JP2022098744A - 薄肉難燃成形品用樹脂組成物および薄肉難燃成形品 - Google Patents

薄肉難燃成形品用樹脂組成物および薄肉難燃成形品 Download PDF

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Daiki Fujimoto
勇一 松野
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Abstract

【課題】優れた強度を維持しつつ、薄肉難燃性に優れる樹脂組成物を提供する。
【解決手段】(A)(A-1)末端にヒドロキシ基、アミノ基およびカルボキシ基からなる群より選ばれる少なくとも1種の官能基を有するポリアリーレンスルフィド樹脂(A-1成分)10~100重量%並びに(A-2)末端に前記官能基を含有しないポリアリーレンスルフィド樹脂(A-2成分)0~90重量%からなるポリアリーレンスルフィド樹脂(A成分)100重量部に対し、(B)有機シラン系化合物、有機チタネート系化合物およびエポキシ化合物からなる群より選ばれる少なくとも1種の表面処理剤で表面処理された無機充填剤(B成分)5~90重量部を含有する薄肉難燃成形品用樹脂組成物。
【選択図】なし

Description

本発明は、ポリアリーレンスルフィド樹脂および表面処理された無機充填剤よりなる薄肉難燃成形品用樹脂組成物であって、優れた強度を維持しつつ、薄肉難燃性に優れる樹脂組成物およびそれから得られる薄肉難燃成形品に関するものである。
ポリアリーレンスルフィド樹脂は、耐薬品性、耐熱性、機械的特性などに優れるエンジニアリングプラスチックである。このため、ポリアリーレンスルフィド樹脂は、優れた特性を活かし金属代替材料として、電気電子、車両関連、航空機、住設などの用途に広く利用されている。特に、ポリアリーレンスルフィド樹脂に対して小粒径の充填剤を添加した材料は高い流動性と強度に優れるため、薄肉成形品や小型成形品への使用が検討されている。しかしながら、このように小粒径の充填剤を添加したポリアリーレンスルフィド樹脂は粘度が低く、燃焼試験時にドリップを引き起こすため難燃性が低下することがしばしば問題であった。ポリアリーレンスルフィド樹脂の強度を向上させる手法として、特許文献1に開示されるように、ポリアリーレンスルフィドの末端を官能基化させて充填剤との密着性を向上させる方法が知られているが、難燃性に関しては記載されていない。また、特許文献2では無機充填剤に表面処理を行うことで強度の改善が開示されているが、ポリアリーレンスルフィドの官能基化に関しては全く述べられておらず、さらに難燃性に関しても何ら記載されていない。
特開2019-89925号公報 WO2019/009234号公報
本発明の目的は、優れた強度を維持しつつ、薄肉難燃性に優れる樹脂組成物を提供することにある。
本発明者は鋭意検討を重ねた結果、末端にヒドロキシ基、アミノ基およびカルボキシ基からなる群より選ばれる少なくとも1種の官能基を有するポリアリーレンスルフィド樹脂および有機シラン系化合物、有機チタネート系化合物およびエポキシ化合物からなる群より選ばれる少なくとも1種の表面処理剤で表面処理された無機充填剤よりなる樹脂組成物が、優れた強度を維持しつつ薄肉難燃性に優れる樹脂組成物であることを見出し本発明に至った。
具体的には、上記課題は、(A)(A-1)末端にヒドロキシ基、アミノ基およびカルボキシ基からなる群より選ばれる少なくとも1種の官能基を有するポリアリーレンスルフィド樹脂(A-1成分)10~100重量%並びに(A-2)末端に前記官能基を含有しないポリアリーレンスルフィド樹脂(A-2成分)0~90重量%からなるポリアリーレンスルフィド樹脂(A成分)100重量部に対し、(B)有機シラン系化合物、有機チタネート系化合物およびエポキシ化合物からなる群より選ばれる少なくとも1種の表面処理剤で表面処理された無機充填剤(B成分)5~90重量部を含有する薄肉難燃成形品用樹脂組成物により達成される。
以下、本発明の詳細について説明する。
(A成分:ポリアリーレンスルフィド樹脂)
本発明のA成分として使用されるポリアリーレンスルフィド樹脂は、末端にヒドロキシ基、アミノ基およびカルボキシ基からなる群より選ばれる少なくとも1種の官能基を有するポリアリーレンスルフィド樹脂(A-1成分)10~100重量%並びに末端に前記官能基を有しないポリアリーレンスルフィド樹脂0~90重量%からなるポリアリーレンスルフィド樹脂(A-2成分)である。
これらのポリアリーレンスルフィド樹脂としては、その構成単位として、例えばp-フェニレンスルフィド単位、m-フェニレンスルフィド単位、o-フェニレンスルフィド単位、フェニレンスルフィドスルホン単位、フェニレンスルフィドケトン単位、フェニレンスルフィドエーテル単位、ジフェニレンスルフィド単位、置換基含有フェニレンスルフィド単位、分岐構造含有フェニレンスルフィド単位、等よりなるものを挙げることができ、その中でも、p-フェニレンスルフィド単位を70モル%以上、特に90モル%以上含有しているものが好ましく、さらに、ポリ(p-フェニレンスルフィド)がより好ましい。
ポリアリーレンスルフィド樹脂の製造方法としては、特に限定されるものではなく、既知の方法で重合される。例えば米国登録特許第4,746,758号、第4,786,713号、特表2013-522385、特開2012-233210および特許5167276等に記載された製造方法が挙げられる。これらの製造方法は、ジヨードアリール化合物と固体硫黄を、極性溶媒なしに直接加熱して重合させる方法である。
前記製造方法はヨウ化工程および重合工程を含む。該ヨウ化工程ではアリール化合物をヨードと反応させて、ジヨードアリール化合物を得る。続く重合工程で、重合停止剤を用いてジヨードアリール化合物を固体硫黄と重合反応させてポリアリーレンスルフィド樹脂を製造する。ヨードはこの工程で気体状で発生し、これを回収して再びヨウ化工程に用いられる。実質的にヨードは触媒である。
前記製造方法で用いられる代表的な固体硫黄としては、室温で8個の原子が連結されたシクロオクタ硫黄形態(S)が挙げられる。しかしながら重合反応に用いられる硫黄化合物は限定されるものではなく、常温で固体または液体であればいずれの形態でも使用し得る。
前記製造方法で用いられる代表的なジヨードアリール化合物としては、ジヨードベンゼン、ジヨードナフタレン、ジヨードビフェニル、ジヨードビスフェノールおよびジヨードベンゾフェノンからなる群より選ばれる少なくとも1種が挙げられ、またアルキル基やスルホン基が結合していたり、酸素や窒素が導入されたりしているヨードアリール化合物の誘導体も使用される。ヨードアリール化合物はそのヨード原子の結合位置によって異なる異性体に分類され、これらの異性体のうち好ましい例は、p-ジヨードベンゼン、2,6-ジヨードナフタレン、及びp,p’-ジヨードビフェニルのようにヨードがアリール化合物の分子両端に対称的に位置する化合物である。該ヨードアリール化合物の含有量は前記固体硫黄100重量部に対し500~10,000重量部であることが好ましい。この量はジスルフィド結合の生成を考慮して決定される。
前記製造方法で用いられる代表的な重合停止剤としては、モノヨードアリール化合物、ベンゾチアゾール類、ベンゾチアゾールスルフェンアミド類、チウラム類、ジチオカルバメート類、芳香族スルフィド化合物などが挙げられる。モノヨードアリール化合物のうち好ましい例としては、ヨードビフェニル、ヨードフェノール、ヨードアニリン、ヨードベンゾフェノンからなる群より選ばれる少なくとも1種が挙げられる。ベンゾチアゾール類
のうち好ましい例としては、2-メルカプトベンゾチアゾール、2,2’-ジチオビスベンゾチアゾールからなる群より選ばれる少なくとも1種が挙げられる。ベンゾチアゾールスルフェンアミド類のうち好ましい例としては、N-シクロヘキシルベンゾチアゾール2-スルフェンアミド、N,N-ジシクロヘキシル-2-ベンゾチアゾールスルフェンアミド、2-モルホリノチオベンゾチアゾール、ベンゾチアゾールスルフェンアミド、ジベンゾチアゾールジスルファイド、N-ジシクロヘキシルベンゾチアゾール2-スルフェンアミドからなる群より選ばれる少なくとも1種が挙げられる。チウラム類のうち好ましい例としては、テトラメチルチウラムモノスルフィド、テトラメチルチウラムジスルフィドからなる群より選ばれる少なくとも1種が挙げられる。ジチオカルバメート類のうち好ましい例としては、ジメチルジチオカルバメート酸亜鉛、ジエチルジチオカルバメート酸亜鉛からなる群より選ばれる少なくとも1種が挙げられる。芳香族スルフィド化合物のうち好ましい例としては、ジフェニルスルフィド、ジフェニルジスルフィド、ジフェニルエーテル、ビフェニル、ベンゾフェノンからなる群より選ばれる少なくとも1種が挙げられる。
ここで、前記アリーレン基は、p-フェニレン基、m-フェニレン基、o-フェニレン基、および、置換されたフェニレン基などを使用することができる。具体的に、置換されたフェニレン基は、一つ以上のF、Cl、Br、C1~C3のアルキル、トリフルオロメチル、C1~C3のアルコキシ、トリフルオロメトキシ、トリフルオロメチルチオ、ジメチルアミノ、シアノ、(C1~C3アルキル)SO-、(C1~C3アルキル)NHSO-、(C1~C3アルキル)2NSO-、NHSO-により任意に置換されたフェニレン基である。
A-1成分を製造する場合には、重合停止剤において、共役芳香環骨格上にヒドロキシ基、アミノ基およびカルボキシ基からなる群より選ばれる少なくとも1種の官能基が置換されていることが必要である。ヒドロキシ基、カルボキシ基、アミノ基はそれぞれFT-IRスペクトル上で、3200~3600cm-1、1600~1800cm-1、3300~3500cm-1のピークを示す。重合停止剤の含有量は前記固体硫黄100重量部に対し1~30重量部であることが好ましい。
ポリアリーレンスルフィド樹脂に前記反応性官能基を導入する方法としては特に限定されるものではなく、既知の方法で重合されるが、共役芳香環骨格上に一つまたは複数のヒドロキシ基、アミノ基およびカルボキシ基からなる群より選ばれる少なくとも1種の官能基を有する重合停止剤を使用する方法が挙げられる。前記重合停止剤で用いられる共役芳香環骨格としては、例えば、ジフェニルジスルフィド、モノヨードベンゼン、チオフェノール、2,2’-ジベンゾチアゾリルジスルフィド、2-メルカプトベンゾチアゾール、N-シクロヘキシル-2-ベンゾチアゾリルスルフェンアミド、2-(モルホリノチオ)ベンゾチアゾール、N,N’-ジシクロヘキシル-1,3-ベンゾチアゾール-2-スルフェンアミドなどが挙げられる。
一例として、カルボキシ基の末端基構造を有するポリアリーレンスルフィド樹脂の製造方法の好適な重合方法としては、ジヨード芳香族化合物と硫黄元素を含む反応物を重合反応させる段階、前記重合反応段階を進行しながら、カルボキシ基を有する化合物を添加してポリアリーレンスルフィド主鎖の末端基中を官能基で置換する製造方法が挙げられる。
前記製造方法では重合反応触媒を使用しても良く、代表的な重合反応触媒としては、ニトロベンゼン系触媒が上げられる。ニトロベンゼン系触媒のうち好ましい例としては、1,3-ジヨード-4-ニトロベンゼン、1-ヨード-4-ニトロベンゼン、2,6-ジヨード-4-ニトロフェノール、ヨードニトロベンゼン、2,6-ジヨード-4-ニトロアミンからなる群より選ばれる少なくとも1種が挙げられる。重合反応触媒の含有量は前記固体硫黄100重量部に対し0.01~20重量部であることが好ましい。この量はジスルフィド結合の生成を考慮して決定される。
該製造方法の反応条件の代表的な例は、温度180~250℃および圧力50~450Torr(6.7~60kPa)の初期反応条件から、温度270~350℃および圧力0.001~20Torr(0.00013~2.7kPa)の最終反応条件まで、温度を上昇させると共に圧力を降下させながら、1~30時間進行させる。好ましい前記初期反応条件は反応速度を考慮して、温度180℃以上、圧力450Torr(60kPa)以下とし、最終反応条件は高分子の熱分解を考慮して温度350℃以下、圧力20Torr(2.7kPa)以下が挙げられる。但し、重合反応の条件は、反応器の構造設計および生産速度に依存し、当業者に知られているため、特に制限されない。反応条件は、当業者がプロセス条件を考慮して適宜設定することができる。
この重合方法を使うことにより、実質的に塩素含有量およびナトリウム含有量を低減させる必要が無く、コストパフォーマンスに優れたポリフェニレンスルフィド樹脂を得ることができる。
また本発明のポリフェニレンスルフィド樹脂は、その他の重合方法によって得られたポリフェニレンスルフィド樹脂を含んでいてもよい。
A成分中の、A-1成分の含有量は、A成分100重量%中10~100重量%であり、好ましくは30~80重量%であり、より好ましくは40~70重量%である。含有量が10重量%未満の場合、充填剤と樹脂の相溶性が十分でなく強度および薄肉難燃性に劣る。
また、A成分の重量平均分子量は65,000~80,000であることが好ましく、67,000~78、000であることがより好ましく、69,000~76,000であることがさらに好ましい。なお、重量平均分子量は高温GPCによって測定した。
(B成分:表面処理された無機充填剤)
本発明でB成分として使用される無機充填剤は有機シラン系化合物、有機チタネート系化合物およびエポキシ化合物からなる群より選ばれる少なくとも1種の表面処理剤で表面処理されていることが必要であり、これらの表面処理剤で表面処理されていなければ、強度および薄肉難燃性に劣る。
本発明で使用される無機充填剤としては、チタン酸カリウム、炭化珪素、珪酸カルシウム、ワラストナイト、タルク、雲母、マイカ、アタパルジャイト、フェライト、珪酸カルシウム、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、ガラスビーズ、ゼオライト、ミルドファイバー、硫酸カルシウム等が例示される。
B成分の含有量は、A成分100重量部に対し、5~90重量部であり、15~75重量部が好ましく、25~65重量部がより好ましい。含有量が5重量部未満の場合、強度および難燃性に劣り、90重量部を超えると押出混錬によるストランド引き取りができない。
本発明における樹脂組成物は本発明の効果を損なわない範囲で、他の熱可塑性樹脂を含むことができる。他の熱可塑性樹脂としては、例えば、ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂、ポリアルキルメタクリレート樹脂などに代表される汎用プラスチックス、ポリフェニレンエーテル樹脂、ポリアセタール樹脂、芳香族ポリエステル樹脂、液晶性ポリエステル樹脂、ポリアミド樹脂、環状ポリオレフィン樹脂、ポリアリレート樹脂(非晶性ポリアリレート、液晶性ポリアリレート)等に代表されるエンジニアリングプラスチックス、ポリエーテルエーテルケトン、ポリエーテルイミド、ポリサルフォン、ポリエーテルサルフォン、などのいわゆるスーパーエンジニアリングプラスチックスと呼ばれるものを挙げることができる。
本発明における樹脂組成物は本発明の効果を損なわない範囲で、酸化防止剤や耐熱安定剤(ヒンダードフェノール系、ヒドロキノン系、ホスファイト系およびこれらの置換体等)、耐候剤(レゾルシノール系、サリシレート系、ベンゾトリアゾール系、ベンゾフェノン系、ヒンダードアミン系等)、離型剤および滑剤(モンタン酸およびその金属塩、そのエステル、そのハーフエステル、ステアリルアルコール、ステアラミド、各種ビスアミド、ビス尿素およびポリエチレンワックス等)、顔料(硫化カドミウム、フタロシアニン、カーボンブラック等)、染料(ニグロシン等)、結晶核剤(タルク、シリカ、カオリン、クレー等)、可塑剤(p-オキシ安息香酸オクチル、N-ブチルベンゼンスルホンアミド等)、帯電防止剤(アルキルサルフェート型アニオン系帯電防止剤、4級アンモニウム塩型カチオン系帯電防止剤、ポリオキシエチレンソルビタンモノステアレートのような非イオン系帯電防止剤、ベタイン系両性帯電防止剤等)、難燃剤(赤燐、リン酸エステル、メラミンシアヌレート、水酸化マグネシウム、水酸化アルミニウム等の水酸化物、ポリリン酸アンモニウム、臭素化ポリスチレン、臭素化ポリフェニレンエーテル、臭素化ポリカーボネート、臭素化エポキシ樹脂あるいはこれらの臭素系難燃剤と三酸化アンチモンとの組み合わせ等)および他の重合体を添加することができる。
(樹脂組成物の製造)
本発明の樹脂組成物は上記各成分を同時に、または任意の順序でタンブラー、V型ブレンダー、ナウターミキサー、バンバリーミキサー、混練ロール、押出機等の混合機により混合して製造することができる。好ましくは2軸押出機による溶融混練が好ましく、必要に応じて、任意の成分をサイドフィーダー等を用いて第2供給口より、溶融混合された他の成分中に供給することが好ましい。
上記の如く押出された樹脂は、直接切断してペレット化するか、またはストランドを形成した後かかるストランドをペレタイザーで切断してペレット化される。ペレット化に際して外部の埃などの影響を低減する必要がある場合には、押出機周囲の雰囲気を清浄化することが好ましい。得られたペレットの形状は、円柱、角柱、および球状など一般的な形状を取り得るが、より好適には円柱である。かかる円柱の直径は好ましくは1~5mm、より好ましくは1.5~4mm、さらに好ましくは2~3.5mmである。一方、円柱の長さは好ましくは1~30mm、より好ましくは2~5mm、さらに好ましくは2.5~4mmである。
(成形品について)
本発明の樹脂組成物を用いてなる成形品は、上記の如く製造されたペレットを成形して得ることができる。好適には、射出成形、押出成形により得られる。射出成形においては、通常の成形方法だけでなく、射出圧縮成形、射出プレス成形、ガスアシスト射出成形、発泡成形(超臨界流体を注入する方法を含む)、インサート成形、インモールドコーティング成形、断熱金型成形、急速加熱冷却金型成形、二色成形、多色成形、サンドイッチ成形、および超高速射出成形等を挙げることができる。また成形はコールドランナー方式およびホットランナー方式のいずれも選択することができる。また押出成形では、各種異形押出成形品、シート、フィルム等が得られる。シート、フィルムの成形にはインフレーション法や、カレンダー法、キャスティング法等も使用可能である。更に特定の延伸操作をかけることにより熱収縮チューブとして成形することも可能である。また本発明の樹脂組成物を回転成形やブロー成形等により成形品とすることも可能である。
本発明の樹脂組成物は優れた強度を維持しつつ、薄肉難燃性に優れる樹脂組成物であるため、電気電子部品、車両部品等の用途に有用であり、その奏する産業上の効果は格別である。
本発明者が現在最良と考える本発明の形態は、前記の各要件の好ましい範囲を集約したものとなるが、例えば、その代表例を下記の実施例中に記載する。もちろん本発明はこれらの形態に限定されるものではない。
[樹脂組成物の評価]
(1)引張破断強度
ISO527(測定条件23℃)に準拠して測定した。なお、試験片は、下記の方法で成形した。この数値が大きいほど樹脂組成物の機械的強度が優れていることを意味する。(2)曲げ強度
ISO178(測定条件23℃)に準拠して測定した。なお、試験片は、下記の方法で成形した。この数値が大きいほど樹脂組成物の機械的強度が優れていることを意味する。(3)難燃性(0.25mm)
UL94、V燃焼性試験に準拠して測定した。なお試験片は下記の方法で成形した。評価方法はUL94、V燃焼性試験に準拠した。
[実施例1~13、比較例1~8]
ポリアリーレンスルフィド樹脂および無機充填剤を表1および表2に記載の各配合量で、ベント式二軸押出機を用いて溶融混練してペレットを得た。ベント式二軸押出機は日本製鋼所(株)製:TEX30α‐38(完全かみ合い、同方向回転)を使用した。押出条件は吐出量20kg/h、スクリュー回転数200rpm、ベントの真空度3kPaであり、また押出温度は第一供給口からダイス部分まで320℃とした。なお、前記無機充填剤は上記押出機のサイドフィーダーを使用し第二供給口から供給し、ポリアリーレンスルフィド樹脂は第一供給口から押出機に供給した。ここでいう第一供給口とはダイスから最も離れた供給口であり、第二供給口とは押出機のダイスと第一供給口の間に位置する供給口である。得られたペレットを130℃で6時間、熱風循環式乾燥機にて乾燥した後、射出成形機(東芝機械(株)製 EC160NII-4Y)によりシリンダー温度320℃、金型温度140℃で引張破断強度試験および曲げ強度試験評価用の試験片を成形した。また、難燃性評価用の試験片は上記溶融混錬で得られたペレットを130℃で6時間、熱風循環式乾燥機にて乾燥した後、シート製膜機(株式会社テクノベル製 SMZ-40mm押出機)によりシリンダー温度320℃で製膜を行い、厚み0.25mmの試験片を作成した。
表1および表2中の記号表記の各成分は下記の通りである。
<A成分>
A-1-1:以下の製造方法で得られた末端にカルボキシ基を有するポリフェニレンスルフィド樹脂
[製造方法1]
反応器の内温測定が可能なサーモカップル、窒素充填および真空をかけられる真空ライン付き5L反応器に、パラジヨードベンゼン(p-DIB)5130g、硫黄450g、反応開始剤として1,3-ジヨード-4-ニトロベンゼン4gを含む反応物を、180℃に加熱して完全に溶融および混合した後、220℃および350Torrの初期反応条件から始まって、最終反応温度は300℃、圧力は1Torr以下まで段階的に温度上昇および圧力降下を行いながら、重合反応を進行させた。前記重合反応が80%進行した時(
重合反応の進行程度は、目標粘度に対する現在粘度の相対割合[(現在粘度/目標粘度)×100(%)]を測定することで判定した。なお、現在粘度は、重合進行中のサンプルを採取して粘度計で測定した。)、重合中止剤として2,2’-ジチオビスベンゾチアゾールを25g添加し、1時間反応を進行させた。次に、前記重合反応が90%進行した時、4-Iodobenzoic acid51gを添加し、10分間窒素雰囲気下で反応を進行させた後、0.5Torr以下に徐々に真空を加えて1時間反応を進行させた後、終了して、カルボキシ基を主鎖末端に有するポリアリーレンスルフィド樹脂を合成した。反応が完了した樹脂を、小型ストランドカッター機を用いてペレット形態で製造した。ポリアリーレンスルフィド樹脂をFT-IRで分析して、スペクトル上で、約1600~1800cm-1のカルボキシ基のピークの存在を確認した。また、前記FT-IRスペクトル上で、約1400~1600cm-1で現れるRing stretchピークの高さ強度を100%とした時、前記約1600~1800cm-1のピークの相対的高さ強度は約3.4%であった。また、重量平均分子量は71,000であった。
A-1-2:以下の製造方法で得られた末端にアミノ基を有するポリフェニレンスルフィド樹脂
[製造方法2]
反応器の内温測定が可能なサーモカップル、窒素充填および真空をかけられる真空ライン付き5L反応器に、パラジヨードベンゼン(p-DIB)5130g、硫黄450g、反応開始剤として1,3-ジヨード-4-ニトロベンゼンメルカプトベンゾチアゾール4gを含む反応物を、180℃に加熱して完全に溶融および混合した後、220℃および350Torrの初期反応条件から始まって、最終反応温度は300℃、圧力は1Torr以下まで段階的に温度上昇および圧力降下を行いながら、重合反応を進行させた。前記重合反応が80%進行した時(重合反応の進行程度は、目標粘度に対する現在粘度の相対割合[(現在粘度/目標粘度)×100(%)]を測定することで判定した。なお、現在粘度は、重合進行中のサンプルを採取して粘度計で測定した。)、重合中止剤として2,2’-ジチオビスベンゾチアゾールを25g添加し、1時間反応を進行させた。次に、前記重合反応が90%進行した時、4-Iodoanilineを51g添加し、10分間窒素雰囲気下で反応を進行させた後、0.5Torr以下に徐々に真空を加えて1時間反応を進行させた後、終了して、アミノ基を主鎖末端に有するポリアリーレンスルフィド樹脂を合成した。反応が完了した樹脂を、小型ストランドカッター機を用いてペレット形態で製造した。ポリアリーレンスルフィド樹脂をFT-IRで分析して、スペクトル上で、約3300~3500cm-1のアミノ基のピークの存在を確認した。また、前記FT-IRスペクトル上で、約1400~1600cm-1で現れるRing stretchピークの高さ強度を100%とした時、前記約3300~3500cm-1のピークの相対的高さ強度は約1.4%であった。また、重量平均分子量は70,000であった。
A-1-3:以下の製造方法で得られた末端にヒドロキシ基を有するポリフェニレンスルフィド樹脂
[製造方法3]
反応器の内温測定が可能なサーモカップル、窒素充填および真空をかけられる真空ライン付き5L反応器に、パラジヨードベンゼン(p-DIB)5130g、硫黄450g、反応開始剤として1,3-ジヨード-4-ニトロベンゼンメルカプトベンゾチアゾール4gを含む反応物を、180℃に加熱して完全に溶融および混合した後、220℃および350Torrの初期反応条件から始まって、最終反応温度は300℃、圧力は1Torr以下まで段階的に温度上昇および圧力降下を行いながら、重合反応を進行させた。前記重合反応が80%進行した時(重合反応の進行程度は、目標粘度に対する現在粘度の相対割合[(現在粘度/目標粘度)×100(%)]を測定することで判定した。なお、現在粘度は、重合進行中のサンプルを採取して粘度計で測定した。)、重合中止剤として2,2’-ジチオビスベンゾチアゾールを25g添加し、1時間反応を進行させた。次に、前記重合反応が90%進行した時、4-Iodophenolを51g添加し、10分間窒素雰囲気下で反応を進行させた後、0.5Torr以下に徐々に真空を加えて1時間反応を進行させた後、終了して、ヒドロキシ基を主鎖末端に有するポリアリーレンスルフィド樹脂を合成した。反応が完了した樹脂を、小型ストランドカッター機を用いてペレット形態で製造した。ポリアリーレンスルフィド樹脂をFT-IRで分析して、スペクトル上で、約3200~3600cm-1のヒドロキシ基のピークの存在を確認した。また、前記FT-IRスペクトル上で、約1400~1600cm-1で現れるRing stretchピークの高さ強度を100%とした時、前記約3200~3600cm-1のピークの相対的高さ強度は約1.4%であった。また、重量平均分子量は71,400であった。
A-1-4:以下の製造方法で得られた末端にカルボキシ基を有するポリフェニレンスルフィド樹脂
[製造方法4]
重合停止剤の量を25gとした以外は製造方法1と同様の操作で重合を行い、カルボキシ基を主鎖末端に有するポリアリーレンスルフィド樹脂を合成した。ポリアリーレンスルフィド樹脂をFT-IRで分析して、スペクトル上で、約1600~1800cm-1のカルボキシ基のピークの存在を確認した。また、前記FT-IRスペクトル上で、約1400~1600cm-1で現れるRing stretchピークの高さ強度を100%とした時、前記約1600~1800cm-1のピークの相対的高さ強度は約3.3%であった。また、重量平均分子量は60,000であった。
A-2-1:以下の製造方法で得られた末端にフェニル基を有するポリフェニレンスルフィド樹脂
[製造方法5]
反応器の内温測定が可能なサーモカップル、窒素充填および真空をかけられる真空ライン付き5L反応器に、パラジヨードベンゼン(p-DIB)5130g、硫黄450g、反応開始剤として1,3-ジヨード-4-ニトロベンゼンメルカプトベンゾチアゾール4gを含む反応物を、180℃に加熱して完全に溶融および混合した後、220℃および350Torrの初期反応条件から始まって、最終反応温度は300℃、圧力は1Torr以下まで段階的に温度上昇および圧力降下を行いながら、重合反応を進行させた。前記重合反応が80%進行した時(重合反応の進行程度は、目標粘度に対する現在粘度の相対割合[(現在粘度/目標粘度)×100(%)]を測定することで判定した。なお、現在粘度は、重合進行中のサンプルを採取して粘度計で測定した。)、重合停止剤として2,2’-ジチオビスベンゾチアゾールを60g添加し、10分間窒素雰囲気下で反応を進行させた後、0.5Torr以下に徐々に真空を加えて目標粘度に到達した後、反応を終了して、フェニル基を主鎖末端に有するポリアリーレンスルフィド樹脂を合成した。反応が完了した樹脂を、小型ストランドカッター機を用いてペレット形態で製造した。重量平均分子量は72,000であった。
<B成分>
B-1:SH-1250S(キンセイマテック(株)製 ワラストナイト 粒子径:9.5μm アミノシランカップリング表面処理)
B-2:ティスモ D102(大塚化学(株)製 チタン酸カリウムウィスカー 粒子径:0.3~0.6μm エポキシ系カップリング表面処理)
B-3:SE-TA-13(三好化成(株)製 タルク 粒子径:5μm アミノシランカップリング表面処理)
B-4:以下の方法で得られた有機チタネート系カップリング剤で表面処理された炭酸カルシウム
[製造方法]
平均一次粒子径が2.1μmの炭酸カルシウム(KSS-1000 (株)カルファイン製)粉体を攪拌混合器に入れ、炭酸カルシウム100重量部に対して、テトラウソプロピルチタネート(オルガチックスTA-1 マツモトファインケミカル(株))2重量部を添加し、60℃で15分間撹拌混合して、有機チタネート系カップリング剤により表面処理された炭酸カルシウムを得た。
B-5:以下の方法で得られたアミノシランカップリング剤で表面処理されたマイカ
[製造方法]
平均一次粒子径が3.0μmのマイカ粉体(A-11 松尾産業(株)製)を攪拌混合器に入れ、マイカ100重量部に対して、3-アミノプロピルトリメトキシシラン(KBM-903 信越化学工業(株)製)3.0重量部を添加し、60℃で15分間撹拌混合して、アミノシランカップリング剤により表面処理されたマイカを得た。
B-6:以下の方法で得られたエポキシ系化合物で表面処理されたカオリン
[製造方法]
平均一次粒子径が5.0μmのカオリン粉体(A-11 巴工業(株)製)を攪拌混合器に入れ、カオリン100重量部に対して、3-グリシドキシプロピルメチルジメトキシシラン(KBM-402 信越化学工業(株)製)2.0重量部を添加し、60℃で15分間撹拌混合して、エポキシ系化合物により表面処理されたカオリンを得た。
b-7:NAI-タルクJA-13R(三好化成(株)製 タルク 粒子径5μ アミノ酸表面処理)
b-8:SH-1250(キンセイマテック(株)製 ワラストナイト 粒子径:9.5μm)
b-9:BITREX(JEFミネラル(株)製 チタン酸カリウム 粒子径:0.3~0.6μm)
b-10:KHP-25(林化成株式会社製 タルク 粒子径:4.75μm)
Figure 2022098744000001
Figure 2022098744000002

Claims (4)

  1. (A)(A-1)末端にヒドロキシ基、アミノ基およびカルボキシ基からなる群より選ばれる少なくとも1種の官能基を有するポリアリーレンスルフィド樹脂(A-1成分)10~100重量%並びに(A-2)末端に前記官能基を含有しないポリアリーレンスルフィド樹脂(A-2成分)0~90重量%からなるポリアリーレンスルフィド樹脂(A成分)100重量部に対し、(B)有機シラン系化合物、有機チタネート系化合物およびエポキシ化合物からなる群より選ばれる少なくとも1種の表面処理剤で表面処理された無機充填剤(B成分)5~90重量部を含有する薄肉難燃成形品用樹脂組成物。
  2. A成分の重量平均分子量が65,000~80,000であることを特徴とする請求項1に記載の薄肉難燃成形品用樹脂組成物。
  3. B成分がタルク、マイカ、ワラストナイト、ウィスカー、炭酸カルシウムおよびカオリンからなる群より選ばれる少なくとも1種の無機充填剤であることを特徴とする請求項1または2に記載の薄肉難燃成形品用樹脂組成物。
  4. UL94難燃性試験において、0.25mmの厚みでV-0の難燃ランクを有する請求項1~3のいずれか1項に記載の樹脂組成物から得られる薄肉難燃成形品。
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