすると、故障診断回路240は、第1検出電極40からの出力信号の大きさが第1の範囲に含まれない場合に振動素子100が故障であると診断する。なお、第1検出電極40からの出力信号の大きさは、例えば、第1検出電極40に発生する交流電荷の絶対値の平均値である。
なお、図14、図15のいずれの場合も、差動アンプ222の2つの入力端子にはグラウンド電圧GNDが入力されるので、故障診断モードでは、検出回路220から出力される物理量検出信号はゼロ点電圧となる。
図16は、故障診断モードにおいて、S1端子又はS2端子に印加される駆動信号の波形及びS2端子又はS1端子から入力される信号の波形の一例を示す図である。図16に示すように、S1端子又はS2端子には駆動信号として矩形波の発振信号が印加される。振動素子100が正常の場合は、S2端子又はS1端子から入力される信号の振幅レベルは所定の範囲に含まれるが、振動素子100が故障している場合は、S2端子又はS1端子から入力される信号の振幅レベルは正常時よりも小さくなり、所定の範囲から外れる。
図17は、第2実施形態の物理量検出装置1の故障診断方法の手順の一例を示すフローチャート図である。
まず、物理量検出回路200は、工程S11において、故障診断モードに移行するまで待機し、故障診断モードに移行すると、工程S12において、第1検出電極40に駆動信号を印加する。
次に、工程S13において、物理量検出回路200は、第2検出電極42からの出力信号に基づいて、振動素子100の故障診断を行う。
次に、工程S14において、工程S13の診断により振動素子100が故障である場合、工程S15において、物理量検出回路200は、第1検出故障フラグに1を書き込み、故障診断信号をハイレベルにする。工程S14において、工程S13の診断により振動素子100が正常である場合は、工程S15は行われない。
次に、工程S16において、物理量検出回路200は、第2検出電極42に駆動信号を印加する。
次に、工程S17において、物理量検出回路200は、第1検出電極40からの出力信号に基づいて、振動素子100の故障診断を行う。
次に、工程S18において、工程S17の診断により振動素子100が故障である場合、工程S19において、物理量検出回路200は、第2検出故障フラグに1を書き込み、故障診断信号をハイレベルにする。工程S18において、工程S17の診断により振動素子100が正常である場合は、工程S19は行われない。
そして、物理量検出回路200は、工程S20において、通常動作モードに移行するまで待機し、通常動作モードに移行すると、工程S11に戻る。
なお、第2実施形態において、通常動作モードは「第1モード」の一例であり、故障診断モードは「第2モード」の一例である。また、第1検出電極40は「第1電極」の一例であり、第1検出振動腕130は「第1振動腕」の一例である。また、第2検出電極42は「第2電極」の一例であり、第2検出振動腕132は「第2振動腕」の一例である。あるいは、第2検出電極42は「第1電極」の他の一例であり、第2検出振動腕132は「第1振動腕」の他の一例である。また、第1検出電極40は「第2電極」の他の一例であり、第1検出振動腕130は「第2振動腕」の他の一例である。また、CTL端子は、「入力端子」の一例である。
以上に説明したように、第2実施形態の物理量検出装置1及びその故障診断方法では、通常動作モードにおいて、駆動回路210が振動素子100の第1駆動振動腕120及び第2駆動振動腕122に設けられた駆動出力電極32からの出力信号に基づいて駆動信号を生成して振動素子100に印加し、検出回路220が第1検出振動腕130に設けられた第1検出電極40からの出力信号及び第2検出振動腕132に設けられた第2検出電極42からの出力信号に基づいて物理量検出信号を生成する。
また、故障診断モードにおいて、駆動回路210が第1検出電極40に駆動信号を印加することにより、第1検出電極40が正常であれば第1検出振動腕130が所定の振幅で振動し、第1検出振動腕130が振動することにより第2検出振動腕132の振動が励起される。同様に、駆動回路210が第2検出電極42に駆動信号を印加することにより、第2検出電極42が正常であれば第2検出振動腕132が所定の振幅で振動し、第2検出振動腕132が振動することにより第1検出振動腕130の振動が励起される。
一方、駆動回路210が第1検出電極40に駆動信号を印加しても、第1検出電極40にオープンやショート等の故障があれば第1検出振動腕130がほとんど振動しないため第2検出振動腕132の振動がほとんど励起されず、あるいは、第1検出電極40が剥離していれば、第1検出振動腕130が所定の振幅よりも小さい振幅で振動するので、第2検出振動腕132に励起される振動も小さくなる。同様に、駆動回路210が第2検出電極42に駆動信号を印加しても、第2検出電極42にオープンやショート等の故障があれば第2検出振動腕132がほとんど振動しないため第1検出振動腕130の振動がほとんど励起されず、あるいは、第2検出電極42が剥離していれば、第2検出振動腕132が所定の振幅よりも小さい振幅で振動するので、第1検出振動腕130に励起される振動も小さくなる。そのため、故障診断回路240は、第1検出振動腕130に設けられた第1検出電極40からの出力信号及び第2検出振動腕132に設けられた第2検出電極42からの出力信号に基づいて、振動素子100の故障診断を行うことができる。
具体的には、第1検出電極40が正常である場合に第2検出電極42からの出力信号の大きさが第1の範囲であるとすると、例えば、第1検出電極40にオープン、ショート又は剥離の故障が発生した場合には、第2検出電極42からの出力信号の大きさが第1の範囲の下限値よりも小さくなるので、故障診断回路240は振動素子100が故障であると診断することができる。同様に、第2検出電極42が正常である場合に第1検出電極40からの出力信号の大きさが第1の範囲であるとすると、例えば、第2検出電極42にオープン、ショート又は剥離の故障が発生した場合には、第1検出電極40からの出力信号の大きさが第1の範囲の下限値よりも小さくなるので、故障診断回路240は振動素子100が故障であると診断することができる。
そして、この故障診断は、振動素子100の駆動振動腕120,122,124,126から第1検出電極40及び第2検出電極42に漏れる駆動振動を利用するものではないので、第1検出電極40及び第2検出電極42に振動漏れがほとんど生じないようにチューニングされた振動素子100を用いることができる。その結果、通常動作モードにおいて、検出回路220が第1検出電極40からの出力信号及び第2検出電極42からの出力信号に基づいて生成する物理量検出信号において、振動漏れに起因するノイズ成分が低減されるので、物理量検出信号のS/N比の悪化が低減される。したがって、第2実施形態の物理量検出装置1及びその故障診断方法によれば、振動漏れに起因するノイズの影響を低減するとともに振動素子100の故障診断を行うことができる。
また、第1実施形態と同様、第2実施形態の物理量検出装置1及びその故障診断方法によれば、故障診断回路240が、通常動作モードにおいて駆動回路210に故障がないと判断し、かつ、故障診断モードにおいて振動素子100に故障がないと診断した場合、例えば、外部装置は、駆動回路210も振動素子100も正常であると判断することができる。また、故障診断回路240が、通常動作モードにおいて駆動回路210に故障がないと診断し、かつ、故障診断モードにおいて振動素子100が故障であると診断した場合、例えば、外部装置は、駆動回路210は正常であるが、振動素子100は故障であると判断することができる。また、故障診断回路240が、通常動作モードにおいて駆動回路210が故障であると診断し、かつ、故障診断モードにおいて振動素子100が故障であると診断した場合、例えば、外部装置は、駆動回路210は故障であるが、振動素子100の故障は疑似的であって実際には正常の可能性が高いと判断することができる。
また、第1実施形態と同様、第2実施形態の物理量検出装置1及びその故障診断方法によれば、通常動作モードにおいて、CTL端子に物理量検出装置1が静止していることを示す静止信号が入力された場合に、故障診断モードに移行するので、故障診断回路240は、故障診断モードにおいて、振動素子100に加わる角速度の影響を排除して振動素子100の故障診断を行うことができる。
3.変形例
上記の各実施形態では、物理量検出装置1として、角速度を検出する振動素子100を含む角速度検出装置を例に挙げたが、振動素子100が検出する物理量は、角速度に限らず、角加速度、加速度、速度、力などであってもよい。
上記の各実施形態では、物理量検出装置1として、角速度を検出する振動素子100を含む角速度検出装置を例に挙げたが、振動素子100が検出する物理量は、角速度に限らず、角加速度、加速度、速度、力などであってもよい。
また、振動素子100の振動片は、ダブルT型でなくてもよく、例えば、平面形状がH型であってもよいし、音叉型やくし歯型であってもよいし、三角柱、四角柱、円柱状等の形状の音片型であってもよい。
また、振動素子100の振動片の材料としては、水晶(SiO2)の代わりに、例えば、タンタル酸リチウム(LiTaO3)、ニオブ酸リチウム(LiNbO3)等の圧電単結晶やジルコン酸チタン酸鉛(PZT)等の圧電セラミックスなどの圧電性材料を用いてもよい。
また、上記の各実施形態では、物理量検出装置1として、1つの振動素子100を備えた1軸センサーを例に挙げたが、物理量検出装置1は、複数の振動素子100を備えた多軸センサーであってもよい。例えば、物理量検出装置1は、互いに異なる3軸周りの角速度を検出する3つの振動素子を備えた3軸ジャイロセンサーであってもよいし、角速度を検出する振動素子と、加速度を検出する振動素子とを備えた複合センサーであってもよい。
上述した実施形態および変形例は一例であって、これらに限定されるわけではない。例えば、各実施形態および各変形例を適宜組み合わせることも可能である。
本発明は、実施の形態で説明した構成と実質的に同一の構成、例えば、機能、方法及び結果が同一の構成、あるいは目的及び効果が同一の構成を含む。また、本発明は、実施の形態で説明した構成の本質的でない部分を置き換えた構成を含む。また、本発明は、実施の形態で説明した構成と同一の作用効果を奏する構成又は同一の目的を達成することができる構成を含む。また、本発明は、実施の形態で説明した構成に公知技術を付加した構成を含む。
上述した実施形態および変形例から以下の内容が導き出される。
物理量検出装置の一態様は、
第1振動腕及び第2振動腕を含む圧電体と、前記第1振動腕に設けられた第1電極と、前記第2振動腕に設けられた第2電極と、を有する振動素子と、
前記振動素子に駆動信号を印加する駆動回路と、
前記第1電極からの出力信号に基づいて、前記振動素子が検出した物理量に応じた物理量検出信号を生成する検出回路と、
前記第2電極からの出力信号に基づいて、前記振動素子の故障診断を行う故障診断回路と、
第1モードにおいて前記第1電極を前記検出回路と電気的に接続し、第2モードにおいて前記第1電極を前記駆動回路と電気的に接続する切替回路と、を備え、
前記駆動回路は、
前記第2モードにおいて、前記第1電極に前記駆動信号を印加する。
第1振動腕及び第2振動腕を含む圧電体と、前記第1振動腕に設けられた第1電極と、前記第2振動腕に設けられた第2電極と、を有する振動素子と、
前記振動素子に駆動信号を印加する駆動回路と、
前記第1電極からの出力信号に基づいて、前記振動素子が検出した物理量に応じた物理量検出信号を生成する検出回路と、
前記第2電極からの出力信号に基づいて、前記振動素子の故障診断を行う故障診断回路と、
第1モードにおいて前記第1電極を前記検出回路と電気的に接続し、第2モードにおいて前記第1電極を前記駆動回路と電気的に接続する切替回路と、を備え、
前記駆動回路は、
前記第2モードにおいて、前記第1電極に前記駆動信号を印加する。
この物理量検出装置では、第2モードにおいて、駆動回路が第1電極に駆動信号を印加することにより、第1電極が正常であれば第1振動腕が所定の振幅で振動し、第1振動腕が振動することにより第2振動腕の振動が励起される。一方、駆動回路が第1電極に駆動信号を印加しても、第1電極にオープンやショート等の故障があれば第1振動腕がほとんど振動しないため第2振動腕の振動がほとんど励起されず、あるいは、第1電極が剥離していれば、第1振動腕が所定の振幅よりも小さい振幅で振動するので、第2振動腕に励起される振動も小さくなる。そのため、故障診断回路は、第2振動腕に設けられた第2電極からの出力信号に基づいて、振動素子の故障診断を行うことができる。そして、この故障診断は、第1電極に漏れる駆動振動を利用するものではないので、第1電極に振動漏れがほとんど生じないようにチューニングされた振動素子を用いることができる。その結果、第1モードにおいて、検出回路が第1電極からの出力信号に基づいて生成する物理量検出信号において、振動漏れに起因するノイズ成分が低減されるので、物理量検出信号のS/N比の悪化が低減される。したがって、この物理量検出装置によれば、振動漏れに起因するノイズの影響を低減するとともに振動素子の故障診断を行うことができる。
前記物理量検出装置の一態様において、
前記第1電極は、第1検出電極であり、
前記第2電極は、駆動出力電極であり、
前記切替回路は、
前記第1モードにおいて前記駆動出力電極を前記駆動回路と電気的に接続し、前記第2モードにおいて前記駆動出力電極を前記故障診断回路と電気的に接続し、
前記駆動回路は、
前記第1モードにおいて、前記駆動出力電極からの出力信号に基づいて前記駆動信号を生成してもよい。
前記第1電極は、第1検出電極であり、
前記第2電極は、駆動出力電極であり、
前記切替回路は、
前記第1モードにおいて前記駆動出力電極を前記駆動回路と電気的に接続し、前記第2モードにおいて前記駆動出力電極を前記故障診断回路と電気的に接続し、
前記駆動回路は、
前記第1モードにおいて、前記駆動出力電極からの出力信号に基づいて前記駆動信号を生成してもよい。
この物理量検出装置によれば、第1モードにおいて、駆動回路が駆動出力電極からの出力信号に基づいて駆動信号を生成して振動素子に印加し、検出回路が第1検出電極からの出力信号に基づいて物理量検出信号を生成することができる。また、この物理量検出装置によれば、第2モードにおいて、駆動回路が第1検出電極に駆動信号を印加し、故障診断回路が駆動出力電極からの出力信号に基づいて、振動素子の故障診断を行うことができる。
前記物理量検出装置の一態様において、
互いに直交する3軸を第1軸、第2軸および第3軸としたとき、
前記振動素子の厚さ方向が前記第3軸に沿い、
前記振動素子は、
基部と、
前記基部から前記第2軸に沿って延出している第1検出振動腕と、
前記基部から前記第1軸に沿って互いに反対方向に延出している第1連結腕及び第2連結腕と、
前記第1連結腕の先端部から前記第2軸に沿って互いに反対方向に延出している第1駆動振動腕及び第2駆動振動腕と、
前記第2連結腕の先端部から前記第2軸に沿って互いに反対方向に延出している第3駆動振動腕及び第4駆動振動腕と、を有し、
前記第1振動腕は、前記第1検出振動腕であり、
前記第2振動腕は、前記第1駆動振動腕及び前記第2駆動振動腕であってもよい。
互いに直交する3軸を第1軸、第2軸および第3軸としたとき、
前記振動素子の厚さ方向が前記第3軸に沿い、
前記振動素子は、
基部と、
前記基部から前記第2軸に沿って延出している第1検出振動腕と、
前記基部から前記第1軸に沿って互いに反対方向に延出している第1連結腕及び第2連結腕と、
前記第1連結腕の先端部から前記第2軸に沿って互いに反対方向に延出している第1駆動振動腕及び第2駆動振動腕と、
前記第2連結腕の先端部から前記第2軸に沿って互いに反対方向に延出している第3駆動振動腕及び第4駆動振動腕と、を有し、
前記第1振動腕は、前記第1検出振動腕であり、
前記第2振動腕は、前記第1駆動振動腕及び前記第2駆動振動腕であってもよい。
この物理量検出装置によれば、第1モードにおいて、駆動回路が第1駆動振動腕及び第2駆動振動腕に設けられた駆動出力電極からの出力信号に基づいて駆動信号を生成して振動素子に印加し、検出回路が第1検出振動腕に設けられた第1検出電極からの出力信号に基づいて物理量検出信号を生成することができる。また、この物理量検出装置によれば、第2モードにおいて、駆動回路が第1検出振動腕に設けられた第1検出電極に駆動信号を印加し、故障診断回路が第1駆動振動腕及び前記第2駆動振動腕に設けられた駆動出力電極からの出力信号に基づいて、振動素子の故障診断を行うことができる。
前記物理量検出装置の一態様において、
前記第1電極は、第1検出電極であり、
前記第2電極は、第2検出電極であり、
前記切替回路は、
前記第1モードにおいて前記第2検出電極を前記検出回路と電気的に接続し、前記第2モードにおいて前記第2検出電極を前記故障診断回路と電気的に接続し、
前記検出回路は、
前記第1モードにおいて、前記第1検出電極からの出力信号及び前記第2検出電極からの出力信号に基づいて、前記物理量検出信号を生成してもよい。
前記第1電極は、第1検出電極であり、
前記第2電極は、第2検出電極であり、
前記切替回路は、
前記第1モードにおいて前記第2検出電極を前記検出回路と電気的に接続し、前記第2モードにおいて前記第2検出電極を前記故障診断回路と電気的に接続し、
前記検出回路は、
前記第1モードにおいて、前記第1検出電極からの出力信号及び前記第2検出電極からの出力信号に基づいて、前記物理量検出信号を生成してもよい。
この物理量検出装置によれば、第1モードにおいて、駆動回路が駆動信号を振動素子に印加し、検出回路が第1検出電極からの出力信号及び第2検出電極からの出力信号に基づいて物理量検出信号を生成することができる。また、この物理量検出装置によれば、第2モードにおいて、駆動回路が第1検出電極に駆動信号を印加し、故障診断回路が第2検出電極からの出力信号に基づいて、振動素子の故障診断を行うことができる。
前記物理量検出装置の一態様において、
互いに直交する3軸を第1軸、第2軸および第3軸としたとき、
前記振動素子の厚さ方向が前記第3軸に沿い、
前記振動素子は、
基部と、
前記基部から前記第2軸に沿って互いに反対方向に延出している第1検出振動腕および第2検出振動腕と、
前記基部から前記第1軸に沿って互いに反対方向に延出している第1連結腕及び第2連結腕と、
前記第1連結腕の先端部から前記第2軸に沿って互いに反対方向に延出している第1駆動振動腕及び第2駆動振動腕と、
前記第2連結腕の先端部から前記第2軸に沿って互いに反対方向に延出している第3駆動振動腕及び第4駆動振動腕と、を有し、
前記第1振動腕は、前記第1検出振動腕であり、
前記第2振動腕は、前記第2検出振動腕であってもよい。
互いに直交する3軸を第1軸、第2軸および第3軸としたとき、
前記振動素子の厚さ方向が前記第3軸に沿い、
前記振動素子は、
基部と、
前記基部から前記第2軸に沿って互いに反対方向に延出している第1検出振動腕および第2検出振動腕と、
前記基部から前記第1軸に沿って互いに反対方向に延出している第1連結腕及び第2連結腕と、
前記第1連結腕の先端部から前記第2軸に沿って互いに反対方向に延出している第1駆動振動腕及び第2駆動振動腕と、
前記第2連結腕の先端部から前記第2軸に沿って互いに反対方向に延出している第3駆動振動腕及び第4駆動振動腕と、を有し、
前記第1振動腕は、前記第1検出振動腕であり、
前記第2振動腕は、前記第2検出振動腕であってもよい。
この物理量検出装置によれば、第1モードにおいて、駆動回路が駆動信号を振動素子に印加し、検出回路が第1検出振動腕に設けられた第1検出電極からの出力信号及び第2検出振動腕に設けられた第2検出電極からの出力信号に基づいて物理量検出信号を生成することができる。また、この物理量検出装置によれば、第2モードにおいて、駆動回路が第1検出振動腕に設けられた第1検出電極に駆動信号を印加し、故障診断回路が第2検出振動腕に設けられた第2検出電極からの出力信号に基づいて、振動素子の故障診断を行うことができる。
前記物理量検出装置の一態様において、
前記故障診断回路は、前記第2電極からの出力信号の大きさが第1の範囲に含まれない場合に前記振動素子が故障であると診断してもよい。
前記故障診断回路は、前記第2電極からの出力信号の大きさが第1の範囲に含まれない場合に前記振動素子が故障であると診断してもよい。
この物理量検出装置によれば、第1電極が正常である場合に第2電極からの出力信号の大きさが第1の範囲であるとすると、例えば、第1電極にオープン、ショート又は剥離の故障が発生した場合には、第2電極からの出力信号の大きさが第1の範囲の下限値よりも小さくなるので、故障診断回路は振動素子が故障であると診断することができる。
前記物理量検出装置の一態様において、
前記故障診断回路は、前記駆動信号に基づいて、前記駆動回路の故障診断を行ってもよい。
前記故障診断回路は、前記駆動信号に基づいて、前記駆動回路の故障診断を行ってもよい。
この物理量検出装置によれば、故障診断回路が、駆動回路に故障がなく、かつ、振動素子に故障がないと診断した場合、例えば、外部装置は、駆動回路も振動素子も正常であると判断することができる。また、故障診断回路が、駆動回路に故障がなく、かつ、振動素子が故障であると診断した場合、例えば、外部装置は、駆動回路は正常であるが、振動素子は故障であると判断することができる。また、故障診断回路が、駆動回路が故障であり、かつ、振動素子が故障であると診断した場合、例えば、外部装置は、駆動回路は故障であるが、振動素子の故障は疑似的であって実際には正常の可能性が高いと判断することができる。
前記物理量検出装置の一態様は、
入力端子を備え、
前記第1モードにおいて、前記入力端子に前記物理量検出装置が静止していることを示す静止信号が入力された場合に、前記第2モードに移行してもよい。
入力端子を備え、
前記第1モードにおいて、前記入力端子に前記物理量検出装置が静止していることを示す静止信号が入力された場合に、前記第2モードに移行してもよい。
この物理量検出装置によれば、第2モードにおいて、振動素子に加わる物理量の影響を排除して振動素子の故障診断を行うことができる。
物理量検出装置の故障診断方法の一態様は、
第1振動腕及び第2振動腕を含む圧電体と、前記第1振動腕に設けられた第1電極と、前記第2振動腕に設けられた第2電極と、を有する振動素子と、
前記振動素子に駆動信号を印加する駆動回路と、
前記第1電極からの出力信号に基づいて、前記振動素子が検出した物理量に応じた物理量検出信号を生成する検出回路と、
を備える物理量検出装置の故障診断方法であって、
前記第1電極に前記駆動信号を印加する工程と、
前記第2電極からの出力信号に基づいて、前記振動素子の故障診断を行う工程と、を含む。
第1振動腕及び第2振動腕を含む圧電体と、前記第1振動腕に設けられた第1電極と、前記第2振動腕に設けられた第2電極と、を有する振動素子と、
前記振動素子に駆動信号を印加する駆動回路と、
前記第1電極からの出力信号に基づいて、前記振動素子が検出した物理量に応じた物理量検出信号を生成する検出回路と、
を備える物理量検出装置の故障診断方法であって、
前記第1電極に前記駆動信号を印加する工程と、
前記第2電極からの出力信号に基づいて、前記振動素子の故障診断を行う工程と、を含む。
この物理量検出装置の故障診断方法では、第1電極に駆動信号を印加することにより、第1電極が正常であれば第1振動腕が所定の振幅で振動し、第1振動腕が振動することにより第2振動腕の振動が励起される。一方、第1電極に駆動信号を印加しても、第1電極にオープンやショート等の故障があれば第1振動腕がほとんど振動しないため第2振動腕の振動がほとんど励起されず、あるいは、第1電極が剥離していれば、第1振動腕が所定の振幅よりも小さい振幅で振動するので、第2振動腕に励起される振動も小さくなる。そのため、第2振動腕に設けられた第2電極からの出力信号に基づいて、振動素子の故障診断を行うことができる。そして、この故障診断は、第1電極に漏れる駆動振動を利用するものではないので、第1電極に振動漏れがほとんど生じないようにチューニングされた振動素子を用いることができる。その結果、検出回路が第1電極からの出力信号に基づいて生成する物理量検出信号において、振動漏れに起因するノイズ成分が低減されるので、物理量検出信号のS/N比の悪化が低減される。したがって、この物理量検出装置の故障診断方法によれば、振動漏れに起因するノイズの影響を低減するとともに振動素子の故障診断を行うことができる。
1…物理量検出装置、2a…第1主面、2b…第2主面、3…側面、5…幅広部、10…基部、30…駆動入力電極、32…駆動出力電極、40…第1検出電極、42…第2検出電極、44…第3検出電極、46…第4検出電極、50…駆動入力配線、50a…端子部、52…駆動出力配線、52a…端子部、60…第1検出配線、60a…端子部、62…第2検出配線、62a…端子部、64…第3検出配線、64a…端子部、66…第4検出配線、66a…端子部、100…振動素子、101…圧電体、110…第1連結腕、112…第2連結腕、120…第1駆動振動腕、122…第2駆動振動腕、124…第3駆動振動腕、126…第4駆動振動腕、130…第1検出振動腕、132…第2検出振動腕、140…第1支持部、142…第2支持部、150…第1梁部、152…第2梁部、154…第3梁部、156…第4梁部、200…物理量検出回路、210…駆動回路、211…I/V変換回路、212…AGC回路、213…比較器、214…起動回路、220…検出回路、221P,221N…Q/V変換回路、222…差動アンプ、223…ハイパスフィルター、224…ACアンプ、225…同期検波回路、226…感度調整アンプ、227…スイッチトキャパシターフィルター、228…レシオメトリックアンプ、230A,230B,230C…電圧判定回路、240…故障診断回路、250…制御回路、260…記憶部、270…インターフェース回路、280…切替回路、281~290…スイッチ
Claims (9)
- 第1振動腕及び第2振動腕を含む圧電体と、前記第1振動腕に設けられた第1電極と、前記第2振動腕に設けられた第2電極と、を有する振動素子と、
前記振動素子に駆動信号を印加する駆動回路と、
前記第1電極からの出力信号に基づいて、前記振動素子が検出した物理量に応じた物理量検出信号を生成する検出回路と、
前記第2電極からの出力信号に基づいて、前記振動素子の故障診断を行う故障診断回路と、
第1モードにおいて前記第1電極を前記検出回路と電気的に接続し、第2モードにおいて前記第1電極を前記駆動回路と電気的に接続する切替回路と、を備え、
前記駆動回路は、
前記第2モードにおいて、前記第1電極に前記駆動信号を印加する、物理量検出装置。 - 請求項1において、
前記第1電極は、第1検出電極であり、
前記第2電極は、駆動出力電極であり、
前記切替回路は、
前記第1モードにおいて前記駆動出力電極を前記駆動回路と電気的に接続し、前記第2モードにおいて前記駆動出力電極を前記故障診断回路と電気的に接続し、
前記駆動回路は、
前記第1モードにおいて、前記駆動出力電極からの出力信号に基づいて前記駆動信号を生成する、物理量検出装置。 - 請求項2において、
互いに直交する3軸を第1軸、第2軸および第3軸としたとき、
前記振動素子の厚さ方向が前記第3軸に沿い、
前記振動素子は、
基部と、
前記基部から前記第2軸に沿って延出している第1検出振動腕と、
前記基部から前記第1軸に沿って互いに反対方向に延出している第1連結腕及び第2連結腕と、
前記第1連結腕の先端部から前記第2軸に沿って互いに反対方向に延出している第1駆動振動腕及び第2駆動振動腕と、
前記第2連結腕の先端部から前記第2軸に沿って互いに反対方向に延出している第3駆動振動腕及び第4駆動振動腕と、を有し、
前記第1振動腕は、前記第1検出振動腕であり、
前記第2振動腕は、前記第1駆動振動腕及び前記第2駆動振動腕である、物理量検出装置。 - 請求項1において、
前記第1電極は、第1検出電極であり、
前記第2電極は、第2検出電極であり、
前記切替回路は、
前記第1モードにおいて前記第2検出電極を前記検出回路と電気的に接続し、前記第2モードにおいて前記第2検出電極を前記故障診断回路と電気的に接続し、
前記検出回路は、
前記第1モードにおいて、前記第1検出電極からの出力信号及び前記第2検出電極からの出力信号に基づいて、前記物理量検出信号を生成する、物理量検出装置。 - 請求項4において、
互いに直交する3軸を第1軸、第2軸および第3軸としたとき、
前記振動素子の厚さ方向が前記第3軸に沿い、
前記振動素子は、
基部と、
前記基部から前記第2軸に沿って互いに反対方向に延出している第1検出振動腕および第2検出振動腕と、
前記基部から前記第1軸に沿って互いに反対方向に延出している第1連結腕及び第2連結腕と、
前記第1連結腕の先端部から前記第2軸に沿って互いに反対方向に延出している第1駆動振動腕及び第2駆動振動腕と、
前記第2連結腕の先端部から前記第2軸に沿って互いに反対方向に延出している第3駆動振動腕及び第4駆動振動腕と、を有し、
前記第1振動腕は、前記第1検出振動腕であり、
前記第2振動腕は、前記第2検出振動腕である、物理量検出装置。 - 請求項1乃至5のいずれか一項において、
前記故障診断回路は、前記第2電極からの出力信号の大きさが第1の範囲に含まれない場合に前記振動素子が故障であると診断する、物理量検出装置。 - 請求項1乃至6のいずれか一項において、
前記故障診断回路は、前記駆動信号に基づいて、前記駆動回路の故障診断を行う、物理量検出装置。 - 請求項1乃至7のいずれか一項において、
入力端子を備え、
前記第1モードにおいて、前記入力端子に前記物理量検出装置が静止していることを示す静止信号が入力された場合に、前記第2モードに移行する、物理量検出装置。 - 第1振動腕及び第2振動腕を含む圧電体と、前記第1振動腕に設けられた第1電極と、前記第2振動腕に設けられた第2電極と、を有する振動素子と、
前記振動素子に駆動信号を印加する駆動回路と、
前記第1電極からの出力信号に基づいて、前記振動素子が検出した物理量に応じた物理量検出信号を生成する検出回路と、
を備える物理量検出装置の故障診断方法であって、
前記第1電極に前記駆動信号を印加する工程と、
前記第2電極からの出力信号に基づいて、前記振動素子の故障診断を行う工程と、を含む、物理量検出装置の故障診断方法。
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