JP2022097882A - 引き戸用の吊持案内装置 - Google Patents

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Mitsuharu Iwakawa
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Abstract

【課題】引き戸を吊持する吊持具が案内レールを繰り返し走行し、引き戸によりレールに繰り返し荷重がかかっても、案内レールの変形を防止し、引き戸のスムースな移動を維持することができる引き戸用の吊持案内装置を提供する。【解決手段】引き戸用の吊持案内装置1は、建物の出入口の上方に設置される案内レール6と、引き戸3を固定ネジ杆22を介して取付け、案内レール6に沿って移動する吊持具7と、を備え、案内レール6は、長尺状の底板14と起立板15を備え、断面は逆T字形に形成されており、吊持具7は、起立板15を中央にはさんで両側に、それぞれ側壁部26及び27、転動輪19及び案内輪20が位置し、転動輪19は案内レール6における底板14に載置され底板14上を転動可能に設けられ、案内輪20は起立板15に対して隙間42をおいて設けられている。【選択図】図6

Description

本発明は、引き戸用の吊持案内装置に関し、より詳しくは、建物、例えば、工場、倉庫、ガレージ等の出入口を開閉する引き戸において、戸を開閉するために、戸を吊持し横方向に移動して案内する引き戸用の吊持案内装置に関する。
従来、工場、倉庫、ガレージ等の建物の出入口における、戸を吊持し横方向に移動して案内する引き戸用の吊持案内装置について、出入口の上部に沿って案内レールを設け、この案内レールを走行する転動輪を有する吊り具によって戸を吊持する構成は知られている(特許文献1、2参照)。
従来例の引き戸用の吊持案内装置50の一例を、図9において簡単に説明する。図9(a)に示すように、建物の出入口2に横方向に移動して出入口2を開閉する引き戸3が設けられている。引き戸用の吊持案内装置50は、案内レール51と吊持具56を備えている。
出入口2に上部に沿って横方向に延びるように、案内レール51が、図9(b)に示すように、取付ブラケット52によって、建物の構造体53に取り付けられて配設されている。吊持具56は、案内レール51を転動して走行する転動輪54を備え、この吊持具56に引き戸3が吊持されて、引き戸3が横方向に移動して出入口2が開閉される。
案内レール51の長手方向に直交する断面形状は、図9(c)に示すように略逆Π字形をしており、その左右の底部57上を、吊持具56の転動輪54が転動する。吊持具56は、下方に垂下する取付軸58を有し、この取付軸58に引き戸3の上部をナットで締め付けて取り付ける。
特許第2729443号公報 特開2006-144221号公報
図9に示すような従来例の引き戸用の吊持案内装置50は、現在、多くの建物の出入口に使用され普及されているが、発明者等はそのメインテナンスを通して、次のような問題があるという知見を得た。
図9(c)に示すような案内レール51は、通常、厚さが4mm程度の細長い鋼板を断面が略逆Π字形となるように折り曲げ加工して形成している。しかし、引き戸3を吊持する吊持具56の転動輪54を案内レール51上で繰り返し転動させていると、引き戸3の重量が案内レール51に繰り返し荷重としてかかり、案内レール51はその底部57及び両側壁部60が変形してくる。
そのために、案内レール51の底部57に凹凸が生じたり、両側壁部60の内壁面に歪みが生じたりする。すると、転動輪54は、底部57の凹凸によって転動状態が悪くなったり、両側壁部60の内壁面に接触したり、ひっかかかったりして、スムースな転動ができなくなる。
引き戸のメインテナンスの多くのケースは、このような案内レール51の変形に対する補修であり、部分的な補修では間に合わない場合は、案内レール51を全面的に新品に交換する必要も多々生じる。
ところで案内レール51は、出入口2に沿って通常は直線的に配設するが、建物の出入口付近の構造等によっては、案内レール51は平面視で曲線状の屈曲部分が設けられ場合もある。そのように部分があると、転動輪54の側面が案内レール51の内壁面に接触しやすくなり、上記案内レール51の変形が生じやすく、スムースな転動を損ないやすい。
なお、上記のとおり、案内レールは、細長い鋼板を断面が略逆Π字形となるように折り曲げ加工して形成しているが、そのような製作は、レールの左右の内壁間を所定の精度で形成する等の問題を考慮すると必ずしも容易ではなく、コスト的にも好ましくない。
本発明は、従来の引き戸用の吊持案内装置における上記問題を解決することを目的とするものであり、案内レールに対して吊持具がスムースに移動でき、構造が簡単で、製作、メインテナンス等の観点から経済性に優れた引き戸用の吊持案内装置を実現することが課題である。
本発明は上記課題を解決するために、出入口の上方に設置される案内レールと、案内レールに装着され引き戸を吊持して案内レールに沿って移動する吊持具と、を備えた引き戸用の吊持案内装置であって、案内レールは、長細い底板と、底板から垂直に起立した起立板と、を備え、長手方向に垂直な断面は逆T字形に形成されており、吊持具は、本体板枠、転動輪及び案内輪を備え、案内レールに沿って移動可能であり、本体板枠は、底部と、両側の側壁部を備え、吊持具の移動方向に垂直な断面が凹字形に形成されており、転動輪は、両側の側壁部の内面側に、側壁部の内面に平行で、互いに対向するように対となって設けられており、案内輪は、両側の側壁部の内面側に、互いに対向するように水平に対となって設けられており、吊持具は、案内レールに装着された状態において、起立板を中央にはさんで両側に、それぞれ側壁部、転動輪及び案内輪が位置し、転動輪は案内レールにおける底板に載置されて底板上を転動可能に設けられている構成であることを特徴とする引き戸用の吊持案内装置を提供する。
本発明は上記課題を解決するために、出入口の上方に設置される案内レールと、案内レールに装着され引き戸を吊持して案内レールに沿って移動する吊持具と、を備えた引き戸用の吊持案内装置であって、案内レールは、長細い底板と、該底板の長手方向に直交する方向の中心に沿って延び垂直に起立した起立板と、を備え、長手方向に垂直な断面は逆T字形に形成されており、吊持具は、本体板枠、転動輪及び案内輪を備え、案内レールに沿って移動可能であり、本体板枠は、底部と、底部における吊持具の移動方向に直交する方向の両側からそれぞれ垂直に起立した両側の側壁部を備え、吊持具の移動方向に垂直な断面が凹字形に形成されており、転動輪は、両側の側壁部の内面側に、それぞれ側壁部の内面に平行な向きで、互いに対向するように対となって設けられており、案内輪は、両側の側壁部の内面側に、それぞれ側壁部の内面に対して直交する水平な向きで、互いに対向するように対となって設けられており、吊持具は、案内レールに装着された状態において、起立板を中央にはさんで両側に、それぞれ側壁部、転動輪及び案内輪が位置し、転動輪は案内レールにおける底板に載置され底板上を転動可能に設けられ、案内輪は起立板に対して隙間をおいて設けられている構成であることを特徴とする引き戸用の吊持案内装置を提供する。
案内レールの起立板が吊持具の両側の側壁部、転動輪及び案内輪の中央の位置になるように、吊持具が案内レールに装着された状態において、案内輪と案内レール起立板の隙間の間隔寸法は、案内レールの底板と本体板枠の側壁部との隙間の間隔寸法より小さい構成であるとともに、案内レールの起立板と転動輪を取り付ける軸の頭部との隙間又は案内レールの起立板と転動輪の隙間の間隔寸法より小さい構成であることが好ましい。
吊持具は、引き戸を吊持具の底部に取り付けるための引き戸固定ネジ杆を備えており、引き戸固定ネジ杆は、底部から下方に延びるように設けられている構成であることが好ましい。
本発明に係る引き戸用の吊持案内装置によれば、次のような効果が生じる。
(1)案内レールは、鋼材等から成る長細い板材を互いに溶接で固定して製作し、底板と起立板を備えた逆T字形の単純な構成であるので、製作ないし清掃等のメインテナンスが比較的容易であり、経済的にも優れている。
(2)案内レールは、底板と起立板は互いに溶接で固定するだけで製作可能であるので、曲げ加工等に比べ、十分な厚みの板材を使用でき、重量の大きな引き戸の移動により繰り返し荷重を受けても、案内レールの破損や変形を防止でき、メインテナンスの頻度を少なくし、長期にわたって吊持具のスムースな移動を維持する。
(3)吊持具は、転動輪が案内レールに沿って移動する際に、引き戸が走行方向の側方に寄っても、案内輪が案内レールの起立板に当接して回転するので、吊持具が案内レールに当接してひっかかかったり摩擦したりすることがなく、スムースな移動が可能となる。
本発明に係る引き戸用の吊持案内装置を適用した引き戸を示す正面図である。 本発明に係る引き戸用の吊持案内装置の実施例におけるレールを示す図であり、(a)はレールの斜視図であり、(b)はレールの長手方向に切り取った一部の斜視図であり、(c)は(a)に示すレールの一部の側面図であり、(d)は(b)に示すレールの一部の正面図である。 上記実施例において吊持具を示す図であり、(a)は平面図であり、(b)は(a)のB-B断面図である。 上記実施例において吊持具を示す図であり、(a)は斜視図であり、(b)は正面向かって右側方やや上方から見た図である。 上記実施例において吊持具の案内輪を取り付ける案内輪取付片を説明する図であり、(a)は平面図であり、(b)は正面図であり、(c)は側面図である。なお、2点鎖線は、案内輪を示す。 上記実施例においてレールに吊持具を装着した使用状態を示す図であり、(a)は正面向かって右側方から見た図であり、(b)は(a)の要部拡大図である。 上記実施例の使用状態を示す図であって、(a)は平面図であり、(b)は正面向かって右側方から見た斜視図である。 上記実施例の変形例を示す図であって、(a)は平面図であり、(b)は正面向かって右側方から見た斜視図である。 引き戸用の吊持案内装置の従来例を説明する図であり、(a)は引き戸の正面図であり、(b)は(a)のB-B断面図であり、(c)は(b)の要部拡大図である。
本発明に係る引き戸用の吊持案内装置を実施するための形態を実施例に基づいて図面を参照して、以下に説明する。
全体構成:
本発明に係る引き戸用の吊持案内装置の実施例を図1~図8を参照して、以下説明する。図1は、建物の出入口2において、本発明に係る引き戸用の吊持案内装置1によって開閉可能な2枚の引き戸3の設けられた状態を示す図である。
本明細書では、引き戸3を屋内側から正面視し、正面手前側を正面側(屋内側)とし、その反対側(屋外側)を裏面側と言い、この正面側から裏面側の方向又はその逆方向を奥行き方向という。
また、引き戸3を屋内側から正面視し、左右を左右側、左右方向と言う。例えば、後記する吊持具7が移動する方向でもある案内レール6の長手方向が左右方向になり、上記奥行き方向は、案内レール6の長手方向に対して直交する方向である。
引き戸3は、出入口2の横幅に応じて、1~複数枚配設されるが、本実施例では、引き戸3は2枚配設されており、それぞれ引き戸用の吊持案内装置1によって開閉方向(図1では正面向かって左右の方向)に移動可能である。
引き戸用の吊持案内装置1は、図1、図6、図7に示すように、案内レール6と、案内レール6で案内されて走行し引き戸3を吊持する吊持具7と、を備えている。
案内レール:
案内レール6は、建物の屋内側において、出入口2の上方に出入口2に沿って水平に配設され、図1、図6(a)に示すように、取付ブラケット10を介して、建物の構造体11にボルト12で固定される。
案内レール6は、図2(a)~(d)に示すように、長細い底板(長尺状の底板)14と、底板14の奥行き方向(長手方向に直交する巾方向)の中央に沿い垂直に起立した長細い起立板(長尺状の起立板)15と、を備えている。
底板14及び起立板15は、それぞれ長細い鋼板等から成り、底板14に対して起立板15を溶接で起立状態に固定されている。案内レール6は、その長手方向に垂直な断面形状は、逆T字形である(図2(c)参照)。
このように、案内レール6は、構成が単純な形状をしており、鋼板等の素材を溶接することで、比較的容易に製作できる。そして、その製作に際して、基本的には曲げ加工等する必要がない。
従って、鋼板等の素材の厚さは、引き戸3の重量に耐えられ強度を考慮して選択すればよい。そのために、引き戸3の繰り返しの開閉によって加えられる繰り返し荷重を受けても、案内レール6の変形を抑制できる。
吊持具:
吊持具7は、図3、図4に示すが、本体板枠18、転動輪19、案内輪20、案内輪取付片21及び引き戸固定ネジ杆22を備えている。
ところで、前記したとおり、本明細書では、「正面側」及び「裏面側」という用語を使用するが、案内レール6を出入口2の上方に配設し、吊持具7を案内レール6に装着した状態で、案内レール6及び吊持具7についても同様に、建物の内側を正面側と言い、外側を裏面側と言う。
また、「奥行き方向」についても同様であり、案内レール6を出入口2の上方に配設し、吊持具7を案内レール6に装着した状態で、案内レール6についてはその長手方向に直交する方向を言い、また吊持具7については、移動する方向に直交する方向(本体板枠18の正面側から裏面側に向かう方向)を言う。
本体板枠18は、鋼材等から形成され、図3(a)、(b)、図4(a)、(b)に示すように、底部25と、底部25の両側の側壁部26、27と、を有し、案内レール6上で移動する方向に垂直な断面が略凹字形(図4参照)である。
ここで、本体板枠18の「底部25の両側の側壁部26、27」は、底部25の奥行き方向の両側(奥行き端と手前端)の側壁部であり、より具体的には、底部25の正面側及び裏面側においてそれぞれ底部25から上方に向けて垂直に形成された側壁部26、27である。
転動輪19については、2つの転動輪19が、互いの側面が本体板枠18の内側に向けて互いに向き合うように一対となって設けられている。より具体的には、2つの転動輪19は、それぞれ正面側の側壁部26及び裏面側の側壁部27の内側に、ボルト軸29(転動輪19を取り付ける軸)とナット30によって回転可能に取付けられている(図3(a)、図4(a)、(b)参照)。
案内輪20は、図3(a)、図4(a)、(b)等に示すように、転動輪19を挟んで左右(吊持具7の移動方向の前後)において、それぞれ正面側の側壁部26及び裏面側の側壁部27から、間隔28を隔てて互いに対向するように対となって、計2対配設されている。
より具体的には、正面側の側壁部26及び裏面側の側壁部27の内面には、図3(a)、図4(a)、(b)に示すように、それぞれ案内輪取付片21が固定されている。案内輪取付片21は、図5(a)~(c)の実線に示すような形状の板材から成り、その左右にそれぞれ本体板枠18の中心方向に向けて突出するように、水平な案内輪取付部33が形成されている。
この案内輪取付片21の左右の案内輪取付部33に、図5(a)~(c)の想像線に示すように、案内輪20が水平に回転可能に取り付けられる。即ち、正面側の側壁部26及び裏面側の側壁部27の内面に固定された案内輪取付片21の左右の案内輪取付部33には、それぞれ案内輪20が回転可能に水平な状態で取り付けられている。
図3(b)は図3(a)のB-B断面を示すが、裏面側の側壁部27に案内輪取付片21が固定され、案内輪取付片21の左右において水平に形成された案内輪取付部33に、案内輪20が水平に回転可能に取り付けられている構成を示している。
図3(a)、図4(a)、図7(a)に示すように、2対の案内輪20は、1対の転動輪19を挟んで左右に設けられている。案内輪20は、転動輪19を取り付けるボルト軸29の頭部31に較べて、正面側の側壁部26及び裏面側の側壁部27からより中心に向けて突出するように、案内輪取付部33に取り付けられている。
換言する、対となった案内輪20の間隔28は、対となったボルト軸29の頭部31の間隔34より小さい。
引き戸固定ネジ杆22は、その頭部37は、図3(b)、図4(b)、図6(a)、(b)等に示すように、本体板枠18の底部25上に設けられ、そのネジ部38は下方に貫通しており、ネジ部38にはナット39が螺着されている。
使用に際して、後記するが、吊持具7は、案内レール6に図6、図7に示すように装着される。図6(a)、(b)は、案内レール6の起立板15が、吊持具7の奥行き方向の中心になるように、吊持具7が案内レール6に装着された状態を示す。
この装着状態では、吊持具7の2対の案内輪20の中間位置に、案内レール6の起立板15(より正確には起立板15の厚み方向の中心)が配置され、転動輪19が案内レール6の底板14に載置され転動可能な状態となる。
この状態で、本発明に係る引き戸用の吊持案内装置1では、図6(b)、図7(b)に示すように、案内輪20と起立板15の隙間42の間隔寸法d1は、案内レール6の底板14と側壁部26、27の隙間43の間隔寸法d2より小さい構成とする。
さらに、図6(b)、図7(a)に示すように、案内輪20と起立板15の隙間42の間隔寸法d1は、案内レール6の起立板15と転動輪19を取り付けるボルト軸29の頭部31の隙間44の間隔寸法d3より小さい構成とする。間隔寸法d1とd2、d3を、このような関係的な構成とすることによる作用、効果は、後記する。
なお、本実施例では、転動輪19を取り付けるボルト軸29(転動輪19を取り付ける軸)の頭部31は、転動輪19より本体板枠18の奥行き方向の中心に向けて突出している。
しかし、図8(a)、(b)に変形例を示すように、頭部31が転動輪19内にあり、本体板枠18の中心に向けて突出していない構成としてもよい。このような構成では、案内輪20と起立板15の隙間42の間隔寸法d1は、起立板15と転動輪19の隙間45の間隔寸法d4より小さい構成とする。
要するに、案内輪20と起立板15の隙間42の間隔寸法d1は、案内レール6の起立板15とボルト軸29(転動輪19を取り付ける軸)の頭部31の隙間43の間隔寸法d3(図7(a)参照)又は案内レール6の起立板15と転動輪19の隙間45の間隔寸法d4(図8(a)参照)より小さい構成とする。
(作用)
以上のような構成の案内レール6と吊持具7を備えた引き戸用の吊持案内装置1の作用を、使用状態等を通して説明する。
使用に際しては、案内レール6は、図1に示すように建物の出入口2の上方に沿って水平な状態で、図1、図6(a)に示すように、取付ブラケット10を介して、建物の構造体11にボルト12で固定される。
吊持具7は、図6(a)、(b)に示すように、引き戸3の頂部に引き戸固定ネジ杆22と、そのネジ部38に螺着されるナット39によって固定される。引き戸3の横幅(左右方向の幅)にもよるが、1枚の引き戸3には通常複数の吊持具7が固定され、複数の吊持具7を介して引き戸3が吊持される。本実施例では、図1に示すように、1枚の引き戸3は2つの吊持具7で吊持されている。
吊持具7は、案内レール6の端部から案内レール6に装着される。吊持具7が案内レール6に装着された状態は、図6、図7に示すように、1対の転動輪19は、案内レール6の起立板15を中心としその両側に位置し、かつ底板14上に載置され転動可能となる。
このように吊持具7は、案内レール6に装着されると、転動輪19が案内レール6の底板14上を転動し、引き戸3を吊持した状態で長手方向に沿って移動可能となる。これにより、引き戸3は、開閉方向に引くことで、案内レール6に沿ってその長手方向にスムースに移動し、出入口2を開閉可能となる。
なお、図6(a)では、引き戸3の下端面にキャスタ46を設け、このキャスタ46を床48に設けた案内溝47に沿って移動する構成を示した。しかし、本発明は、あくまでも引き戸用の吊持案内装置1の構成を特徴とするものであり、引き戸3の下端を床面上で案内する構成を限定するものではない。
従って、引き戸3の下端又は床面にキャスタ又は突起を設け、それを床面又は引き戸3の下端に設けた溝や案内レールに沿って相対的に移動させる構成としてもよいし、引き戸3の下端と床面に僅かな隙間を設け、吊持具7で引き戸3を吊持するだけで床面では引き戸3を受けない構成としてもよい。あるいは、引き戸3の下端と床面の間に他の構成の案内手段を介在させる構成としてもよい。
本発明によれば、吊持具7は、その転動輪19が案内レール6の底板14上を転動して移動する際に、引き戸3が走行方向の側方(奥行き方向等)に寄っても、案内輪20が案内レール6の起立板15に当接して回転するので、スムースな移動が可能となる。
案内レール6に平面視でカーブ(湾曲)した部分があり、そこで、吊持具7が走行方向の側方に寄った場合でも、上記同様に、案内輪20が案内レール6の起立板15に当接し回転するので、吊持具7の側壁部26、27が案内レール6の起立板15に接触してひっかかったり、摩擦したりすることが生じることなくスムースな移動が可能となる。
特に、本発明に係る引き戸用の吊持案内装置1は、前記したとおり案内輪20と起立板15の隙間42の間隔寸法d1は、案内レール6の底板14と側壁部26、27の隙間43の間隔寸法d2より小さく形成されているとともに、案内レール6の起立板15と転動輪19を取り付けるボルト軸29の頭部31の隙間44の間隔寸法d3(図8に示す変形例の構成では、案内レール6の起立板15と転動輪19の隙間45の間隔寸法d4)より小さい構成とした。
そのために、引き戸3が案内レール6に沿って移動した際に、走行方向に対して側方に寄っても、案内輪20が起立板15に接触して回転するので、吊持具7の側壁部26、27が底板14に接触したり、或いは案内レール6の起立板15に転動輪19を取り付けるボルト軸29が接触したりすることがないので、スムースな移動が可能となる。
ところで、本発明に係る引き戸用の吊持案内装置1では、案内レール6は、鋼材等から成る長細い板材を互いに溶接で固定し、底板14と起立板15とした逆T字形の単純な構成であるので、製作ないし清掃等のメインテナンスが比較的容易であり、経済的にも優れている。
そして、案内レール6は、底板14と起立板15は互いに溶接で固定するだけで製作可能であるので、曲げ加工等に比べ、十分な厚みの板材を使用できる。そのために、案内レール6は、重量の大きな引き戸3の移動によって繰り返し荷重を受けても、従来の案内レールでは生じやすい破損や変形を防止でき、メインテナンスの頻度も少なくし、長期にわたって吊持具7のスムースな移動を維持する。
以上、本発明に係る引き戸用の吊持案内装置を実施するための形態を実施例に基づいて説明したが、本発明はこのような実施例に限定されることなく、特許請求の範囲記載の技術的事項の範囲内で、いろいろな実施例があることは言うまでもない。
本発明に係る引き戸用の吊持案内装置は、工場、倉庫、ガレージ等の出入口を開閉する比較的、重量があり頑丈な構造の引き戸に適しており、また、案内レールの強度が大きく、変形が生じにくく、転動輪に加えて案内輪を設けることで、引き戸はスムースな移動が可能であるので、緊急時であってもスムースに開閉することが必要な防火用の引き戸、防火シャッタ等にも適用可能である。
1 引き戸用の吊持案内装置
2 建物の出入口
3 引き戸
6 案内レール
7 吊持具
10 取付ブラケット
11 建物の構造体
12 取付ブラケットを建物の構造体に固定するボルト
14 案内レールの底板
15 案内レールの起立板
18 本体板枠
19 転動輪
20 案内輪
21 案内輪取付片
22 引き戸固定ネジ杆
25 吊持具の本体板枠の底部
26 正面側の側壁部
27 裏面側の側壁部
28 対となった案内輪の間隔
29 転動輪を取り付けるボルト軸
30 転動輪を取り付けるナット
31 転動輪を取り付けるボルト軸の頭部
33 案内輪取付片の案内輪取付部
34 対となった転動輪を取付けるボルトの頭部間の間隔
37 引き戸固定ネジ杆の頭部
38 引き戸固定ネジ杆のネジ部
39 引き戸固定ネジ杆に螺着されるナット
42 案内輪と案内レールの起立板の隙間
43 案内レールの底板と側壁部の吊持具の本体板枠の隙間
44 案内レールの起立板と転動輪を取り付けるボルト軸の頭部の隙間
45 案内レールの起立板と転動輪の隙間
46 キャスタ
47 案内溝
48 床
50 引き戸用の吊持案内装置
51 案内レール
52 取付ブラケット
53 建物の構造体
54 吊持具の転動輪
56 吊持具
57 案内レールの底部
58 吊持具の取付軸
60 案内レールの両側壁部

Claims (4)

  1. 出入口の上方に設置される案内レールと、案内レールに装着され引き戸を吊持して案内レールに沿って移動する吊持具と、を備えた引き戸用の吊持案内装置であって、
    案内レールは、長細い底板と、底板から垂直に起立した起立板と、を備え、長手方向に垂直な断面は逆T字形に形成されており、
    吊持具は、本体板枠、転動輪及び案内輪を備え、案内レールに沿って移動可能であり、
    本体板枠は、底部と、両側の側壁部を備え、吊持具の移動方向に垂直な断面が凹字形に形成されており、
    転動輪は、両側の側壁部の内面側に、側壁部の内面に平行で、互いに対向するように対となって設けられており、
    案内輪は、両側の側壁部の内面側に、互いに対向するように水平に対となって設けられており、
    吊持具は、案内レールに装着された状態において、起立板を中央にはさんで両側に、それぞれ側壁部、転動輪及び案内輪が位置し、転動輪は案内レールにおける底板に載置されて底板上を転動可能に設けられている構成であることを特徴とする引き戸用の吊持案内装置。
  2. 出入口の上方に設置される案内レールと、案内レールに装着され引き戸を吊持して案内レールに沿って移動する吊持具と、を備えた引き戸用の吊持案内装置であって、
    案内レールは、長細い底板と、該底板の長手方向に直交する方向の中心に沿って延び垂直に起立した起立板と、を備え、長手方向に垂直な断面は逆T字形に形成されており、
    吊持具は、本体板枠、転動輪及び案内輪を備え、案内レールに沿って移動可能であり、
    本体板枠は、底部と、底部における吊持具の移動方向に直交する方向の両側からそれぞれ垂直に起立した両側の側壁部を備え、吊持具の移動方向に垂直な断面が凹字形に形成されており、
    転動輪は、両側の側壁部の内面側に、それぞれ側壁部の内面に平行な向きで、互いに対向するように対となって設けられており、
    案内輪は、両側の側壁部の内面側に、それぞれ側壁部の内面に対して直交する水平な向きで、互いに対向するように対となって設けられており、
    吊持具は、案内レールに装着された状態において、起立板を中央にはさんで両側に、それぞれ側壁部、転動輪及び案内輪が位置し、転動輪は案内レールにおける底板に載置され底板上を転動可能に設けられ、案内輪は起立板に対して隙間をおいて設けられている構成であることを特徴とする引き戸用の吊持案内装置。
  3. 案内レールの起立板が吊持具の両側の側壁部、転動輪及び案内輪の中央の位置になるように、吊持具が案内レールに装着された状態において、案内輪と案内レール起立板の隙間の間隔寸法は、案内レールの底板と本体板枠の側壁部との隙間の間隔寸法より小さい構成であるとともに、案内レールの起立板と転動輪を取り付ける軸の頭部との隙間又は案内レールの起立板と転動輪の隙間の間隔寸法より小さい構成であることを特徴とする請求項1又は2に記載の引き戸用の吊持案内装置。
  4. 吊持具は、引き戸を吊持具の底部に取り付けるための引き戸固定ネジ杆を備えており、引き戸固定ネジ杆は、底部から下方に延びるように設けられている構成であることを特徴とする請求項1~3のいずれかに記載の引き戸用の吊持案内装置。
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