JP2022098734A - アンチポリューション用皮膚外用剤 - Google Patents
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Abstract
【課題】本発明では、大気汚染物質による皮膚の損傷を緩和するアンチポリューション用皮膚外用剤を提供する。【解決手段】塩化リゾチームを有効成分として含有する、アンチポリューション用皮膚外用剤を提供する。塩化リゾチームは薄膜形成剤として含有されるものであることが好ましい。【選択図】なし
Description
本発明は、塩化リゾチームを有効成分として含有するアンチポリューション用皮膚外用剤に関する。
近年、大気汚染の問題が深刻化し、呼吸器系のみならず、皮膚への影響が懸念されている。大気汚染物質の代表として挙げられるPM2.5は、自動車の排気ガスや工場からの排煙などを由来とする微粒子物質であり、肌に付着・浸透することにより細胞を損傷させるなどの悪影響を及ぼすことが知られている。
従来、各種化合物などによるアンチポリューション化粧料や皮膚外用剤が提案されている。特許文献1および2にはメタケイ酸アルミン酸マグネシウムと紫外線防御剤とを含有するアンチポリューション化粧料が記載されている。また、特許文献3にはヒアルロン酸および/またはその塩を有効成分として含有するアンチポリューション化粧料が記載されている。
しかしながら、大気汚染物質と皮膚疾患との関係性は依然として不明な点が多いことから、その分子メカニズムを解明しつつ、これに対抗するための皮膚外用剤を提案することが必要となっている。
よって、本発明では、大気汚染物質による皮膚の損傷を緩和する、新規なアンチポリューション用皮膚外用剤の提供を目的とする。
上記の様な事情に鑑み、課題を解決するために鋭意検討を重ねた結果、本発明者らは、塩化リゾチームを含有する皮膚外用剤がアンチポリューション効果を示すことを見出し、本発明を完成させるに至った。さらに、塩化リゾチームが皮膚表面に被膜を形成することによりアンチポリューション効果を発揮すること、具体的には、塩化リゾチームにより形成された薄膜がPM2.5の皮膚への付着や浸透を抑制し、PM2.5によって誘導される炎症性メディエーターの発現を抑制することを見出した。
すなわち、本発明では、塩化リゾチームを有効成分として含有する、アンチポリューション用皮膚外用剤を提供する。
また、本発明では、塩化リゾチームを薄膜形成剤として含有する、アンチポリューション用皮膚外用剤を提供する。
なお、前記のアンチポリューション用皮膚外用剤は、PM2.5誘導性の炎症性メディエーターの発現抑制剤であることが好ましい。
本発明のアンチポリューション用皮膚外用剤は塩化リゾチームを含有するため、肌上に塩化リゾチームの薄膜を形成することができ、PM2.5をはじめとする種々の大気汚染物質の皮膚への付着や浸透が該薄膜によって抑制されるため、これらの外的刺激による皮膚の損傷を緩和することが可能となる。
[アンチポリューション用皮膚外用剤]
本実施形態に係る皮膚外用剤は、塩化リゾチームを有効成分として含有することを特徴とする、アンチポリューション用の皮膚外用剤である。
本実施形態に係る皮膚外用剤は、塩化リゾチームを有効成分として含有することを特徴とする、アンチポリューション用の皮膚外用剤である。
塩化リゾチームとしては、特に限定されないが、例えば、公知の方法により鶏卵の卵白から抽出したリゾチームを精製して得られる、日局(日本薬局方)または化粧品基準記載の塩化リゾチームを使用することができる。
本実施形態における、皮膚外用剤中の塩化リゾチームの含有量は、0.05~8.0質量%が好ましく、0.10~6.0質量%がより好ましい。含有量が0.05質量%以上であることにより、アンチポリューション効果が一層向上する傾向がある。また、8.0質量%以下であることにより、塩化リゾチームの溶解性が向上する傾向があるため、製剤化の観点から好ましい。
アンチポリューションとは、大気汚染物質から皮膚を守ることを意味する。より詳細に説明すると、大気汚染物質が皮膚に付着することや浸透することに起因して生じる、皮膚細胞の代謝異常や炎症、酸化といった皮膚の損傷を緩和することを意味する。すなわち、アンチポリューション用皮膚外用剤とは、大気汚染物質から皮膚を守るための外用剤であって、皮膚に塗布することによって大気汚染物質の皮膚への付着や浸透を抑制し、その結果として皮膚細胞の損傷を緩和し得る外用剤と説明することができる。
大気汚染物質とは、大気中に存在する有害物質を意味し、例えば、硫黄酸化物、窒素酸化物、光化学オキシダント、粒子状物質、揮発性有機化合物などが挙げられる。大気汚染物質としての粒子状物質(浮遊粒子状物質)は、その粒径が10μm以下のものとして定義されているが、その中でも粒径が2.5μm以下のものはPM2.5(微小粒子状物質)と定義されている。PM2.5は非常に小さいため、皮膚に付着した場合に皮膚に浸透しやすく、皮膚細胞への悪影響が懸念されている。本実施形態に係る皮膚外用剤は、特に、PM2.5(微小粒子状物質)による皮膚細胞の損傷を緩和することができる。さらに、本実施形態に係る皮膚外用剤は、PM2.5による皮膚細胞の損傷を緩和することができることから、PM2.5よりも大きい粒子を含む大気汚染物質による皮膚細胞の損傷も緩和することができると考えられる。
本実施形態に係る皮膚外用剤では、塩化リゾチームは薄膜を形成し得る剤、すなわち薄膜形成剤として皮膚外用剤に含まれていることが好ましい。皮膚外用剤を塗布することにより皮膚上に塩化リゾチームの薄膜が形成され、この薄膜によって大気汚染物質から皮膚が守られる。より詳細に説明すると、塩化リゾチームにより形成された薄膜によって大気汚染物質の皮膚への付着や浸透が抑制され、その結果として皮膚細胞の損傷が緩和されることとなる。大気汚染物質の中でも粒子状物質は皮膚への付着や浸透が抑制される傾向が強いことから、該物質に起因する皮膚細胞の損傷は低減される傾向があり、特に皮膚細胞におけるPM2.5誘導性の炎症性メディエーターの発現が強く抑制される傾向がある。このため、本実施形態に係る皮膚外用剤は、PM2.5誘導性の炎症性メディエーターの発現抑制剤と言い換えることができる。
PM2.5誘導性の炎症性メディエーターとしては、例えば、活性酸素種、顆粒タンパク質(例えば、好酸球カチオン性タンパク質、主要塩基性タンパク質、好酸球由来神経毒、好酸球ペルオキシダーゼなど)、脂質メディエーター(例えば、PAF、PGE1、PGE2など)、酵素(例えば、エラスターゼ)、増殖因子(例えば、VEGF、PDGF、TGF-α、TGF-βなど)、ケモカインおよびサイトカイン(例えば、RANTES、MCP-1、MCP-3、MCP4、エオタキシン、IL-1α、IL-1β、IL-3、IL-5、IL-10、IL-12、IL-13、IL-15、IL-33、TNF-αなど)などの皮膚の炎症を惹起するものが挙げられる。特に本実施形態に係る皮膚外用剤は、PM2.5誘導性の炎症性メディエーターとしての、PGE2などの脂質メディエーターやIL-1αなどのサイトカインの発現を抑制する効果を有する。
本実施形態に係る皮膚外用剤を皮膚に塗布し、必要に応じて乾燥することにより、塩化リゾチームによる薄膜を形成することができる。皮膚への塗布回数は特に限定されないが、例えば、1~10回が好ましく、より好ましくは1~6回である。塗布回数が10回以下であることにより、皮膚上に形成される薄膜の膜厚が適切な値をとるため、良好なアンチポリューション特性を発揮する傾向がある。塩化リゾチームからなる薄膜の膜厚は、大気汚染物質の皮膚への付着や浸透を抑制する機能を有する程度であれば特に限定されないが、例えば、0.1μm~3mmであることが好ましく、1.0~1000μmであることがより好ましい。
本実施形態に係る皮膚外用剤では、塩化リゾチーム以外の成分として、水を含有することが好ましい。水としては、例えば、イオン交換水、限外濾過水、逆浸透水、蒸留水などの純水や超純水が挙げられる。
本実施形態に係る皮膚外用剤中の水の含有量は、特に制限されず、塩化リゾチームおよび後述のその他の成分を除いた残部を、その含有量とすることができる。皮膚外用剤中の水の含有量は、水溶性成分の溶解性を担保する観点から、20.0質量%以上が好ましく、30.0質量%以上がより好ましく、40.0質量%以上がさらに好ましい。また、使用感の向上の観点からは、99.9質量%以下が好ましく、99.0質量%以下がより好ましく、95.0質量%以下がさらに好ましい。
本実施形態に係る皮膚外用剤は、上記塩化リゾチームおよび水以外の成分(以下、「その他の成分」と称する)をさらに含有していてもよい。その他の成分としては、特に限定されないが、例えば、殺菌剤、制汗剤、界面活性剤、増粘剤、保湿剤、消臭剤、オイル成分、金属イオン封鎖剤、防腐剤、清涼剤、抗炎症剤、植物エキスおよび香料などが挙げられる。
殺菌剤としては、特に限定されないが、例えば、塩化ベンザルコニウム、塩化ベンゼトニウム、塩酸クロルヘキシジン、フェノール、トリクロロカルバニリド、グルコン酸クロルヘキシジン、イソプロピルメチルフェノール、トリクロサン、トリクロカルバン、ピロクトンオラミン、ジンクピリチオン、サリチル酸、ソルビン酸などが挙げられ、塩化ベンザルコニウム、イソプロピルメチルフェノールが好ましい。殺菌剤は、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
制汗剤としては、特に限定されないが、例えば、アルミニウム塩およびパラフェノールスルホン酸亜鉛などが挙げられる。アルミニウム塩としては、塩化アルミニウム、硫酸アルミニウム、硫酸アルミニウムカリウム(カリミョウバン)、硫酸アルミニウムアンモニウム(アンモニウムミョウバン)、酢酸アルミニウム、クロルヒドロキシアルミニウムおよびアラントインクロルヒドロキシアルミニウムなどが挙げられる。なかでも、クロルヒドロキシアルミニウム、パラフェノールスルホン酸亜鉛および硫酸アルミニウムカリウムが好ましい。制汗剤は、1種単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
界面活性剤としては、特に限定されないが、例えば、ノニオン界面活性剤、アニオン界面活性剤、カチオン界面活性剤、両性界面活性剤が挙げられる。界面活性剤は、1種単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
ノニオン界面活性剤としては、特に限定されないが、例えば、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル、ポリオキシアルキレンヒマシ油、ポリオキシアルキレン硬化ヒマシ油、ポリオキシアルキレン脂肪酸エステル、グリセリン脂肪酸エステル、ポリグリセリン脂肪酸エステル、ポリオキシアルキレングリセリン脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシアルキレンソルビタン脂肪酸エステル、ショ糖脂肪酸エステル、脂肪酸アルキロールアミドなどが挙げられる。アニオン界面活性剤としては、例えば、高級脂肪酸石鹸、アルキル硫酸エステル塩、アルキルリン酸塩、ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸塩、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル硫酸塩、アルキルエーテルリン酸エステル、アルキルエーテルカルボン酸塩、アシルメチルタウリン塩、N-アシル-N-メチル-β-アラニン塩、N-アシルグリシン塩、N-アシルグルタミン酸塩、ポリオキシエチレンアルキルカルボン酸塩、アルキルフェニルエーテルスルホン酸塩、アルキルスルホコハク酸およびその塩、N-アシルサルコシンおよびその塩、ポリオキシエチレンヤシ油脂肪酸モノエタノールアミド硫酸塩などが挙げられる。カチオン界面活性剤としては、例えば、アルキルアミン塩、脂肪酸アミドアミン塩、エステル含有3級アミン塩などのアミン塩、モノアルキル型4級アンモニウム塩、ジアルキル型4級アンモニウム塩、トリアルキル型4級アンモニウム塩、ベンザルコニウム型4級アンモニウム塩などのアルキル4級アンモニウム塩、アルキルピリジニウム塩などの環式4級アンモニウム塩、塩化ベンゼトニウムなどが挙げられる。両性界面活性剤としては、例えば、アルキルグリシン塩、カルボキシメチルグリシン塩、N-アシルアミノエチル-N-2-ヒドロキシエチルグリシン塩などのグリシン型両性界面活性剤、アルキルアミノプロピオン酸塩、アルキルイミノジプロピオン酸塩などのアミノプロピオン酸型両性界面活性剤、アルキルジメチルアミノ酢酸ベタイン、脂肪酸アミドプロピルジメチルアミノ酢酸ベタインなどのアミノ酢酸ベタイン型両性界面活性剤、アルキルヒドロキシスルホベタインなどのスルホベタイン型両性界面活性剤などが挙げられる。
増粘剤としては、グアーガム、デキストリン、デンプンおよびペクチンなどの植物由来多糖系化合物;キトサンおよびヒアルロン酸などの動物由来多糖系化合物;キサンタンガム、シクロデキストリン、プルランおよびヒアルロン酸などの微生物由来多糖系化合物;メチルセルロース、エチルセルロース、ヒドロキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロースおよびヒドロキシプロピルメチルセルロースなどの非イオン性セルロース;カルボキシメチルセルロースなどの陰イオン性セルロース;塩化O-[2-ヒドロキシ-3-(トリメチルアンモニオ)プロピル]ヒドロキシエチルセルロースなどのカチオン化セルロース;塩化O-[2-ヒドロキシ-3-(トリメチルアンモニオ)プロピル]グアーガムなどのカチオン化グアーガムなど;カルボキシビニルポリマー;アクリル酸・メタクリル酸アルキル共重合体が挙げられる。増粘剤は、1種単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
保湿剤としては、ソルビトール、グリセリンなどが挙げられる。オイル成分としては、炭化水素類、エステル油、シリコーンなどが挙げられる。清涼剤としては、l-メントールなどのメントール、メントール誘導体、およびカンファーなどが挙げられる。
本実施形態に係る皮膚外用剤としては、特に限定されないが、例えば、清涼化粧料などの、塗布した肌に清涼感を与える皮膚外用剤;保湿化粧料などの、塗布した肌に保湿感を与える皮膚外用剤;制汗用皮膚外用剤;賦香用皮膚外用剤;殺菌用皮膚外用剤;洗浄用皮膚外用剤などが挙げられる。また、皮膚外用剤は、例えば、化粧品、医薬部外品、医薬品、雑貨のいずれであってもよい。
本実施形態に係る皮膚外用剤は、ローション、エアゾール、スティック、ロールオン、クリーム、ジェル、乳液、シート化粧料などの種々の形態に用いることができ、製剤化については、一般に知られている方法により製造することができる。
本実施形態に係る皮膚外用剤をシート基材に含浸させることにより、シート化粧料が得られる。これにより、肌を拭く使用形態での使用性に優れ、携帯性にも優れる。シートの平面形状は、特に限定されないが、例えば、四角形(例えば、正方形、長方形など)、三角形などの多角形;円形、楕円形、半円形;三日月形;樽形;鼓形;キャラクターの形状などが挙げられ、生産性、使用性や梱包性の観点からは四角形が好ましい。また、シート化粧料には、切れ込み部、くり抜き部、凹凸部などの成型が施されていてもよい。シート化粧料のシートの片面の表面積は、特に限定されないが、使用性、携帯性、包装性などの観点から100~500cm2が好ましい。
シート化粧料は、シート基材に本実施形態に係る皮膚外用剤を含浸させることにより製造することができる。シート基材に皮膚外用剤を含浸させる方法は、特に限定されず、例えば、折りたたまれた状態のシート基材に皮膚外用剤を注入し含浸させる方法、シート基材に皮膚外用剤をスプレーする方法、印刷法を用いてシート基材に皮膚外用剤を含浸させる方法、皮膚外用剤中にシート基材を浸す方法などが挙げられる。
シート基材の材料は、上記皮膚外用剤を含浸可能であれば特に限定されず、通常化粧品として用いられるシート基材を適宜使用可能である。シート基材の材料としては、例えば、天然繊維、合成繊維または半天然繊維からなる織布または不織布などが挙げられる。含浸性および使用感をより一層良好にする観点からは、上記シート基材は、不織布が好ましい。
上記天然繊維としては、綿、パルプ、シルク、セルロース、麻、リンター、およびカボックなどが挙げられる。上記合成繊維としては、ナイロン、ポリエステル繊維、ポリアクリル繊維、ポリプロピレン繊維、ポリエチレン繊維、およびポリエチレンテレフタレート繊維などが挙げられる。上記半天然繊維としては、レーヨン、およびアセテートなどが挙げられる。上記の繊維は、1種単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
シート基材の表面は、エンボス加工されていてもよい。また、上記シート基材には、フィルム基材が含まれる。
シート化粧料における、シート基材に対して含浸された本実施形態に係る皮膚外用剤の質量割合は、特に限定されないが、使用感の観点から、シート基材100質量部に対して、100質量部以上が好ましく、250質量部以上がより好ましい。また、使用感の観点から、600質量部以下が好ましく、500質量部以下がより好ましい。
シート化粧料は、乾燥防止、外出時の携帯性、使用時の取り扱い性などの観点から、包装容器に収納されることが好ましい。シート化粧料は、1枚ごとに個別包装されていてもよいし、生産コスト、生産効率などの観点から、複数枚のシート化粧料が同一包装容器内に収納されていてもよい。1つの包装容器に収納されるシート化粧料の枚数は、特に限定されないが、2~50枚(/1包装容器)が好ましい。特に、シート化粧料は複数枚積層し保存した後に使用する際に上下間で使用感の差異が小さいため、10枚(/1包装容器)以上であってもよい。シート化粧料は、二つ折り、三つ折り、四つ折り、十字四つ折りなどに折り畳んで包装容器に収納されていることが好ましい。
包装容器としては、例えば、袋体(包装袋)、箱状容器などが挙げられる。上記包装容器は、本実施形態に係る皮膚外用剤の揮発を抑制できるものが好ましい。上記包装容器の材質としては、特に限定されないが、例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)などの樹脂;アルミニウムなどの金属などが挙げられる。上記包装容器としては、軽量であり優れた揮発防止効果を有する観点から、表面に金属層が積層または蒸着された樹脂製の包装容器(特に、包装袋)が好ましく、表面にアルミニウム蒸着された樹脂製の包装袋がより好ましい。
本実施形態に係る皮膚外用剤は、皮膚に塗布して用いられる。皮膚外用剤の適用部位としては、特に限定されないが、例えば、顔面(例えば、額、頬、口元など)、胸、背中、腕、肘、手の甲、指先、足、膝、かかと、首、脇、背中などの体や頭(頭皮)が挙げられる。また、本実施形態に係るシート化粧料についても、上記の皮膚外用剤と同様の適用部位が挙げられる。
以下に、実施例に基づいて本発明をより詳細に説明するが、本発明はこれらにより限定されるものではない。
[試験溶液の調製]
終濃度が0.15質量%となる様に塩化リゾチームをリン酸緩衝生理食塩水(PBS(-))に配合し、試験溶液1を調製した。同様に、終濃度が5.0質量%となる様に塩化リゾチームをPBS(-)に配合し、試験溶液2を調製した。
終濃度が0.15質量%となる様に塩化リゾチームをリン酸緩衝生理食塩水(PBS(-))に配合し、試験溶液1を調製した。同様に、終濃度が5.0質量%となる様に塩化リゾチームをPBS(-)に配合し、試験溶液2を調製した。
[塩化リゾチームによる薄膜形成の確認]
(カルセイン透過量の測定)
ヒト3次元培養表皮モデル(製品名「LabCyte EPI-MODEL24」、株式会社ジャパン・ティッシュ・エンジニアリング)をアッセイ培地(株式会社ジャパン・ティッシュ・エンジニアリング)を用いて24時間前培養した。30μLの試験溶液1および2をそれぞれ表皮モデルの角層表面に塗布した後に5分間インキュベートし、余分な試験溶液を除去した後、15分間乾燥させた。さらに同様の操作を3回繰り返した。
(カルセイン透過量の測定)
ヒト3次元培養表皮モデル(製品名「LabCyte EPI-MODEL24」、株式会社ジャパン・ティッシュ・エンジニアリング)をアッセイ培地(株式会社ジャパン・ティッシュ・エンジニアリング)を用いて24時間前培養した。30μLの試験溶液1および2をそれぞれ表皮モデルの角層表面に塗布した後に5分間インキュベートし、余分な試験溶液を除去した後、15分間乾燥させた。さらに同様の操作を3回繰り返した。
次に、150μlの0.5%カルセイン溶液を角層表面に塗布し、37℃にて培養を開始し、6時間後と24時間後の時点においてリザーバー液をサンプリングした。得られたサンプル中のカルセイン溶液の量を、マイクロプレートリーダーを用い、その蛍光強度(Ex/Em=485/535nm)に基づいて測定した。なお、試験溶液としてPBS(-)を用いたものをコントロールとした。以上の結果を図1に示す。
角層表面に塩化リゾチームの薄膜が形成されていない場合、カルセインが角層表面から細胞に浸潤・透過して、リザーバー液にカルセインが到達するため、リザーバー液の蛍光値が大きくなる。逆に、薄膜が形成されている場合は、リザーバー液の蛍光値が小さくなる。図1では、カルセイン溶液の塗布後、時間の経過と共に蛍光値が大きくなっていることから、経時的にカルセインが角層表面から細胞に浸潤・透過し、リザーバー液に到達することが理解できる。また、コントロールと試験溶液1および2とを比較すると、リザーバー液の蛍光値が小さくなっていることから、角層表面に塩化リゾチームによる薄膜が形成されていることから、リザーバー液に到達するカルセインが減少していることが理解できる。
(表皮モデルの断面における蛍光強度の測定)
ヒト3次元培養表皮モデルを、アッセイ培地を用いて24時間前培養した。30μLの試験溶液1を表皮モデルの角層表面に塗布した後に5分間インキュベートし、余分な試験溶液を除去した後、15分間乾燥させた。さらに同様の操作を3回繰り返した。次に、150μlの0.5%カルセイン溶液を角層表面に塗布して24時間静置した後、カルセイン溶液を除去して表皮モデルにおける蛍光強度を測定した。なお、試験溶液としてPBS(-)を用いたものをコントロールとした。
ヒト3次元培養表皮モデルを、アッセイ培地を用いて24時間前培養した。30μLの試験溶液1を表皮モデルの角層表面に塗布した後に5分間インキュベートし、余分な試験溶液を除去した後、15分間乾燥させた。さらに同様の操作を3回繰り返した。次に、150μlの0.5%カルセイン溶液を角層表面に塗布して24時間静置した後、カルセイン溶液を除去して表皮モデルにおける蛍光強度を測定した。なお、試験溶液としてPBS(-)を用いたものをコントロールとした。
表皮モデルの断面における蛍光強度の測定より、コントロールでは蛍光範囲がブロードしていることに対し、試験溶液1では蛍光が帯状にまとまった形状をしていることがわかった。これは、試験溶液1において、塩化リゾチームの薄膜が角層表面に形成されているため、カルセインが細胞に浸潤・透過することなく、角層表面にカルセインが留まっていると説明することができる。
[PM2.5に対する抗炎性作用の評価]
ヒト3次元培養表皮モデル(製品名「LabCyte EPI-MODEL24」、株式会社ジャパン・ティッシュ・エンジニアリング)をアッセイ培地(株式会社ジャパン・ティッシュ・エンジニアリング)を用いて24時間前培養した。30μLの試験溶液1および2をそれぞれ表皮モデルの角層表面に塗布した後に5分間インキュベートし、余分な試験溶液を除去した後、15分間乾燥させた。さらに同様の操作を3回繰り返すことにより、表皮モデルの角層表面上に塩化リゾチームの被膜を形成させた。
ヒト3次元培養表皮モデル(製品名「LabCyte EPI-MODEL24」、株式会社ジャパン・ティッシュ・エンジニアリング)をアッセイ培地(株式会社ジャパン・ティッシュ・エンジニアリング)を用いて24時間前培養した。30μLの試験溶液1および2をそれぞれ表皮モデルの角層表面に塗布した後に5分間インキュベートし、余分な試験溶液を除去した後、15分間乾燥させた。さらに同様の操作を3回繰り返すことにより、表皮モデルの角層表面上に塩化リゾチームの被膜を形成させた。
表皮モデルの角層表面に、PM2.5の濃度が100μg/mLであるPM2.5-PBS(-)溶液を、4時間または24時間曝露し、その後、PBS(-)を用いて洗浄し、新鮮な培地に交換した。PM2.5の曝露開始から、48時間後または72時間後の培地を回収した。48時間後の培地におけるPGE2、72時間後の培地におけるIL-1αを、ELISA法により定量した。また、試験溶液1および2の代わりにPBS(-)を表皮モデルの角層表面に塗布し、同様の操作を行ったものをコントロールとした。以上の結果を図2(PGEに関するもの)および図3(IL-1αに関するもの)に示す。
図2および3より、コントロールと比較して、試験溶液を塗布した表皮モデル群におけるPGE2およびIL-1αの有意な抑制作用が認められた。ここから、塩化リゾチームを含有する皮膚外用剤が、PM2.5誘導性の炎症性メディエーターであるPGE2およびIL-1αの発現抑制効果があることが明らかとなった。また、塩化リゾチームを含有する皮膚外用剤がアンチポリューション用皮膚外用剤として有効であることが実証された。
処方例1:ローション
塩化リゾチーム 0.15質量%
PPG-6デシルテトラデセス-30 0.2質量%
グリセリン 3.0質量%
ジプロピレングリコール 5.0質量%
ポリエチレングリコール2000 0.5質量%
イノシット 2.0質量%
エタノール 5.0質量%
フェノキシエタノール 0.1質量%
オクトキシグリセリン 0.05質量%
l-メントール 0.05質量%
香料 0.1質量%
EDTA-2Na 0.05質量%
クエン酸 0.1質量%
リン酸2Na 0.2質量%
水 残 部
合計 100.0質量%
塩化リゾチーム 0.15質量%
PPG-6デシルテトラデセス-30 0.2質量%
グリセリン 3.0質量%
ジプロピレングリコール 5.0質量%
ポリエチレングリコール2000 0.5質量%
イノシット 2.0質量%
エタノール 5.0質量%
フェノキシエタノール 0.1質量%
オクトキシグリセリン 0.05質量%
l-メントール 0.05質量%
香料 0.1質量%
EDTA-2Na 0.05質量%
クエン酸 0.1質量%
リン酸2Na 0.2質量%
水 残 部
合計 100.0質量%
Claims (3)
- 塩化リゾチームを有効成分として含有する、アンチポリューション用皮膚外用剤。
- 塩化リゾチームを薄膜形成剤として含有する、請求項1に記載のアンチポリューション用皮膚外用剤。
- PM2.5誘導性の炎症性メディエーターの発現抑制剤である、請求項1または2に記載のアンチポリューション用皮膚外用剤。
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JP2020212303A Pending JP2022098734A (ja) | 2020-12-22 | 2020-12-22 | アンチポリューション用皮膚外用剤 |
Country Status (1)
Country | Link |
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JP (1) | JP2022098734A (ja) |
-
2020
- 2020-12-22 JP JP2020212303A patent/JP2022098734A/ja active Pending
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